JP2011025484A - 多色感熱記録材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】十分な発色濃度と色分離性、更に長時間の耐光、耐熱湿試験後の印字部及び地肌部の保存安定性に優れた多色感熱記録材料を提供することである。
【解決手段】支持体上に、黒発色する染料前駆体と顕色剤を含有する第1感熱発色層を設け、更に該第1感熱発色層上に、黒発色とは異なる色調に発色する染料前駆体と顕色剤を含有する第2感熱発色層を設けた多色感熱記録材料において、前記第1感熱発色層中に無機層状化合物を含有することを特徴とする多色感熱記録材料。
【選択図】なし

Description

本発明は、十分な発色濃度と色分離性、更に、長時間の耐光、耐熱湿試験後の印字部及び地肌部の保存安定性に優れた多色感熱記録材料に関するものである。
無色乃至は淡色のロイコ染料と有機または無機の顕色剤との呈色反応を利用し、熱により両発色物質を接触せしめて発色像を得るようにした感熱記録材料はよく知られている。かかる感熱記録材料は比較的安価であり、また記録機器がコンパクトで且つその保守も比較的容易であるため、ファクシミリや各種プリンタ等の記録媒体としてのみならず、幅広い分野において使用されている。
このような感熱記録材料の発色画像は、黒発色を始めとして、赤発色、青発色、緑発色等の単色のものや、フルカラーや2色発色のような多色の感熱記録材料も知られている。多色記録手段のうち、2色発色では特に赤黒2色感熱記録材料が実用化されており、強調したい文字や図形を他の部分と異なる色調によって顕著に明確に表示できる等の利点がある。しかし、これまでに提案されている赤黒2色感熱記録材料は、記録感度と色分離性の両立や、印字及び白紙保存性(耐熱、耐湿、耐光性)に関して、必ずしも満足の得られるものではなかった。特に、赤の色調としては朱肉のような鮮やかな赤色に発色する感熱記録材料が一般的には望まれているが、従来の感熱記録の分野においては、これらの鮮明な朱肉の赤色を呈する多色感熱記録材料はなかった。
多色記録系として、これまでに加熱温度の差、または熱エネルギーの差を利用する試みがなされ、種々の多色感熱記録材料が提案されている。一般に、多色感熱記録材料は、支持体上に、異なる色調に発色する高温発色層と低温発色層を順次積層して構成されたものであって、これらを大別すると消色型(特許文献1、2、3参照)と加色型(特許文献4、5、6、7参照)の2種類、及びマイクロカプセルを用いた方法(特許文献8、9、10、11、12を参照)が開示されている。また、本出願人による、有機高分子と染料前駆体とからなる複合粒子を使用する方法(特許文献13、14、15参照)も開示されている。更に、染料前駆体を、不飽和炭素結合を有する化合物で重合した発色調節層で覆い、且つ感熱記録層中に、発色調節層を表面に有さない特定の赤発色性染料前駆体と特定の電子受容性顕色剤を含有させる方法が開示されている(特許文献16参照)。更にまた、多色感熱記録材料の高温発色層の顕色剤として、ジフェニルスルホン架橋型化合物を含有方法も開示されている(特許文献17参照)。
消色型多色感熱記録材料は、低温発色層に対して充分な消色効果を得るために多量の消色剤を添加する必要がある。多量に添加された消色剤の作用により記録画像が長期保存中に退色したり、消色剤を溶融させるための熱量が余分に必要となるため、サーマルヘッドに過度の負担がかかる等の問題があり、画像記録の信頼性や記録感度等の点に関し、必ずしも満足の得られるものではなかった。
加色型多色感熱記録材料には、支持体に高温発色層と低温発色層を順次積層した感熱発色層が別々の層に分離された多層構造のものと、高温または低温で発色する素材の、少なくとも一方が、マイクロカプセル等で隔離された単層構造を有するものが代表例として挙げられる。多層構造のものは、異なる色調に発色する2層の発色層を積層し、異なる熱量を与えることにより識別可能な2色を得る方法である。低温では上層の発色層が発色し、高温では上下両発色層が発色して、両者の色の混合色調の画像が得られるため、下層発色層を黒色発色系とする場合に適している。加色型多色感熱記録材料においては、消色剤を用いないため、記録像の長期保存性に優れ、且つ比較的安価に製造できるという利点があり、また消色剤を溶融するための余分な熱を必要としないので消色型に比べて、低エネルギーで高温発色層を発色させることができるという長所がある。しかしながら加色型多色感熱記録材料は、低温発色時に熱量を与え過ぎると高温発色層も一部発色するために混色が起こり、低温発色画像が鮮明になり難いといった問題があった。また、同一発色層内に、発色色調が異なり、且つ平均粒子径の異なる2種類以上の染料前駆体を混在させる方法も記載されているが、やはり低温発色時に混色が避けられないという問題があった。
感熱発色層が単層構造のものには、マイクロカプセルで低温、高温印字の色分離を行うものがあり、これらの方法は染料前駆体が相互にカプセル壁膜で隔離されているため、色分離性は良いが、マイクロカプセル内に染料前駆体を溶解または乳化した油性液体が内包されており、取扱い時の圧力や摩擦によりカプセルが破壊されて地肌着色が発生する欠点がある。
更に、単層構造のもので、染料前駆体を、不飽和炭素結合を有する化合物で重合した発色調節層で覆い、且つ感熱記録層中に、発色調節層を表面に有さない特定の赤発色性染料前駆体2種と特定の電子受容性顕色剤を含有させる方法では、朱色に近い赤発色色調は得られるものの、単層構造であるために、依然として色分離性が不十分であったり、赤発色性染料前駆体2種併用による融点降下の影響で地肌カブリが発生する欠点がある。
一方、耐可塑剤性、耐光性、及び印字画質を向上させたり、光沢度の高い記録材料を得るために、いずれかの層に無機層状化合物を使用する方法が開示されている。例えば、下塗り層に雲母を添加する方法(特許文献18参照)、中間層に雲母を添加する方法(特許文献19、20参照)、感熱記録材料を構成するいずれかの層に雲母を添加する方法(特許文献21参照)等が提案されている。しかしながら、特許文献18に記載の方法では、下塗り層用塗液が増粘して、支持体との密着性が悪化したり、また特許文献19、20及び21に記載の方法でも、ある程度の効果はあるものの、表面強度が低下して印刷適性が劣ったり記録感度が低下するといった欠点があり、また耐光性の改善効果も不十分であった。
特開昭50−17865号公報 特開昭57−14320号公報 特開平2−80287号公報 特公昭49−27708号公報 特公昭51−19989号公報 特開昭51−146239号公報 特開昭56−99697号公報 特開昭57−12695号公報 特公昭49−70号公報 特開昭59−214691号公報 特公平4−4960号公報 特開平4−101885号公報 特開平9−263057号公報 特開平10−226175号公報 特開平10−95173号公報 特開2006−281473号公報 特開2001−162951号公報 特開平11−5366号公報 特開平10−193789号公報 特開2004−216718号公報 特開2001−199163号公報
本発明の課題は、十分な発色濃度と色分離性、更に長時間の耐光、耐熱湿試験後の印字部及び地肌部の保存安定性に優れた多色感熱記録材料を提供するものである。
本発明者等は、上記課題を種々検討した結果、支持体上に、黒発色する染料前駆体と顕色剤を含有する第1感熱発色層を設け、更に該第1感熱発色層上に、黒発色とは異なる色調に発色する染料前駆体と顕色剤を含有する第2感熱発色層を設けた多色感熱記録材料において、前記第1感熱発色層中に無機層状化合物を含有するにより、上記の課題が解決することを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、以下の感熱記録材料を提供するものである。
項1:支持体上に、黒発色する染料前駆体と顕色剤を含有する第1感熱発色層を設け、更に該第1感熱発色層上に、黒発色とは異なる色調に発色する染料前駆体と顕色剤を含有する第2感熱発色層を設けた多色感熱記録材料において、前記第1感熱発色層中に無機層状化合物を含有することを特徴とする多色感熱記録材料。
項2:前記無機層状化合物が水膨潤性雲母である項1に記載の多色感熱記録材料。
項3:前記第2感熱発色層中のみに、紫外線吸収剤として2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールを含有する項1または2に記載の多色感熱記録材料。
項4:前記第1感熱発色層中の、黒発色する染料前駆体が3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオランである項1〜3のいずれか1項に記載の多色感熱記録材料。
項5:前記第1感熱発色層中に、球状プラスチック樹脂粒子または中空プラスチック樹脂粒子を含有する項1〜4のいずれか1項に記載の多色感熱記録材料。
項6:前記第2感熱発色層中の、黒発色とは異なる色調に発色する染料前駆体として、赤系発色性染料前駆体である3,3−ビス(1−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリドを含有する項1〜5のいずれか1項に記載の多色感熱記録材料。
