JP6098351B2 - 車両用操舵制御装置及び車両用操舵制御方法 - Google Patents

車両用操舵制御装置及び車両用操舵制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、ステアリングホイールと転舵輪との間のトルク伝達経路を機械的に分離した状態で、転舵輪を、ステアリングホイールの操舵操作に応じて転舵モータ等のアクチュエータを介して転舵させる、車両用操舵制御装置及び車両用操舵制御方法に関する。
車両の転舵輪を制御する装置として、例えば、特許文献1に記載されているように、ステアリングホイール(操舵操作子)と転舵輪とを、機械的に分離させたステアバイワイヤ方式(SBW方式)の車両用操舵制御装置がある。
特開2004‐291877号公報
SBW方式の車両用操舵制御装置では、駐車時等、イグニッションスイッチをオフ状態に切り替えて、バッテリからECU(演算部)への電力の供給を遮断する際に、イグニッションスイッチをオフ状態に切り替えた時点で推定した、転舵輪の転舵角を記憶する。これに加え、トルク伝達経路を機械的に連結する。そして、車両の発進時等に、オフ状態のイグニッションスイッチをオン状態に切り替えると、トルク伝達経路を機械的に分離し、記憶している転舵角に基づき、トルク伝達経路を機械的に分離した状態における転舵輪の転舵制御(SBW制御)を行なう。
しかしながら、特許文献1を含め、従来のSBW方式の車両用操舵制御装置では、バッテリからECUへの電力の供給が制御対象外の状態で遮断されると、記憶していた転舵角を読み出せない場合がある。
このため、ECUへの電力の供給が制御対象外の状態で遮断されると、記憶している転舵角に基づいて行う制御である運転支援機能の制御(ABS制御等)を行なうことができないという問題が発生するおそれがある。
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたもので、記憶している転舵角を読み出せない場合であっても、運転支援機能の制御を行なうことが可能な、車両用操舵制御装置及び操舵制御方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、イグニッションスイッチがオン状態であるとともにバッテリの電圧が予め設定した電圧閾値未満となると、クラッチを開放状態から締結状態に切り替える。そして、開放状態のクラッチが締結状態に切り替わる直前に推定した転舵角を用いて、運転支援機能を制御する。また、クラッチを締結状態から開放状態に切り替えると、電圧閾値未満の電圧が電圧閾値以上となり、且つ車両の走行状態が直進であると判定した時に推定した転舵角を用いて、運転支援機能を制御する。
本発明によれば、クラッチを締結状態から開放状態に切り替えると、電圧閾値未満の電圧が電圧閾値以上となり、且つ車両の走行状態が直進であると判定した時に推定した転舵角を用いて、運転支援機能を制御することが可能となる。
このため、記憶している転舵角を読み出せない場合であっても、クラッチを締結状態から開放状態に切り替えた時点から、推定精度が高い状態で推定した転舵角を用いて、運転支援機能を制御することが可能となる。
本発明の第一実施形態の車両用操舵制御装置を備えた車両の概略構成を示す図である。 総合コントローラの構成を示すブロック図である。 転舵角推定マップを示す図である。 リミット角設定マップを示す図である。 走行モード設定部が走行モードの設定に用いるテーブルを示す図である。 総合コントローラが行なう処理を示すフローチャートである。 総合コントローラが行なう処理を示すタイムチャートである。 本発明の第一実施形態の車両用操舵制御装置を用いた車両の動作を示すタイムチャートである。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
(第一実施形態)
以下、本発明の第一実施形態(以下、本実施形態と記載する)について、図面を参照しつつ説明する。
(構成)
図1は、本実施形態の車両用操舵制御装置を備えた車両の概略構成を示す図である。
本実施形態の車両用操舵制御装置1を備えた車両は、ステアバイワイヤ(SBW:Steer By Wire、以降の説明では、「SBW」と記載する場合がある)と呼称するシステム(SBWシステム)を適用した車両である。
ここで、SBWシステムでは、車両の運転者が操舵操作するステアリングホイール(操舵輪)の操作に応じてアクチュエータ(例えば、転舵モータ)を駆動制御して、転舵輪を転舵する制御を行うことにより、車両の進行方向を変化させる。転舵モータの駆動制御は、ステアリングホイールと転舵輪との間に介装するクラッチを、通常状態である開放状態に切り替えて、ステアリングホイールと転舵輪との間のトルク伝達経路を機械的に分離した状態で行う。また、転舵モータの駆動制御は、クラッチを開放状態に切り替えて、ステアリングホイールの操舵角に応じた目標転舵角を算出し、この算出した目標転舵角に応じて行なう。
そして、例えば、断線等、SBWシステムの一部に異常が発生した場合や、車両に搭載したバッテリの電圧が低下してSBWシステムの制御が不可能となった場合等には、開放状態のクラッチを締結状態に切り替えて、トルク伝達経路を機械的に接続する。これにより、運転者がステアリングホイールに加える力を用いて、転舵輪の転舵を継続する。これに加え、運転者によるステアリングホイールの操作状態(操舵量、操舵トルク、操舵速度等)に応じて、転舵モータからアシストトルクを出力するEPS(Electric Power Steering)制御を行なう。なお、車両の構成を、例えば、車室内に配置した制御切り替えスイッチを備える構成として、運転者が制御切り替えスイッチを操作することにより、SBWシステムによる制御からEPS制御への切り替えを、運転者により任意に行なうことが可能な構成としてもよい。
図1中に示すように、本実施形態の車両用操舵制御装置1は、第一転舵モータ2と、第二転舵モータ4と、反力モータ6と、クラッチ8と、操舵角検出部10と、車速検出部12と、ヨーレート検出部14を備える。これに加え、車両用操舵制御装置1は、第一転舵モータ角度センサ16と、第二転舵モータ角度センサ18と、第一転舵モータトルクセンサ20と、総合コントローラ22を備える。
第一転舵モータ2は、総合コントローラ22が出力する転舵モータ駆動電流に応じて駆動する電動モータであり、上述した目標転舵角に応じて回転して、転舵輪24を転舵制御する転舵アクチュエータを形成する。また、第一転舵モータ2は、転舵モータ駆動電流に応じて駆動することにより、転舵輪24を転舵させるための第一転舵トルクを出力する。なお、転舵アクチュエータとしては、電動モータ以外に、動力シリンダーや、ソレノイドを備えた油圧回路等を用いることが可能である。
また、第一転舵モータ2は、回転可能な第一転舵モータ出力軸26を有する。
第一転舵モータ出力軸26の先端側には、ピニオンギヤを用いて形成した第一転舵出力歯車(図示せず)を設けてある。
第一転舵出力歯車は、ステアリングラック28に挿通させたラック軸30の両端部間に設けたラックギア(図示せず)と噛合する。
第二転舵モータ4は、第一転舵モータ2と同様、総合コントローラ22が出力する転舵モータ駆動電流に応じて駆動する電動モータであり、上述した目標転舵角に応じて回転して、転舵輪24を転舵制御する転舵アクチュエータを形成する。また、第二転舵モータ4は、第一転舵モータ2と同様、転舵モータ駆動電流に応じて駆動することにより、転舵輪24を転舵させるための第二転舵トルクを出力する。
また、第二転舵モータ4は、回転可能な第二転舵モータ出力軸32を有する。
第二転舵モータ出力軸32の先端側には、ピニオンギヤを用いて形成し、ラックギアと噛合する第二転舵出力歯車(図示せず)を設けてある。
ステアリングラック28は、円筒形状に形成してあり、ラック軸30を挿通させる。
ラック軸30は、第一転舵モータ出力軸26及び第二転舵モータ出力軸32のうち少なくとも一方の回転、すなわち、第一転舵出力歯車及び第二転舵出力歯車のうち少なくとも一方の回転に応じて車幅方向へ変位する。
また、ラック軸30の両端は、それぞれ、タイロッド34及びナックルアーム36を介して、転舵輪24に連結する。
