JP2008030590A - 制動制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 操舵制御装置で用いられる2つ以上の操舵角センサ値のうち、1つを制動制御装置から供給を受けることによって操舵角センサ数の低減を図った場合であっても、操舵角センサ異常の誤検出を回避した制動制御装置を提供する。
【解決手段】 操舵角、車輪速、および他の車両情報に基づき各輪の制動力を演算し、演算された前記制動力に基づいて前記各輪のホイルシリンダ圧を制御する制動制御装置において、前記制動制御装置は車両共有ネットワークと接続し、前記制動制御装置は、前記車輪速および前記他の車両情報に基づき前記操舵角の中立補正を行い、この中立補正後の操舵角に基づき前記各輪の制動力を演算するとともに、前記中立補正前の操舵角を、前記車両共有ネットワークに送信することとした。
【選択図】 図1
【解決手段】 操舵角、車輪速、および他の車両情報に基づき各輪の制動力を演算し、演算された前記制動力に基づいて前記各輪のホイルシリンダ圧を制御する制動制御装置において、前記制動制御装置は車両共有ネットワークと接続し、前記制動制御装置は、前記車輪速および前記他の車両情報に基づき前記操舵角の中立補正を行い、この中立補正後の操舵角に基づき前記各輪の制動力を演算するとともに、前記中立補正前の操舵角を、前記車両共有ネットワークに送信することとした。
【選択図】 図1
Description
本発明は、操舵系にバックアップ機構を備えたステア・バイ・ワイヤ方式による操舵制御を行うとともに、車両の走行状態に応じて制動力を制御する制動制御装置の技術分野に属する。
従来、操舵制御を行う車両にあっては、ステアリングホイールとステアリングギアボックスをつなぐステアリングシャフトの途中位置に、バックアップ機構としてのクラッチを設け、クラッチを切り離した状態では、反力アクチュエータや転舵アクチュエータに対するステア・バイ・ワイヤ制御を行い、ステア・バイ・ワイヤ制御系の故障時には、クラッチを接続し、転舵アクチュエータを操舵力のアシスト手段として用いる操舵制御装置が知られている。また、2つ以上の操舵角センサの値から多数決判断により操舵角センサの異常を判断している(例えば、特許文献1参照)。
また、従来の制動制御装置にあっては、操舵角、ヨーレート等の車両状態に基づき車両各輪の制動力を演算し、車両挙動が乱れた際に適切な制動力を付与して車両姿勢制御を行っている。この場合、制動制御装置は直進時における操舵角を把握するため、制動制御装置は直進時の操舵角を把握するため左右輪の車輪速差やヨーレート等から操舵角の中立点補正を行っている(例えば、特許文献2参照)。
特開2005−104439号公報
特開2005−255107号公報
しかしながら上記従来技術にあっては、操舵制御装置で用いられる2つ以上の操舵角センサ値のうち、1つを制動制御装置から供給を受けることによって操舵角センサ数の低減を図った場合、操舵制御装置は制動制御装置により中立点補正を施された操舵角を受け取ることになる。したがって操舵制御装置には中立点補正を施された操舵角と施されていない操舵角が入力され、両者は互いに値が異なるため、仮に操舵角センサが正常であったとしても、操舵制御装置により操舵角センサ異常を誤検出するおそれがある、という問題があった。
本発明は上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、操舵制御装置で用いられる2つ以上の操舵角センサ値のうち、1つを制動制御装置から供給を受けることによって操舵角センサ数の低減を図った場合であっても、操舵角センサ異常の誤検出を回避した制動制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明では、操舵角、車輪速、および他の車両情報に基づき各輪の制動力を演算し、演算された前記制動力に基づいて前記各輪のホイルシリンダ圧を制御する制動制御装置において、前記制動制御装置は車両共有ネットワークと接続し、前記制動制御装置は、前記車輪速および前記他の車両情報に基づき前記操舵角の中立補正を行い、この中立補正後の操舵角に基づき前記各輪の制動力を演算するとともに、前記中立補正前の操舵角を、前記車両共有ネットワークに送信することとした。
よって、操舵制御装置で用いられる2つ以上の操舵角センサ値のうち、1つを制動制御装置から供給を受けることによって操舵角センサ数の低減を図った場合であっても、操舵角センサ異常の誤検出を回避した制動制御装置を提供できる。
