JP2011017753A - 感放射線性樹脂組成物およびその用途、誘電体ならびに電子部品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)フェノール性水酸基を有する重合体と(B)感放射線性酸発生剤と(C)架橋剤と(E)強誘電性無機粒子と(F)ピラゾール環を有するアゾ系紫外線吸収剤とを含有する感放射線性樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
(1)放射線(露光光)に対して高感度で、かつ低温焼成が可能であること。
(2)薄膜であっても高い誘電率および低い誘電正接を有し、かつ解像度および電気絶縁性に優れた誘電体を形成することが可能であること。
[3]前記(C)成分として、(C1)アルキルエーテル化されたアミノ基を分子中に少なくとも2つ有する化合物と、(C2)オキシラニル基含有化合物とから選ばれる少なくとも1種を含有する前記[1]または[2]に記載の感放射線性樹脂組成物。
[5]前記(E)成分が、チタン系金属酸化物からなる無機粒子である前記[1]〜[4]の何れか1項に記載の感放射線性樹脂組成物。
[7]前記(E)成分の体積平均粒子径が、0.01〜3.0μmである前記[1]〜[6]の何れか1項に記載の感放射線性樹脂組成物。
[9](I)カルボキシル基含有(メタ)アクリレート由来の構成単位を有する重合体をさらに含有する前記[1]〜[8]の何れか1項に記載の感放射線性樹脂組成物。
[11]前記[1]〜[10]の何れか1項に記載の感放射線性樹脂組成物から得られる誘電体。
本発明に係る誘電体は上記特性を有するため、電子部品(例:半導体素子、(多層)プリント配線基板、コンデンサ、高周波アンテナ)の部材として好適に利用できる。つまり本発明に係る誘電体は、近年の電子部品に対する小型化・薄型化・高密度化の要求に応えることができる。
本発明に係る感放射線性樹脂組成物は、(A)フェノール性水酸基を有する重合体と、(B)感放射線性酸発生剤と、(C)架橋剤と、(E)強誘電性無機粒子と、(F)ピラゾール環を有するアゾ系紫外線吸収剤とを含有する。
(A)フェノール性水酸基を有する重合体(以下「フェノール樹脂(A)」ともいう。)としては、アルカリ現像液に溶解する性質を有すれば特に限定されない。但し、カルボキシル基含有(メタ)アクリレート由来の構成単位を有する重合体を除く。
上記フェノール類としては、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、o−ブチルフェノール、m−ブチルフェノール、p−ブチルフェノール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、2,3,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール、カテコール、レゾルシノール、ピロガロール、α−ナフトール、β−ナフトールなどが挙げられる。
上記ノボラック樹脂の好ましい具体例としては、フェノール/ホルムアルデヒド縮合ノボラック樹脂、クレゾール/ホルムアルデヒド縮合ノボラック樹脂、フェノール−ナフトール/ホルムアルデヒド縮合ノボラック樹脂が挙げられる。
(B)感放射線性酸発生剤(以下「酸発生剤(B)」ともいう。)は、放射線の照射により酸を発生する化合物である。この酸の触媒作用により、フェノール樹脂(A)と架橋剤(C)とが反応し、ネガ型のパターンを形成することができる。
架橋剤(C)は、フェノール樹脂(A)と反応する架橋成分(硬化成分)として作用する性質を有すれば特に限定されないが、(C1)アルキルエーテル化されたアミノ基を分子中に少なくとも2つ有する化合物(以下「架橋剤(C1)」ともいう。)、(C2)オキシラニル基含有化合物(以下「エポキシ樹脂(C2)」ともいう。)が好ましい。架橋剤(C)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
架橋剤(C1)は、アルキルエーテル化されたアミノ基を分子中に少なくとも2つ有する。架橋剤(C1)は、フェノール樹脂(A)と反応する架橋成分として作用する。架橋剤(C1)中のアルキルエーテル基とフェノール樹脂(A)中のフェノール性水酸基とが脱アルコールを伴って反応して、ネガ型のパターンを形成できる。
本発明に係る感放射線性樹脂組成物において、架橋剤(C1)は、フェノール樹脂(A)100重量部に対して、好ましくは1〜100重量部、より好ましくは5〜50重量部の範囲で含まれる。架橋剤(C1)の含有量が前記範囲を下回ると、露光による塗膜の硬化が不充分になることがある。その結果、パターニングが困難になる、あるいは形成される誘電体の耐熱性が低下することがある。架橋剤(C1)の含有量が前記範囲を上回ると、形成される誘電体の解像度や電気絶縁性が低下することがある。
