本発明の水素の製造方法は、水から低温低圧で水素を製造するものである。
本発明の水素の製造方法について説明する前に、先ず、本発明で使用する第1の特殊な水(以下、「創生水」とする)”を、図1乃至図3に基づいて説明する。図1は創生水の製造装置の一実施例を示す構成図である。第1の軟水生成器10と第2の軟水生成器12とイオン生成器14と岩石収納器16とを、連絡管18a,18b,18cを介して、順に直列に連結する。第1の軟水生成器10には、例えば水道のような圧力のある水が水供給管20から連絡管22を介して内部に導入される。水供給管20と連絡管22との間には、蛇口のような入口用開閉弁24が備えられ、連絡管22の途中には逆止弁26が備えられる。岩石収納器16の出口側には吐出管28が取り付けられ、吐出管28の先端または途中に出口用開閉弁30が備えられる。
水道水の場合、水供給管20から送り出される水は、第1の軟水生成器10と第2の軟水生成器12とイオン生成器14と岩石収納器16の順を経て、出口用開閉弁30を開くことによって吐出管28から取り出される。水道水以外の場合は、図示しないが、水槽に溜めた水をポンプによって、水供給管20を経由して第1の軟水生成器10に導入する。この場合、ポンプと第1の軟水生成器10との間に逆止弁26を備える。
第1の軟水生成器10と第2の軟水生成器12は、その内部に粒状のイオン交換樹脂32を大量に収納するもので、その断面図を図2に示す。軟水生成器10,12の本体34は筒状をしており、その筒状の上下端面に水の出入口36a,36bを有する。筒状の本体34の内部には、上下の端面からやや離れた位置の内壁に、それぞれ中央に穴を開けたシールド部材38a,38bを備える。その一対のシールド部材38a,38bの間に、イオン交換樹脂32を細かい網40に入れた状態で収納する。上下の出入口36a,36bからやや離れた位置の内壁に、中央に穴を開けたシールド部材38を備えるのは、イオン交換樹脂32を入れた網40を一対のシールド部材38の間に配置し、出入口36a,36b付近に空間42a,42bを形成させるためである。また、シールド部材38a,38bの中央の穴から水を出入りさせるようにしたのは、水がイオン交換樹脂32に必ず接触させるためである。イオン交換樹脂32を網40に入れるのは、粒状のイオン交換樹脂32を洗浄するために取り出す際に、網40ごと粒状のイオン交換樹脂32を取り出せるようにしたものである。
第1の軟水生成器10と第2の軟水生成器12は、その高さを例えば80cmとし、内径を10cmとする。そして、例えばイオン交換樹脂32の収納高さを70cmとし(上下に空間42a,42bを存在させる)。この際、イオン交換樹脂32の収納高さは、水にイオン交換が充分行なえるような高さが必要である。一方、イオン交換樹脂32の収納高さが高くなりすぎると(例えばイオン交換樹脂32の収納高さが約200cm以上になると)、イオン交換樹脂32が水の抵抗となって軟水生成器の内部を通過する流量が減少するため、イオン交換樹脂32の収納高さを流量が減少しない高さにする。イオン交換樹脂32を収納する容器を2つに分けたのは、第1の軟水生成器10や第2の軟水生成器12の高さをイオン生成器14や岩石収納器16と同じ程度の高さに低く押えるためと、そこを通過する水の圧損失によって流量が減少することを避けるためである。また、2つの軟水生成器10,12を1つにまとめて、1つの軟水生成器にすることも可能である。
イオン交換樹脂32は、水に含まれているCa2+やMg2+やFe2+等の金属イオンを除去して、水を軟水にするためのものであり、特に水の硬度をゼロに近い程度に低くするためのものである。イオン交換樹脂32としては、例えば、スチレン・ジビニルベンゼンの球状の共重合体を均一にスルホン化した強酸性カチオン交換樹脂(RzSO3 Na)を用いる。このイオン交換樹脂32は、水に含まれているCa2+やMg2+やFe2+等の金属イオンとは、以下のイオン交換反応を生じる。
2RzSO3 Na + Ca2+ → (RzSO3 )2 Ca + 2Na+
2RzSO3 Na + Mg2+ → (RzSO3 )2 Mg + 2Na+
2RzSO3 Na + Fe2+ → (RzSO3 )2 Fe + 2Na+
即ち、イオン交換樹脂32を通すことによって、水に含まれているCa2+やMg2+やFe2+等を除去することができる。イオン交換樹脂32として強酸性カチオン交換樹脂(RzSO3 Na)を用いることによって、ナトリウムイオン(Na+ )が発生する。イオン交換樹脂32は、Na+ 以外のものが発生するものであっても構わないが、Na+ を発生するものの方が好ましい。水が水道水であれば、その水道水の中にはCa2+やMg2+やFe2+等の金属イオンの他に塩素が含まれているが、水道水がイオン交換樹脂32を通ることによって、この塩素には何も変化が生じない。
一方、水(H2 O)がイオン交換樹脂32を通ることによって、以下のように変化する。
H2 O → H+ + OH- ……(1)
H2 O + H+ → H3 O+ ……(2)
即ち、(1) (2) に示すように、イオン交換樹脂32を通ることによって、水からは水酸化イオン(OH- )とヒドロニウムイオン(H3 O+ )とが発生する。
このように、水が硬水であった場合に、イオン交換樹脂32を通過することによって、水からCa2+やMg2+やFe2+等の金属イオンが除去されて軟水となる。また、イオン交換樹脂32を通過することによって、水の中にNa+ とOH- とヒドロニウムイオン(H3 O+ )とが発生する。しかし、水道水に含まれている塩素(Cl)はイオン化しないでそのまま通過する。なお、イオン交換樹脂32の種類によっては、Na+ が発生しないこともある。
次に、前記イオン生成器14の部分断面図を図3に示す。イオン生成器14は、複数個のカートリッジ44を同じ配置で上下に連続して直列に連結したものである。各カートリッジ44の内部に、粒状のトルマリン46のみか、粒状のトルマリン46と板状の金属48との混合物かのいずれかを収納する。トルマリンは、プラスの電極とマイナスの電極とを有するもので、このプラスの電極とマイナスの電極によって、水に4〜14ミクロンの波長の電磁波を持たせ、かつ水のクラスターを切断してヒドロニウムイオン(H3 O+ )を発生させるためのものである。その4〜14ミクロンの波長の電磁波が持つエネルギは0.004watt/cm2 である。ここで、トルマリン46とは、トルマリン石を細かく砕いたものであっても良いが、トルマリンとセラミックと酸化アルミニウム(銀を含むものもある)との重量比を約10:80:10とする市販のトルマリンペレットと呼ばれるトルマリン混合物であっても良い。このトルマリンペレットに含まれるセラミックは、プラスの電極とマイナスの電極を分離しておく作用をする。ここで、トルマリン46をセラミックに対し重量比10%以上の割合で混合させて800°C以上で加熱することによって、水の攪拌によって所定の期間(例えば直径4mmで約3ヶ月)で消滅するトルマリン46を作ることができる。トルマリン46は、加熱によって強度が増し、摩滅期間を長くすることができる。イオン交換樹脂32を通過させて水を硬度がゼロに近い軟水にして、その軟水の中でトルマリン46同士をこすり合わせる。硬度がゼロに近い軟水では、トルマリン46のマイナスの電極にマグネシウムイオンやカルシウムイオンが付着するのを防ぐことができ、トルマリン46のプラスとマイナスの電極としての働きを低下させることを防ぐことができる。
前記金属48としては、アルミニウム、ステンレス、銀の少なくとも1種類の金属を用いる。この金属48としては、水中で錆を発生させたり水に溶けたりしない金属が望ましい。この金属48のうち、アルミニウムは殺菌作用や抗菌作用と共に漂白作用を有しており、ステンレスは殺菌作用や抗菌作用と共に洗浄向上作用を有しており、銀は殺菌作用や抗菌作用を有している。金属48としては、銅や鉛は毒性を有しているので採用することができない。また、金等の高価な素材はコスト上からも採用することができない。前記トルマリン46と金属48との重量比は、10:1〜1:10が望ましい。その範囲を超えると、一方の素材が多くなりすぎ、両方の素材の効果を同時に発揮することができない。
カートリッジ44は一端を開放した筒状をしており、その底面50に多数の穴52が設けられている。カートリッジ44の内部にトルマリン46と金属48とを入れた場合に、底面50の穴52をトルマリン46や金属48が通過しないように穴52の大きさを設定する。図3に示すように、各カートリッジ44は多数の穴52を設けた底面50を下側にし、その底面50の上にトルマリン46や金属48を載せる。そして、各カートリッジ44の内部を下位から上位に向かって流れるように設定する。即ち、各カートリッジ44においては、底面50の多数の穴52を通過した水が、下から上に向けてトルマリン46と金属48とに噴射するように設定されている。ここで、水道水は高い水圧を有するので、その水圧を有する水がカートリッジ44内のトルマリン46と金属48に勢いよく衝突し、その水の勢いでトルマリン46と金属48とがカートリッジ44内で攪拌されるように、穴52の大きさ並びに個数を設定する。水をトルマリンに噴射してトルマリンを攪拌するのは、その攪拌によってトルマリンと水とに摩擦が生じ、トルマリンからプラスとマイナスの電極が水に溶け出して水のクラスターを切断し、ヒドロニウムイオン(H3 O+ )を大量に発生させるためである。