以下、本発明の制動制御装置を実現する実施の形態を、図面に示す実施例に基づき説明する。
[システム構成図]
図1は制動制御装置のシステム構成図である。実施例1の車両は、操舵制御装置(反力装置、バックアップ装置、転舵装置、SBW.CU(ステアバイワイヤコントロールユニット))、および制動制御装置(油圧ユニットH/U、VDC.CU(姿勢制御コントロールユニット))を有する。
図1は制動制御装置のシステム構成図である。実施例1の車両は、操舵制御装置(反力装置、バックアップ装置、転舵装置、SBW.CU(ステアバイワイヤコントロールユニット))、および制動制御装置(油圧ユニットH/U、VDC.CU(姿勢制御コントロールユニット))を有する。
SBW.CUは、2つの電源18,18により処理演算等を行う2つのSBW.CU1,2により二重系を構成する。両SBW.CUは、双方向通信線20を介して互いに情報交換可能に接続されている。VDC.CUおよびSBW.CUは、車両RAN(車両共有ネットワーク)により双方向通信可能に接続されている。
[操舵制御装置]
(反力装置)
反力装置は、操舵角センサ1、エンコーダ2、トルクセンサ3、ホールIC4、反力モータ5を有する。
(反力装置)
反力装置は、操舵角センサ1、エンコーダ2、トルクセンサ3、ホールIC4、反力モータ5を有する。
前記操舵角センサ1は、ステアリングホイール6の操作角を検出する手段で、後述するケーブルコラム7とステアリングホイール6とを結合するコラムシャフト8に設けられている。つまり、操舵角センサ1は、ステアリングホイール6とトルクセンサ3との間に設置されており、トルクセンサ3の捩れによる角度変化の影響を受けることなく、操舵角を検出できるようになっている。この操舵角センサ1には、アブソリュート型レゾルバ等を用いる。
前記反力モータ5は、ステアリングホイール6に反力を与える反力アクチュエータであり、前記コラムシャフト8を回転軸とする1ロータ・1ステータの電動モータで構成されており、そのケーシングが車体の適所に固定されている。この反力モータ5としては、ブラシレスモータが使用され、ブラシレスモータの使用に伴ってエンコーダ2とホールIC4とを追加する。
その場合は、ホールIC4のみでもモータトルクを発生するモータ駆動は可能であるが、微細なトルク変動が発生し、操舵反力感が悪い。そこで、より繊細で滑らかな反力制御を行うため、コラムシャフト8の軸上にエンコーダ2を装着し、モータ制御を行うことで、微細なトルク変動を低減し、操舵反力感の向上を達成する。なお、エンコーダ2の代わりにレゾルバを用いても良い。
(バックアップ装置)
バックアップ装置は、ケーブルコラム7とクラッチ9により構成されている。実施例1ではクラッチ9は電磁クラッチを用いている。ケーブルコラム7は、前記クラッチ9が締結されるバックアップモード時、反力装置と転舵装置との間に介在する部材との干渉を避けて迂回しながらも、トルクを伝達するコラムシャフト機能を発揮する機械式バックアップ機構である。
バックアップ装置は、ケーブルコラム7とクラッチ9により構成されている。実施例1ではクラッチ9は電磁クラッチを用いている。ケーブルコラム7は、前記クラッチ9が締結されるバックアップモード時、反力装置と転舵装置との間に介在する部材との干渉を避けて迂回しながらも、トルクを伝達するコラムシャフト機能を発揮する機械式バックアップ機構である。
(転舵装置)
転舵装置は、エンコーダ10、転舵角センサ11、トルクセンサ32、ホールIC13、転舵モータ14、ステアリング機構15、操向輪16,16とを有して構成される。
転舵装置は、エンコーダ10、転舵角センサ11、トルクセンサ32、ホールIC13、転舵モータ14、ステアリング機構15、操向輪16,16とを有して構成される。
前記転舵角センサ11とトルクセンサ32とは、ケーブルコラム7のプーリが一端に取り付けられ、他端部にピニオンギヤが形成されたピニオンシャフト17の軸上に設けられている。転舵角センサ11としては、シャフトの回転数を検出するアブソリュート式レゾルバ等が用いられる。
また、トルクセンサ32としては、上記トルクセンサ3と同様に二重系を成し、インダクタンスの変化によりトルクを検出するものが用いられる。そして、ケーブルコラム7側に転舵角センサ11を配置し、ステアリング機構15側にトルクセンサ32を配置することで、転舵角センサ11による転舵角検出に際してトルクセンサ32の捩りによる角度変化の影響を受けないようにしている。
