JP2011020045A - 変性ゼオライト触媒および該変性ゼオライト触媒を用いた不飽和炭化水素類の製造方法 - Google Patents

変性ゼオライト触媒および該変性ゼオライト触媒を用いた不飽和炭化水素類の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ナフサ留分などの原料に含まれる飽和炭化水素の接触分解によって不飽和炭化水素類を高収率で長期間連続的に与えることができる、耐熱性などの触媒性能が向上した変性ゼオライト触媒および該変性ゼオライト触媒を用いた不飽和炭化水素類の製造方法を提供する。
【解決手段】四面体型TO4(T = SiまたはAl)ユニット10個からなる10員環構造を有し、細孔径が0.50〜0.65 nmの範囲にある中間細孔ゼオライトに対し、脱アルミニウム−シリル化処理および化学処理を行うことにより調製される変性ゼオライト触媒。
【選択図】なし

Description

本発明は、飽和炭化水素類を主成分とする原料から不飽和炭化水素類を製造するのに用いられる変性ゼオライト触媒および該変性ゼオライト触媒を用いた不飽和炭化水素類の製造方法に関する。
エチレン、プロピレン、ブテン類およびブタジエンなどの低級オレフィン類ならびにベンゼン、トルエンおよびキシレン類などの単環芳香族類は石油化学工業の基幹をなす重要な基礎化学原料である。これらの基礎化学原料は、主に原油の直留軽質留分であるナフサをスチーム共存下800 ℃以上の高温で熱分解(スチームクラッキング)することにより製造されている。ナフサの主成分である低級飽和炭化水素の反応性が低いため、ナフサの熱分解温度としては800 ℃以上の高温が必要であり、経済性ある収量を得ることができる分解温度範囲は限られている。また熱分解における生成物分布は分解温度に依存するため、各成分の需給バランス変動に対し柔軟な対応が困難とされている。
低級オレフィン類の需要動向に着目すると、ポリプロピレンを初めとし、クメンやプロピレンオキサイドなどプロピレン誘導体の需要が拡大している。現状では、プロピレン需要の伸びがエチレン需要の伸びを上回っており、このプロピレンおよびエチレンの需要の伸びの違いは加速するものと考えられる。このことに加え、中東などの天然ガス産出国を中心として急速な原料転換が進んでおり、ナフサより大幅に安いエタンを原料とするコスト競争力の高いエチレンが市場に流入している。これらの事情から、国内を初めアジアのナフサクラッカーは生産調整などの対応を余儀なくされている。このような逼迫した状況の下、需給に合わせて生成物分布の制御可能なナフサ分解プロセスが望まれており、そのための有望な技術として酸型ゼオライト触媒を用いた接触分解技術が開示されている(例えば、特許文献1)。
開示されているナフサなど低級飽和炭化水素の接触分解技術では、中間細孔ゼオライト、中でも特にZSM5に代表されるMFI型ゼオライトが、低級オレフィン類および芳香族化合物類の生成に際し、優れた性能を有する。これらの技術により反応温度は700 ℃以下にまで下げることが可能であり、プロピレンの選択性およびプロピレン/エチレンの比を大きく向上させることができる。また反応温度を下げることにより、化学原料としては価値の低いメタンの生成量も抑制される。しかしながら、これらの開示技術は未だ既存の熱分解を置き換える程に成熟した技術とはいえない。
ゼオライトによるナフサなどの低級飽和炭化水素の接触分解技術を実用化可能なレベルとするためには、触媒寿命を大幅に伸ばすことが必要である。触媒の寿命はゼオライト触媒を用いた技術に共通する大きな課題であり、特に反応条件が過酷な程、触媒性能の著しい低下が引き起こされる。触媒性能の低下は目的生成物の収量低下や、生成物分布の変化による精製工程への負荷増大などの問題を引き起こす。ゼオライト触媒の性能低下は、コークと呼ばれる炭素質の堆積による細孔閉塞、およびゼオライト結晶骨格中のアルミニウム成分脱離による酸性質の消失が主な原因とされている。
コークの生成は、過酷な反応条件下において、低級オレフィンの多量体化・芳香族化→芳香族化合物へのアルキル基付加→環化→脱水素による多環式芳香族化、のように副反応が逐次的に進行することによって起こる。一方、ゼオライト触媒は、結晶構造に由来するサイズの明確な細孔を持ち、細孔内の酸点においてサイズ特異的に反応が進行することを特徴としている。そのため、特に12員環以上の大細孔を持たないゼオライト触媒を使用すれば、空間的な制限により、コーク生成に繋がる細孔内における逐次的な副反応も制限される。しかしながら、このゼオライト触媒においても、細孔形状による制限を受けない細孔外表面の酸点が一定の割合で存在し、これにより非選択的な反応の進行によるコーク生成が起こると考えられている(非特許文献1)。
アルミニウム成分の脱離はゼオライトの耐熱性と密接に関係しており、ゼオライト骨格中のAl−O−Si結合が高温条件下で分解しすいことや、高温反応条件下で微量の水蒸気に曝されることによりAl−O−Si結合の加水分解が進行することが知られている。
今までに開示されているナフサなどの低級飽和炭化水素の接触分解技術においては、熱分解反応に要する温度としては比較的低いものの、通常のゼオライト触媒を用いたプロセスとしては過酷といえる600 ℃以上の高温を必要とする。この条件においては抑制困難な顕著なコーキングが起こるため、熱分解同様スチーム共存下で反応を行うことによるコーキングの緩和が行われている。またコーキングにより最終的に活性劣化してしまった触媒については、堆積コークの燃焼除去によって再生し繰り返し使用する必要があるが、燃焼により水が生成するため、ゼオライト触媒を再生中に高温条件下で水蒸気に曝すことになる。
