JP6960267B2 - 鋼管の防錆洗浄液および防錆方法 - Google Patents

鋼管の防錆洗浄液および防錆方法 Download PDF

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Description

本発明は、加工処理を施した後の鋼管のための防錆剤、その防錆剤を含む防錆洗浄液および防錆洗浄液を用いる防錆方法ならびに鋼管に関する。
鋼管は、造管後、管同士の接続または、装置への取り付けなどのため、管端加工する場合が多い。そのような加工処理としては、継ぎ手形成のため管端のネジ加工、溶接接続部形成のためのベベル加工などがあり、これらの加工は通常、切削装置などを用いて常温付近で行う。
このような加工に伴い、亜鉛メッキされていない場合または亜鉛メッキされている場合でも活性な鉄生地が露出するため、その後の水洗中またはその前後において、空気または水分と反応して錆を発生しやすい。特にネジ加工のように表面に凹凸がある場合やべベル加工のように新たな鉄生地を露出させる場合には、その加工処理部においてこの錆の発生を促進する傾向にある。
この錆の成分は2価、3価の酸化鉄、水酸化鉄などであるが、その形態により黄色、茶色、茶褐色、黒色などがあり、さまざまである。特に錆により変色すると、外観が悪く製品価値を著しく損なうことになる。特に室温〜100℃付近で鉄生地が露出した場合にはその錆は変色の度合いが強い。
特許文献1には、(A)成分:有機ホスホン酸及びその塩から選ばれる1種以上と、(B)成分:カルボン酸及びその塩から選ばれる1種以上と、(C)成分:メルカプトカルボン酸及びその塩から選ばれる1種以上とからなる、除錆効果を高め、腐蝕の度合いを小さくし、除錆後の被洗浄金属の表面仕上げを向上させるスケール除去・防錆剤が開示されている。
特許文献2には、鋼材の熱間圧延工程における鋼材表面のスケール生成を十分に抑制できる水性スケール抑制剤を提供することを目的に、脂肪族カルボン酸のアルカノールアミン塩、アンモニウム塩、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩の少なくとも1種を含有する水溶液であることを特徴とする熱間圧延における鋼材の水性スケール抑制剤が開示されている。
特許文献3には、酸洗後の洗浄水中に添加して金属表面での錆の発生を防止し、特にリンガーロール停止時に発生するロールマークの発生を防止が可能な、より改良された金属の変色防止剤およびそれを用いた変色防止方法を提供するために、有機ホスホン酸、カルボン酸、オキシカルボン酸およびそれらの塩の1種以上からなる有機キレート剤と特定のポリアミンを混合することによる金属の変色防止剤組成物と、これを水に溶解した変色防止液および当該変色防止液を金属表面に接触させることによる金属の変色防止方法が開示されている。
特許文献4には、酸洗液による鋼材の酸洗後に発生する錆を除去する除錆機能と、除去後のさらなる錆の発生を防止する防錆機能とを一液で併せ持った除錆防錆剤および除錆防錆方法を提供することを目的に、酸洗液による鋼材の酸洗後に発生する錆を除去し除去後の錆の発生を防止する除錆防錆剤であって、ヒドロキシアルキルイミノカルボン酸と、キレート剤と、水とを含むことを特徴とする除錆防錆剤が開示されている。
特開2010−70805号公報 特開平10−265978号公報 特開2001−123287号公報 特開2013−87357号公報
しかしながら、特許文献1の防錆剤は、必ずしも本件のような加工による水洗浄において、防錆が十分ではなく、特に変色に対しては十分効果があるとは言えない。
特許文献2のスケール抑制剤は、鋼材の熱間圧延工程でのスケール生成を抑制するもので、本件のような加工により生成する酸化被膜とは、質、状態が異なり、そのまま適用しても有用な効果を得ることができない。また含有窒素量も多く必要とする。
