JP2011014526A - 非水系リチウム二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】室温出力、低温出力をはじめとした電池特性を向上した電池を提供する。
【解決手段】リチウムを吸蔵・放出することが可能な負極及び正極がセパレータを介して対向させてなり、非水系溶媒及びリチウム塩を含有する非水系電解質を備えた二次電池であって、前記セパレータの負極側表面と正極側表面の算術平均粗さRa、最大高さRy、十点平均粗さRzのうちのいずれかを両側表面間で異ならせていることを特徴とする非水系リチウム二次電池からなる。
【選択図】なし

Description

本発明は非水系リチウム二次電池に関するものであり、出力特性や容量維持率などの電池特性に優れた非水系リチウム二次電池に関するものである。
二次電池はOA、FA、家電、通信機器等のポータブル電子機器用電源として幅広く使用されている。特に、機器に装備した場合に容積効率がよく機器の小型化および軽量化につながることから非水系リチウム二次電池を使用したポータブル機器が増加している。
一方、大型の二次電池はロードレベリング、UPS、電気自動車をはじめ環境問題に関連する多くの分野において研究開発が進められ、大容量、高出カ、高電圧および長期保存性に優れている点より、二次電池の一種である非水系リチウム二次電池の用途が広がっている。
非水系リチウム二次電池の使用電圧は、通常4.1から4.2Vを上限として設計されている。このような高電圧では水溶液は電気分解を起こすので電解質として使うことができない。そのため、高電圧でも耐えられる電解質として有機溶媒を使用したいわゆる非水系電解質が用いられている。
非水系電解質用の溶媒としては、より多くのリチウムイオンを存在させることができる高誘電率有機溶媒が用いられ、該高誘電率有機溶媒としてポリプロピレンカーボネートやエチレンカーボネート等の有機炭酸エステルが使用されている。溶媒中でリチウムイオン源となる支持電解質として、6フッ化リン酸リチウム等の反応性の高い電解質を溶媒中に溶かして使用している。
非水系リチウム二次電池のセパレータは正極と負極と直接接触させて両極の間に介在させることにより、内部短絡の防止の点から絶縁性が要求されている。また、リチウムイオンの通路となる透気性と電解質の拡散・保持機能を付与するために微細孔構造である必要がある。必然的に、セパレータとしては多孔性フィルムが使用される。
最近は、携帯電話やPDA等のモバイルで使用される製品、或いは電動工具等での電気消費量の増加から、電池性能の向上が求められている。また、環境問題の観点などから、ハイブリッド電気自動車やプラグインハイブリッド自動車、電気自動車等への適用も検討され、より高い電池性能の向上が求められており、このような要望に対して、正極、負極、電解質、セパレータなどの各電池部材の特性向上がとり進められており、例えば、ポリエチレン製多孔性フィルムおよびそのフィルムのセパレータを用いた二次電池について、特開平11−060791号(特許文献1)、特許4049416号(特許文献2)が一般的に知られている。
特開平11−060791号公報 特許4049416号公報
しかしながら、近年の電池の高出力化に伴い、前記特許文献1および特許文献2に開示された二次電池では、出力特性についてはまだまだ不十分であり、改善の余地があった。
よって、本発明は、二次電池に組み込むセパレータを改質して、出力特性が優れた非水系リチウム二次電池を提供することを課題としている。
前記課題を解決するため、本発明は、リチウムを吸蔵・放出することが可能な負極及び正極がセパレータを介して対向させ、非水系溶媒及びリチウム塩を含有する非水系電解質を備えた二次電池において、
前記セパレータの負極側と対向する表面と、正極側と対向する表面とは、その算術平均粗さRa、最大高さRy、十点平均粗さRzのうちいずれかの値を異ならせていることを特徴とする非水系リチウム二次電池を提供している。
前記のように、多孔質層を有する電池用セパレータの負極側表面と正極側表面とで前記表面粗さを相違させて、それぞれ負極側表面に適した値、正極側表面に適した値とすることにより、電池の容量維持率、出力特性、特に低温出力などの電池特性が優れたものを得ることができる。
前記本発明の非水系リチウム二次電池に内蔵するセパレータは、その両側表面の算術平均粗さRa、最大高さRy、十点平均粗さRzのうちいずれか値が、負極側に対向する表面の値が正極側の値より大きいことが好ましい。
また、本発明の非水系リチウム二次電池に内蔵するセパレータについて、セパレータの負極側の算術平均粗さRaと正極側の算術平均粗さRaとの差ΔRaが0.15μm以上であることが好ましい。
また、本発明の非水系リチウム二次電池に内蔵するセパレータについて、セパレータの負極側の最大高さRyと正極側の最大高さRyとの差ΔRyが1.8μm以上であることが好ましい。
また、本発明の非水系リチウム二次電池に内蔵するセパレータについて、セパレータの負極側の十点平均粗さRzと正極側の十点平均粗さRzとの差ΔRzが3.0μm以上であることが好ましい。
前記構成とした電池用セパレータを組み込んだ本発明の非水系リチウム二次電池は、その容量維持率、出力特性、特に低温出力などの電池特性に優れたものとすることができる。
以下、本発明の非水系リチウム二次電池に内蔵するセパレータの実施形態について詳細に説明する。
なお、本発明において、「主成分」と表現した場合には、特に記載しない限り、当該主成分の機能を妨げない範囲で他の成分を含有することを許容する意を包含し、特に当該主成分の含有割合を特定するものではないが、主成分は組成物中の50質量%以上、好ましくは70質量%以上、特に好ましくは90質量%以上(100%含む)を占める意を包含するものである。
また、「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」を意図し、「Xより大きくYよりも小さいことが好ましい」旨の意図も包含する。
本発明において、ポリオレフィン系樹脂を主成分とした多孔質層(A層)を有することが好ましい。ここでポリオレフィン系樹脂として、具体的にポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂、1−ポリメチルペンテン、ポリフェニレンスルフィドなどが挙げられる。
例えば、ポリエチレン系樹脂について説明すると、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、また分子量に特徴のある超高分子量ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂が挙げられる。中でも、密度0.92g/cm以上のホモポリマーポリエチレン、或いはα−オレフィンコモノマー含量が2モル%以下のコポリマーポリエチレンが好ましく、ホモポリマーポリエチレンであることが更に好ましい。α−オレフィンコモノマーの種類には特に制限はない。
ポリエチレン系樹脂の重合触媒には特に制限はなく、チーグラー型触媒、フィリップス型触媒、カミンスキー型触媒等いずれのものでも良い。ポリエチレン系樹脂の重合方法として、一段重合、二段重合、もしくはそれ以上の多段重合等があり、いずれの方法のポリエチレン系樹脂も使用可能である。
また、上記ポリエチレン系樹脂のメルトフローレートは30以下が好ましく、より好ましくは10以下である。メルトフローレートが30より大きいと、セパレータの強度が低下するため好ましくない。
次に、ポリプロピレン系樹脂について説明する。本発明におけるポリプロピレン系樹脂としては、ホモポリプロピレン(プロピレン単独重合体)、またはプロピレンとエチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1―ヘプテン、1−オクテン、1−ノネンもしくは1−デセンなどαオレフィンとのランダム共重合体またはブロック共重合体などが挙げられる。この中でも、セパレータに用いる場合には機械的強度の観点からホモポリプロピレンがより好適に使用される。
