JP2008024011A - 車両用操舵制御装置及びそれに備えられたモータ回転角センサの初期化方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 コントローラに故障が生じ、中立位置がずれた状態でも容易にコントローラを交換可能な車両用操舵制御装置を提供すること。
【解決手段】 モータに回転角を付与し、舵角比を変更する前輪操舵アクチュエータと、前記モータの相対角度を検出するモータ回転角センサと、前記モータ回転角センサのセンサ値と車両の走行状況に基づいて、前記前輪操舵アクチュエータに対し制御信号を出力する操舵制御コントローラと、前記操舵制御コントローラとの間でモータ回転角情報を送受信し、前記前輪操舵アクチュエータが停止したときの停止時モータ回転角を記憶する外部記憶手段と、を備えた。
【選択図】 図2
【解決手段】 モータに回転角を付与し、舵角比を変更する前輪操舵アクチュエータと、前記モータの相対角度を検出するモータ回転角センサと、前記モータ回転角センサのセンサ値と車両の走行状況に基づいて、前記前輪操舵アクチュエータに対し制御信号を出力する操舵制御コントローラと、前記操舵制御コントローラとの間でモータ回転角情報を送受信し、前記前輪操舵アクチュエータが停止したときの停止時モータ回転角を記憶する外部記憶手段と、を備えた。
【選択図】 図2
Description
本発明は、操向輪に所望の車両特性を達成可能な補助舵角を付与する車両用操舵制御装置の技術分野に属する。
従来、運転者のステアリングホイールの操舵角に対し、電動モータにより作動する前輪操舵アクチュエータを介して舵角を付与し、ステアリングホイールの操舵角と操向輪転舵角の間のギヤ比(転舵角/操舵角)を変更するアクチュエータに関する技術として、例えば特許文献1に記載の技術が開示されている。この公報には、ギヤ比を1から変更している状態で故障した場合には、ギヤ比を1に戻してから前輪操舵アクチュエータの入力軸(ステアリングホイール)と出力軸(ピニオンシャフト)をロック機構により固定し、ステアリングホイールの中立位置とピニオンの中立位置とがずれることを回避している。
特開2001−270453号公報
しかしながら、前輪操舵アクチュエータを制御するコントローラが故障した場合、ギヤ比を1に戻す制御が行えず、中立位置がずれた状態で制御がシャットダウンされ、上記入力軸と出力軸が固定されてしまう。この場合、故障したコントローラを交換する必要がある。
このとき、中立位置以外で固定した状態でコントローラを交換すると、上記入力軸と出力軸に中立位置がずれたときの偏差が機構的に残ったままモータ回転角センサが初期化されてしまい、この中立位置がずれた回転位置をゼロとして、モータ回転角を算出することとなり、初期状態に修正することができなくなってしまう。よって、コントローラの交換時には、自走などにより操向輪(出力軸)を中立位置にした後、ロック機構を外してステアリングホイールを中立位置にし、その後、コントローラを初期化しなければならない。よって、コントローラの交換時間が大幅に増大するという課題があった。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、コントローラに故障が生じ、中立位置がずれた状態でも容易にコントローラを交換可能な車両用操舵制御装置を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するため、本発明の車両用操舵制御装置では、モータに回転角を付与し、ステアリングホイールの操舵角に対する操向輪の転舵角の舵角比を変更する前輪操舵アクチュエータと、前記モータの相対角度を検出するモータ回転角センサと、前記モータ回転角センサのセンサ値と車両の走行状況に基づいて、前記前輪操舵アクチュエータに対し制御信号を出力する操舵制御コントローラと、前記操舵制御コントローラとの間でモータ回転角情報を送受信し、前記前輪操舵アクチュエータが停止したときの停止時モータ回転角を記憶する外部記憶手段と、を備えたことを特徴とする。
本発明の車両用操舵制御装置にあっては、操舵制御コントローラが故障した場合であっても、故障時のモータ回転角を外部記憶手段が記憶しているため、中立ずれを戻す作業を行うことなく操舵制御コントローラを交換したとしても、モータ回転角センサを正しく初期化することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて説明する。
