JP2011031638A - 車両用操舵装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】操舵制御部30の起動に伴う初期診断において、ロック解除モードであることを確認した(ステップS2)後、伝達比制御モータ14をロック時の遊び量Bを超える第1の所定角度A1だけ回転変位させる(ステップS4)。これに応じた実際の回転位置変化量Δθが上記第1の所定角度A1未満の場合(ステップS7でYESの場合)、ロック解除モードであるにもかかわらずロック機構がロック状態にあることになる。これを第1の異常であるとして第1の異常信号を出力する(ステップS8)。車両の走行開始前に、第1の異常を検出し、これに応じた修理等の対処を走行開始前に可能とする。
【選択図】図5
Description
また、入力部材と出力部材の相対回転角度が予め定めた設定角度以下であるときに、ロック部材を、遊星ギヤ機構の構成要素の回転を許容する回転許容位置に配置し、上記相対回転角度が上記設定角度を超えるときに、ロック部材を、上記構成要素の回転を阻止する回転阻止位置に配置する車両用操舵装置が提案されている(特許文献3)。
また、高μ路(路面の摩擦係数が高い、例えば石畳などの悪路)を走行(特に登坂走行)しているときに、伝達比制御モータの負荷が大きくなり、伝達比制御モータが焼損するおそれがある。
図1は本発明の一実施の形態に係る車両用操舵装置の概略構成を示す模式図である。
図1を参照して、車両用操舵装置1は、ステアリングホイール等の操舵部材2に連結しているステアリングシャフト3とステアリングシャフト3に自在継手4を介して連結された中間軸5と、中間軸5に自在継手6を介して連結されたピニオン軸7と、ピニオン軸7の端部近傍に設けられたピニオン7aに噛み合うラック8aを有し、自動車の左右方向に延びる転舵軸としてのラック軸8とを有している。ピニオン軸7およびラック軸8によりラックアンドピニオン機構からなる転舵機構9が構成されている。
操舵部材2が操作されてステアリングシャフト3が回転されると、この回転がピニオン7aおよびラック8aによって、ラック軸8の軸方向X1の直線運動に変換される。これにより、転舵輪11の転舵が達成される。
操舵補助機構12について具体的に説明する。ピニオン軸7の途中部には、操舵部材2に加えられた操舵トルクの方向および大きさに応じてねじれを生ずるトーションバー16と、このトーションバー16のねじれの方向および大きさに応じて開度が変化する油圧制御弁17が介装されている。
伝達比可変機構13は、入力サンギヤ42aおよび出力サンギヤ42bと、両ギヤ42a,42bに、それぞれ噛合する複数の入力遊星ギヤ43aおよび出力遊星ギヤ43bと、これらの入力遊星ギヤ43aおよび出力遊星ギヤ43bを対応する支軸44を介して同行回転可能に支持しているキャリア45と、このキャリア45を軸回りに回転させる上記伝達比制御モータ14とを備えている。
このとき、入力軸3aから出力軸3bへの回転伝達は、前述した固有の回転比からキャリア45の回転分だけ増減された回転比にてなされ、入力軸3aおよび出力軸3b間の回転比、すなわち操舵部材2から転舵輪11への伝達比を無段階に変更することができることになる。
ツインレゾルバは、入力軸3aをトーションバーにより連結された上下の2軸に分割し、両軸のそれぞれにレゾルバを取付けて構成されている。これら2つのレゾルバにより上記2軸の回転角度をそれぞれ検出して、トーションバーの捩れに応じて上記2軸間に生じる相対角変位を算出し、操舵トルクを算出する構成となっている。なお、これら2つのレゾルバによる検出信号は、1回転内に軸倍角と同数の波形がそれぞれ現れる信号として得られ、これら2つの信号を組み合わせることにより、前述の操舵トルクが求められると共に、入力軸3aの回転角度が得られる。
反力制御モータ15は、トルクセンサ32による検出結果に基づき操舵制御部30から図示しないモータ駆動回路を介して与えられる制御指令に従って駆動され、前述したように入力軸3aに作用し、操舵部材2に回転力を加えて、前記伝達比の変更に応じて操舵部材2に作用する反力トルクの変化を補償する動作をなす。
