JP2011021266A - Gl熱交換器用洗浄液とそれを用いたgl熱交換器の洗浄方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】洗浄力に優れ洗浄作業の際に水素ガスの発生がなく、洗浄廃液の処理も容易で作業性に優れ、GL熱交換器の内壁の構成素材を損傷せず、ガラス層の剥離もなく、付着したスケールの除去作業能力に優れ、さらに防食性にも優れるGL熱交換器用洗浄液及び、付着したスケールの除去作業能力に優れ、GL熱交換器を含むプラントを休止してスケール除去する回数を減らすことができるGL熱交換器の洗浄方法を提供する。
【解決手段】リン酸80g/L〜700g/Lと非イオン性界面活性剤0.5g/L〜100g/Lとを含むことと、pH0.5〜3.0であることと、を備える。
【選択図】図2

Description

グラスライニングされた熱交換器(以下GL熱交換器と記す)はその優れた耐薬品性や洗浄性から広く、医薬品や食品、工業原料などの製造工程における加熱や冷却において、流体の熱交換に用いられている。本発明はこのGL熱交換器の内壁に付着するスケールの除去・洗浄に関するものである。
水系を利用する熱交換器の内壁には使用による経時的変化としてその水系側表面に硬質のスケールが析出、付着し、次第に熱交換効率を下げていくため、適宜洗浄してそのスケールを除去する必要がある。そこで付着したスケールを除去するため高圧水や気泡で物理的に除去する方法や洗浄薬剤を含む液に浸漬してスケールを溶解して除去、あるいは洗浄薬剤で軟化させた後に水流などで物理的に除去する方法が採られてきた。このスケールは多くの場合、水に含まれていたCa、Mg、Fe、Alなどの金属が難溶性の炭酸塩、硫酸塩、珪酸塩などの塩、あるいは難溶性の酸化物や水酸化物となって析出、蓄積したものである。(非特許文献1)に記載されているように、中性領域の水系で析出するスケールの主成分は炭酸カルシウムであるので、それを溶解するための洗浄薬剤として(特許文献1)に記載されているように塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸や、ギ酸、乳酸、アスコルビン酸、蓚酸などの有機酸が用いられてきた。しかし、熱交換器の内壁を腐食する可能性のある強い酸を使用することはできる限り避けたいという要望が強かった。
特開2007-270222
福岡市保健環境研究所報27号(平成13年度)(1984、7月)p.87−90、「元素分析法および熱分析法によるカルシウムスケール成分同定」
しかしながら上記従来技術においては、以下のような課題を有していた。
(1)塩酸や硫酸、硝酸などの強酸を用いるものでは、しばしば熱交換器の内壁やスケールと反応して水素ガスを発生し、火災や爆発の危険があるという課題があった。さらに排水に対する窒素規制により硝酸の場合は洗浄後の廃液の処理が必要であるという課題があった。
(2)使用する酸の種類と濃度、温度、時間などの条件によっては熱交換器の内壁の構成素材の一つである鋼材を腐食させ、表面にクラックやピンホールが生じる危険があるという課題があった。
(3)GL熱交換器では、酸ショックによるガラス面の剥離を防ぐために、一般熱交換器のスケール除去に用いられている塩酸や硫酸などの無機強酸やギ酸や乳酸などの有機酸を使う場合にはそれらの酸を希釈して短時間だけ用いる必要があり、スケール除去性能が低く、頻繁にスケール除去作業をする必要があるという課題があった。強酸溶液に鋼材側が晒された場合にガラス面の剥離が起こる現象を酸ショックと呼び、鋼材中に水素イオンが取り込まれガラス面と鋼材の界面付近に溜まることで内部よりグラスに応力を掛けて破壊することが原因とされている。
(4)市販されているGL熱交換器の洗浄用の薬剤では、その使用説明書に記載してある対象機器、濃度、温度、時間、頻度などの使用条件範囲では腐食の心配はなく安心して使用できるが、スケールの除去能力が低く、熱交換器の運転をしばしば停止してスケール除去作業を繰り返せねばならず、また、スケールが累積的に強固に蓄積して熱交換器の寿命を縮めるだけではなく、設備の運転効率を下げるという課題があった。
(5)スケールを除去すると鋼材の錆とともにスケールが剥がれ落ちるために鋼材が露出して錆びやすくなるため、スケール除去を繰り返すと内壁面を構成する鋼材が薄くなっていき熱交換器の寿命が縮まるという課題があった。
本発明は上記従来の課題を解決するもので、洗浄力に優れ洗浄作業の際に水素ガスの発生がなく、洗浄廃液の処理も容易で作業性に優れ、GL熱交換器の内壁の構成素材を損傷せず、ガラス層の剥離もなく、付着したスケールの除去能力に優れ、さらに防食性にも優れるGL熱交換器用洗浄液を提供することを目的とする。
