JP2011027230A - 車両制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】過給遅れを低減できる車両制御装置を提供すること。
【解決手段】排気ガスのエネルギーで過給を行う過給装置15を備える内燃機関10と、複数の摩擦係合要素50の開放と係合の切替えにより、複数の変速段の間で変速段が切替えられる変速装置40とが搭載された車両を制御する車両制御装置1であって、摩擦係合要素に作用させる油圧の制御が可能な油圧制御手段と、電力を消費して過給をアシストするアシスト手段19とを備え、過給遅れが生じると判定された場合に、アシスト手段による過給のアシストを行い、過給遅れが生じると判定された場合であって、ダウンシフト判定がなされ、かつダウンシフトに伴う運転状態の変化が所定の条件を満たすと予測される場合には、アシスト手段の過給アシストに代えて、ダウンシフト時に開放側の摩擦係合要素に作用させる油圧を、過給遅れが生じると判定されない場合と比較して、推定過給遅れに応じて低減する。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両制御装置に関し、特に、排気ガスのエネルギーで過給を行う過給装置を備える内燃機関と、内燃機関の動力を出力する際における変速段が複数の変速段の間で切替えられる変速装置とが搭載された車両を制御する車両制御装置に関する。
近年の車両では、走行時における操作の容易性の向上を図るため、エンジン等の内燃機関で発生した動力を変速して駆動輪側に出力する変速機として自動変速機が多用されている。この自動変速機は、自動変速機における入力軸と出力軸との間に回転ドラムやギア等の回転要素が設けられており、さらに、回転要素の回転を制御するクラッチやブレーキ等の摩擦係合要素を備えている。このように設けられる自動変速機で変速をする場合には、摩擦係合要素の解放と係合とを制御して回転要素の回転を制御することにより変速する。即ち、自動変速機は回転要素による回転の伝達状態ごとに入力軸と出力軸との回転比が異なるように設けられており、それぞれ回転比が異なる回転要素の複数の伝達状態は、それぞれ変速段として設けられている。
また、自動変速機によって動力が変速されるエンジンの中には、運転時の出力を増加させるため、過給装置が備えられているものがある。しかし、排気ガスのエネルギーで過給を行う過給装置が備えられている内燃機関の場合、加速時の状態によって過給遅れ(ターボラグ)が発生する場合がある。
特許文献1に記載の車両用自動変速装置の変速制御方法では、高速段から低速段への変速判断時に、判断時より所定時間前に検出したエンジン負荷およびエンジン回転数に基づきターボラグの発生の有無を判別し、ターボラグの発生が検出されたとき、低速段側摩擦係合要素に供給する作動油圧を減圧補正する。これにより、ターボラグが発生しても変速ショックを防止することができるとされている。
特開平6−2760号公報
しかしながら、ダウンシフト時にターボラグが発生した際に低速段側の摩擦係合要素に供給する作動油圧を減圧補正した場合、変速ショックを抑制することができたとしても、ターボラグそのものの抑制にはならない。つまり、変速ショックを抑制した場合には、車両の運転時における不快感は低減することになるが、ターボラグの低減にはつながらないので、ターボラグの時間は変化しない。
車両の加速時にターボラグが発生する場合でも、その時間は短い方が好ましい。加速時におけるターボラグを低減できることが望まれている。
ここで、ターボラグを低減するために、電力等のエネルギーを消費して過給装置による過給をアシストする方法が考えられるが、過給をアシストすることによりエネルギー消費量が増大すると、車両の燃費の悪化を招く虞がある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、過給遅れを低減することができる車両制御装置を提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、車両の燃費の悪化を抑制しつつ過給遅れを低減することができる車両制御装置を提供することである。
本発明の車両制御装置は、排気ガスのエネルギーで過給を行う過給装置を備える内燃機関と、前記内燃機関の動力を出力可能に設けられ、複数の摩擦係合要素を有し、かつ、前記複数の摩擦係合要素の開放と係合とを切替えることにより、前記内燃機関の前記動力を出力する際における変速段が、複数の変速段の間で切替えられる変速装置とが搭載された車両を制御する車両制御装置であって、前記摩擦係合要素に作用させる油圧の制御が可能に設けられており、かつ、前記車両の加速時に変速前の前記変速段に対応する前記摩擦係合要素を開放させ、変速後の前記変速段に対応する前記摩擦係合要素を係合させることにより前記変速装置をダウンシフトさせる油圧制御手段と、電力を消費して前記過給装置による過給をアシストするアシスト手段とを備え、前記過給装置の過給遅れが生じると判定された場合に、前記アシスト手段による前記過給のアシストを行い、前記過給遅れが生じると判定された場合であって、前記ダウンシフトを実行すると判定され、かつ、前記ダウンシフトに伴う運転状態の変化が予め定められた所定の条件を満たすと予測される場合には、前記アシスト手段による前記過給のアシストを行うことに代えて、前記ダウンシフト時に開放側の前記摩擦係合要素に作用させる油圧を、前記過給遅れが生じると判定されない場合と比較して、推定された前記過給遅れに応じて低減することを特徴とする。
本発明の車両制御装置において、前記内燃機関と前記変速装置との間には、前記内燃機関の出力軸と接続されたポンプと、前記変速装置の入力軸と接続されたタービンとを有し、前記内燃機関の前記動力を前記変速装置に伝達するトルクコンバータが設けられ、前記所定の条件は、前記ダウンシフトにおける前記タービンの回転数の上昇量が、前記ダウンシフトにおける前記トルクコンバータの滑りによる前記内燃機関の回転数の上昇量以上である条件を含むことを特徴とする。
本発明の車両制御装置において、前記所定の条件は、前記ダウンシフト後の前記内燃機関の回転数が、前記過給装置による過給が開始される回転数以上である条件を含むことを特徴とする。
本発明の車両制御装置において、前記過給遅れが生じると判定された場合であって、前記ダウンシフトを実行すると判定され、かつ、予め設定された変速線に基づく前記変速段を目標変速段とする前記ダウンシフトでは前記運転状態の変化が前記所定の条件を満たさないと予測される場合、前記ダウンシフトの前記目標変速段を、前記変速線に基づく前記変速段に代えて、前記運転状態の変化が前記所定の条件を満たす前記変速段とすることを特徴とする。
本発明の車両制御装置において、推定された前記過給遅れが大きい場合には、推定された前記過給遅れが小さい場合と比較して、前記開放側の前記摩擦係合要素に作用させる油圧が低くなることを特徴とする。
本発明にかかる車両制御装置は、電力を消費して過給装置による過給をアシストするアシスト手段を備え、過給遅れが生じると判定された場合に、アシスト手段による過給のアシストを行い、過給遅れが生じると判定された場合であって、ダウンシフトを実行すると判定され、かつ、ダウンシフトに伴う運転状態の変化が予め定められた所定の条件を満たすと予測される場合には、アシスト手段による過給のアシストを行うことに代えて、ダウンシフト時に開放側の摩擦係合要素に作用させる油圧を、過給遅れが生じると判定されない場合と比較して、推定された過給遅れに応じて低減する。開放側の摩擦係合要素に作用させる油圧が低減されることで、内燃機関の回転数が上昇しやすくなり、過給遅れが低減されるという効果を奏する。
図1は、本発明に係る車両制御装置の第1実施形態の概略図である。 図2は、本発明に係る車両制御装置の第1実施形態の要部構成図である。 図3は、従来の自動変速機でダウンシフトを行う場合における開放油圧と係合油圧との指示値を示す説明図である。 図4は、本発明に係る車両制御装置の第1実施形態でのダウンシフト時における開放油圧と係合油圧との指示値を示す説明図である。 図5は、本発明に係る車両制御装置の第1実施形態でのダウンシフト時のエンジン回転数とタービン回転数との変化を示す説明図である。 図6は、本発明に係る車両制御装置の第1実施形態でのダウンシフト時の吸気通路内の圧力の変化を示す説明図である。 図7は、本発明に係る車両制御装置の第1実施形態での過給遅れ時間に対する開放油圧の低減量を示す説明図である。 図8は、本発明に係る車両制御装置の第1実施形態でのダウンシフト時における駆動トルクの変化を示す説明図である。 図9は、本発明に係る車両制御装置の第1実施形態の処理手順を示すフロー図である。 図10は、本発明に係る車両制御装置の第1実施形態の変速早期化判定フローの処理手順を示すフロー図である。 図11は、本発明に係る車両制御装置の第2実施形態の処理手順を示すフロー図である。
以下に、本発明にかかる車両制御装置の一実施形態につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。また、以下の説明において、ダウンシフトとは、変速装置の変速段を、現状よりも変速比の大きい変速段へ変更することをいう。また、アップシフトとは、変速装置の変速段を、現状よりも変速比が小さい変速段へ変更することをいう。また、変速制御は、変速装置の変速段を切り替える際の制御である。
(第1実施形態)
図1から図10を参照して、第1実施形態について説明する。本実施形態は、排気ガスのエネルギーで過給を行う過給装置を備える内燃機関と、内燃機関の動力を出力する際における変速段が複数の変速段の間で切替えられる変速装置とが搭載された車両を制御する車両制御装置に関する。図1は、本発明に係る車両制御装置の第1実施形態の概略図である。
本実施形態に係る車両は、電動アシストモータ付ターボチャージャ(過給装置、図1の符号15参照)を備えている。ターボチャージャ15を作動させる場合、ターボラグ抑制のために、電動モータ(図1の符号19参照)にてターボチャージャ15の回転をアシストし、過給開始を早めることができる。しかしながら、常にこのように電動モータ19でアシストすると、電動モータ19を作動させるための電力消費量が大きくなり、燃費の悪化につながる。
これに対して、本実施形態では、後述するように、開放油圧低減によるダウンシフト変速早期化にて、ダウンシフト時のエンジン回転数を早めに上昇させる。開放油圧低減では、自動変速機(図1の符号30参照)のダウンシフト時に、変速前の変速段に対応する摩擦係合要素に作用させる油圧である開放油圧を低減させて摩擦係合要素を開放させやすくする。これにより、エンジン(図1の符号10参照)の負荷を低減させて、エンジン回転数を上昇させやすくする。エンジン回転数の上昇が早められることで、電動モータ19の作動なしでターボラグを抑制することができる。
ただし、どのような条件でも開放油圧低減によるダウンシフト変速早期化を使えるわけではないので、ダウンシフト変速早期化が不可である場合は、電動モータ19によるアシストを行う。このように、開放油圧低減によるエンジン回転数の上昇早期化と、電動モータ19によるアシストとを条件に応じて使い分けることで、燃費の悪化を抑制しつつ過給遅れを低減することができる。
図1に示す車両制御装置1は、車両(図示省略)に搭載される自動変速機30の変速制御等が可能に設けられており、この自動変速機30は、動力源であるエンジン10に接続されている。このように、車両の動力源として設けられるエンジン10は、ガソリンを燃料とするレシプロ式の火花点火式内燃機関となっている。なお、エンジン10は、これに限定されるものではない。エンジン10は、例えば、LPG(Liquefied Petroleum Gas:液化石油ガス)やアルコールを燃料とする火花点火式内燃機関であってもよいし、いわゆるロータリー式の火花点火式内燃機関であってもよいし、ディーゼル機関であってもよい。エンジン10は、ECU(Electronic Control Unit)70に接続されており、ECU70によって回転数やトルク(出力)が制御可能に設けられている。
エンジン10は、エンジン10が有する燃焼室(図示省略)に連通すると共に燃焼室に吸入される空気が流れる通路である吸気通路12と、燃焼室で燃料を燃焼させた後、燃焼室から排出される排気ガスが流れる排気通路13とが接続されている。また、エンジン10は、燃焼室で吸入する空気を圧縮する過給装置であるターボチャージャ15を備えている。ターボチャージャ15は、コンプレッサ16と、タービン17と、シャフト18と、電動モータ19とを有している。コンプレッサ16は吸気通路12に配設され、タービン17は排気通路13に配設されている。コンプレッサ16とタービン17とは同軸上に配置されており、シャフト18により接続されている。ターボチャージャ15は、排気通路13を流れる排気ガスによってタービン17が作動し、タービン17の作動時の力がシャフト18を介してコンプレッサ16に伝達されてコンプレッサ16が作動することにより、吸気通路12を流れる空気をコンプレッサ16で圧縮する。つまり、ターボチャージャ15は、排気ガスのエネルギーで過給を行う過給装置である。