実際の設置例としては、内径5cmで深さが7cmの収容容積を有するカートリッジ44を4段に重ね、そのカートリッジ44内にトルマリン46と金属48とを充分収納するが、トルマリン46と金属48とがカートリッジ44内で自由に移動できるような分量とする。カートリッジ44の段数を増減しても構わないし、収容容積を大きくした1個のカートリッジ44にしても良い。このように、トルマリン46と金属48を収容容積を小さくした複数のカートリッジ44に分散させて、それらの複数のカートリッジ44を接続させることで、水の勢いによってトルマリン46と金属48との撹拌効率を高めることができる。カートリッジ44内に収納したトルマリン46は、水に溶けて数ヶ月で消滅するので、各カートリッジ44は例えば螺合等の手段によって容易に着脱出来るようにし、各カートリッジ44内にトルマリン46を容易に補充できるようにする。なお、金属48は水に溶けないので補充する必要がないが、トルマリン46と金属48とを入れたカートリッジ44全体を取替えることも可能である。カートリッジ44は使用流量の大小に応じてその収容容積を変えるようにしても良い。
カートリッジ44を通過する水に加えるマイナスイオンを増やすためには、トルマリン46同士がこすり合うことでプラスの電極とマイナスの電極が発生し、そのトルマリン46に水が接触することで、マイナスイオンの増加が達成できる。また、水のクラスターを切断し、ヒドロニウムイオン(H3 O+ )を大量に発生させるためには、カートリッジ44内にトルマリン46のみを収容すれば良い。しかし、金属48をトルマリン46と混合させることによって、それらが接触し合ってトルマリン46に発生するマイナスイオンをより増加させることができる。
トルマリン46にはプラス電極とマイナス電極とを有するため、トルマリンが水で攪拌されると、水(H2 O)は水素イオン(H+ )と水酸化イオン(OH- )とに解離する。
H2 O → H+ + OH- ……(1)
更に、水素イオン(H+ )と水(H2 O)とによって、界面活性作用を有するヒドロニウムイオン(H3 O+ )が発生する。このヒドロニウムイオン(H3 O+ )の発生量は、前記イオン交換樹脂32によって発生する量よりはるかに多い量である。
H2 O + H+ → H3 O+ ……(2)
このヒドロニウムイオン(H3 O+ )の一部は、水(H2 O)と結びついてヒドロキシルイオン(H3 O2 -)と水素イオン(H+ )になる。
H3 O+ + H2 O → H3 O2 - + 2H+ ……(3)
イオン交換樹脂32を通過した水を、イオン生成器14を通過させることによって、水の内部にヒドロニウムイオン(H3 O+ )とヒドロキシルイオン(H3 O2 -)とH+ とOH- とが発生する。なお、イオン交換樹脂32を通過した塩素(Cl)と、イオン交換樹脂32で発生したNa+ とは、反応することなくそのままイオン生成器14を通過する。
イオン生成器14を通過した水を、次に、火成岩のうち二酸化珪素を65〜76%含む岩石54を収納する岩石収納器16の内部を通過させる。火成岩(火山岩と深成岩とに分けられる)のうち二酸化珪素を多く含む岩石54としては、火山岩には黒曜石や真珠岩や松脂岩等の流紋岩があり、深成岩には花崗岩がある。岩石収納器16の内部には、黒曜石,真珠岩,松脂岩,花崗岩の岩石のうちの少なくとも1種類以上の岩石を収納する。黒曜石や真珠岩や松脂岩等の流紋岩、あるいは花崗岩はマイナス電子を帯びている。更に、黒曜石や真珠岩や松脂岩等の流紋岩や花崗岩は酸性岩である。流紋岩は花崗岩と同じ化学組成を持つものである。
これら火成岩のうちの二酸化珪素を約65〜76%を含む岩石(黒曜石や真珠岩や松脂岩等の流紋岩、あるいは花崗岩等の深成岩)は、原石の状態で−20〜−240mVの酸化還元電位を有する。但し、岩石54は水に溶けるものを除く。岩石収納器16は例えば内径を10cmとし、高さを80cmの筒とし、その内部に例えば5mm〜50mm粒程度の大きさの火成岩のうちの二酸化珪素を多く含む岩石54を、水の通過流量を落とさない程度の量を収容する。
この岩石収納器16の内部に、イオン生成器14を通過した水を通過させると、水にe- (マイナス電子)が加えられる。この結果、水道水に含まれている塩素(Cl)はマイナス電子によって、塩素イオンとなる。
Cl + e- → Cl- ……(4)
このCl- と前記Na+ とはイオンとして安定した状態になる。安定した状態とは、蒸発することなくイオン状態が長期間保たれることを意味する。また、前記ヒドロキシルイオン(H3 O2 -)もイオンとして安定した状態になる。水が岩石54を通過することによって、イオン生成器14を通過した水と比べて、ヒドロニウムイオン(H3 O+ )が更に発生し、かつヒドロキシルイオン(H3 O2 -)も水素イオン(H+ )も更に発生する。
H2 O + H+ → H3 O+ ……(2)
H3 O+ + H2 O → H3 O2 - + 2H+ ……(3)
水が岩石54を通過することによって、その他に、以下の反応も発生する。
OH- + H+ → H2 O ……(5)
2H+ + 2e- → 2H2 ……(6)
更に、水が岩石収納器16を通過すると、岩石54のマイナス電子によって、水の酸化還元電位が+340mVから−20〜−240mVになる。水に代えてお湯を使うと、マイナスの酸化還元電位がより安定する。更に、岩石54を通過した水は、溶存酸素や活性水素を大量に含む。
図1に示すように、水が、最初にイオン交換樹脂を通過し、次にトルマリン46(またはトルマリン46と金属48とを混合させたもの)に通過し、その後に岩石収納器16を通過したものが特殊な水(創生水)である。創生水には、Na+ と、Cl- と、H+ と、OH- と、H2と、ヒドロニウムイオン(H3 O+ )と、ヒドロキシルイオン(H3 O2 -)と、活性水素と、溶存酸素とを多く含む。この水のエネルギは0.004watt/cm2 である4〜14ミクロンの波長の電磁波を有し、−20〜−240mVの酸化還元電位を有する。
本発明に係る水素の製造方法を生成する際に使用する水としては、水をイオン交換樹脂32,トルマリン46(またはトルマリン46と金属48とを混合したもの),岩石54の順に通過させた創生水を使用する。図1では、水をイオン交換樹脂32,トルマリン46(またはトルマリン46と金属48とを混合したもの),岩石54の順に通過させたが、水をイオン交換樹脂32,岩石54,トルマリン46(またはトルマリン46と金属48とを混合したもの)の順にしても良い。即ち、図4に示すように、水を第1の軟水生成器10と第2の軟水生成器12と岩石収納器16とイオン生成器14の順に通過させるようにしてもよい。
この図4においては、イオン交換樹脂32を通過した水は、次に岩石54を通過する。この岩石54によって、水の内部にe- (マイナス電子)が発生する。この結果、水道水に含まれている塩素はマイナス電子によって、塩素イオンとなる。
Cl + e- → Cl- ……(4)
このCl- とイオン交換樹脂32によって発生したNa+ とはイオンとして安定した状態になる。なお、イオン交換樹脂32を通過した水であっても、Na+ を含まない場合もある。
イオン交換樹脂32を通過した水には、前記(1) (2) に示すように、H+ とOH- とヒドロニウムイオン(H3 O+ )とが存在する。イオン交換樹脂32を通過した水が、その後、岩石54を通過することによって、以下の反応も発生する。
OH- + H+ → H2 O ……(5)
H2 O + H+ → H3 O+ ……(2)
2H+ + 2e- → 2H2 ……(6)
この反応においては、ヒドロニウムイオン(H3 O+ )が、イオン交換樹脂32によって発生する量よりも更に多くの量が発生する。
以上のように、イオン交換樹脂32の後に岩石54を通過することによって、水の中に従来から存在したNa+ とOH- と、新たに発生するCl- とヒドロニウムイオン(H3 O+ )とが存在することになる。また、岩石54を通過させた水は、酸化還元電位が−20〜−240mVになる。水に代えてお湯を使うと、マイナスの酸化還元電位が更に安定する。更に、岩石54を通過した水は、溶存酸素や活性水素を大量に含む。
この岩石54を通過した水を、次にトルマリン46と金属48を内蔵するイオン生成器14の内部を通過させる。これによって、以下の反応が生じる。
