図1は、本発明が好適に適用される車両6に備えられた車両用駆動装置7の構成を説明するための骨子図である。車両6は車両用駆動装置7及び一対の駆動輪38等を備えており、その車両用駆動装置7は車両用動力伝達装置8(以下、「動力伝達装置8」という)とエンジン10とを備えている。その動力伝達装置8は、エンジン10と駆動輪38との間に介装されており、自動変速機12と、エンジン10の出力軸13に連結されてそのエンジン10と自動変速機12との間に介装されたトルクコンバータ14とを備えている。そして、動力伝達装置8は、車両6(図3参照)の左右方向(横置き)に搭載するFF車両に好適に用いられるものである。
自動変速機12は、エンジン10から駆動輪38(図3参照)への動力伝達経路の一部を構成しており、エンジン10の動力を駆動輪38に向けて出力する。すなわち、変速機入力軸26に入力されたエンジン10の動力を出力歯車28から駆動輪38に向けて出力する。自動変速機12は、複数の遊星歯車装置16,20,22と、複数の油圧式摩擦係合装置(クラッチC、ブレーキB)具体的には5つの油圧式摩擦係合装置(第1クラッチC1,第2クラッチC2,第1ブレーキB1,第2ブレーキB2,第3ブレーキB3)と、一方向クラッチF1とを備え、その複数の油圧式摩擦係合装置の何れかの掴み替えにより複数の変速段(ギヤ段)が択一的に成立させられる有段の変速機である。例えば、自動変速機12は、車速Vとアクセル開度Accとで表される車両状態に基づき予め設定された関係(変速線図)に従って変速を行う。端的に言えば、一般的な車両によく用いられる所謂クラッチツークラッチ変速を行う有段変速機である。具体的に、自動変速機12の第1遊星歯車装置16はシングルピニオン型であり、第1サンギヤS1と第1ピニオンギヤP1と第1キャリヤCA1と第1リングギヤR1とを備えている。また、第2遊星歯車装置20はダブルピニオン型であり、第2サンギヤS2と第2ピニオンギヤP2と第3ピニオンギヤP3と第2キャリヤCA2と第2リングギヤR2とを備えている。また、第3遊星歯車装置22はシングルピニオン型であり、第3サンギヤS3と第3ピニオンギヤP3と第3キャリヤCA3と第3リングギヤR3とを備えている。その第2遊星歯車装置20および第3遊星歯車装置22は、第2、第3リングギヤR2およびR3が共通の部材にて構成されており、且つ第3遊星歯車装置22の第3ピニオンギヤP3が第2遊星歯車装置20の一方のピニオンギヤを兼ねているラビニヨ型の遊星歯車列とされている。図1から判るように、自動変速機12の入力回転部材である変速機入力軸26はトルクコンバータ14のタービン軸である。また、自動変速機12の出力回転部材である出力歯車28は、差動歯車装置32(図3参照)のデフドリブンギヤ(大径歯車)34と噛み合うデフドライブギヤとして機能している。エンジン10の出力は、トルクコンバータ14、自動変速機12、差動歯車装置32、および一対の車軸36を介して一対の駆動輪(前輪)38へ伝達されるようになっている(図3参照)。なお、この自動変速機12は中心線に対して略対称的に構成されており、図1ではその中心線の下半分が省略されている。
図2は、自動変速機12において複数の変速段(ギヤ段)を成立させる際の係合要素の作動状態を説明するための作動表である。図2の作動表は、上記各変速段とクラッチC1、C2、ブレーキB1〜B3の作動状態との関係をまとめたものであり、「○」は係合、「◎」はエンジンブレーキ時のみ係合、「△」は駆動時のみ係合を表している。図2に示すように、自動変速機12は、各係合要素(クラッチC1、C2、ブレーキB1〜B3)の作動状態に応じて第1速ギヤ段「1st」〜第6速ギヤ段「6th」の6つの前進変速段が成立させられるとともに、後進変速段「R」の後進変速段が成立させられる。なお、第1変速段「1st」を成立させるブレーキB2には並列に一方向クラッチF1が設けられているため、発進時(加速時)には必ずしもブレーキB2を係合させる必要は無いのである。また、自動変速機12の変速比γatは、変速機入力軸26の回転速度Ninである入力回転速度Ninと出力歯車28の回転速度Noutである出力回転速度Noutとに基づいて「変速比γat=入力回転速度Nin/出力回転速度Nout」という式から算出される。
上記クラッチC1、C2、およびブレーキB1〜B3(以下、特に区別しない場合は単にクラッチC、ブレーキBという)は、多板式のクラッチやブレーキなど油圧アクチュエータによって係合制御される油圧式摩擦係合装置であり、油圧制御回路40(図1参照)に設けられたリニアソレノイドバルブの励磁、非励磁や電流制御により、係合、解放状態が切り換えられるとともに、係合、解放時の過渡油圧などが制御される。
