JP2010144760A - 変速制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】過給遅れを低減することができる変速制御装置を提供すること。
【解決手段】ターボチャージャ15を備えるエンジン10の動力を出力可能に設けられていると共に複数の摩擦係合要素50の開放と係合とを切り替えることによりエンジン10の動力を出力する際における変速段を切り替え、動力を変速して出力可能な変速装置40の変速制御が可能な変速制御装置1に、車両の加速時に変速前の変速段に対応する摩擦係合要素50を開放させ、変速後の変速段に対応する摩擦係合要素50を係合させることにより変速装置40のダウンシフトの制御が可能に設けられた変速制御部83と、ダウンシフトの制御時に開放側の摩擦係合要素50に作用させる油圧をターボチャージャ15での過給時の過給遅れに応じて補正する開放油圧補正部78と、を設ける。これにより、車両の加速時に変速装置40をダウンシフトする際における過給圧を、早期に上昇させることができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、変速制御装置に関するものである。特に、この発明は、過給装置を備える内燃機関の動力を変速して出力する自動変速機の変速制御を行うことのできる変速制御装置に関するものである。
近年の車両では、走行時における操作の容易性の向上を図るため、エンジン等の内燃機関で発生した動力を変速して駆動輪側に出力する変速機として自動変速機が多用されている。この自動変速機は、自動変速機における入力軸と出力軸との間に回転ドラムやギア等の回転要素が設けられており、さらに、回転要素の回転を制御するクラッチやブレーキ等の摩擦係合要素を備えている。このように設けられる自動変速機で変速をする場合には、摩擦係合要素の解放と係合とを制御して回転要素の回転を制御することにより変速する。即ち、自動変速機は回転要素による回転の伝達状態ごとに入力軸と出力軸との回転比が異なるように設けられており、それぞれ回転比が異なる回転要素の複数の伝達状態は、それぞれ変速段として設けられている。
また、自動変速機によって動力が変速されるエンジンの中には、運転時の出力を増加させるため、過給装置が備えられているものがある。しかし、過給装置が備えられている内燃機関の場合、加速時の状態によって過給遅れが発生する場合があるため、車両の加速時に、駆動力を増加させるために自動変速機をダウンシフトする際に、加速時の状態によって過給遅れが発生したり発生しなかったりする。このため、ダウンシフトをする際に、過給の有無によって変速ショックが発生する場合があった。
例えば、特許文献1に記載の車両用自動変速装置の変速制御方法では、過給装置であるターボチャージャを備えたエンジンの動力を変速して出力する自動変速機を、車両の加速時にダウンシフトする場合、ターボラグの発生の有無に応じて、低速段側の摩擦係合要素に供給する作動油圧を補正している。つまり、ダウンシフト時には、変速前の変速段である高速段に対応する摩擦係合要素を解放し、変速後の変速段である低速段に対応する摩擦係合要素を係合することにより高速段から低速段に変速するが、ターボラグが発生した場合には、低速段側の摩擦係合要素に供給する作動油圧を減圧補正する。ターボラグが発生した場合には、エンジンで発生するトルクの立ち上がりが遅れるため、ダウンシフト時にターボラグが発生した際に低速段側の摩擦係合要素に供給する作動油圧を減圧補正することにより、十分にトルクが発生していない状態で低速段に変速し、変速ショックが生じることを抑制できる。
特開平6−2760号公報
しかしながら、ダウンシフト時にターボラグが発生した際に低速段側の摩擦係合要素に供給する作動油圧を減圧補正した場合、変速ショックを抑制することはできるが、ターボラグそのものの抑制にはならない。つまり、変速ショックを抑制した場合には、車両の運転時における不快感は低減することになるが、ターボラグの低減にはつながらないので、ターボラグの時間は変化しない。
ここで、車両の加速時にダウンシフトをする場合は、運転者は早急な加速を要求している運転状態となっているため、ターボラグが発生する場合でも、その時間は短い方が好ましい。しかし、特許文献1に記載の車両用自動変速装置の変速制御方法では、ターボラグの低減は行っておらず、また、ターボラグなどの過給遅れは、過給装置や内燃機関の構造的な部分が要因になっている場合が多いので、自動変速機の変速制御によって過給遅れを低減することは、大変困難なものとなっていた。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、過給遅れを低減することができる変速制御装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明に係る変速制御装置は、過給装置を備える内燃機関の動力を出力可能に設けられていると共に複数の変速段と前記変速段に対応した複数の摩擦係合要素とを有しており、且つ、前記複数の摩擦係合要素の開放と係合とを切り替えることにより前記内燃機関の前記動力を出力する際における前記変速段を切り替え、前記内燃機関のトルクを変速して出力可能な変速装置と、前記摩擦係合要素に作用させる油圧の制御が可能に設けられており、且つ、車両の加速時に変速前の前記変速段に対応する前記摩擦係合要素を開放させ、変速後の前記変速段に対応する前記摩擦係合要素を係合させることによりダウンシフトの制御が可能に設けられた油圧制御手段と、前記ダウンシフトの制御時に開放側の前記摩擦係合要素に作用させる油圧を前記過給装置での過給時の過給遅れに応じて補正する油圧補正手段と、を備えることを特徴とする。
この発明では、車両の加速時に変速装置をダウンシフトする際には、開放側の摩擦係合要素に作用させる油圧を過給装置での過給時の過給遅れに応じて補正するので、ダウンシフト時における変速前の変速段に対応する摩擦係合要素の開放時の状態を、過給遅れに適した状態にすることができる。ここで、内燃機関の動力は、トルクコンバータを介して変速装置に伝達されるが、詳しくは、トルクコンバータが有する作動流体に内燃機関の動力が伝達され、この動力が作動流体からトルクコンバータが有するタービンに伝達された後、タービンから変速装置に伝達される。このため、トルクコンバータが有するタービンの回転数は、変速装置への入力回転数になっているが、変速装置の変速時に、変速前の変速段に対応する摩擦係合要素を開放し、変速後の変速段に対応する摩擦係合要素を係合していない状態の場合には、変速装置に伝達された動力は、駆動輪側に出力されない状態になる。従って、この場合には、変速装置に伝達された内燃機関の動力はあまり消費されず、換言すると、タービンに対する変速装置の負荷は、小さくなった状態になる。これにより、タービンは回転が変化し易くなり、車両の加速時に内燃機関の回転数を上昇させる場合に、作動流体を介して内燃機関の動力が伝達されるタービンは、回転数が上昇し易くなる。このため、動力をタービンに伝達する内燃機関も、回転数が上昇し易くなる。
つまり、作動流体を介して動力をタービンに伝達する内燃機関に対するタービンからの負荷は、タービンの回転数が上昇し易くなることにより小さくなるため、車両の加速時に上昇させる内燃機関の回転数も上昇し易くなる。この場合、過給装置は作動し易くなるため、過給圧は早期に上昇する。従って、車両の加速時に変速装置をダウンシフトする際に、開放側の摩擦係合要素に作用させる油圧を過給遅れに応じて補正し、ダウンシフト時における変速前の変速段に対応する摩擦係合要素の開放時の状態を過給遅れに適した状態にすることにより、内燃機関に対するタービンからの負荷を過給遅れに適した負荷にすることができ、内燃機関の回転数を上昇させ易くすることができる。これにより、車両の加速時に変速装置をダウンシフトする際における過給圧を、早期に上昇させることができる。この結果、過給遅れを低減することができる。
また、この発明に係る変速制御装置は、上記変速制御装置において、前記ダウンシフトをする際における前記補正は、前記過給遅れが大きくなるに従って開放側の前記摩擦係合要素に作用させる油圧を低くすることを特徴とする。
この発明では、車両の加速時にダウンシフトをする場合には、過給遅れが大きくなるに従って開放側の摩擦係合要素に作用させる油圧を低くすることにより、ダウンシフト時の補正を行っている。従って、内燃機関の回転数を、より確実に上昇させ易くすることができ、車両の加速時に変速装置をダウンシフトする際における過給圧を、早期に上昇させることができる。この結果、より確実に過給遅れを低減することができる。
また、この発明に係る変速制御装置は、上記変速制御装置において、前記油圧補正手段は、前記車両の加速時に前記ダウンシフトをする際には、前記内燃機関の前記動力を前記変速装置に伝達可能なトルクコンバータが有するタービンの回転数の上昇量が前記ダウンシフトの開始時の前記トルクコンバータの滑りによる前記内燃機関の回転数の上昇量以上の場合に、開放側の前記摩擦係合要素に作用させる油圧を前記過給遅れに応じて補正することを特徴とする。
この発明では、ダウンシフト時のタービンの回転数の上昇量が、トルクコンバータの滑りによる内燃機関の回転数の上昇量以上の場合に、開放側の摩擦係合要素に作用させる油圧を過給遅れに応じて補正するので、開放側の摩擦係合要素に作用させる油圧を、必要以上に過給遅れに応じて補正することを抑制できる。つまり、トルクコンバータは作動流体を介して内燃機関の動力をタービンに伝達するため、内燃機関の回転数を上昇させた場合には滑りが発生し、内燃機関の回転数の上昇量は、タービンの回転数の上昇量よりも大きくなる。このため、車両を加速させるために内燃機関の回転数を上昇させる場合には、ダウンシフト時における開放側の摩擦係合要素に作用させる油圧の補正の有無に関わらず、内燃機関の回転数はトルクコンバータの滑りによって上昇し、タービンの回転数も遅れて同程度の回転数まで上昇する。即ち、車両を加速させるために内燃機関の回転数を上昇させる場合には、ダウンシフト時における開放側の摩擦係合要素に作用させる油圧の補正の有無に関わらず、タービンの回転数はトルクコンバータの滑りによって上昇する内燃機関の回転数と同程度まで上昇する。
また、変速装置の変速時には、変速前の変速段に対応する摩擦係合要素を開放させ、変速後の変速段に対応する摩擦係合要素を係合させて変速するため、変速前の変速段に対応する摩擦係合要素、つまり、開放側の摩擦係合要素に作用させる油圧が低過ぎる場合には、開放側の摩擦係合要素も、変速後の変速段に対応する摩擦係合要素である係合側の摩擦係合要素も係合しない状態、或いは、係合力が弱い状態になる。この場合、内燃機関の動力が変速装置から駆動輪側へ出力されなくなったり、出力が小さくなったりする。このため、車両の加速時にダウンシフトをする際に、開放側の摩擦係合要素に作用させる油圧を必要以上に過給遅れに応じて補正した場合には、駆動力の落ち込みが発生する場合がある。
従って、車両の加速時にダウンシフトをする際に、タービンの回転数の上昇量がダウンシフトの開始時のトルクコンバータの滑りによる内燃機関の回転数の上昇量以上の場合に、開放側の摩擦係合要素に作用させる油圧を過給遅れに応じて補正することにより、開放側の摩擦係合要素に作用させる油圧を必要以上に補正することを抑制でき、このように必要以上に補正することを抑制することにより、駆動力の落ち込みが発生することを抑制できる。この結果、駆動力の落ち込みを抑制しつつ、過給遅れを低減することができる。
また、この発明に係る変速制御装置は、上記変速制御装置において、前記油圧補正手段は、前記車両の加速時に前記ダウンシフトをする際には変速前の前記内燃機関の回転数が、前記過給装置で過給を行うことができる前記内燃機関の回転数未満で、且つ、変速後の前記内燃機関の回転数が、前記過給装置で過給を行うことができる前記内燃機関の回転数以上の場合に、開放側の前記摩擦係合要素に作用させる油圧を前記過給遅れに応じて補正することを特徴とする。
