以下に添付図面を参照して、この発明にかかる画像形成装置、画像形成方法、およびプログラムの最良な実施の形態を詳細に説明する。
本発明の実施の一形態を図1ないし図18に基づいて説明する。本実施の形態は画像形成装置として、コピー機能、ファクシミリ(FAX)機能、プリント機能、スキャナ機能および入力画像(スキャナ機能による読み取り原稿画像やプリンタあるいはFAX機能により入力された画像)を配信する機能等を複合したいわゆるMFP(Multi Function Peripheral)と称されるカラーデジタル複合機を適用した例である。
図1は、本発明の実施の一形態にかかるカラーデジタル複合機の概略構成図である。図1に示すように、カラーデジタル複合機100は、画像読取装置であるスキャナ部200と、画像印刷装置であるプリンタ部300とで構成されている。なお、スキャナ部200は、スキャナ部200内の温度を検出する温度センサ200aを備えているものとする。これらのスキャナ部200とプリンタ部300とによって、エンジン制御部500(図3参照)が構成されている。本実施の形態にかかるカラーデジタル複合機100は、操作部400(図3参照)のアプリケーション切り替えキーにより、ドキュメントボックス機能、複写機能、プリンタ機能、およびファクシミリ機能を順次に切り替えて選択することが可能となっている。ドキュメントボックス機能の選択時にはドキュメントボックスモードとなり、複写機能の選択時には複写モードとなり、プリンタ機能の選択時にはプリンタモードとなり、ファクシミリモードの選択時にはファクシミリモードとなる。
本実施の形態のカラーデジタル複合機100における特徴的な機能を有しているプリンタ部300について詳述する。カラーデジタル複合機100のプリンタ部300は、ブラック(K)の画像形成ユニット12K(第1画像形成ユニット)を独立して設けている。ブラック(K)の画像形成ユニット12Kは、ブラックのトナー画像(単色の画像)を形成し、形成したブラックのトナー画像が搬送過程の転写紙Pに直接転写されるように配置されている。より詳細には、ブラックの画像形成ユニット12Kは、後述する中間転写ベルト6に対するY,C,Mの転写構成とは独立しており、そこで作成されたブラック(K)のトナー像は中間転写ベルト6とは異なる2次転写部15により転写紙Pに直接転写される。
中間転写ベルト6(中間転写体)は、ループ状をなして略水平に延設され、ブラックの画像形成ユニット12Kによりブラックのトナー画像が直接転写された転写紙Pにさらに転写するためのトナー画像が形成されるものである。本実施の形態では、転写ベルト6は、駆動ローラ17、従動ローラ18、テンションローラ19,20により支持されている。従動ローラ18に対向して中間転写ベルト6の外側には、中間転写ベルト6上の残留トナーを除去するクリーニング手段7が設けられている。
加えて、カラーデジタル複合機100のプリンタ部300は、図1に示すように、イエロー,シアン,マゼンタ(以下、Y,C,Mと略す)のトナー画像(第1画像形成ユニットにより形成した画像の色以外の複数色の画像)を形成し、形成したY,M,Cのトナー画像を中間転写ベルト6に転写する3つの画像形成ユニット12Y,12C,12M(第2画像形成ユニット)がループ状をなして略水平に延びる中間転写体としての中間転写ベルト6に沿ってベルト移動方向に直列に配置されたタンデム方式である。
さらに、カラーデジタル複合機100のプリンタ部300は、図1に示すように、略水平に延びる中間転写ベルト6に対して略垂直に交差するように配置されていて、転写紙Pの搬送経路上の位置であって、ブラックのトナー画像が直接転写された転写紙Pに、中間転写ベルト6上に転写された(重ね合わせられた)複数色の画像を転写する位置に設けられた2次転写部15を備えている。本実施の形態では、ブラックの画像形成ユニット12Kは、転写紙Pの略垂直搬送経路の近傍にこれに沿って配置されており、2次転写部15は略垂直搬送経路における定着装置10の上流側のスペースを利用して配置されている。なお、定着装置10は、自装置内の温度を検出する温度センサ10aを備えているものとする。
ここで、図2は、2次転写部の構成を概略的に示す模式図である。図2に示すように、2次転写部15は、転写紙搬送ベルト8と、該転写紙搬送ベルト8を支持する駆動ローラ25、転写手段を兼ねる従動ローラ21K、テンションローラ27、及び2次転写手段としての2次転写ローラ28と、転写紙搬送ベルト8上を清掃するクリーニング手段9等を備えている。2次転写ローラ28は中間転写ベルト6の駆動ローラ17に対向して配置されており、図示しない接離機構により中間転写ベルト6に対して近接又は離間可能となっている。
なお、本実施の形態の2次転写部15においては、2次転写ローラ28を変位させる構成としたが、これに限るものではなく、従動ローラ21Kを支点として転写紙搬送ベルト8全体を変位させるようにしてもよい。
従来より、モノクロ印刷時に、ブラックを除く色の像担持体から中間転写ベルト6を離間させる構成も知られている。この方式では中間転写ベルト6のみ駆動してブラック以外の色の画像形成ユニットを駆動(空転)する必要はないが、中間転写ベルト6を変位させるため張力変動の問題は避けられない。その点、2次転写ローラ28を変位させる構成、または転写紙搬送ベルト8全体を変位させる構成にした場合、中間転写ベルト6に比べて周長が大幅に短い転写紙搬送ベルト8側が接離し、中間転写ベルト6は据え置き可能(転写紙搬送ベルト8と連動しない)となるため、中間転写ベルト6の張力変動がない。すなわち、位置合わせ数の多い中間転写ベルト6を転写紙搬送ベルト8に対して接離する構成とすることもできるが、この場合、位置合わせのための位置精度が経時的に低下する虞がある。これに対して、本実施の形態では、中間転写ベルト6をYCMの各感光体1(1Y、1C、1M)に接したままの構成とすることができるため、中間転写ベルト6のローラ間の位置決め精度を高く設定できるので、ベルト寄りに対する余裕度が向上する。また、ベルト走行が安定化することにより、フルカラー印刷時の位置ずれ(色ずれ)に対しても余裕度を向上させることができる。
また、中間転写ベルト6を支持する駆動ローラ17を図示しない手段により変位させ、中間転写ベルト6を転写紙搬送ベルト8に対して接離させる構成としてもよい。この場合、転写紙Pの搬送姿勢が変化することがないので、転写紙搬送ベルト8〜定着装置10間の転写紙Pの挙動が不安定となることがない。このため、定着装置10から排出された後の転写紙Pにシワや画像の乱れが発生するのを防止することができる。さらに、2次転写部15の2次転写ローラ28および中間転写ベルト6を支持する駆動ローラ17の双方を移動させることによって、中間転写ベルト6と転写紙搬送ベルト8とを接離させる構成としてもよい。
