JP2011026224A - p−フェニレンジアミンの精製方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】有色の粗p−フェニレンジアミンを、蒸留することで、変色を抑制し、保存安定性が向上した白色のp−フェニレンジアミンに精製することができるp−フェニレンジアミンの精製方法を提供すること。
【解決手段】還元性無機化合物の存在下、粗p−フェニレンジアミンを蒸留してp−フェニレンジアミンを得る工程を有するp−フェニレンジアミンの精製方法である。
【選択図】なし
【解決手段】還元性無機化合物の存在下、粗p−フェニレンジアミンを蒸留してp−フェニレンジアミンを得る工程を有するp−フェニレンジアミンの精製方法である。
【選択図】なし
Description
本発明は有色の粗p−フェニレンジアミンを脱色するp−フェニレンジアミンの精製方法に関し、更に詳しくは、有色の粗p−フェニレンジアミンを蒸留することで、着色を防止し、保存安定性が向上した白色のp−フェニレンジアミンに精製することができるp−フェニレンジアミンの精製方法に関する。
p−フェニレンジアミンは、ポリイミド原料、ケラチン繊維(主に人毛)用染料、アクリル樹脂製造における重合禁止剤(抑制剤)、ゴム・ガソリンへ添加する酸化防止剤(安定剤)、エポキシ樹脂硬化剤、ポリウレタン伸長剤等広く利用されている。
p−フェニレンジアミンの精製方法として、p−フェニレンジアミンを製造後、蒸留及び再結晶精製を施すことからなるp−フェニレンジアミンの精製方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、ポリイミドに使用される他の原料の蒸留方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
特許文献1に開示された方法によれば、高純度のp−フェニレンジアミンを精製することができるが、蒸留及び再結晶の2段階工程で精製を行うことを必要としており、工程数が多く、収量が低下する等の問題がある。
また、特許文献2に開示された方法を使用してp−フェニレンジアミンを蒸留すると、蒸留で発生する熱変性物等に由来して着色が生じる場合がある。これは、p−フェニレンジアミンが267℃という高い沸点を有するため、常圧・減圧条件に因らず、高温に由来する熱変性物の生成を抑制することが困難であることに起因する。また、特許文献1に開示されているように、蒸留後、得られた留出物に再結晶を施すことにより、高純度で白色のp−フェニレンジアミンを精製することができるが、これは操作が煩雑である上に、p−フェニレンジアミンのロスが非常に大きくなり、経済的ではない。なお、再結晶操作だけでは除去できない製造工程に由来する不純物(金属触媒由来の不純物等)等が存在し、純度という観点から蒸留操作は精製を行うには不可欠であった。
従来のp−フェニレンジアミンの精製方法においては、蒸留操作だけで高純度化と白色化を達成することは難しく、蒸留操作後に再結晶操作を行って精製する必要があった。そのため、経済性や有機溶媒の使用量の増加等の種々の問題点を有していた。
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、有色の粗p−フェニレンジアミンを蒸留することで、変色を抑制し、保存安定性が向上した白色のp−フェニレンジアミンに精製することができるp−フェニレンジアミンの精製方法を提供することにある。
本発明者らは上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、還元性無機化合物の存在下で粗p−フェニレンジアミンを蒸留することによって、上記課題を達成することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明によれば、以下に示すp−フェニレンジアミンの精製方法が提供される。
[1]還元性無機化合物の存在下、粗p−フェニレンジアミンを蒸留してp−フェニレンジアミンを得る工程を有するp−フェニレンジアミンの精製方法。
[2]前記還元性無機化合物が、硫化カリウム、硫化ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、次亜リン酸ナトリウム、二亜硫酸ナトリウム、及び水素化ホウ素ナトリウムからなる群より選択される少なくとも一種の化合物である前記[1]に記載のp−フェニレンジアミンの精製方法。
[3]前記粗p−フェニレンジアミンに対して5〜30質量%の前記還元性無機化合物を使用する前記[1]又は[2]に記載のp−フェニレンジアミンの精製方法。