[車両用操舵制御装置のシステム構成]
図1は実施例1の操舵制御装置のシステム構成図である。運転者が操舵するステアリングホイール1には、車体側に回転可能に支持されるとともにステアリングホイール1に接続されたステアリングシャフト2が接続されている。
図1は実施例1の操舵制御装置のシステム構成図である。運転者が操舵するステアリングホイール1には、車体側に回転可能に支持されるとともにステアリングホイール1に接続されたステアリングシャフト2が接続されている。
ステアリングシャフト2には、ステアリング操舵角θdを検出する操舵角センサ8が設けられ、操舵角θdを操舵制御コントローラECU1へ出力する。また、操舵角センサ8よりも操向輪20側には、ステアリングギヤ比(前輪転舵角に対するステアリング操舵角θdの比)を変更する前輪操舵アクチュエータ3が設けられている。この前輪操舵アクチュエータ3にはモータ3aと前輪操舵コントローラ100が設けられ、操舵制御コントローラECU1からの指令信号に基づいてモータ回転角θmfを操舵角θdに対し加減算することでステアリングギヤ比を変更する。
モータ3aには相対角度を検出するモータ回転角センサ10が設けられ、モータ3aの回転角θmfが操舵制御コントローラECU1と、前輪操舵コントローラ100へ出力される。前輪操舵アクチュエータ3の操向輪20側には、ピニオン4が設けられ、所謂ラック&ピニオン機構によってラック軸5を軸方向左右に移動させ、操向輪20を転舵する。
また、車速センサ7が設けられ、検出された車速VSPが操舵制御コントローラECU1へ出力される。更に、実施例1の車両には、他のシステム等を制御する他のコントローラECU2が設けられ、操舵制御コントローラECU1とコントローラECU2とは通信線(例えばCAN通信線)等を介して各種信号を送受信可能に接続されている。尚、他のコントローラECU2としては、後輪操舵システムを備えている場合は、後輪操舵システム用のコントローラでもよいし、車輪の制動力を制御するブレーキシステムを備えている場合は、ブレーキシステム用のコントローラでもよく、特に限定しない。
[コントロールユニットの制御構成]
図2は各コントローラの構成を表すブロック図である。操舵制御コントローラECU1内には、操舵角センサ8及び車速センサ7のセンサ値θd及びVSPに基づいて目標ヨーレイトを生成する目標値生成部110と、目標ヨーレイトに基づいて目標前輪転舵角θ*を出力する目標出力値生成部120と、モータ回転角センサ10の初期化処理を実行するモータ回転角初期化処理部130と、コントローラ自体が故障したか否かをチェックし、このチェック結果を表す故障フラグ信号を生成し、他のコントローラECU2等に報知する故障チェック部140が設けられている。
図2は各コントローラの構成を表すブロック図である。操舵制御コントローラECU1内には、操舵角センサ8及び車速センサ7のセンサ値θd及びVSPに基づいて目標ヨーレイトを生成する目標値生成部110と、目標ヨーレイトに基づいて目標前輪転舵角θ*を出力する目標出力値生成部120と、モータ回転角センサ10の初期化処理を実行するモータ回転角初期化処理部130と、コントローラ自体が故障したか否かをチェックし、このチェック結果を表す故障フラグ信号を生成し、他のコントローラECU2等に報知する故障チェック部140が設けられている。
ここで、モータ回転角初期化処理部130において初期化が必要な理由について説明する。 モータ回転角センサ10は、相対角度センサを用いており、モータ3aが回転すると、この回転量に応じた値を初期値に対して加減算することでモータ回転角センサ値を出力する。すなわち、モータ回転角センサ10は回転した量のみを出力しているため、現時点での位置を表す絶対角を検出しているものではない。
正常時の操舵制御コントローラECU1は、例えばイグニッションOFF等によるシステム終了時にモータ回転角センサ値を記憶する記憶部が設けられており、次回のシステム起動時には、この操舵制御コントローラECU1内に設けられた記憶部に記憶されたモータ回転角センサ値を基準(今回のシステム起動時の初期値)としてモータ回転角を認識する。
