JP2008018749A - 車両用操舵装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】異常を正確に検知する車両用操舵装置を提供すること。
【解決手段】操舵ハンドル2のハンドル角と電動アクチュエータ16の回転角との和θaddに対して転舵輪の転舵角を線形変化させる伝達比可変機構10のロック解除を確認する前の和θaddを、初期和θadd0として記憶するメモリ部52と、伝達比可変機構10のロック解除を確認した後の和θaddが、メモリ部52から読み出した初期和θadd0と異なることにより、メモリ部52の異常を検知するコンピュータ部51とを設ける。
【選択図】図1

Description

本発明は、操舵ハンドルのハンドル角と転舵輪の転舵角との間の伝達比を電動アクチュエータの回転出力により変化させる伝達比可変機構を備えた車両用操舵装置に関する。
従来、ハンドル角及び転舵角間の伝達比が変化するときに電動アクチュエータに連動して回転する回転部材を設け、この回転部材の係止により伝達比可変機構のロックを実現する車両用操舵装置が知られている。この種の車両用操舵装置では、回転部材を係止する部材が回転部材から離脱することによって伝達比可変機構のロックが解除されるが、例えば特許文献1に開示されるように回転部材を電動アクチュエータによって回転させることで、当該ロック解除を確認することができる。
特開2001−48032号公報
さて、上述した種の車両用操舵装置では、通常、電動アクチュエータの回転角をメモリ等の記憶手段に記憶させ、その記憶値を記憶手段から適宜読み出して伝達比の制御に利用しているため、伝達比の制御を正しく行う上で記憶手段が正常であることが不可欠となる。そこで、例えば通常の作動における回転角の限界値等を閾値として、記憶手段から読み出した回転角が閾値を超えることにより記憶手段の異常を検知する方法が考えられるが、この方法には次のような問題が内在している。即ちその問題とは、伝達比可変機構のロック及びロック解除が繰り返されるような特殊なケースでは、例えばロック解除確認時の電動アクチュエータの回転方向が一定方向に制限されていると、記憶手段に記憶させる回転角自体が閾値を超えてしまい、誤って異常と認識されるというものである。
本発明は、こうした問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、異常を正確に検知する車両用操舵装置を提供することにある。
請求項1〜4に記載の発明によると、伝達比可変機構は、操舵ハンドルのハンドル角と電動アクチュエータの回転角(以下、解決手段の欄では、電動アクチュエータの回転角を「アクチュエータ回転角」という。)との和に対して転舵輪の転舵角を線形変化させる。故に、車両の停止状態において回転部材を電動アクチュエータに連動して回転させることにより伝達比可変機構のロック解除を確認する前と後では、アクチュエータ回転角は変化するが、転舵角は変化しないので、ハンドル角とアクチュエータ回転角との和は一定に保持される。
そこで、請求項1に記載の発明によると、ロック解除確認前のハンドル角及びアクチュエータ回転角の和を初期和として記憶手段に記憶する。そして、ロック解除確認後のハンドル角及びアクチュエータ回転角の和が、記憶手段から読み出した初期和と異なることにより、記憶手段の異常を検知する。これによれば、ロック解除の確認によってアクチュエータ回転角は変化しても、解除確認後の和の値は正常な記憶手段から読み出される解除確認前の初期和と等しくなるはずであるので、それらの和が異なることによる異常検知は、アクチュエータ回転角に依存しない正確なものとなる。尚、初期和としては、例えば請求項2に記載の発明のように伝達比可変機構のロック状態におけるハンドル角及びアクチュエータ回転角の和、即ちある期間、変動が規制される物理量を採用することにより、当該初期和を容易に且つ正確に得ることができる。
また一方、請求項3に記載の発明によると、ロック解除確認前のハンド及びアクチュエータ回転角をそれぞれ初期ハンドル角及び初期回転角として記憶手段に記憶する。そして、ロック解除確認後のハンドル角及びアクチュエータ回転角の和が、記憶手段からそれぞれ読み出した初期ハンドル角及び初期回転角の和と異なることにより、記憶手段の異常を検知する。これによれば、ロック解除の確認によってアクチュエータ回転角は変化しても、解除確認後の和の値は正常な記憶手段から読み出される解除確認前の初期ハンドル角及び初期回転角の和と等しくなるはずであるので、それらの和が異なることによる異常検知は、アクチュエータ回転角に依存しない正確なものとなる。尚、初期ハンドル角及び初期回転角としては、例えば請求項4に記載の発明のように伝達比可変機構のロック状態におけるハンドル角及びアクチュエータ回転角、即ちある期間、変動が規制される物理量をそれぞれ採用することにより、それらの物理量を容易に且つ正確に得ることができる。
