JP2011028884A - 燃料電池スタック - Google Patents

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Abstract

【課題】樹脂フイルムとシール部材とにより所望の連結通路部を確実に構成するとともに、スタック全体を容易に小型化することを可能にする。
【解決手段】燃料電池スタック10を構成する燃料電池12は、電解質膜・電極構造体14が、第1金属セパレータ16及び第2金属セパレータ18に挟持される。第1金属セパレータ16には、酸化剤ガス流路26と酸化剤ガス入口連通孔20aとの間を連通する連結通路部28aが設けられるとともに、前記連結通路部28aは、前記第1金属セパレータ16の少なくとも一部を被覆して設けられた樹脂フイルム30上に複数の通路用シール部32aが成形されることにより、前記通路用シール部32a間に構成される。
【選択図】図2

Description

本発明は、電解質の両側に一対の電極を配設した電解質・電極構造体と金属セパレータとが積層されるとともに、少なくとも燃料ガス、酸化剤ガス又は冷却媒体のいずれかである流体を前記金属セパレータの面方向に流す流体流路と、前記流体を積層方向に供給する流体連通孔とが形成される燃料電池スタックに関する。
例えば、固体高分子型燃料電池は、高分子イオン交換膜からなる電解質膜の両側に、それぞれアノード側電極及びカソード側電極を配設した電解質膜・電極構造体(MEA)を、一対のセパレータによって挟持した単位セルを備えている。この種の燃料電池は、通常、所定の数の単位セルを積層することにより、燃料電池スタックとして使用されている。
上記の燃料電池では、セパレータの面内に、アノード側電極に対向して燃料ガス(流体)を流すための燃料ガス流路(流体流路)と、カソード側電極に対向して酸化剤ガス(流体)を流すための酸化剤ガス流路(流体流路)とが設けられている。さらに、セパレータの周縁部には、前記セパレータの積層方向に貫通して、燃料ガス流路に連通する流体連通孔である燃料ガス入口連通孔及び燃料ガス出口連通孔と、酸化剤ガス流路に連通する流体連通孔である酸化剤ガス入口連通孔及び酸化剤ガス出口連通孔とが形成されている。
また、セパレータ間には、電解質膜・電極構造体を冷却するための冷却媒体流路(流体流路)が設けられるとともに、積層方向に貫通して前記冷却媒体流路に連通する流体連通孔である冷却媒体入口連通孔及び冷却媒体出口連通孔が形成されている。すなわち、内部マニホールド型燃料電池を構成している。
上記のセパレータとして、金属セパレータが使用される際、前記金属セパレータの表面には、シール部材が一体成形される場合が多い。ところが、シール部材の成形時にバリが発生し易く、このバリを除去する際に前記シール部材の一部が金属セパレータから剥がれるおそれがある。従って、シール面から金属面が露呈してしまい、絶縁破壊が惹起されるという問題がある。
さらに、流体流路と流体連通孔とは、流体を円滑且つ均等に流すために、複数の溝部等を有する連結流路を介して連通している。このため、連結流路をシール部材により構成する場合、前記連結流路に加湿された反応ガス等が通流する際に、前記シール部材が膨潤(水ぶくれ)するおそれがある。
そこで、例えば、特許文献1に開示されているガスケットでは、図14に示すように、樹脂フイルム1及びガスケット本体2a、2bを一体に備えたガスケット3が、電解質膜(又はセパレータ)4に取り付けられている。
ガスケット3は、成形型に樹脂フイルム1を平面状に装着した状態で、射出成形を行って成形されたガスケット本体2a、2bを、前記樹脂フイルム1に接着している。次いで、樹脂フイルム1及びガスケット本体2a、2bからなる一体成形品であるガスケット3に接着剤を塗布し、前記ガスケット3を電解質膜(又はセパレータ)4に接着している。
特開2003−56704号公報
上記の特許文献1では、樹脂フイルム1及びガスケット本体2a、2bからガスケット3が一体成形された後、このガスケット3が、接着剤により電解質膜(又はセパレータ)4に接着されている。このため、ガスケット3の取り付け作業(接着作業)が相当に煩雑化するという問題がある。特に、内部マニホールド型燃料電池では、複数の連通孔が設けられており、ガスケット3をセパレータに対して正確に取り付けることが困難である。