この発明では、車両の加速時にダウンシフトをする際に、変速前の内燃機関の回転数が、過給装置で過給を行うことができる内燃機関の回転数未満で、且つ、変速後の内燃機関の回転数が、過給装置で過給を行うことができる内燃機関の回転数以上の場合に、開放側の摩擦係合要素に作用させる油圧を過給遅れに応じて補正することにより、より適切な運転領域で油圧を補正することができる。つまり、変速前の内燃機関の回転数が、過給装置で過給を行うことができる内燃機関の回転数以上の場合には、既に過給装置で過給を行っている状態であるため、開放側の摩擦係合要素に作用させる油圧を補正しなくても過給遅れは発生しない。また、変速後の内燃機関の回転数が、過給装置で過給を行うことができる内燃機関の回転数未満の場合には、開放側の摩擦係合要素に作用させる油圧を過給遅れに応じて補正した場合でも、変速後に過給されないため、開放側の摩擦係合要素に作用させる油圧を補正する必要がなくなる。
従って、車両の加速時にダウンシフトをする際に、内燃機関の回転数が、変速前は過給装置で過給を行うことができる回転数未満で、且つ、変速後は過給装置で過給を行うことができる回転数以上の場合に、開放側の摩擦係合要素に作用させる油圧を過給遅れに応じて補正することにより、より適切な運転領域で、摩擦係合要素に作用させる油圧を補正することができる。また、このように適切な運転領域で摩擦係合要素に作用させる油圧を補正することにより、必要以上に油圧の補正を行うことに起因して、駆動力の落ち込みが発生することを抑制することができる。この結果、駆動力の落ち込みを抑制しつつ、過給遅れを低減することができる。
本発明に係る変速制御装置は、過給遅れを低減することができる、という効果を奏する。
以下に、本発明に係る変速制御装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。また、以下の説明において、ダウンシフトとは、変速装置の変速段を、現状よりも変速比の大きい変速段へ変更することをいう。また、アップシフトとは、変速装置の変速段を、現状よりも変速比が小さい変速段へ変更することをいう。また、変速制御は、変速装置の変速段を切り替える際の制御である。
図1は、本発明の実施例1に係る変速制御装置の概略図である。同図に示す変速制御装置1は、車両(図示省略)に搭載される自動変速機30の変速制御が可能に設けられており、この自動変速機30は、動力源であるエンジン10に接続されている。このように、車両の動力源として設けられるエンジン10は、ガソリンを燃料とするレシプロ式の火花点火式内燃機関となっている。なお、エンジン10は、これに限定されるものではない。エンジン10は、例えば、LPG(Liquefied Petroleum Gas:液化石油ガス)やアルコールを燃料とする火花点火式内燃機関であってもよいし、いわゆるロータリー式の火花点火式内燃機関であってもよいし、ディーゼル機関であってもよい。エンジン10は、ECU(Electronic Control Unit)70に接続されており、ECU70によって回転数やトルク(出力)が制御可能に設けられている。
このように設けられるエンジン10は、エンジン10が有する燃焼室(図示省略)に連通すると共に燃焼室に吸入される空気が流れる通路である吸気通路12と、燃焼室で燃料を燃焼させた後、燃焼室から排出される排気ガスが流れる排気通路13とが接続されている。また、エンジン10は、燃焼室で吸入する空気を圧縮する過給装置であるターボチャージャ15を備えており、ターボチャージャ15が有するコンプレッサ16は吸気通路12に配設され、ターボチャージャ15が有するタービン17は排気通路13に配設されている。ターボチャージャ15は、タービン17が配設されている排気通路13を流れる排気ガスによってタービン17が作動し、タービン17の作動時の力がコンプレッサ16に伝達されてコンプレッサ16が作動することにより、吸気通路12を流れる空気をコンプレッサ16で圧縮可能に設けられている。
ターボチャージャ15のコンプレッサ16が配設される吸気通路12は、吸気通路12を流れる空気の流れ方向におけるコンプレッサ16の下流側に、吸気通路12内を開閉可能なスロットルバルブ20が配設されている。このスロットルバルブ20の近傍には、スロットルバルブ20の開度であるスロットル開度を検出可能なスロットル開度検出手段であるスロットル開度センサ21が設けられている。また、吸気通路12には、コンプレッサ16の上流側に、吸気通路12を流れる空気の流量を検出可能な吸入空気量検出手段であるエアフロメータ22が設けられており、スロットルバルブ20の下流側に、吸気通路12を流れる空気の圧力を検出する圧力センサ23が設けられている。
また、自動変速機30は、トルクコンバータ31、変速装置40及び油圧制御装置45を含んで構成されている。エンジン10で発生し、自動変速機30に入力される動力は、トルクコンバータ31を介して変速比可変手段である変速装置40に伝達可能に設けられており、エンジン10の動力が変速装置40に伝達された場合には、変速装置40で車両の走行条件に応じて選択された変速比で回転数が変更され、変速したトルクを車両の駆動輪(図示省略)側に出力可能に設けられている。
このように設けられる自動変速機30のうち、トルクコンバータ31は、回転可能に設けられると共にエンジン10の動力の入力側となるポンプ32と、回転可能に設けられると共に変速装置40への出力側となるタービン33と、ポンプ32とタービン33との間に配設されたステータ35とを備える流体伝動機構により構成されている。このうち、ポンプ32は、エンジン10の出力軸であるエンジン出力軸11に接続され、エンジン出力軸11と一体に回転するカバー36に接続されており、これらのエンジン出力軸11、カバー36及びポンプ32は、一体となって回転可能に設けられている。
また、タービン33は、変速装置40の入力軸である変速装置入力軸41に接続されており、ポンプ32を介して伝達されたエンジン10の動力を変速装置40に伝達可能に設けられている。即ち、タービン33は、変速装置入力軸41から当該タービン33の回転を伝達することにより、エンジン10から伝達された動力を、変速装置40に出力可能に設けられている。また、ステータ35は、回転をしないケース(図示省略)に、ワンウェイクラッチ(図示省略)を介して接続されており、このワンウェイクラッチによって、ステータ35は一方向にのみ回転可能になっている。
また、ポンプ32、タービン33及びステータ35の間には、動力を伝達する作動流体であるオイル(図示省略)が循環可能に封入されており、エンジン10から伝達された動力は、このオイルを介して互いに伝達可能に設けられている。つまり、ポンプ32は、エンジン10からの動力が入力されることにより回転可能に設けられると共に作動流体であるオイルに対して回転時の運動エネルギーを伝達することにより動力を伝達可能に設けられている。また、タービン33は、ポンプ32で運動エネルギーを伝達するオイルを介して動力が伝達されることにより回転可能に設けられており、さらに、変速装置入力軸41に回転を伝達することを介してエンジン10から伝達された動力を変速装置40に出力可能に設けられている。
さらに、トルクコンバータ31は、共に回転可能なポンプ32とタービン33とを断続可能なロックアップ機構37を備えている。このロックアップ機構37は、タービン33と共に回転可能なロックアップクラッチ38と、ポンプ32と一体となって回転可能なカバー36とにより構成される。このうち、ロックアップクラッチ38は、タービン33とカバー36との間に配設されており、トルクコンバータ31内の油圧を制御することにより、カバー36と係合したりカバー36から離間したりする。このため、ロックアップクラッチ38とカバー36とが係合した場合には、ロックアップクラッチ38及びカバー36を介して、ポンプ32とタービン33とが係合した状態になる。この場合、エンジン10から伝達された動力は、このポンプ32とタービン33との係合により、機械的に伝達される。
また、ロックアップクラッチ38とカバー36とを離間させた場合には、エンジン10から伝達された動力は、ポンプ32とタービン33とを循環するオイルを介して伝達される。このように、ロックアップクラッチ38とカバー36とにより構成されるロックアップ機構37は、ロックアップクラッチ38とカバー36とを係合させたり離間させたりすることにより、ポンプ32とタービン33との間の動力の伝達をオイルによる伝達である流体伝達と、ポンプ32とタービン33とを係合させることにより行う伝達である係合伝達とで切り替え可能に設けられている。
また、自動変速機30が有する変速装置40は、複数の変速要素である遊星歯車装置と、複数の摩擦係合要素(クラッチC1、クラッチC2、クラッチC3、クラッチC4、ブレーキB1、B2)50とを組み合わせて構成される多段式の変速装置40となっている。ここで、ブレーキは、変速装置40の筐体に取り付けられる摩擦係合要素50であり、クラッチは、変速装置40の筐体ではなく、回転軸に取り付けられる摩擦係合要素50である。なお、変速装置40が備える変速要素や摩擦係合要素50の数は、自動変速機30の仕様に応じて適宜変更してもよい。
また、油圧制御装置45は、それぞれの摩擦係合要素50へ供給する制御油の油圧を調整する摩擦係合要素用油圧調整手段として、リニアソレノイドバルブ46を備えている。この油圧制御装置45は、各摩擦係合要素50を動作させるための油圧を発生可能に設けられており、発生した油圧を所定の摩擦係合要素50へ配分すると共に、摩擦係合要素50に供給する制御油の油圧を調整する機能も有している。また、自動変速機30には、リニアソレノイドバルブ46に接続され、自動変速機30内に貯留される制御油をリニアソレノイドバルブ46に供給するポンプ(図示省略)が備えられている。
また、変速装置40は、変速要素である遊星歯車装置の回転要素(キャリアやリングギヤ)を、摩擦係合要素50であるブレーキB1、B2等によって停止させ、また、エンジン10の動力を入力する変速装置40の回転要素を摩擦係合要素50であるクラッチC1、C2、C3、C4等によって切り替えることにより、変速比を変更可能に設けられている。そして、停止させる回転要素の組み合わせを変更することにより、変速段を変更可能に設けられている。即ち、回転要素の回転や停止の各組み合わせは、それぞれ自動変速機30の変速段として設けられている。
自動変速機30は、これらのように設けられているため、エンジン10が発生する動力は、トルクコンバータ31を介して自動変速機30の変速装置40へ入力される。また、変速装置40は、当該変速装置40の出力軸である変速装置出力軸42を有しており、変速装置出力軸42は、車両のプロペラシャフト55に接続されている。つまり、変速装置出力軸42は、自動変速機30の出力軸となっている。
また、エンジン10には、エンジン出力軸11の回転数を検出可能な機関回転数検出手段であるエンジン回転数センサ24が設けられている。また、自動変速機30には、変速装置入力軸41の回転数を検出可能な変速装置入力軸回転数検出手段である変速装置入力軸回転数センサ51と、変速装置出力軸42の回転数を検出可能な変速装置出力軸回転数検出手段である変速装置出力軸回転数センサ52とが設けられている。
これらのエンジン回転数センサ24、変速装置入力軸回転数センサ51、変速装置出力軸回転数センサ52、及びスロットルバルブ20、スロットル開度センサ21、エアフロメータ22、圧力センサ23、リニアソレノイドバルブ46は、ECU70に接続されている。さらに、ECU70には、車両の運転席に設けられるアクセルペダル60の近傍に設けられ、アクセルペダル60の開度であるアクセル開度を検出可能なアクセル開度検出手段であるアクセル開度センサ61が接続されている。
図2は、図1に示す変速制御装置の要部構成図である。ECU70には、処理部71、記憶部90及び入出力部91が設けられており、これらは互いに接続され、互いに信号の受け渡しが可能になっている。また、ECU70に接続されているスロットルバルブ20、スロットル開度センサ21、エアフロメータ22、圧力センサ23、エンジン回転数センサ24、リニアソレノイドバルブ46、変速装置入力軸回転数センサ51、変速装置出力軸回転数センサ52、アクセル開度センサ61は、入出力部91に接続されており、入出力部91は、これらのエンジン回転数センサ24等との間で信号の入出力を行う。また、記憶部90には、変速制御装置1を制御するコンピュータプログラムが格納されている。この記憶部90は、ハードディスク装置や光磁気ディスク装置、またはフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ(CD−ROM等のような読み出しのみが可能な記憶媒体)や、RAM(Random Access Memory)のような揮発性のメモリ、或いはこれらの組み合わせにより構成することができる。