トルクコンバータ14は、エンジン10の出力軸(クランク軸)13に連結されたポンプ翼車14aと、自動変速機12の変速機入力軸26に連結されたタービン翼車14bと、一方向クラッチを介して自動変速機12のハウジング(トランスミッションケース)30に連結されたステータ翼車14cとを備えており、エンジン10により発生させられた駆動力を自動変速機12へ流体を介して伝達する流体伝動装置である。また、上記ポンプ翼車14a及びタービン翼車14bの間には、直結クラッチであるロックアップクラッチ46が設けられており、油圧制御等により係合状態、スリップ状態、或いは解放状態とされるようになっている。このロックアップクラッチ46が係合状態とされることにより、厳密に言えば、完全係合状態とされることにより、上記ポンプ翼車14a及びタービン翼車14bが一体回転させられる。
過給機54は、エンジン10の吸排気系に設けられており、エンジン10の排気によって回転駆動されてエンジン10の吸気を昇圧する公知の排気タービン過給機、すなわちターボチャージャーである。具体的には図1に示すように、過給機54は、エンジン10の排気管56内に設けられエンジン10の排気によって回転駆動される排気タービンホイール58と、エンジン10の吸気管60内に設けられ排気タービンホイール58により回転させられることでエンジン10の吸気を圧縮する吸気コンプレッサーホイール62と、排気タービンホイール58と吸気コンプレッサーホイール62とを連結する回転軸64とを備えている。エンジン10は、過給機54を駆動するのに十分なエンジン10の排気が排気タービンホイール58に導かれると、過給機54により過給される過給状態で動作する。一方で、排気タービンホイール58に導かれるエンジン10の排気が過給機54の駆動に不十分であると過給機54が殆ど駆動されず、エンジン10は、前記過給状態に比して過給が抑制された状態すなわち過給機54の無い自然吸気エンジンと同等の過給されない吸気の状態である自然吸気状態(NA状態又は非過給状態とも言う)で動作する。
また、排気管56内の排気タービンホイール58が設けられている排気経路と並列に配設された排気バイパス経路66と、その排気バイパス経路66を開閉するウェイストゲートバルブ68とが設けられている。ウェイストゲートバルブ68は、そのウェイストゲートバルブ68の開度θwg(以下、ウェイストゲートバルブ開度θwgという)が連続的に調節可能になっており、電子制御装置52は、電動アクチュエータ70を制御することにより、吸気管60内の圧力を利用してウェイストゲートバルブ68を連続的に開閉する。例えば、ウェイストゲートバルブ開度θwgが大きいほどエンジン10の排気は排気バイパス経路66を通って排出され易くなるので、エンジン10の前記過給状態において、吸気管60内での吸気コンプレッサーホイール62の下流側気圧PLin、要するに過給機54の過給圧Pcmout(=PLin)は、ウェイストゲートバルブ開度θwgが大きいほど低くなる。また、過給機54の過給圧Pcmoutは、一般的に知られているように、エンジン10の前記過給状態において電子スロットル弁72の開度θthすなわちスロットル開度θthを小さくするほど低下する。従って、ウェイストゲートバルブ68と電子スロットル弁72との一方又は両方が、過給圧Pcmoutを調節する過給圧調節機構として機能する。
図3は、本実施例の車両用駆動装置7を制御するための車両用駆動制御装置として機能する電子制御装置52に入力される信号を例示した図であると共に、電子制御装置52に備えられた制御機能の要部を説明するための機能ブロック線図である。この電子制御装置52は、所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことによりエンジン10や自動変速機12に関する車両制御を実行するものである。
電子制御装置52には、図3に示すような各センサやスイッチなどから、スロットル開度センサ74により検出されるエンジン10のスロットル開度θthを表す信号、第1吸気センサ76により検出される吸気管60内での吸気コンプレッサーホイール62の上流側気圧PHin(以下、コンプレッサー上流側吸気圧PHinという)を表す信号、第2吸気センサ(過給圧センサ)78により検出される吸気管60内での吸気コンプレッサーホイール62の下流側気圧PLin(以下、コンプレッサー下流側吸気圧PLinという)を表す信号、加速度センサ80により検出される車両進行方向すなわち車両前後方向の加速度ACLである車両前後加速度ACLを表す信号、エンジン回転速度センサ84により検出されるエンジン回転速度Neを表す信号、出力歯車28の回転速度Noutに対応する車速Vを表す車速センサ86からの信号、運転者の要求出力に対応するアクセルペダル88の踏込量であるアクセル開度Accを表すアクセル開度センサ90からの信号、および、タービン翼車14bの回転速度Nt(以下、「タービン回転速度Nt」という)すなわち変速機入力軸26の回転速度Nin(=Nt)を表すタービン回転速度センサ92からの信号等が、それぞれ供給される。