図1に戻り、各画像形成ユニット12Y、12C、12M、12Kは、プリンタ部300の本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジとして構成されている。それぞれの画像形成ユニット12(12Y、12C、12M、12K)は、像担持体としての感光体1(1Y、1C、1M、1K)、帯電装置2(2Y、2C、2M、2K)、トナーを潜像に供給してトナー像を形成する現像装置3(3Y、3C、3M、3K)、クリーニング装置4(4Y、4C、4M、4K)等を備えている。各画像形成ユニット12Y、12C、12Mにおいては、各感光体1Y、1C、1Mが中間転写ベルト6の下側の展張面に接するように配置されている。また、中間転写ベルト6の内側には、各感光体1(1Y、1C、1M)に対向して1次転写手段としての1次転写ローラ21Y、21C、21Mが設けられている。
また、カラーデジタル複合機100のプリンタ部300は、図示しないLDからレーザ光を発する各色の画像形成ユニット12(12Y、12C、12M、12K)に対応する露光装置5を備えている。スキャナ部200で読み取られた原稿、ファクシミリなどの受信データ、またはコンピュータから送信されるカラー画像情報は、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色に色分解され、各色の版のデータが形成され、各色の画像形成ユニット12(12Y、12C、12M、12K)の露光装置5に送られる。露光装置5のLDから発せられるレーザ光は、各画像形成ユニット12(12Y、12C、12M、12K)の各感光体1(1Y、1C、1M、1K)上に静電潜像を形成する。
なお、本実施の形態では、クリーニング装置4としてブレードタイプのものを用いたが、本発明はこれに限定される趣旨ではなく、ファーブラシローラ、磁気ブラシクリーニング方式であっても良い。また、露光装置5についてもレーザ方式に限定するものではなく、LED方式などの方式であっても良い。
さらに、カラーデジタル複合機100のプリンタ部300は、中間転写ベルト6の幅方向左端、中央、右端に、図示しないLD走査のスキュー量検知などのための位置合わせ制御用パターンPT1(図6参照)を検出するパターン検出用センサ40を備えている。
また、プリンタ部300は、図1および図2に示すように、中間転写ベルト6と定着装置10との間に、転写紙P上に、Y、M、C色の画像の位置に対するK色画像の位置ずれを計測するための位置合わせ制御用パターンPT2(図9参照)を検出するパターン検出用センサ50を備えている。
パターン検出用センサ40、50には、一例として反射型の光学式センサ(正反射光センサ)が使用される。この場合、パターン検出用センサ40は、中間転写ベルト6に光を照射し、中間転写ベルト6上に形成された位置合わせ制御用パターンPT1および中間転写ベルト6からの反射光を検出して、位置ずれを計測するための情報を得る。同様に、パターン検出用センサ50は、転写紙Pに光を照射し、転写紙P上に形成された位置合わせ制御用パターンPT2および転写紙Pからの反射光を検出して、位置ずれを計測するための情報を得る。
なお、パターン検出用センサ40、50として正反射光センサを適用するようにしたが、これに限るものではなく、拡散光センサユニット、または、正反射光出力および拡散光出力の両方を検出可能な反射型フォトセンサを適用して、位置合わせ制御用パターンPT1および中間転写ベルト6、または位置合わせ制御用パターンPT2および転写紙Pにより拡散された光を読み取るように構成しても良い。
また、カラーデジタル複合機100のプリンタ部300の下部には、転写紙サイズが異なる給紙トレイ22、23が設けられており、各給紙トレイ22、23から図示しない給紙手段により給紙された転写紙Pは、図示しない搬送手段により搬送されてレジストローラ対24に達し、ここでスキューを修正された後にレジストローラ対24により所定のタイミングで、感光体1Kと転写紙搬送ベルト8の転写部位へ搬送される。
さらに、カラーデジタル複合機100のプリンタ部300は、中間転写ベルト6の上部に、トナーバンク32を備えている。トナーバンク32は、トナータンク32K、32Y、32C、32Mから構成され、これらのトナータンクはトナー補給パイプ33K、33Y、33C、33Mにより各現像装置3(3Y、3C、3M、3K)に接続されている。ブラックの画像形成ユニット12Kは、YCMの画像形成ユニット12(12Y、12C、12M)から独立して配置されているので、ブラックの作像工程にYCMの逆転写トナーが混入することがない。このため、感光体1Kより回収されたトナーは、図示しないブラックトナー回収経路でブラックの現像装置3Kへ運ばれ、再利用される。なお、前記ブラックトナー回収経路の途中において、紙粉除去を行う装置や、トナーを廃棄する経路に切替え可能な装置を設けても良い。
次に、カラーデジタル複合機100のハードウェア構成を説明する。図3は、カラーデジタル複合機のハードウェア構成を示すブロック図である。図3に示すように、カラーデジタル複合機100は、コントローラ110とプリンタ部300およびスキャナ部200とをPCI(Peripheral Component Interconnect)バスで接続した構成となる。コントローラ110は、カラーデジタル複合機100全体の制御と描画、通信、操作部400からの入力を制御するコントローラである。なお、プリンタ部300またはスキャナ部200には、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分が含まれる。操作部400は、スキャナ部200で読み取られた原稿の原稿画像情報等をLCD(Liquid Crystal Display)に表示するとともに操作者からの入力をタッチパネルを介して受け付ける操作表示部400aと、操作者からのキー入力を受け付けるキーボード部400bとを有している。
本実施の形態にかかるカラーデジタル複合機100は、操作部400のアプリケーション切り替えキーにより、ドキュメントボックス機能、コピー機能、プリンタ機能、およびファクシミリ機能を順次に切り替えて選択することが可能となっている。ドキュメントボックス機能の選択時にはドキュメントボックスモードとなり、コピー機能の選択時にはコピーモードとなり、プリンタ機能の選択時にはプリンタモードとなり、ファクシミリモードの選択時にはファクシミリモードとなる。
コントローラ110は、コンピュータの主要部であるCPU(Central Processing Unit)101と、システムメモリ(MEM−P)102と、ノースブリッジ(NB)103と、サウスブリッジ(SB)104と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)106と、記憶部であるローカルメモリ(MEM−C)107と、記憶部であるハードディスクドライブ(HDD)108とを有し、NB103とASIC106との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス105で接続した構成となる。また、MEM−P102は、ROM(Read Only Memory)102aと、RAM(Random Access Memory)102bとをさらに有する。
