JP2011018822A - 圧粉磁心およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract


【課題】低透磁率、高磁束密度および高強度を満たすことができる圧粉磁心を提供する。
【解決手段】本発明の圧粉磁心は、軟磁性粉末と加熱硬化型のシリコーン樹脂の溶液とを接触させて乾燥させる第1被覆層形成工程と第2被覆層形成工程を行い、第2被覆層形成工程の乾燥温度を第1被覆層形成工程の乾燥温度よりも低くして製造した磁心用粉末を加圧成形した圧粉成形体からなる。第2被覆層の割合を40〜90質量%、軟磁性粉末の真密度(ρ)に対する圧粉成形体の嵩密度(ρ)の比である密度比(ρ/ρ:%)を85〜91%とすることで、低透磁率、高磁束密度および高強度を満たす本発明の圧粉磁心が得られる。
【選択図】 図4

Description

本発明は、磁気部品に用いられる圧粉磁心に関するものである。
変圧器(トランス)、電動機(モータ)、発電機、スピーカ、誘導加熱器、各種アクチュエータ等、我々の周囲には電磁気を利用した製品が多々ある。これらの製品は交番磁界を利用したものが多く、局所的に大きな交番磁界を効率的に得るために、通常、磁心(軟磁石)をその交番磁界中に設けている。
このような磁心は、交番磁界中で大きな磁束密度が得られることが求められるのみならず、交番磁界中で使用したときの高周波損失(以下、磁心の材質に拘らず、単に「鉄損」という。)が少ないことが求められる。この鉄損には渦電流損失、ヒステリシス損失および残留損失があるが、中でも交番磁界の周波数が高くなる程に高くなる渦電流損失を低減することが重要である。
このような磁心として最近では、高磁束密度と低損失の両立を図り得るとともに各種形状に成形可能な圧粉磁心の開発、研究が盛んに行われている。この圧粉磁心は、絶縁皮膜で被覆した軟磁性粉末(磁心用粉末)を加圧成形したものである。圧粉磁心の構成粒子がそれぞれ絶縁被覆されているため、比抵抗が大きくなり、渦電流損失の低減を図れる。
また、高密度成形された圧粉磁心の内部(軟磁性粉末の粒子内部)には多くの歪み(残留歪み)等が導入される。この歪みは圧粉磁心の保磁力を高め、ヒステリシス損失を増加させると共に圧粉磁心の応答性を低下させ得る。このような歪み等を除去するために圧粉磁心に焼鈍等の加熱処理がなされる。
もっとも、Feを主成分とする軟磁性粉末から残留歪みや残留応力等を十分に除去するには、400〜780℃程度の高い温度まで加熱する必要がある。このような高温で圧粉磁心を加熱すると、従来のリン酸塩等からなる絶縁皮膜は破壊したり消失したりしてしまう。そこで、シリコーン樹脂を用いて耐熱性のあるシリカ(SiO)皮膜からなる絶縁皮膜を形成することが行われており、下記の特許文献1および2に関連した記載がある。
また、圧粉磁心の用途のひとつとして、リアクトル用コアが挙げられる。リアクトルは、その用途によって要求性能が異なるものの、小型、低損失、低騒音であって直流重畳特性に優れるものが求められる。たとえば、リアクトルの小型化のために高い飽和磁化をもつコアが利用され、損失低減化のために高い比抵抗や低い保磁力をもつコアが利用される。また、直流重畳特性を向上させるためにはインダクタンス(L)の安定しているコア、具体的には透磁率の安定している(恒透磁率である)コアが望ましい。さらに、ハイブリッド車または電気自動車(燃料電池車も含む)の駆動用の電源系統に用いられるリアクトルは、駆動電源系統の高出力に対応するために、低透磁率のコアを用いてコアを磁気飽和しにくくする必要がある。下記の特許文献3および4は、恒透磁率または低透磁率の磁心を開示している。
特開2001−342501号公報 特開2006−128521号公報 特開2007−200962号公報 特開2006−233295号公報
特許文献1には、1番目にメチル基ストレート型シリコーン樹脂と軟磁性粉末である鉄粉とを混合、乾燥させた後、2番目にエポキシ樹脂とそのシリコーン樹脂処理後の鉄粉とを混合、乾燥させた鉄基混合粉末に関して記載している(特許文献1の表2の実施例13)。さらにこの鉄基混合粉末を加圧成形した後、140℃でキュア熱処理した圧粉磁心を提案している。
この圧粉磁心は、結局、耐熱温度の低いエポキシ樹脂をバインダとして使用しているため、加圧成形した圧粉磁心に対して高温域での熱処理を行い難いか、または熱処理を行うとすると圧粉磁心の構成粒子の結合が弱まり、圧粉磁心の強度が低下すると考えられる。
特許文献2には、三層構造の被覆を施した粉末粒子からなる軟磁性粉末を加圧成形した圧粉磁心が記載されている。この圧粉磁心の場合、シリコーン樹脂からなる皮膜は軟磁性粉末の粒子の最外層(第3層)に形成されているが、その最外層の皮膜は、加圧成形前の粉末の段階でシリコーン樹脂を250℃で60分間加熱硬化させて形成されている。すなわち、特許文献2の圧粉磁心は、粒子表面にシリカ皮膜が形成され終った軟磁性粉末を加圧成形したものである。
特許文献3には、カップリング剤で表面処理をした軟磁性粉末およびSiO粉末と、エポキシ樹脂と、の混合物が固化されてなる磁心が開示されている。この磁心の透磁率(μ)は実施例1でμ=20であり、低い値である。しかし、実施例1の磁心の密度は5.9g/cm(後述の密度比に換算すれば約70%)と低いため、高印加磁場での高磁束密度が望めない。また、特許文献1と同様に耐熱温度の低いエポキシ樹脂を使用しているため、成形後の熱処理温度が制限される。
特許文献4には、表面に鉄酸化物被膜(1層目)を備える純鉄粉に、2層目としてシリカの絶縁層を形成し、さらに3層目としてシリコーン樹脂からなる最外層を形成してなる粉末を加圧成形した圧粉磁心が開示されている。圧粉磁心の密度は7.4g/cmで高い。しかし、圧粉磁心の透磁率は、印加磁場H=10kA/mでの磁束密度B10kの値(表3)から算出すると、110以上と高い。つまり、仮にこの圧粉磁心が恒透磁率を有するとしても、透磁率が高いため、用途によっては望ましくない。
また、最外層は、加圧成形前の粉末の段階でシリコーン樹脂を250℃で60分間加熱硬化させて形成されている。すなわち、特許文献4の圧粉磁心は、特許文献2と同様に、粒子表面にシリカ皮膜が形成され終った軟磁性粉末を加圧成形したものである。
ところで、圧粉磁心はそもそも、比抵抗が大きいという電気的特性のみならず、その成形自由度が大きくて複雑な形状のものも安価に製作できることに大きな利点を有する。この利点を活かして圧粉磁心を実用化する上で、比抵抗の増大に併せて圧粉磁心の強度向上が強く望まれている。ところが、従来の圧粉磁心のほとんどは、あくまでも軟磁性粉末の構成粒子が塑性変形することによるアンカー効果などにより機械的結合をしているに過ぎず、圧粉磁心の強度(たとえば圧環強度)は必ずしも充分ではなかった。確かに、超高圧成形した圧粉磁心は高密度で高強度ではあったが、現状ではさらなる強度向上が望まれている。
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであり、低透磁率、高磁束密度および高強度を同時に満たすことができる圧粉磁心を提供することを目的とする。
本発明者はこの課題を解決すべく鋭意研究し、試行錯誤を重ねた結果、軟磁性粉末を加熱硬化型のシリコーン樹脂の溶液中で混合、乾燥させる処理を2度繰返し、そのうちの第1回目は比較的高温で混合物を加熱乾燥させ、第2回目はそれよりも低温で混合物を加熱乾燥させて得られた二層構造の表面皮膜を備える磁心用粉末を用いることで、絶縁性はもちろん強度にも優れた圧粉磁心を得ることに成功した。さらに、第1回目で形成される第1層と第2回目で形成される第2層との割合および圧粉磁心の相対的な密度が、圧粉磁心の透磁率および強度に影響することを新たに見出した。そしてこの成果を発展させることで、本発明者は以降に述べる種々の発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、軟磁性粉末と、該軟磁性粉末の粒子表面を被覆する第1被覆層および該第1被覆層をさらに被覆する第2被覆層からなる表面皮膜と、からなる磁心用粉末を加圧成形した圧粉成形体からなる圧粉磁心であって、