項7:前記第1感熱発色層及び第2感熱発色層の、それぞれの主たる顕色剤が同一化合物であり、該化合物が、N−p−トルエンスルホニル−N’−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレア、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン、3,3’−ジアリル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、及び4−ヒドロキシ−4’−アリルオキシジフェニルスルホンから選ばれる少なくとも1種以上である項1〜6のいずれか1項に記載の多色感熱記録材料。
項8:前記第2感熱発色層中に、更にポリウレア及びポリウレア−ポリウレタンより選ばれる少なくとも1種以上の有機高分子と黒発色する染料前駆体とからなる複合粒子を含有する項1〜7のいずれか1項に記載の多色感熱記録材料。
項9:前記第1感熱発色層及び第2感熱発色層が、それぞれカーテン塗布法により塗布乾燥して形成される項1〜8のいずれか1項に記載の多色感熱記録材料。
項10:前記第1感熱発色層及び第2感熱発色層が、同時多層カーテン塗布法により塗布乾燥して形成される項1〜8のいずれか1項に記載の多色感熱記録材料。
本発明によれば、十分な発色濃度と色分離性及び長時間の耐光、耐熱湿試験後の印字部及び地肌部の保存安定性に優れた多色感熱記録材料を提供することができる。
以下、本発明に係る多色感熱記録材料について詳細に説明する。本発明では、支持体上に、黒発色する染料前駆体と顕色剤を含有する第1感熱発色層を設け、更に該第1感熱発色層上に、黒発色とは異なる色調に発色する染料前駆体と顕色剤を含有する第2感熱発色層を設けた多色感熱記録材料において、前記第1感熱発色層中に無機層状化合物を含有し、必要に応じて、その他感熱記録紙分野で従来より公知の接着剤、白色顔料、保存性向上剤等を含有した感熱発色層を、支持体上に形成させてなるものである。
本発明で使用する無機質の層状化合物としては、一般式;A(B,C)2−510(OH,F,O)[但し、AはK,Na,Caの何れか、B及びCはFe(II)、Fe(III)、Mn、Al、Mg、Vの何れかであり、DはSiまたはAlである]で表される雲母群、一般式;3MgO・4SiO・HOで表されるタルク、一般式;(HO)(OH)MgSi1230・6〜8HOで表されるセピオライト、テニオライト、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ナトリウムヘクトライト、リン酸ジルコニウム等が挙げられる。
上記雲母群においては、天然雲母としては白雲母、ソーダ雲母、金雲母、黒雲母及び鱗雲母が挙げられる。また、合成雲母としては、フッ素金雲母KMg(AlSi10)F、カリ四珪素雲母KMg2.5(Si10)F等の非膨潤性雲母、及びNaテトラシリリックマイカNaMg2.5(Si410)F、NaまたはLiテニオライト(Na,Li)MgLi(Si10)F、モンモリロナイト系のNaまたはLiヘクトライト(Na,Li)1/8Mg2/5Li1/8(Si10)F、ナトリウム四珪素雲母等の水膨潤性雲母等が挙げられる。更に、合成スメクタイトも有用である。
本発明においては、上記の無機質の層状化合物の中でも、合成の無機層状化合物であるフッ素系の水膨潤性雲母が特に有用である。
前記無機層状化合物のアスペクト比としては、20以上が好ましく、100以上がより好ましく、200以上が特に好ましい。アスペクト比とは、無機層状化合物の粒子の直径に対する厚さの比である。
前記無機層状化合物の粒子径としては、その平均直径が0.3〜20μm程度であることが好ましく、0.5〜10μm程度であることがより好ましく、1〜5μm程度であることが特に好ましい。該無機層状化合物の平均の厚さとしては、0.1μm以下が好ましく、0.05μm以下がより好ましく、0.01μm以下が特に好ましい。
前記無機層状化合物の含有量は、感熱発色層の全固形分に対して0.1〜8質量%程度、より好ましくは0.5〜6質量%程度である。含有量が、0.1質量%未満では本発明の効果が十分ではなく、逆に8質量%を超えると塗液の粘度が高くなり過ぎたり、記録感度や塗膜強度が低下したりする。
本発明によれば、第1感熱発色層中に特定の無機層状化合物を含有させることにより、均一且つ緻密で平滑性の高い層を形成することができるため、第1感熱発色層と第2感熱発色層の層間分離性が向上して十分な発色濃度と色分離性が得られる。更に、層間分離性が向上して各感熱発色層の機能が十分に発揮されるため、長時間の耐光、耐熱湿試験後の地肌部及び印字部の保存安定性も向上する。
本発明では、第1感熱発色層中の黒発色する染料前駆体として、各種公知のものが使用できるが、融点200℃以上であるものが色分離性の観点から特に好ましい。例えば、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−(p−トルイジノ)フルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン、3−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン)、及び3−(4−ジメチルアミノ)アリニノ−5,7−ジメチルフルオラン等が挙げられるが、高感度、耐光性に優れるという理由で、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオランがより好ましい。本発明で使用される染料前駆体はこれらに限定されるものではなく、2種以上を併用することもできる。また、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、黒発色系以外に青発色系、緑色系、黄発色系、赤発色系の染料前駆体を添加しても差し支えない。かかる染料前駆体の使用量としては、第1感熱発色層の全固形分に対して3〜30質量%程度である。
また、第1感熱発色層中に、球状プラスチック樹脂粒子もしくは中空プラスチック樹脂粒子を含有させることにより、黒発色と、黒とは異なる色調に発色する色とのコントラストを向上させ、且つ黒とは異なる色調に発色する色の保存性、特に可塑剤や油等の耐薬品性を大きく向上させることが可能となった。かかるプラスチック樹脂粒子は、ポリスチレンを主体構造とする樹脂粒子であり、単量体としてはスチレンを主成分とし、αーメチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類、アクリロニトリル等のビニルシアン化合物、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル化合物を使用してなる樹脂粒子である。また、その粒子径は記録感度と画質の点で0.2〜3.0μm程度が好ましい。本発明で使用されるプラスチック樹脂粒子の含有量は、第1感熱発色層の全固形分の5〜30質量%程度、好ましくは10〜20質量%程度であり、含有量が、5質量%未満では耐薬品性改良効果が乏しく、30質量%を越えると発色能が低下するため好ましくない。
本発明では、画像安定性を向上させるために、第1感熱発色層中に、下記一般式(1)で示されるジフェニルスルホン架橋型化合物の少なくとも1種を含有することが好ましい。
Figure 2011025484
(但し、nは1〜7の整数を表わす)
第1感熱発色層において使用される前記ジフェニルスルホン架橋型化合物の含有量としては特に限定されないが、染料前駆体の合計100質量部に対して、100〜1000質量部程度、好ましくは100〜500質量部程度が好ましい。第1感熱発色層中に前記ジフェニルスルホン架橋型化合物を含有することにより、黒発色部、及び第2感熱発色層中の複合粒子とは異なる色調に発色する固体染料微粒子由来の発色部の耐薬品性を向上させることができる。
