JP2011025289A - 金属板材の圧延方法および圧延装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】金属板材の圧延方法および圧延装置に関し、特に、キャンバーのない、あるいは極めてキャンバーの軽微な金属板材を安定して製造することのできる、金属板材の圧延方法および圧延装置を提供する。
【解決手段】少なくとも作業ロールと補強ロールとを有する圧延機と、該圧延機の入側に配備された、被圧延材を挟持するピンチロールとからなる圧延装置を用い、前記作業ロールの作業ロールチョックの作業側と駆動側の双方で検出した圧延方向力の作業側と駆動側との差異、および前記ピンチロールのピンチロールチョックの作業側と駆動側の双方で検出した圧延方向力の作業側と駆動側との差異、の何れか一方もしくは双方を演算し、前記圧延方向力の作業側と駆動側との差異に基づいて前記圧延機のロール開度の左右非対称成分を制御することを特徴とする、金属板材の圧延方法およびその圧延装置。
【選択図】 図1
【解決手段】少なくとも作業ロールと補強ロールとを有する圧延機と、該圧延機の入側に配備された、被圧延材を挟持するピンチロールとからなる圧延装置を用い、前記作業ロールの作業ロールチョックの作業側と駆動側の双方で検出した圧延方向力の作業側と駆動側との差異、および前記ピンチロールのピンチロールチョックの作業側と駆動側の双方で検出した圧延方向力の作業側と駆動側との差異、の何れか一方もしくは双方を演算し、前記圧延方向力の作業側と駆動側との差異に基づいて前記圧延機のロール開度の左右非対称成分を制御することを特徴とする、金属板材の圧延方法およびその圧延装置。
【選択図】 図1
Description
本発明は、金属板材の圧延方法および圧延装置に関し、特に、キャンバーのない、あるいは極めてキャンバーの軽微な金属板材を安定して製造することのできる、金属板材の圧延方法および圧延装置に関する。
金属板材の圧延工程において、被圧延板をキャンバーすなわち左右曲がりのない状態で圧延することは、圧延材の平面形状や寸法精度不良を回避するだけでなく、蛇行や尻絞りといった通板トラブルを回避するためにも重要である。なお、本発明では、表記を簡単にするために、圧延方向を正面とした場合の左右である圧延機の作業側および駆動側のことを左右と称することにする。
このような問題に対し、下記特許文献1では、圧延機の入側および出側において圧延材の幅方向位置を測定する装置を配備し、この測定値から圧延材のキャンバーを演算し、これを修正するように圧延機入側に配備したエッジャーロールの位置を調整するキャンバー制御技術が開示されている。
また、下記特許文献2には、圧延機入側および出側に配備されたエッジャーロールの荷重の左右差に基づいて、該圧延機のロール開度の左右差すなわち圧下レベリングを制御するキャンバー制御技術が開示されている。
また、下記特許文献3には、圧延荷重の左右差の実測値を分析して、ロール開度の左右差すなわち圧下レベリングを制御するか、またはサイドガイドの位置を制御するキャンバー制御技術が開示されている。
また、下記特許文献4には、入側のエッジャーロールとサイドガイド、そして出側サイドガイドで圧延材を拘束してキャンバー制御する方法が開示されている。
また、下記特許文献5には、作業ロールの作業側と駆動側のロールチョックに作用する圧延方向力を測定し、その左右差が零になるように圧下レベリングを制御する方法が開示されている。
また、下記特許文献6には、特許文献5の制御技術において、圧延材先端部、定常部、尾端部の制御ゲインを最適化する方法が開示されている。
また、下記特許文献7には、圧延機の出側にピンチロールを配備した上で、作業ロールの作業側と駆動側のロールチョックに作用する圧延方向力を測定し、その左右差が零になるように圧下レベリングを制御する方法が開示されている。
特許文献1に記載された、圧延材の幅方向位置測定によるキャンバー制御技術に関する発明では、既に発生したキャンバーを修正することが基本となっており、キャンバーの発生を未然に防止することは実質的に不可能である。
特許文献2記載の、圧延機入出側のエッジャーロール荷重左右差に基づくキャンバー制御技術に関する発明では、入側の圧延材に既にキャンバーが存在する場合、これが入側のエッジャーロール荷重差の外乱になって高い制御精度を得ることが困難になる。また、出側のエッジャーロールは圧延材先端がエッジャーロールに衝突することを避けるため圧延材先端通板時は退避しておく必要があり、圧延材先端からキャンバー制御を実施することも困難である。
特許文献3に記載の、圧延荷重左右差によるキャンバー制御に関する発明では、圧延材の入側板厚が板幅方向に不均一であったり、圧延材の温度分布が板幅方向に不均一な場合は、圧延荷重の左右差からキャンバーを推定する方法は極めて精度が悪くなり実用的ではない。
特許文献4に記載の、入側エッジャーロール、入側サイドガイドおよび出側サイドガイドによるキャンバー制御に関する発明では、出側サイドガイドが出側圧延材を完全に拘束することができれば出側キャンバーを零とすることが可能となるが、圧延操業を円滑に実施するには出側サイドガイドを圧延材板幅より拡げておく必要があり、この余裕代の分だけ圧延材にキャンバーを生じることになる。
特許文献5に記載の技術は、以上の特許文献1〜4の技術の問題点を解消できる可能性を有する点で注目される。この技術では、被圧延材の圧延方向伸び率に左右差を生じる際、作業ロールに作用する圧延方向力の左右差に着目している。被圧延材の先端部近傍圧延時は、被圧延材の入側材料長が長いため、自重とテーブルローラーとの摩擦による被圧延材の面内回転に対する拘束力が大きく、圧延材の伸び率に左右差、すなわち作業側と駆動側とで差異がある場合、入側材料から作業ロールに作用する反力が支配的となり、例えば、作業側の伸び率が大きい場合は、作業側の後進率が大きくなろうとするため、その反力として作業側の作業ロールチョックに作用する圧延方向力が駆動側のそれに比べて大きくなる。したがって、ロール開度の左右差すなわち圧下レベリングの制御としては、圧延方向を正と定義した圧延方向力の大きい側すなわち作業側のロール開度を大きくする側の制御を実施する。一方、被圧延材の尾端部近傍圧延時は被圧延材の出側材料長が長いため、出側材料から作業ロールに作用する反力が支配的となり、例えば、作業側の伸び率が大きい場合は、作業側の先進率が大きくなるため、その反力として作業側の作業ロールチョックに作用する圧延方向と逆向きの力が駆動側のそれに比べて大きくなる。したがって、ロール開度の左右差の制御としては、圧延方向力の大きい側すなわち駆動側のロール開度を小さくする側の制御を実施しなければならない。すなわち、圧延方向力の左右差に基づくキャンバー制御において、被圧延材先端部近傍圧延時と尾端部近傍圧延時とで制御の極性を反転させなければならず、極性を反転させるタイミングと制御ゲイン調整が煩雑となり、被圧延材全長にわたって良好な制御を実施することが困難であるという問題があった。
