JP2011016688A - 封着用ガラス - Google Patents

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Abstract

【課題】広い波長域で十分な光吸収を有して汎用の可視または近赤外レーザ光源設備または高輝度光源等からの光照射で軟化流動し、封着できるガラス材料を提供することを目的とする。
【解決手段】酸化物基準のmol%表示で、27%〜33%のP、50%〜70%のSnO、0〜10%のZnO、0.5%〜5%のCaO、0〜5%のB、0〜3%のGa、0〜3%のIn、および0〜3%のLa、を含むことを特徴とするガラス組成物で、鏡面研磨した厚さ2mmの板にしたときに、400から1600nmの波長範囲での直線光透過率が10%以下になる封着用ガラスを提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、ガラスに関し、特に、光吸収による加熱プロセスでの封着に使用されるガラスに関する。
従来より有機発光ダイオード(OLEDあるいは有機EL)装置において、OLED素子を構成する基板ガラスとカバーガラスを封着する材料として、樹脂等の有機材料が使用されている。しかしながら、樹脂製の封着材は、環境中の水分を透過しやすく、透過した水分によって有機物である発光部位が劣化を受け易く、寿命が短いという問題があり、樹脂製の封着材に代わる安定な代替材料に対して強い要望がある。
このような問題を軽減し得る材料として、ガラス製の封着材が考えられる。しかし、一般的にガラス材料で封着する場合、ガラスが軟化流動する温度まで過熱する必要があり、その温度は一般的には400℃程度かそれ以上である。OLEDの有機層は、この温度では状態を保持することができない。
そこで、有機層の加熱を軽減する方法として、レーザ光を用いて封止部のみを局部的に加熱して封着する技術が開発されている。この封止部に用いる材料としては、封着用ガラスにレーザ吸収材(顔料)を含有させたもの(特許文献1)、封着用ガラスに遷移金属(レーザ吸収)成分を含有させたもの(特許文献2)および封着用ガラス中に黒色のSnコロイドを含有させたもの(特許文献3)が提案されている。
その中でも、特許文献3に記載されたスズリン酸系ガラスは、シール温度を低温化できる材料として注目されている。特許文献3には、スズリン酸ガラス中に黒色のSnコロイドを含有させた溶融物を、帯状体(5×0.5×7mm)に成形して封着部材を得ている。そして、この封着部材をガラス基板に配置した後、ガラス基板の熱割れを防ぐために、ガラス基板を240℃に予熱した状態でレーザ光によって、封着部材を封着する技術が開示されている。
しかし、特許文献3で開示された黒色のSnコロイドを含有させた封着部材は、上記したようにガラス基板を予熱して使用しなければならないものであった。この予熱は、ガラス基板の熱割れを防ぐ役目と、封着部材も予熱してレーザ光による加熱を補うためのものでもあった。
特開2008−115057号公報 特表2006−524419号公報 特開2008−186697号公報
上記したように、特許文献3に記載された封着部材を形成するスズリン酸ガラスは、低温シール材料として注目されている。しかし、レーザ光により封着する場合には、封着部材のレーザ吸収率が低いため、低温シール材料であっても予熱が必要となっていたことから、OLEDの有機層にダメージを与えない条件での封着は困難である。また、昨今の表示装置の薄型化により封着部材によるシール厚さも数十μm以下となっており、シール厚が薄くなればさらにレーザ吸収率が低下するため、薄型化に対応できる状態のものでもない。加えて、スズリン酸ガラスに特許文献1のように、吸収材として顔料を加えた場合、薄型化においては、加熱により溶融しない顔料の粒径を細かくする必要がある。このように粒径が小さくなると封着用ガラスの流動性の低下をまねき良好な封止を得ることが難しくなる。
また、特許文献3に記載されたスズリン酸ガラスは、低温シール材料であるが、結晶化しやすい難点も備えたものであった。これにより、封着部材の比表面積を小さくするために、上記したように帯状体で使用する必要があった。量産工程で封着を行うためにはガラス粉末を含むペーストを使用するほうが簡便であるが、特許文献3のガラス材料ではペースト材料として使用することは難しい。