このように、ゼオライト触媒は、過酷な高温条件で使用される上に、スチーム共存下で分解反応を行うことや堆積したコークの燃焼除去による再生処理を繰り返すことによりアルミニウム成分の脱離が進行し、永久的な活性劣化に陥る。つまり、これまでのナフサなどの低級飽和炭化水素の接触分解についての開示技術は、ゼオライト触媒の活性劣化を十分に抑制できないという抜本的な問題を抱えており、耐熱性の向上が強く望まれていた(非特許文献2)。
一般にゼオライトの熱・水熱条件下におけるアルミニウム成分の脱離を抑制する方法として、
(1)アルミニウム成分の部分的除去(脱アルミニウム処理)
(2)シリル化またはリン修飾などによる表面被覆
(3)アルカリ金属、アルカリ土類金属または希土類金属などのイオン交換担持
が知られている。(1)は脱離しやすいアルミニウム成分を予め除去し、脱離し難いアルミニウムのみを残す方法であり、流動接触分解などで用いられる超安定化Y型ゼオライト(USY)(特許文献2)などが挙げられる。(2)はゼオライト骨格中のアルミニウム成分に対する水分子の攻撃を物理的に低減する方法であり、リン修飾ZSM5(非特許文献3)などが挙げられる。(3)は電気的陽性な元素のカチオンとアルミニウム成分との相互作用によりゼオライト骨格内[AlO4]- ユニットの電子密度を制御する方法であり、流動接触分解用の希土類置換Y型ゼオライト(REY)(特許文献3)などが挙げられる。
(1)の目的で行う選択的な脱アルミニウム処理は、例えば、高温スチーム処理や、塩酸や硝酸などの鉱酸処理を適切な条件で行うことなどが知られている。これらの処理によってゼオライト結晶骨格中のAl−O−Si結合を加水分解してアルミニウム成分を除去するが、アルミニウムが抜けた箇所は水酸基(シラノール基)となりシラノールネスト(ヒドロキシルネスト)として残る。シラノールネストは格子欠陥であり、加水分解を受け易い。
これに対して、この格子欠陥を修復することにより、より効果的にアルミニウム成分の脱離を抑制することができることが開示されている(特許文献4)。つまり(1)の方法は(2)の方法と組み合わせることによってはじめて、効率的に行うことが可能である。
ケイ素系脱アルミニウム促進剤であるヘキサフルオロケイ酸塩や四塩化ケイ素などは、シリル化剤としての機能も有する(例えば、特許文献5〜6および非特許文献4)。そのため、脱アルミニウムによりゼオライト表面に生じたシラノールネストをその場でシリル化することができ、余すところ無い効率的な表面欠陥の修復を実現できる方法である。また2つの異なる処理を単一の物質によりone-potで実施できるため、工程数が少なくシンプルであるという特徴もある。これらの点からケイ素系脱アルミニウム促進剤は(1)および(2)の組み合わせとして理想的な方法である。
また、これらのケイ素系脱アルミニウム促進剤は中間細孔ゼオライトの細孔開口部サイズに対してはやや嵩高い分子であり、細孔外表面における脱アルミニウム−シリル化が細孔内に比べて有利に進行することが知られている(例えば、非特許文献4〜5)。したがって、中間細孔ゼオライトに対してこれらのケイ素系脱アルミニウム促進剤を用いると、細孔外表面の酸点による副反応が抑制され、生成物の選択性向上およびコーキングの抑制による相乗的な効果も期待できる。一方、Y型ゼオライトなどの大細孔ゼオライトでは細孔内まで脱アルミニウムおよびシリル化が進行し易いため、このような効果は期待し難い。
しかし、これらのケイ素系脱アルミニウム促進剤による処理方法を600 ℃以上の過酷な反応温度条件でナフサ接触分解用触媒に適用した例は知られていない。また、これらの処理がもたらす脱アルミニウム度には限界があることが知られており(例えば、非特許文献6)、必ずしも十分な効果が得られるとは限らない。
これらの他にも、流動接触分解においては、(1)と(3)の方法を組み合わせた触媒である希土類交換超安定化Y型ゼオライト(RE-USY)(特許文献7)が開示されている。また低級飽和炭化水素の接触分解においては、La/P/ZSM5(特許文献8)およびMg/P/ZSM5(特許文献9)のように(2)および(3)の方法を組み合わせた触媒による接触分解プロセスが開示されている。
しかしながら、ナフサ接触分解反応について考えれば、これら開示されているいずれの技術についても触媒寿命という観点において必ずしも十分な結果は示されてはいない。これらの状況に鑑みると、ゼオライト触媒をナフサ接触分解に適用するためには、脱アルミニウム抑制機構の異なる(1)〜(3)の方法の効率的な組み合わせが期待される。しかしながら、各方法による処理が互いに干渉することなく行われることが前提となり、単純にすべての処理を行うことが必ずしも好ましいとはいえない。
特開平6-192135号公報 米国特許第3449070号明細書 米国特許第4415438号明細書 特開平9-173853号公報 米国特許第4503023号明細書 米国特許第5157191号明細書 米国特許第4938863号明細書 特開平11-180902号公報 国際公開第2007/043741号パンフレット
Studies in Surface Science and Catalysis, 126, pp.89-96 (1999) Catalysis Surveys from Japan, 4 , pp.157-164 (2000) Journal of Catalysis, 237, pp. 267-277 (2006) Catalysis Communications, 9, pp.907-912 (2008) Journal of Catalysis, 196, pp.375-378 (2000) Journal of the Chemical Society, Chemical Communications, pp.1908-1910 (1989)