特許文献6に記載の技術は、上記した特許文献5の制御の具体的実施方法を開示しているもので、被圧延材先端部、定常部、尾端部によって制御ゲインを切り換える制御方法が開示されている。しかしながら定常部圧延時と尾端部圧延時で制御ゲインの極性を反転させる作業が必要で、制御ゲイン切り換えタイミングや制御ゲイン調整の煩雑さという問題は何ら解決されていない。また、特許文献7に記載の技術では、圧延機出側にピンチロールが配備され被圧延材を圧延機出側で挟持しているため、圧延材の伸び率に左右差がある場合、圧延出側材料から作業ロールに作用する反力が支配的となる場合が多くなる。したがって、特許文献5のようにピンチロールがない場合に比べて、圧延方向力の左右差に基づくキャンバー制御において、被圧延材先端部近傍圧延時と尾端部近傍圧延時とで制御の極性を反転させる必要性が低下する。しかしながら、発明者らの研究の結果、長尺の板材の中央部分を圧延している場合、すなわち被圧延材の入側および出側ともに被圧延材の自重とテーブルローラーとの摩擦によって十分に拘束されている場合には、先進率よりも後進率が大きいため入側材料から作業ロールに作用する力が支配的となることが明らかとなった。したがって、被圧延材出側をピンチロールで挟持して拘束していても、長尺の被圧延材先端部圧延時には、被圧延材入側も被圧延材の自重とテーブルローラーとの摩擦によって実質的に拘束されているので、上記した被圧延材中央部分を圧延している場合と同様の状態となり、入側材料から作業ロールに作用する力が支配的となる。一方、被圧延材尾端部圧延時には、入側材料が短くなるので入側材料は僅かな力で面内回転が可能となり、出側材料から作業ロールに作用する力が支配的となる。以上のことから、作業ロールに作用する圧延方向力の左右差に基づくキャンバー制御において、被圧延材先端部近傍圧延時と尾端部近傍圧延時とで制御の極性を反転させなければならない問題は、出側ピンチロールで出側材料を拘束することでも解決されない。
本発明は、以上のキャンバー制御に関する従来技術の問題点を有利に解決して、金属板材の全長に亘る圧延作業において、被圧延材の蛇行やキャンバーの発生を防ぐことのできる、金属板材の圧延方法および圧延装置を提供することを目的としている。
前記したように、長尺板材の圧延においては、圧延材先端部および中央部圧延時は、被圧延材入側から作業ロールに作用する力が支配的となり、圧延材尾端部近傍圧延時、すなわち入側材料が短くなった時点で、入側材料の拘束力が弱くなるため、出側材料から作業ロールに作用する力が支配的となる。そこで、本願発明では圧延機入側にピンチロールを配備し被圧延材入側を該ピンチロールによって挟持して被圧延材の面内回転運動を拘束する。このようにすることで、被圧延材尾端部近傍圧延時においても、圧延材入側から作業ロールに作用する力が支配的になり、作業ロールに作用する圧延方向力の左右差に基づくキャンバー制御において、圧延材全長に亘って制御の極性を反転させることなく一貫して安定なキャンバー制御が可能となる。
以上のような従来技術の問題点を解決するための基本的考え方に基づく本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)少なくとも作業ロールと補強ロールとを有する圧延機と、該圧延機の入側に配備された、被圧延材を挟持するピンチロールとからなる圧延装置を用いて圧延を実行する金属板材の圧延方法であって、
前記作業ロールの作業ロールチョックの作業側と駆動側の双方で検出した圧延方向力の作業側と駆動側との差異、および前記ピンチロールのピンチロールチョックの作業側と駆動側の双方で検出した圧延方向力の作業側と駆動側との差異、の何れか一方もしくは双方を演算し、前記圧延方向力の作業側と駆動側との差異に基づいて前記圧延機のロール開度の左右非対称成分を制御することを特徴とする、金属板材の圧延方法。
(2)圧延機の入側に配備された前記ピンチロールは、被圧延材先端が該ピンチロールを通過するまでは開放しておき、圧延材先端が通過した後に圧延作業を継続しながらピンチロール開度を小さくする方向に操作し、予め設定された荷重で被圧延材を挟持し、その状態で圧延作業を続行し、被圧延材の尾端が該ピンチロールに到達する直前に該ピンチロールを開放し、この状態で被圧延材の尾端まで圧延を継続することを特徴とする前記(1)に記載の金属板材の圧延方法。
(3)前記作業ロールチョックの作業側と駆動側の双方で検出した圧延方向力の作業側と駆動側との差異、およびピンチロールチョックの作業側と駆動側の双方で検出した圧延方向力の作業側と駆動側との差異、の双方を演算し、被圧延材の先端部近傍を圧延する際は、主として作業ロールチョックに作用する圧延方向力の作業側と駆動側の差異に基づいて圧延機のロール開度の左右非対称成分を制御し、被圧延材の尾端部近傍を圧延する際は、主としてピンチロールチョックに作用する圧延方向力の作業側と駆動側の差異に基づいて圧延機のロール開度の左右非対称成分を制御することを特徴とする前記(1)に記載の金属板材の圧延方法。
(4)少なくとも作業ロールと補強ロールとを有するリバース運転方式の圧延機と、該圧延機の前面および後面のそれぞれに、被圧延材を挟持するピンチロールを配備した圧延装置を用いて圧延を実行する金属板材の圧延方法であって、
前記作業ロールの作業ロールチョックの作業側と駆動側の双方で検出した圧延方向力の作業側と駆動側との差異、および前記ピンチロールのピンチロールチョックの作業側と駆動側の双方で検出した圧延方向力の作業側と駆動側との差異、の何れか一方もしくは双方を演算し、前記圧延方向力の作業側と駆動側との差異に基づいて前記圧延機のロール開度の左右非対称成分を制御し、
圧延入側に配備された前記ピンチロールは、各圧延作業の圧延方向に対応して、被圧延材先端が該ピンチロールを通過するまでは開放しておき、圧延材先端が通過した後に圧延作業を継続しながらピンチロール開度を小さくする方向に操作し、予め設定された荷重で被圧延材を挟持し、その状態で圧延作業を続行し、被圧延材の尾端が該ピンチロールに到達する直前に該ピンチロールを開放し、この状態で被圧延材の尾端まで圧延を継続することを特徴とする、金属板材の圧延方法。