前記第1被覆層は、加熱硬化型のシリコーン樹脂を含む第1溶液に前記軟磁性粉末を接触させる第1接触工程と該第1接触工程後の軟磁性粉末を前記第1溶液中のシリコーン樹脂がゲル化する第1変態温度以上の第1乾燥温度で乾燥させる第1乾燥工程とを有する第1被覆層形成工程を経て形成され、
前記第2被覆層は、加熱硬化型のシリコーン樹脂を含む第2溶液に前記第1被覆層の被覆された軟磁性粉末を接触させる第2接触工程と該第2接触工程後の軟磁性粉末を該第2溶液中のシリコーン樹脂がゲル化する第2変態温度未満の第2乾燥温度で乾燥させる第2乾燥工程とを有する第2被覆層形成工程を経て形成され、
前記磁心用粉末は、前記表面皮膜を100質量%としたときの前記第2被覆層の割合が40質量%以上90質量%以下であり、
前記軟磁性粉末の真密度(ρ)に対する前記圧粉成形体の嵩密度(ρ)の比である密度比(ρ/ρ:%)が85%以上91%以下であることを特徴とする。
〈圧粉磁心〉
本発明の圧粉磁心は、特定の磁心用粉末を加圧成形することで、低透磁率、高磁束密度および高強度を満たすことができる。この詳細なメカニズムは必ずしも定かではないが、以下のように考えられる。
本発明者の調査研究によると、単にシリコーン樹脂を一層だけ被覆した磁心用粉末を加圧成形してなる圧粉磁心では、乾燥温度によって軟磁性粉末の粒子表面に存在する皮膜の様子が異なることが確認されている。
たとえば、加熱硬化型のシリコーン樹脂を含む溶液に軟磁性粉末を接触させ、このシリコーン樹脂がゲル化する変態温度以上の高温で乾燥させる。すると、軟磁性粉末の粒子に付着した加熱硬化型のシリコーン樹脂は、硬質なシリコーン樹脂皮膜となって軟磁性粉末の粒子表面を被覆する。このような硬質な皮膜をもつ軟磁性粉末を加圧成形して圧粉成形体を成形すると、加圧成形の荷重を受けて軟磁性粉末は変形するが、その変形に対して皮膜が追従するのが困難であり、皮膜は流動し難い。そのため、加圧成形後も皮膜の膜厚は保たれるため、得られる圧粉磁心の絶縁性が保たれることはもちろん、透磁率は低く保たれる。しかし、皮膜が流動しにくいことにより、皮膜中に亀裂を生じ易くなる。その結果、皮膜の内部を起点とする破壊が生じ得る(凝集破壊)。また、皮膜が硬質なために、三重点(隣接する3つの粉末粒子間にできる隙間)や粒界などに多くの空隙が存在する状態になって、粉末粒子間の結合が弱まり、圧粉磁心の強度は十分ではない。
また、上記と同様に加熱硬化型のシリコーン樹脂を含む溶液に軟磁性粉末を接触させるが、このシリコーン樹脂がゲル化する変態温度未満の低温で乾燥させる。すると、軟磁性粉末の粒子に付着した加熱硬化型のシリコーン樹脂は、硬質なシリコーン樹脂皮膜にまでは至らず、ほとんど未硬化で軟質状態にあると思われる。このような軟質な皮膜をもつ軟磁性粉末を加圧成形して圧粉成形体を成形すると、加圧成形の際の荷重により軟磁性粉末の間に存在する隙間に皮膜が塑性流動し易いため、隙間にシリコーン樹脂が充填されると推測される。その結果、空隙は減少し、圧粉成形体は高強度となる。しかし、皮膜が隙間に充填されることにより軟磁性粉末を被覆するシリコーン樹脂の膜厚は薄くなるため、隣接する粉末粒子同士が皮膜を破って接触・短絡して比抵抗が低下することはもちろん、透磁率が高くなる。
このように、低透磁率と高強度とは同時に満たし得ない性質である。そこで、本発明では、軟磁性粉末の表面を、硬質な第1被覆層および軟質な第2被覆層からなる二層構造の表面皮膜により被覆するとともに、表面皮膜を100質量%としたときの第2被覆層の割合を40質量%以上90質量%以下とした磁心用粉末を加圧成形することで、低透磁率かつ高強度の圧粉磁心を得る。
先ず第1被覆層形成工程の第1乾燥工程で、第1接触工程後の軟磁性粉末は第1変態温度以上に加熱される。このため、軟磁性粉末の粒子に付着した加熱硬化型のシリコーン樹脂は、より硬質なシリコーン樹脂皮膜となって軟磁性粉末の粒子表面を被覆する。次に、第2被覆層形成工程の第2乾燥工程では、第2接触工程後の軟磁性粉末が加熱されるが、その第2乾燥温度は第1乾燥温度よりも低温であり、第2変態温度未満に過ぎない。このため、第1被覆層で被覆された軟磁性粉末の粒子表面に、第2接触工程で付着した加熱硬化型のシリコーン樹脂は、硬質なシリコーン樹脂皮膜にまでは至らない。つまり、この第2被覆層は乾燥していても、ほとんど未硬化で軟質状態にあると思われる。少なくとも、第2被覆層は第1被覆層よりは軟質である。
本発明の圧粉磁心は、こうして得られた磁心用粉末を加圧成形した圧粉成形体からなる。図1は、本発明の圧粉磁心(すなわち圧粉成形体)を模式的に示す断面図である。圧粉磁心は、軟磁性粉末粒子1および粒子1の間を絶縁する絶縁皮膜20から構成される。絶縁皮膜20は、第1被覆層21および第2被覆層22からなる。第1被覆層21は、加圧成形の際に荷重を受けても流動し難い。そのため、形成された第1被覆層21の膜厚は確保され、透磁率は低く保たれる。第1被覆層21よりも軟質な第2被覆層22は、加圧成形の際の荷重により軟磁性粉末粒子1の間に存在する隙間3(三重点など)に塑性流動し易く、隙間3が第2被覆層22によって充填されたような形態の圧粉成形体が得られる。さらに、この圧粉成形体を加熱すると、第2被覆層中の未硬化のシリコーン樹脂皮膜が隣接する軟磁性粉末の粒子の皮膜間でも架橋するようになり、ゲル化が進行するとともに、絶縁皮膜はより硬質化すると思われる。
なお、この比較的軟質である第2被覆層は、磁心用粉末の加圧成形時に既に形成されていた第1被覆層からなる硬質の第1被覆層を保護する役割をも果たすと思われる。その結果、第1被覆層による構成粒子表面の絶縁性が確保されるとともに、低透磁率の圧粉磁心となる。
また、圧粉成形体すなわち圧粉磁心の密度は、圧粉磁心の透磁率、磁束密度および強度に影響する。高磁束密度の観点からは、軟磁性粉末は高密度であるべきで、従来からも高密度化が望まれてきた。しかし、低透磁率の観点からは、軟磁性粉末が絶縁皮膜によりある程度の厚さで均一に被覆されているべきであるため、圧粉磁心の密度を特定の範囲内に制限する必要性を新たに見出した。さらに、圧粉磁心の強度は、圧粉磁心の密度に対して極大傾向にあり、その極大傾向は、第2被覆層の割合によって変化することに着目した。そのため、表面皮膜を100質量%としたときの第2被覆層の割合が40質量%以上90質量%以下である磁心用粉末を用い、軟磁性粉末の真密度(ρ)に対する圧粉成形体の嵩密度(ρ)の比である密度比(ρ/ρ:%)を85%以上91%以下とすることで、本発明の圧粉磁心は、低透磁率、高磁束密度および高強度を同時に満たすことができる。
なお、本明細書では、第1被覆層または第2被覆層を問わず、加熱硬化型のシリコーン樹脂を適宜、単に「シリコーン樹脂」と称する。
ところで、第1変態温度または第2変態温度(以下、両者を区別せず「変態温度」と適宜いう。)は、軟磁性粉末の被覆に用いたシリコーン樹脂がゲル化する温度、すなわち、ゾルからゲルに転移する温度(ゾル−ゲル転移点)である。本発明で用いた加熱硬化型のシリコーン樹脂を加熱すると、その温度の上昇とともに粘度が低下するが、隣接するシリコーン樹脂のもつ官能基間で架橋し合い、次第にゾルの粘度が上昇する。そしてある程度反応が進むと、ゲル化が起こり、その粘度は急激に上昇する。このように、シリコーン樹脂の粘度が急上昇するときの温度が変態温度である。この変態温度は、使用するシリコーン樹脂の種類によって異なる。シリコーン樹脂のゲル化反応は、系の温度、加熱による粘度低下による流動性の度合い、加熱する時間によりその進み方が左右されるため、加熱温度のみで定義することは困難であるが、所定の加熱温度でのゲル化の度合いにより、再現よく定めることができる。