CPU101は、カラーデジタル複合機100の全体制御を行うものであり、NB103、MEM−P102およびSB104からなるチップセットを有し、このチップセットを介して他の機器と接続される。
NB103は、CPU101とMEM−P102、SB104、AGPバス105とを接続するためのブリッジであり、MEM−P102に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCIマスタおよびAGPターゲットとを有する。
MEM−P102は、プログラムやデータの格納用メモリ、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いるシステムメモリであり、ROM102aとRAM102bとからなる。ROM102aは、CPU101の動作を制御するプログラムやデータの格納用メモリとして用いる読み出し専用のメモリであり、RAM102bは、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いる書き込みおよび読み出し可能なメモリである。
SB104は、NB103とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。このSB104は、PCIバスを介してNB103と接続されており、このPCIバスには、ネットワークインタフェース(I/F)部150なども接続される。
ASIC106は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGPバス105、PCIバス、HDD108およびMEM−C107をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。このASIC106は、PCIターゲットおよびAGPマスタと、ASIC106の中核をなすアービタ(ARB)と、MEM−C107を制御するメモリコントローラと、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などを行う複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)と、プリンタ部300やスキャナ部200との間でPCIバスを介したデータ転送を行うPCIユニットとからなる。このASIC106には、PCIバスを介してFCU(Fax Control Unit)120、USB(Universal Serial Bus)130、IEEE1394(the Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)インタフェース140が接続される。
MEM−C107は、コピー用画像バッファ、符号バッファとして用いるローカルメモリであり、HDD108は、画像データの蓄積、CPU101の動作を制御するプログラムの蓄積、フォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。
AGPバス105は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレータカード用のバスインタフェースであり、MEM−P102に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレータカードを高速にするものである。
なお、本実施の形態のカラーデジタル複合機100で実行されるプログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。本実施の形態のカラーデジタル複合機100で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
さらに、本実施の形態のカラーデジタル複合機100で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、本実施の形態のカラーデジタル複合機100で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
図4は、プリンタ部のハードウェア構成を示すブロック図である。図4に示すように、プリンタ部300の制御系は、CPU301、RAM302、ROM303、I/O制御部304、転写駆動モータI/F306a、ドライバ307a、転写駆動モータI/F306b、ドライバ307bから構成されている。
上記CPU301は、コントローラ110から入力される画像データの受信及び制御コマンドの送受信制御をはじめ、プリンタ部300全体の制御を行っている。
またワーク用として用いるRAM301及びプログラムを記憶するROM303、I/O制御部304は、バス309を介して相互に接続され、CPU301からの指示によりデータのリード/ライト処理及び接離機構などの各負荷305を駆動するモータ、クラッチ、ソレノイド、センサなど各種の動作を実行する。さらにワーク用として用いるRAM301及びプログラムを記憶するROM303、I/O制御部304は、CPU301からの指示により温度センサ200aによるスキャナ部200内の温度検出結果および温度センサ10aによる定着装置10内の温度検出結果の取得動作を実行する。
転写駆動モータI/F306aは、CPU301からの駆動指令により、ドライバ307aに対して駆動パルス信号の駆動周波数を指令する指令信号を出力する。この周波数に応じて転写駆動モータM1が回転駆動される。この回転駆動によって、図2に示す駆動ローラ17が回転駆動される。同じく、転写駆動モータI/F306bは、CPU301からの駆動指令により、ドライバ307bに対して駆動パルス信号の駆動周波数を指令する指令信号を出力する。この周波数に応じて転写駆動モータM2が回転駆動される。この回転駆動によって、図2に示す駆動ローラ25が回転駆動される。
また、RAM302はROM303に記憶されているプログラムを実行する際のワークエリアとして使用される。このRAM302は揮発性メモリのため、振幅・位相値など次のベルト駆動で使用するパラメータに関しては、図示しないEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)などの不揮発性メモリに記憶しておき、電源オン時もしくは転写駆動モータ17の駆動時にsin関数もしくは近似式を用いて、ベルト一周期分のデータをRAM302上に展開する。
本実施の形態のプリンタ部300で実行されるプログラムは、後述する各部(印刷制御部51、位置合わせ制御部52、間接転写制御部53、直接転写制御部54、2次転写制御部55、計測部56など(図5参照))を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU301が上記ROM303からプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、印刷制御部51、位置合わせ制御部52、間接転写制御部53、直接転写制御部54、2次転写制御部55、計測部56などが主記憶装置上に生成されるようになっている。