請求項5に記載の発明では、例えば伝達比可変機構のロック及びロック解除が繰り返されて、そのロック解除の確認によりアクチュエータ回転角が閾値を超えた状態下、伝達比可変機構が再びロックされる可能性がある。そこで、請求項5に記載の発明によると、伝達比可変機構のロック状態におけるアクチュエータ回転角を初期回転角として記憶手段に記憶すると共に、当該初期回転角と設定回転方向の閾値との大小関係を表す初期情報をも記憶手段に記憶する。そして、記憶手段から読み出した初期回転角の閾値との大小関係が、記憶手段から読み出した初期情報の表す大小関係と異なることにより、記憶手段の異常を検知する。これによれば、伝達比可変機構のロック状態において閾値を超えるアクチュエータ回転角が初期回転角として記憶手段に記憶されると、正常な記憶手段からは、閾値を超える初期回転角が読み出されてしまう。しかし、初期回転角と閾値との大小関係を表す初期情報は、ロック状態において記憶手段に記憶された後に初期回転角と共に読み出されるので、記憶手段が正常であれば、ロック状態において初期回転角自体が閾値を超えていたことを当該初期情報から認識可能となる。故に、記憶手段から読出の初期回転角と閾値との大小関係が記憶手段から読出の初期情報の大小関係と異なることによれば、アクチュエータ回転角が閾値を超えた場合であっても正確に、記憶手段の異常を検知することができる。
請求項6に記載の発明によると、記憶手段から読出の初期回転角と閾値との大小関係が記憶手段から読出の初期情報における大小関係と一致することにより記憶手段の正常を検知した場合には、伝達比可変機構のロックを解除させ、当該ロック解除を確認する。これによりロック解除確認後には、例えば正常な記憶手段に記憶させたアクチュエータ回転角を適宜読み出して伝達比の制御に利用することにより、当該伝達比制御を正確に行うことが可能となる。
請求項7に記載の発明によると、伝達比可変機構のロック状態におけるアクチュエータ回転角を初期回転角として記憶手段に記憶する。そして、伝達比可変機構のロック解除を確認した後のアクチュエータ回転角が、記憶手段から読み出した初期回転角と異なる場合には、電動アクチュエータを制御してアクチュエータ回転角を当該初期回転角へと戻す。これによれば、ロック解除の確認によってアクチュエータ回転角が閾値を超えたとしても、閾値を超えない初期回転角までアクチュエータ回転角を戻した状態下、伝達比可変機構をロックすることが可能になる。この場合、閾値を超えない初期回転角を記憶手段に記憶させることができるので、正常な記憶手段からは、閾値を超えない初期回転角が読み出されることとなる。したがって、記憶手段から読出の初期回転角が閾値を超えることによる異常検知は、正確なものとなる。
請求項8に記載の発明によると、記憶手段から読出の初期回転角が閾値を超えないことにより記憶手段の正常を検知した場合には、伝達比可変機構のロックを解除させ、当該ロック解除を確認する。これによりアクチュエータ回転角の初期回転角への戻しは、記憶手段が正常の場合のロック解除確認後に実行されることになるので、当該戻しの実行条件を構成し且つ当該戻しの目標点となる初期回転角として正確な値を記憶手段から読み出すことができる。
請求項9に記載の発明によると、伝達比可変機構のロック状態におけるアクチュエータ回転角を初期回転角として記憶手段に記憶する。そして、記憶手段から読み出した初期回転角の設定回転方向の閾値との差が許容値を下回る場合には、伝達比可変機構のロックを解除させ、設定回転方向を反転するように電動アクチュエータを制御して当該ロック解除を確認する。これによれば、電動アクチュエータの設定回転方向を反転させることにより初期回転角と閾値との差を許容値よりも広げた状態において、伝達比可変機構をロックすることが可能になる。この場合、ロック及びロック解除が繰り返されて、そのロック解除の確認によりアクチュエータ回転角が閾値近傍まで変化したとしても、閾値を超えない初期回転角を記憶手段に記憶させることができるので、正常な記憶手段からは、閾値を超えない初期回転角が読み出されることとなる。したがって、記憶手段から読出の初期回転角が閾値を超えることによる異常検知は、正確なものとなる。
請求項10に記載の発明によると、記憶手段から読出の初期回転角と閾値との差が許容値以上である場合には、伝達比可変機構のロックを解除させ、設定回転方向を保持するように電動アクチュエータを制御して当該ロック解除を確認する。これによれば、例えば従来と同様な方法によって正確にロック解除を確認することができる。
請求項11に記載の発明によると、ロック解除確認のために変化させるアクチュエータ回転角は許容値よりも小さいので、設定回転方向を保持した電動アクチュエータの回転によりアクチュエータ回転角が閾値を超える事態を回避することができる。
請求項12に記載の発明によると、記憶手段から読出の初期回転角が閾値を超えないことにより記憶手段の正常を検知した後において、伝達比可変機構のロックを解除させ、当該ロック解除を確認する。これによりロック解除並びに解除確認は、記憶手段が正常の場合に実行されることになるので、それら作動の実行条件を構成する初期回転角として正確な値を記憶手段から読み出すことができる。
尚、電動アクチュエータとしては、例えば請求項13に記載の発明のように電動モータの回転を減速部により減速して出力するものを採用することができる。
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する。
(第一実施形態)
図1に示すように、本発明の第一実施形態による車両用操舵装置1は、伝達比可変機構10、ロック機構30及び操舵制御装置50等から構成されている。
伝達比可変機構10は、入力軸12、ハンドル角センサ13、出力軸14、電動アクチュエータ16及び回転角センサ17を備えている。入力軸12は、車両の操舵ハンドル2に連結されている。ハンドル角センサ13は入力軸12に付設され、操舵ハンドル2のハンドル角θhに関するデータを出力する。出力軸14は、ラックアンドピニオン式のギア装置3及びラック軸4を介して車両の左右の転舵輪5R,5Lに連繋している。また、出力軸14は、電動アクチュエータ16に連結されている。