本発明に係る変態温度を定義するとすれば次のようになる。すなわち、一定時間でシリコーン樹脂の粘度が急上昇しゾルからゲルへ転移する加熱温度が変態温度となる。このような変態温度の具体例として、たとえば、信越化学工業(株)社製のKR−242Aの場合、保持時間700秒のときの変態温度は150℃、また、保持時間120秒のときの変態温度は200℃である。
また、第1被覆層中のシリコーン樹脂は、大部分が架橋してゲル化した状態にあると思われるが、架橋していない部分が当然に残存していてもよい。逆に、第2被覆層中のシリコーン樹脂は、架橋が進行しておらず、大部分がゾル状態にあると思われるが、一部が架橋してゲル化していても良い。結局、本発明では、シリコーン樹脂のゲル化の程度やそれに伴う硬質または軟質の程度は、第1被覆層と第2被覆層との間の相対的なものに過ぎないことを断っておく。
さらに、本発明でいう第1被覆層と第2被覆層は、磁心用粉末の段階では峻別できるとしても、その磁心用粉末を加圧成形した圧粉成形体をさらに加熱した圧粉磁心になると、両者の区別は困難な場合が多いと思われる。すなわち、第2被覆層は第1被覆層と独立して粒子間の結合をするとは限らない。特に、両者の原料となる加熱硬化型のシリコーン樹脂溶液が実質的に同一の場合、最終的な圧粉磁心を分析すると、第1被覆層と第2被覆層とが一体となって硬化したシリコーン樹脂被膜を形成している場合もあると考えられる。したがって、本発明の圧粉磁心において、第1被覆層と第2被覆層という区別はプロダクト・バイ・プロセス的に構造を特定するための便宜上のものに過ぎないことを断っておく。
ちなみに、乾燥温度の異なる第1被覆層と第2被覆層とで皮膜の性状が異なることは、すでに述べた通りである。そのため、本発明の圧粉磁心において第1被覆層と第2被覆層との峻別自体は困難でも、それらの形成過程に帰因する相違が圧粉磁心の微視的な形態または特性として間接的に現れているといえる。したがって、このような観点からすれば、本発明の圧粉磁心と従来の圧粉磁心とを区別することは比較的容易である。
〈圧粉磁心の製造方法〉
本発明は、上記の圧粉磁心の製造方法としても把握できる。すなわち、本発明は、
加熱硬化型のシリコーン樹脂を含む第1溶液に軟磁性粉末を接触させる第1接触工程と該第1接触工程後の軟磁性粉末を前記第1溶液中のシリコーン樹脂がゲル化する第1変態温度以上の第1乾燥温度で乾燥させる第1乾燥工程とを経て該軟磁性粉末の粒子表面に第1被覆層を形成する第1被覆層形成工程と、加熱硬化型のシリコーン樹脂を含む第2溶液に前記第1被覆層の被覆された軟磁性粉末を接触させる第2接触工程と該第2接触工程後の軟磁性粉末を該第2溶液中のシリコーン樹脂がゲル化する第2変態温度未満の第2乾燥温度で乾燥させる第2乾燥工程とを経て前記第1被覆層上にさらに第2被覆層を形成する第2被覆層形成工程と、を経て前記表面皮膜を100質量%としたときの前記第2被覆層の割合が40質量%以上90質量%以下である磁心用粉末を得る磁心用粉末製造工程と、
得られた前記磁心用粉末を金型に充填する充填工程と、
前記金型内の磁心用粉末を加圧成形する成形工程と、
を備え、前記軟磁性粉末の真密度(ρ)に対する圧粉成形体の嵩密度(ρ)の比である密度比(ρ/ρ:%)が85%以上91%以下である圧粉磁心を得ることを特徴とする圧粉磁心の製造方法ともいえる。
さらに、前記成形工程後に得られた圧粉成形体を、前記第2変態温度以上で前記第1被覆層の耐熱温度以下の温度で加熱する加熱工程を備えてもよい。
〈付加的構成〉
本発明の圧粉磁心および圧粉磁心の製造方法は、上述の構成に加えて、次に列挙する構成中から任意に選択した一つまたは二つ以上が付加されると好適である。なお、下記から選択された構成は、複数の発明に重畳的かつ任意的に付加可能であることを断っておく。また、便宜上、圧粉磁心または磁心用粉末自体とそれらの製造方法とを区別して記載するが、下記に示したいずれの構成も、カテゴリーを越えて相互に適宜組み合わせ可能である。たとえば、軟磁性粉末の組成に関する構成であれば、磁心用粉末自体や圧粉磁心自体にも、それらの製造方法にも関連することはいうまでもない。
(1)圧粉磁心
(i)磁心用粉末において、少なくとも第1被覆層は、ゲル化したシリコーン樹脂皮膜である。
(ii)第1被覆層および第2被覆層から形成される表面皮膜のシリコーン樹脂が圧粉成形体中でゲル化してなる絶縁皮膜をもつ。
(iii) 表面皮膜を100質量%としたときの第2被覆層の割合の上限が85質量%さらには80質量%、下限が45質量%さらには50質量%である。
(iv)軟磁性粉末全体を100質量部としたときに、表面皮膜(あるいは絶縁皮膜)の存在割合が1質量部を超え2.5質量部未満さらには1.25〜2.25質量部である。
(v)第1被覆層形成工程と第2被覆層形成工程で用いるシリコーン樹脂は同一または同種である。
(vi)第1被覆層の膜厚は0.1〜2.0μmさらには0.5〜1.5μmである。
(vii)第2被覆層の膜厚は0.1〜2.0μmさらには0.5〜1.5μmである。
(viii)圧粉磁心は、軟磁性粉末の真密度(ρ)に対する圧粉成形体の嵩密度(ρ)の比である密度比(ρ/ρ:%)の下限が86%さらには87%であり、密度比の上限が90%さらには89%である。
(ix)軟磁性粉末は、粒径の下限が2μm、5μmさらには10μmであり、粒径の上限が200μm、180μmさらには150μmである。
(x)軟磁性粉末は、該軟磁性粉末全体を100質量%としたときに0.2〜4質量%好ましくは0.8〜3質量% のケイ素(Si)と残部が鉄(Fe)と不可避不純物および/または改質元素とからなる。
(xi)圧粉磁心の比抵抗は、300μΩm以上、700μΩm以上、1000μΩm以上、2000μΩm以上、3000μΩm以上、4000μΩm以上、5000μΩm以上さらには10000μΩm以上である。
(xii)圧粉磁心の圧環強度は、20MPa以上、30MPa以上、40MPa以上、50MPa以上さらには60MPa以上である。
(xiii)圧粉磁心の透磁率が75以下、60以下さらには50以下である。
(xiv)圧粉磁心は、静止器に用いられる整流用コアである。
(xv)その整流用コアは、リアクトル用コアである。
(xvi)その整流用コアは自動車用である。
(2)圧粉磁心の製造方法
(i)第1溶液と第2溶液とは実質的に同一である。
(ii)第1溶液または第2溶液の溶媒は有機溶媒(たとえば、アセトン)である。
(iii)第2溶液はカップリング剤(特に、シランカップリング剤)を含む。
(iv)第1乾燥温度は、150〜300℃、155〜290℃さらには160〜270℃である。
(v)第2乾燥温度は、50〜150℃、75〜145℃さらには100〜140℃である。
(vi)加熱工程は、成形工程後の圧粉成形体内の残留歪みまたは残留応力を除去するために焼鈍する焼鈍工程である。
(vii)加熱工程の加熱温度(または焼鈍温度)の下限は400℃〜900℃さらには500〜800℃である。
(viii)充填工程は高級脂肪酸系潤滑剤を内面に塗布した金型へ前記磁心用粉末を充填する工程であり、成形工程は磁心用粉末と該金型の内面との間に前記高級脂肪酸系潤滑剤とは別の金属石鹸皮膜が生成される成形温度と成形圧力で加圧成形する温間高圧成形工程である。
〈その他〉
本明細書でいう「圧粉磁心」はその形態を問わない。つまり、圧粉磁心は、機械加工等が適宜なされる素材またはバルク状であっても良いし、最終的な形状またはそれに近い構造部材自体であっても良い。