電動モータ19は、コンプレッサ16とタービン17との間に配置されている。電動モータ19は、シャフト18の回転を助勢(アシスト)するものであり、図示しないバッテリ等の電源部から供給される電力によりシャフト18を回転させる。すなわち、電動モータ19は、電力を消費してターボチャージャ15による過給をアシストするアシスト手段としての機能を有する。電動モータ19は、シャフト18と一体回転可能に設けられたロータと、ロータの径方向外側に配置されたステータとを有しており、ステータに電流が供給されてロータが回転することにより、シャフト18を回転させることができる。電源部とステータとは、電動モータ19への電流の供給を制御する駆動回路を介して接続されている。電動モータ19の駆動回路は、ECU70に接続されており、ECU70によって電動モータ19への電流の供給が制御されることで、電動モータ19の回転数が制御される。ECU70は、後述するように、ターボチャージャ15の過給遅れが発生する場合などに電動モータ19を運転させ、シャフト18の回転を助勢することで、ターボチャージャ15による過給をアシストする。また、ターボチャージャ15には、シャフト18の回転数を検出する図示しないセンサが設けられており、シャフト18の回転数は、ECU70に伝達される。
ターボチャージャ15のコンプレッサ16が配設される吸気通路12は、吸気通路12を流れる空気の流れ方向におけるコンプレッサ16の下流側に、吸気通路12内を開閉可能なスロットルバルブ20が配設されている。このスロットルバルブ20の近傍には、スロットルバルブ20の開度であるスロットル開度を検出可能なスロットル開度検出手段であるスロットル開度センサ21が設けられている。また、吸気通路12には、コンプレッサ16の上流側に、吸気通路12を流れる空気の流量を検出可能な吸入空気量検出手段であるエアフロメータ22が設けられており、スロットルバルブ20の下流側に、吸気通路12を流れる空気の圧力を検出する圧力センサ23が設けられている。
また、自動変速機30は、トルクコンバータ31、変速装置40及び油圧制御装置45を含んで構成されている。エンジン10で発生し、自動変速機30に入力される動力は、トルクコンバータ31を介して変速比可変手段である変速装置40に伝達可能に設けられており、エンジン10の動力が変速装置40に伝達された場合には、変速装置40で車両の走行条件に応じて選択された変速比で回転数が変更され、変速したトルクを車両の駆動輪(図示省略)側に出力可能に設けられている。
このように設けられる自動変速機30のうち、トルクコンバータ31は、回転可能に設けられると共にエンジン10の動力の入力側となるポンプ32と、回転可能に設けられると共に変速装置40への出力側となるタービン33と、ポンプ32とタービン33との間に配設されたステータ35とを備える流体伝動機構により構成されている。このうち、ポンプ32は、エンジン10の出力軸であるエンジン出力軸11に接続され、エンジン出力軸11と一体に回転するカバー36に接続されており、これらのエンジン出力軸11、カバー36及びポンプ32は、一体となって回転可能に設けられている。
また、タービン33は、変速装置40の入力軸である変速装置入力軸41に接続されており、ポンプ32を介して伝達されたエンジン10の動力を変速装置40に伝達可能に設けられている。即ち、タービン33は、変速装置入力軸41から当該タービン33の回転を伝達することにより、エンジン10から伝達された動力を、変速装置40に出力可能に設けられている。また、ステータ35は、回転をしないケース(図示省略)に、ワンウェイクラッチ(図示省略)を介して接続されており、このワンウェイクラッチによって、ステータ35は一方向にのみ回転可能になっている。
また、ポンプ32、タービン33及びステータ35の間には、動力を伝達する作動流体であるオイル(図示省略)が循環可能に封入されており、エンジン10から伝達された動力は、このオイルを介して互いに伝達可能に設けられている。つまり、ポンプ32は、エンジン10からの動力が入力されることにより回転可能に設けられると共に作動流体であるオイルに対して回転時の運動エネルギーを伝達することにより動力を伝達可能に設けられている。また、タービン33は、ポンプ32で運動エネルギーを伝達するオイルを介して動力が伝達されることにより回転可能に設けられており、さらに、変速装置入力軸41に回転を伝達することを介してエンジン10から伝達された動力を変速装置40に出力可能に設けられている。
さらに、トルクコンバータ31は、共に回転可能なポンプ32とタービン33とを断続可能なロックアップ機構37を備えている。このロックアップ機構37は、タービン33と共に回転可能なロックアップクラッチ38と、ポンプ32と一体となって回転可能なカバー36とにより構成される。このうち、ロックアップクラッチ38は、タービン33とカバー36との間に配設されており、トルクコンバータ31内の油圧を制御することにより、カバー36と係合したりカバー36から離間したりする。このため、ロックアップクラッチ38とカバー36とが係合した場合には、ロックアップクラッチ38及びカバー36を介して、ポンプ32とタービン33とが係合した状態になる。この場合、エンジン10から伝達された動力は、このポンプ32とタービン33との係合により、機械的に伝達される。
また、ロックアップクラッチ38とカバー36とを離間させた場合には、エンジン10から伝達された動力は、ポンプ32とタービン33とを循環するオイルを介して伝達される。このように、ロックアップクラッチ38とカバー36とにより構成されるロックアップ機構37は、ロックアップクラッチ38とカバー36とを係合させたり離間させたりすることにより、ポンプ32とタービン33との間の動力の伝達をオイルによる伝達である流体伝達と、ポンプ32とタービン33とを係合させることにより行う伝達である係合伝達とで切り替え可能に設けられている。
また、自動変速機30が有する変速装置40は、複数の変速要素である遊星歯車装置と、複数の摩擦係合要素(クラッチC1、クラッチC2、クラッチC3、クラッチC4、ブレーキB1、B2)50とを組み合わせて構成される多段式の変速装置40となっている。ここで、ブレーキは、変速装置40の筐体に取り付けられる摩擦係合要素50であり、クラッチは、変速装置40の筐体ではなく、回転軸に取り付けられる摩擦係合要素50である。なお、変速装置40が備える変速要素や摩擦係合要素50の数は、自動変速機30の仕様に応じて適宜変更してもよい。
また、油圧制御装置45は、それぞれの摩擦係合要素50へ供給する制御油の油圧を調整する摩擦係合要素用油圧調整手段として、リニアソレノイドバルブ46を備えている。この油圧制御装置45は、各摩擦係合要素50を動作させるための油圧を発生可能に設けられており、発生した油圧を所定の摩擦係合要素50へ配分すると共に、摩擦係合要素50に供給する制御油の油圧を調整する機能も有している。また、自動変速機30には、リニアソレノイドバルブ46に接続され、自動変速機30内に貯留される制御油をリニアソレノイドバルブ46に供給するポンプ(図示省略)が備えられている。
また、変速装置40は、変速要素である遊星歯車装置の回転要素(キャリアやリングギヤ)を、摩擦係合要素50であるブレーキB1、B2等によって停止させ、また、エンジン10の動力を入力する変速装置40の回転要素を摩擦係合要素50であるクラッチC1、C2、C3、C4等によって切り替えることにより、変速比を変更可能に設けられている。そして、停止させる回転要素の組み合わせを変更することにより、変速段を変更可能に設けられている。即ち、回転要素の回転や停止の各組み合わせは、それぞれ自動変速機30の変速段として設けられている。
自動変速機30は、これらのように設けられているため、エンジン10が発生する動力は、トルクコンバータ31を介して自動変速機30の変速装置40へ入力される。また、変速装置40は、当該変速装置40の出力軸である変速装置出力軸42を有しており、変速装置出力軸42は、車両のプロペラシャフト55に接続されている。つまり、変速装置出力軸42は、自動変速機30の出力軸となっている。
エンジン10には、エンジン出力軸11の回転数を検出可能な機関回転数検出手段であるエンジン回転数センサ24が設けられている。また、自動変速機30には、変速装置入力軸41の回転数を検出可能な変速装置入力軸回転数検出手段である変速装置入力軸回転数センサ51と、変速装置出力軸42の回転数を検出可能な変速装置出力軸回転数検出手段である変速装置出力軸回転数センサ52とが設けられている。
これらのエンジン回転数センサ24、変速装置入力軸回転数センサ51、変速装置出力軸回転数センサ52、及びスロットルバルブ20、スロットル開度センサ21、エアフロメータ22、圧力センサ23、リニアソレノイドバルブ46は、ECU70に接続されている。さらに、ECU70には、車両の運転席に設けられるアクセルペダル60の近傍に設けられ、アクセルペダル60の開度であるアクセル開度を検出可能なアクセル開度検出手段であるアクセル開度センサ61が接続されている。
図2は、図1に示す車両制御装置の要部構成図である。ECU70には、処理部71、記憶部90及び入出力部91が設けられており、これらは互いに接続され、互いに信号の受け渡しが可能になっている。また、ECU70に接続されている電動モータ19、スロットルバルブ20、スロットル開度センサ21、エアフロメータ22、圧力センサ23、エンジン回転数センサ24、リニアソレノイドバルブ46、変速装置入力軸回転数センサ51、変速装置出力軸回転数センサ52、アクセル開度センサ61は、入出力部91に接続されており、入出力部91は、これらのエンジン回転数センサ24等との間で信号の入出力を行う。また、記憶部90には、車両制御装置1を制御するコンピュータプログラムが格納されている。この記憶部90は、ハードディスク装置や光磁気ディスク装置、またはフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ(CD−ROM等のような読み出しのみが可能な記憶媒体)や、RAM(Random Access Memory)のような揮発性のメモリ、或いはこれらの組み合わせにより構成することができる。
また、処理部71は、メモリ及びCPU(Central Processing Unit)により構成されており、少なくとも、アクセル開度センサ61での検出結果よりアクセルペダル60の開度であるアクセル開度を取得可能なアクセル開度取得手段であるアクセル開度取得部72と、エアフロメータ22での検出結果よりエンジン10の吸入空気量を取得可能な吸入空気量取得手段である吸入空気量取得部73と、スロットル開度センサ21での検出結果よりスロットルバルブ20の開度であるスロットル開度を取得可能なスロットル開度取得手段であるスロットル開度取得部74と、エンジン回転数センサ24での検出結果よりエンジン回転数を取得する機関回転数取得手段であるエンジン回転数取得部75と、変速装置出力軸回転数センサ52での検出結果より車速を取得する車速取得手段である車速取得部76と、圧力センサ23での検出結果よりターボチャージャ15による過給圧を取得する過給圧取得手段である過給圧取得部77と、を有している。
また、処理部71は、変速装置40のダウンシフトの制御時に開放側の摩擦係合要素50、即ち、ダウンシフト時の変速前の変速段に対応する摩擦係合要素50に作用させる油圧をターボチャージャ15での過給時の過給遅れに応じて補正する油圧補正手段である開放油圧補正部78と、エンジン10の運転状態がターボチャージャ15による過給が行われる運転領域である過給作動領域であるか否かを判定する過給作動領域判定手段である過給作動領域判定部79と、変速装置40をダウンシフトさせるか否かを判定するダウンシフト判定手段であるダウンシフト判定部80と、車両の加速時に変速装置40をダウンシフトさせる場合において過給圧が所定値に到達する時間が設定時間以上であるか否かを判定する到達時間判定手段である到達時間判定部81と、を有している。
