JP6169479B2 - 除錆防錆剤および除錆防錆方法 - Google Patents

除錆防錆剤および除錆防錆方法 Download PDF

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本発明は、金属表面に発生する金属酸化物を含むスケールを除去するとともに、さらなる酸化物の発生を防止する除錆防錆剤に関し、またこの除錆防錆剤を用いた金属の除錆防錆方法に関する。
パイプ、熱交換器、鋼板、棒材、線材などの鋼材の表面には、金属酸化物を含むスケールが付着しており、その後の使用および加工、めっき、コーティングなどの工程に供するためには、このスケールを除去する必要がある。このためには、塩酸、硫酸、硝酸、フッ酸、リン酸などの無機酸、クエン酸、ヒドロキシ酢酸、ギ酸、リンゴ酸、シュウ酸、グルコン酸などの有機酸により洗浄する、いわゆる酸洗浄を行う、のが一般的である。この洗浄工程では、(1)洗浄、(2)水洗、(3)防錆、(4)乾燥などの工程が採られている。
また、銅やアルミニウムなどを用いたプリント配線基板やリードフレームなどの電子回路部品その他の電気材料、缶、サッシ部材などについても輸送、保管中の酸化に起因する変色などが認められる。加えて、成形工程で使用された潤滑油その他の汚染物も付着しているので、これらの金属の洗浄にはアルカリ剤による洗浄が行われることが多い。
特許文献1には、酸洗浄に代えてpH5.5〜7.5の範囲に調整したホスホン酸系の洗浄液で鋼材を洗浄し、スケールを除去した後、この洗浄液をpH8.0〜9.5の範囲に調整して、鋼材の防錆処理を行うことが記載されている。
特許文献2には、リードフレームなどの銅または銅合金の電子部品材料の運搬、保存などに際して発生する酸化物によると推定される変色を防止するためのベンゾトリアゾールとカルボン酸の銅塩とを含む酸性ないし中性の変色防止液が開示されている。
特許文献3には、機械部品、電子材料部品、缶およびサッシなどのアルミニウムやアルミニウム合金は腐食を受けやすく、これを解決するための処理剤として、加工時や洗浄時の該金属の変色および加工後や洗浄後の放置期間中に発生する該金属の変色を効果的に防止する二塩基カルボン酸のアルカリ金属塩およびアミンを含有する水性変色防止剤が開示されている。
特開平9−3670号公報 特開2012−172154号公報 特開2003−27261号公報
特許文献1のホスホン酸系の洗浄液および特許文献2の変色防止剤ではリンを含むことから廃液処理の環境面で好ましくないという問題がある。
また、特許文献2および3では、別途、酸化被膜を除去する除錆と、除去後の酸化被膜の生成を防止する防錆を別々の工程で行うことが必要になる。
一般的に鋼材を酸洗浄した後も、運搬、貯蔵時にその表面に酸化被膜が生成しやすく、使用に際してはそれを除去する必要が生じる。しかしながら、酸化被膜を除去する除錆と、除去後の酸化被膜の生成を防止する防錆を別々の工程で行うのは非常に煩雑であるので両方の機能を有する処理剤を用いて、一つの工程で除錆防錆を行えることが望ましい。すなわち、両方の機能を有する処理剤を用いることができれば、同一工程において、酸化物の除去と、その後の酸化物の生成の予防を同時に行うことができ非常に好都合である。
銅、アルミニウムまたはそれらの合金などの非鉄金属部材においても、表面の酸化被膜の生成(変色)の防止と共にすでに生成している酸化被膜を除去する処理を一つの工程で行うことができれば非常に好都合である。
本発明の目的は、金属表面、特に鋼、銅、アルミニウムまたはこれらの合金の表面に発生する酸化被膜を除去する除錆と、除去後の酸化被膜の発生を防止する防錆機能を一液で合わせ持った除錆防錆剤を提供し、これを用いて除錆工程と防錆工程を一つの工程で行うことができる除錆防錆処理方法を提供することにある。
また、処理剤にリンを含むと、廃液処理の環境面で好ましくないことから、リンを含まない前記目的の除錆防錆剤を提供し、それを用いる除錆防錆処理方法を提供することを目的とする。