しかも、流体流路と流体連通孔とを連通させる連結流路が、シール部材により構成される場合、上記のガスケット3では、セパレータに対して一層高精度に位置決めする必要がある。これにより、従来のガスケット3は、実際の製造工程に適用することができないという問題がある。
本発明はこの種の問題を解決するものであり、樹脂フイルムとシール部材とにより所望の連結通路部を確実且つ正確に形成するとともに、スタック全体を容易に小型化することが可能な燃料電池スタックを提供することを目的とする。
本発明は、電解質の両側に一対の電極を配設した電解質・電極構造体と金属セパレータとが積層されるとともに、少なくとも燃料ガス、酸化剤ガス又は冷却媒体のいずれかである流体を前記金属セパレータの面方向に流す流体流路と、前記流体を積層方向に供給する流体連通孔とが形成される燃料電池スタックに関するものである。
金属セパレータには、流体流路と流体連通孔との間を連通する連結通路部が設けられるとともに、前記連結通路部は、前記金属セパレータの少なくとも一部を被覆して設けられた樹脂フイルム上に複数の通路用シール部が成形されることにより、前記通路用シール部間に構成されている。
また、通路用シール部は、隣接する他の金属セパレータの少なくとも一部を被覆する樹脂フイルムに接触することが好ましい。
さらに、複数の通路用シール部は、互いの間隙に樹脂フイルムを露呈させた状態で、前記樹脂フイルム上に断続的に成形されることが好ましい。
さらにまた、少なくとも一方の金属セパレータは、両面に樹脂フイルムが設けられるとともに、一方の前記金属セパレータの一方の面にのみ複数の通路用シール部が成形されることが好ましい。
本発明によれば、金属セパレータの少なくとも一部を被覆して樹脂フイルムが設けられた後、前記樹脂フイルム上には、複数の通路用シール部が成形されることにより、前記通路用シール部間に連結通路部が構成されている。このため、樹脂フイルム上に通路用シール部を、例えば、射出成形することにより、所望の連結通路部を正確且つ容易に構成することができる。
しかも、樹脂フイルムを用いることによって、絶縁機能を維持しながら、被覆厚さを薄肉化することが可能になる。従って、金属セパレータの厚さが削減されて燃料電池スタック全体を容易に小型化することができる。
さらに、通路用シール部の膨潤により連結通路部が閉塞されることを良好に抑制することが可能になる。これにより、連結通路部の閉塞による反応ガス等の供給不良を阻止し、所望の発電性能を確保することができる。
本発明の第1の実施形態に係る燃料電池スタックを構成する燃料電池の要部分解斜視説明図である。 前記燃料電池スタックの、図1中、II−II線断面説明図である。 前記燃料電池スタックを構成する第1金属セパレータの一方の面の説明図である。 前記第1金属セパレータの他方の面の説明図である。 前記第1金属セパレータの要部斜視説明図である。 前記燃料電池スタックを構成する第2金属セパレータの一方の面の説明図である。 前記第1金属セパレータを製造するための金属プレートの説明図である。 前記金属プレートに樹脂フイルムを設ける際の説明図である。 本発明の第2の実施形態に係る燃料電池スタックを構成する燃料電池の要部分解斜視説明図である。 前記燃料電池スタックの、図9中、X−X線断面説明図である。 前記燃料電池スタックを構成する第1金属セパレータの一方の面の説明図である。 前記燃料電池スタックを構成する第2金属セパレータの一方の面の説明図である。 前記第2金属セパレータの他の構成を示す要部斜視説明図である。 特許文献1に開示されているガスケットの説明図である。
図1及び図2に示すように、本発明の第1の実施形態に係る燃料電池スタック10は、複数の燃料電池12を水平方向(矢印A方向)又は鉛直方向(矢印C方向)に積層して構成される。
燃料電池12は、電解質膜・電極構造体(電解質・電極構造体)14が、第1金属セパレータ16及び第2金属セパレータ18に挟持される。第1金属セパレータ16及び第2金属セパレータ18は、例えば、鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、あるいはめっき処理鋼板等により構成されるとともに、後述する流路を形成するために波板形状にプレス加工されている。