また、本発明は付着したスケールの除去能力に優れGL熱交換器の除去作業の頻度を下げて設備の運転効率を上げ、GL熱交換器にスケールが累積することを防いでGL熱交換器の寿命を延ばす、GL熱交換器の洗浄方法を提供することを目的とする。
上記従来の課題を解決するために本発明のGL熱交換器用洗浄液とGL熱交換器の洗浄方法は、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載のGL熱交換器用洗浄液は、リン酸80g/L〜700g/Lと非イオン性界面活性剤0.5g/L〜100g/Lとを含むことと、pHが0.5〜3.0であること、とを備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)pHが0.5〜3.0であり、80g/L以上のリン酸を含む洗浄液はスケール中の主成分たる炭酸カルシウムをリン酸水素カルシウムあるいはリン酸二水素カルシウムとして溶かすことによりスケールを脆弱化し、スケールが剥がれ落ち易くする。
(2)鋼材表面にリン酸被膜が生成し防食効果を促す。また前記リン酸被膜が鋼材内部に水素イオンが流入することを妨げるため酸ショックによるガラス層の剥離を抑制する。
(3)洗浄液に含まれる界面活性剤は洗浄液がスケール内部に浸透することを助けるとともに工程中に剥落したスケールを包み込んでGL熱交換器の内壁に再付着することを防ぎ、剥落したスケールが洗浄液とともに外部へ排出されることを容易とする。
ここで、リン酸の濃度とは液中に含まれるリン酸水素イオン、リン酸2水素イオン、リン酸イオン、リン酸を全てリン酸に換算した濃度をさす。リン酸の濃度が80g/L未満では炭酸カルシウムとの反応で難溶性のリン酸カルシウムが主として生成するため、スケールはほとんど脆弱化しない。したがってスケールの除去能力が低く、実使用に耐えない。高濃度のリン酸は腐食性を示すため保存容器や操作器具を傷める恐れがあるため700g/L以下がよい。リン酸の濃度は100g/L〜700g/Lであればスケール除去能力が低下しにくく、保存容器や操作器具の腐食が少なく好ましい。また、洗浄液のpHが0.5未満ではGL熱交換器の内部を損傷する恐れがある。またpHが3.0よりも高いとスケールの溶解能力が下がり実用的でない。
非イオン性界面活性剤とは水中で電離する基を持たない界面活性剤を指し、エーテル型、エステル型、エーテル・エステル型などがあり、工業的に乳化や分散、洗浄に用いられている多くの種類の中から選ぶことができる。例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、脂肪酸ソルビタンエステル、アルキルポリグルコシド、脂肪酸ジエタノールアミド、アルキルモノグリセリルエーテルなどが用いられる。それらの中でも好ましくはO/W型ミセルを形成するHLB8〜19のものが用いられる。さらに好ましくはHLB13〜16のものが洗浄作用が強くて好ましい。
洗浄液中の非イオン性界面活性剤は水との親和性が水中での電離に起因しないので、耐硬水性、耐アルカリ性、耐酸性にすぐれ、広いpH領域で水とミセルを形成しその界面活性作用を示すことができる。したがって洗浄工程(酸性)、中和工程(アルカリ性〜酸性)で沈殿を生じたり相分離せず、溶解したスケール由来の金属イオンや熱交換器内の金属とも反応しないので好適である。添加量0.5g/L未満では界面活性剤が臨界濃度以下となりミセルを形成できず、界面活性化作用が見られない。さらに100g/Lより高い濃度では液がクリーム状となり粘度が上昇して作業性が低下する。よって0.5g/L〜100g/Lで用いることでスケールにリン酸を含浸させる効果と剥落したスケールを包み込み内壁に再付着することを防ぐ効果を果たすことができる。好ましくは5g/L〜50g/Lが好適に用いられる。
本発明の請求項2に記載のGL熱交換器の洗浄方法は、請求項1に記載の洗浄液にスケール除去対象部分を浸漬して付着したスケールを脆弱化する溶解工程と、次いで、前記溶解工程でスケールを脆弱化した洗浄液を排出した後に前記スケール除去対象部分をアルカリ性の中和液に浸漬する中和工程と、次いで、前記中和工程で中和した液を排出した後に剥がれ落ちたスケール断片と残留した薬液を水で洗い流す水洗浄工程と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)溶解工程では請求項1に記載の洗浄液に浸漬することで、スケールの主成分である炭酸カルシウムが洗浄液に溶け、スケールが脆弱化し剥がれ落ちやすくなる。