また、電子制御装置52から、車両6に設けられた各装置に各種出力信号が供給されるようになっている。例えば、電子制御装置52は、電動のスロットルアクチュエータ94によりスロットル開度θthをアクセル開度Accに応じて調節するスロットル制御を行っており、そのスロットル制御では、基本的にアクセル開度Accが増加するほどスロットル開度θthを増加させる。なお、上記スロットルアクチュエータ94は、エンジン10の吸入空気量を調節する弁機構である電子スロットル弁72を開閉作動させる。
また、電子制御装置52は、自動変速機12の変速が行われる毎に、その変速結果に基づいて、その変速で係合作動又は解放作動したクラッチC又はブレーキBの制御指示値(油圧制御値とも呼ぶ)を適正値に補正する油圧学習制御を行う。その油圧学習制御での補正後の制御指示値は次回の変速に用いられる。その油圧学習制御は、自動変速機12の変速のために行われる周知の学習制御であり、例えば自動変速機12のダウンシフトであれば、その油圧学習制御により、前記制御指示値の大きさ及び出力される時間、要するにその制御指示値の波形が、イナーシャ相終了時に発生する入力回転速度Ninの吹き量が所定の目標範囲に入るように補正される。
図3に示すように、電子制御装置52は、変速状況判断部である変速状況判断手段100と、トルクダウン制御実行部であるトルクダウン制御実行手段102と、過給圧抑制制御部である過給圧抑制制御手段104と、トルクダウン復帰条件判断部であるトルクダウン復帰条件判断手段106と、過給圧判断部である過給圧判断手段108と、フラグ切換部であるフラグ切換手段110と、トルクダウン復帰制御部であるトルクダウン復帰制御手段112と、油圧学習禁止部である油圧学習禁止手段114とを機能的に備えている。
変速状況判断手段100は、車両加速時での自動変速機12のダウンシフトであるパワーオンダウンシフト中であるか否かを逐次判断する。例えば、自動変速機12のダウンシフトを行う変速判断が前記変速線図からなされており、且つ、アクセル開度Accが、運転者の加速意思を判断できるように予め実験的に設定されたパワーオン判定値以上である場合に、変速状況判断手段100は、自動変速機12が前記パワーオンアップシフト中であると判断する。
トルクダウン制御実行手段102は、前記パワーオンダウンシフト中にエンジントルクTeを低下させるトルクダウン制御を実行する。このトルクダウン制御は、自動変速機12のダウンシフト中に実行される変速ショック低減を目的とした周知のエンジントルク制御であり、例えば、そのトルクダウン制御では、前記パワーオンダウンシフト中に、そのダウンシフト前の自動変速機12のギヤ段を前提としてアクセル開度Accに対応したトルク目標値に対してエンジントルクTeを小さくする。なお、前記トルクダウン制御は、後述するトルクダウン復帰制御によって終了させられる。
過給圧抑制制御手段104は、第2吸気センサ78によって過給機54の過給圧Pcmout(=PLin)を逐次検出しており、その過給圧Pcmoutが予め定められた過給圧抑制閾値P1cmout以上であるか否かを逐次判断する。その過給圧抑制閾値P1cmoutは、エンジン10の耐久性維持や燃費向上等の観点から後述の過給圧抑制制御が過給圧Pcmoutが過剰に大きくならずに適切に実行されるように、且つ、ドライバビリティ向上等の観点から過給圧Pcmoutが前記過給圧抑制制御により抑制される機会を可及的に減らすように、予め実験的に設定されている。また、その過給圧Pcmoutの変化には応答遅れが伴うので、過給圧抑制閾値P1cmoutは、その過給圧Pcmoutの応答遅れが加味されて余裕をもって設定されている。過給圧抑制閾値P1cmoutは、例えば一定値とされている。
そして、過給圧抑制制御手段104は、過給圧Pcmoutが前記過給圧抑制閾値P1cmout以上であると判断した場合には、その過給圧Pcmoutが前記過給圧抑制閾値P1cmout以下になるように過給圧Pcmoutの上昇を抑える過給圧抑制制御を実行する。具体的に、その過給圧抑制制御は、過給機54の過給圧Pcmoutが上昇する過程でその過給圧Pcmoutの上昇を抑制するように電子スロットル弁72を作動させる制御である。言い換えれば、スロットル開度θthが小さくされるほど、過給圧Pcmoutは上昇し難くなるので、過給圧抑制制御手段104は、前記過給圧抑制制御では、アクセル開度Accが減少しなくても、電子スロットル弁72を閉方向に自動的に作動させることで過給圧Pcmoutの上昇を止める。詳細に説明すると、過給圧抑制制御手段104は、前記過給圧抑制制御では、スロットル開度θthがその過給圧抑制制御を実行しない場合よりも小さくなるように電子スロットル弁72を作動させることで、過給圧Pcmoutの上昇を止める。