JP2011028165A - 感光性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】感度、解像度、及び密着性に優れ、アルカリ性水溶液によって現像しうる感光性樹脂組成物、該感光性樹脂組成物を用いた感光性樹脂積層体、該感光性樹脂積層体を用いて基板上にレジストパターンを形成する方法を提供すること。
【解決手段】(a)カルボキシル基含有単量体を共重合成分として含む、アルカリ可溶性熱可塑性共重合体20〜90質量%、(b)下記一般式(I):
Figure 2011028165

{式中、nは、1〜25の整数である。}で示されるエチレングリコールジメタクリレート化合物を少なくとも含むエチレン性不飽和基を有する付加重合性モノマー5〜75質量%、及び(c)アクリジン化合物を少なくとも含む光重合開始剤0.01〜30質量%を、含有する感光性樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、アルカリ性水溶液によって現像可能な感光性樹脂組成物、該感光性樹脂組成物を支持体上に積層した感光性樹脂積層体、該感光性樹脂積層体を用いて基板上にレジストパターンを形成する方法、及び該レジストパターンの用途に関する。さらに詳しくは、プリント配線板の製造、フレキシブルプリント配線板の製造、ICチップ搭載用リードフレーム(以下、リードフレームという)の製造、メタルマスク製造などの金属箔精密加工、BGA(ボールグリッドアレイ)やCSP(チップサイズパッケージ)等の半導体パッケージ製造、TAB(Tape Automated Bonding)やCOF(Chip On Film:半導体ICをフィルム状の微細配線板上に搭載したもの)に代表されるテープ基板の製造、半導体バンプの製造、フラットパネルディスプレイ分野におけるITO電極、アドレス電極、電磁波シールドなどの部材の製造に、好適なレジストパターンを与える感光性樹脂組成物に関する。
従来、プリント配線板はフォトリソグラフィー法によって製造されている。フォトリソグラフィー法とは、感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、パターン露光して該感光性樹脂組成物の露光部を重合硬化させ、未露光部を現像液で除去して基板上にレジストパターンを形成し、エッチング又はめっき処理を施して導体パターンを形成した後、該レジストパターンを該基板上から剥離除去することによって、基板上に導体パターンを形成する方法をいう。
上記のフォトリソグラフィー法においては、感光性樹脂組成物を基板上に塗布するに際し、感光性樹脂組成物の溶液を基板に塗布して乾燥させる方法、又は支持体、感光性樹脂組成物からなる層(以下、「感光性樹脂層」ともいう。)、及び必要により保護層、を順次積層した感光性樹脂積層体(以下、「ドライフィルムレジスト」ともいう。)を基板に積層する方法のいずれかが使用される。そして、プリント配線板の製造においては、後者のドライフィルムレジストが使用されることが多い。
上記のドライフィルムレジストを用いてプリント配線板を製造する方法について、以下に簡単に述べる。
まず、ドライフィルムレジストが保護層、例えば、ポリエチレンフィルムを有する場合には、感光性樹脂層からこれを剥離する。次いで、ラミネーターを用いて基板、例えば、銅張積層板の上に、該基板、感光性樹脂層、支持体の順序になるよう、感光性樹脂層及び支持体を積層する。次いで、配線パターンを有するフォトマスクを介して、該感光性樹脂層を超高圧水銀灯が発するi線(365nm)等の紫外線で露光することによって、露光部分を重合硬化させる。次いでポリエチレンテレフタレート等からなる支持体を剥離する。次いで、弱アルカリ性を有する水溶液等の現像液により感光性樹脂層の未露光部分を溶解又は分散除去して、基板上にレジストパターンを形成させる。次いで、形成されたレジストパターンを保護マスクとして公知のエッチング処理、又はパターンめっき処理を行う。最後に、該レジストパターンを基板から剥離して導体パターンを有する基板、すなわちプリント配線板を製造する。
近年のプリント配線板における配線間隔の微細化に伴い、ドライフィルムレジストには高解像性の要求が増してきている。また生産性向上の観点から高感度化も求められている。一方で、露光方式も用途に応じ多様化しており、レーザーによる直接描画によりフォトマスクを不要とする、マスクレス露光が近年急激な広がりを見せている。マスクレス露光方式に際しては、紫外線、電子線の他にレーザーが用いられている。かかるレーザーを用いたレーザー走査露光は、パターンマスクを使用せずとも、目的とする形状の画像が形成できるので、少量多品種生産や、生産時間の短縮が可能という利点をもつ。通常、感光性樹脂組成物の露光に用いられるレーザーはメンテナンス費用を含めたランニングコストの低減が可能な固体レーザーが有用であり、特に近紫外線領域に発光波長を有するレーザーが実用的である。しかしながら、近紫外線領域に発光波長を有するレーザーにおいても充分な出力を有する光源を確保するには装置が高価となる。従って、通常は出力の低い光源の使用が余儀なくされ、必然的に該光源では露光量が低くなるので、かかる低い露光量でも充分な感度を有する感光性樹脂組成物が要求されている。
かかる感度に優れた感光性樹脂組成物として、例えば、少なくとも1種の障害N−アルキルアミノアリールケトンおよびテトラエチレングリコールジメタクリレートを含有する感光性樹脂組成物(例えば、以下の特許文献1参照)や、9−フェニルアクリジン及びN−フェニルグリシン誘導体を光重合開始剤とし、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートを含有することを特徴とする感光性樹脂組成物(例えば、以下の特許文献2参照)が提案されている。
しかしながら、何れの開示技術も、超高圧水銀灯を用いた従来の露光方式においては充分な感度が得られることが示されているものの、より高い感度が要求されるレーザーダイレクトイメージング露光方式においては満足する感度を示さない。
特開昭59−208541号公報 特許第3838715号公報
