JPWO2013153957A1 - 水素化ビフェノールの製造方法 - Google Patents

水素化ビフェノールの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2013153957A1
JPWO2013153957A1 JP2014510109A JP2014510109A JPWO2013153957A1 JP WO2013153957 A1 JPWO2013153957 A1 JP WO2013153957A1 JP 2014510109 A JP2014510109 A JP 2014510109A JP 2014510109 A JP2014510109 A JP 2014510109A JP WO2013153957 A1 JPWO2013153957 A1 JP WO2013153957A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
biphenol
hydrogenated
hydrogenated biphenol
represented
purity
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2014510109A
Other languages
English (en)
Inventor
充 大野
充 大野
知弘 橋爪
知弘 橋爪
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daicel Corp
Original Assignee
Daicel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daicel Corp filed Critical Daicel Corp
Priority to JP2014510109A priority Critical patent/JPWO2013153957A1/ja
Publication of JPWO2013153957A1 publication Critical patent/JPWO2013153957A1/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C29/00Preparation of compounds having hydroxy or O-metal groups bound to a carbon atom not belonging to a six-membered aromatic ring
    • C07C29/17Preparation of compounds having hydroxy or O-metal groups bound to a carbon atom not belonging to a six-membered aromatic ring by hydrogenation of carbon-to-carbon double or triple bonds
    • C07C29/19Preparation of compounds having hydroxy or O-metal groups bound to a carbon atom not belonging to a six-membered aromatic ring by hydrogenation of carbon-to-carbon double or triple bonds in six-membered aromatic rings
    • C07C29/20Preparation of compounds having hydroxy or O-metal groups bound to a carbon atom not belonging to a six-membered aromatic ring by hydrogenation of carbon-to-carbon double or triple bonds in six-membered aromatic rings in a non-condensed rings substituted with hydroxy groups
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C1/00Preparation of hydrocarbons from one or more compounds, none of them being a hydrocarbon
    • C07C1/20Preparation of hydrocarbons from one or more compounds, none of them being a hydrocarbon starting from organic compounds containing only oxygen atoms as heteroatoms
    • C07C1/24Preparation of hydrocarbons from one or more compounds, none of them being a hydrocarbon starting from organic compounds containing only oxygen atoms as heteroatoms by elimination of water
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C29/00Preparation of compounds having hydroxy or O-metal groups bound to a carbon atom not belonging to a six-membered aromatic ring
    • C07C29/60Preparation of compounds having hydroxy or O-metal groups bound to a carbon atom not belonging to a six-membered aromatic ring by elimination of -OH groups, e.g. by dehydration
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C29/00Preparation of compounds having hydroxy or O-metal groups bound to a carbon atom not belonging to a six-membered aromatic ring
    • C07C29/74Separation; Purification; Use of additives, e.g. for stabilisation
    • C07C29/76Separation; Purification; Use of additives, e.g. for stabilisation by physical treatment
    • C07C29/78Separation; Purification; Use of additives, e.g. for stabilisation by physical treatment by condensation or crystallisation
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C2527/00Catalysts comprising the elements or compounds of halogens, sulfur, selenium, tellurium, phosphorus or nitrogen; Catalysts comprising carbon compounds
    • C07C2527/02Sulfur, selenium or tellurium; Compounds thereof
    • C07C2527/053Sulfates or other compounds comprising the anion (SnO3n+1)2-
    • C07C2527/055Sulfates or other compounds comprising the anion (SnO3n+1)2- with alkali metals, copper, gold or silver
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C2601/00Systems containing only non-condensed rings
    • C07C2601/12Systems containing only non-condensed rings with a six-membered ring
    • C07C2601/14The ring being saturated
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C2601/00Systems containing only non-condensed rings
    • C07C2601/12Systems containing only non-condensed rings with a six-membered ring
    • C07C2601/16Systems containing only non-condensed rings with a six-membered ring the ring being unsaturated