前記過給圧抑制制御における電子スロットル弁72の作動量および作動速度は、例えば、前記過給圧抑制制御による過給圧Pcmoutの変化に起因した違和感を乗員に与えないように、且つ、速やかに過給圧Pcmoutの上昇が止まるように、予め実験的に定められている。なお、電子スロットル弁72は本発明の過給圧調節機構に対応する。また、過給圧抑制制御手段104は、過給機54の過給圧Pcmoutが前記過給圧抑制閾値P1cmout以上になった場合には、直ちに前記過給圧抑制制御の実行により電子スロットル弁72を閉方向に作動させるが、過給圧Pcmoutが前記過給圧抑制閾値P1cmout以上になった時から遅れて電子スロットル弁72の作動を開始しても差し支えない。
トルクダウン復帰条件判断手段106は、前記トルクダウン制御の開始後において、そのトルクダウン制御を終了させる予め設定されたトルクダウン復帰条件が成立したか否かを逐次判断する。そのトルクダウン復帰条件は、種々の内容があり得るが、例えば、(i)前記トルクダウン制御が実行中であること、(ii)自動変速機12のダウンシフトの変速進行度が予め実験的に定められた復帰判定進行度に至ったこと、という各条件を含んで構成されている。前記トルクダウン復帰条件は、それら(i)〜(ii)の全ての条件が満たされた場合に成立する。なお、前記復帰判定進行度は、運転者にトルク不足を認識させないように且つ変速ショックが抑制されるように予め実験的に求められ設定されている。また、前記ダウンシフトの変速進行度は、そのダウンシフトの変速開始時からの経過時間に基づいて算出されてもよいし、ダウンシフト中のエンジン回転速度Ne又はタービン回転速度Ntに基づいて算出されてもよい。
過給圧判断手段108は、前記パワーオンダウンシフトにおいて、前記過給圧抑制制御が実行されるまで過給圧Pcmoutの上昇が継続するか否かを推定する。すなわち、自動変速機12が前記パワーオンダウンシフト中であると変速状況判断手段100により判断されており且つ過給圧抑制制御手段104が前記過給圧抑制制御を未だ実行していない場合において、前記過給圧抑制制御が実行されるまで過給圧Pcmoutの上昇が継続するか否かを推定する。その推定は、前記トルクダウン復帰条件の成立時に行われるが、そのトルクダウン復帰条件の成立前に行われても差し支えない。また、前記過給圧抑制制御が実行されるまで過給圧Pcmoutの上昇が継続するか否かとは、具体的に言えば、過給圧Pcmoutが前記過給圧抑制閾値P1cmout以上になるまで過給圧Pcmoutの上昇が継続するか否かということである。
具体的に、過給圧判断手段108は、過給圧Pcmoutが予め定められた過給圧判定値P2cmout以上になったか否か、及び、過給圧Pcmoutの時間上昇率ΔPcmout(単位は例えばkPa/sec)が予め定められた過給圧上昇率判定値ΔP2cmout以上になったか否かを、前記トルクダウン復帰条件の成立時に判断する。そして、そのトルクダウン復帰条件の成立時にて、過給圧Pcmoutが過給圧判定値P2cmout以上になった場合、又は、過給圧Pcmoutの時間上昇率ΔPcmoutが過給圧上昇率判定値ΔP2cmout以上になった場合に、前記過給圧抑制制御が実行されるまで過給圧Pcmoutの上昇が継続すると推定する。前記トルクダウン復帰条件が成立したか否かはトルクダウン復帰条件判断手段106の判断に基づく。なお、前記過給圧判定値P2cmout及び過給圧上昇率判定値ΔP2cmoutは、前記過給圧抑制制御が実行されるまで過給圧Pcmoutの上昇が継続するか否かを高い確実性をもって予測判断できるように、予め実験的に設定されている。そして、その過給圧判定値P2cmoutは前記過給圧抑制閾値P1cmoutよりも低い値に設定されている。
フラグ切換手段110は、前記過給圧抑制制御が実行されるまで過給圧Pcmoutの上昇が継続すると過給圧判断手段108によって推定された場合には、後述のトルクダウン復帰制御の開始を禁止するか否かを示すトルクダウン復帰制御遅延フラグFLAG01をオフ(OFF)からオン(ON)に切り換える。そのトルクダウン復帰制御遅延フラグFLAG01のオンはそのトルクダウン復帰制御の開始を禁止することを示し、オフはそのトルクダウン復帰制御の開始を禁止していないことを示す。フラグ切換手段110は、そのトルクダウン復帰制御遅延フラグFLAG01をオンにした場合には、自動変速機12のダウンシフトが終了したか否か、及び、前記過給圧抑制制御が実行されておれば過給圧Pcmoutの上昇がその過給圧抑制制御により止まったか否かを逐次判断する。フラグ切換手段110は、その判断結果から、前記ダウンシフトが終了した場合、または、過給圧Pcmoutの上昇が前記過給圧抑制制御により止まった場合には、トルクダウン復帰制御遅延フラグFLAG01をオンからオフに切り換える。従って、トルクダウン復帰制御遅延フラグFLAG01は、前記過給圧抑制制御が実行されるまで過給圧Pcmoutの上昇が継続すると過給圧判断手段108によって推定された場合に、その推定時すなわち前記トルクダウン復帰条件の成立時から、前記ダウンシフト終了時又は過給圧Pcmoutの上昇が前記過給圧抑制制御により止まった時までオンにされる。