エポキシ樹脂(C2)は、特に限定されないが、例えばオキシラニル基(オキシラン環)を分子中に少なくとも2つ有する化合物である。エポキシ樹脂(C2)もまた、フェノール樹脂(A)と反応する架橋成分として作用する。
本発明に係る感放射線性樹脂組成物の取り扱い性を向上させる、あるいは粘度や保存安定性を調節するため、溶剤(D)を用いることが好ましい。
プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルなどのプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテルなどのプロピレングリコールジアルキルエーテル類;
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのセロソルブ類;
ブチルカルビトールなどのカルビトール類;
乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−プロピル、乳酸イソプロピルなどの乳酸エステル類;酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸n−アミル、酢酸イソアミル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸イソブチルなどの脂肪族カルボン酸エステル類;3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチルなどの他のエステル類;
トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類;N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類;γ-ブチロラクンなどのラクトン類が挙げられる。
(E)強誘電性無機粒子(以下「無機粒子(E)」ともいう。)は、誘電体形成用材料に用いられる無機粒子であれば特に限定されない。その誘電率は、30以上であることが好ましく、50以上であることがより好ましく、70以上であることがさらに好ましい。無機粒子(E)の誘電率は高い分には問題なく、上限値は特に限定されないが、通常は30000程度である。
無機粒子(E)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(F)ピラゾール環を有するアゾ系紫外線吸収剤(以下「ピラゾール環含有紫外線吸収剤(F)」ともいう。)を用いることにより、形成される誘電体の解像度が大幅に向上する。その理由は、後述する露光工程での無機粒子(E)による光散乱を抑えられるためにあると推定される。
本発明に係る感放射線性樹脂組成物において、ピラゾール環含有紫外線吸収剤(F)は、フェノール樹脂(A)100重量部に対して、好ましくは0.1〜20重量部、より好ましくは0.3〜15重量部、特に好ましくは0.5〜10重量部の範囲で含まれる。ピラゾール環含有紫外線吸収剤(F)の含有量が前記範囲にあると、効果的にハレーションを抑えることができ、解像度が向上する点で好ましい。
本発明に係る感放射線性樹脂組成物は、フェノール樹脂(A)とは異なる(G)フェノール性低分子化合物(以下「フェノール化合物(G)」ともいう。)を含有することが好ましい。
本発明に係る感放射線性樹脂組成物は、密着助剤(H)を含有することが好ましい。密着助剤(H)としては、シラン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、ジルコネート系カップリング剤などが挙げられる。密着助剤(H)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
n−プロピルジエチルメトキシシラン、n−ブチルジエチルメトキシシラン、n−デシルジエチルメトキシシラン、n−ヘキサデシルジエチルメトキシシラン、n−イコサンジエチルメトキシシランなどの飽和アルキルジエチルメトキシシラン類(a=1,m=1,n=2);
n−ブチルジプロピルメトキシシラン、n−デシルジプロピルメトキシシラン、n−ヘキサデシルジプロピルメトキシシラン、n−イコサンジプロピルメトキシシランなどの飽和アルキルジプロピルメトキシシラン類(a=1,m=1,n=3);
n−プロピルジメチルエトキシシラン、n−ブチルジメチルエトキシシラン、n−デシルジメチルエトキシシラン、n−ヘキサデシルジメチルエトキシシラン、n−イコサンジメチルエトキシシランなどの飽和アルキルジメチルエトキシシラン類(a=1,m=2,n=1);
n−プロピルジエチルエトキシシラン、n−ブチルジエチルエトキシシラン、n−デシルジエチルエトキシシラン、n−ヘキサデシルジエチルエトキシシラン、n−イコサンジエチルエトキシシランなどの飽和アルキルジエチルエトキシシラン類(a=1,m=2,n=2);
