JP2011023160A - 非水系電解液及び非水系電解液電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(a)下記一般式(1)で表される化合物を、0.001〜5重量%含有し、
R−CO−O−Ph ・・・(1)
(式中、Rは炭素数1〜12のアルキル基、炭素数2〜12のアルケニル基又はフェニル基を表し、これらはフッ素置換されていてもよい。Phはフェニル基を表す。)
(b)炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート化合物、フッ素原子を有する環状カーボネート化合物、モノフルオロリン酸塩又はジフルオロリン酸塩のいずれかの化合物を0.001〜30重量%含有し、
更に、所定の環状カーボネート化合物と鎖状カーボネート化合物との合計割合が90容量%以上である非水系電解液と電池。
【選択図】 なし
Description
非水系電解液電池に用いる電解液は、通常、主として電解質と非水溶媒とから構成されている。非水溶媒の主成分としては、エチレンカーボネートやプロピレンカーボネート等の環状カーボネート;ジメチルカーボネートやジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状カルボン酸エステルなどが用いられている。
特許文献1には、電解液中に電池の最大動作電圧以上の電池電圧で重合する添加剤を混合することによって電池の内部抵抗を高くして電池を保護することが提案されている。特許文献2には、電解液中に電池の最大動作電圧以上の電池電圧で重合することによって気体及び圧力を発生させる添加剤を混合することにより、過充電保護のために設けた内部電気切断装置を確実に動作させることが提案されており、それらの添加剤としてビフェニル、チオフェン、フラン等の芳香族化合物が開示されている。さらに、特許文献3には、ビフェニルやチオフェンを用いた場合の、電池特性の低下を抑制するために、非水系電解液中にフェニルシクロヘキサンを0.1〜20重量部の範囲で添加した非水系電解液二次電池と、電池温度の上昇を感知して、充電の回路を切断する充電制御システムとを含む非水系電解液二次電池システムが提案されている。
特許文献6には、安全性が高く、かつ負荷特性およびサイクル特性が優れた非水電解液二次電池を提供するために、電解液の構成溶媒中に、リン酸エステルを体積比で15%以上含有し、かつ電解液中に酸素原子を間に介することなく芳香族基とカルボニル基とを併せ持つ有機化合物を含有するものが提案されている。
高容量化する方法として、限られた電池体積の中にできるだけ多くの活物質を詰めることが検討されており、例えば、電極の活物質層を加圧して高密度化する方法や、電池内部の活物質以外の占める体積を極力少なくする設計が一般的となっている。しかし、電極の活物質層を加圧して高密度化したり、電解液量を少なくすることにより、活物質を均一に使用することができなくなる。これにより、不均一な反応により一部リチウムが析出したり、活物質の劣化が促進されたりして、十分な特性が得られないという問題が発生しやすくなる。さらに高容量化によって電池内部の空隙は減少し、電解液の分解で少量のガスが発生した場合でも電池内圧は顕著に上昇してしまうという問題も発生してくる。とくに、非水系電解液二次電池において、停電時のバックアップ電源や、ポータブル機器の電源として用いるほとんどの場合、電池の自己放電を補うために常に微弱電流を供給して、絶えず充電状態にしている。こうした連続充電状態では、電極活物質の活性が常に高い状態であるのと同時に、機器の発熱により、電池の容量低下が加速されたり、電解液が分解してガスが発生しやすくなる。多量のガスが発生すると、過充電等の異常により内圧が異常に上昇したときにこれを感知して安全弁を作動させる電池では、安全弁が作動してしまうことがある。また、安全弁のない電池では、発生したガスの圧力により電池が膨張して、電池自体が使用不能になる場合がある。
すなわち、本発明の要旨は、下記に示すとおりである。
[1]電解質及び非水溶媒を含む非水系電解液において、該非水系電解液が、
(a)下記一般式(1)で表される化合物を、該非水系電解液中に0.001〜5重量%含有し、
(b)炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート化合物、フッ素原子を有する環状カーボネート化合物、モノフルオロリン酸塩及びジフルオロリン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物を、該非水系電解液中に0.001〜30重量%含有し、
更に、非水溶媒において、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート化合物、及びフッ素原子を有する環状カーボネート化合物から選ばれる少なくとも一つ以上の環状カーボネート化合物並びに鎖状カーボネート化合物との合計の非水溶媒中における割合が90容量%以上であることを特徴とする非水系電解液。
[3]一般式(1)においてRが炭素数1〜4の鎖状アルキル基、又は炭素数5〜7の環状アルキル基であることを特徴とする上記[1]又は[2]に記載の非水系電解液。
[4]非水溶媒において、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート化合物、及びフッ素原子を有する環状カーボネート化合物から選ばれる環状カーボネート化合物並びに鎖状カーボネート化合物との合計の非水溶媒中における割合が95容量%以上であることを特徴とする上記[1]〜[3]のいずれかに記載の非水系電解液。