H2 O → H+ + OH- ……(1)
H2 O + H+ → H3 O+ ……(2)
このヒドロニウムイオン(H3 O+ )は大量に発生する。またヒドロニウムイオン(H3 O+ )の一部はヒドロキシルイオン(H3 O2 -)になる。
H3 O+ + H2 O → H3 O2 - + 2H+ ……(3)
この結果、トルマリン46と金属48を通過させた水には、ヒドロニウムイオン(H3 O+ )と、ヒドロキシルイオン(H3 O2 -)と、OH- と、H+ とが増加する。
図4に示すように、水をイオン交換樹脂32,岩石54,トルマリン46(またはトルマリン46と金属48とを混合したもの)の順に通過させたものは、Na+ と、Cl- と、OH- と、ヒドロニウムイオン(H3 O+ )と、ヒドロキシルイオン(H3 O2 -)と、H+ と、溶存酸素と、活性水素とを含み、図1で創り出した創生水と同じ成分を含む。更に、0.004watt/cm2 のエネルギを有する4〜14ミクロンの電磁波と、−20〜−240mVの酸化還元電位を有する。この結果、図4で創り出した水と図1で創り出した創生水とは、同じ効果を有する。図4の装置で生成する水は、図1で生成する創生水と、水に含むものは結果的に同じであるので、図4の装置で生成する水も創生水とする。
この創生水の水質検査結果を、以下に示す。この創生水と比較する水道水の値をカッコ内に示す。但し、水道水において創生水と同じ値は、「同じ」とする。亜硝酸性窒素及び硝酸性窒素:1.8mg/l(同じ)、塩素イオン:6.8mg/l(9.0mg/l)、一般細菌:0個/ml (同じ)、シアンイオン0.01mg/l未満(同じ)、水銀:0.0005mg/l未満(同じ)、有機リン:0.1mg/l未満(同じ)、銅:0.01mg/l未満(同じ)、鉄:0.05mg/l未満(0.08mg/l未満)、マンガン:0.01mg/l未満(同じ)、亜鉛:0.005mg/l未満(0.054mg/l未満)、鉛:0.01mg/l未満(同じ)、六価クロム:0.02mg/l未満(同じ)、カドミウム:0.005mg/l未満(同じ)、ヒ素:0.005mg/l未満(同じ)、フッ素:0.15mg/l未満(同じ)、カルシウムイオン・マグネシウムイオン等(硬度):1.2mg/l(49.0mg/l)、フェノール類:0.005mg/l未満(同じ)、陰イオン海面活性剤0.2mg/l未満(同じ)、pH値:6.9(同じ)、臭気:異臭なし(同じ)、味:異味なし(同じ)、色度:2度(同じ)、濁度:0度(1度)
創生水は、以下に列挙する多くの特徴を有する。
(a) ヒドロニウムイオン(H3 O+ )と、ヒドロキシルイオン(H3 O2 -)と、水素イオン(H+)と、水素と、水酸基(OH-)と、硫酸イオン(SO4 2-)と、炭酸水素イオン(HCO3 -)と、炭酸イオン(CO3 2-)と、メタケイ酸(H2SiO3)と、遊離二酸化炭素(CO2)とを含んでいる。 (b)(b) 界面活性作用がある。
界面活性作用(OW型創生水乳化作用)を有する。
(c)微弱エネルギ(育成光線)作用がある。
トルマリンは微弱エネルギ(4〜14ミクロンの波長の電磁波)を放出する。この微弱エネルギは水の大きいクラスターを切断して、クラスター内に抱えこまれていた有毒ガスや重金属類を水から外部に放出する。
(d) −20〜−240mVの酸化還元電位を有している。
(e) 溶存酸素や活性水素を含んでいる。
(f) カルシウムイオンやマグネシウムイオンを除去した軟水である。
イオン交換樹脂に水道水等を通すことによって、水に含まれているカルシウムイオン及びマグネシウムイオンを除去することができる。
(g) 活性水素炭酸水素イオン(HCO3 -)や、メタケイ酸(H2SiO3)を含んでいる。
次に、本発明に係る水素の製造方法を図5に基づいて説明する。本発明の水素の製造方法は、水道水等の一般の水か、特殊な水(創生水)を容器60内に収容する。本発明の実施例1で使用する水は、創生水か、一般の水(例えば水道水)のいずれかを用いる例について説明するが、水素を多く発生する物質を水に溶かした溶液を使用しても良い。創生水はカルシウムイオンやマグネシウムイオンを全く含まない水であり、一般の水でも、カルシウムイオンやマグネシウムイオンを殆ど含まないものが望ましい。
本発明の水素の製造方法に使用する容器60は、例えばステンレス製で、高圧(例えば10気圧以上)の圧力に耐えうるものが望ましいが、家庭で使用する圧力釜程度の圧力(例えば3気圧程度)のものを使用することも可能である。
容器60内には、水の他にトルマリン(電気石)76とアルミニウム(アルミナでも可)78とを入れる。ここで、トルマリン76は、トルマリン石を細かく砕いた粒状のものが望ましい。また、アルミニウム78も、小さい板状のものを用いるのが望ましい。トルマリン76やアルミニウム78を小さくすることで、それらと水との接触面積を増大させることができる。トルマリン76は、トルマリンとセラミックと酸化アルミニウム(銀を含むものもある)とから成る市販のトルマリンペレットと呼ばれるトルマリン混合物を用いても良い。トルマリンペレットにおいては、トルマリンの混合比率が高い方が望ましい。容器60内に入れるトルマリン76とアルミニウム78との混合物の量は、水素を発生させる反応を生じる量であれば良く、容器60内へ新たな水を何度か入れても水素発生反応が現われる量であるのが望ましい。その量は、容器60の底にトルマリン76とアルミニウム78とを合計して例えば20〜50%程度敷き詰めた量であれば良く、それ以上であっても良い。トルマリン76とアルミニウム78との混合物の量は、水を容器60内で蒸発させる際に、トルマリン76とアルミニウム78とが水の中で自由に移動して、トルマリン76とアルミニウム78とが擦れあう程度であることが望ましい。トルマリン76とアルミニウム78との混合容積比率は、トルマリン76が1に対してアルミニウム78は0.2以上であれば良く、特にトルマリン76に対するアルミニウム78の量が多ければ多いほど水素の発生率が高くなる。
容器60内に、水とトルマリン76とアルミニウム78とを入れた後、容器60の上部開口部を密閉蓋61で閉じて、容器60の内部を密閉状態とする。実施例1は、容器60内を密閉状態にして水素を発生させるものである。容器60内に入れる水の量は、例えば容器60の底に入れられたトルマリン76とアルミニウム78の上面を覆う程度の高さまたはそれより少ない高さとするのが望ましい。これは、容器60内に入れられる水の量が少なければ、容器60内の水が蒸発する時間が早くなるためである。容器60の内部に水を供給するための水供給通路62が備えられる。この水供給通路62の途中に電磁弁63が備えられ、電磁弁65によって容器60内に供給する水の量が調整される。容器60内の水供給通路62の先端には、トルマリン76やアルミニウム78の上方からそれらに多数箇所から水を噴射させるための水噴射手段64が備えられる。その水噴射手段64から水を噴射させるタイミングは、容器60の底に入れられた水が蒸発して、容器60内の水が少なくなった時に、水噴射手段64から少しずつ水を間欠的に供給する。間欠的に少しずつ水を供給することで、供給された少ない水は、直ちに熱せられて直ちに蒸発する。この結果、蒸発効率が向上して水素の生産効率が向上する。
蓋61には、容器60の内部と外部とを連絡する連絡通路65を内部に形成した気体取出し用ノズル66が取り付けられている。気体取出し用ノズル66の途中には、連絡通路65を開閉する開閉バルブ68が備えられている。容器60の壁の上部には、容器60の内部の気圧を測定する気圧計70と、容器60の内部の温度を測定する温度計72とが取り付けられている。容器60の上方の形状は、蓋61側に向けて水平断面が徐々に狭くなるような円錐形状や角錐形状にするのが望ましい。これは、生成した軽い水素を容器60の上方に溜め、水素を容器60からノズル66を経て容易に取り出せるようにするためである。容器60の下方には、容器60内の水やトルマリン76やアルミニウム78を加熱するための加熱手段74を備える。その加熱手段74によって、容器60(その内部に収容される水とトルマリン76とアルミニウム78)を加熱する。なお、加熱手段74は火力に限るものではなく、太陽光や電気ヒーター等であっても良い。また、加熱手段74の配置位置は容器60の下方に限るものではない。
実施例1は、トルマリン76とアルミニウム78と水を入れた密閉した容器60内で水を蒸発させるものである。水の蒸発温度は、1気圧の下では100℃であるが、密閉容器60内の気圧が高くなると蒸発温度が高くなる。例えば、密閉容器60内の圧力が3気圧の場合、水の蒸発する温度が約130℃弱であるので、加熱手段74による容器60の加熱温度を130℃前後とすれば、密閉容器60内の水から水素を大量に発生する。本発明では、水素を発生させるために、水の温度は水の蒸発温度前後であれば良いため、例えば1000°C程度の従来技術のような高温を出す装置を備える必要が無いという利点を有する。