前記転舵モータ14は、前記ピニオンシャフト17の転舵角センサ11とトルクセンサ32との中間位置に設けたウォームギヤに噛み合うピニオンギアをモータ軸に設けることで、モータ駆動時にピニオンシャフト17に転舵トルクを付与するように構成されている。この転舵モータ14は、1ロータ・2ステータ構造とすることにより二重系を成すブラシレスモータである。また、上記反力モータ5と同様に、ブラシレスモータの使用に伴ってエンコーダ10とホールIC13とを追加する。
前記ステアリング機構15は、前記ピニオンシャフト17の回転により左右の操向輪16,16を転舵させる舵取り機構であって、ラックチューブ15a内に内挿され、前記ピニオンシャフト17のピニオンギヤに噛み合うラックギヤが形成されたラックシャフト15bと、この車両左右方向に延びるラックシャフト15bの両端部に結合されたタイロッド15c,15cと、一端が前記タイロッド15c,15cに結合され、他端が操向輪16,16に結合されたナックルアーム15d,15dと、を有して構成されている。
(油圧ユニット)
油圧ユニットH/UはブレーキペダルBPの踏み込みに応じて油圧を発生させ、各輪16(FL〜RR)に設けられたホイルシリンダW/C(FL〜RR)へ油圧を供給する。
油圧ユニットH/UはブレーキペダルBPの踏み込みに応じて油圧を発生させ、各輪16(FL〜RR)に設けられたホイルシリンダW/C(FL〜RR)へ油圧を供給する。
[SBW.CUおよびVDC.CUの制御構成]
図2はVDC.CUの制御ブロック図、図3はSBW.CUの制御ブロック図である。SBW.CU1,2は同一構成であるため、図3ではSBW.CU1についてのみ説明する。
図2はVDC.CUの制御ブロック図、図3はSBW.CUの制御ブロック図である。SBW.CU1,2は同一構成であるため、図3ではSBW.CU1についてのみ説明する。
(VDC.CU)
VDC.CUには各センサ値(前後加速度Gx、横加速度Gy、ヨーレートY、操舵角θs、車速Vおよび車輪速VSP)が入力される。操舵角θsについては他のECUと接続された車両通信RANを介して入力される。これらのセンサ値に基づき車両状態推定部101は車両挙動を推定し、推定された車両挙動に基づき目標挙動演算部102は目標挙動を演算する。推定された車両挙動および演算された目標挙動に基づき、制御量演算部103は油圧ユニットH/Uの制御量を演算する。
VDC.CUには各センサ値(前後加速度Gx、横加速度Gy、ヨーレートY、操舵角θs、車速Vおよび車輪速VSP)が入力される。操舵角θsについては他のECUと接続された車両通信RANを介して入力される。これらのセンサ値に基づき車両状態推定部101は車両挙動を推定し、推定された車両挙動に基づき目標挙動演算部102は目標挙動を演算する。推定された車両挙動および演算された目標挙動に基づき、制御量演算部103は油圧ユニットH/Uの制御量を演算する。
各輪制動力演算部104は、演算された制御量に基づき各ホイルシリンダW/Cの制動力を演算し、この制動力に基づき目標液圧演算部105において目標液圧が演算されて駆動部106により油圧ユニットH/Uが駆動される。なお、故障診断部107はセンサ故障を検出して駆動部106へ出力し、これにより駆動部106は故障時制御を実行する。
また、車両状態推定部101は操舵角θsの変化量Aを常時検出しており、この操舵角変化量Aを取り込んで積算することにより演算前輪操舵角値θs1を常時算出している。また、この演算前輪操舵角値θs1は、中立補正処理により算出された補正値Δθsを用いて実操舵角に一致するように補正される(図5参照)。
(SBW.CU)
SBW.CU19は、故障診断部201を有し、この故障診断部201では、転舵制御の故障診断、反力制御の故障診断、EPS制御(電動モータによるパワーステアリング制御)の故障診断、SBW(クラッチ切り離しによるステア・バイ・ワイヤ)からEPS(クラッチ接続によるモータアシストステアリング)への移行制御が診断される。
SBW.CU19は、故障診断部201を有し、この故障診断部201では、転舵制御の故障診断、反力制御の故障診断、EPS制御(電動モータによるパワーステアリング制御)の故障診断、SBW(クラッチ切り離しによるステア・バイ・ワイヤ)からEPS(クラッチ接続によるモータアシストステアリング)への移行制御が診断される。
SBW.CUには操舵角θsおよび転舵角θt、および転舵モータ14の回転角θsmが入力される。故障診断部201は各センサ値に基づきステアバイワイヤシステムにおける故障の有無を診断し、クラッチリレー9aへ診断結果を出力する。クラッチリレー9aは診断結果が故障であればクラッチ9を締結してマニュアルステアを確保する。