(1)少なくとも作業ロールと補強ロールとを有する圧延機と、該圧延機の入側に配備された、被圧延材を挟持するピンチロールとからなる圧延装置を用いて圧延を実行する金属板材の圧延方法であって、
前記作業ロールの作業ロールチョックの作業側と駆動側の双方で検出した圧延方向力の作業側と駆動側との差異、および前記ピンチロールのピンチロールチョックの作業側と駆動側の双方で検出した圧延方向力の作業側と駆動側との差異、の何れか一方もしくは双方を演算し、前記圧延方向力の作業側と駆動側との差異に基づいて前記圧延機のロール開度の左右非対称成分を制御することを特徴とする、金属板材の圧延方法。
(2)圧延機の入側に配備された前記ピンチロールは、被圧延材先端が該ピンチロールを通過するまでは開放しておき、圧延材先端が通過した後に圧延作業を継続しながらピンチロール開度を小さくする方向に操作し、予め設定された荷重で被圧延材を挟持し、その状態で圧延作業を続行し、被圧延材の尾端が該ピンチロールに到達する直前に該ピンチロールを開放し、この状態で被圧延材の尾端まで圧延を継続することを特徴とする前記(1)に記載の金属板材の圧延方法。
(3)前記作業ロールチョックの作業側と駆動側の双方で検出した圧延方向力の作業側と駆動側との差異、およびピンチロールチョックの作業側と駆動側の双方で検出した圧延方向力の作業側と駆動側との差異、の双方を演算し、被圧延材の先端部近傍を圧延する際は、主として作業ロールチョックに作用する圧延方向力の作業側と駆動側の差異に基づいて圧延機のロール開度の左右非対称成分を制御し、被圧延材の尾端部近傍を圧延する際は、主としてピンチロールチョックに作用する圧延方向力の作業側と駆動側の差異に基づいて圧延機のロール開度の左右非対称成分を制御することを特徴とする前記(1)に記載の金属板材の圧延方法。
(4)少なくとも作業ロールと補強ロールとを有するリバース運転方式の圧延機と、該圧延機の前面および後面のそれぞれに、被圧延材を挟持するピンチロールを配備した圧延装置を用いて圧延を実行する金属板材の圧延方法であって、
前記作業ロールの作業ロールチョックの作業側と駆動側の双方で検出した圧延方向力の作業側と駆動側との差異、および前記ピンチロールのピンチロールチョックの作業側と駆動側の双方で検出した圧延方向力の作業側と駆動側との差異、の何れか一方もしくは双方を演算し、前記圧延方向力の作業側と駆動側との差異に基づいて前記圧延機のロール開度の左右非対称成分を制御し、
圧延入側に配備された前記ピンチロールは、各圧延作業の圧延方向に対応して、被圧延材先端が該ピンチロールを通過するまでは開放しておき、圧延材先端が通過した後に圧延作業を継続しながらピンチロール開度を小さくする方向に操作し、予め設定された荷重で被圧延材を挟持し、その状態で圧延作業を続行し、被圧延材の尾端が該ピンチロールに到達する直前に該ピンチロールを開放し、この状態で被圧延材の尾端まで圧延を継続することを特徴とする、金属板材の圧延方法。
(5)少なくとも作業ロールと補強ロールとを有する圧延機と、該圧延機の入側に配備された、被圧延材を挟持するピンチロールとからなる金属板材の圧延装置であって、
前記作業ロールの作業側と駆動側のロールチョックに作用する圧延方向力を測定する該作業ロールチョックの圧延方向入側と出側の何れか一方または双方に設けた荷重検出装置と、
該荷重検出装置による測定値に基づいて該作業ロールチョックに作用する圧延方向力の作業側と駆動側の差異を演算する演算装置と、
該演算値に基づいて、前記圧延機のロール開度の左右非対称成分制御量を演算する圧下レベリング制御量演算装置と、
該ロール開度の左右非対称成分制御量の演算値に基づいて前記圧延機のロール開度を制御する制御装置とを備えることを特徴とする、金属板材の圧延装置。
(6)少なくとも作業ロールと補強ロールとを有する圧延機と、該圧延機の入側に配備された、被圧延材を挟持するピンチロールとからなる金属板材の圧延装置であって、
前記作業ロールの作業側と駆動側のロールチョックに作用する圧延方向力を測定する該作業ロールチョックの圧延方向入側と出側の何れか一方または双方に荷重検出装置と、
該荷重検出装置による測定値に基づいて該作業ロールチョックに作用する圧延方向力の作業側と駆動側の差異を演算する演算装置と、
前記ピンチロールの作業側と駆動側のロールチョックに作用する圧延方向力を測定する該ピンチロールチョックの圧延方向入側と出側の何れか一方または双方に設けた荷重検出装置と、
該荷重検出装置による測定値に基づいて該ピンチロールチョックに作用する圧延方向力の作業側と駆動側の差異を演算する演算装置と、
前記作業ロールチョックに作用する圧延方向力の作業側と駆動側の差異の演算値、および前記ピンチロールチョックに作用する圧延方向力の作業側と駆動側の差異の演算値に基づいて、前記圧延機のロール開度の左右非対称成分制御量を演算する圧下レベリング制御量演算装置と、
該ロール開度の左右非対称成分制御量の演算値に基づいて前記圧延機のロール開度を制御する制御装置とを備えることを特徴とする、金属板材の圧延装置。
(7)少なくとも作業ロールと補強ロールとを有するリバース運転方式の圧延機と、該圧延機の前面および後面のそれぞれに、被圧延材を挟持するピンチロールを配備した金属板材の圧延装置であって、
前記作業ロールの作業側と駆動側のロールチョックに作用する圧延方向力を測定する該作業ロールチョックの圧延方向入側と出側の何れか一方または双方に設けた荷重検出装置と、
該荷重検出装置による測定値に基づいて該作業ロールチョックに作用する圧延方向力の作業側と駆動側の差異を演算する演算装置と、
該演算値に基づいて、前記圧延機のロール開度の左右非対称成分制御量を演算する圧下レベリング制御量演算装置と、
該ロール開度の左右非対称成分制御量の演算値に基づいて前記圧延機のロール開度を制御する制御装置とを備えることを特徴とする、金属板材の圧延装置。
前記作業ロールの作業側と駆動側のロールチョックに作用する圧延方向力を測定する該作業ロールチョックの圧延方向入側と出側の何れか一方または双方に設けた荷重検出装置と、
該荷重検出装置による測定値に基づいて該作業ロールチョックに作用する圧延方向力の作業側と駆動側の差異を演算する演算装置と、
該演算値に基づいて、前記圧延機のロール開度の左右非対称成分制御量を演算する圧下レベリング制御量演算装置と、