よって、モータ回転角センサ値として加減算する基準となる初期値がずれていると、このずれた値に加減算した値がモータ回転角として認識されてしまい、正しい角度を検出できない。
そこで、モータ回転角を正しく検出するために、車両の工場出荷時等に、アクチュエータ等によって角度が加減算されていない状態(メカニカルな中立位置)で初期化処理をしてモータ回転角センサ値を0°にセットし、ここからモータ回転角センサ10により検出された回転量を加減算する。
前輪操舵コントローラ100は、目標出力値生成部120から出力された目標前輪舵角θ*に基づいてモータ3aに供給する電流値を算出し、前輪操舵アクチュエータ3のサーボ制御を実行する。
他のコントローラECU2内には、モータ回転角センサ値記憶部210(特許請求の範囲に記載の外部記憶手段に相当)が備えられている。このモータ回転角センサ値記憶部210は、操舵制御コントローラECU1のモータ回転角初期化処理部130との間で通信した情報に基づいてモータ回転角センサ値を適宜保存するとともに、所定の条件が成立したときのモータ回転角センサ値を停止時モータ回転角センサ値として記憶する。また、記憶したモータ回転角センサ値をモータ回転角初期化処理部130に対して出力可能に構成されている。
尚、モータ回転角センサ値記憶部210から停止時モータ回転角センサ値を出力する構成に限らず、モータ回転角初期化処理部130等が自ら読み込み可能に構成してもよい。
また、通信した情報とは、具体的には、モータ回転角初期化処理部130において検出したモータ回転角センサ値や操舵制御コントローラECU1が故障したか否かを表す故障フラグ信号等を表す。
図3は目標値生成部110の制御ブロック図である。目標値生成部110は、車両モデル演算部111と、目標値演算部112とから構成されている。車両モデル演算部111は、操舵角θdと車速VSPから2輪モデルを用いて車両パラメータを演算する。目標値演算部112では、車両パラメータから各演算部に応じた車両の目標ヨーレートを決定する。
次に、目標値生成部110及び目標出力値生成部120の演算内容について説明する。
[車両モデル演算]
車両モデル演算部111で実行される車両パラメータ演算について説明する。
一般に、2輪モデルを仮定すると、車両のヨー角加速度は、下記の式(1)で表せる。
ψ"=a11ψ'+a12Vy+bf1θ …(1)
また、車両の横加速度は、下記の式(2)で表せる。
Vy'=a21ψ'+a22Vy+bf2θ …(2)
ここで、
である。
[車両モデル演算]
車両モデル演算部111で実行される車両パラメータ演算について説明する。
一般に、2輪モデルを仮定すると、車両のヨー角加速度は、下記の式(1)で表せる。
ψ"=a11ψ'+a12Vy+bf1θ …(1)
また、車両の横加速度は、下記の式(2)で表せる。
Vy'=a21ψ'+a22Vy+bf2θ …(2)
ここで、
[目標値演算]
目標値生成部110で実行される目標値演算について説明する。まず、車体速、車両パラメータと後述する目標値パラメータから、目標ヨーレートψ'*は、式(4)から下記の式(6)により表される。
目標値生成部110で実行される目標値演算について説明する。まず、車体速、車両パラメータと後述する目標値パラメータから、目標ヨーレートψ'*は、式(4)から下記の式(6)により表される。
〔目標特性決定〕
ここで、目標値演算部112の目標特性パラメータは、下記の式(7)で表される。
ただし、yrate_gain_map,yrate_omegn_map,yrate_zeta_map,yrate_zero_mapは前輪操舵用チューニングパラメータである。
〔目標前輪転舵角演算〕
本実施例1では、ヨーレイト制御であるため、目標ヨーレイトψ'*は下記式(8)より求められる。
ψ'*(s)=1/s(ψ''*(s)) ・・・(8)
よって、式(8)から第1目標前輪転舵角θ1 *を下記式(9),(10)により算出する。
ψ''*=a11ψ'*+a12Vy+bf1θ1 * ・・・(9)
θ1 *=1/bf1(ψ''*−a11ψ'*−a12Vy) ・・・(10)
本実施例1では、ヨーレイト制御であるため、目標ヨーレイトψ'*は下記式(8)より求められる。