本発明は、金属表面に発生するスケールなど金属酸化物を除去し、除去後のさらなる金属酸化物の発生を防止する除錆防錆剤であって、ヒドロキシアルキルイミノカルボン酸と、エチレンジアミン四酢酸またはその塩と、さらにクエン酸またはその塩と、アルカリ剤と、水とを含むことを特徴とする除錆防錆剤である。
また本発明は、前記除錆防錆剤のPHが3.5〜5.5に調整されてなることを特徴とする除錆防錆剤である。
また本発明は、前記ヒドロキシアルキルイミノカルボン酸が、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸であることを特徴とする。
また本発明は、前記エチレンジアミン四酢酸塩が、エチレンジアミン四酢酸カルシウム二ナトリウム三水和物であることを特徴とする。
また本発明は、前記アルカリ剤が、水酸化アルカリ金属、アンモニアおよび有機アミンから選択される1種以上であることを特徴とする。
また本発明は、前記金属が、鋼、銅、アルミニウムまたはこれらの合金であることを特徴とする。
また本発明は、さらに腐食抑制剤を含むことを特徴とする。
さらにまた本発明は、表面に金属酸化物を含むスケールが付着した金属を前記除錆防錆剤に接触させることを特徴とする金属の除錆防錆方法である。
本発明によると、ヒドロキシアルキルイミノカルボン酸と、エチレンジアミン四酢酸またはその塩と、クエン酸またはその塩と、アルカリ剤と、水とを含む処理液に金属、特に鋼、銅、アルミニウムまたはこれらの合金を接触させることにより、一液でその金属の表面に形成されている錆、スケールなどの金属酸化物を除去すると共に、その表面を防錆効果のある表面に改質することができる。また、この除錆防錆剤を用いることにより、除錆工程と防錆工程を一つの工程で行うことができる除錆防錆処理方法を提供することができる。
特にエチレンジアミン四酢酸カルシウム二ナトリウム三水和物は金属表面の仕上がり色調を向上させる。
また、本発明はリン酸塩などのリンを含む化合物を使用せず環境面においても優れている。
本発明の除錆防錆剤は、ヒドロキシアルキルイミノカルボン酸と、エチレンジアミン四酢酸またはその塩と、クエン酸またはその塩と、アルカリ剤と、水とを含むものである。
本発明において、ヒドロキシアルキルイミノカルボン酸は、一般式(I)
COOH
HO−R−N< (I)
COOH
(式中、R、R、Rは、同一または異なって、それぞれ炭素数1〜5のアルキレン基を表す。)
で示される化合物である。
前記一般式(I)において、R、R、Rで示される炭素数1〜5のアルキレン基としては、たとえばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基またはペンチレン基があげられる。これらのうち、R、R、Rで示されるアルキレン基が、同一または異なってメチレン基、エチレン基である化合物が好ましく、Rがエチレン基、RおよびRがメチレン基である化合物がとりわけ好ましい。
一般式(I)で示される化合物の具体例としては、たとえばヒドロキシメチルイミノ二酢酸、ヒドロキシメチルイミノ二プロピオン酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ヒドロキシプロピルイミノ二酢酸、ヒドロキシブチルイミノ二酪酸、ヒドロキシペンチルイミノ二吉草酸などのヒドロキシエチルイミノカルボン酸があげられる。
これらのうち、ヒドロキシメチルイミノ二酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二プロピオン酸が好ましく、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸がとりわけ好ましい。
ヒドロキシアルキルイミノカルボン酸は、遊離のものであってもよく、また塩であってもよく、遊離のものとその塩とを併用してもよい。
ヒドロキシアルキルイミノカルボン酸の塩としては、たとえば、ナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属との塩、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属との塩があげられる。
