JP2009067042A - ポリイミドフィルムの製造法 - Google Patents

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健 上木戸
Noboru Iiizumi
暢 飯泉
Toshiyuki Nishino
敏之 西野
Eiji Masui
英治 升井
Keiichi Yanagida
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Abstract

【課題】 本発明は、幅方向の線膨張係数を長さ方向の線膨張係数よりも小さく制御したポリイミドフィルムの連続製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 ポリイミド前駆体の溶媒溶液を支持体上にキャストし、該溶液中の溶媒を除去し自己支持性フィルムとして支持体から剥離し、自己支持性フィルムを初期加熱温度80〜300℃の間で幅方向に延伸し、その後最終加熱温度350〜580℃で加熱することを特徴とするポリイミドフィルムの製造方法に関する。
【選択図】 なし

Description

本発明は幅方向の線膨張係数が長さ方向の線膨張係数よりも小さなポリイミドフィルムを効率的かつプロセスコストを低減する製造方法に関するものである。さらにこのポリイミドフィルムと接着層とを積層したポリイミド積層体、このポリイミドフィルムと金属層とを積層したポリイミド金属積層体、さらにポリイミド金属積層体の金属の一部を除去して得られる、少なくとも長さ方向に金属配線を有する配線部材に関する。
ポリイミドフィルムは、電気・電子の配線の絶縁部材、カバー部材として用いられている。
ポリイミドフィルムを流延法により一方向に延伸するポリイミドフィルムの製造法として、特許文献1には、ジアミン成分がp−フェニレンジアミン、2−クロル−p−フェニレンジアミン、ベンジジン、2−クロルベンジジンおよび2,2’−ジクロルベンジジンの中から選ばれた少なくとも1種からなり、酸無水物成分が無水ピロメリト酸(A)と3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物からなる全芳香族コポリイミドであって、酸無水物成分中の前記(A)の比率が約90〜20モル%であることを特徴とする全芳香族コポリイミド一軸配向品が開示されている。
また特許文献2には、ポリアミック酸と有機アミン化合物と脱水縮合剤を主成分とする溶液から得たゲル状フィルムを少なくとも一方向に延伸し、初期温度が200℃以上400℃以下で拘束下に乾燥し、その後熱処理することを特徴とするポリパラフェニレンピロメリットイミド系フィルムの製造方法が開示されている。
特許文献3には、70〜1モル%とからなるポリイミドフィルムであって、100℃〜200℃における面内方向の線熱膨張係数が10ppm/℃以下であると同時に、破断伸度が10%以上であることを特徴とするポリイミドフィルムが開示され、ゲルフィルムを支持体から分離した後、二軸延伸を行う。延伸倍率は特に限定されるものではないが、縦横それぞれの方向に1.03〜10倍の倍率で行うことができる。延伸温度は特に限定するものではないが、例えば−10〜100℃が好ましい例として挙げられる。なお、延伸は逐次延伸方法、同時二軸延伸方法のいずれの方法を用いてもよく、更には、溶剤中、空気又は乾燥空気中、不活性雰囲気中のいずれの雰囲気において行ってもよい。特に好ましくは、空気又は乾燥空気中で行うことが好ましい例として挙げることができることが記載されている。
特開昭62−77921号公報 特開2003−268133号公報 特開2007−56198号公報
本発明は、幅方向の線膨張係数を長さ方向の線膨張係数よりも小さく制御したポリイミドフィルムの連続製造方法を提供することを目的とする。
特に3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分を主成分とする酸成分と、p−フェニレンジアミンを主成分とするジアミン成分とから得られる幅方向の線膨張係数を長さ方向の線膨張係数よりも小さくしたポリイミドフィルムの連続した製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、本発明で製造した幅方向の線膨張係数が小さなポリイミドフィルムに金属層を積層したポリイミドフィルム金属積層体を提供することを目的とする。
さらに本発明のポリイミドフィルム金属積層体を用いて、ポリイミドフィルム金属積層体の金属層の一部を除去して、ICチップなどのチップ部材を搭載可能な少なくともポリイミドの線膨張係数が小さな幅方向に金属配線を形成した配線部材を提供することを目的とする。
本発明の第一は、ポリイミド前駆体の溶媒溶液を支持体上にキャストし、該溶液中の溶媒を除去し自己支持性フィルムとして支持体から剥離し、自己支持性フィルムを初期加熱温度80〜300℃の間で幅方向に延伸し、その後最終加熱温度350〜580℃で加熱することを特徴とするポリイミドフィルムの製造方法に関する。
本発明の第二は、本発明の第一のポリイミドフィルムの製造方法により得られるポリイミドフィルムに関する。
本発明の第三は、本発明の第ニのポリイミドフィルムに接着層を積層したことを特徴とするポリイミド積層体に関する。