図1に示すように、燃料電池12の矢印B方向(図1中、水平方向)の一端縁部には、積層方向である矢印A方向に互いに連通して、酸化剤ガス、例えば、酸素含有ガスを供給するための酸化剤ガス入口連通孔20a、冷却媒体を供給するための冷却媒体入口連通孔22a、及び燃料ガス、例えば、水素含有ガスを排出するための燃料ガス出口連通孔24bが、矢印C方向(鉛直方向)に配列して設けられる。
燃料電池12の矢印B方向の他端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、燃料ガスを供給するための燃料ガス入口連通孔24a、冷却媒体を排出するための冷却媒体出口連通孔22b、及び酸化剤ガスを排出するための酸化剤ガス出口連通孔20bが、矢印C方向に配列して設けられる。
図1及び図3に示すように、第1金属セパレータ16の電解質膜・電極構造体14側の面16aには、矢印B方向に延在する酸化剤ガス流路(流体流路)26が設けられる。酸化剤ガス流路26は、第1金属セパレータ16を波形状に成形することにより設けられる複数の溝部を備えており、前記酸化剤ガス流路26と酸化剤ガス入口連通孔20a及び酸化剤ガス出口連通孔20bとは、連結通路部28a、28bを介して連通する。第1金属セパレータ16の面16bには、図4に示すように、酸化剤ガス流路26の裏面形状である冷却媒体流路29の一部が形成される。
第1金属セパレータ16の面16a、16bには、この第1金属セパレータ16の外周端縁部を周回して、樹脂フイルム30が被覆される。樹脂フイルム30は、例えば、PEN(ポリエーテルニトリル)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、LCP(液晶ポリマー)又はPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等で構成され、厚さが20μm〜50μmの範囲内に設定される。
樹脂フイルム30は、酸化剤ガス入口連通孔20a、冷却媒体入口連通孔22a、燃料ガス出口連通孔24b、燃料ガス入口連通孔24a、冷却媒体出口連通孔22b及び酸化剤ガス出口連通孔20bに対応して開口するとともに、発電領域に対応して除去される。
第1金属セパレータ16の面16aには、樹脂フイルム30上に第1シール部材(ゴム製シール部材)32が射出成形等により一体成形される。第1シール部材32は、例えば、EPDM、NBR、フッ素ゴム、シリコンゴム、フロロシリコンゴム、ブチルゴム、天然ゴム、スチレンゴム、クロロプレーン、又はアクリルゴム等のシール材、クッション材、あるいはパッキン材を使用する。樹脂フイルム30上には、予めプライマーが塗布され、あるいは、エポキシ樹脂等が付着されている。一方、面16bには、第1シール部材32が設けられていない。
連結通路部28aは、図3及び図5に示すように、矢印C方向に配列される複数の通路用シール部32a間に形成される。通路用シール部32aは、例えば、ライン状を有しており、第1シール部材32と一体(又は別体)に樹脂フイルム30上に一体成形される。連結通路部28bは、同様に複数の通路用シール部32b間に形成されており、その詳細な説明は省略する。
図1及び図6に示すように、第2金属セパレータ18の電解質膜・電極構造体14側の面18aには、燃料ガス入口連通孔24aと燃料ガス出口連通孔24bとに連通し、矢印B方向に延在する燃料ガス流路(流体流路)34が形成される。燃料ガス流路34は、複数の溝部を備えるとともに、前記燃料ガス流路34と燃料ガス入口連通孔24a及び燃料ガス出口連通孔24bとは、連結通路部36a、36bを介して連通する。第2金属セパレータ18の面18bには、燃料ガス流路34の裏面形状である冷却媒体流路29の一部が形成される。
第2金属セパレータ18の面18a、18bには、この第2金属セパレータ18の外周端部を周回して、樹脂フイルム38が被覆される。樹脂フイルム38は、樹脂フイルム30と同一に構成されており、その詳細な説明は省略する。