本発明において、第1感熱発色層及び第2感熱発色層に使用される顕色剤としては、各種公知の化合物を使用することができる。かかる顕色剤の具体例としては、例えば、4−tert−ブチルフェノール、4−アセチルフェノール、4−tert−オクチルフェノール、4,4’−sec−ブチリデンジフェノール、4−フェニルフェノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−イソプロピリデンジフェノール、4,4’−シクロヘキシリデンジフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルサルファイド、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−アリルオキシジフェニルスルホン、3,3’−ジアリル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、及びビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸メチル等のフェノール性化合物、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシフタル酸ジメチル、4−ヒドロキシ安息香酸メチル、4−ヒドロキシ安息香酸プロピル、4−ヒドロキシ安息香酸−sec−ブチル、4−ヒドロキシ安息香酸フェニル、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、4−ヒドロキシ安息香酸トリル、4−ヒドロキシ安息香酸クロロフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル等のフェノール性化合物、または安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、トリクロル安息香酸、テレフタル酸、サリチル酸、3−tert−ブチルサリチル酸、3−イソプロピルサリチル酸、3−ベンジルサリチル酸、3−(α−メチルベンジル)サリチル酸、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸等の芳香族カルボン酸、及びこれらフェノール性化合物、芳香族カルボン酸と例えば亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム等の多価金属との塩等の有機酸性物質、N−p−トルエンスルホニル−N’−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレア、N−(p−トルエンスルホニル)−N’−(p−ブトキシカルボイル)ウレア、N−p−トリルスルホニル−N’−フェニルウレア等のウレア化合物が挙げられる。
これら顕色剤のうち、耐薬品性や記録感度、高温保存時の耐熱性(地肌カブリ)の観点から、第1感熱発色層には、N−p−トルエンスルホニル−N’−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレア、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン、3,3’−ジアリル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、及び4−ヒドロキシ−4’−アリルオキシジフェニルスルホンから選ばれる少なくとも1種以上の化合物を使用することが好ましく、また、高温保存時の地肌カブリの観点から、第2感熱発色層の顕色剤にも、N−p−トルエンスルホニル−N’−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレア、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン、3,3’−ジアリル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、及び4−ヒドロキシ−4’−アリルオキシジフェニルスルホンから選ばれる少なくとも1種以上の化合物を使用することが好ましい。更に、第1感熱発色層及び第2感熱発色層の顕色剤としては、地肌カブリの観点から同一化合物であることが好ましい。更にまた、この中でもN−p−トルエンスルホニル−N’−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレアを第1感熱発色層及び第2感熱発色層の顕色剤として使用することが、特に耐薬品性の点で好ましい。
第1感熱発色層及び第2感熱発色層に使用される顕色剤の使用量としては、染料前駆体の合計100質量部に対し、100〜1000質量部程度の量で用いられることが好ましく、より好ましくは150〜500質量部程度の割合で使用される。更に、本発明の前記(1)式で示されるジフェニルスルホン架橋型化合物の含有比率は任意であるが、前記(1)式で示されるジフェニルスルホン架橋型化合物は、顕色剤100質量部に対して、1〜90質量%程度であること、詳細には5〜80質量%程度であることが特に好ましい。
本発明では、更に耐光性向上のため、第2感熱発色層中のみに、紫外線吸収剤として2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールを含有させることが好ましい。第1感熱発色層中にも2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールを含有させた場合、融点がより低いため色分離性が悪化する。
また、本発明では、第2感熱発色層中に、黒発色とは異なる色調に発色する染料前駆体100質量部に対して、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを10〜30質量部程度含有することが耐熱及び耐湿地肌カブリを抑制するため好ましい。ヒドロキシプロピルメチルセルロースが10質量部未満であるとカブリ抑制の効果が十分ではなく、30質量部を超えると表面強度が低下する恐れがある。更に、本発明で使用されるヒドロキシプロピルメチルセルロースとしては公知のものを適宜使用できるが、好ましくは2%水溶液の20℃における粘度が6cSt以下であることが好ましい。
更にまた、本発明では、第2感熱発色層中に、黒発色とは異なる色調に発色する染料前駆体100質量部に対してヒンダードアミン系化合物を5〜70質量部含有することが耐熱及び耐湿地肌カブリを抑制するために好ましい。第2感熱発色層に添加されるヒンダードアミン系化合物は、下記の〔化2〕で表示される化合物、〔化3〕で表示される分子量2500以上の化合物、〔化4〕で表示される分子量2000以上の化合物、更には、〔化5〕〜〔化10〕で表示される化合物等であり、いずれも市販品を利用することができる。
Figure 2011025484
Figure 2011025484
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Figure 2011025484
Figure 2011025484
本発明は、支持体上に、黒発色する染料前駆体と顕色剤を含有する第1感熱発色層を設け、更に該第1感熱発色層上に、黒発色とは異なる色調に発色する染料前駆体と顕色剤を含有する第2感熱発色層を設けた多色感熱記録材料において、前記第1感熱発色層中に無機層状化合物を含有することを特徴とする多色感熱記録材料であるが、第2感熱発色層中の、黒発色とは異なる色調に発色する染料前駆体として、赤系発色性染料前駆体である3,3−ビス(1−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリドを含有することが、赤発色の保存性、特に耐光性の点で好ましい。また、本発明の効果を損なわない限り、その他の赤系発色性染料前駆体を併用してもよく、例えば、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン、及び3−N−エチル−N−p−メチルフェニルアミノ−7−クロロフルオラン等の赤系発色性染料前駆体は朱色に近い赤色であり、特に好んで用いられるが、地肌カブリ、赤発色の保存性、特に耐光性の点で、特に、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオランが好ましい。3,3−ビス(1−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリドと3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオランを併用する場合は、3,3−ビス(1−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド1質量部に対して、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオランを7.5質量部未満であることが好ましい。3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオランの添加量が7.5質量部以上では、赤発色の保存性、特に耐光性が大幅に悪化する。
本発明においては、黒発色の色調調整及び保存性の点から、第2感熱発色層中に、更にポリウレア及びポリウレア−ポリウレタンより選ばれる少なくとも1種以上の有機高分子と黒発色する染料前駆体とからなる複合粒子を使用することが好ましい。複合粒子の作製については、公知の方法により可能である。例えば、前記有機高分子がポリウレア及びポリウレア−ポリウレタンの少なくとも1種である複合粒子の作製方法について記載する。上記複合粒子は、ロイコ染料、並びに重合によりポリウレア及びポリウレア−ポリウレタンの少なくとも1種を形成する高分子形成性原料を、100℃以下の沸点を有する水不溶性有機溶剤に溶解混合し、この有機溶剤溶液をポリビニルアルコール等の親水性保護コロイド溶液中に平均粒子径が0.5〜3μm程度となるように乳化分散し、更に必要によりポリアミン等の反応性物質を混合後、この乳化分散液を加熱して前記有機溶剤を揮発除去し、その後、前記高分子形成性原料を高分子化することにより調製されたもの、或いは前記ロイコ染料を高分子形成性原料に溶解し、この溶解液を前述の方法で平均粒子径が0.5〜3μm程度に乳化分散後、前記高分子形成性原料を高分子化することにより調製される。
