[第一実施形態]
はじめに、本発明の第一実施形態について説明する。
図1A,図1Bに示されるように、本発明の第一実施形態に係る光コネクタ10は、後述する光ファイバコード70に取り付けられるものであり、プラグ12と、コード固定部材14と、ハウジング16とを主要な構成として備えている。
プラグ12は、フェルール18及びファイバ固定部20を有して構成されている。フェルール18は、内蔵光ファイバ22を有しており、後述するファイバ固定部20の基板24に一体に設けられている。
ファイバ固定部20は、所謂、メカニカルスプライス方式とされており、基板24と、一対の蓋26,28と、押圧部材30とを有して構成されている。基板24の表面部には、光コネクタ10の軸方向に沿って溝32が形成されており、この溝32には、上述の内蔵光ファイバ22の後端側が挿入されている。
一対の蓋26,28は、溝32の長手方向に並んで配置されると共に、それぞれこの溝32が形成された基板24の表面部を覆う大きさ及び形状で構成されている。また、この一対の蓋26,28は、押圧部材30によって基板24側にそれぞれ押圧されている。
なお、この光コネクタ10では、この光コネクタ10に一体部品として備えられるか又は別体の治具とされた楔を挿入可能な凹部(いずれも不図示)が基板24及び一対の蓋26,28に形成されている。そして、この凹部に楔を挿入することで基板24から一対の蓋26,28を離間させることが可能となっている。
コード固定部材14は、プラグ12及びハウジング16と別体に構成されており、コード固定部34と、心線把持部36とを有して構成されている。コード固定部34は、筒状に構成されており、例えば、かしめや接着等によって、後述する光ファイバコード70を構成するシース74及び抗張力体76の少なくとも一方の端側と固定される。
心線把持部36は、本体部としての一対のアーム片38を有している。この一対のアーム片38は、後述する光ファイバ心線72の突出部72Aに対する径方向両側に配置されると共に、それぞれコード固定部34からファイバ固定部20に向けて延出されている。
また、この各アーム片38の先端側には、爪部40がそれぞれ形成されている。各爪部40は、各アーム片38の先端側から突出部72Aに向けて形成されており、突出部72Aを把持可能な構成とされている。
なお、この心線把持部36では、一対のアーム片38の弾性変形を伴って、一対の爪部40が突出部72Aを把持する構成とされている。
ハウジング16は、光コネクタ10の軸方向に互いに対向する前側壁部42及び後側壁部44を有して構成された中空状のハウジング本体46を有している。前側壁部42には、前側孔部48が形成されており、後側壁部44には、光コネクタ10の後側に向かうに従って拡径するテーパ状の後側孔部50が形成されている。
そして、このハウジング本体46の内部には、上述のファイバ固定部20が収容されており、このファイバ固定部20に一体に設けられたフェルール18は、前側孔部48を通じて外部に突出されている。また、上述の基板24及び蓋28には、拡径部52が形成されており、この拡径部52と後側壁部44との間には、スプリング54が圧縮状態で収容されている。そして、プラグ12は、このスプリング54によって光コネクタ10の先端側に付勢されている。
また、上述の後側壁部44には、解除部としての一対の延出部56が形成されている。この一対の延出部56は、一対の爪部40とファイバ固定部20との間に設けられると共に、それぞれ後側壁部44から一対の爪部40に向けて延出されている。
さらに、上述のハウジング16は、延長部58と可動部60を有している。延長部58は、後側壁部44から光コネクタ10の後側に向けて軸方向に沿って延出されており、可動部60は、延長部58と光コネクタ10の径方向に対向して設けられている。
可動部60は、その先端側がハウジング本体46に回動可能に連結されており、図1Aに示されるように、ハウジング本体46に対して回動されてコード固定部材14から離間された開状態と、図1Bに示されるように、光コネクタ10の軸方向に沿って配置されてコード固定部材14と当接する閉状態とを取り得るようになっている。また、可動部60の後端側には、コード固定部材14の抜けを防止するための抜止部62が延長部58に向けて形成されている。
そして、この光コネクタ10では、図1Bに示されるように、コード固定部材14がハウジング16に組み付けられた状態では、一対の延出部56が一対の爪部40とそれぞれ接触されて、この一対の爪部40が各アーム片38との連結部を支点としてコード固定部34側に弾性変形され、これにより、一対の爪部40による突出部72Aの把持が解除される構成とされている。
また、この光コネクタ10では、上述の図1Bに示される状態では、一対の延出部56及び抜止部62によってコード固定部材14の光コネクタ10の軸方向への移動が規制されると共に、延長部58及び可動部60によってコード固定部材14の光コネクタ10の径方向への移動が規制される構成とされている。
なお、このハウジング16では、図示しないロック部が設けられており、このロック部によって可動部60を閉状態に保持できる構成とされている。
光ファイバコード70は、図2に示されるように、光ファイバ心線72と、光ファイバ心線72を収容するシース74と、光ファイバ心線72及びシース74の間に設けられた抗張力体76とを有している。また、この光ファイバコード70は、シース74及び抗張力体76に対して光ファイバ心線72が長手方向に移動可能とされたものであり、所謂、ルースな光ファイバコード70とされている。
また、図1A,図1Bに示されるように、光ファイバコード70の先端側では、上述のシース74及び抗張力体76が切除されることにより、シース74及び抗張力体76の端部から光ファイバ心線72の一部が突出部72Aとして突出されている。