密閉容器60内のトルマリン76とアルミニウム58は、加熱(密閉容器60内で水の蒸発する温度)と加圧(例えば2〜3気圧、またはそれ以上)によって、水を介して互いに接触や衝突を繰り返すことで、トルマリン76同士の擦れ合い(共擦り)やトルルマリン76とアルミニウム78との擦れ合いによって、トルマリン76にプラスの電極とマイナスの電極をより多く露出させる。トルマリン76へのプラスの電極とマイナスの電極の発生は、加熱と加圧と共擦りの少なくとも1つがあれば発生するが、2つ以上の組み合わせがあればより多く発生する。トルマリン76のプラスの電極とマイナスの電極によって微弱電流が発生し、その微弱電流によって水の電気分解を発生させ、水から水素(酸素も同時に)を発生させる。トルマリン76のみを入れてアルミニウム78を入れない場合には水素の発生量が少なく、この逆にアルミニウム78トのみを入れてルマリン76を入れない場合にも水素の発生量が少ないものである。このことから、一般の水を使用して水素を発生させる場合には、トルマリン76とアルミニウム78の両方が必要である。
一般の水と比べて、創生水は、カルシウムイオンやマグネシウムイオンを除去したものであるので、トルマリン76のマイナスの電極の働きを阻害することは無く、長時間にわたって水素を発生させることができる。一般の水の場合には、若干のカルシウムイオンやマグネシウムイオンを含んでいるので、一定時間経過後はトルマリン76のマイナスの電極にカルシウムイオンやマグネシウムイオンが徐々に付着して、最終的にはトルマリン76による水の電気分解の性能がなくなってしまうが、水の電気分解の性能がなくなるまでの一定時間は水素を発生する。
次に、特殊な水(創生水)を使用した場合について説明する。創生水は、イオン交換樹脂を通過させた水であるので、カルシウムイオンやマグネシウムイオンを含まないものである。また、前述したように、創生水はそれ自体、ヒドロニウムイオン(H3 O+ )と、ヒドロキシルイオン(H3 O2 -)とを大量に含んでいるものである。よって、加熱と、加圧と、トルマリン76とアルミニウム78の共擦りによる微弱電流の発生とによって、密閉容器60内の創生水に、更に大量のヒドロニウムイオン(H3 O+ )と、ヒドロキシルイオン(H3 O2 -)が含まれることになる。そして、ヒドロニウムイオン(H3 O+ )と、ヒドロキシルイオン(H3 O2 -)は、以下の(7)のように変化する。
2H3 O+ + 2H3 O2 - → 4H2 O + 2H2+ O2……(7)
この結果、密閉容器60内には、一般の水と比べて、創生水からより大量の水素(H2)が発生する。更に、トルマリン76による創生水の電気分解によって、創生水に元来含まれている水素イオン(H+)や、活性水素炭酸水素イオン(HCO3 -)や、メタケイ酸(H2SiO3)等からも、水素が発生するものと考えられる。
電極両性元素であるアルミニウム78を、トルマリン76と水とを入れた容器60内に大量に入れることによって、トルマリン76同士の共擦りと、アルミニウム78とトルマリン76との擦り合せが生じ、トルマリン76にプラスの電極とマイナスの電極をより多く露出させ、更にアルミニウム78にもプラスの電極とマイナスの電極を発生させ、水の電気分解をより促進させる。トルマリン76とアルミニウム78の両方を容器60内に入れた場合は、トルマリン76やアルミニウム78の一方のみを容器60内に入れた場合と比べて、水素(H2 )の発生量が格段に多いものである。また、一般の水に代えて創生水を使用した場合には、水素の発生量が更に多くなる。それは、創生水の中に含まれる水素イオン(H+)や、水酸基(OH-)や、活性水素や、炭酸水素イオン(HCO3 -)や、メタケイ酸(H2SiO3)等のうち幾つかのものがアルミニウムと反応して、水素の発生を助長するものと推測される。
密閉容器60内の圧力が充分高くなって水が大量に蒸発した状態で、開閉バルブ68を開くと、ノズル66から密閉容器60内の高温高圧の気体(水素だけでなく酸素ガスも混合して含まれる)が容器60の外部に向けて噴射する。ノズル66の先端に気体を収集する収集器を取付けておけば、その収集器によって水素(酸素も含まれる)を集めることができる。密閉容器60内に発生した水素等の気体は開閉バルブ68を開くと、ノズル66から外部の収集器に効率良く収集することができる。
ここで、トルマリンやアルミニウムを入れない状態で、密閉容器60内に一般の水(水道水)を入れて、加熱手段74で加熱して蒸気を発生した場合に、どれだけの水素が発生するかについて検証する。先ず、一般の水を使用した場合の結果について説明する。水を、約180℃で加熱し、密閉容器60内の圧力を5〜10気圧で、30分経過した状態において、密閉容器60内の空気中の水素の容積比率は、0.04%であった。即ち、トルマリンやアルミニウムを入れない状態で水道水による水素の発生量は、後述する本発明による水素の発生量と比べて大幅に少ないため、第三者による測定分析を行わなかった。
次に、図5に基づいた実験(容器60の内部に水とトルマリン76とアルミニウム78を入れ、加熱手段74によって加熱した実験)の結果について説明する。この実験結果に客観性を持たせるために、第三者に測定分析を依頼した。その分析結果である測定分析成績書を、図6乃至図9に示す。この測定分析成績書は、日本国長野県佐久郡立科町芦田1835所在の株式会社信濃公害研究所(電話0267−56−2189)によって、2009年5月22日に作成されたものである。
図6乃至図8では、使用した水は第1の特殊な水である創生水である。密閉容器60内に、創生水と適量のトルマリン76とアルミニウム78とを入れ、180℃で50分間加熱した。密閉容器60内の圧力は1.2MPaであった。この後、密閉容器60内から空気を取り出して分析した結果が、図6乃至図8の分析結果である。図6の資料名として「創生水54C」、図7の資料名として「創生水H1」、図8の資料名として「創生水GW」と異なる記載があるが、これらは創生水の製造方法が若干異なるものであるが、上述の創生水の製造方法を踏襲して製造した水である。図6では、密閉容器60で生成される気体(窒素を%に含む)内における水素の容積比率は、15.8%である。図7では、密閉容器60で生成される気体(窒素を%に含む)内における水素の容積比率は、12.0%である。図8では、密閉容器60で生成される気体(窒素を%に含む)内における水素の容積比率は、13.0%である。これら図6乃至図8の測定分析成績書から分かるように、密閉容器60内にトルマリン76とアルミニウム78を入れ、水として創生水を使用した場合に、大量の水素が発生する(図6〜図8の平均の水素の%(13.6%とする))。この場合には、トルマリン76やアルミニウム78を入れない水道水の約350倍もの水素が発生することが確認された。
次に、水道水を使用しトルマリン76やアルミニウム78を入れた場合の測定分析成績書を図9に示す。図9に示す水道水では、密閉容器60内に、水道水とトルマリン76とアルミニウム78とを入れ、150℃で40分間加熱した。密閉容器60内の圧力は0.5MPaであった。この結果、水道水を使用した場合の気体(窒素を%に含む)内における水素の容積比率は4.9%となった。これは、トルマリン76やアルミニウム78を入れない場合の水道水の約122.5倍(4.9%÷0.04%)である。以上のことから、水道水において、トルマリン76とアルミニウム78を入れないものと比べて、本発明のトルマリン76とアルミニウム78を入れたものは、大量の水素が発生することが分かる。なお、図6乃至図10から、水素の発生する比率は、水道水が小さく(4.9%)、創生水が大きい(13.6%)ことが分かる。発生率が小さい水道水であっても、気体中の4.9%も水素を含んでいることから、本発明は大量の水素を得ることが出来るということが分る。水道水等の一般の水では、カルシウムイオンやマグネシウムイオンを若干含むものであり、カルシウムイオンやマグネシウムイオンがトルマリン76のマイナスの電極に付着して、トルマリン76による水の電気分解の性能が徐々に無くなるため、水道水等の一般の水は水素の発生率が低いものであると考えられる。
図5に示す水素発生装置では、発生した水素等の気体は、気体連絡通路64を通ってノズル66から直ちに外部に排出されている。ノズル66から外部に排出されるものは、水素等の気体と共に蒸気等の水分を含むものであり、蒸気等の水分は水素の迅速な取出しや、水素気体の発生量を正確に測定できないおそれがあった。図10の気体と水分との分離装置は、水素等の気体と蒸気等の水分とを速やかに分離するものである。
