JP2011024363A - 電源システム - Google Patents

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Abstract

【課題】DC−DCコンバータにおけるソフトスイッチング動作の不良を検出可能とする。
【解決手段】負荷電流を発生する負荷装置に対して駆動電力を供給する電源システムにおいて、スイッチング素子を備え、前記スイッチング素子のソフトスイッチング動作を行う直流電圧コンバータと、少なくとも前記スイッチング素子を冷却するための冷却水を流す冷却水通路と、前記スイッチング素子の温度を計測する素子温度センサと、前記冷却水通路における前記スイッチング素子近傍の冷却水温度を検出する冷却水温度検出部と、前記素子温度センサにより計測された前記温度、前記冷却水温度検出部により検出された前記冷却水温度、および前記負荷電流に基づいて、前記ソフトスイッチング動作の不良を検出する動作不良検出部とを備える電源システム。
【選択図】図1

Description

本発明は、負荷装置に対して駆動電力を供給する電源システムに関する。
従来、電源システムの一つとして、ソフトスイッチング方式で動作するDC−DCコンバータを備えるものが提案されている(特許文献1)。
特開2006−352942号公報
しかしながら、前記従来の電源システムでは、DC−DCコンバータにおいてソフトスイッチング動作が不良となったときに、その不良を検出することができないという問題があった。
本発明は、前記問題に鑑みてなされたもので、DC−DCコンバータにおけるソフトスイッチング動作の不良を検出可能とすることを課題とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1] 負荷電流を発生する負荷装置に対して駆動電力を供給する電源システムにおいて、スイッチング素子を備え、前記スイッチング素子のソフトスイッチング動作を行う直流電圧コンバータと、少なくとも前記スイッチング素子を冷却するための冷却媒体を流す冷却通路と、前記スイッチング素子の温度を計測する素子温度センサと、前記冷却通路における前記スイッチング素子近傍の冷却媒体温度を検出する冷却媒体温度検出部と、前記素子温度センサにより計測された前記温度、前記冷却媒体温度検出部により検出された前記冷却媒体温度、および前記負荷電流に基づいて、前記ソフトスイッチング動作の不良を検出する動作不良検出部とを備える電源システム。
直流電圧コンバータにおいてソフトスイッチング動作が不良である場合、スイッチング素子におけるスイッチング損失が増加するため、スイッチング動作が正常である場合と比べて、同じ負荷電流に対する素子温度が上昇する。前記構成の電源システムによれば、素子温度センサにより計測されたスイッチング素子の温度と、冷却媒体温度検出部により検出された冷却媒体温度と、負荷電流とに基づいて、前記負荷電流に対する素子温度の上昇分が検知可能となることから、動作不良検出部により、直流電圧コンバータにおけるソフトスイッチング動作の不良を検出することができる。
なお、前記電源システムは、ソフトスイッチング動作の不良検出方法としての態様で実現することも可能である。
本発明の一実施例としての電源システム100とその周辺を示す説明図である。 DC−DCコンバータ20の回路を示す説明図である。 主スイッチS1の電流および電圧波形の変化をハードスイッチによる変化と比較して示す説明図である。 不良検出処理を示すフローチャートである。 負荷電流LAと温度差ΔTとの関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態について、実施例に基づき説明する。
A.実施例:
図1は、本発明の一実施例としての電源システム100とその周辺を示す説明図である。図示するように、電源システム100は、冷却システム200に併設されており、蓄電装置である燃料電池10と、燃料電池10で発生した直流電力をより高電圧に変換する昇圧型のDC−DCコンバータ20と、制御部30と、不良報知灯40とを備える。DC−DCコンバータ20の出力電力、すなわち電源システム100の出力電力は、負荷装置300に供給される。
冷却システム200は、ラジエータ210と、冷却ファン220と、ラジエータ210に接続されて冷却媒体としての冷却水を循環する冷却水通路230と、冷却水通路230に接続されるウォータポンプ240等を備える。DC−DCコンバータ20は、冷却水通路230の配管に接した状態で配置されている。これにより、DC−DCコンバータ20は、冷却水通路230により冷やされることで、発熱が抑えられる。
なお、本実施例では、冷却システム200は、冷却媒体として冷却水を用いる構成としたが、これに換えて、ガス等の他の流体を冷却媒体とした構成としてもよい。
制御部30は、CPU、ROM、RAM(図示せず)等を備えた周知のマイクロコンピュータによって構成される。ROMには、DC−DCコンバータ20の動作不良を検出する不良検出処理を示すコンピュータプログラムが予め格納されている。CPUにより前記コンピュータプログラムが実行されることで、制御部30は、DC−DCコンバータ20の動作不良を検出する機能を実現する。前記不良検出処理については、後ほど詳述する。