さらに、低温シール材料としては、より低温化したいという要望もなお存在するものである。
本発明は、このような背景に鑑みなされたものであり、広い波長域で十分な光吸収を有して汎用の可視または近赤外レーザ光源設備または高輝度光源等からの光照射で軟化流動し、封着できるガラス材料を提供することを目的とする。
本発明者は上記した薄型化に対応するためには、広い波長域でより光吸収を大きくし濃い黒色を得る必要がある。そこで、スズリン酸ガラスの黒発色の要因はガラス中のSnOにあることから、ガラス中のSnOの量を増やせばより黒いものができると考えた。しかし、スズリン酸ガラスに対する従来の知見から、SnO−P系の2成分ガラスではSnOを50−70%含有することができるが、ガラスの耐水性は低く、実用的とはいえなかった。また、封着プロセスでピロリン酸スズの結晶に転じやすく、良好な封着特性は得られないものであった。
このような技術的背景がありながらも、発明者は種々の実験によってSnO−P系の2成分ガラスにCaOを少量加えることで、ガラスが安定化し、耐水性と結晶化抑制の両面に効果があることを見出した。そして、レーザ光等を用いた局部加熱に使用できる広範囲にわたって光の吸収率の高いガラスを得ることができた。
本発明の封着用ガラスでは、酸化物基準のmol%表示で、
27%〜33%のP
50%〜70%のSnO、
0.5%〜5%のCaO、
0〜10%のZnO、
0〜5%のB
0〜3%のGa
0〜3%のIn、および
0〜3%のLa
を含むことを特徴とするガラス組成物で、鏡面研磨した厚さ2mmの板にしたときに、400から1600nmの波長範囲での直線光透過率が10%以下になる封着用ガラスが提供される。
ここで、全てのSnに対するSn2+の存在比(Snレドックス)は99.9%以上であることが好ましい。
さらに、ガラス組成としては、酸化物基準のmol%表示で、P+SnOを合計で85%〜99%含有することが好ましい。
さらに、Pの含有量は、酸化物基準のmol%表示で、30%〜32%であることが好ましい。
さらに、CaOの含有量は、酸化物基準のmol%表示で、1%〜3%であることが好ましい。
また、ガラス転位温度は240℃から310℃の範囲が望ましい。
本発明の封着用ガラスの製造方法は、SnOを含有する封着用ガラスを製造する方法において、還元剤を添加したガラス原料を溶融雰囲気内で溶融ガラスとする溶融工程と、この溶融工程で得られた溶融ガラスへの加熱を中断する加熱中断工程と、この加熱中断工程を経た溶融ガラスを再度加熱する再加熱工程と、この再加熱工程で加熱された溶融ガラスを急冷する急冷工程とを行い、全てのSnに対するSn2+の存在比(Snレドックス)が99.9%以上である封着用ガラスを得る製造方法を提供する。
上記した加熱中断工程は、溶融ガラスを溶融雰囲気内から一旦取り出したり、溶融雰囲気内の加熱を止めたりする方法が可能である。溶融雰囲気内から一旦取り出す方法は、溶融ガラスの冷却スピードが速いので、取り出している時間は短時間でよい。また、急冷工程により溶融ガラスを急冷することによって、安定した(結晶化せず、Snレドックスが99.9%以上の)封着用ガラスを得ることができる。
本発明では、400から1600nmの波長範囲のレーザ光源設備または高輝度光源等からの光照射によって、ガラス材料を軟化流動させ封着することが可能となる。
本発明のガラスについて説明する。
本発明のガラスは、酸化物基準のmol%表示で、
27%〜33%のP
50%〜70%のSnO、
0.5%〜5%のCaO、
0〜10%のZnO、
0〜5%のB
0〜3%のGa
0〜3%のIn、および
0〜3%のLa
ガラス組成物で、鏡面研磨した厚さ2mmの板にしたときに、400から1600nmの波長範囲での直線光透過率が10%以下になるガラスが提供される。
このような本発明によるガラスでは、OLEDの有機層にダメージを与えること無しに、400から1600nmの波長範囲のレーザ光源設備または高輝度光源等からの光照射によって、OLED素子をガラス材料で封着することが可能となる。
本発明のガラスは、SnO成分のごく一部をSnO1−xの欠陥構造(0<x<1)として存在していると考えている。一般的に、高純度のSnO原料は黒色であり、その黒色の由来もまた、SnO1−xの欠陥構造であると考えられる。本発明者の一部は特許文献3において、微小なSnコロイドと表現したが、その後の分析によってSnO1−xの欠陥構造であることを突き止めた。本発明の範囲において、本質的に特許文献3の「Snコロイド」と「SnO1−xの欠陥構造」は同質のものとして考えている。