また、処理部71は、メモリ及びCPU(Central Processing Unit)により構成されており、少なくとも、アクセル開度センサ61での検出結果よりアクセルペダル60の開度であるアクセル開度を取得可能なアクセル開度取得手段であるアクセル開度取得部72と、エアフロメータ22での検出結果よりエンジン10の吸入空気量を取得可能な吸入空気量取得手段である吸入空気量取得部73と、スロットル開度センサ21での検出結果よりスロットルバルブ20の開度であるスロットル開度を取得可能なスロットル開度取得手段であるスロットル開度取得部74と、エンジン回転数センサ24での検出結果よりエンジン回転数を取得する機関回転数取得手段であるエンジン回転数取得部75と、変速装置出力軸回転数センサ52での検出結果より車速を取得する車速取得手段である車速取得部76と、圧力センサ23での検出結果よりターボチャージャ15による過給圧を取得する過給圧取得手段である過給圧取得部77と、を有している。
また、処理部71は、変速装置40のダウンシフトの制御時に開放側の摩擦係合要素50、即ち、ダウンシフト時の変速前の変速段に対応する摩擦係合要素50に作用させる油圧をターボチャージャ15での過給時の過給遅れに応じて補正する油圧補正手段である開放油圧補正部78と、エンジン10の運転状態がターボチャージャ15による過給が行われる運転領域である過給作動領域であるか否かを判定する過給作動領域判定手段である過給作動領域判定部79と、変速装置40をダウンシフトさせるか否かを判定するダウンシフト判定手段であるダウンシフト判定部80と、車両の加速時に変速装置40をダウンシフトさせる場合において過給圧が所定値に到達する時間が設定時間以上であるか否かを判定する到達時間判定手段である到達時間判定部81と、を有している。
また、処理部71は、エンジン10の運転制御を行う内燃機関制御手段であるエンジン制御部82と、自動変速機30の摩擦係合要素50に作用させる油圧を制御することにより自動変速機30の変速制御が可能に設けられており、且つ、車両の加速時に変速前の変速段に対応する摩擦係合要素50を開放させ、変速後の変速段に対応する摩擦係合要素50を係合させることによりダウンシフトの制御が可能に設けられた油圧制御手段である変速制御部83と、を有している。
ECU70によって制御される変速制御装置1の制御は、例えば、エンジン回転数センサ24等の検出結果に基づいて、処理部71が上記コンピュータプログラムを当該処理部71に組み込まれたメモリに読み込んで演算し、演算の結果に応じてリニアソレノイドバルブ46等を作動させることにより制御する。その際に処理部71は、適宜記憶部90へ演算途中の数値を格納し、また格納した数値を取り出して演算を実行する。なお、このように変速制御装置1を制御する場合には、上記コンピュータプログラムの代わりに、ECU70とは異なる専用のハードウェアによって制御してもよい。
この実施例1に係る変速制御装置1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。車両の走行中は、アクセルペダル60を足で操作することにより、エンジン10の回転数やトルクを調整し、車速を調整する。このように、アクセルペダル60を操作している場合には、アクセルペダル60のストローク量、或いはアクセル開度が、アクセルペダル60の近傍に設けられるアクセル開度センサ61によって検出される。アクセル開度センサ61による検出結果は、ECU70の処理部71が有するアクセル開度取得部72に伝達され、アクセル開度取得部72で取得する。アクセル開度取得部72で取得したアクセル開度は、ECU70の処理部71が有するエンジン制御部82に伝達され、エンジン制御部82は、伝達されたアクセル開度や、その他のセンサによる検出結果に基づいて、スロットルバルブ20等を作動させることにより、エンジン10を制御する。
また、このようにエンジン制御部82でエンジン10の運転制御を行っている場合には、吸気通路12を流れる吸入空気量をエアフロメータ22で検出し、検出結果がECU70の処理部71が有する吸入空気量取得部73に伝達されて、吸入空気量取得部73で取得する。さらに、スロットルバルブ20の近傍に設けられるスロットル開度センサ21でスロットルバルブ20の開度であるスロットル開度を検出し、検出結果がECU70の処理部71が有するスロットル開度取得部74に伝達されて、スロットル開度取得部74で取得する。吸入空気量取得部73やスロットル開度取得部74で取得した吸入空気量やスロットル開度は、エンジン制御部82に伝達され、エンジン制御部82は、これらの吸入空気量やスロットル開度等によりエンジン10の運転状態を検出しつつ、エンジン10の運転制御を行う。
ここで、吸気通路12には、ターボチャージャ15のコンプレッサ16が配設されている。このコンプレッサ16は、エンジン10から排出される排気ガスによってターボチャージャ15のタービン17が作動した際の力により、作動可能に設けられている。このため、エンジン10の運転状態が、排気ガスによりタービン17を作動させることができる運転状態になった場合に、エンジン10から排出される排気ガスによってタービン17が作動し、この作動によりコンプレッサ16は作動する。コンプレッサ16が作動した際には、コンプレッサ16は、吸気通路12を流れる空気の流れ方向におけるコンプレッサ16の上流側の空気を吸引し、圧縮して下流側に流す。これにより、ターボチャージャ15の作動時におけるコンプレッサ16の下流側の吸気通路12には、大気圧よりも圧力が高くなった空気が流れる。このように、圧力が高くなった空気は、コンプレッサ16の下流に配設され、エンジン制御部82で開度が調節されるスロットルバルブ20によって流量が調整され、エンジン10に供給される。即ち、ターボチャージャ15が作動した場合には、エンジン10は、ターボチャージャ15によって過給した状態で吸気する。
また、このようにターボチャージャ15によって過給した空気など吸気通路12を流れる空気の圧力は、吸気通路12に設けられる圧力センサ23で検出する。圧力センサ23で検出した吸気通路12内の空気の圧力は、ECU70の処理部71が有する過給圧取得部77に伝達され、過給圧取得部77で過給圧として取得する。
エンジン10は、このようにエンジン制御部82で制御されることにより運転可能になっているが、エンジン制御部82によって制御されるエンジン10の動力は、エンジン出力軸11が回転することにより外部に出力される。このエンジン出力軸11の回転は、まず、トルクコンバータ31に伝達され、トルクコンバータ31が回転し、トルクコンバータ31を介して変速装置入力軸41に伝達される。
トルクコンバータ31を介して変速装置入力軸41に伝達されたエンジン出力軸11の回転は、変速装置入力軸41によって変速装置40へ伝達される。これにより、エンジン10の動力は変速装置40へ入力される。ここで、トルクコンバータ31は、ロックアップ機構37によってロックアップが可能に設けられているが、エンジン10の動力がトルクコンバータ31を介して変速装置40へ入力される際には、ロックアップ状態であるか否かにより、トルクコンバータ31内における動力の伝達経路が異なっている。
まず、トルクコンバータ31がロックアップ状態ではない場合、つまり、ロックアップ機構37のロックアップクラッチ38がカバー36から離間した流体伝達の場合について説明すると、エンジン10の動力は、エンジン出力軸11からトルクコンバータ31のカバー36に伝達され、動力が伝達されたカバー36は、当該カバー36と一体となって回転可能に設けられたポンプ32と共に回転する。このようにポンプ32が回転した場合、ポンプ32は当該ポンプ32とタービン33との間に封入され、且つ、ポンプ32とタービン33との間を循環可能なオイルに、ポンプ32の回転時の運動エネルギーを伝達する。これによりオイルは流動し、ポンプ32とタービン33との間を循環する際にポンプ32から伝達された運動エネルギーをタービン33に伝達する。
オイルから運動エネルギーが伝達されたタービン33は、伝達された運動エネルギーによって回転する。このように、オイルから伝達された運動エネルギーにより回転するタービン33は、変速装置40の変速装置入力軸41に接続されており、タービン33が回転した場合には、タービン33の回転に伴って変速装置入力軸41も回転する。これにより、エンジン10の動力は、トルクコンバータ31を介して変速装置40へ入力される。
これに対し、トルクコンバータ31がロックアップ状態の場合、つまり、ロックアップ機構37のロックアップクラッチ38がカバー36と係合した係合伝達の場合について説明すると、エンジン出力軸11からトルクコンバータ31のカバー36に伝達されたエンジン10の動力は、カバー36からロックアップクラッチ38に伝達される。ロックアップクラッチ38に伝達された動力は、ロックアップクラッチ38から変速装置入力軸41に伝達される。これにより、トルクコンバータ31がロックアップ状態の場合には、エンジン10からトルクコンバータ31に伝達された動力は、機械的に変速装置入力軸41まで伝達され、トルクコンバータ31を介して変速装置40へ入力される。
このように、トルクコンバータ31を介して変速装置入力軸41から変速装置40へ入力されたエンジン10の動力は、変速装置40の変速要素によって回転数及びトルクの大きさが変更されて、変速装置40が有する変速装置出力軸42から出力される。この変速装置出力軸42は車両のプロペラシャフト55に接続されているため、変速装置40からの出力は、プロペラシャフト55を介して車両の駆動輪へ伝達される。これにより駆動輪は回転し、車両は走行する。
また、車両の走行中には、ECU70の処理部71が有する変速制御部83は自動変速機30を制御し、車両の走行状態に応じて変速制御を行う。詳しくは、車両の走行時には、エンジン回転数センサ24でエンジン出力軸11の回転数を検出し、検出結果がECU70の処理部71が有するエンジン回転数取得部75に伝達されて、エンジン回転数取得部75で取得する。また、車両の走行時には、変速装置出力軸回転数センサ52で変速装置出力軸42の回転数を検出する。この変速装置出力軸42と駆動輪とは、変速比が一定であるため、変速装置出力軸42の回転数を検出することにより、駆動輪の回転数を推定することができ、これにより車速を推定することができる。このため、変速装置出力軸回転数センサ52は、変速装置出力軸42の回転数を検出することを介して車速を検出可能な車速検出手段として設けられている。この変速装置出力軸回転数センサ52で検出した変速装置出力軸42の回転数は、ECU70の処理部71が有する車速取得部76に伝達され、車速取得部76で所定の演算を行うことにより、車速として取得する。
変速制御部83は、エンジン回転数取得部75で取得したエンジン回転数や車速取得部76で取得した車速などに応じてリニアソレノイドバルブ46を作動させることによりクラッチC1などの摩擦係合要素50を作動させ、摩擦係合要素50の係合や解放を切り替えて遊星歯車装置の回転要素の回転及び停止を切り替えることにより、変速比を変更し、変速段を切り替える。詳しくは、変速段を切り替える場合には、リニアソレノイドバルブ46を作動させて、複数の変速段に対応した複数の摩擦係合要素50の開放と係合とを切り替えることにより、エンジン10の動力を出力する際における変速段を切り替える。このように摩擦係合要素50の開放と係合とを切り替えることにより変速段を切り替える場合は、変速前の変速段に対応する摩擦係合要素50は開放し、変速後の変速段に対応する摩擦係合要素50を係合することにより変速段を切り替える。これにより、変速装置40は、変速装置入力軸41に入力されたエンジン10の回転を、変速して変速装置出力軸42から出力することができる。即ち、変速装置40は、摩擦係合要素50の係合及び開放に基づいて変速段を切り替え、変速が可能に設けられている。