本発明の第四は、本発明の第ニのポリイミドフィルムに直接又は接着層を介して片面又は両面に金属層が積層されたポリイミド金属積層体に関する。
本発明の第五は、本発明の第四のポリイミド金属積層体を用いて、ポリイミド積層体の金属層の一部を除去して、少なくともポリイミドフィルムの長さ方向に金属配線を形成したことを特徴とする配線部材に関する。
好ましくは本発明の第五は、本発明の第四のポリイミド金属積層体を用いて、ポリイミド積層体の金属層の一部を除去して形成した金属配線とチップ部材とを接続した配線部材であり、
チップ部材と接続するポリイミドフィルム上に形成された金属配線がポリイミドフィルムの長さ方向に形成されていることを特徴とする配線部材に関する。
本発明では線膨張係数は面方向の線膨張係数を意味する。
本発明では初期加熱温度及び最終加熱温度などのフィルムの加熱温度は全てフィルム表面の温度を意味する。
フィルムの長さ方向は、支持体の走行方向を意味する。
本発明の第一のポリイミドフィルムの製造方法の好ましい態様を以下に示し、これら態様は任意に複数組合せることが出来る。
1)自己支持性フィルムは、溶媒含有量が25〜45%であり、イミド化率が5〜40%であること。
2)自己支持性フィルムは、初期加熱温度での延伸は、延伸倍率が1.01〜1.09であること。
3)長さ方向(支持体の走行方向)の線膨張係数(CTE−MD)と、幅方向(支持体の幅方向)の線膨張係数(CTE−TD)とは、
[(CTE−MD)−15ppm]≦(CTE−TD)<(CTE−MD)の関係であること。
4)ポリイミドは、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分を主成分とする酸成分と、p−フェニレンジアミンを主成分とするジアミン成分とから得られること。
5)ポリイミドフィルムの製造方法は、熱イミド化によるポリイミドフィルムの製造方法であること。
本発明により、幅方向の線膨張係数を長さ方向の線膨張係数よりも小さく制御した長尺のポリイミドフィルムを容易に連続して製造できる。
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分を主成分とする酸成分と、p−フェニレンジアミンを主成分とするジアミン成分とから得られるポリイミドフィルムの製造に適用することができる。
本発明により、熱膨張に対して優れた特性の配線部材やカバー部材に適用可能なポリイミドフィルムを得ることができる。
本発明により、熱膨張に対して優れた特性の配線部材に適用できるポリイミド金属積層体を得ることができる。
本発明のポリイミドフィルムの製造の一例としては、
単層又は複層の押出形成用ダイスが設置された製膜装置を使用して、まず、前記ダイスに、1種又は複数の種類のポリイミド前駆体の溶媒溶液を供給し、ダイスの吐出口(リップ部)から単層又は複層の薄膜状体として支持体(エンドレスベルトやドラムなど)上に押出して、ポリイミド前駆体の溶媒溶液の略均一な厚さの薄膜を形成し、キャスティング炉の内部で、支持体(エンドレスベルトやドラムなど)を移動させながらポリイミド前駆体のイミド化が完全には進まない温度かつ有機溶媒の一部又は大部分が除去できる温度に加熱して自己支持性フィルムを支持体から剥離させ、さらに必要に応じて自己支持性フィルムの片面又は両面に、溶液(例えば、表面処理剤、ポリイミド前駆体、ポリイミドなどを含んでも良い)などを塗工や吹き付けなどを行い、さらに必要に応じて主として塗工溶媒を乾燥や抽出などの手段で除去する工程を有する第一工程、
自己支持性フィルムを初期加熱温度で加熱しながら幅方向に延伸し、必要なら中間加熱温度で加熱し、さらに最終加熱温度で加熱しイミド化する第二工程、
さらに長尺状のポリイミドを巻取りロール状のポリイミドフィルムを得る第三工程として、連続して行うことが出来る。
第一工程において、ポリイミド前駆体溶液の自己支持性フィルムは、ポリイミドを与えるポリイミド前駆体の有機溶媒溶液に必要であれば本発明の目的を損なわない範囲でイミド化触媒、有機リン化合物や無機微粒子を加えた後、ダイなどを用いて支持体上に流延塗布し、自己支持性となる程度にまで加熱して製造される。
第一工程において、キャスティング炉の内部で、ポリイミド前駆体のイミド化が完全には進まない温度かつ有機溶媒の一部又は大部分が除去できる温度に加熱できればよく、さらに支持体よりフィルムが剥離できればよく、さらに第二工程で幅方向に延伸できるように加熱温度および加熱時間を適宜選択することが好ましく、例えば温度100〜180℃で2〜60分間程度加熱すればよい。
支持体より剥離した自己支持性フィルム又は第二工程の初期加熱温度に使用する自己支持性フィルムの溶媒含有量は、好ましくは25〜45質量%、より好ましくは27〜43質量%、さらに好ましくは30〜41質量%、特に好ましくは33〜40質量%の範囲が優れた効果が得られるために好ましい。
支持体より剥離した自己支持性フィルム又は第二工程の初期加熱温度に使用する自己支持性フィルムのイミド化率は、好ましくは5〜40%、より好ましくは5.5〜35%、さらに好ましくは6.0〜22%、さらに好ましくは6.5〜20%、特に好ましくは7〜18%の範囲が優れた効果が得られるために好ましい。
特に支持体より剥離した自己支持性フィルム又は第二工程の初期加熱温度に使用する自己支持性フィルムは上記範囲の溶媒含有率かつ上記範囲のイミド化率であることが優れた効果が得られるために好ましい。