本発明の除錆防錆剤中に含まれるヒドロキシアルキルイミノカルボン酸またはその塩は、除錆防錆剤全体に対して3〜30重量%、好ましくは5〜25重量%である。除錆防錆剤におけるヒドロキシアルキルイミノカルボン酸の量が3重量%より少ないと、除錆防錆効果が十分でなく、30重量%より多くても効果は向上せず、好ましくない。
また本発明の除錆防錆剤中には、クエン酸またはその塩が含まれる。ヒドロキシアルキルイミノカルボン酸またはその塩とクエン酸とを併用することにより除錆防錆効果に相乗的作用が認められるため、さらに好ましい。
クエン酸の塩としては、たとえば、ナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属との塩、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属との塩、アンモニア、アミンとの塩があげられる。
本発明の除錆防錆剤中に含まれるクエン酸またはその塩は、ヒドロキシアルキルイミノカルボン酸100重量部に対して30〜500重量部、とりわけ50〜300重量部となる量を使用することが好ましい。30重量部より量が少ないと、除錆防錆効果が十分でなく、500重量部より多いと逆に他の成分との相互作用で効果が減殺される。
また、本発明の除錆防錆剤の他の成分であるエチレンンジアミン四酢酸は、遊離のものを単独で用いてもよく、またその塩を単独で用いてもよく、さらには、遊離のものとその塩とを併用してもよい。
エチレンンジアミン四酢酸は、種々の金属イオンと結合して塩を形成するが、本発明の除錆防錆剤としては、エチレンンジアミン四酢酸を含む限り、どのような金属イオンとの塩であってもよい。かかるエチレンンジアミン四酢酸の塩としては、エチレンンジアミン四酢酸と、たとえば、ナトリウム、カリウムおよびリチウムなどのアルカリ金属、カルシウムおよびマグネシウムなどのアルカリ土類金属との種々の塩があげられる。このうち、特に好ましいのは、エチレンジアミン四酢酸カルシウム二ナトリウム三水和物である。
エチレンジアミン四酢酸またはその塩は、ヒドロキシアルキルイミノカルボン酸100重量部に対して5〜70重量部、とりわけ10〜50重量部となる量を使用することが好ましい。5重量部より量が少ないと、除錆防錆効果が十分でなく、70重量部より多いと逆に他の成分との相互作用で効果が減殺される。
また本発明の除錆防錆剤は、アルカリ剤を含む。アルカリ剤としては、本発明の除錆防錆剤において、アルカリ剤以外の他の成分の析出沈澱を起こさないものであればよく、特に限定されない。
具体的には、たとえば、無機アルカリ剤および有機アルカリ剤があげられ、無機アルカリ剤としては、アンモニアのほか、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムなどのアルカリ金属の水酸化物、オルソ珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム、セスキ珪酸ナトリウムなどのアルカリ金属の珪酸塩、炭酸二ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸二カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩、ホウ酸ナトリウムなどのアルカリ金属のホウ酸塩などをあげることができる。
また、有機アルカリ剤としては、有機アミンがあげられ、具体的にはアルカノールアミン、ヘテロ環アミンがあげられる。
アルカノールアミンとしては、炭素数2〜4のアルカノール基を1〜3つ有するアルカノールアミンなどをあげることができる。
前記アルカノールアミンの具体例としては、2−アミノエタノール、N−メチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミンなどがあげられる。