図5は、プリンタ部の機能構成を示すブロック図である。図5に示す機能ブロックは、本実施の形態におけるプログラムを実行することによって実現する機能または手段を示すものである。プリンタ部300は、CPU301がプログラムに従って動作することにより、印刷制御部51と、位置合わせ制御部52と、間接転写制御部53と、直接転写制御部54と、2次転写制御部55と、計測部56とを備えている。
印刷制御部51は、フルカラー印刷やモノクロ印刷を実行するためにシステム全体(位置合わせ制御部52、間接転写制御部53、直接転写制御部54、2次転写制御部55、計測部56など)を制御する。
直接転写制御部54は、フルカラー印刷およびモノクロ印刷時に、K色の画像形成ユニット12Kを制御して、転写紙Pに直接転写するためのブラックのトナー画像を形成する。より詳細には、直接転写制御部54の制御によって、K色の画像形成ユニット12Kの感光体1KでKのトナー画像が形成される。
加えて、直接転写制御部54は、K色の画像形成ユニット12Kを制御し、転写紙Pに直接転写するためのブラックのトナー画像であって、位置合わせ制御部52における第2位置合わせ制御処理のための位置合わせ制御パターンPT2(図9参照)を形成する。
間接転写制御部53は、フルカラー印刷時に、Y,C,M色の画像形成ユニット12(12Y、12C、12M)や中間転写ベルト6を制御し、転写紙Pに転写するためのYMCのトナー画像を形成する。より詳細には、間接転写制御部53の制御によって、画像形成ユニット12(12Y、12C、12M)の各感光体1(1Y、1C、1M)で形成されたY,M,Cのトナー画像が、間接転写方式によって中間転写ベルト6上で重ね合わせられる。
加えて、間接転写制御部53は、Y,C,M色の画像形成ユニット12(12Y、12C、12M)や中間転写ベルト6を制御し、位置合わせ制御部52における第1位置合わせ制御処理のための位置合わせ制御用パターンPT1(図6参照)の画像を形成し、形成した位置合わせ制御用パターンPT1を中間転写ベルト6に形成する。さらに、間接転写制御部53は、C色の画像形成ユニット12Cや中間転写ベルト6を制御し、位置合わせ制御部52における第2位置合わせ制御処理のための位置合わせ制御用パターンPT2(図9参照)の画像を形成し、形成した位置合わせ制御用パターンPT2を中間転写ベルト6に形成する。なお、本実施の形態では、間接転写制御部53は、C色の画像形成ユニット12Cにより位置合わせ制御用パターンPT2の画像を形成しているが、Y,M,C色の画像形成ユニット12(12Y、12C、12M)のうち、少なくとも1色の画像形成ユニットにより位置合わせ制御用パターンPT2の画像を形成するものであれば、これに限定するものではない。
2次転写制御部55は、2次転写部15の2次転写ローラ28を制御して、2次転写ローラ28を中間転写ベルト6に接近または離間させることにより、中間転写ベルト6に転写したYMCのトナー画像を転写紙Pに転写するものである。より詳細には、2次転写制御部55は、フルカラー印刷のときには、転写紙Pに転写可能な位置まで2次転写ローラ28を接近させる。これにより、間接転写方式によって中間転写ベルト6上で重ねあわされたY,M,Cのトナー画像が、2次転写部15の2次転写ローラ28の地点で転写紙Pに転写される。また、2次転写制御部55は、モノクロ印刷時には、転写紙PにY,M,Cのトナー画像を転写する必要がないため、中間転写ベルト6から離間させる。これにより、形成されたKのトナー画像が、直接転写方式で2次転写部15の2次転写ローラ28の地点で転写紙Pに転写される。また、2次転写制御部55は、位置合わせ制御用パターンPT1の画像形成時には転写紙PにY,M,Cのトナー画像を転写する必要がないため、2次転写部15の2次転写ローラ28を制御し、中間転写ベルト6から離間させる。一方、2次転写制御部55は、位置合わせ制御用パターンPT2の画像形成時には転写紙PにC色のトナー画像を転写する必要があるため、2次転写部15の2次転写ローラ28を制御し、中間転写ベルト6に接近させる。
位置合わせ制御部52は、間接転写制御部53によってY,C,M色の画像形成ユニット12(12Y、12C、12M)で形成されて中間転写ベルト6上で重ね合わせられる各色(Y,M,C)の画像の位置ずれ(色ずれ)を検知して、検知した位置ずれを補正する第1位置合わせ制御処理を実行する。第1位置合わせ制御処理は、各色の位置ずれ量を検知するために、図6に示すような位置合わせ制御用パターンPT1を中間転写ベルト6上に形成する。図6は、位置合わせ制御用パターンPT1の一例を示す平面図である。図6に示すように、位置合わせ制御用パターンPT1は、3本の平行なパターンと、3本の斜め線のパターンを副走査方向に一定間隔に配置したものである。このような位置合わせ制御用パターンPT1は、中間転写ベルト6の移動方向に沿って繰り返し形成される。ここで位置合わせ制御用パターンPT1を形成する3本のパターンは、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)の3色で形成するものとする。位置合わせ制御用パターンPT1は、サンプル数を多くして誤差による影響を減らすために、図6に示すようにパターン検出用センサ40の位置にあわせて複数出力される。
位置合わせ制御部52における補正量の演算手法および位置合わせ制御手法は、従来から多く提案されている。ここで、位置ずれ量の演算の一例について図7および図8を参照して説明する。図7は、主走査ずれ量の演算例を示し、図8は、副走査ずれ量の演算例を示す図である。図7に示されているように、主走査ずれ量の演算は、各色の横線が検出されてから斜め線が検出されるまでの時間(ΔSc,ΔSy,ΔSm)をCPU101のタイマで計測し、時間を長さに変換し、各々の長さを比較することにより行う。一方、図8に示されているように、副走査ずれ量の演算は、基準色(ここではC)が検出されてからの時間(ΔFy,ΔFm)をCPU101のタイマで計測し、時間を長さに変換し、理想の長さと比較することにより行う。以上のようにして各色の理想の距離からのずれ量を求め、Y,C,M色の画像形成ユニット12(12Y、12C、12M)にフィードバックして位置ずれ(色ずれ)を補正する。
また、位置合わせ制御部52は、2次転写制御部55により2次転写ローラ28を中間転写ベルト6に接近させて第1位置合わせ制御処理を行ったC色のトナー画像(位置合わせ制御用パターンPT2)を転写紙Pに転写するとともに、C色のトナー画像に対するK色のトナー画像(位置合わせ制御用パターンPT2)の位置ずれを補正する第2位置合わせ制御処理を行う。
