JP2011032357A - ポリイミドフィルムおよびポリイミドフィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ポリイミドフィルムの優れた特性を保持しつつ、接着性にも優れたポリイミドフィルムを提供する。
【解決手段】 テトラカルボン酸成分と、下記一般式(1)で表されるジアミンを含むジアミン成分とを反応させて得られるポリイミドフィルムにおいて、イミド化時またはイミド化後に460℃〜550℃の温度範囲で熱処理する。
Figure 2011032357

(式中、Rは炭素数1〜4の直鎖または分岐アルキル基を表し、nは1〜4の整数を表す。ただし、nが2以上の場合には、複数個のRは同一でも異なっていてもよい。)
【選択図】 なし

Description

本発明は、接着性に優れたポリイミドフィルムに関する。また、本発明は、ポリイミドフィルムの接着性を簡便な方法で向上させることができるポリイミドフィルムの製造方法に関する。
ポリイミドフィルムは、耐熱性、耐薬品性、機械的強度、電気特性、寸法安定性などに優れていることから、電気・電子デバイス分野、半導体分野などの分野で広く使用されている。例えば、フレキシブルプリント配線板(FPC)としては、ポリイミドフィルムの片面または両面に銅箔を積層してなる銅張り積層基板が使用されている。
FPC用フィルム等として好適なポリイミドフィルムとして、例えば、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を主成分とする芳香族テトラカルボン酸成分とパラフェニレンジアミンを主成分とする芳香族ジアミン成分とから熱イミド化によって製造されるポリイミドフィルムがある(特許文献1など)。
しかしながら、ポリイミドフィルムは、一般に、接着性に問題があり、エポキシ樹脂系接着剤などの耐熱性接着剤を介して銅箔などの金属箔と接合した場合、十分な剥離強度を有する積層体が得られないことがある。
例えば、特許文献1に記載のポリイミドフィルムでは、ポリイミド前駆体溶液の自己支持性フィルム(固化フィルム)の表面に耐熱性表面処理剤(カップリング剤)を含有する表面処理液を塗布することにより、ポリイミドフィルムの接着性を改良している。このように、カップリング剤を塗布する必要のない、優れた接着性を有するポリイミドフィルムが求められている。
ポリイミドフィルムの接着性を向上させる方法として、特許文献2には、ポリイミドの前駆体物質の有機溶媒溶液を含む組成物を流延塗布後加熱し、イミド化率が好ましくは70%以上、プレフィルム中の残揮発物量が好ましくは40重量%以下のプレフィルムとした後、このプレフィルムを450℃以上630℃以下、さらに好ましくは520℃以上580℃以下の温度で熱処理してポリイミドフィルムを製造する方法が開示されている。適用されるポリイミドに関しては、実施例では、芳香族テトラカルボン酸二無水物としてピロメリット酸二無水物を、芳香族ジアミンとして4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、または4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとパラフェニレンジアミンとを用い、ケミカルキュア法により、またはケミカルキュア法及び熱キュア法を組み合わせてポリイミドフィルムを製造している。また、従来の方法で製造された最終製品としてのポリイミドフィルムに450℃以上630℃以下の温度範囲で熱処理してもよいことが記載されている。
ポリイミドフィルムの接着性を向上させる方法として、アルカリ処理することも提案されている。例えば、特許文献3には、ポリイミド系接着剤によって金属箔が高い密着性で接着されうるポリイミドフィルムとして、過マンガン酸塩と水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の水酸化物とを含むアルカリ性水溶液によって表面処理されたポリイミドフィルムが開示されており、実施例では、市販の非熱可塑性ポリイミドフィルムを過マンガン酸カリウムおよび水酸化ナトリウムを含む水溶液に75℃で5分間浸漬処理している。また、ポリイミドフィルムの表面をアルカリ性水溶液で処理する手段として、ポリイミドフィルムにアルカリ性水溶液をスプレーまたはシャワーによって噴霧または吹きつける方法も挙げられている。
ところで、特許文献4には、液晶配向膜等に用いられる無色透明なポリイミド成形体として、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と2個のアミノ基が相互にメタ位に位置する芳香族ジアミンとの反応によって得られるポリイミド、例えば3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と2,4−トルエンジアミンとの反応によって得られるポリイミドフィルムが開示されている。このポリイミドフィルムは、ポリアミド酸溶液をガラス板等の上に流延し、100〜350℃で加熱してポリアミド酸を脱水閉環させることにより得られ、短時間であれば400℃前後まで最終的に加熱することにより生成ポリイミドフィルムの特性を向上させることができると記載されている。
特許文献5には、液晶表示素子の液晶配向膜に用いられるポリイミドとして、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族4核体ジアミンとに由来する反覆単位を81〜51モル%、芳香族テトラカルボン酸二無水物とジアミノシロキサンとに由来する反覆単位を1〜4モル%、芳香族テトラカルボン酸二無水物と2,4−トルエンジアミンとに由来する反覆単位を18〜45モル%含有する溶剤可溶性ポリイミドが開示されており、芳香族テトラカルボン酸二無水物として3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物が挙げられている。このポリイミドは、有機溶剤中で芳香族テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを低温(60℃以下)で反応させてポリアミド酸ポリマーを合成し、引き続いて80〜200℃で加熱してポリアミド酸を脱水閉環させることにより合成される。
また、特許文献6には、ポリアミック酸と触媒化合物を含む溶液を用いて流延法により製膜して得られたフィルムを、フィルム中に残存している触媒化合物や溶媒を除去するために、水に好ましくは5℃〜100℃で30分〜100時間浸漬した後、フィルムを乾燥するポリイミドフィルムの製造方法が開示されている。
特公平6−2828号公報 特開平11−930号公報 特開2007−9186号公報 特開昭62−13436号公報 特開昭61−240223号公報 特開2006−56956号公報
本発明の目的は、ポリイミドフィルムの優れた特性を保持し、しかも接着性にも優れたポリイミドフィルムを提供することであり、特には、接着性に優れる特定の組成のポリイミドフィルムにおいて、接着性を簡便な方法でさらに向上させたポリイミドフィルムを提供することである。
特に配線基板に用いる基板やカバー材に用いることができるポリイミドフィルムの接着性を簡便な方法でさらに向上させたポリイミドフィルムを提供することである。
本発明は以下の事項に関する。
1. テトラカルボン酸成分とジアミン成分とを反応させて得られるポリイミドフィルムであって、
前記ジアミン成分が、下記一般式(1)で表されるジアミンを含み、
イミド化時またはイミド化後に、460℃〜550℃の温度範囲で熱処理されていることを特徴とするポリイミドフィルム。
Figure 2011032357
(式中、Rは炭素数1〜4の直鎖または分岐アルキル基を表し、nは1〜4の整数を表す。ただし、nが2以上の場合には、複数個のRは同一でも異なっていてもよい。)
2. 前記一般式(1)で表されるジアミンが、2,4−トルエンジアミンおよび/または2,6−トルエンジアミンであることを特徴とする上記1記載のポリイミドフィルム。
3. 前記ジアミン成分100モル%中、前記一般式(1)で表されるジアミンが3モル%以上35モル%未満の範囲で含まれることを特徴とする上記1または2記載のポリイミドフィルム。
4. 前記テトラカルボン酸成分が、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物および/またはピロメリット酸二無水物を含むことを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載のポリイミドフィルム。
5. 前記ジアミン成分が、さらにパラフェニレンジアミンおよび/またはジアミノジフェニルエーテル類を含むことを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載のポリイミドフィルム。
6. 前記テトラカルボン酸成分が、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物および/またはピロメリット酸二無水物を主成分として含み、
前記ジアミン成分が、パラフェニレンジアミンおよび/またはジアミノジフェニルエーテル類を主成分として含み、さらに前記一般式(1)で表されるジアミンを3モル%以上35モル%未満の範囲で含むことを特徴とする上記1〜5のいずれかに記載のポリイミドフィルム。