第二工程において、自己支持性フィルムの初期加熱温度の間、初期加熱温度の間及び/又は最終加熱温度の間などの加熱処理の全部又は一部において、ピン式テンター、クリップ式テンター、チャックなど幅方向の両端部を固定して行うことが好ましい。
特に第二工程において、自己支持性フィルムの初期加熱温度から最終加熱温度までのすべての加熱処理において、幅方向の両端部を固定して行うことが好ましい。
第一工程のキャスティング炉、第ニ工程の初期加熱温度での加熱、中間加熱温度での加熱及び最終加熱温度での加熱では、温度の異なる複数のブロック(ゾーン)で加熱することが出来、複数の温度の異なる加熱ブロックを有するキャスティング炉や加熱炉などの加熱装置などを用いることが出来る。
第ニ工程の初期加熱温度から最終加熱温度までの加熱は、温度の異なる複数のブロック(ゾーン)を有する1台の加熱炉などの加熱装置を用いて行うことが好ましい。
第二工程の延伸は、自己支持性フィルムを初期加熱温度の間で加熱しながら幅方向に延伸することにより、幅方向の線膨張係数が長さ方向の線膨張係数よりも小さなフィルムを容易に製造することが出来る。
フィルムの幅方向の線膨張係数は、延伸に使用する自己支持性フィルムのイミド化率や溶媒含量など、初期加熱温度の範囲内での加熱温度及びその加熱パターン、初期加熱温度での加熱時間、延伸速度、延伸倍率、延伸のパターンなどの延伸方法や延伸条件などを適宜選択することで、変化させることが出来る。
本発明の製造方法において、初期加熱温度未満の温度で予め自己支持性フィルムを幅向に延伸して、その後初期加熱温度、必要に応じて初期加熱温度から最終加熱温度の間で加熱しながら延伸する方法は含まないことが好ましい。
第二工程において、自己支持性フィルムの延伸は、初期加熱温度の間で開始することが重要であり、延伸のパターンとしては、
1)初期加熱温度の間でのみ延伸、中間加熱温度の間及び最終加熱温度の間では延伸しない、
2)初期加熱温度の間と中間加熱温度の間でのみ延伸、最終加熱温度の間では延伸しない、
3)初期加熱温度の間、中間加熱温度の間及び最終加熱温度の間で延伸、
4)初期加熱温度の間と中間加熱温度の間でのみ延伸、初期加熱温度の間では延伸しない、などを挙げることが出来、上記1)のパターン及び2)のパターンが好ましく、特に1)のパターンが好ましい。
第二工程において、自己支持性フィルムの幅方向への延伸速度は、目的とする線膨張係数が得られる条件を適宜選択すればよく、好ましくは1%/分〜20%/分、さらに好ましくは2%/分〜10%/分の条件で行うことが好ましい。
自己支持性フィルムを延伸のパターンとしては、延伸倍率1から所定の延伸倍率まで、一気に延伸する方法、逐次に延伸する方法、少しずつ不定率な倍率で延伸する方法、少しずつ定率な倍率で延伸する方法、またはこれらを複数組合せた方法などを挙げることが出来、特に少しずつ定率な倍率で延伸する方法が好ましい。
第二工程において、自己支持性フィルムの加熱温度は、加熱温度及び加熱時間は適宜選択すればよいが、
初期加熱温度としては好ましくは80℃〜300℃の温度、より好ましくは90℃〜295℃の温度、より好ましくは100℃〜290℃の温度、さらに好ましくは102℃〜285℃の温度で、1分〜60分間で行うことができ、
さらに必要に応じて、初期加熱温度と最終加熱温度の間に中間加熱温度を行うことができ、中間加熱温度としては、初期加熱温度の温度を超えて最終加熱温度未満の温度で1分〜60分間中間加熱温度することができ、
そして最終加熱温度として好ましくは350℃〜580℃の範囲、より好ましくは360〜550℃の範囲、より好ましくは370〜530℃の範囲で1分〜30分間加熱温度することが望ましい。
上記の加熱処理は、熱風炉、赤外線加熱炉などの公知の種々の加熱装置を使用して行うことができる。
フィルムの初期加熱温度、中間加熱温度及び/又は最終加熱温度などの加熱処理は、窒素、アルゴンなどの不活性ガスや、空気などの加熱ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
自己支持性フィルムを初期加熱温度の間で幅方向に延伸する延伸倍率は、目的とする幅方向の線膨張係数が得られるように適宜選択すればよく、例えば、
幅方向の線膨張係数(CTE−TD)の下限値として好ましくは[(CTE−MD)−15ppm]以上、より好ましくは[(CTE−MD)−14ppm]以上、さらに好ましくは[(CTE−MD)−13ppm]以上、さらに好ましくは[(CTE−MD)−12ppm]以上、特に好ましくは[(CTE−MD)−11ppm]以上から、
上限値として好ましくは(CTE−MD)未満、より好ましくは[(CTE−MD)−2ppm]以下、より好ましくは[(CTE−MD)−4ppm]以下、さらに好ましくは[(CTE−MD)−6ppm]以下、特に好ましくは[(CTE−MD)−8ppm]以下、の範囲と成るように延伸することが好ましい。
自己支持性フィルムを幅方向に延伸する延伸倍率は、CTE−MDとCTE−TDが上記関係になるように適宜選択して行えばよく、好ましくは1.01〜1.12倍の範囲、より好ましくは1.04〜1.11、さらに好ましくは1.05〜1.10、さらに好ましくは1.06〜1.10、特に好ましくは1.07〜1.09の範囲を挙げることが出来る。
長さ方向の線膨張係数を(CTE−MD)とする。