[6]非水溶媒がエチレンカーボネート、対称鎖状アルキルカーボネート及び非対称鎖状アルキルカーボネートを含有することを特徴とする上記[5]記載の非水系電解液。
[7]電解質がリチウム塩であることを特徴とする上記[1]〜[6]のいずれかに記載の非水系電解液。
<非水系電解液>
本発明の非水系電解液は、常用の非水系電解液と同じく、電解質及びこれを溶解する非水溶媒を含有するものであり、通常、これらを主成分とするものである。
(電解質)
電解質としては、通常、リチウム塩が用いられる。リチウム塩としては、この用途に用いることが知られているものであれば特に制限がなく、任意のものを用いることができ、具体的には以下のものが挙げられる。
これらのリチウム塩は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
2種以上を併用する場合の好ましい一例は、LiPF6とLiBF4との併用であり、サイクル特性を向上させる効果がある。この場合には、両者の合計に占めるLiBF4の含有割合は、下限としては、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.05重量%以上、特に好ましくは0.1重量%以上であり、上限としては、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下、特に好ましくは5重量%以下、最も好ましくは3重量%以下である。この下限を下回る場合には所望する効果が得づらい場合があり、上限を上回る場合は高負荷放電特性等の電池の特性が低下する場合がある。
(非水溶媒)
非水溶媒も、従来から非水系電解液の溶媒として公知のものの中から適宜選択して用いることができる。例えば、炭素−炭素不飽和結合やフッ素原子を有さない環状カーボネート類、鎖状カーボネート類、環状エーテル類、鎖状エーテル類、環状カルボン酸エステル類、鎖状カルボン酸エステル類、含硫黄有機溶媒、含燐有機溶媒等が挙げられる。
鎖状カーボネート類としては、ジアルキルカーボネートが好ましく、構成するアルキル基の炭素数は、それぞれ、1〜5が好ましく、特に好ましくは1〜4である。また、アルキル基の水素の一部をフッ素で置換していてもよい。
鎖状エーテル類としては、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン等、及び、これらの化合物の水素の一部をフッ素で置換した化合物として、ビス(トリフルオロエトキシ)エタン、エトキシトリフルオロエトキシエタン、メトキシトリフルオロエトキシエタン、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロ―3―メトキシ―4―トリフルオロメチル−ペンタン、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロ―3―エトキシ―4―トリフルオロメチル−ペンタン、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロ―3―プロポキシ―4―トリフルオロメチル−ペンタン、1,1,2,2−テトラフルオロエチル−2,2,3,3−テトラフルオロプロピルエーテル、2,2−ジフルオロエチル−2,2,3,3−テトラフルオロプロピルエーテル等が挙げられる。
鎖状カルボン酸エステル類としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸t−ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸プロピル、吉草酸メチル、吉草酸エチル等及びトリフルオロ酢酸プロピル、トリフルオロ酢酸ブチル等のこれらの化合物の水素の一部をフッ素で置換した化合物等が挙げられ、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、酪酸メチル、酪酸エチル、吉草酸メチルがより好ましい。
含燐有機溶媒としては、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸ジメチルエチル、リン酸メチルジエチル、リン酸エチレンメチル、リン酸エチレンエチル等及びこれらの化合物の水素の一部をフッ素で置換した化合物が挙げられる。
非水溶媒の好ましい組合せの一つは、エチレンカーボネートとジアルキルカーボネートを主体とする組合せである。なかでも、非水溶媒に占めるエチレンカーボネートとジアルキルカーボネートとの合計が、70容量%以上、好ましくは80容量%以上、より好ましくは90容量%以上であり、かつエチレンカーボネートとジアルキルカーボネートとの合計に対するエチレンカーボネートの割合が5容量%以上、好ましくは10容量%以上、より好ましくは15容量%以上であり、通常50容量%以下、好ましくは35容量%以下、より好ましくは30容量%以下、更に好ましくは25容量%以下のものである。これらの非水溶媒の組み合わせを用いると、これを用いて作製された電池のサイクル特性と高温保存特性(特に、高温保存後の残存容量及び高負荷放電容量)のバランスが良くなるので好ましい。
