JP2010125795A - ポリイミドフィルム、ポリイミド積層体 - Google Patents

ポリイミドフィルム、ポリイミド積層体 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明では、搬送性に優れるポリイミドフィルム及びこれらフィルムに接着剤層や金属層を形成した搬送性に優れる積層体を提供すること。
【解決手段】 キャスト法により連続製膜して得られる長尺状のポリイミドフィルムであり、
フィルムの幅方向の音速が、長さ方向の音速よりも大きく、幅方向の面内異方性指数が25以上であることを特徴とするポリイミドフィルムに関する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、長さ方向に柔軟で幅方向にコシのある連続加工性に優れる異方性を有する長尺状のポリイミドに関するものである。さらにこのポリイミドフィルムと接着層とを積層したポリイミド積層体、このポリイミドフィルムと金属層とを積層したポリイミド金属積層体、さらにポリイミド金属積層体の金属の一部を除去して得られる、少なくとも長さ方向に金属配線を有する配線部材に関する。
ポリイミドフィルムは、電気・電子の配線の絶縁部材、カバー部材として用いられている。
特許文献1には、面内異方性指数が20以下であり、平均面内熱膨張係数(CTE)が未延伸フィルムよりも少なくとも10%小さい、等方性でかつ面配向係数が0.11以上になるように二軸配向された、幅1400mm以上のポリイミドフィルムが開示されている。
特許文献2には、ビフェニルテトラカルボン酸類とフェニレンジアミン類とを重合して生成したポリマーの溶液から得られた芳香族ポリイミド製のフィルムであり、そのポリイミドフィルムは、約50℃から300℃までの温度範囲での平均線膨張係数が、約0.1×10−5〜2.5×10−5cm/cm・℃であって、しかもフィルムの長手方向(MD方向)と横断方向(TD方向)との線膨張係数の比(MD/TD)が、約1/5〜4程度であり、さらに、常温から400℃まで昇温し、400℃の温度に2時間維持する加熱を行った前後の常温でのフィルムの寸法の変化率で示す熱寸法安定性が、約0.3%以下であることを特徴とする寸法安定なポリイミドフィルムが開示されている。
特開2004−2880号公報 特開昭61−264028号公報
ポリイミドフィルムは電気、電子分野の絶縁基板材料などとして使用されている。電気絶縁性や寸法安定性に優れている上に、フィルム状のためフレキシブルであり、加工時にロール状で連続処理が可能であることや、出来上がった基板が取り扱いやすい、曲げた状態での使用が可能などの特徴を持っている。そのため、テープ状にして両端をスプロケットホールなどでガイドして搬送しながら加工することが一般的となっている。
ポリイミドフィルムは、テープ状で搬送しながら、フィルム状に金属をスパッタ、蒸着或いはメッキなどにより金属層を形成したり、接着フィルムや接着剤を塗布したりして接着層を積層したり、銅箔などの金属箔を積層したりして、加工される。さらに金属を積層したポリイミドフィルムは、テープ状で搬送しながら、金属層の一部を除去して金属配線などを形成したり、ICチップなどを実装したり、他の絶縁フィルムと積層などの加工がされている。
ポリイミドフィルムは、テープ状で搬送する場合、長さ方向の剛性が高いと搬送途中に屈曲個所があるとガイドから外れたり、巻き取りが困難になるなどの問題が生じる場合があり、長さ方向には柔軟であることが求められている。逆に幅方向にはある程度の剛性がないと、テープがたるんだり、たるみによってガイドから外れやすいなどの問題が生じる場合がある。
本発明では、搬送性に優れるポリイミドフィルム及びこれらフィルムに接着剤層や金属層を形成した搬送性に優れる積層体を提供することを目的とする。
本発明の第一は、キャスト法により連続製膜して得られる長尺状のポリイミドフィルムであり、
フィルムの幅方向の音速が、長さ方向の音速よりも大きく、幅方向の面内異方性指数が25以上であることを特徴とするポリイミドフィルムに関する。
本発明の第二は、本発明の第一のポリイミドフィルムの片面又は両面に接着層を積層したことを特徴とするポリイミド積層体に関する。
本発明の第三は、本発明の第一のポリイミドフィルムの片面又は両面に、直接又は接着層を介して金属層が積層されたポリイミド金属積層体に関する。
本発明の第四は、本発明の第三のポリイミド金属積層体を用いて、ポリイミド積層体の金属層の一部を除去して、少なくともポリイミドフィルムの長さ方向に金属配線を形成したことを特徴とする配線部材に関する。
本発明の第五は、本発明の第三のポリイミド金属積層体を用いて、ポリイミド積層体の金属層の一部を除去して形成した金属配線とチップ部材とを接続した配線部材であり、
チップ部材と接続するポリイミドフィルム上に形成された金属配線がポリイミドフィルムの長さ方向に形成されていることを特徴とする配線部材に関する。
本発明のポリイミドフィルムは、長さ方向と幅方向の異方性フィルムである。
本発明の第一のポリイミドフィルムの好ましい態様を以下に示し、これら態様は任意に複数組合せることが出来る。