図10に示すように、容器60内で発生した水素等のガスを容器60内から外部に排出するための連絡通路64は、ガスを冷却するための冷却槽80内に導入される。冷却槽80内には、長い距離を有する例えばコイル状の冷却管82が備えられ、連絡通路64は冷却管82の一端と連絡する。冷却槽80内には水が充填されるとともに、その冷却槽80に冷却水を供給する冷却水供給通路84が連絡され、かつ冷却槽80から冷却水を排出する冷却水排出通路86が連絡されている。冷却槽80内に備えられる冷却管82の他端は、冷却槽80の外部に備えられる連絡管88と連絡する。連絡管88の途中に、開閉弁89が備えられている。その連絡管88の先は2股に分かれており、一方は下方に向かう方向の水排出管90となっており、他方は上方に向かう方向のガス取出し管92となっている。水排出管90は水貯留層94内に開口しており、水貯留層94にはその水貯留層94に貯留した水を容器60に再度導入するための還流管96が備えられる。
容器60内から連絡通路64を経て外部に排出される水素や蒸気は、コイル状の冷却管82を通過する間に、冷却槽80によって冷却され、連絡管88を経て、水排出管90とガス取出し管92との分岐位置に至る。水排出管90とガス取出し管92との分岐位置に至るものは、冷却槽80によって冷却された水と、水素等の気体である。ここで、冷却された水は水排出管90を経由して水貯留層94に貯留される。水素等の気体がガス取出し管92から外部に取り出される。この水素取出し装置を使用することで、水素等の気体の容積比率をより正確に測定することができる。
次に、実施例2について説明する。実施例1では、容器60内を密閉状態とし、容器60内の圧力を高圧としたが、実施例2では、容器60内を密閉状態としないものである。この実施例2についても、図5に基づいて説明する。実施例2では、容器60の出口開口部と通じるガス取出し口であるノズル66の先端は、原則として大気に開放されている状態とするものである。実施例2において、容器60内に入れる水以外のものは、実施例1と同じく、トルマリン76とアルミニウム78とである。容器60に入れるトルマリン76とアルミニウム78の容量は実施例1と同じであり、トルマリン76とアルミニウム78との混合物の容積比率は、実施例1と同じ、トルマリン76が1に対してアルミニウム78は0.2以上とする。
なお、実施例1では、容器60内を密閉にすることから、例えば10気圧以上の高圧に耐えうるものにしなければならなかったが、この実施例2では容器60内を密閉状態としない(例えば大気に連絡する)ので、容器60は10気圧以上の高圧に耐えうるものである必要はない。即ち、実施例2では、容器60として市販されている家庭用電気釜かそれに類するもの(例えば2〜3気圧程度までの圧力に耐えられるもの)を使用することが可能となる。
この実施例2では、水がトルマリンやアルミニウムと接触している状態において、常温の水を加熱手段74で加熱を開始すると、加熱の開始時から徐々に水素が発生し始める。これは、常温時と比べて加熱による水の分子の移動が始まることで、水素が発生し始めると考えられる。このように、本発明では、加熱手段74で容器60を加熱すると、容器60内の温度が30℃から、水素が発生する。30℃から80℃までは温度上昇に伴って水素の発生量が増加する。水の温度が80℃になると、水素の発生量が急に大量に増加する。加熱手段74による容器60内の水の加熱温度が80℃〜蒸発温度(創生水は蒸発温度が100℃を超える)になると、水素の発生量が更に増加する即ち、水の加熱温度を80℃〜蒸発温度とすることが最も望ましい。実施例1では、容器60内を密閉として、水の加熱温度を水の蒸発温度以上とし、容器60内の圧力を高めたが、この実施例2では、容器60内の水の加熱温度を、常温から蒸発温度(好ましくは80℃〜蒸発温度)とし、容器60内を密閉にしない状態を保ち、日常で容易に達成できる温度と圧力で、水素を容易に発生させることができるものである。水素を大量に発生させる場合には、容器60内の温度を80℃以上にすれば良いが、水素の発生を急に停止できない場合もあることから、少量の水素発生量のものを使用する場合も考えられる。このため、容器60内の温度が30℃〜80℃で、水素の発生量が少量の場合も産業上利用することができる。なお、水素の発生量は、容器60内の温度によって調節することができる。
次に、容器60内にトルマリン76とアルミニウム78と水とを入れ、容器60内を密閉にしない状態を保ち、容器60内の水を30℃〜蒸発温度に加熱した結果(測定分析成績書)を、図11乃至図14に示す。図15は、図11乃至図14を一覧表にしたものである。この実験試料に基づく分析も、前記株式会社信濃公害研究所によるものである。図11は、水として水道水を使用するものであり、図15に示した4件の最下位に該当するものである。図11は、水道水の取水量500cc、1時間加熱、採取5分、での実験結果を示す。図11や図15の最下位の実験結果には、加熱温度は記載されていない。しかし、その加熱温度は約100℃であり、その記載が漏れたものと考えられる。それは、図12乃至図14の3件の実験結果(3件とも水は創生水を使用)の加熱温度が103℃か104℃であることから、加熱温度は約100℃と想定できる。図11(図15の最下位)の分析結果は、水素40%、酸素2.0%、二酸化炭素51%、水素総量1200ml、ガス総量2900mlである。なお、図11乃至図15の測定分析成績書では、気体の%は窒素を除いた%を示している。図11(図15の最下位)の分析結果が、水素が40%で、水素総量1200mlであり、酸素が2.0%であるということは、酸素に比べて水素の発生率や発生量が高いことを示している。
次に、図12乃至図14の3件の実験結果(図15で1件目から3件目まで)の分析結果(窒素を%に含まない)について説明する。図12乃至図14の3件は、創生水を使用したものである。図12(図15の1件目)の創生水の実験結果は、圧力0.02MPa、103℃で1時間加熱、採取5分、取水量400ccの条件の基で、水素59%、酸素0.6%、二酸化炭素38%、水素総量2900ml、ガス総量5000mlである。図13(図15の2件目)の創生水の実験結果は、水素66%、酸素1.0%、二酸化炭素29%、水素総量3400ml、ガス総量5200mlである。図14(図15の3件目)の創生水の実験結果は、水素61%、酸素1.8%、二酸化炭素31%、水素総量3400ml、ガス総量5500mlである。この図12乃至図14の実験結果によれば、創生水を使用した場合の水素の発生総量(2900ml、3400ml、3400ml)は、一般の水を使用した図11の水素の発生総量(1200ml)より多いことが分る。即ち、創生水を使用した場合には、一般の水を使用した場合と比べて、約3倍の水素を発生させることができる。
以上のように、実施例2は、大気圧またはそれ以下の圧力と、30℃〜蒸発温度の水の加熱温度とで水素を発生させるものである。よって、容器60は市販されているもので良く、加熱手段も市販されている家庭用ガスコンロで良く、一般家庭にある身近な市販の製品を用いて簡単に水素を製造することができる。よって、近い将来、水素を燃料とする技術が採用されるようになった場合に、家庭にあるものを利用して家庭で簡単に水素を作ることができる。
図6乃至図9及び図11乃至図15に示す実験結果(測定分析成績書)によれば、本発明では水素を大量に発生させることができるが、それに伴って二酸化炭素も大量に発生する。水素と共に発生した二酸化炭素を除去する装置を図16に示す。この二酸化炭素除去装置は,図10に示す気体と水分とを分離する装置と連絡する装置である。図10に示す気体と水分とを分離する装置と連絡する装置においては、水蒸気と分離した水素や二酸化炭素等の気体をガス取出し管92から外部に取出している。図16に示す二酸化炭素を除去する装置では、ガス取出し管92の自由先端を、水を入れた容器102の水面下の最深部に配置する。容器102内の水に適量の水酸化ナトリウム(NaOH)を入れる。即ち、容器102内の液体を水酸化ナトリウム溶液とする。容器102内はふた104で覆い、密閉または密閉に近い状態とする。容器102内の上部(水面より上位)と外部とをガス取出し管106で連絡する。これによって、ガス取出し管92から取出される水素と二酸化炭素を主に含む気体は、水酸化ナトリウム溶液の中に導入され、水酸化ナトリウム溶液を通過し,その後、ガス取出し管106を経て、外部に取出される。