次に、上記構成からなる光コネクタ10の組立方法と併せてその作用及び効果について説明する。
先ず、図1Aに示されるように、シース74及び抗張力体76の少なくとも一方の端側にコード固定部34を固定して、光ファイバコード70にコード固定部材14を一体に取り付けると共に、光ファイバ心線72の突出部72Aを一対の爪部40によって把持する。また、可動部60を開状態とすると共に、基板24及び一対の蓋26,28に形成された凹部に楔を挿入することで基板24から一対の蓋26,28を離間させる。
続いて、コード固定部材14を延長部58と可動部60の間に進入させると共にファイバ固定部20に接近させ、一対の爪部40によって把持された突出部72Aを後側孔部50及びファイバ固定部20の内部(溝32)に順次挿入する。
そして、ファイバ固定部20の内部で突出部72Aを内蔵光ファイバ22に突き合わせると共に、ファイバ固定部20に対する一対の爪部40(コード固定部材14)の相対位置を調節することで、一対の爪部40とファイバ固定部20との間において突出部72Aの一部に撓み78を生じさせ、突出部72Aと内蔵光ファイバ22との確実な突き合わせ状態を確認する。
続いて、この状態で、上述の楔を抜き去り、互いに突き合わされた突出部72Aと内蔵光ファイバ22とを基板24及び一対の蓋26,28によって挟持して固定する。
そして、その後に、図1Bに示されるように、コード固定部材14をファイバ固定部20に接近させて、一対の延出部56を一対の爪部40のそれぞれと接触させ、この状態からコード固定部材14をファイバ固定部20にさらに接近させる。これにより、この各爪部40が各アーム片38との連結部を支点としてコード固定部34側に変形され、一対の爪部40による突出部72Aの把持が解除される。
続いて、可動部60を閉状態とする。これにより、一対の延出部56及び抜止部62によってコード固定部材14の光コネクタ10の軸方向への移動が規制されると共に、延長部58及び可動部60によってコード固定部材14の光コネクタ10の径方向への移動が規制される。つまり、コード固定部材14がハウジング本体46に対して保持される。そして、以上の要領により、光ファイバコード70に光コネクタ10が取り付けられる。
このように、この光コネクタ10によれば、所謂、ルースな光ファイバコード70であっても、コード固定部34に一体に形成された心線把持部36によって突出部72Aを把持することで、この突出部72Aを有する光ファイバ心線72をシース74及び抗張力体76に対して長手方向に移動不能な状態とすることができる。従って、突出部72Aをファイバ固定部20の内部に挿入する際に、この突出部72Aがシース74内に押し戻されることを抑制して、突出部72Aを内蔵光ファイバ22に確実に突き合わせることができる。
また、心線把持部36による突出部72Aの把持が解除されると、光ファイバ心線72がシース74及び抗張力体76に対して長手方向に移動可能な状態に戻るので、突出部72Aの撓み78を解消させることができる。これにより、突出部72Aの撓み78を収容しておくための空間を光コネクタ10内に確保する必要がないため、光コネクタ10の小型化を図ることができる。
しかも、コード固定部材14をファイバ固定部20に接近させるだけ(コード固定部材14をファイバ固定部20側に押し込むだけ)の簡単な操作で、心線把持部36による突出部72Aの把持を解除することができる。
さらに、突出部72Aの撓み78を解消させることにより、光ファイバ心線72の曲げ損失等の発生も抑制することができる。
また、心線把持部36がコード固定部34に一体に形成されているので、部品点数の増加を抑えることができる。
また、心線把持部36による突出部72Aの把持が解除された状態では、コード固定部材14が一対の延出部56、抜止部62、延長部58、及び、可動部60によって挟み込まれることにより、このコード固定部材14をハウジング本体46に対して保持することができる。これにより、光コネクタ10からの光ファイバコード70の抜けやガタツキ等を抑制することができる。
なお、この光コネクタ10において、心線把持部36は、アーム片38及び爪部40を一対ずつ有して構成されていたが、アーム片38及び爪部40を3つ以上ずつ有して構成されていても良い。
また、心線把持部36は、一対のアーム片38を有して構成されていたが、例えば、この一対のアーム片38の代わりに、コード固定部34からファイバ固定部20に向けて延出された筒状の本体部を有し、この本体部の先端側に複数の爪部40が形成されていても良い。また、この場合に、複数の爪部40は、弾性変形を伴って突出部72Aを把持する構成とされていても良い。
また、可動部60は、ハウジング本体46に回動可能に支持されていたが、これ以外にも、例えば、ハウジング本体46にスライド可能や取付姿勢を変更可能に支持されていても良い。
また、心線把持部36は、コード固定部34に一体に形成されていたが、コード固定部34と別体に構成されて、このコード固定部34に一体に取り付けられても良い。
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について説明する。
図3A,図3Bに示される本発明の第二実施形態に係る光コネクタ80は、上述の本発明の第一実施形態に係る光コネクタ10に対し、次の如く構成が変更されている。
すなわち、ハウジング16は、筒状の収容部82を有している。この収容部82は、後側壁部44から光コネクタ80の後側に向けて軸方向に沿って延出されており、コード固定部材14を収容可能な構成とされている。また、収容部82には、解除部としての一対の逃げ部96が貫通形成されている。