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Abstract

入手が容易なビフェノールを原料として、工業的に利用できる簡便な方法により、高純度の水素化ビフェノールを効率よく製造する方法を提供する。本発明の水素化ビフェノールの製造方法は、下記式(1)【化1】で表されるビフェノールを水素化して、下記式(2)【化2】で表される水素化ビフェノールを得る水素化ビフェノールの製造方法であって、前記式(1)で表されるビフェノールを水素化する反応工程、及び反応工程で得られた反応生成物を芳香族炭化水素を使用して洗浄又は晶析を行う精製工程を含む。

Description

本発明は、医薬、農薬、電子材料などのファイン・ケミカルの中間体として有用な、高純度の水素化ビフェノールの製造方法に関する。
従来、水素化ビフェノールの製造方法としては、いくつかの手法が知られている。特許文献1では、イソプロパノールを溶媒として使用し、ビスフェノールを5重量%Pd−C触媒の存在下で水素化し、反応混合物を濾過した後、濾液からイソプロパノールを減圧留去し、目的とする水素化ビスフェノールである4,4’−ビシクロヘキサノールの一部を得ている。同時に、濾過時に得られた結晶をテトラヒドロフラン500mLに熱時溶解した後、濾過し、濾液からテトラヒドロフランを減圧留去することによっても4,4’−ビシクロヘキサノールを得ている。そして両方の結晶を合わせ、n−ヘキサンに熱時懸濁させ、そのまま5〜6℃で1時間放置し、析出した結晶を採取し、減圧乾燥させて、4,4’−ビシクロヘキサノールを87%の収率で得ている。この方法は、収率は満足できるものではあるものの、操作が煩雑であるという欠点がある。
一方、特許文献2、3には、炭素数7以下のグリコールモノアルキルエーテルの1種又は2種以上を溶媒として使用し、ビスフェノールを水素化触媒の存在下で水素化し、その後、濾過することにより前記水素化触媒を除去し、濾液から常圧下又は減圧下、前記溶媒を留去することにより水素化ビフェノールを製造する方法が開示されている。しかしこの方法では、高沸点化合物である炭素数7以下のグリコールモノアルキルエーテルを溶媒として使用するため、留去には反応系内を高温、減圧化する必要があり、工業的に製造する方法としては多くのエネルギーを要し、高性能の設備を準備する必要があるためコストが嵩む点で問題であった。
特開平01−156935号公報 特開平03−275637号公報 特開平04−279537号公報
従って、本発明の目的は、入手が容易なビフェノールを原料として、工業的に利用できる簡便な方法により、高純度の水素化ビフェノールを効率よく製造する方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、前記方法により水素化ビフェノールを製造し、得られた水素化ビフェノールを脱水することにより対応するビシクロへキセンを得るビシクロヘキセンの製造方法を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、ビフェノールを水素化することにより得られる水素化ビフェノールは、貧溶媒としての芳香族炭化水素を使用して洗浄又は晶析することにより、含有する不純物を容易に除去することができ、純度の極めて高い水素化ビフェノールを高収率で得ることができることを見出した。本発明はこれらの知見に基づき、さらに研究を重ねて完成したものである。
すなわち、本発明は、下記式(1)
Figure 2013153957
で表されるビフェノールを水素化して、下記式(2)
Figure 2013153957
で表される水素化ビフェノールを得る水素化ビフェノールの製造方法であって、前記式(1)で表されるビフェノールを水素化する反応工程、及び反応工程で得られた反応生成物を芳香族炭化水素を使用して洗浄又は晶析を行う精製工程を含む水素化ビフェノールの製造方法を提供する。
前記ビフェノールとしては4,4’−ビフェノールが好ましく、前記水素化ビフェノールとしては4,4’−ビシクロヘキサノールが好ましい。
前記芳香族炭化水素としては、トルエン又は1,3,4−トリメチルベンゼンが好ましい。
本発明は、また、前記の方法により水素化ビフェノールを製造し、得られた水素化ビフェノールを脱水することにより対応するビシクロへキセンを得るビシクロヘキセンの製造方法を提供する。