転舵輪24は、車両の前輪(左右前輪)であり、第一転舵モータ出力軸26及び第二転舵モータ出力軸32のうち少なくとも一方の回転に応じてラック軸30が車幅方向へ変位すると、タイロッド34及びナックルアーム36を介して転舵する。これにより、車両の進行方向を変化させる。なお、本実施形態では、転舵輪24を、左右前輪で形成した場合を説明する。これに伴い、図1中では、左前輪で形成した転舵輪24を、転舵輪24FLと示し、右前輪で形成した転舵輪24を、転舵輪24FRと示す。
反力モータ6は、総合コントローラ22が出力する反力モータ駆動電流に応じて駆動する電動モータであり、ステアリングホイール38へ操舵反力を出力可能な反力アクチュエータを形成する。なお、操舵反力の出力は、ステアリングホイール38と共に回転するステアリングシャフト40を回転させて行なう。ここで、反力モータ6がステアリングホイール38へ出力する操舵反力は、転舵輪24に作用しているタイヤ軸力やステアリングホイール38の操舵状態に応じて演算する。この演算は、クラッチ8を開放状態に切り替えて、ステアリングホイール38と転舵輪24との間のトルク伝達経路を機械的に分離させている状態で行なう。これにより、ステアリングホイール38を操舵する運転者へ、適切な操舵反力を伝達する。すなわち、反力モータ6がステアリングホイール38へ出力する操舵反力は、運転者がステアリングホイール38を操舵する操作方向とは反対方向へ作用する反力である。なお、反力アクチュエータとしては、電動モータ以外に、動力シリンダーや、ソレノイドを備えた油圧回路等を用いることが可能である。
クラッチ8は、運転者が操作するステアリングホイール38と転舵輪24との間に介装し、総合コントローラ22が出力するクラッチ指令電流に応じて、開放状態または締結状態に切り替わる。なお、クラッチ8は、通常状態では、開放状態である。
ここで、クラッチ8を開放状態に切り換えると、ステアリングシャフト40の一端側とピニオン軸42の一端側を離間させる。これにより、ステアリングホイール38と転舵輪24との間のトルク伝達経路を機械的に分離させて、ステアリングホイール38の操舵操作が転舵輪24へ伝達されない状態とする。なお、ステアリングシャフト40は、一端側をクラッチ8の内部で操舵側クラッチ板(図示せず)に連結し、他端側をステアリングホイール38に連結して、ステアリングホイール38と共に回転する。また、ピニオン軸42は、一端側をクラッチ8の内部で転舵側クラッチ板(図示せず)に連結し、他端側に設けた歯車(図示せず)をラックギアに噛合させる。
一方、クラッチ8を締結状態に切り換えると、ステアリングシャフト40の一端側とピニオン軸42の一端側を連結する。これにより、ステアリングホイール38と転舵輪24との間のトルク伝達経路を機械的に連結させて、ステアリングホイール38の操舵操作が転舵輪24へ伝達される状態とする。
操舵角検出部10は、例えば、ロータリーエンコーダ等を用いて形成し、ステアリングホイール38を回転可能に支持するステアリングコラム(図示せず)に設ける。
また、操舵角検出部10は、ステアリングホイール38の現在の回転角度(操舵操作量)である現在操舵角を検出する。そして、操舵角検出部10は、検出したステアリングホイール38の現在操舵角を含む情報信号を、総合コントローラ22へ出力する。
ここで、近年の車両は、ステアリングホイール38の操舵角を検出可能なセンサを、標準的に備えている場合が多い。このため、本実施形態では、操舵角検出部10として、車両に既存のセンサである、ステアリングホイール38の操舵角を検出可能なセンサを用いた場合について説明する。
車速検出部12は、例えば、公知の車速センサであり、車両の車速を検出し、この検出した車速を含む情報信号を、総合コントローラ22へ出力する。
ヨーレート検出部14は、車両のヨーレートを検出し、この検出したヨーレートを含む情報信号を、総合コントローラ22へ出力する。
第一転舵モータ角度センサ16は、例えば、レゾルバ等を用いて形成し、第一転舵モータ2に設ける。
また、第一転舵モータ角度センサ16は、第一転舵モータ2の回転角度(転舵角度)を検出する。そして、第一転舵モータ角度センサ16は、検出した転舵角度(以降の説明では、「第一転舵モータ回転角」と記載する場合がある)を含む情報信号を、総合コントローラ22へ出力する。
第一転舵モータトルクセンサ20は、例えば、トーションバーを有するセンサ等を用いて形成し、第一転舵モータ2に設ける。
また、第一転舵モータトルクセンサ20は、第一転舵モータ2が駆動時に発生させるトルクである第一転舵モータトルクを検出する。そして、第一転舵モータトルクセンサ20は、検出した第一転舵モータトルクを含む情報信号を、総合コントローラ22へ出力する。
なお、本実施形態では、第一転舵モータトルクセンサ20が検出した第一転舵モータトルクを、運転者がステアリングホイール38に加えているトルクである操舵トルクに変換する。そして、この変換した操舵トルクを含む情報信号を、総合コントローラ22へ出力する場合について説明する。
第二転舵モータ角度センサ18は、第一転舵モータ角度センサ16と同様、例えば、レゾルバ等を用いて形成し、第二転舵モータ4に設ける。
また、第二転舵モータ角度センサ18は、第二転舵モータ4の回転角度(転舵角度)を検出する。そして、第二転舵モータ角度センサ18は、検出した転舵角度(以降の説明では、「第二転舵モータ回転角」と記載する場合がある)を含む情報信号を、総合コントローラ22へ出力する。
総合コントローラ22は、第一転舵モータ2、第二転舵モータ4、反力モータ6、クラッチ8と、CAN(Controller Area Network)やFlexRay等の通信ライン44を介して、情報信号の入出力を行う。
また、総合コントローラ22は、通信ライン44を介して、操舵角検出部10、車速検出部12、ヨーレート検出部14、第一転舵モータ角度センサ16、第二転舵モータ角度センサ18、第一転舵モータトルクセンサ20が出力する情報信号の入力を受ける。
また、総合コントローラ22は、バッテリ46の状態(電圧、電池容量等)を取得する。
なお、総合コントローラ22の詳細な構成と、総合コントローラ22が行なう具体的な処理についての説明は、後述する。
(総合コントローラ22の詳細な構成)
次に、図1を参照しつつ、図2から図5を用いて、総合コントローラ22の詳細な構成について説明する。
図2は、総合コントローラ22の構成を示すブロック図である。
図2中に示すように、総合コントローラ22は、転舵角記憶部48と、第一転舵モータ制御部50と、第二転舵モータ制御部52と、反力モータ制御部54と、転舵角推定用マップ記憶部56を備える。これに加え、総合コントローラ22は、転舵角推定部58と、走行モード設定部60と、クラッチ状態切り替え部62と、運転支援機能制御部64を備える。
転舵角記憶部48は、ステアリングホイール38の操舵角と転舵輪24の実転舵角を共に中立位置:0[°]へ調整した状態における、第一転舵モータ2及び第二転舵モータ4の回転角度を記憶する。
ここで、第一転舵モータ2及び第二転舵モータ4の回転角度を記憶する処理は、例えば、車両の製造時や、車両の出荷前に行なう調整工程等において行う。また、ステアリングホイール38の操舵角と転舵輪24の実転舵角を共に中立位置へ調整した状態における、第一転舵モータ2及び第二転舵モータ4の回転角度とは、操舵角に対する第一転舵モータ回転角及び第一転舵モータ回転角の偏差である。また、操舵角に対する第一転舵モータ回転角及び第一転舵モータ回転角の偏差は、例えば、偏差角[deg]で表す。
本実施形態では、一例として、ステアリングホイール38の操舵角と転舵輪24の実転舵角を共に中立位置へ調整した状態における、第一転舵モータ2の回転角度を、操舵角に対する第一転舵モータ回転角の偏差が0[°]とした場合を説明する。同様に、ステアリングホイール38の操舵角と転舵輪24の実転舵角を共に中立位置へ調整した状態における、第二転舵モータ4の回転角度を、操舵角に対する第二転舵モータ回転角の偏差が0[°]とした場合を説明する。
また、転舵角記憶部48は、転舵角推定部58が推定した転舵輪24の転舵角に応じて、記憶している操舵角と第一転舵モータ回転角及び第二転舵モータ回転角との関係を補正(上書き)する処理を行う。この処理は、例えば、転舵角推定部58が推定した転舵輪24の転舵角が、右回り(車両を右旋回させる方向)へ10[°]である場合、操舵角に対する転舵モータ回転角の偏差を、左回りへ10[°]に補正(上書き)する処理である。