また、第2感熱発色層に含有される複合粒子の染料前駆体としては、3−ジ(n−ペンチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ブチルアミノ)−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(3−トルイジノ)フルオラン等が地肌カブリを生じ難いという点でより好ましい。
本発明に使用される複合粒子中には、黒発色する染料前駆体のほかに、バーコードリーダーでの読取り性を向上させるために、更に3,3’−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−4−アザフタリド、3−〔2,2−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)ビニル〕−3−(4−ジエチルアミノフェニル)フタリド等の染料、必要に応じて記録感度を高めるために、融点が40〜150℃程度の芳香族有機化合物(増感剤)、耐光性を高めるための紫外線吸収剤、酸化防止剤、油溶性蛍光染料、離型剤等が添加されていてもよい。
本発明においては、主に発色記録画像の保存性向上のために、画像安定化剤を用いてもよい。このような画像安定化剤としては、例えば1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、4,4’−〔1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)〕ビスフェノール、及び4,4’−〔1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)〕ビスフェノール等のフェノール系の化合物、4−ベンジルオキシフェニル−4’−(2−メチル−2,3−エポキシプロピルオキシ)フェニルスルホン、4−(2−メチル−1,2−エポキシエチル)ジフェニルスルホン、及び4−(2−エチル−1,2−エポキシエチル)ジフェニルスルホン等のエポキシ化合物、並びに1,3,5−トリス(2,6−ジメチルベンジル−3−ヒドロキシ−4−tert−ブチル)イソシアヌル酸等のイソシアヌル酸化合物から選ばれる1種以上の化合物を用いることができる。勿論、画像安定化剤はこれらに限定されるものではなく、また必要に応じて2種類以上の化合物を併用することもできる。
本発明において使用される顕色剤、画像安定化剤及び増感剤等の添加剤は、染料前駆体を固体微粒子状態で使用する時と同じ方法で水中に分散させ、感熱発色層形成塗料の調製の際にこれに混合すればよい。また、これらの添加剤を溶剤に溶解し、水溶性高分子化合物を乳化剤として用いて水中に乳化して使用することもできる。更には前述の複合微粒子調製方法と同様の方法で、これら化合物を含有する複合微粒子を作成し、これを感熱発色層に含有させてもよい。また画像安定化剤及び増感剤は、染料前駆体を含有する複合微粒子中に含有させてもよい。特に増感剤を染料前駆体と一緒に複合微粒子に含有させることにより発色感度を所望値に調整することもできる。
本発明においては、感熱発色層の白色度向上、及び画像の均一性向上のため、白色度が高く、平均粒子径が10μm以下の微粒子顔料を感熱発色層に含有させることができる。例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、焼成クレー、シリカ、珪藻土、合成珪酸アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、表面処理された炭酸カルシウムやシリカ等の無機顔料、並びに、尿素−ホルマリン樹脂、スチレン−メタクリル酸共重合樹脂、ポリスチレン樹脂等の有機顔料が使用できる。サーマルヘッドに対するカス付着、及びスティッキングの防止のためには、吸油量が50ml/100g以上の顔料を使用することが好ましい。顔料の配合量は、発色濃度を低下させない程の量、即ち、感熱発色層の全固形分に対して50質量%以下であることが好ましい。
本発明において、感熱発色層を構成する他の成分材料として、接着剤が用いられ、更に必要により、架橋剤、ワックス類、金属石鹸、有色染料、有色顔料、及び蛍光染料等を用いることができる。本発明において、感熱発色層を構成する接着剤として、各種公知の接着剤が用いられる。例えば、酸化澱粉、酸変性澱粉、リン酸エステル化澱粉、酵素変性澱粉、カチオン変性澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉及び酢酸ビニル変性グラフト化澱粉等の澱粉類、ポリビニルアルコール及びその誘導体、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、アクリル酸アミド・アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸アミド・アクリル酸エステル・メタクリル酸共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、イソブチレン・無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、カゼイン等が挙げられるが、その含有量は重合度500以上のポリビニルアルコールの含有量を超えてはならない。水溶性接着剤以外にも、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリブチルメタクリレート、スチレン・ブタジエン共重合体、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、スチレン・ブタジエン・アクリル系共重合体等のラテックス等の使用が可能である。
また、感熱発色層の耐水性を向上させるために、接着剤を三次元硬化させるための架橋剤を感熱発色層中に含有させることができる。例えば、グリオキザール等のアルデヒド系化合物、ポリエチレンイミン等のポリアミン系化合物、エポキシ系化合物、ポリアミド樹脂、メラミン樹脂、ジメチロールウレア化合物、アジリジン化合物、ブロックイソシアネート化合物、カルボン酸ジヒドラジド系化合物並びに過硫酸アンモニウムや塩化第二鉄、及び塩化マグネシウム、四硼酸ソーダ、四硼酸カリウム等の無機化合物または硼酸、硼酸トリエステル、硼素系ポリマー等から選ばれた少なくとも1種の架橋性化合物を感熱発色層の全固形分に対し1〜10質量%の範囲で用いることが好ましい。
感熱発色層に添加されるワックスとしては、パラフィンワックス、カルナバロウワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリオレフィンワックス、及びポリエチレンワックス等のワックス類、並びに例えばステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド等の高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステル、及びその誘導体等を挙げることができる。特にメチロール化脂肪酸アミドを感熱発色層に添加すると、耐地肌カブリ性を悪化させずに増感効果を得ることができる。
感熱発色層に添加される金属石鹸としては、高級脂肪酸多価金属塩、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、及びオレイン酸亜鉛等を挙げることができる。また低温発色色調に対して補色の関係にある色調を有する有色染料、及び/または有色顔料を感熱発色層中に含有させることは、印字前の記録材料の色調を調節するために好ましく用いられる。必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、感熱発色層中に、更に撥油剤、消泡剤、粘度調節剤等、各種添加剤を添加することができる。
本発明において、前記染料前駆体を固体微粒子状態として使用する場合、該染料前駆体を、水を分散媒体として、サンドグラインダー、アトライター、ボールミル、コボーミル等の各種湿式粉砕機によって粉砕し、これをポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、スルホン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、スチレン−無水マレイン酸共重合体塩及びそれらの誘導体等の水溶性合成高分子化合物のほか、必要に応じて界面活性剤、消泡剤等と共に分散媒体中に分散させて分散液とし、この分散液を感熱発色層用塗液の調製に用いることができる。