一方、コード固定部材14には、心線把持部86が一体に形成されている。この心線把持部86は、コード固定部34からファイバ固定部20に向けて延出された一対の弾性片88によって構成されており、各弾性片88は、その先端側に突出部72Aを把持するための爪部88Aを有して構成されている。また、この各弾性片88の長手方向中央部には、収容部82の内周面に向けて押圧部としての突起92が形成されている。
そして、この光コネクタ80では、図4に示されるように、コード固定部材14が収容部82に収容されていない状態(各弾性片88に押圧力が作用されていない状態)では、一対の弾性片88(一対の爪部88A)が突出部72Aから離間される構成(突出部72Aを把持しない)構成とされている。
また、この光コネクタ80では、図3Aに示されるように、コード固定部材14が収容部82内に収容されると、各弾性片88と収容部82との間に位置された突起92によって一対の弾性片88が互いに接近される側に押圧されて弾性変形され、これにより、この一対の弾性片88によって突出部72Aが把持される構成とされている。
さらに、この光コネクタ80では、図3Bに示されるように、図3Aに示される状態からコード固定部材14がファイバ固定部20にさらに接近されると、突起92が逃げ部96に進入されることにより、一対の弾性片88の押圧状態が解除され、これにより、一対の弾性片88が元の形状に復元されて、この一対の弾性片88による突出部72Aの把持が解除される構成とされている。
また、この光コネクタ80では、上述の図3Bに示される状態では、突起92が逃げ部96に係合され、これにより、コード固定部材14の光コネクタ80の軸方向への移動が規制されると共に、コード固定部材14が収容部82に収容されることによってコード固定部材14の光コネクタ80の径方向への移動が規制される構成とされている。
次に、上記構成からなる光コネクタ80の組立方法と併せてその作用及び効果について説明する。
先ず、図4に示されるように、光ファイバコード70にコード固定部材14を一体に取り付ける。そして、図3Aに示されるように、コード固定部材14を収容部82内に収容する。これにより、各弾性片88と収容部82との間に位置された突起92によって一対の弾性片88が互いに接近される側に押圧されて弾性変形され、この一対の弾性片88によって突出部72Aが把持される。
また、上述の本発明の第一実施形態と同様に、突出部72Aをファイバ固定部20の内部に挿入して、この突出部72Aを内蔵光ファイバ22に突き合わせると共に、突出部72Aの一部に撓み78を生じさせ、突出部72Aと内蔵光ファイバ22との確実な突き合わせ状態を確認する。そして、この状態で、楔を抜き去り、互いに突き合わされた突出部72Aと内蔵光ファイバ22とをファイバ固定部20によって固定する。
そして、その後に、図3Bに示されるように、コード固定部材14をファイバ固定部20に接近させる。これにより、突起92が逃げ部96に進入されることにより、一対の弾性片88の押圧状態が解除される。そして、一対の弾性片88が元の形状に復元されることにより、この一対の弾性片88による突出部72Aの把持が解除される。
また、このときには、突起92が逃げ部96に係合されることにより、コード固定部材14の光コネクタ80の軸方向への移動が規制されると共に、コード固定部材14が収容部82に収容されることによってコード固定部材14の光コネクタ80の径方向への移動が規制される。つまり、コード固定部材14がハウジング本体46に対して保持される。そして、以上の要領により、光ファイバコード70に光コネクタ80が取り付けられる。
このように、この光コネクタ80によれば、所謂、ルースな光ファイバコード70であっても、コード固定部34に一体に形成された一対の弾性片88によって突出部72Aを把持することで、この突出部72Aを有する光ファイバ心線72をシース74及び抗張力体76に対して長手方向に移動不能な状態とすることができる。従って、突出部72Aをファイバ固定部20の内部に挿入する際に、この突出部72Aがシース74内に押し戻されることを抑制して、突出部72Aを内蔵光ファイバ22に確実に突き合わせることができる。
また、一対の弾性片88による突出部72Aの把持が解除されると、光ファイバ心線72がシース74及び抗張力体76に対して長手方向に移動可能な状態に戻るので、突出部72Aの撓み78を解消させることができる。これにより、突出部72Aの撓み78を収容しておくための空間を光コネクタ80内に確保する必要がないため、光コネクタ80の小型化を図ることができる。
しかも、コード固定部材14をファイバ固定部20に接近させるだけ(コード固定部材14をファイバ固定部20側に押し込むだけ)の簡単な操作で、一対の弾性片88による突出部72Aの把持を解除することができる。
さらに、突出部72Aの撓み78を解消させることにより、光ファイバ心線72の曲げ損失等の発生も抑制することができる。
また、一対の弾性片88を有する心線把持部86がコード固定部34に一体に形成されているので、部品点数の増加を抑えることができる。
また、一対の弾性片88による突出部72Aの把持が解除された状態では、突起92が逃げ部96と係合されると共に、コード固定部材14が収容部82に収容されることによって、コード固定部材14をハウジング本体46に対して保持することができる。これにより、光コネクタ10からの光ファイバコード70の抜けやガタツキ等を抑制することができる。
なお、この光コネクタ80において、心線把持部86は、一対の弾性片88によって構成されていたが、3つ以上の弾性片によって構成されていても良い。
また、突起92は、弾性片88に形成され、逃げ部96は、収容部82に形成されていたが、突起92は、収容部82に形成され、逃げ部96は、弾性片88に形成されていても良い。
