JP2009109140A - グラスライニング製多管式熱交換器及びその製造方法 - Google Patents

グラスライニング製多管式熱交換器及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】孔部19の内周壁と伝熱管20の外周壁との間に生じた隙間23に伝熱媒体が残留することがなく、残留した伝熱媒体の凍結による応力発生を防止することによりグラスライニング21,24の剥離を防止でき、信頼性に優れるグラスライニング製多管式熱交換器を提供することを目的とする。
【解決手段】複数の孔部19が形成された管板18と、孔部19の各々に挿入され端部が管板18の表面側で固定された伝熱管20と、管板18の表面に施されたグラスライニング24と、を備えたグラスライニング製多管式熱交換器であって、孔部19の内周壁と伝熱管20の外周壁との隙間に浸入したシーリング材が硬化したシーリング部2を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、多数の伝熱管を管板に配置したグラスライニング製多管式熱交換器及びその製造方法に関するものである。
従来より、化学工業、製薬工業、食品工業等の分野において、多数の伝熱管を配置した管板を胴部シェル内に収納したグラスライニング製多管式熱交換器が使用されている。伝熱管は端部を管板に形成された孔部に挿入し、管板の表面側に端部を溶接することによって固定されている。酸性液体や有機溶媒等の腐食性のある被熱交換流体を用いることがあるため、被熱交換流体と接触する伝熱管の内部及び管板の表面の全体に亘ってグラスライニングが施され、被熱交換流体による腐食を防止している。
このようなグラスライニング製多管式熱交換器における従来の技術としては、(特許文献1)に「溶接された伝熱管の端部の内径側部分と溶接部とを含む部分が曲面状をなすR部に形成されており、隣接する伝熱管の中心間のピッチが所定範囲内になるように伝熱管を配置する技術」が開示されている。
図2は特許文献1におけるグラスライニング製多管式熱交換器の一部破断正面図であり、図3は管板と伝熱管との溶接部の要部断面図である。
図中、10はグラスライニング製多管式熱交換器、11は円筒状に形成された胴部シェル、12は内面にグラスライニングが施され胴部シェル11の一端に配置されたヘッド、12aはヘッド12に形成されたフランジ部、13は内面にグラスライニングが施され胴部シェル11の他端に配置されたヘッド、13aはヘッド13に形成されたフランジ部、14はヘッド12に形成された被熱交換流体の入口、15はヘッド13に形成された被熱交換流体の出口、16は胴部シェル11に配設され胴部シェル11内を流通する伝熱媒体(冷媒又は冷媒)の入口となるノズル、17は胴部シェル11に配設された伝熱媒体の出口となるノズル、18は胴部シェル11の両端に固着された管板、18aはヘッド12のフランジ部12a及びヘッド13のフランジ部13aと管板18の周囲に複数配設されフランジ部12a,13aと管板18とを密接させ密封状態に保持する締結具、19は管板18に間隔をあけて複数形成された孔部、20は端部が孔部19に挿入され胴部シェル11の長手方向に沿って配設された伝熱管、21は伝熱管20の内面に施されたグラスライニング、22は伝熱管20の端部が管板18の表面側で溶接固定された溶接部、23は孔部19の内周壁と伝熱管20の外周壁との間に生じた隙間、24は管板18の表面と溶接部22の表面とに施されたグラスライニングである。なお、図2には伝熱管20は一本しか記載していないが、図面の簡略化のためであり、実際には前述したように複数本の伝熱管20が胴部シェル11の長手方向に沿って配置されている。
グラスライニング製多管式熱交換器10において熱交換される被熱交換流体は、入口14からヘッド12の内部に導入され、伝熱管20の内側を通ってヘッド13に設けられた出口15から排出される。このようにして、グラスライニング製多管式熱交換器10の内部へ導入された被熱交換流体は、ノズル16から胴部シェル11内に導入された伝熱媒体と伝熱管20を介して熱交換することにより、加熱又は冷却される。
特開平11−304379号公報
しかしながら上記従来の技術においては、以下のような課題を有していた。