7. 表面が、水またはアルカリ性水溶液の吹き付けによって表面処理されていることを特徴とする上記1〜6のいずれかに記載のポリイミドフィルム。
8. 前記アルカリ性水溶液が、水酸化ナトリウムおよび/または炭酸ナトリウムを含むことを特徴とする上記7記載のポリイミドフィルム。
9. 上記1〜6のいずれかに記載のポリイミドフィルムの片面または両面に接着剤層を積層してなる接着剤積層ポリイミドフィルム。
10. 上記7または8記載のポリイミドフィルムの水またはアルカリ性水溶液を吹き付けて表面処理した面に接着剤層を積層してなる接着剤積層ポリイミドフィルム。
11. テトラカルボン酸成分と、前記一般式(1)で表されるジアミンを含むジアミン成分とを反応させて得られるポリアミック酸またはポリイミドの溶液を支持体上に流延し、これを乾燥して自己支持性フィルムを得る工程と、
この自己支持性フィルムを最高加熱温度460℃〜550℃で加熱してポリイミドフィルムを得る工程と
を有するポリイミドフィルムの製造方法。
12. 得られたポリイミドフィルムを460℃〜550℃で熱処理する工程をさらに有する上記11記載のポリイミドフィルムの製造方法。
13. テトラカルボン酸成分と、前記一般式(1)で表されるジアミンを含むジアミン成分とを反応させて得られるポリアミック酸またはポリイミドの溶液を支持体上に流延し、これを乾燥して自己支持性フィルムを得る工程と、
この自己支持性フィルムを最高加熱温度460℃未満で加熱してポリイミドフィルムを得る工程と、
得られたポリイミドフィルムを460℃〜550℃で熱処理する工程と
を有するポリイミドフィルムの製造方法。
14. 得られたポリイミドフィルムの表面に水またはアルカリ性水溶液を吹き付ける工程をさらに有する上記11〜13のいずれかに記載のポリイミドフィルムの製造方法。
本発明では、テトラカルボン酸成分と、前記一般式(1)で表されるジアミン、好ましくは2,4−トルエンジアミンを含むジアミン成分とを反応させて得られるポリイミドフィルムにおいて、イミド化時またはイミド化後に、460℃〜550℃、好ましくは460℃以上520℃未満の温度範囲で熱処理してポリイミドフィルムを製造する。具体的には、テトラカルボン酸成分と、前記一般式(1)で表されるジアミン、好ましくは2,4−トルエンジアミンを含むジアミン成分とを反応させて得られるポリアミック酸またはポリイミドの溶液を支持体上に流延し、これを乾燥して自己支持性フィルムを得た後、この自己支持性フィルムを最高加熱温度460℃〜550℃で加熱してポリイミドフィルムを製造する。得られたポリイミドフィルムを460℃〜550℃で再度熱処理することも好ましい。または、自己支持性フィルムを最高加熱温度460℃未満で加熱してポリイミドフィルムを製造し、得られたポリイミドフィルムを460℃〜550℃で熱処理する。イミド化時またはイミド化後に460℃〜550℃の高温で熱処理することにより、得られるポリイミドフィルムの熱処理後の接着性、例えば150℃で24時間の熱処理後の接着性が向上する。
さらに、イミド化時またはイミド化後に460℃〜550℃で熱処理して得られたポリイミドフィルムの表面に水またはアルカリ性水溶液を吹き付けて、表面処理(スプレー処理)することが好ましい。この処理により、得られるポリイミドフィルムの接着性(初期接着性)がさらに向上する。ここで、水またはアルカリ性水溶液は、ポリイミドフィルムの表面に吹き付けることが必要である。ポリイミドフィルムを水またはアルカリ性水溶液に浸漬した場合、初期(熱処理前)の接着性は向上するが、熱処理後の接着性が低下する傾向がある。
以上のように、本発明によれば、初期(熱処理前)だけではなく、熱処理後、例えば150℃で24時間の熱処理後においても優れた接着性を有するポリイミドフィルムが得られる。本発明のポリイミドフィルムは、接着剤との接着性に優れ、特にエポキシ系やアクリル系などの接着剤との接着性に優れている。
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物および/またはピロメリット酸二無水物を主成分として含むテトラカルボン酸成分と、パラフェニレンジアミンおよび/またはジアミノジフェニルエーテル類を主成分として含むジアミン成分とから得られるポリイミドフィルムは、耐熱性に優れ、機械的特性にも優れるために、各種の基材として用いられている。ジアミン成分として、さらに、前記一般式(1)で表されるジアミン、好ましくは2,4−トルエンジアミンを、好ましくは3モル%以上35モル%未満の範囲で含むジアミン成分を用いた場合、得られるポリイミドフィルムは、前記特性を維持しつつ、さらに接着剤などとの接着性が向上する。このような前記一般式(1)で表されるジアミンを含むジアミン成分を用いて得られる改質されたポリイミドフィルムの場合も、イミド化時またはイミド化後に460℃〜550℃の高温で熱処理し、さらに好ましくは得られたポリイミドフィルムの表面に水またはアルカリ性水溶液を吹き付けて、表面処理(スプレー処理)することにより、さらにポリイミドフィルムの接着性が向上する。また、初期(熱処理前)だけではなく、熱処理後の接着性、例えば150℃で24時間の熱処理後の接着性も向上する。本発明のポリイミドフィルムは、接着剤との接着性に優れ、特にエポキシ系やアクリル系などの接着剤との接着性に優れている。
他のポリイミドフィルムの場合、例えば3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンとを反応させて得られるポリイミドフィルムの場合、イミド化時またはイミド化後に460℃〜550℃の高温で熱処理しても、得られるポリイミドフィルムの接着性は向上しないことがある。
本発明に用いるポリイミドフィルムは、テトラカルボン酸成分と、前記一般式(1)で表されるジアミンを含むジアミン成分とを公知の方法により反応させて、例えば熱イミド化および/または化学イミド化により得られるものである。ジアミン成分100モル%中、前記一般式(1)で表されるジアミンの含有量は、特に限定されるものではないが、3モル%以上35モル%未満であることが好ましく、5モル%〜30モル%であることがより好ましく、7モル%〜25モル%であることが特に好ましい。
本発明のポリイミドフィルムは、テトラカルボン酸成分とジアミン成分とを複数含む場合には、ランダム共重合していても、ブロック共重合していてもよく、またはこれらが併用されていてもよい。
また、テトラカルボン酸成分は、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物および/またはピロメリット酸二無水物を主成分として含むものが好ましく、ジアミン成分は、パラフェニレンジアミンおよび/またはジアミノジフェニルエーテル類を主成分として含み、さらに前記一般式(1)で表されるジアミンを、好ましくは3モル%以上35モル%未満の範囲で含むものが好ましい。このようなテトラカルボン酸成分とジアミン成分を用いると、機械的特性に優れるフィルムが得られやすく、配線基板などの各種基板に好適に用いることができ、さらに生産性が向上する可能性があり好ましい。特にテトラカルボン酸成分は、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を主成分として含むものが好ましく、ジアミン成分は、パラフェニレンジアミンを主成分として含むものが好ましい。
前記一般式(1)中、Rは炭素数1〜4の直鎖または分岐アルキル基を表す。nが2以上の場合には、複数個のRは同一でも異なっていてもよい。Rとしては、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
nは1〜4の整数を表し、1または2であることが好ましく、1であることが特に好ましい。
前記一般式(1)で表されるジアミンとしては、2,4−トルエンジアミン、2,5−トルエンジアミン、2,6−トルエンジアミン、1−エチル−2,4−ジアミノベンゼン、1−エチル−2,5−ジアミノベンゼンなどを挙げることができ、2,4−トルエンジアミンが特に好ましい。トルエンジアミン、特に好ましくは2,4−トルエンジアミンを用いることにより、より優れた接着性を有するポリイミドフィルムが得られる。さらに、得られるポリイミドフィルムの水蒸気透過性が向上し、着色が低減することも期待できる。
前記一般式(1)で表されるジアミンは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ジアミン成分中の前記一般式(1)で表されるジアミンの含有量は3モル%以上が好ましく、5モル%以上がより好ましく、7モル%以上がさらに好ましい。また、ジアミン成分中の前記一般式(1)で表されるジアミンの含有量は35モル%未満が好ましく、30モル%以下がより好ましく、25モル%以下がさらに好ましい。ジアミン成分中の前記一般式(1)で表されるジアミンの含有量が上記範囲内であれば、得られるポリイミドフィルムの接着性がより向上する。一方、ジアミン成分中の前記一般式(1)で表されるジアミンの含有量が上記範囲を超えると、得られるポリイミドフィルムの物性が低下してくることがある。