不良報知灯40は、制御部30により点灯されるもので、DC−DCコンバータ20の動作不良を運転者(このシステムが車両に搭載された場合)に報知する。
図2は、DC−DCコンバータ20の回路を示す説明図である。DC−DCコンバータ20は、燃料電池10に直列接続される抵抗器R1、および燃料電池10に並列接続されるコンデンサC1からなる前回路と、主リアクトルL1、主スイッチS1、主ダイオードD1、および主コンデンサC2からなる昇圧チョッパ回路と、ソフトスイッチングのための補助回路22とを備える。
昇圧チョッパ回路は、主スイッチS1を交互にオンすることにより、低い直流電圧を高い直流電圧に変換する。なお、主スイッチS1は、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor:以下「IGBT」と呼ぶ)により構成されている。主スイッチS1には、並列ダイオードD2が並列に接続されている。
補助回路22は、主スイッチS1の一端子に転流補助ダイオードD3のアノードを接続し、転流補助ダイオードD3のカソードはコンデンサC3の一端子に接続される。コンデンサC3の他端子は主スイッチS1の他端子に接続される。転流補助ダイオードD3とコンデンサC3の結点は転流リアクトルL2の一端子に接続する。転流リアクトルL2の他端子は、ダイオードD4を介して転流スイッチS2の一端子に接続し、転流スイッチS2の他端子は、抵抗器R1と主リアクトルL1の結点に接続する。転流スイッチS2にはダイオードD5が並列に接続されている。
図3は、主スイッチS1の電流および電圧波形の変化を、ハードスイッチによる変化と比較して示す説明図である。図3(a)がハードスイッチによる電流および電圧波形の変化を示すものであり、図3(b)が本実施例の主スイッチS1の電流および電圧波形の変化を示すものである。図3(b)の変化は、上述した構成の補助回路22の働きにより実現されている。
ハードスイッチの場合、図3(a)に示すように、スイッチ両端電圧のオンとオフとの間のスイッチング時において、図中ハッチ部分に示すスイッチング損失が生じる。これに対して、本実施例の場合、図3(b)に示すように、主スイッチS1のスイッチング時に、電流がゼロとなった状態でスイッチングがなされる。すなわち、ソフトスイッチングと呼ばれる動作を行う。これにより、本実施例では、ハードウェアスイッチの場合と比較して、スイッチング損失が低減される。
以上のように構成されたDC−DCコンバータ20は、前述したように、冷却水通路230により冷やされるが、詳細には、IGBTにより構成される主スイッチS1がより強く冷却されるように、DC−DCコンバータ20内の主スイッチS1の配置が定められている。すなわち、図1に示すように、主スイッチS1は、冷却水通路230に近い位置に配置されることで、強く冷却される。
なお、冷却水通路230におけるこの主スイッチS1に近い箇所P1には、その箇所P1における冷却水の温度を検出する冷却水温度センサ32が設けられている。また、主スイッチS1には、IGBTの温度を検出する素子温度センサ34が設けられている。冷却水温度センサ32により検出された冷却水温度THWと、素子温度センサ34により検出された素子温度THTとは、制御部30に送られる。
さらに、負荷装置300の傍には、負荷装置300で発生する負荷電流を測定する電流センサ310が設けられている。電流センサ310で測定された負荷電流LAは、制御部30に送られる。
次に、制御部30にて実行される不良検出処理について説明する。不良検出処理は、制御部30のROMに格納されたコンピュータプログラムに従って、CPUによって実行されるもので、所定時間毎に繰り返し実行される。図4は、その不良検出処理を示すフローチャートである。図示するように、処理が開始されると、CPUは、まず、冷却水温度センサ32、素子温度センサ34、および電流センサ310から、冷却水温度THW、素子温度THT、および負荷電流LAを取り込む(ステップS110)。
次いで、CPUは、ROMに予め用意されたマップを用いて、ステップS110で取り込んだ負荷電流LAに対応した温度差ΔTを求める(ステップS120)。ここで、温度差ΔTは、主スイッチS1を構成するIGBTの温度と、前述した箇所P1における冷却水の温度(後述するように、DC−DCコンバータ20が正常に動作しているときの冷却水温度)との差である。温度差ΔTは、負荷電流LAにより変化する。
図5は、負荷電流LAと温度差ΔTとの関係を示すグラフである。図示するように、温度差ΔTは、負荷電流LAの増大に応じて指数関数的に増大する。この負荷電流LAと温度差ΔTとの関係は、予め実験により求められ、前記マップに記録されている。ステップS120では、ステップS110で取り込んだ負荷電流LAを前記マップに照らし合わせることで、負荷電流LAに対応する温度差ΔTをマップから求める。
図4に戻り、ステップS120の実行後、CPUは、下記の式(1)が成立するか否かを判定する(ステップS130)。
THT−ΔT > THW+α …(1)