プロピレンカーボネートを含有する場合には、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートの容量比は、99:1〜40:60が好ましく、特に好ましくは95:5〜50:50である。更に、非水溶媒全体に占めるプロピレンカーボネートの割合は、下限は、通常0.1容量%以上、好ましくは1容量%以上、より好ましくは2容量%以上、また上限は、通常20容量%以下、好ましくは8容量%以下、より好ましくは5容量%以下である。この濃度範囲でプロピレンカーボネートを含有すると、エチレンカーボネートとジアルキルカーボネートとの組み合わせの特性を維持したまま、更に低温特性が優れるので好ましい。
全非水溶媒中に占めるジメチルカーボネートのエチルメチルカーボネートに対する容量比(ジメチルカーボネート/エチルメチルカーボネート)の下限値は、電解液の電気伝導度の向上と保存後の電池特性を向上させるため、1.1以上が好ましく、1.5以上がより好ましく、2.5以上が更に好ましい。容量比(ジメチルカーボネート/エチルメチルカーボネート)の上限値は、低温での電池特性を向上させるため、40以下が好ましく、20以下がより好ましく、10以下が更に好ましく、8以下が特に好ましい。
好ましい非水溶媒の他の例は、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネートよりなる群から選ばれた1種の有機溶媒、又は該群から選ばれた2以上の有機溶媒からなる混合溶媒を全体の60容量%以上を占めるものである。この混合溶媒を用いた非水系電解液は、高温で使用しても溶媒の蒸発や液漏れが少なくなる。中でも、非水溶媒に占めるエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとの合計が、70容量%以上、好ましくは80容量%以上、更に好ましくは90容量%以上であり、かつエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートの容量比が30:70〜60:40であるものを用いると、一般にサイクル特性と高温保存特性等のバランスがよくなる。
<本発明の特徴>
本発明に係る非水系電解液は、
(a)下記一般式(1)で表される化合物を、該非水系電解液中に0.001〜5重量%含有し、
更に、非水溶媒において、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート化合物、及びフッ素原子を有する環状カーボネート化合物から選ばれる少なくとも一つ以上の環状カーボネート化合物並びに鎖状カーボネート化合物との合計の非水溶媒中における割合が90容量%以上であることを特徴とする。
(一般式(1)で表される化合物)
一般式(1)のRにおいて、炭素数1〜12の鎖状若しくは環状アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル等が挙げられ、好ましくは炭素数1〜6、特に好ましくは1〜4の鎖状アルキル基、又は炭素数5〜7の環状アルキル基が挙げられる。
また、上記アルキル基、アルケニル基およびフェニル基はフッ素原子で置換されていてもよく、フッ素置換されている基としては、トリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基等のフッ化アルキル基、2−フルオロビニル基、3−フルオロ−2−プロペニル基等のフッ化アルケニル基、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基等のフッ化フェニル基が挙げられる。
一般式(1)で表される化合物の具体例としては、酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、酪酸フェニル、イソ酪酸フェニル、吉草酸フェニル、イソ吉草酸フェニル、シクロヘキサンカルボン酸フェニル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸フェニル、クロトン酸フェニル、アンゲリカ酸フェニル、安息香酸フェニル、フルオロ酢酸フェニル、ジフルオロ酢酸フェニル、トリフルオロ酢酸フェニル、2−フルオロプロピオン酸フェニル、3−フルオロプロピオン酸フェニル、3,3,3−トリフルオロプロピオン酸フェニル、ペンタフルオロプロピオン酸フェニル、2−フルオロ酪酸フェニル、3−フルオロ酪酸フェニル、4−フルオロ酪酸フェニル、ヘプタフルオロ酪酸フェニル等が挙げられ、酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、酪酸フェニル、イソ酪酸フェニル、吉草酸フェニル、イソ吉草酸フェニル、シクロヘキサンカルボン酸フェニル、フルオロ酢酸フェニル、ジフルオロ酢酸フェニル、トリフルオロ酢酸フェニル、2−フルオロプロピオン酸フェニル、3−フルオロプロピオン酸フェニル、3,3,3−トリフルオロプロピオン酸フェニル、ペンタフルオロプロピオン酸フェニル、2−フルオロ酪酸フェニル、3−フルオロ酪酸フェニル、4−フルオロ酪酸フェニル、ヘプタフルオロ酪酸フェニルがより好ましく、酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、酪酸フェニル、イソ酪酸フェニル、吉草酸フェニル、イソ吉草酸フェニル、シクロヘキサンカルボン酸フェニルが更に好ましく、酢酸フェニル、酪酸フェニル、イソ酪酸フェニル、吉草酸フェニル、イソ吉草酸フェニル、シクロヘキサンカルボン酸フェニルが特に好ましい。