前記の組成のガラスを一般的な溶融急冷プロセスでガラス化させるとSnOとSnOの混在状態になり、SnO1−xの欠陥構造は生じない。このガラスは透明であり、400から1600nmの波長範囲のレーザ光源設備または高輝度光源等からの光照射によって、OLED素子を封着することができない。
本発明のガラスは、前記の組成のガラス融液が冷えてガラス化する際の酸化還元反応を簡便に制御することで、SnO成分のごく一部がSnO1−xの欠陥構造になり、黒色を示し、400から1600nmの波長範囲のレーザ光源設備または高輝度光源等からの光照射によって、OLED素子を封着することが可能となる。
以下、本発明によるガラスに含まれる各種成分の概略的な特徴、および適当な含有量について説明する。なお、以下に示す各成分の特徴は、一例を示したものであり、その成分が有する他の特性および効果を否定するものではない。
は、ガラスを安定化させる成分であり必須である。Pの含有量が27mol%を下回ると、ガラス転移温度(Tg)が高くなるおそれがある。また、前述のように、Pの含有量が33mol%を超えると、環境(特に水分)に対する耐久性が低下するおそれがある。Pの含有量は、特に、30mol%〜33mol%であることが好ましい。
SnOは、ガラスの流動性を増す成分であり必須である。SnOの含有量が50mol%を下回ると、本発明のガラスを黒色化した場合であって、薄型化したときの透過率が高くなりすぎ、レーザ光等による吸収能が低くなり、十分な加熱が困難になる。さらに、軟化点が高くなりすぎ、流動性が悪くなる。また、SnOの含有量が70mol%を超えると、ガラス化が困難になる。特に、P+SnOの合計含有量を85mol%〜99mol%とすることにより、Tgがより好ましい範囲となる。
ZnOは、必須ではないが、ガラスの耐水性を向上させ、熱膨張係数を低下させる等の効果を有するため、0〜10mol%の範囲で添加することが好ましい。ZnOの含有量が10mol%を超えると、失透が析出しやすくなる。なお、ZnOの含有量は、SnOの含有量の1/7以下であることが好ましい。ZnOの含有量がSnOの含有量の1/7を超えると、軟化点が高くなりすぎ、および/または結晶化が促進されるおそれがある。
CaOは、ガラスの結晶化を抑制することができるとともに、熱膨張係数を低下させる成分であり必須である。ただしCaOの含有量が0.5mol%未満では結晶化が抑制されないおそれがある。含有量は、より好ましくは1mol%以上とされる。また、CaOの含有量が5mol%を超えると、ガラスが不安定になる。特に、1mol%〜3mol%とすると、広い温度範囲で封着が可能になり、好ましい。
は、必須ではないが、CaOによる結晶化抑制をサポートする化合物として、5mol%まで含有してもよい。5mol%を超えると、屈折率が小さくなる上、耐水性等の化学的耐久性が低下するおそれがある。
Gaは、耐水性を向上させ、ガラスを安定化させるために、3mol%まで含有してもよい。3mol%を超えると、軟化点が高くなり、Tgが310℃以上になるおそれがある。Gaは、2mol%以下であることが好ましく、1mol%以下であることがより好ましい。
Inは、耐水性を向上させ、ガラスを安定化させるために、3mol%まで含有してもよい。3mol%を超えると、軟化点が高くなり、Tgが310℃以上になるおそれがある。Inの含有量の上限は、好ましくは2mol%であり、より好ましくは1mol%である。
Laは、耐水性を向上させ、ガラスを安定化させるために、3mol%まで含有してもよい。3mol%を超えると、軟化点が高くなり、Tgが310℃以上になるおそれがある。Laの含有量の上限は、好ましくは2mol%であり、より好ましくは1mol%である。
本発明のガラスは、実質的に上記成分からなるが、本発明の目的を損なわない範囲でその他の成分、例えば、MgO、SrO、Bi、Y、Gd、Ce、CeO、TiO、Ta等を添加してもよい。
なお、本発明のガラスは、PbOを実質的に含有しないことが好ましい。また、本発明のガラスは、LiO、NaO、KO等を実質的に含有しないことが好ましい。これらの化合物は、ガラス中に有意な含有量で存在すると、OLED電極へのイオン拡散による劣化が生じるおそれがあるからである。