反力制御モータ15は、伝達比制御モータ14の回転速度の遅速に応じて、入力軸3aに付加する反力トルクを増減するように操舵制御部30により駆動制御されている。この結果、低速走行時に伝達比を大きくした時には、入力軸3aに作用する反力トルクを小さくし、高速走行時に伝達比を小さくした時には、操舵部材2に付加する反力トルクを大きくすることにより、操舵部材2に作用する反力トルクを伝達比の変更の如何に拘わらず一定に維持することができる。これにより伝達比を変更した場合にも運転者に違和感を与えずに済む。
以上のような伝達比可変機構13には、入力軸3aと出力軸3bとの間の差動を拘束する上記のロック機構29が備えられている。ロック機構29は、キャリア45の外面に対向するように配置されたソレノイドである。ロック機構29は、車体に固定された本体50と、本体50から突出する出力ロッド51とを有している。
このようにロック機構29の動作によりキャリア45の回転が拘束された状態で操舵部材2が回転操作された場合、操舵部材2に連結された入力軸3aが回転し、伝達比可変機構13の入力サンギヤ42aが回転する。この回転により、入力サンギヤ42aに噛み合う入力遊星ギヤ43aが支軸44を共通とする出力遊星ギヤ43bと共に回転する。この回転により、出力遊星ギヤ43bに噛み合う出力サンギヤ42bに回転力が加わり、出力サンギヤ42bを備える出力軸3bが回転することになり、この回転に応じた操舵がなされる。
上記のようにフェイルセーフ動作を実行した後、図4のステップS3において、トルクセンサ32から操舵トルクPを取り込み、ステップS4において、その操舵トルクPが所定値P1未満になるか否かが監視される。
このように、フェイルセーフによりロック機構29がロック状態にあるとき、運転者が操舵軸に多大な操舵入力を及ぼしている場合(操舵トルクPが所定値P1以上の場合)には、運転者が冷静さを失っていると判断し、安全確保のために、伝達比制御および反力制御を停止するとともに、ロック機構29によるロックを維持する。
また、伝達比制御モータ14および反力制御モータ15の一方又は両方をダイレクトドライブモータとし、それぞれに対応する入力軸3a及び出力軸3bに直接回転力を伝達するようにしてもよい。
具体的には、図5のフローチャートに示すように、システムの起動に伴って、ステップS1において、フェイルフラッグFFが0に初期設定される。次いで、ステップS2において、ロック解除モードにあるか否かが判定される。ロック解除モードにあると確認されると(ステップS2においてYES)、ステップS3において、伝達比制御モータ14の回転角センサ34(例えばレゾルバ)の信号に基づいて伝達比制御モータ14のロータの回転位置θを取り込み、前回取得値として記憶する。
このようにロータを第1の所定角度A1だけ回転変位させた後、ステップS5において、再び、伝達比制御モータ14のロータの回転位置θを取り込み、ステップS6において、今回取り込んだ回転位置θと前回取得した回転位置θとの間の回転位置変化量Δθを算出する。
次いで、ステップS12において、伝達比制御モータ14のロータを第2の所定角度A2だけ回転変位させる。第2の所定角度A2は、ロック機構29によりロックされたときのロータの遊び量B(例えばB=1°)を超える角度であり(A2>B)、例えば5°である(A2=5°)。
ステップS14において算出された回転位置変化量Δθが、ステップS15において、上記遊び量B(ロック機構29によってロックされたときの、伝達比制御モータ14のロータの遊び量)以下である(Δθ≦B)と判断された場合(ステップS15においてNOの場合)には、ステップS10に進み、ロック機構29が正常である旨の正常信号を出力した後、初期診断の処理を終了する。
そのステップS16では、伝達比制御モータ14のロータを第3の所定角度A3だけ回転変位させる。第3の所定角度A3は、ロック機構29によるロック位置の配置間隔に相当する回転角度C(例えば45°)以上の角度である(A3≧C)。
すなわち、ステップS11〜ステップS15と同じ処理であるステップS17〜ステップS21を実行し、ロック機構29がロック状態にあるか否かを再判定する。再判定の結果、回転位置変化量Δθが遊び量B以下である(Δθ≦B)場合(ステップS21においてNOの場合)には、ロック機構29が正常にロックされた状態にあると判断し、ステップS10において、正常信号を出力した後、初期診断の処理を終了する。