転舵指令演算部202はセンサ値および故障診断結果に基づき転舵指令を演算し、転舵モータ14を駆動する。操舵反力指令演算部203は操舵反力指令を演算し、反力モータ5を駆動する。
[車両挙動基本制御]
図4はVDC.CUにおいて実行される車両挙動制御の基本フローである。以下、各ステップにつき説明する。
図4はVDC.CUにおいて実行される車両挙動制御の基本フローである。以下、各ステップにつき説明する。
ステップS101では各センサ値(前後加速度Gx、横加速度Gy、ヨーレートY、操舵角θs、車速Vおよび車輪速VSP)の信号を読み込み、ステップS102へ移行する。
ステップS102では目標制動力Fbtiを演算し、ステップS103へ移行する。
ステップS103では目標ヨーレート演算結果を読み込み、ステップS104へ移行する。この目標ヨーレートは各センサ信号に基づきマップにより決定される。
ステップS104ではヨーレートYの目標値と実際値との偏差Δγを演算し、ステップS105へ移行する。
ステップS105では偏差Δγの絶対値|Δγ|≧所定値γeであるかどうかが判断され、YESであればステップS106へ移行し、NOであればステップS107へ移行する。
ステップS106ではVDC等の車両挙動制御を実行し、制御を終了する。
ステップS107では通常制動制御を実行し、制御を終了する。
[VDC.CUにおける操舵角中立点補正]
図5はVDC.CUの車両状態推定部101において実行される操舵角中立点補正制御の流れを示すフローチャートである。以下、各ステップにつき説明する。この中立補正処理では、左右の車輪速VSP(FL,FR)に基づいて算出された推定操舵角値θsa1を多数買いサンプリングしてその平均をとった推定操舵角積算平均値θsmsa1は、正確な操舵角を示しているとの考え方に基づいている。
図5はVDC.CUの車両状態推定部101において実行される操舵角中立点補正制御の流れを示すフローチャートである。以下、各ステップにつき説明する。この中立補正処理では、左右の車輪速VSP(FL,FR)に基づいて算出された推定操舵角値θsa1を多数買いサンプリングしてその平均をとった推定操舵角積算平均値θsmsa1は、正確な操舵角を示しているとの考え方に基づいている。
ステップS201では前輪16(FL,FR)の演算操舵角値θs1およびθsa1を求め、ステップS202へ移行する。演算操舵角値θs1は操舵角センサ1からの操舵角変化量Aに基づいて算出され、推定操舵角値θsa1は左右前輪16(FL,FR)の車輪速VSP(FL,FR)に基づき次式から算出される。
θsa1=N・I/W・{(VSP(FL)+VSP(FR))/2}・180・3.14・{1+K(VSP(FL)+VSP(FR)/2)2}
N:ステアリングギヤ比、I:ホイールベース、
W:フロントトレッド、K:スタビリティファクタ
θsa1=N・I/W・{(VSP(FL)+VSP(FR))/2}・180・3.14・{1+K(VSP(FL)+VSP(FR)/2)2}
N:ステアリングギヤ比、I:ホイールベース、
W:フロントトレッド、K:スタビリティファクタ
ステップS202では、車速が所定値以上のときに演算操舵角積算平均値θsms1および推定操舵角積算平均値θsmsa1を算出する。算出されればステップS203へ移行し、算出されていなければ制御を終了する。
なお、演算操舵角積算平均値θsms1および推定操舵角積算平均値θsmsa1は所定値以上の車速で走行しているときの過去数百回分のデータを積算してその平均をとる。したがって、イグニッションスイッチを投入してから最初の演算操舵角積算平均値θsms1および推定操舵角積算平均値θsmsa1が算出されるまでは、このフロー(図5)を繰り返し実行する。
演算操舵角積算平均値θsms1および推定操舵角積算平均値θsmsa1が一旦算出されれば、以後はθsms1およびθsmsa1の最新データを取り込むと同時に古いデータを捨てることにより、このルーチンを実行するたびに最新のθsms1およびθsmsa1を算出する。
なお、演算操舵角積算平均値θsms1および推定操舵角積算平均値θsmsa1は所定値以上の車速で走行しているときの過去数百回分のデータを積算してその平均をとる。したがって、イグニッションスイッチを投入してから最初の演算操舵角積算平均値θsms1および推定操舵角積算平均値θsmsa1が算出されるまでは、このフロー(図5)を繰り返し実行する。