車両の走行時には、変速制御部83はこのように車両の走行状態に応じて変速装置40の変速制御を行うが、車両の加速力を大きくするために運転者がアクセルペダル60の開度を急激に大きくした場合、変速制御部83は変速装置40の変速比が現在の変速比よりも大きくなるように変速段を切り替える。つまり、変速制御部83は変速段を、現在の変速段の変速比よりも変速比が大きい変速段に切り替え、変速装置40に対してダウンシフトを行わせる。これにより、エンジン10から駆動輪までの変速比が大きくなる、即ち、減速比が大きくなるので、駆動輪におけるトルクは大きくなり、加速力が増加する。
また、このようにダウンシフトを行った場合には、駆動輪の回転数はダウンシフト前の回転数と同程度の回転数のままエンジン10から駆動輪までの変速比が大きくなるので、エンジン10の回転数は上昇する。ダウンシフトを行った場合には、このようにエンジン10の回転数が上昇するが、エンジン10に備えられるターボチャージャ15は、排気ガスにより作動するため、エンジン10の回転数が排気ガスの量が多くなる所定の回転数以上になった場合に、過給を行う。このため、実施例1に係る変速制御装置1では、車両の加速時においてダウンシフトを行う場合には、変速前の変速段に対応する摩擦係合要素50を開放し易くすることによってエンジン10の回転数が上昇し易くなるようにし、過給が行われ易くなるようにする。
ここで、従来の自動変速機(図示省略)でダウンシフトを行う際における摩擦係合要素の開放油圧と係合油圧との指示値について説明する。図3は、従来の自動変速機でダウンシフトを行う場合における開放油圧と係合油圧との指示値を示す説明図である。自動変速機でダウンシフトを行う際には、変速前の変速段に対応する摩擦係合要素を開放することにより、この変速段での動力の伝達を解除した後、変速後の変速段に対応する摩擦係合要素を係合することにより、この変速段でエンジンの動力を伝達可能な状態にする。このため、従来の自動変速機でダウンシフトをする場合には、図3に示すように、変速前の変速段に対応する摩擦係合要素に作用させる油圧の指示値である従来開放油圧指示値Pehを小さくし、変速後の変速段に対応する摩擦係合要素に作用させる油圧の指示値である従来係合油圧指示値Pchを大きくする。
その際に、摩擦係合要素は、当該摩擦係合要素を作動させる油圧の指示を行った後、すぐには作動しないので、摩擦係合要素を開放させるための油圧の指示値である従来開放油圧指示値Pehは、一旦大幅に低下させた後、ダウンシフトが完了するまでこの摩擦係合要素が所望の半係合の状態を維持し続けることができるように、所定の大きさに維持させ続ける。また、従来係合油圧指示値Pchは、従来開放油圧指示値Pehを一旦大幅に低下させた後、所定の大きさまで低下させて、この従来係合油圧指示値Pchで作動させる摩擦係合要素が係合するまで、所定の大きさに維持させ続ける。
その後、従来係合油圧指示値Pchで作動させる摩擦係合要素がほぼ係合する状態になったら、従来係合油圧指示値Pchを大きくして、この摩擦係合要素、即ち、変速後の変速段に対応する摩擦係合要素を完全に係合させる。また、この状態になった場合には、変速前の変速段に対応する摩擦係合要素を作動させるための従来開放油圧指示値Pehを小さくして、この摩擦係合要素を開放させる。これにより変速段は切り替えられ、ダウンシフトは完了する。
図4は、実施例1に係る変速制御装置でのダウンシフト時における開放油圧と係合油圧との指示値を示す説明図である。上記のように従来の自動変速機でダウンシフトを行う場合に対し、実施例1に係る変速制御装置1で変速装置40をダウンシフトさせる場合には、図4に示すように、変速前の変速段に対応する摩擦係合要素50を作動させるための開放油圧指示値Peiを、大幅に低下させ、低下させた状態を維持する。これにより、この開放油圧指示値Peiで作動する摩擦係合要素50は、ダウンシフトの制御の開始後、早期に開放した状態になるため、変速前の変速段での動力の伝達は、ダウンシフトの制御の開始後、早期に解除される。
図5は、ダウンシフト時のエンジン回転数とタービン回転数との変化を示す説明図である。車両の加速時にダウンシフトする場合、これらのように制御することにより変速装置40をダウンシフトさせると同時に、エンジン10の回転数も上昇させる。このため、従来の自動変速機で動力を伝達するエンジンは、アクセルペダルを踏み込んだ後、即ち、アクセルONの後に、このエンジンの回転数である従来エンジン回転数Nehが上昇する。このように従来エンジン回転数Nehが上昇した場合、エンジンの回転に連動して回転数が変化する自動変速機が有するトルクコンバータのポンプも回転数が上昇する。トルクコンバータは、当該トルクコンバータのポンプとタービンとの間を循環するオイルを介して、エンジンから入力された動力をタービンに伝達するため、従来の自動変速機が有するトルクコンバータのタービンの回転数である従来タービン回転数Nthは、従来エンジン回転数Nehが上昇した後、所定時間が経過してから上昇する。
これに対し、実施例1に係る変速制御装置1で制御するエンジン10及び自動変速機30では、車両の加速時には、従来と同様にアクセルONの後にエンジン回転数Neiが上昇し、このエンジン回転数Neiの上昇に連動して自動変速機30のトルクコンバータ31のポンプ32の回転数が上昇する。トルクコンバータ31のポンプ32の回転数が上昇した場合、当該トルクコンバータ31のポンプ32とタービン33との間を循環するオイルを介して、エンジン10から入力された動力はタービン33に伝達されるが、実施例1に係る変速制御装置1は、車両の加速時におけるダウンシフト時に、自動変速機30の摩擦係合要素50の開放油圧指示値Pei(図4参照)を、従来の自動変速機での従来開放油圧指示値Peh(図3参照)よりも低下させる。このため、変速前の変速段での動力の伝達は、従来の自動変速機でのダウンシフト時よりも早期に遮断されるため、トルクコンバータ31のポンプ32からオイルを介して伝達された動力を変速段に伝達するタービン33は、回転時における負荷が小さくなる。
つまり、変速段での動力の伝達が遮断された場合、動力の伝達方向における下流側、即ち、自動変速機30における出力側に動力が伝達されなくなる、或いは動力の伝達量が少なくなるため、タービン33が回転をする際における負荷は小さくなる。このため、タービン33は回転し易くなり、トルクコンバータ31のポンプ32とオイルとを介してエンジン10の動力が伝達されるタービン33の回転数であるタービン回転数Ntiは、エンジン回転数Neiが上昇した場合には、従来タービン回転数Nthよりも早く上昇する。
さらに、タービン33は、エンジン10から伝達される動力で回転するため、タービン33が回転をする際における負荷が小さくなり、タービン回転数Ntiが上昇し易くなった場合には、エンジン10が回転をする際における負荷も小さくなる。つまり、タービン回転数Ntiが上昇し易くなった場合には、エンジン10の動力は消費され難くなるため、車両の加速時にエンジン回転数Neiを上昇させる際においてタービン回転数Ntiが上昇し易くなった場合には、エンジン回転数Neiも上昇し易くなる。このため、実施例1に係る変速制御装置1で制御される自動変速機30に動力を伝達するエンジン10は、加速時においてダウンシフトをする場合におけるエンジン回転数Neiが、従来エンジン回転数Nehよりも早く上昇する。
また、タービン回転数Ntiが従来タービン回転数Nthよりも早く上昇するため、変速後の変速段における入力側と出力側とで回転数の同調が行い易くなる。つまり、変速段における入力側は、タービン33の回転に連動しており、変速段の出力側は、駆動輪の回転に連動している。また、ダウンシフト時における変速前の変速段の変速比と変速後の変速段の変速比とでは、変速前の変速段の変速比よりも変速後の変速段の変速比の方が大きくなる。
これに対し、ダウンシフト直後の車速は、ダウンシフト前とほぼ同じ車速なので、ダウンシフトを行った場合は、変速段の出力側の回転数は、ダウンシフトの前後でほぼ同じ回転数になる。このため、ダウンシフト時には、変速後の変速段の入力側の回転数を上昇させる必要があるが、タービン回転数Ntiが上昇し易くなることにより、変速後の変速段の入力側の回転数も上昇し易くなる。これにより、変速後の変速段における入力側の回転数は、この変速段における出力側の回転数に対応する回転数になり易くなるため、変速後の変速段における入力側と出力側とで回転数の同調が行い易くなる。
自動変速機30の変速時は、変速時におけるショックを低減するために、変速後の変速段における入力側の回転数と出力側の回転数がとが、ほぼ同調した状態になってから、この変速段に対応する摩擦係合要素50を係合させる。従って、実施例1に係る変速制御装置1で変速装置40のダウンシフトの制御を行った場合には、このように変速後の変速段における入力側と出力側とで回転数の同調が行い易くなるため、この変速段に対応する摩擦係合要素50を係合させ易くなる。
このため、実施例1に係る変速制御装置1で変速装置40のダウンシフトの制御を行った場合における変速後の変速段に対応する摩擦係合要素50の係合油圧指示値Pci(図4参照)を、従来係合油圧指示値Pch(図3参照)よりも、早く上昇させることができる。即ち、ダウンシフト時における変速後の変速段に対応する摩擦係合要素50を早く係合することができ、ダウンシフト時における変速を、早く行うことができる。
図6は、ダウンシフト時の吸気通路内の圧力の変化を示す説明図である。また、エンジン10にはターボチャージャ15が備えられているため、アクセル開度を大きくすることによりエンジン回転数Neiが高くなり、ターボチャージャ15により過給が行われる回転数になった場合、吸気通路12内の圧力は上昇し、過給圧Ptiが上昇する。過給圧Ptiは、このようにエンジン回転数Neiが上昇した場合に上昇するため、実施例1に係る変速制御装置1で変速装置40のダウンシフトを行う場合におけるエンジン10の過給圧Ptiは、従来の自動変速機でダウンシフトを行う場合におけるエンジンの過給圧である従来過給圧Pthよりも、早期に高くなる。つまり、実施例1に係る変速制御装置1で変速装置40のダウンシフトを行う場合におけるエンジン回転数Neiは、従来エンジン回転数Nehよりも早く上昇するため、過給圧Ptiも従来過給圧Pthと比較して早く立ち上がる。このように、実施例1に係る変速制御装置1で変速装置40のダウンシフトを行う場合におけるエンジン10は、過給圧Ptiが早く立ち上がるため、加速時における出力も早く上昇する。
図7は、過給遅れ時間に対する開放油圧の低減量を示す説明図である。ダウンシフトを行う場合には、上述したように変速前の変速段に対応する摩擦係合要素50を作動させるための開放油圧指示値Peiを低下させた状態で維持することにより、過給圧Ptiが早く立ち上がるが、ECU70の処理部71が有する開放油圧補正部78は、ダウンシフト時に過給圧が所定値に到達するまでの期間である過給遅れに応じて、開放油圧指示値Peiを補正する。具体的には、開放油圧補正部78は、図7に示すように、過給遅れ時間が長くなるに従って開放油圧低減量Dpeが多くなるように、開放油圧指示値Peiを補正する。これにより、ダウンシフト時の開放油圧は、過給遅れ時間が長くなるに従って低くなるため、過給遅れ時間が長くなるような状態でもエンジン回転数Neiは高くなり易くなり、過給圧Ptiは早く立ち上がり易くなる。
図8は、ダウンシフト時における駆動トルクの変化を示す説明図である。また、開放油圧補正部78で、過給遅れに応じて開放油圧指示値Peiを補正することにより、開放側の摩擦係合要素50に作用させる油圧を低くし過ぎることに起因する駆動トルクTdの落ち込みを抑制できる。つまり、過給遅れを低減することを目的として開放側の摩擦係合要素50に作用させる油圧を低くした場合には、摩擦係合要素50は早期に開放され易くなるため、変速前の変速段で動力が伝達され難くなり、エンジン10の動力は変速装置40から駆動輪側へ出力されなくなったり、出力が小さくなったりする。この場合、駆動輪に駆動トルクTdが伝達されなくなったり、駆動トルクTdが小さくなったりする状態である駆動トルク落ち込み状態Tddが発生するが、過給遅れに応じて開放油圧指示値Peiを補正することにより、開放側の摩擦係合要素50に作用させる油圧を必要以上に低くし過ぎることを抑制することができるので、この駆動トルク落ち込み状態Tddの時間が長時間継続して発生することを抑制できる。