トルクダウン復帰制御手段112は、前記トルクダウン復帰条件が前記トルクダウン制御の開始後に成立した場合、すなわち、そのトルクダウン復帰条件が成立したとトルクダウン復帰条件判断手段106により判断された場合には、エンジントルクTeを増大させて前記トルクダウン制御を終了させるトルクダウン復帰制御を実行する。このトルクダウン復帰制御は、前記トルクダウン制御を終了させる際に実行されるエンジントルク制御であり、例えば、そのトルクダウン復帰制御では、ダウンシフト終了の際のトルク不足を補うように且つ変速ショックを拡大させないように設定された所定のトルク勾配でエンジントルクTeが漸増させられる。
トルクダウン復帰制御手段112は、前記トルクダウン復帰条件が成立すれば、基本的には、その成立時から直ちに前記トルクダウン復帰制御を開始し、ダウンシフト終了時に前記トルクダウン復帰制御を終了する。但し、トルクダウン復帰制御手段112は、前記トルクダウン復帰制御を開始する前にトルクダウン復帰制御遅延フラグFLAG01を確認し、そのトルクダウン復帰制御遅延フラグFLAG01がオンである場合には、そのトルクダウン復帰制御遅延フラグFLAG01がオンからオフに切り換えられるのを待って、トルクダウン復帰制御遅延フラグFLAG01がオフになった時から前記トルクダウン復帰制御を開始する。このように、トルクダウン復帰制御手段112は、トルクダウン復帰制御遅延フラグFLAG01がオンである場合、具体的に言えば、前記パワーオンダウンシフトにおいて、前記過給圧抑制制御が実行されるまで過給圧Pcmoutの上昇が継続することが前記トルクダウン復帰条件の成立時に推定された場合には、そのトルクダウン復帰条件の成立時よりも後にまで前記トルクダウン復帰制御の実行開始を遅延する。詳細には、トルクダウン復帰制御遅延フラグFLAG01は、前記ダウンシフトが終了した場合または過給圧Pcmoutの上昇が前記過給圧抑制制御により止まった場合に、オンからオフに切り換えられるので、トルクダウン復帰制御手段112は、前記トルクダウン復帰制御の実行開始を遅延した場合には、前記ダウンシフトが終了した場合または過給圧Pcmoutの上昇が前記過給圧抑制制御により止まった場合に、そのトルクダウン復帰制御を開始する。なお、トルクダウン復帰制御遅延フラグFLAG01がオンからオフに切り換えられるのを待って開始された前記トルクダウン復帰制御は、ダウンシフト終了時以降に終了することがある。
油圧学習禁止手段114は、トルクダウン復帰制御手段112が前記トルクダウン復帰制御の実行開始を遅延した場合、すなわち、そのトルクダウン復帰制御が行われたダウンシフトでトルクダウン復帰制御遅延フラグFLAG01が少なくとも一時的にオンであった場合には、そのダウンシフトにて係合作動した係合側係合装置及び解放作動した解放側係合装置の前記油圧学習制御を禁止する。すなわち、トルクダウン復帰制御遅延フラグFLAG01がオンにされていた前記ダウンシフトの変速結果に基づいた前記油圧学習制御を禁止する。このようにその油圧学習制御が禁止されるのは、前記トルクダウン復帰制御の実行開始が遅延されることは例外的な制御であり、そのときの変速結果に基づいて前記油圧学習制御がなされると、次回の変速から用いられる前記係合側係合装置及び前記解放側係合装置の制御指示値がかえって適正値から遠ざかるおそれがあるからである。なお、前記解放側係合装置の油圧学習制御は禁止されなくても差し支えない。
図4は、電子制御装置52の制御作動の要部、すなわち、前記パワーオンダウンシフトにおいて前記トルクダウン復帰制御の実行開始を遅延する制御作動を説明するためのフローチャートであり、例えば数msec乃至数十msec程度の極めて短いサイクルタイムで繰り返し実行される。この図4に示す制御作動は、単独で或いは他の制御作動と並列的に実行される。
先ず、ステップ(以下、「ステップ」を省略する)SA1においては、自動変速機12が前記パワーオンダウンシフト中であるか否かが判断される。このSA1の判断が肯定された場合、すなわち、自動変速機12が前記パワーオンダウンシフト中である場合には、SA2に移る。一方で、このSA1の判断が否定された場合には、SA1を繰り返す。なお、SA1は変速状況判断手段100に対応する。