更に、目的に応じて増感剤を併用することもできる。増感剤の具体例としては、例えばステアリン酸アミド、メトキシカルボニル−N−ステアリン酸ベンズアミド、N−ベンゾイルステアリン酸アミド、N−エイコサン酸アミド、エチレンビステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、N−メチロールステアリン酸アミド、テレフタル酸ジベンジル、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジオクチル、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニル、2−ナフチルベンジルエーテル、m−ターフェニル、シュウ酸ジベンジルエステル、シュウ酸−ジ−p−メチルベンジルエステル、シュウ酸−ジ−p−クロロベンジルエステル、p−ベンジルビフェニル、トリルビフェニルエーテル、ジ(p−メトキシフェノキシエチル)エーテル、1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−メトキシフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−クロロフェノキシ)エタン、1,2−ジフェノキシエタン、1−(4−メトキシフェノキシ)−2−(2−メチルフェノキシ)エタン、p−メチルチオフェニルベンジルエーテル、1,4−ジ(フェニルチオ)ブタン、p−アセトトルイジド、p−アセトフェネチジド、N−アセトアセチル−p−トルイジン、ジ(β−ビフェニルエトキシ)ベンゼン、p−ジ(ビニルオキシエトキシ)ベンゼン、1−イソプロピルフェニル−2−フェニルエタン等が例示される。特にシュウ酸ジ−p−メチルベンジルエステルとシュウ酸ジ−p−クロルベンジルエステルの混合分散物を増感剤として使用すると、地肌カブリが少ない増感効果が得られる。これらの増感剤の使用量は特に限定されないが、一般に顕色剤1質量部に対して4質量部以下の範囲で調節するのが望ましい。
本発明において、各感熱記録層を形成する方法としては、エアナイフ法、ブレード法、グラビア法、ロールコーター法、スプレー法、ディップ法、バー法及びカーテン法等の既知の塗布方法のいずれを利用しても良いが、本発明の効果、特に色分離性を更に高める上でカーテン法がより好ましい。
本発明で、カーテン塗布法とは、塗液を流下して自由落下させ、支持体に非接触で塗布する方法であり、スライドカーテン法、カップルカーテン法、ツインカーテン法等の公知のものを採用することができ、特に制限されるものではない。また、特開2006−247611号公報に記載のように、カーテンヘッドから塗料を下向きに噴出させて斜面上で塗料層を形成させ、斜面の終端部の下向きのカーテンガイド部から塗料カーテンを形成してウエブ面上に該塗料層を移行させることもできる。また、それぞれの感熱発色層単独で塗布しても同時に塗布しても差し支えないが、生産効率及び製造時の消費エネルギーをより低減させることができる点から第1感熱発色層及び第2感熱発色層を同時多層塗布することが好ましい。なお、塗料濃度、塗布速度、カーテン膜幅、落下角度等の諸条件は、各々のカーテン塗布法及び塗布装置に合わせ、適宜調整して行うことが望ましい。これらのカーテン塗布法は、非接触方式の輪郭塗工であるため、均一な厚さの塗工層が得られる。一方、ブレード、バー、エアナイフ塗工等の接触方式の塗工では、支持体の表面性(凹凸)の影響を受けるため、膜厚が不均一となる。このため、同一塗工量では、カーテン塗布で形成された感熱記録層の方が良好な色分離性、良好な画質を得ることができる上、画像の保存性も向上する。
感熱発色層がカーテン塗布法によって形成される場合、表面張力を調整してカーテン膜を安定化するために、感熱発色層用塗液には界面活性剤が添加される。界面活性剤としては、例えば、スルホコハク酸系のアルカリ金属塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アセチレングリコール系化合物、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、リン酸エステル系界面活性剤、エーテル型界面活性剤、或いはベタイン、アミノカルボン酸塩、イミダゾリン誘導体等の両性系界面活性剤等が挙げられる。界面活性剤の添加量としては、感熱発色層の全固形分に対して0.05〜3.0質量%程度であることが好ましい。0.05質量%未満では、添加の効果が少なく表面張力が十分に低くならず、カーテン膜切れし易くなる。3質量%を超えると塗液が泡立ち易くなり塗工欠陥の原因となる。効果と塗料物性等のバランスから、界面活性剤の更に好ましい含有量としては0.10〜2.0質量%程度である。
各感熱発色層用塗液の塗布量は特に制限はなく、それぞれ乾燥重量で0.5〜10g/m程度、特に1〜6g/m程度であれば所望の品質を達成できる。なお、感熱発色層は必要に応じて3層以上に分けることもでき、各層の組成、塗工量を変えることもできる。
(保護層)
本発明においては、感熱発色層の上には、必要に応じて保護層を設けてもよい。保護層は、従来から公知の感熱記録体に使用されている保護層を利用できる。保護層は、顔料と接着剤を主体として構成される。特に保護層には、サーマルヘッドに対するスティッキングを防止する目的で、ポリオレフィンワックス、ステアリン酸亜鉛のような滑剤を添加することが好ましく、紫外線吸収剤を含むこともできる。また光沢のある保護層を設けることにより、製品の付加価値を高めることもできる。
保護層は、水溶性高分子及び/または合成樹脂エマルジョンを主成分とすることが好ましい。
水溶性高分子としては、例えば、完全鹸化または部分鹸化ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、及び珪素変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース系樹脂、ゼラチン、カゼイン、スチレン・無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、エチレン・アクリル酸共重合体のアルカリ塩、スチレン・アクリル酸共重合体のアルカリ塩等が挙げられる。
合成樹脂エマルジョンとしては、例えば、スチレン−ブタジエン系ラテックス、アクリル系ラテックス、ウレタン系ラテックス等のラテックスが挙げられる。
なかでも、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール及びジアセトン変性ポリビニルアルコールは表面のバリア性を向上させ、耐薬品性等の保存性を向上させることができ好ましく用いられる。
水溶性高分子及び/または合成樹脂エマルジョンの含有量は、総計で、保護層の全固形分に対して10〜80質量%程度が好ましく、特に20〜75質量%程度がより好ましい。
10質量%未満ではバリア性が十分ではないばかりでなく、表面強度が低下し、紙粉の悪化等につながる。一方、80質量%を超えるとスティッキングが悪化する恐れがある。
水溶性高分子と合成樹脂エマルジョンを併用する場合、その使用比率は、水溶性高分子100質量部に対して合成樹脂エマルジョンが5〜100質量部程度である。
顔料としては、例えば、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、二酸化チタン、無定形シリカ、合成マイカ、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、タルク、カオリン、クレー、焼成カオリン等の無機顔料、ナイロン樹脂フィラー、尿素・ホルマリン樹脂フィラー、生澱粉粒子等の有機顔料が挙げられる。
なかでも、カオリン、水酸化アルミニウムは可塑剤や油等の薬品に対するバリア性の低下が少なく、しかも記録濃度の低下も小さいため、好ましい。
顔料の使用量は、保護層の全固形分に対して5〜80質量%程度であり、特に10〜70質量%程度の範囲が好ましい。
5質量%未満では、サーマルヘッドとの滑りが悪くなり、スティッキングを起こしたり、ヘッド粕の悪化を招く。一方、80質量%を超えると、バリア性が悪くなり、保護層としての機能が大幅に低下する。
助剤としては、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレンワックス、カルナバロウ、パラフィンワックス、エステルワックス等の滑剤、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、スルホン変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウムアセチレングリコール系化合物、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、リン酸エステル系界面活性剤、エーテル型界面活性剤、或いはベタイン、アミノカルボン酸塩、イミダゾリン誘導体等の両性系界面活性剤等の界面活性剤、グリオキザール、硼酸、ジアルデヒド澱粉、メチロール尿素、エポキシ系化合物、ヒドラジン系化合物等の耐水化剤(架橋剤)、疎水性ポリカルボン酸共重合物、紫外線吸収剤、蛍光染料、着色染料、離型剤、酸化防止剤等が挙げられる。助剤の使用量は、広い範囲から適宜設定することができる。
本発明において、保護層を塗布形成する手段は特に限定されるものではなく、エアナイフ法、ブレード法、グラビア法、ロールコーター法、カーテンコーター法、スプレー法、ディップ法、バー法、及びエクストルージョン法等の既知の塗布方法のいずれを利用してもよいが、バリア性向上のため、カーテン塗布法を使用することが好ましく、更に第1感熱発色層、第2感熱発色層及び保護層を同時多層カーテン塗布することが、生産効率を高め、製造時の消費エネルギーをより低減させることができる点で特に好ましい。カーテン塗布に用いる塗布装置としては、特に限定されないが、エクストルージョンホッパー型カーテン塗布装置、スライドホッパー型カーテン塗布装置、或いは前述の特開2006−247611号公報に記載の方法等が挙げられる。