車両を加速させる場合における変速装置40のダウンシフト時には、変速段が高速側から低速側に切り替えられる際に、駆動トルクTdは一旦駆動トルク落ち込み状態Tddになった後上昇する。つまり、駆動トルクTdは、変速比が大きくなるに従って上昇し易くなるので、現在の変速段の変速比よりも変速比が大きい変速段に切り替えるダウンシフト時は、変速前よりも変速後の方が、駆動トルクTdが大きくなる。これにより、車両は加速度が大きくなり、運転者の要求する加速度で加速することができる。
図9は、実施例1に係る変速制御装置の処理手順を示すフロー図である。次に、実施例1に係る変速制御装置1の制御方法、即ち、当該変速制御装置1の処理手順について説明する。なお、以下の処理は、車両の運転時に各部を制御する際に、所定の期間ごとに呼び出されて実行する。実施例1に係る変速制御装置1の処理手順では、まず、エンジン回転数とスロットル開度とを取得する(ステップST101)。これらのエンジン回転数とスロットル開度とのうち、エンジン回転数は、エンジン出力軸11の回転数をエンジン回転数センサ24で検出し、検出結果をECU70の処理部71が有するエンジン回転数取得部75で取得する。また、スロットル開度は、スロットルバルブ20の開度をスロットル開度センサ21で検出し、検出結果をECU70の処理部71が有するスロットル開度取得部74で取得する。
次に、エンジン10の運転状態は、ターボチャージャ15による過給が行われる領域である過給作動領域であるか否かを判定する(ステップST102)。この判定は、ECU70の処理部71が有する過給作動領域判定部79で行う。過給作動領域判定部79は、エンジン回転数取得部75で取得したエンジン回転数が所定の回転数以上で、且つ、スロットル開度取得部74で取得したスロットル開度が所定の開度以上の場合に、エンジン10の運転状態は過給作動領域であると判定する。なお、この判定に用いられる所定のエンジン回転数と所定のスロットル開度とは、共にエンジン10の運転状態が過給作動領域であるか否かの判定に用いる閾値として予め設定され、ECU70の記憶部90に記憶されている。また、この判定に用いられるスロットル開度の閾値は、一定の開度ではなく、エンジン回転数に応じて設定されていてもよい。過給作動領域判定部79による判定により、エンジン10の運転状態は過給作動領域ではないと判定された場合には、この処理手順から抜け出る。
過給作動領域判定部79での判定(ステップST102)により、エンジン10の運転状態は過給作動領域であると判定された場合には、次に、車速とアクセル開度とを取得する(ステップST103)。これらの車速とアクセル開度とのうち、車速は、変速装置出力軸42の回転数を変速装置出力軸回転数センサ52で検出し、検出結果をECU70の処理部71が有する車速取得部76で取得する。また、アクセル開度は、アクセルペダル60の開度をアクセル開度センサ61で検出し、検出結果をECU70の処理部71が有するアクセル開度取得部72で取得する。
次に、ダウンシフトを行うか否かを判定する(ステップST104)。この判定は、ECU70の処理部71が有するダウンシフト判定部80で行う。ダウンシフト判定部80は、車速取得部76で取得した車速とアクセル開度取得部72で取得したアクセル開度、及びエンジン回転数取得部75で取得したエンジン回転数を比較し、エンジン回転数取得部75で取得したエンジン回転数で、車速取得部76で取得した車速で走行中の場合において、アクセル開度センサ61で検出したアクセル開度が所定の開度以上の場合に、変速装置40のダウンシフトを行うと判定する。なお、ダウンシフト判定部80でダウンシフトを行うか否かの判定をする場合には、変速装置40の変速のタイミングを示すマップとして予め設定され、ECU70の記憶部90に記憶されている変速装置40の変速線に基づいて判定する。即ち、ダウンシフト判定部80は、各取得部で取得した車速とアクセル開度とエンジン回転数とを、記憶部90に記憶された変速線に当てはめることにより、ダウンシフトを行うか否かを判定する。ダウンシフト判定部80による判定により、ダウンシフトは行わないと判定された場合には、この処理手順から抜け出る。
ダウンシフト判定部80での判定(ステップST104)により、ダウンシフトを行うと判定された場合には、次に、設定された開放油圧で変速指示をする(ステップST105)。この変速指示は、ECU70の処理部71が有する変速制御部83で行う。即ち、変速制御部83は、自動変速機30のリニアソレノイドバルブ46に対して、ダウンシフトを行う際における変速前の変速段に対応する摩擦係合要素50に対して、予め設定されECU70の記憶部90に記憶されている開放油圧で開放するように変速指示をする。これにより、開放油圧で変速指示が出された摩擦係合要素50は、当該開放油圧で開放する。また、変速制御部83は、このようにリニアソレノイドバルブ46を制御して変速前の変速段に対応する摩擦係合要素50を開放すると共に、変速後の変速段に対応する摩擦係合要素50を係合するように、リニアソレノイドバルブ46を制御する。これにより、変速段は切り替えられ、ダウンシフトが行われる。
次に、過給圧所定値到達時間が設定時間a以上であるか否かを判定する(ステップST106)。この判定は、圧力センサ23での検出結果より過給圧取得部77で取得する過給圧に基づいて、ECU70の処理部71が有する到達時間判定部81で行う。到達時間判定部81は、アクセル開度取得部72で取得するアクセル開度が急激に大きくなった後、或いは、ダウンシフト判定部80でダウンシフトの判定を行った後、過給圧取得部77で取得する過給圧が、所定値に到達するまでの時間である過給圧所定値到達時間を計測し、取得する。この過給圧所定値到達時間は、ターボチャージャ15で過給を行う際においてエンジン10の出力を効果的に上昇させることのできる過給圧に到達するまでの期間である過給遅れを示す時間となっている。到達時間判定部81は、過給遅れを示す時間であり、このように取得した過給圧所定値到達時間が、設定時間a以上であるか否かを判定する。なお、到達時間判定部81での判定に用いる過給圧の所定値は、吸入空気量を増加させることによりエンジン10の出力を向上させることのできる過給圧の所定値として予め設定されており、また、設定時間aは、過給圧所定値到達時間の長短を判定する閾値として予め設定され、共にECU70の記憶部90に記憶されている。
到達時間判定部81での判定(ステップST106)により、過給圧所定値到達時間は設定時間a以上であると判定された場合には、次回の開放油圧を今回より低減する(ステップST107)。この開放油圧の低減は、ECU70の処理部71が有する開放油圧補正部78で行う。開放油圧補正部78は、変速装置40のダウンシフトの制御時に開放側の摩擦係合要素50に作用させる油圧を、過給圧所定値到達時間が設定時間a以上であると判定された場合に低減することにより、開放側の摩擦係合要素50に作用させる油圧を、ターボチャージャ15での過給時の過給遅れに応じて補正する。即ち、開放油圧補正部78は、ECU70の記憶部90に記憶されている開放油圧を、当該開放油圧補正部78によって補正して現在設定されている開放油圧よりも低減させて、ECU70の記憶部90に記憶する。開放油圧補正部78は、このように、過給遅れが大きくなるに従って開放側の摩擦係合要素50に作用させる油圧を低くすることにより、ダウンシフトをする際における補正を行う。開放油圧補正部78で開放油圧を補正して低減させた後は、この処理手順から抜け出る。
これに対し、到達時間判定部81での判定(ステップST106)により、過給圧所定値到達時間は設定時間a未満であると判定された場合には、次に、過給圧所定値到達時間が設定時間b以下であるか否かを判定する(ステップST108)。この判定は、過給圧所定値到達時間が設定時間a以上であるか否かを判定する場合(ステップST106)と同様に、過給圧取得部77で取得する過給圧に基づいて到達時間判定部81で行う。到達時間判定部81は、アクセル開度取得部72で取得するアクセル開度が急激に大きくなった後、或いは、ダウンシフト判定部80でダウンシフトの判定を行った後の過給遅れを示す時間である過給圧所定値到達時間を計測し、取得する。到達時間判定部81は、このように取得した過給圧所定値到達時間が、設定時間b以下であるか否かを判定する。なお、到達時間判定部81での判定に用いる設定時間bは、過給圧所定値到達時間の長短を判定する閾値として、設定時間aよりも短い時間で予め設定され、ECU70の記憶部90に記憶されている。
到達時間判定部81での判定(ステップST108)により、過給圧所定値到達時間は設定時間b以下であると判定された場合には、次回の開放油圧を今回より増加する(ステップST109)。この開放油圧の増加は、次回の開放油圧を今回より低減する場合(ステップST107)と同様に、開放油圧補正部78で行う。開放油圧補正部78は、変速装置40のダウンシフトの制御時に開放側の摩擦係合要素50に作用させる油圧を、過給圧所定値到達時間が設定時間b以下であると判定された場合に増加することにより、開放側の摩擦係合要素50に作用させる油圧を、ターボチャージャ15での過給時の過給遅れに応じて補正する。即ち、ECU70の記憶部90に記憶されている開放油圧を、開放油圧補正部78によって補正して現在設定されている開放油圧よりも増加させて、ECU70の記憶部90に記憶させる。開放油圧補正部78で開放油圧を補正して増加させた後は、この処理手順から抜け出る。
これに対し、到達時間判定部での判定(ステップST108)により、過給圧所定値到達時間は設定時間bより長いと判定された場合には、開放油圧補正部78で開放油圧を補正することなく、この処理手順から抜け出る。
以上の変速制御装置1は、車両の加速時に自動変速機30をダウンシフトする際、即ち、変速装置40をダウンシフトする際には、開放側の摩擦係合要素50に作用させる油圧をターボチャージャ15での過給時のターボラグである過給遅れに応じて補正するので、ダウンシフト時における変速前の変速段に対応する摩擦係合要素50の開放時の状態を、過給遅れに適した状態にすることができる。ここで、エンジン10の動力は、トルクコンバータ31を介して変速装置40に伝達されるが、詳しくは、トルクコンバータ31が有するオイルにエンジン10の動力が伝達され、この動力がオイルからトルクコンバータ31が有するタービン33に伝達された後、タービン33から変速装置40に伝達される。このため、トルクコンバータ31が有するタービン33の回転数は、変速装置40への入力回転数になっているが、変速装置40の変速時に、変速前の変速段に対応する摩擦係合要素50を開放し、変速後の変速段に対応する摩擦係合要素50を係合していない状態の場合には、変速装置40に伝達された動力は、駆動輪側に出力されない状態になる。従って、この場合には、変速装置40に伝達されたエンジン10の動力はあまり消費されず、換言すると、タービン33に対する変速装置40の負荷は、小さくなった状態になる。これにより、タービン33は回転が変化し易くなり、車両の加速時にエンジン10の回転数を上昇させる場合に、オイルを介してエンジン10の動力が伝達されるタービン33は、回転数が上昇し易くなる。このため、動力をタービン33に伝達するエンジン10も、回転数が上昇し易くなる。
つまり、オイルを介して動力をタービン33に伝達するエンジン10に対するタービン33からの負荷は、タービン33の回転数が上昇し易くなることにより小さくなるため、車両の加速時に上昇させるエンジン10の回転数も上昇し易くなる。この場合、ターボチャージャ15は作動し易くなるため、過給圧は早期に上昇する。従って、車両の加速時に変速装置40をダウンシフトする際に、開放側の摩擦係合要素50に作用させる油圧を過給遅れに応じて補正し、ダウンシフト時における変速前の変速段に対応する摩擦係合要素50の開放時の状態を過給遅れに適した状態にすることにより、エンジン10に対するタービン33からの負荷を過給遅れに適した負荷にすることができ、エンジン10の回転数を上昇させ易くすることができる。これにより、車両の加速時に変速装置40をダウンシフトする際における過給圧を、早期に上昇させることができる。この結果、過給遅れを低減することができる。