トルクダウン復帰条件判断手段106に対応するSA2においては、前記トルクダウン復帰条件が成立したか否かが判断される。このSA2の判断が肯定された場合、すなわち、前記トルクダウン復帰条件が成立した場合には、SA3に移る。一方で、このSA2の判断が否定された場合には、SA1に移る。
過給圧判断手段108に対応するSA3においては、過給圧Pcmout上昇の進行度合が所定の進行度合閾値以上であるか否かが判断される。すなわち、その過給圧Pcmout上昇の進行度合を示す指標値である過給圧Pcmout又は過給圧Pcmoutの時間上昇率ΔPcmoutが前記進行度合閾値に対応する所定値以上であるか否かが判断される。具体的には、過給圧Pcmoutが前記過給圧判定値P2cmout以上になったか否かが判断され、且つ、過給圧Pcmoutの時間上昇率ΔPcmoutが前記過給圧上昇率判定値ΔP2cmout以上になったか否かが判断される。そして、その何れか一方の判断が肯定されれば、このSA3の判断は肯定される。このSA3の判断が肯定された場合、すなわち、過給圧Pcmoutが過給圧判定値P2cmout以上になった場合または過給圧Pcmoutの時間上昇率ΔPcmoutが過給圧上昇率判定値ΔP2cmout以上になった場合には、SA4に移る。一方で、このSA3の判断が否定された場合には、SA1に移る。
SA4においては、前記トルクダウン復帰制御遅延フラグFLAG01がオン(ON)に設定される。前記トルクダウン復帰制御は、前記トルクダウン復帰条件が成立していても、トルクダウン復帰制御遅延フラグFLAG01がオンである間は開始されない。SA4の次はSA5に移る。
SA5においては、前記過給圧抑制制御が実行されておれば過給圧Pcmoutの上昇がその過給圧抑制制御により止まったか否か、要するに過給圧Pcmoutの抑制が終わったか否かが判断され、且つ、自動変速機12のダウンシフトが終了したか否かが判断される。そして、その何れか一方の判断が肯定されれば、このSA5の判断は肯定される。このSA5の判断が肯定された場合、すなわち、前記ダウンシフトが終了した場合または過給圧Pcmoutの上昇が前記過給圧抑制制御により止まった場合には、SA6に移る。一方で、このSA5の判断が否定された場合には、SA5を繰り返す。
SA6においては、前記トルクダウン復帰制御遅延フラグFLAG01がオフ(OFF)に設定される。このSA6にてトルクダウン復帰制御遅延フラグFLAG01がオンからオフに切り換えられることにより、前記トルクダウン復帰制御が開始される。SA6の次はSA7に移る。なお、SA4からSA6はフラグ切換手段110に対応する。
油圧学習禁止手段114に対応するSA7においては、前記係合側係合装置及び前記解放側係合装置の前記油圧学習制御が禁止される。すなわち、トルクダウン復帰制御遅延フラグFLAG01がオンにされていた前記ダウンシフトの変速結果に基づいた前記油圧学習制御が禁止される。
図5は、アクセルペダル88が大きく踏み込まれ自動変速機12のダウンシフトが実行されるパワーオンダウンシフト時を例として、図4のフローチャートを説明するためのタイムチャートである。この図5において行われる自動変速機12のダウンシフトは、例えば自動変速機12の第4速から第3速への変速のように、自動変速機12に備えられたクラッチCまたはブレーキBの掴み替えによる変速すなわち前記クラッチツークラッチ変速である。図5では、エンジン回転速度Neとタービン回転速度Ntとはトルクコンバータ14のスリップを加味すれば互いに対応するので、図5のタイムチャートを簡潔に表示するために、エンジン回転速度Neとタービン回転速度Ntとは互いに同じタイムチャートで表されている。また、ダウンシフト時トルク要求のタイムチャートは、エンジン10に対して要求されるエンジントルクTeの変化、すなわち、目標エンジントルクTetの変化を表している。電子制御装置52は、エンジントルクTeをその目標エンジントルクTetに近づけるように、要するに一致させるように、スロットル開度θth及びエンジン10の点火時期等を制御する。
図5のt1時点は、アクセルペダル88が大きく踏み込まれた時点を示している。従って、図5では、t1時点においてアクセル開度Accが段階的に増大し、それに伴いスロットル開度θthも段階的に増大している。そして、そのアクセル開度Accの増大により、自動変速機12のダウンシフトを行わせる変速指示がt1時点でなされている。すなわち、t1時点がダウンシフト開始時である。また、t1時点でのスロットル開度θthの増大により、車両前後加速度ACLがt1時点からt2時点に向けて次第に上昇している。また、t1時点でスロットル開度θthが増大したので、過給機54の過給圧Pcmoutが応答遅れを含みつつ上昇し始めている。