ψ'*(s)=1/s(ψ''*(s)) ・・・(8)
よって、式(8)から第1目標前輪転舵角θ1 *を下記式(9),(10)により算出する。
ψ''*=a11ψ'*+a12Vy+bf1θ1 * ・・・(9)
θ1 *=1/bf1(ψ''*−a11ψ'*−a12Vy) ・・・(10)
尚、上記したように操舵制御コントローラECU1において演算される結果としては、低車速領域では操舵角θdに制御舵角を加算する制御が行われ、高車速領域では操舵角θdに制御舵角を減算する制御が行われる。また、実施例1ではヨーレイト制御としたが、横速度制御としてもよいし、予めゲイン等が設定されたマップに基づいて目標前輪転舵角を演算しても良く、特に限定しない。
(モータ回転角センサ初期化処理)
次に、上記制御構成に基づく作用についてフローチャートに基づいて説明する。図4はモータ回転角センサ初期化処理を表すフローチャートである。
次に、上記制御構成に基づく作用についてフローチャートに基づいて説明する。図4はモータ回転角センサ初期化処理を表すフローチャートである。
ステップS1では、操舵制御コントローラECU1が初期状態か否かを判断し、初期状態の時はステップS5へ進み、それ以外のときはステップS2へ進む。
ステップS2では、前輪操舵アクチュエータ3の故障か否かを判断し、前輪操舵アクチュエータ3が故障しているときはステップS3へ進んでモータ回転角を0°として初期化する。一方、前輪操舵アクチュエータ3が故障していないときはステップS4に進み初期化を許可せず本制御フローを終了する。
ステップS5では、他のシステムECU2のモータ回転角センサ値記憶部210から、記憶されているモータ回転角センサ値を読み込み、この値に基づいて初期化を行う。
(モータ回転角センサ値記憶処理)
図5はモータ回転角センサ値記憶処理を表すフローチャートである。
図5はモータ回転角センサ値記憶処理を表すフローチャートである。
ステップS10では、モータ回転角初期化処理部130から受信したモータ回転角センサ値が無効値あるいは通信異常(例えば操舵制御コントローラECU1と他のコントローラECU2との通信が途絶えた時等を意味する)か否かを判断し、無効値あるいは通信異常のときはステップS11へ進んで前回の通信処理において受信したモータ回転角センサ値を記憶する。それ以外のときはステップS12へ進む。
ステップS12では、操舵制御コントローラECU1から故障フラグを受信したか否かを判断し、受信しているときはステップS13へ進んで故障フラグ受信時のモータ回転角センサ値を記憶する。それ以外のときは、今回の通信におけるモータ回転角センサ値を次回通信時の前回値として保存しつつ、記憶しない。
尚、他のシステム等が故障し、車両用操舵制御装置は故障していない場合であっても、本装置の作動を停止する必要がある場合等には、やはり、他のシステムが故障したときのモータ回転角を停止時モータ回転角として記憶しておく。
次に、上記処理による作用について説明する。図6は操舵制御によって操舵角に対して加算制御を実行している最中に操舵制御コントローラECU1が故障した場合を表すタイムチャートである。尚、比較例として、モータ回転角初期化処理部130を備えていない操舵制御コントローラECU1を時刻t3において交換した場合(パターン1)と、モータ回転角初期化処理部130を備えていない操舵制御コントローラECU1を中立作業後の時刻t4において交換した場合(パターン2)と、実施例1の操舵制御コントローラECU1を時刻t3において交換した場合とに分けて説明する。
(比較例:パターン1)
時刻t1において、運転者がステアリングホイール1を操舵し、操舵角が上昇すると、操舵制御コントローラECU1から出力された制御信号に基づいて前輪操舵アクチュエータ3が駆動される。このとき、加算制御が実行されピニオン4が操舵角よりも多く回転する。
時刻t1において、運転者がステアリングホイール1を操舵し、操舵角が上昇すると、操舵制御コントローラECU1から出力された制御信号に基づいて前輪操舵アクチュエータ3が駆動される。このとき、加算制御が実行されピニオン4が操舵角よりも多く回転する。