本発明の水素化ビフェノールの製造方法によれば、簡便な操作で純度の極めて高い水素化ビフェノールを効率よく製造することができる。このため、本発明の水素化ビフェノールの製造方法は、工業的な規模で高純度の水素化ビフェノールを製造する際に好適に使用することができる。
[水素化ビフェノールの製造方法]
本発明の水素化ビフェノールの製造方法は、下記式(1)
Figure 2013153957
で表されるビフェノールを水素化して、下記式(2)
Figure 2013153957
で表される水素化ビフェノールを得る水素化ビフェノールの製造方法であって、前記式(1)で表されるビフェノールを水素化する反応工程、及び反応工程で得られた反応生成物を芳香族炭化水素を使用して洗浄又は晶析を行う精製工程を含む。
反応に供する式(1)で表されるビフェノールとしては、例えば、2,2’−ビフェノール、3,3’−ビフェノール、4,4’−ビフェノール、2,3’−ビフェノール、2,4’−ビフェノール、2,5’−ビフェノール、3,4’−ビフェノール、3,5’−ビフェノールなどが挙げられる。
式(2)で表される水素化ビフェノールとしては、上記式(1)で表されるビフェノールに対応した水素化ビフェノールを挙げることができ、例えば、式(1)で表されるビフェノールとして4,4’−ビフェノールを使用した場合、得られる式(2)で表される水素化ビフェノールは、4,4’−ビシクロヘキサノールである。
[反応工程]
本発明の反応工程は、前記式(1)で表されるビフェノールを水素化する工程である。
前記水素化反応は、溶媒下で行うことが好ましい。前記溶媒としては、原料となる式(1)で表されるビフェノールを溶解することができればよく、例えば、酢酸、プロピオン酸等のカルボン酸、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、2−プロパノール(イソプロピルアルコール)、n−ブチルアルコール、s−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−ヘプチルアルコール、n−オクチルアルコール等の脂肪族アルコールを挙げることができる。これらのなかでも、特に酢酸等の低級飽和脂肪族カルボン酸、メチルアルコール、エチルアルコール、2−プロパノール等の一級飽和脂肪族アルコールが、基質の溶解性に優れ、且つ触媒の活性を維持できる点で好ましく用いられる。これらの溶媒は、単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられる。
溶媒の使用量は適宜調整することができ、例えば、原料となる式(1)で表されるビフェノール100重量部に対して、例えば10〜10000重量部程度、好ましくは50〜1000重量部である。
また、水素化反応は、触媒の存在下で行うことが好ましい。触媒としては、周知慣用の水素化触媒を使用することができ、例えば、ラネーニッケル、還元ニッケル、ニッケル担持触媒等のニッケル触媒;ラネーコバルト、還元コバルト、コバルト担持触媒等のコバルト触媒;ラネー銅等の銅触媒;酸化パラジウム、パラジウム黒、カーボン担持パラジウム触媒等のパラジウム触媒;プラチナ黒、カーボン担持プラチナ等のプラチナ触媒;ロジウム触媒、ルテニウム触媒、クロム触媒、銅クロム触媒等を挙げることができる。本発明においては、なかでも、触媒活性が高く、工業的に入手が容易であり、生成物から触媒を容易に分離できる点で、ラネーニッケル等のニッケル触媒、カーボン担持パラジウム触媒等を使用することが好ましい。
触媒の使用量としては、例えば、原料となる式(1)で表されるビフェノール100重量部に対して、例えば0.1〜50重量部程度、好ましくは1〜20重量部である。
水素化反応は、例えば20〜180℃程度(好ましくは80〜180℃、特に好ましくは100〜180℃)の温度にて、例えば1〜10MPa程度(好ましくは3〜8MPa、特に好ましくは5〜8MPa)の水素圧の下で行なわれる。反応時間は、例えば0.5〜20時間程度(好ましくは0.5〜10時間、特に好ましくは0.5〜5時間)である。
反応工程終了後、反応生成物は、例えば、濾過等の一般的な分離手段により水素化ビフェノールを分離・回収することができる。分離・回収された水素化ビフェノールはその後、精製工程に付される。精製工程に付す水素化ビフェノールは、反応工程で使用した溶媒を含んでいてもよく、乾燥処理を施して、溶媒含有量を1000重量%以下(好ましくは500重量%以下)に低減してもよい。なお、溶媒含有量の下限は0重量%である。溶媒含有量を上記範囲に調整することにより、水素化ビフェノールの回収率を向上させることができる。精製工程に付す水素化ビフェノールの純度としては、90〜98.5%程度である。