本発明が解決しようとする課題は、レーザーダイレクトイメージング露光方式においても十分な感度を示し、解像度、及び密着性に優れ、アルカリ性水溶液によって現像しうる感光性樹脂組成物、該感光性樹脂組成物を用いた感光性樹脂積層体、該感光性樹脂積層体を用いて基板上にレジストパターンを形成する方法、及び該レジストパターンの用途を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討し実験を重ねた結果、以下の手段により上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわり、本発明は、以下のとおりである。
[1](a)カルボキシル基含有単量体を共重合成分として含む、アルカリ可溶性熱可塑性共重合体20〜90質量%、(b)下記一般式(I):
Figure 2011028165
{式中、nは、1〜25の整数である。}で示されるエチレングリコールジメタクリレート化合物を少なくとも含むエチレン性不飽和基を有する付加重合性モノマー5〜75質量%、及び(c)アクリジン化合物を少なくとも含む光重合開始剤0.01〜30質量%を、含有する感光性樹脂組成物。
[2]前記一般式(I)で示される化合物を1〜20質量%含有する、前記[1]に記載の感光性樹脂組成物。
[3]亜リン酸エステル化合物をさらに含有する、前記[1]又は[2]に記載の感光性樹脂組成物
[4]前記(b)エチレン性不飽和基を有する付加重合性モノマーが、下記一般式(II):
Figure 2011028165
{式中、R及びR10は、H又はCHであり、これらは同一であっても相違してもよく、Aは、Cであり、Bは、Cであり、n+nは、2〜30の整数であり、n+nは、0〜30の整数であり、n及びnは、それぞれ独立に、1〜29の整数であり、n及びnは、それぞれ独立に、0〜29の整数であり、−(A−O)−及び−(B−O)−の繰り返し単位の配列は、ランダムであってもブロックであってもよく、ブロックである場合、−(A−O)−及び−(B−O)−のいずれがビスフェノールA基側でもよい。}で表される光重合可能な不飽和化合物の少なくとも一種を含有する、前記[1]〜[3]に記載の感光性樹脂組成物。
[5]前記[1]〜[4]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂層を支持体上に積層してなる感光性樹脂積層体。
[6]前記[5]に記載の感光性樹脂積層体を用いて、基板上に感光性樹脂層を形成するラミネート工程、感光性樹脂層を露光する露光工程、及び未露光部を現像液で除去する現像工程を順に含む、レジストパターン形成方法。
[7]基板として金属板又は金属皮膜絶縁板を用い、前記[6]に記載の方法によりレジストパターンが形成された基板をエッチング又はめっきする工程を含む、導体パターンの製造方法。
本発明は、感度、解像度、及び密着性に優れ、アルカリ性水溶液によって現像しうる感光性樹脂組成物、該感光性樹脂組成物を用いた感光性樹脂積層体、該感光性樹脂積層体を用いて基板上にレジストパターンを形成する方法、及び該レジストパターンの用途を提供し、プリント配線板の製造、リードフレームの製造、半導体パッケージの製造、平面ディスプレイの製造に好適に使用することができる。
以下、本発明について具体的に説明する。
<感光性樹脂組成物>
本発明の感光性樹脂組成物は、(a)カルボキシル基含有単量体を共重合成分として含む、アルカリ可溶性熱可塑性共重合体20〜90質量%、(b)エチレン性不飽和基を有する付加重合性モノマー5〜75質量%、(c)光重合開始剤0.01〜30質量%を含有する感光性樹脂組成物であって、前記(b)として下記一般式(I):
Figure 2011028165
{式中、nは、1〜25の整数である。}で示されるエチレングリコールジメタクリレート化合物、及び前記(c)として9-フェニルアクリジンを含有することを特徴とする感光性樹脂組成物である。
(a)熱可塑性共重合体
感光性樹脂組成物は、(a)カルボキシル基含有単量体を共重合成分として含む、アルカリ可溶性熱可塑性共重合体を含む。該アルカリ可溶性熱可塑性共重合体は、好ましくは、酸当量が100〜600、重量平均分子量が5,000〜500,000である。
熱可塑性共重合体中のカルボキシル基は、感光性樹脂組成物がアルカリ水溶液からなる現像液や剥離液に対して、現像性や剥離性を有するために必要である。酸当量は、100〜600が好ましく、より好ましくは250〜450である。溶媒又は組成物中の他の成分、特に後述する(b)付加重合性モノマーとの相溶性を確保するという観点から100以上であり、一方、現像性や剥離性を維持するという観点から600以下であることが好ましい。ここで、酸当量とは、その中に1当量のカルボキシル基を有する熱可塑性共重合体の質量(グラム)をいう。なお、酸当量の測定は、平沼レポーティングタイトレーター(COM−555)を用い、0.1mol/LのNaOH水溶液で電位差滴定法により行われる。
本発明の熱可塑性重合体の重量平均分子量は、5,000〜500,000であることが好ましい。ドライフィルムレジストの厚みを均一に維持し、現像液に対する耐性を得るという観点から5,000以上であり、一方、現像性を維持するという観点から500,000以下であることが好ましい。より好ましくは、重量平均分子量は、20,000〜100,000である。この場合の重量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン(昭和電工(株)製Shodex STANDARD SM−105)の検量線を用いて測定した重量平均分子量のことである。該重量平均分子量は、日本分光(株)製ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを使用して、以下の条件で測定することができる。
示差屈折率計:RI−1530
ポンプ:PU−1580
デガッサー:DG−980−50
カラムオーブン:CO−1560
カラム:順にKF−8025、KF−806M×2、KF−807
溶離液:THF
熱可塑性共重合体は、後述する第一の単量体の少なくとも1種以上と後述する第二の単量体の少なくとも一種以上からなる共重合体であることが好ましい。