時刻t2において、操舵制御コントローラECU1が故障すると、前輪操舵アクチュエータ3の制御が中止され、操舵角とピニオン角は位相がずれた関係を維持しつつステアリングギヤ比が1の関係となる。この状態でステアリングホイール1を中立位置に戻すと、ステアリングホイール1が中立位置に戻った時刻t3において、ピニオン4は時刻t2において故障するまでの間に加算された角度を維持したままとなる。
時刻t3において、故障した操舵制御コントローラECU1を正常な操舵制御コントローラECU1に交換しモータ回転角センサ10を初期化した場合、実モータ回転角は、時刻t2において前輪操舵アクチュエータ3が停止した角度の位置にある(図6のモータ回転角のタイムチャート中、太い実線が実モータ回転角を表す)。しかしながら、操舵制御コントローラECU1はモータ回転角センサ10の初期化によってモータ回転角を0°と認識してしまい(図6のモータ回転角のタイムチャート中、太い点線が操舵制御コントローラECU1が認識しているモータ回転角センサ値)、正しい操舵制御を実行することができない。
(比較例:パターン2)
時刻t1〜時刻t3まではパターン1と同じであるため説明を省略する。
時刻t1〜時刻t3まではパターン1と同じであるため説明を省略する。
時刻t3において、ステアリングホイール1の中立位置とピニオン4の中立位置とがずれているため、この機械的なずれを修正する作業を実行する。具体的には、ステアリングホイール1をフリーにした状態で自走させ、操向輪20に作用するセルフアライニングトルク等によってピニオン4を中立位置に戻す。次に、この状態で操向輪20を固定し(または、パワーステアリングシステムを停止してもよい)、ステアリングホイール1を中立位置に戻す。
時刻t4において、機械的なずれの修正が完了すると、故障した操舵制御コントローラECU1を正常な操舵制御コントローラECU1に交換しモータ回転角センサ10を初期化することとなる。この場合、操舵制御コントローラECU1の認識しているモータ回転角センサ値と実モータ回転角は一致するため、正しい操舵制御を実行することができるものの、機械的なずれを修正する作業を実行するための作業時間が必要となり、好ましくない。
(実施例1の作用)
時刻t1〜時刻t3まではパターン1,2と同じである。但し、実施例1では、モータ回転角初期化処理部130とモータ回転角センサ値記憶部210とが常に通信によりモータ回転角センサ値や故障フラグ信号を送受信している点が異なる。
時刻t1〜時刻t3まではパターン1,2と同じである。但し、実施例1では、モータ回転角初期化処理部130とモータ回転角センサ値記憶部210とが常に通信によりモータ回転角センサ値や故障フラグ信号を送受信している点が異なる。
時刻t3において、操舵制御コントローラECU1の故障が検知されると、モータ回転角センサ値記憶部210は、この時点におけるモータ回転角を停止時モータ回転角として記憶する。尚、上記フローチャートにおいて説明したように、故障フラグによる故障検知の場合は、故障フラグを受信したときのモータ回転角センサ値を記憶する。また、モータ回転角センサ値が無効、通信異常といった場合には、前回値を記憶する。
時刻t3において、故障した操舵制御コントローラECU1を正常な操舵制御コントローラECU1に交換しモータ回転角センサ10を初期化した場合、まず、モータ回転角センサ値記憶部210に記憶された停止時モータ回転角センサ値を読み込み、この停止時モータ回転角センサ値に基づいてモータ回転角センサ10を初期化する。
よって、実モータ回転角と操舵制御コントローラECU1の認識しているモータ回転角センサ値とが一致する(図6のモータ回転角のタイムチャート中、太い一点鎖線が実施例1のECU1が認識しているモータ回転角センサ値を表す)。すなわち、機械的なずれを修正する作業を行うことなく即座に操舵制御コントローラECU1を交換したとしても、正しい操舵制御を実行することができる。
以下、本実施例の作用効果について列挙する。
(1)モータ3aに回転角を付与し、舵角比を変更する前輪操舵アクチュエータ3と、モータ3aの相対角度を検出するモータ回転角センサ10と、モータ回転角センサ10のセンサ値と車両の走行状況に基づいて、前輪操舵アクチュエータ3に対し制御信号を出力する操舵制御コントローラECU1と、操舵制御コントローラECU1との間でモータ回転角情報を送受信し、前輪操舵アクチュエータ3が停止したときの停止時モータ回転角を記憶するモータ回転角センサ値記憶部210(外部記憶手段に相当)と、を備えたこととした。