該ロール開度の左右非対称成分制御量の演算値に基づいて前記圧延機のロール開度を制御する制御装置とを備えることを特徴とする、金属板材の圧延装置。
(6)少なくとも作業ロールと補強ロールとを有する圧延機と、該圧延機の入側に配備された、被圧延材を挟持するピンチロールとからなる金属板材の圧延装置であって、
前記作業ロールの作業側と駆動側のロールチョックに作用する圧延方向力を測定する該作業ロールチョックの圧延方向入側と出側の何れか一方または双方に荷重検出装置と、
該荷重検出装置による測定値に基づいて該作業ロールチョックに作用する圧延方向力の作業側と駆動側の差異を演算する演算装置と、
前記ピンチロールの作業側と駆動側のロールチョックに作用する圧延方向力を測定する該ピンチロールチョックの圧延方向入側と出側の何れか一方または双方に設けた荷重検出装置と、
該荷重検出装置による測定値に基づいて該ピンチロールチョックに作用する圧延方向力の作業側と駆動側の差異を演算する演算装置と、
前記作業ロールチョックに作用する圧延方向力の作業側と駆動側の差異の演算値、および前記ピンチロールチョックに作用する圧延方向力の作業側と駆動側の差異の演算値に基づいて、前記圧延機のロール開度の左右非対称成分制御量を演算する圧下レベリング制御量演算装置と、
該ロール開度の左右非対称成分制御量の演算値に基づいて前記圧延機のロール開度を制御する制御装置とを備えることを特徴とする、金属板材の圧延装置。
(7)少なくとも作業ロールと補強ロールとを有するリバース運転方式の圧延機と、該圧延機の前面および後面のそれぞれに、被圧延材を挟持するピンチロールを配備した金属板材の圧延装置であって、
前記作業ロールの作業側と駆動側のロールチョックに作用する圧延方向力を測定する該作業ロールチョックの圧延方向入側と出側の何れか一方または双方に設けた荷重検出装置と、
該荷重検出装置による測定値に基づいて該作業ロールチョックに作用する圧延方向力の作業側と駆動側の差異を演算する演算装置と、
該演算値に基づいて、前記圧延機のロール開度の左右非対称成分制御量を演算する圧下レベリング制御量演算装置と、
該ロール開度の左右非対称成分制御量の演算値に基づいて前記圧延機のロール開度を制御する制御装置とを備えることを特徴とする、金属板材の圧延装置。
本発明の金属板材の圧延方法および圧延装置により、金属板材の全長に亘る圧延作業において、被圧延材の蛇行やキャンバーの発生を防ぐことが可能となり、圧延作業の生産性の向上や圧延製品の歩留向上および品質向上等の産業上有用な著しい効果を奏する。
以下、発明を実施するための形態を説明する。
前記(1)に記載の本発明の金属板材の圧延方法によると、圧延機入側に配備された上下一対のピンチロールによって被圧延材を挟持しつつ圧延を実施する。このようにピンチロールで被圧延材入側が挟持されている状態で、被圧延材の伸び率に左右差を生じると、被圧延材入側は常に面内回転に対して拘束されているため、入側圧延材から作業ロールに作用する反力が常に支配的となり、その結果、作業ロールに作用する圧延方向力の左右差に基づいて圧下レベリング制御を実施する際、被圧延材尾端部圧延時を含めて圧下レベリング制御の極性を反転させる必要がない。例えば、作業ロールに作用する作業側圧延方向力が駆動側圧延方向力より正負の符号を含めて相対的に大きい場合、作業側の伸び率が大きいことを示すので、作業側の圧下を相対的に開放する側に圧下レベリングを操作すれば良い。
また、前記(1)においては、圧延機入側に配備したピンチロールチョックに作用する圧延方向力の左右差を用いる形態も開示されている。被圧延材の伸び率に左右差を生じた場合、後進率の左右差によって作業ロールから入側圧延材を面内回転させようとするモーメントが作用する。入側ピンチロールはこの入側圧延材の面内回転を拘束するので、ピンチロールチョックに作用する圧延方向力に左右差を生じる。すなわちピンチロールチョックに作用する圧延方向力によって後進率そして伸び率の左右差を検出することが可能であり、これに基づいて圧下レベリングを制御することでキャンバーの発生を未然に防止することが可能である。
特に、入側ピンチロールに作用する圧延方向力の左右差は、入側圧延材が短くなった尾端部圧延時に顕著となるので、被圧延材先端部および中央部圧延時は、作業ロールに作用する圧延方向力の左右差を主として制御に用い、尾端部圧延時は、入側ピンチロールに作用する圧延方向力の左右差を主として制御に用いることも好ましく、これは前記(3)に開示されている。
前記(2)に記載の金属板材の圧延方法では、入側に配備されたピンチロールの好適な使用方法を開示している。入側ピンチロールは前記したように被圧延材尾端部圧延時に特に有効となる。そこで被圧延材先端部が通過する際は、少なくとも上ピンチロールは圧延材に接触しないようにピンチロール開度を十分開放しておき、圧延材先端部が該ピンチロールを通過した後に、圧延作業を継続しながらピンチロール開度を小さくする方向に操作して、予め設定された荷重で被圧延材を挟持する。このような圧延方法とすることにより、被圧延材先端がピンチロールに衝突するようなトラブルを避けることができ、またピンチロールの待機ギャップを精密に設定するための高精度なピンチロール開度制御装置を配備する必要もなくなる。
次に、圧延終了間際には圧延材尾端部が該ピンチロールに到達する直前に該ピンチロールを開放して、圧延材尾端部まで圧延を継続する方法を開示している。このような圧延方法とすることにより、被圧延材尾端部のクロップ形状のような不規則な形状により圧下レベリング制御に外乱が入ることを防止でき、さらに圧延材尾端が抜けた瞬間に上下ピンチロールが衝突してピンチロール表面が損傷することを避けられる。なおピンチロールを開放した後の圧下レベリング制御については、通常は開放直前の圧下レベリング値にホールドした状態で圧延を継続することで圧延材尾端まで良好な圧延が実行できる。別の例として、圧延材尾端部に局所的な左右板厚偏差があるような場合には、圧下レベリングのホールド状態では新たなキャンバーを生じる可能性があるが、そのような場合には、入側ピンチロールを開放した後は作業ロールに作用する圧延方向力の左右差に基づく制御を実施すれば良い。ただし、このときは、圧延材出側から作業ロールに作用する圧延方向力が支配的となることを前提として制御する必要がある。