軟磁性粉末の「改質元素」は、磁気的特性、電気的特性または機械的特性などにおいて、圧粉磁心の特性改善に有効な元素である。改善される特性の種類は問わないし、元素の種類も組み合わせも問わない。このような元素として、Si以外ではAl、Ni、Coなどがある。ちなみに、このような改質元素の含有量は、通常、磁気的特性の低下を招来しないように、比較的少量とされる。「不可避不純物」は、軟磁性粉末の原料(溶湯など)に含まれる不純物、粉末形成時に混入等する不純物などがあり、コスト的または技術的な理由等により除去することが困難な元素である。本発明に係る軟磁性粉末の場合であれば、たとえば、C、S、Cr、P、Mn等がある。
なお、当然ながら、軟磁性粉末は基本元素(たとえば、Fe、CoおよびNi)の種類および組成が重要であるため、改質元素や不可避不純物の割合は特に限定されない。したがって、不可避不純物は勿論のこと、改質元素が含まれない軟磁性粉末およびその磁心用粉末を用いた圧粉磁心も、本発明の範囲内であることに変わりはない。
特に断らない限り、本明細書でいう「x〜y」は、下限xおよび上限yを含む。また、本明細書に記載した数値は、実施例に記載の数値も含め、下限および上限は任意に組み合わせて「a〜b」のような範囲を構成し得る。
本発明の圧粉磁心を模式的に示す断面図である。 表面皮膜の構成が異なる磁心用粉末から作製した圧粉磁心について、圧粉磁心の透磁率と圧環強度との関係を示すグラフである。 表面皮膜に占める第2被覆層の割合が異なる磁心用粉末から作製した圧粉磁心について、圧粉磁心の密度比と圧環強度との関係の変化を示すグラフである。 本発明の圧粉磁心および従来の圧粉磁心の断面性状を示す図面代用写真を、圧粉磁心の製造に使用した磁心用粉末の模式図とともに示す。
発明の実施形態を挙げて本発明をより詳しく説明する。なお、以下の実施形態を含め、本明細書で説明する内容は、本発明に係る圧粉磁心のみならず、磁心用粉末および圧粉磁心の製造方法にも、適宜適用できる。また、いずれの実施形態が最良であるか否かは、対象、要求性能等によって異なる。
(1)磁心用粉末
磁心用粉末は、粒子表面が本発明に係る表面皮膜で被覆された軟磁性粉末からなる。
(1.1)軟磁性粉末
軟磁性粉末は、通常、8属遷移元素(Fe、Co、Ni等)などの強磁性元素を主成分とする。中でも、取扱性、入手性、コスト等から、Feをベースとするものが好ましい。主成分であるFeに、Siを含有させたFe−Si合金粉末が圧粉磁心の原料粉末によく用いられる。Siは粉末粒子の電気抵抗率を高め、圧粉磁心の比抵抗を向上させ、渦電流損失を低減させるからである。
そこで、軟磁性粉末全体を100質量%としたときに、Siの下限を0.2質量%さらには0.8質量%として、Siの上限を4質量%さらには3質量%とすると好ましい。Siが過少では効果がなく、Siが過多になると、圧粉磁心の磁気的特性(磁束密度)の低下、軟磁性粉末の成形性の低下を生じ得る。なお、軟磁性粉末の粒子中にSiが含まれると、その粒子を被覆するシリコーン樹脂皮膜との結合性が向上し、剥離し難い絶縁皮膜が形成され易くなる。
勿論、圧粉磁心の用途に応じて、磁気的特性や成形性の向上を図る観点から、軟磁性粉末は純度99.5%以上、99.7%以上さらには99.8%以上の純鉄粉でもよい。さらに、鉄系の軟磁性粉末は、上述のSi以外に、軟磁性粉末全体を100質量%としたときに、Coを5〜30質量%、SiやAlを0.3〜4質量%程度含んでも良い。軟磁性粉末は、複数の粉末を混合した混合粉末でも良い。たとえば、純鉄粉とFe−49Co−2V(パーメンジュール)粉、純鉄粉とFe−3Si粉、センダスト(Fe−9Si−6Al)粉と純鉄粉等の混合粉末であっても良い。なお、これらの合金元素の割合を示す単位は、質量%である。
軟磁性粉末の粒径は、2〜200μm、5〜180μmさらには10〜150μmであると好適である。軟磁性粉末の粒径が過大では、渦電流損失の低減が図り難いため好ましくない。また、軟磁性粉末の粒径が過小では、ヒステリシス損失の低減が図り難い。なお、軟磁性粉末の分級は、篩い分法等により容易に行える。
軟磁性粉末の製造方法は問わない。粉砕粉でもアトマイズ粉でも良い。アトマイズ粉は、水アトマイズ粉、ガスアトマイズ粉、ガス水アトマイズ粉のいずれでも良い。水アトマイズ粉は、現状、もっとも入手性が良く低コストである。水アトマイズ粉は、その粒子形状がいびつであるので、それを加圧成形した圧粉成形体の機械的強度を向上させ易い。一方、ガスアトマイズ粉は、粒子が略球状をしている擬球状粉である。ガスアトマイズ粉は、各粒子の形状が略球状をしているため、軟磁性粉末を加圧成形した際に、各粉末粒子間の攻撃性が低くなり、絶縁皮膜の破壊等が抑制され、比抵抗の高い圧粉磁心が安定して得られ易い。また、ガスアトマイズ粉は略球状粒子からなるため、粒子形状の歪な水アトマイズ粉等に比べてその表面積は小さい。このため、絶縁皮膜の全量が同じであっても、ガスアトマイズ粉を用いる方がより厚い絶縁皮膜の形成が可能となり、透磁率をより低減し易い。逆に、同じ膜厚の絶縁皮膜を設けるのであれば、絶縁皮膜の全量を低減することができ、圧粉磁心の磁束密度を高めることが可能となる。さらに、ガスアトマイズ粉は、粉末粒子内の結晶粒径が大きいため、保磁力が小さくなりヒステリシス損失の低減を図り易い。したがって、ガスアトマイズ粉のような擬球状粉を使用することで、磁気的特性の向上と透磁率の低減との両立を図り易い。勿論、軟磁性粉末は、アトマイズ粉以外の粉末でもよく、たとえば、合金インゴットをボールミル等で粉砕した粉砕粉でもよい。このような粉砕粉は、熱処理(たとえば、不活性雰囲気中で800℃以上に加熱)によって結晶粒径を大きくすることも可能である。
(1.2)表面皮膜(絶縁皮膜)
軟磁性粉末の粒子表面に形成される表面皮膜は、第1被覆層および第2被覆層からなる。第1被覆層は軟磁性粉末の粒子表面に付着したシリコーン樹脂が変化したシリコーン樹脂皮膜からなる。第2被覆層は、その第1被覆層上に付着したシリコーン樹脂が未だ完全にはゲル化していない状態、いいかえるなら、ゾル状態のシリコーン樹脂が少なくとも一部残存している状態である。勿論、前述した通り、加圧成形後の加熱によってその第2被覆層もゲル化が進行した硬質な絶縁皮膜となる。
ここで、第2被覆層の割合は、表面皮膜を100質量%としたときに40〜90質量%好ましくは45〜85質量%さらに好ましくは50〜80質量%である。表面皮膜に対する第2被覆層の割合を所望の範囲とするためには、第1被覆層の膜厚を0.1〜2.0μmさらには0.5〜1.5μm、第2被覆層の膜厚を0.1〜2.0μmさらには0.5〜1.5μmとするとよい。なお、表面皮膜は本来、粉末粒子の一粒毎に形成されていることが理想的である。しかし、実際には、数個の粒子が固まった状態でその周りに表面皮膜が形成されていることもあり、このような状態であっても本発明の想定範囲内である。
また、表面皮膜は、軟磁性粉末全体を100質量部としたときに1質量部を超え2.5質量部未満さらには1.25〜2.25質量部であると好ましい。したがって、軟磁性粉末全体を100質量部としたときの第1被覆層は、0.05質量部を超え1.5質量部未満さらには0.1〜1.35質量部であると好ましく、また、軟磁性粉末全体を100質量部としたときの第2被覆層は、0.4質量部を超え2.25質量部未満さらには0.5〜2.05質量部であると好ましい。表面皮膜の存在割合等が過小では、圧粉磁心における絶縁皮膜の膜厚が薄くなり透磁率を十分に低減できない。一方、表面皮膜の存在割合が過大では、圧粉磁心の磁気的特性の低下を招く。なお、磁心用粉末における軟磁性粉末に対する表面皮膜の割合は、圧粉成形体およびそれを加熱処理して得た圧粉磁心における軟磁性粉末に対する絶縁皮膜の割合と同等である。
(1.3)シリコーン樹脂
本発明の場合、上記の表面皮膜は、主に加熱硬化型のシリコーン樹脂によって形成される。このシリコーン樹脂皮膜は、ゲル化して構成粒子の表面を被覆する絶縁皮膜として機能するのみならず、構成粒子間の結合するバインダとしても機能し得る。