保護層がカーテン塗布法によって形成される場合、表面張力を調整してカーテン膜を安定化するために、保護層用塗液には界面活性剤が添加される。界面活性剤としては、例えば、スルホコハク酸系のアルカリ金属塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アセチレングリコール系化合物、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、リン酸エステル系界面活性剤、エーテル型界面活性剤、或いはベタイン、アミノカルボン酸塩、イミダゾリン誘導体等の両性系界面活性剤等が挙げられる。界面活性剤の添加量としては、保護層の全固形分に対して0.05〜3.0質量%程度であることが好ましい。0.05質量%未満では、添加の効果が少なく表面張力が十分に低くならず、カーテン膜切れし易くなる。3質量%を超えると塗液が泡立ち易くなり塗工欠陥の原因となる。効果と塗料物性等のバランスから、界面活性剤の更に好ましい含有量としては0.10〜2.0質量%程度である。
保護層用塗液の塗布量は特に制限はなく、乾燥重量で0.3〜10g/m程度、特に0.5〜8g/m程度であれば所望の品質を達成できる。なお、保護層は必要に応じて2層以上に分けることもでき、各層の組成、塗工量を変えることもできる。
塗液の塗布後は乾燥され、その後は、好ましくはカレンダー処理により平滑化処理され使用に供される。
(下塗り層)
本発明においては、支持体と感熱発色層との間に下塗り層を設けることで、支持体表面の平滑性を高め、また断熱性も付与できるため好ましい。下塗り層は顔料と接着剤を主体として構成される。顔料としては、一般の無機及び有機顔料の全てを添加できるが、具体例として、焼成カオリン、酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、焼成珪藻土、珪酸アルミニウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、カオリン、非晶質シリカ、タルク等の無機顔料、プラスチック中空粒子や密実粒子等の有機顔料が挙げられる。顔料の合計量は、下塗り層の全固形分に対して40〜85質量%程度であることが好ましい。
下塗り層の接着剤としては、水溶性高分子や水性バインダーが挙げられる。これらは1種単独でも、2種以上を併用してもよい。前記水溶性高分子としては、例えば、澱粉、変性澱粉、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、アクリルアミド、カルボキシメチルセルロース、カゼイン等が挙げられ、前記水性バインダーとしては、合成ゴムラテックス、合成樹脂エマルジョンが一般的であり、例えば、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルジョン等が挙げられる。
下塗り層の接着剤の使用量としては、塗膜強度や感熱発色層の記録感度との兼ね合いで決定されるが、下塗り層に含まれる顔料の質量に対して、3〜100質量%程度が好ましく、5〜50質量%程度がより好ましく、7〜40質量%程度が特に好ましい。また、下塗り層中には、必要に応じて、増粘剤、ワックス、消泡剤、界面活性剤等を添加してもよい。
支持体上に下塗り層を形成する方法としては、エアナイフ法、ブレード法、グラビア法、ロールコーター法、カーテンコーター法、スプレー法、ディップ法、バー法、及びエクストルージョン法等の既知の塗布方法のいずれを利用してもよいが、印字画質の点から、特に好ましくはブレード法である。塗布量としては、乾燥重量が1〜20g/m程度、好ましくは3〜12g/m程度の範囲で調整される。支持体としては、例えば上質紙、アート紙、合成紙、PETフィルム、不織布中質紙、コート紙、キャストコート紙、グラシン紙、樹脂ラミネート紙、ポリオレフィン系合成紙、合成繊維紙、不織布、合成樹脂フィルム等のほか、各種透明支持体等も適宜選択して使用することができる。
前記ブレードコーターを用いた方法は、ベベルタイプやベントタイプのブレードを使用した塗工法に限らず、ロッドブレード法やビルブレード法等も含み、またオフマシンコーターに限られるものではなく、抄紙機に設置したオンマシンコーターで塗工してもよい。
本発明においては、感熱記録材料の付加価値を高めるために、これに更に加工を施し、より高い機能を付与した感熱記録材料とすることができる。例えば、裏面に粘着剤、再湿接着剤、ディレードタック型の粘着剤等の塗布加工を施すことにより粘着紙、再湿接着紙、ディレードタック紙として使用することができる。或いは磁気加工を施すことにより裏面に磁気記録可能な層を有する感熱記録材料とすることもできる。特に、粘着加工、及び磁気加工を施したものは感熱ラベルや、感熱磁気乗車券等の用途に有用である。また、裏面を利用して、これに熱転写用紙、インクジェット用紙、ノーカーボン用紙、静電記録紙、ゼログラフィ用紙としての機能を付与し、両面記録が可能な記録材料とすることもできる。勿論、両面感熱記録材料とすることもできる。
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、勿論これらに限定されるものではない。また、特に断らない限り例中の「部」及び「%」はそれぞれ「質量部」及び「質量%」を示す。
実施例1
(下塗り層用塗液の調製)
吸油量110ml/100gの焼成カオリン60部、プラスチック中空粒子エマルジョン(商品名:AE852、固形分濃度26%、中空率80%、平均粒子径1.0μm、JSR社製)80部、接着剤として固形分濃度50%のスチレン・ブタジエン・アクリロニトリル共重合ラテックス20部、カルボキシメチルセルロース(商品名:セロゲン7A、第一工業製薬社製)の5%水溶液20部、酸化澱粉(商品名:王子エースA、王子コーンスターチ社製)の20%水溶液25部、及び水90部を均一に混合攪拌して下塗り層用塗液を得た。
(下塗り層の作製)
坪量60g/m2の上質紙の片面に、下塗り層用塗液を乾燥後の塗布量が7g/mとなるようにブレードコーターにて塗布、乾燥して下塗り層塗布済み原紙を得た。
(感熱発色層用塗液の調製)
・染料前駆体分散液(A液)の調製
3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン20部、スルホン変性ポリビニール(ゴーセランL−3266:日本合成化学工業製)の20%水溶液10部、及び水20部からなる組成物を縦型サンドミル(アイメックス(株)製、サンドグラインダー)を用いて、平均粒子径が0.8μmとなるように粉砕、分散した。
・染料前駆体分散液(B液)の調製
3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン20部、スルホン変性ポリビニール(ゴーセランL−3266:日本合成化学工業製)の20%水溶液10部、及び水20部からなる組成物を縦型サンドミル(アイメックス(株)製、サンドグラインダー)を用いて、平均粒子径が0.8μmとなるように粉砕、分散した。
・染料前駆体分散液(C液)の調製
3,3’−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド20部、スルホン変性ポリビニール(商品名:ゴーセランL−3266、日本合成化学工業製)の20%水溶液10部、及び水20部からなる組成物を縦型サンドミル(アイメックス(株)製、サンドグラインダー)を用いて、平均粒子径が0.7μmとなるように粉砕、分散した。
・染料前駆体分散液(D液)の調製
3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン20部、スルホン変性ポリビニール(商品名:ゴーセランL−3266、日本合成化学工業製)の20%水溶液10部、及び水20部からなる組成物を縦型サンドミル(アイメックス(株)製、サンドグラインダー)を用いて、平均粒子径が0.7μmとなるように粉砕、分散した。
・染料前駆体含有複合粒子分散液(E液)の調製
3−ジ(n−ペンチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン6部と、紫外線吸収剤として2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン3部とを100℃に加熱したジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート9部に溶解し、この溶液を35℃に冷却後、同温度の8%ポリビニルアルコール(日本合成化学工業製、商標:ゴーセノールGM−14L)水溶液100部に徐々に添加し、ホモジナイザーを用い、回転数8000rpm の攪拌によって乳化分散した後、この乳化分散液に水60部を加えて均一化した。この乳化分散液を90℃に昇温し、10時間の硬化反応を行わせた後、固形分濃度が20%となるように水を添加し、平均粒子径0.8μmの染料前駆体含有複合粒子分散液を得た。
・顕色剤分散液(F液)の調製