本発明のポリイミドフィルムを製造する方法としては、
(1)ポリアミック酸溶液、またはポリアミック酸溶液に必要に応じてイミド化触媒、脱水剤、離型助剤、無機微粒子などを選択して加えたポリアミック酸溶液組成物をフィルム状に支持体上に流延し、加熱乾燥して自己支持性フィルムを得た後、熱的に脱水環化、脱溶媒させてポリイミドフィルムを得る方法、
(2)ポリアミック酸溶液に環化触媒及び脱水剤を加え、さらに必要に応じて無機微粒子などを選択して加えたポリアミック酸溶液組成物をフィルム状に支持体上に流延し、化学的に脱水環化させて、必要に応じて加熱乾燥して自己支持性フィルムを得た後、これを加熱脱溶媒、イミド化することによりポリイミドフィルムを得る方法
が挙げられる。
本発明のポリイミドフィルムは、一例として、次のようにして製造することができる。まず、有機溶媒中で、テトラカルボン酸成分と、前記一般式(1)で表されるジアミンを含むジアミン成分とを反応させてポリイミド前駆体であるポリアミック酸を合成する。必要に応じて、イミド化触媒、脱水剤、離型助剤、無機微粒子などを加えてもよい。
次に、得られたポリアミック酸の溶液を支持体上に流延し、加熱・乾燥して自己支持性フィルムを製造する。そして、この自己支持性フィルムを加熱、イミド化することによってポリイミドフィルムを製造することができる。また、テトラカルボン酸成分とジアミン成分とを有機溶媒中で反応させて、有機溶媒に可溶なポリイミドを合成し、得られたポリイミドの溶液を自己支持性フィルムの製造に使用することもできる。
テトラカルボン酸二無水物の具体例としては、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s−BPDA)およびピロメリット酸二無水物(PMDA)が挙げられ、その他に、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(a−BPDA)、オキシジフタル酸二無水物、ジフェニルスルホン−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルフィド二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、p−ビフェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、m−ターフェニル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、p−ターフェニル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ビフェニル二無水物、2,2−ビス〔(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕プロパン二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−(2,2−ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物などを挙げることができる。これらは単独でも、2種以上を混合して用いることもできる。用いるテトラカルボン酸二無水物は、所望の特性などに応じて適宜選択することができる。
テトラカルボン酸成分としては、酸成分100モル%中に、s−BPDA及びPMDAから選ばれる酸成分を、好ましくはs−BPDAを、50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、特に好ましくは75モル%以上含むテトラカルボン酸成分が、得られるポリイミドフィルムが機械的特性などに優れるために好ましい。
前記一般式(1)で表されるジアミン以外のジアミンの具体例としては、
1)パラフェニレンジアミン(1,4−ジアミノベンゼン;PPD)、1,3−ジアミノベンゼンなどのベンゼン核1つのジアミン、
2)4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテルなどのジアミノジフェニルエーテル類、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、4,4’−ジアミノベンズアニリド、3,3’−ジクロロベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、2,2’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、2,2’−ジメトキシベンジジン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジクロロベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホキシドなどのベンゼン核2つのジアミン、
3)1,3−ビス(3−アミノフェニル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェニル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)−4−トリフルオロメチルベンゼン、3,3’−ジアミノ−4−(4−フェニル)フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジ(4−フェニルフェノキシ)ベンゾフェノン、1,3−ビス(3−アミノフェニルスルフィド)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェニルスルフィド)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェニルスルフィド)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェニルスルホン)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェニルスルホン)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェニルスルホン)ベンゼン、1,3−ビス〔2−(4−アミノフェニル)イソプロピル〕ベンゼン、1,4−ビス〔2−(3−アミノフェニル)イソプロピル〕ベンゼン、1,4−ビス〔2−(4−アミノフェニル)イソプロピル〕ベンゼンなどのベンゼン核3つのジアミン、
4)3,3’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、3,3’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、2,2−ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンなどのベンゼン核4つのジアミン、
などを挙げることができる。これらは単独でも、2種以上を混合して用いることもできる。用いるジアミンは、所望の特性などに応じて適宜選択することができる。
ジアミン成分としては、前記一般式(1)で表されるジアミンを除くジアミン成分100モル%中に、PPD及びジアミノジフェニルエーテルから選ばれるジアミン成分を、好ましくはPPD、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、または3,4’−ジアミノジフェニルエーテルのいずれか1種以上を、特に好ましくはPPDを、50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、特に好ましくは75モル%以上含むジアミン成分が、得られるポリイミドフィルムが機械的特性などに優れるために好ましい。
ポリイミド前駆体の合成は、有機溶媒中で、略等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとをランダム重合またはブロック重合することによって達成される。また、予めどちらかの成分が過剰である2種類以上のポリイミド前駆体を合成しておき、各ポリイミド前駆体溶液を一緒にした後反応条件下で混合してもよい。このようにして得られたポリイミド前駆体溶液はそのまま、あるいは必要であれば溶媒を除去または加えて、自己支持性フィルムの製造に使用することができる。
ポリイミド前駆体溶液の有機溶媒としては、公知の溶媒を用いることができ、例えばN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどが挙げられる。これらの有機溶媒は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリイミド前駆体溶液には、必要に応じて、熱イミド化であればイミド化触媒、有機リン含有化合物、無機微粒子などを加えてもよい。
ポリイミド前駆体溶液には、必要に応じて、化学イミド化であれば環化触媒及び脱水剤、無機微粒子などを加えてもよい。