演算操舵角積算平均値θsms1および推定操舵角積算平均値θsmsa1が一旦算出されれば、以後はθsms1およびθsmsa1の最新データを取り込むと同時に古いデータを捨てることにより、このルーチンを実行するたびに最新のθsms1およびθsmsa1を算出する。
ステップS203では演算操舵角積算平均値θsms1から推定操舵角積算平均値θsmsa1を減算して中立補正値Δθsを演算し、ステップS204へ移行する。
ステップS204では演算操舵角値θs1から中立補正値Δθsを減算し、今回の演算操舵角値θs2として制御を終了する。
[操舵角センサ異常誤検出回避]
操舵制御装置で用いられる2つ以上の操舵角センサ値のうち、1つを制動制御装置から供給を受けることによって操舵角センサ数の低減を図った場合、操舵制御装置は制動制御装置により中立点補正を施された操舵角を受け取ることになる。したがって操舵制御装置には中立点補正を施された操舵角と施されていない操舵角が入力され、両者は互いに値が異なるため、仮に操舵角センサが正常であったとしても、操舵制御装置により操舵角センサ異常を誤検出するおそれがある。
操舵制御装置で用いられる2つ以上の操舵角センサ値のうち、1つを制動制御装置から供給を受けることによって操舵角センサ数の低減を図った場合、操舵制御装置は制動制御装置により中立点補正を施された操舵角を受け取ることになる。したがって操舵制御装置には中立点補正を施された操舵角と施されていない操舵角が入力され、両者は互いに値が異なるため、仮に操舵角センサが正常であったとしても、操舵制御装置により操舵角センサ異常を誤検出するおそれがある。
そのため本願実施例1では、VDC.CUとSBW.CUとを車両通信RANによって接続し、この車両通信RANに中立補正前の操舵角θs1を共有信号とする。これによりSBW.CUは中立補正前の操舵角θs1を確実に受け取り、操舵角センサの異常誤検出を回避する。
[実施例1の効果]
(1)操舵角θs、車輪速VSP、およびヨーレートYに基づき各輪16(FL〜RR)の制動力を演算し、演算された制動力に基づいて各輪16(FL〜RR)のホイルシリンダ圧P(FL〜RR)を制御するVDC.CUにおいて、VDC.CUは車両RANと接続し、VDC.CUは、車輪速VSPおよびヨーレートYに基づき操舵角θsの中立補正を行い、この中立補正後の操舵角θs2に基づき各輪16(FL〜RR)の制動力を演算するとともに、中立補正前の操舵角θs1を、車両RANに送信することとした。
(1)操舵角θs、車輪速VSP、およびヨーレートYに基づき各輪16(FL〜RR)の制動力を演算し、演算された制動力に基づいて各輪16(FL〜RR)のホイルシリンダ圧P(FL〜RR)を制御するVDC.CUにおいて、VDC.CUは車両RANと接続し、VDC.CUは、車輪速VSPおよびヨーレートYに基づき操舵角θsの中立補正を行い、この中立補正後の操舵角θs2に基づき各輪16(FL〜RR)の制動力を演算するとともに、中立補正前の操舵角θs1を、車両RANに送信することとした。
これにより、中立補正前の操舵角θs1を必要とする車載機器を搭載した車両にあっても、車載機器は車両RANを介して中立補正前の操舵角θs1を確実に受け取り、操舵角センサ1の異常誤検出を回避することができる。
(2)車両RANは、操舵制御手段と接続し、操舵制御手段は、操作入力を受けるステアリングホイール6と、前輪16(FL,FR)を転舵させるステアリング機構15とを備え、SBW.CUは、ステアリングホイール6とステアリング機構15とが機械的に切り離された状態で、ステアリングホイール6の操舵入力に応じて発生する操舵角θsに対応する電気信号によって、ステアリング機構15を作動させることとした。
これにより、ステアバイワイヤシステムを搭載した車両にあっても、上記(1)と同様の作用効果を得ることができる。
実施例2につき図6に基づき説明する。基本構成は実施例1と同様である。実施例1では車両RANによりVDC.CUとSBW.CUとを接続したが、実施例2では車両RANによらず直接接続する点で異なる。
図6は実施例2におけるVDC.CUとSBW.CUの制御ブロック図である。VDC.CUとSBW.CUと直接接続され、VDC.CUからSBW.CUへ補正前の操舵角θs1を直接送信する。
[実施例2の効果]