(2)中和工程では残った洗浄液の成分を中和することで、酸による反応を停止させる。中和されることで剥がれ落ちたスケールが硬化するので、再付着することを防止する。
(3)水洗浄工程では洗浄液および中和液の成分を外部に洗い流す。溶解工程で脆弱化したスケールで剥がれ落ちずに残っていたスケールを水流によりさらに剥がし落すとともに外部へ洗い流し、剥がれ落ちたスケール断片が内部に残留することによる影響を排除する。
ここで、溶解工程は洗浄液を交換しながら複数回繰り返してもよい。溶解工程を繰り返すことで、内部に残留した洗浄作業前の水分で洗浄液が希釈されてスケールを溶解する能力が低下してスケールが十分に溶解しないこと、スケールに対して洗浄液中の酸が不足してスケールが十分に溶解しないことを防ぎ好ましい。GL熱交換器内部の限られた容積で多量のスケールを除去するにはより濃厚なリン酸が必要になるが、それではGL交換器内部や作業工程での使用器具を損傷する可能性がある。洗浄液の濃度を変えず、洗浄液を交換することで相対的に大容量の洗浄液にスケールを浸漬したと同様の効果を上げることができる。
溶解工程における前記スケール除去対象部分の洗浄液への全浸漬時間は12時間〜48時間が好ましい。12時間未満ではスケール内部に洗浄液が十分に浸透しないため反応が中途でありスケール除去の能力が大きく低下する。また48時間を超えて浸漬を続けてもスケール除去効果は格段と上昇するわけではない。さらに48時間を越える作業時間はその間設備を休止せざるを得ないことから実用的でない。よって全浸漬時間を12時間〜48時間とすることでスケールを除去するのに十分な溶解反応を起こすことができ、実用的である。より好ましくは18時間〜36時間が好適に用いられる。
アルカリ性の中和液とは、水溶性の塩基の水溶液であり、リン酸との反応でできる塩が可溶性のものがよい。またできれば工程後の廃液の処理が容易なものがよい。またガスや異臭の発生する可能性があるものも望ましくない。水酸化ナトリウムや水酸化カリウムの水溶液が好適に用いられる。また酢酸ナトリウムなどの塩基性塩の水溶液も使用できる。
水洗浄とは水を溶媒とする液体で洗浄することで、その液に他の成分が添加されていても構わない。例えば着色料、防錆剤、スケール付着防止剤などが添加される。また水洗浄時に、バブリングや超音波処理やブラッシング、高圧水流、打撃振動などを併用すると、スケールの除去効果がより向上して好ましい。
洗浄工程、中和工程の各工程においてGL熱交換器の内部の液をポンプで循環して撹拌したり、気泡によって撹拌してもよい。これらの撹拌によってGL内部の状態が均一化することが期待でき、また、脆弱化したスケールが撹拌による液体との摩擦によって剥がれ落ちることが促進され、より好ましい。
本発明の請求項3に記載のGL熱交換器の洗浄方法は、請求項2に記載のGL熱交換器の洗浄方法であって、前記中和工程において前記スケール除去対象部分を浸漬した前記中和した液のpHを測定して、pHが5〜10の範囲を示すまで中和液を補填又は交換して行う構成を有する。
この構成により、請求項2で得られる作用に加えて以下のような作用が得られる。
(1)pHを確認しながら中和工程を行うことにより十分かつ過剰でない中和作業が実施できる。
中和した液のpHが5未満では内部にまだリン酸が残留しており、pHが10以上では中和に用いた薬剤の添加が過剰である。どちらの場合もGL熱交換器の内部の基材やスケール除去で使用する基材を痛める恐れがある。よってpH5〜10がよい。好ましくはpH6〜8未満が好適である。
ここで中和した液のpHが5未満であった場合の補填には、2倍〜20倍の濃度に調製した中和液を、中和した液のpHを確認しながら中和した液に徐々に加えることでさらなる中和を行うことが好ましい。
請求項4に記載したGL熱交換器の洗浄方法は、請求項2又は3に記載のGL熱交換器の洗浄方法であって、前記溶解工程中の前記洗浄液の温度が15℃〜90℃である構成を有する。
この構成により、請求項2又は請求項3で得られる作用に加えて、以下のような作用が得られる。
(1)前記洗浄液の温度を15℃〜90℃にして前記溶解工程を実施することで安全にかつ実用的にスケールを脆弱にすることができる。
溶解工程中の洗浄液の温度が15℃未満ではリン酸とスケールの反応の進行が遅くなるだけでなく、反応によって生成するリン酸水素カルシウムの溶解率が低くてスケールがほとんど脆弱化しない。さらに溶解工程中の洗浄液の温度が90℃を超えると作業機器を痛める恐れがあること、突沸を起こしたりして思わぬ事故を誘発する危険があり実用的でない。溶解工程中の洗浄液の温度は20℃〜80℃が好ましく、さらに好ましくは25℃〜70℃がよい。