本発明は、ナフサ留分などの原料に含まれる飽和炭化水素の接触分解によって不飽和炭化水素類を高収率で長期間連続的に与えることができる、耐熱性などの触媒性能が向上した変性ゼオライト触媒および該変性ゼオライト触媒を用いた不飽和炭化水素類の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは上記の問題に鑑み鋭意検討した結果、中間細孔ゼオライトに対し、脱アルミニウム−シリル化処理および化学処理を行うことによって、耐熱性に優れた変性ゼオライト触媒が得られ、該変性ゼオライト触媒を用いると、ナフサ留分などの原料に含まれる飽和炭化水素類の接触分解により所望の不飽和炭化水素類が高収率で長期間連続的に得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明には以下の事項が含まれる。
〔1〕四面体型TO4(T = SiまたはAl)ユニット10個からなる10員環構造を有し、細孔径が0.50〜0.65 nmの範囲にある中間細孔ゼオライトに対し、脱アルミニウム−シリル化処理および化学処理を行うことにより調製されることを特徴とする変性ゼオライト触媒。
〔2〕前記化学処理が、1回または2回以上の脱アルミニウム−シリル化処理であることを特徴とする〔1〕に記載の変性ゼオライト触媒。
〔3〕前記化学処理が、アルカリ金属、アルカリ土類金属および希土類金属のうち少なくとも1種の元素による担持処理であることを特徴とする〔1〕に記載の変性ゼオライト触媒。
〔4〕前記化学処理が、脱アルミニウム−シリル化処理を1回または2回以上行った後、アルカリ金属、アルカリ土類金属および希土類金属のうち少なくとも1種の元素により担持する処理であることを特徴とする〔1〕に記載の変性ゼオライト触媒。
〔5〕前記化学処理が、アルカリ金属、アルカリ土類金属および希土類金属のうち少なくとも1種の元素により担持する処理を行った後、脱アルミニウム−シリル化処理を1回または2回以上行うことを特徴とする〔1〕に記載の変性ゼオライト触媒。
〔6〕前記アルカリ金属、アルカリ土類金属および希土類金属のうち少なくとも1種の元素が、アルカリ土類金属であることを特徴とする〔3〕〜〔5〕のいずれかに記載の変性ゼオライト触媒。
〔7〕前記アルカリ土類金属がバリウムであることを特徴とする〔6〕に記載の変性ゼオライト触媒。
〔8〕前記脱アルミニウム−シリル化処理が、ヘキサフルオロケイ酸塩処理であることを特徴とする〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の変性ゼオライト触媒。
〔9〕前記中間細孔ゼオライトが、MFI型ゼオライトであることを特徴とする〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の変性ゼオライト触媒。
〔10〕〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の変性ゼオライト触媒を用いて、沸点範囲35〜180 ℃の飽和炭化水素類を主成分とする原料から、エチレン、プロピレン、ブテン類、ベンゼン、トルエンおよびキシレン類を主成分とする不飽和炭化水素類を製造することを特徴とする不飽和炭化水素類の製造方法。
本発明によれば、中間細孔ゼオライト触媒に対し、脱アルミニウム−シリル化処理を2回以上繰り返し行うか、脱アルミニウム−シリル化処理およびアルカリ金属、アルカリ土類金属および希土類金属元素のうち少なくとも1種の元素を担持する処理を行うことにより、高温雰囲気における耐性に優れた変性ゼオライト触媒が得られる。
本発明の変性ゼオライト触媒は、ナフサ留分に含まれる飽和炭化水素の接触分解において、エチレン、プロピレン、ブテン類、ベンゼン、トルエンおよびキシレン類を主成分とする不飽和炭化水素類を高収率で長期間連続的に与えることができる。
また上記接触分解において、本発明の変性ゼオライト触媒は、触媒性能の永久的な低下が十分に抑制されるため、長期間に渡って反応および再生を繰り返し行うことができる。具体的には、飽和炭化水素としてn-ヘキサンを用いて接触分解させた場合、プロピレンを高収率で長期間連続的に製造できる。
本発明の変性ゼオライト触媒を用いれば、SiO2/Al2O3が同じ比率であり同じ結晶構造をもつ他のゼオライト触媒を用いた場合と比較して、高収率で連続的に不飽和炭化水素類を製造することができる。
以下、本発明の変性ゼオライト触媒および不飽和炭化水素類の製造方法について詳細に説明する。なお、ここで示す実施形態は、発明の主旨をより良く理解させるため具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
[中間細孔ゼオライト]
本発明に係る中間細孔ゼオライトは、四面体型TO4(T = SiまたはAl)ユニット10個からなる10員環構造を有し、細孔径が0.50〜0.65 nmの範囲にあることを特徴とする。
上記中間細孔ゼオライトの細孔の次元は1次元、2次元、3次元いずれであっても良い。2次元および3次元の場合は少なくとも1種類の細孔が10員環構造であれば良い。
上記中間細孔ゼオライトの細孔径は0.50〜0.65 nmであるが、好ましくは0.50〜0.60 nmである。細孔径が0.50 nm未満だと空間的な制限により、原料であるナフサ留分に含まれる飽和炭化水素が細孔内に拡散し難いため分解反応が妨げられる場合があり、0.65 nmを超えると空間的な制限が少なく、細孔閉塞に繋がる細孔内におけるコーク生成が顕著になる場合がある。
上記中間細孔ゼオライトの構造として、好ましくはMFI型、MWW型およびFER型であり、より好ましくはMFI型およびMWW型であり、特に好ましくはMFI型である。