また、ポリプロピレン系樹脂としては、立体規則性を示すアイソタクチックペンタッド分率が80〜99%であることが好ましく、より好ましくは83〜98%、更に好ましくは85〜97%であるものを使用する。アイソタクチックペンタッド分率が低すぎると、セパレータの機械的強度が低下する恐れがある。一方、アイソタクチックペンタッド分率の上限については現時点において工業的に得られる上限値で規定しているが、将来的に工業レベルで更に規則性の高い樹脂が開発された場合においてはこの限りではない。
アイソタクチックペンタッド分率とは、任意の連続する5つのプロピレン単位で構成される炭素―炭素結合による主鎖に対して側鎖である5つのメチル基がいずれも同方向に位置する立体構造あるいはその割合を意味する。メチル基領域のシグナルの帰属は、A.Zambelli et at al.(Macromol.8,687(1975)に準拠している。
また、ポリプロピレン系樹脂は、分子量分布を示すパラメータであるMw/Mnが1.5〜10.0であることが好ましい。より好ましくは2.0〜8.0、更に好ましくは2.0〜6.0であるものが使用される。Mw/Mnが小さいほど分子量分布が狭いことを意味するが、Mw/Mnが1.5未満であると押出成形性が低下する等の問題が生じるほか、工業的に生産することも困難である場合が多い。一方Mw/Mnが10.0を超えた場合は低分子量成分が多くなり、得られるセパレータの機械強度が低下しやすい。Mw/MnはGPC(ゲルパーエミッションクロマトグラフィー)法によって得られる。
また、ポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート(MFR)は特に制限されるものではないが、通常、MFRは0.1〜15g/10分であることが好ましく、0.5〜10g/10分であることがより好ましい。MFRが0.1g/10分未満では、成形加工時の樹脂の溶融粘度が高く生産性が低下する。一方、15g/10分を超えると得られるセパレータの強度が不足するなどの実用上の問題が生じやすい。なお、MFRはJIS K7210に準拠して温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定している。
ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、商品名「ノバテックPP」「WINTEC」(日本ポリプロ社製)、「バーシファイ」「ノティオ」「タフマーXR」(三井化学社製)、「ゼラス」「サーモラン」(三菱化学社製)、「住友ノーブレン」「タフセレン」(住友化学社製)、「プライム TPO」(プライムポリマー社製)、「Adflex」「Adsyl」「HMS−PP(PF814)」(サンアロマー社製)、「インスパイア」(ダウケミカル社製)など市販されている商品を使用できる。
(粗面化方法)
また、本発明のセパレータにおいては、セパレータの負極側の算術平均粗さRaが、正極側の算術平均粗さRaよりも大きいことが重要である。表面粗度をもたらす手法としては、サンドブラストを用いる方法、粗面化剤を用いる方法などがあり、特に限定されるものではない。
例えば、前記粗面化剤の一つとして微粒子粗面化剤を用いることができる。この微粒子粗面化剤としては、一般的に言われている無機フィラーや有機フィラーがあるが、ポリオレフィン系樹脂とともに押出成形して膜状物化できるものであれば特に制約されるものではない。
無機フィラーの例としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウムなどの炭酸塩;硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩;塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウムなどの塩化物、酸化アルミニウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、シリカなどの酸化物のほか、タルク、クレー、マイカなどのケイ酸塩等が挙げられる。これらの中でも、硫酸バリウム、酸化アルミニウムが好ましい。
有機フィラーとしては、延伸温度においてフィラーが溶融しないように、延伸温度よりも高い結晶融解ピーク温度をもつ樹脂粒子が好ましく、ゲル分率が4〜10%程度の架橋した樹脂粒子がさらに好ましい。有機フィラーの例としては、超高分子量ポリエチレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、メラミン、ベンゾグアナミンなどの熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂が挙げられる。これらの中でも、特に架橋させたポリスチレンなどが好ましい。
粗面化剤の平均粒径としては、0.1〜50μm程度が好ましく、より好ましくは0.3〜10μm、更に好ましくは0.5〜5μmである。平均粒径が0.1μm未満の場合には、粗面化剤同士の凝集により分散性が低下して延伸むらを引き起こすとともに、熱可塑性樹脂と粗面化剤との界面の接触面積が増大して、押出が難しく、多孔化への悪影響も及ぼし易い。一方、平均粒径が50μmを超えると、セパレータを薄くすることが困難となるのに加え、セパレータの機械的強度が著しく低下し好ましくない。
粗面化剤の添加量は、最終的なセパレータの物性を損なわない範囲で任意に設定すればよいが、押出機での成形性を考慮すると、セパレータの通常1〜70質量%が好ましく、より好ましくは5〜50質量%程度が適当である。
本発明においては、ポリオレフィン系樹脂や粗面化剤の他に、更に必要に応じて、公知の各種添加剤、例えば、酸化防止剤などを、0.01〜5質量%程度の範囲で添加してもよい。以上のような原料成分を用いてなる本発明のセパレータの製造方法の例としては、例えば、粗面化剤とポリプロピレン系樹脂を混練分散後、膜状に押出、延伸等にて、粗面化させると同時に多孔化させることができ非常に効率的に電池特性に優れたセパレータを得る方法がある。
このようにセパレータ表面を粗面化する好ましい手法の1つとしては、粗面化剤を使用する方法もあるが、さらに好ましい方法の1つとして、ポリプロピレン系樹脂のβ晶を利用する方法もある。次に、ポリプロピレン系樹脂のβ晶を利用する方法について説明する。
ポリプロピレン系樹脂のβ晶を利用する場合、ポリプロピレン系樹脂がβ活性を有することが好ましい。β活性が20%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましく、60%以上であることが更に好ましい。β活性が20%以上であることで、未延伸膜状物中のβ晶の比率を十分に増加させることができ、延伸した際に、微細かつ均一な孔が多く形成されると同時に表面を粗面化させ、結果として機械的強度の高く、透気性能に優れかつ電池特性を向上させるセパレータとすることができる。
前記β活性の有無は、示差走査型熱量計を用いて、セパレータの示差熱分析を行い、ポリプロピレン系樹脂のβ晶に由来する結晶融解ピーク温度が検出されるか否かで判断している。
具体的には、示差走査型熱量計でセパレータを25℃から240℃まで走査温度10℃/分で昇温後1分間保持し、次に240℃から25℃まで走査速度10℃/分で降温後1分間保持し、更に25℃から240℃まで走査速度10℃/分で再昇温させた際に、ポリプロピレン系樹脂のβ晶に由来する結晶融解ピーク温度(Tmβ)が検出された場合、β活性を有すると判断している。
また、前記のβ活性の度合いの指標となるβ活性は、検出されるポリプロピレン系樹脂のα晶由来の結晶融解熱量(ΔHmα)とβ晶由来の結晶融解熱量(ΔHmβ)を用いて下記式で算出している。