n−ブチルジプロピルエトキシシラン、n−デシルジプロピルエトキシシラン、n−ヘキサデシルジプロピルエトキシシラン、n−イコサンジプロピルエトキシシランなどの飽和アルキルジプロピルエトキシシラン類(a=1,m=2,n=3);
n−プロピルジメチルプロポキシシラン、n−ブチルジメチルプロポキシシラン、n−デシルジメチルプロポキシシラン、n−ヘキサデシルジメチルプロポキシシラン、n−イコサンジメチルプロポキシシランなどの飽和アルキルジメチルプロポキシシラン類(a=1,m=3,n=1);
n−プロピルジエチルプロポキシシラン、n−ブチルジエチルプロポキシシラン、n−デシルジエチルプロポキシシラン、n−ヘキサデシルジエチルプロポキシシラン、n−イコサンジエチルプロポキシシランなどの飽和アルキルジエチルプロポキシシラン類(a=1,m=3,n=2);
n−ブチルジプロピルプロポキシシラン、n−デシルジプロピルプロポキシシラン、n−ヘキサデシルジプロピルプロポキシシラン、n−イコサンジプロピルプロポキシシランなどの飽和アルキルジプロピルプロポキシシラン類(a=1,m=3,n=3);
n−プロピルメチルジメトキシシラン、n−ブチルメチルジメトキシシラン、n−デシルメチルジメトキシシラン、n−ヘキサデシルメチルジメトキシシラン、n−イコサンメチルジメトキシシランなどの飽和アルキルメチルジメトキシシラン類(a=2,m=1,n=1);
n−プロピルエチルジメトキシシラン、n−ブチルエチルジメトキシシラン、n−デシルエチルジメトキシシラン、n−ヘキサデシルエチルジメトキシシラン、n−イコサンエチルジメトキシシランなどの飽和アルキルエチルジメトキシシラン類(a=2,m=1,n=2);
n−ブチルプロピルジメトキシシラン、n−デシルプロピルジメトキシシラン、n−ヘキサデシルプロピルジメトキシシラン、n−イコサンプロピルジメトキシシランなどの飽和アルキルプロピルジメトキシシラン類(a=2,m=1,n=3);
n−プロピルメチルジエトキシシラン、n−ブチルメチルジエトキシシラン、n−デシルメチルジエトキシシラン、n−ヘキサデシルメチルジエトキシシラン、n−イコサンメチルジエトキシシランなどの飽和アルキルメチルジエトキシシラン類(a=2,m=2,n=1);
n−プロピルエチルジエトキシシラン、n−ブチルエチルジエトキシシラン、n−デシルエチルジエトキシシラン、n−ヘキサデシルエチルジエトキシシラン、n−イコサンエチルジエトキシシランなどの飽和アルキルエチルジエトキシシラン類(a=2,m=2,n=2);
n−ブチルプロピルジエトキシシラン、n−デシルプロピルジエトキシシラン、n−ヘキサデシルプロピルジエトキシシラン、n−イコサンプロピルジエトキシシランなどの飽和アルキルプロピルジエトキシシラン類(a=2,m=2,n=3);
n−プロピルメチルジプロポキシシラン、n−ブチルメチルジプロポキシシラン、n−デシルメチルジプロポキシシラン、n−ヘキサデシルメチルジプロポキシシラン、n−イコサンメチルジプロポキシシランなどの飽和アルキルメチルジプロポキシシラン類(a=2,m=3,n=1);
n−プロピルエチルジプロポキシシラン、n−ブチルエチルジプロポキシシラン、n−デシルエチルジプロポキシシラン、n−ヘキサデシルエチルジプロポキシシラン、n−イコサンエチルジプロポキシシランなどの飽和アルキルエチルジプロポキシシラン類(a=2,m=3,n=2);
n−ブチルプロピルジプロポキシシラン、n−デシルプロピルジプロポキシシラン、n−ヘキサデシルプロピルジプロポキシシラン、n−イコサンプロピルジプロポキシシランなどの飽和アルキルプロピルジプロポキシシラン類(a=2,m=3,n=3);
n−プロピルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−イコサントリメトキシシランなどの飽和アルキルトリメトキシシラン類(a=3,m=1);
n−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−デシルトリエトキシシラン、n−ヘキサデシルトリエトキシシラン、n−イコサントリエトキシシランなどの飽和アルキルトリエトキシシラン類(a=3,m=2);
n−プロピルトリプロポキシシラン、n−ブチルトリプロポキシシラン、n−デシルトリプロポキシシラン、n−ヘキサデシルトリプロポキシシラン、n−イコサントリプロポキシシランなどの飽和アルキルトリプロポキシシラン類(a=3,m=3)が挙げられる。シランカップリング剤(1)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(I)カルボキシル基含有(メタ)アクリレート由来の構成単位を有する重合体(以下「(メタ)アクリレート樹脂(I)」ともいう。)を用いることにより、形成される誘電体の解像度が大幅に向上する。その理由は、(メタ)アクリレート樹脂(I)が無機粒子(E)と相互作用し、キレート配位するためであると推定される。