また、処理部71は、エンジン10の運転制御を行う内燃機関制御手段であるエンジン制御部82と、自動変速機30の摩擦係合要素50に作用させる油圧を制御することにより自動変速機30の変速制御が可能に設けられており、且つ、車両の加速時に変速前の変速段に対応する摩擦係合要素50を開放させ、変速後の変速段に対応する摩擦係合要素50を係合させることによりダウンシフトの制御が可能に設けられた油圧制御手段である変速制御部83と、電動モータ19の制御を行う電動モータ制御部84と、を有している。
さらに、処理部71は、変速装置入力軸回転数センサ51での検出結果よりトルクコンバータ31のタービン33の回転数を取得するタービン回転数取得手段であるタービン回転数取得部111と、現在選択されている変速装置40の変速段を取得する変速段取得手段である変速段取得部112と、変速装置40の変速時における変速後のエンジン10の回転数を算出する変速後機関回転数算出手段である変速後エンジン回転数算出部113と、変速装置40の変速時における変速後のトルクコンバータ31のタービン33の回転数を算出する変速後タービン回転数算出手段である変速後タービン回転数算出部114と、を有している。
またさらに、処理部71は、エンジン10の回転数と所定の回転数とを比較し、相対的な回転数の高さを判定する機関回転数判定手段であるエンジン回転数判定部115と、トルクコンバータ31のタービン33の回転数と所定の回転数とを比較し、相対的な回転数の高さを判定するタービン回転数判定手段であるタービン回転数判定部116と、変速装置40の変速時におけるトルクコンバータ31のタービン33の回転数の上昇量が、トルクコンバータ31の滑りによるエンジン10の回転数の上昇量よりも大きいか否かを判定する回転数上昇量判定手段である回転数上昇量判定部117と、を有している。
ECU70によって制御される車両制御装置1の制御は、例えば、エンジン回転数センサ24等の検出結果に基づいて、処理部71が上記コンピュータプログラムを当該処理部71に組み込まれたメモリに読み込んで演算し、演算の結果に応じてリニアソレノイドバルブ46等を作動させることにより制御する。その際に処理部71は、適宜記憶部90へ演算途中の数値を格納し、また格納した数値を取り出して演算を実行する。なお、このように車両制御装置1を制御する場合には、上記コンピュータプログラムの代わりに、ECU70とは異なる専用のハードウェアによって制御してもよい。
本実施形態に係る車両制御装置1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。車両の走行中は、アクセルペダル60を足で操作することにより、エンジン10の回転数やトルクを調整し、車速を調整する。このように、アクセルペダル60を操作している場合には、アクセルペダル60のストローク量、或いはアクセル開度が、アクセルペダル60の近傍に設けられるアクセル開度センサ61によって検出される。アクセル開度センサ61による検出結果は、ECU70の処理部71が有するアクセル開度取得部72に伝達され、アクセル開度取得部72で取得する。アクセル開度取得部72で取得したアクセル開度は、ECU70の処理部71が有するエンジン制御部82に伝達され、エンジン制御部82は、伝達されたアクセル開度や、その他のセンサによる検出結果に基づいて、スロットルバルブ20等を作動させることにより、エンジン10を制御する。
また、このようにエンジン制御部82でエンジン10の運転制御を行っている場合には、吸気通路12を流れる吸入空気量をエアフロメータ22で検出し、検出結果がECU70の処理部71が有する吸入空気量取得部73に伝達されて、吸入空気量取得部73で取得する。さらに、スロットルバルブ20の近傍に設けられるスロットル開度センサ21でスロットルバルブ20の開度であるスロットル開度を検出し、検出結果がECU70の処理部71が有するスロットル開度取得部74に伝達されて、スロットル開度取得部74で取得する。吸入空気量取得部73やスロットル開度取得部74で取得した吸入空気量やスロットル開度は、エンジン制御部82に伝達され、エンジン制御部82は、これらの吸入空気量やスロットル開度等によりエンジン10の運転状態を検出しつつ、エンジン10の運転制御を行う。
ここで、吸気通路12には、ターボチャージャ15のコンプレッサ16が配設されている。このコンプレッサ16は、エンジン10から排出される排気ガスによってターボチャージャ15のタービン17が作動した際の力により、作動可能に設けられている。このため、エンジン10の運転状態が、排気ガスによりタービン17を作動させることができる運転状態になった場合に、エンジン10から排出される排気ガスによってタービン17が作動し、この作動によりコンプレッサ16は作動する。コンプレッサ16が作動した際には、コンプレッサ16は、吸気通路12を流れる空気の流れ方向におけるコンプレッサ16の上流側の空気を吸引し、圧縮して下流側に流す。これにより、ターボチャージャ15の作動時におけるコンプレッサ16の下流側の吸気通路12には、大気圧よりも圧力が高くなった空気が流れる。このように、圧力が高くなった空気は、コンプレッサ16の下流に配設され、エンジン制御部82で開度が調節されるスロットルバルブ20によって流量が調整され、エンジン10に供給される。即ち、ターボチャージャ15が作動した場合には、エンジン10は、ターボチャージャ15によって過給した状態で吸気する。
また、このようにターボチャージャ15によって過給した空気など吸気通路12を流れる空気の圧力は、吸気通路12に設けられる圧力センサ23で検出する。圧力センサ23で検出した吸気通路12内の空気の圧力は、ECU70の処理部71が有する過給圧取得部77に伝達され、過給圧取得部77で過給圧として取得する。
エンジン10は、このようにエンジン制御部82で制御されることにより運転可能になっているが、エンジン制御部82によって制御されるエンジン10の動力は、エンジン出力軸11が回転することにより外部に出力される。このエンジン出力軸11の回転は、まず、トルクコンバータ31に伝達され、トルクコンバータ31が回転し、トルクコンバータ31を介して変速装置入力軸41に伝達される。
トルクコンバータ31を介して変速装置入力軸41に伝達されたエンジン出力軸11の回転は、変速装置入力軸41によって変速装置40へ伝達される。これにより、エンジン10の動力は変速装置40へ入力される。ここで、トルクコンバータ31は、ロックアップ機構37によってロックアップが可能に設けられているが、エンジン10の動力がトルクコンバータ31を介して変速装置40へ入力される際には、ロックアップ状態であるか否かにより、トルクコンバータ31内における動力の伝達経路が異なっている。
まず、トルクコンバータ31がロックアップ状態ではない場合、つまり、ロックアップ機構37のロックアップクラッチ38がカバー36から離間した流体伝達の場合について説明すると、エンジン10の動力は、エンジン出力軸11からトルクコンバータ31のカバー36に伝達され、動力が伝達されたカバー36は、当該カバー36と一体となって回転可能に設けられたポンプ32と共に回転する。このようにポンプ32が回転した場合、ポンプ32は当該ポンプ32とタービン33との間に封入され、且つ、ポンプ32とタービン33との間を循環可能なオイルに、ポンプ32の回転時の運動エネルギーを伝達する。これによりオイルは流動し、ポンプ32とタービン33との間を循環する際にポンプ32から伝達された運動エネルギーをタービン33に伝達する。
オイルから運動エネルギーが伝達されたタービン33は、伝達された運動エネルギーによって回転する。このように、オイルから伝達された運動エネルギーにより回転するタービン33は、変速装置40の変速装置入力軸41に接続されており、タービン33が回転した場合には、タービン33の回転に伴って変速装置入力軸41も回転する。これにより、エンジン10の動力は、トルクコンバータ31を介して変速装置40へ入力される。
これに対し、トルクコンバータ31がロックアップ状態の場合、つまり、ロックアップ機構37のロックアップクラッチ38がカバー36と係合した係合伝達の場合について説明すると、エンジン出力軸11からトルクコンバータ31のカバー36に伝達されたエンジン10の動力は、カバー36からロックアップクラッチ38に伝達される。ロックアップクラッチ38に伝達された動力は、ロックアップクラッチ38から変速装置入力軸41に伝達される。これにより、トルクコンバータ31がロックアップ状態の場合には、エンジン10からトルクコンバータ31に伝達された動力は、機械的に変速装置入力軸41まで伝達され、トルクコンバータ31を介して変速装置40へ入力される。
このように、トルクコンバータ31を介して変速装置入力軸41から変速装置40へ入力されたエンジン10の動力は、変速装置40の変速要素によって回転数及びトルクの大きさが変更されて、変速装置40が有する変速装置出力軸42から出力される。この変速装置出力軸42は車両のプロペラシャフト55に接続されているため、変速装置40からの出力は、プロペラシャフト55を介して車両の駆動輪へ伝達される。これにより駆動輪は回転し、車両は走行する。
また、車両の走行中には、ECU70の処理部71が有する変速制御部83は自動変速機30を制御し、車両の走行状態に応じて変速制御を行う。詳しくは、車両の走行時には、エンジン回転数センサ24でエンジン出力軸11の回転数を検出し、検出結果がECU70の処理部71が有するエンジン回転数取得部75に伝達されて、エンジン回転数取得部75で取得する。また、車両の走行時には、変速装置出力軸回転数センサ52で変速装置出力軸42の回転数を検出する。この変速装置出力軸42と駆動輪とは、変速比が一定であるため、変速装置出力軸42の回転数を検出することにより、駆動輪の回転数を推定することができ、これにより車速を推定することができる。このため、変速装置出力軸回転数センサ52は、変速装置出力軸42の回転数を検出することを介して車速を検出可能な車速検出手段として設けられている。この変速装置出力軸回転数センサ52で検出した変速装置出力軸42の回転数は、ECU70の処理部71が有する車速取得部76に伝達され、車速取得部76で所定の演算を行うことにより、車速として取得する。
変速制御部83は、エンジン回転数取得部75で取得したエンジン回転数や車速取得部76で取得した車速などに応じてリニアソレノイドバルブ46を作動させることによりクラッチC1などの摩擦係合要素50を作動させ、摩擦係合要素50の係合や開放を切り替えて遊星歯車装置の回転要素の回転及び停止を切り替えることにより、変速比を変更し、変速段を切り替える。詳しくは、変速段を切り替える場合には、リニアソレノイドバルブ46を作動させて、複数の変速段に対応した複数の摩擦係合要素50の開放と係合とを切り替えることにより、エンジン10の動力を出力する際における変速段を切り替える。このように摩擦係合要素50の開放と係合とを切り替えることにより変速段を切り替える場合は、変速前の変速段に対応する摩擦係合要素50は開放し、変速後の変速段に対応する摩擦係合要素50を係合することにより変速段を切り替える。これにより、変速装置40は、変速装置入力軸41に入力されたエンジン10の回転を、変速して変速装置出力軸42から出力することができる。即ち、変速装置40は、摩擦係合要素50の係合及び開放に基づいて変速段を切り替え、変速が可能に設けられている。
車両の走行時には、変速制御部83はこのように車両の走行状態に応じて変速装置40の変速制御を行うが、車両の加速力を大きくするために運転者がアクセルペダル60の開度を急激に大きくした場合、変速制御部83は変速装置40の変速比が現在の変速比よりも大きくなるように変速段を切り替える。つまり、変速制御部83は変速段を、現在の変速段の変速比よりも変速比が大きい変速段に切り替え、変速装置40に対してダウンシフトを行わせる。これにより、エンジン10から駆動輪までの変速比が大きくなる、即ち、減速比が大きくなるので、駆動輪におけるトルクは大きくなり、加速力が増加する。
また、このようにダウンシフトを行った場合には、駆動輪の回転数はダウンシフト前の回転数と同程度の回転数のままエンジン10から駆動輪までの変速比が大きくなるので、エンジン10の回転数は上昇する。ダウンシフトを行った場合には、このようにエンジン10の回転数が上昇するが、ターボチャージャ15は、排気ガスにより作動するため、エンジン10の回転数が排気ガスの量が多くなる所定の回転数以上になるまで、過給を行わない。つまり、アクセルペダル60が踏込まれてから、排気量が増加してターボチャージャ15で過給が開始されるまでに遅れ(過給遅れ)が生じる。