第一の単量体は、分子中にカルボキシル基を含有する単量体である。例えば、(メタ)アクリル酸、フマル酸、ケイ皮酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸無水物、及びマレイン酸半エステルが挙げられる。中でも、(メタ)アクリル酸が好ましい。本明細書中、用語「(メタ)アクリル」とは、アクリル又はメタクリルを意味する。
第二の単量体は、非酸性で、分子中に重合性不飽和基を少なくとも一個有する単量体である。例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、iso−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル等のビニルアルコールのエステル類、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、重合可能なスチレン誘導体が挙げられる。中でも、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、スチレン、ベンジル(メタ)アクリレートが好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物中に含有される熱可塑性重合体の量(但し、感光性樹脂組成物固形分総量に対してである。以下、特別に規定される場合以外は、含有各成分において同じ。)は、20〜90質量%の範囲であり、好ましくは、25〜70質量%の範囲である。この量は、アルカリ現像性を維持するという観点から20質量%以上であり、一方、露光によって形成されるレジストパターンがレジストとしての性能を十分に発揮するという観点から90質量%以下である。
(b)エチレン性不飽和基を有する付加重合性モノマー
本発明の感光性樹脂組成物に用いるエチレン性不飽和基を有する付加重合性モノマーには、必須成分として、前記化学式(I)で示される化合物を含有する。上記式(I)で表される化合物としては、例えば、エチレングリコールジメタクリレート(新中村化学社製NKエステル1G)、ジエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学社製NKエステル2G)、トリエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学社製NKエステル3G)、テトラエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学社製NKエステル4G)、および、ポリエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学社製NKエステル9G、新中村化学社製NKエステル14G、新中村化学社製NKエステル23G)等が挙げられる。前記一般式(I)で表される光重合可能な不飽和化合物の感光性樹脂組成物中に含有される量は、感度の観点から、1質量%以上が好ましく、一方、エッジフューズの観点から20質量%以下が好ましく、より好ましくは3〜10質量%である。前記一般式(I)中のnは1〜25の整数であり、好ましくは1〜15、より好ましくは2〜5である。乾燥時の揮発抑制の観点から2以上がより好ましく、一方、感度の観点から5以下がより好ましい。
また、本発明の感光性樹脂組成物に用いるエチレン性不飽和基を有する付加重合性モノマーとしては、高解像性、エッジフューズ性の観点から下記一般式(II):
Figure 2011028165
{式中、R及びR10は、H又はCHであり、これらは同一であっても相違してもよく、Aは、Cであり、Bは、Cであり、n+nは、2〜30の整数であり、n+nは、0〜30の整数であり、n及びnは、それぞれ独立に、1〜29の整数であり、n及びnは、それぞれ独立に、0〜29の整数であり、−(A−O)−及び−(B−O)−の繰り返し単位の配列は、ランダムであってもブロックであってもよく、ブロックである場合、−(A−O)−及び−(B−O)−のいずれがビスフェノールA基側でもよい。}で表される光重合可能な不飽和化合物の少なくとも一種を含有することが好ましい。
上記一般式(II)で表される化合物においては、n+n+n+nの下限は2以上が好ましく、上限は40以下が好ましい。これらの値は、硬化膜の柔軟性及びテンティング性の観点から2以上が好ましく、一方、解像度の観点から40以下が好ましい。上記一般式(II)で表される具体例としては、ビスフェノールAの両端にそれぞれ平均2モルのエチレンオキサイドを付加したポリエチレングリコールのジメタクリレート(新中村化学工業(株)製NKエステルBPE−200)やビスフェノールAの両端にそれぞれ平均5モルのエチレンオキサイドを付加したポリエチレングリコールのジメタクリレート(新中村化学工業(株)製NKエステルBPE−500)、ビスフェノールAの両端にそれぞれ平均6モルのエチレンオキサイドと平均2モルのプロピレンオキサイドを付加したポリアルキレングリコールのジメタクリレート、ビスフェノールAの両端にそれぞれ平均15モルのエチレンオキサイドと平均2モルのプロピレンオキサイドを付加したポリアルキレングリコールのジメタクリレートがある。
前記一般式(II)で表される光重合可能な不飽和化合物の感光性樹脂組成物中に含有される量は、感度の観点から、3質量%以上が好ましく、一方、エッジフューズの観点から70質量%以下が好ましく、より好ましくは10〜65質量%、さらに好ましくは15〜55質量%である。
本発明の感光性樹脂組成物に用いる(b)少なくとも一つの末端エチレン性不飽和基を有する付加重合性モノマーとしては、上記の一般式(I)及び(II)の化合物以外にも少なくとも1つの末端エチレン性不飽和基を有する公知の化合物を使用できる。