Snレドックスは99.9%以下であるとSnOとSnOの混在状態となってSnO1−xの欠陥構造が生じなくなり、ガラスが透明になる。黒色ガラスを得るためには99.9%以上でなければならない。ここで、99.9%と記載したのは、実質的にSnOが存在せず、SnOとSnO1−xの欠陥構造の合計が100%の状態を意味する。100%と記載しないのは、実験誤差を考慮したための表記である。
以下、本発明の実施例によりさらに詳細に説明するが、これらに限定して解釈されるものではない。
(ガラス作製)
例1および例2のガラスについては、表1中のモル%で示される組成となるように、正リン酸水溶液(85% HPO)とZnO、SnO、CaCO、SrCOおよびGaの各粉末原料を調合して、脱水後に正リン酸がPになった状態またCaCOおよびSrCOのCOが分解脱離してCaOおよびSrOになった状態で全成分の合計が200gになる量を用意する(ただし、例1はP、SnOおよびCaOの成分の合計が200gである。)。次に、前記の粉末原料と約8gのサッカロースを混合し、テフロン(登録商標)容器で約100mlのイオン交換水と混合し、スラリーを作成する。スラリーをテフロン(登録商標)製スターラーで撹拌しながら、正リン酸水溶液を混入する。その際に反応による発熱があるため、水分の突沸が起きないように、注意深くゆっくりと正リン酸水溶液を注ぐ必要がある。続いて、混合物をテフロン(登録商標)シートを引いたステンレス製バットに流しだした後に、換気しながら300℃で5時間乾燥させ、クッキー状の固形物を得た。
前記固形物を石英製るつぼに入れ、石英製のふたをして、1100℃の電気炉で30分間溶解した(溶融工程)。その後、ふたを外し、融液の入った坩堝を電気炉から一旦取り出し坩堝内の融液を撹拌により均質にし(加熱中断工程:1回目の取り出し)、1100℃の電気炉に戻しても撹拌を続けた(再加熱工程)。この電気炉内への坩堝の再投入のときに坩堝内の溶融ガラスのSnレドックスの調整が行われ、溶融ガラスに着色が行われる。そして、着色した溶融ガラスの入った坩堝を再度電気炉から取り出し(2回目の取り出し)、カーボン板の上に融液を流しだして融液を急冷し(急冷工程)、黒色のガラスを得た。
Snレドックスの調整について補足説明する。
本発明では、SnO原料を使用しているが、実際には、少量のSnO成分が混在している。例えば、例1〜4で使用した原料ではSnレドックスが約97%であり、これはSnOが97%、SnOが3%の割合で混在していることを示す。
今回の溶解中に融液内では以下の化学反応が進行している。
2SnO+C→2SnO+CO
さらに、フタで閉じられた空間と融液界面での酸素を消費する反応として次の化学反応(燃焼)が進んでいる(溶融工程)。
C+O→CO
フタを外した直後に発火するのは、燃え残った融液表面近傍のCが残存する場合である。
これらの反応の結果、融液中のSnレドックスは100%となり、SnOのみで存在することになる。
1回目の取り出しのときに、サッカロースの分解で生成したCを含む成分がガラス融液中に残存していると考えられる(加熱中断工程)。このまま冷やせば、ガラス中の微量成分として安定に残存することになる。
しかし、再び炉内に戻すことで、Cの反応が再び活発化し、急激に以下の反応が進行する(再加熱工程)。
SnO+xC→SnO1−x+x/2CO
十分な時間放置すれば、融液/大気界面からの酸素の拡散により以下の反応が進む。
SnO1−x+x/2O→SnO
しかし、今回は酸素が拡散する前に2度目の取り出しを行い、即急冷(急冷工程)したために、SnO1−xが温存されることになり、黒色のガラスを得ることができた。
比較例として、クッキー状の固形物作成まで例1および例2と同じものを、石英製るつぼに入れ、石英製のふたをして、1100℃の電気炉で30分間溶解した(溶融工程)。ふたを外し、融液の入った坩堝を電気炉から取り出し約30秒の間、坩堝を揺らして融液を均質にした後、直ちにカーボン板の上に融液を流しだして融液急冷(急冷工程)して透明なガラスを得た。得られたガラスをそれぞれ例3および例4とし、表1に記載する。