また、前記イソプロパノールアミンは、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミンもしくはトリイソプロパノールアミンのいずれか、またはそれらの混合物であってもよい。
ヘテロ環アミンとしては、シクロヘキシールアミン、イミダゾール、ピラジン、ピペリジン、ピロリジンなどがあげられる。
前記アルカリ剤は、1種類を単独で使用してもよく、無機アルカリ剤と有機アルカリ剤の1種以上とを適宜組合せて併用してもよく、また無機アルカリ剤を2種以上、または有機アルカリ剤を2種以上、組合せて使用してもよい。
また、本発明の除錆防錆剤は、前記アルカリ剤によって、そのpHが3.5〜5.5に調整されていることが望ましい。このpHとすることにより、中性域での除錆速度が増し、十分な除錆力を発揮する。
pHを有効に調整するためにはpHへの緩衝作用が小さいものが好ましく、この観点からは、無機アルカリ剤では、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまたはアンモニアが好ましく、特に好ましいのは水酸化カリウムまたはアンモニアである。有機アルカリ剤では、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミンまたはトリイソプロパノールアミンが好ましく、特に好ましいのはジエタノールアミンである。
また、本発明の除錆防錆剤においては、腐食抑制剤を加えてもよい。
腐食抑制剤を添加することにより、除錆防錆剤を、金属と長時間接触させる場合に生じる母材の過剰腐食を抑えることができるので、好ましい効果を得ることができる。
腐食抑制剤は、通常、この技術分野において用いられる腐食抑制剤であれば、いずれも好適に用いることができるが、たとえば、第四アンモニウム塩、ポリアミン、有機イオウ化合物などを主剤とした腐食抑制剤が好ましい。
かかる腐食抑制剤としては、具体的には、たとえばイビットNo.30AR(朝日化学工業株式会社製)、イビットNo.30D(朝日化学工業株式会社製)などがあげられる。
また、本発明の除錆防錆剤においては、上記の成分以外に、除錆防錆剤に配合される成分を添加してもよく、かかる配合成分としては、没食子酸またはその塩、エリソルビン酸またはその塩、アスコルビン酸またはその塩などがあげられる。
本発明の除錆防錆剤は、前記各成分を常温〜加温下に、混合することによって、製造することができる。
これらの各成分の混合は、特に順序を問わないが、たとえば、室温で撹拌しながら水に、他の成分を、所定量となるよう加えて撹拌することによって行うことができる。
このときの混合物の濃度は、水100重量部に対し、各成分の合計を約10〜200重量部程度となるようにすればよく、実際の処理に際して、この濃度のものをさらに所望の濃度まで希釈して使用することができる。
また、本発明の除錆防錆剤を用いた金属表面の除錆防錆方法は、表面に金属酸化物を含むスケールなどが付着した金属を、必要に応じて酸洗液またはアルカリ洗液により洗浄した後、上記の除錆防錆剤に接触させることによって実施することができる。
本発明方法において、金属表面の酸洗を行う酸洗液としては、塩酸、硫酸、燐酸、スルファミン酸などの無機酸、クエン酸、グリコール酸、蟻酸、酢酸、EDTA、メタンスルホン酸などの有機酸の水溶液があげられる。
また、金属表面のアルカリ洗浄するアルカリ剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、オルソ珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム、セスキ珪酸ナトリウムなどの珪酸塩、リン酸三ナトリウムなどのリン酸塩、炭酸二ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸二カリウムなどの炭酸塩、ホウ酸ナトリウムなどのホウ酸塩、アルカノールアミン、アンモニアなどの水溶液があげられる。
また、酸洗液で表面が酸洗される金属としては、鉄が好ましく、アルカリ洗浄される金属としては銅、アルミニウムまたはこれらの合金が好ましい。