上記中間細孔ゼオライトに含まれるケイ素(Si)およびアルミニウム(Al)の含有量の比率については特に制限は無いが、好ましくはアルミナに対するシリカの比率(SiO2/Al2O3)がモル比で通常25〜700、好ましくは30〜500である。
上記中間細孔ゼオライトは、従来公知の方法で製造してもよいし、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、NH4 +型ZSM5(Zeolyst International社製)などが挙げられる。
上述の中間細孔ゼオライトを用いて後述する接触分解を行うと、該中間細孔ゼオライトの空間的な制限により、コーク生成に繋がる細孔内における逐次的な副反応を抑制することができる。
〔変性ゼオライト触媒〕
本発明の変性ゼオライト触媒は、上記中間細孔ゼオライトに対し、脱アルミニウム−シリル化処理および化学処理を行うことにより調製されるものである。
脱アルミニウム−シリル化処理の方法としては、(1)脱アルミニウムおよびシリル化を2段階に分け、最初に脱アルミニウムを行い、続いてシリル化を行う方法、(2)脱アルミニウムおよびシリル化を2段階に分け、最初にシリル化を行い、続いて脱アルミニウムを行う方法、および(3)脱アルミニウムおよびシリル化をone-potで同時に行う方法が挙げられる。本発明では上記方法のいずれを用いてもよいが、脱アルミニウムによって生じるシラノールネストに対しシリル化処理を行うことが可能な(1)および(3)の方法を用いるのが好ましく、脱アルミニウムによってシラノールネストが生じたゼオライト表面にその場でシリル化することが可能であり、工程数も少ない(3)の方法がより好ましい。
脱アルミニウム処理としては、特に制限は無く、一般的に行われている公知の方法が用いられる。具体的には、高温スチーム処理;塩酸、硝酸および硫酸などの鉱酸処理;エチレンジアミン四酢酸処理;ヘキサフルオロケイ酸塩処理;ならびに四塩化ケイ素処理などが挙げられる。
シリル化処理としては、特に制限は無く、一般的に行われている公知の方法が用いられる。具体的には、テトラエトキシシランおよびアミノプロピルトリエトキシシランなどのアルコキシシラン類;トリエトキシシランおよびトリメトキシシランなどのヒドロシラン類;ヘキサメチルジシラザンおよびノナメチルトリシラザンなどのシラザン類;ならびにヘキサフルオロケイ酸アンモニウム、四塩化ケイ素およびクロロトリメチルシランなどのハロゲン化シリル化合物類などによる処理が挙げられる。
上記(3)の方法としては、例えば、ケイ素系脱アルミニウム促進剤による処理が挙げられるが、好ましくはフルオロシリル化合物類またはクロロシリル化合物類による処理、より好ましくはヘキサフルオロケイ酸塩または四塩化ケイ素による処理、特に好ましくはヘキサフルオロケイ酸塩による処理が挙げられる。
ここで、ケイ素系脱アルミニウム促進剤による処理の方法として具体的には、溶液に浸漬する方法、蒸気に曝す方法、および固体として混合し焼成する方法(solid state substitution法)などが挙げられる。溶液に浸漬する方法では、ケイ素系脱アルミニウム促進剤以外に、必要に応じてケイ素系脱アルミニウム促進剤と相溶する溶媒を用いてもよい。ケイ素系脱アルミニウム促進剤がヘキサフルオロケイ酸塩である場合、水溶液に浸漬する方法およびsolid state substitution法を用いるのが好ましく、ケイ素系脱アルミニウム促進剤が四塩化炭素である場合、溶液に浸漬する方法および蒸気に曝す方法を用いるのが好ましい。
なお、脱アルミニウム−シリル化処理されるゼオライトの対イオンとしては、アンモニウム型およびプロトン型が好ましく、アンモニウム型が特に好ましい。
化学処理としては、脱離し易いアルミニウム成分を効果的に除去することができるものであれば特に制限されないが、好ましくは脱アルミニウム−シリル化処理、あるいは、アルカリ金属(Li, Na, K, Rb, Cs)、アルカリ土類金属(Mg, Ca, Sr, Ba)および希土類金属(Sc, Y, La, Ce, Pr, Nd, Pm, Sm, Eu, Gd, Tb, Dy, Ho, Er, Tm, Yb, Lu)のうち少なくとも1種の元素を担持させる処理(以下「金属担持処理」ともいう。)が挙げられる。
すなわち、本発明の変性ゼオライト触媒は、化学処理を行う前の脱アルミニウム−シリル化処理を含めて、脱アルミニウム−シリル化処理を好ましくは2回以上、より好ましくは4回以上繰り返し行うことにより調製される。脱アルミニウム−シリル化処理の回数は変性ゼオライト触媒の構造が消失しない限度において特に制限されない。中間細孔ゼオライトに対し、脱アルミニウム−シリル化処理を2回以上繰り返し行うことにより、得られる変性ゼオライト触媒は脱離し易いアルミニウム成分が除去される割合を大きくすることができる。さらには、脱アルミニウムにより生じたシラノールネストがシリル化される割合も大きくなる。一方、脱アルミニウム−シリル化処理を1回行うのみでは脱離し易いアルミニウム成分の除去される割合が小さく、さらには脱アルミニウムにより生じたシラノールネストのシリル化される割合も小さく十分な効果が得られない場合がある。
本発明の変性ゼオライト触媒は、中間細孔ゼオライトに対し、脱アルミニウム−シリル化処理を行った後、アルカリ金属、アルカリ土類金属および希土類金属のうち少なくとも1種の元素を担持させて調製することができる。
すなわち、本発明の変性ゼオライト触媒は、中間細孔ゼオライトに対し、脱アルミニウム−シリル化処理を1回しか行わなくても、脱アルミニウム−シリル化処理後、続いてアルカリ金属、アルカリ土類金属および希土類金属のうち少なくとも1種の元素を担持させることにより調製することができる。