以上のように、本発明のGL熱交換器用洗浄液とそれを用いたGL熱交換器の洗浄方法によれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項1に記載の発明によれば、
(1)塩酸や硫酸などの強酸類と比べると温和な酸であるリン酸と界面活性剤を含む洗浄液で浸漬してスケールの主成分たる炭酸カルシウムを溶かすので、GL熱交換器の内部の損傷を起こさずに、効率よくスケール除去ができるGL熱交換器用洗浄液を提供することができる。
(2)爆発性の水素ガスを発生することが少なく、悪臭も無いので安全な作業環境を提供することができる。
(3)リン酸がGL熱交換器内壁を構成する鋼材表面にリン酸皮膜を生成し防食効果を示すのでスケール除去だけでなく防食効果も持つGL熱交換器用洗浄液を提供することができる。
請求項2に記載の発明によれば、
(1)優れたスケール除去性能と施工後の防食作用をもつGL熱交換器の洗浄方法を提供することができる。
(2)GL熱交換器をもつプラントがスケール除去作業のために休止する時間を短縮ことができ、さらにスケール除去率が高いのでスケール除去作業の間隔が長くなることでプラント全体の運転効率を高めるGL熱交換器の洗浄方法を提供することができる。
(3)中和工程と水洗浄工程を有することでGL熱交換器の内部に薬液が残ることを防ぐと同時に、剥がれ落ちたスケールが残って再付着することを防ぐので、GL熱交換器の寿命を延ばすGL熱交換器の洗浄方法を提供することができる。
請求項3に記載の発明によれば、
(1)中和した液のpHを確認しながら中和工程を行うことにより洗浄液が残存することを防ぎ、また過剰な中和によってGL熱交換器が損傷することを防ぐGL熱交換器の洗浄方法を提供することができる。
請求項4に記載の発明によれば、
(1)前記溶解工程の前記洗浄液を加温することで、季節気候による、スケール除去の効果の変動を少なくすることができるので、年間を通じて計画的に高効率で作業性よくスケール除去ができるGL熱交換器の洗浄方法を提供することができる。
(2)計画的にスケールの除去ができることと、スケールの除去性能が優れ、さらにスケールの累積的付着を防ぐことで熱交換器を含むプラントの休止する期間を少なくできるので、プラントの運転効率がよくなるGL熱交換器の洗浄方法を提供することができる。
実施例1の施工前のGL熱交換器の内部の写真。 実施例1の施工後のGL熱交換器の内部の写真。 剥離耐久性試験の装置の模式図。
本発明の洗浄液は、リン酸と界面活性剤を含むことを特徴とするものである。通常は使用する時よりも濃い混合液として調製しておき、洗浄時にリン酸として50g/L〜89g/L、界面活性剤として1g/L〜100g/Lとなるように希釈して使用する。なお洗浄液の漏洩などの発見を容易にするためや、他の液剤との区別を容易にするために着色剤を混入してもよい。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
本発明を実際のGL熱交換器に適用した場合について示す。
施工条件は下記の通りである。
(実施例1の施工条件)
(1)溶解工程
リン酸を500g/Lに、非イオン系界面活性剤としてエチレングリコールモノブチルエーテル30g/Lとなるように水に溶かして、洗浄液原液を準備する。
この洗浄液原液を30容量%に水で希釈した洗浄液をGL熱交換器のシェル内に注入し、シェル内部を洗浄液で満たしてスケール付着部分を洗浄液に浸漬する。
40℃±10℃に洗浄液を昇温し、ポンプで10分以上20分以内、シェル内の液を循環させて洗浄液を均一に全体に行き渡らせ、1時間静置する。この1連の作業を2回繰り返す。その後、洗浄液に浸漬したまま加温せずに12時間静置する。
(2)中和工程
水酸化ナトリウム100g/Lと、水酸化カリウム50g/Lと、を含む液を中和液原液を準備する。
この中和原液を30容量%に水で希釈した中和液を、洗浄液を排出したGL熱交換器のシェル内に注入し、シェル内を中和液で満たし、ポンプで循環することによって撹拌する。
シェル内の中和液のpHを、少量を汲出してpH試験紙に滴下することで適宜測定してpHが6〜8になるまで、ポンプで循環することによって撹拌しながら中和原液を少量ずつ滴下投入する。
(3)水洗浄工程
シェル内の液を排出し、水でシェル内を満たし、エアポンプによるバブリングで撹拌しながら洗浄する。