特許文献3の変色防止剤組成物は、酸洗後の洗浄水での錆発生、変色防止を目的としているが、前記同様、本件のような加工により生成する酸化被膜とは、酸化被膜の質、状態が異なり、そのまま適用しても有用な効果を得ることができない。また含有窒素量も多く必要とする。
特許文献4の除錆防錆剤は、酸洗後の洗浄水での錆発生防止、除去を目的としているが、前記同様、本件のような加工により生成する酸化被膜とは、酸化被膜の質、状態が異なり、そのまま適用しても有用な効果を得ることができない。また含有窒素量も多い。
したがって、このような防錆剤および洗浄方法では、前述のような加工処理後の洗浄において防錆を行うのは十分でなく、また防錆剤として用いる窒素含有化合物は、環境負荷の面から、少ない量で防錆が可能な窒素含有化合物とは言えない。
本発明の目的は、造管後の鋼管の加工処理により露出した鉄生地に対しても錆の発生を抑制し変色のない防錆剤を提供することにあり、その防錆剤を含む洗浄液を提供し、その洗浄液による洗浄方法を提供することにある。
さらに防錆剤の機能としては、防錆性と共に、加工直後洗浄前に錆が発生した場合に、その後の洗浄において錆を除去する機能も併せ持つ必要があり、このような機能を有する防錆剤を提供することも目的の一つである。
またその洗浄液としては、少ない量で防錆効果を有する窒素含有化合物を用いた、環境負荷が小さい洗浄液を提供することを目的とする。そして、その洗浄液による洗浄方法で洗浄した錆の発生を抑制した鋼管を提供することを目的とする。
本発明は、鋼管の加工処理を施した後の水洗において錆の発生を防止するための防錆洗浄液であって、エチレンジアミン四酢酸塩とオキシカルボン酸塩とからなる防錆成分と、水と、を含み、pHが6〜11、前記防錆成分濃度が0.2〜2質量%、窒素含有量が5〜30mg/Lであり、前記チレンジアミン四酢酸塩が、エチレンジアミン四酢酸カルシウム二ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸マグネシウム二ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸鉄二ナトリウムから選択される1種または2種以上であり、前記オキシカルボン酸塩が、リンゴ酸ナトリウム、リンゴ酸カリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウムから選択される1種または2種以上であることを特徴とする防錆洗浄液である。
また本発明は、前記防錆洗浄液で、加工処理された鋼管を防錆洗浄することを特徴とする鋼管の防錆方法である。
また、本発明は、前記加工処理された鋼管が、ネジ加工またはベベル加工処理された鋼管であることを特徴とする。
また本発明は、前記加工処理された鋼管の化学組成が、C:0.03〜0.3%、Si:0.01〜0.4%、Mn:0.1〜3.0%、P:0.04%以下 、S:0.04%以下、Al:0.001〜0.2%、Cu:0〜0.2%、Ni:0〜0.2%、Cr:0〜0.2%、Mo:0〜0.2%、V:0〜0.2%、Ti:0〜0.2%、Nb:0〜0.2%を含有し、残部がFeおよび不純物からなることを特徴とする。
本発明によると、造管後のベベル加工、ネジ加工などの鋼管の加工処理により露出した鉄生地に対しても錆の発生を抑制し変色のない防錆剤を提供することができる。またその防錆剤を含む防錆洗浄液を提供し、その洗浄液を用いる防錆方法を提供することができる。
また、その洗浄液としては、極めて少ない量で防錆効果を有する窒素含有化合物を用いて環境負荷が小さい防錆洗浄液を提供することができる。
さらに、その洗浄液による洗浄方法で洗浄することにより、加工処理部において錆の発生を抑制した鋼管を提供することができる。
本発明において、%で表示される数値は、特にことわりのないかぎり、質量%であることを表す。
本発明において、防錆洗浄とは、鋼管を防錆洗浄液で洗浄することを意味する。
本発明は、鋼管の加工処理を施した後の水洗において錆の発生を防止するための防錆剤であって、防錆成分として、エチレンジアミン四酢酸塩と、オキシカルボン酸塩とを含むことを特徴とする防錆剤である。