1)フィルムの幅方向の音速が2km/秒以上であること。
2)ポリイミドフィルムは、少なくとも幅方向に延伸して得られるフィルムであること。
3)ポリイミドは、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分を含む酸成分と、p−フェニレンジアミンを含むジアミン成分とから得られること。
4)ポリイミドフィルムは、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分を含む酸成分と、p−フェニレンジアミンを含むジアミン成分とから得られるポリイミド前駆体の溶媒溶液を支持体上にキャストし、該溶液中の溶媒を除去し自己支持性フィルムとして支持体から剥離し、自己支持性フィルムを加熱しながら少なくとも幅方向に1.06倍以上延伸して得られること。
5)ポリイミド前駆体の溶媒溶液を支持体上にキャストし、該溶液中の溶媒を除去し自己支持性フィルムとして支持体から剥離し、自己支持性フィルムを初期加熱温度80〜240℃の間で幅方向に延伸を開始し、その後最終加熱温度350〜580℃で加熱すること、好ましくは自己支持性フィルムは、溶媒含有量が25〜45%であり、イミド化率が5〜40%であること。
本発明のポリイミドフィルムは、搬送性、加工性に優れた、特定方向に剛性を持ったフィルムである。
本発明のポリイミドフィルムは、テープ状で搬送する時に、フィルムがたるんだり、或いはフィルムのたるみによりフィルムガイドから外れやすいなどの問題がなく、特に搬送部の屈曲部を有する搬送性に優れるフィルムである。
本発明のポリイミドフィルムは、キャスト法により連続製膜して得られる長尺状のポリイミドフィルムであり、
フィルムの幅方向の音速が長さ方向の音速よりも大きく、幅方向の面内異方性指数が25以上、好ましくは30以上、より好ましくは35以上、さらに好ましくは40以上、特に好ましくは43以上であることを特徴とするポリイミドフィルムである。
本発明のポリイミドフィルムにおいて、幅方向の面内異方性指数の上限値はその特性から設定する必要はないが、好ましくは200以下、より好ましくは150以下、さらに好ましくは100以下、特に好ましくは80以下であることが本発明の特性を損なわないために好ましい。
本発明のポリイミドフィルムは、フィルムの幅方向の音速が好ましくは2km/秒以上、より好ましくは2.5km/秒以上、さらに好ましくは3km/秒以上であることが、幅方向のコシが強いために好ましい。
本発明のポリイミドフィルムにおいて、フィルムの幅方向の音速の上限値はその特性から設定する必要はないが、好ましくは7km/秒以下、より好ましくは6km/秒以下、さらに好ましくは5km/秒以下、特に好ましくは4km/秒以下であることが本発明の特性を損なわないために好ましい。
本発明のポリイミドフィルムは、フィルムの長さ方向の音速は、フィルムの幅方向よりも小さいことが好ましく、フィルム状やテープ状での搬送が問題なく行える音速であればよい特に設定する必要はないが、フィルムの長さ方向の音速は好ましくは1km/秒以上、より好ましくは1.5km/秒以上、さらに好ましくは2km/秒以上、特に好ましくは2.5km/秒以上であることが、長さ方向の柔軟性があり好ましい。
本発明のポリイミドフィルムにおいて、フィルムの長さ方向の音速の上限値はその特性から設定する必要はないが、好ましくは6km/秒以下、より好ましくは5km/秒以下、さらに好ましくは4km/秒以下、特に好ましくは3km/秒以下であることが本発明の特性を損なわないために好ましい。
本発明のポリイミドフィルムの製造の一例としては、
単層又は複層の押出形成用ダイスが設置された製膜装置を使用して、まず、前記ダイスに、1種又は複数の種類のポリイミド前駆体の溶媒溶液を供給し、ダイスの吐出口(リップ部)から単層又は複層の薄膜状体として支持体(エンドレスベルトやドラムなど)上に押出して、ポリイミド前駆体の溶媒溶液の略均一な厚さの薄膜を形成し、キャスティング炉の内部で、支持体(エンドレスベルトやドラムなど)を移動させながらポリイミド前駆体のイミド化が完全には進まない温度かつ有機溶媒の一部又は大部分が除去できる温度に加熱して自己支持性フィルムを支持体から剥離させ、さらに必要に応じて自己支持性フィルムの片面又は両面に、溶液(例えば、表面処理剤、ポリイミド前駆体、ポリイミドなどを含んでも良い)などを塗工や吹き付けなどを行い、さらに必要に応じて主として塗工溶媒を乾燥や抽出などの手段で除去する工程を有する第一工程、
少なくとも自己支持フィルムを加熱しながら少なくとも幅方向に延伸する工程と、加熱しながらイミド化する工程とを有する第二工程、
さらに長尺状のポリイミドを巻取りロール状のポリイミドフィルムを得る第三工程として、連続して行うことが出来る。
第一工程において、ポリイミド前駆体溶液の自己支持性フィルムは、ポリイミドを与えるポリイミド前駆体の有機溶媒溶液に必要であれば本発明の目的を損なわない範囲でイミド化触媒、有機リン化合物や無機微粒子を加えた後、ダイなどを用いて支持体上に流延塗布し、自己支持性となる程度にまで加熱して製造される。