1時間の洗浄の後でシェル内の水を排出し、再度水でシェル内を満たしバブリングしながら1時間の洗浄をする。
シェル内の水を排出して終了する。
実施例1の施工の開始前後にGL熱交換器の内部の写真を撮影した。施工前の内部の写真を図1に、施工後の内部の写真を図2に示す。図1では内壁面を覆っていたスケールが図2では脱落して鋼材の素地が見えるようになっている。実施例1によりスケールが効率よく除去されたことを示す。
(実施例2)
(剥離耐久性試験)
スケールの除去は1回限りのものではなく、定期的に繰り返すものである。したがって長時間その中に浸漬されても熱交換器の内壁に損傷を与えないことが洗浄液に求められる。そこで請求項3に記載の洗浄液への浸漬最大時間である48時間の7回分に当たる336時間の浸漬による影響を調べた。本発明による洗浄液用いて剥離試験を実施した。
リン酸の濃度が520g/Lとエチレングリコールモノブチルエーテル(EGB:非イオン系界面活性剤の1種)の濃度が30g/Lとなるように調製した水溶液を洗浄液原液とした。
縦横10cm厚さ6mmの鋼材より切り出した最大対角線長さ9cm略八角形型の試験板に膜厚1.0±0.1mmとなるように片面にガラスをライニングして試験片として使用した。ライニングの方法は以下のとおり。
100重量部のフリット1、粘土(蛙目粘土、富士鉱業製)7重量部、電解質(亜硫酸ソーダ、三菱化学製)0.4重量部、珪石粉(珪石特級、岩月化鉱製)50重量部、密着剤(酸化ニッケル、日本化学産業製)1重量部を配合し、適量の水を加え湿式粉砕し、泥漿状の釉用スラリーを得た。前記釉用スラリーを前期試験板の片面に吹き付け、乾燥後900℃で大気中焼成する作業を繰り返し、膜厚1.0±0.1mmで片面が被覆された試験片を得た。
図3に実験装置の模式図を示す。試験片1に対して試験片の鋼材側面2に接触するように洗浄液槽開口部5を配設した洗浄液槽7を、試験片のグラス層側面3に接触するように純水槽開口窓部を配設した純水槽8を、試験片との間にパッキンを挟んで取り付け、押え板11と押え具12で挟んで締め付けて試験装置とする。これを水温40℃に設定した恒温水槽13に設置する。洗浄液槽7にあらかじめ恒温水槽と同じ40℃にしておいた洗浄液原液を入れ、洗浄液槽開口窓部5を通じて試験片1の鋼材面2に洗浄原液9が接触するようにする。同時に純水槽にあらかじめ恒温水槽と同じ40℃にしておいた純水を入れ、純水槽開口窓部を通じて試験片のガラス面に純水10が接触するようにする。試験中の洗浄液の温度は設定温度の±5℃以内であることを洗浄液槽に配設した温度計14で適宜確認した。
試験後の試験片を純水で洗浄した後、目視にてガラス層の剥離や鋼材面でのクラックの発生の有無、鋼材面の表面の状態について調べた。洗浄液原液の組成を表1に、剥離耐久性試験の結果を表2に示す。
(市販されている洗浄液との比較)
実施例1と同様にして、市販されている洗浄液を希釈せずそのまま用いて剥離耐久性試験を行った。
(比較例1)A社製アルカリ系洗浄液を希釈せずにそのまま用いて実施例1と同様に剥離耐久性試験を行った。洗浄液の概略を表1に、剥離耐久性試験の結果を表2に示す。
(比較例2)B社製有機酸系洗浄液bを希釈せずにそのまま用いて実施例1と同様に剥離耐久性試験を行った。洗浄液の概略を表1に、剥離耐久性試験の結果を表2に示す。
(比較例3)C社製有機酸系洗浄液cを希釈せずにそのまま用いて実施例1と同様に剥離耐久性試験を行った。洗浄液の概略を表1に、剥離耐久性試験の結果を表2に示す。
(比較例4)D社製シリカスケール洗浄液を希釈せずにそのまま用いて実施例1と同様に剥離耐久性試験を行った。洗浄液の概略を表1に、剥離耐久性試験の結果を表2に示す。
(比較例5)E社製スライム洗浄液を希釈せずにそのまま用いて実施例1と同様に剥離耐久性試験を行った。洗浄液の概略を表1に、剥離耐久性試験の結果を表2に示す。
(比較例6)和光純薬株式会社製「塩酸」(37質量%)を希釈せずにそのまま洗浄液として用いて実施例1と同様に剥離耐久性試験を行った。洗浄液の概略を表1に、剥離耐久性試験の結果を表2に示す。
表1は実施例2及び比較例1乃至6で用いた洗浄液の概略である。比較例1乃至6の主要成分やpH及び比重は公開されているもののみを示した。
表2は実施例2及び比較例1乃至5の剥離耐久性試験の結果をまとめたものである。
実施例2では鋼材面にクラックの発生も、ガラス層の剥離も見られなかった。実施例2の鋼材表面にはリン酸鉄被膜が生成していた。この被膜は鋼材の腐食防止や塗装下地処理に用いられているものと同じものであり、これ以上の変化が起こらない上に腐食耐性が増す効果も有り、実施上の問題にはならない。