本発明の防錆剤は、前記防錆成分が含まれていれば、どのような形態であってもよいが、通常、溶媒に溶解した溶液とすることが好ましい。
また、本発明の防錆剤として前記防錆成分の比率は特に限定されないが、その1例をあげるとすれば、エチレンジアミン四酢酸塩を1〜10%と、オキシカルボン酸塩を5〜30%とを含むことが好ましい。
前記溶液の溶媒としては、水、エタノール、メタノールなどが挙げられるが、コストの点から溶媒は水を用いることが好ましい。
また、本発明において、エチレンジアミン四酢酸塩は、エチレンジアミン四酢酸と、アルカリ金属、アルカリ土類金属およびその他の金属の少なくとも1種以上との塩があげられる。
具体的には、たとえば、エチレンジアミン四酢酸カルシウム二ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸マグネシウム二ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸鉄二ナトリウムがあげられ、これらの1種または2種以上を使用することが好ましい。
さらに好ましくは、エチレンジアミン四酢酸マグネシウム二ナトリウムおよびエチレンジアミン四酢酸鉄二ナトリウムの1種または2種である。
これらのエチレンジアミン四酢酸塩は、無水物であってもよく、水和物であってもよい。
また、オキシカルボン酸塩としては、オキシカルボン酸とアルカリ金属との塩があげられる。
オキシカルボン酸としては、リンゴ酸、またはクエン酸があげられ、アルカリ金属としては、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属があげられる。
具体的には、リンゴ酸ナトリウム、リンゴ酸カリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウムが好ましく、これらの1種または2種以上を使用することが好ましい。
前記オキシカルボン酸塩と、エチレンジアミン四酢酸塩の比率は、オキシカルボン酸塩100重量部に対し、前記エチレンジアミン四酢酸塩が5〜50重量部であることが好ましい。5重量部より小さいと防錆効果が十分でなく、50重量部より大きいと防錆効果は飽和し洗浄液中の窒素が増えるため好ましくない。
また、本発明の防錆洗浄液は、前記防錆剤を水に含有させたものである。
本発明の防錆洗浄液における防錆剤の含有率は、0.2〜2%であることが好ましい。0.2%未満では防錆効果が十分でなく、2%を超えると過剰使用のため好ましくない。
また、本発明の防錆洗浄液においては、防錆洗浄液中の窒素量が5〜30mg/Lになるよう調整することが好ましい。窒素量が5mg未満では防錆効果が十分でなく、30mg/Lを超えると、変色に対して悪影響を及ぼすうえ、窒素の排水基準を超える場合が多く、新たに排水処理等が必要となるため好ましくない。
前記防錆洗浄液中の窒素量は、防錆洗浄液における前記エチレンジアミン四酢酸塩の含有量と、エチレンジアミン四酢酸塩の分子量中の窒素原子量との比率から、容易に算出することができる。
また防錆洗浄液のpHは、6〜11に調整することが望ましい。6未満の酸性領域になると鉄、亜鉛が腐食されやすく変色度合いも大きくなるため好ましくない。亜鉛メッキ鋼材においては、アルカリ領域では、洗浄温度、時間、防錆剤の含有量などによっては、亜鉛の溶出度合いが大きくなる場合があるため、防錆洗浄液のpHは6〜8のほぼ中性領域に調整することが好ましい。
pH調整剤としては、防錆洗浄液のpHが酸性域にあるときは、アルカリ性物質を、洗浄液のpHがアルカリ域にあるときは、酸性物質を用いて洗浄液pHを所定の範囲に調整することができ、アルカリ性物質としては、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウムまたはアンモニア水などがあげられる。
また、前記酸性物質としては、硫酸、アミド硫酸または塩酸などがあげられる。