第一転舵モータ制御部50は、第一転舵モータ2を駆動させるための第一転舵モータ駆動電流を演算し、この演算した第一転舵モータ駆動電流を、第一転舵モータ2へ出力する。
ここで、第一転舵モータ駆動電流は、上述した第一転舵トルクを制御して、ステアリングホイール38の操作に応じた目標転舵角を算出し、この算出した目標転舵角に応じて第一転舵モータ2を駆動制御するための電流である。また、第一転舵モータ駆動電流は、実際に第一転舵モータ2へ通電している電流の指令値と、転舵角記憶部48が記憶している第一転舵モータ2の回転角度を用いて転舵モータ電流指令を補正し、演算する。
また、第一転舵モータ制御部50は、実際に第一転舵モータ2へ通電している電流の指令値に基づいて、第一転舵モータ2の温度を推定する。さらに、推定した第一転舵モータ2の温度を含む情報信号を、走行モード設定部60へ出力する。これは、電流の通電による抵抗発熱に起因する第一転舵モータ2の過熱を推定するためである。なお、実際に第一転舵モータ2へ通電している電流の指令値は、例えば、第一転舵モータ2に基板温度センサ(図示せず)を内蔵し、この内蔵した基板温度センサを用いて計測する。
第二転舵モータ制御部52は、第二転舵モータ4を駆動させるための第二転舵モータ駆動電流を演算し、この演算した第二転舵モータ駆動電流を、第二転舵モータ4へ出力する。
ここで、第二転舵モータ駆動電流は、上述した第二転舵トルクを制御して、ステアリングホイール38の操作に応じた目標転舵角を算出し、この算出した目標転舵角に応じて第二転舵モータ4を駆動制御するための電流である。また、第二転舵モータ駆動電流は、実際に第二転舵モータ4へ通電している電流の指令値と、転舵角記憶部48が記憶している第二転舵モータ4の回転角度を用いて転舵モータ電流指令を補正し、演算する。
また、第二転舵モータ制御部52は、第一転舵モータ制御部50と同様、実際に第二転舵モータ4へ通電している電流の指令値に基づいて、第二転舵モータ4の温度を推定する。さらに、推定した第二転舵モータ4の温度を含む情報信号を、走行モード設定部60へ出力する。
反力モータ制御部54は、反力モータ6を駆動させるための反力モータ駆動電流を演算し、この演算した反力モータ駆動電流を、反力モータ6へ出力する。ここで、反力モータ駆動電流の演算は、実際に反力モータ6へ通電している電流の値に基づいて行う。
また、反力モータ制御部54は、第一転舵モータ制御部50と同様、実際に反力モータ6へ通電している電流の値に基づいて、反力モータ6の温度を推定する。さらに、推定した反力モータ6の温度を含む情報信号を、走行モード設定部60へ出力する。
転舵角推定用マップ記憶部56は、運転者によるステアリングホイール38の操作量と、車両の速度(車速)に基づいて、転舵輪24の転舵角を推定するためのマップを記憶している。
ここで、転舵角推定用マップ記憶部56が記憶しているマップは、図3中に示す転舵角推定マップと、図4中に示すリミット角設定マップである。なお、図3は、転舵角推定マップを示す図であり、図4は、リミット角設定マップを示す図である。
転舵角推定マップは、図3中に示すように、横軸に操舵角を示し、縦軸に転舵角を示すマップである。また、転舵角推定マップには、図中に右上がりの直線で示すように、予め設定した車速に応じて、操舵角の変化に応じた転舵角の変化度合いを記憶させてある。
ここで、転舵角推定マップ中に右上がりの直線で示す変化度合いは、車速が0[km/h]の場合に、操舵角の変化に対する転舵角の変化量が最大となる。また、転舵角推定マップ中に右上がりの直線で示す変化度合いは、車速が0[km/h]からVへと変化するにつれて、操舵角の変化に対する転舵角の変化量が減少する。なお、転舵角推定マップ中に示す車速VからVの大小関係は、「V<V<V」である。すなわち、転舵角推定マップ中に右上がりの直線で示す変化度合いは、車速が増加するほど、操舵角の変化に対する転舵角の変化量が減少する。
リミット角設定マップは、図4中に示すように、横軸に転舵角を示すマップである。また、リミット角設定マップには、転舵輪24の中立位置からの転舵限界角度である端当て角(例えば、500[deg])を、縦軸に示している。したがって、図中に示すように、転舵角が増加して端当て角に達すると、転舵輪24の転舵角は、上限値であるリミット角に達することとなる。
ここで、端当て角は、転舵輪24の転舵可能な限界の転舵角であり、例えば、車両の設計時、製造時、工場出荷時等において、予め設定する。すなわち、転舵輪24の転舵角が端当て角に達している状態では、ステアリングホイール38を操舵しても、転舵輪24の転舵角は変化(増加)しない。
転舵角推定部58は、操舵角検出部10、車速検出部12、第一転舵モータ角度センサ16、第二転舵モータ角度センサ18が出力した情報信号の入力を受ける。また、転舵角推定部58は、バッテリ46の電圧を検出する。これに加え、転舵角推定用マップ記憶部56が記憶している転舵角推定マップとリミット角設定マップを参照する。
そして、バッテリ46の電圧が、予め設定した電圧閾値未満から電圧閾値以上となると、操舵角検出部10が検出した現在操舵角と、車速検出部12が検出した車速を、転舵角推定マップに入力する。これにより、現在操舵角と車速に応じた、転舵輪24の転舵角を推定する。このとき、推定した転舵角がリミット角設定マップに示すリミット角を超えている場合は、現在操舵角と車速に応じて推定した転舵角を、リミット角に補正する。
ここで、電圧閾値は、転舵角記憶部48が記憶している第一転舵モータ2及び第二転舵モータ4の回転角度の読取状態が異常となる電圧である。すなわち、電圧閾値は、SBW制御と、後述する運転支援機能の制御を行なうことができない電圧である。
すなわち、転舵角推定部58は、バッテリ46の電圧が電圧閾値未満から電圧閾値以上となると、操舵角検出部10が検出した現在操舵角と、車速検出部12が検出した車速に基づいて、転舵輪24の転舵角を推定する。
走行モード設定部60は、例えば、第一転舵モータ制御部50、第二転舵モータ制御部52及び反力モータ制御部54が行なう処理の結果や、第一転舵モータ2、第二転舵モータ4、反力モータ6の状態に基づいて、車両の走行モードを設定する。これに加え、走行モード設定部60は、例えば、転舵角記憶部48が記憶している第一転舵モータ2及び第二転舵モータ4の回転角度の読取状態に応じて、車両の走行モードを設定する。
具体的には、図5中に示すように、第一転舵モータ制御部50、第二転舵モータ制御部52及び反力モータ制御部54の診断結果と、回転角度の読取状態が全て正常(図中では、「○」で示す)であれば、走行モードを、通常のSBW制御に設定する。なお、通常のSBW制御とは、第一転舵モータ2、第二転舵モータ4及び反力モータ6を用いるSBW制御(図中では、「2M‐SBW」と示す)である。また、図5は、走行モード設定部60が走行モードの設定に用いるテーブルを示す図である。
また、図5中に示すように、回転角度の読取状態が異常(図中では、「×」で示す)である、すなわち、転舵角記憶部48が記憶している回転角度を読み取れない場合では、走行モードを、Tmp‐EPS制御に設定する。なお、Tmp‐EPS制御とは、第一転舵モータ2、第二転舵モータ4及び反力モータ6を用いるEPS制御(図中では、「Tmp‐EPS(2M‐EPS)」と示す)であり、一時的に行なうEPS制御である。
なお、図5中には、第一転舵モータ2、第二転舵モータ4及び反力モータ6のうち、全てのモータを用いずに、少なくとも第一転舵モータ2を用いるEPS制御を、「1M‐EPS」と示す。また、図5中には、第二転舵モータ4及び反力モータ6を用いるSBW制御を、1M‐SBWと示す。また、図5中には、全てのモータを用いずに、クラッチ8を締結状態として、運転者によるステアリングホイール38の操舵操作により転舵輪24の転舵を行なう走行モードを、「MS」と示す。
クラッチ状態切り替え部62は、車両のイグニッションスイッチの状態と、走行モード設定部60が設定した走行モードと、バッテリ46の電圧に基づいて、クラッチ8の状態を切り替える。