水酸化ナトリウム溶液を通過して、ガス取出し管106を経て外部に取り出された気体の実験結果(測定分析成績)を図17に示す。図17の実験結果は、6件示されおり、それら全てが水として創生水を使用したものである。図17において、上から1番目(1件目)の実験結果は、圧力0.02MPa、103℃、採取5分、創生水の取水量300ccの条件の基で、水素84%、酸素0.7%、二酸化炭素13%、水素総量4100ml、ガス総量5000mlである。2件目から6件目までは、1件目の実験とは条件が若干異なるが(気圧と取水量が若干異なるがほぼ1件目に近い値である)、1件目と同様にそれらの実験結果の要部(条件を除く)を示す。2件目の実験結果は、水素94%、酸素0.9%、二酸化炭素1.9%、水素総量5100ml、ガス総量5400mlである。3件目の実験結果は、水素98%、酸素0.4%、二酸化炭素0.5%、水素総量5300ml、ガス総量5400mlである。4件目の実験結果は、水素79%、酸素0.8%、二酸化炭素18%、水素総量3700ml、ガス総量4700mlである。5件目の実験結果は、水素86%、酸素1.6%、二酸化炭素6.3%、水素総量3500ml、ガス総量4100mlである。6件目の実験結果は、水素92%、酸素0.3%、二酸化炭素6.7%、水素総量5000ml、ガス総量5400mlである。図17における実験試料に基づく分析も、前記株式会社信濃公害研究所によるものである。
この図17の2件目の実験結果と、図15の3件目の実験結果とを比較する。図17の2件目と図15の3件目とは、圧力0.03MPa、103℃、採取5分、取水量300ccの条件は同じで、異なる点は103℃と104℃だけであり、実験の条件は同一であると考えられる。図15の3件目の実験結果は、水素61%、酸素1.8%、二酸化炭素31%、水素総量3400ml、ガス総量5500mlである。これに対して、図17の2件目の実験結果は、水素94%、酸素0.9%、二酸化炭素1.9%、水素総量5100ml、ガス総量5400mlである。これらを比較すると、水素は61%から94%に増加した。一方、二酸化炭素は31%から1.9%に大幅に減少した。また、水素総量は3400mlから5100mlに大幅に増加した。この結果、ガス取出し管92を通して取り出される気体と、その気体を水酸化ナトリウム溶液を通過させた気体とでは、水酸化ナトリウム溶液を通過させた気体では水素が大量に発生し、二酸化炭素が大幅に減少したことが分かる。
ここで、ガス取出し管92を通して取り出される気体を、水酸化ナトリウム溶液を通過させることによって、水素が大量に発生し、二酸化炭素が大幅に減少する理由について考察する。図11の水貯留層94に貯留される水を調べた結果、その水には微細なアルミニウムの分子が大量に含まれることが判明した。この点から、ガス取出し管92を通して取り出される気体の中にも、微細なアルミニウムの分子が大量に含まれると推察できる。気体の中に含まれる微細なアルミニウムの分子が、図16のタンク102内の水酸化ナトリウム溶液に触れることによって、アルミン酸ナトリウムとなり、その反応の結果、水素が更に発生する。化学反応式は以下の通りである。
NaOH + Al + H2 O → NaAlO2 + H2 ……(10)
次に、ガス取出し管92を通して取り出される気体(大量の水素と大量の二酸化炭素も含む)を、水酸化ナトリウム溶液を通過させることによって、二酸化炭素が大幅に減少する。この化学反応式は以下の通りである。
NaOH + CO2 → NaHCO3 ……(11)
この反応式で示すように、二酸化炭素は水酸化ナトリウム溶液を通過することによって、水酸化ナトリウムと反応して、炭酸水素ナトリウムとなる。即ち、二酸化炭素は炭酸水素ナトリウムに閉じ込められることになり、ガス取出し管92を通して取り出される気体に含まれる二酸化炭素を大幅に減少させることができる。
以上のように、実施例2では、容器60内にトルマリン76とアルミニウム78との混合物と水とを入れ、容器60内の水を30℃以上に加熱することによって得られる気体は、大量の水素と二酸化炭素とを含んでいるが、大量の水素と二酸化炭素とを含んでいる気体を水酸化ナトリウム溶液を収容したタンク102内を通すことによって、図17に示すように、水素を更に大量に発生させると共に、二酸化炭素を大幅に減少させることができ、実用に適するものである。
前記実施例1や実施例2においては、容器60内に水とトルマリン76とアルミニウム78とを入れたものを示した。この実施例3は、容器60a内に、水とトルマリン76とアルミニウム78を入れるが、その他に、容器60a内に炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムを入れるものである。即ち、容器60a内の水に炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムを混合する。または、容器60a内に炭酸水素ナトリウム溶液または炭酸ナトリウム溶液を入れる。容器60a内に入れた水から一定量の水素が発生すると、容器60a内に水が存在するのにそれ以上は水素が発生しなくなる。これは、水の電気分解によってアルミニウム78の表面が黒く酸化(電着)して、アルミニウム78の働きが無くなり、水の電気分解の働きが阻害されると考えられる。この不具合を解消するために、容器60内の水に炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムを入れ、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムによってアルミニウム78の表面の酸化を防止する。これによって、容器60内の水から水素を継続的に発生させることができる。なお、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムの投入量は、アルミニウム78が酸化して、その表面が酸化して黒く変色するのを防止する適量であることが望ましい。
炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムを容器60内の水と混合することによって、アルミニウム78の酸化を防止して、水素の長時間の発生を確保できる。しかし、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムを用いることで、二酸化炭素の発生量が増大する。この大量に発生する二酸化炭素は、図16に示す二酸化炭素除去装置によって除去することができる。
実施例3では、図5の容器60内に炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムを入れたが、それに代えて、あるいはそれと共に、容器60内の水に水酸化ナトリウムを入れる(実施例4)。水に炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムを混合すると水素の発生時間は長くなるが、単位時間当たりの水素の発生量が少なくなる。このため、単位時間当たりの水素の発生量を多くするために、水酸化ナトリウムを加える。容器60内の水の中に水酸化ナトリウムを入れても良いし、容器60内に入れる水を水酸化ナトリウム溶液としても良い。この際、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムを必ずしも混合しなくても良い。
次に、本発明の実施例5を図18に基づいて説明する。図18において図5と同一符号は同一部材を示す。実施例1(図5)では容器60の底にトルマリン76とアルミニウム78を1層だけ収容したものを示した。この実施例5の図18では、容器60aの内部の底より上方に上下に多段の棚108を備え、各棚108の上に多数の小さい粒のトルマリン76と多数の小片のアルミニウム78を載せる。多数の各棚108には、トルマリン76とアルミニウム78が下方に落下せず、水や空気が通過する程度の大きさの孔(図示せず)を多数設ける。図18において、容器60aの裏側の側面に棚108を出し入れする扉(図示せず)が設けられているが、ここではその図示を省略する。各棚108の上のトルマリン76とアルミニウム78の上に炭酸ナトリウムまたは炭酸水素ナトリウムの粉を振り掛け、それらを混合させる。これによって、炭酸ナトリウムまたは炭酸水素ナトリウムの粉でアルミニウム78の表面が覆われる。なお、前もってアルミニウム78の表面を炭酸ナトリウムまたは炭酸水素ナトリウムの粉で覆ったものを、トルマリン76と共に棚108の上に載せても良い。
容器60a内には外部から容器60a内に水を供給するための水供給管110の一端が挿入されており、その水供給管110の先端は容器60aの底部よりやや上方に位置するように設定されている。水供給管110の途中には電磁弁112が備えられる。電磁弁112は、容器60a内の水が蒸発して減少した際に、水供給管110から容器60a内に水を供給するものである。容器60a内は、その底部付近を加熱手段74によって加熱されるように設定される。容器60a内の底部に溜まる水の高さは、常に低く保つように、電磁弁112によって水供給管110から容器60a内への水の供給量が調整され、水供給管110から容器60a内に供給された水は、速やかに加熱手段74によって蒸発するようにする。このように、容器60a内に供給された水が速やかに蒸発することによって、間断なく水素を発生させることができる。