アルカリ金属、アルカリ土類金属および希土類金属のうち、アルカリ土類金属を担持させるのが好ましく、バリウム(Ba)を担持させるのが特に好ましい。
担持量は、中間細孔ゼオライト中のアルミニウム成分に対して、通常0.01〜5.0 mol%であり、好ましくは0.1〜1.0 mol%である。
担持方法としては特に制限は無く、一般的に行われている公知の方法を用いて行うことができる。例えば、金属塩を用いたイオン交換法、含浸蒸発乾固法、incipient wetness法、pore filling法およびsolid state担持法などが挙げられ、好ましくはイオン交換法が挙げられる。イオン交換は必要に応じて複数回繰り返してもよく、その回数について特に制限は無い。
担持の際には必要に応じて溶媒を用いてもよい。溶媒としては一般に水やアルコール類が用いられるが、担持に用いる金属塩が溶解するものであれば特に制限されない。
本発明においては、金属担持処理を行わず、脱アルミニウム−シリル化処理を単独で1回行っただけでは効果が不十分であるのに対して、脱アルミニウム−シリル化処理の後、アルカリ金属、アルカリ土類金属および希土類金属のうち少なくとも1種の元素を担持させることによって好適な結果が得られる。金属担持処理とともに行う場合、脱アルミニウム−シリル化処理は1回のみでも好適な結果が得られるが、好ましくは2回以上、より好ましくは4回以上繰り返し行うことで、さらに好適な結果が得られる。脱アルミニウム−シリル化処理の回数は変性ゼオライト触媒の構造が消失しない限度において特に制限されない。
すなわち、中間細孔ゼオライトに対し、脱アルミニウム−シリル化処理を1回しか行わなくても、金属担持処理を行うことにより、得られる変性ゼオライト触媒に残存している脱離し易いアルミニウム成分を脱離し難い状態とする。
中間細孔ゼオライトに対し、脱アルミニウム−シリル化処理および金属担持処理を行って変性ゼオライト触媒を調製する方法は3通りある。すなわち、(1)脱アルミニウム−シリル化処理および金属担持処理を2段階に分け、最初に脱アルミニウム−シリル化処理を行い、続いて金属担持を行う方法、(2)脱アルミニウム−シリル化処理および金属担持処理を2段階に分け、最初に金属担持処理を行い、続いて脱アルミニウム−シリル化処理を行う方法、および(3)脱アルミニウム−シリル化処理および金属担持処理をone-potで同時に行う方法である。本発明では上記方法のいずれを用いてもよいが、ゼオライトに担持された金属が、脱アルミニウム−シリル化処理の際に溶解または脱離などの影響を受けない(1)の方法がより好ましい。
上述のようにして得られた変性ゼオライト触媒は、耐熱性に優れる。耐熱性はアンモニア昇温脱離法(NH3-TPD)により酸量を定量することにより評価する。以下に説明する。
変性ゼオライト触媒をHe流通下、500 ℃で1時間前処理した後、NH3/He混合ガス(NH3 5.0 vol%)を200 ℃で流通させてアンモニアを吸着させる。流通ガスをHeに戻し、200 ℃で1時間保持した後、10 ℃/minで800 ℃まで昇温処理を行う。その間に脱離したアンモニアガスの量を酸量とする。四重極質量分析計(Q-MASS)を用いてこのアンモニアガスの定量を行う。200 ℃で1時間保持する前後の酸量保持率を下記式(1)により算出し、触媒の熱安定性を評価する。
(酸量保持率)=
(熱処理後触媒重量当たりの酸量)×100/(熱処理前触媒重量当たりの酸量)・・・(1)
〔不飽和炭化水素類の製造方法〕
本発明の不飽和炭化水素類の製造方法は、沸点範囲35〜180 ℃の飽和炭化水素類を主成分とする原料を上記変性ゼオライト触媒で接触分解反応させ、エチレン、プロピレン、ブテン類、ベンゼン、トルエンおよびキシレン類を主成分とする不飽和炭化水素類を製造するものである。
中間細孔ゼオライトに対し、脱アルミニウム−シリル化処理を2回以上繰り返し行うことにより調製した上記変性ゼオライト触媒、あるいは脱アルミニウム−シリル化処理および金属担持処理を行って調製された上記変性ゼオライト触媒を用いることにより、反応時間が経過しても不飽和炭化水素類を高収率で製造することができる。
[原料]
沸点範囲35〜180 ℃の飽和炭化水素類を主成分とする原料としては、炭素数3〜10の脂肪族飽和炭化水素および脂環式炭化水素を主成分とする原料が挙げられ、具体的には、軽質ナフサ、重質ナフサ、フルレンジナフサ、FCCガソリンおよび熱分解ガソリンなどが挙げられる。ここで、主成分とは沸点範囲35〜180 ℃の飽和炭化水素類を70重量%以上含んでいることをいい、これ以外に含硫黄化合物、含窒素化合物および含酸素化合物などのヘテロ化合物が含まれていてもよい。
後述する接触分解の際には、上記原料以外に、必要に応じて例えば、コーキング抑制を目的とするスチーム、二酸化炭素、窒素およびヘリウムなどを反応器内に供給してもよい。
[接触分解反応]
反応温度
接触分解反応は一般に吸熱反応であるため、反応温度が高いほど反応の進行は熱力学的に有利となる。一方、ナフサ熱分解で汎用される800 ℃以上の高温はゼオライト触媒には過酷な条件であり、短時間で活性が低下してしまう。そのため、本発明の製造方法においては、変性ゼオライト触媒層の温度を800 ℃よりも低くし、しかも不飽和炭化水素類の生成を妨げない程度の高温で行うことが必要である。変性ゼオライト触媒層の温度は、通常500〜750 ℃であり、好ましくは600〜700 ℃の範囲である。
反応圧力
本発明の製造方法において、飽和炭化水素類の不飽和炭化水素類への転化は分解反応であるため、反応生成物の分圧が高くなるほど反応の進行は熱力学的に不利になるといえる。一方で反応生成物の分圧が低すぎるのは経済性の観点から好ましくない。そのため、反応生成物の分圧(反応生成物が混合物である場合は全反応生成物の分圧の合計)は0.01〜0.20 MPaの範囲内であることが好ましい。反応器内の全圧については特に制限は無いが0.1〜1.0 MPaの範囲内であることが好ましい。