図2に示すように電動アクチュエータ16は、電動モータ18の出力側に減速部19を組み合わせたものである。具体的には、電動モータ18はサーボモータ等であり、内部コイルが通電されることによりモータ軸18aを回転させる。遊星ギア機構からなる減速部19において、サンギア19aは電動モータ18のモータ軸18aに連結されており、リングギア19bは出力軸14に連結されている。また、減速部19においてサンギア19a及びリングギア19b間に設けられている複数の遊星ギア19cは、遊星キャリア19dにより遊星運動可能に支持されており、この遊星キャリア19dが入力軸12に連結されている。したがって、減速部19は、電動モータ18の回転を減速して入出力軸12,14側へと出力することができる。ここで、減速部19からの出力回転角θaについては、モータ軸18aの回転角θmと減速部19の減速比Kとを用いた下記の式(1)にて表すことができる。
θa=K・θm ・・・(1)
図1に示すように、回転角センサ17は電動モータ18に付設され、図2に示すモータ軸18aの回転角θmに関するデータを出力する。
以上の構成により伝達比可変機構10では、操舵ハンドル2のハンドル角θhに加え、電動アクチュエータ16の減速部19からの出力回転角θaが出力軸14へと伝達される。したがって、伝達比可変機構10は、ハンドル角θhと回転角θaとの和を出力軸14から出力することとなる。ここで、伝達比可変機構10の入出力軸12,14間における見かけ上のギア比Gは下記の式(2)にて表すことができるので、ハンドル角θhと転舵輪5R,5Lの転舵角θsとの間の伝達比(ステアリングレシオ)Rはギア装置3のギア比gを用いた下記の式(3)にて表される。したがって、この式(3)から伝達比Rは、電動アクチュエータ16の回転出力によって変化することが判る。また、式(3)から転舵角θsは下記の式(4)にて表すことができるので、転舵角θsはハンドル角θh及び回転角θaの和に対して線形変化することが判る。さらに式(4)から、転舵輪5R,5Lと車両走行路との間の摩擦により転舵角θsの変化が規制される車両停止状態においては、電動アクチュエータ16の回転出力に拘らずハンドル角θh及び回転角θaの和が一定に保たれることが判る。
G=1+θa/θh ・・・(2)
R=g・G=g・(1+θa/θh) ・・・(3)
θt=g・(θh+θa) ・・・(4)
図3に示すようにロック機構30は、ロックホルダ31、ロックアーム32及びアーム駆動部33を備えている。ロックホルダ31は円盤状に形成され、電動モータ18のモータ軸18aに同心的に装着されている。ロックホルダ31の外周縁部には、回転中心側へ凹む複数の係合凹部36が等間隔に設けられている。
ロックアーム32は円孤状に形成され、ロックホルダ31の外周側に配置されている。ロックアーム32の基端部は、揺動可能に支持されている。ロックアーム32の中間部には、ロックホルダ31側へ突出する係合突部37が設けられている。ロックホルダ31側へのロックアーム32の揺動により係合突部37がロックホルダ31のいずれかの係合凹部36に係合するときには、モータ軸18aに装着のロックホルダ31がロックアーム32により係止されるため、伝達比可変機構10が作動ロックされる。一方、ロックホルダ31とは反対側へのロックアーム32の揺動により係合突部37がロックホルダ31のいずれの係合凹部36からも離脱するときには、ロックホルダ31がモータ軸18aと共に回転自在となるため、伝達比可変機構10のロックが解除される。アーム駆動部33は、駆動コイルが通電されることにより発生する電磁力を利用してロックアーム32を揺動させる。
図1に示すように操舵制御装置50は、コンピュータ部51、メモリ部52、インタフェース部53、駆動回路部54及び内部バス55を備えている。コンピュータ部51はマイクロコンピュータからなり、内部バス55を介して各部52〜54に接続されている。メモリ部52は例えばEEPROMからなり、コンピュータ部51から与えられるデータを記憶すると共にコンピュータ部51からの読出指令に応じて記憶データをコンピュータ部51へ与える。インタフェース部53はセンサ13,17に接続されており、センサ13,17の出力データをコンピュータ部51へ与える。駆動回路部54は電動モータ18の内部コイルに接続されており、コンピュータ部51からのモータ駆動指令に応じて当該内部コイルを通電する。また、駆動回路部54はアーム駆動部33の駆動コイルに接続されており、コンピュータ部51からのロック機構駆動指令に応じて当該駆動コイルを通電する。
次に、操舵制御装置50が実施する制御処理について、図4を参照しつつ説明する。尚、この制御処理は、コンピュータ部51のROMに記憶されている制御プログラムをコンピュータ部51のCPUが実行することにより、実現されるものである。
制御処理のステップ(以下、ステップSを「S」と略記する。)101では、車両のエンジンが停止したか否かをコンピュータ部51により判定し、肯定判定がなされると、S102へ移行する。ここでエンジンの停止は、例えばイグニッションスイッチの車両ユーザによるオフ操作によって検知してもよいし、アイドルストップ式エンジンの制御回路による停止指令によって検知してもよい。
S102では、コンピュータ部51が駆動回路部54へロック機構駆動指令を与えることによりロックアーム32を駆動して、伝達比可変機構10をロックする。このロック状態下、S103では、センサ13,17の出力データに基づいてコンピュータ部51がハンドル角θhと回転角θaとを検知する。S104では、S103において検知されたハンドル角θhと回転角θaとの和(θh+θa)をコンピュータ部51により演算し、その演算結果を初期和θadd0としてメモリ部52に記憶する。