例えば、4−ノニルフェニルヘプタエチレングリコールジプロピレングリコールアクリレート、2−ヒドロキシー3−フェノキシプロピルアクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコールアクリレート、無水フタル酸と2−ヒドロキシプロピルアクリレートとの半エステル化合物とプロピレンオキシドとの反応物(日本触媒化学製、商品名OE-A 200)、4−ノルマルオクチルフェノキシペンタプロピレングリコールアクリレート、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、またポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート等のポリオキシアルキレングリコールジアクリレート、2−ジ(p−ヒドロキシフェニル)プロパンジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシペンタエトキシフェニル)プロパン、ヘキサメチレンジイソシアネートとノナプロピレングリコールモノメタクリレートとのウレタン化物等のウレタン基を含有する多官能基(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エステル化合物の多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。これらは、単独で使用しても、2種類以上併用しても構わない。
本発明の感光性樹脂組成物中に含有される(b)エチレン性不飽和基を有する付加重合性モノマーの量は、5〜75質量%の範囲であり、より好ましい範囲は15〜70質量%である。この量は、硬化不良、及び現像時間の遅延を抑えるという観点から5質量%以上であり、一方、コールドフロー、及び硬化レジストの剥離遅延を抑えるという観点から75質量%以下である。
(c)光重合開始剤
本発明の感光性樹脂組成物中の(c)光重合開始剤は、必須成分として、9−フェニルアクリジンや1,7−ビス(9−アクリジニル)ヘプタンなどのアクリジン化合物を含有する。アクリジン化合物の量は、0.01〜10質量%の範囲であり、より好ましい範囲は0.05〜5質量%である。十分な感度を得るという観点から0.3質量%以上が好ましく、また、レジスト底面にまで光を充分に透過させ、良好な高解像性及び密着性を得るという観点から5質量%以下が好ましい。本発明において、(c)光重合開始剤としてN−アリールアミノ酸を含有することは、本発明の好ましい実施形態である。N−アリールアミノ酸の例としては、N−フェニルグリシン、N−メチル−N−フェニルグリシン、N−エチル−N−フェニルグリシン等がある。中でも、N−フェニルグリシンが特に好ましい。その他、本発明における光重合開始剤として、ヘキサアリールビスイミダゾール誘導体(以下、トリアリールイミダゾリル誘導体の二量体)を併用して用いることもできる。トリアリールイミダゾリル二量体としては、例えば、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体(以下、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,1’−ビスイミダゾール、とも言う)、2,2’,5−トリス−(o−クロロフェニル)−4−(3,4−ジメトキシフェニル)−4’,5’−ジフェニルイミダゾリル二量体、2,4−ビス−(o−クロロフェニル)−5−(3,4−ジメトキシフェニル)−ジフェニルイミダゾリル二量体、2,4,5−トリス−(o−クロロフェニル)−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(o−クロロフェニル)−ビス−4,5−(3,4−ジメトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2−フルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,3−ジフルオロメチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,4−ジフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,5−ジフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,6−ジフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,3,4−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,3,5−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,3,6−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,4,5−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、及び2,2’−ビス−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体が挙げられる。特に、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体は、解像性や硬化膜の強度に対して高い効果を有する光重合開始剤であり、好ましく用いられる。
本発明の感光性樹脂組成物において、ヘキサアリールビスイミダゾールを含有する場合の感光性樹脂組成物中に含有される量は、0.1〜20質量%が好ましい。感度の観点より0.1質量%以上が好ましく、一方、解像度の観点より、20質量%以下が好ましく、より好ましい含有量は、0.1〜15質量%であり、0.1〜10質量%が更に好ましい。これらは単独でもよいし又は2種類以上組み合わせて用いてもよい。
本発明の感光性樹脂組成物に含有される(c)光重合開始剤の量は、0.01〜30質量%の範囲であり、より好ましい範囲は0.05〜10質量%である。