非水系電解液中の一般式(1)で表される化合物の含有量は、0.001重量%以上であり、0.1重量%以上が好ましく、0.2重量%以上がより好ましく、特に0.3重量%以上が好ましい。これより低濃度では本発明の効果がほとんど発現しない場合がある。逆に濃度が高すぎると電池の保存特性が低下する傾向があるので、上限は5重量%以下であり、好ましくは3重量%以下、より好ましくは2.5重量%以下、更に好ましくは1重量%以下、特に好ましくは0.8重量%以下である。
(炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート化合物)
炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート化合物としては、例えば、ビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、エチルビニレンカーボネート、4,5−ジメチルビニレンカーボネート、4,5−ジエチルビニレンカーボネート、フルオロビニレンカーボネート、トリフルオロメチルビニレンカーボネート等のビニレンカーボネート化合物;ビニルエチレンカーボネート、4−メチル−4−ビニルエチレンカーボネート、4−エチル−4−ビニルエチレンカーボネート、4−n−プロピル−4−ビニルエチレンカーボネート、5−メチル−4−ビニルエチレンカーボネート、4,4−ジビニルエチレンカーボネート、4,5−ジビニルエチレンカーボネート等のビニルエチレンカーボネート化合物;4,4−ジメチル−5−メチレンエチレンカーボネート、4,4−ジエチル−5−メチレンエチレンカーボネート等のメチレンエチレンカーボネート化合物などが挙げられる。これらのうち、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、4−メチル−4−ビニルエチレンカーボネートまたは4,5−ジビニルエチレンカーボネートがサイクル特性や高温保存後の容量維持特性向上の点から好ましく、なかでもビニレンカーボネートまたはビニルエチレンカーボネートがより好ましく、特にビニレンカーボネートが好ましい。これらは単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
(フッ素原子を有する環状カーボネート化合物)
フッ素原子を有する環状カーボネート化合物としては、例えば、フルオロエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロエチレンカーボネート、4,4,5−トリフルオロエチレンカーボネート、4,4,5,5−テトラフルオロエチレンカーボネート、4−フルオロ−5−メチルエチレンカーボネート、4−フルオロ−4−メチルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4−メチルエチレンカーボネート、4,4,5−トリフルオロ−5−メチルエチレンカーボネート、トリフルオロメチルエチレンカーボネート等が挙げられる。これらのうち、フルオロエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロエチレンカーボネート、4−フルオロ−5−メチルエチレンカーボネートがサイクル特性向上や高温保存特性向上の点から好ましい。これらは単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
(モノフルオロリン酸塩およびジフルオロリン酸塩)
モノフルオロリン酸塩およびジフルオロリン酸塩のカウンターカチオンとしては特に限定はないが、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及び、NR1R2R3R4(式中、R1〜R4は、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜12の有機基を表わす。)で表されるアンモニウム等が例示として挙げられる。
これらは単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
非水系電解液中における炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート化合物、フッ素原子を有する環状カーボネート化合物、モノフルオロリン酸塩およびジフルオロリン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物の合計の割合は、0.001重量%以上、好ましくは0.01重量%以上、更に好ましくは0.05重量%以上、特に好ましくは0.1重量%以上である。濃度が低すぎると、電池のサイクル特性や高温保存特性を向上させるという効果を十分に発揮できない場合がある。逆に濃度が高すぎると、高温保存時にガス発生量が増大したり、低温での放電特性が低下する場合があるので、上限は30重量%以下である。
非水系電解液がモノフルオロリン酸塩および/またはジフルオロリン酸塩を含有する場合、非水系電解液中におけるその割合は、下限が0.001重量%以上、好ましくは0.01重量%以上、特に好ましくは0.1重量%以上、最も好ましくは0.2重量%以上であり、その上限は、通常5重量%以下、好ましくは3重量%以下、特に好ましくは2重量%以下である。
(他の化合物)
本発明に係る非水系電解液は、本発明の効果を損ねない範囲で、従来公知の過充電防止剤などの種々の他の化合物を助剤として含有していてもよい。