第一工程において、キャスティング炉の内部で、ポリイミド前駆体のイミド化が完全には進まない温度かつ有機溶媒の一部又は大部分が除去できる温度に加熱できればよく、さらに支持体よりフィルムが剥離できればよい。
第二工程では、少なくとも自己支持フィルムを加熱しながら少なくとも幅方向に延伸する工程と、加熱しながらイミド化する工程とを有すればよく、延伸工程と加熱イミド化工程とは同時であってもよく、延伸工程の後に加熱イミド化工程を行ってもよいが、好ましくは延伸工程の後に加熱イミド化工程を行うことが好ましい。
第二工程の延伸工程では、加熱温度により自己支持フィルムのイミド化が行われる。
さらに第三工程では、延伸イミド化された長尺状のポリイミドをロール状に巻取り、ロール状のポリイミドフィルムを得ることができる。
第二工程の自己支持フィルムを加熱しながら少なくとも幅方向に延伸する工程の好ましい一例としては、
幅方向の延伸は80〜240℃、好ましくは85〜200℃、より好ましくは90〜160℃、さらに好ましくは95〜140℃、特に好ましくは100〜120℃で延伸を開始することが好ましく、さらに好ましくは幅方向の延伸は80〜240℃、好ましくは85〜200℃、より好ましくは90〜160℃、さらに好ましくは95〜140℃、特に好ましくは100〜120℃で延伸を開始し、80〜300℃、好ましくは130〜200℃、より好ましくは170〜300℃、さらに好ましくは220〜295℃、特に好ましくは250〜290℃で延伸を終了することが好ましい。
上記延伸により、幅方向の音速が長さ方向の音速より大きなポリイミドフィルムを容易に製造することが出来る。
支持体より剥離した自己支持性フィルム又は第二工程の少なくとも幅方向の延伸に使用する自己支持性フィルムの溶媒含有量は、好ましくは25〜45質量%、より好ましくは27〜43質量%、さらに好ましくは30〜41質量%、特に好ましくは33〜40質量%の範囲が優れた効果が得られるために好ましい。
支持体より剥離した自己支持性フィルム又は第二工程の少なくとも幅方向の延伸に使用する自己支持性フィルムのイミド化率は、好ましくは5〜40%、より好ましくは5.5〜35%、さらに好ましくは6.0〜22%、さらに好ましくは6.5〜20%、特に好ましくは7〜18%の範囲が優れた効果が得られるために好ましい。
特に支持体より剥離した自己支持性フィルム又は第二工程の少なくとも幅方向の延伸に使用する自己支持性フィルムは上記範囲の溶媒含有率かつ上記範囲のイミド化率であることが優れた効果が得られるために好ましい。
フィルムの長さ方向及び幅方向の音速は、延伸に使用する自己支持性フィルムのイミド化率や溶媒含量など、延伸時の加熱パターン、加熱時間、延伸速度、延伸倍率、延伸のパターンなどの延伸方法や延伸条件などを適宜選択することで、変化させることが出来る。
フィルムの長さ方向の音速を幅方向の音速より大きくするためには、幅方向の延伸倍率を長さ方向の延伸倍率より大きくすることが考えられる。
音速は、延伸によって分子の配向状態が変化することによって変わるものと考えられ、延伸倍率を上げることによって、分子配向が強くなり音速が高くなるものと思われる。
第二工程において、自己支持性フィルムの両端部は、延伸工程又は加熱イミド化工程の全部又は一部において、ピン式テンター、クリップ式テンター、チャックなど幅方向の両端部を固定して行うことが好ましい。
第一工程のキャスティング炉、第ニ工程の延伸工程や加熱イミド化工程では、温度の異なる複数のブロック(ゾーン)で行うことが出来、複数の温度の異なる加熱ブロックを有する、延伸炉、キャスティング炉や加熱炉などの延伸装置や加熱装置などを用いることが出来る。
第二工程において、自己支持性フィルムの幅方向又は、長さ方向及び幅方向への延伸倍率及び速度は、目的とする音速が得られる条件を適宜選択すればよく、好ましくは1%/分〜20%/分、さらに好ましくは2%/分〜10%/分の条件で行うことが好ましい。
自己支持性フィルムを延伸のパターンとしては、延伸倍率1から所定の延伸倍率まで、一気に延伸する方法、逐次に延伸する方法、少しずつ不定率な倍率で延伸する方法、少しずつ定率な倍率で延伸する方法、またはこれらを複数組合せた方法などを挙げることが出来、特に少しずつ定率な倍率で延伸する方法が好ましい。
第二工程において、最終加熱温度である加熱イミド化工程の温度としては、好ましくは350℃〜580℃の範囲、より好ましくは360〜550℃の範囲、さらに好ましくは370〜530℃の範囲、特に好ましくは470〜530℃の範囲で、1分〜30分間加熱温度することが望ましい。
上記の加熱処理は、熱風炉、赤外線加熱炉などの公知の種々の加熱装置を使用して行うことができる。
第一工程或いは第二工程において、窒素、アルゴンなどの不活性ガスや、空気などの加熱ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
第一工程において、支持体としては、公知の材料を用いることが出来るが、表面がステンレス材料などの金属材料、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂材料からなるものが好ましく、ステンレスベルト、ステンレスのロール、ポリエチレンテレフタレートのベルトなどを挙げることができる。