また、t1時点から前記トルクダウン制御は開始されている。そのため、ダウンシフト時トルク要求のタイムチャートに示されるt1時点以降の目標エンジントルクTetは、t1時点でのアクセル開度Accの増大に対応して前記トルクダウン制御の非実行時にはそのタイムチャートに示される大きさよりも大きくされるところ、前記トルクダウン制御の実行によりアクセル開度Accに対応した大きさよりも小さく抑えられている。
t1時点での変速指示により、t1時点とt2時点との間またはt1時点にて、自動変速機12のダウンシフトを成立させるためのクラッチCまたはブレーキBの掴み替えが開始されており、t2時点から、そのダウンシフトのイナーシャ相が始まっている。図5では、t2時点からt5時点までが上記イナーシャ相に該当し、そのイナーシャ相終了時(t5時点)がダウンシフト終了時である。図5ではt1時点が前記パワーオンダウンシフトの開始時点であるので、図4のSA1の判断がt1時点にて肯定されている。また、ダウンシフトの進行に伴い、t2時点からt5時点に向けて、エンジン回転速度Ne及びタービン回転速度Ntが次第に上昇している。なお、t2時点からt5時点までの期間では、自動変速機12がイナーシャ相にあるので、車両前後加速度ACLは略低下傾向となっている。
図5のt3時点は、自動変速機12のダウンシフトの変速進行度が前記復帰判定進行度に至った時点であり、そのt3時点にて前記トルクダウン復帰条件が成立している。そのため、t3時点にて図4のSA2の判断が肯定されており、SA3の判断が行われている。図5の例では、そのt3時点における過給圧Pcmoutは前記過給圧判定値P2cmout以上になっており、t3時点にてSA3の判断が肯定されている。従って、t3時点にて前記トルクダウン復帰制御遅延フラグFLAG01がオフ(OFF)からオン(ON)に切り換えられている。従って、前記トルクダウン復帰制御がt3時点から開始されることはないので、目標エンジントルクTetはt3時点から実線L01のようには大きくならず、t3時点以降も破線L02のように推移している。
t5時点は前記ダウンシフトの終了時点を示しており、このt5時点において、エンジン回転速度Ne及びタービン回転速度Ntの上昇が終わっている。また、t5時点で前記ダウンシフトが終了したので、図4のSA5の判断が肯定され、図4のSA6によりトルクダウン復帰制御遅延フラグFLAG01がオンからオフに切り換えられている。そのため、t5時点から前記トルクダウン復帰制御が開始されており、それによって目標エンジントルクTetがt5時点から破線L02のように漸増させられている。
図5のt4時点は、前記トルクダウン復帰制御がt3時点から開始されたと仮定した場合において、上昇過程にある過給圧Pcmoutが前記過給圧抑制閾値P1cmout以上になった時点を示している。そのため、t4時点から前記過給圧抑制制御が開始されている。ここで、スロットル開度θthのタイムチャートのt3時点以降において、実線L03は、実線L01の目標エンジントルクTetに対応して変化するスロットル開度θth、すなわち、前記トルクダウン復帰制御がt3時点から開始されたと仮定した場合のスロットル開度θthを示している。また、破線L04は破線L02の目標エンジントルクTetに対応して変化するスロットル開度θth、すなわち、前記トルクダウン復帰制御の開始がt5時点まで遅延された場合のスロットル開度θthを示している。実線L03に示すように、t3時点からの前記トルクダウン復帰制御の実行によりスロットル開度θthがt3時点から増大させられ、t4時点からの前記過給圧抑制制御の実行によりスロットル開度θthがt4時点から減少させられると、変速終期におけるそのスロットル開度θthの変動に起因して、車両前後加速度ACLが、ダウンシフト終了の際、具体的にはt5時点直後において、実線L05のように大きく変動している。すなわち、変速ショックが拡大している。その一方で、前記トルクダウン復帰制御の開始がトルクダウン復帰制御遅延フラグFLAG01の切換わりに従ってt5時点まで遅延されると、スロットル開度θthは破線L04のようにt3時点から増大させられていないため前記過給圧抑制制御が実行されても大きく減少させられることはなく、変速終期におけるスロットル開度θthの変動は実線L03に比して抑えられるので、t5時点直後において車両前後加速度ACLの変動が破線L06のように小さく抑えられ、変速ショックが抑えられる。
本実施例によれば、電子制御装置52は、前記パワーオンダウンシフトにおいて、前記過給圧抑制制御が実行されるまで過給圧Pcmoutの上昇が継続することが前記トルクダウン復帰条件の成立時に推定された場合には、そのトルクダウン復帰条件の成立時またはその成立前に前記過給圧抑制制御が実行されるまで過給圧が上昇しない場合に比して、要するに、トルクダウン復帰制御遅延フラグFLAG01が終始オフである通常の場合に比して、前記トルクダウン復帰制御の実行開始を遅延する。例えば、そのトルクダウン復帰条件の成立時よりも後にまで前記トルクダウン復帰制御の実行開始を遅延する。従って、前記パワーオンダウンシフトにおいて、前記トルクダウン復帰制御が前記過給圧抑制制御と重複して実行され難くなるので、変速ショックの発生を抑制することが可能である。