非水系電解液中におけるこれらの助剤の含有割合は、本願発明の効果を発現するためには、特に制限はないが、通常0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、特に好ましくは0.2重量%以上であり、上限は、通常8重量%以下、好ましくは5重量%以下、より好ましくは3重量%以下、特に好ましくは1重量%以下である。これらの助剤を添加することにより、高温保存後の容量維持特性やサイクル特性を向上させることができる。この下限より低濃度では助剤の効果がほとんど発現しない場合がある。また、逆に濃度が高すぎると高負荷放電特性などの電池の特性が低下する場合がある。
本発明に係る非水系電解液は、非水溶媒に、電解質、一般式(1)で表される化合物、および炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート化合物、フッ素原子を有する環状カーボネート化合物、モノフルオロリン酸塩およびジフルオロリン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物と、必要に応じて他の化合物を溶解することにより調製することができる。非水系電解液の調製に際しては、各原料は、電解液とした場合の水分を低減させるため予め脱水しておくのが好ましい。通常50ppm以下、好ましくは30ppm以下、特に好ましくは10ppm以下までそれぞれ脱水するのがよい。また、電解液調製後に、脱水、脱酸処理等を実施してもよい。
本発明の非水系電解液は、非水系電解液電池の中でも二次電池用、即ち非水系電解液二次電池、例えばリチウム二次電池用の電解液として用いるのに好適である。以下、本発明の電解液を用いた非水系電解液二次電池について説明する。
本発明の非水系電解液二次電池は、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極及び正極、並びに非水系電解液を含む非水系電解液電池であって、該非水系電解液が上記した電解液であることを特徴とするものである。
本発明に係る非水系電解液二次電池は、上記本発明の電解液を用いて作製される以外は従来公知の非水系電解液二次電池と同様、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極及び正極、並びに非水系電解液を含む非水系電解液電池であり、通常、正極と負極とを本発明に係る非水系電解液が含浸されている多孔膜を介してケースに収納することで得られる。従って、本発明に係る二次電池の形状は特に制限されるものではなく、円筒型、角型、ラミネート型、コイン型、大型等のいずれであってもよい。
負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵・放出可能なものであれば特に制限はない。その具体例としては、炭素質材料、合金系材料、リチウム含有金属複合酸化物材料等が挙げられる。
これらの負極活物質は、単独で用いても、2種類以上を混合して用いてもよい。なかでも好ましいものは炭素質材料、合金系材料である。
炭素質材料のなかでは、特に、黒鉛や黒鉛の表面を黒鉛に比べて非晶質の炭素で被覆したものが好ましい。
黒鉛は、学振法によるX線回折で求めた格子面(002面)のd値(層間距離)が0.335〜0.338nm、特に0.335〜0.337nmであるものが好ましい。また、学振法によるX線回折で求めた結晶子サイズ(Lc)は、通常10nm以上、好ましくは50nm以上、特に好ましくは100nm以上である。灰分は、通常1重量%以下、好ましくは0.5重量%以下、特に好ましくは0.1重量%以下である。
炭素質材料のBET法による比表面積は、通常0.3m2/g以上、好ましくは0.5m2/g以上、より好ましくは0.7m2/g以上、最も好ましくは0.8m2/g以上であり、通常25.0m2/g以下、好ましくは20.0m2/g以下、より好ましくは15.0m2/g以下、最も好ましくは10.0m2/g以下である。
また、金属単体又は合金を用いるよりは単位重量当りの容量には劣るものの、サイクル特性に優れることから、珪素及び/又は錫を含有する以下の化合物も好ましい。
・珪素及び/又は錫と窒素との元素比が通常0.5以上であり、好ましくは0.7以上、更に好ましくは0.9以上、また、通常1.5以下であり、好ましくは1.3以下、更に好ましくは1.1以下の珪素及び/又は錫の窒化物。
また、これらの合金系材料は粉末のものでも薄膜状のものでもよく、結晶質のものでもアモルファスのものでもよい。
合金系材料の平均粒径は、本願発明の効果を発現するためには、特に制限はないが、通常50μm以下、好ましくは20μm以下、特に好ましくは10μm以下、通常0.1μm以上、好ましくは1μm以上、特に好ましくは2μm以上である。粒径が大きすぎる場合、電極の膨張が大きくなり、サイクル特性が低下してしまう可能性がある。また、小さ過ぎる場合、集電が取りにくくなり、容量が十分に発現しない可能性がある。
また、リチウムチタン複合酸化物のリチウムやチタンが、他の金属元素、例えば、Na、K、Co、Al、Fe、Ti、Mg、Cr、Ga、Cu、Zn及びNbからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素で置換されているものも好ましい。
なかでも、
(a)1.2≦x≦1.4、1.5≦y≦1.7、z=0
(b)0.9≦x≦1.1、1.9≦y≦2.1、z=0
(c)0.7≦x≦0.9、2.1≦y≦2.3、z=0