N−p−トルエンスルホニル−N’−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレア 20部、スルホン変性ポリビニール(商品名:ゴーセランL−3266、日本合成化学工業製)の20%水溶液10部、及び水20部からなる組成物を縦型サンドミル(アイメックス(株)製、サンドグラインダー)を用いて、平均粒子径が1.2μmとなるように粉砕、分散した。
・顕色剤分散液(G液)の調製
4−ヒドロキシ−4‘−イソプロポキシジフェニルスルホン20部、スルホン変性ポリビニール(商品名:ゴーセランL−3266、日本合成化学工業製)の20%水溶液10部、及び水20部からなる組成物を縦型サンドミル(アイメックス(株)製、サンドグラインダー)を用いて、平均粒子径が1.2μmとなるように粉砕、分散した。
・顕色剤分散液(H液)の調製
3,3’−ジアリル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン20部、スルホン変性ポリビニール(商品名:ゴーセランL−3266、日本合成化学工業製)の20%液 10部、及び水20部からなる組成物を縦型サンドミル(アイメックス(株)製、サンドグラインダー)を用いて、平均粒子径が1.2μmとなるように粉砕、分散した。
・顕色剤分散液(I液)の調製
4−ヒドロキシ−4’−アリルオキシジフェニルスルホン20部、スルホン変性ポリビニール(商品名:ゴーセランL−3266、日本合成化学工業製)の20%液10部、及び水20部からなる組成物を縦型サンドミル(アイメックス(株)製、サンドグラインダー)を用いて、平均粒子径が1.2μmとなるように粉砕、分散した。
・紫外線吸収剤分散液(J液)の調製
2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール(商品名:JF77T、城北化学社製)20部、スルホン変性ポリビニール(商品名:ゴーセランL−3266、日本合成化学工業社製)の20%水溶液10部、及び水20部からなる組成物を縦型サンドミル(アイメックス(株)製、サンドグラインダー)を用いて、平均粒子径が1.0μmとなるように粉砕、分散した。
・紫外線吸収剤分散液(K液)の調製
2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール (商品名:JF79、城北化学社製)20部、スルホン変性ポリビニール(商品名:ゴーセランL−3266、日本合成化学工業社製)の20%水溶液10部、及び水20部からなる組成物を縦型サンドミル(アイメックス(株)製、サンドグラインダー)を用いて、平均粒子径が1.0μmとなるように粉砕、分散した。
・ジフェニルスルホン架橋型化合物分散液(L液)の調製
前記一般式(1)で示された化合物(商品名:D−90、nが1〜7の合計含有比率が87質量%、日本曹達社製)20部、スルホン酸変性ポリビニルアルコールの20%水溶液10部、及び水20部からなる組成物を縦型サンドミル(アイメックス(株)製、サンドグラインダー)を用いて、平均粒子径が1.0μmとなるように粉砕、分散した。
・第1感熱発色層用塗液の調製
A液45部、F液90部、L液10部、シュウ酸ジ−p−メチルベンジルエステルとシュウ酸ジ−p−クロルベンジルエステルの混合分散液(商品名:HS−7150B、固形分濃度50%、大日本インキ社製)8部、プラスチック中空粒子(商品名:AE852、固形分濃度26%、中空率55%、JSR社製)50部、ジアセトン変性ポリビニルアルコール(商品名:DF−10、重合度1000、日本酢ビ・ポバール社製)の15%水溶液50部、SBRラテックス(商品名:L−1571、固形分濃度48%、旭化成ケミカルズ社製)8部、アジピン酸ジヒドラジドの35%水溶液8部、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム塩(商品名:SNウェットOT−70、サンノプコ社製)の10%水溶液4部、ナトリウム四珪素雲母(商品名:NTO−5、アスペクト比:2000、平均直径:13μm、平均厚さ:5〜6nm、トピー工業社製)の5%水分散液60部を均一に混合攪拌して第1感熱発色層用塗液を得た。
・第2感熱発色層用塗液の調製
C液48部、F液84部、J液30部、シュウ酸ジ−p−メチルベンジルエステルとシュウ酸ジ−p−クロルベンジルエステルの混合分散液(商品名:HS−7150B、固形分濃度50%、大日本インキ社製)8部、ジアセトン変性ポリビニルアルコール(商品名:DF−10、重合度1000、日本酢ビ・ポバール社製)の15%水溶液50部、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(商品名:メトローズ60SH−03、信越化学社製)の15%水溶液20部、SBRラテックス(商品名:L−1571、固形分濃度48%、旭化成ケミカルズ社製)、アジピン酸ジヒドラジドの35%水溶液8部、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム塩(商品名:SNウェットOT−70、サンノプコ社製)の10%水溶液4部を均一に混合攪拌して第2感熱発色層用塗液を得た。
・保護層用塗液の調製
水酸化アルミニウム(商品名:ハイジライトH−42M、昭和電工社製)50部を水50部に分散して得られた分散物に、ジアセトン変性ポリビニルアルコール(商品名:DF―10、重合度1000、日本酢ビ・ポバール社製)の10%水溶液600部、ステアリン酸亜鉛(商品名:ハイドリンZ−8−36、固形分濃度36%、中京油脂社製)25部、アジピン酸ジヒドラジドの35%水溶液10部、及びジオクチルスルホコハク酸ナトリウム塩(商品名:SNウェットOT−70、サンノプコ社製)の5%水溶液20部を混合攪拌して保護層用塗液を得た。
・多色感熱記録材料の作製
上記で作製した下塗り層塗布済み原紙の上に、第1感熱発色層用塗液、第2感熱発色層用塗液及び保護層用塗液をそれぞれ乾燥後の塗布量が4g/m、3g/m、及び2g/mとなるようにロッド塗布法にて塗布乾燥して下塗り層、第1感熱発色層、第2感熱発色層及び保護層を順次有する多色感熱記録材料を得た後、スーパーカレンダーにて、感熱記録面のベック平滑度(JIS−P8119)が4000秒となるように平滑化処理し、多色感熱記録材料を作製した。
実施例2
実施例1の第1感熱発色層用塗液の調製において、ナトリウム四珪素雲母(商品名:NTO−5、前出)の5%水分散液60部の代わりに、ナトリウムヘクトライト(商品名:ゾルB2、アスペクト比:1000、平均直径:3μm、平均厚さ:3〜4nm、トピー工業社製)の5%水分散液60部を使用した以外は、実施例1と同様にして多色感熱記録材料を作製した。
実施例3
実施例1の第1感熱発色層用塗液の調製において、ナトリウム四珪素雲母(商品名:NTO−5、前出)の5%水分散液60部の代わりに、タルク(商品名:PCタルク、アスペクト比:2〜4、平均直径:2μm、平均厚さ:1〜2μm、ダイオーエンジニアリング社製)の30%水分散液10部を使用した以外は、実施例1と同様にして多色感熱記録材料を作製した。
実施例4
実施例1の第2感熱発色層用塗液の調製において、C液48部の代わりに、C液8部及びD液40部とした以外は、実施例1と同様にして多色感熱記録材料を作製した。
実施例5
実施例1の第2感熱発色層用塗液の調製において、J液30部の代わりに、K液30部とした以外は、実施例1と同様にして多色感熱記録材料を作製した。
実施例6
実施例1の第1感熱発色層用塗液の調製において、A液45部の代わりに、B液45部とした以外は、実施例1と同様にして多色感熱記録材料を作製した。
実施例7
実施例1の第1感熱発色層用塗液の調製において、プラスチック中空粒子(商品名:AE852、固形分濃度26%、中空率55%、JSR社製)50部の代わりに、プラスチック密実粒子(商品名:グロスデール130S、固形分濃度53%、三井化学社製)25部を添加した以外は、実施例1と同様にして多色感熱記録材料を作製した。
実施例8
実施例1の第1感熱発色層用塗液の調製において、F液90部の代わりに、G液90部とし、更に、第2感熱発色層用塗液の調製において、F液84部の代わりに、G液84部とした以外は、実施例1と同様にして多色感熱記録材料を作製した。
実施例9
実施例1の第1感熱発色層用塗液の調製において、F液90部の代わりに、H液90部とし、更に、第2感熱発色層用塗液の調製において、F液84部の代わりに、H液84部とした以外は、実施例1と同様にして多色感熱記録材料を作製した。
実施例10
実施例1の第1感熱発色層用塗液の調製において、F液90部の代わりに、I液90部とし、更に、第2感熱発色層用塗液の調製において、F液84部の代わりに、I液84部とした以外は、実施例1と同様にして多色感熱記録材料を作製した。
実施例11
実施例1の第2感熱発色層用塗液の調製において、E液を30部添加した以外は、実施例1と同様にして多色感熱記録材料を作製した。
実施例12
実施例11の多色感熱記録材料の作製において、ロッド塗布法の代わりに、第1感熱発色層用塗液、第2感熱発色層用塗液及び保護層用塗液をそれぞれカーテン塗布法にて逐次塗布乾燥した以外は、実施例11と同様にして多色感熱記録材料を作製した。
