JP4256832B2 - 金属板材の圧延方法および圧延装置 - Google Patents
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このような問題に対し、特許文献1では、圧延機の入側および出側において圧延材の幅方向位置を測定する装置を配備し、この測定値から圧延材のキャンバーを演算し、これを修正するように圧延機入側に配備したエッジャーロールの位置を調整するキャンバー制御技術が開示されている。
また、特許文献3には、圧延荷重の左右差の実測値を分析して、ロール開度の左右差すなわち圧下レベリングを制御するか、またはサイドガイドの位置を制御するキャンバー制御技術が開示されている。
また、特許文献4には、入側のエッジャーロールとサイドガイド、そして出側サイドガイドで圧延材を拘束してキャンバー制御する方法が開示されている。
特許文献2記載の、圧延機入出側のエッジャーロール荷重左右差に基づくキャンバー制御技術に関する発明では、入側の圧延材に既にキャンバーが存在する場合、これが入側のエッジャーロール荷重差の外乱になって高い制御精度を得ることが困難になる。また、出側のエッジャーロールは圧延材先端がエッジャーロールに衝突することを避けるため圧延材先端通板時は退避しておく必要があり、圧延材先端からキャンバー制御を実施することも困難である。
特許文献4に記載の、入側エッジャーロール、入側サイドガイドおよび出側サイドガイドによるキャンバー制御に関する発明では、出側サイドガイドが出側圧延材を完全に拘束することができれば出側キャンバーを零とすることが可能となるが、圧延操業を円滑に実施するには出側サイドガイドを圧延材板幅より広げておく必要があり、この余裕代の分だけ圧延材にキャンバーを生じることになる。
上記のような従来技術の問題は、結局、種々の原因によって発生するキャンバーを高精度かつ時間遅れなく測定、制御する方法がないことに起因していると言える。
そこで、本発明は、以上のキャンバー制御に関する従来技術の問題点を有利に解決して、キャンバーのない、あるいは極めてキャンバーの軽微な金属板材を安定して製造することのできる、金属板材の圧延方法および圧延装置を提供することを課題とする。
(1)少なくとも作業ロールと補強ロールとを有する圧延機と、該圧延機の出側に配備された、被圧延材を挟持する少なくとも1対のピンチロールとからなる圧延装置を用いて圧延を実行する金属板材の圧延方法であって、前記ピンチロールから被圧延材に作用して前記作業ロールの作業ロールチョックの作業側と駆動側の両方で検出した圧延方向力の作業側と駆動側との差異、および被圧延材を通じて前記圧延機の作業ロールに作用して前記ピンチロールのピンチロールチョックの作業側と駆動側の両方で検出した圧延方向力の作業側と駆動側との差異、の何れか一方若しくは双方を演算し、前記圧延方向力の作業側と駆動側との差異に基づいて前記圧延機のロール開度の左右非対称成分を制御することを特徴とする、金属板材の圧延方法。
(2)前記圧延機出側のピンチロールが、被圧延材に圧延方向力を加えることのできるピンチロール回転駆動装置を備え、該駆動装置から発生するピンチロールトルクを制御して被圧延材に張力を作用させることを特徴とする、(1)に記載の金属板材の圧延方法。
(3)少なくとも作業ロールと補強ロールとを有する圧延機と、該圧延機の出側に配備された、被圧延材を挟持する少なくとも1対のピンチロールとからなる金属板材の圧延装置であって、該作業ロールの作業側と駆動側のロールチョックに作用する圧延方向力を測定可能な、該作業ロールチョックの圧延方向入側と出側の双方に荷重検出装置を備え、さらに該荷重検出装置による測定値に基づいて該作業ロールチョックに作用する圧延方向力の作業側と駆動側の差異を演算する演算装置と、該演算値に基づいて、前記圧延機のロール開度の左右非対称成分制御量を演算する演算装置と、該ロール開度の左右非対称成分制御量の演算値に基づいて前記圧延機のロール開度を制御する制御装置とから構成されることを特徴とする、金属板材の圧延装置。
(4)作業ロールチョックの圧延方向入側、出側のどちらか一方に、該作業ロールチョックを圧延方向に押しつけるための装置を有することを特徴とする、(3)に記載の金属板材の圧延装置。
(5)作業ロールチョックを圧延方向に押しつけるための装置が油圧装置であることを特徴とする、(4)に記載の金属板材の圧延装置。
(6)作業ロールチョックの圧延方向入側と出側のうち、補強ロールを基準として作業ロールをオフセットしている側とは反対側に、該作業ロールチョックを圧延方向に押しつけるための油圧装置を備えることを特徴とする、(5)記載の金属板材の圧延装置。
(8)ピンチロールが胴部長さ方向の中心または円筒状中央部の端から胴部の端に至るまで胴部直径が漸減する形状となっていることを特徴とする(3)〜(7)のいずれかに記載の金属板材の圧延装置。
(9)前記ピンチロールのロール軸を含む断面の輪郭線がロール軸方向の距離の関数で表示される曲線からなる(8)に記載の金属板材の圧延装置。