前記(4)では、リバース運転方式の圧延機を用いてリバース圧延操業を実施する場合の本発明の金属板材の圧延方法を開示している。前記したように、本発明の圧延方法では被圧延材入側を上下一対のピンチロールで拘束することで、キャンバー制御に格別の効果を発揮できるので、リバース圧延機の場合には、各圧延パスの圧延方向に対応して、圧延機の前面および後面双方に配備されたピンチロールのうち入側となるピンチロールで被圧延材を挟持する。この時、出側となるピンチロールについては開放状態であっても良いが、被圧延材が薄手広幅の場合、形状改善の目的で被圧延材を挟持し、さらに張力を負荷する構成とすることも好ましい。このように入側ピンチロールで被圧延材を挟持した上で、作業ロールに作用する圧延方向力の左右差および入側ピンチロールに作用する圧延方向力の左右差の何れか一方もしくは双方に基づいて圧下レベリング制御を実行することで各パスともに良好なキャンバー制御が可能となる。
さらに前記(4)では、入側となるピンチロールの好適な使用方法も開示している。すなわち入側ピンチロールは被圧延材尾端部圧延時に特に有効となるので、被圧延材先端部が通過する際は、少なくとも上ピンチロールは圧延材に接触しないようにピンチロール開度を十分開放しておき、圧延材先端部が該ピンチロールを通過した後に、圧延作業を継続しながらピンチロール開度を小さくする方向に操作して、予め設定された荷重で被圧延材を挟持する。このような圧延方法とすることにより、被圧延材先端がピンチロールに衝突するようなトラブルを避けることができ、またピンチロールの待機ギャップを精密に設定するための高精度なピンチロール開度制御装置を配備する必要もなくなる。
次に、圧延終了間際には圧延材尾端部が該ピンチロールに到達する直前に該ピンチロールを開放して、圧延材尾端部まで圧延を継続する方法を開示している。このような圧延方法とすることにより、被圧延材尾端部のクロップ形状のような不規則な形状により圧下レベリング制御に外乱が入ることを防止でき、さらに圧延材尾端が抜けた瞬間に上下ピンチロールが衝突してピンチロール表面が損傷することを避けられる。なおピンチロールを開放した後の圧下レベリング制御については、通常は開放直前の圧下レベリング値にホールドした状態で圧延を継続することで圧延材尾端まで良好な圧延が実行できる。別の例として、圧延材尾端部に局所的な左右板厚偏差があるような場合には、圧下レベリングのホールド状態では新たなキャンバーを生じる可能性があるが、そのような場合には、入側ピンチロールを開放した後は作業ロールに作用する圧延方向力の左右差に基づく制御を実施すれば良い。ただし、このときは、圧延材出側から作業ロールに作用する圧延方向力が支配的となることを前提として制御する必要がある。
前記(5)では、前記(1)記載の金属板材の圧延方法を実施するために必要な金属板材の圧延装置を開示している。圧延機入側に配備されたピンチロールは被圧延材入側の面内回転を拘束する作用をおよぼし、作業ロールの作業ロールチョックに作用する圧延方向入側と出側の何れか一方または双方に配備された荷重検出装置によって作業ロールチョックに作用する圧延方向力を検出する。そして該荷重検出装置による測定値に基づいて該作業ロールチョックに作用する圧延方向力の作業側と駆動側の差異を演算する演算装置を備えている。この演算装置によって演算された作業ロールチョックに作用する圧延方向力の左右差は、圧延材の伸び率の左右差起因で入側圧延材を面内回転させようとするモーメントの反力に対応するので、これに基づいて圧下レベリング制御量演算装置により圧下レベリング制御量を演算して圧下レベリング制御を実施することで良好なキャンバー制御が実現できる。なお、作業ロールチョックに作用する圧延方向力を測定するための荷重検出装置は、作業ロールチョックに作用する圧延方向力が入側のみに作用する場合は入側のみに配備し、出側のみに作用する場合は出側のみに配備、双方に作用する場合は双方に配備する。すなわち作業ロールチョックに作用する圧延方向力はすべて検出できるように配備する。また、本発明による金属板材の圧延装置における入側ピンチロールを(2)に記載の圧延方法にしたがって使用する場合、被圧延材尾端部が入側ピンチロールに到達しピンチロールを開放した後の圧延長さは短い方が好ましいので、ピンチロールは該圧延機に近接して配備することが好ましい。
前記(6)では、前記(5)に記載の金属板材の圧延装置に加え、入側に配備されたピンチロールの作業側と駆動側のロールチョックに作用する圧延方向力を測定可能とするため、該ピンチロールチョックの圧延方向入側と出側の何れか一方または双方に荷重検出装置を備え、さらに該荷重検出装置による測定値に基づいて該ピンチロールチョックに作用する圧延方向力の作業側と駆動側の差異を演算する演算装置を備えている。このような圧延装置構成によって、前記(3)で開示された圧下レベリング制御、すなわち被圧延材の先端部近傍を圧延する際は、主として作業ロールチョックに作用する圧延方向力の作業側と駆動側の差異に基づいて圧延機の圧下レベリング制御を行い、被圧延材の尾端部近傍を圧延する際は、主としてピンチロールチョックに作用する圧延方向力の作業側と駆動側の差異に基づいて圧延機の圧下レベリング制御を実施する好ましい圧延方法が実施可能となる。
前記(7)では、リバース運転方式の圧延機において(4)に記載の金属板材の圧延方法を実施するための金属板材の圧延装置を開示している。前記したように、本発明の圧延方法では被圧延材入側を上下一対のピンチロールで拘束することで、キャンバー制御に格別の効果を発揮できるので、リバース圧延操業においてこれを実現するためには、該リバース圧延機の圧延機の前面および後面双方にピンチロールを配備する必要がある。このような構成とすることで、圧延方向の反転に対しても常に圧延入側となるピンチロールで被圧延材を挟持することが可能となる。(7)に記載の金属板材の圧延装置は、この圧延機前面および後面のピンチロールに加えて、(5)と同様に、作業ロールチョックの入側および出側の何れか一方または双方に荷重検出装置と、該荷重検出装置による測定値に基づいて該作業ロールチョックに作用する圧延方向力の作業側と駆動側の差異を演算する演算装置と、該演算値に基づいて、前記圧延機のロール開度の左右非対称成分制御量を演算する演算装置と、該ロール開度の左右非対称成分制御量の演算値に基づいて前記圧延機のロール開度を制御する制御装置とから構成されている。このような構成の圧延機を用いることで、リバース圧延操業においても、常に被圧延材入側の面内回転を上下一対のピンチロールで拘束しながら、作業ロールに作用する圧延方向力左右差から伸び率の左右差を検出して、これを圧下レベリングの操作によって制御することが可能となる。