鉄としては、鋼材があげられ、鋼材としては、鋼板、棒材、線材などがあげられる。
また、銅としては、銅または銅合金があげられる。
さらに、アルミニウムとしては、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる金属部材をあげることができる。
これらの金属は、どのような形状のものも使用可能であり、加えてその表面が、熱処理による金属酸化物を含むスケールで覆われているか、または運搬、保存に際して金属表面が腐食されることに起因する酸化被膜で変色していても、本発明の除錆防錆剤で好適に除錆防錆することができる。
金属が鉄の場合、酸洗は、たとえば濃度5〜30%の硫酸酸溶液を調製し、この溶液中に鋼材を浸漬して行う。浸漬温度は20〜80℃で、浸漬時間は5〜60分間程度行う。この酸洗処理により鋼材の表面の脱スケーリングを行い、錆や汚れを取り除くことができる。
酸洗後は、常温で高圧シャワーなどを使用し水による洗浄を行い、表面の残留酸洗液を除去する。鋼材の表面は酸洗により酸化物などが除去されているため活性で、水などにより表面が容易に酸化され水錆が発生する。
このために、新たに生じた水錆を除去すると共に、錆が発生しないように防錆処理をす
ることが必要である。
このとき、本発明の除錆防錆剤の濃度は、特に制限されないが、好ましくは0.5〜5%である。また、浸漬温度は20〜40℃で、浸漬時間は30〜60秒間とすることによって、好適に酸洗後の鋼材の除錆および防錆を行うことができる。
また、金属が、銅または銅合金の場合、銅又は銅合金で形成される電気部品や銅又は銅合金で回路を形成されるプリント配線板、その他銅のメッキを表面に形成した部品等が多い。
これらは、運搬、保存に際して金属表面が容易に腐食されて酸化被膜により変色している場合が多いので、既に発生している酸化被膜を除去する除錆処理と共に、以後の酸化(変色)を防止する防錆処理をすることが必要である。
金属が銅の場合の洗浄は、アルカリ洗浄が好ましく、アルカリ洗浄は、濃度0.1〜20%のアルカリ溶液を調製し、この溶液中に銅を浸漬して行う。浸漬温度は20〜90℃で、浸漬時間は10秒〜30分間程度行う。この洗浄処理により銅表面を洗浄し、錆や汚れを取り除くことができる。
アルカリ洗浄後は、常温で高圧シャワーなどを使用し水による洗浄を行い、表面の残留アルカリ洗液を除去する。
ついで防錆処理を行う。このとき、本発明の除錆防錆剤の濃度は、特に制限されないが、好ましくは0.01〜1.0%である。また、浸漬温度は20〜60℃で、浸漬時間は30〜120秒間とすることによって、好適に銅金属部材の除錆および防錆を行うことができる。
さらに、金属がアルミニウムまたはアルミニウム合金の場合、これらの金属で形成される機械部品、電子材料部品、缶およびサッシ等が多い。
これらは、加工後、洗浄後の放置期間中、また運搬、保存に際し、これらアルミニウム及びアルミニウム合金の表面は容易に腐食されて酸化被膜により変色する場合が多い。
そのために、既に発生している酸化被膜を除去する除錆処理と共に、以後の酸化(変色)を防止する防錆処理をすることが必要である。
金属がアルミニウムの場合のアルカリ洗浄は、上記銅と同条件である。このアルカリ洗浄処理によりアルミニウムの表面を洗浄し、錆や汚れを取り除くことができる。
アルカリ洗浄後は、常温で高圧シャワーなどを使用し水による洗浄を行い、表面の残留アルカリ洗液を除去する。
ついで防錆処理を行う。このとき、本発明の除錆防錆剤の濃度は、特に制限されないが、好ましくは0.5〜5.0%である。また、浸漬温度は20〜60℃で、浸漬時間は30〜60秒間とすることによって、好適にアルミニウム金属部材の除錆および防錆を行うことができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、これによって本発明が限定されるものではない。実施例および比較例中、処理液の%は、重量%を表す。
(実施例1)
(1)除錆防錆剤の調製