の構造が、電池性能のバランスが良好なため特に好ましく、特に好ましい代表的な組成は、(a)ではLi4/3Ti5/3O4、(b)ではLi1Ti2O4、(c)ではLi4/5Ti11/5O4である。
(正極)
正極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵・放出可能なものであれば特に制限はない。リチウムと少なくとも1種の遷移金属を含有する物質が好ましく、例えば、リチウム遷移金属複合酸化物、リチウム含有遷移金属リン酸化合物が挙げられる。
また、これら正極活物質の表面に、主体となる正極活物質を構成する物質とは異なる組成の物質が付着したものを用いることもできる。表面付着物質としては酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ホウ素、酸化アンチモン、酸化ビスマス等の酸化物、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム等の硫酸塩、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩等が挙げられる。
活物質を結着する結着剤としては、電極製造時に使用する溶媒や電解液に対して安定な材料であれば、任意のものを使用することができる。例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、スチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム等の不飽和結合を有するポリマー及びその共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体等のアクリル酸系ポリマー及びその共重合体などが挙げられる。
増粘剤としては、カルボキシルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、酸化スターチ、リン酸化スターチ、ガゼイン等が挙げられる。
導電材としては、銅又はニッケル等の金属材料、グラファイト又はカーボンブラック等の炭素材料などが挙げられる。
また、活物質に結着剤や導電材などを加えたものをそのままロール成形してシート電極としたり、圧縮成型によりペレット電極としたり、蒸着・スパッタ・メッキ等の手法で集電体上に電極材料の薄膜を形成することもできる。
また、正極活物質層の乾燥、プレス後の密度は、通常2.0g/cm3以上であり、好ましくは2.5g/cm3以上、より好ましくは3.0g/cm3以上である。
集電体としては各種のものが用いることができるが、通常は金属や合金が用いられる。負極の集電体としては、銅、ニッケル、ステンレス等が挙げられ、好ましいのは銅である。また、正極の集電体としては、アルミニウム、チタン、タンタル等の金属又はその合金が挙げられ、好ましいのはアルミニウム又はその合金である。
正極と負極の間には、短絡を防止するために多孔膜(セパレータ)を介在させる。この場合、電解液は多孔膜に含浸させて用いる。多孔膜の材質や形状は、電解液に安定であり、かつ保液性に優れていれば、特に制限はなく、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンを原料とする多孔性シート又は不織布等が好ましい。
本発明に係る電池に使用する電池の外装体の材質も任意であり、ニッケルメッキを施した鉄、ステンレス、アルミニウム又はその合金、ニッケル、チタン、ラミネートフィルム等が用いられる。
上記した本発明の非水系電解液二次電池の作動電圧は通常2V〜4.9Vの範囲である。
本発明に係る非水系電解液が、過充電時の安全性に優れ、高温での連続充電特性にも優れる理由は明らかではなく、また、本発明は下記作用原理に限定されるものではないが、次のように推察される。
非水溶媒に占めるエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート化合物、フッ素原子を有する環状カーボネート化合物から選ばれる少なくとも一つ以上の環状カーボネート化合物と鎖状カーボネートとの合計の割合を90容量%以上とし、負極の表面に安定な保護被膜を形成する炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート化合物、フッ素原子を有する環状カーボネート化合物、モノフルオロリン酸塩およびジフルオロリン酸塩と併用することにより、これらの化合物が効率よく負極の表面に安定な保護被膜を形成し、一般式(1)で表される化合物の負極側での副反応を抑制することができると考えられる。
更に、ビニレンカーボネートを含有する場合は、ビニレンカーボネートもカーボネート化合物の中では酸化電位が低く、一般式(1)で表される化合物と酸化電位が近いので、過充電時に、一般式(1)で表される化合物と共に反応することによって、過充電時の安全性を高めることができると考えられる。
尚、下記実施例および比較例で得られた電池の各評価方法を以下に示す。
非水系電解液二次電池を、電極間の密着性を高めるためにガラス板で挟んだ状態で、25℃において、0.2Cに相当する定電流で4.2Vまで充電した後、0.2Cの定電流で3Vまで放電した。これを3サイクル行って電池を安定させ、4サイクル目は、0.5Cの定電流で4.2Vまで充電後、4.2Vの定電圧で電流値が0.05Cになるまで充電を実施し、0.2Cの定電流で3Vまで放電して、初期放電容量を求めた。
