JP5867287B2 - 車両用舵角検出装置及び電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Description
この種の電動パワーステアリング装置では、車両の操縦安定性と快適性を確保するため、ステアリングホイールの操舵角度を用いた制御機能が多く開発されている。そして、車両が始動してから素早く操舵角度に基づく制御機能を発揮するために、操舵角度をなるべく早く検出することが要求されている。
また、上記特許文献2に記載された従来例にあっては、イグニッションスイッチがOFFにされる瞬間の絶対舵角をメモリに記憶し、次にイグニッションスイッチがONとなったときに、記憶された値を絶対舵角として電動パワーステアリング装置の制御に使用するようにしている。そのため、例えばイグニッションスイッチがOFFとなっている間にステアリングホイールが転舵された場合には、誤った絶対舵角に基づいて制御が開始されてしまうことになり、正確な制御を行うことができない。
そこで、本発明は、ステアリング機構の絶対舵角をより正確に検出することができる車両用舵角検出装置及びそれを備えた電動パワーステアリング装置を提供することを課題としている。
このように、システムOFFしても相対舵角を継続的に検出可能な手段を備え、システムOFF時に検出した相対舵角を記憶しておくことで、システムOFF時に検出した相対舵角とシステムON時に検出した相対舵角との差分を演算することができ、システムOFFしている間に操舵された角度を、演算により正確に求めることができる。
このように、絶対舵角検出値を絶対舵角暫定値から絶対舵角演算値へ切り替える際、絶対舵角暫定値から絶対舵角演算値へ徐々に変化させるので、絶対舵角検出値が急変することに起因する不具合を防止することができる。
これにより、次回のシステムON時には、不揮発性メモリに記憶された絶対舵角暫定値を用いて絶対舵角の初期値を設定することができる。したがって、絶対舵角検出の信頼性を維持することができる。
このように、絶対舵角暫定値の演算と絶対舵角演算値の演算とで、共通の相対舵角検出手段で検出した相対舵角を用いる。そのため、上記2つの演算で用いる相対舵角の検出タイミングのずれ(非同期)等に起因する誤差発生を防止することができる。
これにより、誤った絶対舵角に基づいて操舵補助制御が開始されてしまうのを防止することができ、操縦安定性をより確保することができる。
図1は、本発明に係る電動パワーステアリング装置を示す全体構成図である。
図中、符号1は操舵装置である。この操舵装置1はステアリングホイール2が装着されたステアリングシャフト3と、ステアリングシャフト3のステアリングホイール2とは反対側に連結されたラックピニオン機構4と、このラックピニオン機構4にタイロッド等の連結機構5を介して連結された左右の転舵輪6とを備えている。
電動モータ8は、電動パワーステアリング装置の操舵補助力を発生する操舵補助力発生用モータとして動作する。この電動モータ8は、制御装置14によって駆動制御される。
制御装置14には、車両に搭載されたバッテリ11から出力されるバッテリ電圧Vbがイグニッションスイッチ12を介して供給されると共に、内蔵するモータ駆動回路に直接供給される。
さらに、制御装置14には、例えばEEPROM(登録商標)で構成される不揮発性メモリ19が接続されており、不揮発性メモリ19に記憶されているデータが読込可能となっている。この不揮発性メモリ19には、後述する手順で演算したステアリングホイール2の絶対舵角φa及び相対舵角φrcを、システムの停止時即ちイグニッションスイッチ12がオフ状態となった時点で絶対舵角記憶値φam及び相対舵角記憶値φrmとして記憶される。
図中、符号20は車両用舵角検出装置である。この車両用舵角検出装置20は、ステアリングホイール2の相対舵角φrを演算する相対舵角演算部31と、ステアリングホイール2の絶対舵角演算値φaoを演算する絶対舵角演算部32とを備える。また、車両用舵角検出装置20は、さらにEEPROM記憶部33、操舵角補正部34及び舵角切替部35を備える。
中立点推定部32bには、舵角速度ωrの他に、操舵トルクT、車速Vs及び相対舵角φrが入力される。そして、中立点推定部32bでは、操舵トルクT、車速Vs及び舵角速度ωrに基づいて車両が直進走行状態であるか否かを判定し、直進走行状態であると判定した場合には、相対舵角φr及び車速Vsに基づいて中立点舵角値φnを演算する。
また、中立点舵角値φnは、例えば次式をもとに演算する。
φn(k)={φr−φn(k−1)}・D+φn(k−1) ………(1)