(1)モータ3aに回転角を付与し、舵角比を変更する前輪操舵アクチュエータ3と、モータ3aの相対角度を検出するモータ回転角センサ10と、モータ回転角センサ10のセンサ値と車両の走行状況に基づいて、前輪操舵アクチュエータ3に対し制御信号を出力する操舵制御コントローラECU1と、操舵制御コントローラECU1との間でモータ回転角情報を送受信し、前輪操舵アクチュエータ3が停止したときの停止時モータ回転角を記憶するモータ回転角センサ値記憶部210(外部記憶手段に相当)と、を備えたこととした。
よって、操舵制御コントローラECU1が故障した場合であっても、停止時のモータ回転角をモータ回転角センサ値記憶部210が記憶しているため、中立ずれを戻す作業を行うことなく操舵制御コントローラECU1を交換したとしても、モータ回転角センサを正しく初期化することができる。
(2)操舵制御コントローラECU1を別の操舵制御コントローラECU1と交換した場合、正常な操舵制御コントローラECU1は、モータ回転角センサ値記憶部210に記憶された停止時モータ回転角に基づいてモータ回転角センサ10を初期化することとした。
よって、操舵制御コントローラECU1が自動的に初期化処理を行うことで、交換作業時のミスに起因するモータ回転角の不正初期化処理を防止することができる。
(3)前輪操舵アクチュエータ3を別の前輪操舵アクチュエータ3と交換した場合、操舵制御コントローラECU1は、停止時モータ回転角を0°としてモータ回転角センサ10を初期化することとした。
正常な前輪操舵アクチュエータ3と交換する場合、この前輪操舵アクチュエータ3は初期値としては中立ずれのないものが準備されている。このような場合に、故障時のモータ回転角センサ値を読み込むと、誤ったモータ回転角センサ値として認識してしまう虞がある。そこで、前輪操舵アクチュエータ3が交換された場合には、初期値を0°として初期化することで、正しい初期化を行うことができる。
(4)操舵制御コントローラECU1内に設けられた記憶部に、他のシステムが故障した場合や、一時的に故障が発生した場合の停止時モータ回転角が記憶され、かつ、前輪操舵アクチュエータ3が交換されていないときは、モータ回転角センサ10の初期化を禁止することとした。
車両用操舵制御装置自体に故障が発生していない場合や、一時的に故障が発生した場合には、特にコントローラやアクチュエータを交換する必要が無く、他の故障したシステム部品等を交換することで解消される。このとき、誤って操舵制御コントローラECU1が初期化処理を行うことを禁止することで、不正初期化処理を防止することができる。
(5)モータ回転角センサ値記憶部210は、操舵制御コントローラECU1との通信が途絶えた時のモータ回転角前回値を停止時モータ回転角として記憶することとした。
よって、操舵制御コントローラECU1自体が故障した場合であっても、モータ回転角センサ値記憶部210に確実にモータ回転角センサ値を記憶させることができる。
(6)操舵制御コントローラECU1は、操舵制御コントローラECU1が故障したか否かを表す故障フラグをモータ回転角センサ値記憶部210に送信する故障チェック部140(特許請求の範囲に記載の故障報知手段に相当)を有し、モータ回転角センサ値記憶部210は、故障フラグにより故障が報知された時のモータ回転角を停止時モータ回転角として記憶することとした。
よって、操舵制御コントローラECU1自体が故障した場合であっても、モータ回転角センサ値記憶部210に確実にモータ回転角センサ値を記憶させることができる。
(7)モータ回転角センサ値記憶部210は、無効なモータ回転角センサ値を受信した時の前回値を停止時モータ回転角として記憶することとした。
よって、操舵制御コントローラECU1自体が故障した場合であっても、モータ回転角センサ値記憶部210に確実にモータ回転角センサ値を記憶させることができる。
以上実施例1に基づいて説明したが、例えば、前輪操舵アクチュエータ3は、作動を機械的に固定するロック機構を有している場合、モータ回転角センサ値記憶部210は、ロック機構が作動した時のモータ回転角を停止時モータ回転角として記憶するように構成してもよい。すなわち、ロックされた時のモータ回転角が最も正確であるため、モータ回転角センサ値記憶部210に正確な停止時モータ回転角を記憶することができる。