(3)操舵角θs、車輪速VSP、およびヨーレートYに基づき各輪16(FL〜RR)の制動力を演算し、演算された制動力に基づいて各輪16(FL〜RR)のホイルシリンダ圧P(FL〜RR)を制御するVDC.CUにおいて、VDC.CUは、操舵角θsを必要とする車載機器と接続し、VDC.CUは、車輪速VSPおよびヨーレートYに基づき操舵角θsの中立補正を行い、この中立補正後の操舵角θs2に基づき各輪16(FL〜RR)の制動力を演算するとともに、中立補正前の操舵角θs1を、車載機器に送信することとした。
(3)操舵角θs、車輪速VSP、およびヨーレートYに基づき各輪16(FL〜RR)の制動力を演算し、演算された制動力に基づいて各輪16(FL〜RR)のホイルシリンダ圧P(FL〜RR)を制御するVDC.CUにおいて、VDC.CUは、操舵角θsを必要とする車載機器と接続し、VDC.CUは、車輪速VSPおよびヨーレートYに基づき操舵角θsの中立補正を行い、この中立補正後の操舵角θs2に基づき各輪16(FL〜RR)の制動力を演算するとともに、中立補正前の操舵角θs1を、車載機器に送信することとした。
これにより、実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
(4)車載機器は操舵制御手段であって、VDC.CUは、操作入力を受けるステアリングホイール6と、前輪16(FL,FR)を転舵させるステアリング機構15とを備え、SBW.CUは、ステアリングホイール6とステアリング機構15とが機械的に切り離された状態で、ステアリングホイール6の操舵入力に応じて発生する電気信号によって、ステアリング機構15を作動させ、電気信号は、中立補正前の操舵角θs1に対応する信号であることとした。
これにより、ステアバイワイヤシステム搭載車両にあっても、実施例1と同様の作用効果が得られる。
実施例3につき図7に基づき説明する。基本構成は実施例1と同様である。実施例3では、SBW.CUは補正後の操舵角θs2とともにおよびθsの補正量を検出し、補正後の操舵角θを補正前の値に戻し、補正前の操舵角θs1に基づき操舵制御を行う点で異なる。
[操舵角の戻し補正]
図7は、実施例3における操舵角θsの戻し補正の流れを示すフローチャートである。以下、各ステップにつき説明する。
図7は、実施例3における操舵角θsの戻し補正の流れを示すフローチャートである。以下、各ステップにつき説明する。
ステップS301ではVDC.CUにおいて中立補正後の操舵角θs2、推定操舵角θsa2が演算され、ステップS302へ移行する。
ステップS302ではVDC.CUにおいて車速が所定値以上のときに演算操舵角積算平均値θsms1および推定操舵角積算平均値θsmsa1を算出する。算出されればステップS303へ移行し、算出されていなければ制御を終了する(図5のステップS202と同様)。
ステップS303では演算操舵角積算平均値θsms1から推定操舵角積算平均値θsmsa1を減算して中立補正値Δθsを演算し、ステップS304へ移行する。
ステップS304では補正後の操舵角θs2から中立補正値Δθを減算し、補正前の操舵角θs1を算出して制御を終了する。
[実施例3の効果]
(5)操舵角θs、車輪速VSP、およびヨーレートYに基づき各輪16(FL〜RR)の制動力を演算し、演算された制動力に基づいて各輪16(FL〜RR)のホイルシリンダ圧P(FL〜RR)を制御する制動制御装置において、VDC.CUは、操舵角θsを必要とする車載機器と接続し、VDC.CUは、車輪速VSPおよびヨーレートYに基づき操舵角θsの中立補正を行い、この中立補正後の操舵角θsに基づき各輪16(FL〜RR)の制動力を演算するとともに、この中立補正後の操舵角θsを車載機器に送信し、車載機器は、中立補正における操舵角θsの補正量を検出し、この補正量および入力された中立補正後の操舵角θsに基づき、中立補正前の操舵角θsを算出し、この中立補正前の操舵角θsに基づき独自に演算を行うこととした。
(5)操舵角θs、車輪速VSP、およびヨーレートYに基づき各輪16(FL〜RR)の制動力を演算し、演算された制動力に基づいて各輪16(FL〜RR)のホイルシリンダ圧P(FL〜RR)を制御する制動制御装置において、VDC.CUは、操舵角θsを必要とする車載機器と接続し、VDC.CUは、車輪速VSPおよびヨーレートYに基づき操舵角θsの中立補正を行い、この中立補正後の操舵角θsに基づき各輪16(FL〜RR)の制動力を演算するとともに、この中立補正後の操舵角θsを車載機器に送信し、車載機器は、中立補正における操舵角θsの補正量を検出し、この補正量および入力された中立補正後の操舵角θsに基づき、中立補正前の操舵角θsを算出し、この中立補正前の操舵角θsに基づき独自に演算を行うこととした。