比較例1では鋼材面にクラックの発生も、ガラス層の剥離も見られなかった。また鋼材表面の変化も見られなかった。
比較例2では鋼材面にクラックの発生も、ガラス層の剥離も見られなかったが、鋼材表面の腐食は著しかった。
比較例3では鋼材面にクラックの発生も、ガラス層の剥離も見られなかったが、鋼材表面は黄色に変色していた。
比較例4では鋼材面にクラックの発生も、ガラス層の剥離も見られなかった。また鋼材表面の変化も見られなかった。
比較例5では鋼材面にクラックの発生も、ガラス層の剥離も見られなかった。また鋼材表面の変化も見られなかった。
比較例6では96時間以内にガラス層の剥離が起こったので、そこで剥離耐久性試験を中止した。改めて原液を希釈して10質量%塩酸溶液で試験したところ、168時間でガラス層の剥離が起こったので、そこで剥離耐久性試験を中止した。剥離耐久性試験を完了していないので鋼材表面変化を評価していない。よって表2の鋼材表面の欄は記載していない。
市販の洗浄液は水で希釈して使用するのが通例だが、その濃度ではスケール除去能力が高くないため、より高いスケール除去能力を求めてより高い濃度で使うことがスケール除去の現場ではままあった。そのためにGL熱交換器の内壁を損傷してトラブルとなることがあった。表2に示した結果より塩酸(比較例6)は薄めて使用してもGL熱交換器の内部を損傷する恐れがあることが示された。また一部の市販洗浄剤(比較例2及び3)では希釈せずに使用すると腐食や変色が起こりうることが示された。
それに対して、本願発明による洗浄液はGL熱交換器のスケール除去に用いる洗浄液としてGL熱交換器の内部を損傷する恐れが非常に低いことが示された。
(実施例3)
(スケール溶解試験)
実際に長時間運転されたGL熱交換器の内部よりスケールを削り落として回収し、めのう乳鉢で粉砕して回収スケールとして試験に供した。実施例2と同じ洗浄液原液100mlに対して回収スケール3.0gを浸漬させ、25℃に保温し、24時間後の溶解状態を目視により確認した。(洗浄原液はを希釈せずそのままの濃度で使用した。)結果を表3に示す。
なおこの実験に用いた回収スケールをX線回折測定(RINT)により分析したところ、スケールの主成分は炭酸カルシウムが90%以上であった。また少量ではあるがFe系やSi系のスケールが混在していた。
(市販されている洗浄液との比較)
実施例2と同様にして、市販されている洗浄液を希釈せずにそのまま用いてスケール溶解試験を行った。
(比較例7)比較例1と同じ洗浄液を用いて、実施例2と同様にしてスケール溶解試験を行った。結果を表3に示す。
(比較例8)比較例2と同じ洗浄液を用いて、実施例2と同様にしてスケール溶解試験を行った。結果を表3に示す。
(比較例9)比較例3と同じ洗浄液を用いて、実施例2と同様にしてスケール溶解試験を行った。結果を表3に示す。
(比較例10)比較例4と同じ洗浄液を用いて、実施例2と同様にしてスケール溶解試験を行った。結果を表3に示す。
(比較例11)比較例5と同じ洗浄液を用いて、実施例2と同様にしてスケール溶解試験を行った。結果を表3に示す。
また、塩酸については比較例5に示した剥離耐久性試験においてガラス層の剥離を起こしたためスケール溶解試験を行っていない。
表3は実施例3及び比較例7乃至11の剥離耐久性試験の結果をまとめたものである。
実施例3ではわずかの難溶解性成分を残してほとんどすべて溶解していた。
比較例7のアルカリ系洗浄液ではスケールがほとんど溶解しなかった。
比較例8の有機酸系洗浄液bは実施例3と同様にわずかの難溶解性成分を残してほとんどすべて溶解していた。
比較例9の有機酸系洗浄液cでは部分的な溶解は認められたがかなりの部分が溶け残っていた。
比較例10のシリカスケール洗浄液では部分的な溶解は認められたがかなりの部分が溶け残っていた。
比較例11のスライム洗浄液ではスケールがほとんど溶解しなかった。
したがってスケール除去に用いる洗浄液として実施例3は比較例7、比較例9、比較例10、比較例11よりも優れていることが示された。
表2、表3の結果より本発明による洗浄液は基材を傷めずに硬質化したスケールを溶解でき、GL熱交換器の硬質化したスケール除去には市販の洗浄液6種よりも優れていることが示された。
(実施例4)
(鉄錆の除去効果試験、及び防食効果試験)
GL熱交換器の内壁にはスケールが付着する以外に鋼材部分に錆が生成する。洗浄剤にはその錆を除去する性能も求められる。そこで鉄錆の除去の効果を見るために以下のように人工的に作製した鉄錆の除去実験を試みた。