また、上述のアクリジン化合物、N−アリールアミノ酸、ヘキサアリールビスイミダゾール以外の光重合開始剤としては、例えば、2−エチルアントラキノン、オクタエチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルアントラキノン、及び3−クロロ−2−メチルアントラキノンなどのキノン類、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン[4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン]、及び4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどの芳香族ケトン類、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、メチルベンゾイン、エチルベンゾインなどのベンゾインエーテル類、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール、チオキサントン類とアルキルアミノ安息香酸の組み合わせ、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−O−ベンゾインオキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシム等のオキシムエステル類が挙げられる。なお、上述のチオキサントン類とアルキルアミノ安息香酸の組み合わせとしては、例えばエチルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸エチルとの組み合わせ、2−クロルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸エチルとの組み合わせ、イソプロピルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸エチルとの組み合わせが挙げられる。また、ヘキサアリールビスイミダゾール誘導体と芳香族ケトン類の組み合わせが好ましい。また、ピラゾリン化合物を含有することも、本発明の好ましい実施形態である。ピラゾリン化合物としては、1−フェニル−3−(4−tert−ブチル−スチリル)−5−(4−tert-ブチル−フェニル)−ピラゾリン、もしくは1−(4−(ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−(4−tert−ブチル−スチリル)−5−(4−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(4−ビフェニル)−5−(4−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン及び1−フェニル−3−(4−ビフェニル)−5−(4−tert−オクチル−フェニル)−ピラゾリンが好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物には、上記(a)、(b)、及び(c)を必須成分とするが、それ以外にも必要に応じて下記の様な変色剤、染料、可塑剤、酸化防止剤、有機ハロゲン化合物、及び安定化剤(ラジカル重合禁止剤、ベンゾトリアゾール類、及びカルボキシベンゾトリアゾール類からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の化合物等)を添加することができる。
本発明における変色剤としては、ロイコ染料又はフルオラン染料を含有することができる。ロイコ染料としては、例えばロイコクリスタルバイオレット、ロイコマラカイトグリーンなどが挙げられる。十分な着色性(発色性)が認識できる点から0.01質量%以上、一方、色相安定性の観点及び良好な画像特性が得られる点から5質量%以下が好ましい。
本発明における染料としては、例えば、ベイシックグリーン1[633−03−4](例えば、Aizen Diamond Green GH、商品名、保土谷化学工業製)、マラカイトグリーンしゅう酸塩[2437−29−8](例えばAizen Malachite Green、商品名、保土谷化学工業製)、ブリリアントグリーン[633−03−4]フクシン[632−99−5]メチルバイオレット[603−47−4]、メチルバイオレット2B[8004−87−3]クリスタルバイオレット[548−62−9]メチルグリーン[82−94−0]、ビクトリアブルーB[2580−56−5]、ベイシックブルー7[2390−60−5](例えば、Aizen Victoria Pure Blue BOH、商品名、保土谷化学工業製)、ローダミンB[81−88−9]、ローダミン6G[989−38−8]、ベイシックイエロー2[2465−27−2]などが挙げられ、中でもベイシックグリーン1、マラカイトグリーンしゅう酸塩、ベイシックブルー7が好ましい。本発明における染料の量は0.001〜0.3質量%の範囲であり、好ましくは0.01〜0.12質量%の範囲である。充分な着色性が認識できる点から0.001質量%以上、一方、感度維持の観点から0.3質量%以下が好ましい。
本発明における可塑剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンモノメチルエーテル、ポリオキシプロピレンモノメチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンモノメチルエーテル、ポリオキシエチレンモノエチルエーテル、ポリオキシプロピレンモノエチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンモノエチルエーテル等のグリコール・エステル類、ジエチルフタレート等のフタル酸エステル類、o−トルエンスルフォン酸アミド、p−トルエンスルフォン酸アミド、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリ−n−プロピル、アセチルクエン酸トリ−n−ブチルが挙げられる。
可塑剤の含有量としては、感光性樹脂組成物中に、5〜50質量%含むことが好ましく、より好ましくは、5〜50質量%である。現像時間の遅延を抑え、硬化膜に柔軟性を付与するという観点から5質量%以上が好ましく、一方、硬化不足やコールドフローを抑えるという観点から50質量%以下が好ましい。