図9は、位置合わせ制御用パターンPT2の一例を示す概略図である。図9に示すように、C色の位置合わせ制御用パターンPT2は、ライン(以下、第1調整パターン)901Cを、副走査方向に等間隔で複数配列したものである。K色の位置合わせ制御用パターン14は、第1調整パターン901Cと同一形状のライン(以下、第2調整パターン)901Kを、各第1調整パターン901Cに対して、主走査方向および副走査方向の少なくとも一方に任意量シフトさせて重ね合わせたものである。
位置合わせ制御部52における補正量の演算方法および位置合わせ制御方法は、従来から提案されている(特許第3558620号参照)。ここで、位置ずれ量の演算の一例について図9を参照して説明する。位置ずれ量の演算は、重なり合う第1調整パターン901Cと第2調整パターン901Kの重なり具合(位置ずれ量)によって変化する反射光の光強度に基づいて行う。
具体的には、パターン検出用センサ50によって検出される反射光の光強度は、反射率の高い転写紙Pからの拡散光の光強度が最も強く、次に第1調整パターン901Cからの反射光の光強度、その次に第2調整パターン901K上に形成された第1調整パターン901Cからの反射光の光強度と続き、第2調整パターン901Kからの反射光の光強度が最も弱くなる。従って、重なり合う第1調整パターン901Cおよび第2調整パターン901Kからの反射光の光強度と、重なり具合(位置ずれ量)と、の対応関係を、予めHDD108などの記憶手段に記憶しておき、パターン検出用センサ50によって検出された反射光の光強度に対応する位置ずれ量を特定することにより、位置ずれ量を演算する。以上のようにして求めた位置ずれ量を、K色の画像形成ユニット12Kにフィードバックして位置ずれ量(色ずれ)を補正する。
計測部56は、カラーデジタル複合機100の状態を計測するものである。図10は、計測部の詳細な構成を示すブロック図である。計測部56は、経過時間計測部56a、印刷枚数計測部56b、温度変化計測部56c、および電源投入回数計測部56dを備えて構成される。経過時間計測部56aは、CPU101のタイマを用いて、位置合わせ制御部52により第1位置合わせ制御処理が実行されてからの経過時間および第2位置合わせ制御処理が実行されてからの経過時間を計測するものである。印刷枚数計測部56bは、画像形成ユニット12Kおよび2次転写部15の2次転写ローラ28の少なくとも一方により画像を転写した転写紙Pの通算印刷枚数、および2次転写部15の2次転写ローラ28により画像を連続して転写した転写紙Pの連続印刷枚数の少なくとも一方を計測するものである。温度変化計測部56cは、I/O制御部304により温度センサ10a,200aから取得した定着装置10内の温度検出結果およびスキャナ部200内の温度検出結果と、所定の温度(例えば、前回取得した定着装置10内の温度検出結果およびスキャナ部200内の温度検出結果など)とを比較して、定着装置10内の温度変化およびスキャナ部200内の温度の変化量を計測するものである。電源投入回数計測部56dは、カラーデジタル複合機100の電源が投入された回数である電源投入回数を計測するものである。
続いて、印刷制御部51によるシステム全体(位置合わせ制御部52、間接転写制御部53、直接転写制御部54、2次転写制御部55、計測部56など)の制御について例を挙げて説明する。
まず、図11を用いて、印刷制御部51によるシステム全体(位置合わせ制御部52、間接転写制御部53、直接転写制御部54、2次転写制御部55、計測部56など)の制御処理の流れについて説明する。図11は、印刷制御部によるシステム全体の制御処理の流れを示すフローチャートである。
印刷制御部51は、コントローラ110から印刷開始通知を受けると、計測部56により計測したカラーデジタル複合機100の状態が画像形成ユニット12Y,12C,12Mにより中間転写ベルト6に転写した画像の転写紙Pへの転写を停止する間接転写停止条件に該当するかを判定する(ステップS1001)。
ここで、間接転写停止条件に該当するかの判定処理の詳細について説明する。印刷制御部51は、経過時間計測部56aにより計測された第1位置合わせ制御処理が実行されてからの経過時間を用いて間接転写停止条件に該当するかを判定する。例えば、印刷制御部51は、計測された第1位置合わせ制御処理が実行されてからの経過時間が予め設定された所定時間(例えば、2時間)に達している場合、間接転写停止条件に該当すると判定する。
また、印刷制御部51は、印刷枚数計測部56bにより計測された通算印刷枚数を用いて間接転写停止条件に該当するかを判定する。例えば、印刷制御部51は、計測された通算印刷枚数が予め設定された所定枚数(例えば、200枚)に達している場合、間接転写停止条件に該当すると判定する。
さらに、印刷制御部51は、印刷枚数計測部56bにより計測された連続印刷枚数を用いて間接転写停止条件に該当するかを判定する。例えば、印刷制御部51は、計測された連続印刷枚数が予め設定された所定枚数(例えば、50枚)に達している場合、間接転写停止条件に該当すると判定する。
さらに、印刷制御部51は、温度変化計測部56cにより計測された定着装置10の温度の変化量を用いて間接転写停止条件に該当するかを判定する。例えば、印刷制御部51は、計測された定着装置10の温度の変化量が予め設定された所定の変化量(例えば、5度)に達している場合、間接転写停止条件に該当すると判定する。
さらに、印刷制御部51は、電源投入回数計測部56dにより計測された電源投入回数を用いて間接転写停止条件に該当するかを判定する。例えば、印刷制御部51は、計測された電源投入回数が予め設定された所定回数(例えば、3回)に達している場合、間接転写停止条件に該当すると判定する。
なお、印刷制御部51は、経過時間計測部56aにより計測された経過時間、印刷枚数計測部56bにより計測された通算印刷枚数や連続印刷枚数、温度変化計測部56cにより計測された定着装置10の温度の変化量、および電源投入回数計測部56dにより計測された電源投入回数のうち、少なくとも2つの組合せを用いて間接転写停止条件に該当するかを判定しても良い。
図12は、連続印刷枚数および温度の変化量の組合せを用いて間接転写停止条件に該当するかを判定する処理の流れを示すフローチャートである。印刷制御部51は、まず、印刷枚数計測部56bにより計測された連続印刷枚数が所定枚数に達しているかを判断する(ステップS1101)。計測された連続印刷枚数が所定枚数に達していないと判断した場合(ステップS1101:No)、印刷制御部51は、温度変化計測部56cにより計測された定着装置10の温度の変化量が所定の変化量に達しているか判断する(ステップS1102)。計測された定着装置10の温度の変化量が所定の変化量に達していないと判断した場合(ステップS1102:No)、印刷制御部51は、カラーデジタル複合機100の状態が間接転写停止条件に該当していないと判定する(ステップS1104)。一方、計測された連続印刷枚数が所定枚数に達していると判断した場合(ステップS1101:Yes)または計測された定着装置10の温度の変化量が所定の変化量に達していると判断した場合(ステップS1102:Yes)、印刷制御部51は、カラーデジタル複合機100の状態が間接転写停止条件に該当していると判定する(ステップS1103)。