これに対して、本実施形態のターボチャージャ15は、電動モータ19を備えており、電動モータ19のアシストにより過給遅れを抑制することが可能である。車両制御装置1は、アクセルペダル60が踏込まれたことで、ターボチャージャ15で過給がなされる運転状態(過給作動領域)に移行すると判定した場合に、電動モータ19を駆動し、ターボチャージャ15のシャフト18の回転を助勢することで、過給遅れを抑制することができる。しかしながら、電動モータ19は、電力を消費して作動するものであるため、過給遅れを抑制するために毎回電動モータ19を作動させると、電力消費量が大きくなり、燃費の悪化につながる。電動モータ19の作動用の電力を確保するためには、エンジン10のオルタネータ負荷を大きくする必要がある。このため、電動モータ19を駆動してターボチャージャ15の回転を助勢することで、エンジンフリクションが増大し、燃費が悪化することとなる。
このため、本実施形態に係る車両制御装置1では、車両の加速時においてダウンシフトを行う場合で、かつ所定の条件を満たす場合には、以下に説明するように、電動モータ19によりターボチャージャ15をアシストすることに代えて、変速前の変速段に対応する摩擦係合要素50を開放し易くする制御を行う。変速前の変速段に対応する摩擦係合要素50を開放し易くすることによって、エンジン10の回転数が上昇し易くなり、過給が行われ易くなり、過給遅れが抑制される。また、変速前の変速段に対応する摩擦係合要素50を開放し易くすることで、ダウンシフトの完了を早期化することができる。
まず、従来の自動変速機(図示省略)でダウンシフトを行う際における摩擦係合要素の開放油圧と係合油圧との指示値について説明する。図3は、従来の自動変速機でダウンシフトを行う場合における開放油圧と係合油圧との指示値を示す説明図である。自動変速機でダウンシフトを行う際には、変速前の変速段に対応する摩擦係合要素を開放することにより、この変速段での動力の伝達を解除した後、変速後の変速段に対応する摩擦係合要素を係合することにより、変速後の変速段でエンジンの動力を伝達可能な状態にする。このため、従来の自動変速機でダウンシフトをする場合には、図3に示すように、変速前の変速段に対応する摩擦係合要素に作用させる油圧の指示値である従来開放油圧指示値Pehを小さくし、変速後の変速段に対応する摩擦係合要素に作用させる油圧の指示値である従来係合油圧指示値Pchを大きくする。
その際に、摩擦係合要素は、当該摩擦係合要素を作動させる油圧の指示を行った後、すぐには作動しないので、摩擦係合要素を開放させるための油圧の指示値である従来開放油圧指示値Pehは、一旦大幅に低下させた後、ダウンシフトが完了するまでこの摩擦係合要素が所望の半係合の状態を維持し続けることができるように、所定の大きさに維持させ続ける。また、従来係合油圧指示値Pchは、従来開放油圧指示値Pehを一旦大幅に低下させた後、所定の大きさまで低下させて、この従来係合油圧指示値Pchで作動させる摩擦係合要素が係合するまで、所定の大きさに維持させ続ける。
その後、従来係合油圧指示値Pchで作動させる摩擦係合要素がほぼ係合する状態になったら、従来係合油圧指示値Pchを大きくして、この摩擦係合要素、即ち、変速後の変速段に対応する摩擦係合要素を完全に係合させる。また、この状態になった場合には、従来開放油圧指示値Pehを小さくして、変速前の変速段に対応する摩擦係合要素を開放させる。これにより変速段は切り替えられ、ダウンシフトは完了する。
図4は、本実施形態に係る車両制御装置でのダウンシフト時における開放油圧と係合油圧との指示値を示す説明図である。上記のように従来の自動変速機でダウンシフトを行う場合に対し、本実施形態に係る車両制御装置1で変速装置40をダウンシフトさせる場合には、図4に示すように、変速前の変速段に対応する摩擦係合要素50を作動させるための開放油圧指示値Peiを、大幅に低下させ、低下させた状態を維持する。これにより、この開放油圧指示値Peiで作動する摩擦係合要素50は、ダウンシフトの制御の開始後、早期に開放した状態になるため、変速前の変速段での動力の伝達は、ダウンシフトの制御の開始後、早期に解除される。
図5は、ダウンシフト時のエンジン回転数とタービン回転数との変化を示す説明図である。車両の加速時にダウンシフトする場合、上記のように制御することにより変速装置40をダウンシフトさせると同時に、エンジン10の回転数も上昇させる。このため、従来の自動変速機で動力を伝達するエンジンは、アクセルペダルを踏み込んだ後、即ち、アクセルONの後に、エンジンの回転数である従来エンジン回転数Nehが上昇する。このように従来エンジン回転数Nehが上昇した場合、エンジンの回転に連動して回転数が変化する自動変速機が有するトルクコンバータのポンプも回転数が上昇する。トルクコンバータは、当該トルクコンバータのポンプとタービンとの間を循環するオイルを介して、エンジンから入力された動力をタービンに伝達するため、従来の自動変速機が有するトルクコンバータのタービンの回転数である従来タービン回転数Nthは、従来エンジン回転数Nehが上昇した後、所定時間が経過してから上昇する。
これに対し、本実施形態に係る車両制御装置1で制御するエンジン10及び自動変速機30では、車両の加速時には、従来と同様にアクセルONの後にエンジン回転数Neiが上昇し、このエンジン回転数Neiの上昇に連動して自動変速機30のトルクコンバータ31のポンプ32の回転数が上昇する。トルクコンバータ31のポンプ32の回転数が上昇した場合、当該トルクコンバータ31のポンプ32とタービン33との間を循環するオイルを介して、エンジン10から入力された動力はタービン33に伝達されるが、本実施形態に係る車両制御装置1は、車両の加速時におけるダウンシフト時に、自動変速機30の摩擦係合要素50の開放油圧指示値Pei(図4参照)を、従来の自動変速機での従来開放油圧指示値Peh(図3参照)よりも低下させる。このため、変速前の変速段での動力の伝達は、従来の自動変速機でのダウンシフト時よりも早期に遮断されるため、トルクコンバータ31のポンプ32からオイルを介して伝達された動力を変速段に伝達するタービン33は、回転時における負荷が小さくなる。
つまり、変速段での動力の伝達が遮断された場合、動力の伝達方向における下流側、即ち、自動変速機30における出力側に動力が伝達されなくなる、或いは動力の伝達量が少なくなるため、タービン33が回転をする際における負荷は小さくなる。このため、タービン33は回転し易くなり、トルクコンバータ31のポンプ32とオイルとを介してエンジン10の動力が伝達されるタービン33の回転数であるタービン回転数Ntiは、エンジン回転数Neiが上昇した場合には、従来タービン回転数Nthよりも早く上昇する。
さらに、タービン33は、エンジン10から伝達される動力で回転するため、タービン33が回転をする際における負荷が小さくなり、タービン回転数Ntiが上昇し易くなった場合には、エンジン10が回転をする際における負荷も小さくなる。つまり、タービン回転数Ntiが上昇し易くなった場合には、エンジン10の動力は消費され難くなるため、車両の加速時にエンジン回転数Neiを上昇させる際においてタービン回転数Ntiが上昇し易くなった場合には、エンジン回転数Neiも上昇し易くなる。このため、本実施形態に係る車両制御装置1で制御される自動変速機30に動力を伝達するエンジン10は、加速時においてダウンシフトをする場合におけるエンジン回転数Neiが、従来エンジン回転数Nehよりも早く上昇する。
また、タービン回転数Ntiが従来タービン回転数Nthよりも早く上昇するため、変速後の変速段における入力側と出力側とで回転数の同調が行い易くなる。つまり、変速段における入力側は、タービン33の回転に連動しており、変速段の出力側は、駆動輪の回転に連動している。また、ダウンシフト時における変速前の変速段の変速比と変速後の変速段の変速比とでは、変速前の変速段の変速比よりも変速後の変速段の変速比の方が大きくなる。
これに対し、ダウンシフト直後の車速は、ダウンシフト前とほぼ同じ車速なので、ダウンシフトを行った場合は、変速段の出力側の回転数は、ダウンシフトの前後でほぼ同じ回転数になる。このため、ダウンシフト時には、変速後の変速段の入力側の回転数を上昇させる必要があるが、タービン回転数Ntiが上昇し易くなることにより、変速後の変速段の入力側の回転数も上昇し易くなる。これにより、変速後の変速段における入力側の回転数は、この変速段における出力側の回転数に対応する回転数になり易くなるため、変速後の変速段における入力側と出力側とで回転数の同調が行い易くなる。
自動変速機30の変速時は、変速時におけるショックを低減するために、変速後の変速段における入力側の回転数と出力側の回転数とが、ほぼ同調した状態になってから、この変速段に対応する摩擦係合要素50を係合させる。従って、第1実施形態に係る車両制御装置1で変速装置40のダウンシフトの制御を行った場合には、このように変速後の変速段における入力側と出力側とで回転数の同調が行い易くなるため、この変速段に対応する摩擦係合要素50を係合させ易くなる。
このため、第1実施形態に係る車両制御装置1で変速装置40のダウンシフトの制御を行った場合における変速後の変速段に対応する摩擦係合要素50の係合油圧指示値Pci(図4参照)を、従来係合油圧指示値Pch(図3参照)よりも、早く上昇させることができる。即ち、ダウンシフト時における変速後の変速段に対応する摩擦係合要素50を早く係合することができ、ダウンシフト時における変速を、早く行うことができる。以下、開放油圧(の指示値)を低下させ、変速前の変速段に対応する摩擦係合要素50を開放し易くする制御を「開放油圧低圧化制御」あるいは「変速早期化制御」と記述する。
図6は、ダウンシフト時の吸気通路内の圧力の変化を示す説明図である。エンジン10にはターボチャージャ15が備えられているため、アクセル開度を大きくすることによりエンジン回転数Neiが高くなり、ターボチャージャ15により過給が行われる回転数になった場合、吸気通路12内の圧力は上昇し、過給圧Ptiが上昇する。過給圧Ptiは、このようにエンジン回転数Neiが上昇した場合に上昇するため、開放油圧低圧化制御がなされた場合におけるエンジン10の過給圧Ptiは、従来の自動変速機でダウンシフトを行う場合におけるエンジンの過給圧である従来過給圧Pthよりも、早期に高くなる。つまり、開放油圧低圧化制御がなされた場合におけるエンジン回転数Neiは、従来エンジン回転数Nehよりも早く上昇するため、過給圧Ptiも従来過給圧Pthと比較して早く立ち上がる。このように、開放油圧低圧化制御がなされた場合におけるエンジン10では、過給圧Ptiが早く立ち上がるため、加速時における出力も早く上昇する。
図7は、過給遅れ時間に対する開放油圧の低減量を示す説明図である。ダウンシフトを行う場合には、上述したように変速前の変速段に対応する摩擦係合要素50を作動させるための開放油圧指示値Peiを低下させた状態で維持することにより、過給圧Ptiが早く立ち上がるが、ECU70の処理部71が有する開放油圧補正部78は、ダウンシフト時に過給圧が所定値に到達するまでの期間である過給遅れに応じて、開放油圧指示値Peiを補正する。具体的には、開放油圧補正部78は、図7に示すように、過給遅れ時間が長くなるに従って開放油圧低減量Dpeが多くなるように、開放油圧指示値Peiを補正する。これにより、ダウンシフト時の開放油圧は、過給遅れ時間が長くなるに従って低くなるため、過給遅れ時間が長くなるような状態でもエンジン回転数Neiは高くなり易くなり、過給圧Ptiは早く立ち上がり易くなる。
図8は、ダウンシフト時における駆動トルクの変化を示す説明図である。開放油圧補正部78が、過給遅れに応じて開放油圧指示値Peiを補正することにより、開放側の摩擦係合要素50に作用させる油圧を低くし過ぎることに起因する駆動トルクTdの落ち込みを抑制できる。つまり、過給遅れを低減することを目的として開放側の摩擦係合要素50に作用させる油圧を低くした場合には、摩擦係合要素50は早期に開放され易くなるため、変速前の変速段で動力が伝達され難くなり、エンジン10の動力は変速装置40から駆動輪側へ出力されなくなったり、出力が小さくなったりする。この場合、駆動輪に駆動トルクTdが伝達されなくなったり、駆動トルクTdが小さくなったりする状態である駆動トルク落ち込み状態Tddが発生するが、過給遅れに応じて開放油圧指示値Peiを補正することにより、開放側の摩擦係合要素50に作用させる油圧を必要以上に低くし過ぎることを抑制することができるので、この駆動トルク落ち込み状態Tddの時間が長時間継続して発生することを抑制できる。
車両を加速させる場合における変速装置40のダウンシフト時には、変速段が高速側から低速側に切り替えられる際に、駆動トルクTdは一旦駆動トルク落ち込み状態Tddになった後上昇する。つまり、駆動トルクTdは、変速比が大きくなるに従って上昇し易くなるので、現在の変速段の変速比よりも変速比が大きい変速段に切り替えるダウンシフト時は、変速前よりも変速後の方が、駆動トルクTdが大きくなる。これにより、車両は加速度が大きくなり、運転者の要求する加速度で加速することができる。