シリコーン樹脂がゲル化する変態温度はシリコーン樹脂の種類によって異なるため一概に特定することはできないが、ほぼ150〜300℃程度である。この温度に加熱することで軟磁性粉末の粒子表面に付着したシリコーン樹脂は硬質なシリコーン樹脂皮膜となる。このシリコーン樹脂皮膜は、温度の上昇に伴い、シロキサン結合が進行するため、焼鈍等の高温加熱処理を行うことで部分的な架橋から全体的な架橋となり、皮膜強度が向上する。また、このシリコーン樹脂皮膜は耐熱性に優れるため、成形後の圧粉磁心に対して焼鈍等の高温加熱を行っても破壊等されず、前記の架橋が一層進行して、磁心用粉末の粒子同士の結合が強化される。
なお、軟磁性粉末の粒子表面に形成されるシリコーン樹脂皮膜は、軟磁性粉末がSiを0.2質量%以上含有していると安定的に形成され易い。理由は定かではないが、軟磁性粉末の表面にあるSi原子にシリコーン樹脂が化学吸着し易いためではないかと思われる。この観点から、軟磁性粉末は全体を100質量%としたときにSiを0.2〜4質量%さらには0.5〜3質量%含むと好ましい。
シリコーン樹脂は、熱によって縮合・硬化する加熱硬化型と、室温で硬化する室温硬化型に大別される。前者は熱を加えることで官能基が反応しシロキサン結合が起こることで架橋が進行し、縮合・硬化が生じる。一方、後者は加水分解反応により室温で官能基が反応し、シロキサン結合が起こることで架橋が進行し、縮合・硬化する。本発明では、加熱温度の異なる第1被覆層形成工程と第2被覆層形成工程により絶縁皮膜を形成するため、熱硬化型のシリコーン樹脂が本発明に適している。
シリコーン樹脂のシラン化合物の官能基数は、1から最大で4つまである。本発明で用いるシリコーン樹脂の官能基数に制限はない。もっとも、3または4の官能性シラン化合物を有するコーティング用シリコーンを用いると、架橋密度が高くなり好ましい。
シリコーン樹脂の種類としては、レジン系をはじめ、シラン化合物系、ゴム系シリコーン、シリコーンパウダー、有機変性シリコーンオイル、またはそれら複合物など、用途によって形態が異なる。本発明では、いずれのシリコーン樹脂を用いても良い。もっとも、レジン系のコーティング用シリコーン樹脂、すなわち、シリコーンのみで構成されているストレートシリコーンレジンあるいはシリコーンと有機系ポリマー(アルキド、ポリエステル、エポキシ、アクリルなど)とで構成されている変性用シリコーンレジンを用いると、耐熱性、耐候性、耐湿性、電気絶縁性、被覆する際の簡便性の点で好ましい。
このようなシリコーン樹脂の具体例として、たとえば、東レダウコーニングシリコーン社製の、804RESIN、805RESIN、806ARESIN、840RESIN、SR2400、Z-6018、217FLAKE、220FLAKE、233FLAKE、249FLAKE、SR2402、QP8-5314、SR2306、SR2316、SR2310、SE5060、SE5070、SE5004、SR2404などが挙げられる。また、信越化学工業(株)社製のKR251、KR500、KR400、KR255、KR271、KR282、KR311、KR213、KR9218、KR5230、KR5235、KR114A、KR169、KR2038、K5206、KR9706、ES1001N、ES1002T、ES1023、KP64、KP851などが挙げられる。勿論、これらの銘柄以外のシリコーン樹脂であっても良い。さらに本発明では、種類、分子量、官能基が異なる2種類以上のシリコーン樹脂を、適当な割合で混合したシリコーン樹脂を使用しても良い。
なお、シリコーン樹脂により形成される絶縁皮膜は耐熱性を有するが、このことと圧粉磁心の用途または使用環境とは必ずしも一致しない。つまり、磁心用粉末を加圧成形した圧粉成形体が加熱処理されることはあっても、圧粉磁心自体は高温環境下で使用されるとは限らない。
また、本発明の第1被覆層形成工程と第2被覆層形成工程とで使用されるシリコーン樹脂は同一種である必要はないが、同一種のものを使用する方が低コスト化や工程の簡素化などを図れるので好ましい。
(1.4)表面処理方法
軟磁性粉末の粒子表面上の表面皮膜は、前述した第1被覆層形成工程および第2被覆層形成工程により形成される。両工程はいずれも接触工程と乾燥工程とからなる点で共通するが、少なくとも乾燥温度が第1乾燥工程と第2乾燥工程との間で異なる点で相違する。この相違により、少なくとも加圧成形前の磁心用粉末の段階では、軟磁性粉末の表面に形成される第1被覆層と第2被覆層とが質的に異なる。
もっとも、このような重要な相違はあるが、第1被覆層形成工程と第2被覆層形成工程との間で、それぞれの接触工程および乾燥工程は内容的に共通する。そこで以下に説明する内容は、特に断らない限り、第1被覆層形成工程または第2被覆層形成工程に当てはまることを断っておく。
(I)接触工程
接触工程は、軟磁性粉末(第1被覆層が設けられた軟磁性粉末をも含めて、適宜、単に「軟磁性粉末」という。)とシリコーン樹脂の溶液とを接触させる工程である。シリコーン樹脂が液状またはゾル状であれば、それをそのまま本発明でいう溶液として用いてもよい。
もっとも、シリコーン樹脂は通常、粉末状であるかそうでなくても、軟磁性粉末の各粒子表面に均一に接触させて付着させることが難しい形態をしている。そこで、シリコーン樹脂を溶媒に溶解または分散させた均一なシリコーン樹脂溶液として、軟磁性粉末と接触させると効率的である。この接触工程は、溶液中に軟磁性粉末を入れて撹拌しても良いし、溶液を軟磁性粉末に噴霧してもよく、具体的な接触方法は問わない。前記の撹拌には、撹拌棒で撹拌する他、たとえば、超音波撹拌などを利用すると効率的な撹拌を行うことができ、軟磁性粉末の各粒子表面に均一的にシリコーン樹脂を付着させることが可能となる。
溶液を調製する際に用いる溶媒として、たとえば、アセトンやメチルエチルケトンに代表されるケトン系溶剤、エタノールやメタノールに代表されるアルコール系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン、フェノール、安息香酸などに代表される芳香族系溶剤、リグロイン、ケロシンなどの石油系溶剤等がある。特に、アセトンなどのケトン系溶剤が、生産性、皮膜の物質性の点で好ましい。なお、シリコーン樹脂が水に可溶あるいは分散可能なら、溶媒に水を用いても良い。
この溶液の濃度は、使用するシリコーン樹脂や溶媒によって一概にはいえないが、施工のし易さや乾燥時間等を考慮して決定すれば良い。たとえば、溶媒にアセトンを用いた場合であれば、溶液の濃度を2〜20質量%さらには5〜15質量%とすると、生産性、皮膜の物質性の点で好ましい。
本発明では、第1被覆層上に第2被覆層を設けるところ、前述した軟磁性粉末の粒子表面と第1被覆層との被膜の密着性のみならず、第1被覆層と第2被覆層との密着性も重要である。そこで、溶液に適宜、被覆層の密着性を高めるカップリング剤、特にシランカップリング剤を配合すると好ましい。このようなカップリング剤として、KBM−303、KBM−403、KBE−402、KBE−403、KBM−602、KBM−603、KBM−903、KBE−903など(信越化学工業社製)がある。シランカップリング剤は、溶液全体に対して5〜15質量%さらには8〜12質量%であると好ましい。
勿論、シランカップリング剤は第2溶液のみならず、第1溶液に配合してもよい。もっとも、軟磁性粉末がFe−Si粉末の場合、シリコーン樹脂との密着性は前述したように優れるため、シランカップリング剤を入れるまでもない。したがって、シランカップリング剤を一方(特に第2溶液)のみに配合することで、被覆層の密着性とコストの両立を図れる。このシランカップリング剤を除き、第1溶液と第2溶液とを同じように調製することで、工程管理等が容易になる。
(II)乾燥工程