また、本実施例によれば、電子制御装置52は、前記トルクダウン復帰制御の実行開始を遅延した場合には、前記ダウンシフトが終了した場合、または、前記過給圧Pcmoutの上昇が前記過給圧抑制制御により止まった場合に、前記トルクダウン復帰制御を開始する。従って、前記トルクダウン復帰制御が変速ショックの発生に影響し難いタイミングで実行されるので、その変速ショックの発生を高い確実性をもって抑制することが可能である。
また、本実施例によれば、油圧学習禁止手段114は、トルクダウン復帰制御手段112が前記トルクダウン復帰制御の実行開始を遅延した場合、すなわち、そのトルクダウン復帰制御が行われたダウンシフトでトルクダウン復帰制御遅延フラグFLAG01がオンであった場合には、そのダウンシフトにて作動した前記係合側係合装置及び前記解放側係合装置の前記油圧学習制御を禁止する。従って、前記油圧学習制御によって前記係合側係合装置及び前記解放側係合装置の油圧制御値が不適切に補正されることが回避され、その油圧制御値の学習精度を向上させることができる。
また、本実施例によれば、過給圧判断手段108は、前記トルクダウン復帰条件の成立時にて、過給圧Pcmoutが過給圧判定値P2cmout以上になった場合、又は、過給圧Pcmoutの時間上昇率ΔPcmoutが過給圧上昇率判定値ΔP2cmout以上になった場合に、前記過給圧抑制制御が実行されるまで過給圧Pcmoutの上昇が継続すると推定する。従って、前記過給圧抑制制御が実行されるまで過給圧Pcmoutの上昇が継続するか否かを簡便に推定することが可能である。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
例えば、前述の実施例において、排気バイパス経路66とウェイストゲートバルブ68とが図1のように設けられているが、車両6は、その排気バイパス経路66とウェイストゲートバルブ68とを備えていない車両であっても差し支えない。
また、前述の実施例において、図4のフローチャートはSA7を備えているが、そのSA7は無くても差し支えない。
また、前述の実施例において、前記過給圧抑制制御が実行されるまで過給圧Pcmoutの上昇が継続するか否かを推定するために、過給圧Pcmout又は過給圧Pcmoutの時間上昇率ΔPcmoutが用いられているが、それら以外の1又は2以上の指標値が用いられても差し支えない。
また、前述の実施例において、電子スロットル弁72は、前記過給圧抑制制御で過給圧Pcmoutの上昇が止まるように作動させられる前記過給圧調節機構として機能させられているが、ウェイストゲートバルブ開度θwgが拡大するほど過給圧Pcmoutは上昇し難くなるので、電子スロットル弁72に替えて或いは電子スロットル弁72と共に、ウェイストゲートバルブ68が、上記過給圧抑制制御で上記過給圧調節機構として機能させられても差し支えない。
また、前述の実施例において、前記トルクダウン復帰制御は、その実行開始が遅延された場合には、自動変速機12のダウンシフトが終了してから開始され、或いは、過給圧Pcmoutの上昇が前記過給圧抑制制御により止まってから開始されるが、上記実行開始の遅延がなされていれば、それら以外のタイミングで開始されることも考え得る。
また、前述の実施例において、図5のタイムチャートではアクセルペダル88の踏込みがきっかけとなり自動変速機12の前記パワーオンダウンシフトが開始されているが、そのアクセルペダル88の踏込みをきっかけとはしない前記パワーオンダウンシフトにおいて、前記トルクダウン復帰制御の実行開始時点の遅延が行われても差し支えない。例えば、アクセルペダル88が一定量踏み込まれて車両6が加速しているときに運転者がシフトレバー操作すなわちシーケンシャルシフト操作を行うことにより、前記パワーオンダウンシフトが発生することもあり得る。
また、前述の実施例において、車両6は走行用の駆動力源として電動機を備えていないが、走行用の電動機を備えたハイブリッド車両であっても差し支えない。
また、前述の実施例において、図1に示すように車両6はトルクコンバータ14を備えているが、そのトルクコンバータ14は必須ではない。
また、前述の実施例において、過給機54は排気タービン過給機であるが、エンジン10の出力軸13の回転で回転駆動される機械式過給機、すなわちスーパーチャージャーであっても差し支えない。過給機54がスーパーチャージャーであれば、排気バイパス経路66およびウェイストゲートバルブ68は設けられない一方で、エンジン10の出力軸13と前記スーパーチャージャーの回転軸とを選択的に連結するクラッチが設けられる。