イミド化触媒としては、置換もしくは非置換の含窒素複素環化合物、該含窒素複素環化合物のN−オキシド化合物、置換もしくは非置換のアミノ酸化合物、ヒドロキシル基を有する芳香族炭化水素化合物または芳香族複素環状化合物が挙げられ、特に1,2−ジメチルイミダゾール、N−メチルイミダゾール、N−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、5−メチルベンズイミダゾールなどの低級アルキルイミダゾール、N−ベンジル−2−メチルイミダゾールなどのベンズイミダゾール、イソキノリン、3,5−ジメチルピリジン、3,4−ジメチルピリジン、2,5−ジメチルピリジン、2,4−ジメチルピリジン、4−n−プロピルピリジンなどの置換ピリジンなどを好適に使用することができる。イミド化触媒の使用量は、ポリアミド酸のアミド酸単位に対して0.01〜2倍当量、特に0.02〜1倍当量程度であることが好ましい。イミド化触媒を使用することによって、得られるポリイミドフィルムの物性、特に伸びや端裂抵抗が向上することがある。
有機リン含有化合物としては、例えば、モノカプロイルリン酸エステル、モノオクチルリン酸エステル、モノラウリルリン酸エステル、モノミリスチルリン酸エステル、モノセチルリン酸エステル、モノステアリルリン酸エステル、トリエチレングリコールモノトリデシルエーテルのモノリン酸エステル、テトラエチレングリコールモノラウリルエーテルのモノリン酸エステル、ジエチレングリコールモノステアリルエーテルのモノリン酸エステル、ジカプロイルリン酸エステル、ジオクチルリン酸エステル、ジカプリルリン酸エステル、ジラウリルリン酸エステル、ジミリスチルリン酸エステル、ジセチルリン酸エステル、ジステアリルリン酸エステル、テトラエチレングリコールモノネオペンチルエーテルのジリン酸エステル、トリエチレングリコールモノトリデシルエーテルのジリン酸エステル、テトラエチレングリコールモノラウリルエーテルのジリン酸エステル、ジエチレングリコールモノステアリルエーテルのジリン酸エステル等のリン酸エステルや、これらリン酸エステルのアミン塩が挙げられる。アミンとしてはアンモニア、モノメチルアミン、モノエチルアミン、モノプロピルアミン、モノブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
環化触媒としては、トリメチルアミン、トリエチレンジアミンなどの脂肪族第3級アミン、ジメチルアニリンなどの芳香族第3級アミン、およびイソキノリン、ピリジン、α−ピコリン、β−ピコリンなどの複素環第3級アミンなどが挙げられる。
脱水剤としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸などの脂肪族カルボン酸無水物、および無水安息香酸などの芳香族カルボン酸無水物などが挙げられる。
無機微粒子としては、微粒子状の二酸化チタン粉末、二酸化ケイ素(シリカ)粉末、酸化マグネシウム粉末、酸化アルミニウム(アルミナ)粉末、酸化亜鉛粉末などの無機酸化物粉末、微粒子状の窒化ケイ素粉末、窒化チタン粉末などの無機窒化物粉末、炭化ケイ素粉末などの無機炭化物粉末、および微粒子状の炭酸カルシウム粉末、硫酸カルシウム粉末、硫酸バリウム粉末などの無機塩粉末を挙げることができる。これらの無機微粒子は二種以上を組合せて使用してもよい。これらの無機微粒子を均一に分散させるために、それ自体公知の手段を適用することができる。
本発明のポリイミドフィルムの一例として、ポリイミド前駆体溶液の自己支持性フィルムは、上記のようなポリイミド前駆体の有機溶媒溶液、あるいはこれにイミド化触媒、有機リン含有化合物、無機微粒子などを加えたポリイミド前駆体溶液組成物を支持体上に流延塗布し、自己支持性となる程度(通常のキュア工程前の段階を意味する)、例えば支持体上より剥離することができる程度にまで加熱して製造される。
本発明において用いるポリイミド前駆体溶液の固形分濃度は、製造に適した粘度範囲となる濃度であれば特に限定されないが、通常、10質量%〜30質量%が好ましく、15質量%〜27質量%がより好ましく、18質量%〜26質量%がさらに好ましい。
自己支持性フィルム作製時の加熱温度および加熱時間は適宜決めることができ、熱イミド化では、例えば、温度100〜180℃で1〜60分間程度加熱すればよい。
支持体としては、ポリイミド前駆体溶液をキャストできる物であれば特に限定されないが、平滑な基材を用いることが好ましく、例えばステンレスなどの金属製のドラムやベルトなどが使用される。
自己支持性フィルムは、支持体上より剥離することができる程度にまで溶媒が除去され、および/またはイミド化されていれば特に限定されないが、熱イミド化では、その加熱減量が20〜50質量%の範囲にあることが好ましく、加熱減量が20〜50質量%の範囲で且つイミド化率が1〜55%の範囲にあることがさらに好ましい。熱イミド化では、自己支持性フィルムの加熱減量が20〜50質量%であり、イミド化率が1〜55%であれば、自己支持性フィルムの力学的性質が十分となる。
また、自己支持性フィルムの加熱減量およびイミド化率が上記範囲内であれば、自己支持性フィルムの上面にカップリング剤の溶液を塗工する場合には、カップリング剤溶液をきれいに塗布しやすくなり、イミド化後に得られるポリイミドフィルムに発泡、亀裂、クレーズ、クラック、ひびワレなどの発生が観察されない。
ここで、自己支持性フィルムの加熱減量とは、自己支持性フィルムの質量W1とキュア後のフィルムの質量W2とから次式によって求めた値である。
加熱減量(質量%)={(W1−W2)/W1}×100
また、自己支持性フィルムのイミド化率は、自己支持性フィルムと、そのフルキュア品(ポリイミドフィルム)のIRスペクトルをATR法で測定し、振動帯ピーク面積または高さの比を利用して算出することができる。振動帯ピークとしては、イミドカルボニル基の非対称伸縮振動帯や、ベンゼン環骨格伸縮振動帯などを利用する。またイミド化率測定に関し、特開平9−316199号公報に記載のカールフィッシャー水分計を用いる手法もある。
本発明においては、このようにして得られた自己支持性フィルムの片面または両面に、必要に応じて、カップリング剤やキレート剤などの表面処理剤の溶液を塗布してもよいが、塗布しなくても通常、得られるポリイミドフィルムは接着性に優れている。
表面処理剤としては、シランカップリング剤、ボランカップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、アルミニウム系キレート剤、チタネート系カップリング剤、鉄カップリング剤、銅カップリング剤などの各種カップリング剤やキレート剤などの接着性や密着性を向上させる処理剤を挙げることができる。特に、表面処理剤としては、シランカップリング剤などのカップリング剤を用いることが好ましい。
表面処理剤溶液の塗布は、公知の方法で行うことができ、例えば、グラビアコート法、スピンコート法、シルクスクリーン法、ディップコート法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法などの公知の塗布方法を挙げることができる。
本発明においては、次いで、必要に応じて表面処理剤溶液を塗布した自己支持性フィルムを最高加熱温度460℃〜550℃で加熱・イミド化してポリイミドフィルムを得る。または、自己支持性フィルムを最高加熱温度460℃未満で加熱・イミド化してポリイミドフィルムを得た後、得られたポリイミドフィルムを460℃〜550℃で熱処理(以下、追加加熱処理と言う。)する。最高加熱温度460℃〜550℃で加熱・イミド化してポリイミドフィルムを得た場合でも、得られたポリイミドフィルムを460℃〜550℃で再度加熱・熱処理することが好ましい。
イミド化のための加熱処理は特に限定されないが、追加加熱処理しない場合は、通常、最初に約100℃〜460℃の温度においてポリマーのイミド化および溶媒の蒸発・除去を約0.05〜5時間、特に0.1〜3時間で徐々に行うことが適当である。特に、この加熱処理は段階的に、約100℃〜約170℃の比較的低い温度で約0.5〜30分間第一次加熱処理し、次いで170℃〜220℃の温度で約0.5〜30分間第二次加熱処理して、その後、220℃〜460℃の高温で約0.5〜30分間第三次加熱処理することが好ましい。
そして、本発明では、さらに、460℃〜550℃、好ましくは460℃以上520℃未満の高い温度で第四次高温加熱処理する。460℃で第三次加熱処理を行った場合、この第四次高温加熱処理は行わなくてもよいが、さらに高い温度で第四次高温加熱処理することが好ましい。
この場合のイミド化のための加熱処理における最高加熱温度は、460℃〜550℃の範囲であり、ポリイミドの組成、フィルムの厚みなどに応じて適宜選択することができる。最高加熱温度が460℃未満であると、得られるポリイミドフィルムの接着性が向上しないことがある。一方、最高加熱温度が550℃以上であると、得られるポリイミドフィルムの物性が低下してくることがある。最高加熱温度は、480℃以上であることがより好ましく、500℃以上であることがさらに好ましい。また、最高加熱温度は、520℃未満であることがより好ましい。
460℃〜550℃で加熱する時間は、目的に応じて適宜選択することができるが、好ましくは5秒〜30分、より好ましくは10秒〜10分、さらに好ましくは20秒〜5分である。加熱時間が短すぎると、得られるポリイミドフィルムの接着性が向上しないことがあり、加熱時間が長すぎると、得られるポリイミドフィルムの物性が低下してくることがある。なお、加熱温度は一定でなくてもよい。