[精製工程]
本発明の精製工程は、上記反応工程を経て得られた反応生成物を芳香族炭化水素を使用して洗浄又は晶析を行う工程である。
前記芳香族炭化水素を使用する精製方法には下記洗浄方法と晶析方法が含まれる。
洗浄方法:貧溶媒としての芳香族炭化水素で反応生成物を洗浄し、分離・回収する方法
晶析方法:加熱することにより水素化ビフェノールの良溶媒(溶解度が大きい溶媒)に反応生成物を溶解し、そこへ貧溶媒としての芳香族炭化水素を添加し、その後、冷却することによって目的化合物を析出させ、分離・回収する方法
本発明の洗浄方法は、水素化ビフェノールの良溶媒に溶解する工程を経ることなく、貧溶媒(溶解度が小さい溶媒)である芳香族炭化水素により洗浄することを特徴とし、例えば、水素化ビフェノールを芳香族炭化水素により懸濁させ、撹拌することにより行われる。本発明の洗浄方法では貧溶媒の中でも特に芳香族炭化水素を使用して洗浄するため、水素化ビフェノールをいったん溶解する工程を経なくても(すなわち、貧溶媒中で懸濁した状態のままでも)、優れた洗浄効果を発揮することができる。芳香族炭化水素の使用量としては、水素化ビフェノール1重量部に対して、例えば2〜20重量部、好ましくは3〜10重量部、特に好ましくは4〜8重量部である。
洗浄温度としては、例えば−20℃以上(例えば−20℃〜200℃)、好ましくは0℃〜140℃、更に好ましくは10℃〜100℃、特に好ましくは30〜100℃、最も好ましくは40〜90℃である。洗浄により精製して得られる水素化ビフェノールの純度は洗浄温度に依存し、上記範囲内で洗浄することにより極めて優れた純度を有する水素化ビフェノールを得ることができる。洗浄時間としては、例えば1〜20時間、好ましくは2〜15時間、特に好ましくは3〜10時間である。
また、洗浄は、加圧下で行ってもよく、常圧下、減圧下で行ってもよいが、本願においては、汎用の設備を用いて実施することが可能であり、工業的に有利であるという観点から、常圧下で行うことが好ましい。洗浄後は、必要に応じて周知慣用の方法(例えば、濾過、デカンテーション等)で水素化ビフェノールを分離し、回収することができる。回収された水素化ビフェノールはその後、乾燥などの処理が行われる。
洗浄に使用する芳香族炭化水素としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、1,3,4−トリメチルベンゼン(プソイドクメン)等を挙げることができる。本発明においては、なかでもベンゼンの水素原子の1〜3個が脂肪族炭化水素基(特に、炭素数1〜3のアルキル基)で置換された化合物が好ましく、なかでも、トルエン、キシレン、1,3,4−トリメチルベンゼン(プソイドクメン)などのベンゼンの水素原子の1〜3個がメチル基を置換された化合物が好ましく、沸点が高く、系の温度を上昇できる点で、1,3,4−トリメチルベンゼン(プソイドクメン)が最も好ましい。
本発明の晶析方法は、溶解度の温度依存性を利用して、水素化工程で得られた水素化ビフェノールに良溶媒を添加して加熱することにより溶解させ、続いて、貧溶媒としての芳香族炭化水素を添加し、その後冷却することにより純度の向上した水素化ビフェノールを析出させ、濾過等の周知慣用の方法で水素化ビフェノールを分離・回収することにより行われる。回収された水素化ビフェノールはその後、乾燥などの処理が行われる。
晶析に使用する水素化ビフェノールの良溶媒としては、例えば、酢酸、プロピオン酸等のカルボン酸、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール(2−プロパノール)、n−ブチルアルコール、s−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−ヘプチルアルコール、n−オクチルアルコール等の脂肪族アルコールを挙げることができる。これらのなかでも、特に酢酸等の低級飽和脂肪族カルボン酸、エチルアルコール、2−プロパノール等の一級飽和脂肪族アルコールが、基質の溶解性に優れ、且つ反応工程と共通の溶媒を使用することができる点で好ましく用いられる。これらの溶媒は、単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられる。