カルボキシル基含有(メタ)アクリレートは、少なくとも一個、好ましくは一個のカルボキシル基と、少なくとも一個、好ましくは一個の(メタ)アクリロイル基とを分子中に有する化合物である。
・2−(メタ)アクリロイルオキシエチルマロン酸、
・2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、
・2−(メタ)アクリロイルオキシエチルグルタル酸、
・2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸(o,m,p−体)、
・2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルフタル酸(o,m,p−体)、
・下記一般式(2a)で表されるカルボキシル基含有(メタ)アクリレート
が挙げられる。
・2−(メタ)アクリロイルオキシエチルテトラヒドロフタル酸、
・2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、
・2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロフタル酸、
・2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロフタル酸、
・これらの位置異性体(o,m,p−体)
が挙げられる。
単環式脂肪族炭化水素基を有する単量体としては、シクロアルキル(メタ)アクリレート(例:シクロヘキシル(メタ)アクリレート)、ヒドロキシシクロアルキル(メタ)アクリレート(例:ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート)などが挙げられる。
他の単量体としては、(メタ)アクリル酸エステル(但し、カルボキシル基含有(メタ)アクリレートおよび単環式脂肪族炭化水素基を有する単量体を除く。);(メタ)アクリル酸、クロトン酸などの不飽和モノカルボン酸;スチレン、α−メチルスチレン、ビニル安息香酸、ビニルフタル酸、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル類;イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などの不飽和ジカルボン酸などが挙げられる。他の単量体は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(メタ)アクリレート樹脂(I)を製造する際には、重合開始剤を用いることが好ましい。重合開始剤としては、N,N'−アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物;4−アジドベンズアルデヒドなどのアジド化合物;ベンジル、ベンゾイン、ベンゾフェノン、カンファーキノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−メチル−[4'−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オンなどのカルボニル化合物;ジt−ブチルパーオキサイド、ジt−ヘキシルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイドなどのパーオキサイド化合物などが挙げられる。重合開始剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明に係る感放射線性樹脂組成物は、可塑剤、分散剤、充填材、保存安定剤、消泡剤、酸化防止剤、上記(F)成分以外の紫外線吸収剤、現像促進剤、増感剤、レベリング剤などの添加剤を含有してもよい。
本発明に係る感放射線性樹脂組成物は、上記各成分を、混練機(例:ロール混練機、ミキサー、ホモミキサー、ボールミル、ビーズミル)を用いて混練することにより調製することができる。本発明に係る感放射線性樹脂組成物は、誘電体形成用材料として好適に用いることができる。
本発明に係る誘電体は、上記感放射線性樹脂組成物から得られる。下記特性を有する誘電体は、上記感放射線性樹脂組成物を用いて、例えば後述する〔誘電体の形成方法〕の記載に従って製造できる。
本発明に係る誘電体の厚さは、好ましくは20μm以下、より好ましくは10μm以下である。誘電体の厚さの下限は特に限定されないが、通常は1μm程度である。
本発明に係る誘電体は、例えば、[1]上記感放射線性樹脂組成物を基板上に塗布して塗膜を形成する工程(塗布工程)、[2]前記塗膜を露光する工程(露光工程)、[3]露光後の前記塗膜を現像してパターン化膜を形成する工程(現像工程)、および[4]前記パターン化膜を加熱処理して誘電体を形成する工程(硬化工程)を有する形成方法に従って製造できる。また、前記各工程中に、乾燥または予備反応の目的で、50〜300℃の加熱工程を設けてもよい。