(1)(特許文献1)に開示の技術では、孔部19の内周壁と伝熱管20の外周壁との間に生じた隙間23に、伝熱媒体が浸入し残留することがあった。この状態で伝熱媒体の種類を替えて、残留した伝熱媒体の凝固点以下の温度でグラスライニング製多管式熱交換器10を使用すると、隙間23内に残留した伝熱媒体が凍結して体積が膨張するため、伝熱管20及び管板18が変形し、グラスライニング21,24が剥離するという課題を有していた。また、急激に伝熱媒体を投入すると、熱衝撃の熱応力により、グラスライニング21,24が剥離するという課題を有していた。
(2)特に、溶接部22のR部は曲率半径が小さいため、R部の表面に施されたグラスライニング24の残留応力が大きいので、比較的小さな体積膨張による機械的応力や熱応力で溶接部22近傍のグラスライニング24が剥離してしまうという課題を有していた。グラスライニング製多管式熱交換器10は、医薬品や精密化学品の製造工程で使用されており、クリーンルームに設置されたりGMP(Good Manufacturing Practice:医薬品の製造及び品質管理基準)適応を受けたりしている場合も多いため、グラス片が被熱交換流体へ混入することは大問題である。また、グラスライニングの補修のため、一度設置したグラスライニング製多管式熱交換器10を入れ替えるには、莫大な費用が必要になる。
(3)上記のグラスライニングの剥離を防止するため、伝熱媒体を選別して凍結するものを使用しない、伝熱媒体の流量制限を行う等の対策をとることがあるが、グラスライニング製多管式熱交換器の汎用性を損ない、設置台数が増加しプラント全体のコスト増加を引き起こしたり、グラスライニング製多管式熱交換器の熱交換性能が低下したりするという課題を有していた。
本発明は上記従来の課題を解決するもので、孔部の内周壁と伝熱管の外周壁との間に生じた隙間に伝熱媒体が残留することがなく、残留した伝熱媒体の凍結による応力発生を防止することによりグラスライニングの剥離を防止でき、信頼性に優れるグラスライニング製多管式熱交換器を提供することを目的とする。
また、本発明は、管板に形成された孔部の内周壁と伝熱管の外周壁との隙間とシーリング材との間に閉じ込められた気泡を脱気して、隙間の内部にシーリング材を浸入させることができグラス剥離を確実に防止できるグラスライニング製多管式熱交換器の製造方法を提供することを目的とする。
上記従来の課題を解決するために本発明のグラスライニング製多管式熱交換器及びその製造方法は、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載のグラスライニング製多管式熱交換器は、複数の孔部が形成された管板と、前記孔部の各々に挿入され端部が前記管板の表面側で固定された伝熱管と、前記管板の表面に施されたグラスライニングと、を備えたグラスライニング製多管式熱交換器であって、前記孔部の内周壁と前記伝熱管の外周壁との隙間に浸入したシーリング材が硬化したシーリング部を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)孔部の内周壁と伝熱管の外周壁との隙間に浸入したシーリング材が硬化したシーリング部を備えているので、隙間に伝熱媒体が浸入するのを防ぐことができるため、隙間に伝熱媒体が残留することがなく、残留した伝熱媒体の凍結による応力発生を防止しグラスライニングの剥離を防止できる。
ここで、シーリング部としては、シーリング材が隙間に完全に充填されて隙間を閉鎖しているものが望ましい。しかし、シーリング材が隙間の一部にしか浸入していなくても、隙間の深部にシーリング材が浸入し、隙間の深部を閉鎖することにより伝熱媒体が隙間に残留しないようになっていればよい。また、隙間の深部にシーリング材が浸入していなくても、少なくとも隙間の開口に栓をした状態で隙間を閉鎖し、隙間内に伝熱媒体が浸入できないようになっていてもよい。
シーリング材としては、グラスライニング製多管式熱交換器の一般的な最高使用温度である150℃以上においても強度が低下せず、なおかつ変形や伸縮し難いものを用いることができる。具体的には、エポキシ樹脂,ポリエステル樹脂,アクリル系接着剤,ポリウレタン,シリコーンゴム,ポリマーアロイ型接着剤,ポリイミド系接着剤,無機接着剤等の接着剤を用いることができる。