晶析に使用する芳香族炭化水素としては、上記洗浄で使用するものと同様の例を挙げることができ、なかでも、トルエン、1,3,4−トリメチルベンゼン(プソイドクメン)が好ましく、特に、沸点が高く、系の温度を上昇できる点で、1,3,4−トリメチルベンゼン(プソイドクメン)が好ましい。
本発明に係る精製工程を経て得られる水素化ビフェノールの回収率としては、例えば75%以上(例えば、75〜100%)、好ましくは90%以上(例えば、90〜100%)、特に好ましくは98%以上(例えば、98〜100%)である。
本発明に係る精製工程を経て得られる水素化ビフェノールの純度としては、例えば95%以上(例えば、95〜100%)、特に好ましくは99%以上(例えば、99〜100%)である。
本発明に係る水素化ビフェノールの製造方法によれば、芳香族炭化水素を使用して精製を行うため、極めて高い純度の水素化ビフェノールを優れた回収率で得ることができる。また、特に、洗浄により精製を行うと、濃縮、冷却などの特別な操作を施さなくとも、極めて高い純度の水素化ビフェノールを優れた回収率で得ることができる点で好ましい。
[ビシクロヘキセンの製造方法]
本発明に係るビシクロヘキセンの製造方法は、前記水素化ビフェノールの製造方法により水素化ビフェノールを製造し、得られた水素化ビフェノールを脱水することにより対応するビシクロへキセンを得ることを特徴とする。
脱水は、周知慣用のアルコールの脱水方法を使用することができ、例えば、濃硫酸やリン酸などの無機酸を触媒として用いたアルコールの脱水方法や、酸性塩である硫酸水素カリウム(KHSO4)などを用いたアルコールの脱水方法等が挙げられる。
反応終了後、反応生成物は、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、吸着、カラムクロマトグラフィーなどの分離精製手段やこれらを組み合わせた手段により分離精製できる。
式(2)で表される水素化ビフェノールを脱水して得られるビシクロヘキセンとしては、下記式(3a)〜(3f)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2013153957
例えば、4,4’−ビシクロヘキサノールを脱水処理すると、上記式(3a)で表されるビシクロヘキセンを主生成物として得ることができる。
ビシクロヘキセンもまた、医薬、農薬、電子材料などのファイン・ケミカルの中間体として好適に使用することができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
なお、4,4’−ビフェノール、4,4’−ビシクロヘキサノール、及びビシクロヘキセンの純度(%)の測定は、ガスクロマトグラフィーを使用し、200〜250℃の昇温条件の下で行った。
製造例1
300mLの撹拌機付きオートクレーブに、4,4’−ビフェノール20g、ラネーニッケル1g、2−プロパノール80gを仕込み、水素圧力6MPa、反応温度150℃で2時間水素化反応を行った。得られた反応液に2−プロパノールを結晶が完溶するまで添加した後、濾過を行って触媒が除去された反応生成液を得た。
次に、この反応生成液を濃縮乾固することにより、粗4,4’−ビシクロヘキサノール(A)21.4g(純度:96.7%)を得た。
実施例1
撹拌機、温度計を備えた100mLのガラス製四つ口フラスコに、製造例1で得られた粗4,4’−ビシクロヘキサノール(A)5.0g、トルエン95gを仕込み、95℃で4時間撹拌して洗浄した。室温(25℃)まで冷却し、結晶を濾過しトルエンでリンスし、結晶を真空乾燥してトルエンを除去することにより、4,4’−ビシクロヘキサノールを4.75g得た(回収率:95%、純度:99.6%)。
比較例1
撹拌機、温度計を備えた500mLのガラス製四つ口フラスコに、製造例1で得られた粗4,4’−ビシクロヘキサノール(A)18.7g、2−プロパノール280gを仕込み、80℃まで昇温して固形物を溶解させた。続いて、2−プロパノールの留出量が240gとなるまで加熱して濃縮し、その後、加熱を停止し、室温(25℃)まで冷却して結晶を析出させた。
得られた結晶を濾別し2−プロパノールでリンスした後、真空乾燥して、4,4’−ビシクロヘキサノールを13.4g得た(回収率:73%、純度:98.8%)。
比較例2