本発明の防錆剤または防錆洗浄液で処理される鋼管は、特に限定されず、加工処理によって、活性な鉄生地が露出し、鉄生地に錆の発生が認められる鋼管であればどのようなものであってもよい。
たとえば、配管用鋼管、構造用鋼管、熱交換用鋼管、油井嵌入、鋼管杭などの用途に用いられるものであって、その材質が鋼であるものがあげられる。また、その素材としては、普通鋼があげられ、普通鋼は、低炭素鋼、中炭素鋼、高炭素鋼のいずれであってもよい。
たとえば、本発明の防錆洗浄液で防錆洗浄される普通鋼の化学組成は、質量%で、C:0.03〜0.3%、Si:0.01〜0.4%、Mn:0.1〜3.0%、P:0.04%以下 、S:0.04%以下、Al:0.001〜0.2%、Cu:0〜0.2%、Ni:0〜0.2%、Cr:0〜0.2%、Mo:0〜0.2%、V:0〜0.2%、Ti:0〜0.2%、Nb:0〜0.2%を含有し、残部がFeおよび不純物からなることが好ましく、発明の防錆洗浄液により、その加工処理部に優れた防錆効果を生じる。
ここで、Cは鋼の強度を高めるために重要な元素であり、0.03%以上の含有量とする。一方、0.3%超の含有量とすると溶接性が悪化する。このため、C含有量は0.03〜0.3%とした。
Siも鋼の強度を高めるために0.01%以上の含有量とする。一方、多量に鋼中に存在すると溶接の際に溶接欠陥が生じやすくなる。このため、Si含有量は0.01〜0.4%とした。
Mnは焼入れ性に寄与する元素であり、組織を制御するために0.1%以上の含有量とする。Mnも多量に鋼中に存在すると溶接の際に溶接欠陥が生じやすくなる。このため、Mn含有量は0.1〜3.0%とした。
P,Sは鋼中に不純物として存在し、その含有量が多いと靭性が悪化する。特にSはMnとMnSを形成し靭性の低下が著しくなる。このため、P,Sの含有量はともにS:0.04%以下とした。
Alは脱酸のために0.002%以上の含有量とする。一方、多量に鋼中に存在すると鋼中にアルミナが増えて溶接不良の原因となる。このため、Alの含有量は0.001〜0.2%とした。
Cu、Ni、Cr、MoおよびVは強度を向上させるのに有用な元素であり、必要により添加すればよい。この効果を有効に得るにはいずれも0.01%以上添加することが好ましい。しかし、Cu、Ni、Cr、MoおよびVの含有量が0.2%超であると、その効果が飽和する。このため、Cu、Ni、Cr、MoおよびVの含有量は0.01〜0.2%とすることが好ましい。
TiおよびNbは組織を微細化して靭性を向上させるのに有用な元素であり、必要により添加すればよい。この効果を有効に得るにはいずれも0.01%以上添加することが好ましい。しかし、Ti、Nbともに0.2%超添加すると靭性が悪化する。このため、Ti、Nbの含有量は0.01〜0.2%とすることが好ましい。
本発明の防錆剤または防錆洗浄剤で処理される鋼管の加工処理としては、活性な鉄生地が露出する加工処理を対象とする。
具体的には、管同士の接続または、装置への取り付けなどのための管端加工などがあげられ、より具体的には、ベベル加工、ネジ加工などを挙げることができる。
ベベル加工は、鋼管を溶接で接続する場合、V型の開先を作るため行う。加工装置は、旋盤型にチャック装置を取り付け切削するものや、油圧式のならい装置のついた面取機型のものなどが使用される。
ネジ加工は、鋼管を接続するため管の両端に加工したネジにカップリングをはめ込み使用するための加工である。ネジ加工機の装置としては面取機と同じような機構をもったねじ加工専用機が多く使われる。ねじ切削方法としては、チェザーを取り付けたダイヘッドを回転させる刃物回転式とダイヘッドを固定した管回転式などがある。
このような加工は、常温付近で行われ、活性な鉄生地が露出するので、加工後の水洗浄等において極めて容易に酸化され、錆および変色が発生するが、本発明の防錆剤または防錆洗浄液と接触させることにより、前記の錆および変色を防止することができる。
本発明における鋼管の防錆洗浄方法は、加工処理後の鋼管と防錆洗浄液とを接触させることによって、実施することができる。