β活性(%)=〔ΔHmβ/(ΔHmβ+ΔHmα)〕×100
例えば、ホモポリプロピレンの場合は、主に145以上160℃未満の範囲で検出されるβ晶由来の結晶融解熱量(ΔHmβ)と、主に160℃以上175℃以下に検出されるα晶由来の結晶融解熱量(ΔHmα)から計算することができる。また、例えばエチレンが1〜4モル%共重合されているランダムポリプロピレンの場合には、主に120℃以上140℃未満で検出されているβ晶由来の結晶融解熱量(ΔHmβ)と、主に140℃以上165℃以下の範囲に検出されるα晶由来の結晶融解熱量(ΔHmα)から計算することができる。
前記のβ活性は大きい方が好ましく、具体的にはβ活性は20%以上であることが好ましく、40%以上であることが更に好ましく、特に好ましいのは60%以上である。β活性が20%以上であれば、延伸前の膜状物中においてもポリプロピレン系樹脂組成物のβ晶が多く生成させることができることを示し、延伸により微細且つ均一な孔が多く形成され、結果として機械的強度が高く、透気性能に優れたセパレータとすることができる。
β活性の上限値は特に限定されないが、β活性が高いほど前記効果より有効に得られるので100%に近いほど好ましい。
前記β活性の有無は、特定の熱処理を施したセパレータの広角X線回折測定により得られる回折プロファイルでも判断することができる。
詳細には、ポリプロピレン系樹脂の融点を超える温度である170〜190℃の熱処理を施し、徐冷してβ晶を生成・成長させたセパレータについて広角X線回折測定を行い、ポリプロピレン系樹脂のβ晶の(300)面に由来する回折ピークが2θ=16.0〜16.5°の範囲に検出された場合、β活性があると判断している。
ポリプロピレン系樹脂のβ晶構造と広角X線回折測定に関する詳細は、Macromol.Chem.187,643−652(1986)、Prog.Polym.Sci.Vol.16,361−404(1991)、Macromol.Symp.89,499−511(1995)、Macromol.Chem.75,134(1964)、及びこれらの文献中に挙げられた参考文献を参照することができる。β活性の詳細な評価方法については、後述の実施例にて示す。
前述のβ活性を得る方法としては、溶融状態のポリプロピレン系樹脂を高ドラフトで成形する方法や、ポリプロピレン系樹脂のα晶の生成を促進される物質を添加しない方法や、特許3739481号公報に記載されているように過酸化ラジカルを発生させる処理を施したポリプロピレン系樹脂を添加する方法、及び樹脂組成物中にβ晶核剤を添加する方法などが挙げられる。中でも、前記樹脂組成物中にβ晶核剤を添加してβ活性を得ることが好ましい。β晶核剤を添加することで、より均質に効率的にポリプロピレン系樹脂のβ晶の生成を促進することができ、β活性を有する層を備えたセパレータを得ることができる。
<β晶核剤>
本発明における、β晶核剤としては、以下に示すものが挙げられるが、ポリプロピレンのβ活性を増加させるもので有れば特に限定される訳ではなく、また2種類以上を混合して用いても良い。β晶核剤としては、例えば、ナノスケールのサイズを有する酸化鉄;1,2−ヒドロキシステアリン酸カリウム、安息香酸マグネシウム、コハク酸マグネシウム、フタル酸マグネシウムなどに代表されるカルボン酸のアルカリまたはアルカリ土類金属塩;ベンゼンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸ナトリウムなどに代表される芳香族スルホン酸化合物;二または三塩基カルボン酸のジもしくはトリエステル類;フタロシアニンブルーなどに代表されるフタロシアニン系顔料;有機二塩基酸である成分Aと周期律表第IIA族金属の酸化物、水酸化物または塩である成分Bとからなる二成分系化合物などが挙げられる。そのほか核剤の具体的な種類については、特開2003−306585号公報、特開平06−289566号公報、特開平09−194650号公報に記載されている。中でも、N,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボン酸アミドなどに代表されるアミド系化合物が好ましい。
これら特に好ましいβ晶核剤の具体例としては新日本理化社製β核剤『エヌジェスターNU−100』、β晶核剤の添加されたポリプロピレン系樹脂の具体例としては、Aristech社製ポリプロピレン『Bepol B−022SP』、Brealis社製ポリプロピレン『Beta(β)−PP BE60−7032』、mayzo社製ポリプロピレン『BNX BETAPP−LN』などが挙げられる。
本発明において、前記ポリプロピレン系樹脂に添加するβ晶核剤の割合は、β晶核剤、ポリプロピレン系樹脂の組成などにより適宜調整することが必要であるが、概ねポリプロピレン系樹脂100質量部に対しβ晶核剤0.0001〜5.0質量部が好ましく、0.001〜3.0質量部がより好ましく、0.01〜1.0質量部が更に好ましい。0.0001質量部以上とすることで、十分なβ活性が確保でき、セパレータとした際に、所望の透気性能や機械的強度を発現しやすくなる。一方、5.0質量部以下の添加とすることで、セパレータ表面へのβ晶核剤のブリ−ドが十分に抑制できるため、好ましい。
(B層)
本発明のセパレータには、電池の安全性を確保する上で、シャットダウン機能を有するB層が存在することが好ましい。本発明のB層に用いられる熱可塑性樹脂について、具体的には、結晶融解ピーク温度が100〜150℃に存在することが好ましい。この結晶融解ピーク温度は、JIS K7121に準拠して、パ−キンエルマー社製の示差走査型熱量計(DSC−7)を用いて、昇温速度10℃/分で採取したDSC結晶融解温度のピーク値である。この結晶融解ピーク温度の条件を満たすものであれば特に樹脂は限定されるものではないが、中でも、セパレータとしての使用を考えた場合は、その耐薬品性等の観点から、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどポリオレフィン系樹脂、特にポリエチレン系樹脂が好ましい。
本発明におけるポリエチレン系樹脂は、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、線状超低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン及びエチレンを主成分とする共重合体、すなわち、エチレンとプロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1などの炭素数3〜10のα−オレフィン;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルなどの不飽和カルボン酸エステル、共役ジエンや非共役ジエンのような不飽和化合物の中から選ばれる1種または2種以上のコモノマーとの共重合体または多元共重合体あるいはその混合組成物が挙げられる。エチレン系重合体のエチレン単位の含有量は、通常50質量%を超えるものである。
これらのポリエチレン系樹脂の中では、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンの中から選ばれる少なくとも1種のポリエチレン系樹脂が好ましく、高密度ポリエチレンが最も好ましい。
前記ポリエチレン系樹脂のメルトフローレート(MFR)は特に制限されるものではないが、通常MFRは0.03〜15g/10分であることが好ましく、0.3〜10g/10分であることが好ましい。MFRが上記範囲であれば成形加工時に押出機の背圧が高くなりすぎることが無く生産性に優れる。尚本発明におけるMFRはJIS K7210に準拠し、温度190℃、荷重2.16kgの条件下での測定値をさす。