このような加熱・イミド化の連続工程における最高加熱温度を460℃〜550℃にする方法の他に、本発明では、イミド化のための加熱処理は最高加熱温度460℃未満で行い、得られたポリイミドフィルムを460℃〜550℃、好ましくは460℃以上520℃未満で加熱処理(追加加熱処理)してもよい。また、最高加熱温度460℃以上でイミド化のための加熱処理を行った場合でも、得られたポリイミドフィルムを460℃〜550℃、好ましくは460℃以上520℃未満で追加加熱処理することが好ましい。
追加加熱処理する場合、イミド化のための加熱処理は、最初に約100℃〜400℃の温度においてポリマーのイミド化および溶媒の蒸発・除去を約0.05〜5時間、特に0.1〜3時間で徐々に行うことが適当である。特に、この加熱処理は段階的に、約100℃〜約170℃の比較的低い温度で約0.5〜30分間第一次加熱処理し、次いで170℃〜220℃の温度で約0.5〜30分間第二次加熱処理して、その後、220℃〜400℃の高温で約0.5〜30分間第三次加熱処理し、さらに、400℃以上550℃以下、好ましくは400℃以上520℃未満の高い温度で0.5〜30分間第四次高温加熱処理することが好ましい。
追加加熱処理における加熱温度は、460℃〜550℃の範囲であり、ポリイミドの組成、フィルムの厚みなどに応じて適宜選択することができる。加熱温度は、480℃以上がより好ましく、500℃以上がさらに好ましい。また、加熱温度は、520℃未満がより好ましい。加熱温度が460℃未満であると、得られるポリイミドフィルムの接着性が向上しないことがある。一方、加熱温度が550℃以上であると、得られるポリイミドフィルムの物性が低下してくることがある。加熱温度は一定でなくてもよい。
追加加熱処理時間(460℃〜550℃で加熱する時間)は、目的に応じて適宜選択することができるが、好ましくは5秒〜30分、より好ましくは10秒〜10分、さらに好ましくは20秒〜5分である。追加加熱処理時間が短すぎると、得られるポリイミドフィルムの接着性が向上しないことがあり、追加加熱処理時間が長すぎると、得られるポリイミドフィルムの物性が低下してくることがある。
加熱処理は、バッチ式で行うこともでき、連続式で行うこともできる。
イミド化のための加熱処理の際、キュア炉中においては、ピンテンタ、クリップ、枠などで、少なくとも長尺の固化フィルムの長手方向に直角の方向、すなわちフィルムの幅方向の両端縁を固定し、必要に応じて幅方向に拡縮して加熱処理を行うことが好ましい。
本発明のポリイミドフィルムは、MD方向またはTD方向に一軸延伸されたフィルムを用いることもでき、また、MD方向およびTD方向に逐次に、または同時に二軸延伸されたフィルムを用いることもできる。
また、追加加熱処理も、ピンテンタ、クリップ、枠などでフィルムを固定して行うことができる。
本発明のポリイミドフィルムの厚みは特に限定されるものではないが、3〜250μm程度、好ましくは4〜150μm程度、より好ましくは5〜125μm程度、さらに好ましくは5〜100μm程度である。例えば厚みが12.5μm以下の薄いポリイミドフィルムでは、通常、接着性の低さが問題となるが、本発明によれば、厚みが12.5μm以下でも優れた接着性を有するポリイミドフィルムを得ることができる。
本発明では、さらに、得られたポリイミドフィルムの片面または両面に水またはアルカリ性水溶液を吹き付けて、表面処理することが好ましい。
アルカリ性水溶液としては、特に限定されないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物の水溶液、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩の水溶液、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸水素塩の水溶液などが挙げられる。特に、水酸化ナトリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液を好適に用いることができる。これらの金属水酸化物および金属塩は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、有機塩基の水溶液を使用することもできる。
アルカリ性水溶液の濃度(金属水酸化物および/または金属塩の含有量)は、0質量%以上であればよいが、0.1〜50質量%であることが好ましく、0.2〜10質量%であることがより好ましく、0.3〜5質量%であることが特に好ましい。アルカリ性水溶液の濃度が0.1質量%以上であると、得られるポリイミドフィルムの接着性がより大幅に向上することがある。一方、アルカリ性水溶液の濃度が50質量%を超えると、得られるポリイミドフィルムの物性が低下することがある。
アルカリ性水溶液は、その所望の効果を損なわない範囲内で、他の成分を含有していてもよい。
吹き付ける水またはアルカリ性水溶液の温度は、特に限定されるものではないが、5〜80℃であることが好ましく、10〜60℃であることがより好ましく、15〜50℃であることが特に好ましい。水またはアルカリ性水溶液の温度が5℃より低いと、得られるポリイミドフィルムの接着性が向上しないことがある。一方、水またはアルカリ性水溶液の温度が80℃より高いと、得られるポリイミドフィルムの物性が低下することがある。
水またはアルカリ性水溶液を吹き付ける時間(スプレー処理時間)は、目的に応じて適宜選択することができる。その最適範囲は、水またはアルカリ性水溶液の温度や濃度によっても左右される。通常、スプレー処理時間は、1秒〜5分であることが好ましく、2秒〜3分であることがより好ましく、2秒〜2分であることが特に好ましい。スプレー処理時間が短すぎると、得られるポリイミドフィルムの接着性が向上しないことがあり、スプレー処理時間が長すぎると、得られるポリイミドフィルムの物性が低下してくることがある。
水またはアルカリ性水溶液は、例えば、スプレーノズルなどのノズルから噴霧または噴射してポリイミドフィルム表面に吹き付けることができる。
スプレーノズルとしては、フラット型、均一フラット型、ソリッド型、フルコーン型、ホロコーン型、微細スプレー型などを使用することができる。
スプレー圧は、目的に応じて適宜選択することができるが、通常、0.03〜25MPaが好ましく、0.05〜10MPaがより好ましく、0.1〜1MPaが特に好ましい。スプレー圧が弱すぎると、得られるポリイミドフィルムの接着性が向上しないことがあり、スプレー圧が強すぎると、ポリイミドフィルムが破れることがある。
スプレーノズルとフィルムとの間の距離は、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1〜50cmの範囲で好ましく処理することができる。
ノズルは、1個または複数個、好ましくはフィルム面全体を均一に処理できるように配置する。
必要に応じて、ポリイミドフィルムの片面を水またはアルカリ性水溶液でスプレー処理してもよいし、両面を水またはアルカリ性水溶液でスプレー処理してもよい。ポリイミドフィルムの両面をスプレー処理する場合は、両面を同時に処理することもできるし、片面ずつ処理することもできる。また、ポリイミドフィルムの両面を同じ液(水またはアルカリ性水溶液)でスプレー処理してもよいし、異なるもので処理してもよい。
ポリイミドフィルム表面を水で処理した場合、処理後、そのままポリイミドフィルムを乾燥することができる。ポリイミドフィルム表面をアルカリ性水溶液で処理した場合は、通常、フィルム内や表面に残存する金属イオンを除去するために、さらに、水、酸および水で処理した後、ポリイミドフィルムを乾燥する。金属イオンが残存していると、電気絶縁性が低下することがある。
この水洗、酸洗、水洗は、各々、前記の水またはアルカリ性水溶液によるスプレー処理と同様な方法で行うことができる。
酸洗に用いられる酸としては、例えば、希硫酸、希塩酸などが挙げられる。酸の濃度および温度、処理時間は、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸の濃度が0.5〜5質量%、温度が5〜60℃、処理時間が1秒〜5分で好ましく行うことができる。
アルカリ性水溶液、水、酸、水のスプレー処理は、バッチ式で実施することもでき、連続式で実施することもできる。例えば、個片のポリイミドフィルムを樹脂製の枠などに固定して、あるいは長尺状のポリイミドフィルムをロール・トゥ・ロール方式で連続して並んだ各スプレー槽中を搬送することで連続処理することができる。さらに、最終の水洗槽の後に乾燥槽を設置し、乾燥まで連続処理することもできる。
ポリイミドフィルム表面を水で処理する場合も、同様にして、水のスプレー処理から乾燥まで連続処理することができる。
ポリイミドフィルムの乾燥は、熱風炉やヒーターなどを用いて行うことができる。
本発明では、工程数が少なく、生産性に優れるので、水を用いてポリイミドフィルムの表面処理を行うことが好ましい。