本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のグラスライニング製多管式熱交換器であって、前記管板の裏面を被覆したシーリング材が硬化した管板被覆部を備えた構成を有している。
この構成により、請求項1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)管板の裏面を被覆したシーリング材が硬化した管板被覆部を備えているので、伝熱媒体による急激な管板の温度変化を防止でき、熱衝撃の熱応力によるグラスライニングの剥離を防止できる。
(2)グラスライニングの施釉焼成により管板の孔部や裏面には酸化スケールが発生することがあるが、シーリング部と管板被覆部とを備えており、管板の孔部の内周壁と管板の裏面がシーリング材で覆われているので、管板の孔部や裏面からの酸化スケールの剥離を抑えて伝熱媒体を清浄に保つことができ、また洗浄性にも優れる。
管板被覆部としては、管板の裏面が完全に覆われているものが望ましい。しかし、管板の裏面の一部、例えば伝熱管の周囲しか被覆されていない場合でも、伝熱媒体による管板の急激な温度変化を緩和し、熱衝撃による熱応力を緩和できればよい。
本発明の請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のグラスライニング製多管式熱交換器であって、前記管板被覆部の厚さが、1〜30mm、好ましくは1〜15mm、より好ましくは1〜5mmである構成を有している。
この構成により、請求項2で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)管板被覆部の厚さが1〜30mmのため、管板の裏面の酸化スケールを覆うことができ伝熱媒体を清浄に保つことができ、さらにシーリング材の断熱効果により伝熱媒体が管板に与える熱衝撃を緩和でき、熱衝撃によるグラスライニングの剥離を防止できる。
ここで、管板被覆部が1mmより薄くなると、管板の裏面の酸化スケールを完全に覆うことができないことがあり、またシーリング材による断熱効果が低下するため好ましくない。管板被覆部が5mmより厚くなるにつれ、脱気に要する時間が長くなり生産性が低下する傾向がみられ、15mmより厚くなるにつれ、シーリング材で被覆される伝熱管の表面積が大きくなるため伝熱面積が減少し熱交換効率が低下する傾向がみられる。30mmより厚くなると、伝熱媒体を胴部シェルに導入するために設けられたノズルと干渉する可能性が生じるため、好ましくない。
本発明の請求項4に記載のグラスライニング製多管式熱交換器の製造方法は、複数の孔部が形成された管板と、前記孔部の各々に挿入され端部が前記管板の表側に固定された伝熱管と、前記管板の表面に施されたグラスライニングと、を備えたグラスライニング製多管式熱交換器の製造方法であって、前記管板の裏面にシーリング材を注入するシーリング材注入工程と、前記管板及び/又は前記伝熱管と前記シーリング材との間に閉じ込められた気泡を脱気する脱気工程と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)脱気工程を備えているので、管板に形成された孔部の内周壁と伝熱管の外周壁との隙間とシーリング材との間に閉じ込められた気泡や、管板の裏面に発生した酸化スケール内に閉じ込められた気泡を脱気して、隙間の内部や酸化スケール内にシーリング材を浸入させることができるとともに、シーリング材と管板との密着性を高めることができ、グラス剥離や酸化スケール剥離を確実に防止できる。
(2)シーリング材に気泡が残留すると温度変化により気泡に体積変化が生じ、この応力により硬化したシーリング材が劣化する可能性があるが、シーリング材の気泡の残留量が少なくなるので、硬化したシーリング材を長寿命化させることができる。
ここで、シーリング材注入工程は、管板を胴部シェルの両側に溶接固定した後、管板の孔部の各々に伝熱管を挿入し伝熱管の端部を管板の表側に固定し、管板の表面にグラスライニングを施した後であれば、いつでも行うことができる。胴部シェルに形成された伝熱媒体の入口又は出口となるノズルや、胴部シェルに形成された開口部からシーリング材注入管を入れて、管板の裏面にシーリング材を注入できるからである。
シーリング材は管板の裏面全体に注入することができる。次いで、脱気を行うことにより、管板被覆部とシーリング部とを同時に形成することができる。