ポリエチレン系樹脂の製造方法は特に限定されるものではなく、公知のオレフィン重合用触媒を用いた公知の重合方法、例えば、チーグラー・ナッタ型触媒に代表されるマルチサイト触媒やメタロセン触媒に代表されるシングルサイト触媒を用いた重合方法が挙げられる。
またB層においては、セパレータの特性を損なわない範囲で他の樹脂、他の添加剤、または他の成分を含んでいてもよい。前記添加剤としては、特に制限を受けないが、耳などのトリミングロス等から発生するリサイクル樹脂やシリカ、タルク、カオリン、炭化カルシウム等の無機粒子、酸化チタン、カーボンブラック等の顔料、難燃剤、耐候性安定剤、帯電防止剤、架橋剤、滑剤、可塑剤、老化防止剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、防曇剤、アンチブロック剤、スリップ剤、結晶核剤、ワックス、又は着色剤などの添加剤が挙げられる。
<層構成>
本発明のセパレータの構成について説明する。
電池性能向上の観点から考えると、ポリオレフィン系樹脂層、たとえば粗面化されたポリプロピレン系樹脂を主成分とする層(以後、A層と省略する)は必須であるが、電池の安全性を考慮すると更にB層が存在すれば特にその層構成は限定されるものではない。積層数については、最も単純な構成がA層とB層の2層構造である。次に単純な構造が両外層と中層の2種3層構造であり、これらは好ましい構成である。2種3層の形態の場合、A層/B層/A層であってもB層/A層/B層であっても構わない。また、必要に応じて他の機能を持つ層と組み合わせて3種3層の様な形態も可能である。更に機能付与を行う場合は、その層数としては4層、5層、6層、7層と必要に応じて増やしても良い。
<製造方法>
次に本発明のセパレータの製造方法について一例を説明するが、本発明はかかる例のみに限定されるものではない。セパレータの形態としては平面状、チューブ状の何れであってもよいが、生産性(セパレータの幅方向に製品として数丁取りが可能)や内面にコートなどの処理が可能という点等から、平面状がより好ましい。
平面状の場合の製造方法としては、例えば、押出機を用いて樹脂を溶融し、Tダイから押出し、キャストロールで冷却固化し、縦方向にロール延伸、横方向にテンター延伸をし、その後、アニール、冷却等の工程を経て二軸方向に延伸されたセパレータの製造方法が例示できる。また、チューブラー法により製造したセパレータを切り開いて平面状とする方法も適用できる。
例として、単純である2種3層の場合を説明する。製法としては、前もって多孔化したセパレータをラミネートする方法や接着剤等で積層化する方法や、無孔膜状物を積層後に多孔化する方法、共押出で直接積層無孔膜状物を作製後に多孔化する方法などがあるが、その工程の簡略さ、生産性の観点から共押出が好ましい。
また、多孔化の手法にも、環境的な観点から延伸法が好ましいが、場合により、溶媒抽出法と組み合わせても構わない。溶媒抽出法としては特許3050021号が例示できる。延伸方法については、ロール延伸法、圧延法、テンター延伸法、同時二軸延伸法などの手法があり、これらを単独あるいは2つ以上組み合わせて、一軸延伸あるいは二軸延伸を行う。中でも、多孔構造制御の観点及び算術平均粗さRaの観点から、二軸延伸が好ましい。
ここでは、β活性を有するポリオレフィン系樹脂として、ポリプロピレン系樹脂およびβ晶核剤を主成分とする樹脂組成物で、またB層としては、ポリエチレン系樹脂を主成分とする樹脂組成物を、A層が外層となるように2種3層構成でTダイ共押出法で積層した膜状物を、二軸延伸法を使って多孔化する方法を、より好ましい一例として説明する。
(A層の樹脂組成物の作製)
A層の樹脂組成物を作製する場合、前述のポリオレフィン系樹脂およびβ晶核剤を使用することが好ましい。前記樹脂および前記β晶核剤を、好ましくは、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、タンブラー型ミキサー等を用いて或いは袋の中に全組成物を入れてハンドブレンドにて混合した後、一軸あるいは二軸押出機、ニーダー等で溶融混練し、ペレット化する。より好ましくは二軸押出機を用いることが好ましい。
(B層の樹脂組成物の作製)
B層の樹脂組成物を作製する場合、熱可塑性樹脂として例えばポリエチレン系樹脂、および必要に応じて添加剤等を、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、タンブラー型ミキサー等を用いて混合した後、一軸あるいは二軸押出機、ニーダー等で溶融混練後、ペレット化する。より好ましくは二軸押出機を用いることが好ましい。
(積層化共押出および延伸について)
A層、B層の各種樹脂組成物のペレットを各押出機に投入し、Tダイ共押出用口金から押出す。Tダイの種類としては、マルチマニホールドタイプでも構わないし、フィードブロックタイプでも構わない。
使用するTダイのギャップは、最終的に必要なセパレータの厚さ、延伸条件、ドラフト率、各種条件等から決定されるが、一般的には0.1〜3.0mm程度が好ましく、より好ましくは0.5〜1.0mmである。0.1mm未満では生産速度という観点から好ましくなく、また3.0mmより大きければ、ドラフト率が大きくなるので生産安定性の観点から好ましくない。
押出成形において、押出加工温度は樹脂組成物の流動特性や成形性等によって適宜調整されるが、概ね150〜300℃が好ましく、より好ましくは180〜280℃であり、更に好ましくは200〜280℃である。150℃以上の場合、溶融樹脂の粘度が十分に低く、成形性に優れて好ましい。一方、300℃以下では樹脂組成物の劣化を抑制できる。キャストロールによる冷却固化温度は、本発明において非常に重要であり、膜状物中のβ晶の比率を調整することができる。キャストロールの冷却固化温度は、好ましくは80℃以上が好ましく、より好ましくは90℃以上、更に好ましくは100℃以上、特に好ましくは120℃以上である。一方、下限については150℃以下が好ましく、140℃以下がより好ましく、130℃以下が更に好ましい。冷却固化温度を80℃以上とすることで、冷却固化させた膜状物中のβ晶の比率を十分に増加させることができる。一方、冷却固化温度を150℃未満とすることで、押出された溶融樹脂がキャストロールへ粘着し、巻き付いてしまうなどのトラブルが起こりにくく、効率よく膜状物化することが可能であるので好ましい。
延伸工程においては、縦方向又は横方向に一軸延伸してもよいし、二軸延伸であってもよい。また、二軸延伸を行う場合は同時二軸延伸であってもよいし、逐次二軸延伸であってもよい。本発明の表面粗さを有するセパレータを作製する場合には、各延伸工程で延伸条件を選択でき、かつ多孔構造を制御し易い逐次二軸延伸がより好ましい。
逐次二軸延伸を用いる場合、延伸温度は用いる樹脂組成物の組成、結晶融解ピーク温度、結晶化度等によって適時変える必要があるが、縦延伸での延伸温度は概ね0〜130℃が好ましく、より好ましくは10〜120℃、更に好ましくは20〜110℃の範囲で制御される。また、縦延伸倍率は2〜10倍が好ましく、より好ましくは3〜8倍、更に好ましくは4〜7倍である。前記範囲内で縦延伸を行うことで、延伸時の破断を抑制しつつ、適度な空孔起点を発現させることができる。なお縦延伸を実施する際、一定の温度にて一段階で延伸しても、多段階に分けて異なる温度で延伸しても構わない。
一方、横延伸での延伸温度は概ね80〜160℃、好ましくは90〜150℃、更に好ましくは100〜140℃である。また、横延伸倍率は1.1倍以上が好ましく、より好ましくは1.2倍以上、更に好ましくは1.5倍以上である。一方、上限については10倍以下が好ましく、より好ましくは8倍以下、更に好ましくは7倍以下である。前記範囲内で横延伸することで、縦延伸により形成された空孔起点を適度に拡大させ、微細な多孔構造を発現させることができる。
前記延伸工程の延伸速度としては、500〜12000%/分が好ましく、1500〜10000%/分がさらに好ましく、2500〜8000%/分であることが更に好ましい。