実施例13
実施例11の多色感熱記録材料の作製において、ロッド塗布法の代わりに、第1感熱発色層用塗液、第2感熱発色層用塗液及び保護層用塗液をカーテン塗布法にて同時多層塗布乾燥した以外は、実施例11と同様にして多色感熱記録材料を作製した。
比較例1
実施例1の第1感熱発色層用塗液及び第2感熱発色層用塗液の調製の代わりに、感熱発色層用塗液として、C液5部、D液25部、E液70部、F液90部、ジアセトン変性ポリビニルアルコール(商品名:DF−10、重合度1000、日本酢ビ・ポバール社製)の15%水溶液50部、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(商品名:メトローズ60SH−03、信越化学社製)の15%水溶液20部、SBRラテックス(商品名:L−1571、固形分濃度48%、旭化成ケミカルズ社製)8部、アジピン酸ジヒドラジドの35%水溶液8部、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム塩(商品名:SNウェットOT−70、サンノプコ社製)の10%水溶液4部、ナトリウム四珪素雲母(商品名:NTO−5、前出)の5%水分散液60部を均一に混合攪拌して感熱発色層用塗液を得た後、上記で作製した下塗り層塗布済み原紙の上に、感熱発色層用塗液及び保護層用塗液をそれぞれ乾燥後の塗布量が5g/m及び2g/mとなるようにロッド塗布法にて塗布乾燥して下塗り層、感熱発色層及び保護層を順次有する多色感熱記録体を得た後、スーパーカレンダーにて、感熱記録面のベック平滑度(JIS−P8119)が4000秒となるように平滑化処理し、多色感熱記録材料を作製した。
比較例2
実施例1の第1感熱発色層用塗液の調製において、ナトリウム四珪素雲母(商品名:NTO−5、前出)の5%水分散液60部を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして多色感熱記録材料を作製した。
比較例3
実施例1の第1感熱発色層用塗液の調製において、ナトリウム四珪素雲母(商品名:NTO−5、前出)の5%水分散液60部を添加せず、下塗り層用塗液の調製において、ナトリウム四珪素雲母(商品名:NTO−5、前出)の5%水分散液60部を添加した以外は、実施例1と同様にして多色感熱記録材料を作製した。
比較例4
実施例1の第1感熱発色層用塗液の調製において、ナトリウム四珪素雲母(商品名:NTO−5、前出)の5%水分散液60部を添加せず、第2感熱発色層用塗液の調製において、ナトリウム四珪素雲母(商品名:NTO−5、前出)の5%水分散液60部を添加した以外は、実施例1と同様にして多色感熱記録材料を作製した。
比較例5
実施例1の第1感熱発色層用塗液の調製において、ナトリウム四珪素雲母(商品名:NTO−5、前出)の5%水分散液60部を添加せず、保護層用塗液の調製において、ナトリウム四珪素雲母(商品名:NTO−5、前出)の5%水分散液60部を添加した以外は、実施例1と同様にして多色感熱記録材料を作製した。
得られた多色感熱記録材料について、以下の評価試験を行い、その結果を表1に記載した。
・発色濃度
プリンター(機種名:バーラベ300、(株)サトー社製)を用いて、印加エネルギー:0.15mJ/dotで低温発色(赤印字)、更に0.27mJ/dotで高温発色(黒印字)を行った。その時の印字濃度をマクベス濃度計(RD−914型、マクベス社製)を用いて測定した。この時、赤印字にはマゼンダフィルターを、黒印字にはシアンフィルターを用いた。
・発色色調
上記のように2色印字したサンプルについて目視により下記の評価基準で評価した。
(低温発色部)
◎:低温発色部である赤発色には、高温発色色調の混ざりが全く無く、特に2色分離性に優れ、且つ鮮明な朱色に近い赤発色である。
○:低温発色部である赤発色には、高温発色色調による濁りや紫系の色調の混じりが若干あるが、朱色に近い赤発色の鮮明さは維持されている。
△:低温発色部である赤発色には、高温発色色調による濁りや紫系の色調の混じりがみられるが、実用上問題ないレベルである。
×:低温発色部である赤発色には、高温発色色調による濁りが顕著で2色分離はできていないか、若しくは紫系の色調の混じりが多く実用上問題あるレベルである。
(高温発色部)
◎:高温発色色調である黒の色調に他の色相による濁りが殆どなく、より黒味の強い黒発色である。
○:高温発色色調である黒の色調に他の色相による濁りが若干あるが、黒味の強い黒発色である。
△:高温発色色調である黒の色調に他の色相による濁りがあるが、実用上問題ないレベルである。
×:高温発色色調である黒の色調に他の色相による濁りが顕著で、実用上問題がある。
・耐光性
キセノンウェザーメーター(型式:XL−75、スガ試験機社製)(条件:ブラックパネル温度63℃、槽内湿度40%RH、390W/m)内に、印字試験の低温発色記録部及び高温発色記録部を12時間放置後、白紙部及び記録部の濃度をマクベス濃度計(RD−914型、マクベス社製)を用いて測定した。このとき、白紙部及び赤印字にはマゼンダフィルターを、黒印字にはシアンフィルターを用いた。
・耐湿熱性
40℃−90%RHの恒温恒湿槽に印字試験の低温発色記録部及び高温発色記録部を72時間放置し、試験後にマクベス濃度計(RD−914型、マクベス社製)でマゼンダフィルターを使用して白紙部及び記録部の濃度を測定した。この時、白紙部及び赤印字にはマゼンダフィルターを、黒印字にはシアンフィルターを用いた。
Figure 2011025484
本発明によれば、支持体上に、黒発色する染料前駆体と顕色剤を含有する第1感熱発色層を設け、更に該第1感熱発色層上に、黒発色とは異なる色調に発色する染料前駆体と顕色剤を含有する第2感熱発色層を設けた多色感熱記録材料において、前記第1感熱発色層中に無機層状化合物を含有することにより、十分な発色濃度と色分離性及び長時間の耐光、耐熱湿試験後の印字部及び地肌部の保存安定性に優れた多色感熱記録材料を提供することができる。

Claims (10)

  1. 支持体上に、黒発色する染料前駆体と顕色剤を含有する第1感熱発色層を設け、更に該第1感熱発色層上に、黒発色とは異なる色調に発色する染料前駆体と顕色剤を含有する第2感熱発色層を設けた多色感熱記録材料において、前記第1感熱発色層中に無機層状化合物を含有することを特徴とする多色感熱記録材料。
  2. 前記無機層状化合物が水膨潤性雲母である請求項1に記載の多色感熱記録材料。
  3. 前記第2感熱発色層中のみに、紫外線吸収剤として2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールを含有する請求項1または2に記載の多色感熱記録材料。
  4. 前記第1感熱発色層中の、黒発色する染料前駆体が3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオランである請求項1〜3のいずれか1項に記載の多色感熱記録材料。
  5. 前記第1感熱発色層中に、球状プラスチック樹脂粒子または中空プラスチック樹脂粒子を含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の多色感熱記録材料。
  6. 前記第2感熱発色層中の、黒発色とは異なる色調に発色する染料前駆体として、赤系発色性染料前駆体である3,3−ビス(1−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリドを含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の多色感熱記録材料。
  7. 前記第1感熱発色層及び第2感熱発色層中の、それぞれの主たる顕色剤が同一化合物であり、該化合物が、N−p−トルエンスルホニル−N’−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレア、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン、3,3’−ジアリル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、及び4−ヒドロキシ−4’−アリルオキシジフェニルスルホンから選ばれる少なくとも1種以上である請求項1〜6のいずれか1項に記載の多色感熱記録材料。
  8. 前記第2感熱発色層中に、更にポリウレア及びポリウレア−ポリウレタンより選ばれる少なくとも1種以上の有機高分子と黒発色する染料前駆体とからなる複合粒子を含有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の多色感熱記録材料。
  9. 前記第1感熱発色層及び第2感熱発色層が、それぞれカーテン塗布法により塗布乾燥して形成される請求項1〜8のいずれか1項に記載の多色感熱記録材料。
  10. 前記第1感熱発色層及び第2感熱発色層が、同時多層カーテン塗布法により塗布乾燥して形成される請求項1〜8のいずれか1項に記載の多色感熱記録材料。
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