ここで、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表し、例えば、0.2Cとはその1/5の電流値を表す。
容量評価試験の終了した電池を、エタノール浴中に浸して体積を測定した後、25℃において、0.2Cの定電流で5Vまで定電流充電を行い、5Vに達した時点で電流をカットして、過充電試験後の電池の開回路電圧(OCV)を測定した。
過充電試験後の電池のOCVが低い方が、過充電深度が低く、過充電時の安全性が高い。
また、過充電後のガス発生量が多いほど、過充電等の異常により内圧が異常に上昇したときにこれを感知して安全弁を作動させる電池では、安全弁を早めに作動させることができるので好ましい。
容量評価試験の終了した電池を、エタノール浴中に浸して体積を測定した後、60℃において、0.5Cの定電流で定電流充電を行い、4.25Vに到達した後、定電圧充電に切り替え、1週間連続充電を行った。
発生ガス量の測定後、25℃において0.2Cの定電流で3Vまで放電させ、連続充電試験後の残存容量を測定し、初期放電容量に対する連続充電試験後の放電容量の割合を求め、これを連続充電試験後の残存容量(%)とした。
[負極の製造]
X線回折における格子面(002面)のd値が0.336nm、結晶子サイズ(Lc)が652nm、灰分が0.07重量部、レーザー回折・散乱法によるメジアン径が12μm、BET法による比表面積が7.5m2/g、アルゴンイオンレーザー光を用いたラマンスペクトル分析から求めたR値(=IB/IA)が0.12、1570〜1620cm-1の範囲にあるピークの半値幅が19.9cm-1である天然黒鉛粉末94重量部とポリフッ化ビニリデン6重量部とを混合し、N−メチル−2−ピロリドンを加えスラリー状にした。このスラリーを厚さ12μmの銅箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、負極活物質層の密度が1.7g/cm3になるようにプレスして負極とした。
LiCoO2 90重量部、カーボンブラック4重量部及びポリフッ化ビニリデン(呉羽化学社製、商品名「KF−1000」)6重量部を混合し、N−メチル−2−ピロリドンを加えスラリーし、これを厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に均一に塗布、乾燥した後、正極活物質層の密度が3.2g/cm3になるようにプレスして正極とした。
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとジメチルカーボネートの混合物(容量比2:3:5)に、非水系電解液中の含有量としてビニレンカーボネート2重量%と酢酸フェニル1重量%を混合し、次いで十分に乾燥したLiPF6を1.0モル/リットルの割合となるように溶解して電解液とした。
上記の正極、負極、及びポリエチレン製のセパレータを、負極、セパレータ、正極、セパレータ、負極の順に積層して電池要素を作製した。この電池要素をアルミニウム(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正極負極の端子を突設させながら挿入した後、上記電解液を袋内に注入し、真空封止を行い、シート状電池を作製し、過充電特性および連続充電特性の評価を行った。評価結果を表2に示す。
実施例1の電解液において、ビニレンカーボネートに代えて、フルオロエチレンカーボネートを使用した以外、実施例1と同様にしてシート状リチウム二次電池を作製し、過充電特性および連続充電特性の評価を行った。評価結果を表2に示す。
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとジメチルカーボネートの混合物(容量比2:3:5)に、非水系電解液中の含有量としてビニレンカーボネート2重量%、ジフルオロリン酸リチウム0.5重量%及び酢酸フェニル1重量%を混合した。次いで十分に乾燥したLiPF6を1.0モル/リットルの割合となるように溶解して調製した電解液を使用した以外、実施例1と同様にしてシート状リチウム二次電池を作製し、過充電特性および連続充電特性の評価を行った。評価結果を表2に示す。
(実施例4)
実施例1の電解液において、酢酸フェニルに代えて、酪酸フェニルを使用した以外、実施例1と同様にしてシート状リチウム二次電池を作製し、過充電特性および連続充電特性の評価を行った。評価結果を表2に示す。
(実施例5)
実施例1の電解液において、酢酸フェニルに代えて、シクロへキサンカルボン酸フェニルを使用した以外、実施例1と同様にしてシート状リチウム二次電池を作製し、過充電特性および連続充電特性の評価を行った。評価結果を表2に示す。
(実施例6)
実施例1の電解液において、酢酸フェニルに代えて、トリフルオロ酢酸フェニルを使用した以外、実施例1と同様にしてシート状リチウム二次電池を作製し、過充電特性および連続充電特性の評価を行った。評価結果を表2に示す。
(実施例7)
実施例1の電解液において、酢酸フェニル1重量%に代えて、酢酸フェニル0.5重量%となるように調製した電解液を使用した以外、実施例1と同様にしてシート状リチウム二次電池を作製し、過充電特性および連続充電特性の評価を行った。評価結果を表2に示す。
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとジメチルカーボネートの混合物(容量比2:3:5)に、非水系電解液中の含有量としてビニレンカーボネート2重量%を混合した。次いで十分に乾燥したLiPF6を1.0モル/リットルの割合となるように溶解して調製した電解液を使用した以外、実施例1と同様にしてシート状リチウム二次電池を作製し、過充電特性および連続充電特性の評価を行った。評価結果を表2に示す。