本発明における酸化防止剤としては、亜リン酸エステル類が好適に用いられる。亜リン酸エステルの例としては、トリフェニルフォスファイト(旭電化工業社製、商品名:TPP)、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト(旭電化工業社製、商品名2112)、トリス(モノノニルフェニル)フォスファイト(旭電化工業社製、商品名:1178)、ビス(モノノニルフェニル)−ジノニルフェニルフォスファイト(旭電化工業社製、商品名:329K)が挙げられる。これらの添加量としては、0.01〜0.8質量%の範囲が好ましく、より好ましくは0.01〜0.3質量%の範囲である。これは、0.01質量%以上で感光性樹脂組成物の色相安定性に優れる効果が発現し、感光性樹脂組成物の露光時における感度が向上すること、0.8質量%以下で発色性が抑えられることで色相安定性が向上することおよび密着性も良好となることから、好ましい量である。
本発明における有機ハロゲン化合物としては、例えば、臭化アミル、臭化イソアミル、臭化イソブチレン、臭化エチレン、臭化ジフェニルメチル、臭化ベンジル、臭化メチレン、トリブロモメチルフェニルスルフォン、四臭化炭素、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート、トリクロロアセトアミド、ヨウ化アミル、ヨウ化イソブチル、1,1,1−トリクロロ−2,2−ビス(p−クロロフェニル)エタン、クロル化トリアジン化合物が挙げられ、中でも特にトリブロモメチルフェニルスルフォンが好ましく用いられる。ハロゲン化合物を含有する場合の含有量は、感光性樹脂組成物中に0.01〜3質量%である。
本発明には、感光性樹脂組成物の熱安定性、保存安定性を向上させるために、感光性樹脂組成物にラジカル重合禁止剤、ベンゾトリアゾール類、及びカルボキシベンゾトリアゾール類からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の化合物を入れることも可能である。
このようなラジカル重合禁止剤としては、例えば、p−メトキシフェノール、ハイドロキノン、ピロガロール、ナフチルアミン、tert−ブチルカテコール、塩化第一銅、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、ニトロソフェニルヒドロキシアミンアルミニウム塩、ジフェニルニトロソアミンが挙げられる。
また、ベンゾトリアゾール類としては、例えば、1,2,3−ベンゾトリアゾール、1−クロロ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、ビス(N−2−エチルヘキシル)アミノメチレン−1,2,3−ベンゾトリアゾール、ビス(N−2−エチルヘキシル)アミノメチレン−1,2,3−トリルトリアゾール、ビス(N−2−ヒドロキシエチル)アミノメチレン−1,2,3−ベンゾトリアゾールが挙げられる。
また、カルボキシベンゾトリアゾール類としては、例えば、4−カルボキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、5−カルボキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、N−(N,N−ジ−2−エチルヘキシル)アミノメチレンカルボキシベンゾトリアゾール、N−(N,N−ジ−2−ヒドロキシエチル)アミノメチレンカルボキシベンゾトリアゾール、N−(N,N−ジ−2−エチルヘキシル)アミノエチレンカルボキシベンゾトリアゾールが挙げられる。
ラジカル重合禁止剤、ベンゾトリアゾール類、及びカルボキシベンゾトリアゾール類の合計添加量は、好ましくは0.01〜3質量%であり、より好ましくは0.05〜1質量%である。この量は、感光性樹脂組成物に保存安定性を付与するという観点から0.01質量%以上が好ましく、一方、感度を維持するという観点から3質量%以下がより好ましい。
<感光性樹脂組成物調合液>
本発明の感光性樹脂組成物は、溶媒を添加した感光性樹脂組成物調合液としてもよい。好適な溶媒としては、メチルエチルケトン(MEK)に代表されるケトン類、メタノール、エタノール、及びイソプロピルアルコールなどのアルコール類が挙げられる。感光性樹脂組成物調合液の粘度が25℃で500〜4000mPa・secとなるように、溶媒を感光性樹脂組成物に添加することが好ましい。
<感光性樹脂積層体>
本発明の感光性樹脂積層体は、感光性樹脂層とその層を支持する支持体からなるが、必要により、感光性樹脂層の支持体と反対側の表面に保護層を有していてもよい。
ここで用いられる支持体としては、露光光源から放射される光を透過する透明なものが望ましい。このような支持体としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、塩化ビニリデン共重合フィルム、ポリメタクリル酸メチル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、スチレン共重合体フィルム、ポリアミドフィルム、セルロース誘導体フィルムなどが挙げられる。これらのフィルムは、必要に応じ延伸されたものも使用可能である。ヘーズは5以下のものが好ましい。フィルムの厚みは、薄い方が画像形成性及び経済性の面で有利であるが、強度を維持する必要から、10〜30μmのものが好ましく用いられる。
また、感光性樹脂積層体に用いられる保護層の重要な特性は、感光性樹脂層との密着力について、支持体よりも保護層の方が充分小さく容易に剥離できることである。例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等が保護層として好ましく使用できる。また、特開昭59−202457号公報に示された剥離性の優れたフィルムを用いることができる。保護層の膜厚は10〜100μmが好ましく、10〜50μmがより好ましい。
本発明の感光性樹脂積層体における感光性樹脂層の厚みは、好ましくは、5〜100μm、より好ましくは、7〜60μmである。厚みが薄いほど解像度は向上し、また、厚いほど膜強度が向上するので、用途に応じて適宜選択することができる。
支持体、感光性樹脂層、及び必要により、保護層を順次積層して、本発明の感光性樹脂積層体を作製する方法は、従来知られている方法を採用することができる。
例えば、感光性樹脂層に用いる感光性樹脂組成物を、前述の感光性樹脂組成物調合液にしておき、まず支持体上にバーコーターやロールコーターを用いて塗布して乾燥させ、支持体上に該感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂層を積層する。次いで、必要により、該感光性樹脂層上に保護層を積層することにより感光性樹脂積層体を作製することができる。