これにより、実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
(6)車載機器は操舵制御手段であって、操舵制御手段は、操作入力を受けるステアリングホイール6と、前輪16(FL,FR)を転舵させるステアリング機構15とを備え、SBW.CUは、ステアリングホイール6とステアリング機構15とが機械的に切り離された状態で、ステアリングホイール6の操舵入力に応じて発生する電気信号によって、ステアリング機構15を作動させる操舵制御手段であって、電気信号は、中立補正前の操舵角θsに対応する信号であることとした。
これにより、ステアバイワイヤシステム搭載車両にあっても、実施例1と同様の作用効果が得られる。
(他の実施例)
以上、本発明の制動制御装置を各実施例に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
以上、本発明の制動制御装置を各実施例に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
1 操舵角センサ
2 エンコーダ
3 トルクセンサ
5 反力モータ
6 ステアリングホイール
7 ケーブルコラム
8 コラムシャフト
9 クラッチ
9a クラッチリレー
10 エンコーダ
11 転舵角センサ
12 トルクセンサ
14 転舵モータ
15 ステアリング機構
15a ラックチューブ
15b ラックシャフト
15c タイロッド
15d ナックルアーム
16(FL〜RR) 車輪
17 ピニオンシャフト
18 電源
20 双方向通信線
101 車両状態推定部
102 目標挙動演算部
103 制御量演算部
104 各輪制動力演算部
105 目標液圧演算部
106 駆動部
107 故障診断部
201 故障診断部
202 転舵指令演算部
203 操舵反力指令演算部
H/U 油圧ユニット
RAN 車両RAN
W/C(FL〜RR) ホイルシリンダ
2 エンコーダ
3 トルクセンサ
5 反力モータ
6 ステアリングホイール
7 ケーブルコラム
8 コラムシャフト
9 クラッチ
9a クラッチリレー
10 エンコーダ
11 転舵角センサ
12 トルクセンサ
14 転舵モータ
15 ステアリング機構
15a ラックチューブ
15b ラックシャフト
15c タイロッド
15d ナックルアーム
16(FL〜RR) 車輪
17 ピニオンシャフト
18 電源
20 双方向通信線
101 車両状態推定部
102 目標挙動演算部
103 制御量演算部
104 各輪制動力演算部
105 目標液圧演算部
106 駆動部
107 故障診断部
201 故障診断部
202 転舵指令演算部
203 操舵反力指令演算部
H/U 油圧ユニット
RAN 車両RAN
W/C(FL〜RR) ホイルシリンダ
Claims (6)
- 操舵角、車輪速、および他の車両情報に基づき各輪の制動力を演算し、演算された前記制動力に基づいて前記各輪のホイルシリンダ圧を制御する制動制御装置において、
前記制動制御装置は車両共有ネットワークと接続し、
前記制動制御装置は、前記車輪速および前記他の車両情報に基づき前記操舵角の中立補正を行い、この中立補正後の操舵角に基づき前記各輪の制動力を演算するとともに、前記中立補正前の操舵角を、前記車両共有ネットワークに送信すること
を特徴とする制動制御装置。 - 請求項1に記載の制動制御装置において、
前記車両共有ネットワークは、操舵制御手段と接続し、
前記操舵制御手段は、
操作入力を受ける操作入力手段と、前記操向輪を転舵させるステアリング機構とを備え、
前記操作入力手段と前記ステアリング機構とが機械的に切り離された状態で、前記操作入力手段の操舵入力に応じて発生する操舵角に対応する電気信号によって、前記ステアリング機構を作動させること
を特徴とする制動制御装置。 - 操舵角、車輪速、および他の車両情報に基づき各輪の制動力を演算し、演算された前記制動力に基づいて前記各輪のホイルシリンダ圧を制御する制動制御装置において、
前記制動制御装置は、前記操舵角を必要とする車載機器と接続し、
前記制動制御装置は、前記車輪速および前記他の車両情報に基づき前記操舵角の中立補正を行い、この中立補正後の操舵角に基づき前記各輪の制動力を演算するとともに、前記中立補正前の操舵角を、前記車載機器に送信すること
を特徴とする制動制御装置。 - 請求項3に記載の制動制御装置において、
前記車載機器は操舵制御手段であって、
前記操舵制御手段は、
操作入力を受ける操作入力手段と、前記操向輪を転舵させるステアリング機構とを備え、