図1には、前記(1)に記載の本発明の金属板材の圧延方法に関する圧延装置または前記(5)に記載の本発明の圧延装置の好ましい実施例を模式的に示す。なお、図1は基本的に作業側の装置構成のみを図示しているが、駆動側にも同様の装置が存在する。
上作業ロール1は上補強ロール3に支持され、これらが一体となって圧下装置13によって上下方向に位置変更することで上下作業ロール間のギャップすなわちロール開度が調節される。下作業ロール2は下補強ロール4によって支持され、これらの作業ロール、補強ロールと図示しないハウジングおよび駆動装置を主要部として圧延機が構成される。被圧延材となる金属板材22は圧延方向23の方向に圧延される。
上作業ロール1の軸受を内蔵する上作業ロールチョック(作業側)5の入・出側には上作業ロール入側荷重検出装置(作業側)9および上作業ロール出側荷重検出装置(作業側)10が装備され、これらの測定値に基づいて上作業ロール圧延方向力演算装置(作業側)15において作業側上作業ロールチョックに作用する圧延方向力の合力が演算される。下作業ロール2に作用する圧延方向力も、同様に、下作業ロール入側荷重検出装置(作業側)11、下作業ロール出側荷重検出装置(作業側)12の測定値に基づいて下作業ロール圧延方向力演算装置(作業側)16において演算される。これらの演算値を作業ロール圧延方向合力演算装置[加算器](作業側)17において合算することで作業側作業ロールチョックに作用する圧延方向合力が演算される。同様にして作業ロール圧延方向合力(駆動側)18が演算され、これらの差異すなわち圧延方向力左右差を作業側−駆動側圧延方向力差演算装置19において演算する。さらに圧延方向力左右差に基づき圧下レベリング制御量演算装置20において圧下レベリング制御量を演算し、圧下レベリング制御装置21によって圧下レベリング制御を実行する。なお圧下レベリング制御は、圧下装置13のうち作業側のものと駆動側のものとを逆方向に操作して、これらの差異を制御するものである。
さらに図1の実施例では、圧延機入側に上下一対のピンチロール14が配備され、このピンチロールにより被圧延材入側を挟持する。このようにすることにより被圧延材入側の長さが短くなる尾端部近傍の圧延においても、被圧延材入側の面内回転を拘束することができ、上記した作業ロールに作用する圧延方向力の左右差に基づく制御において、圧下レベリング制御量演算装置20において圧下レベリング制御量を演算する際に使用する制御ゲインの符号を圧延位置に応じて反転させる必要がなくなる。以上のような圧延方法および圧延装置を採用することにより、圧延材全長に亘って制御の極性を反転させることなく、一貫して安定なキャンバー制御が実行できる。
ところで図1では、作業ロールチョックに作用する圧延方向力を入側および出側の双方に配置する構成としているが、その具体例を図2および図3に示す。図2の例では作業ロールチョック5を作業ロールチョックスタビライザー27によって図示しないハウジングに支持されたプロジェクトブロック等に押し付ける構成となっており、入側荷重検出装置9および出側荷重検出装置10の双方に常に荷重が負荷されている構成となっている。なお作業ロールチョックスタビライザー27は、作業ロールチョックをプロジェクトブロック等に押し付けてガタを殺す機能を有するもので、一般に油圧シリンダーが用いられる。
図3の例では、同じく作業ロールチョックスタビライザー27を有しているが、入側荷重検出装置9は省略されている。このような構成の場合、作業ロールチョックスタビライザー27の油圧シリンダーの油圧を測定することで入側荷重検出装置9の代替とすることができる。また、図4のように作業ロール1の補強ロール3に対するオフセットΔxを比較的大きくとることで、作業ロールチョックに作用する圧延方向力は出側方向にのみ生ずるようにして入側荷重検出装置9を省略する実施形態もある。
図5には前記(2)に記載の本発明の金属板材の圧延方法の好ましい実施例を模式的に示す。図1に示した圧延機の構成に加えて、入側ピンチロールの直近の上流側に金属板材検出装置28が配備されている。図5(a)は圧延開始前の被圧延材先端部が入側ピンチロール14より上流側にある状態を示している。この時点では、圧延機のロール開度は設定計算結果にしたがって設定されているが、ピンチロール14は開放状態で待機している。
その後、被圧延材先端部が入側ピンチロール14を通過し、圧延が開始された後に図5(b)に示すようにピンチロールを締め込む。前記したように入側ピンチロールによる被圧延材の拘束は、被圧延材先端部および定常部圧延時には必ずしも必要ではないので、入側ピンチロール14の締め込みタイミングは厳密なものである必要はなく、例えば、圧延機に有意な圧延荷重が発生した時点をトリガーとして決めれば良い。圧延荷重信号の別のトリガーの例としては、入側ピンチロールまたは圧延機の出側に金属板材検出装置を配備して、被圧延材先端部の検出信号を用いる方法もある。このような圧延方法によると入側ピンチロールへの被圧延材咬み込みショックや咬み込み時の種々のトラブルを避けることができ、安定した圧延操業が可能となる。なお図1で説明した作業ロールに作用する圧延方向力の左右差に基づく圧下レベリング制御は、被圧延材入側部から作用する力が圧延開始直後から作用するので圧延機に被圧延材を咬み込んだ直後から実施して良い。
次に図5(c)に示すように、被圧延材尾端が入側ピンチロール14に近づいた時、被圧延材尾端部を入側ピンチロール手前の金属板材検出装置28で検出し、被圧延材尾端部が入側ピンチロール14に到達する直前に入側ピンチロール14を開放する。このようにすることで荷重制御となるピンチロールが上下ロールの衝突等のトラブルを起こすことを回避できる上、被圧延材尾端部の不規則な平面形状に起因するピンチロール〜圧延機間の圧延張力の非対称性の発生を防止し、安定したキャンバー制御が可能となる。また被圧延材尾端部近傍で入側ピンチロールが開放された後は、被圧延材入側から作用する面内回転に対する拘束力は著しく弱くなり、圧下レベリング制御を実施する際の制御信号として不適当となるので、入側ピンチロール開放時点から圧延終了までは、例えば、圧下レベリングを固定して圧延を続行することが好ましい。なお入側ピンチロール開放時点から圧下レベリング固定とする代わりに被圧延材出側の拘束条件によって作業ロールに作用する圧延方向力に基づいて圧下レベリング制御を実施する方法も好ましい実施例の一つである。入側ピンチロールを被圧延材尾端部が抜け、圧延を続行している状態を図5(d)に示す。