容器60a内で加熱されて蒸発した蒸気は、最下段の棚108から最上段の棚108まで順次上昇し、各段の棚108の上のトルマリン76とアルミニウム78に接触し、トルマリン76とアルミニウム78と蒸気(水)とによって水素を発生する。アルミニウム78は、炭酸ナトリウムまたは炭酸水素ナトリウムによってその表面を覆われているので、アルミニウム78に電着が発生することがなく、長時間にわたって水素を発生させることができる。
ここで、実施例5における実験結果(測定分析成績書)を、図19乃至図23に基づいて説明する。図23は、図19乃至図22を一覧表にしたものである。図19乃至図22は、容器60a内にトルマリン76とアルミニウム78と水とを入れ、容器60a内を大気と連絡した状態を保ち、容器60a内の水を100℃前後(80℃〜蒸発温度の範囲内)に加熱したものである。この実験試料に基づく分析も、前記株式会社信濃公害研究所によるものである。
図23の実験結果は4件示されおり、そのうち最初の2件(図19及び図20)が創生水を使用したものであり、残りの2件(図21及び図22)が水道水を使用したものである。図19乃至図22の全てにおいて、水に水酸化ナトリウムと炭酸ナトリウムとを加えたものである。水酸化ナトリウムと炭酸ナトリウムの混合重量は、水100に対して、水酸化ナトリウムと炭酸ナトリウムとの合計が0.1以上であれば良いが、合計が5〜10であることが望ましい。図19(図23の上から1番目)の水は、創生水に水酸化ナトリウムと炭酸ナトリウムとを加えたものである。その水を容器60a内に100cc入れ、採取3分、100℃、圧力0.08MPaの条件の基で、水素99%、酸素0.2%、二酸化炭素0.0%、水素総量21.4L、ガス総量21.7Lの分析結果を得た。図20(図23の上から2番目)の水は、創生水に、水酸化ナトリウムと炭酸ナトリウムとを加えたものである。その水を容器60a内に100cc入れ、採取3分、100℃、圧力0.08MPaの条件の基で、水素99%、酸素0.1%、二酸化炭素0.0%、水素総量21.4L、ガス総量21.6Lの分析結果を得た。
図21(図23の上から3番目)の水は、水道水に、水酸化ナトリウムと炭酸ナトリウムとを加えたものである。その水を容器60a内に100cc入れ、採取3分、100℃、圧力0.07MPaの条件の基で、水素99%、酸素0.2%、二酸化炭素0.0%、水素総量9.0L(リットル)、ガス総量9.1L(リットル)の分析結果を得た。図22(図23の上から4番目)の水は、水道水に、水酸化ナトリウムと炭酸ナトリウムとを加えたものである。その水を容器60a内に100cc入れ、採取3分、100℃、圧力0.07MPaの条件の基で、水素99%、酸素0.1%、二酸化炭素0.0%、水素総量12.2L、ガス総量12.3Lの分析結果を得た。なお、図23の4件の実験結果において、単位は体積%であり、窒素を除いたものである。水素の体積は、0℃、1気圧での値である。また、二酸化炭素、一酸化炭素、メタンは、0.1%以下であった。図19乃至図23における実験試料に基づく分析も、前記株式会社信濃公害研究所によるものである。
図23に示す4件の実験結果によれば、4件とも大量の水素を発生させることできることが明らかである。また、水に水道水を使用した場合(図23の3件目と4件目)の水素の発生総量は、9.0Lや12.2Lであるのに対し、水に創生水を使用した場合(図23の1件目と2件目)の水素の発生総量は共に21.4Lであり、水に水道水よりも創生水を使用した場合には、より多くの水素を発生させることが分かる。なお、図23に示す4件の実験は、100℃での実験であり大量の水素を発生するが、30℃以上であれば少量の水素を発生する。
図18の容器60aから発生した水素を含む気体を、容器60aの上方から連絡通路64を経由して図24に示す容器60b内に導入しても良い。図24に示す容器60bは、図18の容器60aと同様の形状をしており、内部に上方から下方にかけて多段の棚108を設け、各棚108の上にトルマリン76とアルミニウム78を載せる。各棚108の上に炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムを載せて、それらとトルマリン76とアルミニウム78とを混合させるのが望ましい。
図18の容器60aから出た水蒸気を含んだ気体は、図24の容器60b内の最下位の位置に導入する。容器60bを加熱手段74で加熱するため、容器60b内に導入された水蒸気を含んだ気体は加熱されて下方から上方に向けて移動する。容器60b内に導入された水蒸気を含んだ気体は、各棚108の上に載せられたトルマリン76とアルミニウム78に順次接触して上方に至り、その後、連絡通路65を経て外部に取り出される。図18の容器60aから出た気体は、図24に示す複数の容器60bを経由するようにしても良い。図16に示す容器60aや図24に示す容器60bから出た気体には、水素だけでなく、窒素や酸素や二酸化炭素等が含まれているが、二酸化炭素の分離は図16の二酸化炭素除去装置に関連して説明してあり、水素を酸素や窒素と分離することが可能であるが、ここではその説明を省略する。
次に、本発明の他の実施例(実施例6)を図25に基づいて説明する。実施例6の容器60cは、図18と同じ形状である。容器60cの内部に上下に多段の棚108を備え、各棚108の上に多数の小さい粒のトルマリン76と多数の小片のアルミニウム78を載せる。多数の各棚108には、トルマリン76とアルミニウム78が下方に落下せず、水や空気が通過する程度の大きさの孔(図示せず)を多数設ける。各棚108の上のトルマリン76とアルミニウム78の上に炭酸ナトリウムまたは炭酸水素ナトリウムの粉を振り掛け、それらを混合させる。これによって、炭酸ナトリウムまたは炭酸水素ナトリウムの粉でアルミニウム78の表面が覆われる。なお、前もってアルミニウム78の表面を炭酸ナトリウムまたは炭酸水素ナトリウムの粉で覆ったものを、トルマリン76と共に棚108の上に載せても良い。この実施例6では、容器60cの開口部は、大気に開放した状態である。
実施例5は、水を容器60a内の底部付近に導入し、容器60aの底部の水を加熱手段74で加熱蒸発させるものである。これに対して実施例6は、容器60c内の最上部の棚108の上方に、シャワーのように最上部の棚108の全域に水を平均的に噴射散布する水噴射手段114を設け、水噴射手段114からシャワーのように水を下方に向けて噴射させるものである。容器60cの全体をほぼ均等に加熱するために、容器60cの底面と側面の外側を加熱手段としての電気ヒーター116で覆う。その電気ヒーター116の外側を断熱材118で覆う。
容器60cの底にアルミニウムプレート120を敷き、そのアルミニウムプレート120の上にトルマリン76を載せる。アルミニウムプレート120を敷いたことにより、小片のアルミニウム78を備えたものと比べて、トルマリン76を多く容器60の底に備えることができる。なお、アルミニウムプレート120に代えて、図5に示したものと同様に、容器60cの底にトルマリン76と共に多数のアルミニウム78の片を収容するようにしても良い。
実施例6では、容器60c内の上部の水噴射手段114からシャワーのように水を下方に向けて噴射させる。水噴射手段114から噴射された水は、最上部の棚108の上のトルマリン76やアルミニウム78やそれらの上に振り掛けられた炭酸ナトリウムまたは炭酸水素ナトリウム等を経由して、次の段の棚108に至り、順次下方の棚108に至り、最終的には、容器60cの底のアルミニウムプレート120の上に至る。電気ヒーター116によって容器60c内全体を平均的に加熱し、水噴射手段114から噴射された水が容器60cの底のアルミニウムプレート120に到達する時点でほぼ全部が蒸発するように、水噴射手段114からの水の噴射量と電気ヒーター116の加熱温度を設定する。これによって、容器60c内に噴射した水は、容器60cの底に落下する前後に蒸発するので、容器60c内に噴射された水の蒸発効率が良い。
水噴射手段114から容器60c内に噴射散布する水は、一般の水か、創生水か、それら2種類のいずれかの水に水酸化ナトリウムを溶かした水酸化ナトリウム溶液を用いる。水酸化ナトリウム溶液は、水の重量100に対して、水酸化ナトリウムの重量0.1以上であればどれだけでも良い。水酸化ナトリウムの重量は1〜10が経済的に望ましい。水酸化ナトリウムの重量が10以上であっても良いが、水酸化ナトリウムの重量が多くても効果は同じである。
図25に示す容器60c内で発生する水素について、図26に基づいて説明する。図26は、水道水を基本とした8種類の水と、創生水を基本とした8種類の水とについて、発生する水素の全体容積の%と水素総量(ml)についての一覧表である。図26においては、16件の測定分析の結果を示すものであり、1件目から8件目までを水道水を基本とした水を使用した測定分析結果であり、9件目から16件目までを創生水を基本とした水を使用した測定分析結果である。また、16件全部が、100℃、0.08MPa、採取1分に基づく結果である。温度が100℃で圧力が0.08MPaの下で実験したことが、一覧表である図26には記載されていないが、図26の16件のうち、代表的な6件を図27乃至図32に示し、それらの図27乃至図32に、温度が100℃で圧力が0.08MPaの下で実験したことが示されている。