具体的には、イグニッションスイッチがオン状態である場合、クラッチ8を開放状態に切り替えるためのクラッチ電流指令を、クラッチ8へ出力する。また、走行モード設定部60が、走行モードを、「2M‐SBW」または「1M‐SBW」に設定すると、クラッチ8を開放状態に切り替えるためのクラッチ電流指令を、クラッチ8へ出力する。なお、イグニッションスイッチがオン状態であるとの判定は、エンジンが作動している場合に限定するものではない。この場合、運転者等によりイグニッションスイッチが操作されたことを検出すると、エンジンが停止していても、イグニッションスイッチがオン状態であると判定してもよい。これは、以降の説明においても同様である。また、エンジンが停止していても、車両のイグニッションスイッチがオン状態であるとは、例えば、イグニッションスイッチの操作位置が、ACC(アクセサリーポジション)となっている場合である。
また、イグニッションスイッチがオン状態である場合に、バッテリ46の電圧が、電圧閾値未満となると、開放状態のクラッチ8を締結状態に切り替えるためのクラッチ電流指令を、クラッチ8へ出力する。
また、電圧閾値未満となった電圧が電圧閾値以上となると、車両の走行状態に応じて、締結状態のクラッチ8を開放状態に切り替えるためのクラッチ電流指令を、クラッチ8へ出力する。なお、電圧閾値未満となった電圧が電圧閾値以上となった状態における、車両の走行状態に応じて締結状態のクラッチ8を開放状態に切り替える処理については、後述する。
一方、イグニッションスイッチがオフ状態である場合、クラッチ8を締結状態に切り替えるためのクラッチ電流指令を、クラッチ8へ出力する。また、走行モード設定部60が、走行モードを、「Tmp‐EPS(2M‐EPS)」、「1M‐EPS」、「MS」のうちいずれかに設定すると、クラッチ8を開放状態に切り替えるためのクラッチ電流指令を、クラッチ8へ出力する。
運転支援機能制御部64は、例えば、ABS制御、VDC制御、車線内走行維持支援制御等の運転支援機能を行なうために、車両の操舵状態、制動力、駆動力等を制御する処理を行う。ここで、ABS(Antilock Brake System)制御とは、車輪のロックを防止する制御であり、VDC(Vehicle Dynamics Control)制御とは、車両の横滑りを抑制する制御である。また、車線内走行維持支援制御とは、車線内を走行する車両が車線外へ逸脱することを抑制する制御である。
また、運転支援機能制御部64は、上述した各種の運転支援機能を行なうために、転舵角推定部58が推定した転舵角を用いる。
また、運転支援機能制御部64は、走行モード設定部60から転舵角補正中フラグの入力を受けると、転舵角推定部58が推定した転舵角を仮の転舵角として用い、各種の運転支援機能を行なう。これは、例えば、VDC制御等において、転舵角推定部58が推定した転舵角を正規の転舵角として用いる場合と比較して、転舵角の占める重要度を、他のパラメータ(車速等)が占める重要度よりも低下させる処理である。
また、転舵角補正中フラグは、前回、イグニッションスイッチをオフ状態とした時点で推定した転舵角を、転舵角記憶部48に記憶できない場合において、新たに転舵角を推定している状態を示すフラグである。なお、前回の推定した転舵角を転舵角記憶部48に記憶できない場合とは、バッテリ46から総合コントローラ22(ECU)への電力の供給が、制御対象外の状態で遮断される場合である。
ここで、バッテリ46から総合コントローラ22への電力の供給が、制御対象外の状態で遮断される場合とは、例えば、バッテリの瞬間的な電圧降下(瞬低)や、バッテリ端子からのケーブル外れ等である。この状態では、総合コントローラ22への電力の供給が制御対象外の状態で遮断されると、SBW制御を行なうことができないという問題が発生するおそれがある。
(総合コントローラ22が行なう具体的な処理)
次に、図1から図5を参照しつつ、図6及び図7を用いて、総合コントローラ22が行なう具体的な処理について説明する。
図6は、総合コントローラ22が行なう処理を示すフローチャートである。
図6中に示すように、総合コントローラ22が行なう処理は、オフ状態のイグニッションスイッチをオン状態に切り替える、または、バッテリ46の電圧が電圧閾値未満となった後に電圧閾値以上となると開始(START)する。
総合コントローラ22が行なう処理を開始すると、まず、ステップS100において、転舵角記憶部48が記憶している回転角度を読み出す処理(図中に示す「記憶転舵角読み出し」)を行う。ステップS100において、転舵角記憶部48が記憶している回転角度を読み出すと、総合コントローラ22が行なう処理は、ステップS102へ移行する。
ステップS102では、ステップS100で行なった処理、すなわち、転舵角記憶部48が記憶している回転角度を読み出す処理が正常に行なわれたか否かを判定する処理(図中に示す「読み出しOK?」)を行う。
ステップS102において、転舵角記憶部48が記憶している回転角度を読み出す処理が正常に行なわれた(図中に示す「Yes」)と判定した場合、総合コントローラ22が行なう処理は、ステップS104へ移行する。
一方、ステップS102において、転舵角記憶部48が記憶している回転角度を読み出す処理が正常に行なわれていない(図中に示す「No」)と判定した場合、総合コントローラ22が行なう処理は、ステップS106へ移行する。
ステップS104では、転舵角推定部58により、転舵輪24の転舵角を推定する処理(図中に示す「転舵角推定」)を行う。ステップS104において、転舵輪24の転舵角を推定する処理を行うと、総合コントローラ22が行なう処理は、ステップS108へ移行する。
ステップS106では、ステップS104と同様、転舵角推定部58により、転舵輪24の転舵角を推定する処理(図中に示す「転舵角推定」)を行う。ステップS106において、転舵輪24の転舵角を推定する処理を行うと、総合コントローラ22が行なう処理は、ステップS114へ移行する。
ステップS108では、ステップS104で行なった処理、すなわち、転舵角推定部58が転舵輪24の転舵角を推定する処理が正常に行なわれたか否かを判定する処理(図中に示す「転舵角推定OK?」)を行う。
ステップS108において、転舵角を推定する処理が正常に行なわれた(図中に示す「Yes」)と判定した場合、総合コントローラ22が行なう処理は、ステップS110へ移行する。
一方、ステップS108において、転舵角を推定する処理が正常に行なわれていない(図中に示す「No」)と判定した場合、総合コントローラ22が行なう処理は、ステップS112へ移行する。ここで、転舵角を推定する処理が正常に行なわれていない場合とは、例えば、操舵角検出部10、車速検出部12、第一転舵モータ角度センサ16、第二転舵モータ角度センサ18のうち、いずれかが故障している場合である。また、転舵角を推定する処理が正常に行なわれていない場合とは、例えば、第一転舵モータ制御部50、第二転舵モータ制御部52、反力モータ制御部54のうち、いずれかが故障(演算不良)している場合を含んでもよい。
ステップS110では、走行モード設定部60により、車両の走行モードを、「2M‐SBW」または「1M‐SBW」に設定する処理(図中に示す「SBW制御へ移行」)を行う。ステップS110において、車両の走行モードを、「2M‐SBW」または「1M‐SBW」に設定すると、総合コントローラ22が行なう処理は終了(END)する。
ステップS112では、走行モード設定部60により、車両の走行モードを、「1M‐EPS」に設定する処理(図中に示す「1M‐EPS制御へ移行」)を行う。ステップS112において、車両の走行モードを、「1M‐EPS」に設定すると、総合コントローラ22が行なう処理は終了(END)する。
ステップS114では、ステップS106で行なった処理、すなわち、転舵角推定部58が転舵輪24の転舵角を推定する処理が正常に行なわれたか否かを判定する処理(図中に示す「転舵角推定OK?」)を行う。
ステップS114において、転舵角を推定する処理が正常に行なわれた(図中に示す「Yes」)と判定した場合、総合コントローラ22が行なう処理は、ステップS116へ移行する。
一方、ステップS114において、転舵角を推定する処理が正常に行なわれていない(図中に示す「No」)と判定した場合、総合コントローラ22が行なう処理は、ステップS112へ移行する。ここで、転舵角を推定する処理が正常に行なわれていない場合とは、上述したステップS108で行なう処理と同様の場合である。