自己支持性フィルムは、第二工程で、幅方向の線膨張係数が長さ方向の線膨張係数となる範囲で、長さ方向にも延伸又は収縮させてもよい、好ましくは延伸も収縮もさせない方がよい。
本発明の製造方法により得られるポリイミドフィルムにおいて、幅方向及び長さ方向の線膨張係数は使用する目的に応じて適宜選択すればよく、例えば長さ方向の線膨張係数を積層する金属との線膨張係数近傍に合せること、長さ方向の線膨張係数を積層する金属との線膨張係数近傍に合せかつ幅方向の線膨張係数を金属上に接続するICチップなどのチップ部材の線膨張係数近傍に設定することが好ましい。
本発明の製造方法により得られるポリイミドフィルムは、長さ方向の線膨張係数は、ポリイミド上に積層する金属層の線膨張係数に対して、下限として−4ppm、さらに−3ppm、特に−2ppmの範囲で上限として+4ppm、さらに+3ppm、特に+2ppmの範囲であり、
さらに幅方向の線膨張係数は金属層と接続するチップ部材の線膨張係数に対して、下限として−4ppm、さらに−3ppm、特に−2ppmの範囲で上限として+4ppm、さらに+3ppm、特に+2ppmの範囲となるように適宜選択すればよく、該線膨張係数となるように自己支持性フィルムを幅方向に延伸し、長さ方向に金属配線を形成し、その配線上にチップ部材を接続することにより、熱膨張に対して優れた配線部材を得ることが出来る。
第二工程において、延伸に用いる自己支持性フィルムは、第二工程で延伸できるものであればよく、延伸前の自己支持性フィルムは、自己支持性フィルムの厚み、自己支持性フィルム中の溶媒含有量、自己支持性フィルムのイミド化率などはどのような範囲でもよい。
自己支持性フィルムの溶媒含有量は、好ましくは25〜45質量%、より好ましくは27〜43質量%、さらに好ましくは30〜41質量%、特に好ましくは33〜40質量%の範囲が優れた効果が得られるために好ましい。
自己支持性フィルムのイミド化率は、好ましくは5〜40%、より好ましくは5.5〜35%、さらに好ましくは6.0〜22%、さらに好ましくは6.5〜20%、特に好ましくは7〜18%の範囲が優れた効果が得られるために好ましい。
特に自己支持性フィルムは上記範囲の溶媒含有率かつ上記範囲のイミド化率であることが優れた効果が得られるために好ましい。
第一工程において、支持体としては、公知の材料を用いることが出来るが、表面がステンレス材料などの金属材料、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂材料からなるものが好ましく、ステンレスベルト、ステンレスのロール、ポリエチレンテレフタレートのベルトなどを挙げることができる。
支持体の表面は、溶剤の薄膜が均一に形成できることが好ましい。
支持体の表面は、平滑でも、表面に溝やエンボスが形成されていても良い。特に平滑であることが好ましい。
第一工程において、自己支持性フィルムは、支持体と剥離した後、片面又は両面に表面処理剤、ポリイミド前駆体、微粒子などを含む溶液を塗工してもよい。
表面処理剤としては、シランカップリング剤、ボランカップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、アルミニウム系キレート剤、チタネート系カップリング剤、鉄カップリング剤、銅カップリング剤などの各種カップリング剤やキレート剤などを挙げることが出来る。
自己支持性フィルムへの表面処理剤を含む溶液を塗工する場合には、自己支持性フィルムに塗布した時に自己支持性フィルムが裂けやクラックがはいることがなければよい。
自己支持性フィルムの片面又は両面に溶液を塗布する方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、グラビアコート法、スピンコート法、シルクスクリーン法、ディップコート法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法などの公知の塗布方法を挙げる事が出来できる。
本発明においては、ポリイミドフィルムを、熱イミド化の他に、化学イミド化、あるいは熱イミド化と化学イミド化とを併用した方法で製造することができる。
延伸に効果の優れる上記範囲の溶媒含有率及び/又は上記範囲のイミド化率の自己支持性フィルムを得る目的として、熱イミド化で行うことが好ましい。
第三工程において、長尺状のポリイミドフィルムは、キャスト時に支持体と接する側を外側でも内側でもどちらの側に巻き取ってもよいが、工程が簡便になるためキャスト時に支持体と接する側を外側に巻き取ることが好ましい。
本発明に用いるポリイミドフィルムの厚みは、目的に応じて適宜選択すればよく特に限定されるものではないが、厚さが150μm以下、好ましくは5〜120μm、より好ましくは6〜50μm、さらに好ましくは7〜25μm、特に好ましくは8〜15μmとすることが出来る。
ポリイミド前駆体の合成は、公知の方法で行うことが出来、例えば、有機溶媒中で、略等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物などの酸成分とジアミン成分とをランダム重合またはブロック重合することによって達成される。また、予めどちらかの成分が過剰である2種類以上のポリイミド前駆体を合成しておき、各ポリイミド前駆体溶液を一緒にした後反応条件下で混合してもよい。このようにして得られたポリイミド前駆体溶液はそのまま、あるいは必要であれば溶媒を除去または加えて、自己支持性フィルムの製造に使用することができる。