塗布工程では、例えば塗布機などを用いて、上記感放射線性樹脂組成物を基板上に塗布して塗膜を形成する。前記塗布機の好ましい具体例としては、スピナー、スクリーン印刷機、グラビアコート機、ロールコート機、バーコーターが挙げられる。前記基板の好ましい具体例としては、金属スパッタ膜を有するシリコンウエハ;プリント基板;ガラス、アルミナなどからなる板状部材が挙げられる。
露光工程では、上記塗膜を露光する。具体的には、[1]塗布工程において形成された塗膜の表面に、露光用マスクを介して放射線を選択的に照射(露光)し、好ましくは続いて加熱処理(以下、この加熱処理を「PEB」ともいう。)を行うことにより、塗膜にパターンの潜像を形成する。
現像工程では、露光後の上記塗膜を現像してパターン化膜を形成する。具体的には、[2]露光工程において露光、好ましくは続いてPEBされた塗膜を現像することにより、塗膜に形成されたパターンの潜像を顕在化させる。現像工程により、塗膜残留部と塗膜除去部とから構成されるパターン(露光用マスクに対応するパターン)が形成される。
硬化工程では、上記パターン化膜を加熱処理して誘電体を形成する。硬化工程により、上記パターン化膜を充分に硬化させることができ、上記特性を有する誘電体硬化物を形成することができる。
本発明に係る誘電体は、上記のように300℃以下という低温で加熱処理して得ることができ、好ましくは誘電率が10.0以上かつ誘電正接が0.1以下である。このため、前記誘電体を用いることにより、薄膜で静電容量の大きなコンデンサなどを形成できる。
重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、下記条件で測定した。
・測定方法:ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法
・標準物質:ポリスチレン
・装置:東ソー(株)製、商品名:HLC−8020
・カラム:東ソー(株)製ガードカラムHXL−H、TSK gel G7000HXL、TSK gel GMHXL 2本、TSK gel G2000HXLを順次連結したもの
・溶媒:テトラヒドロフラン
・サンプル濃度:0.7%
・注入量:70μL
・流速:1mL/min
また、パターン化膜および誘電体硬化物の特性については、下記の方法で評価した。
4インチのシリコンウエハ上に実施例および比較例で得られた感放射線性樹脂組成物をスピンコートし、ホットプレートを用いて110℃で3分間加熱し、7μm厚の均一な塗膜を作製した。その後、アライナー(Suss Microtec社製 MA−200e)を用い、高圧水銀灯からの紫外線を波長350nmにおける露光量が100〜2000mJ/cm2となるように、露光用マスクを介して前記塗膜を露光した。
5cm角のSuss製基板上に実施例および比較例で得られた感放射線性樹脂組成物をスピンコートし、ホットプレートを用いて110℃で3分間加熱し、10μm厚の均一な塗膜を作製した。その後、アライナー(Suss Microtec社製 MA−200e)を用い、上記感度評価で最適露光量とした露光量で前記塗膜を露光した。
図1のように、基板1上にパターン状の銅箔2を有する絶縁性評価用の基材3上に、実施例および比較例で得られた感放射線性樹脂組成物を塗布し、ホットプレートを用いて110℃で3分間加熱し、銅箔2上に10μm厚の塗膜を有する基材を作製した。その後、対流式オーブンを用いて190℃で1時間加熱し、前記塗膜を硬化させて硬化膜を形成した。前記硬化膜が形成された試験基材をマイグレーション評価システム(タバイエスペック社製、型式「AEI,EHS−221MD」)に投入し、温度121℃、湿度85%、圧力1.2気圧、印加電圧5Vの条件で200時間処理した。次いで、この試験基材の抵抗値(Ω)を測定し、下記基準で電気絶縁性を評価した。
AA:1×1011Ω以上
BB:1×1011Ω未満
攪拌機、冷却管および温度計付きの3L三つ口セパラブルフラスコに、混合クレゾール(m−クレゾール/p−クレゾール=60/40(モル比))840g、37%ホルムアルデヒド水溶液600gおよびシュウ酸0.36gを仕込んだ。
p−t−ブトキシスチレン100部をプロピレングリコールモノメチルエーテル150部に溶解させ、窒素雰囲気下、反応温度を70℃に保持して、N,N'−アゾビスイソブチロニトリル4部を用いて10時間重合させた。
メチルメタクリレート30g、ラウリルメタクリレート40g、2−アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロフタル酸(大阪有機化学社製、「ビスコート#2180」)30g、N,N'−アゾビスイソブチロニトリル5gをプロピレングリコールモノメチルエーテル50gと混合・攪拌し、均一なアクリルモノマー溶液を得た。