ステップS116では、走行モード設定部60により、車両の走行モードを、「Tmp‐EPS」に設定する処理(図中に示す「Tmp‐EPS制御へ移行」)を行う。これに加え、ステップS116では、転舵角補正中フラグを運転支援機能制御部64へ送信する処理(図中に示す「転舵角補正中フラグ送信」)を行う。ステップS116において、車両の走行モードを「Tmp‐EPS」に設定し、転舵角補正中フラグを運転支援機能制御部64へ送信すると、総合コントローラ22が行なう処理は、ステップS118へ移行する。
ステップS118では、以下に示す三条件C1〜C3が全て成立しているか否かを判断することにより、車両が直進しているか否かを判定する処理(図中に示す「直進判断条件成立?」)を行う。
C1.車速検出部12により検出した車速が、予め設定した車速閾値以上である。なお、本実施形態では、一例として、車速閾値を、40[km/h]と設定した場合を説明する。
C2.ヨーレート検出部14により検出した車両のヨーレートの絶対値が、予め設定したヨーレート閾値以下である。なお、本実施形態では、一例として、ヨーレート閾値を、0.2[deg/s]と設定した場合を説明する。
C3.操舵角検出部10により検出した現在操舵角の単位時間当たりの変化量に基づく操舵角速度の絶対値が、予め設定した直進判定用操舵角速度閾値以下である。なお、本実施形態では、一例として、直進判定用操舵角速度閾値を、20[deg/s]と設定した場合を説明する。
なお、上記の条件C1〜C3は、予め設定し、例えば、総合コントローラ22に記憶させておく。
ステップS118において、上述した三条件C1〜C3が全て成立していると判断し、車両が直進している(図中に示す「Yes」)と判定した場合、総合コントローラ22が行なう処理は、ステップS120へ移行する。
一方、ステップS118において、上述した三条件C1〜C3のうち少なくとも一つが成立していないと判断し、車両が直進していない(図中に示す「No」)と判定した場合、総合コントローラ22が行なう処理は、ステップS118の処理を繰り返す。
ステップS120では、車両が直進していると判定した状態が継続している時間を計測する処理(図中に示す「タイマカウントUP」)を行う。ステップS120において、車両が直進していると判定した状態が継続している時間を計測する処理を行うと、総合コントローラ22が行なう処理は、ステップS122へ移行する。
ステップS122では、ステップS120の処理で計測を開始した、車両が直進していると判定した状態が継続している時間が、予め設定した直進判断時間閾値以上であるか否かを判定する処理(図中に示す「UP≧1000ms?」)を行う。なお、本実施形態では、一例として、直進判断時間閾値を、1000[ms]と設定した場合を説明する。
ステップS122において、車両が直進していると判定した状態が継続している時間が直進判断時間閾値以上である(図中に示す「Yes」)と判定した場合、総合コントローラ22が行なう処理は、ステップS124へ移行する。
一方、ステップS122において、車両が直進していると判定した状態が継続している時間が直進判断時間閾値未満である(図中に示す「No」)と判定した場合、総合コントローラ22が行なう処理は、ステップS118へ移行する。
ステップS124では、転舵角推定部58により、転舵輪24の転舵角を推定する処理を行う。
ここで、ステップS124では、上述したステップS104及びステップS106と異なり、車両が直進している状態、すなわち、操舵角と転舵角が中立位置または中立位置近傍となっている状態で、転舵輪24の転舵角を推定する処理を行うこととなる。
したがって、ステップS124では、ステアリングホイール38の操舵角と転舵輪24の実転舵角を共に中立位置:0[°]へ調整した状態における転舵角、すなわち、正しい転舵角を推定する処理(図中に示す「正しい転舵角を推定」)を行うこととなる。ステップS124において、転舵輪24の転舵角を推定する処理を行うと、総合コントローラ22が行なう処理は、ステップS126へ移行する。
ここで、「正しい転舵角」とは、例えば、ステップS118において車両が直進していると判定した時点における転舵角を、3[°]と推定した場合は、事後の処理において推定した転舵角から3[°]を減算した角度である。これは、車両が直進している状態では、ステアリングホイール38の操舵角と転舵輪24の実転舵角が、共に中立位置:0[°]であることが理由である。これに加え、車両が直進している状態で0[°]から変位している角度は、例えば、演算処理上の誤差や、クラッチ8の締結、トルク伝達経路を構成するシャフト等のねじれによって発生する角度偏差であることが理由である。
ステップS126では、以下に示す三条件C4〜C6が全て成立しているか否かを判断することにより、ステアリングホイール38が操舵されていない状態で車両が停車しているか否かを判定する処理(図中に示す「非操舵停車条件成立?」)を行う。なお、以降の説明では、ステアリングホイール38が操舵されていない状態を、「非操舵状態」と記載する場合がある。
C4.車速検出部12により検出した車速が、0[km/h]である。
C5.操舵角検出部10により検出した現在操舵角の単位時間当たりの変化量に基づく操舵角速度の絶対値が、予め設定した非操舵判定用操舵角速度閾値以下である。なお、本実施形態では、一例として、非操舵判定用操舵角速度閾値を、10[deg/s]と設定した場合を説明する。
C6.第一転舵モータトルクセンサ20により検出した第一転舵モータトルクの絶対値が、予め設定した非操舵判定用トルク閾値以下である。なお、本実施形態では、一例として、非操舵判定用トルク閾値を、1[Nm]と設定した場合を説明する。
なお、上記の条件C4〜C6は、予め設定し、例えば、総合コントローラ22に記憶させておく。また、上記の条件C5及びC6が成立している状態は、予め設定した非操舵状態に対応する。
ステップS126において、非操舵状態で車両が停車している(図中に示す「Yes」)と判定した場合、総合コントローラ22が行なう処理は、ステップS128へ移行する。これは、上述した三条件C4〜C6が全て成立していると判断した場合である。
一方、ステップS126において、非操舵状態の条件及び車両が停車している条件のうち少なくとも一方が成立していない(図中に示す「No」)と判定した場合、総合コントローラ22が行なう処理は、ステップS126の処理を繰り返す。上述した三条件C4〜C6のうち少なくとも一つが成立していないと判断した場合である。
ステップS128では、非操舵状態で車両が停車していると判定した状態が継続している時間を計測する処理(図中に示す「タイマカウントUP」)を行う。ステップS128において、非操舵状態で車両が停止していると判定した状態が継続している時間を計測する処理を行うと、総合コントローラ22が行なう処理は、ステップS130へ移行する。
ステップS130では、ステップS128の処理で計測を開始した、非操舵状態で車両が停車していると判定した状態が継続している時間が、予め設定した非操舵停止判断時間閾値以上であるか否かを判定する処理(図中に示す「UP≧1000ms?」)を行う。なお、本実施形態では、一例として、非操舵停止判断時間閾値を、1000[ms]と設定した場合を説明する。
ステップS130において、非操舵状態で車両が停車していると判定した状態が継続している時間が非操舵停止判断時間閾値以上である(図中に示す「Yes」)と判定した場合、総合コントローラ22が行なう処理は、ステップS132へ移行する。
一方、ステップS130において、非操舵状態で車両が停車していると判定した状態が継続している時間が非操舵停止判断時間閾値未満である(図中に示す「No」)と判定した場合、総合コントローラ22が行なう処理は、ステップS126へ移行する。
ステップS132では、ステップS124で推定した正しい転舵角を用いて、転舵角記憶部48に記憶している操舵角と第一転舵モータ回転角及び第一転舵モータ回転角との関係を補正(上書き)する処理を行う。これにより、ステップS132では、転舵角記憶部48に記憶している操舵角に対する転舵モータ回転角を、ステップS124で推定した正しい転舵角を用いて更新する処理(図中に示す「正しい転舵角に更新」)を行うこととなる。
ステップS132において、転舵角記憶部48に記憶している操舵角に対する転舵モータ回転角を更新する処理を行うと、総合コントローラ22が行なう処理は、ステップS134へ移行する。
ステップS134では、ステップS110と同様、走行モード設定部60により、車両の走行モードを、「2M‐SBW」または「1M‐SBW」に設定する処理(図中に示す「SBW制御へ移行」)を行う。