このようにして得られる本発明のポリイミドフィルムは、ポリイミドフィルムの製造にカップリング剤を使用しなくても、接着性、特に接着剤との接着性が良好であり、熱処理後、例えば150℃で24時間の熱処理後においても高い接着性を有している。また、水またはアルカリ性水溶液を吹き付けて表面処理したポリイミドフィルムは、熱処理後の高い接着性を維持しつつ、さらに高い初期接着性(熱処理前の接着性)を有する。本発明のポリイミドフィルムは、ポリイミドフィルムの製造にカップリング剤を使用しなくても、例えば、カバーレイとの初期および150℃で24時間の耐熱試験後の90度剥離強度が0.3N/mm以上、さらには0.4N/mm以上、特に0.5N/mm以上と良好な接着性を示す。カバーレイとしては、ポリイミドフィルムやポリエチレンテレフタレートフィルムにエポキシ系接着剤やアクリル系接着剤が一般的には半硬化状態で積層されたもので、例えば、株式会社有沢製作所製の「カバーレイ(一般タイプ)(品名)CV(品番)シリーズ」、耐マイグレーション用カバーレイ(品名)CF、CT(品番)シリーズ」、京セラケミカル株式会社製「TFA560シリーズ(品名)、TFA577シリーズ(品名)」、デュポン株式会社製「パイララックスLF/FRシリーズ(品名)」、ニッカン工業株式会社製「ニカフレックスCTSVシリーズ(品名)、ニカフレックスCISVシリーズ(品名)、ニカフレックスCISAシリーズ(品名)、ニカフレックスCKSEシリーズ(品名)、ニカフレックスCISGシリーズ(品名)、ニカフレックスCKSGシリーズ(品名)」、Taiflex Scientific co., Ltd.製 「FHKシリーズ(品名)、FDシリーズ(品名)、FIシリーズ(品名)」などを挙げることができる。
本発明のポリイミドフィルムを用いて、接着剤、感光性素材、熱圧着性素材などの付いた(積層した)ポリイミドフィルムを得ることができる。
本発明により得られるポリイミドフィルムは接着性、スパッタリング性や金属蒸着性が良好であり、接着剤を使用して銅箔などの金属箔を接着する、あるいはスパッタリングや金属蒸着などのメタライジング法により銅層などの金属層を設けることにより、密着性に優れ、十分な剥離強度を有する銅積層ポリイミドフィルムなどの金属積層ポリイミドフィルムを得ることができる。さらに、熱圧着性ポリイミドなどの熱圧着性のポリマーを使用して、本発明により得られるポリイミドフィルムに銅箔などの金属箔を積層することにより、金属箔積層ポリイミドフィルムを得ることができる。金属層の積層は公知の方法に従って行うことができる。
銅積層ポリイミドフィルムの銅層の厚さは、使用する目的に応じて適宜選択することができるが、好ましくは1μm〜50μm程度、さらには2μm〜20μm程度である。
ポリイミドフィルムに接着剤を介して貼り合わせる金属箔としては、金属の種類や厚みは用いる用途により適宜選択して用いればよく、例えば圧延銅箔、電解銅箔、銅合金箔、アルミニウム箔、ステンレス箔、チタン箔、鉄箔、ニッケル箔などを挙げることができ、その厚みは好ましくは1μm〜50μm程度、さらには2μm〜20μm程度である。
また、本発明により得られるポリイミドフィルムと、他の樹脂フィルム、銅などの金属、あるいはICチップなどのチップ部材などとを、接着剤を使用して、貼り合わせることができる。
接着剤としては、絶縁および接着信頼性に優れたもの、あるいはACFなどの圧着による導電性と接着信頼性に優れたものなど、用途に応じて公知のものを用いることができ、熱可塑性接着剤や熱硬化性接着剤などを挙げることができる。
接着剤としては、ポリイミド系、ポリアミド系、ポリイミドアミド系、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系などの接着剤、及びこれらを2種以上含む接着剤などを挙げることができ、特にアクリル系、エポキシ系、ウレタン系、ポリイミド系の接着剤を用いることが好ましい。
メタライジング法は、金属メッキや金属箔の積層とは異なる金属層を設ける方法であり、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、電子ビーム等の公知の方法を用いることができる。
メタライジング法に用いる金属としては、銅、ニッケル、クロム、マンガン、アルミニウム、鉄、モリブデン、コバルト、タングステン、バナジウム、チタン、タンタル等の金属、またはこれらの合金、あるいはこれらの金属の酸化物や金属の炭化物などの金属化合物などを用いることができるが、特にこれらの材料に限定されない。メタライジング法により形成される金属層の厚さは、使用する目的に応じて適宜選択でき、好ましくは1nm〜500nm、さらに好ましくは5nm〜200nmの範囲が、実用に適するために好ましい。メタライジング法により形成される金属層の層数は、使用する目的に応じて適宜選択でき、1層でも、2層でも、3層以上の多層でもよい。
メタライジング法により得られる金属積層ポリイミドフィルムは、金属層の表面に、電解メッキまたは無電解メッキなどの公知の湿式メッキ法により、銅、錫などの金属メッキ層を設けることができる。銅メッキなどの金属メッキ層の膜厚は1μm〜40μmの範囲が、実用に適するために好ましい。
本発明によれば、ポリイミドフィルムの製造にカップリング剤を使用しなくても、例えば、90度剥離強度が0.3N/mm以上、さらには0.4N/mm以上、特に0.5N/mm以上である銅積層ポリイミドフィルムを得ることができる。
本発明のポリイミドフィルムは、FPC、TAB、COFあるいは金属配線基材などの絶縁基板材料、金属配線、ICチップなどのチップ部材などのカバー基材、液晶ディスプレー、有機エレクトロルミネッセンスディスプレー、電子ペーパー、太陽電池などのベース基材として好適に用いることができる。
ポリイミドフィルムの線膨張係数は、使用する目的に応じて適宜選択すればよく、例えば、FPC、TAB、COFあるいは金属配線基材などの絶縁基板材料、金属配線、ICチップなどのチップ部材などのカバー基材などに用いる場合には、一般的には、ポリイミドフィルムの線膨張係数が金属配線やICチップなどのチップ部材の線膨張係数に近いことが好ましく、具体的には、MDおよびTDともに40ppm/℃以下であることが好ましく、10〜30ppm/℃であることがより好ましく、11〜25ppm/℃であることがさらに好ましく、12〜20ppm/℃であることが特に好ましい。本発明によれば、接着性に優れると共に、線膨張係数が銅の線膨張係数に近いポリイミドフィルムが得られる。
また、COFやインターポーザーなど、用途によっては、ポリイミドフィルムの線膨張係数はガラスやシリコンの線膨張係数に近いことが好ましい。本発明によれば、線膨張係数が0〜10ppm/℃のポリイミドフィルムを得ることもできる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
ポリイミドフィルムの物性の評価は以下の方法に従って行った。
(1)ポリイミドフィルムの初期弾性率、破断強度、破断伸び
フィルムをIEC540規格のダンベル形状に打ち抜いて試験片とし、ORIENTEC社製TENSILONを用いて、チャック間30mm、引張速度2mm/minで、初期弾性率、破断強度、破断伸びを測定した。
(2)ポリイミドフィルムのカバーレイ接着強度
得られたポリイミドフィルムに、株式会社有沢製作所製カバーレイCVA0525KAを180℃、3MPaで30分プレスして貼り合わせた。そして、50mm/分の剥離速度で90°ピール強度を測定して初期接着強度とした。
また、カバーレイを貼り合わせた後、150℃の熱風乾燥機中で24時間処理し、同様にして90°ピール強度を測定して耐熱後接着強度とした。
なお、ポリイミドフィルム作製時にポリイミド前駆体溶液を金属支持体上にキャスティングしたときの空気側の面をA面、金属支持体側の面をB面とした。
(製造例1)
重合槽に所定量のN,N−ジメチルアセトアミド、パラフェニレンジアミン(PPD)および2,4−トルエンジアミン(TDA)を加えた後、40℃で撹拌しながら、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s−BPDA)をジアミン成分(PPD+TDA)と略等モルまで段階的に添加して反応させ、固形分濃度が20質量%であるポリアミック酸溶液(ポリイミド前駆体溶液)を得た。PPDとTDAの割合はモル比でPPD:TDA=8:2とした。そして、このポリアミック酸溶液に、ポリアミック酸100質量部に対して0.25質量部の割合でモノステアリルリン酸エステルトリエタノールアミン塩および0.3質量部の割合でコロイダルシリカを添加し、均一に混合した。得られたポリアミック酸溶液組成物の30℃における回転粘度は260Pa・sであった。
次に、このポリアミック酸溶液組成物に、アミド酸単位に対して0.05当量の1,2−ジメチルイミダゾールを添加した。そして、このポリアミック酸溶液組成物をTダイ金型のスリットから連続的にキャスティング・乾燥炉の平滑な金属支持体上に押出して薄膜を形成し、140℃で所定時間加熱後、支持体から剥離して自己支持性フィルムを得た。得られた自己支持性フィルムの加熱減量(溶媒の含有量)は30.1質量%で、イミド化率はA面側が8.0%、B面側が18.4%であった。
次いで、この自己支持性フィルムの幅方向の両端部を把持して連続加熱炉(キュア炉)へ挿入し、100℃から最高加熱温度が450℃(450℃での保持時間:50秒)となる条件で当該フィルムを加熱、イミド化して、平均膜厚が約13μmの長尺状ポリイミドフィルム(PI−1)を製造した。