(比較例2)
実施例1の電解液において、酢酸フェニルに代えて、フェニルシクロへキサンを使用した以外、実施例1と同様にしてシート状リチウム二次電池を作製し、過充電特性および連続充電特性の評価を行った。評価結果を表2に示す。
(比較例3)
実施例1の電解液において、酢酸フェニルに代えて、酢酸p−トリルを使用した以外、実施例1と同様にしてシート状リチウム二次電池を作製し、過充電特性および連続充電特性の評価を行った。評価結果を表2に示す。
(比較例4)
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとジメチルカーボネートとリン酸トリメチルの混合物(容量比2:3:3:2)に、非水系電解液中の含有量としてビニレンカーボネート2重量%と酢酸フェニル1重量%を混合し、次いで十分に乾燥したLiPF6を1.0モル/リットルの割合となるように溶解して調製した電解液を使用した以外、実施例1と同様にしてシート状リチウム二次電池を作製し、過充電特性および連続充電特性の評価を行った。評価結果を表2に示す。
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとジメチルカーボネートの混合物(容量比2:3:5)に、非水系電解液中の含有量として酢酸フェニル1重量%を混合した。次いで十分に乾燥したLiPF6を1.0モル/リットルの割合となるように溶解して調製した電解液を使用した以外、実施例1と同様にしてシート状リチウム二次電池を作製し、過充電特性および連続充電特性の評価を行った。評価結果を表2に示す。
(比較例6)
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとジメチルカーボネートの混合物(容量比2:3:5)に、十分に乾燥したLiPF6を1.0モル/リットルの割合となるように溶解して調製した電解液を使用した以外、実施例1と同様にしてシート状リチウム二次電池を作製し、過充電特性および連続充電特性の評価を行った。評価結果を表2に示す。
各実施例、比較例における電解液の組成を表―1に示す。
本発明に係る電池は、過充電時の安全性が高く、高温での連続充電特性にも優れていることがわかる。
Claims (8)
- 電解質及び非水溶媒を含む非水系電解液において、該非水系電解液が、
(a)下記一般式(1)で表される化合物を、該非水系電解液中に0.001〜5重量%含有し、
(一般式(1)中、Rは、炭素数1〜12の鎖状若しくは環状のアルキル基、炭素数2〜12のアルケニル基、又は、フェニル基を表し、これらの基はフッ素原子で置換されていてもよい。)
(b)炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート化合物、フッ素原子を有する環状カーボネート化合物、モノフルオロリン酸塩及びジフルオロリン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物を、該非水系電解液中に0.001〜30重量%含有し、
更に、非水溶媒において、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート化合物、及びフッ素原子を有する環状カーボネート化合物から選ばれる少なくとも一つ以上の環状カーボネート化合物並びに鎖状カーボネート化合物との合計の非水溶媒中における割合が90容量%以上であることを特徴とする非水系電解液。 - 非水系電解液中における(a)の一般式(1)で表される化合物の割合が0.001〜2.5重量%であることを特徴とする請求項1に記載の非水系電解液。
- 一般式(1)においてRが炭素数1〜4の鎖状アルキル基、又は炭素数5〜7の環状アルキル基であることを特徴とする請求項1又は2記載の非水系電解液。
- 非水溶媒において、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート化合物、及びフッ素原子を有する環状カーボネート化合物から選ばれる環状カーボネート化合物並びに鎖状カーボネート化合物との合計の非水溶媒中における割合が95容量%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の非水系電解液。
- 非水溶媒がエチレンカーボネートとジアルキルカーボネートを含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の非水系電解液。
- 非水溶媒がエチレンカーボネート、対称鎖状アルキルカーボネート及び非対称鎖状アルキルカーボネートを含有することを特徴とする請求項5記載の非水系電解液。
- 電解質がリチウム塩であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の非水系電解液。
- リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極及び正極、並びに非水系電解液を含む非水系電解液電池であって、該非水系電解液が請求項1〜7のいずれかに記載の非水系電解液であることを特徴とする非水系電解液電池。
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