S105では、エンジンが始動したか否かをコンピュータ部51により判定し、肯定判定がなされると、S106へ移行する。ここでエンジンの始動は、例えばイグニッションスイッチのユーザによるオン操作によって検知してもよいし、アイドルストップ式エンジンの制御回路による始動指令によって検知してもよい。
S106では、S104においてメモリ部52に記憶された初期和θadd0をコンピュータ部51がメモリ部52から読み出す。
S107では、コンピュータ部51が駆動回路部54へロック機構駆動指令を与えることによりロックアーム32を駆動して、伝達比可変機構10のロックを解除する。S108では、コンピュータ部51が駆動回路部54へモータ駆動指令を与えることにより電動アクチュエータ16の電動モータ18を回転駆動(以下、この回転駆動を「ACT回転駆動」という。)して、ロックホルダ31を連動的に回転させる。このときモータ駆動指令は、正転方向及び逆転方向のうち一方である設定回転方向Dへリングギア19bが設定値Δθeの角度で回転するように、生成される。尚、ここで設定値Δθeは、ロックホルダ31の係合凹部36からロックアーム32の係合突部37が完全に離脱したことを確認可能な回転角度、例えば係合凹部36の回転方向の幅よりも大きくなるように設定される。S109では、S108による回転角θaの変化量が設定値Δθeとなったか否かを、回転角センサ17の出力データに基づいてコンピュータ部51により判定する。その結果、否定判定がなされた場合には、伝達比可変機構10の異常によりロックを解除できないとしてS114へ移行し、当該異常をユーザに報知する。一方、肯定判定がなされた場合には、伝達比可変機構10のロック解除が確認されたとして、S110へ移行する。
S110では、センサ13,17の出力データに基づいてコンピュータ部51がハンドル角θhと回転角θaとを検知する。S111では、S110において検知されたハンドル角θhと回転角θaとの和(θh+θa)をコンピュータ部51により演算し、その演算結果を比較和θaddとして定義する。S112では、S106において読み出された初期和θadd0と、S111において演算された比較和θaddとを比較し、それらθadd0,θaddが等しいか否かをコンピュータ部51により判定する。
ここで、エンジンの停止中並びに始動直後に実行される少なくともS103〜S110の間は、車両は停止状態にあると考えることができる。それ故、S103において検知されたハンドル角θh及び回転角θaの和、即ち初期和θadd0と、S110において検知されたハンドル角θh及び回転角θaの和、即ち比較和θaddとは、先述した原理によって互いに等しくなるはずである。しかしながら、メモリ部52に異常が発生している場合、S106において読み出される初期和θadd0の値に誤差が生じるおそれがある。そこで、本実施形態のS112では、初期和θadd0と比較和θaddとが相異なる場合には、メモリ部52の異常を検知したとしてS114へ移行し、当該異常をユーザに報知する。一方、初期和θadd0と比較和θaddとが等しい場合には、メモリ部52の正常を検知したとしてS113へ移行する。
S113では、エンジンが停止するまで、伝達比制御を実行する。ここで伝達比制御は、車速といった車両状態情報の他、ハンドル角θh、回転角θa、転舵角θs等に応じたACT回転駆動を実現するようにコンピュータ部51がモータ駆動指令を生成して、伝達比Rを変化させるものである。尚、伝達比制御において、車両状態情報、ハンドル角θh、回転角θa、転舵角θs等はメモリ部52に随時記憶され、必要に応じて読み出されることとなる。
以上の第一実施形態によると、エンジンの停止及び始動が繰り返されると、伝達比可変機構10のロック(S102)及びロック解除(S107)も繰り返されて、その繰り返し毎にロック解除確認のためのACT回転駆動(S108)が実行される。しかしながら、メモリ部52の正異常判定(S112)は、ロック解除の確認前後における回転角θa及びハンドル角θhの和、即ち車両停止状態においては電動アクチュエータ16の回転角θaに依存しない物理量に基づき実施されるので、当該判定が正確なものとなる。
さらに、エンジンが停止して再始動するまでの間に実現される伝達比可変機構10のロック状態(S103)では、ハンドル角θh及び回転角θaの変動が機械的に規制される。故に、それらハンドル角θh及び回転角θaの和である初期和θadd0を正確に取得して、正異常判定(S112)に利用することが可能となるので、当該判定がさらに正確なものとなる。
尚、ここまで説明した第一実施形態では、ロック機構30が「ロック手段」に相当し、ロックホルダ31が「回転部材」に相当し、コンピュータ部51が「制御手段」及び「検知手段」に相当し、メモリ部52が「記憶手段」に相当する。
(第二実施形態)
図5に示すように、本発明の第二実施形態は第一実施形態の制御処理に対する変形例である。第二実施形態では、第一実施形態のS104に代えてS204が実行され、第一実施形態のS106に代えてS206が実行される。
具体的にS204では、S203において検知されたハンドル角θh及び回転角θaをそれぞれ、ロック状態における初期ハンドル角θh0及び初期回転角θa0としてメモリ部52に記憶する。