(10)前記輪郭線が前記関数の近似値で表示される曲線からなる(9)に記載の金属板材の圧延装置。
一般に、板材の圧延によってキャンバーを生ずる原因としては、ロールギャップ設定不良、被圧延材の入側板厚左右差あるいは変形抵抗左右差等があげられるが、何れの原因の場合でも、最終的には、圧延によって生じる圧延方向の伸び歪に左右差を生じることで圧延材の出側速度に左右差を生じキャンバーを生じることになる。
以上説明したように、請求項1に記載の本発明の方法では、キャンバー発生の直接原因となる圧延材出側速度の左右差を検出・測定し、直ちにこれを均一化するためのロール開度操作を実施するため、実質的にキャンバー発生のない、あるいは極めてキャンバーの軽微な圧延が実現可能となる。
次に、請求項1又は2に記載の本発明の金属板材の圧延方法を実施するための請求項3以下に記載の圧延装置に関する本発明について説明する。
これに加え、作業ロールチョックに作用する圧延方向力の作業側と駆動側の差異を演算する演算装置を備えているので、キャンバーの原因となる圧延方向の伸び歪の左右差に起因して圧延材より作業ロールに作用するモーメントを検出することができる。さらに作業ロールチョックに作用する圧延方向力の左右差に基づいて、伸び歪を左右均等化するための圧延機のロール開度の左右非対称成分制御量を演算する演算装置と、該ロール開度の左右非対称成分制御量の演算値に基づいて該圧延機のロール開度を制御する制御装置が配備されているので、伸び歪の左右差の発生を未然に防ぎ、キャンバーのない、あるいは極めてキャンバーの軽微な金属板材を圧延することが可能となり、請求項1記載の金属板材の圧延方法を実施することが可能となる。
本発明を用い、ワークロール直径1000mmのリバース圧延機で、圧延方向の作業側と駆動側との差異の目標値を0kNとして、鉄の熱間圧延を行った結果を以下に示す。入側板厚51mm、板幅2500mmの同一寸法の板について7パスで出側板厚12mmとする圧延を実施したが、圧延した板の38枚の平均キャンバー量は、3mmであり、キャンバーとしては小さいものしか発生しなかった。
比較例として、特許文献3に示す、圧延荷重左右差による制御を、同一寸法の板で実施した。その結果、圧延した板の39枚の平均キャンバー量は、28mmであり、キャンバーとしては大きいものが発生した。
FP df=(FP TW+FP BW)−(FP TD+FP BD) (3)
によって演算する。この演算値FP dfが、被圧延材とピンチロールとの間に作用する圧延方向力の作業側と駆動側の差異を代表する値となる。次に、該演算値に基づいて、圧延機1のロール開度の左右非対称成分制御量を演算装置19において演算する。ここでは、例えばFP dfに基づいて、比例(P)ゲイン、積分(I)ゲイン、微分(D)ゲインを考慮したPID演算によって制御量を演算する。そして、この演算値に基づいて、圧延機1のロール開度の左右非対称成分を圧下レベリング制御装置20で制御することで、実質的にキャンバー発生のない圧延が実現できる。
以上の図1と図2とでそれぞれ説明した圧延装置を組み合わせて使用することも圧延方向力の作業側と駆動側の差異の演算精度を高めるという点で好ましい実施の形態となる。
しており上作業ロールチョック5の入側に入側作業ロールチョック押し付け装置27が配備されている。このような配置にすることによって上補強ロール3から上作業ロール1に作用するオフセット力が上作業ロールチョック5を出側に押し付ける方向に作用するので、入側作業ロールチョック押し付け装置27の力を小さくすることができ、コンパクトかつ安価な装置とすることができ、また上作業ロールチョック5を挟み込む力を小さくすることができるので、他の制御の外乱因子を小さく抑えることもできる。なお、図7の圧延装置では上作業ロール入側荷重検出装置10が省略されているが、これは油圧装置となっている図7の入側作業ロールチョック押し付け装置27の油圧シリンダーに供給される作動油の圧力を測定するセンサー(図示せず)を配備することによって油圧装置そのものを荷重検出装置として代用している例である。
ところで、図6、7、8の実施形態では圧延機入側に作業ロールチョック押し付け装置を配備した例を示しているが、これを出側に配備しても差し支えない。ただし図7、8の作業ロールオフセットとの位置関係は維持する必要がある。
また、図6、7、8の実施形態では上作業ロールチョック近辺の実施形態のみを示しているが、下作業ロールチョックに適用する場合の実施形態も基本的には同様である。
2 下作業ロール
3 上補強ロール
4 下補強ロール
5 上作業ロールチョック(作業側)
6 下作業ロールチョック(作業側)
7 上補強ロールチョック(作業側)
8 下補強ロールチョック(作業側)
9 上作業ロール出側荷重検出装置(作業側)
10 上作業ロール入側荷重検出装置(作業側)
11 下作業ロール出側荷重検出装置(作業側)
12 下作業ロール入側荷重検出装置(作業側)