(1)10cm角の正方形に切断した厚さ2mmの鋼材を空気中で850℃15分加熱して、表面を酸化させ、次いで室温にしばらく放置して室温に戻した後、12時間ごとに霧吹きで表面に水を散布し、空気中に2日間放置して錆を発生させ試料片とした。
(2)実施例2と同じ洗浄液原液(リン酸520g/L、EDB30g/L)を50容量%に水で希釈した洗浄液を調製し、その中に酸化後に錆を発生させた前記試料片を室温で15時間浸漬した。
(3)純水で洗浄後、エタノールで洗浄し、乾燥して試料片の表面を肉眼観察した。
結果を表4に示す。
また、実施例1の結果に見るように(図2)、スケール除去作業後には鋼材表面が露出する。そこで、その部分に対する防食効果を比較する目的で、以下の防食効果試験を上記鉄錆の除去試験に続けて行った。
(4)鉄錆の除去実験の肉眼観察した試料片を、そのまま空気中で2日間放置し、その後で表面を肉眼観察した。
結果を表4に示す。
(比較例12)
比較例2及び8で用いた市販の有機酸系洗浄液b(B社製)を洗浄液原液として用いた以外は実施例4と同様にして、鉄錆の除去効果試験、及び防食効果試験を行った。結果を表4に示す。
表4は実施例4及び比較例12の鉄錆の除去効果試験の結果、及び防食効果試験の結果をまとめたものである。
実施例4では人工的に作製した鉄錆が剥がれ落ち、鋼材が露出し、鉄錆の除去にも効果があることが示された。露出した鋼材部分は2日後にも錆の発生が見られなかった。洗浄工程で生じたリン酸被膜の防食効果によるものと考えられる。
比較例12では人工的に作製した鉄錆が剥がれ落ち、鋼材が露出し、この洗浄液が鉄系スケールや鉄錆の除去に効果があることが示された。比較例12で腐食が見られなかったのは、洗浄液を2倍に希釈したことにより、比較例2で見られた腐食が抑制されたためと考えられる。比較例12では、処理によって露出した鋼材部分に2日後には赤錆が発生していた。実施例4のリン酸被膜のような防食効果を持つ被膜がないためと考えられる。
したがって、実施例4の洗浄液は鉄錆の除去に有効であるばかりでなく、防食効果も持つことが示された。
(実施例5、実施例6、実施例7、実施例8、実施例9)
(濃度の効果についての試験)
実施例2と同じ洗浄液原液を用いて濃度の効果について調べた。実施例2と同じ洗浄液原液を水で希釈した液による熱交換器内壁の損傷が無いことを確かめるため、クラックや剥離の発生の有無やスケールの溶解について剥離耐久試験及びスケール溶解試験で調べた。洗浄液原液を希釈して使用した以外は実施例2と同じ方法で剥離耐久性試験を行った。
また洗浄液原液を希釈して使用した以外は実施例3と同じ方法でスケール溶解試験を行った。使用した洗浄液の濃度が100容量%(つまり洗浄原液のまま)の場合を実施例5、80容量%の場合を実施例6、50容量%の場合を実施例7、30容量%の場合を実施例8、20容量%の場合を実施例9とする。これらの実験の結果を表5に示す。
(比較例13)
実施例5乃至9と同じ洗浄液原液を希釈して、濃度10容量%の場合について実施例5乃至9と同様に、剥離耐久性試験を行った。これらの実験の結果を表5に示す。
表5は実施例5乃至9及び比較例13の剥離耐久性試験の実験条件と結果及び同じ濃度条件でのスケール溶解試験の結果をまとめたものである。
表5に示したように、本発明の実施例2の洗浄液原液を希釈したどの濃度においてもクラックや剥離の発生は見られなかったため、この洗浄液原液を希釈して使用しても基材への影響はないものと判断される。(実施例5乃至9及び比較例13)
次にスケールの溶解については洗浄液の濃度100容量%つまりリン酸濃度520g/Lの場合(実施例5)と、濃度80容量%つまりリン酸濃度416g/Lの場合(実施例6)と、濃度50容量%つまりリン酸濃度260g/Lの場合(実施例7)と、濃度30容量%つまりリン酸濃度156g/Lの場合(実施例8)とではスケール溶解能力に差は見られなかった。しかし、濃度20容量%つまりリン酸濃度104g/Lの場合(実施例9)では部分的な溶解であるため、実施例4乃至7と比べて溶け残りが多くなっていた。
洗浄液の濃度10容量%つまりリン酸濃度52g/Lの場合(比較例13)ではスケールはほとんど溶解していなかった。
以上の結果よりこの洗浄液原液を使用するには20容量%〜100容量%で使用するとよく、好ましくは30容量%〜100容量%で使用するのが好適であることが示された。これをリン酸濃度で換算すると、リン酸濃度は104g/L〜520g/Lが好ましく、さらに好ましくは156g/L%以上520g/L以下が好ましいとなる。