(製造例2)
連続加熱炉における最高加熱温度を480℃(480℃での保持時間:50秒)とした以外は、製造例1と同様にして、平均膜厚が13μmの長尺状ポリイミドフィルム(PI−2)を製造した。
(製造例3)
1,2−ジメチルイミダゾールの添加量を0.15当量とし、450℃での保持時間を37.5秒とした以外は、製造例1と同様にして、平均膜厚が5μmの長尺状ポリイミドフィルム(PI−3)を製造した。ここで得られた自己支持性フィルムの加熱減量は30.2質量%で、イミド化率はA面側が6.4%、B面側が11.0%であった。
(製造例4)
ジアミン成分としてTDAは用いず、PPDのみを用い、ポリアミック酸溶液の固形分濃度を18質量%とし、自己支持性フィルム作製時の加熱温度を150℃とした以外は、製造例1と同様にして、平均膜厚が約13μmの長尺状ポリイミドフィルム(PI−4)を製造した。ここで得られたポリアミック酸溶液組成物の30℃における回転粘度は180Pa・sであった。自己支持性フィルムの加熱減量は27.7質量%で、イミド化率はA面側が17.9%、B面側が29.3%であった。
(比較例1)
製造例1で得られたポリイミドフィルム(PI−1)のカバーレイ接着強度および引張特性(初期弾性率、破断強度、破断伸び)を評価した。結果を表1および表2に示す。
(実施例1)
製造例1で得られたポリイミドフィルム(PI−1)の四辺を金属製の枠にクリップを用いて把持し、480℃の加熱炉内で2分間、追加加熱処理した。そして、このポリイミドフィルムのカバーレイ接着強度および引張特性を評価した。結果を表1および表2に示す。
(実施例2)
製造例1で得られたポリイミドフィルム(PI−1)の四辺を金属製の枠にクリップを用いて把持し、500℃の加熱炉内で2分間、追加加熱処理した。そして、このポリイミドフィルムのカバーレイ接着強度を測定した。結果を表1に示す。
(参考例1)
製造例1で得られたポリイミドフィルム(PI−1)の四辺を金属製の枠にクリップを用いて把持し、520℃の加熱炉内で2分間、追加加熱処理した。そして、このポリイミドフィルムの引張特性を評価した。結果を表2に示す。
(実施例3)
製造例1で得られたポリイミドフィルム(PI−1)の四辺を金属製の枠にクリップを用いて把持し、500℃の加熱炉内で2分間、追加加熱処理した。次に、このフィルムの四辺を樹脂製の枠に粘着テープを用いて固定し、フィルムのA面およびB面を1.7質量%の水酸化ナトリウム水溶液槽、回収水槽、5%硫酸槽、回収水槽、回収水槽、純水槽、乾燥槽からなる連続装置によりスプレー処理・乾燥を行った。水酸化ナトリウム水溶液槽では、1.7質量%水酸化ナトリウム水溶液がフルコーン型スプレーノズルから液温40℃、スプレー圧0.2MPaで噴射され、その他の槽では、純水または5%硫酸がフラット型ノズルから室温、0.1MPaで噴射されるようにし、乾燥槽では、50℃でポリイミドフィルムを乾燥させた。水酸化ナトリウム水溶液槽の滞留時間(スプレー処理時間)は30秒とした。そして、得られたポリイミドフィルムのカバーレイ接着強度を測定した。結果を表1に示す。
(実施例4)
水酸化ナトリウム水溶液槽の滞留時間(スプレー処理時間)を45秒とした以外は、実施例3と同様にして、追加加熱処理・スプレー処理・乾燥を行った。そして、得られたポリイミドフィルムのカバーレイ接着強度を測定した。結果を表1に示す。
(比較例2)
製造例1で得られたポリイミドフィルム(PI−1)の四辺を金属製の枠にクリップを用いて把持し、500℃の加熱炉内で2分間、追加加熱処理した。次に、このフィルムに、23℃において、5質量%の水酸化ナトリウム水溶液に5分浸漬、水洗、1質量%硫酸に2分浸漬、水洗の処理を施し、乾燥した。そして、得られたポリイミドフィルムのカバーレイ接着強度を測定した。結果を表1に示す。
(比較例3)
製造例1で得られたポリイミドフィルム(PI−1)に500℃、2分の追加加熱処理を行わなかった以外は、実施例3と同様にして、スプレー処理・乾燥を行った。そして、得られたポリイミドフィルムのカバーレイ接着強度を測定した。結果を表1に示す。
(比較例4)
水酸化ナトリウム水溶液槽の滞留時間(スプレー処理時間)を45秒とした以外は、比較例3と同様にして、スプレー処理・乾燥を行った。そして、得られたポリイミドフィルムのカバーレイ接着強度を測定した。結果を表1に示す。
(実施例5)
製造例1で得られたポリイミドフィルム(PI−1)の四辺を金属製の枠にクリップを用いて把持し、500℃の加熱炉内で2分間、追加加熱処理した。次に、このフィルムの四辺を樹脂製の枠に粘着テープを用いて固定し、フィルムのA面およびB面を0.44質量%の炭酸ナトリウム水溶液槽、回収水槽、回収水槽、純水槽、乾燥槽からなる連続装置によりスプレー処理・乾燥を行った。炭酸ナトリウム水溶液槽では、0.44質量%炭酸ナトリウム水溶液がフルコーン型スプレーノズルから液温30℃、スプレー圧0.2MPaで噴射され、その他の槽では、純水がフラット型ノズルから室温、0.1MPaで噴射されるようにし、乾燥槽では、50℃でポリイミドフィルムを乾燥させた。炭酸ナトリウム水溶液槽の滞留時間(スプレー処理時間)は13.5秒とした。そして、得られたポリイミドフィルムのカバーレイ接着強度を測定した。結果を表1に示す。
(実施例6)
炭酸ナトリウム水溶液槽の滞留時間(スプレー処理時間)を27秒とした以外は、実施例5と同様にして、追加加熱処理・スプレー処理・乾燥を行った。そして、得られたポリイミドフィルムのカバーレイ接着強度を測定した。結果を表1に示す。
(比較例5)
製造例1で得られたポリイミドフィルム(PI−1)に500℃、2分の追加加熱処理を行わなかった以外は、実施例5と同様にして、スプレー処理・乾燥を行った。そして、得られたポリイミドフィルムのカバーレイ接着強度を測定した。結果を表1に示す。
(比較例6)
炭酸ナトリウム水溶液槽の滞留時間(スプレー処理時間)を27秒とした以外は、比較例5と同様にして、スプレー処理・乾燥を行った。そして、得られたポリイミドフィルムのカバーレイ接着強度を測定した。結果を表1に示す。
(実施例7)
製造例1で得られたポリイミドフィルム(PI−1)の四辺を金属製の枠にクリップを用いて把持し、500℃の加熱炉内で2分間、追加加熱処理した。次に、このフィルムの四辺を樹脂製の枠に粘着テープを用いて固定し、フィルムのA面およびB面を純水槽、乾燥槽からなる連続装置によりスプレー処理・乾燥を行った。純水槽では、純水がフラット型スプレーノズルから室温、0.1MPaで噴射されるようにし、乾燥槽では、50℃でポリイミドフィルムを乾燥させた。純水槽の滞留時間(スプレー処理時間)は3秒とした。そして、得られたポリイミドフィルムのカバーレイ接着強度を測定した。結果を表1に示す。
(実施例8)
純水槽の滞留時間(スプレー処理時間)を6秒とした以外は、実施例7と同様にして、追加加熱処理・スプレー処理・乾燥を行った。そして、得られたポリイミドフィルムのカバーレイ接着強度を測定した。結果を表1に示す。
(実施例9)
製造例2で得られたポリイミドフィルム(PI−2)のカバーレイ接着強度を測定した。結果を表1に示す。
(実施例10)
製造例2で得られたポリイミドフィルム(PI−2)を、実施例1と同様にして、480℃で2分間、追加加熱処理した。そして、このポリイミドフィルムのカバーレイ接着強度を測定した。結果を表1に示す。
(実施例11)
製造例2で得られたポリイミドフィルム(PI−2)を、実施例2と同様にして、500℃で2分間、追加加熱処理した。そして、このポリイミドフィルムのカバーレイ接着強度を測定した。結果を表1に示す。
(実施例12)
製造例3で得られたポリイミドフィルム(PI−3)を、実施例3と同様にして、500℃で2分間、追加加熱処理した後、30秒間の1.7質量%水酸化ナトリウム水溶液のスプレー処理を含むスプレー処理・乾燥を行った。そして、得られたポリイミドフィルムのカバーレイ接着強度を測定した。結果を表1に示す。
(実施例13)
追加加熱処理を460℃で2分間とした以外は、実施例12と同様にして、追加加熱処理・スプレー処理・乾燥を行った。そして、得られたポリイミドフィルムのカバーレイ接着強度を測定した。結果を表1に示す。
(比較例7)
追加加熱処理を420℃で2分間とした以外は、実施例12と同様にして、追加加熱処理・スプレー処理・乾燥を行った。そして、得られたポリイミドフィルムのカバーレイ接着強度を測定した。結果を表1に示す。
(比較例8)
製造例3で得られたポリイミドフィルム(PI−3)に追加加熱処理を行わなかった以外は、実施例12と同様にして、スプレー処理・乾燥を行った。そして、得られたポリイミドフィルムのカバーレイ接着強度を測定した。結果を表1に示す。
(比較例9)
製造例3で得られたポリイミドフィルム(PI−3)のカバーレイ接着強度を測定した。結果を表1に示す。
(実施例14)
製造例3で得られたポリイミドフィルム(PI−3)を、炭酸ナトリウム水溶液槽の滞留時間(スプレー処理時間)を30秒とした以外は実施例5と同様にして、500℃で2分間、追加加熱処理した後、30秒間の0.44質量%炭酸ナトリウム水溶液のスプレー処理を含むスプレー処理・乾燥を行った。そして、得られたポリイミドフィルムのカバーレイ接着強度を測定した。結果を表1に示す。