撹拌機、温度計を備えた300mLのガラス製四つ口フラスコに、製造例1で得られた粗4,4’−ビシクロヘキサノール(A)20.7g、2−プロパノール145gを仕込み、80℃まで昇温して固形物を溶解させた。次に室温(25℃)まで冷却して結晶を析出させた。
得られた結晶を濾別し2−プロパノールでリンスした後、真空乾燥して、4,4’−ビシクロヘキサノールを7.2g得た(回収率:36%、純度:98.9%)。
実施例2
撹拌機、温度計を備えた300mLのガラス製四つ口フラスコに、粗4,4’−ビシクロヘキサノール(B)(純度:98.1%)10.4g、トルエン190gを仕込み、95℃で4時間撹拌して洗浄した。室温(25℃)まで冷却し、結晶を濾過しトルエンでリンスし、結晶を真空乾燥してトルエンを除去することにより、4,4’−ビシクロヘキサノールを得た(回収率:96%、純度:99.8%)。
実施例3
洗浄温度を95℃から25℃に変更した以外は実施例2と同様にして4,4’−ビシクロヘキサノールを得た(回収率:97%、純度:99.2%)。
実施例4
トルエン190gに代えて1,3,4−トリメチルベンゼン40gを使用した以外は実施例2と同様にして4,4’−ビシクロヘキサノールを得た(回収率:99%、純度:99.6%)。
実施例5
トルエン190gに代えて1,3,4−トリメチルベンゼン40gを使用し、洗浄温度を95℃から60℃に変更した以外は実施例2と同様にして4,4’−ビシクロヘキサノールを得た(回収率:99%、純度:99.7%)。
実施例6
粗4,4’−ビシクロヘキサノール(C)(純度:92.4%)19.0g、2−プロパノール793gを混合し、全量が90.7gになるまでロータリーエバポレーターを使用して濃縮して、スラリーを得た。
得られたスラリーに、1,3,4−トリメチルベンゼン80gを加えて80℃まで加熱することにより溶液を得た。得られた溶液から低沸点成分を留去し、系内温度が93℃になるまで留出を続けた。その後、室温(25℃)まで冷却し、濾過、減圧乾燥して、4,4’−ビシクロヘキサノールを得た(回収率:92%、純度:99.6%)。
Figure 2013153957
実施例7
撹拌機、20段の蒸留塔、温度計を備えている10リットルの4つ口フラスコに4,4’−ビシクロヘキサノール6kgと硫酸水素カリウム620gを加えた。続いて、フラスコを180℃に加熱し、4,4’−ビシクロヘキサノールを融解させ、撹拌を開始した。蒸留塔の塔頂より副生水を留出させながら反応を続け、3時間経過後、反応系内を10Torrに減圧し、水とビシクロヘキセンを蒸留塔の最上段より連続的に系外に留出させた。系外に留去させた水とビシクロヘキセンはデカンターで二層に分離させ上層液のみを取り出した。その後、4時間かけて反応温度を220℃にし、水とビシクロヘキセンの留去がなくなった時点で反応終了とした。ビシクロヘキセンの留出粗液の収量は4507gであり、ガスクロマトグラフで測定した純度は98%であった。
このようにして得られたビシクロヘキセンの留出粗液4500gを撹拌機、20段の蒸留塔、温度計を備えている5リットルの4つ口フラスコに入れ、オイルバスで180℃に昇温した。その後、反応系内を10Torrに減圧し、水を留去してから蒸留塔の最上段の温度を145℃に維持し、還流比1で5時間かけてビシクロヘキセンを精製し、無色透明の液体を得た。得られたビシクロヘキセンの精製物の収量は4353gであった。また、ガスクロマトグラフで測定した純度は99.6%であった。
実施例及び比較例から明らかなように、良溶媒である2−プロパノールを溶媒として使用する晶析では、冷却操作のみでは結晶の回収率が十分でなく、冷却操作と濃縮操作を行っても未だ満足する回収率を得ることができなかった。
一方、本発明に係る方法によれば、貧溶媒である芳香族炭化水素を使用するため、洗浄操作を行うのみでも純度が99%を上回る極めて高い純度の水素化ビフェノールを90%以上の優れた回収率で得ることができた。
また、純度がより劣った粗水素化ビフェノールを使用した場合も、芳香族炭化水素を使用して晶析を行うと、純度が99%を上回る極めて高い純度の水素化ビフェノールを90%以上の優れた回収率で得ることができた。
すなわち、本発明に係る方法によれば、極めて純度の高い水素化ビフェノールを優れた回収率で得ることができる。
本発明の水素化ビフェノールの製造方法によれは、簡便な操作で純度の極めて高い水素化ビフェノールを効率よく製造することができる。このため、本発明の水素化ビフェノールの製造方法は、工業的な規模で高純度の水素化ビフェノールを製造する際に好適に使用することができる。