乾燥工程は、接触工程後の軟磁性粉末を加熱乾燥させる工程である。乾燥温度、乾燥時間、乾燥雰囲気等の乾燥条件は、用いるシリコーン樹脂や溶媒などによって適宜選択される。本発明に関して乾燥工程中で重要となるのは、乾燥温度である。
本発明の磁心用粉末に関する最大の特徴は、第2乾燥温度を第1乾燥温度よりも低くした点にある。これにより、軟磁性粉末の表面に、先ずは内層となる第1被覆層が比較的硬質に形成され、次にその外側に比較的軟質な第2被覆層が形成される。この磁心用粉末を加圧成形した際、第1被覆層は第2被覆層により保護されると共に第2被覆層自体は磁心用粉末の粒子間の隙間を充填するように塑性流動し、その後の加熱処理により各磁心用粉末の粒子間を非常に強固に結合させる。
このような本発明の趣旨に沿って、第1乾燥温度および第2乾燥温度は理解されるべきであるので、本発明でいう変態温度と乾燥温度との関係は、あまり厳格に解釈されるべきではないことを断っておく。したがって、第1被覆層形成工程で形成される第1被覆層中には、ゲル化していないシリコーン樹脂がそのまま残存している部分が多少あってもよいし、逆に、第2被覆層形成工程で形成される第2被覆層中にゲル化したシリコーン樹脂が多少存在していてもよい。
なお、軟磁性粉末とシリコーン樹脂溶液との接触方法によるが、たとえば、容器内にある溶液中に軟磁性粉末を投入、撹拌した後に加熱乾燥させた場合、得られた磁心用粉末が容器内で全部または一部が固まった状態となり得る。その場合は、適宜、解砕または粉砕を行う粉末化工程を加えるとよい。この場合、先ずは第1被覆層形成工程で第1接触工程および第1乾燥工程に加えて第1粉末化工程を行った後、同様に、第2被覆層形成工程でも第2接触工程および第2乾燥工程に加えて第2粉末化工程を行うことになる。
なお、このような粉末化工程は、必ずしも元の軟磁性粉末と同程度の粒径にまで解砕等する必要はない。たとえば、第2接触工程で軟磁性粉末と第2溶液とを撹拌等する場合であれば、第1粉末化工程の解砕等が充分でなくても、その第2接触工程中に自ずと解砕等して、軟磁性粉末の各粒子表面に均一な第2被覆層の形成が可能だからである。また、第2粉末化工程の解砕等が仮に不十分であったとしても、軟磁性粉末の表面に第1被覆層および第2被覆層が適切に形成されている限り、その後の成形工程で自ずと解砕等され高密度な圧粉磁心が得られるからである。
(2)圧粉磁心
本発明の圧粉磁心は、上記の磁心用粉末を所望形状に加圧成形した圧粉成形体であって、軟磁性粉末と、軟磁性粉末の粒子間を絶縁する絶縁皮膜と、からなる。
(2.1)加圧成形方法
圧粉磁心は、通常、磁心用粉末を成形用金型(単に「金型」という。)に充填する充填工程と、金型内の磁心用粉末を加圧成形する成形工程とによって成形される。本発明では、磁心用粉末の加圧成形方法を問わないが、高密度で高磁束密度の圧粉磁心を得るためには、超高圧成形が可能な金型潤滑温間高圧成形法を用いると好ましい。この金型潤滑温間高圧成形法は、高級脂肪酸系潤滑剤を内面に塗布した金型へ前記磁心用粉末を充填する充填工程と、磁心用粉末と金型の内面との間に高級脂肪酸系潤滑剤とは別の金属石鹸皮膜が生成される成形温度と成形圧力で加圧成形する温間高圧成形工程とからなる。この金型潤滑温間高圧成形法の詳細については、日本特許公報特許3309970号公報、日本特許4024705号公報など多の公報に詳細が記載されている。この金型潤滑温間高圧成形法によれば、金型寿命を延しつつ、高密度な圧粉磁心を容易に得ることが可能となる。
なお、圧粉磁心の成形工程は磁場中成形でも非磁場中成形でも良い。また、金型潤滑温間高圧成形法における「温間」とは、表面皮膜(または絶縁皮膜)への影響や高級脂肪酸系潤滑剤の変質などを考慮して、概して成形温度を70℃以上、200℃以下、さらには100〜180℃にするとより好適である。
(2.2)加熱処理
このように加圧成形された圧粉成形体中の磁心用粉末の第2被覆層をさらに加熱して硬質化させることで、軟磁性粉末の各粒子が強固に結合した高強度の圧粉磁心が得られる。
この加熱工程は、基本的には、第2被覆層中のゲル化していないシリコーン樹脂をゲル化する工程であり、それが可能な範囲であれば、加熱温度、加熱時間、加熱雰囲気は問わない。
もっとも、圧粉磁心の保磁力やヒステリシス損失を低減するために、圧粉成形体中の残留歪みや残留応力の除去を目的として、圧粉成形体を焼鈍させることが行われる。そこで、上記の加熱工程が焼鈍工程を兼用すると好ましい。このときの加熱温度は、軟磁性粉末の組成にも依るが、400〜900℃さらには500〜800℃程度である。軟磁性粉末がFe系粉末であれば、加熱温度を500〜780℃程度にするとよい。加熱時間は、0.1〜10時間さらには0.5〜2.0時間程度が好ましい。焼鈍工程は比較的高温で加熱するため、その雰囲気は不活性雰囲気が好ましい。
なお、シリコーン樹脂が耐熱性に優れるとはいえ、ゲル化したシリコーン樹脂皮膜をその耐熱温度を超えて高温で加熱すると、シリコーン樹脂皮膜が多少変質することもあり得る。もっとも、このような場合も本発明に含まれる。
(2.3)圧粉磁心の密度
軟磁性粉末の真密度(ρ)に対する圧粉成形体の嵩密度(ρ)の比である密度比(ρ/ρ)が百分率で85〜91%好ましくは86〜90質量%さらに好ましくは87〜89質量%である。なお、圧粉成形体の嵩密度は、圧粉成形体を加熱処理して得た圧粉磁心の嵩密度と同等である。密度比が85%以上であれば十分に高い磁束密度が得られ、密度比が高い程より高磁束密度となるが、密度比が85%未満では圧粉磁心の強度が低下する傾向がある。また、本発明の圧粉磁心を構成する軟磁性粉末のSi含有量を比較的少なくすることで、より高い磁束密度を発揮する。密度比が高すぎると、透磁率が高くなるとともに圧粉磁心の強度が低下するため好ましくない。
(2.4)圧粉磁心の比抵抗
比抵抗は、基本的に形状に依存しない圧粉磁心ごとの固有値である。同形状の圧粉磁心であれば比抵抗が大きいほど、渦電流損失の低減を図れる。この比抵抗は、絶縁皮膜の種類、絶縁皮膜の量(膜厚)、焼鈍の有無等によって異なるが、比抵抗が500μΩm以上、1000μΩm以上、2000μΩm、3000μΩm以上、4000μΩm、5000μΩmさらには10000μΩm以上であると好ましい。
(2.5)圧粉磁心の強度
圧粉磁心の強度は、実用性を考えると非常に重要である。従来の圧粉磁心では、絶縁皮膜で被覆された構成粒子が塑性変形によって主に機械的に結合されているだけであり、その強度は必ずしも充分ではなかった。本発明では、圧粉磁心が高密度であると共に、加熱された磁心用粉末の第2被覆層の影響により、従来よりも圧粉磁心の構成粒子間の結合がより強化される。圧粉磁心の強度は種々の方法により測定され得るが、代表的な指標として圧環強度がある。この圧環強度が20MPa以上、30MPa以上、40MPa以上、50MPa以上さらには60MPa以上であると好ましい。なお、本明細書においては、圧環強度が20MPa以上を高強度とする。
(2.6)圧粉磁心の透磁率
すでに述べたように、ハイブリッド車または電気自動車(燃料電池車も含む)の駆動用の電源系統に用いられるリアクトルは、恒透磁率であるとともに低透磁率が要求される。本発明の圧粉磁心では、磁場の強さが−10〜+10kA/mさらには−20〜+20kA/mの範囲において最大透磁率が75以下、60以下さらには50以下であると好ましい。なお、本発明においては、透磁率が75以下を低透磁率とする。なお、本発明の圧粉磁心は、磁場の強さが上記の範囲内において、透磁率μはほぼ一定の恒透磁率を示す。
(2.7)圧粉磁心の用途
本発明の圧粉磁心は、各種の電磁機器、たとえば、モータ、アクチュエータ、トランス、誘導加熱器(IH)、スピーカ、リアクトル等に利用できる。特に、トランスのような静止器に用いられる整流用コア、たとえばリアクトル用コアとしての用途が好適である。最も好適であるのは、ハイブリッド車または電気自動車(燃料電池車も含む)の駆動用の電源系統に用いられるリアクトルである。この類のリアクトルは、駆動電源系統の高出力に対応するために、コアの透磁率を下げ、コアを磁気飽和しにくくする必要があるためである。