[4]窒素雰囲気下又は減圧下、300℃以下の条件で前記粗p−フェニレンジアミンを蒸留する前記[1]〜[3]のいずれかに記載のp−フェニレンジアミンの精製方法。
[5]前記p−フェニレンジアミンを、保温調整された受器で回収する前記[1]〜[4]のいずれかに記載のp−フェニレンジアミンの精製方法。
[6]前記受器が100〜200℃に保温調整されている前記[5]に記載のp−フェニレンジアミンの精製方法。
[7]局部的な温度変化による前記p−フェニレンジアミンの着色及び保存安定性の低下を抑制するように、前記p−フェニレンジアミンを回収した前記受器を、前記p−フェニレンジアミンの固化速度を制御しつつ徐々に冷却する前記[5]又は[6]に記載のp−フェニレンジアミンの精製方法。
本発明のp−フェニレンジアミンの精製方法によれば、変色を抑制し、保存安定性が向上した白色のp−フェニレンジアミンに精製することができるという効果を奏する。
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
本発明のp−フェニレンジアミンの精製方法は、還元性無機化合物の存在下、粗p−フェニレンジアミンを蒸留してp−フェニレンジアミンを得る工程を有する方法であり、蒸留操作だけで、変色を抑制し、保存安定性が向上した白色のp−フェニレンジアミンに精製することができる方法である。p−フェニレンジアミンを精製するために、蒸留操作後に再結晶操作を行う必要が無いため、工程数の削減による経済性の向上や、再結晶溶媒を使用しないことによる環境負荷の低減等の利点がある。
(粗p−フェニレンジアミン)
本発明において粗p−フェニレンジアミンは、特に限定されるものではなく、市販品を用いてもよく、合成したp−フェニレンジアミンを用いてもよい。このような粗p−フェニレンジアミンは、通常、赤色〜紫色、灰色〜黒色、褐色等の白色を除いた有色を呈するものである。
本発明において粗p−フェニレンジアミンは、特に限定されるものではなく、市販品を用いてもよく、合成したp−フェニレンジアミンを用いてもよい。このような粗p−フェニレンジアミンは、通常、赤色〜紫色、灰色〜黒色、褐色等の白色を除いた有色を呈するものである。
市販のp−フェニレンジアミンは、保存中に酸化されて生じる酸化物等の不純物を含有する場合がある。また、合成したp−フェニレンジアミンは、合成に際して使用する微少量の金属を不純物として含有する場合がある。そのため、市販品や合成したp−フェニレンジアミンは、通常、精製を行ってから使用する必要がある。
(還元性無機化合物)
還元性無機化合物は、粗p−フェニレンジアミンに対して還元性を有する無機化合物であれば特に限定されるものではなく、従来公知のものを使用することができる。また、還元性無機化合物は無水物に限定される必要はなく、水和物であってもよい。還元性無機化合物の存在下で粗p−フェニレンジアミンの蒸留を行うことにより、蒸留の際の高温に由来する熱変性物や酸化されて生じる酸化物の生成を抑制することができる。そのため、変色を抑制し、保存安定性が向上した白色のp−フェニレンジアミンに精製することができる。
還元性無機化合物は、粗p−フェニレンジアミンに対して還元性を有する無機化合物であれば特に限定されるものではなく、従来公知のものを使用することができる。また、還元性無機化合物は無水物に限定される必要はなく、水和物であってもよい。還元性無機化合物の存在下で粗p−フェニレンジアミンの蒸留を行うことにより、蒸留の際の高温に由来する熱変性物や酸化されて生じる酸化物の生成を抑制することができる。そのため、変色を抑制し、保存安定性が向上した白色のp−フェニレンジアミンに精製することができる。
還元性無機化合物の中でも、硫化カリウム、硫化ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、次亜リン酸ナトリウム、二亜硫酸ナトリウム、及び水素化ホウ素ナトリウムからなる群より選択される少なくとも一種の化合物であることが好ましい。これらの中でも、p−フェニレンジアミンの白色化能力、或いは脱色能力が高いという観点から、硫化カリウムが更に好ましい。
還元性無機化合物の使用割合は、粗p−フェニレンジアミンに対して5〜30質量%であることが好ましく、10〜20質量%であることが更に好ましい。還元性無機化合物の使用割合が5質量%未満であると、蒸留中に粗p−フェニレンジアミンが酸化して酸化物を生成する場合や、蒸留後のp−フェニレンジアミンが黄色を帯びる場合がある。一方、30質量%超であると、還元性無機化合物が過飽和の状態となり、経済上好ましくない。
(蒸留)