Claims (4)

  1. 下記式(1)
    Figure 2013153957
    で表されるビフェノールを水素化して、下記式(2)
    Figure 2013153957
    で表される水素化ビフェノールを得る水素化ビフェノールの製造方法であって、前記式(1)で表されるビフェノールを水素化する反応工程、及び反応工程で得られた反応生成物を芳香族炭化水素を使用して洗浄又は晶析を行う精製工程を含む水素化ビフェノールの製造方法。
  2. ビフェノールが4,4’−ビフェノールであり、水素化ビフェノールが4,4’−ビシクロヘキサノールである請求項1に記載の水素化ビフェノールの製造方法。
  3. 芳香族炭化水素がトルエン又は1,3,4−トリメチルベンゼンである請求項1又は2に記載の水素化ビフェノールの製造方法。
  4. 請求項1〜3の何れかの項に記載の方法により水素化ビフェノールを製造し、得られた水素化ビフェノールを脱水することにより対応するビシクロへキセンを得るビシクロヘキセンの製造方法。
JP2014510109A 2012-04-09 2013-03-28 水素化ビフェノールの製造方法 Pending JPWO2013153957A1 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014510109A JPWO2013153957A1 (ja) 2012-04-09 2013-03-28 水素化ビフェノールの製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012088136 2012-04-09
JP2012088136 2012-04-09
JP2014510109A JPWO2013153957A1 (ja) 2012-04-09 2013-03-28 水素化ビフェノールの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPWO2013153957A1 true JPWO2013153957A1 (ja) 2015-12-17