実施例1では、他のコントローラECU2として1つのコントローラに記憶させる構成を示したが、2つ以上のコントローラに優先順位を付けるなどし、いずれかのコントローラに停止時モータ回転角が記憶されていれば、その値で初期化することとしてもよい。これにより、多重故障時であっても対応することができる。
また、実施例1では、他のシステムのコントローラ内に記憶部を設ける構成としたが、記憶部のみを別の構成として設け、操舵制御コントローラECU1に接続させる構成としてもよい。これにより、操舵制御コントローラECU1のみを交換し、正常な操舵制御コントローラECU1とこの記憶部を接続し直すだけで、本実施例のモータ回転角センサ初期化方法を適用することができる。
また、上記前輪操舵アクチュエータを、両端にユニバーサルジョイントを有する中間シャフト上に配置した場合は、下記に示す問題がある。一般にユニバーサルジョイントの不等速性に伴うトルク変動を吸収するため、一方のユニバーサルジョイントにおいて形成される回転角位相と他方のユニバーサルジョイントにおいて形成される回転角位相とを調整している。このとき、中立位置のずれによってアクチュエータの入力軸と出力軸の間に回転角差が生じると、その分、不等速性に伴うトルク変動が増大し、違和感を与える虞があった。これに対し、実施例1の構成にあっては、確実に初期化することが可能となり、トルク変動の増大を回避することができる。
1 ステアリングホイール
2 ステアリングシャフト
3 前輪操舵アクチュエータ
3a モータ
4 ピニオン
7 車速センサ
8 操舵角センサ
10 モータ回転角センサ
20 操向輪
100 前輪操舵コントローラ
130 モータ回転角初期化処理部
140 故障チェック部
210 モータ回転角センサ値記憶部
ECU1 操舵制御コントローラ
ECU2 他のコントローラ
2 ステアリングシャフト
3 前輪操舵アクチュエータ
3a モータ
4 ピニオン
7 車速センサ
8 操舵角センサ
10 モータ回転角センサ
20 操向輪
100 前輪操舵コントローラ
130 モータ回転角初期化処理部
140 故障チェック部
210 モータ回転角センサ値記憶部
ECU1 操舵制御コントローラ
ECU2 他のコントローラ
Claims (9)
- モータに回転角を付与し、舵角比を変更する前輪操舵アクチュエータと、
前記モータの相対角度を検出するモータ回転角センサと、
前記モータ回転角センサのセンサ値と車両の走行状況に基づいて、前記前輪操舵アクチュエータに対し制御信号を出力する操舵制御コントローラと、
前記操舵制御コントローラとの間でモータ回転角情報を送受信し、前記前輪操舵アクチュエータが停止したときの停止時モータ回転角を記憶する外部記憶手段と、
を備えたことを特徴とする車両用操舵制御装置。 - 請求項1に記載の車両用操舵制御装置において、
前記操舵制御コントローラを別の操舵制御コントローラと交換した場合、前記別の操舵制御コントローラは、前記外部記憶手段に記憶された停止時モータ回転角に基づいて前記モータ回転角センサを初期化することを特徴とする車両用操舵制御装置。 - 請求項1または2に記載の車両用操舵制御装置において、
前記前輪操舵アクチュエータを別の前輪操舵アクチュエータと交換した場合、前記操舵制御コントローラは、停止時モータ回転角を0°として前記モータ回転角センサを初期化することを特徴とする車両用操舵制御装置。 - 請求項1ないし3いずれか1つに記載の車両用操舵制御装置において、
前記操舵制御コントローラに前記停止時モータ回転角が記憶され、かつ、前記前輪操舵アクチュエータが交換されていないときは、前記モータ回転角センサの初期化を禁止することを特徴とする車両用操舵制御装置。 - 請求項1ないし4いずれか1つに記載の車両用操舵制御装置において、
前記前輪操舵アクチュエータは、作動を機械的に固定するロック手段を有し、
前記外部記憶手段は、前記ロック手段が作動した時のモータ回転角を停止時モータ回転角として記憶することを特徴とする車両用操舵制御装置。 - 請求項1ないし5いずれか1つに記載の車両用操舵制御装置において、