接触時間
原料と触媒との接触時間について、反応が十分に進行し、かつ、反応進行の妨げになるほどのコーキングをもたらさない程度の接触時間で行われる。具体的には、下記式(2)で定義される変性ゼオライト触媒中のゼオライト重量当たりの重量空間速度(WHSV)が0.1〜30 [h-1] の範囲となるように行う。
(WHSV [h-1])=(原料供給量 [g/h])/(触媒量 [g]) ・・・(2)
反応様式
本発明の製造方法としては、固定床式、流動床式および移動床式など特に限定されないが、現行のナフサスチームクラッキングと置き換えが容易な固定床式が好適である。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何らの制限を受けるものではない。
[触媒調製例1]ゼオライト触媒(H-ZSM5-30(d))の調製
中間細孔ゼオライトとして、SiO2/Al2O3 モル比 30のNH4 +型ZSM5(NH4-ZSM5-30、Zeolyst International社製)11.0 gを50 mLの蒸留水に浸し、減圧下室温で脱気した。このゼオライト/水の混合液に対し、6.84 gのヘキサフルオロケイ酸アンモニウムを300 mLの蒸留水に溶解した溶液を室温で徐々に添加した後、90 ℃で17時間撹拌した。室温に冷却後、濾過、蒸留水で洗浄、乾燥を順次行った後、空気中500 ℃で4時間焼成し、脱アルミニウム−シリル化処理されたゼオライト触媒H-ZSM5-30(d)を調製した。
誘導結合プラズマ発光分光分析 (ICP-AES)により、得られたゼオライト触媒の元素分析を行った結果、SiO2/Al2O3モル比は56であった。
ヘキサフルオロケイ酸アンモニウム処理後の洗液を含めた濾過後の濾液について元素分析を行った結果、Al 3.7 mmol、Si 2.7 mmolが含まれていた。添加したヘキサフルオロケイ酸アンモニウム中のSi量が38 mmolであることから、NH4-ZSM5-30から3.7 mmolのAlが脱離し、35 mmolのSiがシリル化により固定された計算となる。このことにより、ヘキサフルオロケイ酸アンモニウム処理により、脱アルミニウムおよびシリル化がone-potで進行していることが明らかとなった。
[実施例1]Ba担持処理による変性ゼオライト触媒(Ba/ZSM5-30(d))の調製
触媒調製例1で調製したH-ZSM5-30(d) 4.0 gを蒸留水に浸し、減圧下室温で脱気した。このゼオライト/水の混合液に対し、49.7 gの塩化バリウム二水和物を蒸留水に溶解した溶液を室温で徐々に添加し、80 ℃で2時間撹拌することでBaイオン交換を行った。室温に冷却後、濾過、蒸留水で洗浄、乾燥を順次行った後、空気中500 ℃で4時間焼成し、変性ゼオライト触媒Ba/ZSM5-30(d)を調製した。
[実施例2]
変性ゼオライト触媒に下記の熱処理を行い、熱安定性を評価した。
実施例1で調製した変性ゼオライト触媒(Ba/ZSM5-30(d))を石英管に充填し、He流通下、750 ℃で3日間放置後、そのまま室温まで降温して触媒を取り出した。
[比較例1]
触媒調製例1で調製したゼオライト触媒(H-ZSM5-30(d))について、実施例2と同様にして熱処理を行い、熱安定性を評価した。
[比較例2]
中間細孔ゼオライト(NH4-ZSM5-30)を空気中500 ℃で4時間焼成することにより、H+型のゼオライト触媒(H-ZSM5-30)を調製した。
[比較例3]
比較例2で調製したH-ZSM5-30について、実施例2と同様にして熱処理を行い、熱安定性を評価した。
[実施例3]アンモニア昇温脱離法による熱処理前後の酸量保持率評価
実施例1で調製した変性ゼオライト触媒(Ba/ZSM5-30(d))および実施例2で得た熱処理後のBa/ZSM5-30(d)について、下記のアンモニア昇温脱離法(NH3-TPD)により酸量を定量した。
Ba/ZSM5-30(d)を He流通下、500 ℃で1時間前処理した後、NH3/He混合ガス(NH3 5.0 vol%)を200 ℃で流通させてアンモニアを吸着させた。流通ガスをHeに戻し、200 ℃で1時間保持した後、10 ℃/minで800 ℃まで昇温処理を行い、その間のアンモニア脱離量を酸量とした。脱離アンモニアガスの定量は四重極質量分析計(Q-MASS)を用いて行った。
これらの結果から、熱処理前後の酸量保持率を下記式(1)により算出し、触媒の熱安定性を評価した。
(酸量保持率)=
(熱処理後触媒重量当たりの酸量)×100/(熱処理前触媒重量当たりの酸量)・・・(1)
評価結果を表1に示す。
[比較例4]
触媒調製例1で調製したゼオライト触媒(H-ZSM5-30(d))および比較例1で得た熱処理後のH-ZSM5-30(d)について、実施例3と同様にして熱処理前後の酸量を定量し、酸量保持率を算出した。
評価結果を表1に示す。
[比較例5]
比較例2のH+型のゼオライト触媒(H-ZSM5-30)および比較例3で得た熱処理後のH-ZSM5-30について、実施例3と同様にして熱処理前後の酸量を定量し、酸量保持率を算出した。
評価結果を実施例3および比較例4の結果とともに表1に示す。
Figure 2011020045
表1から、SiO2/Al2O3 モル比 30のZSM5に対してヘキサフルオロケイ酸アンモニウム処理を1回行っても酸量保持率はほとんど改善されないが、ヘキサフルオロケイ酸アンモニウム処理後、Baを担持させることによって、酸量保持率が45%から97%まで向上させることができ、ヘキサフルオロケイ酸アンモニウム処理とBa担持処理とを組み合わせることにより熱安定性が向上することがわかる。