Family

ID=49327526

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014510109A Pending JPWO2013153957A1 (ja) 2012-04-09 2013-03-28 水素化ビフェノールの製造方法

Country Status (7)

Country Link
US (1) US9206099B2 (ja)
EP (1) EP2837615A4 (ja)
JP (1) JPWO2013153957A1 (ja)
CN (1) CN104220404A (ja)
IN (1) IN2014DN08226A (ja)
TW (1) TW201345884A (ja)
WO (1) WO2013153957A1 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20150013538A (ko) * 2012-04-24 2015-02-05 스미또모 가가꾸 가부시끼가이샤 하이드록시페닐시클로헥산올 화합물의 제조 방법
WO2015012262A1 (ja) * 2013-07-26 2015-01-29 株式会社ダイセル 水素化フェノール類の製造方法
JP6480867B2 (ja) * 2013-11-06 2019-03-13 株式会社ダイセル 水素化フェノール化合物の製造方法、及び水素化フェノール化合物の分離方法

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE602837C (de) * 1932-05-15 1934-09-21 Schering Kahlbaum Akt Ges Verfahren zur Herstellung aliphatischer ª‡, ªÏ-Dicarbonsaeuren mit 12 und mehr Kohlenstoffatomen
JP2005097274A (ja) * 2003-08-22 2005-04-14 Daicel Chem Ind Ltd 高純度オレフィン化合物の製造方法

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6456935A (en) * 1987-08-27 1989-03-03 Mitsubishi Electric Corp Air-fuel ratio controller for internal combustion engine
JP2743390B2 (ja) 1987-09-29 1998-04-22 大日本インキ化学工業株式会社 シクロヘキシルシクロヘキセン環を有するフッ素系液晶化合物、その合成中間体及びこれらの化合物の製造方法
JP2520759B2 (ja) 1990-03-23 1996-07-31 新日本理化株式会社 ビスシクロヘキサノ―ルの製造方法
JPH04279537A (ja) 1991-03-05 1992-10-05 New Japan Chem Co Ltd ビシクロヘキシルジオールの製造方法
WO2007119743A1 (ja) 2006-04-18 2007-10-25 Daicel Chemical Industries, Ltd. 環状オレフィン化合物の製造方法

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE602837C (de) * 1932-05-15 1934-09-21 Schering Kahlbaum Akt Ges Verfahren zur Herstellung aliphatischer ª‡, ªÏ-Dicarbonsaeuren mit 12 und mehr Kohlenstoffatomen
JP2005097274A (ja) * 2003-08-22 2005-04-14 Daicel Chem Ind Ltd 高純度オレフィン化合物の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
US9206099B2 (en) 2015-12-08
EP2837615A1 (en) 2015-02-18
EP2837615A4 (en) 2015-11-11
US20150099901A1 (en) 2015-04-09
IN2014DN08226A (ja) 2015-05-15
CN104220404A (zh) 2014-12-17
TW201345884A (zh) 2013-11-16
WO2013153957A1 (ja) 2013-10-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP3988545A1 (en) Methods for preparing cdk4/6 inhibitor and salt and intermediate thereof
CN107778183B (zh) 2,4,6-三氟苄胺的制备方法
JPWO2013153957A1 (ja) 水素化ビフェノールの製造方法
JP4216563B2 (ja) フルオレニリデンジアリルフェノールの精製方法
CN105566223A (zh) 一种亚氨基芪粗品重结晶方法
KR101341449B1 (ko) 디메틸 테레프탈레이트 제조공정의 부산물로부터 p-클로로메틸벤조산 및 벤조산의 제조방법
JP2001226323A (ja) 安息香酸ベンジルの回収方法
CN111718266A (zh) 一种对硝基苯胺的纯化方法及其应用
JP6372765B2 (ja) 1,4‐シクロヘキサンジカルボン酸ビス(2‐ヒドロキシエチル)の製造方法
CN112279799B (zh) 一种萃取结晶制备香料级吲哚的方法
TWI583688B (zh) 雙環辛烷四羧酸二酐的製備方法
CN102746148A (zh) 一种提纯丁二酸二甲酯的方法
JP6720512B2 (ja) トランス−シクロヘキサンカルボン酸の製造方法
KR102718544B1 (ko) 트랜스-시클로헥산카르복실산의 제조 방법
WO2014051021A9 (ja) 1,4-テトラリンジカルボン酸ジアルキルエステルとその製造方法
CN108069971B (zh) 一种普拉曲沙中间体的精制方法
KR100603886B1 (ko) 2,6-나프탈렌디카르복실산의 정제 방법
JP6518512B2 (ja) 4−ヒドロキシ安息香酸長鎖エステルの精製方法
JP6503228B2 (ja) 4−ヒドロキシ安息香酸長鎖エステルの精製方法
JP4105327B2 (ja) アルキルフェノールの分離精製方法
JP4357608B2 (ja) ベンゾチオフェンの精製方法
JPS59193838A (ja) タ−シヤリ−ブチルハイドロキノンの製造法
JPH09301918A (ja) 芳香族カルボン酸の製造方法
JPH0456822B2 (ja)
JPH10139745A (ja) ジメチルホルムアミドの精製方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150924

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20161011

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20170411