ポリイミド前駆体溶液の有機溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどが挙げられる。これらの有機溶媒は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリイミド前駆体溶液には、必要に応じてイミド化触媒、有機リン含有化合物、無機微粒子や有機微粒子などの微粒子などを加えてもよい。
イミド化触媒としては、置換もしくは非置換の含窒素複素環化合物、該含窒素複素環化合物のN−オキシド化合物、置換もしくは非置換のアミノ酸化合物、ヒドロキシル基を有する芳香族炭化水素化合物または芳香族複素環状化合物が挙げられ、特に1,2−ジメチルイミダゾール、N−メチルイミダゾール、N−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、5−メチルベンズイミダゾールなどの低級アルキルイミダゾール、N−ベンジル−2−メチルイミダゾールなどのベンズイミダゾール、イソキノリン、3,5−ジメチルピリジン、3,4−ジメチルピリジン、2,5−ジメチルピリジン、2,4−ジメチルピリジン、4−n−プロピルピリジンなどの置換ピリジンなどを好適に使用することができる。イミド化触媒の使用量は、ポリアミド酸のアミド酸単位に対して0.01〜2倍当量、特に0.02〜1倍当量程度であることが好ましい。イミド化触媒を使用することによって、得られるポリイミドフィルムの物性、特に伸びや端裂抵抗が向上することがある。
有機リン含有化合物としては、例えば、モノカプロイルリン酸エステル、モノオクチルリン酸エステル、モノラウリルリン酸エステル、モノミリスチルリン酸エステル、モノセチルリン酸エステル、モノステアリルリン酸エステル、トリエチレングリコールモノトリデシルエーテルのモノリン酸エステル、テトラエチレングリコールモノラウリルエーテルのモノリン酸エステル、ジエチレングリコールモノステアリルエーテルのモノリン酸エステル、ジカプロイルリン酸エステル、ジオクチルリン酸エステル、ジカプリルリン酸エステル、ジラウリルリン酸エステル、ジミリスチルリン酸エステル、ジセチルリン酸エステル、ジステアリルリン酸エステル、テトラエチレングリコールモノネオペンチルエーテルのジリン酸エステル、トリエチレングリコールモノトリデシルエーテルのジリン酸エステル、テトラエチレングリコールモノラウリルエーテルのジリン酸エステル、ジエチレングリコールモノステアリルエーテルのジリン酸エステル等のリン酸エステルや、これらリン酸エステルのアミン塩が挙げられる。アミンとしてはアンモニア、モノメチルアミン、モノエチルアミン、モノプロピルアミン、モノブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
微粒子としては、有機微粒子と無機微粒子などを挙げることが出来る。
有機微粒子としては、ポリイミド前駆体溶液に溶解しない有機物の微粒子を挙げることが出来、ポリイミド微粒子、アラミド微粒子など高分子微粒子、エポキシ樹脂などの架橋樹脂などを挙げることが出来る。
無機微粒子としては、微粒子状の二酸化チタン粉末、二酸化ケイ素(シリカ)粉末、酸化マグネシウム粉末、酸化アルミニウム(アルミナ)粉末、酸化亜鉛粉末などの無機酸化物粉末、微粒子状の窒化ケイ素粉末、窒化チタン粉末などの無機窒化物粉末、炭化ケイ素粉末などの無機炭化物粉末、および微粒子状の炭酸カルシウム粉末、硫酸カルシウム粉末、硫酸バリウム粉末などの無機塩粉末を挙げることができる。これらの無機微粒子は二種以上を組合せて使用してもよい。これらの無機微粒子を均一に分散させるために、それ自体公知の手段を適用することができる。
ポリイミド前駆体溶液としては、支持体上にキャストすることができ、自己支持性フィルムが支持体より剥離でき、その後第二工程で少なくとも一方向に延伸できる自己支持性フィルムが形成できるものであれば、ポリマーの種類、重合度、濃度など、溶液に必要に応じて配合する各種の添加剤の種類、濃度など、ポリイミド前駆体溶液の粘度などは適宜選択して用いることが出来る。
ポリイミド前駆体溶液のポリイミド前駆体の濃度は、溶液中のポリイミド前駆体濃度が、好ましくは5〜30質量%、より好ましくは10〜25質量%、さらに好ましくは15〜20質量%が好ましい。
ポリイミド前駆体溶液の溶液粘度は、100〜10000ポイズ、好ましくは400〜5000ポイズ、さらに好ましくは1000〜300ポイズが好ましい。
シラン系カップリング剤としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシラン系、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン系、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアクリルシラン系、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン系、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等が例示される。また、チタネート系カップリング剤としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジ−トリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート等が挙げられる。