図11に戻り、カラーデジタル複合機100の状態が間接転写停止条件に該当しないと判定した場合(ステップS1001:No)、印刷制御部51は、操作部400を介して入力された印刷モード(または、スキャナ部200により読み取った原稿画像情報に応じて印刷モードを設定する印刷モード自動設定機能が選択されている場合には、印刷モード自動設定機能により設定された印刷モード)がモノクロ印刷モードであるかを判定する(ステップS1011)。そして、印刷制御部51は、モノクロ印刷モードであると判定した場合(ステップS1011:Yes)、後述するモノクロ印刷時における制御(図15に示す)により、モノクロ印刷を実行する(ステップS1012)。より詳細には、印刷制御部51は、直接転写制御部54の制御により画像形成ユニット12Kによりブラックのトナー画像を形成し、2次転写制御部55の制御により2次転写部15の2次転写ローラ28を中間転写ベルト6から離間させ、かつ間接転写制御部53の制御により画像形成ユニット12Y,12M,12CによるYMCのトナー画像の形成を停止させる。これにより、Kのトナー画像を転写紙P上に転写させることができる。
一方、印刷制御部51は、モノクロ印刷モードでないと判定した場合(ステップS1011:No)、後述するフルカラー印刷時における制御(図14に示す)により、カラー印刷を実行する(ステップS1013)。より詳細には、印刷制御部51は、直接転写制御部54の制御により画像形成ユニット12Kによりブラックのトナー画像を形成させ、2次転写制御部55の制御により2次転写部15の2次転写ローラ28を中間転写ベルト6に接近させ、かつ間接転写制御部53の制御により画像形成ユニット12Y,12M,12CによりYMCのトナー画像を形成させる。これにより、YMCKのトナー画像を転写紙P上に転写させることができる。
また、カラーデジタル複合機100の状態が間接転写停止条件に該当すると判定した場合も(ステップS1001:Yes)、印刷制御部51は、操作部400を介して入力された印刷モード(または、スキャナ部200により読み取った原稿画像情報に応じて印刷モードを設定する印刷モード自動設定機能が選択されている場合には、印刷モード自動設定機能により設定された印刷モード)がモノクロ印刷モードであるかを判定する(ステップS1002)。モノクロ印刷モードでないと判定した場合(ステップS1002:No)、印刷制御部51は、直接転写制御部54および2次転写制御部55の制御により、モノクロ印刷の停止や2次転写部15の2次転写ローラ28の離間などを行う印刷中断処理を実行する(ステップS1005)。印刷中断処理が完了すると、印刷制御部51は、第1位置合わせ制御処理(図16に示す)を実行する(ステップS1006)。より詳細には、印刷制御部51は、直接転写制御部54の制御により画像形成ユニット12KによりKのトナー画像の形成を停止させ、2次転写制御部55の制御により2次転写ローラ28を中間転写ベルト6から離間させ、間接転写制御部53の制御により画像形成ユニット12Y,12M,12CによりYMCのトナー画像(位置合わせ制御用パターンPT1)を形成し、位置合わせ制御部52の制御によりYMCのトナー画像間の位置ずれを検知して第1位置合わせ制御処理を実行する。そして、第1位置合わせ制御処理が完了すると、印刷制御部51は、後述するフルカラー印刷時における制御(図14に示す)により、カラー印刷を再開する(ステップS1007)。
また、モノクロ印刷モードであると判定した場合(ステップS1002:Yes)、印刷制御部51は、カラーデジタル複合機100の状態が画像形成ユニット12Kによる転写紙Pへの画像の直接転写を停止する直接転写停止条件に該当するかを判定する(ステップS1003)。なお、本実施の形態では、カラーデジタル複合機100の状態が直接転写条件に該当するかを判定しているが、これに限定するものではなく、カラーデジタル複合機100の状態が間接転写停止条件に該当していると判定した場合、後述するステップS1004に進んでも良い。
ここで、直接転写停止条件に該当するかの判定処理の詳細について説明する。印刷制御部51は、経過時間計測部56aにより計測された第2位置合わせ制御処理を実行してからの経過時間を用いて直接転写停止条件に該当するかを判定する。例えば、印刷制御部51は、計測された第2位置合わせ制御処理を実行してからの経過時間が、予め設定された所定時間であって、間接転写停止条件に該当すると判定した場合の所定時間よりも長い時間(例えば、3時間)に達している場合、直接転写停止条件に該当すると判定する。
また、印刷制御部51は、印刷枚数計測部56bにより計測された通算印刷枚数を用いて直接転写停止条件に該当するかを判定する。例えば、印刷制御部51は、計測された通算印刷枚数が、予め設定された所定枚数であって、間接転写停止条件に該当すると判定した場合の所定枚数より多い枚数(例えば、300枚)に達している場合、直接転写停止条件に該当すると判定する。
さらに、印刷制御部51は、印刷枚数計測部56bにより計測された連続印刷枚数を用いて直接転写停止条件に該当するかを判定する。例えば、印刷制御部51は、計測された連続印刷枚数が、予め設定された所定枚数であって、間接転写停止条件に該当すると判定した場合の所定枚数より多い枚数(例えば、100枚)に達している場合、直接転写停止条件に該当すると判定する。
さらに、印刷制御部51は、温度変化計測部56cにより計測されたスキャナ部200の温度の変化量を用いて直接転写停止条件に該当するかを判定する。例えば、印刷制御部51は、計測されたスキャナ部200の温度の変化量が予め設定された所定の変化量(例えば、5度以上)に達している場合、直接転写停止条件に該当すると判定する。なお、本実施の形態では、間接転写停止条件に該当するかを判定した際に用いた部位(定着装置10)と異なる部位(スキャナ部200)の温度の変化量を用いて直接転写停止条件に該当するかを判定しているが、これに限定するものではない。例えば、印刷制御部51は、間接転写停止条件に該当するかを判定した際に用いた部位と同じ部位(定着装置10)の温度の変化量を用いて直接転写停止条件に該当するかを判定しても良い。ただし、その場合、印刷制御部51は、定着装置10の温度の変化量が、間接転写停止条件に該当すると判定した所定の変化量よりも大きい変化量に達した場合に、直接転写停止条件に該当すると判定するものとする。
さらに、印刷制御部51は、電源投入回数計測部56dにより計測された電源投入回数を用いて直接転写停止条件に該当するかを判定する。例えば、印刷制御部51は、計測された電源投入回数が予め設定された所定回数であって、間接転写停止条件に該当すると判定した場合の所定回数より多い回数(例えば、5回)に達している場合、直接転写停止条件に該当すると判定する。