また、中立点推定部32bは、システム起動時即ちイグニッションスイッチ12を介して制御装置14に電源が投入された後、最初に直進走行状態となるまでの間は、後述する舵角切替部35に対して中立点確定フラグFlg_N=0を出力し、直進走行状態となってからは、舵角切替部35に対して中立点確定フラグFlg_N=1を出力する。
このように、モータ回転角θmから相対舵角φrや舵角速度ωrを算出することにより、新たに外部からの信号を必要とすることなく中立点(中立位置)を高精度に推定することができ、同時に絶対角の算出が可能となる。
操舵角補正部34は、システム起動時、即ちイグニッションスイッチ12がオン状態となって制御装置14に電源が投入されたときに、不揮発性メモリ19から読出した絶対舵角記憶値φam及び相対舵角記憶値φrmと、CAN相対舵角φrcとに基づいて、暫定絶対舵角演算値(絶対舵角暫定値)φapを演算する。
φap=φam+(φrc−φrm) ………(2)
舵角切替部35は、前述した中立点推定部32bで設定される中立点確定フラグFlg_Nに応じて、絶対舵角演算値φao及び暫定絶対舵角演算値φapの一方を選択し、それを絶対舵角検出値φaとして出力する。
車両が停止している状態からイグニッションスイッチ12をオン状態とすると、制御装置14のマイクロコンピュータにバッテリ電圧Vbが供給されることにより、当該マイクロコンピュータが作動状態となる。
すると、車両用舵角検出装置20では、イグニッションスイッチ12がオン状態となることにより、中立点推定部32bで車両が直進走行状態であるか否かの判定を行う。このとき、車両は停止状態(Vs<Vsth)であるため、中立点推定部32bは、中立点確定フラグFlg_N=0を出力し、中立点舵角値φnを算出しない。すなわち、絶対舵角演算部32からは、絶対舵角演算値φaoが算出されない。
その後、ステアリングホイール2を中立点近傍に戻して、車両を直進走行状態とすると、中立点推定部32bは中立点確定フラグFlg_N=1を出力する。また同時に、車速Vs及び相対舵角φrに基づいて中立点舵角値φnが算出され、この中立点舵角値φnが相対舵角φrから減算されて、絶対舵角演算値φaoが算出される。
その後、イグニッションスイッチ12をオフ状態とすると、直前に舵角切換部35から出力された絶対舵角検出値φaを不揮発性メモリ19の所定記憶領域に絶対舵角記憶値φamとして記憶すると共に、直前に検出したCAN相対舵角φrcを舵角切換部35から出力される絶対舵角φaを不揮発性メモリ19の所定記憶領域に相対舵角記憶値φrmとして記憶する。
このように、上記実施形態では、システム起動時に、前回のシステム停止時の絶対舵角をそのまま絶対舵角初期値として用いるのではなく、システム停止中に操舵した角度分で補正して絶対舵角を検出する。したがって、複数のセンサを使用することなく、システム起動時に、より正確な絶対舵角を演算することができる。
このとき、操舵トルクTと車速Vsと舵角速度ωrとに基づいて車両が直進走行状態であることを検出し、直進時の相対舵角を中立点舵角値φnとする。このように、一般的な操舵補助制御に必要な信号を用いるので、新たに外部からの信号を必要とすることなく中立点(中立位置)を高精度に推定することができる。
以上のように、絶対舵角検出値の誤り率を低下させて、良好な操舵補助制御機能を発揮することができる。
なお、上記実施形態においては、絶対舵角演算部32にて、モータ回転角センサ18で検出したモータ回転角θmを用いて絶対舵角演算値φaoを演算する場合について説明したが、図4に示すように、CANからの相対舵角φrcを用いて絶対舵角演算値φaoを演算することもできる。このように、EPSのモータ角度センサがないシステムにも適用可能である。
この場合、絶対舵角演算値φaoの演算と暫定絶対舵角演算値φapの演算とで、同じ系統の舵角信号(CAN相対舵角φrc)を用いることになるため、上記2つの演算で用いる相対舵角φrcの検出タイミングのずれ(非同期)等に起因する誤差発生を防止することができる。
なお、図2に示す上記実施形態においては、異なる系統の舵角信号(EPSのモータ角度信号とCAN舵角信号(EPSやVSCの舵角センサ信号等))が用いられているために信号が同期できないという問題に対して、以下の対策を講じるようにしてもよい。
例えば、検出タイミングのずれ(非同期)による誤差の発生を回避するために、角度が変化しないことをEEPROM記憶部33と操舵角補正部34の2つのブロックの実施条件とする。すなわち、舵角の変化量が閾値以下、または舵角速度が閾値以下である場合に、角度が変化していないと判断して上記2つのブロックを実施する。これにより、処理時に非同期による舵角誤差が生じるのを防止し、正確な角度検出が可能な車両用舵角検出装置とすることができる。