また、内視鏡等を胴部シェル内に入れて管板の裏面を観察しながら、孔部の内周壁と伝熱管の外周壁との隙間にシーリング材を注入するようにしてもよい。次いで、脱気を行うことにより、シーリング部を形成することができる。
なお、伝熱管の両側に管板が固定されているため、片方の管板の裏面にシーリング材を注入し硬化させた後、上下をひっくり返し、他方の管板の裏面にシーリング材を注入して、他方の管板の裏面に注入されたシーリング材を硬化させる。
脱気工程としては、伝熱管が固定された管板をチャンバーに入れて、減圧するものが用いられる。伝熱管及び管板の全体を収容できるような大型のチャンバーを用いることができる。また、両側にヘッドを取り付けた胴部シェル内に伝熱管及び管板が収容されているので、胴部シェル及びヘッドをチャンバーの代わりに用いることができる。
本発明の請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のグラスライニング製多管式熱交換器の製造方法であって、前記シーリング材の25℃における粘度が90Pa・s以下であり、前記シーリング材の硬化温度が500℃以下である構成を有している。
この構成により、請求項4で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)シーリング材の25℃における粘度が90Pa・s以下なので、シーリング材が隙間の内部や酸化スケール内に浸入し易いため、シーリング材と管板との密着性を高めることができる。また、シーリング材の硬化温度が、グラスライニングの施釉焼成温度よりも低い500℃以下なので、管板や伝熱管に施されたグラスライニングを傷めることもなく、耐腐食性に優れたグラスライニング製多管式熱交換器を製造できる。
ここで、シーリング材の粘度は、BH型回転粘度計(20rpm)による25℃における測定値を採用した。
以上のような本発明のグラスライニング製多管式熱交換器及びその製造方法によれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項1に記載の発明によれば、
(1)シーリング部を備えているので、隙間の深部に伝熱媒体が残留することがなく、残留した伝熱媒体の凍結による応力発生を防止しグラスライニングの剥離を防止でき信頼性に優れたグラスライニング製多管式熱交換器を提供できる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、
(1)管板被覆部を備えているので、伝熱媒体による急激な管板の温度変化を防止でき、熱衝撃の熱応力によるグラスライニングの剥離を防止でき信頼性に優れたグラスライニング製多管式熱交換器を提供できる。
(2)シーリング部と管板被覆部とを備えているので、管板の孔部や裏面からの酸化スケールの剥離を抑えて伝熱媒体を清浄に保つことができ、また洗浄性にも優れたグラスライニング製多管式熱交換器を提供できる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項2の効果に加え、
(1)管板被覆部で管板の裏面の酸化スケールを覆うことができるため、伝熱媒体を清浄に保つことができ、さらにシーリング材の断熱効果により伝熱媒体が管板に与える熱衝撃を緩和でき、熱衝撃によるグラスライニングの剥離を防止でき信頼性に優れたグラスライニング製多管式熱交換器を提供できる。
請求項4に記載の発明によれば、
(1)脱気工程を備えているので、管板に形成された孔部の内周壁と伝熱管の外周壁との隙間とシーリング材との間に閉じ込められた気泡や、管板の裏面に発生した酸化スケール内に閉じ込められた気泡を脱気して、隙間の内部や酸化スケール内にシーリング材を浸入させることができるとともに、シーリング材と管板との密着性を高めることができ、シーリング材の硬化後に強固なシーリング部や管板被覆部を形成することができるグラスライニング製多管式熱交換器の製造方法を提供できる。
(2)シーリング材の気泡の残留量が少なくなるので、残留気泡の体積変化による応力の発生を防ぎ、硬化したシーリング材を長寿命化させることができるグラスライニング製多管式熱交換器の製造方法を提供できる。
請求項5に記載の発明によれば、請求項4の効果に加え、