前記外部記憶手段は、前記操舵制御コントローラとの通信が途絶えた時のモータ回転角前回値を停止時モータ回転角として記憶することを特徴とする車両用操舵制御装置。 - 請求項1ないし6いずれか1つに記載の車両用操舵制御装置において、
前記操舵制御コントローラは、前記操舵制御コントローラが故障したか否かを前記外部記憶手段に送信する故障報知手段を有し、
前記外部記憶手段は、前記故障報知手段により故障が報知された時のモータ回転角を停止時モータ回転角として記憶することを特徴とする車両用操舵制御装置。 - 請求項1ないし7いずれか1つに記載の車両用操舵制御装置において、
前記外部記憶手段は、無効なモータ回転角センサ値を受信した時の前回値を停止時モータ回転角として記憶することを特徴とする車両用操舵制御装置。 - モータに回転角を付与し、ステアリングホイールの操舵角に対する操向輪の転舵角の舵角比を変更する前輪操舵アクチュエータと、
前記モータの相対角度を検出するモータ回転角センサと、
前記モータ回転角センサのセンサ値と車両の走行状況に基づいて、前記前輪操舵アクチュエータに対し制御信号を出力する操舵制御コントローラと、
前記操舵制御コントローラとの間でモータ回転角情報を送受信し、前記操舵制御アクチュエータが停止したときの停止時モータ回転角を記憶する外部記憶手段と、
を備え、
前記操舵制御コントローラを別の操舵制御コントローラに交換したときは、
前記外部記憶手段が前記別の操舵制御コントローラに対して記憶した停止時モータ回転角を送信する、または前記別の操舵制御コントローラが前記外部記憶手段に記憶された停止時モータ回転角を読み込むステップと、
受信もしくは読み込まれた停止時モータ回転角に基づいて前記モータ回転角センサを初期化するステップと、
を有することを特徴とする車両用操舵制御装置に備えられたモータ回転角センサの初期化方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2006194979A JP2008024011A (ja) | 2006-07-15 | 2006-07-15 | 車両用操舵制御装置及びそれに備えられたモータ回転角センサの初期化方法 |
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JP2006194979A JP2008024011A (ja) | 2006-07-15 | 2006-07-15 | 車両用操舵制御装置及びそれに備えられたモータ回転角センサの初期化方法 |
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ID=39115111
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JP2006194979A Pending JP2008024011A (ja) | 2006-07-15 | 2006-07-15 | 車両用操舵制御装置及びそれに備えられたモータ回転角センサの初期化方法 |
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JP (1) | JP2008024011A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2011005933A (ja) * | 2009-06-25 | 2011-01-13 | Nissan Motor Co Ltd | 操舵制御装置、角度検出装置および操舵制御装置付き車両 |
KR101246403B1 (ko) | 2009-10-15 | 2013-03-21 | 주식회사 만도 | 감속기 고장 검출 방법 및 시스템 |
JP2014221593A (ja) * | 2013-05-13 | 2014-11-27 | 日産自動車株式会社 | 車両用操舵制御装置及び車両用操舵制御方法 |
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2006
- 2006-07-15 JP JP2006194979A patent/JP2008024011A/ja active Pending
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