S206では、S204においてメモリ部52に記憶された初期ハンドル角θh0及び初期回転角θa0をコンピュータ部51がメモリ部52から読み出す。さらにS206では、読み出した初期ハンドル角θh0及び初期回転角θa0の和(θh0+θa0)をコンピュータ部51により演算し、その演算結果を初期和θadd0として定義する。
尚、S201〜S203,S205,S207〜S214については、それぞれ第一実施形態のS101〜S103,S105,S107〜S114と実質的に同一内容である。
以上説明した第二実施形態によっても、メモリ部52の正異常判定(S212)が、車両停止状態では電動アクチュエータ16の回転角θaに依存しない物理量に基づき実施されるので、当該判定が正確なものとなる。さらに、伝達比可変機構10のロック状態(S203)ではハンドル角θh及び回転角θaの変動が規制されるので、それらの物理量を初期ハンドル角θh0及び初期回転角θa0として初期和θadd0の演算(S206)に利用することにより、当該初期和θadd0を用いた正異常判定(S212)がさらに正確なものとなる。
(第三実施形態)
図6に示すように、本発明の第三実施形態は第一実施形態の制御処理に対する変形例である。第三実施形態では、第一実施形態のS103,S104に代えてS303〜S307が実行され、第一実施形態のS105と実質的に同一内容のS308の後に図6の如きS309,S310が実行される。
具体的にS303では、回転角センサ17の出力データに基づいてコンピュータ部51が回転角θaを検知する。S304では、S303において検知された回転角θaをコンピュータ部51がロック状態での初期回転角θa0としてメモリ部52に記憶する。S305では、S303において検知された回転角θa、即ち初期回転角θa0と、コンピュータ部51のROMに記憶の閾値θthとを比較し、初期回転角θa0が閾値θthを超えているか否かをコンピュータ部51により判定する。ここで閾値θthは、転舵輪5R,5Lが直進方向を向く状態での回転角θaを基準点(零点)として、通常の作動によって回転角θaが当該基準点から少なくとも設定回転方向Dに取り得る値に設定されている。そして、この閾値θthに基づき肯定判定がなされた場合、即ち初期回転角θa0が閾値θthを超えている場合には、S306においてコンピュータ部51がメモリ部52に記憶のフラグFをオンに設定した後、S308へと移行する。一方、否定判定がなされた場合、即ち初期回転角θa0が閾値θthを超えていない場合には、S307においてコンピュータ部51がメモリ部52に記憶のフラグFをオフに設定した後、S308へと移行する。このようにフラグFは、伝達比可変機構10のロック状態における初期回転角θa0と閾値θthとの大小関係を表す「初期情報」に相当する。
S309では、S304においてメモリ部52に記憶された初期回転角θa0と、S306又はS307において設定されたフラグFとを、コンピュータ部51がメモリ部52から読み出す。S310では、S309において読み出された初期回転角θa0と、コンピュータ部51に記憶の閾値θthとを比較し、それらの大小関係が、S309において読み出されたフラグFの表す大小関係と一致するか否かをコンピュータ部51により判定する。
ここで、メモリ部52が正常であれば、初期回転角θa0と閾値θthとの大小関係はフラグFの表す大小関係と一致するはずである。そこで図7に示すように、初期回転角θa0が閾値θth以下且つフラグFがオンである場合、又は初期回転角θa0が閾値θthよりも大きく且つフラグFがオフである場合には、比較の大小関係が異なることによりメモリ部52の異常を検知したとして、S315へ移行する。一方、初期回転角θa0が閾値θthよりも大きく且つフラグFがオンである場合、又は初期回転角θa0が閾値θth以下であり且つフラグFがオフである場合には、比較の大小関係が一致することによりメモリ部52の正常を検知したとして、S311へ移行する。
尚、S301,S302,S311〜S313,S314,S315については、それぞれ第一実施形態のS101,S102,S107〜S109,S113,S114と実質的に同一内容である。
以上の第三実施形態では、伝達比制御(S314)の実行開始後、操舵ハンドル2が操作されることなくエンジンが停止すると、次の回の制御処理が開始されて伝達比可変機構10がロックされる(S302)。この時点においては、前回の制御処理のACT回転駆動(S312)によって回転角θaが閾値θthを超えている可能性がある。この場合、閾値θthを超える回転角θaが初期回転角θa0としてメモリ部52に記憶される(S304)ため、正常なメモリ部52から読み出される初期回転角θa0(S309)もまた、閾値θthを超えたものとなる。しかし、第三実施形態によると、初期回転角θa0及び閾値θthの大小関係を表すフラグFをメモリ部52に一旦記憶して(S306)、初期回転角θa0と共に読み出している(S309)ので、メモリ部52が正常であれば、読み出したフラグFと初期回転角θa0との間に矛盾は生じなくなる。したがって、読み出したフラグF及び初期回転角θa0に基づく上述の正異常判定(S310)によれば、回転角θaが閾値θthを超えた場合であっても、メモリ部52の異常を正確に検知することができる。
(第四実施形態)
図8に示すように、本発明の第四実施形態は第一実施形態の制御処理に対する変形例である。第四実施形態では、第一実施形態のS103,S104に代えてS403,S404が実行され、第一実施形態のS106に代えてS406,S407が実行され、第一実施形態のS110〜S112に代えてS411〜S413が実行される。