実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。
(磁心用粉末の製造)
(1)軟磁性粉末および溶液
原料粉末(軟磁性粉末)として、Fe−3質量%Si(粒度:75μm以下、気体置換法により求めた真密度ρは7.67g/cm)の組成をもつ市販のガス水アトマイズ粉末を用意した。シリコーン樹脂の溶液は、市販のシリコーン樹脂(MOMENTIVE社製「YR3370」)を有機溶媒(アセトン)で50倍に希釈して得た。このシリコーン樹脂の変態温度は30分保持の場合150℃である。この溶液を第1溶液および第2溶液として用いた。
(2)第1被覆層形成工程
上記の溶液と軟磁性粉末とを混合し、撹拌した(第1接触工程)。この撹拌は、超音波撹拌装置を用いて45℃×40分の条件で行った。このとき、溶液と軟磁性粉末との混合割合を調整することで、軟磁性粉末全体を100質量部としたときのシリコーン樹脂の割合が表1および表2に示す値となるようにした。こうして撹拌混合した軟磁性粉末および溶液を容器ごと加熱装置に入れて、大気雰囲気中で表1および表2に記載の第1乾燥温度で30分の条件で加熱乾燥させた(第1乾燥工程)。得られた粉末の塊を、乳鉢を用いて解砕した。こうして軟磁性粉末の粒子表面が第1被覆層で被覆された一次粉末を得た。
(3)第2被覆層形成工程
この一次粒子と上記の溶液とを混合し、撹拌した(第2接触工程)。この撹拌は、超音波撹拌装置を用いて45℃×40分の条件で行った。このとき、溶液と軟磁性粉末との混合割合を調整することで、軟磁性粉末全体を100質量部としたときのシリコーン樹脂の割合が表1および表2に示す値となるようにした。こうして撹拌混合した軟磁性粉末および溶液を容器ごと加熱装置に入れて、大気雰囲気中で表1および表2に記載の第2乾燥温度で30分の条件で加熱乾燥させた(第2乾燥工程)。得られた粉末の塊を、乳鉢を用いて解砕した。こうして、軟磁性粉末の粒子表面上の第1被覆層をさらに第2被覆層で被覆した、二層構造の表面皮膜を備える磁心用粉末を得た。
なお、比較例として、第2被覆層の割合よりも第1被覆層の割合を過多にした表面皮膜で被覆されてなる磁心用粉末を作製した。さらに、(2)または(3)の工程のうちのいずれか一方のみを行い軟磁性粉末の粒子表面が第1被覆層または第2被覆層のみで被覆された磁心用粉末も、比較例として作製した。
(4)得られた磁心用粉末に金型潤滑温間高圧成形法を適用して、リング状(外径:φ39mm×内径φ30mm×厚さ5mm)の試験片を製作した。各試験片(圧粉磁心)の成形に際して、内部潤滑剤や樹脂バインダ等は、一切使用しなかった。具体的には、次のようにして金型潤滑温間高圧成形法を行った。
(4−1)各試験片形状に応じたキャビティを有する超硬製の金型を用意した。この金型をバンドヒータで予め130℃に加熱しておいた。また、この金型の内周面には、予めTiNコート処理を施し、その表面粗さを0.4Zとした。
加熱した金型の内周面に、水溶液に分散させたステアリン酸リチウムをスプレーガンにて10cm/分程度の割合で均一に塗布した。ここで用いた水溶液は、水に界面活性剤と消泡剤とを添加したものである。界面活性剤には、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(EO)6、(EO)10およびホウ酸エステルエマルボンT−80を用い、それぞれを水溶液全体(100体積%)に対して1体積%ずつ添加した。また、消泡剤には、FSアンチフォーム80を用い、水溶液全体(100体積%)に対して0.2体積%添加した。また、ステアリン酸リチウムには、融点が約225℃、粒径が20μmのものを用いた。その分散量は、上記水溶液100cmに対して25gとした。そして、これをさらにボールミル式粉砕装置で微細化処理(テフロン(登録商標)コート鋼球:100時間)し、得られた原液を20倍に希釈して最終濃度1%の水溶液として、上記塗布工程に供した。
(4−2)ステアリン酸リチウムが内面に塗布されたその金型へ上記の磁心用粉末を充填した(充填工程)。
(4−3)金型を130℃に保持したまま、基本的に1568MPaの成形圧力で、その金型内に充填された磁心用粉末を温間加圧成形した(成形工程)。なお、この温間高圧成形に際して、いずれの磁心用粉末も金型とかじり等を生じることがなく低い抜圧で圧粉成形体をその金型から取出すことができた。
(5)得られた各圧粉成形体に、流量8リットル/分の窒素雰囲気中で750℃×1時間の加熱処理を施した(加熱工程または焼鈍工程)。
こうして、表面皮膜に対する第2被覆層の割合、および密度比が異なる21種類の試験片(圧粉磁心)を得た。
〈試験片の測定〉
上記のリング状試験片を用い、密度比、圧環強度および透磁率を測定した。密度比は、軟磁性粉末の真密度(ρ)および圧粉磁心の嵩密度(ρ)を求め、式:(ρ/ρ)×100[%]より求めた。軟磁性粉末の真密度ρは気体置換法により求め、圧粉磁心の嵩密度ρは各試験片の体積および質量を測定して算出した。たとえば、試験片1であれば、リングの体積(2.767cm)に対する試験片1の質量(19.133g)より算出される嵩密度ρは6.91g/cmであり、密度比ρ/ρは6.91÷7.67=0.901(90.1%)と算出される。圧環強度は、JISZ2507に準ずる方法により測定した。密度比および圧環強度を表1および表2に示す。
透磁率は、直流自記磁束計(東英工業株式会社製「TRF−5A−PC」)を用い、磁界を−20〜+20kA/mの範囲で磁化曲線を測定し、得られたB−H曲線(B:磁束密度、H:磁場の強さ)の傾きから求めた。測定は、上記のリング状試験片に、検知用コイルを80ターン、励磁用コイルを240ターン巻きつけて行った。測定によって得られたB−H曲線の傾きの最大値(透磁率μ=磁束密度B/磁場の強さH)を透磁率として表1および表2に示す。なお、得られたB−H曲線より、各実施例の圧粉磁心のμの値はほぼ一定で、恒透磁率を示すことがわかった。
〈各試験片の評価〉
〈圧環強度と透磁率〉
試験片1〜4(実施例)および試験片C1〜C4(比較例)の原料である磁心用粉末の作製条件および各試験片の測定結果を表1に示す。また、透磁率と圧環強度との関係を図2に示す。
比較例1〜4の圧粉磁心(試験片C1〜C4)は、第1被覆層のみまたは第2被覆層のみで被覆された磁心用粉末、つまり単層構造の磁心用粉末を用いて作製されたものである。表1および図2からわかるように、試験片C1〜C4では、圧環強度と透磁率とがトレードオフの関係にあり、圧環強度が高い程に高透磁率となった。つまり、比較例1〜4の圧粉磁心では、高圧環強度で低透磁率を実現することはできなかった。しかし、本発明に係る試験片1〜4の圧粉磁心は、乾燥温度の異なる条件で形成した二層構造の表面皮膜を備える磁心用粉末を用いて作製されたことで、図2のグラフにおけるプロット点は比較例よりも高強度かつ低透磁率側へシフトし、圧環強度と透磁率のいずれにも優れる圧粉磁心が得られた。
〈密度比と圧環強度〉
試験片5〜9(実施例)および試験片C5〜C18(比較例)の原料である磁心用粉末の作製条件および各試験片の測定結果を表2に示す。また、軟磁性粉末の密度比と圧環強度との関係を図3に示す。なお、表2では、密度比が85%以上を○、85%未満を×、透過率が75以下を○、75超を×、圧環強度が20MPa以上を○、20MPa未満を×、とした。
表2および図3から、第2被覆層のみで被覆された磁心用粉末を用いて作製された比較例の圧粉磁心(試験片C15〜C18)は、圧環強度が高かった。しかし、実用的な磁束密度が得られる密度比85%以上においては、透磁率が75を超えて高かった。同様に、二層構造をもつものの第2被覆層の割合が25〜33質量%と少ない表面皮膜で被覆された磁心用粉末を用いて作製された比較例の圧粉磁心(試験片C10〜C13)は、圧環強度が低かった。そして、これら8つの比較例の圧粉磁心の圧環強度は、密度比を変化させても、ほとんど変化しなかった。