例5から例26のガラスについては、表2および表3中のモル%で示される組成となるように、Sn(ピロリン酸スズ:日本化学工業製)、Zn(PO(メタリン酸亜鉛:日本化学工業製)、Ca(PO(メタリン酸亜鉛:日本化学工業製)、SnO、SrCO、BおよびGaの各粉末原料を調合して、表2および3に記載されている酸化物の状態で全成分の合計が200gになる量を用意する。用意した粉末と約8gのサッカロースを同じ袋に入れ、十分に混合した。混合粉末を石英製の坩堝に入れ、例1および例2と同様に、石英製のふたをして、1100℃の電気炉で30分間溶解した。その後、ふたを外し、融液の入った坩堝を電気炉から一旦取り出し坩堝内の融液を撹拌により均質にし、1100℃の電気炉に戻しても撹拌を続けた後、再度電気炉から取り出し、カーボン板の上に融液を流しだして融液急冷し、黒色のガラスを得た。
得られた例1〜26のガラスについて、ガラス転移点Tg(単位:℃)、Snレドックスを以下の測定法によって測定した。
Tg:粉末状に加工したサンプル250mgを白金パンに充填し、示差熱分析装置(リガク社製 商品名:Thermo Plus TG8110)により、10℃/分の昇温速度で測定した。
Snレドックス: Sn−メスバウアー分光の測定によって評価した。測定方法について、以下に説明する。
119mSnから119Snへのエネルギー遷移に伴って発生するγ線(23.8keV)をプローブにして、透過法(ガラス試料を透過したγ線を計測)により、試料中のSnの2価と4価の存在割合(Snレドックス)を測定した。具体的には、以下の通りである。
放射線源のγ線出射口、ガラス試料、Pdフィルター、気体増幅比例計数管(LND社製、型番45431)の受光部を300〜800mm長の直線上に配置した。
放射線源は、10mCiの119mSnを用い、光学系の軸方向に対して放射線源を運動させ、ドップラー効果によるγ線のエネルギー変化を起こさせた。放射線源の速度はトランスデューサー(東陽リサーチ社製)を用いて、光学系の軸方向に−10〜+10mm/秒の速度で振動するように調整した。
ガラス試料を乳鉢で粗く粉砕して得た粗粉末をアルミホイルに包み、サンプルを用いた。約10mm径のγ線照射領域で、サンプル厚みが0.5から1mm程度になるようにした。
Pdフィルターは、気体増幅比例計数管によるγ線の計測精度を向上させるためのものであり、γ線がガラス試料に照射された際にガラス試料から発生する特性X線を除去する厚さ50μmのPd箔である。
気体増幅比例計数管は、受光したγ線を検出するものである。気体増幅比例計数管からのγ線量を示す電気信号を増幅装置(関西電子社製)で増幅して受光信号を検出した。マルチチャンネルアナライザー(Wissel社CMCA550)で上記の速度情報と連動させた。
気体増幅比例計数管からの検出信号を縦軸に、運動している放射線源の速度を横軸に表記することで、スペクトルが得られる(メスバウアー分光学の基礎と応用 45〜64頁 佐藤博敏・片田元己共著 学会出版)。評価可能な信号/雑音比が得られるまでに、積算時間は2日から16日を必要とした。
0mm/秒 付近に出現するピークがSnの4価の存在を示し、2.5mm/秒と4.5mm/秒 付近に出現する2つに分裂したピークが2価の存在を示す。このそれぞれのピーク面積に補正係数(Journal of Non-Crystaline Solids 337(2004年) 232-240頁 「The effect of alumina on the Sn2+/Sn4+ redox equilibrium and the incorporation of tin in Na2O/Al2O3/SiO2 melts」 Darja Benner,他共著)(Snの4価:0.22、Snの2価:0.49)を乗じたものの割合を計算し、2価のSn割合をSn−レドックス値とした。
なお、4価を示すピークにはSnOの状態、2価を示すピークにはSnOとSnO1−xの欠陥構造の両方の状態であることを示す。
透過率:ガラスを2mmの厚さに加工し表裏面を鏡面研磨したサンプルについて、400から1600nmの範囲の直線光透過率を分光光度計(パーキンエルマー社製 ラムダ950(製品名))で測定した。
Figure 2011016688
Figure 2011016688
Figure 2011016688
(接着試験)
上記した製法で得た例1および例2の黒色のガラスを用いて行った接着試験の結果を表4に、実施例27、28として示す。