具体的にS403では、回転角センサ17の出力データに基づいてコンピュータ部51が回転角θaを検知し、S404では、その検知した結果をコンピュータ部51がロック状態での初期回転角θa0としてメモリ部52に記憶する。
S406では、S404においてメモリ部52に記憶された初期回転角θa0を、コンピュータ部51がメモリ部52から読み出す。S407では、S406において読み出された初期回転角θa0と、コンピュータ部51のROMに記憶の閾値θthとを比較し、初期回転角θa0が閾値θthを超えているか否かをコンピュータ部51により判定する。ここで閾値θthは、第三実施形態で説明したものと同様であり、通常の作動によって回転角θaが基準点から少なくとも設定回転方向Dに取り得る値に設定されている。そして、この閾値θthに基づき肯定判定がなされた場合には、メモリ部52の異常を検知したとして、S415へ移行する。一方、否定判定がなされた場合には、メモリ部52の正常を検知したとして、S408へ移行する。
S408により伝達比可変機構10のロックが解除され、さらにS409,S410により当該ロック解除が確認された後のS411では、回転角センサ17の出力データに基づいてコンピュータ部51が回転角θaを検知し、その検知結果を比較回転角θacとして定義する。S412では、S406において読み出された初期回転角θa0と、S411において検知された比較回転角θacとを比較し、それらθa0,θacが等しいか否かをコンピュータ部51により判定する。その結果、否定判定がなされた場合には、S413を実行した後にS414へ移行する。ここでS413では、コンピュータ部51が駆動回路部54へモータ駆動指令を与えることにより、設定回転方向Dを反転したACT回転駆動を実現して、回転角θaを初期回転角θa0へ戻す。一方、S412において肯定判定がなされた場合には、S414へ直接移行する。
尚、S401,S402,S405,S408〜S410,S414,S415については、それぞれ第一実施形態のS101,S102,S105,S107〜S109,S113,S114と実質的に同一内容である。
以上の第四実施形態では、伝達比制御(S414)の実行開始後、操舵ハンドル2が操作されることなくエンジンが停止すると、次の回の制御処理が開始されて伝達比可変機構10がロックされる(S402)。この時点においては、前回の制御処理(S412,S413)によって回転角θaが初期回転角θa0と一致している。それ故、例えばメモリ部52に最初に記憶の初期回転角θa0が閾値θth未満に設定されることにより、常に閾値θthを超えない初期回転角θa0がメモリ部52に記憶される(S404)ことになる。したがって、メモリ部52が正常であれば、当該メモリ部52から読み出される初期回転角θa0(S406)も閾値θthを超えないはずであるので、メモリ部52の異常を正確に検知する(S407)ことが可能となる。
さらに、メモリ部52の正常検知(S407)後において実行される初期回転角θa0への戻し(S413)は、当該正常なメモリ部52から読み出した初期回転角θa0を実行条件の構成とし且つ目標点としている。故に、閾値θthを超えない正規の初期回転角θa0まで正確に戻すことができる。
(第五実施形態)
図9に示すように、本発明の第五実施形態は第四実施形態の制御処理に対する変形例である。第五実施形態では、通常の作動によって回転角θaが基準点から正転方向及び逆転方向の双方に取り得る値に、閾値θthが設定されている。
また、第五実施形態では、第四実施形態のS401〜S406と実質的に同一内容のS501〜S506の後に図9の如きS507〜S515が実行される。
具体的にS507では、第四実施形態のS407と同様な判定の結果、メモリ部52の異常を検知した場合にはS515へ移行し、またメモリ部52の正常を検知した場合にはS508へ移行する。
S508では、S506において読み出された初期回転角θa0と、コンピュータ部51のROMに記憶の閾値θthとを比較し、それらの差(θth−θa0)が許容値Δθpを下回っているか否かをコンピュータ部51により判定する。その結果、肯定判定がなされた場合には、第四実施形態のS408と実質的に同一内容のS509により伝達比可変機構10のロックを解除した後、S510を実行してS513へと移行する。ここでS510では、コンピュータ部51が駆動回路部54へモータ駆動指令を与えることにより、設定回転方向Dを反転したACT回転駆動を実現する。即ちS510では、リングギア19bを設定値Δθeの角度で回転させる方向Dが前回の制御処理での設定回転方向Dとは逆となるように、モータ駆動指令が生成される。一方、S508において否定判定がなされた場合には、第四実施形態のS408,S409と実質的に同一内容のS511,S512により伝達比可変機構10のロック解除並びに設定回転方向Dを保持したACT回転駆動を実現した後、S513へ移行する。
尚、S512,S510のACT回転駆動における設定値Δθeは、許容値Δθpよりも小さい。これにより、S512のACT回転駆動によって回転角θaが閾値θthを超えてしまう事態を防止することができる。また、S513,S514,S515については、第四実施形態のS410,S414,S415と実質的に同一の内容である。