蒸留は特に限定されるものではなく、従来公知の蒸留操作によって行うことができる。また、蒸留に際しての圧力条件としては、常圧下であってもよく、減圧下であってもよい。なお、常圧下で蒸留を行う場合には、不活性気体雰囲気下で蒸留を行うことが好ましい。不活性気体としては、例えば、窒素、アルゴン等があるが、経済的に窒素が特に好ましい。
蒸留は特に限定されるものではなく、従来公知の蒸留操作によって行うことができる。また、蒸留に際しての圧力条件としては、常圧下であってもよく、減圧下であってもよい。なお、常圧下で蒸留を行う場合には、不活性気体雰囲気下で蒸留を行うことが好ましい。不活性気体としては、例えば、窒素、アルゴン等があるが、経済的に窒素が特に好ましい。
常圧下で蒸留を行う場合、蒸留温度は300℃以下であることが好ましく、248〜280℃であることが更に好ましい。蒸留温度が300℃超であると、p−フェニレンジアミンが熱変性を起こし、精製したp−フェニレンジアミンの収量が低下する場合がある。
減圧下で蒸留を行う場合、蒸留系内の圧力を1〜90kPaまで減圧することが好ましい。このように、減圧下で蒸留を行うことにより、p−フェニレンジアミンの沸点が低下するため、より低温で蒸留を行うことができる。そのため、p−フェニレンジアミンの熱変性を抑制することができる。
蒸留により得られるp−フェニレンジアミンは、保温調整された受器で回収することが好ましい。このように保温調整された受器で回収することにより、回収直後にp−フェニレンジアミンが急激に冷却されることがなく、p−フェニレンジアミンの局部的な着色や保存安定性の低下を抑制することができる。なお、受器の温度は100〜200℃であることが好ましく、140〜170℃であることが更に好ましい。
また、局部的な温度変化によるp−フェニレンジアミンの着色及び保存安定性の低下を更に抑制するように、p−フェニレンジアミンを回収した受器を、p−フェニレンジアミンの固化速度を制御しつつ徐々に冷却することが好ましい。
なお、本明細書中、「固化速度を制御しつつ徐々に冷却する」とは、回収した液体のp−フェニレンジアミンが急激に冷却されて固化することを抑制しつつ冷却することをいう。より具体的には、冷却速度が0.5〜5℃/分であることをいい、好ましくは0.7〜1.5℃/分であることをいう。冷却速度が0.5℃/分未満であると、回収に時間がかかりすぎる。一方、5℃/分超であると、p−フェニレンジアミンの固化速度の制御が十分ではなく、回収したp−フェニレンジアミンが着色したり、保存安定性が低下したりする場合がある。なお、冷却速度は、蒸留終了直後の受器の温度から40℃までの温度差を、蒸留終了直後の温度から40℃に至るまでの時間で割ることにより算出することができる。
(p−フェニレンジアミン)
本発明のp−フェニレンジアミンの精製方法により得られるp−フェニレンジアミンは、白色である。そのため、透明度が要求されるポリイミドフィルムを製造するための原料等として特に好適に利用することができる。
本発明のp−フェニレンジアミンの精製方法により得られるp−フェニレンジアミンは、白色である。そのため、透明度が要求されるポリイミドフィルムを製造するための原料等として特に好適に利用することができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「%」は、特に断らない限り質量基準である。また、各種物性値の測定方法を以下に示す。なお、実施例1及び比較例1で用いた粗p−フェニレンジアミンは、市販品である。
[HPLC分析]:以下の分析条件にて測定した。
カラム:Inertsil ODS−2(250×1.5mmIAM−312(6.0mm×150mm))
カラム温度:40℃
展開溶媒:H2O:CH3CN(75:25(vol:vol))
流量:1.0mL/min
カラム:Inertsil ODS−2(250×1.5mmIAM−312(6.0mm×150mm))
カラム温度:40℃
展開溶媒:H2O:CH3CN(75:25(vol:vol))
流量:1.0mL/min
(実施例1)
温度計を備えた50mlの三つ口ナシ型フラスコに、粗p−フェニレンジアミン30.0g(0.28mol)及び硫化カリウム4.5gを仕込み窒素置換を行った。窒素雰囲気下、マントルヒーターを用いて徐々に昇温して蒸留を行い、留出したp−フェニレンジアミンを予め150±10℃に保温調整された温度計を備えた受器で回収した。蒸留後、保温調整された受器を1℃/分の冷却速度で徐々に冷却し、p−フェニレンジアミンを27.8g(収率:92.7%)得た。得られたp−フェニレンジアミンは白色であった。なお、得られたp−フェニレンジアミンを空気中で保存しても少なくとも約3ヶ月間は白色であった。