このようにして得られた二軸延伸フィルムは、寸法安定性の改良等を目的として、130〜170℃程度の温度で熱処理を行い、その後均一に冷却して巻き取ることにより、本発明のセパレータとなる。この際、熱処理工程中には、必要に応じて3〜20%の弛緩処理を施しても良い。熱処理により、セパレータの熱寸法安定性が一層良好になる。
本発明のセパレータの物性は、樹脂の種類、選択されるフィラーの種類、可塑剤の種類、量や組成比、延伸条件(延伸倍率、延伸温度等)によって自由に調整できる。特に、外層のポリプロピレン系樹脂層の表面粗さについては、粗面化剤を使用する場合は、その量や種類、可塑剤の種類やその延伸条件によって、またβ晶を利用する場合は、β晶核剤の量や種類、可塑剤の種類やその延伸条件によって自由に調整することが出来る。
(厚さと層比)
本発明のセパレータの厚さは5〜50μmが好ましい。より好ましくは8〜40μm、更に好ましくは10〜30μmである。セパレータとして使用する場合、5μm未満では、電極の突起部分に大きな力がかかり、セパレータを突き破り短絡する可能性がある。また、厚さが50μmより厚くなると電気抵抗が大きくなるので、電池の性能が不十分になってしまうために好ましくない。
A層とB層の積層比については、全積層厚さに対するA層の割合が10〜90%が好ましく、より好ましくは15〜90%、更に好ましくは20〜90%である。A層の割合が10%以上とすることで、A層の強度を十分に発揮することができる。一方で、A層の割合が90%以下とすることで、シャットダウン機能を十分に発現することができ、安全性を確保することができる。
また、A層およびB層以外の他の層が存在する場合、他の層の厚さの合計は全体の厚さ1に対して0.05〜0.5が好ましく、0.1〜0.3がより好ましい。
(電気抵抗)
本発明のセパレータは、25℃での電気抵抗は10Ω以下であることが好ましく、より好ましくは5.0Ω以下、更に好ましくは3.0Ω以下である。10Ω以下とすることで、室温使用時に十分に優れた電池性能を有することができる。また、セパレータの電気抵抗が低いということは、電荷の移動が容易であることを意味し、電池性能に優れるため好ましい。
一方、下限については特に限定しないが、0.1Ω以上が好ましく、0.2Ω以上がより好ましく、0.3Ω以上が更に好ましい。25℃での電気抵抗は0.1Ω以上であれば、セパレータとして内部短絡等のトラブルを十分に回避することができる。
(算術平均粗さRa)
本発明のセパレータは、該セパレータの負極側の算術平均粗さRaが、正極側の算術平均粗さRaよりも大きいことが好ましい。詳細は未だ不明であるが、これによって低温特性に優れた二次電池を作ることができる。
中でも、セパレータの負極側の算術平均粗さRaと正極側の算術平均粗さRaとの差ΔRaについて、0.15μm以上が好ましく、より好ましくは0.30μm以上、更に好ましくは0.40μm以上である。ΔRaが0.15μm以上であれば、電池特性として、低温時における出力特性の向上がみられるために好ましい。特にΔRaが0.40μm以上であることによって、低温出力だけなく室温出力も向上するため、より好ましい。
一方、ΔRaの上限については特に規定しないが、10μm以下が好ましい。ΔRaを10μm以下とすることがセパレータを均一に製造する上で好ましい。
また、本発明のセパレータについて、セパレータの負極側の算術平均粗さRaが0.30μm以上であることが好ましく、より好ましくは0.35μm以上であり、更に好ましくは0.50μm以上である。
本発明のセパレータを使用して電池を作成した結果、セパレータの負極側の算出平均粗さRaによって、電池のサイクル特性で差異が生じており、特にセパレータの負極側の算術平均粗さRaが0.30μm以上であることが好ましいことを発見した。詳細は未だ不明であるが、Raが0.30μm以上であることによりセパレータ表面に電解質がたまる部分が増加し、つまりセパレータの電解質の保液性が向上することにより、電池のサイクル特性の向上に大きく寄与したものと考えられる。
一方、上限については特に限定しないが、10μm以下が好ましい。Raが10μm以下であることによって、電解質の保液性を十分に保持し、かつ、厚さ精度が必要な薄いセパレータとして使用する場合、特に好ましい。
前記Raを0.30μm以上にするための手段の一例として、その原料配合、製造方法の両面から挙げることができる。
原料配合では、この表面粗度を発現させる方法によってもその手段が異なる。粗面化剤を使用する場合は、その粗面化剤の粒径、添加量がその粗さを発現する主なポイントとなる。粗面化剤の粒径が小さすぎるとその粗面化の効果が薄くなり、また大きすぎると不必要なボイドが多発してしまうため好ましくない。粗面化剤の粒径は、例えば0.1〜50μm程度が好ましく、より好ましくは0.3〜10μm、更に好ましくは0.5〜5μmである。粗面化剤の添加量については、添加量が少なすぎるとその粗面化の効果が薄くなり、また多すぎるとセパレータの成形性が損なわれる。セパレータの通常1〜70質量%が好ましく、より、好ましくは5〜50質量%程度が適当である。
また、β晶を使用する場合は、結晶核剤の種類や量が関係する。表面粗度はそのβ晶の発現量に関係することから、そのβ活性に寄与する。このβ活性が高ければ高いほど表面粗度が高くなる。更に具体的には、膜状物内にβ晶の部分が存在するとβ晶部が陥没し、延伸を行うことにより、この陥没した部分がお互いに干渉したり、結合したりしながら、略楕円形状にそれらが複雑に絡み合ったフィブリル様の凹凸が発生するためである。これにより、本発明のセパレータ表面の粗度を確保することができる。
一方、製造方法では、キャストロールの冷却固化温度を80℃以上であることが好ましく、より好ましくは90℃以上、更に好ましくは100℃以上、特に好ましくは120℃以上である。冷却固化温度を80℃以上とすることによって、冷却固化させた膜状物中のβ晶の比率を十分に増加させることができ、延伸を行うことによって表面に凹凸が発生するために好ましい。
また延伸について、少なくとも一軸方向に延伸することが主なポイントであり、二軸延伸がより好ましい。中でも横延伸倍率を1.1倍以上にすることが好ましく、より好ましくは1.2倍以上、更に好ましくは1.5倍以上である。一方、上限については10倍以下が好ましく、より好ましくは8倍以下、更に好ましくは7倍以下である。横延伸を施すことによって、より粗面化が進行して算術平均粗さRaが0.30μm以上に容易に満たすことができる。
(最大高さRy)
本発明のセパレータは、該セパレータの負極側の最大高さRyが、正極側の最大高さRyよりも大きいことが好ましい。
中でも、セパレータの負極側の最大高さRyと正極側の最大高さRyとの差ΔRyについて、1.8μm以上が好ましく、より好ましくは5.0μm以上、更に好ましくは10μm以上である。ΔRyが1.8μm以上であれば、電池特性として、低温時における出力特性の向上がみられるために好ましい。
一方、ΔRyの上限については特に規定しないが、50μm以下とすることがセパレータを均一に製造する上で好ましい。
また、本発明のセパレータについて、セパレータの負極側の最大高さRyが10μm以上であることが好ましく、より好ましくは14μm以上である。
本発明のセパレータを使用して電池を作成した結果、セパレータの負極側の最大高さRyによって、電池のサイクル特性で差異が生じており、特にセパレータの負極側の最大高さRyが10μm以上であることが好ましいことを発見した。詳細は未だ不明であるが、Ryが10μm以上であることによりセパレータ表面に電解質がたまる部分が増加し、つまりセパレータの電解質の保液性が向上することにより、電池のサイクル特性の向上に大きく寄与したものと考えられる。