例えば、トーションバーが捻っていないことをEEPROM記憶部33と操舵角補正部34の2つのブロックの実施条件とする。すなわち、トルクセンサの検出トルクが閾値以下である場合に、トーションバーが捻っていないと判断して上記2つのブロックを実施する。これにより、処理時にトーションバーの捻り分の誤差が生じるのを防止し、正確な角度検出が可能な車両用舵角検出装置とすることができる。
Claims (7)
- 車両の転舵輪を転舵するステアリング機構の絶対舵角を検出し、絶対舵角検出値として出力する車両用舵角検出装置であって、
イグニッションスイッチがオン状態であるシステム起動中及びイグニッションスイッチがオフ状態であるシステム停止中に、前記ステアリング機構の相対舵角を継続的に検出する相対舵角検出手段と、
システム停止直前の前記絶対舵角検出値を、絶対舵角記憶値として不揮発性メモリに記憶する絶対舵角記憶手段と、
システム起動時に、前記不揮発性メモリに記憶されている前記絶対舵角記憶値を、前記相対舵角検出手段で検出した前回のシステム停止時から今回のシステム起動時迄の間における前記ステアリング機構の相対舵角の変化分で補正した値を、前記ステアリング機構の絶対舵角の初期値として設定し、システム起動中、当該絶対舵角の初期値を基準として、前記相対舵角検出手段で検出した相対舵角に基づいて絶対舵角暫定値を演算する絶対舵角暫定値演算手段と、
システム停止直前に、前記相対舵角検出手段で検出した相対舵角を、相対舵角記憶値として不揮発性メモリに記憶する相対舵角記憶手段とを備え、
前記絶対舵角暫定値演算手段は、システム起動した直後、前記不揮発性メモリに記憶された前記絶対舵角記憶値に、前記不揮発性メモリに記憶された前記相対舵角記憶値と前記相対舵角検出手段で検出した相対舵角との差分を加算することで、前記絶対舵角暫定値を演算することを特徴とする車両用舵角検出装置。 - 中立点での操舵角である中立点舵角値を検出する中立点検出手段と、
システム起動後に前記中立点検出手段で中立点舵角値を検出したとき、検出した中立点舵角値と前記ステアリング機構の相対舵角とに基づいて絶対舵角演算値を演算する絶対舵角演算手段と、
システム起動後、前記絶対舵角演算手段で前記絶対舵角演算値が演算されるまでは、前記絶対舵角暫定値演算手段で演算した絶対舵角暫定値を前記絶対舵角検出値として選択し、前記絶対舵角演算手段で前記絶対舵角演算値を演算した後は、前記絶対舵角暫定値に代えて前記絶対舵角演算手段で演算した絶対舵角演算値を前記絶対舵角検出値として選択する舵角選択手段と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の車両用舵角検出装置。 - 前記舵角選択手段は、前記絶対舵角暫定値に代えて、前記絶対舵角演算値を前記絶対舵角検出値として選択する場合に、当該絶対舵角暫定値から前記絶対舵角演算値への変更を徐々に行う徐変手段を有することを特徴とする請求項2に記載の車両用舵角検出装置。
- 前記絶対舵角記憶手段は、システム起動時からシステム停止時迄の間に、前記絶対舵角演算手段で前記絶対舵角演算値を演算できていないとき、当該システム停止直前に前記絶対舵角暫定値演算手段で演算した前記絶対舵角暫定値を、前記絶対舵角記憶値として前記不揮発性メモリに記憶するように構成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の車両用舵角検出装置。
- 前記絶対舵角演算手段は、システム起動後に前記中立点検出手段で中立点舵角値を検出したとき、検出した中立点舵角値と前記相対舵角検出手段で検出した相対舵角とに基づいて絶対舵角演算値を演算することを特徴とする請求項2〜4の何れか1項に記載の車両用舵角検出装置。
- 前記ステアリング機構にアシストトルクを付与するモータの角度に基づいて、当該ステアリング機構の相対舵角を演算する相対舵角演算手段をさらに備え、
前記絶対舵角演算手段は、システム起動後に前記中立点検出手段で操舵角中立点を検出したとき、検出した舵角中立点と前記相対舵角演算手段で演算した相対舵角とに基づいて絶対舵角演算値を演算することを特徴とする請求項2〜4の何れか1項に記載の車両用舵角検出装置。 - 請求項1〜6の何れか1項に記載の車両用舵角検出装置を備え、当該車両用舵角検出装置で検出した絶対舵角に基づいて操舵補助制御を行うことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
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