本実施形態では、加速時に、開放油圧低圧化(変速早期化)制御、あるいは、電動モータ19によるアシストにより、過給遅れが抑制される。それぞれの方法の実行条件は、以下のように設定されている。
(電動モータ19の作動条件)
下記の(1)から(3)の全ての条件が成立する場合。
(1)過給非作動→作動へ移行する場合(アクセル開度がある値以上)
(2)アクセル踏み増し前のエンジン回転数が、ある値以下の低回転時(低回転時は過給作動が遅れるため)
(3)変速早期化制御の非実行時
(変速早期化制御実行条件)
上記(1)、(2)に加え、下記の(4)から(7)の全ての条件が成立する場合。
(4)ダウンシフト判断時
(5)変速前のエンジン回転数がある値未満(過給作動回転数未満)
(6)変速後のタービン回転数、またはエンジン回転数が、過給作動回転数以上
(7)変速時のタービン回転数上昇代が、変速開始時のトルクコンバータの滑りによるエンジン回転数上昇分以上
つまり、ターボチャージャ15による過給がなされていない状態でアクセルペダル60が踏込まれ、ターボチャージャ15による過給がなされる運転状態に移行する場合であって、(4)自動変速機30のダウンシフトを行うと判定され、かつ、所定の条件を満たす場合には、開放油圧低圧化制御を実行することにより過給遅れを抑制する。この所定の条件とは、(6)ダウンシフト後のタービン回転数またはエンジン回転数が、後述する過給作動回転数A以上となる条件、および、(7)ダウンシフト時において、トルクコンバータ31のタービン33の回転数の上昇量が、トルクコンバータ31の滑りによるエンジン回転数の上昇量以上である条件である。
ダウンシフト後のエンジン回転数が、ターボチャージャ15による過給が行われる回転数よりも低い場合や、トルクコンバータ31の滑りによるエンジン回転数の上昇量が、タービン回転数の上昇量を上回る場合には、開放油圧低圧化制御は実行されない。また、アクセルペダル60が踏込まれて、ターボチャージャ15による過給がなされる運転状態に移行する場合であって、開放油圧低圧化制御を行わない場合には、電動モータ19により、ターボチャージャ15による過給がアシストされる。
図9は、本実施形態に係る車両制御装置の処理手順を示すフロー図、図10は、本実施形態に係る車両制御装置の変速早期化判定フローの処理手順を示すフロー図である。図9を参照して、本実施形態の車両制御装置1の処理手順について説明する。なお、以下の処理は、車両の運転時に各部を制御する際に、所定の期間ごとに呼び出されて実行される。本実施形態に係る車両制御装置1の処理手順では、まず、ステップS101において、ECU70により、車速、エンジン回転数、アクセル開度、およびスロットル開度が取得される。車速は、変速装置出力軸回転数センサ52で検出した変速装置出力軸42の回転数に基づいて、ECU70の処理部71が有する車速取得部76で取得する。エンジン回転数は、エンジン出力軸11の回転数をエンジン回転数センサ24で検出し、検出結果をECU70の処理部71が有するエンジン回転数取得部75で取得する。アクセル開度は、アクセルペダル60のストローク量をアクセル開度センサ61で検出し、検出結果をECU70の処理部71が有するアクセル開度取得部72で取得する。また、スロットル開度は、スロットルバルブ20の開度をスロットル開度センサ21で検出し、検出結果をECU70の処理部71が有するスロットル開度取得部74で取得する。
次に、ステップS102では、ECU70により、エンジン10の運転状態が、ターボチャージャ15による過給が行われない領域である過給非作動領域から、過給が行われる
領域である過給作動領域に移行するか否かが判定される。この判定は、ECU70の処理部71が有する過給作動領域判定部79で行う。過給作動領域判定部79は、エンジン回転数取得部75で取得したエンジン回転数が所定の回転数以上で、且つ、スロットル開度取得部74で取得したスロットル開度が所定の開度以上の場合に、エンジン10の運転状態は過給作動領域であると判定する。過給作動領域判定部79において、エンジン10の運転状態が過給作動領域であると判定されていなかった状態(過給非作動領域であると判定された状態)から、エンジン10の運転状態が過給作動領域であると判定される状態に変化した場合には、ステップS102において肯定判定がなされる。
なお、この判定に用いられる所定のエンジン回転数と所定のスロットル開度とは、共にエンジン10の運転状態が過給作動領域であるか否かの判定に用いる閾値として予め設定され、ECU70の記憶部90に記憶されている。また、この判定に用いられるスロットル開度の閾値は、一定の開度ではなく、エンジン回転数に応じて設定されていてもよい。過給作動領域判定部79による判定により、エンジン10の運転状態が過給非作動領域から過給作動領域に移行すると判定された場合(ステップS102−Y)には、ステップS103に進み、そうでない場合(ステップS102−N)には、ステップS107に進む。
ステップS103では、ECU70により、アクセルペダル60の踏み増し前のエンジン回転数が予め定められた所定エンジン回転数未満であるか否かが判定される。この判定は、ECU70の処理部71が有するエンジン回転数判定部115で行う。このエンジン回転数判定部115は、アクセルペダル60の踏み増し前にエンジン回転数取得部75で取得したエンジン回転数と、予め定められた所定エンジン回転数とを比較し、エンジン回転数取得部75で取得したエンジン回転数が所定エンジン回転数未満であるか否かを判定する。この所定エンジン回転数は、ターボチャージャ15で過給を行うことができるエンジン回転数である過給作動回転数A以下の値として設定されている。アクセルペダル60の踏み増し前のエンジン回転数が低い低回転時には、アクセルペダル60が踏み増しされてからエンジン回転数が上昇するまでに時間がかかり、ターボチャージャ15による過給作動が遅れる。すなわち、アクセルペダル60の踏み増し前のエンジン回転数が予め定められた所定エンジン回転数未満である場合には、過給遅れが生じると判定することができる。
この判定に用いる所定エンジン回転数は、ターボチャージャ15における過給遅れを抑制する制御を行うか否かを判定するエンジン回転数の閾値として予め設定され、ECU70の記憶部90に記憶されている。エンジン回転数判定部115による判定により、アクセルペダル60の踏み増し前のエンジン回転数が所定エンジン回転数未満であると判定された場合(ステップS103−Y)にはステップS104に進み、そうでない場合(ステップS103−N)、即ち、アクセルペダル踏込み前のエンジン回転数が所定エンジン回転数以上であると判定された場合には、ステップS107に進む。
ステップS104では、図10に示す変速早期化判定フローが実行される。変速早期化判定フローでは、まず、ステップS111において、ECU70により、車速、アクセル開度、変速段、エンジン回転数、およびタービン回転数が読み込まれる。車速は、変速装置出力軸回転数センサ52で検出した変速装置出力軸42の回転数に基づいて、ECU70の処理部71が有する車速取得部76で取得する。アクセル開度は、アクセルペダル60のストローク量をアクセル開度センサ61で検出し、検出結果をECU70の処理部71が有するアクセル開度取得部72で取得する。
変速段は、ECU70の処理部71が有する変速制御部83で変速装置40の変速制御を行う際に、選択されている変速段をECU70の記憶部90に記憶しながら制御するため、記憶部90に記憶されている変速段を、ECU70の処理部71が有する変速段取得部112で取得する。エンジン回転数は、エンジン出力軸11の回転数をエンジン回転数センサ24で検出し、検出結果をECU70の処理部71が有するエンジン回転数取得部75で取得する。また、トルクコンバータ31のタービン33は、変速装置40の変速装置入力軸41に連結されており、変速装置入力軸41と同じ回転数で回転をするため、タービン回転数は、変速装置入力軸41の回転数を変速装置入力軸回転数センサ51で検出し、検出結果をECU70の処理部71が有するタービン回転数取得部111でタービン回転数として取得する。
次に、ステップS112では、ECU70により、ダウンシフト判断がなされているか否かが判定される。この判定は、ECU70の処理部71が有するダウンシフト判定部80で行う。ダウンシフト判定部80は、車速取得部76で取得した車速とアクセル開度取得部72で取得したアクセル開度とエンジン回転数取得部75で取得したエンジン回転数とを比較し、エンジン回転数取得部75で取得したエンジン回転数で、車速取得部76で取得した車速で走行中の場合において、アクセル開度センサ61で検出したアクセル開度が所定の開度以上の場合に、変速装置40のダウンシフトを行うと判定する。なお、ダウンシフト判定部80でダウンシフトを行うか否かの判定をする場合には、変速装置40の変速のタイミングを示すマップとして予め設定され、ECU70の記憶部90に記憶されている変速装置40の変速線に基づいて判定する。即ち、ダウンシフト判定部80は、各取得部で取得した車速とアクセル開度とエンジン回転数とを、記憶部90に記憶された変速線に当てはめることにより、ダウンシフトを行うか否かを判定する。
より具体的には、ダウンシフト判定部80は、車速と、アクセル開度と、エンジン回転数とを記憶部90に記憶された変速線に当てはめ、変速線に基づく目標変速段を設定する。ダウンシフト判定部80は、この目標変速段が、現在の変速段と比較して低速側の(変速比が大きい)変速段である場合に、ダウンシフト判断がなされていると判定する。ダウンシフト判定部80により、ダウンシフト判断がなされていると判定された場合(ステップS112−Y)にはステップS113に進み、そうでない場合(ステップS112−N)には、この処理手順から抜け出る。
なお、ステップS112の判定において、ダウンシフト判断がなされている条件に加えて、エンジン回転数が、過給作動回転数A未満である条件を肯定判定の条件としてもよい。すなわち、ダウンシフト判断がなされており、かつ、エンジン回転数が過給作動回転数A未満である場合にステップS112で肯定判定がなされ、ダウンシフト判断がなされていない条件、あるいはエンジン回転数が過給作動回転数A以上である条件の少なくともいずれか一方が成立する場合にステップS112で否定判定がなされるようにすることができる。
ステップS113では、ECU70により、変速後のタービン回転数、および、変速後のエンジン回転数が算出される。変速後のタービン回転数は、ECU70の処理部71が有する変速後タービン回転数算出部114で算出し、変速後のエンジン回転数は、ECU70の処理部71が有する変速後エンジン回転数算出部113で算出する。このうち、変速後のタービン回転数は、タービン回転数取得部111で取得したタービン回転数と、変速段取得部112で取得したダウンシフト時の変速段の変速前と変速後の変速比の差に基づいて、変速後タービン回転数算出部114で算出する。即ち、タービン回転数は、車速と変速比とに基づいた回転数になっており、また、自動変速機30の変速を行った場合には、変速の前後で車速は大きく変化しないため、変速前のタービン回転数に、変速の前後における変速比の変化の割合を掛け合わせることにより、変速後のタービン回転数を算出することができる。変速後タービン回転数算出部114は、これにより変速後のタービン回転数を算出する。
また、エンジン10の動力はトルクコンバータ31を介してエンジン10から変速装置40に伝達されるが、加速をするためにエンジン10の回転数を上昇させる場合、トルクコンバータ31はロックアップ機構37の状態により動力の伝達経路が異なっており、ロックアップ状態以外の場合には、ポンプ32とタービン33との間で滑りが生じ、スリップが発生する。このため、変速後のエンジン回転数は、変速後のタービン回転数とトルクコンバータ31のスリップ量に基づいて算出することができ、変速後エンジン回転数算出部113は、(変速後のエンジン回転数=変速後のタービン回転数+スリップ量)を演算することにより、変速後のエンジン回転数を算出する。
ここで、この演算に用いるスリップ量は、トルクコンバータ31のロックアップの状態により異なるが、トルクコンバータ31がロックアップ状態の場合には、エンジン10からトルクコンバータ31に伝達された動力は、機械的に変速装置40に伝達されるため、トルクコンバータ31のポンプ32とタービン33との間でスリップは発生せず、スリップ量は0になる。また、トルクコンバータ31は、ロックアップ機構37を半係合の状態にすることにより、スリップ量を任意の設定値にすることができる。この場合には、変速後エンジン回転数算出部113での演算に用いるスリップ量は、設定されたスリップ量になる。