支持体の表面は、溶剤の薄膜が均一に形成できることが好ましい。
支持体の表面は、平滑でも、表面に溝やエンボスが形成されていても良い。特に平滑であることが好ましい。
第一工程において、自己支持性フィルムは、支持体と剥離した後、片面又は両面に表面処理剤、ポリイミド前駆体、微粒子などを含む溶液を塗工してもよい。
表面処理剤としては、シランカップリング剤、ボランカップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、アルミニウム系キレート剤、チタネート系カップリング剤、鉄カップリング剤、銅カップリング剤などの各種カップリング剤やキレート剤などを挙げることが出来る。
自己支持性フィルムへの表面処理剤を含む溶液を塗工する場合には、自己支持性フィルムに塗布した時に自己支持性フィルムが裂けやクラックがはいることがなければよい。
自己支持性フィルムの片面又は両面に溶液を塗布する方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、グラビアコート法、スピンコート法、シルクスクリーン法、ディップコート法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法などの公知の塗布方法を挙げる事が出来できる。
本発明においては、ポリイミドフィルムを、熱イミド化の他に、化学イミド化、あるいは熱イミド化と化学イミド化とを併用した方法で製造することができる。
延伸に効果の優れる上記範囲の溶媒含有率及び/又は上記範囲のイミド化率の自己支持性フィルムを得る目的として、熱イミド化で行うことが好ましい。
第三工程において、長尺状のポリイミドフィルムは、キャスト時に支持体と接する側を外側でも内側でもどちらの側に巻き取ってもよいが、工程が簡便になるためキャスト時に支持体と接する側を外側に巻き取ることが好ましい。
本発明に用いるポリイミドフィルムの厚みは、目的に応じて適宜選択すればよく特に限定されるものではないが、厚さが150μm以下、好ましくは5〜120μm、より好ましくは6〜50μm、さらに好ましくは7〜40μmとすることが出来る。
ポリイミド前駆体の合成は、公知の方法で行うことが出来、例えば、有機溶媒中で、略等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物などの酸成分とジアミン成分とをランダム重合またはブロック重合することによって達成される。また、予めどちらかの成分が過剰である2種類以上のポリイミド前駆体を合成しておき、各ポリイミド前駆体溶液を一緒にした後反応条件下で混合してもよい。このようにして得られたポリイミド前駆体溶液はそのまま、あるいは必要であれば溶媒を除去または加えて、自己支持性フィルムの製造に使用することができる。
ポリイミド前駆体溶液の有機溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどが挙げられる。これらの有機溶媒は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリイミド前駆体溶液には、必要に応じてイミド化触媒、有機リン含有化合物、無機微粒子や有機微粒子などの微粒子などを加えてもよい。
イミド化触媒としては、置換もしくは非置換の含窒素複素環化合物、該含窒素複素環化合物のN−オキシド化合物、置換もしくは非置換のアミノ酸化合物、ヒドロキシル基を有する芳香族炭化水素化合物または芳香族複素環状化合物が挙げられ、特に1,2−ジメチルイミダゾール、N−メチルイミダゾール、N−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、5−メチルベンズイミダゾールなどの低級アルキルイミダゾール、N−ベンジル−2−メチルイミダゾールなどのベンズイミダゾール、イソキノリン、3,5−ジメチルピリジン、3,4−ジメチルピリジン、2,5−ジメチルピリジン、2,4−ジメチルピリジン、4−n−プロピルピリジンなどの置換ピリジンなどを好適に使用することができる。イミド化触媒の使用量は、ポリアミド酸のアミド酸単位に対して0.01〜2倍当量、特に0.02〜1倍当量程度であることが好ましい。イミド化触媒を使用することによって、得られるポリイミドフィルムの物性、特に伸びや端裂抵抗が向上することがある。