<レジストパターン形成方法>
本発明の感光性樹脂積層体を用いたレジストパターンは、ラミネート工程、露光工程、及び現像工程を含む工程によって形成することができる。具体的な方法の一例を示す。
まず、ラミネーターを用いてラミネート工程を行う。感光性樹脂積層体が保護層を有する場合には保護層を剥離した後、ラミネーターで感光性樹脂層を基板表面に加熱圧着しラミネートする。この場合、感光性樹脂層は基板表面の片面だけにラミネートしてもよいし、必要に応じて両面にラミネートしてもよい。この時の加熱温度は一般的に40〜160℃である。また、該加熱圧着を二回以上行うことにより、得られるレジストパターンの基板に対する密着性が向上する。この時、圧着は二連のロールを備えた二段式ラミネーターを使用してもよいし、何回か繰り返してロールに通し圧着してもよい。
次に、露光機を用いて露光工程を行う。必要ならば支持体を剥離しフォトマスクを通して活性光により露光する。露光量は、光源照度及び露光時間より決定される。光量計を用いて測定してもよい。
露光工程においては、マスクレス露光方法を用いてもよい。マスクレス露光はフォトマスクを使用せず基板上に直接描画装置によって露光する。光源としては波長350〜410nmの半導体レーザーや超高圧水銀灯などが用いられる。描画パターンはコンピューターによって制御され、この場合の露光量は、露光光源の照度および基板の移動速度によって決定される。
次に、現像装置を用いて現像工程を行う。露光後、感光性樹脂層上に支持体がある場合にはこれを除く。続いてアルカリ水溶液からなる現像液を用いて未露光部を現像除去し、レジスト画像を得る。アルカリ水溶液としては、NaCO、KCO等の水溶液が好ましい。これらは感光性樹脂層の特性に合わせて選択されるが、0.2〜2質量%の濃度のNaCO水溶液が一般的である。該アルカリ水溶液中には、表面活性剤、消泡剤、現像を促進させるための少量の有機溶剤などを混入させてもよい。なお、現像工程における該現像液の温度は、20〜40℃の範囲で一定温度に保つことが好ましい。
上述の工程によってレジストパターンが得られるが、場合によっては、さらに100〜300℃の加熱工程を行うこともできる。この加熱工程を実施することにより、更なる耐薬品性向上が可能となる。加熱には、熱風、赤外線、遠赤外線等の方式の加熱炉を用いることができる。
<導体パターンの製造方法・プリント配線板の製造方法>
本発明の導体パターンの製造方法は、基板として金属板又は金属皮膜絶縁板を用い、上述のレジストパターン形成方法によってレジストパターンを形成した後に、以下の工程を経ることで行われる。
まず、現像により露出した基板の銅面にエッチング法、めっき法等の既知の方法をもちいて導体パターンを形成する工程を行う。
その後、レジストパターンを、現像液よりも強いアルカリ性を有する水溶液により基板から剥離する剥離工程を行って所望のプリント配線板を得る。剥離用のアルカリ水溶液(以下、「剥離液」ともいう。)についても特に制限はないが、2〜5質量%の濃度のNaOH又はKOHの水溶液が一般的に用いられる。剥離液にも、少量の水溶性溶媒を加えることは可能である。なお、剥離工程における該剥離液の温度は、40〜70℃の範囲であることが好ましい。
本発明のプリント配線板の製造方法は、基板として銅張積層板又はフレキシブル基板を用い、上述のエッチング工程又はめっきする工程を経ることで行われる。
<リードフレームの製造方法>
本発明のリードフレームの製造方法は、基板として銅、銅合金、鉄系合金等の金属板に前述のレジストパターン形成方法によってレジストパターンを形成した後に、以下の工程を経ることで行われる。
まず、現像により露出した基板をエッチングして導体パターンを形成する工程を行う。その後、レジストパターンを上述のプリント配線板の製造方法と同様の方法で剥離する剥離工程を行って、所望のリードフレームを得る。
<凹凸パターンを有する基材の製造方法>
前述のレジストパターン形成方法によってレジストパターンをサンドブラスト工法により基板に加工を施す時の保護マスク部材として使用することができる。
基板としては、ガラス、シリコンウエハー、アモルファスシリコン、多結晶シリコン、セラミック、サファイア、金属材料などが挙げられる。
これらガラス等の基板上に、前述のレジストパターン形成方法と同様の方法によって、レジストパターンを形成する。その後、形成されたレジストパターン上からブラスト材を吹き付け目的の深さに切削するサンドブラスト処理工程、基板上に残存したレジストパターン部分をアルカリ剥離液等で基板から除去する剥離工程を経て、基板上に微細な凹凸パターンを有する基材とすることができる。上前記サンドブラスト処理工程に用いるブラスト材は公知のものが用いられ、例えばSiC,SiO、Al、CaCO、ZrO、ガラス、ステンレス等の2〜100μm程度の微粒子が用いられる。
<半導体パッケージの製造方法>
本発明の半導体パッケージの製造方法は、基板としてLSIとしての回路形成が終了したウェハに前述のレジストパターン形成方法によってレジストパターンを形成した後に、以下の工程を経ることで行われる。
まず、現像により露出した開口部に銅、はんだ等の柱状のめっきを施して、導体パターンを形成する工程を行う。その後、レジストパターンを上述のプリント配線板の製造方法と同様の方法で剥離する剥離工程を行って、更に、柱状めっき以外の部分の薄い金属層をエッチングにより除去する工程を行うことにより、所望の半導体パッケージを得る。
以下、実施例1〜6及び比較例1〜5の評価用サンプルの作製方法並びに得られたサンプルについての評価方法及び評価結果について記載する。
1.評価用サンプルの作製
実施例1〜6及び比較例1〜5における感光性樹脂積層体は次のようにして作製した。
<感光性樹脂積層体の作製>
以下の表2に示す化合物を用意し、以下の表1に示す組成割合(単位は質量部)の感光性樹脂組成物を、よく攪拌、混合し、支持体として16μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルムの表面にバーコーターを用いて均一に塗布し、95℃の乾燥機中で4分間乾燥して感光性樹脂層を形成した。感光性樹脂層の厚みは30μmであった。