また、トルクコンバータ31がロックアップ状態ではなく、トルクコンバータ31による動力の伝達状態が流体伝達の状態の場合には、スリップ量を運転状態ごとにECU70の記憶部90に記憶し、記憶部90に記憶されている運転状態と同じ運転状態の場合に、その運転状態におけるスリップ量を、変速後エンジン回転数算出部113での演算に用いるスリップ量とする。詳しくは、トルクコンバータ31がロックアップ状態ではない場合には、スリップ量の初期値を0にし、車両走行時における加速時の各条件でのスリップ量、具体的には、加速時におけるアクセル開度とタービン回転数でのトルクコンバータ31のスリップ量を、条件ごとにECU70の記憶部90に記憶する。このように記憶部90に記憶するスリップ量は、エンジン回転数取得部75で取得したエンジン回転数と、タービン回転数取得部111で取得したタービン回転数との差を算出し、この差をトルクコンバータ31のスリップ量として算出する。また、このようにして算出したスリップ量と、記憶部90に記憶された同一の条件におけるスリップ量とが異なる場合には、記憶部90に記憶されたスリップ量を算出したスリップ量で更新する。
次に、ステップS114では、ECU70により、変速後のタービン回転数または変速後のエンジン回転数が、過給作動回転数A以上であるか否かが判定される。ダウンシフトする際には、ダウンシフトに伴い、タービン回転数やエンジン回転数等の運転状態が変化する。この運転状態の変化が、所定の条件(変速後のタービン回転数または変速後のエンジン回転数が、過給作動回転数A以上である)を満たすと予測される場合に、ステップS114で肯定判定がなされる。この判定では、まず、ステップS113で算出された変速後のタービン回転数とECU70の記憶部90に記憶されている過給作動回転数AとをECU70の処理部71が有するタービン回転数判定部116で比較し、変速後のタービン回転数が過給作動回転数A以上であるか否かを判定する。この判定により、変速後のタービン回転数は過給作動回転数A未満であると判定された場合には、次に、ステップS113で算出された変速後のエンジン回転数とECU70の記憶部90に記憶されている過給作動回転数AとをECU70の処理部71が有するエンジン回転数判定部115で比較し、変速後のエンジン回転数が過給作動回転数A以上であるか否かを判定する。
この判定により、変速後のエンジン回転数は過給作動回転数A未満であると判定された場合には、ステップS114で否定判定がなされる。一方、変速後のタービン回転数が過給作動回転数A以上であると判定された場合、または、変速後のエンジン回転数が過給作動回転数A以上であると判定された場合には、ステップS114で肯定判定がなされる。ステップS114の判定の結果、変速後のタービン回転数または変速後のエンジン回転数が、過給作動回転数A以上であると判定された場合(ステップS114−Y)にはステップS115に進み、そうでない場合(ステップS114−N)には、この処理手順から抜け出る。
ステップS115では、ECU70により、変速時のタービン回転数上昇量が、変速時トルクコンバータでのエンジン回転数上昇量B以上であるか否かが判定される。この判定は、ECU70の処理部71が有する回転数上昇量判定部117により行う。ここで、車両を加速させる際にエンジン10の回転数を上昇させる場合、エンジン出力軸11と一体となって回転可能に設けられたトルクコンバータ31のポンプ32の回転数は、エンジン10の回転数の上昇と共に上昇するが、トルクコンバータ31において、ポンプ32とタービン33との間では滑りが発生する。このため、エンジン10の回転数の上昇時は、エンジン出力軸11の回転数やポンプ32の回転数の上昇量とタービン33の回転数の上昇量とで差が生じ、タービン33の回転数は、ポンプ32とタービン33との間の滑りにより、エンジン出力軸11やポンプ32の回転数よりも上昇量が低い状態で上昇する。
このように、車両の加速時におけるダウンシフト時は、トルクコンバータ31の滑りによりエンジン10やポンプ32と、タービン33との間で、回転数の上昇量に差が生じる。つまり、車両の加速時におけるダウンシフトの開始時には、トルクコンバータ31の滑りによるエンジン回転数の上昇が生じる。このダウンシフトの開始時におけるエンジン回転数の上昇量は、例えば、アクセルペダル60が踏込まれてから、タービン33の回転数が立ち上がるまでのエンジン回転数の上昇量とすることができる。
ダウンシフトする際には、ダウンシフトに伴い、タービン回転数の上昇やトルクコンバータ31の滑りによるエンジン回転数の上昇等の運転状態の変化が生じる。この運転状態の変化が、所定の条件(変速時のタービン回転数上昇量が、変速時トルクコンバータでのエンジン回転数上昇量B以上)を満たすと予測される場合に、ステップS115で肯定判定がなされる。なお、この運転状態の変化が満たすべき条件は、例えば、変速早期化(開放油圧低圧化)制御により過給遅れを低減できる度合い、言い換えると、エンジン回転数の上昇を促進できる度合い(上昇量や上昇速度)、排気ガス量の増加を促進できる度合い(増加量や増加速度)、ターボチャージャ15の回転数の上昇を促進できる度合い(上昇量や上昇速度)等に基づいて設定されることができる。
回転数上昇量判定部117は、変速前にタービン回転数取得部111で取得したタービン33の回転数と、変速後タービン回転数算出部114で算出した変速後のタービン回転数との差より、変速時のタービン回転数上昇量を算出する。さらに回転数上昇量判定部117は、算出した変速時のタービン回転数上昇量と変速時トルクコンバータでのエンジン回転数上昇量Bとを比較し、変速時のタービン回転数上昇量が変速時トルクコンバータでのエンジン回転数上昇量B(図5参照)以上であるか否かを判定する。
変速時のタービン回転数上昇量が、変速時トルクコンバータでのエンジン回転数上昇量B未満である場合には、開放油圧低圧化制御を実行しなくとも、トルクコンバータ31の滑りによりエンジン回転数が上昇した時点で、エンジン回転数は十分に上昇しているとみなすことができる。例えば、トルクコンバータ31の滑りによりエンジン回転数が上昇した時点で、その後に開放油圧低圧化制御を実行したとしても更なるエンジン回転数の上昇が望めない程度にエンジン回転数が上昇しているとみなせる。このため、本実施形態では、変速時のタービン回転数上昇量が、変速時トルクコンバータでのエンジン回転数上昇量B未満である場合には、開放油圧低圧化制御(変速早期化制御)は実行されない。
なお、この判定に用いる変速時トルクコンバータでのエンジン回転数上昇量Bは、ダウンシフト時におけるタービン33の回転数が、エンジン10の回転数を上昇させた際にトルクコンバータ31の滑りによって上昇するエンジン10の回転数の上昇量以上上昇したか否かを示す閾値として予め設定され、ECU70の記憶部90に記憶されている。回転数上昇量判定部117での判定により、変速時のタービン回転数上昇量が、変速時トルクコンバータでのエンジン回転数上昇量B以上であると判定された場合(ステップS115−Y)にはステップS116に進み、そうでない場合(ステップS115−N)には、この処理手順から抜け出る。
ステップS116では、ECU70により、変速早期化制御が実行される。変速早期化制御では、まず、過給遅れに合わせた開放油圧が設定される。この設定は、ECU70の処理部71が有する変速制御部83で行う。具体的には、変速制御部83は、エンジン回転数取得部75で取得した変速前のエンジン回転数と、アクセル開度取得部72で取得したアクセル開度及びアクセル開度取得部72で取得したアクセル開度の変化量に基づいて、エンジン回転数が過給作動回転数に到達するまでの時間を過給遅れとして推定する。その後、変速制御部83は、推定した過給遅れに基づいて、変速前の変速段に対応する摩擦係合要素50に作用させる油圧である開放油圧を設定する。
この開放油圧は、変速早期化制御を行わない(過給遅れが生じると判定されない)場合に車両の走行状態等に応じて設定される、変速前の変速段に対応する摩擦係合要素50に作用させる油圧よりも小さな値であり、その低減量(開放油圧低減量Dpe)は、例えば図7を参照して説明したように設定されている。なお、この開放油圧は、ダウンシフト時に、変速前の変速段と変速後の変速段との双方が共に動力を伝達していない状態を極力短くすることができ、且つ、早期に過給を行うことができる油圧が、過給遅れに対するマップとして予め設定され、ECU70の記憶部90に記憶されている。変速制御部83は、この記憶部90に記憶されているマップと、推定した過給遅れとに基づいて、開放油圧を設定する。
次に、ステップS117では、ECU70により、タービン回転数上昇早期化に合わせた係合油圧が設定される。この設定は、開放油圧の設定と同様に変速制御部83で行う。具体的には、変速制御部83は、エンジン回転数取得部75で取得した変速前のエンジン回転数と、アクセル開度取得部72で取得したアクセル開度及びアクセル開度取得部72で取得したアクセル開度の変化量とよりエンジン10の回転数の上昇速度を推定する。さらに、このエンジン10の回転数の上昇速度と、当該変速制御部83で設定した開放油圧とに基づいて、変速後の変速段に対応する摩擦係合要素50に作用させる油圧である係合油圧を設定する。なお、この係合油圧は、ダウンシフト時に、変速制御部83で設定した開放油圧で変速前の変速段に対応する摩擦係合要素50を開放する場合に、変速前の変速段と変速後の変速段との双方が共に動力を伝達していない状態を極力短くすることができる油圧が、タービン回転数上昇早期化に合わせた係合油圧として予め設定され、ECU70の記憶部90に記憶されている。変速制御部83は、この記憶部90に記憶されているマップと、当該変速制御部83で設定した開放油圧等とに基づいて、係合油圧を設定する。
次に、ステップS118では、ECU70により、設定された油圧で変速指示がなされる。この変速指示は、ECU70の処理部71が有する変速制御部83で行う。即ち、変速制御部83は、自動変速機30のリニアソレノイドバルブ46に対して、ダウンシフトを行う際における変速前の変速段に対応する摩擦係合要素50は変速制御部83で設定した開放油圧で開放し、変速後の変速段に対応する摩擦係合要素50は変速制御部83で設定した係合油圧で係合するように変速指示をする。これにより、設定された開放油圧で変速指示が出された摩擦係合要素50は、当該開放油圧で開放する。また、変速制御部83は、このようにリニアソレノイドバルブ46を制御して変速前の変速段に対応する摩擦係合要素50を開放すると共に、変速後の変速段に対応する摩擦係合要素50を設定された係合油圧で係合するように、リニアソレノイドバルブ46を制御する。これにより、変速段は切り替えられ、ダウンシフトが行われる。
ステップS119では、ECU70により、開放油圧の補正がなされる。まず、過給圧所定値到達時間が設定時間a以上であるか否かが判定される。この判定は、圧力センサ23での検出結果より過給圧取得部77で取得する過給圧に基づいて、ECU70の処理部71が有する到達時間判定部81で行う。到達時間判定部81は、アクセル開度取得部72で取得するアクセル開度が急激に大きくなった後、或いは、ダウンシフト判定部80でダウンシフトの判定を行った後、過給圧取得部77で取得する過給圧が、所定値に到達するまでの時間である過給圧所定値到達時間を計測し、取得する。この過給圧所定値到達時間は、ターボチャージャ15で過給を行う際においてエンジン10の出力を効果的に上昇させることのできる過給圧(所定値)に到達するまでの期間である過給遅れを示す時間となっている。また、設定時間aは、過給圧所定値到達時間の長短を判定する閾値である。
到達時間判定部81は、過給圧所定値到達時間が、設定時間a以上である場合には、記憶している開放油圧を今回の開放油圧よりも小さな値に更新する。この開放油圧の低減は、ECU70の処理部71が有する開放油圧補正部78で行う。開放油圧補正部78は、開放油圧を、実際に生じた過給遅れに応じて補正する。即ち、開放油圧補正部78は、ECU70の記憶部90に記憶されている開放油圧を、当該開放油圧補正部78によって補正して現在設定されている開放油圧よりも低減させて、ECU70の記憶部90に記憶する。これにより、次回の開放油圧低圧化制御における開放油圧が、今回の開放油圧と比較して低減される。開放油圧補正部78は、このように開放油圧を補正することにより、過給遅れの大きさが設定時間a以上となることを抑制する。なお、到達時間判定部81での判定に用いる過給圧の所定値および設定時間aは、予め設定されており、共にECU70の記憶部90に記憶されている。