第2金属セパレータ18の面18a、18bには、樹脂フイルム38上に第2シール部材(ゴム製シール部材)40、42が射出成形等により一体成形される。第2シール部材40、42は、第1シール部材32と同一に構成される。
連結通路部36aは、図6に示すように、矢印C方向に配列される複数の通路用シール部40a間に形成される。通路用シール部40aは、第2シール部材40と一体(又は別体)に樹脂フイルム38上に一体成形される。連結通路部36bは、同様に複数の通路用シール部40b間に形成されており、その詳細な説明は省略する。
図1に示すように、第2金属セパレータ18の面18aとは反対の面18bには、冷却媒体入口連通孔22aと冷却媒体出口連通孔22bとに連通する冷却媒体流路(流体流路)29が形成される。冷却媒体入口連通孔22a及び冷却媒体出口連通孔22bの近傍に位置して、連結通路部44a、44bが形成される。連結通路部44a、44bは、それぞれ第2シール部材42と一体(又は別体)に樹脂フイルム38上に一体成形される複数の通路用シール部42a、42b間に形成される。
図1及び図2に示すように、電解質膜・電極構造体14は、例えば、パーフルオロスルホン酸の薄膜に水が含浸された固体高分子電解質膜50と、前記固体高分子電解質膜50を挟持するアノード側電極52及びカソード側電極54とを備える。
アノード側電極52及びカソード側電極54は、カーボンペーパ等からなるガス拡散層と、白金合金が表面に担持された多孔質カーボン粒子が前記ガス拡散層の表面に一様に塗布された電極触媒層とを有する。電極触媒層は、互いに固体高分子電解質膜50を介装して対向するように、前記固体高分子電解質膜50の両面に接合されている。
このように構成される燃料電池スタック10の動作について、以下に説明する。
第1金属セパレータ16を製造する工程について、概略的に説明すると、先ず、図7に示すように、金属プレート60にプレス加工が施される。このため、金属プレート60には、酸化剤ガス入口連通孔20a、冷却媒体入口連通孔22a、燃料ガス出口連通孔24b、燃料ガス入口連通孔24a、冷却媒体出口連通孔22b及び酸化剤ガス出口連通孔20bが形成されるとともに、酸化剤ガス流路26及び冷却媒体流路29の一部が形成される。
次いで、図8に示すように、金属プレート60の両面には、樹脂フイルム30が被覆される。そして、樹脂フイルム30は、酸化剤ガス入口連通孔20a、冷却媒体入口連通孔22a、燃料ガス出口連通孔24b、燃料ガス入口連通孔24a、冷却媒体出口連通孔22b及び酸化剤ガス出口連通孔20bに対応して開口するとともに、発電領域に対応して除去される。
さらに、図3及び図4に示すように、第1金属セパレータ16の面16aには、樹脂フイルム30上に第1シール部材32が射出成形等により一体成形される一方、面16bには、前記第1シール部材32が設けられない。これにより、第1金属セパレータ16が製造される。
また、第2金属セパレータ18は、第1金属セパレータ16と同様に製造されるものであり、その詳細な説明は省略する。その際、第2金属セパレータ18の面18a、18bには、樹脂フイルム38上に第2シール部材40、42が射出成形等により一体成形される。
次に、燃料電池スタック10の動作について、説明すると、先ず、図1に示すように、燃料ガス入口連通孔24aに水素含有ガス等の燃料ガスが供給されるとともに、酸化剤ガス入口連通孔20aに酸素含有ガス等の酸化剤ガスが供給される。さらに、冷却媒体入口連通孔22aに純水やエチレングリコール、オイル等の冷却媒体が供給される。
このため、燃料ガスは、図6に示すように、第2金属セパレータ18の燃料ガス入口連通孔24aから連結通路部36aを通った後、燃料ガス流路34に導入される。燃料ガス流路34では、燃料ガスが矢印B方向に移動しながら、電解質膜・電極構造体14を構成するアノード側電極52に供給される。
一方、酸化剤ガスは、図2、図3及び図5に示すように、酸化剤ガス入口連通孔20aから第1金属セパレータ16に連結通路部28aを通って酸化剤ガス流路26に導入される。これにより、酸化剤ガスは、酸化剤ガス流路26を矢印B方向に移動しながら、電解質膜・電極構造体14を構成するカソード側電極54に供給される。