図6には前記(3)に記載の本発明の金属板材の圧延方法に関する圧延装置または前記(6)に記載の本発明の圧延装置の好ましい実施例を模式的に示す。図6に示す圧延装置では図1に示す圧延装置に加えて、入側ピンチロール14の上下ロールそれぞれに圧延方向力検出装置(作業側)24、25が配備されており、これらの検出値がピンチロール圧延方向力演算装置(作業側)26で加算されてピンチロール圧延方向合力(作業側)が得られる。同様にして駆動側のピンチロール圧延方向合力29も演算され、作業側−駆動側圧延方向力差演算装置19に入力され、ピンチロールに作用する圧延方向力の左右差が演算される。そして(3)に記載の圧延方法による場合、被圧延材の先端部近傍を圧延する際は、主として圧延機の作業ロールチョックに作用する圧延方向力の左右差に基づいて圧下レベリング制御を実施し、被圧延材の尾端部近傍を圧延する際は、主としてピンチロールチェックに作用する圧延方向力の左右差に基づいて圧下レベリング制御を実施する。このとき、被圧延材の長手方向中央部圧延時は、前記したように被圧延材入側から作業ロールに作用する力が主体となるので、被圧延材先端部と同様の制御を実施することが好ましい。
図7には前記(4)に記載の本発明の金属板材の圧延方法に関する圧延装置または前記(7)に記載の本発明の圧延装置の好ましい実施例を模式的に示す。図7に示す圧延機はリバース運転方式であり、圧延方向は正転圧延方向32と逆転圧延方向33に圧延パス毎に切り換えられる。ピンチロールは前面ピンチロール30および後面ピンチロール31が配備されており、圧延方向が正転圧延方向32の場合には、主として被圧延材尾端部圧延時に前面ピンチロール30によって被圧延材を拘束する。また圧延方向が逆転圧延方向33の場合には、主として被圧延材尾端部圧延時に後面ピンチロール31によって被圧延材を拘束する。すなわち圧延方向に応じて入側となるピンチロールで被圧延材尾端部を拘束して、作業ロールに作用する圧延方向力左右差に基づいて圧下レベリング制御することにより圧延方向の正転逆転に関係なく常に良好なキャンバー制御が実現できる。またこの時の入側ピンチロールの使用方法は図5に示した使用方法を採用することが好ましい。なお出側となるピンチロールの使用方法は、キャンバー制御目的では開放状態で差し支えないが、出側でも被圧延材を拘束してピンチロール〜圧延機間で張力を付与して圧延すると被圧延材の形状制御の観点で好ましい効果を奏する。
上記実施例1〜4並びに各実施形態において作業ロールと補強ロールとを有する4段圧延機について説明したが、本発明は中間ロールを有する6段圧延機についても適用でき、4段圧延機に適用したときと同様な顕著な効果を有するものである。
本発明は、金属板材の圧延工程において、圧延製品に発生するキャンバーを極小化し、さらに圧延材の蛇行等の通板トラブルを防止する効果を奏するため、本発明を利用することで製品歩留向上および圧延操業の生産性向上に大きな貢献が期待される。
1 上作業ロール
2 下作業ロール
3 上補強ロール
4 下補強ロール
5 上作業ロールチョック(作業側)
6 下作業ロールチョック(作業側)
7 上補強ロールチョック(作業側)
8 下補強ロールチョック(作業側)
9 上作業ロール入側荷重検出装置(作業側)
10 上作業ロール出側荷重検出装置(作業側)
11 下作業ロール入側荷重検出装置(作業側)
12 下作業ロール出側荷重検出装置(作業側)
13 圧下装置
14 入側ピンチロール
15 上作業ロール圧延方向力演算装置(作業側)
16 下作業ロール圧延方向力演算装置(作業側)
17 作業ロール圧延方向合力演算装置[加算器](作業側)
18 作業ロール圧延方向合力(駆動側)
19 作業側−駆動側圧延方向力差演算装置
20 圧下レベリング制御量演算装置
21 圧下レベリング制御装置
22 金属板材
23 圧延方向
24 上ピンチロール圧延方向力検出装置(作業側)
25 下ピンチロール圧延方向力検出装置(作業側)
26 ピンチロール圧延方向力演算装置(作業側)
27 作業ロールチョックスタビライザー
28 金属板材検出装置
29 ピンチロール圧延方向合力(駆動側)
30 前面ピンチロール
31 後面ピンチロール
32 正転圧延方向
33 逆転圧延方向
2 下作業ロール
3 上補強ロール
4 下補強ロール
5 上作業ロールチョック(作業側)
6 下作業ロールチョック(作業側)
7 上補強ロールチョック(作業側)
8 下補強ロールチョック(作業側)
9 上作業ロール入側荷重検出装置(作業側)
10 上作業ロール出側荷重検出装置(作業側)
11 下作業ロール入側荷重検出装置(作業側)
12 下作業ロール出側荷重検出装置(作業側)
13 圧下装置
14 入側ピンチロール
15 上作業ロール圧延方向力演算装置(作業側)
16 下作業ロール圧延方向力演算装置(作業側)
17 作業ロール圧延方向合力演算装置[加算器](作業側)
18 作業ロール圧延方向合力(駆動側)
19 作業側−駆動側圧延方向力差演算装置
20 圧下レベリング制御量演算装置
21 圧下レベリング制御装置
22 金属板材
23 圧延方向
24 上ピンチロール圧延方向力検出装置(作業側)
25 下ピンチロール圧延方向力検出装置(作業側)
26 ピンチロール圧延方向力演算装置(作業側)
27 作業ロールチョックスタビライザー
28 金属板材検出装置
29 ピンチロール圧延方向合力(駆動側)
30 前面ピンチロール
31 後面ピンチロール
32 正転圧延方向
33 逆転圧延方向
Claims (7)
- 少なくとも作業ロールと補強ロールとを有する圧延機と、該圧延機の入側に配備された、被圧延材を挟持するピンチロールとからなる圧延装置を用いて圧延を実行する金属板材の圧延方法であって、
前記作業ロールの作業ロールチョックの作業側と駆動側の双方で検出した圧延方向力の作業側と駆動側との差異、および前記ピンチロールのピンチロールチョックの作業側と駆動側の双方で検出した圧延方向力の作業側と駆動側との差異、の何れか一方もしくは双方を演算し、前記圧延方向力の作業側と駆動側との差異に基づいて前記圧延機のロール開度の左右非対称成分を制御することを特徴とする、金属板材の圧延方法。 - 圧延機の入側に配備された前記ピンチロールは、被圧延材先端が該ピンチロールを通過するまでは開放しておき、圧延材先端が通過した後に圧延作業を継続しながらピンチロール開度を小さくする方向に操作し、予め設定された荷重で被圧延材を挟持し、その状態で圧延作業を続行し、被圧延材の尾端が該ピンチロールに到達する直前に該ピンチロールを開放し、この状態で被圧延材の尾端まで圧延を継続することを特徴とする請求項1に記載の金属板材の圧延方法。