また、ECU70は、過給圧所定値到達時間が設定時間b以下であるか否かを判定する。設定時間bは、過給圧所定値到達時間の長短を判定する閾値として、設定時間aよりも短い時間で予め設定され、ECU70の記憶部90に記憶されている。この判定は、過給圧所定値到達時間が設定時間a以上であるか否かを判定する場合と同様に、過給圧取得部77で取得する過給圧に基づいて到達時間判定部81で行う。過給圧所定値到達時間が設定時間b以下であると判定された場合には、記憶部90に記憶している開放油圧を今回の開放油圧よりも大きな値に更新する。開放油圧補正部78は、ECU70の記憶部90に記憶されている開放油圧を、開放油圧補正部78によって補正して現在設定されている開放油圧よりも増加させて、ECU70の記憶部90に記憶させる。これにより、次回の開放油圧低圧化制御における開放油圧が、今回の開放油圧と比較して増加する。開放油圧補正部78は、このように開放油圧を補正することにより、過給遅れの大きさが設定時間b以下となること、言い換えると、開放油圧を低くしすぎることを抑制する。開放油圧補正部78で開放油圧を補正して増加させた後は、この処理手順から抜け出る。
図9に戻り、ステップS105では、ECU70により、変速早期化制御(開放油圧低圧化制御)が実行されているか否かが判定される。その判定の結果、変速早期化制御(開放油圧低圧化制御)が実行されていると判定された場合(ステップS105−Y)にはステップS107に進み、そうでない場合(ステップS105−N)にはステップS106に進む。
ステップS106では、ECU70により、電動モータ19がONとされる。ECU70の処理部71が有する電動モータ制御部84は、電力の供給を受けて作動する電動モータ19を駆動し、ターボチャージャ15の回転を助勢する。具体的には、ECU70の電動モータ制御部84は、電動モータ19への電力の供給を制御する駆動回路に対して、電動モータ19への電流の供給を指令する。電流が供給された電動モータ19では、ターボチャージャ15のシャフト18と一体回転可能に設けられたロータが回転し、シャフト18の回転を助勢する。ECU70の電動モータ制御部84は、シャフト18の回転数を検出するセンサの検出結果に基づいて、シャフト18の回転数を取得する。ECU70の電動モータ制御部84は、シャフト18の回転数が、予め定められた所定回転数に上昇するまで、電動モータ19によるシャフト18の回転の助勢を継続する。この所定回転数は、ターボチャージャ15で過給を行うことができるシャフト18の回転数に基づいて設定されている。所定回転数は、例えば、ターボチャージャ15で過給を行うことができるシャフト18の回転数、あるいは、その近傍の回転数に設定される。ステップS106が実行されると、この処理手順から抜け出る。
ステップS107では、ECU70により、電動モータ19がOFFとされる。ECU70の電動モータ制御部84は、電動モータ19への電力の供給を制御する駆動回路に対して、電動モータ19への電流の供給を行わないよう指令する。この場合、電動モータ19の駆動力は発生しないため、ターボチャージャ15は、電動モータ19によるアシストを受けずに、排気通路13を流れる排気ガスのエネルギーで作動する。ECU70の電動モータ制御部84が電動モータ19をOFFとした後は、この処理手順から抜け出る。
なお、ステップS115で否定判定された場合(ステップS115−N)であって、トルクコンバータ31の滑りによりエンジン回転数が上昇した時点で、エンジン回転数が過給作動回転数Aまで上昇してしまうような場合、電動モータ19によるターボチャージャ15のアシストを実行する必要がなくなる。このような場合には、ステップS105で否定判定がなされたとしても、電動モータ19によるターボチャージャ15のアシストを行わずに(ステップS106を実行することなく)図9に示す処理手順を抜け出るようにしてもよい。
以上説明したように、本実施形態の車両制御装置1は、ターボチャージャ15による過給が開始されていないときに車両の加速が開始された場合(S102−Y)であって、ECU70の変速制御部83により、過給遅れに応じた開放油圧の補正がなされる場合(ステップS112−Y、S114−Y、S115−Y)には、電動モータ19による過給のアシストを行わず(ステップS105−Y)、ECU70の変速制御部83により、過給遅れに応じた開放油圧の補正がなされない場合(ステップS112−N、S114−N)に、電動モータ19による過給のアシストを行う。上記「補正がなされない場合」とは、ダウンシフト自体が実行されない(ダウンシフト判断がなされない)場合を含んでいる。すなわち、「補正がなされない場合」には、ダウンシフト判断がなされたものの開放油圧の補正がなされない場合のみならず、ダウンシフト判断がなされない場合も含まれている。
このように、開放油圧低圧化制御による過給遅れの抑制が可能な場合には開放油圧低圧化制御を優先して実行し、開放油圧低圧化制御では過給遅れの抑制効果(エンジン回転数を上昇させる効果)が十分でない場合や、ダウンシフト判断がなされていない場合に電動モータ19による過給のアシストを行うことにより、電動モータ19によるアシストで消費される電力を低減することができる。その結果、過給遅れを抑制することと、電力消費の低減による燃費の向上とを両立することができる。また、過給遅れを抑制する手段として、開放油圧低圧化制御だけでなく、電動モータ19を備えることで、広い運転領域で過給遅れを抑制することができる。開放油圧低圧化制御では過給遅れの抑制効果が十分でない運転状態や、ダウンシフト判断がなされていない場合であっても、過給遅れを抑制することができることで、運転者の操作に対する車両の応答性が向上し、ドライバビリティを向上させることができる。
開放油圧低圧化制御では、過給遅れを抑制する制御を行わない場合に発生する過給遅れの見込みに基づいて、開放油圧が可変に設定される。これにより、ダウンシフト時のエンジン回転数の上昇しやすさが調節され、ターボチャージャ15で過給を行うことができるエンジン回転数である過給作動回転数Aまでエンジン回転数が上昇するまでの過給遅れが適切に抑制される。さらに、開放油圧低圧化制御を実行したときの実際の過給遅れに基づいて開放油圧が補正される。これにより、開放油圧低圧化制御における開放油圧の低減が不十分で過給遅れを適切に抑制できなかったり、開放油圧低圧化制御において開放油圧を下げすぎることにより駆動力の落ち込みが長期化したりすることを抑制することができる。
なお、本実施形態では、電力を消費してターボチャージャ15による過給をアシストするアシスト手段が電動モータ19である場合を例に説明したが、アシスト手段はこれには限定されない。例えば、アシスト手段は、電動ポンプにより圧縮した空気等の気体をコンプレッサ16よりも下流側の吸気通路12に供給するものであってもよい。また、アシスト手段は、電力以外のエネルギーを消費して過給をアシストするものであってもよい。言い換えると、アシスト手段は、車両において燃料を消費して生成されるエネルギーを消費して過給をアシストするものである。本実施形態によれば、このような燃料を消費して生成されるエネルギーの消費量を低減しつつ過給遅れを低減することができる。
(第1実施形態の第1変形例)
第1実施形態の第1変形例について説明する。上記第1実施形態で開放油圧低圧化制御(変速早期化制御)を行うと判定する条件に、更に、運転者が素早い加速を要求している条件を付け加えるようにしてもよい。運転者が特に素早い加速を要求している場合に開放油圧低圧化制御を実行することで、ダウンシフト完了までの変速時間を低減すると共に、過給遅れを抑制し、加速要求に対する応答性を向上させることができる。
具体的には、アクセル開度取得部72で取得したアクセル開度や、アクセル開度の所定時間当たりの変化量が、閾値以上である場合に、運転者が素早い加速を要求していると判定することができる。例えば、アクセル開度取得部72で取得したアクセル開度が、運転者が素早い加速を要求しているか否かの判断の基準となるアクセル開度である加速要求判定開度以上である場合や、アクセル開度取得部72で取得したアクセル開度の所定時間当たりの変化量が、運転者が素早い加速を要求しているか否かの判断の基準となるアクセル開度の所定時間あたり変化量である加速要求判定開度変化量以上である場合に、運転者が素早い加速を要求していると判定することができる。
(第1実施形態の第2変形例)
第1実施形態の第2変形例について説明する。上記第1実施形態の開放油圧低圧化制御(変速早期化制御)に代えて、あるいは、開放油圧低圧化制御に加えて、下記の(a)から(c)の方法により、加速時のエンジン回転数を上昇させ、過給遅れを抑制するようにしてもよい。
(a)クラッチ(摩擦係合要素50)を滑らせてエンジン回転数を上げ、過給圧が所定値に到達したら、クラッチを係合させる
(b)エンジン10とトルクコンバータ31との間にクラッチを配置し、(a)と同様にしてエンジン回転数を上昇させる
(c)トルクコンバータ31を可変容量トルクコンバータとし、加速時にルーズに(トルク容量を低減)して滑りを発生させ、エンジン回転数を上昇させる
(第2実施形態)
図11を参照して、第2実施形態について説明する。第2実施形態については、上記第1実施形態と異なる点についてのみ説明する。
第2実施形態に係る車両制御装置は、第1実施形態に係る車両制御装置1と略同様の構成であるが、ダウンシフト判断がなされた場合に、開放油圧低圧化制御を行うと判定される条件(上記第1実施形態の条件(6)、(7))が成立するまで、ダウンシフトの段数を増やす点が第1実施形態とは異なる。すなわち、変速線に基づいて算出された目標変速段では、開放油圧低圧化制御を行うと判定されない場合に、さらに低速側の変速段までダウンシフトさせてエンジン回転数上昇量を増加させると共に開放油圧低圧化制御を実行し、開放油圧低圧化制御で過給遅れを抑制する。これにより、開放油圧低圧化制御を行う領域(電動モータ19をOFFとする領域)を拡大し、消費電力を低減させることができる。
変速線に基づくダウンシフト段数よりもダウンシフト段数を増やした場合、過給圧が所定値に達したら、アップシフトして本来あるべき変速段に戻す。過給圧が所定値に到達するまでの間、本来の変速段よりも低速側の変速段までダウンシフトして走行することにより、過給遅れが発生している間の駆動力不足を補うことができる。
図11は、本実施形態に係る車両制御装置の処理手順を示すフロー図である。図11に示す処理手順は、ダウンシフト判断がなされたものの、変速早期化制御(開放油圧低圧化制御)が実行されずに、電動モータ19がONとされた場合に実行される。
まず、ステップS201では、ECU70により、車速、エンジン回転数、アクセル開度、およびスロットル開度が取得される。車速は、ECU70の処理部71が有する車速取得部76で取得する。エンジン回転数は、ECU70の処理部71が有するエンジン回転数取得部75で取得する。アクセル開度は、ECU70の処理部71が有するアクセル開度取得部72で取得する。また、スロットル開度は、ECU70の処理部71が有するスロットル開度取得部74で取得する。
次に、ステップS202では、ECU70により、エンジン10の運転状態が、ターボチャージャ15による過給が行われない領域である過給非作動領域から、過給が行われる
領域である過給作動領域に移行するか否かが判定される。ECU70の処理部71が有する過給作動領域判定部79は、エンジン回転数と、スロットル開度とに基づいて、エンジン10の運転状態が、過給非作動領域から過給作動領域へ移行するか否かを判定する。過給作動領域判定部79により、過給非作動領域から過給作動領域へ移行すると判定された場合(ステップS202−Y)にはステップS203に進み、そうでない場合(ステップS202−N)には、この処理手順から抜け出る。
次に、ステップS203では、ECU70により、電動モータ19がONであるか否かが判定される。ECU70の処理部71が有する電動モータ制御部84により、電動モータ19への電力の供給を制御する駆動回路に対して、電動モータ19への電流の供給が指令されている場合には、ステップS203で肯定判定がなされる。ステップS203の判定の結果、電動モータ19がONであると判定された場合(ステップS203−Y)にはステップS204に進み、そうでない場合(ステップS203−N)にはこの処理手順から抜け出る。