第2被覆層の割合が50〜75質量%の表面皮膜で被覆された磁心用粉末を用いて作製された圧粉磁心の圧環強度は、特定の範囲の密度比に対して極大傾向を示した。しかし、そのなかでも密度比が91%を超える比較例の圧粉磁心(試験片C5〜C9)は、軟磁性粉末の粒子間を隔てる絶縁皮膜が薄くなるため、透磁率が増加した。つまり、低透磁率を考慮すると、密度比の範囲が91%以下であることがわかった。また、二層構造の磁心用粉末を用いて作製された圧粉磁心のうち、表面皮膜の割合が最も多い比較例の圧粉磁心(試験片C14)は、絶縁皮膜が厚いため透磁率は低いが、密度比が85%未満と低いため、実用的な磁束密度を得ることができなかった。すなわち、第2被覆層の割合が40〜90%の磁心用粉末を用いて製造された密度比が85〜91%の実施例の圧粉磁心(試験片5〜9)は、圧環強度が20MPa以上で透磁率が75以下の優れた特性を示した。
〈圧粉磁心の断面観察〉
走査電子顕微鏡(SEM)により、各試験片の断面を観察した。断面観察は、試験片の破断面および破断面を化学研磨した研磨面について行った。一例として、試験片C4、C17および試験片1の観察結果を、図4に示す。また、図4には、圧粉磁心の作製に用いた磁心用粉末の一粒子を模式的に示す断面図を併記する。
試験片C17は、変態温度未満の温度で乾燥してなる軟質な第2被覆層のみを備える磁心用粉末を用いて作製された圧粉磁心である。この圧粉磁心の研磨面のSEM像からは、軟磁性粉末の粒子(灰色の部分)の間がシリコーン樹脂からなる絶縁皮膜(黒い部分)により十分に充填されていることがわかった。これは、第2被覆層が軟質であったため、加圧成形の際に構成粒子間の隙間へ軟質なシリコーン樹脂が流動して充填されたためと思われる。そして、絶縁皮膜の膜厚は薄かった。これは、第2被覆層が軟質であったため、加圧成形の際に第2被覆層が粉末粒子の変形に追従して変形しつつ、亀裂を生じることなく薄く延ばされたためと思われる。また、破断面のSEM像には、空隙(黒くみえる)がほとんど見られなかった。そのため、この圧粉磁心は、圧環強度も透磁率も高かった。
試験片C4は、変態温度以上の温度で乾燥してなる硬質な第1被覆層のみを備える磁心用粉末を用いて作製された圧粉磁心である。この圧粉磁心の研磨面のSEM像では、軟磁性粉末の粒子(灰色の部分)の間に、シリコーン樹脂からなる絶縁皮膜(黒い部分)が粒子同士を十分な厚さで存在する様子が確認された。また、破断面のSEM像には、磁心用粉末の粒子間、特に隣接する3つの粒子間にできる三重点(図4のSEM像に矢印で示す)に、空隙(黒く見える部分)が多く見られた。これは第1被覆層が硬質なため、加圧成形の際にあまり流動せず、構成粒子間の隙間が充填されなかったためと思われる。つまり、この圧粉磁心は、絶縁皮膜の厚みにより透磁率は低く抑えられるものの、圧環強度が十分ではなかった。
試験片1は、本発明の圧粉磁心であって、二層構造の表面皮膜を備える磁心用粉末を用いて作製された圧粉磁心である。この圧粉磁心の研磨面のSEM像では、軟磁性粉末の粒子(灰色の部分)の間に十分に充填されたシリコーン樹脂からなる絶縁皮膜(黒い部分)が、粒子同士を十分な厚さで隔てて存在する様子が確認された。また、破断面のSEM像では、磁心用粉末の粒子間には空隙(黒く見える部分)がほとんど見られず、三重点であっても同様であった。これは、磁心用粉末の粒子表面に比較的硬質な第1被覆層からなる絶縁皮膜が確実に形成されているとともに、磁心用粉末の粒子間の隙間に比較的軟質な第2被覆層が確実に充填されていたためと思われる。つまり、本発明の圧粉磁心は、十分な厚さの絶縁皮膜の存在により透磁率が低く抑えられ、かつ、磁心用粉末の粒子同士が強固に結合して圧環強度が高いものになったと思われる。

Claims (9)

  1. 軟磁性粉末と、該軟磁性粉末の粒子表面を被覆する第1被覆層および該第1被覆層をさらに被覆する第2被覆層からなる表面皮膜と、からなる磁心用粉末を加圧成形した圧粉成形体からなる圧粉磁心であって、
    前記第1被覆層は、加熱硬化型のシリコーン樹脂を含む第1溶液に前記軟磁性粉末を接触させる第1接触工程と該第1接触工程後の軟磁性粉末を前記第1溶液中のシリコーン樹脂がゲル化する第1変態温度以上の第1乾燥温度で乾燥させる第1乾燥工程とを有する第1被覆層形成工程を経て形成され、
    前記第2被覆層は、加熱硬化型のシリコーン樹脂を含む第2溶液に前記第1被覆層の被覆された軟磁性粉末を接触させる第2接触工程と該第2接触工程後の軟磁性粉末を該第2溶液中のシリコーン樹脂がゲル化する第2変態温度未満の第2乾燥温度で乾燥させる第2乾燥工程とを有する第2被覆層形成工程を経て形成され、
    前記磁心用粉末は、前記表面皮膜を100質量%としたときの前記第2被覆層の割合が40質量%以上90質量%以下であり、
    前記軟磁性粉末の真密度(ρ)に対する前記圧粉成形体の嵩密度(ρ)の比である密度比(ρ/ρ:%)が85%以上91%以下であることを特徴とする圧粉磁心。
  2. 前記軟磁性粉末全体を100質量部としたときに、前記表面皮膜の存在割合は1質量部を超え2.5質量部未満である請求項1記載の圧粉磁心。
  3. 前記表面皮膜のシリコーン樹脂が前記圧粉成形体中でゲル化してなる絶縁皮膜をもつ請求項1または2記載の圧粉磁心。
  4. 前記シリコーン樹脂は、シロキサン結合(−Si−O−Si−結合)を主鎖とし置換基を側鎖とした分子構造をしており、3官能性または4官能性を有する請求項1〜3のいずれかに記載の圧粉磁心。
  5. 前記側鎖には、メチル基またはフェニル基が含まれる請求項4記載の圧粉磁心。
  6. 加熱硬化型のシリコーン樹脂を含む第1溶液に軟磁性粉末を接触させる第1接触工程と該第1接触工程後の軟磁性粉末を前記第1溶液中のシリコーン樹脂がゲル化する第1変態温度以上の第1乾燥温度で乾燥させる第1乾燥工程とを経て該軟磁性粉末の粒子表面に第1被覆層を形成する第1被覆層形成工程と、
    加熱硬化型のシリコーン樹脂を含む第2溶液に前記第1被覆層の被覆された軟磁性粉末を接触させる第2接触工程と該第2接触工程後の軟磁性粉末を該第2溶液中のシリコーン樹脂がゲル化する第2変態温度未満の第2乾燥温度で乾燥させる第2乾燥工程とを経て前記第1被覆層上にさらに第2被覆層を形成する第2被覆層形成工程と、
    を経て前記表面皮膜を100質量%としたときの前記第2被覆層の割合が40質量%以上90質量%以下である磁心用粉末を得る磁心用粉末製造工程と、
    得られた前記磁心用粉末を金型に充填する充填工程と、
    前記金型内の磁心用粉末を加圧成形する成形工程と、
    を備え、前記軟磁性粉末の真密度(ρ)に対する圧粉成形体の嵩密度(ρ)の比である密度比(ρ/ρ:%)が85%以上91%以下である圧粉磁心を得ることを特徴とする圧粉磁心の製造方法。
  7. さらに、前記成形工程後に得られた圧粉成形体を、前記第2変態温度以上で前記第1被覆層の耐熱温度以下の温度で加熱する加熱工程を備える請求項6記載の圧粉磁心の製造方法。
  8. 前記磁心用粉末製造工程で得られた磁心用粉末は、前記軟磁性粉末全体を100質量部としたときに、前記表面皮膜の存在割合は1質量部を超え2.5質量部未満である請求項6または7記載の圧粉磁心の製造方法。
  9. 前記加熱工程は、前記成形工程後の圧粉成形体内の残留歪みまたは残留応力を除去するために焼鈍する焼鈍工程である請求項7または8に記載の圧粉磁心の製造方法。
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