有機リン含有化合物としては、例えば、モノカプロイルリン酸エステル、モノオクチルリン酸エステル、モノラウリルリン酸エステル、モノミリスチルリン酸エステル、モノセチルリン酸エステル、モノステアリルリン酸エステル、トリエチレングリコールモノトリデシルエーテルのモノリン酸エステル、テトラエチレングリコールモノラウリルエーテルのモノリン酸エステル、ジエチレングリコールモノステアリルエーテルのモノリン酸エステル、ジカプロイルリン酸エステル、ジオクチルリン酸エステル、ジカプリルリン酸エステル、ジラウリルリン酸エステル、ジミリスチルリン酸エステル、ジセチルリン酸エステル、ジステアリルリン酸エステル、テトラエチレングリコールモノネオペンチルエーテルのジリン酸エステル、トリエチレングリコールモノトリデシルエーテルのジリン酸エステル、テトラエチレングリコールモノラウリルエーテルのジリン酸エステル、ジエチレングリコールモノステアリルエーテルのジリン酸エステル等のリン酸エステルや、これらリン酸エステルのアミン塩が挙げられる。アミンとしてはアンモニア、モノメチルアミン、モノエチルアミン、モノプロピルアミン、モノブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
微粒子としては、有機微粒子と無機微粒子などを挙げることが出来る。
有機微粒子としては、ポリイミド前駆体溶液に溶解しない有機物の微粒子を挙げることが出来、ポリイミド微粒子、アラミド微粒子など高分子微粒子、エポキシ樹脂などの架橋樹脂などを挙げることが出来る。
無機微粒子としては、微粒子状の二酸化チタン粉末、二酸化ケイ素(シリカ)粉末、酸化マグネシウム粉末、酸化アルミニウム(アルミナ)粉末、酸化亜鉛粉末などの無機酸化物粉末、微粒子状の窒化ケイ素粉末、窒化チタン粉末などの無機窒化物粉末、炭化ケイ素粉末などの無機炭化物粉末、および微粒子状の炭酸カルシウム粉末、硫酸カルシウム粉末、硫酸バリウム粉末などの無機塩粉末を挙げることができる。これらの無機微粒子は二種以上を組合せて使用してもよい。これらの無機微粒子を均一に分散させるために、それ自体公知の手段を適用することができる。
ポリイミド前駆体溶液としては、支持体上にキャストすることができ、自己支持性フィルムが支持体より剥離でき、その後第二工程で少なくとも一方向に延伸できる自己支持性フィルムが形成できるものであれば、ポリマーの種類、重合度、濃度など、溶液に必要に応じて配合する各種の添加剤の種類、濃度など、ポリイミド前駆体溶液の粘度などは適宜選択して用いることが出来る。
ポリイミド前駆体溶液のポリイミド前駆体の濃度は、溶液中のポリイミド前駆体濃度が、好ましくは5〜30質量%、より好ましくは10〜25質量%、さらに好ましくは15〜20質量%が好ましい。
ポリイミド前駆体溶液の溶液粘度は、100〜10000ポイズ、好ましくは400〜5000ポイズ、さらに好ましくは1000〜3000ポイズが好ましい。
シラン系カップリング剤としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシラン系、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン系、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアクリルシラン系、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン系、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等が例示される。また、チタネート系カップリング剤としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジ−トリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート等が挙げられる。
カップリング剤としてはシラン系カップリング剤、特にγ−アミノプロピル−トリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピル−トリエトキシシラン、N−(アミノカルボニル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−[β−(フェニルアミノ)−エチル]−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノシランカップリング剤が好適で、その中でも特にN−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランが好ましい。
カップリング剤やキレート剤などの表面処理剤の溶液の溶媒としては、ポリイミド前駆体溶液の有機溶媒(自己支持性フィルムに含有されている溶媒)と同じものを挙げることができる。有機溶媒は、ポリイミド前駆体溶液と相溶する溶媒であることが好ましく、ポリイミド前駆体溶液の有機溶媒と同じものが好ましい。有機溶媒は2種以上の混合物であってもよい。
本発明により得られるポリイミドフィルムは、フィルムの一部又は全部に、本発明のポリイミドフィルム若しくはそれ以外の他の樹脂フィルム、接着剤、感光性素材、熱圧着性素材、金属素材、セラミック素材などを積層して、多層のポリイミドフィルムを得ることが出来る。
本発明により得られるポリイミドフィルムは、公知の方法により、直接若しくは接着剤層を介して、金属層又はセラミック層を積層したポリイミド金属積層体又はポリイミドセラミック積層体を得ることが出来る。
本発明により得られるポリイミドフィルムと、ICチップなどのチップ部材などを、直接又は接着剤を介してはり合わせることができる。