前記操作入力手段と前記ステアリング機構とが機械的に切り離された状態で、前記操作入力手段の操舵入力に応じて発生する電気信号によって、前記ステアリング機構を作動させる操舵制御手段であって、
前記電気信号は、前記中立補正前の操舵角に対応する信号であること
を特徴とする制動制御装置。 - 操舵角、車輪速、および他の車両情報に基づき各輪の制動力を演算し、演算された前記制動力に基づいて前記各輪のホイルシリンダ圧を制御する制動制御装置において、
前記制動制御装置は、前記操舵角を必要とする車載機器と接続し、
前記制動制御装置は、前記車輪速および前記他の車両情報に基づき前記操舵角の中立補正を行い、この中立補正後の操舵角に基づき前記各輪の制動力を演算するとともに、この中立補正後の操舵角を前記車載機器に送信し、
前記車載機器は、前記中立補正における前記操舵角の補正量を検出し、この補正量および入力された前記中立補正後の操舵角に基づき、前記中立補正前の操舵角を算出し、この中立補正前の操舵角に基づき独自に演算を行うこと
を特徴とする制動制御装置。 - 請求項5に記載の制動制御装置において、
前記車載機器は操舵制御手段であって、
前記操舵制御手段は、
操作入力を受ける操作入力手段と、前記操向輪を転舵させるステアリング機構とを備え、
前記操作入力手段と前記ステアリング機構とが機械的に切り離された状態で、前記操作入力手段の操舵入力に応じて発生する電気信号によって、前記ステアリング機構を作動させる操舵制御手段であって、
前記電気信号は、前記中立補正前の操舵角に対応する信号であること
を特徴とする制動制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006205938A JP2008030590A (ja) | 2006-07-28 | 2006-07-28 | 制動制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006205938A JP2008030590A (ja) | 2006-07-28 | 2006-07-28 | 制動制御装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008030590A true JP2008030590A (ja) | 2008-02-14 |
Family
ID=39120465
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006205938A Pending JP2008030590A (ja) | 2006-07-28 | 2006-07-28 | 制動制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2008030590A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010221918A (ja) * | 2009-03-24 | 2010-10-07 | Nissan Motor Co Ltd | 車両用操舵装置 |
JP2013028244A (ja) * | 2011-07-28 | 2013-02-07 | Suzuki Motor Corp | 車両用制御装置 |
WO2017175361A1 (ja) * | 2016-04-07 | 2017-10-12 | 株式会社小松製作所 | 走行車両及び走行車両の制御方法 |
-
2006
- 2006-07-28 JP JP2006205938A patent/JP2008030590A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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WO2017175361A1 (ja) * | 2016-04-07 | 2017-10-12 | 株式会社小松製作所 | 走行車両及び走行車両の制御方法 |
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US10343717B2 (en) | 2016-04-07 | 2019-07-09 | Komatsu Ltd. | Travel vehicle and method for controlling travel vehicle |
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