水(水道水や創生水)に例えば炭酸水素ナトリウム等の単体を加えたものは、水の重量100に対し例えば炭酸水素ナトリウムの重量は、0.1%以上のものとする。更に、水(水道水や創生水)に例えば2種類以上のもの例えば炭酸ナトリウムと水酸化ナトリウム等を加えたものは、水の重量100に対し例えば炭酸ナトリウムと水酸化ナトリウムとの重量は、0.1%以上のものとする。同じく3種類以上のものの場合には、水の重量100に対し3種類以上のものの重量の合計が0.1%以上のものとする。
図26において、1件目は、容器内に投入する水を水道水単独とし、ガス総量590mlのうちの水素は44%、水素総量は260mlである。この1件目に相当する個別の測定分析成績書が図27である。この図27の試料名の欄に、「水道水100%、採取1分、100℃、0.08MPa」と記載されている。図27を示したのは、図26の1件目では、温度が100℃で圧力が0.08MPaの下で実験したことを明らかにするためである。なお、図28乃至図32を示したのは、図26の16件の測定が、温度が100℃で圧力が0.08MPaの下で実験したことを示すためのものである。図26の2件目は、容器内に投入する水を水道水に炭酸水素ナトリウムを加えたものとし、ガス総量530mlのうちの水素は11%、水素総量は58mlである。図26の3件目は、容器内に投入する水を水道水に炭酸水素ナトリウムを加えたものとし、ガス総量1700mlのうちの水素は28%、水素総量は490mlである。図26の4件目は、容器内に投入する水を水道水に炭酸水素ナトリウムと炭酸ナトリウムとを加えたものとし、ガス総量220mlのうちの水素は20%、水素総量は44mlである。図26の5件目は、容器内に投入する水を水道水に水酸化ナトリウムを加えたものとし、ガス総量4100mlのうちの水素は97%、水素総量は4000mlである。図26の1件目から8件目までのうち、水酸化ナトリウムのみを加えたこの5件目が水素総量が4000mlと最大である。図28は図26の5件目に該当するものである。図26の6件目は、容器内に投入する水を水道水に炭酸ナトリウムと水酸化ナトリウムを加えたものとし、ガス総量2900mlのうちの水素は84%、水素総量は2400mlである。図29は図26の6件目に該当するものである。図26の7件目は、容器内に投入する水を水道水に炭酸水素ナトリウムと水酸化ナトリウムを加えたものとし、ガス総量1800mlのうちの水素は87%、水素総量は1600mlである。図26の8件目は、容器内に投入する水を水道水に炭酸水素ナトリウムと水酸化ナトリウムと炭酸ナトリウムを加えたものとし、ガス総量3400mlのうちの水素は61%、水素総量は2100mlである。
図26において、その9件目は、容器内に投入する水を創生水単独とし、ガス総量1300mlのうちの水素は71%、水素総量は940mlである。図30はこの図26の9件目に該当するものである。図26の10件目は、容器内に投入する水を創生水に炭酸水素ナトリウムを加えたものとし、ガス総量1300mlのうちの水素は37%、水素総量は490mlである。図26の11件目は、容器内に投入する水を創生水に炭酸ナトリウムを加えたものとし、ガス総量1900mlのうちの水素は37%、水素総量は700mlである。図26の12件目は、容器内に投入する水を創生水に炭酸水素ナトリウムと炭酸ナトリウムとを加えたものとし、ガス総量970mlのうちの水素は59%、水素総量は570mlである。図26の13件目は、容器内に投入する水を創生水に水酸化ナトリウムを加えたものとし、ガス総量8500mlのうちの水素は96%、水素総量は8100mlである。図26の図31はこの13件目に該当するものである。図26の9件目から16件目までのうち、水酸化ナトリウムのみを加えたこの13件目が水素総量が8100mlと最大である。図26の14件目は、容器内に投入する水を創生水に炭酸ナトリウムと水酸化ナトリウムを加えたものとし、ガス総量6600mlのうちの水素は97%、水素総量は6400mlである。図32は図26の14件目に該当するものである。図26の15件目は、容器内に投入する水を創生水に炭酸水素ナトリウムと水酸化ナトリウムを加えたものとし、ガス総量5400mlのうちの水素は96%、水素総量は5200mlである。図26の16件目は、容器内に投入する水を創生水に炭酸水素ナトリウムと水酸化ナトリウムと炭酸ナトリウムを加えたものとし、ガス総量2900mlのうちの水素は86%、水素総量は2500mlである。図26における実験試料に基づく分析も、前記株式会社信濃公害研究所によるものである。
図26の測定分析成績書からは以下のことが分かる。使用する水が水道水の場合と創生水の場合とでは、水素%も水素総量も、創生水の方が格段に多いことが分かる。図26の測定分析成績書からは、更に次のことが分かる。図26の1件目は、容器内に投入する水は水道水であり、図26の5件目は、容器内に投入する水は水道水+水酸化ナトリウムである。図26の1件目の水素%は44%であり、酸素%は12%であるのに対し、図26の5件目の水素%は97%であり、酸素%は0.7%である。以上のことから、トルマリン76とアルミニウム76に接触させるものを水道水のみとした場合と、水道水に水酸化ナトリウムを加えた水酸化ナトリウム溶液とした場合とでは、水素%は格段に増加し、酸素%は格段に減少する。即ち、トルマリン76とアルミニウム76に接触させる水に水酸化ナトリウムを加えることで、酸素%が減少する。これは、創生水に水酸化ナトリウムを加えることで、水素を発生させる際の水素の発生率を増大させると共に、酸素を大幅に減少させ、水素を取り出す際の酸素除去の効率を高めるものである。
水に水酸化ナトリウムを加えることで、水素%は格段に増加し、酸素%は格段に減少することが正しいことを、図26の9件目と図26の13件目に基づいて明らかにする。図26の9件目と図26の13件目において、容器内に投入する水は創生水であり、図26の9件目は創生水のみを使用し、図26の13件目は創生水+水酸化ナトリウムを使用する。
図26の9件目の水素%は71%であり、酸素%は6.0%であるのに対し、図26の13件目の水素%は96%であり、酸素%は0.9%である。以上のことから、トルマリン76とアルミニウム76に接触させるものを創生水のみとした場合と、創生水に水酸化ナトリウムを加えた水酸化ナトリウム溶液とした場合とでは、水素%は格段に増加し、酸素%は格段に減少する。即ち、トルマリン76とアルミニウム76に接触させる創生水に水酸化ナトリウムを加えることで、酸素%が減少する。これは、創生水に水酸化ナトリウムを加えることで、水素を発生させる際の水素の発生率を増大させると共に、酸素を大幅に減少させ、水素を取り出す際の酸素除去の効率を高めるものである。
また、水に水酸化ナトリウムを加えた場合(炭酸水素ナトリウムや炭酸ナトリウムを混合させた場合であっても)、水単独よりも、水素%も水素総量が格段に多いことが分かる。水に水酸化ナトリウムを入れないで、炭酸水素ナトリウムや炭酸ナトリウムを入れた場合には、水単独よりも、水素%も水素総量も少ないことが分かる。但し、炭酸水素ナトリウムや炭酸ナトリウムは、アルミニウムの酸化を防止して、水素の発生時間を長くする働きがある。水素総量を増大させるためには、図26の5件目並びに13件目から分かるように、使用する水として、水に水酸化ナトリウムを加えた水酸化ナトリウム溶液を使用することが望ましい。また、水素総量をある程度増大させるとともに、水素の発生時間を長くするためには、図26の6件目、7件目、8件目、14件目、15件目及び16件目から分かるように、水酸化ナトリウム溶液に炭酸水素ナトリウムか炭酸ナトリウムの少なくとも1方を加えたものを使用しても良い。
以上のように図26の測定分析成績書から、100℃で一般の水(例えば水道水)を使用しても、水素を発生させることができる。水道水に代えて創生水を使用すれば、より多くの水素を発生させることができる。水道水でも創生水でも、水酸化ナトリウムを加えた水酸化ナトリウム溶液を使用すれば、より多くの水素を発生させることができる。なお、30℃以上であれば、水素を少量発生させることができる。
なお、図25においては、容器60c内に上下に多数の棚108を備え、その棚108の上に粒状のトルマリン76や粒状または小片のアルミニウム78を多数備え、上方から下方に向けて水酸化ナトリウム水溶液を落下させた。しかし、これに代えて、容器60c内に棚108を備えないで、容器60c内の底に粒状のトルマリン76や粒状または小片のアルミニウム78を多数入れ、粒状のトルマリン76やアルミニウム78を覆う高さまで水酸化ナトリウム水溶液を入れるようにしても良い。