カップリング剤としてはシラン系カップリング剤、特にγ−アミノプロピル−トリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピル−トリエトキシシラン、N−(アミノカルボニル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−[β−(フェニルアミノ)−エチル]−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノシランカップリング剤が好適で、その中でも特にN−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランが好ましい。
カップリング剤やキレート剤などの表面処理剤の溶液の溶媒としては、ポリイミド前駆体溶液の有機溶媒(自己支持性フィルムに含有されている溶媒)と同じものを挙げることができる。有機溶媒は、ポリイミド前駆体溶液と相溶する溶媒であることが好ましく、ポリイミド前駆体溶液の有機溶媒と同じものが好ましい。有機溶媒は2種以上の混合物であってもよい。
本発明により得られるポリイミドフィルムは、フィルムの一部又は全部に、本発明のポリイミドフィルム若しくはそれ以外の他の樹脂フィルム、接着剤、感光性素材、熱圧着性素材、金属素材、セラミック素材などを積層して、多層のポリイミドフィルムを得ることが出来る。
本発明により得られるポリイミドフィルムは、公知の方法により、直接若しくは接着剤層を介して、金属層又はセラミック層を積層したポリイミド金属積層体又はポリイミドセラミック積層体を得ることが出来る。
本発明により得られるポリイミドフィルムと、ICチップなどのチップ部材などを、直接又は接着剤を介してはり合わせることができる。
ポリイミドフィルム上に直接金属層を積層する方法としては、
1)スパッタリングや金属蒸着などのメタライジング法により金属層を設け、さらにその金属層の無電解若しくは電解メッキを行う方法、
2)ポリイミドフィルムと金属箔とを常圧若しくは加圧下で熱圧着や熱融着などに積層する方法、などを挙げることが出来る。
メタライジング法は、金属メッキや金属箔の積層とは異なる金属層を設ける方法であり、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、電子ビーム等の公知の方法を用いることができる。
メタライジング法に用いる金属としては、銅、ニッケル、クロム、マンガン、アルミニウム、鉄、モリブデン、コバルト、タングステン、バナジウム、チタン、タンタル等の金属、またはこれらの合金、あるいはこれらの金属の酸化物や金属の炭化物などの金属化合物などを用いることができるが、特にこれらの材料に限定されない。メタライジング法により形成される金属層の厚さは、使用する目的に応じて適宜選択でき、好ましくは1〜500nm、さらに好ましくは5nm〜200nmの範囲が、実用に適するために好ましい。メタライジング法により形成される金属層の層数は、使用する目的に応じて適宜選択でき、1層でも、2層でも、3層以上の多層でもよい。
メタライジング法により得られる金属積層ポリイミドフィルムは、電解メッキまたは無電解メッキなどの公知の湿式メッキ法により、金属層の表面に、銅、錫などの金属メッキ層を設けることができる。銅メッキなどの金属メッキ層の膜厚は1μm〜40μmの範囲が、実用に適するために好ましい。
ポリイミドフィルムと金属箔とを直接若しくは接着剤層を介して積層する場合、銅箔などの金属箔の厚さは、使用する目的に応じて適宜選択することができるが、好ましくは1μm〜50μm程度、さらには2〜20μm程度である。
金属箔としては、金属の種類や厚みは用いる用途により適宜選択して用いればよく、例えば圧延銅箔、電解銅箔、銅合金箔、アルミニウム箔、ステンレス箔、チタン箔、鉄箔、ニッケル箔などを挙げることができる。
接着剤としては、絶縁および接着信頼性に優れたもの、あるいはACF(異方性導電接着剤)などの圧着による導電性と接着信頼性に優れたものなど、用途に応じて公知のものを用いることができ、熱可塑性接着剤や熱硬化性接着剤などを挙げることができる。
接着剤としては、ポリイミド系、ポリアミド系、ポリイミドアミド系、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系などの接着剤、及びこれを2種以上含む接着剤などを挙げることができ、特にアクリル系、エポキシ系、ウレタン系、ポリイミド系の接着剤を用いることが好ましい。
本発明のポリイミド金属積層体は、フィルムの片面又は両面の金属層の一部をエッチングなど公知の方法で除去して、フィルム上部に金属配線を形成した配線部材を製造することができる。
配線部材は、金属配線の大部分又はICチップとの接続部若しくはその近傍が、延伸方向と直交する方向に形成することが、熱膨張に対する精度が向上するために好ましい。
本発明のポリイミドフィルム、ポリイミドフィルム金属積層体及び配線基材は、FPC、TAB、COFあるいは金属配線基材などの絶縁基板材料、金属配線、ICチップなどのチップ部材などのカバー基材、液晶ディスプレー、有機エレクトロルミネッセンスディスプレー、電子ペーパー、太陽電池などのベース基材として好適に用いることができる。