また、車両の加速時にダウンシフトをする場合には、過給遅れが大きくなるに従って開放側の摩擦係合要素50に作用させる油圧を低くすることにより、ダウンシフト時の補正を行っている。従って、エンジン10の回転数を、より確実に上昇させ易くすることができ、車両の加速時に変速装置40をダウンシフトする際における過給圧を、早期に上昇させることができる。この結果、より確実に過給遅れを低減することができる。
また、過給圧所定値到達時間が設定時間b以下であると判定された場合には、次回の開放油圧を今回より増加させるので、駆動力の落ち込みを最小限にすることができる。つまり、ダウンシフト時における開放油圧が低い場合には、エンジン10の回転数が上昇し易くなるので、過給圧も上昇し易くなり、過給圧は所定値に到達し易くなる。一方、ダウンシフト時における開放油圧を低くした場合には、変速前の変速段に対応する摩擦係合要素50は、早期に開放され易くなるため、この状態で変速後の変速段に対応する摩擦係合要素50が係合していない場合には、変速装置40による動力の伝達は行われ難くなる。即ち、ダウンシフト時に駆動トルクが落ち込み易くなり、車両走行時における駆動力の落ち込みが長時間発生する場合がある。このため、開放油圧を低くすることにより、過給遅れを抑制する場合には、極力開放油圧は高めにすることが望ましいが、過給圧所定値到達時間が設定時間b以下であると判定された場合には、次回の開放油圧を今回より増加させることにより、開放油圧を低くし過ぎることに起因して、駆動力の落ち込みが長時間発生することを抑制できる。この結果、駆動力の落ち込みを抑制しつつ、過給遅れを低減することができ、過給遅れとドライバビリティとの両立を図ることができる。
実施例2に係る変速制御装置は、実施例1に係る変速制御装置1と略同様の構成であるが、ダウンシフト時には、所定の条件を満たす場合にのみ開放側の摩擦係合要素に作用させる油圧を過給遅れに合わせた開放油圧にしている点に特徴がある。他の構成は実施例1と同様なので、その説明を省略すると共に、同一の符号を付す。図10は、本発明の実施例2に係る変速制御装置の要部構成図である。実施例2に係る変速制御装置100は、実施例1に係る変速制御装置1(図1参照)と同様に、ターボチャージャ15を備えるエンジン10に接続される自動変速機30の変速制御が可能に設けられており、これらを制御するECU110を備えている。実施例2に係る変速制御装置100が有するECU110は、実施例1に係る変速制御装置1が有するECU70と同様に処理部71と記憶部90と入出力部91とを有しており、処理部71は、アクセル開度取得部72と、吸入空気量取得部73と、スロットル開度取得部74と、エンジン回転数取得部75と、車速取得部76と、過給圧取得部77と、開放油圧補正部78と、過給作動領域判定部79と、ダウンシフト判定部80と、到達時間判定部81と、エンジン制御部82と、変速制御部83と、を有している。
さらに、処理部71は、変速装置入力軸回転数センサ51での検出結果よりトルクコンバータ31のタービン33の回転数を取得するタービン回転数取得手段であるタービン回転数取得部111と、現在選択されている変速装置40の変速段を取得する変速段取得手段である変速段取得部112と、変速装置40の変速時における変速後のエンジン10の回転数を算出する変速後機関回転数算出手段である変速後エンジン回転数算出部113と、変速装置40の変速時における変速後のトルクコンバータ31のタービン33の回転数を算出する変速後タービン回転数算出手段である変速後タービン回転数算出部114と、を有している。
またさらに、処理部71は、エンジン10の回転数と所定の回転数とを比較し、相対的な回転数の高さを判定する機関回転数判定手段であるエンジン回転数判定部115と、トルクコンバータ31のタービン33の回転数と所定の回転数とを比較し、相対的な回転数の高さを判定するタービン回転数判定手段であるタービン回転数判定部116と、変速装置40の変速時におけるトルクコンバータ31のタービン33の回転数の上昇量が、トルクコンバータ31の滑りによるエンジン10の回転数の上昇量よりも大きいか否かを判定する回転数上昇量判定手段である回転数上昇量判定部117と、アクセル開度取得部72で取得したアクセル開度が所定の開度よりも大きいか否かを判定するアクセル開度判定手段であるアクセル開度判定部118と、アクセル開度取得部72で取得したアクセル開度の所定時間あたりの変化量が所定の変化量よりも大きいか否かを判定するアクセル開度変化量判定手段であるアクセル開度変化量判定部119と、を有している。
この実施例2に係る変速制御装置100は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。車両の加速時における変速装置40のダウンシフトを実施例2に係る変速制御装置100で制御する場合には、実施例1に係る変速制御装置1でダウンシフト時の制御を行う場合と同様に過給遅れを低減することができる条件と、運転者が素早い加速を要求していると判断できる条件とが成立した場合に、実施例1に係る変速制御装置1と同様に、ダウンシフト時における変速前の変速段に対応する摩擦係合要素50に作用させる油圧をターボチャージャ15での過給時の過給遅れに応じて補正する制御を行う。
具体的には、過給遅れを低減することができる条件として、変速前のエンジン10の回転数が過給作動回転数未満で、変速後のタービン回転数が過給作動回転数以上、またはタービン回転数が過給作動回転数以下の場合には変速後のエンジン回転数が過給作動回転数以上で、さらに、変速時のタービン回転数上昇量が、変速開始時のトルクコンバータ31の滑りによるエンジン回転数の上昇量以上であることが設定されている。また、運転者が素早い加速を要求していると判断できる条件として、アクセル開度がある程度以上で、且つ、アクセル開度変化量がある程度以上であることが設定されている。実施例2に係る変速制御装置100で、車両の加速時における変速装置40のダウンシフトを制御する場合には、これらの条件が成立した場合に、ダウンシフト時における変速前の変速段に対応する摩擦係合要素50、即ち、開放側の摩擦係合要素50に作用させる油圧を、ターボチャージャ15での過給時の過給遅れに応じて補正する制御を行う。
このため、ECU110の処理部71が有する開放油圧補正部78は、車両の加速時にダウンシフトをする際には、トルクコンバータ31のタービン33の回転数の上昇量がダウンシフトの開始時のトルクコンバータ31の滑りによるエンジン10の回転数の上昇量以上の場合に、開放側の摩擦係合要素50に作用させる油圧を過給遅れに応じて補正する。さらに、この開放油圧補正部78は、車両の加速時にダウンシフトをする際には変速前のエンジン10の回転数が、ターボチャージャ15で過給を行うことができるエンジン10の回転数未満で、且つ、変速後のエンジン10の回転数が、ターボチャージャ15で過給を行うことができるエンジン10の回転数以上の場合に、開放側の摩擦係合要素50に作用させる油圧を過給遅れに応じて補正する。またさらに、開放油圧補正部78は、アクセル開度が所定の開度より大きい場合や、アクセル開度の所定時間あたりの変化量が所定の変化量より大きい場合に、開放側の摩擦係合要素50に作用させる油圧を過給遅れに応じて補正する。
実施例2に係る変速制御装置100で、車両の加速時における変速装置40のダウンシフトの制御を行う場合には、これらのように各条件が成立した際に、開放側の摩擦係合要素50に作用させる油圧を過給遅れに応じて補正することにより、開放側の摩擦係合要素50に作用させる油圧を必要以上に補正することを抑制でき、開放側の摩擦係合要素50に作用させる油圧を必要以上に低減させることを抑制できる。
図11は、実施例2に係る変速制御装置の処理手順を示すフロー図である。次に、実施例2に係る変速制御装置100の制御方法、即ち、当該変速制御装置100の処理手順について説明する。なお、以下の処理は、実施例1に係る変速制御装置1の制御と同様に、車両の運転時に各部を制御する際に、所定の期間ごとに呼び出されて実行する。実施例2に係る変速制御装置100の処理手順では、まず、車速とアクセル開度と変速段とエンジン回転数とトルクコンバータ31のタービン回転数とを取得する(ステップST201)。これらのうち、車速はECU110の処理部71が有する車速取得部76で取得し、アクセル開度はECU110の処理部71が有するアクセル開度取得部72で取得し、エンジン回転数はECU110の処理部71が有するエンジン回転数取得部75で取得する。また、トルクコンバータ31のタービン33は、変速装置40の変速装置入力軸41に連結されており、変速装置入力軸41と同じ回転数で回転をするため、タービン回転数は、変速装置入力軸41の回転数を変速装置入力軸回転数センサ51で検出し、検出結果をECU110の処理部71が有するタービン回転数取得部111でタービン回転数として取得する。また、変速段は、ECU110の処理部71が有する変速制御部83で変速装置40の変速制御を行う際に、選択されている変速段をECU110の記憶部90に記憶しながら制御するため、記憶部90に記憶されている変速段を、ECU110の処理部71が有する変速段取得部112で取得する。
次に、ダウンシフトを行うか否かを判定する(ステップST202)。この判定は、ECU110の処理部71が有するダウンシフト判定部80で行う。ダウンシフト判定部80は、車速取得部76で取得した車速とアクセル開度取得部72で取得したアクセル開度とエンジン回転数取得部75で取得したエンジン回転数とに基づいて、変速装置40のダウンシフトを行うか否かを判定する。ダウンシフト判定部80による判定により、ダウンシフトは行わないと判定された場合には、この処理手順から抜け出る。
ダウンシフト判定部80での判定(ステップST202)により、ダウンシフトを行うと判定された場合には、次に、(変速前のエンジン回転数<過給作動回転数A)であるか否かを判定する(ステップST203)。この判定は、ECU110の処理部71が有するエンジン回転数判定部115で行う。このエンジン回転数判定部115は、ダウンシフトを行う前にエンジン回転数取得部75で取得したエンジン回転数と、ターボチャージャ15で過給を行うことができるエンジン回転数である過給作動回転数Aとを比較し、エンジン回転数取得部75で取得したエンジン回転数が過給作動回転数A未満であるか否かを判定する。なお、この判定に用いる過給作動回転数Aは、ターボチャージャ15で過給を行うことができるエンジン回転数の閾値として予め設定され、ECU110の記憶部90に記憶されている。エンジン回転数判定部115による判定により、(変速前のエンジン回転数<過給作動回転数A)ではないと判定された場合、即ち、変速前のエンジン回転数は過給作動回転数A以上であると判定された場合には、この処理手順から抜け出る。
エンジン回転数判定部115での判定(ステップST203)により、(変速前のエンジン回転数<過給作動回転数A)であると判定された場合には、次に、変速後のタービン回転数と、変速後のエンジン回転数とを算出する(ステップST204)。これらの変速後のタービン回転数と変速後のエンジン回転数とのうち、変速後のタービン回転数は、ECU110の処理部71が有する変速後タービン回転数算出部114で算出し、変速後のエンジン回転数は、ECU110の処理部71が有する変速後エンジン回転数算出部113で算出する。このうち、変速後のタービン回転数は、タービン回転数取得部111で取得したタービン回転数と、変速段取得部112で取得したダウンシフト時の変速段の変速前と変速後の変速比の差に基づいて、変速後タービン回転数算出部114で算出する。即ち、タービン回転数は、車速と変速比とに基づいた回転数になっており、また、自動変速機30の変速を行った場合には、変速の前後で車速は大きく変化しないため、変速前のタービン回転数に、変速の前後における変速比の変化の割合を掛け合わせることにより、変速後のタービン回転数を算出することができる。変速後タービン回転数算出部114は、これにより変速後のタービン回転数を算出する。