以上の第五実施形態によると、伝達比制御(S514)の実行開始後、操舵ハンドル2が操作されることなくエンジンが停止すると、次の回の制御処理が開始されて伝達比可変機構10がロックされる(S502)。この時点においては、前回の制御処理(S510,S512)によって回転角θaが正逆転両方向の閾値θthを必ず下回るので、常に閾値θthを超えない初期回転角θa0がメモリ部52に記憶される(S504)ことになる。したがって、メモリ部52が正常であれば、当該メモリ部52から読み出される初期回転角θa0(S506)も閾値θthを超えないはずであるので、メモリ部52の異常を正確に検知する(S507)ことが可能となる。
さらに、メモリ部52の正常検知(S507)後に実行されるロック解除(S509,S511)並びにその解除確認(S510,S512,S513)はいずれも、当該正常なメモリ部52から読み出した初期回転角θa0を実行条件の構成要素としている。したがって、ロック解除確認のためのACT回転駆動(S510,S512)により、閾値θthを超えない回転角θaを正確に且つ確実に実現することができる。
(他の実施形態)
以上、本発明の複数の実施形態について説明してきたが、本発明はそれらの実施形態に限定して解釈されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態に適用することができる。
例えば第一〜第五実施形態では、伝達比可変機構10のロック解除(S107,S207,S311,S408,S509,S511)と、その確認のためのACT回転駆動(S108,S208,S312,S409,S510,S512)とを前後させずに、同時に実行してもよい。
第一実施形態による車両用操舵装置を示す構成図である。 第一実施形態による電動アクチュエータ及びロック機構を示す構成図である。 第一実施形態によるロック機構を示す構成図である。 第一実施形態による車両用操舵装置の制御処理を示すフローチャートである。 第二実施形態による車両用操舵装置の制御処理を示すフローチャートである。 第三実施形態による車両用操舵装置の制御処理を示すフローチャートである。 第三実施形態による車両用操舵装置の制御処理を説明するための模式図である。 第四実施形態による車両用操舵装置の制御処理を示すフローチャートである。 第五実施形態による車両用操舵装置の制御処理を示すフローチャートである。
符号の説明
1 車両用操舵装置、2 操舵ハンドル、3 ギア装置、5R,5L 転舵輪、10 伝達比可変機構、12 入力軸、13 ハンドル角センサ、14 出力軸、17 回転角センサ、16 電動アクチュエータ、18 電動モータ、18a モータ軸、19 減速部、19a サンギア、19b リングギア、19c 遊星ギア、19d 遊星キャリア、30 ロック機構(ロック手段)、31 ロックホルダ(回転部材)、32 ロックアーム、33 アーム駆動部、50 操舵制御装置、51 コンピュータ部(制御手段、検知手段)、52 メモリ部(記憶手段)、53 インタフェース部、54 駆動回路部、55 内部バス、D 設定回転方向、F フラグ(初期情報)、R 伝達比、θa 回転角、θac、比較回転角、θa0 初期回転角、θadd 比較和、θadd0 初期和、θh ハンドル角、θh0 初期ハンドル角、θs 転舵角、θth 閾値、Δθe 設定値、Δθp 許容値

Claims (13)

  1. 操舵ハンドルのハンドル角と転舵輪の転舵角との間の伝達比を電動アクチュエータの回転出力により変化させる伝達比可変機構と、前記電動アクチュエータに連動して回転する回転部材を係止することにより前記伝達比可変機構をロックし、前記回転部材から離脱することにより前記伝達比可変機構のロックを解除するロック手段と、車両の停止状態において前記電動アクチュエータを制御して前記回転部材を回転させることにより前記伝達比可変機構のロック解除を確認する制御手段と、を備えた車両用操舵装置において、
    前記ハンドル角と前記電動アクチュエータの回転角との和に対して前記転舵角を線形変化させる前記伝達比可変機構のロック解除を前記制御手段が確認する前の前記和を、初期和として記憶する記憶手段と、
    前記制御手段が前記伝達比可変機構のロック解除を確認した後の前記和が、前記記憶手段から読み出した前記初期和と異なることにより、前記記憶手段の異常を検知する検知手段と、
    をさらに備えることを特徴とする車両用操舵装置。
  2. 前記記憶手段は、前記伝達比可変機構のロック状態における前記和を前記初期和として記憶することを特徴とする請求項1に記載の車両用操舵装置。
  3. 操舵ハンドルのハンドル角と転舵輪の転舵角との間の伝達比を電動アクチュエータの回転出力により変化させる伝達比可変機構と、前記電動アクチュエータに連動して回転する回転部材を係止することにより前記伝達比可変機構をロックし、前記回転部材から離脱することにより前記伝達比可変機構のロックを解除するロック手段と、車両の停止状態において前記電動アクチュエータを制御して前記回転部材を回転させることにより前記伝達比可変機構のロック解除を確認する制御手段と、を備えた車両用操舵装置において、
    前記ハンドル角と前記電動アクチュエータの回転角との和に対して前記転舵角を線形変化させる前記伝達比可変機構のロック解除を前記制御手段が確認する前の前記ハンドル角と前記回転角とをそれぞれ、初期ハンドル角と初期回転角として記憶する記憶手段と、
    前記制御手段が前記伝達比可変機構のロック解除を確認した後の前記和が、前記記憶手段からそれぞれ読み出した前記初期ハンドル角と前記初期回転角との和と異なることにより、前記記憶手段の異常を検知する検知手段と、
    をさらに備えることを特徴とする車両用操舵装置。
  4. 前記記憶手段は、前記伝達比可変機構のロック状態における前記ハンドル角と前記回転角とをそれぞれ、初期ハンドル角と初期回転角として記憶することを特徴とする請求項3に記載の車両用操舵装置。