[触媒調製例2]ゼオライト触媒(H-ZSM5-150(d))の調製
SiO2/Al2O3 モル比 150の中間細孔ゼオライトNH4 +型ZSM5(NH4-ZSM5-150、Zeolyst International社製)に対し、触媒調製例1と同様にしてヘキサフルオロケイ酸アンモニウム処理されたゼオライト触媒H-ZSM5-150(d)を調製した。誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP-AES)により、得られたゼオライト触媒の元素分析を行った結果、SiO2/Al2O3モル比は200であった。
[実施例4]変性ゼオライト触媒(Ba/ZSM5-150(d))の調製
触媒調製例2で調製したゼオライト触媒(H-ZSM5-150(d))に対し、実施例1と同様にしてBaイオン交換処理を行い、変性ゼオライト触媒Ba/ZSM5-150(d)を調製した。
[実施例5]
実施例4で調製した変性ゼオライト触媒(Ba/ZSM5-150(d))について、750 ℃での処理時間を7日間とした以外は実施例2と同様にして熱処理を行い、熱安定性を評価した。
[比較例6]
中間細孔ゼオライト(NH4-ZSM5-150)を空気中500 ℃で4時間焼成することによりH+型ゼオライト触媒H-ZSM5-150を調製した。
[比較例7]
比較例6で調製したH+型ゼオライト触媒(H-ZSM5-150)に対し、実施例5と同様にして熱処理を行い、熱安定性を評価した。
[実施例6]
触媒調製例2で調製したゼオライト触媒(H-ZSM5-150(d))に対し、触媒調製例1と同様のヘキサフルオロケイ酸アンモニウム処理を3回繰り返し行うことにより、中間細孔ゼオライトNH4 +型ZSM5(NH4-ZSM5-150)に計4回ヘキサフルオロケイ酸アンモニウム処理した変性ゼオライト触媒(H-ZSM5-150(d4))を調製した。
誘導結合プラズマ発光分光分析により変性ゼオライト触媒の元素分析を行った結果、SiO2/Al2O3モル比は260であった。
[実施例7]
実施例6で調製した変性ゼオライト触媒(H-ZSM5-150(d4))に対し、実施例5と同様にして熱処理を行い、熱安定性を評価した。
[比較例8]
比較例6で調製したゼオライト触媒(H-ZSM5-150)および比較例7で得た熱処理後のH-ZSM5-150について、実施例3と同様にして熱処理前後の酸量を定量し、酸量保持率を算出した。
評価結果を表2に示す。
[実施例8]
実施例4で調製した変性ゼオライト触媒Ba/ZSM5-150(d) および実施例5で得た熱処理後のBa/ZSM5-150(d)について、実施例3と同様にして熱処理前後の酸量を定量し、酸量保持率を算出した。
結果を表2に示す。
[実施例9]
実施例6で調製した変性ゼオライト触媒H-ZSM5-150(d4) および実施例7で得た熱処理後のH-ZSM5-150(d4)について、実施例3と同様にして熱処理前後の酸量を定量し酸量保持率を算出した。
結果を実施例8および比較例8の結果とともに表2に示す。
Figure 2011020045
表2から、SiO2/Al2O3 モル比 150のZSM5についてヘキサフルオロケイ酸アンモニウム処理を1回行った後、Ba担持することにより、酸量保持率は54%から向上して100%に達しており、ヘキサフルオロケイ酸アンモニウム処理とBa担持処理とを組み合わせることにより熱安定性が向上したことがわかる。また、ヘキサフルオロケイ酸アンモニウム処理を4回繰り返すことによっても酸量保持率は100%に達しており、ヘキサフルオロケイ酸アンモニウム処理を4回行うことにより熱安定性が向上したことがわかる。
[比較例9]活性評価:n-ヘキサン分解反応
比較例6で調製したH+型ゼオライト触媒(H-ZSM5-150)の触媒活性を、固定床流通式反応装置を用いたn-ヘキサン分解反応により評価した。反応管に該H+型ゼオライト触媒0.75 gを充填し、大気圧下、窒素を反応器内に流通させながら反応温度の650 ℃まで昇温した。650 ℃おいて、反応管に流通させていた窒素を止め、代わりに原料のn-ヘキサンを反応管に7.5 g/hの量で供給し、反応を開始した。n-ヘキサン供給開始後、所定の時間が経過したところで反応生成物を直接ガスクロマトグラフ(検出器:FID)に導入し、生成物の組成を分析した。
炭素成分の重量をベースとして算出した各生成物の収率および転化率を表3に示す。
[比較例10]
触媒調製例2で調製したゼオライト触媒(H-ZSM5-150(d))の触媒活性を比較例9と同様にしてn-ヘキサン分解反応により評価した。
反応結果を表3に示す。
[実施例10]
触媒調製例2で調製したゼオライト触媒(H-ZSM5-150(d))に対し、触媒調製例1と同様のヘキサフルオロケイ酸アンモニウム処理を2回繰り返し行うことにより、変性ゼオライト触媒(H-ZSM5-150(d2))を調製した。
誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP-AES)により変性ゼオライト触媒の元素分析を行った結果、SiO2/Al2O3モル比は210であった。
[実施例11]
実施例10で調製した変性ゼオライト触媒(H-ZSM5-150(d2))の触媒活性を比較例9と同様にしてn-ヘキサン分解反応により評価した。
反応結果を表3に示す。
[実施例12]
実施例6で調製した変性ゼオライト触媒(H-ZSM5-150(d4))の触媒活性を比較例9と同様にしてn-ヘキサン分解反応により評価した。
反応結果を実施例11および比較例9〜10の反応結果とともに表3に示す。
Figure 2011020045
表3から、ヘキサフルオロケイ酸アンモニウム処理を経て調製した触媒のプロピレン収率および下記式(3)により算出されるプロピレン(C3')収率保持率は、処理なしおよび1回処理に比べて、2回および4回処理で大きく向上したことがわかる。