この溶液に、上記アクリルモノマー溶液を2時間かけて連続滴下して反応させた後、さらに90℃で4時間反応させた。その後、100℃で1時間反応させて、Mw=15000の(メタ)アクリレート樹脂(I−1)を得た。
フェノール樹脂(A)、酸発生剤(B)、架橋剤(C)、溶剤(D)、無機粒子(E)、ピラゾール環含有紫外線吸収剤(F)、フェノール化合物(G)、密着助剤(H)および(メタ)アクリレート樹脂(I)をそれぞれ表1に示す量で秤量し、ビーズミルで混練した後、ステンレスメッシュ(500メッシュ)でフィルタリングすることにより、感放射線性樹脂組成物を調製した。前記感放射線性樹脂組成物を用いて、上記評価1〜3を行った。評価結果を表2に示す。
なお、表1記載の成分は以下のとおりである。
A−1:m−クレゾール/p−クレゾール=60/40(モル比)のクレゾールノボラック樹脂(Mw=6500、クレゾール/ホルムアルデヒド縮合ノボラック樹脂)
A−2:p−ヒドロキシスチレン単独重合体(Mw=10000、Mw/Mn=3.5)
<酸発生剤(B)>
B−1:スチリル−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン
<架橋剤(C1)>
C1−1:ヘキサメトキシメチル化メラミン
(三井サイテック(株)製、商品名:サイメル300)
<エポキシ樹脂(C2)>
C2−1:ビスフェノールA型エポキシ樹脂
(ジャパンエポキシレジン(株)製、商品名:EP−828)
<溶剤(D)>
D−1:乳酸エチル
D−2:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
E−1:チタン酸ストロンチウム(ペロブスカイト型構造、誘電率=330、体積平均粒子径=500nm、日本化学工業(株)製)
<ピラゾール環含有紫外線吸収剤(F)>
F−1:1−フェニル−3−メチル−4−(4−メチルフェニルアゾ)−5−オキシピラゾール
<フェノール化合物(G)>
G−1:1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−[4−{1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル}フェニル]エタン
<密着助剤(H)>
H−1:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
(チッソ(株)製、商品名:S−510)
<(メタ)アクリレート樹脂(I)>
I−1:合成例3で合成した(メタ)アクリレート樹脂(Mw=15000)
2・・・銅箔
3・・・絶縁性評価用の基材
Claims (12)
- (A)フェノール性水酸基を有する重合体と、
(B)感放射線性酸発生剤と、
(C)架橋剤と、
(E)強誘電性無機粒子と、
(F)ピラゾール環を有するアゾ系紫外線吸収剤と
を含有する感放射線性樹脂組成物。 - 前記(A)成分として、ノボラック樹脂を少なくとも含有する請求項1に記載の感放射線性樹脂組成物。
- 前記(C)成分として、
(C1)アルキルエーテル化されたアミノ基を分子中に少なくとも2つ有する化合物と、(C2)オキシラニル基含有化合物と
から選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1または2に記載の感放射線性樹脂組成物。 - 前記オキシラニル基含有化合物(C2)が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂である請求項3に記載の感放射線性樹脂組成物。
- 前記(E)成分が、チタン系金属酸化物からなる無機粒子である請求項1〜4の何れか1項に記載の感放射線性樹脂組成物。
- 前記チタン系金属酸化物からなる無機粒子が、ペロブスカイト型構造の金属酸化物からなる無機粒子である請求項5に記載の感放射線性樹脂組成物。
- 前記(E)成分の体積平均粒子径が、0.01〜3.0μmである請求項1〜6の何れか1項に記載の感放射線性樹脂組成物。
- (G)フェノール性低分子化合物
をさらに含有する請求項1〜7の何れか1項に記載の感放射線性樹脂組成物。 - (I)カルボキシル基含有(メタ)アクリレート由来の構成単位を有する重合体
をさらに含有する請求項1〜8の何れか1項に記載の感放射線性樹脂組成物。 - 誘電体形成用材料である請求項1〜9の何れか1項に記載の感放射線性樹脂組成物。
- 請求項1〜10の何れか1項に記載の感放射線性樹脂組成物から得られる誘電体。
- 請求項11に記載の誘電体を有する電子部品。
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