ここで、THTはステップS110で取り込んだ素子温度、ΔTはステップS120で求めた温度差、THWはステップS110で取り込んだ冷却水温度である。αは、微小な値で、式(1)による比較の際の温度マージンである。
前記式(1)は、DC−DCコンバータ20における動作不良、より厳密には、ソフトスイッチング動作の不良を検出するためのものである。式(1)がどういった意味を持つかを次に説明する。
主スイッチS1は、前述したように、冷却水通路230に近い位置に配置されているが、実際は、ユニットケースやIGBTのケース等の熱抵抗により、素子温度センサ34により検出された素子温度THTと冷却水温度センサ32により検出された冷却水温度THWとの間に温度差が生じる。ソフトスイッチング動作は、図3を用いて前述したように、スイッチング時における損失低減が図られるが、ソフトスイッチング動作が不良になった場合には、スイッチング損失が増加するためにIGBTの素子温度が上昇する。このため、ソフトスイッチング動作の不良時(以下、単に「不良時」と呼ぶ)には、上述したTHTとTHWとの間の温度差は、ソフトスイッチング動作の正常時(以下、単に「正常時」と呼ぶ)に比べて大きなものとなる。
前記温度差は負荷電流によって変化し、正常時における負荷電流に応じた温度差は前述したマップの形で予め用意されている。したがって、正常時においては、素子温度センサ34による実測値からマップにより求めた負荷電流に応じた温度差ΔTを差し引いた値(すなわち、式(1)の左辺)は、冷却水温度センサ32により検出された冷却水温度THWと等しいものとなる。これに対して、異常時には、IGBTの素子温度は上昇することから、式(1)の左辺は、前記冷却水温度THWよりも大きくなる。したがって、温度マージンαを加味し、前記式(1)が成立するか否かを判定することで、ソフトスイッチング動作が不良であるか正常であるかを判定することができる。
ステップS130で、THT−ΔT>THW+αが成立したと判定されたときには、ソフトスイッチング動作が不良であるとして、CPUは不良報知灯40を点灯する(ステップS140)。ステップS140の実行後、「リターン」に抜けて、この不良検出処理を一旦終了する。
一方、ステップS130で、THT−ΔT>THW+αが不成立であると判定されたときには、ステップS140を実行することなく「リターン」に抜けて、この不良検出処理を一旦終了する。
以上のように構成された本実施例の電源システム100によれば、DC−DCコンバータ20におけるソフトスイッチング動作の不良を検出し、不良報知灯40を点灯することで、不良である旨を報知することができる。
B.変形例:
なお、前述した実施例および各変形例における構成要素の中の、独立請求項で記載された要素以外の要素は、付加的な要素であり、適宜省略可能である。また、この発明は前記の各実施例や各変形例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲においてさらに種々の態様において実施することが可能であり、例えば以下のような変形も可能である。
(1)前記実施例では、冷却水温度センサ32を用いて冷却水の温度を直接検出する構成としていたが、これに換えて、負荷電流によって冷却水温度を推定し、この推定値を第1実施例におけるTHWとしてもよい。すなわち、冷却媒体温度検出部を、負荷電流によって冷却水温度を推定することにより冷却媒体温度を検出する構成としてもよい。この構成によれば、冷却水温度センサ32を省略することができる。
(2)前記実施例では、DC−DCコンバータ20におけるソフトスイッチング動作の不良を検出し、不良報知灯40を点灯するように構成したが、不良を通知する手段は不良報知灯40に限る必要はなく、音を発するスピーカ等に換えることもできる。また、人に報知するものに限ることもなく、他のコンピュータ等の装置に不良を通知する構成とすることもできる。
10…燃料電池
22…補助回路
30…制御部
32…冷却水温度センサ
34…素子温度センサ
40…不良報知灯
100…電源システム
200…冷却システム
210…ラジエータ
220…冷却ファン
230…冷却水通路
240…ウォータポンプ
300…負荷装置
310…電流センサ
LA…負荷電流
THT…素子温度
THW…冷却水温度
ΔT…温度差

Claims (1)

  1. 負荷電流を発生する負荷装置に対して駆動電力を供給する電源システムにおいて、
    スイッチング素子を備え、前記スイッチング素子のソフトスイッチング動作を行う直流電圧コンバータと、
    少なくとも前記スイッチング素子を冷却するための冷却媒体を流す冷却通路と、
    前記スイッチング素子の温度を計測する素子温度センサと、
    前記冷却通路における前記スイッチング素子近傍の冷却媒体温度を検出する冷却媒体温度検出部と、
    前記素子温度センサにより計測された前記温度、前記冷却媒体温度検出部により検出された前記冷却媒体温度、および前記負荷電流に基づいて、前記ソフトスイッチング動作の不良を検出する動作不良検出部と
    を備える電源システム。
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