一方、上限については特に限定しないが、50μm以下が好ましい。Ryが50μm以下であることによって、電解質の保液性を十分に保持し、かつ、厚さ精度が必要な薄いセパレータとして使用する場合、特に好ましい。
(十点平均粗さRz)
本発明のセパレータは、該セパレータの負極側の十点平均粗さRzが、正極側の十点平均粗さRzよりも大きいことが好ましい。
中でも、セパレータの負極側の十点平均粗さRzと正極側の十点平均粗さRzとの差ΔRzについて、3.0μm以上が好ましく、より好ましくは5.0μm以上、更に好ましくは7.0μm以上である。ΔRzが3.0μm以上であれば、電池特性として、低温時における出力特性の向上がみられるために好ましい。
一方、ΔRzの上限については特に規定しないが、30μm以下が好ましい。ΔRzを30μm以下とすることがセパレータを均一に製造する上で好ましい。
また、本発明のセパレータについて、セパレータの負極側の十点平均粗さRzが6.0μm以上であることが好ましく、より好ましくは10μm以上である。
本発明のセパレータを使用して電池を作成した結果、セパレータの負極側の十点平均粗さRzによって、電池のサイクル特性で差異が生じており、特にセパレータの負極側の十点平均粗さRzが6.0μm以上であることが好ましいことを発見した。詳細は未だ不明であるが、Rzが6.0μm以上であることによりセパレータ表面に電解質がたまる部分が増加し、つまりセパレータの電解質の保液性が向上することにより、電池のサイクル特性の向上に大きく寄与したものと考えられる。
一方、上限については特に限定しないが、30μm以下が好ましい。Rzが30μm以下であることによって、電解質の保液性を十分に保持し、かつ、厚さ精度が必要な薄いセパレータとして使用する場合、特に好ましい。
特に好ましいのは、ΔRa、ΔRy、ΔRzの範囲が同時に2つ以上満たしていることであり、更には3つとも満たしていることが特に好ましい。同時に2つ以上満たすことで、出力特性の向上を十分に図ることができる。
(非水系リチウム二次電池)
前記セパレータを用いた非水系リチウム二次電池は、リチウムを吸蔵・放出することが可能な負極及び正極がセパレータを介して対向させてなり、非水系溶媒及びリチウム塩を含有する非水系電解質を備えている。非水系電解質の性状としては、液体、固体電解質、ゲル電解質のようなものでも構わない。以下、セパレータ以外の非水系電解質、正極、負極について説明する。
{非水系電解質}
<非水系溶媒>
本発明の非水系リチウム二次電池に使用される電解質の非水系溶媒としては、非水系リチウム二次電池の溶媒として公知の任意のものを用いることができる。例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等のアルキレンカーボネート等の環状カーボネート(好ましくは炭素数3〜5のアルキレンカーボネート);ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピレンカーボネート、エチルメチルカーボネート等のジアルキルカーボネート(好ましくは炭素数1〜4のアルキル基を有するジアルキルカーボネート)等の鎖状カーボネート;テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等の環状エーテル;ジメトキシエタン、ジメトキシメタン等の鎖状エーテル;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状カルボン酸エステル;酢酸メチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等の鎖状カルボン酸エステルなどが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用しても良い。
上記例示溶媒の中でも、環状カーボネートと鎖状カーボネートとを混合した混合非水系溶媒が、充放電特性、電池寿命等の電池性能全般を高める観点から好ましい。また、上記混合非水系溶媒は、環状カーボネート及び鎖状カーボネートをそれぞれ非水系溶媒全体の15体積%以上含み、且つ、それらの体積の合計が非水系溶媒全体の70体積%以上となるように混合することが好ましい。
上記の環状カーボネート及び鎖状カーボネートを混合した混合非水系溶媒に用いられる環状カーボネートとしては、アルキレン基の炭素数が2以上4以下のアルキレンカーボネートが好ましい。その具体例としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等が挙げられる。中でも、エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートが好ましい。
また、上記の環状カーボネート及び鎖状カーボネートを混合した混合非水系溶媒に用いられる鎖状カーボネートとしては、炭素数が1以上4以下のアルキル基を有するジアルキルカーボネートが好ましい。その具体例としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチル−n−プロピルカーボネート、エチル−n−プロピルカーボネートなどが挙げられる。中でも、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート及びエチルメチルカーボネートが好ましい。
これらの環状カーボネート及び鎖状カーボネートは各々独立に、1種のみを単独で使用しても良く、複数種を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
混合非水系溶媒の環状カーボネートの割合は15体積%以上、特に20〜50体積%で、鎖状カーボネートの割合は30体積%以上、特に、40〜80体積%で、環状カーボネート:鎖状カーボネート=1:1〜4(体積比)であることが好ましい。
さらに、上記の混合非水系溶媒は、製造される非水系リチウム二次電池の電池性能を低下させない範囲であれば、環状カーボネート及び鎖状カーボネート以外の溶媒を含んでいても良い。混合非水系溶媒における環状カーボネート及び鎖状カーボネート以外の溶媒の割合は、通常30体積%以下、好ましくは10体積%以下である。
<リチウム塩>
非水系電解質の溶質であるリチウム塩としては、任意のものを用いることができる。例えば、LiClO、LiPF、LiBF等の無機リチウム塩;LiCFSO、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiC(CFSO、LiPF(CF、LiPF(C、LiPF(CFSO、LiPF(CSO、LiBF(CF、LiBF(C、LiBF(CFSO、LiBF(CSO等の含フッ素有機リチウム塩などが挙げられる。これらのうち、LiPF、LiBF、LiCFSO、LiN(CFSO、LiN(CSO等の含フッ素有機リチウム塩、特にLiPF、LiBFが好ましい。なお、リチウム塩についても1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
これらのリチウム塩の非水系電解質中の濃度の下限値としては、通常0.5mol/dm以上、中でも0.75mol/dm以上、上限値としては、通常2mol/dm以下、中でも1.5mol/dm以下である。リチウム塩の濃度がこの上限値を超えると非水系電解質の粘度が高くなり、電気伝導率も低下する。また、下限値を下回ると電気伝導率が低くなるので、上記濃度範囲で非水系電解質を調製することが好ましい。
<その他の添加剤>