加工処理後の鋼管と防錆洗浄液との接触は、加工処理後の鋼管を防錆洗浄液に浸漬する方法、防錆洗浄液を加工処理後の鋼管にスプレーする方法、加工処理後の鋼管を防錆洗浄液でシャワーリングする方法などを挙げることができるが、他の方法であっても良い。
また、加工処理後の鋼管と防錆洗浄液との接触において、鋼管が亜鉛メッキされた鋼管をアルカリ域の防錆洗浄液と接触させる場合や、加工処理後、アルカリによる脱脂を兼ねて、亜鉛メッキされた加工鋼管を洗浄する場合には、pH11付近でも亜鉛の溶出量が大きくならないように、洗浄温度を低温化するか、洗浄時間を短縮化するか、防錆剤含有量を増加させるか、あるいはこれらを組合せるなどにして、洗浄条件を調整することが望ましい。
そして、この防錆洗浄液を用い加工処理した部位(加工処理部)についてこの防錆洗浄方法を行うと、その処理加工部は円相当粒径15μm以上の酸化物が5個/mm以下となった。すなわち、質量%で、C:0.03〜0.3%、Si:0.01〜0.4%、Mn:0.1〜3.0%、P:0.04%以下 、S:0.04%以下、Al:0.001〜0.2%、Cu:0〜0.2%、Ni:0〜0.2%、Cr:0〜0.2%、Mo:0〜0.2%、V:0〜0.2%、Ti:0〜0.2%、Nb:0〜0.2%を含有し、残部がFeおよび不純物からなる化学組成を有する鋼管の管端部にネジ加工またはべベル加工が施し、その加工処理部の防錆洗浄方法を行うと、加工処理部における円相当粒径15μm以上の酸化物は5個/mm以下となる。このような鋼管が得られれば、錆の発生を抑制できた鋼管を提供でき、管端部での品質トラブルを減らすことができる。
以下、本発明例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明は、かかる本発明例によって限定されるものではない。
(本発明例1)
水に、室温で撹拌しながら、オキシカルボン酸塩としてリンゴ酸ナトリウム5質量%、エチレンジアミン四酢酸塩としてエチレンジアミン四酢酸カルシウム二ナトリウム2質量%を溶解し、防錆剤を調製した。
1Lの水に、この防錆剤を2%となるよう添加し、防錆洗浄液を調製した。この防錆液のpHは7、窒素含有量は30mg/L、オキシカルボン酸塩に対するエチレンジアミン四酢酸塩の比率は、(100:40)であった。
外径50mm、内径40mmの溶融亜鉛メッキ鋼管(鋼管の組成:C:0.25%、Si:0.35%、Mn:1.4%、P:0.035%、S:0.035%、Al:0.031%、残部がFeおよび不純物)を長さ70mmに切断後、両端部にネジ加工またはべベル加工を施した加工処理部を想定し、それぞれ10mm、活性な鉄生地が出るまで研磨紙(#180番)で研磨を行った。
前記防錆洗浄液を300mlのビーカーにいれ、ウオーターバスで90℃に加熱した。次いで前記鋼管をこのビーカーに入れ、90℃、60分、浸漬洗浄した。
[防錆性の評価]
前記洗浄後の鋼管を温度50℃、湿度90%の恒温恒湿器に入れ、24時間保持した。
この鋼管を取り出した後に両端の研磨部の錆発生状態を目視にて以下のように評価した。
○:鋼管両端の研磨部に、錆、変色が全く認められない。
△:鋼管両端の研磨部に、わずかに錆、変色が認められる。
×:鋼管両端の研磨部全面に、茶褐色の錆が認められる。
また、研磨部をSEMにて100倍に拡大し、そのSEM写真5視野分から研磨部の状態を調査した。具体的には、SEM写真を画像解析し、酸化物の円相当粒径と個数を数えて個数密度を計算した。
窒素量については、計算により、溶出亜鉛量については、プラズマ発光分析(ICP)装置(SPS−5100PRO、エスアイアイナノテクノロジ株式会社製)で測定することにより求めた。結果は表1に示す。
(本発明例2)
オキシカルボン酸塩として、クエン酸ナトリウム10%、エチレンジアミン四酢酸塩としてエチレンジアミン四酢酸マグネシウム二ナトリウム1%を水に溶解し、防錆剤を調製した。また、鋼管は、化学組成がC:0.24%、Si:0.37%、Mn:1.3%、P:0.032%、S:0.033%、Al:0.032%、Cu:0.11%、残部がFeおよび不純物からなるものを用いた。その他は、本発明例1と同様にして洗浄し評価した。結果は表1に示す。