また、逃げ部96は、収容部82に貫通する孔部によって構成されていたが、収容部82の内周面に開口する凹部によって構成されていても良い。
また、心線把持部86は、コード固定部34に一体に形成されていたが、コード固定部34と別体に構成されて、このコード固定部34に一体に取り付けられても良い。
[第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態について説明する。
図5A,図5Bに示される本発明の第三実施形態に係る光コネクタ100は、上述の本発明の第一実施形態に係る光コネクタ10に対し、次の如く構成が変更されている。
すなわち、コード固定部材14には、心線把持部106が一体に形成されている。この心線把持部106は、コード固定部34からファイバ固定部20に向けて延出された一対のアーム片108,109を有しており、各アーム片108,109は、その先端側に突出部72Aを把持するための爪部108A,109Aを有している。また、一対のアーム片108,109のうち可動部60と反対側に位置された他方のアーム片109の先端側には、被係合部112がファイバ固定部20に向けて一体に形成されている。
一方、可動部60には、光コネクタ100の内側に向けて突出する解除部としての係合部116が形成されている。
そして、この光コネクタ100では、図5Aに示されるように、可動部60が開状態とされているときには、コード固定部材14が延長部58の上に配置された状態でも、係合部116が被係合部112から離間されるように、可動部60の回動角度や係合部116の長さ等が設定されている。
また、この光コネクタ100では、図5Bに示されるように、可動部60が開状態から閉状態にまで回動されると、この可動部60の回動に伴って被係合部112が係合部116と係合状態で一体に変位され、これにより、この被係合部112が形成された他方のアーム片109が一方のアーム片108に対して離間側に弾性変形されて、この一対のアーム片108,109による突出部72Aの把持が解除される構成とされている。
さらに、この光コネクタ100では、上述の図5Bに示される状態では、係合部116が被係合部112に押圧されて他方のアーム片109が弾性変形されることによりコード固定部材14のファイバ固定部20側の移動が規制されると共に、抜止部62によってコード固定部材14のファイバ固定部20に対する離間側の移動が規制され、且つ、延長部58及び可動部60によってコード固定部材14の光コネクタ100の径方向への移動が規制される構成とされている。
次に、上記構成からなる光コネクタ100の組立方法と併せてその作用及び効果について説明する。
先ず、図5Aに示されるように、光ファイバコード70にコード固定部材14を一体に取り付けると共に、光ファイバ心線72の突出部72Aを一対のアーム片108,109によって把持する。また、可動部60を開状態とする。
続いて、上述の本発明の第一実施形態と同様に、突出部72Aをファイバ固定部20の内部に挿入して、この突出部72Aを内蔵光ファイバ22に突き合わせると共に、突出部72Aの一部に撓み78を生じさせ、突出部72Aと内蔵光ファイバ22との確実な突き合わせ状態を確認する。そして、この状態で、楔を抜き去り、互いに突き合わされた突出部72Aと内蔵光ファイバ22とをファイバ固定部20によって固定する。
そして、その後に、図5Bに示されるように、可動部60を開状態から閉状態にまで回動させる。これにより、この可動部60の回動に伴って被係合部112が係合部116と係合状態で一体に変位され、この被係合部112が形成された他方のアーム片109が一方のアーム片108に対して離間側に変形される。そして、他方のアーム片109が弾性変形を伴って突出部72Aから離間され、これにより、一対のアーム片108,109による突出部72Aの把持が解除される。
続いて、可動部60を閉状態とする。これにより、抜止部62によってコード固定部材14のファイバ固定部20に対する離間側の移動が規制されると共に、延長部58及び可動部60によってコード固定部材14の光コネクタ100の径方向への移動が規制される。また、このときには、係合部116が被係合部112に押圧されて他方のアーム片109が弾性変形されることによりコード固定部材14のファイバ固定部20側の移動が規制される。つまり、コード固定部材14がハウジング本体46に対して保持される。そして、以上の要領により、光ファイバコード70に光コネクタ100が取り付けられる。
このように、この光コネクタ100によれば、所謂、ルースな光ファイバコード70であっても、コード固定部34に一体に形成された一対のアーム片108,109によって突出部72Aを把持することで、この突出部72Aを有する光ファイバ心線72をシース74及び抗張力体76に対して長手方向に移動不能な状態とすることができる。従って、突出部72Aをファイバ固定部20の内部に挿入する際に、この突出部72Aがシース74内に押し戻されることを抑制して、突出部72Aを内蔵光ファイバ22に確実に突き合わせることができる。
また、一対のアーム片108,109による突出部72Aの把持が解除されると、光ファイバ心線72がシース74及び抗張力体76に対して長手方向に移動可能な状態に戻るので、突出部72Aの撓み78を解消させることができる。これにより、突出部72Aの撓み78を収容しておくための空間を光コネクタ100内に確保する必要がないため、光コネクタ100の小型化を図ることができる。
しかも、可動部60を開状態から閉状態とするだけの簡単な操作で、一対のアーム片108,109による突出部72Aの把持を解除することができる。
さらに、突出部72Aの撓み78を解消させることにより、光ファイバ心線72の曲げ損失等の発生も抑制することができる。