これに加え、ステップS134では、推定した正しい転舵角を含む情報信号を、運転支援機能制御部64へ送信する処理(図中に示す「転舵角情報を送信」)を行う。これに伴い、運転支援機能制御部64への転舵角補正中フラグの送信を停止する。
ここで、本実施形態では、ステップS134において、車両の走行モードを「2M‐SBW」または「1M‐SBW」に設定した後、クラッチ8を開放状態に切り替えた時点で、推定した正しい転舵角を含む情報信号を、運転支援機能制御部64へ送信する。すなわち、本実施形態では、図7中に示すように、車両の走行モードを「Tmp‐EPS」から、「2M‐SBW」または「1M‐SBW」へ切り替えた時点で、転舵角推定部58が推定する転舵角の情報を、仮の転舵角から正しい転舵角へ切り替える。なお、図7は、総合コントローラ22が行なう処理のうち、ステップS126からステップS134までの間に行なう処理を示すタイムチャートである。
したがって、総合コントローラ22が行なう処理がステップS134へ移行する場合、ステップS124で推定した正しい転舵角に基づいて、SBW制御を行なうことが可能となる。
ステップS134において、車両の走行モードを、「2M‐SBW」または「1M‐SBW」に設定し、正しい転舵角を運転支援機能制御部64へ送信する処理を行なうと、総合コントローラ22が行なう処理は終了(END)する。
(動作)
次に、図1から図7を参照しつつ、図8を用いて、本実施形態の車両用操舵制御装置1を用いて行なう動作の一例を説明する。なお、図8は、本実施形態の車両用操舵制御装置1を用いた車両の動作を示すタイムチャートである。
図8中に示すタイムチャートは、車両の走行中等、イグニッションスイッチがオン状態であり、トルク伝達経路を機械的に分離させて、車両の走行モードを「2M‐SBW」に設定している状態(図中に示す「SBW制御中」)からスタートする。なお、車両の走行モードを「2M‐SBW」または「1M‐SBW」に設定している状態では、例えば、高速走行時には低速走行時よりも操舵角に対する転舵角の変化度合いを減少させる制御(可変ギヤ制御)等、車速に応じた転舵角の制御を行なう。また、車速に応じた転舵角の制御は、転舵角記憶部48に記憶した操舵角と転舵モータ回転角との関係と、操舵角検出部10が検出した現在操舵角と、車速検出部12が検出した車速を用いて行なう。
そして、例えば、車両の駐車後等、運転者がイグニッションスイッチをオフ状態(図中に示す「IGN OFF」)に切り替えた時点t1から、SBW制御の終了時における処理(図中に示す「終了時の処理」)を行う。
ここで、SBW制御の終了時における処理は、クラッチ8を開放状態から締結状態へ切り替える処理(図中に示す「クラッチ締結」)と、時点t1における転舵輪24の転舵角を推定する処理(図中に示す「転舵角推定」)である。SBW制御の終了時における処理は、推定した時点t1における転舵輪24の転舵角を転舵角記憶部48に書き込んで記憶する処理(図中に示す「転舵角書き込み」)である。なお、図中では、SBW制御の終了時における処理を終了した時点を、時点t2と示す。
時点t2の後、例えば、車両の発進等、運転者がイグニッションスイッチをオン状態(図中に示す「IGN ON」)に切り替えると、この時点t3から、SBW制御の起動時における処理(図中に示す「起動時の処理」)を行う。
ここで、SBW制御の起動時における処理は、クラッチ8を締結状態から開放状態へ切り替える処理(図中に示す「クラッチ開放」)である。これに加え、SBW制御の起動時における処理は、SBW制御の終了時における処理で転舵角記憶部48に書き込んで記憶した転舵輪24の転舵角を読み出す処理(図中に示す「転舵角読み出し」)である。
そして、SBW制御の起動時における処理を終了した時点t4から、車両の走行モードを「2M‐SBW」に設定して、SBW制御を開始する(図中に示す「SBW制御中」)。
ここで、車両の走行モードを「2M‐SBW」に設定している状態において、バッテリ46の電圧が電圧閾値未満となった後に電圧閾値以上となると、SBW制御を起動させるか否かを判定する処理(図中に示す「SBW制御起動判定」)を行う。なお、図中では、バッテリ46の電圧が電圧閾値未満となった時点(図中に示す「電圧低下」)を、時点t5と示す。また、図中では、電圧閾値未満となったバッテリ46の電圧が電圧閾値以上となった時点(図中に示す「電圧復元」)であり、SBW制御を起動させるか否かを判定する処理を開始する時点を、時点t6と示す。
SBW制御を起動させるか否かを判定する処理では、上述したステップS102の処理、すなわち、転舵角記憶部48が記憶している回転角度を読み出す処理が、正常に行なわれたか否かを判定する処理を行う。
ここで、以降の説明は、転舵角記憶部48が記憶している回転角度を読み出す処理が、正常に行なわれていないと判定した場合について説明する。すなわち、以降の説明は、上述したステップS102からステップS106へ移行する場合について説明する。
転舵角記憶部48が記憶している回転角度を読み出す処理が、正常に行なわれていないと判定した後、上述したステップS114の処理、すなわち、転舵角推定部58が転舵輪24の転舵角を推定する処理が正常に行なわれたか否かを判定する処理を行う。
ここで、以降の説明は、転舵角推定部58が転舵輪24の転舵角を推定する処理が正常に行なわれたと判定した場合について説明する。すなわち、以降の説明は、上述したステップS114からステップS116へ移行する場合について説明する。
転舵角記憶部48が記憶している回転角度を読み出す処理が正常に行なわれず、転舵角推定部58が転舵輪24の転舵角を推定する処理が正常に行なわれた時点t7から、車両の走行モードを「Tmp‐EPS」に設定する。これにより、時点t7から、Tmp‐EPS制御を開始する(図中に示す「Tmp‐EPS制御中」)。
Tmp‐EPS制御を開始し、車両が直進していると判定した状態が継続している時間が直進判断時間閾値以上であると、正しい転舵角を推定する(ステップS118〜S124参照)。そして、非操舵状態で車両が停止している状態が継続している時間が非操舵停止判断時間閾値以上であると、推定した正しい転舵角を用いて、転舵角記憶部48に記憶している操舵角に対する転舵モータ回転角を更新する(ステップS126〜S132参照)。
推定した正しい転舵角を用いて、転舵角記憶部48に記憶している操舵角に対する転舵モータ回転角を更新すると、この時点t8において、車両の走行モードを「2M‐SBW」に設定する。そして、クラッチ8を締結状態から開放状態へ切り替える処理を行い、推定した正しい転舵角を用いて更新した、転舵角記憶部48に記憶している操舵角に対する転舵モータ回転角を用いて、SBW制御を開始する(図中に示す「SBW制御中」)。具体的には、第一転舵モータ制御部50及び第二転舵モータ制御部52により、正しい転舵角を用いて更新した、転舵角記憶部48に記憶している操舵角に対する転舵モータ回転角を用いて、上述した目標転舵角を算出する。
すなわち、クラッチ8が開放状態に切り替わると、第一転舵モータ制御部50及び第二転舵モータ制御部52が、車両の走行状態が直進であると判定した後に転舵角推定部58が推定した転舵角を用いて、目標転舵角を算出する。
さらに、時点t8では、推定した正しい転舵角を含む情報信号を、運転支援機能制御部64へ送信する(ステップS134参照)。
すなわち、運転支援機能制御部64は、クラッチ8を開放状態から締結状態に切り替えると、開放状態のクラッチ8が締結状態に切り替わる直前に転舵角推定部58が推定した転舵角を用いて、運転支援機能を制御する。また、クラッチ8を締結状態から開放状態に切り替えると、電圧閾値未満の電圧が電圧閾値以上となり、且つ車両の走行状態が直進であると判定した時に転舵角推定部58が推定した転舵角を用いて、運転支援機能を制御する。
以上により、本実施形態の車両用操舵制御装置1では、クラッチ8を締結状態から開放状態へ切り替えて、SBW制御を開始した時点t8で、正しい転舵角を含む情報信号を運転支援機能制御部64へ送信する。すなわち、時点t8で、運転支援機能制御部64へ送信する情報信号が含む転舵角を、仮の転舵角から正しい転舵角へ切り替えることとなる(図7参照)。