ロック解除モードであるのにロック機構29がロック状態にあるときに、仮に、操舵制御部30が伝達比制御モータ14の回転制御を実施しようとすると、伝達比制御モータ14に通常よりも大きな電流が流れ、その結果、伝達比制御モータ14が焼損するおそれがある。これに対して、本実施の形態では、操舵制御部30の起動に伴う初期診断時に、すなわち車両の走行を開始する前に、第1の異常(ロック解除モードであるにもかかわらず、ロック機構29がロックされている異常)を検出することができるので、これに応じた修理等の対処が走行前に可能となる。したがって、可及的に、伝達比制御モータ14の焼損の発生を未然に防止することができ、その結果、確実なフェイルセーフを実現することができる。
ステップS7において、電流積算値Wが所定値W1未満であると判定された場合(ステップS7においてNOの場合)には、タイマー(タイマーカンウト)をスタートした(ステップS8)後、ステップS12において、タイムアップ(タイマーカウントアップ)するまでの間(例えば30秒間)、電流センサ36により検出された電流iを取り込み(ステップS9)、今回取得した電流iの値と前回の取得値との偏差Δiを算出する(ステップS10)という動作を繰り返す。
一方、タイムアップする前に、偏差Δiが所定値Δi1以上になった場合(ステップS11においてYESの場合)には、ステップS14に進み、フェイルフラッグFFを1に設定する。
Claims (5)
- 操舵部材の操作に応じて回転する入力軸と転舵機構の動作に連動して回転する出力軸との間に介在し、入力軸および出力軸間の伝達比を変更可能な伝達比可変機構と、
上記伝達比可変機構の上記伝達比を変更可能な伝達比制御モータと、
上記伝達比制御モータの回転をロック可能なロック機構と、
上記伝達比制御モータのロータの回転位置を検出する回転位置検出装置と、
上記伝達比制御モータおよび上記ロック機構を制御する制御部と、を備え、
上記制御部は、ロック機構をロックさせるロックモードおよび上記ロックを解除するロック解除モードを設定可能なモード設定部と、当該制御部の起動に伴って上記ロック機構の動作を診断する初期診断部と、を含み、
上記初期診断部は、上記ロック解除モードに設定されていることを確認した後、上記伝達比制御モータの上記ロータを、上記ロック機構によりロックされたときの上記ロータの遊び量を超える第1の所定角度だけ回転させる回転変位指令を出力し、その回転変位指令の出力に伴う上記回転変位検出装置の検出値の変化量が上記第1の所定角度未満であるときに、上記ロック機構の第1の異常を検出する、車両用操舵装置。 - 請求項1において、上記初期診断部は、上記ロックモードに設定されていることを確認した後、上記伝達比制御モータの上記ロータを、上記ロック機構によりロックされたときの上記ロータの遊び量を超える第2の所定角度だけ回転させる回転変位指令を出力し、その回転変位指令に伴う上記回転変位検出装置の検出値の変化量が、上記遊び量を超えるときに、上記ロック機構の第2の異常を検出する、車両用操舵装置。
- 請求項1または2において、上記ロック機構は、上記ロータの周方向に等しい間隔で配置された複数のロック位置で上記ロータをロック可能であり、
上記制御部は、上記初期診断部によって、上記ロック機構の第2の異常が検出されたときに、上記伝達比制御モータのロータを上記間隔に相当する回転角度以上の第3の所定角度だけ回転させる回転変位指令を出力する、車両用操舵装置。 - 請求項1から3の何れか1項において、上記伝達比制御モータの温度を検出する温度検出装置と、
上記伝達比制御モータの電流を検出する電流検出装置と、を備え、
上記制御部は、上記温度検出装置による検出温度および上記電流検出装置による検出電流に基づいて、上記伝達比制御モータの異常を判定し、その異常の判定に応じて上記ロック機構にロック指令信号を出力するとともに、上記伝達比制御モータの電流を零にするフェイルセーフ機能を有する、車両用操舵装置。 - 請求項4において、上記操舵軸に負荷されるトルクを検出するトルクセンサを備え、
上記制御部は、上記フェイルセーフ機能が実行されているときに、上記トルクセンサの出力値が所定値以下であることを条件として、フェイルセーフ機能を解除し、伝達比制御モータを通常制御する機能を有する、車両用操舵装置。
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