(本発明例3)
オキシカルボン酸塩として、クエン酸カリウム10%、エチレンジアミン四酢酸塩としてエチレンジアミン四酢酸マグネシウム二ナトリウム1%を水に溶解し、防錆剤を調製した。
また、鋼管は、化学組成がC:0.26%、Si:0.35%、Mn:1.2%、P:0.032%、S:0.030%、Al:0.030%、Ni:0.13%、残部がFeおよび不純物からなるものを用いた。その他は、本発明例1と同様にして洗浄し評価した。結果は表1に示す。
(本発明例4)
オキシカルボン酸塩として、リンゴ酸ナトリウム10%、エチレンジアミン四酢酸塩としてエチレンジアミン四酢酸マグネシウム二ナトリウム1%を水に溶解し、防錆剤を調製した。また、鋼管は、化学組成がC:0.24%、Si:0.31%、Mn:1.3%、P:0.030%、S:0.036%、Al:0.029%、Cr:0.11%、Nb:0.08%、残部がFeおよび不純物からなるものを用いた。その他は、本発明例1と同様にして洗浄し評価した。結果は表1に示す。
(本発明例5)
オキシカルボン酸塩として、リンゴ酸カリウム10%、エチレンジアミン四酢酸塩としてエチレンジアミン四酢酸マグネシウム二ナトリウム1%を水に溶解し、防錆剤を調製した。また、鋼管は、化学組成がC:0.21%、Si:0.34%、Mn:1.5%、P:0.028%、S:0.036%、Al:0.031%、Cu:0.12%、Mo:0.10%、残部がFeおよび不純物からなるものを用いた。その他は、本発明例1と同様にして洗浄し評価した。結果は表1に示す。
(本発明例6)
オキシカルボン酸塩として、クエン酸ナトリウム10%、エチレンジアミン四酢酸塩としてエチレンジアミン四酢酸鉄二ナトリウム1%を水に溶解し、防錆剤を調製した。また、鋼管は、化学組成がC:0.24%、Si:0.35%、Mn:1.2%、P:0.033%、S:0.040%、Al:0.030%、V:0.19%、残部がFeおよび不純物からなるものを用いた。その他は、本発明例1と同様にして洗浄し評価した。結果は表1に示す。
(本発明例7)
オキシカルボン酸塩として、クエン酸ナトリウム30%、エチレンジアミン四酢酸塩としてエチレンジアミン四酢酸マグネシウム二ナトリウム10%を水に溶解し、防錆剤を調製した。
1Lの水に、この防錆剤を0.2%となるよう添加し、防錆洗浄液を調製した。また、鋼管は、化学組成がC:0.24%、Si:0.35%、Mn:1.5%、P:0.034%、S:0.039%、Al:0.031%、Ti:0.08%、残部がFeおよび不純物からなるものを用いた。その他は、本発明例1と同様にして洗浄し評価した。結果は表1に示す。
(本発明例8)
水酸化ナトリウムを用いて、防錆洗浄液のpHを11とした以外は、本発明例1と同様にして洗浄し評価した。結果は表1に示す。
(本発明例9)
防錆洗浄液のpHを11とした以外は、本発明例2と同様にして洗浄し評価した。結果は表1に示す。
(本発明例10)
防錆洗浄液のpHを11とした以外は、本発明例3と同様にして洗浄し評価した。結果は表1に示す。
(本発明例11)
防錆洗浄液のpHを11とした以外は、本発明例4と同様にして洗浄し評価した。結果は表1に示す。
(本発明例12)
防錆洗浄液のpHを11とした以外は、本発明例5と同様にして洗浄し評価した。結果は表1に示す。
(本発明例13)
防錆洗浄液のpHを11とした以外は、本発明例6と同様にして洗浄し評価した。結果は表1に示す。
(本発明例14)
防錆洗浄液のpHを11とした以外は、本発明例7と同様にして洗浄し評価した。結果は表1に示す。
(比較例1)
本発明例1の防錆洗浄液に代えて、水を用いる他は、本発明例1と同様にして洗浄し評価した。結果は表1に示す。
(比較例2)
本発明例1の防錆剤に代えて、エチレンジアミン四酢酸塩としてエチレンジアミン四酢酸マグネシウム二ナトリウムのみを10%溶解した水溶液を用いる他は、本発明例1と同様にして洗浄し評価した。結果は表1に示す。