本発明に係わる非水系電解質は、負極表面に抵抗性被膜を形成しうる被膜形成剤を含有してもよい。本発明で用いる被膜形成剤としては、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、トリフルオロプロピレンカーボネート、フェニルエチレンカーボネート、エリスリタンカーボネート等のエチレン性不飽和結合を有するカーボネート化合物や、無水コハク酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水グルタコン酸、無水イタコン酸、無水ジグリコール酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、フェニルコハク酸無水物等のカルボン酸無水物等が挙げられる。特に、良好なサイクル特性向上効果と、被膜抵抗の温度依存性の観点から、被膜形成剤としては、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、無水コハク酸が好ましく、特に良質な被膜を形成しうることから、ビニレンカーボネートを用いることが更に好ましい。なお、これらの被膜形成剤は1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
本発明において、非水系電解質中の被膜形成剤の含有量は、0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上であり、10質量%以下、好ましくは8質量%以下、より好ましくは7質量%以下である。被膜形成剤の含有量が上記範囲の下限を下回ると電池のサイクル特性向上効果が得られ難い一方で、上限を超えると低温におけるレート特性の低下を招くおそれがある。
なお、本発明に係わる非水系電解質には、非水系溶媒、リチウム塩及び被膜形成剤以外に、必要に応じて他の有用な成分、例えば従来公知の亜硫酸エチレン、亜硫酸プロピレン、亜硫酸ジメチル、プロパンスルトン、ビタンスルトン、メタンスルホン酸メチル、トルエンスルホン酸メチル、硫酸ジメチル、硫酸エチレン、スルホラン、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、テトラメチレンスルホキシド、ジフェニルスルフィド、チオアニソール、ジフェニルジスルフィド、ジピリジニウムジスルフィド等の正極保護剤、過充電防止剤、脱水剤、脱酸剤等の各種の添加剤を含有させても良い。
{正極}
正極としては、通常、正極活物質とバインダーを含有する活物質層を集電体上に形成させたものが用いられる。
正極活物質としては、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵・放出可能なものであれば、その種類に制限はない。好ましい例としては、リチウム遷移金属複合酸化物が挙げられる。リチウム遷移金属複合酸化物の具体例としては、LiCoOなどのリチウム・コバルト複合酸化物、LiNiOなどのリチウム・ニッケル複合酸化物、LiMnO、LiMnなどのリチウム・マンガン複合酸化物等が挙げられる。これらのリチウム遷移金属複合酸化物は、主体となる遷移金属原子の一部をAl、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Li、Ni、Cu、Zn、Mg、Ga、Zr、Si等の他の金属で置き換えると、安定化させることができるので好ましい。これらの正極活物質は、何れか1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
バインダーとしては、電極製造時に使用する溶媒や電解質、電池使用時に用いる他の材料に対して安定な材料であれば、特に限定されない。その具体例としてはポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化ポリフッ化ビニリデン、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体)、SBR(スチレン−ブタジエンゴム)、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)、フッ素ゴム、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ニトロセルロース等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても、複数種を併用しても良い。
正極活物質中のバインダーの割合は、下限値が通常0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上であり、上限値が通常80質量%以下、好ましくは60質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。バインダーの割合が少ないと、活物質を十分に保持できないので、正極の機械的強度が不足し、サイクル特性等の電池性能を悪化させることがあり、逆に多すぎると電池容量や導電性を下げることになる。
正極活物質層は、通常、導電性を高めるため導電剤を含有する。導電剤としては、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛の微粒子や、アセチレンブラック等のカーボンブラック、ニードルコークス等の無定形炭素微粒子、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ、フラーレン等の炭素質材料を挙げることができる。これらは1種を単独で用いても、複数種を併用しても良い。
正極活物質中の導電剤の割合は、下限値が通常0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは1質量%以上であり、上限値が通常50質量%以下、好ましくは30質量%以下、更に好ましくは15質量%以下である。導電剤の割合が少ないと導電性が不十分になることがあり、逆に多すぎると電池容量が低下することがある。
正極活物質層には、その他、増粘剤等の通常の活物質層の添加剤を含有させることができる。増粘剤は電極製造時に使用する溶媒や電解質、電池使用時に用いる他の材料に対して安定な材料であれば、特に限定されない。その具体例としては、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、酸化スターチ、リン酸化スターチ、カゼイン等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても、複数種を併用しても良い。
正極集電体には、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等が使用される。
正極は、前述の正極活物質とバインダーと導電剤、必要に応じて添加されるその他の添加剤とを溶媒でスラリー化したものを集電体に塗布して乾燥することにより形成することができる。スラリー化のために用いる溶媒としては、通常、バインダーを溶解する有機溶剤が使用される。例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシオド、テトラヒドロフラン等が用いられるがこれらに限定されない。これらは1種を単独で用いても、複数種を併用しても良い。また、水に分散剤、増粘剤等を加えてSBR等のラテックスで活物質をスラリー化することもできる。
このようにして形成される正極活物質層の厚さは、通常10〜200μm程度である。なお、塗布・乾燥によって得られた活物質層は、活物質の充填密度を上げるために、ローラープレス等により圧密化するのが好ましい。
{負極}
負極は、通常、負極活物質とバインダーを含有する活物質層を集電体上に形成させたものが用いられる。
負極活物質としては、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵・放出可能なものであれば、その種類に制限はない。好ましい例としては、様々な熱分解条件での有機物の熱分解物や人造黒鉛、天然黒鉛等のリチウムを吸蔵・放出可能な炭素質材料;酸化スズ、酸化ケイ素等のリチウムを吸蔵・放出可能な金属酸化物材料;リチウム金属;種々のリチウム合金などを用いることができる。これらの負極活物質は、1種を単独で用いても良く、2種類以上を混合して用いても良い。特に、上記の中で、本発明のセパレータと組み合わせて用いる負極活物質としては、人造黒鉛、天然黒鉛等の炭素質材料や金属酸化物材料及びリチウム合金がサイクル特性などの電池特性が向上するので好ましい。