ポリイミドフィルム上に直接金属層を積層する方法としては、
1)スパッタリングや金属蒸着などのメタライジング法により金属層を設け、さらにその金属層の無電解若しくは電解メッキを行う方法、
2)ポリイミドフィルムと金属箔とを常圧若しくは加圧下で熱圧着や熱融着などに積層する方法、などを挙げることが出来る。
メタライジング法は、金属メッキや金属箔の積層とは異なる金属層を設ける方法であり、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、電子ビーム等の公知の方法を用いることができる。
メタライジング法に用いる金属としては、銅、ニッケル、クロム、マンガン、アルミニウム、鉄、モリブデン、コバルト、タングステン、バナジウム、チタン、タンタル等の金属、またはこれらの合金、あるいはこれらの金属の酸化物や金属の炭化物などの金属化合物などを用いることができるが、特にこれらの材料に限定されない。メタライジング法により形成される金属層の厚さは、使用する目的に応じて適宜選択でき、好ましくは1〜500nm、さらに好ましくは5nm〜200nmの範囲が、実用に適するために好ましい。メタライジング法により形成される金属層の層数は、使用する目的に応じて適宜選択でき、1層でも、2層でも、3層以上の多層でもよい。
メタライジング法により得られる金属積層ポリイミドフィルムは、電解メッキまたは無電解メッキなどの公知の湿式メッキ法により、金属層の表面に、銅、錫などの金属メッキ層を設けることができる。銅メッキなどの金属メッキ層の膜厚は1μm〜40μmの範囲が、実用に適するために好ましい。
ポリイミドフィルムと金属箔とを直接若しくは接着剤層を介して積層する場合、銅箔などの金属箔の厚さは、使用する目的に応じて適宜選択することができるが、好ましくは1μm〜50μm程度、さらには2〜20μm程度である。
金属箔としては、金属の種類や厚みは用いる用途により適宜選択して用いればよく、例えば圧延銅箔、電解銅箔、銅合金箔、アルミニウム箔、ステンレス箔、チタン箔、鉄箔、ニッケル箔などを挙げることができる。
接着剤としては、絶縁および接着信頼性に優れたもの、あるいはACF(異方性導電接着剤)などの圧着による導電性と接着信頼性に優れたものなど、用途に応じて公知のものを用いることができ、熱可塑性接着剤や熱硬化性接着剤などを挙げることができる。
接着剤としては、ポリイミド系、ポリアミド系、ポリイミドアミド系、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系などの接着剤、及びこれを2種以上含む接着剤などを挙げることができ、特にアクリル系、エポキシ系、ウレタン系、ポリイミド系の接着剤を用いることが好ましい。
ポリイミドフィルムを得るためのポリイミド前駆体は、公知の酸成分とジアミン成分とから得られるポリアミック酸などのポリイミド前駆体を用いることが出来る。
特に本発明では、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下単にs−BPDAと略記することもある。)を含む若しくは主成分とする芳香族テトラカルボン酸成分と、
p−フェニレンジアミン(以下単にPPDと略記することもある。)を含む若しくは主成分とする芳香族ジアミン成分とから製造されるポリイミド前駆体が優れた効果を示すために好ましい。具体的には、芳香族テトラカルボン酸成分中s−BPDAを50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは75モル%以上、特に好ましくは90モル%以上含む芳香族テトラカルボン酸成分と、芳香族ジアミン成分中PPDを50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは75モル%以上、特に好ましくは85モル%以上含む芳香族ジアミン成分が好ましい。
芳香族テトラカルボン酸成分としては、s−BPDAの他に、ピロメリット酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物などを挙げることが出来る。
芳香族ジアミン成分としては、PPDの他に、1,3−ジアミノベンゼン、2,4−トルエンジアミンなどのモノベンゼンジアミン類、ベンジジン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニルなどのジフェニルジアミン類などを挙げることが出来る。
なお、他の芳香族テトラカルボン酸成分および芳香族ジアミン成分は本発明の特性及び/又は効果を損なわない範囲で用いることもできる。
ポリイミドフィルムにおいて、酸成分とジアミン成分とを選択することにより、幅方向や長さ方向の音速を変えることができ、特にs−BPDAとPPDの含有量が増えるに従い、音速が高くなる傾向を示すと考える。