また、一対のアーム片108,109を有する心線把持部106がコード固定部34に一体に形成されているので、部品点数の増加を抑えることができる。
また、一対のアーム片108,109による突出部72Aの把持が解除された状態では、係合部116が被係合部112に押圧されて他方のアーム片109が弾性変形されると共に、コード固定部材14が抜止部62、延長部58、及び、可動部60によって挟み込まれることにより、コード固定部材14をハウジング本体46に対して保持することができる。これにより、光コネクタ10からの光ファイバコード70の抜けやガタツキ等を抑制することができる。
なお、この光コネクタ100において、心線把持部106は、一対のアーム片108,109を有して構成されていたが、3つ以上のアーム片を有して構成されていても良い。
また、心線把持部106は、コード固定部34に一体に形成されていたが、コード固定部34と別体に構成されて、このコード固定部34に一体に取り付けられても良い。
[第四実施形態]
次に、本発明の第四実施形態について説明する。
図6A,図6Bに示される本発明の第四実施形態に係る光コネクタ120は、上述の本発明の第一実施形態に係る光コネクタ10に対し、次の如く構成が変更されている。
なお、図6A,図6Bに示されるコード固定部材14以外の構成は、上述の本発明の第一実施形態と同様な構成とされており、この同様な構成については、図1A,図1Bを参照することとする。
すなわち、コード固定部材14には、心線把持部126が一体に形成されている。この心線把持部126は、コード固定部34からファイバ固定部20に向けて延出された一対の弾性片128によって構成されており、各弾性片128は、その先端側に突出部72Aを把持するための爪部128Aを有している。
また、この光コネクタ120には、把持補助部材132が備えられている。この把持補助部材132は、ゲート状に形成され、一対の弾性片128に取り付け可能に構成されている。
そして、この光コネクタ120では、図6Aに示されるように、把持補助部材132が一対の弾性片128に取り付けられていない状態では、一対の弾性片128(一対の爪部128A)が突出部72Aから離間される構成(突出部72Aを把持しない)構成とされている。
また、この光コネクタ120では、図6Bに示されるように、把持補助部材132が一対の弾性片128に取り付けられると、この把持補助部材132によって一対の弾性片128が互いに接近される側に弾性変形され、これにより、この一対の弾性片128によって突出部72Aが把持される構成とされている。
また、この光コネクタ120では、コード固定部材14が延長部58の上に配置された状態でも、可動部60が開状態とされているときには(図1A参照)、一対の弾性片128からの把持補助部材132の取り外しが可能とされている。
次に、上記構成からなる光コネクタ120の組立方法と併せてその作用及び効果について説明する。
先ず、図6Aに示されるように、光ファイバコード70にコード固定部材14を一体に取り付ける。続いて、図6Bに示されるように、把持補助部材132を一対の弾性片128に取り付ける。これにより、この把持補助部材132によって一対の弾性片128が互いに接近される側に弾性変形され、この一対の弾性片128によって突出部72Aが把持される。また、可動部60を開状態とする(図1A参照)。
続いて、上述の本発明の第一実施形態と同様に、突出部72Aをファイバ固定部20の内部に挿入して、この突出部72Aを内蔵光ファイバ22に突き合わせると共に、突出部72Aの一部に撓み78を生じさせ、突出部72Aと内蔵光ファイバ22との確実な突き合わせ状態を確認する。そして、この状態で、楔を抜き去り、互いに突き合わされた突出部72Aと内蔵光ファイバ22とをファイバ固定部20によって固定する(図1A参照)。
そして、その後に、図6Aに示されるように、把持補助部材132を一対の弾性片128から取り外す。これにより、一対の弾性片128が元の形状に復元されるので、この一対の弾性片128による突出部72Aの把持が解除される。
続いて、可動部60を閉状態とする(図1B参照)。これにより、抜止部62によってコード固定部材14の光コネクタの軸方向への移動が規制されると共に、延長部58及び可動部60によってコード固定部材14の光コネクタの径方向への移動が規制される。また、このときには、図示しない規制部等により、コード固定部材14のハウジング本体46に対する軸方向の移動が規制される。つまり、コード固定部材14がハウジング本体46に対して保持される。そして、以上の要領により、本実施形態の光コネクタ120が光ファイバコード70に取り付けられる。
このように、この光コネクタ120によれば、所謂、ルースな光ファイバコード70であっても、コード固定部34に一体に形成された一対の弾性片128によって突出部72Aを把持することで、この突出部72Aを有する光ファイバ心線72をシース74及び抗張力体76に対して長手方向に移動不能な状態とすることができる。従って、突出部72Aをファイバ固定部20の内部に挿入する際に、この突出部72Aがシース74内に押し戻されることを抑制して、突出部72Aを内蔵光ファイバ22に確実に突き合わせることができる。
また、一対の弾性片128による突出部72Aの把持が解除されると、光ファイバ心線72がシース74及び抗張力体76に対して長手方向に移動可能な状態に戻るので、突出部72Aの撓み78を解消させることができる。これにより、突出部72Aの撓み78を収容しておくための空間を光コネクタ120内に確保する必要がないため、光コネクタ120の小型化を図ることができる。
しかも、突出部72Aの撓み78を解消させることにより、光ファイバ心線72の曲げ損失等の発生も抑制することができる。