(比較例3)
本発明例1の防錆洗浄液に代えて、オキシカルボン酸塩としてクエン酸ナトリウムのみを30%溶解した水溶液を用いる他は、本発明例1と同様にして洗浄し評価した。結果は表1に示す。
(比較例4)
本発明例1の防錆剤に代えて、オキシカルボン酸塩として、クエン酸カリウム5%、エチレンジアミン四酢酸塩としてエチレンジアミン四酢酸三ナトリウム2%を水に溶解した水溶液を用いる他は、本発明例1と同様にして洗浄し評価した。結果は表1に示す。
(比較例5)
本発明例1の防錆剤に代えて、オキシカルボン酸塩として、クエン酸ナトリウム30%、その他ドデカン二酸二カリウム2%を水に溶解した水溶液を用いる他は、本発明例1と同様にして洗浄し評価した。結果は表1に示す。
(比較例6)
防錆洗浄液のpHを11とした以外は、比較例1と同様にして洗浄し評価した。結果は表1に示す。
(比較例7)
防錆洗浄液のpHを11とした以外は、比較例2と同様にして洗浄し評価した。結果は表1に示す。
(比較例8)
防錆洗浄液のpHを11とした以外は、比較例3と同様にして洗浄し評価した。結果は表1に示す。
(比較例9)
防錆洗浄液のpHを11とした以外は、比較例5と同様にして洗浄し評価した。結果は表1に示す。
Figure 0006960267
表1の結果より、本発明例の供試鋼管はいずれも管端部の防錆性が良好(○)であり、溶出亜鉛量も8mg/L以下と小さかった。また、これらのSEM写真から管端部表面には円相当粒径15μm以上の粗大な酸化物が確認できたが、その個数密度は5個/mm以下であり、大きい酸化物でもその粒径は35μm程度であった。
一方、比較例の供試鋼管は管端部の防錆性が良好ではなく(×または△)、円相当粒径15μm以上の粗大な酸化物も8.0個/mm以上存在し、供試鋼管によっては45μm程度のものまで存在していた。
したがって、鋼管の管端部にネジ加工またはべベル加工を施し、その加工処理部における円相当粒径15μm以上の酸化物が5個/mm以下となれば、防錆性が良好となることが推測できる。

Claims (4)

  1. 鋼管の加工処理を施した後の水洗において錆の発生を防止するための防錆洗浄液であって、
    エチレンジアミン四酢酸塩とオキシカルボン酸塩とからなる防錆成分と、水と、を含み、
    pHが6〜11、前記防錆成分濃度が0.2〜2質量%、窒素含有量が5〜30mg/Lであり、
    前記エチレンジアミン四酢酸塩が、エチレンジアミン四酢酸カルシウム二ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸マグネシウム二ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸鉄二ナトリウムから選択される1種または2種以上であり、前記オキシカルボン酸塩が、リンゴ酸ナトリウム、リンゴ酸カリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウムから選択される1種または2種以上であることを特徴とする防錆洗浄液。
  2. 請求項1に記載の防錆洗浄液で、加工処理された鋼管を防錆洗浄することを特徴とする鋼管の防錆方法。
  3. 前記加工処理された鋼管が、ネジ加工またはベベル加工処理された鋼管であることを特徴とする請求項2に記載の鋼管の防錆方法。
  4. 前記加工処理された鋼管の化学組成が、質量%で、C:0.03〜0.3%、Si:0.01〜0.4%、Mn:0.1〜3.0%、P:0.04%以下、S:0.04%以下、Al:0.001〜0.2%、Cu:0〜0.2%、Ni:0〜0.2%、Cr:0〜0.2%、Mo:0〜0.2%、V:0〜0.2%、Ti:0〜0.2%、Nb:0〜0.2%を含有し、残部がFeおよび不純物からなる鋼管であることを特徴とする請求項2または3に記載の鋼管の防錆方法。
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