本発明では、s−BPDAを主成分とする芳香族テトラカルボン酸成分と、p−フェニレンジアミンを主成分とする芳香族ジアミン成分とから製造されるポリイミドフィルムの製造では、具体的には、芳香族テトラカルボン酸成分中s−BPDAを50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは75モル%以上、特に好ましくは90モル%以上含む芳香族テトラカルボン酸成分と、芳香族ジアミン成分中PPDを50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは75モル%以上、特に好ましくは85モル%以上含む芳香族ジアミン成分との組み合わせでは、少なくとも幅方向の延伸が1.06倍以上であればよく、上限値としては1.20倍、好ましくは1.15倍、さらに好ましくは1.09倍であればよい。
本発明のポリイミドフィルム、ポリイミドフィルム金属積層体及び配線基材は、FPC、TAB、COFあるいは金属配線基材などの絶縁基板材料、金属配線、ICチップなどのチップ部材などのカバー基材、液晶ディスプレー、有機エレクトロルミネッセンスディスプレー、電子ペーパー、太陽電池などのベース基材として好適に用いることができる。
ICチップなどのチップ部材としては、公知のチップ部材を挙げることが出来、シリコンチップなどの半導体チップを挙げることが出来、液晶表示駆動用、システム用、メモリ用等の各種機能の半導体チップを挙げることが出来る。
本発明のポリイミドフィルム、ポリイミドフィルム金属積層体及び配線基材は、チップ部材の他に、抵抗、コンデンサ等を搭載することができる。
本発明のポリイミド金属積層体は、フィルムの片面又は両面の金属層の一部をエッチングなど公知の方法で除去して、フィルム上部に金属配線を形成した配線部材を製造することができる。
配線部材は、金属配線の大部分又はICチップとの接続部若しくはその近傍が、延伸方向と直交する方向に形成することが精度が向上するために好ましい。
本発明の異方性を有するポリイミドフィルムは、ポリイミドフィルムと接着層とを積層したポリイミド積層体、このポリイミドフィルムと金属層とを積層したポリイミド金属積層体、さらにポリイミド金属積層体の金属の一部を除去して得られる、少なくとも長さ方向に金属配線を有する配線部材に関する。
本発明の異方性を有するポリイミドフィルムは、メタライジング法によりフィルム表面に金属層が形成され、その金属層の一部が除去され主に長さ方向に金属配線を形成させた配線部材を製造することができ、特に幅方向にICチップやガラス基板との接続用に用いる場合には特に優れている。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
自己支持性フィルムおよびポリイミドフィルムの物性の評価は以下の方法に従って行った。
1)自己支持性フィルムの溶媒含量測定法:自己支持性フィルムを400℃で30分間、オーブンで加熱した。元の重量をW1、加熱後の重量をW2として、下記式(1)に従って、溶媒含量を算出した。
Figure 2010125795
2)自己支持性フィルムのイミド化率測定方法:Jasco社製FT/IR−4100を使用して、ZnSeを用いてIR−ATRを測定し、1560.13cm−1〜1432.85cm−1のピーク面積をX1と、1798.30cm−1〜1747.19cm−1のピーク面積をX2とした。自己支持性フィルムの面積比(X1/X2)と、完全にイミド化が進んだフィルムの面積比(X1/X2)とを用いて、下記式(2)に従い、自己支持性フィルムのイミド化率を算出した。測定では、フィルムの両面を測定し、両面の平均をイミド化率とした。(ピーク面積は、機器組み込みのソフトを用いて行った。)
完全にイミド化が進んだフィルムは、480℃、5分の加熱温度したものである。
フィルムは、キャストした支持体側をA面、気体側をB面とする。
Figure 2010125795
但し式(2)において、
1560.13cm−1〜1432.85cm−1のピーク面積をX1、
1798.30cm−1〜1747.19cm−1のピーク面積をX2、
自己支持性フィルムのA面側の面積比(X1/X2)をa1、
自己支持性フィルムのB面側の面積比(X1/X2)をb1、
完全にイミド化が進んだフィルムのA面側の面積比(X1/X2)をa2、
完全にイミド化が進んだフィルムのB面側の面積比(X1/X2)をb2とする。
3)音速の測定:野村商事株式会社製SST−3201を用いて、フィルム面内の長さ方向及び幅方向の音速を測定した。
幅方向の面内異方性指数は、下記の式(3)より算出した。
Figure 2010125795
4)自重たわみ量の測定:搬送時の自重によるフィルムのたわみ状態を再現するため、フィルムの長さ方向20cmで幅方向5cmの短冊状のフィルムを切り出し、幅方向の両端5mmを平滑になるように把持し、中央部4cm(把持していない部分)のたわみ量を測定した。この値が大きいほど自重によってたるみが発生し、ガイドから外れやすいことを示す。
(実施例1、比較例1と2)
[自己支持性フィルム作成]
s−BPDAとPPDを概略等モル混合したDMAc溶液(ポリマー濃度:18質量%、溶液粘度(30℃):1800ポイズ)をエンドレスベルト状のステンレス製の支持体上に流延した後、120℃から140℃で温度、加熱時間を調整して乾燥し、溶媒含量37%、イミド化率15%の長尺状の自己支持性フィルムを作成した。