(例27)
上記した製法で得た例1の黒色のガラスを粉砕、篩分して平均粒径が6μm程度(最大粒径40〜70μm)としたスズリン酸ガラス粉末を得た。次に、このスズリン酸ガラス粉末60質量%とリン酸ジルコニウム粉末40質量%とを混合して接着用ガラス材料を作成した。この接着用ガラス材料90質量%とビヒクル10質量%とを混合して接着材料ペーストを調整した。次いで、ソーダライムガラスからなるガラス基板に線幅1mmとなるように接着材料ペーストをスクリーン印刷法で塗布した後、120℃×10分の条件で乾燥した。
乾燥後の接着材料ペーストの塗布層を昇温速度15℃/minで250℃まで昇温して脱バインダ処理した後、昇温速度30℃/minで460℃まで昇温し、この温度で10分間保持して焼成した。このようにして、膜厚が58μmの接着材料層を形成した。
この接着材料層を形成したガラス基板と、同じソーダライムガラスからなるガラス基板を積層して試験用サンプルを作成した。次いで、ガラス基板を通して接着材料層に対して、波長940nmの半導体レーザを表4に示した出力で、5mm/sの走査速度で照射し、接着材料層を溶融ならびに急冷固化することによって、ガラス基板を接着する試験を行ったところ、出力75W以下であると接着不足となり、出力が120W以上であるとガラス基板に割れが生じ、出力80〜110Wの範囲で良好に接着が行えた。
(例28)
実施例27と同様に、上記した製法で得た例2の黒色のガラスを用いて試験用サンプルを作成した(ただし、仮焼成後の膜厚は50μm)。次いで、ガラス基板を通して接着材料層に対して、波長940nmの半導体レーザを表4に示した出力で、5mm/sの走査速度で照射し、接着材料層を溶融ならびに急冷固化することによって、ガラス基板を接着する試験を行ったところ、出力65W以下であると接着不足となり、出力70〜150Wの範囲で良好に接着が行えた。この試験ではガラス基板が割れる条件は得られなかったので、高出力にも対応できる接着用ガラスであることがわかった。
Figure 2011016688
上記では、本発明のガラスをOLEDを例にあげて説明しているところがあるが、OLEDに限定されることなく、他のプラズマディスプレイパネル(PDP)や液晶表示装置(LCD)等の平板型ディスプレイ装置。さらには、太陽電池、セラミックパッケージ、照明用バルブの封着材料として使用することができる。

Claims (8)

  1. 酸化物基準のmol%表示で、
    27%〜33%のP
    50%〜70%のSnO、
    0.5%〜5%のCaO、
    0〜10%のZnO、
    0〜5%のB
    0〜3%のGa
    0〜3%のIn、および
    0〜3%のLa
    を含むことを特徴とするガラス組成物で、鏡面研磨した厚さ2mmの板にしたときに、400から1600nmの波長範囲での直線光透過率が10%以下になる封着用ガラス。
  2. 全てのSnに対するSn2+の存在比は99.9%以上である請求項1に記載の封着用ガラス。
  3. 酸化物基準のmol%表示で、P+SnOを合計で85%〜99%含有する請求項1または2に記載の封着用ガラス。
  4. の含有量は、酸化物基準のmol%表示で、30%〜32%である請求項1〜3のいずれか1項に記載の封着用ガラス。
  5. CaOの含有量は、酸化物基準のmol%表示で、1%〜3%である請求項1〜4のいずれか1項に記載の封着用ガラス。
  6. ガラス転位温度が240℃から310℃の範囲である請求項1〜5のいずれか1項に記載の封着用ガラス。
  7. SnOを含有する封着用ガラスを製造する方法において、還元剤を添加したガラス原料を溶融雰囲気内で溶融ガラスとする溶融工程と、この溶融工程で得られた溶融ガラスへの加熱を中断する加熱中断工程と、この加熱中断工程を経た溶融ガラスを再度加熱する再加熱工程と、この再加熱工程で加熱された溶融ガラスを急冷する急冷工程とを行い、全てのSnに対するSn2+の存在比が99.9%以上である封着用ガラスの製造方法。
  8. 前記封着用ガラスが、請求項1に記載した封着用ガラスであることを特徴とする請求項7記載の封着用ガラスの製造方法。
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