ICチップなどのチップ部材としては、公知のチップ部材を挙げることが出来、シリコンチップなどの半導体チップを挙げることが出来、液晶表示駆動用、システム用、メモリ用等の各種機能の半導体チップを挙げることが出来る。

本発明のポリイミドフィルム、ポリイミドフィルム金属積層体及び配線基材は、チップ部材の他に、抵抗、コンデンサ等を搭載することができる。
ポリイミドフィルムを得るためのポリイミド前駆体は、公知の酸成分とジアミン成分とから得られるポリアミック酸などのポリイミド前駆体を用いることが出来る。
特に本発明では、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下単にs−BPDAと略記することもある。)を主成分とする芳香族テトラカルボン酸成分と、
p−フェニレンジアミン(以下単にPPDと略記することもある。)を主成分とする芳香族ジアミン成分とから製造されるポリイミド前駆体が優れた効果を示すために好ましい。具体的には、芳香族テトラカルボン酸成分中s−BPDAを50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは75モル%以上、特に好ましくは90モル%以上含む芳香族テトラカルボン酸成分と、芳香族ジアミン成分中PPDを50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは75モル%以上、特に好ましくは85モル%以上含む芳香族ジアミン成分が好ましい。
芳香族テトラカルボン酸成分としては、s−BPDAの他に、ピロメリット酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物などを挙げることが出来る。
芳香族ジアミン成分としては、PPDの他に、1,3−ジアミノベンゼン、2,4−トルエンジアミンなどのモノベンゼンジアミン類、ベンジジン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニルなどのジフェニルジアミン類などを挙げることが出来る。
なお、他の芳香族テトラカルボン酸成分および芳香族ジアミン成分は本発明の特性及び/又は効果を損なわない範囲で用いることもできる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
自己支持性フィルムおよびポリイミドフィルムの物性の評価は以下の方法に従って行った。
1)自己支持性フィルムの溶媒含量測定法:自己支持性フィルムを400℃で30分間、オーブンで加熱した。元の重量をW1、加熱後の重量をW2として、下記式(1)に従って、溶媒含量を算出した。
Figure 2009067042
2)自己支持性フィルムのイミド化率測定方法:Jasco社製FT/IR−4100を使用して、ZnSeを用いてIR−ATRを測定し、1560.13cm−1〜1432.85cm−1のピーク面積をX1と、1798.30cm−1〜1747.19cm−1のピーク面積をX2とした。自己支持性フィルムの面積比X1/X2と、完全にイミド化が進んだフィルムの面積比X1/X2とを用いて、下記式(2)に従い、自己支持性フィルムのイミド化率を算出した。測定では、フィルムの両面を測定し、両面の平均をイミド化率とした。(ピーク面積は、機器組み込みのソフトを用いて行った。)
完全にイミド化が進んだフィルムは、480℃、5分の加熱温度したものである。
フィルムは、キャストした支持体側をA面、気体側をB面とする。
Figure 2009067042
但し式(2)において、
1560.13cm−1〜1432.85cm−1のピーク面積をX1、
1798.30cm−1〜1747.19cm−1のピーク面積をX2、
自己支持性フィルムのA面側の面積比X1/X2をa1、
自己支持性フィルムのB面側の面積比X1/X2をb1、
完全にイミド化が進んだフィルムのA面側の面積比X1/X2をa2、
完全にイミド化が進んだフィルムのB面側の面積比X1/X2をb2とする。
3)線膨張係数測定法(幅方向の線膨張係数):セイコーインスツル株式会社製TMA/SS6100を使用し、20℃/分の速度で昇温したときの50℃〜200℃の平均線膨張係数を測定した。
(実施例1〜11、比較例1)
[自己支持性フィルム作成]
s−BPDAとPPDを概略等モル混合したDMAc溶液(ポリマー濃度:18質量%、溶液粘度(30℃):1800ポイズ)をエンドレスベルト状のステンレス製の支持体上に流延した後、120℃から140℃で温度、加熱時間を調整して乾燥し、表1に示す溶媒含量及びイミド化率の長尺状の自己支持性フィルムを作成した。
(延伸、加熱工程)
自己支持性フィルムの幅方向及び長さ方向(支持体の走行方向)の全ての端部を把持し、以下に示す初期加熱温度である温度条件1又は温度条件2で加熱しながら、幅方向の両端の把持部を初期加熱の時間内に一定速度、定倍率で引張り、最終延伸率が表1に示す値になるように延伸した。その後、延伸することなく最終加熱温度として、350℃×2分でイミド化を完結させて、ポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムの延伸方向である幅方向と、延伸方向と直交する方向である長さ方向の線膨張係数を測定し、幅方向の結果を表1に示す。長さ方向の線膨張係数は、16ppmであった。全ての加熱温度は空気中で行った。