(1)シーリング材が隙間の内部や酸化スケール内に浸入し易いため、シーリング材と管板との密着性を高めることができ、また、シーリング材の硬化温度がグラスライニングの施釉焼成温度よりも低いので、管板や伝熱管に施されたグラスライニングを傷めることもなく、耐腐食性に優れたグラスライニング製多管式熱交換器を製造できるグラスライニング製多管式熱交換器の製造方法を提供できる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1におけるグラスライニング製多管式熱交換器の管板と伝熱管との溶接部の要部断面図である。なお、背景技術で説明したものと同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図中、1は実施の形態1におけるグラスライニング製多管式熱交換器、2はエポキシ樹脂,ポリエステル樹脂,アクリル系接着剤,ポリウレタン,シリコーンゴム,ポリマーアロイ型接着剤,ポリイミド系接着剤,無機接着剤等のシーリング材としての接着剤が管板18に形成された孔部19の内周壁と伝熱管20の外周壁との間に生じた隙間23に浸入して硬化したシーリング部、3はシーリング材が管板18の裏面を被覆して硬化した管板被覆部である。
なお、本実施の形態においては、管板被覆部3の厚さtは、1〜30mmに形成されている。また、シーリング材は、25℃における粘度が90Pa・s以下であり、硬化温度が500℃以下であるものを用いている。
以上のように構成された本発明の実施の形態1におけるグラスライニング製多管式熱交換器について、以下その製造方法を説明する。
管板18,18を胴部シェル11の両側に溶接固定した後、管板18の孔部19の各々に伝熱管20を挿入し、伝熱管20の端部を管板18の表側に溶接固定する。次いで、管板18の表面にグラスライニング24を施す。
シーリング材注入工程においては、ノズル16側の管板18が下側になるように胴部シェル11を略垂直に立てて、ノズル16からノズル16側の管板18の裏面にシーリング材を常温下で注入する。注入されたシーリング材は25℃における粘度が90Pa・s以下のため流動性が良く、管板18の裏面の全面に広がる。
次に、脱気工程において、ノズル16を密閉した後、胴部シェル11を立てたまま、ノズル17から胴部シェル11内を減圧し、隙間23とシーリング材との間に閉じ込められた気泡や、管板18の裏面の酸化スケール内に閉じ込められた気泡を脱気し、シーリング材を隙間23や酸化スケール内に浸入させる。
脱気を終えたら、胴部シェル11内を常圧に戻し、シーリング材を所定の条件で硬化させる。これにより、ノズル16側の管板18の裏面にシーリング部2及び管板被覆部3を形成することができる。
なお、胴部シェル11の内径、伝熱管20の本数及び外径、管板18の厚さ、管板被覆部3の目標厚さを考慮すれば、シーリング材注入工程におけるシーリング材の注入量を決めることができる。
次に、ノズル17側の管板18が下側になるように胴部シェル11の上下をひっくり返し、ノズル17からノズル17側の管板18の裏面にシーリング材を注入する(シーリング材注入工程)。脱気工程を経て、シーリング材を硬化させ、ノズル17側の管板18の裏面にもシーリング部2及び管板被覆部3を形成する。
以上のように、本発明の実施の形態1におけるグラスライニング製多管式熱交換器は構成されているので、以下のような作用が得られる。
(1)隙間23に浸入したシーリング材が硬化したシーリング部2を備えているので、隙間23の深部に伝熱媒体が残留することがなく、残留した伝熱媒体の凍結による応力発生を防止しグラスライニング21,24の剥離を防止できる。
(2)管板18の裏面を被覆したシーリング材が硬化した管板被覆部3を備えているので、伝熱媒体による急激な管板18の温度変化を防止でき、熱衝撃の熱応力によるグラスライニング24の剥離を防止できる。
(3)グラスライニング24の施釉焼成により管板18の孔部19や裏面には酸化スケールが発生することがあるが、管板18の孔部19の内周壁と管板18の裏面がシーリング材で覆われているので、管板18の孔部19や裏面からの酸化スケールの剥離を抑えて伝熱媒体を清浄に保つことができ、また洗浄性にも優れる。
(4)管板被覆部3の厚さが1〜30mmのため、管板18の裏面の酸化スケールを覆うことができ伝熱媒体を清浄に保つことができ、さらにシーリング材の断熱効果により伝熱媒体が管板18に与える熱衝撃を緩和でき、熱衝撃によるグラスライニング24の剥離を防止できる。