100重量部の水に、室温で撹拌しながら、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(関東化学株式会社製)10重量部を溶解し、次いでクエン酸36.5重量部、さらにエチレンジアミン四酢酸カルシウム二ナトリウム三水和物3.3重量部に水酸化カリウムを加えて除錆防錆剤のpHが3.5になるよう調整した。
ついで、除錆防錆剤が1重量%となるよう水で希釈し除錆防錆剤溶液を得た。
(2)酸洗鋼材の除錆防錆処理
濃硫酸(98%)を水で希釈して15%の硫酸溶液を調製し、これを硫酸酸洗液とした。鋼材(鋼板、縦50mm、横30mm、厚さ0.5mm)を60℃に保持した上記硫酸酸洗液に約36分浸漬し、その後水洗した。
この鋼材を温度50℃、湿度95%で、空気中に1日放置した後、上記(1)の除錆防錆剤溶液に室温で45秒浸漬した。浸漬前の錆の発生状態は、鋼板の面積の50%以上に錆が認められる状態であった。除錆、防錆状態について下記の方法で評価をした。これらの結果を表1に示す。
(実施例2)
除錆防錆剤の希釈濃度を0.5重量%にした他は、実施例1と同様に行った。これらの結果を表1に示す。
(実施例3)
除錆防錆剤の希釈濃度を2重量%にした他は、実施例1と同様に行った。これらの結果を表1に示す。
(実施例4)
ヒドロキシエチルイミノ二酢酸の含有量を5重量部とした他は、実施例1と同様に行った。これらの結果を表1に示す。
(実施例5)
クエン酸の含有量を18.3重量部とした他は、実施例1と同様に行った。これらの結果を表1に示す。
(実施例6)
水酸化カリウムを増量して除錆防錆剤のpHを5.5とした他は、実施例5と同様に行った。これらの結果を表1に示す。
(比較例1)
ヒドロキシエチルイミノ二酢酸を含有させない他は、実施例1と同様に行った。これらの結果を表1に示す。
(比較例2)
クエン酸を含有させない他は、実施例1と同様に行った。これらの結果を表1に示す。
(比較例3)
エチレンジアミン四酢酸カルシウム二ナトリウム三水和物を含有させない他は、実施例1と同様に行った。これらの結果を表1に示す。
<評価方法>
(除錆効果の評価)
硫酸酸洗、水洗後、除錆防錆剤に室温で45秒浸漬した直後、除錆状態を目視にて評価した。
◎ 錆が全く認められない。
○ わずかに錆が認められる。
△ 鋼板の面積の10〜20%に錆が認められる。
▲ 鋼板の面積の20%を越え、50%未満に錆が認められる。
× 鋼板の面積の50%以上に錆が認められる。
(防錆効果の評価)
除錆防錆剤に浸漬後、温度50℃、湿度95%で、空気中に1日放置した後、錆の発生状態を目視にて評価した。なお、錆の発生状態については、除錆後も錆が残存している場合は、その残存している錆と新たに発生した錆をトータルしての評価である。
◎ 錆が全く認められない。
○ わずかに錆が認められる。
△ 鋼板の面積の10〜20%に錆が認められる。
▲ 鋼板の面積の20%を越え、50%未満に錆が認められる。
× 鋼板の面積の50%以上に錆が認められる。
(色調の評価)
除錆防錆剤に浸漬後、温度50℃、湿度95%で、空気中に1日放置した後、色調を目視にて評価した。
◎ 灰白色で地鉄の色合いと同等。
○ 灰黒色で地鉄よりやや黒い。
△ 淡褐色である。
× 茶褐色である。
Figure 0006169479
表中、HIDAは、ヒドロキシイミノ二酢酸またはその塩を表し、EDTAは、エチレンジアミン四酢酸カルシウム二ナトリウム三水和物を表す。(以下、同)
(実施例7)
(1)除錆防錆剤の調製
100重量部の水に、室温で撹拌しながら、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(関東化学株式会社製)10重量部を溶解し、次いでクエン酸36.5重量部、さらにエチレンジアミン四酢酸カルシウム二ナトリウム三水和物3.3重量部に水酸化カリウムを加えて除錆防錆剤のpHが3.5になるよう調整した。
ついで、除錆防錆剤が1重量%となるよう水で希釈し除錆防錆剤溶液を得た。
(2)酸洗銅材の除錆防錆処理
水酸化ナトリウムを水で希釈して5%の水酸化ナトリウム溶液を調製し、これを水酸化ナトリウム洗液とした。銅材(銅板、縦50mm、横30mm、厚さ2mm)を90℃に保持した上記水酸化ナトリウム洗液に約3分浸漬し、その後水洗した。