従って、電解質膜・電極構造体14では、カソード側電極54に供給される酸化剤ガスと、アノード側電極52に供給される燃料ガスとが、電極触媒層内で電気化学反応により消費され、発電が行われる。
次いで、アノード側電極52に供給されて消費された燃料ガスは、連結通路部36bを通って燃料ガス出口連通孔24bに排出される(図6参照)。同様に、カソード側電極54に供給されて消費された酸化剤ガスは、連結通路部28bを通って酸化剤ガス出口連通孔20bに排出される(図3参照)。
また、冷却媒体入口連通孔22aに供給された冷却媒体は、図1に示すように、連結通路部44aを通って第1及び第2金属セパレータ16、18間の冷却媒体流路29に導入された後、矢印B方向に流通する。この冷却媒体は、電解質膜・電極構造体14を冷却した後、連結通路部44bを通って冷却媒体出口連通孔22bに排出される。
この場合、第1の実施形態では、図2及び図5に示すように、第1金属セパレータ16は、金属プレート60の外周端縁部両面に樹脂フイルム30が設けられた後、前記樹脂フイルム30上には、複数の通路用シール部32aが成形されることにより、前記通路用シール部32a間に連結通路部28aが構成されている。このため、樹脂フイルム30上に通路用シール部32aが、例えば、射出成形されることにより、所望の連結通路部28aを正確且つ容易に構成することができるという効果が得られる。
しかも、樹脂フイルム30を用いることにより、第1金属セパレータ16は、絶縁機能を維持しながら、被膜厚さを薄肉化することが可能になる。従って、第1金属セパレータ16の薄肉化が図られ、燃料電池12及び前記燃料電池12が積層された燃料電池スタック10を容易に小型化することができる。
さらに、通路用シール部32aは、樹脂フイルム30に一体化されるため、この通路用シール部32aの膨潤により、連結通路部28aが閉塞されることを良好に抑制することが可能になる。このため、連結通路部28aの閉塞による酸化剤ガスの供給不良を阻止して、所望の発電性能を確保することができる。
さらにまた、第1金属セパレータ16では、両面に樹脂フイルム30が設けられるとともに、一方の面16a側にのみ第1シール部材32が成形されている。これにより、第1金属セパレータ16の両面にシール部材を成形する場合に比べ、成形時間が良好に短尺化される。このため、成形サイクルの向上を図るとともに、剥がれの防止及び絶縁抵抗の向上が容易に図られるという利点がある。
図9及び図10に示すように、本発明の第2の実施形態に係る燃料電池スタック70は、複数の燃料電池72を積層して構成される。燃料電池72は、電解質膜・電極構造体(電解質・電極構造体)74が、第1金属セパレータ76及び第2金属セパレータ78に挟持される。
図9及び図11に示すように、第1金属セパレータ76の電解質膜・電極構造体74側の面76aには、酸化剤ガス流路26が形成される一方、面76aとは反対の面76bには、冷却媒体流路29の一部が形成される。第1金属セパレータ76では、面76a、76bに樹脂フイルム80が設けられた後、面76b側にのみ第1シール部材82が成形される。
図9及び図12に示すように、第2金属セパレータ78の電解質膜・電極構造体74側の面78aには、燃料ガス流路34が形成される一方、前記面78aとは逆の面78bには、冷却媒体流路29の一部が形成される。
第2金属セパレータ78には、燃料ガス入口連通孔24aの近傍に、前記燃料ガス入口連通孔24aと燃料ガス流路34とを連通する供給孔部84aが形成されるとともに、燃料ガス出口連通孔24bの近傍には、前記燃料ガス出口連通孔24bと前記燃料ガス流路34とを連通する複数の排出孔部84bが形成される。
第2金属セパレータ78の両方の面78a、78bには、樹脂フイルム86が設けられた後、前記面78a側にのみ、前記樹脂フイルム86上に第2シール部材88が成形される。図9に示すように、面78a側には、第2シール部材88と一体(又は別体)に連結通路部28a、28b及び連結通路部36a、36bが一体形成される。
電解質膜・電極構造体74は、固体高分子電解質膜50とカソード側電極54とが同一の表面積に設定されるとともに、アノード側電極52が、前記固体高分子電解質膜50及び前記カソード側電極54よりも小さな表面積に設定される、所謂、段差MEAを構成する。