また、本発明の実施の形態1におけるグラスライニング製多管式熱交換器の製造方法によれば、以下のような作用が得られる。
(1)脱気工程を備えているので、隙間23とシーリング材との間に閉じ込められた気泡や、管板18の裏面に発生した酸化スケール内に閉じ込められた気泡を脱気して、隙間23の内部や酸化スケール内にシーリング材を浸入させることができるとともに、シーリング材と管板18との密着性を高めることができ、グラス剥離や酸化スケール剥離を確実に防止できる。
(2)シーリング材の25℃における粘度が90Pa・s以下なので、シーリング材が隙間23の内部や酸化スケール内に浸入し易いため、シーリング材と管板18との密着性を高めることができる。
(3)シーリング材の硬化温度が、グラスライニングの施釉焼成温度よりも低い500℃以下なので、管板18や伝熱管20に施されたグラスライニング21,24を傷めることがなく、耐腐食性に優れたグラスライニング製多管式熱交換器を製造できる。
(4)シーリング材注入工程において、シーリング材を管板18の裏面の全面に注入するので、脱気工程を経ることにより、シーリング部2と管板被覆部3とを同時に形成することができ生産性に著しく優れる。
(5)工場から出荷する前のグラスライニング製多管式熱交換器に対して、隙間封鎖部2や管板被覆部3を形成できるのはもちろんのこと、胴部シェル11に伝熱管20を収容した後、シーリング材を注入して製造することができるので、納品済みのグラスライニング製多管式熱交換器についても、ノズル16,17からシーリング材を注入して隙間封鎖部2や管板被覆部3を形成することができ、応用性に優れる。
本発明を具体的に説明するため、以下のような実験を行った。なお、本発明はこれらの実験例に限定されるものではない。
(実験例1)
外径120mm、厚さ45mmの低炭素鋼製の円板(管板に相当)を用意し、厚さ方向と平行に内径35mmの孔部を4個貫穿した。外径34mm、長さ62mmの低炭素鋼製のパイプ(伝熱管に相当)を孔部の各々に挿入し、パイプの端部と円板の表面とを溶接固定した試験片を作製した。また、円板の裏面には、内径110mm、高さ5mmのリングを溶接した。このリングは、注入したシーリング材を堰き止めるものである。
この試験片を電気炉に入れ、大気中800℃で30分間保持した後、徐冷して焼鈍した。円板及びパイプの表面に酸化スケールを発生させるためである。
完全に冷却した試験片の裏面に、シーリング材としてのエポキシ樹脂接着剤(スリーボンド製)を5mmの厚さまで流し込んだ後、減圧下に1時間静置し脱気した。次いで、試験片を50℃で3時間加温しシーリング材を硬化させた。さらに常温下に放置してシーリング材を完全に硬化させ、実験例1の試験片を得た。
50℃に保った水に試験片を120分間浸漬後、直ちに150℃に保った熱風循環乾燥機に入れ、120分間保持することを一サイクルとして、これを6サイクル繰り返して行い、最後は水(50℃)に浸漬する温度サイクル試験を行った。
試験終了後、目視検査により、硬化したシーリング材にクラックが発生していないかどうかを調べた。クラックが生じていれば水が浸入するため、手指で押しながら目視検査を行うことで、クラックの有無は容易に確認できる。
この結果、硬化したシーリング材にクラックはみられず、酸化スケールが剥離することもなかった。
また、試験後の試験片について、孔部の内周壁とパイプの外周壁との隙間の断面を観察したところ、シーリング材は隙間を完全に充填していることが確認された。
(実験例2)
温度サイクル試験を、−25℃に保ったメタノールに試験片を120分間浸漬後、直ちに21℃に保った水に投入し、120分間保持することを一サイクルとして、これを6サイクル繰り返して行う条件にかえた以外は、実験例1と同様にして、試験片を評価した。
試験終了後、同様の目視検査を行ったが、硬化したシーリング材に異常はみられず、酸化スケールが剥離することもなかった。
(実験例3)
シーリング材としてのエポキシ樹脂接着剤(スリーボンド製)を流し込んだ後、脱気することなく1時間静置し、さらに試験片を50℃で3時間加温しシーリング材を硬化させた後、常温下に放置してシーリング材を完全に硬化させた以外は、実験例1と同様にして実験例3の試験片を得た。