また、加速をするためにエンジンの回転数を上昇させる場合、エンジン10の動力はトルクコンバータ31を介してエンジン10から変速装置40に伝達されるが、トルクコンバータ31はロックアップの状態により動力の伝達経路が異なっており、ロックアップ状態以外の場合には、ポンプ32とタービン33との間で滑りが生じ、スリップが発生する。このため、変速後のエンジン回転数は、変速後のタービン回転数とトルクコンバータ31のスリップ量に基づいて算出することができ、変速後エンジン回転数算出部113は、(変速後のエンジン回転数=変速後のタービン回転数+スリップ量)を演算することにより、変速後のエンジン回転数を算出する。
ここで、この演算に用いるスリップ量は、トルクコンバータ31のロックアップの状態により異なるが、トルクコンバータ31がロックアップ状態の場合には、エンジン10からトルクコンバータ31に伝達された動力は、機械的に変速装置40に伝達されるため、トルクコンバータ31のポンプ32とタービン33との間でスリップは発生せず、スリップ量は0になる。また、トルクコンバータ31は、ロックアップ機構37を半係合の状態にすることにより、スリップ量を任意の設定値にすることができる。この場合には、変速後エンジン回転数算出部113での演算に用いるスリップ量は、設定されたスリップ量になる。
また、トルクコンバータ31がロックアップ状態ではなく、トルクコンバータ31による動力の伝達状態が流体伝達の状態の場合には、スリップ量を運転状態ごとにECU110の記憶部90に記憶し、記憶部90に記憶されている運転状態と同じ運転状態の場合に、その運転状態におけるスリップ量を、変速後エンジン回転数算出部113での演算に用いるスリップ量とする。詳しくは、トルクコンバータ31がロックアップ状態ではない場合には、スリップ量の初期値を0にし、車両走行時における加速時の各条件でのスリップ量、具体的には、加速時におけるアクセル開度とタービン回転数でのトルクコンバータ31のスリップ量を、条件ごとにECU110の記憶部90に記憶する。このように記憶部90に記憶するスリップ量は、エンジン回転数取得部75で取得したエンジン回転数と、タービン回転数取得部111で取得したタービン回転数との差を算出し、この差をトルクコンバータ31のスリップ量として算出する。また、このようにして算出するスリップ量は、算出したスリップ量と、記憶部90に記憶された同一の条件におけるスリップ量とが異なる場合には、記憶部90に記憶されたスリップ量を更新する。
次に、(変速後のタービン回転数または変速後のエンジン回転数≧過給作動回転数A)であるか否かを判定する(ステップST205)。この判定は、まず、変速後タービン回転数算出部114で算出した変速後のタービン回転数とECU110の記憶部90に記憶されている過給作動回転数AとをECU110の処理部71が有するタービン回転数判定部116で比較し、変速後のタービン回転数が過給作動回転数A以上であるか否かを判定する。この判定により、変速後のタービン回転数は過給作動回転数A未満であると判定された場合には、次に、変速後エンジン回転数算出部113で算出した変速後のエンジン回転数とECU110の記憶部90に記憶されている過給作動回転数AとをECU110の処理部71が有するエンジン回転数判定部115で比較し、変速後のエンジン回転数が過給作動回転数A以上であるか否かを判定する。この判定により、変速後のエンジン回転数は過給作動回転数A未満であると判定された場合には、この処理手順から抜け出る。即ち、タービン回転数判定部116とエンジン回転数判定部115とにより、変速後のタービン回転数と変速後のエンジン回転数とが、共に過給作動回転数A未満であると判定された場合には、この処理手順から抜け出る。
これに対し、タービン回転数判定部116での判定(ステップST205)により、(変速後のタービン回転数≧過給作動回転数A)であると判定された場合、または、エンジン回転数判定部115での判定(ステップST205)により、(変速後のエンジン回転数≧過給作動回転数A)であると判定された場合には、次に、(変速時のタービン回転数上昇量≧変速時トルクコンバータでのエンジン回転数上昇量B)であるか否かを判定する(ステップST206)。この判定は、ECU110の処理部71が有する回転数上昇量判定部117により行う。ここで、車両を加速させる際にエンジン10の回転数を上昇させる場合、エンジン出力軸11と一体となって回転可能に設けられたトルクコンバータ31のポンプ32はエンジン10の回転数の上昇と共に上昇するが、トルクコンバータ31は、ポンプ32とタービン33との間で滑りが発生する。このため、エンジン10の回転数の上昇時は、エンジン出力軸11の回転数やポンプ32の回転数の上昇量とタービン33の回転数の上昇量とで差が生じ、タービン33の回転数は、ポンプ32とタービン33との間の滑りにより、エンジン出力軸11やポンプ32の回転数よりも上昇量が低い状態で上昇する。このように、車両の加速時におけるダウンシフト時は、トルクコンバータ31の滑りによりエンジン10やポンプ32と、タービン33との間で、回転数の上昇量に差が生じる。
回転数上昇量判定部117は、車両の加速時に変速装置40をダウンシフトする際のタービン33の回転数を、変速前にタービン回転数取得部111で取得したタービン33の回転数と、変速後タービン回転数算出部114で算出した変速後のタービン回転数との差より、変速時のタービン回転数上昇量を算出する。さらに回転数上昇量判定部117は、算出した変速時のタービン回転数上昇量と変速時トルクコンバータでのエンジン回転数上昇量Bとを比較し、変速時のタービン回転数上昇量は変速時トルクコンバータでのエンジン回転数上昇量B(図5参照)以上であるか否かを判定する。
なお、この判定に用いる変速時トルクコンバータでのエンジン回転数上昇量Bは、ダウンシフト時におけるタービン33の回転数が、エンジン10の回転数を上昇させた際にトルクコンバータ31の滑りによって上昇するエンジン10の回転数の上昇量以上上昇したか否かを示す閾値として予め設定され、ECU110の記憶部90に記憶されている。回転数上昇量判定部117での判定により、変速時のタービン回転数上昇量は変速時トルクコンバータでのエンジン回転数上昇量B未満であると判定された場合には、この処理手順から抜け出る。
回転数上昇量判定部117での判定(ステップST206)により、(変速時のタービン回転数上昇量≧変速時トルクコンバータでのエンジン回転数上昇量B)であると判定された場合には、次に、(アクセル開度≧加速要求判定開度C)であるか否かを判定する(ステップST207)。この判定は、ECU110の処理部71が有するアクセル開度判定部118で行う。アクセル開度判定部118は、アクセル開度取得部72で取得したアクセル開度が、運転者が素早い加速を要求しているか否かの判断の基準となるアクセル開度である加速要求判定開度Cと比較し、アクセル開度取得部72で取得したアクセル開度が加速要求判定開度C以上であるか否かを判定する。なお、この加速要求判定開度Cは、運転者が素早い加速を要求しているか否かをアクセル開度に基づいて判定をする際におけるアクセル開度の閾値として予め設定され、ECU110の記憶部90に記憶されている。アクセル開度判定部118での判定により、アクセル開度取得部72で取得したアクセル開度は加速要求判定開度C未満であると判定された場合には、この処理手順から抜け出る。
アクセル開度判定部118での判定(ステップST207)により、(アクセル開度≧加速要求判定開度C)であると判定された場合には、次に、(アクセル開度変化量≧加速要求判定開度変化量D)であるか否かを判定する(ステップST208)。この判定は、ECU110の処理部71が有するアクセル開度変化量判定部119で行う。アクセル開度変化量判定部119は、アクセル開度取得部72で取得したアクセル開度の所定時間あたりの変化量を、運転者が素早い加速を要求しているか否かの判断の基準となるアクセル開度の所定時間あたり変化量である加速要求判定開度変化量Dと比較し、アクセル開度取得部72で取得したアクセル開度の変化量が加速要求判定開度変化量D以上であるか否かを判定する。なお、この加速要求判定開度変化量Dは、運転者が素早い加速を要求しているか否かをアクセル開度の変化量に基づいて判定をする際におけるアクセル開度の変化量の閾値として予め設定され、ECU110の記憶部90に記憶されている。アクセル開度変化量判定部119での判定により、アクセル開度取得部72で取得したアクセル開度の変化量は加速要求判定開度変化量D未満であると判定された場合には、この処理手順から抜け出る。
アクセル開度変化量判定部119での判定(ステップST208)により、(アクセル開度変化量≧加速要求判定開度変化量D)であると判定された場合には、次に、過給遅れに合わせた開放油圧を設定する(ステップST209)。この設定は、ECU110の処理部71が有する変速制御部83で行う。具体的には、変速制御部83は、エンジン回転数取得部75で取得した変速前のエンジン回転数と、アクセル開度取得部72で取得したアクセル開度及びアクセル開度取得部72で取得したアクセル開度の変化量に基づいて、エンジン回転数が過給作動回転数に到達するまでの時間を過給遅れとして推定する。その後、変速制御部83は、推定した過給遅れに基づいて、変速前の変速段に対応する摩擦係合要素50に作用させる油圧である開放油圧を設定する。なお、この開放油圧は、ダウンシフト時に、変速前の変速段と変速後の変速段との双方が共に動力を伝達していない状態を極力短くすることができ、且つ、早期に過給を行うことができる油圧が、過給遅れに対するマップとして予め設定され、ECU110の記憶部90に記憶されている。変速制御部83は、この記憶部90に記憶されているマップと、推定した過給遅れとに基づいて、開放油圧を設定する。
次に、タービン回転数上昇早期化に合わせた係合油圧を設定する(ステップST210)。この設定は、開放油圧の設定と同様に変速制御部83で行う。具体的には、変速制御部83は、エンジン回転数取得部75で取得した変速前のエンジン回転数と、アクセル開度取得部72で取得したアクセル開度及びアクセル開度取得部72で取得したアクセル開度の変化量とよりエンジン10の回転数の上昇速度を推定する。さらに、このエンジン10の回転数の上昇速度と、当該変速制御部83で設定した開放油圧とに基づいて、変速後の変速段に対応する摩擦係合要素50に作用させる油圧である係合油圧を設定する。なお、この係合油圧は、ダウンシフト時に、変速制御部83で設定した開放油圧で変速前の変速段に対応する摩擦係合要素50を開放する場合に、変速前の変速段と変速後の変速段との双方が共に動力を伝達していない状態を極力短くすることができる油圧が、タービン回転数上昇早期化に合わせた係合油圧として予め設定され、ECU110の記憶部90に記憶されている。変速制御部83は、この記憶部90に記憶されているマップと、当該変速制御部83で設定した開放油圧等とに基づいて、係合油圧を設定する。
次に、設定された油圧で変速指示をする(ステップST211)。この変速指示は、ECU110の処理部71が有する変速制御部83で行う。即ち、変速制御部83は、自動変速機30のリニアソレノイドバルブ46に対して、ダウンシフトを行う際における変速前の変速段に対応する摩擦係合要素50は変速制御部83で設定した開放油圧で開放し、変速後の変速段に対応する摩擦係合要素50は変速制御部83で設定した係合油圧で係合するように変速指示をする。これにより、変速段は切り替えられ、ダウンシフトが行われる。
次に、開放油圧を補正する(ステップST212)。この補正は、ECU110の処理部71が有する開放油圧補正部78で行う。開放油圧補正部78は、実施例1に係る変速制御装置1での開放油圧の補正(ステップST106〜ステップST109)と同様に、過給遅れに応じて開放油圧を補正する。開放油圧補正部78で開放油圧を補正した後は、この処理手順から抜け出る。