(実施例10、実施例11、実施例12)
(スケール溶解能力に対する温度の効果についての試験)
実施例2と同じ洗浄液原液を30容量/容量%に水で希釈した洗浄液で、温度によるスケールの溶解能力の差をスケール溶解試験で調べた。洗浄液が洗浄液原液を30原液容量/全容量%に希釈したものであることと、溶解反応中の洗浄液の温度を恒温槽中で反応させることでそれぞれ表5に示したとおりに保ったこと以外の実験方法は実施例3と同じである。スケール溶解試験における溶解反応中の洗浄液の温度を60℃に保った場合を実施例10、40℃に保った場合を実施例11、20℃に保った場合を実施例12とする。実験条件と結果を表6に示す。
(比較例14)
実施例2と同じ洗浄液原液を30容量/容量%に水で希釈した洗浄液で、洗浄液が低温の場合の影響を調べた。洗浄液が洗浄液原液を30原液容量/全容量%に希釈したものであることと、溶解反応中の洗浄液の温度が10℃であること以外の実験方法は実施例3と同じである。実験条件と結果を表6に示す。
表6は実施例10乃至12及び比較例12の実験条件とスケール溶解試験の結果をまとめたものである。
表6に示したように溶解反応中の洗浄液の温度が60℃(実施例10)、及び40℃(実施例11)では先の実施例7(濃度条件は実施例10及び11と同じで洗浄液の温度が25℃)と同様に難溶解性成分を残してほとんど全てのスケールが溶解していた。溶解反応中の洗浄液の温度が20℃(実施例12)では、実施例10や実施例11と比べて溶け残りが多く、部分的に溶解している状態と解釈された。
一方で、溶解反応中の洗浄液の温度が10℃の場合(比較12)では、ほとんどスケールが溶けずに残っていた。
以上の結果から本実施例の洗浄液を用いるには20℃以上が好ましく、さらに好ましくは25℃以上であることが示された。
(実施例13)
(市販の一般熱交換器用のリン酸系洗浄液との比較)
市販されている一般熱交換器用の洗浄液のうちでリン酸系である2種との性能を比較するためにスケール溶解試験を実施した。試験は実施例2と同じ洗浄液原液を30容量/容量%に水で希釈したものを用いた以外は実施例3と同じ方法でスケール溶解試験を行った。実験条件と結果を表7に示す。
(比較例15)F社製一般熱交換機用リン酸系洗浄剤f1を原液として、30容量/容量%に水で希釈したものを用いた以外は実施例3と同じ方法でスケール溶解試験を行った。実験条件と結果を表7に示す。
(比較例16)F社製一般熱交換機用リン酸系洗浄剤f2を原液として、30容量/容量%に水で希釈したものを用いた以外は実施例3と同じ方法でスケール溶解試験を行った。実験条件と結果を表7に示す。
表7は実施例13と比較例13及び14の、用いた洗浄液原液の内容とスケール溶解試験の結果をまとめたものである。
表7に示したように実施例13に比べて比較例15及び比較例16で用いた市販のリン酸系洗浄液はスケール除去に対する効果が低く、実施例13のスケール除去効果の優位性が示された。リン酸が含まれていても、本願発明のような酸性領域でない、中性領域ではスケールがほとんど溶けないからと考えられる。
1 試験片
2 試験片の鋼材側面
3 試験片のグラス側面
4 パッキン
5 洗浄液槽開口窓部
6 純水槽開口窓部
7 洗浄液槽
8 純水槽
9 洗浄原液
10 純水
11 押え板
12 押え具
13 恒温水槽
14 温度計

Claims (4)

  1. リン酸80g/L〜700g/Lと非イオン性界面活性剤0.5g/L〜100g/Lとを含むことと、pHが0.5〜3.0であることと、を備えていることを特徴とするGL熱交換器用洗浄液。
  2. 請求項1に記載の洗浄液にスケール除去対象部分を浸漬して付着したスケールを脆弱化する溶解工程と、次いで前記溶解工程でスケールを脆弱化した洗浄液を排出した後にアルカリ性の中和液に浸漬する中和工程と、次いで前記中和工程で中和した液を排出した後に剥がれ落ちたスケール断片と残留した薬液を水で洗い流す水洗浄工程と、を備えていることを特徴とするGL熱交換器の洗浄方法。
  3. 前記中和工程において前記スケール除去対象部分を浸漬した前記中和した液のpHを測定して、pHが5〜10の範囲を示すまで中和液を補填又は交換して中和を行うことを特徴とする請求項2に記載のGL熱交換器の洗浄方法。
  4. 前記溶解工程中の前記洗浄液の温度が15℃〜90℃であることを特徴とする請求項2又は3に記載のGL熱交換器の洗浄方法。
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