このため、仮の転舵角を用いて上述したVDC制御等の運転支援機能の制御を行なっている状態を、SBW制御を開始した時点t8から、正しい転舵角を用いて運転支援機能の制御を行なう状態へ移行させることが可能となる。
したがって、転舵角記憶部48に記憶している転舵角を読み出せない場合であっても、締結状態のクラッチ8を開放状態に切り替えた時点から、推定精度が高い状態で推定した転舵角を用いて、SBW制御や運転支援機能の制御を行なうことが可能となる。
なお、上述した総合コントローラ22のうち、第一転舵モータ制御部50及び第二転舵モータ制御部52は、目標転舵角算出部に対応する。
また、上述した総合コントローラ22と、総合コントローラ22が行なう処理、具体的には、総合コントローラ22が行なう処理のうち、ステップS118からステップS122の処理は、直進走行判定部に対応する。
また、上述した総合コントローラ22と、総合コントローラ22が行なう処理、具体的には、総合コントローラ22が行なう処理のうち、ステップS126からステップS130の処理は、非操舵停車状態判定部に対応する。
また、上述した第一転舵モータトルクセンサ20は、操舵トルク検出部に対応する。
なお、上述したように、本実施形態の車両用操舵制御装置1の動作で実施する車両用操舵制御方法では、イグニッションスイッチがオン状態であるとともにバッテリ46の電圧が電圧閾値未満となると、クラッチ8を開放状態から締結状態に切り替える。これに加え、開放状態のクラッチ8が締結状態に切り替わる直前に推定した転舵角を用いて、運転支援機能を制御する。一方、クラッチ8を締結状態から開放状態に切り替えると、電圧閾値未満の電圧が電圧閾値以上となり、且つ車両の走行状態が直進であると判定した時に推定した転舵角を用いて、運転支援機能を制御する。
(第一実施形態の効果)
本実施形態では、以下に記載する効果を奏することが可能となる。
(1)運転支援機能制御部64が、クラッチ8を開放状態から締結状態に切り替えると、開放状態のクラッチ8が締結状態に切り替わる直前に転舵角推定部58が推定した転舵角を用いて、運転支援機能を制御する。これに加え、クラッチ8を締結状態から開放状態に切り替えると、電圧閾値未満の電圧が電圧閾値以上となり、且つ車両の走行状態が直進であると判定した時に転舵角推定部58が推定した転舵角を用いて、運転支援機能を制御する。
このため、クラッチ8を締結状態から開放状態に切り替えると、電圧閾値未満の電圧が電圧閾値以上となり、且つ車両の走行状態が直進であると判定した時に推定した転舵角を用いて、運転支援機能を制御することが可能となる。
その結果、転舵角記憶部48に記憶している記憶している転舵角を読み出せない場合であっても、クラッチ8を締結状態から開放状態に切り替えた時点から、推定精度が高い状態で推定した転舵角を用いて、運転支援機能を制御することが可能となる。
(2)締結状態のクラッチ8を、電圧閾値未満の電圧が電圧閾値以上となるとともに車両の走行状態が直進であると判定し、さらに、非操舵状態及び車両が停車しているとの判定が成立していると、開放状態に切り替える。また、第一転舵モータ制御部50及び第二転舵モータ制御部52が、締結状態のクラッチ8が開放状態に切り替わると、電圧が電圧閾値以上となり、車両の走行状態が直進であると判定した後に転舵角推定部58が推定した転舵角を用いて、目標転舵角を算出する。
このため、締結状態のクラッチ8を開放状態に切り替えると、車両の走行状態が直進であると判定した後に推定した転舵角を用いて、SBW制御を行なうことが可能となる。
その結果、転舵角記憶部48に記憶している記憶している転舵角を読み出せない場合であっても、締結状態のクラッチ8を開放状態に切り替えた時点から、推定精度が高い状態で推定した転舵角を用いて、SBW制御を行なうことが可能となる。
(3)車両の速度が車速閾値以上であり、車両のヨーレートの絶対値がヨーレート閾値以下であり、操舵角速度の絶対値が直進判定用操舵角速度閾値以下であると、車両の走行状態が直進であると判定する。
このため、SBW制御と運転支援機能の制御を行なうために用いる正しい転舵角を推定するタイミングの判定を、車両の速度及びヨーレートと、ステアリングホイール38の操舵状態に応じて行なうことが可能となる。
その結果、車両の速度及びヨーレートと、ステアリングホイール38の操舵状態に応じたタイミングで推定した転舵角であり、推定精度が高い状態で推定した転舵角を用いて、SBW制御や運転支援機能の制御を行なうことが可能となる。
(4)車両の速度が車速閾値以上であり、車両のヨーレートの絶対値がヨーレート閾値以下であり、操舵角速度の絶対値が直進判定用操舵角速度閾値以下である状態が、直進判断時間閾値まで継続すると、車両の走行状態が直進であると判定する。
このため、車両の走行状態が直進であると判定した状態が安定して継続した場合に、SBW制御と運転支援機能の制御を行なうために用いる正しい転舵角を推定することが可能となる。
その結果、車両の走行状態が直進であると判定した状態が安定して継続している状態で推定した転舵角であり、推定精度が高い状態で推定した転舵角を用いて、SBW制御や運転支援機能の制御を行なうことが可能となる。これにより、車両の走行状態が直進であると判定した時点で推定した転舵角を用いる場合と比較して、SBW制御や運転支援機能の制御を、高精度で行なうことが可能となる。
(5)車両の速度が0[km/h]であると、車両が非操舵状態であると判定し、操舵角速度の絶対値が非操舵判定用操舵角速度閾値以下であり、操舵トルクの絶対値が非操舵判定用トルク閾値以下であると、車両が停車していると判定する。
このため、締結状態のクラッチ8を開放状態に切り替えて、車両の走行モードを「Tmp‐EPS」から「2M‐SBW」へ切り替える判定を、車両の速度と、ステアリングホイール38の操舵状態に応じて行なうことが可能となる。
その結果、車両の速度とステアリングホイール38の操舵状態に応じたタイミングで、締結状態のクラッチ8を開放状態へ切り替えることが可能となり、車両の走行時及び操舵操作時に締結状態のクラッチ8が開放状態に切り替わることを防止可能となる。
(6)車両の速度が0[km/h]であり、操舵角速度の絶対値が非操舵判定用操舵角速度閾値以下であり、操舵トルクの絶対値が非操舵判定用トルク閾値以下である状態が、非操舵停止判断時間閾値まで継続すると、車両が非操舵状態で停車していると判定する。
このため、車両が非操舵状態で停車していると判定した状態が安定して継続した場合に、締結状態のクラッチ8を開放状態へ切り替える処理を行うことが可能となる。
その結果、車両が非操舵状態で停車していると判定した状態が安定して継続している状態で、締結状態のクラッチ8を開放状態へ切り替えることが可能となる。これにより、車両が非操舵状態で停車していると判定した時点で締結状態のクラッチ8を開放状態へ切り替える場合と比較して、車両の走行時及び操舵操作時に締結状態のクラッチ8が開放状態に切り替わることを、高精度で防止可能となる。
(7)本実施形態の車両用操舵制御方法では、イグニッションスイッチがオン状態であるとともにバッテリ46の電圧が電圧閾値未満となると、クラッチ8を開放状態から締結状態に切り替える。これに加え、開放状態のクラッチ8が締結状態に切り替わる直前に推定した転舵角を用いて、運転支援機能を制御する。一方、クラッチ8を締結状態から開放状態に切り替えると、電圧閾値未満の電圧が電圧閾値以上となり、且つ車両の走行状態が直進であると判定した時に推定した転舵角を用いて、運転支援機能を制御する。
このため、クラッチ8を締結状態から開放状態に切り替えると、電圧閾値未満の電圧が電圧閾値以上となり、且つ車両の走行状態が直進であると判定した時に推定した転舵角を用いて、運転支援機能を制御することが可能となる。
その結果、転舵角記憶部48に記憶している記憶している転舵角を読み出せない場合であっても、クラッチ8を締結状態から開放状態に切り替えた時点から、推定精度が高い状態で推定した転舵角を用いて、運転支援機能を制御することが可能となる。
(変形例)
(1)本実施形態では、締結状態のクラッチ8を、電圧閾値未満の電圧が電圧閾値以上となるとともに車両の走行状態が直進であると判定し、非操舵状態及び車両が停車しているとの判定が成立していると、開放状態に切り替えたが、これに限定するものではない。すなわち、締結状態のクラッチ8を、非操舵状態であるとの判定及び車両が停車しているとの判定のうち少なくとも一方が成立していると、開放状態に切り替えてもよい。