以上の変速制御装置100は、車両の加速時にダウンシフトをする場合における変速時のトルクコンバータ31のタービン回転数上昇量が、変速時トルクコンバータでのエンジン回転数上昇量B以上の場合に、開放側の摩擦係合要素50に作用させる油圧を過給遅れに応じて補正するので、開放側の摩擦係合要素50に作用させる油圧を、必要以上に過給遅れに応じて補正することを抑制できる。つまり、トルクコンバータ31はオイルを介してエンジン10の動力をタービン33に伝達するため、エンジン10の回転数を上昇させた場合には滑りが発生し、エンジン10の回転数の上昇量は、タービン33の回転数の上昇量よりも大きくなる。このため、車両を加速させるためにエンジン10の回転数を上昇させる場合には、ダウンシフト時における開放側の摩擦係合要素50に作用させる油圧の補正の有無に関わらず、エンジン10の回転数はトルクコンバータ31の滑りによって上昇し、タービン33の回転数も遅れて同程度の回転数まで上昇する。即ち、車両を加速させるためにエンジン10の回転数を上昇させる場合には、ダウンシフト時における開放側の摩擦係合要素50に作用させる油圧の補正の有無に関わらず、タービン33の回転数はトルクコンバータ31の滑りによって上昇するエンジン10の回転数と同程度まで上昇する。
また、変速装置40の変速時には、変速前の変速段に対応する摩擦係合要素50を開放させ、変速後の変速段に対応する摩擦係合要素50を係合させて変速するため、変速前の変速段に対応する摩擦係合要素50、つまり、開放側の摩擦係合要素50に作用させる油圧が低過ぎる場合には、開放側の摩擦係合要素50も、変速後の変速段に対応する摩擦係合要素50である係合側の摩擦係合要素50も係合しない状態、或いは、係合力が弱い状態になる。この場合、エンジン10の動力が変速装置40から駆動輪側へ出力されなくなったり、出力が小さくなったりする。このため、車両の加速時にダウンシフトをする際に、開放側の摩擦係合要素50に作用させる油圧を必要以上に過給遅れに応じて補正した場合には、駆動力の落ち込みが発生する場合がある。
従って、車両の加速時にダウンシフトをする際に、変速時のタービン回転数上昇量が、ダウンシフトの開始時のトルクコンバータ31の滑りによるエンジン10の回転数の上昇量以上の場合、即ち変速時トルクコンバータでのエンジン回転数上昇量以上の場合に、開放側の摩擦係合要素50に作用させる油圧を過給遅れに応じて補正することにより、開放側の摩擦係合要素50に作用させる油圧を必要以上に補正することを抑制でき、このように必要以上に補正することを抑制することにより、駆動力の落ち込みが発生することを抑制できる。この結果、駆動力の落ち込みを抑制しつつ、過給遅れを低減することができる。
また、車両の加速時にダウンシフトをする際に、変速前のエンジン10の回転数が、ターボチャージャ15で過給を行うことができるエンジン10の回転数である過給作動回転数未満で、且つ、変速後のエンジン10の回転数が、過給作動回転数以上の場合に、開放側の摩擦係合要素50に作用させる油圧を過給遅れに応じて補正することにより、より適切な運転領域で油圧を補正することができる。つまり、変速前のエンジン10の回転数が、過給作動回転数以上の場合には、既にターボチャージャ15で過給を行っている状態であるため、開放側の摩擦係合要素50に作用させる油圧を補正しなくても過給遅れは発生しない。また、変速後のエンジン10の回転数が、過給作動回転数未満の場合には、開放側の摩擦係合要素50に作用させる油圧を過給遅れに応じて補正した場合でも、変速後に過給されないため、開放側の摩擦係合要素50に作用させる油圧を補正する必要がなくなる。
従って、車両の加速時にダウンシフトをする際に、エンジン10の回転数が、変速前は過給作動回転数未満で、且つ、変速後は過給作動回転数以上の場合に、開放側の摩擦係合要素50に作用させる油圧を過給遅れに応じて補正することにより、より適切な運転領域で、摩擦係合要素50に作用させる油圧を補正することができる。また、このように適切な運転領域で摩擦係合要素50に作用させる油圧を補正することにより、必要以上に油圧の補正を行うことに起因して、駆動力の落ち込みが発生することを抑制することができる。この結果、駆動力の落ち込みを抑制しつつ、過給遅れを低減することができる。
図12は、高度に応じた過給作動回転数Aの変化を示す説明図である。図13は、高度に応じた変速時トルクコンバータでのエンジン回転数上昇量Bの補正値の変化を示す説明図である。図14は、高度に応じた加速要求判定開度Cの変化を示す説明図である。なお、実施例2に係る変速制御装置100では、エンジン回転数の判定値である過給作動回転数A、変速時トルクコンバータでのエンジン回転数上昇量B、アクセル開度の判定値である加速要求判定開度Cは、ECU110の記憶部90に記憶された所定値となっているが、これらの値は、車両の運転時の状況に応じて変化させてもよく、例えば、走行中の車両の高度に応じてこれらの値を変化させてもよい。このように、高度に応じてこれらの値を変化させる場合には、過給作動回転数Aは、図12に示すように、高度が高くなるに従って高くする。つまり、高度が高い場合には空気密度が小さくなるため、同じエンジン回転数でも排気ガスの量が少なくなる。このため、ターボチャージャ15で過給を行い難くなるので、高度が高くなるに従って過給作動回転数Aを上げることにより、エンジン回転数が、ターボチャージャ15で過給を行うことができる回転数であるか否かを判定する際における精度を高くすることができる。
また、高度に応じて判定値を変化させる場合には、変速時トルクコンバータでのエンジン回転数上昇量Bは高度に応じて補正し、その補正値であるB値補正値は、図13に示すように、高度が高くなるに従って低くする。つまり、高度が高い場合には空気密度が小さくなるため、エンジントルクは高度が高くなるに従って小さくなり、これに伴いトルクコンバータ31がロックアップ状態ではない場合におけるトルクコンバータ31の滑りも小さくなる。このように、トルクコンバータ31の滑りは高度が高くなるに従って小さくなるため、高度が高くなるに従ってB値補正値を小さくすることにより、B値補正値により補正されるエンジン回転数上昇量Bを、高度が高くなるに従って小さくすることができ、高度に応じた適切な値にすることができる。これにより、車両の加速時におけるタービン回転数の上昇量が、トルクコンバータ31の滑りによるエンジン回転数の上昇量より大きいか否かを判定する際における精度を高くすることができる。
また、高度に応じて判定値を変化させる場合には、加速要求判定開度Cは、図14に示すように、高度が高くなるに従って大きくする。つまり、高度が高い場合には空気密度が小さくなるため、同じアクセル開度でも吸入する空気量が少なくなり、これに伴い排気ガスの量が少なくなる。このため、高度が高い場合にはターボチャージャ15で過給を行い難くなるので、高度が高くなるに従って加速要求判定開度Cを大きくすることにより、過給遅れを低減する制御を行うか否かの判定をアクセル開度に基づいて行う際における精度を高くすることができる。
これらのように、各判定値を車両の運転時の状況に応じて変化させることにより、各判定を精度よく行うことができる。このため、開放側の摩擦係合要素50に作用させる油圧を、より適切に補正することができるので、必要以上に油圧の補正を行うことに起因して、駆動力の落ち込みが発生することを抑制することができる。この結果、より確実に駆動力の落ち込みを抑制しつつ、過給遅れを低減することができる。
また、実施例2に係る変速制御装置100では、ダウンシフト時における開放側の摩擦係合要素50に作用させる油圧を過給遅れに応じて補正する制御を行うか否かの判定として、アクセル開度とアクセル開度変化量とも含めて判定をしているが(ステップST207、ST208)、車両の加速時にダウンシフトを行う判定がされた場合には、運転者が素早い加速を要求していると判断することができる。このため、加速時にダウンシフトを行うか否かの判定を用いて、運転者が素早い加速を要求しているか否かを判定することによって、アクセル開度とアクセル開度変化量との判定を省略してもよい。これにより、制御の簡略化を図ることができる。
以上のように、本発明に係る変速制御装置は、摩擦係合要素の係合と開放とを切り替えることにより変速を行う変速装置を制御する変速制御装置に有用であり、特に、過給装置を備える内燃機関で発生する動力を伝達する変速装置を制御する場合に適している。
本発明の実施例1に係る変速制御装置の概略図である。 図1に示す変速制御装置の要部構成図である。 従来の自動変速機でダウンシフトを行う場合における開放油圧と係合油圧との指示値を示す説明図である。 実施例1に係る変速制御装置でのダウンシフト時における開放油圧と係合油圧との指示値を示す説明図である。 ダウンシフト時のエンジン回転数とタービン回転数との変化を示す説明図である。 ダウンシフト時の吸気通路内の圧力の変化を示す説明図である。 過給遅れ時間に対する開放油圧の低減量を示す説明図である。 ダウンシフト時における駆動トルクの変化を示す説明図である。 実施例1に係る変速制御装置の処理手順を示すフロー図である。 本発明の実施例2に係る変速制御装置の要部構成図である。 実施例2に係る変速制御装置の処理手順を示すフロー図である。 高度に応じた過給作動回転数Aの変化を示す説明図である。 高度に応じた変速時トルクコンバータでのエンジン回転数上昇量Bの補正値の変化を示す説明図である。 高度に応じた加速要求判定開度Cの変化を示す説明図である。
符号の説明
1、100 変速制御装置
10 エンジン
12 吸気通路
13 排気通路
15 ターボチャージャ
20 スロットルバルブ
30 自動変速機
31 トルクコンバータ
32 ポンプ
33 タービン
40 変速装置
50 摩擦係合要素
60 アクセルペダル
70、110 ECU
71 処理部
72 アクセル開度取得部
73 吸入空気量取得部
74 スロットル開度取得部
75 エンジン回転数取得部
76 車速取得部
77 過給圧取得部
78 開放油圧補正部
79 過給作動領域判定部
80 ダウンシフト判定部
81 到達時間判定部
82 エンジン制御部
83 変速制御部
90 記憶部
91 入出力部
111 タービン回転数取得部
112 変速段取得部
113 変速後エンジン回転数算出部
114 変速後タービン回転数算出部
115 エンジン回転数判定部
116 タービン回転数判定部
117 回転数上昇量判定部
118 アクセル開度判定部
119 アクセル開度変化量判定部

Claims (4)

  1. 過給装置を備える内燃機関の動力を出力可能に設けられていると共に複数の変速段と前記変速段に対応した複数の摩擦係合要素とを有しており、且つ、前記複数の摩擦係合要素の開放と係合とを切り替えることにより前記内燃機関の前記動力を出力する際における前記変速段を切り替え、前記内燃機関のトルクを変速して出力可能な変速装置と、
    前記摩擦係合要素に作用させる油圧の制御が可能に設けられており、且つ、車両の加速時に変速前の前記変速段に対応する前記摩擦係合要素を開放させ、変速後の前記変速段に対応する前記摩擦係合要素を係合させることによりダウンシフトの制御が可能に設けられた油圧制御手段と、
    前記ダウンシフトの制御時に開放側の前記摩擦係合要素に作用させる油圧を前記過給装置での過給時の過給遅れに応じて補正する油圧補正手段と、
    を備えることを特徴とする変速制御装置。
  2. 前記ダウンシフトをする際における前記補正は、前記過給遅れが大きくなるに従って開放側の前記摩擦係合要素に作用させる油圧を低くすることを特徴とする請求項1に記載の変速制御装置。
  3. 前記油圧補正手段は、前記車両の加速時に前記ダウンシフトをする際には、前記内燃機関の前記動力を前記変速装置に伝達可能なトルクコンバータが有するタービンの回転数の上昇量が前記ダウンシフトの開始時の前記トルクコンバータの滑りによる前記内燃機関の回転数の上昇量以上の場合に、開放側の前記摩擦係合要素に作用させる油圧を前記過給遅れに応じて補正することを特徴とする請求項1または2に記載の変速制御装置。
  4. 前記油圧補正手段は、前記車両の加速時に前記ダウンシフトをする際には変速前の前記内燃機関の回転数が、前記過給装置で過給を行うことができる前記内燃機関の回転数未満で、且つ、変速後の前記内燃機関の回転数が、前記過給装置で過給を行うことができる前記内燃機関の回転数以上の場合に、開放側の前記摩擦係合要素に作用させる油圧を前記過給遅れに応じて補正することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の変速制御装置。
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