さらに、必要に応じて、一対の弾性片128から取り外された把持補助部材132を他の光コネクタ120に再利用(使い回し)することができる。
なお、この光コネクタ120において、心線把持部126は、一対の弾性片128によって構成されていたが、3つ以上の弾性片によって構成されていても良い。
また、心線把持部126は、コード固定部34に一体に形成されていたが、コード固定部34と別体に構成されて、このコード固定部34に一体に取り付けられても良い。
[第五実施形態]
次に、本発明の第五実施形態について説明する。
図7,図8に示される本発明の第五実施形態に係る光コネクタ140は、上述の本発明の第一実施形態に係る光コネクタ140に対し、次の如く構成が変更されている。
すなわち、コード固定部材14には、図7に示されるように、心線把持部146が一体に形成されている。この心線把持部146は、一対のアーム片148,149を有しており、各アーム片148,149は、コード固定部34からファイバ固定部20に向けて延出されている。
一方のアーム片148における長手方向中央部には、一つの爪部150Aが他方のアーム片149に向けて形成されている。一方、他方のアーム片149には、上述の爪部150Aと互い違いとなるように、一対の爪部150B,150Cが一方のアーム片148に向けて形成されている。さらに、一方のアーム片148は、他方のアーム片149よりも長く形成されており、この一方のアーム片148の先端部は、摺接部152とされている。
一方、図8に示されるように、後側壁部44には、一方のアーム片148に向けて突出された解除部としての被摺接部156が形成されている。また、この被摺接部156の先端には、光コネクタ140の軸方向に対して傾斜する傾斜面156Aが形成されている。
そして、この光コネクタ140では、図8に示されるように、コード固定部材14が延長部58と可動部60との間に配置された状態でファイバ固定部20に接近されると、摺接部152の先端側が被摺接部156の傾斜面156Aと摺接され、これにより、一方のアーム片148が他方のアーム片149に対して離間側に弾性変形されて、複数の爪部150A,150B,150Cによる突出部72Aの把持が解除される構成とされている。
また、この光コネクタ140では、上述の図8に示される状態では、摺接部152が被摺接部156に押圧されて一方のアーム片148が弾性変形されることによりコード固定部材14のファイバ固定部20側の移動が規制されると共に、抜止部62によってコード固定部材14のファイバ固定部20に対する離間側の移動が規制され、且つ、延長部58及び可動部60によってコード固定部材14の光コネクタ140の径方向への移動が規制される構成とされている。
次に、上記構成からなる光コネクタ140の組立方法と併せてその作用及び効果について説明する。
先ず、図7に示されるように、光ファイバコード70にコード固定部材14を一体に取り付けると共に、光ファイバ心線72の突出部72Aを複数の爪部150A,150B,150Cによって把持する。また、可動部60を開状態とする(図1A参照)。
続いて、上述の本発明の第一実施形態と同様に、突出部72Aをファイバ固定部20の内部に挿入して、この突出部72Aを内蔵光ファイバ22に突き合わせると共に、突出部72Aの一部に撓み78を生じさせ、突出部72Aと内蔵光ファイバ22との確実な突き合わせ状態を確認する。そして、この状態で、楔を抜き去り、互いに突き合わされた突出部72Aと内蔵光ファイバ22とをファイバ固定部20によって固定する。
そして、その後に、図8に示されるように、コード固定部材14をファイバ固定部20に接近させて、摺接部152の先端側を被摺接部156の傾斜面156Aと接触させ、この状態からコード固定部材14をファイバ固定部20にさらに接近させる。これにより、摺接部152の先端側が被摺接部156の傾斜面156Aと摺接され、これにより、一方のアーム片148が他方のアーム片149に対して離間側に弾性変形されて、複数の爪部150A,150B,150Cによる突出部72Aの把持が解除される。
続いて、可動部60を閉状態とする。これにより、抜止部62によってコード固定部材14のファイバ固定部20に対する離間側の移動が規制されると共に、延長部58及び可動部60によってコード固定部材14の光コネクタ140の径方向への移動が規制される。また、このときには、摺接部152が被摺接部156に押圧されて一方のアーム片148が弾性変形されることによりコード固定部材14のファイバ固定部20側の移動が規制される。つまり、コード固定部材14がハウジング本体46に対して保持される。そして、以上の要領により、光ファイバコード70に光コネクタ140が取り付けられる。
このように、この光コネクタ140によれば、所謂、ルースな光ファイバコード70であっても、コード固定部34に一体に形成された心線把持部146によって突出部72Aを把持することで、この突出部72Aを有する光ファイバ心線72をシース74及び抗張力体76に対して長手方向に移動不能な状態とすることができる。従って、突出部72Aをファイバ固定部20の内部に挿入する際に、この突出部72Aがシース74内に押し戻されることを抑制して、突出部72Aを内蔵光ファイバ22に確実に突き合わせることができる。
また、心線把持部146による突出部72Aの把持が解除されると、光ファイバ心線72がシース74及び抗張力体76に対して長手方向に移動可能な状態に戻るので、突出部72Aの撓み78を解消させることができる。これにより、突出部72Aの撓み78を収容しておくための空間を光コネクタ140内に確保する必要がないため、光コネクタ140の小型化を図ることができる。