(プロピレン収率保持率(n時間))=
(n時間後プロピレン収率)× 100/(1時間後プロピレン収率) ・・・(3)
[実施例13]
実施例4で調製した変性ゼオライト触媒(Ba/ZSM5-150(d))の触媒活性を比較例9と同様にしてn-ヘキサン分解反応により評価した。
反応結果を比較例10の結果とともに表4に示す。
[実施例14]
実施例6で調製した変性ゼオライト触媒(H-ZSM5-150(d4))に対し、実施例1と同様にしてBaイオン交換処理を施し、変性ゼオライト触媒(Ba/ZSM5-150(d4))を調製した。
比較例9と同様にしてn-ヘキサン分解反応により活性評価した結果を実施例13および比較例10の結果とともに表4に示す。
Figure 2011020045
表4から、ヘキサフルオロケイ酸アンモニウム処理を1回または4回行った後、さらにバリウム担持処理を行って調製した触媒では、19時間後においてもプロピレン収率が低下せず、ヘキサフルオロケイ酸アンモニウム処理を1回のみ行って調製した触媒は7時間後ですでにプロピレン収率が低下したことがわかる。また、ヘキサフルオロケイ酸アンモニウム処理を1回または4回行った後、さらにバリウム担持処理を行って調製した触媒は、ヘキサフルオロケイ酸アンモニウム処理を1回のみ行って調製した触媒と比較してプロピレン収率が大きく向上し、顕著に高いプロピレン収率を長時間維持することができることがわかる。
[比較例11]
SiO2/Al2O3 モル比 280のNH4 +型ZSM5(NH4-ZSM5-280、Zeolyst International社製)を空気中500 ℃で4時間焼成することにより、H+型のゼオライト触媒H-ZSM5-280を調製した。H-ZSM5-280の触媒活性を、比較例9と同様にしてn-ヘキサン分解反応により評価した。反応結果を実施例12の結果とともに表5に示す。
Figure 2011020045
表5から、H-ZSM5-150(d4)は、同程度のSiO2/Al2O3 モル比 を有するH-ZSM5-280よりもプロピレン収率およびプロピレン収率保持率が高いことから、ヘキサフルオロケイ酸アンモニウム処理による効果は、単にSiO2/Al2O3 モル比を制御するにとどまらないことがわかる。
[実施例15]
実施例14で調製した変性ゼオライト触媒(Ba/ZSM5-150(d4))に対し、熱安定性を評価するため、比較例7と同様にして熱処理を行った。比較例9と同様にしてn-ヘキサン分解反応により活性評価した。
反応結果を実施例14の結果とともに表6に示す。
[比較例12]
比較例7で得た熱処理後のゼオライト触媒(H-ZSM5-150)の触媒活性を比較例9と同様にしてn-ヘキサン分解反応により評価した。
反応結果を実施例14〜15および比較例9の結果とともに表6に示す。
Figure 2011020045
表6から、ヘキサフルオロケイ酸アンモニウム処理およびバリウム担持処理を行って調製した変性ゼオライト触媒は、未処理の触媒と比較して、高温における安定性が大きく向上したことがわかる。

Claims (10)

  1. 四面体型TO4(T = SiまたはAl)ユニット10個からなる10員環構造を有し、細孔径が0.50〜0.65 nmの範囲にある中間細孔ゼオライトに対し、脱アルミニウム−シリル化処理および化学処理を行うことにより調製されることを特徴とする変性ゼオライト触媒。
  2. 前記化学処理が、1回または2回以上の脱アルミニウム−シリル化処理であることを特徴とする請求項1に記載の変性ゼオライト触媒。
  3. 前記化学処理が、アルカリ金属、アルカリ土類金属および希土類金属のうち少なくとも1種の元素による担持処理であることを特徴とする請求項1に記載の変性ゼオライト触媒。
  4. 前記化学処理が、脱アルミニウム−シリル化処理を1回または2回以上行った後、アルカリ金属、アルカリ土類金属および希土類金属のうち少なくとも1種の元素により担持する処理であることを特徴とする請求項1に記載の変性ゼオライト触媒。
  5. 前記化学処理が、アルカリ金属、アルカリ土類金属および希土類金属のうち少なくとも1種の元素により担持する処理を行った後、脱アルミニウム−シリル化処理を1回または2回以上行うことを特徴とする請求項1に記載の変性ゼオライト触媒。
  6. 前記アルカリ金属、アルカリ土類金属および希土類金属のうち少なくとも1種の元素が、アルカリ土類金属であることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の変性ゼオライト触媒。
  7. 前記アルカリ土類金属がバリウムであることを特徴とする請求項6に記載の変性ゼオライト触媒。
  8. 前記脱アルミニウム−シリル化処理が、ヘキサフルオロケイ酸塩処理であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の変性ゼオライト触媒。
  9. 前記中間細孔ゼオライトが、MFI型ゼオライトであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の変性ゼオライト触媒。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の変性ゼオライト触媒を用いて、沸点範囲35〜180 ℃の飽和炭化水素類を主成分とする原料から、エチレン、プロピレン、ブテン類、ベンゼン、トルエンおよびキシレン類を主成分とする不飽和炭化水素類を製造することを特徴とする不飽和炭化水素類の製造方法。
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