なお、印刷制御部51は、経過時間計測部56bにより計測された経過時間、印刷枚数計測部56bにより計測された通算印刷枚数や連続印刷枚数、温度変化計測部56cにより計測されたスキャナ部200の温度の変化量、および電源投入回数計測部56dにより計測された電源投入回数のうち、少なくとも2つの組合せを用いて直接転写停止条件に該当するかを判定しても良い。
図13は、連続印刷枚数および温度の変化量の組合せを用いて直接転写停止条件に該当するかを判定する処理の流れを示すフローチャートである。印刷制御部51は、まず、印刷枚数計測部56bにより計測された連続印刷枚数が所定枚数に達しているかを判断する(ステップS1201)。計測された連続印刷枚数が所定枚数に達していないと判断した場合(ステップS1201:No)、印刷制御部51は、温度変化計測部56cにより計測されたスキャナ部200の温度の変化量が所定の変化量に達しているかを判断する(ステップS1202)。計測されたスキャナ部200の温度の変化量が所定の変化量に達していないと判断した場合(ステップS1202:No)、印刷制御部51は、カラーデジタル複合機100の状態が直接転写停止条件に該当していないと判定する(ステップS1204)。一方、計測された連続印刷枚数が所定枚数に達していると判断した場合(ステップS1201:Yes)または計測されたスキャナ部200の温度の変化量が所定の変化量に達していると判断した場合(ステップS1202:Yes)、印刷制御部51は、カラーデジタル複合機100の状態が直接転写停止条件に該当していると判定する(ステップS1203)。
図11に戻り、カラーデジタル複合機100の状態が直接転写停止条件に該当すると判定した場合(ステップS1003:Yes)、印刷制御部51は、上述した印刷中断処理を実行する(ステップS1008)。印刷中断処理が完了すると、印刷制御部51は、位置合わせ制御部52を制御して、第1位置合わせ制御処理を実行させ、さらに第1位置合わせ制御処理の実行後、第2位置合わせ制御処理を実行させる(ステップS1009)(図18に示す)。そして、第2位置合わせ制御処理が完了すると、印刷制御部51は、後述するフルカラー画像形成時における制御により、カラー印刷を再開する(ステップS1010)(図18に示す)。
また、カラーデジタル複合機100の状態が直接転写停止条件に該当しないと判定した場合(ステップS1003:No)、印刷制御部51は、モノクロ印刷および第1位置合わせ制御処理時における制御(図17に示す)により、第1位置合わせ制御処理およびモノクロ印刷を実行する(ステップS1004)。より詳細には、印刷制御部51は、2次転写制御部55の制御により2次転写ローラ28を中間転写ベルト6から離間させ、間接転写制御部53の制御により画像形成ユニット12Y,12M,12CによりYMCのトナー画像(位置合わせ制御用パターンPT1)を形成し、位置合わせ制御部52の制御によりYMCのトナー画像間の位置ずれを検知して第1位置合わせ制御処理を実行させる。なお、印刷制御部51は、第1位置合わせ制御処理の実行中に、直接転写制御部54の制御により画像形成ユニット12KによりKのトナー画像を形成させることができる。
次に、フルカラー印刷時における印刷制御部51による制御について説明する。フルカラー印刷時における印刷制御部51は、間接転写制御部53、直接転写制御部54、2次転写制御部55などを制御する。図14は、フルカラー印刷時の各感光体と2次転写ローラの動作を示す模式図である。図14に示すように、フルカラー印刷時における印刷制御部51は、フルカラー印刷ではYMCK全色の画像を転写紙Pに転写するため、画像形成ユニット12(12Y、12C、12M)の各感光体1(1Y、1C、1M)に印刷動作を実行させ、2次転写部15の2次転写ローラ28を中間転写ベルト6へ接近させる。なお、図14に示す2次転写ローラ28の当接とは、中間転写ベルト6へ2次転写ローラ28が接近していることを表す。
すなわち、印刷制御部51は、帯電装置2(2Y、2C、2M、2K)によって均一に帯電された感光体1(1Y、1C、1M、1K)を、露光装置5からの色別の露光光により画像部を露光し、現像装置3(3Y、3C、3M、3K)によってトナー像を作らせる。その後、印刷制御部51は、感光体1Y、1C、1M上に作られたカラートナー像を、タイミングを合わせて中間転写ベルト6に転写させ、色重ねされたトナー像を形成させる。一方、印刷制御部51は、感光体1K上に作られたブラックトナー像を、転写搬送ベルトとしての転写紙搬送ベルト8によって搬送される転写紙Pに直接転写させ、その後、中間転写ベルト6上に色重ねされたYCMトナー像を転写紙P上に転写させる。故に、転写紙搬送ベルト8はブラックトナー像の転写部では直接転写ベルトとして機能し、中間転写ベルト6上のYCMトナー像の転写部では2次転写ベルトとして機能する。
その後、印刷制御部51は、ブラックトナー像とYCMトナー像を重ねて転写された転写紙Pを、定着装置10によりトナー像を定着させてカラー画像を形成させる。印刷制御部51は、定着を終えた転写紙Pを、搬送経路R1(図1参照)を搬送させ、排紙ローラ対30により排紙トレイ31にフェイスダウン状態で排出させてスタックさせる。両面モードの場合には、印刷制御部51は、図示しない切替え爪により搬送経路R2へ案内させ、両面ユニット33で反転された後にレジストローラ対24へ搬送させて片面コピーと同様の排紙経路を辿らせる。
次に、モノクロ印刷時における印刷制御部51による制御について説明する。モノクロ印刷時における印刷制御部51は、直接転写制御部54、2次転写制御部55などを制御する。図15は、モノクロ印刷時の各感光体と2次転写ローラの動作を示す模式図である。図15に示すように、モノクロ印刷時における印刷制御部51は、モノクロ印刷ではK色の画像のみを転写紙Pに転写するため、画像形成ユニット12Kの感光体1Kのみに印刷動作を実行させる。また、モノクロ印刷時における印刷制御部51は、2次転写部15の2次転写ローラ28を中間転写ベルトから離間させる。なお、図15に示す2次転写ローラ28の離間とは、中間転写ベルト6から2次転写ローラ28が離れていることを表す。
すなわち、印刷制御部51は、ブラックの画像データに基づいて露光装置5により、感光体1K上の画像部を露光させ、現像装置3Kによってトナー像を作らせる。印刷制御部51は、作成されたブラックトナー像を転写紙搬送ベルト8によって搬送される転写紙P上に直接転写させ、定着装置10により定着させ、モノクロ画像を形成させる。モノクロ印刷時においては、印刷制御部51は、図2に示すように、中間転写ベルト6と転写紙搬送ベルト8の接触部は図示しない上記接離機構により解除されて一点鎖線で示す位置に離間させており、YCM色の各画像形成ユニット12(12Y、12C、12M)、及び中間転写ベルト6は動作しない。このため、YCM色の各画像形成ユニット12(12Y、12C、12M)、及び中間転写ベルト6の長寿命化を図ることができる、という副次的メリットがある。