しかも、コード固定部材14をファイバ固定部20に接近させるだけ(コード固定部材14をファイバ固定部20側に押し込むだけ)の簡単な操作で、心線把持部146による突出部72Aの把持を解除することができる。
さらに、突出部72Aの撓み78を解消させることにより、光ファイバ心線72の曲げ損失等の発生も抑制することができる。
また、心線把持部146がコード固定部34に一体に形成されているので、部品点数の増加を抑えることができる。
また、複数の爪部150A,150B,150Cによる突出部72Aの把持が解除された状態では、摺接部152が被摺接部156に押圧されて一方のアーム片148が弾性変形されると共に、コード固定部材14が抜止部62、延長部58、及び、可動部60によって挟み込まれることにより、コード固定部材14をハウジング本体46に対して保持することができる。これにより、光コネクタ10からの光ファイバコード70の抜けやガタツキ等を抑制することができる。
また、複数の爪部150A,150B,150Cが互い違いに配置されており、この複数の爪部150A,150B,150Cによって突出部72Aを少し撓ませた状態で把持することができる。これにより、複数の爪部150A,150B,150Cの把持力(アーム片148,149の弾性力)が弱くても突出部72Aを十分に把持することができるので、突出部72Aの破断を抑制することができる。
なお、この光コネクタ140において、心線把持部146は、一対のアーム片148,149を有して構成されていたが、アーム片を3つ以上ずつ有して構成されていても良く、また、爪部も4つ以上有して構成されていても良い。
また、摺接部152は、一方のアーム片148に形成されていたが、例えば、一方のアーム片148の爪部150Aに形成されていても良い。
また、心線把持部146は、コード固定部34に一体に形成されていたが、コード固定部34と別体に構成されて、このコード固定部34に一体に取り付けられても良い。
[第六実施形態]
次に、本発明の第六実施形態について説明する。
図9A,図9Bに示される本発明の第六実施形態に係る光コネクタ160は、上述の本発明の第一実施形態に係る光コネクタ10に対し、次の如く構成が変更されている。
なお、図9A,図9Bに示されるコード固定部材14以外の構成は、上述の本発明の第一実施形態と同様な構成とされており、この同様な構成については、図1A,図1Bを参照することとする。
すなわち、コード固定部材14は、上述のコード固定部34に加えて、心線把持部としての心線把持部材166と、被嵌合部172とを有して構成されている。
心線把持部材166は、コード固定部34と別体に構成されており、ブロック状に形成されている。また、この心線把持部材166は、例えば、ゴム等の弾性材料により形成されており、この心線把持部材166の上面には、ツマミ168が突出して形成されている。さらに、この心線把持部材166は、後述する被嵌合部172と嵌合可能に構成されている。
一方、被嵌合部172は、凹型に形成されると共に、コード固定部34に一体に形成されている。この被嵌合部172の底面には、把持突起174が形成されており、この把持突起174は、被嵌合部172に心線把持部材166が嵌合された場合に、この心線把持部材166とで突出部72Aを把持する構成とされている。
なお、この光コネクタ160では、コード固定部材14が延長部58の上に配置された状態でも、可動部60が開状態とされているときには(図1A参照)、被嵌合部172からの心線把持部材166の取り外しが可能とされている。
次に、上記構成からなる光コネクタ160の組立方法と併せてその作用及び効果について説明する。
先ず、図9Aに示されるように、光ファイバコード70にコード固定部材14を一体に取り付ける。続いて、図9Bに示されるように、心線把持部材166を被嵌合部172に嵌合する。これにより、この心線把持部材166及び把持突起174によって突出部72Aが把持される。また、可動部60を開状態とする(図1A参照)。
続いて、上述の本発明の第一実施形態と同様に、突出部72Aをファイバ固定部20の内部に挿入して、この突出部72Aを内蔵光ファイバ22に突き合わせると共に、突出部72Aの一部に撓み78を生じさせ、突出部72Aと内蔵光ファイバ22との確実な突き合わせ状態を確認する。そして、この状態で、楔を抜き去り、互いに突き合わされた突出部72Aと内蔵光ファイバ22とをファイバ固定部20によって固定する(図1A参照)。
そして、その後に、図9Aに示されるように、心線把持部材166を被嵌合部172から取り外す。これにより、突出部72Aの把持が解除される。
続いて、可動部60を閉状態とする(図1B参照)。これにより、抜止部62によってコード固定部材14の光コネクタの軸方向への移動が規制されると共に、延長部58及び可動部60によってコード固定部材14の光コネクタの径方向への移動が規制される。また、このときには、図示しない規制部等により、コード固定部材14のハウジング本体46に対する軸方向の移動が規制される。つまり、コード固定部材14がハウジング本体46に対して保持される。そして、以上の要領により、本実施形態の光コネクタ160が光ファイバコード70に取り付けられる。
このように、この光コネクタ160によれば、所謂、ルースな光ファイバコード70であっても、コード固定部34に一体に形成された被嵌合部172に心線把持部材166を嵌合して突出部72Aを把持することで、この突出部72Aを有する光ファイバ心線72をシース74及び抗張力体76に対して長手方向に移動不能な状態とすることができる。従って、突出部72Aをファイバ固定部20の内部に挿入する際に、この突出部72Aがシース74内に押し戻されることを抑制して、突出部72Aを内蔵光ファイバ22に確実に突き合わせることができる。