実験例1と同じ条件の温度サイクル試験を行ったところ、試験終了後、シーリング材と円板の間に水が入り込み、円板に錆が発生してシーリング材が浮き上がっていることが確認された。
以上の実験例より、シーリング材を注入した後、脱気を行うことで、隙間の内部や酸化スケール内にシーリング材を浸入させることができるとともにシーリング材と管板との密着性を高められることが明らかになった。
また、孔部の内周壁とパイプの外周壁との隙間にシーリング材を浸入させ、円板の裏面をシーリング材で被覆し硬化させることにより、温度サイクル試験後も、硬化したシーリング材に異常はみられず酸化スケールも剥離しないことが確認された。これにより、シーリング材で隙間を塞ぐため伝熱媒体が残留することがなく、残留した伝熱媒体の凍結による応力発生を防止しグラスライニングの剥離を防止できることは自明である。
なお、エポキシ樹脂接着剤だけでなく、シーリング材として、ポリエステル樹脂、アクリル系接着剤、ポリウレタン、シリコーンゴム、ポリマーアロイ型接着剤、ポリイミド系接着剤、無機接着剤の他の接着剤を用いた場合にも、同様の結果が得られた。
本発明は、多数の伝熱管を管板に配置したグラスライニング製多管式熱交換器及びその製造方法に関し、孔部の内周壁と伝熱管の外周壁との間に生じた隙間に伝熱媒体が残留することがなく、残留した伝熱媒体の凍結による応力発生を防止することによりグラスライニングの剥離を防止でき、信頼性に優れるグラスライニング製多管式熱交換器を製造することができ、また、管板に形成された孔部の内周壁と伝熱管の外周壁との隙間とシーリング材との間に閉じ込められた気泡を脱気して、隙間の内部にシーリング材を浸入させることができグラス剥離を確実に防止できるグラスライニング製多管式熱交換器の製造方法を提供することができる。
実施の形態1におけるグラスライニング製多管式熱交換器の管板と伝熱管との溶接部の要部断面図 特許文献1におけるグラスライニング製多管式熱交換器の一部破断正面図 管板と伝熱管との溶接部の要部断面図
符号の説明
1 グラスライニング製多管式熱交換器
2 シーリング部
3 管板被覆部
10 グラスライニング製多管式熱交換器
11 胴部シェル
12,13 ヘッド
12a,13a フランジ部
14 入口
15 出口
16,17 ノズル
18 管板
18a 締結具
19 孔部
20 伝熱管
21 グラスライニング
22 溶接部
23 隙間
24 グラスライニング

Claims (5)

  1. 複数の孔部が形成された管板と、前記孔部の各々に挿入され端部が前記管板の表面側で固定された伝熱管と、前記管板の表面に施されたグラスライニングと、を備えたグラスライニング製多管式熱交換器であって、
    前記孔部の内周壁と前記伝熱管の外周壁との隙間に浸入したシーリング材が硬化したシーリング部を備えていることを特徴とするグラスライニング製多管式熱交換器。
  2. 前記管板の裏面を被覆したシーリング材が硬化した管板被覆部を備えていることを特徴とする請求項1に記載のグラスライニング製多管式熱交換器。
  3. 前記管板被覆部の厚さが、1〜30mmであることを特徴とする請求項2に記載のグラスライニング製多管式熱交換器。
  4. 複数の孔部が形成された管板と、前記孔部の各々に挿入され端部が前記管板の表側に固定された伝熱管と、前記管板の表面に施されたグラスライニングと、を備えたグラスライニング製多管式熱交換器の製造方法であって、
    前記管板の裏面にシーリング材を注入するシーリング材注入工程と、前記管板及び/又は前記伝熱管と前記シーリング材との間に閉じ込められた気泡を脱気する脱気工程と、を備えていることを特徴とするグラスライニング製多管式熱交換器の製造方法。
  5. 前記シーリング材の25℃における粘度が90Pa・s以下であり、前記シーリング材の硬化温度が500℃以下であることを特徴とする請求項4に記載のグラスライニング製多管式熱交換器の製造方法。
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JP2020112308A (ja) * 2019-01-11 2020-07-27 八光産業株式会社 グラスライニング製多管式熱交換器
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