このように構成される第2の実施形態では、図10に示すように、連結通路部28aでは、第2金属セパレータ78に設けられている第2シール部材88を構成する通路用シール部32aが、第1金属セパレータ76を構成する樹脂フイルム80に当接している。
このため、連結通路部28aに水分を含んだ酸化剤ガスが供給されても、特に、第1金属セパレータ76では、面76a側に樹脂フイルム80のみが設けられており、この樹脂フイルム80が膨張(水ぶくれ)することがない。これにより、水ぶくれによる連結通路部28aの流路開口面積の減少を一層確実に阻止することができ、酸化剤ガスの円滑且つ確実な供給が可能になるという効果が得られる。なお、樹脂フイルム86においても、同様である。その他、第2の実施形態では、上記の第1の実施形態と同様の効果が得られる。
また、第2金属セパレータ78の連結通路部28aは、図13に示すように、構成してもよい。この連結通路部28aでは、複数の通路用シール部32aが、互いの間隙に樹脂フイルム86を露呈させた状態で、前記樹脂フイルム86上に断続的に成形されている。
これにより、各通路用シール部32a間のゴム材料と樹脂フイルム86との界面に水が浸入して水ぶくれが発生することを阻止することができ、前記通路用シール部32aの水ぶくれを可及的に防止し得るという利点がある。
なお、第1及び第2の実施形態では、2枚の金属セパレータで電解質膜・電極構造体を挟持する構成を採用しているが、これに限定されるものではない。例えば、3枚の金属セパレータと2枚の電解質膜・電極構造体を備え、前記金属セパレータと前記電解質膜・電極構造体とを交互に積層する発電ユニットを用いるとともに、各発電ユニット間に冷却媒体流路を形成して前記発電ユニットを積層する燃料電池スタックを採用してもよい。
10、70…燃料電池スタック 12、72…燃料電池
14、74…電解質膜・電極構造体 16、18、76、78…金属セパレータ
20a…酸化剤ガス入口連通孔 20b…酸化剤ガス出口連通孔
22a…冷却媒体入口連通孔 22b…冷却媒体出口連通孔
24a…燃料ガス入口連通孔 24b…燃料ガス出口連通孔
26…酸化剤ガス流路
28a、28b、36a、36b、44a、44b…連結通路部
29…冷却媒体流路 30、38、80、86…樹脂フイルム
32、40、42、82、88…シール部材
32a、32b、40a、40b、42a、42b…通路用シール部
34…燃料ガス流路 50…固体高分子電解質膜
52…アノード側電極 54…カソード側電極

Claims (4)

  1. 電解質の両側に一対の電極を配設した電解質・電極構造体と金属セパレータとが積層されるとともに、少なくとも燃料ガス、酸化剤ガス又は冷却媒体のいずれかである流体を前記金属セパレータの面方向に流す流体流路と、前記流体を積層方向に供給する流体連通孔とが形成される燃料電池スタックであって、
    前記金属セパレータには、前記流体流路と前記流体連通孔との間を連通する連結通路部が設けられるとともに、
    前記連結通路部は、前記金属セパレータの少なくとも一部を被覆して設けられた樹脂フイルム上に複数の通路用シール部が成形されることにより、前記通路用シール部間に構成されることを特徴とする燃料電池スタック。
  2. 請求項1記載の燃料電池スタックにおいて、前記通路用シール部は、隣接する他の金属セパレータの少なくとも一部を被覆する樹脂フイルムに接触することを特徴とする燃料電池スタック。
  3. 請求項1又は2記載の燃料電池スタックにおいて、複数の前記通路用シール部は、互いの間隙に前記樹脂フイルムを露呈させた状態で、該樹脂フイルム上に断続的に成形されることを特徴とする燃料電池スタック。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料電池スタックにおいて、少なくとも一方の前記金属セパレータは、両面に前記樹脂フイルムが設けられるとともに、
    一方の前記金属セパレータの一方の面にのみ複数の前記通路用シール部が成形されることを特徴とする燃料電池スタック。
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