次に、第1位置合わせ制御処理時における印刷制御部51による制御について説明する。位置合わせ制御時における印刷制御部51は、位置合わせ制御部52、間接転写制御部53、直接転写制御部54、2次転写制御部55などを制御する。図16は、第1位置合わせ制御処理時の各感光体と2次転写ローラの動作を示す模式図である。図16に示すように、第1位置合わせ制御処理時における印刷制御部51は、2次転写部15の2次転写ローラ28を中間転写ベルト6から離す。加えて、第1位置合わせ制御処理時における印刷制御部51は、Y,M,C色の位置合わせ制御パターンPT1(図6参照)の画像を中間転写ベルト6上に形成するため、画像形成ユニット12(12Y,12C,12M)の各感光体1(1Y,1C,1M)に印刷動作を実行させる。なお、第1位置合わせ制御処理時においては、K色の画像の転写紙Pへの転写は行われないため、印刷制御部51は、画像形成ユニット12Kの感光体1Kへの印刷動作を停止する。
すなわち、第1位置合わせ制御処理時においては、印刷制御部51は、図2に示すように、中間転写ベルト6と転写搬送ベルト8の接触部は図示しない上記接触機構により解除されて一点鎖線で示す位置に離間させる。加えて、印刷制御部51は、Y,M、Cの位置合わせ制御用パターンPT1を中間転写ベルト6上に形成してその位置合わせ制御用パターンPT1の位置を読み取るため、Y,M,Cの感光体1(1Y,1C,1M)は位置合わせ制御用パターンPT1の画像形成を実行する。中間転写ベルト6と転写紙搬送ベルト8の接触部を離間させることにより、位置合わせ制御用パターンPT1の画像形成に用いるトナーが転写紙搬送ベルト8に付着し、そのまま印刷動作をした場合に転写紙Pの裏に位置合わせ制御用パターンPT1の画像形成に用いるトナーが付着してしまい裏汚れになってしまうことを防止することができる。また、位置合わせ制御用パターンPT1を検出するパターン検出用センサ40の位置によっては中間転写ベルト6上の画像に損傷が出てしまい読み取り結果にも影響を及ぼすことを防止することができる。
次に、モノクロ印刷および第1位置合わせ制御処理時における印刷制御部51による制御について説明する。モノクロ印刷および第1位置合わせ制御処理時における印刷制御部51は、位置合わせ制御部52、間接転写制御部53、直接転写制御部54、2次転写制御部55などを制御する。図17は、モノクロ印刷および第1位置合わせ制御処理時の各感光体と2次転写ローラの動作を示す模式図である。図17に示すように、モノクロ印刷および第1位置合わせ制御処理時における印刷制御部51は、K色の画像のみを転写紙Pに転写するため、画像形成ユニット12Kの感光体1Kのみに印刷動作を実行させるとともに、2次転写部15の2次転写ローラ28を中間転写ベルト6から離す。加えて、モノクロ印刷および第1位置合わせ制御処理時における印刷制御部51は、Y,C,M色の位置合わせ制御用パターンPT1(図6参照)の画像を中間転写ベルト6上に形成するため、画像形成ユニット12(12Y、12C、12M)の各感光体1(1Y、1C、1M)に印刷動作を実行させる。
すなわち、印刷制御部51は、モノクロ印刷時におけるK色の画像形成ユニット12Kの印刷動作と、Y,M,C色の画像形成ユニット12(12Y、12C、12M)の第1位置合わせ制御処理とを並行動作させることが可能である。
すなわち、印刷制御部51は、ブラックの画像データに基づいて露光装置5により、感光体1K上の画像部を露光させ、現像装置3Kによってトナー像を作らせる。印刷制御部51は、作成されたブラックトナー像を転写紙搬送ベルト8によって搬送される転写紙P上に直接転写させ、定着装置10により定着させ、モノクロ画像を形成させる。モノクロ印刷時においては、印刷制御部51は、図2に示すように、中間転写ベルト6と転写紙搬送ベルト8の接触部は図示しない上記接離機構により解除されて一点鎖線で示す位置に離間させる。加えて、印刷制御部51は、Y,M,Cの位置合わせ制御用パターンPT1を中間転写ベルト6上に形成してその位置合わせ制御用パターンPT1の位置を読み取るため、Y,M,Cの感光体1(1Y、1C、1M)は位置合わせ制御用パターンPT1の画像形成を実行する。中間転写ベルト6と転写紙搬送ベルト8の接触部を離間させることにより、位置合わせ制御用パターンPT1の画像形成に用いるトナーが転写紙搬送ベルト8に付着し、そのまま印刷動作をした場合に転写紙Pの裏に位置合わせ制御用パターンPT1の画像形成に用いるトナーが付着してしまい裏汚れになってしまうことを防止することができる。また、位置合わせ制御用パターンPT1を検出するパターン検出用センサ40の位置によっては中間転写ベルト6上の画像に損傷が出てしまい読み取り結果にも影響を及ぼすことを防止することができる。
なお、印刷制御部51は、カラーの色合せを黒色の印刷中に必ずしも行なう必要はなく、モノクロ印刷データが無い場合に、黒色の印刷を行わずに第1位置合わせ制御処理のみを動作させることも可能である。
図18は、フルカラー印刷およびモノクロ印刷を中断して第1位置合わせ制御処理および第2位置合わせ制御処理を実行しているシステム制御例を示す模式図である。図18に示す例では、第1位置合わせ制御処理および第2位置合わせ制御処理をするときは、印刷制御部51が間接転写制御部53および直接転写制御部54を制御することによってフルカラー印刷およびモノクロ印刷制御を一時停止する(印刷中断処理の実行)とともに、2次転写制御部55に2次転写ローラ28を中間転写ベルト6から離間させる。その後、印刷制御部51は、位置合わせ制御部52に間接転写制御部53を制御させて第1位置合わせ制御処理を実行させる。第1位置合わせ制御処理の実行後、印刷制御部51は、位置合わせ制御部52に間接転写制御部53、直接転写制御部54、および2次転写制御部55を制御させて第2位置合わせ制御処理を実行させる。そして、第2位置合わせ制御処理の実行後、印刷制御部51は、間接転写制御部53および直接転写制御部54を制御するとともに、2次転写制御部55に2次転写ローラ28を中間転写ベルト6に近接させることによってフルカラー印刷制御を再開する。
このように本実施の形態によれば、印刷制御部51が、カラーデジタル複合機100の状態が間接転写停止条件に該当すると判定した場合に、2次転写制御部55の制御により2次転写ローラ28を中間転写ベルト6から離間させ、間接転写制御部53の制御により画像形成ユニット12Y,12M,12CによりYMCのトナー画像を形成し、位置合わせ制御部52の制御によりYMCのトナー画像間の位置ずれを検知して位置合わせ制御処理を実行させることにより、間接転写方式の技術により印刷を行うユニットと、直接転写方式の技術により印刷を行うユニットと、を独立動作させることができ、かつ位置ずれが発生すると予測される適切なタイミングで間接転写方式の技術により印刷される画像の位置ずれを補正することができるので、直接転写方式の技術による印刷の生産性を維持しつつ、実際にフルカラー印刷を行なう際に、位置ずれが発生している可能性を低減することができる。