温度計を備えた50mlの三つ口ナシ型フラスコに、粗p−フェニレンジアミン30.0g(0.28mol)及び硫化カリウム4.5gを仕込み窒素置換を行った。窒素雰囲気下、マントルヒーターを用いて徐々に昇温して蒸留を行い、留出したp−フェニレンジアミンを予め150±10℃に保温調整された温度計を備えた受器で回収した。蒸留後、保温調整された受器を1℃/分の冷却速度で徐々に冷却し、p−フェニレンジアミンを27.8g(収率:92.7%)得た。得られたp−フェニレンジアミンは白色であった。なお、得られたp−フェニレンジアミンを空気中で保存しても少なくとも約3ヶ月間は白色であった。
粗p−フェニレンジアミンと、実施例1で得られたp−フェニレンジアミンを3ヶ月間空気中で保存した後の色相変化が生じていないp−フェニレンジアミンと、をそれぞれHPLCにて分析した。分析結果を図1及び図2に示す。図1からわかるように、有色の粗p−フェニレンジアミンでは色相に影響を与えるブロードのピーク1が観測される。一方、図2からわかるように、本発明のp−フェニレンジアミンの精製方法により得られる白色のp−フェニレンジアミンは、3か月間保存しても色相に影響を与えるブロードのピークが観測されなかった。
(比較例1)
撹拌機と温度計を備えた50mlの四つ口フラスコに、粗p−フェニレンジアミン30.0g(0.28mol)を仕込み窒素置換を行った。窒素雰囲気下、マントルヒーターで徐々に昇温して蒸留を行い,留出したp−フェニレンジアミンを保温調整されていない室温の受器で回収し、p−フェニレンジアミンを25.5g(収率:84.8%)得た。得られたp−フェニレンジアミンは紫色であった。
撹拌機と温度計を備えた50mlの四つ口フラスコに、粗p−フェニレンジアミン30.0g(0.28mol)を仕込み窒素置換を行った。窒素雰囲気下、マントルヒーターで徐々に昇温して蒸留を行い,留出したp−フェニレンジアミンを保温調整されていない室温の受器で回収し、p−フェニレンジアミンを25.5g(収率:84.8%)得た。得られたp−フェニレンジアミンは紫色であった。
(比較例2)
ジムロート冷却管を備えた500mlの四つ口フラスコに、比較例1で得られた紫色のp−フェニレンジアミン5.0g(46.2mmol)、活性炭2.5g、フラー土2.5g、及びトルエン300mlを仕込み窒素置換した。窒素雰囲気下、内温約110℃で1時間熟成した。熟成後、キャヌラーを通して、窒素圧送で熱時ろ過を行った。ろ過後、残渣を100mlのトルエンで洗浄し、再度ろ過操作を行った。得られたろ液と洗浄液を窒素雰囲気下で再度還流し、250mlのトルエンをカットした。濃縮したろ液を室温で撹拌し、内温35℃で撹拌を停止した。析出した紫色針状結晶を吸引ろ過によりろ取し、結晶に60mlのトルエンを振りかけて洗浄した後、約40℃で加熱しつつ減圧乾燥してp−フェニレンジアミンを4.0g(収率:80.8%)得た。得られたp−フェニレンジアミンは紫色であった。なお、比較例1から換算すると、p−フェニレンジアミンの収率は68.6%であった。
ジムロート冷却管を備えた500mlの四つ口フラスコに、比較例1で得られた紫色のp−フェニレンジアミン5.0g(46.2mmol)、活性炭2.5g、フラー土2.5g、及びトルエン300mlを仕込み窒素置換した。窒素雰囲気下、内温約110℃で1時間熟成した。熟成後、キャヌラーを通して、窒素圧送で熱時ろ過を行った。ろ過後、残渣を100mlのトルエンで洗浄し、再度ろ過操作を行った。得られたろ液と洗浄液を窒素雰囲気下で再度還流し、250mlのトルエンをカットした。濃縮したろ液を室温で撹拌し、内温35℃で撹拌を停止した。析出した紫色針状結晶を吸引ろ過によりろ取し、結晶に60mlのトルエンを振りかけて洗浄した後、約40℃で加熱しつつ減圧乾燥してp−フェニレンジアミンを4.0g(収率:80.8%)得た。得られたp−フェニレンジアミンは紫色であった。なお、比較例1から換算すると、p−フェニレンジアミンの収率は68.6%であった。
(比較例3)
ジムロート冷却管を備えた300mlの四つ口フラスコに、比較例1で得られた紫色のp−フェニレンジアミン5.0g(46.2mmol)、活性炭5.0g、フラー土5.0g、及びメタノール150mlを仕込み窒素置換した。窒素雰囲気下、内温約65℃で1時間熟成した。熟成後、キャヌラーを通して、窒素圧送で熱時ろ過を行った。ろ過後、残渣を50mlのメタノールで洗浄し、再度ろ過操作を行った。得られたろ液と洗浄液を窒素雰囲気下で再度還流し、125mlのメタノールをカットした。濃縮されたろ液を室温で撹拌し、内温35℃で析出した紫色の針状結晶を吸引ろ過によりろ取し、結晶にトルエンを振りかけて洗浄した後、約40℃で加熱しつつ減圧乾燥してp−フェニレンジアミンを3.8g(収率:76.0%)得た。得られたp−フェニレンジアミンは紫色であった。なお、比較例1から換算すると、p−フェニレンジアミンの収率は64.5%であった。