- 前記作業ロールチョックの作業側と駆動側の双方で検出した圧延方向力の作業側と駆動側との差異、およびピンチロールチョックの作業側と駆動側の双方で検出した圧延方向力の作業側と駆動側との差異、の双方を演算し、被圧延材の先端部近傍を圧延する際は、主として作業ロールチョックに作用する圧延方向力の作業側と駆動側の差異に基づいて圧延機のロール開度の左右非対称成分を制御し、被圧延材の尾端部近傍を圧延する際は、主としてピンチロールチョックに作用する圧延方向力の作業側と駆動側の差異に基づいて圧延機のロール開度の左右非対称成分を制御することを特徴とする請求項1に記載の金属板材の圧延方法。
- 少なくとも作業ロールと補強ロールとを有するリバース運転方式の圧延機と、該圧延機の前面および後面のそれぞれに、被圧延材を挟持するピンチロールを配備した圧延装置を用いて圧延を実行する金属板材の圧延方法であって、
前記作業ロールの作業ロールチョックの作業側と駆動側の双方で検出した圧延方向力の作業側と駆動側との差異、および前記ピンチロールのピンチロールチョックの作業側と駆動側の双方で検出した圧延方向力の作業側と駆動側との差異、の何れか一方もしくは双方を演算し、前記圧延方向力の作業側と駆動側との差異に基づいて前記圧延機のロール開度の左右非対称成分を制御すること、
圧延入側に配備されたピンチロールは、各圧延作業の圧延方向に対応して、被圧延材先端が該ピンチロールを通過するまでは開放しておき、圧延材先端が通過した後に圧延作業を継続しながらピンチロール開度を小さくする方向に操作し、予め設定された荷重で被圧延材を挟持し、その状態で圧延作業を続行し、被圧延材の尾端が該ピンチロールに到達する直前に該ピンチロールを開放し、この状態で被圧延材の尾端まで圧延を継続することを特徴とする、金属板材の圧延方法。 - 少なくとも作業ロールと補強ロールとを有する圧延機と、該圧延機の入側に配備された、被圧延材を挟持するピンチロールとからなる金属板材の圧延装置であって、
前記作業ロールの作業側と駆動側のロールチョックに作用する圧延方向力を測定する該作業ロールチョックの圧延方向入側と出側の何れか一方または双方に設けた荷重検出装置と、
該荷重検出装置による測定値に基づいて該作業ロールチョックに作用する圧延方向力の作業側と駆動側の差異を演算する演算装置と、
該演算値に基づいて、前記圧延機のロール開度の左右非対称成分制御量を演算する圧下レベリング制御量演算装置と、
該ロール開度の左右非対称成分制御量の演算値に基づいて前記圧延機のロール開度を制御する制御装置とを備えることを特徴とする、金属板材の圧延装置。 - 少なくとも作業ロールと補強ロールとを有する圧延機と、該圧延機の入側に配備された、被圧延材を挟持するピンチロールとからなる金属板材の圧延装置であって、
前記作業ロールの作業側と駆動側のロールチョックに作用する圧延方向力を測定する該作業ロールチョックの圧延方向入側と出側の何れか一方または双方に荷重検出装置と、
該荷重検出装置による測定値に基づいて該作業ロールチョックに作用する圧延方向力の作業側と駆動側の差異を演算する演算装置と、
前記ピンチロールの作業側と駆動側のロールチョックに作用する圧延方向力を測定する該ピンチロールチョックの圧延方向入側と出側の何れか一方または双方に荷重検出装置と、
該荷重検出装置による測定値に基づいて該ピンチロールチョックに作用する圧延方向力の作業側と駆動側の差異を演算する演算装置と、
前記作業ロールチョックに作用する圧延方向力の作業側と駆動側の差異の演算値、および前記ピンチロールチョックに作用する圧延方向力の作業側と駆動側の差異の演算値に基づいて、前記圧延機のロール開度の左右非対称成分制御量を演算する圧下レベリング制御量演算装置と、
該ロール開度の左右非対称成分制御量の演算値に基づいて前記圧延機のロール開度を制御する制御装置とを備えることを特徴とする、金属板材の圧延装置。 - 少なくとも作業ロールと補強ロールとを有するリバース運転方式の圧延機と、該圧延機の前面および後面のそれぞれに、被圧延材を挟持するピンチロールを配備した金属板材の圧延装置であって、
前記作業ロールの作業側と駆動側のロールチョックに作用する圧延方向力を測定する該作業ロールチョックの圧延方向入側と出側の何れか一方または双方に設けた荷重検出装置と、
該荷重検出装置による測定値に基づいて該作業ロールチョックに作用する圧延方向力の作業側と駆動側の差異を演算する演算装置と、
該演算値に基づいて、前記圧延機のロール開度の左右非対称成分制御量を演算する圧下レベリング制御量演算装置と、
該ロール開度の左右非対称成分制御量の演算値に基づいて前記圧延機のロール開度を制御する制御装置とを備えることを特徴とする、金属板材の圧延装置。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN104023864A (zh) * | 2012-06-26 | 2014-09-03 | 新日铁住金株式会社 | 金属板材的轧制装置 |
CN106734251A (zh) * | 2017-01-10 | 2017-05-31 | 首钢京唐钢铁联合有限责任公司 | 平整机的标定方法 |
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- 2009-07-27 JP JP2009174649A patent/JP2011025289A/ja not_active Withdrawn
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---|---|---|---|---|
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CN106734251A (zh) * | 2017-01-10 | 2017-05-31 | 首钢京唐钢铁联合有限责任公司 | 平整机的标定方法 |
CN106734251B (zh) * | 2017-01-10 | 2019-02-01 | 首钢京唐钢铁联合有限责任公司 | 平整机的标定方法 |
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