13 圧下装置
14 上作業ロール圧延方向力演算装置(作業側)
15 下作業ロール圧延方向力演算装置(作業側)
16 作業ロール圧延方向合力演算装置[加算器](作業側)
17 作業ロール圧延方向合力(駆動側)
18 作業側−駆動側圧延方向力差演算装置
19 圧下レベリング制御量演算装置
20 圧下レベリング制御装置
21 金属板材
22 圧延方向
23 ミルハウジング
24 出側プロジェクトブロック
25 入側プロジェクトブロック
26 圧延荷重検出装置
27 入側作業ロールチョック押し付け装置
28 出側作業ロールチョック位置制御装置
29 出側作業ロールチョック位置検出装置
30 上ピンチロール
31 下ピンチロール
32 上ピンチロールに作用する圧延方向力の測定装置
33 下ピンチロールに作用する圧延方向力の測定装置
34 ピンチロール圧延方向合力演算装置
D ピンチロール直径(胴部長さ方向の中央部)
d ピンチロール直径(胴部長さ方向の端部)
w ピンチロールの胴部長さの1/2の長さ
w1 ピンチロールの傾斜部の長さ
W 板幅
ΔW1 ピンチロールと被圧延材との片側の幅方向接触長さ
ΔW2 ピンチロールと被圧延材とのもう一方の幅方向接触長さ
Claims (10)
- 少なくとも作業ロールと補強ロールとを有する圧延機と、該圧延機の出側に配備された、被圧延材を挟持する少なくとも1対のピンチロールとからなる圧延装置を用いて圧延を実行する金属板材の圧延方法であって、
前記ピンチロールから被圧延材に作用して前記作業ロールの作業ロールチョックの作業側と駆動側の両方で検出した圧延方向力の作業側と駆動側との差異、および被圧延材を通じて前記圧延機の作業ロールに作用して前記ピンチロールのピンチロールチョックの作業側と駆動側の両方で検出した圧延方向力の作業側と駆動側との差異、の何れか一方若しくは双方を演算し、前記圧延方向力の作業側と駆動側との差異に基づいて前記圧延機のロール開度の左右非対称成分を制御することを特徴とする、金属板材の圧延方法。 - 前記圧延機出側のピンチロールが、被圧延材に圧延方向力を加えることのできるピンチロール回転駆動装置を備え、該駆動装置から発生するピンチロールトルクを制御して被圧延材に張力を作用させることを特徴とする、請求項1に記載の金属板材の圧延方法。
- 少なくとも作業ロールと補強ロールとを有する圧延機と、該圧延機の出側に配備された、被圧延材を挟持する少なくとも1対のピンチロールとからなる金属板材の圧延装置であって、
該作業ロールの作業側と駆動側のロールチョックに作用する圧延方向力を測定可能な、該作業ロールチョックの圧延方向入側と出側の双方に荷重検出装置を備え、
さらに該荷重検出装置による測定値に基づいて該作業ロールチョックに作用する圧延方向力の作業側と駆動側の差異を演算する演算装置と、
該演算値に基づいて、前記圧延機のロール開度の左右非対称成分制御量を演算する演算装置と、
該ロール開度の左右非対称成分制御量の演算値に基づいて前記圧延機のロール開度を制御する制御装置とから構成されることを特徴とする、金属板材の圧延装置。 - 作業ロールチョックの圧延方向入側、出側のどちらか一方に、該作業ロールチョックを圧延方向に押しつけるための装置を有することを特徴とする、請求項3に記載の金属板材の圧延装置。
- 作業ロールチョックを圧延方向に押しつけるための装置が油圧装置であることを特徴とする、請求項4に記載の金属板材の圧延装置。
- 作業ロールチョックの圧延方向入側と出側のうち、補強ロールを基準として作業ロールをオフセットしている側とは反対側に、該作業ロールチョックを圧延方向に押しつけるための油圧装置を備えることを特徴とする、請求項5記載の金属板材の圧延装置。
- 少なくとも作業ロールと補強ロールとを有する金属板材の圧延機と、該圧延機の出側に配備され、被圧延材を挟持し、かつ被圧延材との間に作用する圧延方向力を作業側・駆動側独立に測定する手段を有する少なくとも1対のピンチロールと、該圧延方向力の測定値から被圧延材とピンチロールとの間に作用する圧延方向力の作業側と駆動側の差異を演算する演算装置と、該圧延方向力の作業側と駆動側の差異の演算値に基づいて前記圧延機のロール開度の左右非対称成分の制御量を演算する演算装置と、該ロール開度の左右非対称成分制御量の演算値に基づいて前記圧延機のロール開度を制御する制御装置とから構成されることを特徴とする、金属板材の圧延装置。
- ピンチロールが胴部長さ方向の中心または円筒状中央部の端から胴部の端に至るまで胴部直径が漸減する形状となっていることを特徴とする請求項3〜7のいずれかに記載の金属板材の圧延装置。
- 前記ピンチロールのロール軸を含む断面の輪郭線がロール軸方向の距離の関数で表示される曲線からなる請求項8に記載の金属板材の圧延装置。
- 前記輪郭線が前記関数の近似値で表示される曲線からなる請求項9に記載の金属板材の圧延装置。
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