この銅材を温度50℃、湿度95%で、空気中に1日放置した後、上記(1)の除錆防錆剤溶液に室温で60秒浸漬した。浸漬前の錆(変色)の発生状態は、銅板の面積の50%以上に変色が認められる状態であった。除錆、防錆状態について下記の方法で評価をした。これらの結果を表2に示す。
(実施例8)
除錆防錆剤の希釈濃度を0.5重量%にした他は、実施例7と同様に行った。これらの結果を表2に示す。
(実施例9)
除錆防錆剤の希釈濃度を2重量%にした他は、実施例7と同様に行った。これらの結果を表2に示す。
(実施例10)
ヒドロキシエチルイミノ二酢酸の含有量を5重量部とした他は、実施例7と同様に行った。これらの結果を表2に示す。
(実施例11)
クエン酸の含有量を18.3重量部とした他は、実施例7と同様に行った。これらの結果を表2に示す。
(実施例12)
水酸化カリウムを増量して除錆防錆剤のpHを5.5とした他は、実施例7と同様に行った。これらの結果を表2に示す。
(比較例4)
ヒドロキシエチルイミノ二酢酸を含有させない他は、実施例7と同様に行った。これらの結果を表2に示す。
(比較例5)
クエン酸を含有させない他は、実施例7と同様に行った。これらの結果を表2に示す。
(比較例6)
エチレンジアミン四酢酸カルシウム二ナトリウム三水和物を含有させない他は、実施例7と同様に行った。これらの結果を表2に示す。
<評価方法>
(除錆効果の評価)
水酸化ナトリウム洗浄、水洗後、除錆防錆剤に室温で60秒浸漬した直後、除錆状態(色調)を目視にて評価した。
◎ 金属光沢あり。
○ わずかに変色が認められる。
△ 銅板の面積の10〜20%に変色が認められる。
▲ 銅板の面積の20%を越え、50%未満に変色が認められる。
× 銅板の面積の50%以上に変色が認められる。
(防錆効果の評価)
除錆防錆剤に浸漬後、室温で、空気中に1日放置した後、色調を目視にて評価した。
◎ 金属光沢あり。
○ わずかに変色が認められる。
△ 銅板の面積の10〜20%に変色が認められる。
▲ 銅板の面積の20%を越え、50%未満に変色が認められる。
× 銅板の面積の50%以上に錆が認められる。
Figure 0006169479

Claims (8)

  1. 金属表面に発生する金属酸化物を含むスケールを除去し、除去後のさらなる金属酸化物の発生を防止する除錆防錆剤であって、ヒドロキシアルキルイミノカルボン酸と、エチレンジアミン四酢酸またはその塩と、さらにクエン酸またはその塩と、アルカリ剤と、水とを含むことを特徴とする除錆防錆剤。
  2. 前記除錆防錆剤のpHが3.5〜5.5に調整されてなることを特徴とする請求項1記載の除錆防錆剤。
  3. 前記ヒドロキシアルキルイミノカルボン酸が、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸である請求項1または2のいずれかに記載の除錆防錆剤。
  4. 前記エチレンジアミン四酢酸塩が、エチレンジアミン四酢酸カルシウム二ナトリウム三水和物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の除錆防錆剤。
  5. 前記アルカリ剤が、水酸化アルカリ金属、アンモニアおよび有機アミンから選択される1種以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載の除錆防錆剤。
  6. 前記金属が、鋼、銅、アルミニウムまたはこれらの合金である請求項1〜5のいずれか1項に記載の除錆防錆剤
  7. さらに腐食抑制剤を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の除錆防錆剤。
  8. 表面に金属酸化物を含むスケールが付着した金属を請求項1〜7のいずれか1項に記載の除錆防錆剤に接触させることを特徴とする金属の除錆防錆方法。
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