(延伸、加熱工程)
自己支持性フィルムの幅方向及び長さ方向(支持体の走行方向)の全ての端部を把持し、以下に示す3つの加熱温度及び加熱時間の条件で一定倍率で幅方向に延伸を行い、表1に示す最終延伸率になるように加熱延伸した。その後、延伸することなく500℃×2分でイミド化を完結させて、厚み35μmのポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムの長さ方向及び幅方向の音速を測定し、幅方向の面内異方性指数を算出し、結果を表1に示す。
さらに得られたポリイミドフィルムの自重たわみ量の測定を行い、結果を表1に示す。
・延伸条件1:105℃×1分−150℃×1分−280℃×1分
・温度条件2:105℃×1分−150℃×1分−230℃×1分
延伸倍率(%)は下記式(4)を用いて算出した。
Figure 2010125795
但し式(3)において、
A:延伸後の幅方向の長さ、B:延伸前の幅方向の長さ、とする。
Figure 2010125795
(実施例2)
[ポリイミド積層体の製造1]
実施例1のポリイミドフィルムを用いて、支持体側にパイララックスの接着剤層を積層し、片面に接着剤層を有するポリイミド積層体を製造した。
(実施例3)
[ポリイミド金属積層体の製造、配線基板の製造1]
実施例12のポリイミド積層体を用いて、接着剤層側に圧延銅箔をはりあわせ、その後加熱して、ポリイミド銅箔積層体を得た。
ポリイミド銅箔積層体を用いて、銅箔の一部をエッチングにより除去し、ICチップなどのチップ部材が接続可能な銅配線を形成した配線基板を作成した。銅配線は、ポリイミドフィルムの長さ方向に主として形成し、配線ピッチは60μmである。
(実施例4)
[ポリイミド金属積層体の製造、配線基板の製造2]
実施例1のポリイミドフィルムを用いて、支持体側にパワー8.5kW/mでDCスパッタにより銅層を積層した。さらに銅層の上部に、電流密度280A/m2で電解めっきすることにより厚み8μmの銅メッキ層を積層したポリイミド金属積層体を得た。
得たポリイミド金属積層体を用いて銅層の一部をエッチングにより除去しICチップなどのチップ部材が接続可能な銅配線を形成した配線基板を作成した。銅配線はポリイミドフィルムの長さ方向に主として形成し、フィルム幅方向の配線ピッチは60μmである。

Claims (9)

  1. キャスト法により連続製膜して得られる長尺状のポリイミドフィルムであり、
    フィルムの幅方向の音速が、長さ方向の音速よりも大きく、幅方向の面内異方性指数が25以上であることを特徴とするポリイミドフィルム。
  2. フィルムの幅方向の音速が2km/秒以上であることを特徴とする請求項1に記載のポリイミドフィルム。
  3. ポリイミドフィルムは、少なくとも幅方向に延伸して得られるフィルムであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のポリイミドフィルム。
  4. ポリイミドは、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分を含む酸成分と、p−フェニレンジアミンを含むジアミン成分とから得られることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリイミドフィルム。
  5. ポリイミドフィルムは、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分を含む酸成分と、p−フェニレンジアミンを含むジアミン成分とから得られるポリイミド前駆体の溶媒溶液を支持体上にキャストし、該溶液中の溶媒を除去し自己支持性フィルムとして支持体から剥離し、自己支持性フィルムを加熱しながら少なくとも幅方向に1.06倍以上延伸して得られることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリイミドフィルム。ポリイミドフィルム。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のポリイミドフィルムの片面又は両面に接着層を積層したことを特徴とするポリイミド積層体。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載のポリイミドフィルムの片面又は両面に、直接又は接着層を介して金属層が積層されたポリイミド金属積層体。
  8. 請求項7に記載のポリイミド金属積層体を用いて、ポリイミド積層体の金属層の一部を除去して、少なくともポリイミドフィルムの長さ方向に金属配線を形成したことを特徴とする配線部材。
  9. 請求項7に記載のポリイミド金属積層体を用いて、ポリイミド積層体の金属層の一部を除去して形成した金属配線とチップ部材とを接続した配線部材であり、
    チップ部材と接続するポリイミドフィルム上に形成された金属配線がポリイミドフィルムの長さ方向に形成されていることを特徴とする配線部材。
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