以下の表2において、MEKとはメチルエチルケトンを示し、P−1〜P−2の質量部は、固形分量である。
次いで、感光性樹脂層のポリエチレンテレフタレートフィルムを積層していない側の表面上に、保護層として22μm厚のポリエチレンフィルムを張り合わせて感光性樹脂積層体を得た。
<基板整面>
感度、解像度、密着性、色相安定性用基板は、35μm圧延銅箔を積層した1.2mm厚の銅張積層板を用い、表面を湿式バフロール研磨(スリーエム(株)製、スコッチブライト(登録商標)HD#600、2回通し)した。
<ラミネート>
感光性樹脂積層体のポリエチレンフィルムを剥がしながら、整面して60℃に予熱した銅張積層板にホットロールラミネーター(旭化成(株)製、AL−70)により、ロール温度105℃でラミネートした。エアー圧力は0.35MPaとし、ラミネート速度は1.5m/minとした。
<露光>
(直接描画式露光方法)直接描画式露光装置(日立ビアメカニクス(株)製、DI露光機DE−1AH、光源:GaN青紫ダイオード、主波長407±3nm)により露光した。
<現像>
ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離した後、アルカリ現像機(フジ機工製、ドライフィルム用現像機)を用いて30℃の1質量%NaCO水溶液を所定時間スプレーし、感光性樹脂層の未露光部分を最小現像時間の2倍の時間で溶解除去した。この際、未露光部分の感光性樹脂層が完全に溶解するのに要する最も少ない時間を最小現像時間とした。
2.評価方法
2.1 感度評価
上記方法によりラミネートし、15分経過した基板を用い、ストーファー21段ステップタブレットをマスクとして上記露光機を用いて25 mJ/cm2の露光量にて露光した。その後、上記現像方法によって現像し、そのときの残膜限界段数を以下の基準により評価した:
◎:最高残膜段数が7段以上;
○:最高残膜段数が5段以上7段未満;
△:最高残膜段数が3段以上5段未満;
×:最高残膜段数が3段未満。
2.2 解像性評価
ラミネート後15分経過した解像度評価用基板を、露光部と未露光部の幅が1:1の比率のラインパターンマスクを通して露光した。最小現像時間の2倍の現像時間で現像し、硬化レジストラインが正常に形成されている最小マスク幅を解像度の値とし、解像性を下記のようにランク分けした:
○:解像度の値が24μm以下;
△:解像度の値が24μmを超え、40μm以下;
×:解像度の値が40μmを超える。
2.3 密着性評価
ラミネート後15分経過した感度、密着性評価用基板を、露光部と未露光部の幅が1:100の比率のラインパターンマスクを通して露光した。最小現像時間の2倍の現像時間で現像し、硬化レジストラインが正常に形成されている最小マスクライン幅を密着性の値とした:
○:密着性の値が24μm以下;
△:密着性の値が24μmを超え、40μm以下;
×:密着性の値が40μmを超える。
3.評価結果
実施例1〜6及び比較例1〜5の評価結果を以下の表1に示す。
Figure 2011028165
表1の評価結果から明らかなように、実施例1〜6は、比較例1〜5に比べ、感度、解像性、及び密着性に優れることが明らかである。
Figure 2011028165
本発明は、プリント配線板の製造、ICチップ搭載用リードフレーム製造、メタルマスク製造などの金属箔精密加工、BGA、CSP等のパッケージの製造、COFやTABなどテープ基板の製造、半導体バンプの製造、ITO電極やアドレス電極、電磁波シールドなどフラットパネルディスプレイの隔壁を製造する方法に、好適に利用可能である。

Claims (7)

  1. (a)カルボキシル基含有単量体を共重合成分として含む、アルカリ可溶性熱可塑性共重合体20〜90質量%、(b)下記一般式(I):
    Figure 2011028165
    {式中、nは、1〜25の整数である。}で示されるエチレングリコールジメタクリレート化合物を少なくとも含むエチレン性不飽和基を有する付加重合性モノマー5〜75質量%、及び(c)アクリジン化合物を少なくとも含む光重合開始剤0.01〜30質量%を、含有する感光性樹脂組成物。
  2. 前記一般式(I)で示される化合物を1〜20質量%含有する、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
  3. 亜リン酸エステル化合物をさらに含有する、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
  4. 前記(b)エチレン性不飽和基を有する付加重合性モノマーが、下記一般式(II):
    Figure 2011028165
    {式中、R及びR10は、H又はCHであり、これらは同一であっても相違してもよく、Aは、Cであり、Bは、Cであり、n+nは、2〜30の整数であり、n+nは、0〜30の整数であり、n及びnは、それぞれ独立に、1〜29の整数であり、n及びnは、それぞれ独立に、0〜29の整数であり、−(A−O)−及び−(B−O)−の繰り返し単位の配列は、ランダムであってもブロックであってもよく、ブロックである場合、−(A−O)−及び−(B−O)−のいずれがビスフェノールA基側でもよい。}で表される光重合可能な不飽和化合物の少なくとも一種を含有する、請求項1〜3に記載の感光性樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂層を支持体上に積層してなる感光性樹脂積層体。
  6. 請求項5に記載の感光性樹脂積層体を用いて、基板上に感光性樹脂層を形成するラミネート工程、感光性樹脂層を露光する露光工程、及び未露光部を現像液で除去する現像工程を順に含む、レジストパターン形成方法。
  7. 基板として金属板又は金属皮膜絶縁板を用い、請求項6に記載の方法によりレジストパターンが形成された基板をエッチング又はめっきする工程を含む、導体パターンの製造方法。
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