ステップS204では、ECU70により、変速後のタービン回転数または変速後のエンジン回転数が、過給作動回転数A以上であるか否かが判定される。ECU70の処理部71が有する変速後タービン回転数算出部114で算出された変速後のタービン回転数が、過給作動回転数A以上であると判定された場合、または、ECU70の処理部71が有する変速後エンジン回転数算出部113で算出された変速後のエンジン回転数が、過給作動回転数A以上であると判定された場合には、ステップS204で肯定判定がなされる。ステップS204の判定の結果、変速後のタービン回転数または変速後のエンジン回転数が、過給作動回転数A以上であると判定された場合(ステップS204−Y)にはステップS205に進み、そうでない場合(ステップS204−N)にはステップS206に進む。
ステップS205では、ECU70により、変速時のタービン回転数上昇量が、変速時トルクコンバータでのエンジン回転数上昇量B以上であるか否かが判定される。回転数上昇量判定部117は、変速前にタービン回転数取得部111で取得したタービン33の回転数と、変速後タービン回転数算出部114で算出した変速後のタービン回転数との差より、変速時のタービン回転数上昇量を算出する。さらに回転数上昇量判定部117は、算出した変速時のタービン回転数上昇量と、変速時トルクコンバータでのエンジン回転数上昇量Bとを比較し、変速時のタービン回転数上昇量が変速時トルクコンバータでのエンジン回転数上昇量B(図5参照)以上であるか否かを判定する。その判定の結果、変速時のタービン回転数上昇量が、変速時トルクコンバータでのエンジン回転数上昇量B以上であると判定された場合(ステップS205−Y)には、この処理手順から抜け出る。一方、変速時のタービン回転数上昇量が、変速時トルクコンバータでのエンジン回転数上昇量B以上であると判定されない場合(ステップS205−N)には、ステップS206に進む。
ステップS206では、ECU70により、ステップS204およびステップS205の判定条件が両方成立するまで、ダウンシフト段数が増やされる。ECU70は、変速線に基づく目標変速段よりも1段低速側の(変速比が大きい)変速段について、その変速段に変速する場合に、ステップS204およびステップS205の判定条件が両方成立するか否かを判定する。ステップS204およびステップS205の判定条件が両方成立すると判定された場合には、その変速段(変速線に基づく目標変速段よりも1段低速側の変速段)が目標変速段として設定される。
一方、ステップS204の判定条件あるいはステップS205の判定条件の少なくともいずれか一方が成立しない場合には、変速線に基づく目標変速段よりも2段低速側の変速段について、現在の変速段からその変速段に変速する場合に、ステップS204およびステップS205の判定条件が両方成立するか否かを判定する。ECU70は、このようにして、ダウンシフト段数を1段ずつ増やしながら、ステップS204およびステップS205の判定条件が両方成立するか否かを判定し、ステップS204およびステップS205の両方の判定条件が成立した最初の変速段を目標変速段として設定する。言い換えると、ECU70は、ステップS204およびステップS205の判定条件が両方成立する変速段のうち最も変速比が小さな変速段を目標変速段として設定する。
目標変速段が設定されると、ECU70により、自動変速機30のダウンシフトおよび変速早期化制御(開放油圧低圧化制御)がなされる。その内容は、図10に示す処理手順のステップS116からステップS118までと同様のものとすることができる。すなわち、変速制御部83は、まず、エンジン回転数と、アクセル開度と、アクセル開度の変化量に基づいて、過給遅れを推定し、推定した過給遅れに基づいて、変速前の変速段に対応する摩擦係合要素50に作用させる油圧である開放油圧を設定する。次に、変速制御部83は、タービン回転数上昇早期化に合わせて、変速後の変速段に対応する摩擦係合要素50に作用させる油圧である係合油圧を設定する。そして、変速制御部83は、自動変速機30のリニアソレノイドバルブ46に対して、設定された開放油圧で変速前の変速段に対応する摩擦係合要素50を開放させ、設定された係合油圧で変速後の変速段に対応する摩擦係合要素50を係合させるように変速指示をする。
次に、ステップS207では、ECU70により、電動モータ19がOFFとされる。ECU70の処理部71が有する電動モータ制御部84は、電動モータ19への電力の供給を制御する駆動回路に対して、電動モータ19への電流の供給を行わないよう指令する。これにより、電動モータ19によるターボチャージャ15のシャフト18の回転に対するアシストがなされなくなり、ターボチャージャ15は、電動モータ19によるアシストを受けずに、排気通路13を流れる排気ガスのエネルギーで作動する。変速早期化制御(開放油圧低圧化制御)がなされていることで、エンジン回転数の上昇が促進され、排気ガスの量が速やかに増加し、ターボチャージャ15の回転数が早期に過給可能な回転数まで上昇する。これにより、電動モータ19による電力消費量の増加が抑制され、車両の燃費の悪化を抑制しつつ過給遅れを低減することができる。
次に、ステップS208では、ECU70により、過給圧が所定値以上であるか否かが判定される。ECU70の処理部71が有する過給圧取得部77で取得する過給圧が、エンジン10の出力を効果的に上昇させることのできる過給圧(所定値)以上である場合、ステップS208で肯定判定がなされる。ステップS208の判定の結果、過給圧が所定値以上であると判定された場合(ステップS208−Y)にはステップS209に進み、そうでない場合(ステップS208−N)には、ステップS208の判定が繰り返される。
ステップS209では、ECU70により、自動変速機30の変速段が、元の変速段に戻される。ECU70の変速制御部83は、自動変速機30の目標変速段として、ステップS206で設定された変速段に代えて、変速線に基づく変速段を設定する。ここで、変速線に基づく変速段としては、ステップS206において変速線に基づく変速段として算出された変速段でもよく、ステップS209において新たに、現在の走行状態に基づいて、変速線を参照して算出される変速段でもよい。変速制御部83は、変速線に基づく変速段を目標変速段として、自動変速機30のリニアソレノイドバルブ46に対して変速指示をする。自動変速機30の変速段が元の変速段に戻されると、この処理手順から抜け出る。
このように、本実施形態では、ダウンシフト判断がなされた場合に、開放油圧低圧化制御を行うと判定される条件が成立するまで、ダウンシフトの段数が増やされる。これにより、開放油圧低圧化制御により過給遅れを抑制する領域を拡大することで、電動モータ19により過給遅れを抑制する領域を縮小することができる。その結果、電動モータ19によりターボチャージャ15の回転をアシストすることによる電力消費の増加を抑制し、燃費の向上を図ることができる。また、過給遅れが生じている間(ターボチャージャ15による過給が開始されるまでの間)、変速線に基づく変速段よりも変速比が大きい変速段で走行することで、過給が開始されるまでの間の駆動力不足を補うことができる。過給遅れが生じている間の駆動力不足が補われることで、ドライバビリティを向上させることができる。
なお、本実施形態では、上記第1実施形態(図10参照)において、ダウンシフト判断がなされた(ステップS112−Y)ものの、変速早期化(開放油圧低圧化)制御を行うと判定されなかった(ステップS114−NまたはステップS115−N)場合に、電動モータ19がONとされ(図9のステップS106)、未だ変速線に基づくダウンシフトが実行されていない状態で本実施形態の処理手順(図11)が実行されることを前提に説明したが、変速線に基づくダウンシフトが実行された後で本実施形態の処理手順が開始され、変速線に基づく変速段よりも低速側の変速段へのダウンシフトが実行されるようにしてもよい。
(第2実施形態の変形例)
第2実施形態の変形例について説明する。上記第2実施形態では、ダウンシフト判断がなされたものの、変速早期化制御(開放油圧低圧化制御)が実行されずに、電動モータ19がONとされた場合に、ダウンシフト段数を増加させる制御について説明したが、ダウンシフト判断がなされずに電動モータ19がONとされた場合に、強制的にダウンシフトさせるようにしてもよい。つまり、変速線に基づくダウンシフト判断がなされていない場合であっても、電動モータ19がONとされた場合に、図11の処理手順のステップS204およびステップS205の判定条件を両方満たすような変速段を目標変速段として設定し、ダウンシフトおよび変速早期化制御を行って過給遅れを抑制するようにすることができる。なお、この場合、過給圧が、エンジン10の出力を効果的に上昇させることのできる過給圧(所定値)以上となったときには、変速線に基づく変速段に戻す(アップシフトする)ことが望ましい。
このようにすれば、開放油圧低圧化制御により過給遅れを抑制する領域をさらに拡大することで、電動モータ19により過給遅れを抑制する領域をより縮小し、過給遅れを低減する効果を奏しつつ、燃費の悪化を抑制することができる。
1 車両制御装置
10 エンジン
12 吸気通路
13 排気通路
15 ターボチャージャ
16 コンプレッサ
17 タービン
18 シャフト
19 電動モータ
30 自動変速機
31 トルクコンバータ
40 変速装置
45 油圧制御装置
46 リニアソレノイドバルブ
50 摩擦係合要素
70 ECU
71 処理部
90 記憶部
91 入出力部
B 変速時トルクコンバータでのエンジン回転数上昇量
Dpe 開放油圧低減量

Claims (5)

  1. 排気ガスのエネルギーで過給を行う過給装置を備える内燃機関と、
    前記内燃機関の動力を出力可能に設けられ、複数の摩擦係合要素を有し、かつ、前記複数の摩擦係合要素の開放と係合とを切替えることにより、前記内燃機関の前記動力を出力する際における変速段が、複数の変速段の間で切替えられる変速装置とが搭載された車両を制御する車両制御装置であって、
    前記摩擦係合要素に作用させる油圧の制御が可能に設けられており、かつ、前記車両の加速時に変速前の前記変速段に対応する前記摩擦係合要素を開放させ、変速後の前記変速段に対応する前記摩擦係合要素を係合させることにより前記変速装置をダウンシフトさせる油圧制御手段と、
    電力を消費して前記過給装置による過給をアシストするアシスト手段とを備え、
    前記過給装置の過給遅れが生じると判定された場合に、前記アシスト手段による前記過給のアシストを行い、
    前記過給遅れが生じると判定された場合であって、前記ダウンシフトを実行すると判定され、かつ、前記ダウンシフトに伴う運転状態の変化が予め定められた所定の条件を満たすと予測される場合には、前記アシスト手段による前記過給のアシストを行うことに代えて、前記ダウンシフト時に開放側の前記摩擦係合要素に作用させる油圧を、前記過給遅れが生じると判定されない場合と比較して、推定された前記過給遅れに応じて低減する
    ことを特徴とする車両制御装置。
  2. 請求項1に記載の車両制御装置において、
    前記内燃機関と前記変速装置との間には、前記内燃機関の出力軸と接続されたポンプと、前記変速装置の入力軸と接続されたタービンとを有し、前記内燃機関の前記動力を前記変速装置に伝達するトルクコンバータが設けられ、
    前記所定の条件は、前記ダウンシフトにおける前記タービンの回転数の上昇量が、前記ダウンシフトにおける前記トルクコンバータの滑りによる前記内燃機関の回転数の上昇量以上である条件を含む
    ことを特徴とする車両制御装置。
  3. 請求項1または2に記載の車両制御装置において、
    前記所定の条件は、前記ダウンシフト後の前記内燃機関の回転数が、前記過給装置による過給が開始される回転数以上である条件を含む
    ことを特徴とする車両制御装置。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の車両制御装置において、
    前記過給遅れが生じると判定された場合であって、前記ダウンシフトを実行すると判定され、かつ、予め設定された変速線に基づく前記変速段を目標変速段とする前記ダウンシフトでは前記運転状態の変化が前記所定の条件を満たさないと予測される場合、前記ダウンシフトの前記目標変速段を、前記変速線に基づく前記変速段に代えて、前記運転状態の変化が前記所定の条件を満たす前記変速段とする
    ことを特徴とする車両制御装置。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の車両制御装置において、
    推定された前記過給遅れが大きい場合には、推定された前記過給遅れが小さい場合と比較して、前記開放側の前記摩擦係合要素に作用させる油圧が低くなる
    ことを特徴とする車両制御装置。
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