(2)本実施形態では、車両の走行モードを「Tmp‐EPS」に設定した状態で、車両の走行状態が直進であるか否かの判定と、車両が非操舵状態で停車しているか否かの判定を行なったが、これに限定するものではない。すなわち、車両の走行モードを「1M‐EPS」や「MS」に設定した状態で、車両の走行状態が直進であるか否かの判定と、車両が非操舵状態で停車しているか否かの判定を行なってもよい。同様に、車両の走行モードを「1M‐EPS」や「MS」に設定した状態で、車両の走行状態が直進であると判定した後に推定した転舵角を用いて、SBW制御と、運転支援機能の制御を行なってもよい。
(3)本実施形態では、車両の構成を、二つの転舵アクチュエータ(第一転舵モータ2、第二転舵モータ4)を備えた構成としたが、車両の構成は、これに限定するものではない。すなわち、車両の構成を、転舵アクチュエータを一つのみ備えた構成としてもよい。
(4)本実施形態では、ステアリングホイール38の操舵角と、転舵輪24の転舵角と、車速との関係を示す転舵角推定マップを用いて、転舵輪24の転舵角を推定したが、これに限定するものではない。すなわち、例えば、ステアリングホイール38の操舵角と、転舵輪24の転舵角と、車速との関係を示す数式を用いて、転舵輪24の転舵角を推定してもよい。
1 車両用操舵制御装置
2 第一転舵モータ
4 第二転舵モータ
6 反力モータ
8 クラッチ
10 操舵角検出部
12 車速検出部
14 ヨーレート検出部
16 第一転舵モータ角度センサ
18 第二転舵モータ角度センサ
20 第一転舵モータトルクセンサ
22 総合コントローラ
24 転舵輪(24FL、24FR)
26 第一転舵モータ出力軸
28 ステアリングラック
30 ラック軸
32 第二転舵モータ出力軸
34 タイロッド
36 ナックルアーム
38 ステアリングホイール
40 ステアリングシャフト
42 ピニオン軸
44 通信ライン
46 バッテリ
48 転舵角記憶部
50 第一転舵モータ制御部
52 第二転舵モータ制御部
54 反力モータ制御部
56 転舵角推定用マップ記憶部
58 転舵角推定部
60 走行モード設定部
62 クラッチ状態切り替え部
64 運転支援機能制御部

Claims (7)

  1. ステアリングホイールと転舵輪との間のトルク伝達経路を機械的に分離する開放状態と、前記トルク伝達経路を機械的に連結する締結状態と、に切り替わるクラッチを備え、前記開放状態では、前記ステアリングホイールの操舵角に応じて前記転舵輪を転舵制御する車両用操舵制御装置であって、
    前記クラッチの状態を切り替えるクラッチ状態切り替え部と、
    前記操舵角と車両の速度に基づいて前記転舵輪の転舵角を推定する転舵角推定部と、
    前記車両の走行状態が直進であるか否かを判定する直進走行判定部と、
    前記転舵角推定部が推定した転舵角を用いて、前記車両の運転者に対する運転支援機能を制御する運転支援機能制御部と、を備え、
    前記運転支援機能制御部は、前記車両のイグニッションスイッチがオン状態であるとともに前記車両に搭載したバッテリの電圧が予め設定した電圧閾値未満となり、前記クラッチ状態切り替え部が前記クラッチを前記開放状態から前記締結状態に切り替えると、前記開放状態のクラッチが前記締結状態に切り替わる直前に前記転舵角推定部が推定した転舵角を用いて前記運転支援機能を制御し、前記クラッチ状態切り替え部が前記クラッチを前記締結状態から前記開放状態に切り替えると、前記電圧閾値未満の電圧が電圧閾値以上となり、且つ前記直進走行判定部が前記車両の走行状態が直進であると判定した時に前記転舵角推定部が推定した転舵角を用いて前記運転支援機能を制御することを特徴とする車両用操舵制御装置。
  2. 前記ステアリングホイールの状態が予め設定した非操舵状態であるか否かと、前記車両が停車しているか否かと、を判定する非操舵停車状態判定部と、
    前記ステアリングホイールの操舵角と、前記転舵角推定部が推定した転舵角と、を用いて、前記運転者による前記ステアリングホイールの操舵操作に応じた目標転舵角を算出する目標転舵角算出部と、を備え、
    前記クラッチ状態切り替え部は、前記電圧閾値未満の電圧が前記電圧閾値以上となるとともに前記直進走行判定部が前記車両の走行状態が直進であると判定し、さらに、前記非操舵停車状態判定部による前記非操舵状態であるとの判定及び前記車両が停車しているとの判定のうち少なくとも一方が成立していると、前記クラッチを前記締結状態から前記開放状態に切り替え、
    前記目標転舵角算出部は、前記締結状態のクラッチが前記開放状態に切り替わると、前記電圧閾値未満の電圧が電圧閾値以上となり、且つ前記直進走行判定部が前記車両の走行状態が直進であると判定した後に前記転舵角推定部が推定した転舵角を用いて、前記目標転舵角を算出することを特徴とする請求項1に記載した車両用操舵制御装置。
  3. 前記車両の速度を検出する車速検出部と、
    前記車両のヨーレートを検出するヨーレート検出部と、
    前記ステアリングホイールの操舵角を検出する操舵角検出部と、を備え、
    前記直進走行判定部は、前記車速検出部が検出した速度が予め設定した車速閾値以上であり、前記ヨーレート検出部が検出したヨーレートの絶対値が予め設定したヨーレート閾値以下であり、前記操舵角検出部が検出した操舵角に基づく操舵角速度の絶対値が予め設定した直進判定用操舵角速度閾値以下であると、前記車両の走行状態が直進であると判定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載した車両用操舵制御装置。
  4. 前記直進走行判定部は、前記車速検出部が検出した速度が前記車速閾値以上であり、前記ヨーレート検出部が検出したヨーレートの絶対値が前記ヨーレート閾値以下であり、前記操舵角速度の絶対値が前記直進判定用操舵角速度閾値以下である状態が、予め設定した直進判断時間閾値まで継続すると、前記車両の走行状態が直進であると判定することを特徴とする請求項3に記載した車両用操舵制御装置。
  5. 前記車両の速度を検出する車速検出部と、
    前記ステアリングホイールの操舵角を検出する操舵角検出部と、
    前記運転者が前記ステアリングホイールに加える操舵トルクを検出する操舵トルク検出部と、を備え、
    前記非操舵停車状態判定部は、前記車速検出部が検出した速度が0[km/h]であると、前記ステアリングホイールの状態が前記非操舵状態であると判定し、前記操舵角検出部が検出した操舵角に基づく操舵角速度の絶対値が予め設定した非操舵判定用操舵角速度閾値以下であり、且つ前記操舵トルク検出部が検出した操舵トルクの絶対値が予め設定した非操舵判定用トルク閾値以下であると、前記車両が停車していると判定することを特徴とする請求項2に記載した車両用操舵制御装置。
  6. 前記非操舵停車状態判定部は、前記操舵角速度の絶対値が前記非操舵判定用操舵角速度閾値以下であり、且つ前記操舵トルク検出部が検出した操舵トルクの絶対値が前記非操舵判定用トルク閾値以下である状態が、予め設定した非操舵停止判断時間閾値まで継続すると、前記車両が停車していると判定することを特徴とする請求項5に記載した車両用操舵制御装置。
  7. ステアリングホイールと転舵輪との間のトルク伝達経路を機械的に分離する開放状態と、前記トルク伝達経路を機械的に連結する締結状態と、に切り替わるクラッチの前記開放状態では、前記ステアリングホイールの操舵角に応じて前記転舵輪を転舵制御する車両用操舵制御方法であって、
    車両のイグニッションスイッチがオン状態であるとともに前記車両に搭載したバッテリの電圧が予め設定した電圧閾値未満となると、前記クラッチを前記開放状態から前記締結状態に切り替え、且つ前記開放状態のクラッチが前記締結状態に切り替わる直前に前記操舵角と前記車両の速度に基づいて推定した前記転舵輪の転舵角を用いて前記車両の運転者に対する前記運転支援機能を制御し、前記クラッチを前記締結状態から前記開放状態に切り替えると、前記電圧閾値未満の電圧が電圧閾値以上となり、且つ前記車両の走行状態が直進であると判定した時に前記操舵角と前記車両の速度に基づいて推定した前記転舵角を用いて、前記運転支援機能を制御することを特徴とする車両用操舵制御方法。
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