また、心線把持部材166が被嵌合部172から取り外されて突出部72Aの把持が解除されると、光ファイバ心線72がシース74及び抗張力体76に対して長手方向に移動可能な状態に戻るので、突出部72Aの撓み78を解消させることができる。これにより、突出部72Aの撓み78を収容しておくための空間を光コネクタ160内に確保する必要がないため、光コネクタ160の小型化を図ることができる。
しかも、突出部72Aの撓み78を解消させることにより、光ファイバ心線72の曲げ損失等の発生も抑制することができる。
さらに、必要に応じて、被嵌合部172から取り外された心線把持部材166を他の光コネクタ160に再利用(使い回し)することができる。
また、心線把持部材166が例えばゴム等の弾性材料により形成されているので、突出部72Aの破断を抑制することができる。
なお、この光コネクタ160では、把持突起174が省略されて、心線把持部材166と被嵌合部172の底面とで突出部72Aが把持される構成とされていても良い。
また、心線把持部材166は、光コネクタ160に一体部品として備えられていても良く、また、別体の治具とされていても良い。
[第七実施形態]
次に、本発明の第七実施形態について説明する。
図10,図11に示される本発明の第七実施形態に係る光コネクタ180は、上述の本発明の第六実施形態に係る光コネクタ160に対し、心線把持部材166の代わりに、コード固定部材14を光コネクタ180内に挿入する際に使用する心線把持部としての治具186が備えられている。
なお、図10,図11に示されるコード固定部材14及び治具186以外の構成は、上述の本発明の第一実施形態と同様な構成とされており、この同様な構成については、図1A,図1Bを参照することとする。
治具186は、操作者が操作するための操作部192と、この操作部192の先端側に形成されコード固定部34に取り付けられる取付部190と、取付部190の先端側に形成された一対の弾性片188とを有している。一対の弾性片188は、突出部72Aを把持可能に構成されている。
なお、この光コネクタ180では、コード固定部材14が延長部58の上に配置された状態でも、可動部60が開状態とされているときには(図1A参照)、コード固定部材14からの治具186の取り外しが可能とされている。
次に、上記構成からなる光コネクタ180の組立方法と併せてその作用及び効果について説明する。
先ず、図10に示されるように、光ファイバコード70にコード固定部材14を一体に取り付ける。続いて、取付部190をコード固定部34に取り付けて治具186をコード固定部材14に一体に取り付ける。また、このときに、一対の弾性片188によって突出部72Aを把持する。また、可動部60を開状態とする(図1A参照)。
続いて、治具186を操作してコード固定部材14をハウジング16内に挿入する。そして、上述の本発明の第一実施形態と同様に、突出部72Aをファイバ固定部20の内部に挿入して、この突出部72Aを内蔵光ファイバ22に突き合わせると共に、突出部72Aの一部に撓み78を生じさせ、突出部72Aと内蔵光ファイバ22との確実な突き合わせ状態を確認する。続いて、この状態で、楔を抜き去り、互いに突き合わされた突出部72Aと内蔵光ファイバ22とをファイバ固定部20によって固定する(図1A参照)。
そして、その後に、治具186をコード固定部材14から取り外す。これにより、突出部72Aの把持が解除される。
続いて、可動部60を閉状態とする(図1B参照)。これにより、抜止部62によってコード固定部材14の光コネクタの軸方向への移動が規制されると共に、延長部58及び可動部60によってコード固定部材14の光コネクタの径方向への移動が規制される。また、このときには、図示しない規制部等により、コード固定部材14のハウジング本体46に対する軸方向の移動が規制される。つまり、コード固定部材14がハウジング本体46に対して保持される。そして、以上の要領により、本実施形態の光コネクタ180が光ファイバコード70に取り付けられる。
このように、この光コネクタ180によれば、所謂、ルースな光ファイバコード70であっても、コード固定部材14に一体に取り付けた治具186によって突出部72Aを把持することで、この突出部72Aを有する光ファイバ心線72をシース74及び抗張力体76に対して長手方向に移動不能な状態とすることができる。従って、突出部72Aをファイバ固定部20の内部に挿入する際に、この突出部72Aがシース74内に押し戻されることを抑制して、突出部72Aを内蔵光ファイバ22に確実に突き合わせることができる。
また、治具186がコード固定部材14から取り外されて突出部72Aの把持が解除されると、光ファイバ心線72がシース74及び抗張力体76に対して長手方向に移動可能な状態に戻るので、突出部72Aの撓み78を解消させることができる。これにより、突出部72Aの撓み78を収容しておくための空間を光コネクタ180内に確保する必要がないため、光コネクタ180の小型化を図ることができる。
しかも、突出部72Aの撓み78を解消させることにより、光ファイバ心線72の曲げ損失等の発生も抑制することができる。
さらに、必要に応じて、コード固定部材14から取り外された治具186を他の光コネクタ180に再利用(使い回し)することができる。
なお、この光コネクタ180において、治具186は、一対の弾性片188を有して構成されていたが、3つ以上の弾性片を有して構成されていても良い。
また、治具186は、光コネクタ180毎に用意されていても良く、また、複数の光コネクタ180に共通に用いられても良い。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施することが可能であることは勿論である。