  5. 操舵ハンドルのハンドル角と転舵輪の転舵角との間の伝達比を電動アクチュエータの回転出力により変化させる伝達比可変機構と、前記電動アクチュエータに連動して回転する回転部材を係止することにより前記伝達比可変機構をロックし、前記回転部材から離脱することにより前記伝達比可変機構のロックを解除するロック手段と、前記電動アクチュエータを制御して前記回転部材を回転させることにより前記伝達比可変機構のロック解除を確認する制御手段と、を備えた車両用操舵装置において、
    前記伝達比可変機構のロック状態における前記回転角を初期回転角として記憶すると共に、当該初期回転角と設定回転方向の閾値との大小関係を表す初期情報を記憶する記憶手段と、
    前記記憶手段から読み出した前記初期回転角の前記閾値との大小関係が、前記記憶手段から読み出した前記初期情報の表す大小関係と異なることにより、前記記憶手段の異常を検知する検知手段と、
    をさらに備えることを特徴とする車両用操舵装置。
  6. 前記検知手段は、前記記憶手段から読み出した前記初期回転角の前記閾値との大小関係が、前記記憶手段から読み出した前記初期情報の表す大小関係と一致することにより、前記記憶手段の正常を検知し、
    前記制御手段は、前記検知手段が前記記憶手段の正常を検知した場合に、前記ロック手段を制御して前記伝達比可変機構のロックを解除させ、前記電動アクチュエータを制御して当該ロック解除を確認することを特徴とする請求項5に記載の車両用操舵装置。
  7. 操舵ハンドルのハンドル角と転舵輪の転舵角との間の伝達比を電動アクチュエータの回転出力により変化させる伝達比可変機構と、前記電動アクチュエータに連動して回転する回転部材を係止することにより前記伝達比可変機構をロックし、前記回転部材から離脱することにより前記伝達比可変機構のロックを解除するロック手段と、前記電動アクチュエータを制御して前記回転部材を回転させることにより前記伝達比可変機構のロック解除を確認する制御手段と、を備えた車両用操舵装置において、
    前記伝達比可変機構のロック状態における前記回転角を初期回転角として記憶する記憶手段と、
    前記記憶手段から読み出した前記初期回転角が設定回転方向の閾値を超えることにより、前記記憶手段の異常を検知する検知手段と、
    をさらに備え、
    前記制御手段は、前記伝達比可変機構のロック解除を確認した後の前記回転角が、前記記憶手段から読み出した前記初期回転角と異なる場合に、前記電動アクチュエータを制御して前記回転角を当該初期回転角へ戻すことを特徴とする車両用操舵装置。
  8. 前記検知手段は、前記記憶手段から読み出した前記初期回転角が前記閾値を超えないことにより、前記記憶手段の正常を検知し、
    前記制御手段は、前記検知手段が前記記憶手段の正常を検知した場合に、前記ロック手段を制御して前記伝達比可変機構のロックを解除させ、前記電動アクチュエータを制御して当該ロック解除を確認することを特徴とする請求項7に記載の車両用操舵装置。
  9. 操舵ハンドルのハンドル角と転舵輪の転舵角との間の伝達比を電動アクチュエータの回転出力により変化させる伝達比可変機構と、前記電動アクチュエータに連動して回転する回転部材を係止することにより前記伝達比可変機構をロックし、前記回転部材から離脱することにより前記伝達比可変機構のロックを解除するロック手段と、設定回転方向へ回転するように前記電動アクチュエータを制御して前記回転部材を回転させることにより前記伝達比可変機構のロック解除を確認する制御手段と、を備えた車両用操舵装置において、
    前記伝達比可変機構のロック状態における前記回転角を初期回転角として記憶する記憶手段と、
    前記記憶手段から読み出した前記初期回転角が前記設定回転方向の閾値を超えることにより、前記記憶手段の異常を検知する検知手段と、
    をさらに備え、
    前記制御手段は、前記記憶手段から読み出した前記初期回転角の前記閾値との差が許容値を下回る場合に、前記ロック手段を制御して前記伝達比可変機構のロックを解除させ、前記設定回転方向を反転するように前記電動アクチュエータを制御して当該ロック解除を確認することを特徴とする車両用操舵装置。
  10. 前記制御手段は、前記記憶手段から読み出した前記初期回転角の前記閾値との差が許容値以上である場合に、前記ロック手段を制御して前記伝達比可変機構のロックを解除させ、前記設定回転方向を保持するように前記電動アクチュエータを制御して当該ロック解除を確認することを特徴とする請求項9に記載の車両用操舵装置。
  11. 前記ロック解除を確認するために変化させる前記回転角は、前記許容値よりも小さいことを特徴とする請求項10に記載の車両用操舵装置。
  12. 前記検知手段は、前記記憶手段から読み出した前記初期回転角が前記閾値を超えないことにより、前記記憶手段の正常を検知し、
    前記制御手段は、前記検知手段が前記記憶手段の正常を検知した後において、前記伝達比可変機構のロックを解除させ、当該ロック解除を確認することを特徴とする請求項9〜11のいずれか一項に記載の車両用操舵装置。
  13. 前記電動アクチュエータは、電動モータと、前記電動モータの回転を減速して出力する減速部とから構成されることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の車両用操舵装置。
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