(実施例15)
追加加熱処理を460℃で2分間とした以外は、実施例14と同様にして、追加加熱処理・スプレー処理・乾燥を行った。そして、得られたポリイミドフィルムのカバーレイ接着強度を測定した。結果を表1に示す。
(比較例10)
追加加熱処理を420℃で2分間とした以外は、実施例14と同様にして、追加加熱処理・スプレー処理・乾燥を行った。そして、得られたポリイミドフィルムのカバーレイ接着強度を測定した。結果を表1に示す。
(比較例11)
製造例3で得られたポリイミドフィルム(PI−3)に追加加熱処理を行わなかった以外は、実施例14と同様にして、スプレー処理・乾燥を行った。そして、得られたポリイミドフィルムのカバーレイ接着強度を測定した。結果を表1に示す。
(比較例12)
製造例4で得られたポリイミドフィルム(PI−4)のカバーレイ接着強度を測定した。結果を表1に示す。
(比較例13)
製造例4で得られたポリイミドフィルム(PI−4)を、実施例2と同様にして、500℃で2分間、追加加熱処理した。そして、このポリイミドフィルムのカバーレイ接着強度を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2011032357
Figure 2011032357
表1および表2の実施例および比較例から以下のことが分かる。
(1)比較例1と実施例9より、s−BPDA/(PPD+TDA)のポリイミドフィルムは、イミド化時の最高加熱温度を480℃とした方が、450℃とした場合よりも耐熱試験後の接着強度が高い。
(2)比較例1と実施例1〜2、実施例9と実施例10〜11より、s−BPDA/(PPD+TDA)のポリイミドフィルムは、480℃以上で追加加熱処理すると、特に耐熱試験後の接着強度が高くなる。
これに対して、比較例12と比較例13より、TDAを導入していないs−BPDA/PPDのポリイミドフィルムは、500℃で追加加熱処理しても、接着性は向上しない。
(3)実施例2と実施例3〜4、5〜6より、s−BPDA/(PPD+TDA)のポリイミドフィルムは、480℃以上で追加加熱処理した後、水酸化ナトリウム水溶液または炭酸ナトリウム水溶液でスプレー処理すると、耐熱試験後の接着強度が低下することなく、初期の接着強度がさらに高くなる。
これに対して、比較例2より、スプレー処理ではなく、水酸化ナトリウム水溶液に浸漬した場合、初期の接着強度は高くなるが、耐熱試験後の接着強度が低くなる。
また、比較例3〜4、5〜6より、追加加熱処理をせずに、水酸化ナトリウム水溶液または炭酸ナトリウム水溶液でスプレー処理した場合も、初期の接着強度は高くなるが、耐熱試験後の接着強度が低くなる。
(4)実施例2と実施例7〜8より、s−BPDA/(PPD+TDA)のポリイミドフィルムは、480℃以上で追加加熱処理した後、純水でスプレー処理しても、耐熱試験後の接着強度が低下することなく、初期の接着強度がさらに高くなる。
(5)実施例12〜13、14〜15より、平均膜厚が5μmと薄くても、s−BPDA/(PPD+TDA)のポリイミドフィルムを460℃以上で追加加熱処理した後、水酸化ナトリウム水溶液または炭酸ナトリウム水溶液でスプレー処理すると、初期の接着強度、耐熱試験後の接着強度がともに高いポリイミドフィルムが得られる。
比較例7〜8、10〜11より、追加加熱処理を420℃でするか、追加加熱処理をせずに、水酸化ナトリウム水溶液または炭酸ナトリウム水溶液でスプレー処理した場合は、初期の接着強度は高くなるが、耐熱試験後の接着強度は低い。
(6)表2の比較例1、実施例1、参考例1より、追加加熱処理を520℃で行うと、引張特性が低下することがあるが、加熱温度が520℃未満であれば、得られるポリイミドフィルムは十分に実用的な機械的特性を有する。
以上のように、本発明によれば、テトラカルボン酸成分と、前記一般式(1)で表されるジアミンを含むジアミン成分とから得られるポリイミドフィルム、好ましくは3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物および/またはピロメリット酸無水物を主成分とするテトラカルボン酸成分と、パラフェニレンジアミンおよび/またはジアミノジフェニルエーテル類を主成分とし、前記一般式(1)で表されるジアミン、好ましくは2,4−トルエンジアミンを好ましくは3モル%以上35モル%未満の範囲で含むジアミン成分とから得られるポリイミドフィルムの接着性を簡便な方法でさらに向上させることができる。
本発明のポリイミドフィルムは接着性に優れており、FPC、TAB、COFあるいは金属配線基材などの絶縁基板材料、金属配線、ICチップ等のチップ部材などのカバー基材、液晶ディスプレー、有機エレクトロルミネッセンスディスプレー、電子ペーパー、太陽電池などのベース基材として好適に用いることができる。

Claims (14)

  1. テトラカルボン酸成分とジアミン成分とを反応させて得られるポリイミドフィルムであって、
    前記ジアミン成分が、下記一般式(1)で表されるジアミンを含み、
    イミド化時またはイミド化後に、460℃〜550℃の温度範囲で熱処理されていることを特徴とするポリイミドフィルム。
    Figure 2011032357
    (式中、Rは炭素数1〜4の直鎖または分岐アルキル基を表し、nは1〜4の整数を表す。ただし、nが2以上の場合には、複数個のRは同一でも異なっていてもよい。)
  2. 前記一般式(1)で表されるジアミンが、2,4−トルエンジアミンおよび/または2,6−トルエンジアミンであることを特徴とする請求項1記載のポリイミドフィルム。
  3. 前記ジアミン成分100モル%中、前記一般式(1)で表されるジアミンが3モル%以上35モル%未満の範囲で含まれることを特徴とする請求項1または2記載のポリイミドフィルム。
  4. 前記テトラカルボン酸成分が、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物および/またはピロメリット酸二無水物を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリイミドフィルム。
  5. 前記ジアミン成分が、さらにパラフェニレンジアミンおよび/またはジアミノジフェニルエーテル類を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリイミドフィルム。
  6. 前記テトラカルボン酸成分が、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物および/またはピロメリット酸二無水物を主成分として含み、
    前記ジアミン成分が、パラフェニレンジアミンおよび/またはジアミノジフェニルエーテル類を主成分として含み、さらに前記一般式(1)で表されるジアミンを3モル%以上35モル%未満の範囲で含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポリイミドフィルム。
  7. 表面が、水またはアルカリ性水溶液の吹き付けによって表面処理されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のポリイミドフィルム。
  8. 前記アルカリ性水溶液が、水酸化ナトリウムおよび/または炭酸ナトリウムを含むことを特徴とする請求項7記載のポリイミドフィルム。
  9. 請求項1〜6のいずれかに記載のポリイミドフィルムの片面または両面に接着剤層を積層してなる接着剤積層ポリイミドフィルム。
  10. 請求項7または8記載のポリイミドフィルムの水またはアルカリ性水溶液を吹き付けて表面処理した面に接着剤層を積層してなる接着剤積層ポリイミドフィルム。
  11. テトラカルボン酸成分と、前記一般式(1)で表されるジアミンを含むジアミン成分とを反応させて得られるポリアミック酸またはポリイミドの溶液を支持体上に流延し、これを乾燥して自己支持性フィルムを得る工程と、
    この自己支持性フィルムを最高加熱温度460℃〜550℃で加熱してポリイミドフィルムを得る工程と
    を有するポリイミドフィルムの製造方法。
  12. 得られたポリイミドフィルムを460℃〜550℃で熱処理する工程をさらに有する請求項11記載のポリイミドフィルムの製造方法。
  13. テトラカルボン酸成分と、前記一般式(1)で表されるジアミンを含むジアミン成分とを反応させて得られるポリアミック酸またはポリイミドの溶液を支持体上に流延し、これを乾燥して自己支持性フィルムを得る工程と、
    この自己支持性フィルムを最高加熱温度460℃未満で加熱してポリイミドフィルムを得る工程と、
    得られたポリイミドフィルムを460℃〜550℃で熱処理する工程と
    を有するポリイミドフィルムの製造方法。
  14. 得られたポリイミドフィルムの表面に水またはアルカリ性水溶液を吹き付ける工程をさらに有する請求項11〜13のいずれかに記載のポリイミドフィルムの製造方法。
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