ジムロート冷却管を備えた300mlの四つ口フラスコに、比較例1で得られた紫色のp−フェニレンジアミン5.0g(46.2mmol)、活性炭5.0g、フラー土5.0g、及びメタノール150mlを仕込み窒素置換した。窒素雰囲気下、内温約65℃で1時間熟成した。熟成後、キャヌラーを通して、窒素圧送で熱時ろ過を行った。ろ過後、残渣を50mlのメタノールで洗浄し、再度ろ過操作を行った。得られたろ液と洗浄液を窒素雰囲気下で再度還流し、125mlのメタノールをカットした。濃縮されたろ液を室温で撹拌し、内温35℃で析出した紫色の針状結晶を吸引ろ過によりろ取し、結晶にトルエンを振りかけて洗浄した後、約40℃で加熱しつつ減圧乾燥してp−フェニレンジアミンを3.8g(収率:76.0%)得た。得られたp−フェニレンジアミンは紫色であった。なお、比較例1から換算すると、p−フェニレンジアミンの収率は64.5%であった。
実施例1の結果からわかるように、本発明のp−フェニレンジアミンの精製方法によれば、蒸留を行うだけで、変色を抑制し、保存安定性が向上した白色のp−フェニレンジアミンを得ることができる。また、比較例1〜3の結果からわかるように、従来のp−フェニレンジアミンの精製方法によれば、精製物であるp−フェニレンジアミンの収率が低く、工程数が増えるので経済的ではない。また、再結晶に有機溶媒を使用するため、環境調和の観点からも好ましくない。
本発明のp−フェニレンジアミンの精製方法は、再結晶操作を必要としないため、精製工程の単純化を図ることができることに加えて、蒸留操作だけで精製することができる。そのため、精製による収量の低下を抑制することができ、精製費用を削減することができる。また、粗p−フェニレンジアミンの性質に依存することなく、安定して透明度が高い白色のp−フェニレンジアミンを精製することができる。そのため、本発明のp−フェニレンジアミンの精製方法により精製されたp−フェニレンジアミンは、透明度が要求されるポリイミドフィルムを製造するための原料等として特に好適に利用することができる。
1:ピーク。
Claims (7)
- 還元性無機化合物の存在下、粗p−フェニレンジアミンを蒸留してp−フェニレンジアミンを得る工程を有するp−フェニレンジアミンの精製方法。
- 前記還元性無機化合物が、硫化カリウム、硫化ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、次亜リン酸ナトリウム、二亜硫酸ナトリウム、及び水素化ホウ素ナトリウムからなる群より選択される少なくとも一種の化合物である請求項1に記載のp−フェニレンジアミンの精製方法。
- 前記粗p−フェニレンジアミンに対して5〜30質量%の前記還元性無機化合物を使用する請求項1又は2に記載のp−フェニレンジアミンの精製方法。
- 窒素雰囲気下又は減圧下、300℃以下の条件で前記粗p−フェニレンジアミンを蒸留する請求項1〜3のいずれか一項に記載のp−フェニレンジアミンの精製方法。
- 前記p−フェニレンジアミンを、保温調整された受器で回収する請求項1〜4のいずれか一項に記載のp−フェニレンジアミンの精製方法。
- 前記受器が100〜200℃に保温調整されている請求項5に記載のp−フェニレンジアミンの精製方法。
- 局部的な温度変化による前記p−フェニレンジアミンの着色及び保存安定性の低下を抑制するように、前記p−フェニレンジアミンを回収した前記受器を、前記p−フェニレンジアミンの固化速度を制御しつつ徐々に冷却する請求項5又は6に記載のp−フェニレンジアミンの精製方法。
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KR20140079956A (ko) * | 2012-12-20 | 2014-06-30 | 코오롱인더스트리 주식회사 | 2-시아노-파라페닐렌디아민의 정제방법 |
CN110627658A (zh) * | 2018-06-25 | 2019-12-31 | 中国石油化工股份有限公司 | 一种延长对苯二胺存储期的方法 |
WO2020179817A1 (ja) * | 2019-03-04 | 2020-09-10 | 太陽ホールディングス株式会社 | ジアミン化合物の精製方法、ジアミン化合物中和塩、ジアミン、およびポリイミド |
-
2009
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