・温度条件1:105℃×1分−150℃×1分−280℃×1分
・温度条件2:105℃×1分−150℃×1分−230℃×1分
また、比較例1については、全く延伸せずに同様の操作を行った。
延伸倍率(%)は下記式(3)を用いて算出した。
Figure 2009067042
但し式(3)において、
A:延伸後の幅方向の長さ、B:延伸前の幅方向の長さ、とする。
実施例1〜6では、線膨張係数が5〜7ppmの範囲になり、延伸の効果が特に優れ、
実施例8では、線膨張係数が9〜10ppmの範囲になり、延伸の効果が比較的優れ、
実施例9及び10では、線膨張係数が10〜12ppmの範囲になり、延伸の効果が優れ、実施例11では、線膨張係数が12〜13ppmの範囲になり、延伸の効果が優れている。
Figure 2009067042
実施例1〜11、好ましくは実施例1〜10、さらに好ましくは実施例1〜8、特に好ましくは実施例1〜6より得られるポリイミドフィルムは、金属層を積層し、金属の一部を除去してフィルム上部に延伸方向である幅方向と直交する長さ方向に、ICチップなどのチップ部材をACFなどの接着剤を介して接続可能な金属配線を形成することができる。
(実施例12)
[ポリイミド積層体の製造1]
実施例1のポリイミドフィルムを用いて、支持体側にパイララックスの接着剤層を積層し、片面に接着剤層を有するポリイミド積層体を製造した。
(実施例13)
[ポリイミド金属積層体の製造、配線基板の製造1]
実施例12のポリイミド積層体を用いて、接着剤層側に圧延銅箔をはりあわせ、その後加熱して、ポリイミド銅箔積層体を得た。
ポリイミド銅箔積層体を用いて、銅箔の一部をエッチングにより除去し、ICチップなどのチップ部材が接続可能な銅配線を形成した配線基板を作成した。銅配線は、ポリイミドフィルムの長さ方向に主として形成し、配線ピッチは60μmである。
(実施例14)
[ポリイミド金属積層体の製造、配線基板の製造2]
実施例1のポリイミドフィルムを用いて、支持体側にパワー8.5kW/mでDCスパッタにより銅層を積層した。さらに銅層の上部に、電流密度280A/m2で電解めっきすることにより厚み8μmの銅メッキ層を積層したポリイミド金属積層体を得た。
得たポリイミド金属積層体を用いて銅層の一部をエッチングにより除去しICチップなどのチップ部材が接続可能な銅配線を形成した配線基板を作成した。銅配線はポリイミドフィルムの長さ方向に主として形成し。配線ピッチは60μmである。

Claims (11)

  1. ポリイミド前駆体の溶媒溶液を支持体上にキャストし、該溶液中の溶媒を除去し自己支持性フィルムとして支持体から剥離し、自己支持性フィルムを初期加熱温度80〜300℃で幅方向に延伸し、その後最終加熱温度350〜580℃で加熱することを特徴とするポリイミドフィルムの製造方法。
  2. 自己支持性フィルムは、初期加熱温度での延伸は、延伸倍率が1.01〜1.09であることを特徴とする請求項1に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
  3. 自己支持性フィルムは、溶媒含有量が25〜45%であり、イミド化率が5〜40%であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
  4. 長さ方向の線膨張係数(CTE−MD)と、幅方向の線膨張係数(CTE−TD)とは、
    [(CTE−MD)−15ppm]≦(CTE−TD)<(CTE−MD)の関係であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
  5. ポリイミドは、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分を主成分とする酸成分と、p−フェニレンジアミンを主成分とするジアミン成分とから得られることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
  6. ポリイミドフィルムの製造方法は、熱イミド化によるポリイミドフィルムの製造方法であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のポリイミドフィルムの製造方法により得られるポリイミドフィルム。
  8. 請求項7に記載のポリイミドフィルムに接着層を積層したことを特徴とするポリイミド積層体。
  9. 請求項7に記載のポリイミドフィルムに直接又は接着層を介して片面又は両面に金属層が積層されたポリイミド金属積層体。
  10. 請求項9に記載のポリイミド金属積層体を用いて、ポリイミド積層体の金属層の一部を除去して、少なくともポリイミドフィルムの長さ方向に金属配線を形成したことを特徴とする配線部材。
  11. 請求項9に記載のポリイミド金属積層体を用いて、ポリイミド積層体の金属層の一部を除去して形成した金属配線とチップ部材とを接続した配線部材であり、
    チップ部材と接続するポリイミドフィルム上に形成された金属配線がポリイミドフィルムの長さ方向に形成されていることを特徴とする配線部材。
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