バインダーとしては、電極製造時に使用する溶媒や電解質、電池使用時に用いる他の材料に対して安定な材料であれば、特に限定されない。その具体例としてはポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、SBR(スチレン−ブタジエンゴム)、イソプレンゴム、ブタジエンゴム等を挙げることができる。これらは1種を単独で用いても、複数種を併用しても良い。
負極活物質中のバインダーの割合は、下限値が通常0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上であり、上限値が通常80質量%以下、好ましくは60質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。バインダーの割合が少ないと、活物質を十分に保持できないので、負極の機械的強度が不足し、サイクル特性等の電池性能を悪化させることがあり、逆に多すぎると電池容量や導電性を下げることになる。
負極活物質層には、その他、増粘剤等の通常の活物質層の添加剤を含有させることができる。増粘剤は電極製造時に使用する溶媒や電解質、電池使用時に用いる他の材料に対して安定な材料であれば、特に限定されない。その具体例としては、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、酸化スターチ、リン酸化スターチ、カゼイン等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても、複数種を併用しても良い。
負極の集電体には、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等が使用される。
負極は、前述の負極活物質とバインダー、必要に応じて添加されるその他の添加剤とを溶媒でスラリー化したものを集電体に塗布して乾燥することにより形成することができる。スラリー化のために用いる溶媒としては、通常、バインダーを溶解する有機溶剤が使用される。例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシオド、テトラヒドロフラン等が用いられるがこれらに限定されない。これらは1種を単独で用いても、複数種を併用しても良い。また、水に分散剤、増粘剤等を加えてSBR等のラテックスで活物質をスラリー化することもできる。
このようにして形成される負極活物質層の厚さは、通常10〜200μm程度である。なお、塗布・乾燥によって得られた活物質層は、活物質の充填密度を上げるために、ローラープレス等により圧密化するのが好ましい。
{電池構成}
本発明の非水系リチウム二次電池は、上述した正極と、負極と、非水系電解質と、セパレータとを、適切な形状に組み立てることにより製造される。更に、必要に応じて外装ケース等の他の構成要素を用いることも可能である。
その電池形状は特に限定されず、一般的に採用されている各種形状の中から、その用途に応じて適宜選択することができる。一般的に採用されている形状の例としては、シート電極及びセパレータをスパイラル状にしたシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを組み合わせたインサイドアウト構造のシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを積層したコインタイプ、シート電極及びセパレータを積層したラミネートタイプなどが挙げられる。また、電池を組み立てる方法も特に限定されず、目的とする電池の形状に合わせて、通常用いられている各種方法の中から適宜選択することができる。
電池を組み立てる時、算術平均粗さRa、最大高さRy、十点平均粗さRzのうちいずれかが異なるセパレータを介して負極と正極を対向させるが、この際、算術平均粗さRa、最大高さRy、十点平均粗さRzのうちいずれかが大きい層が負極側にすることが好ましい。詳細は未だ不明であるが、これによって顕著に出力特性が向上したことから、より電池特性の優れた二次電池を作ることができる。
また必要に応じて、表面粗さの異なるセパレータを複数枚重ね合わせることにより、正極側と負極側の表面粗さが異ならせてもよいし、表裏層の表面粗さの異なる1枚のセパレータを用いても構わない。
以上、本発明の非水系リチウム二次電池の一般的な実施形態について説明したが、本発明の非水系リチウム二次電池は上記実施形態に制限されるものではなく、その要旨を超えない限りにおいて、各種の変形を加えて実施することが可能である。
次に実施例及び比較例を示し、本発明のセパレータおよび非水系リチウム二次電池について更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例に示す測定値および評価は次のように行った。なお、セパレータの引き取り(流れ)方向を「縦」方向、その直角方向を「横」方向と記載する。
(1)厚さ
1/1000mmのダイアルゲージにて、面内を不特定に30箇所測定しその平均を厚さとする。
(2)層比
層比は、セパレータの断面を切り出し、走査電子顕微鏡にて観察し、その層比を測定した。
(3)算術平均粗さRa、最大高さRy、十点平均粗さRz
JIS B0601−1994に準拠して測定した。
セパレータを10mm幅×50mm長さで切り出す。切り出したセパレータを、ガラス板(松浪硝子工業社製、マイクロスライドガラス S1225、76mm×26mm)に15mm以上離して平行に張った両面テープ(日東電工社製 両面接着テープ、No.501F、5mm幅×20m)に貼り付ける。この時、両面テープの高さにより、セパレータ中央部は、ガラス板に直接つかずに浮いた状態で固定されている。
上記方法で作製したサンプルは、レーザー顕微鏡(キーエンス社製、VK−8500)を用いて算術平均粗さRa、最大高さRy、十点平均粗さRzを測定した。測定した範囲は110μm×150μmで、場所を変えて上記測定を5回行い、算術平均粗さRa、最大高さRy、十点平均粗さRzの平均値を算出した。
(4)電気抵抗
25℃の空気雰囲気下にてサンプルを3.5cm×3.5cm角に切ってガラスシャーレに入れ、1Mの過塩素酸リチウムを含むプロピレンカーボネート:エチルメチルカーボネート=1:1(v/v)溶液(キシダ化学社製)をサンプルが浸る程度入れ、溶液を染込ませた。サンプルを取り出し、余分な電解液を拭い、φ60mmのステンレス製シャーレの中央に置いた。底面がφ30mmの100gステンレス製分銅をゆっくり乗せ、シャーレと分銅に端子を接続し、HIOKI LCR HiTESTER(日置電機社製、型番3522−50)を用いて電気抵抗を測定した。
更に、得られたセパレータについて次のようにしてβ活性の評価を行った。
(5)示差走査型熱量測定(DSC)
得られたセパレータをパーキンエルマー社製の示差走査型熱量計(DSC−7)をもちいて、25℃から240℃まで走査速度10℃/分で昇温後1分間保持し、次に240℃〜25℃まで走査速度10℃/分で降温後1分間保持し、次に25℃から240℃まで走査速度10℃/分で再昇温させた。この再昇温時にポリプロピレン系樹脂のβ晶に由来する結晶融解ピーク温度(Tmβ)である145〜160℃にピークが検出されるか否かによりβ活性の有無をいかの基準にて評価した。
○:Tmβが145℃〜160℃の範囲内に検出された場合(β活性あり)
×:Tmβが145℃〜160℃の範囲内に検出されなかった場合(β活性なし)
なお、β活性の測定は、試料量10mgで、窒素雰囲気下にて行った。
(6)広角X線回折測定(XRD)
セパレータを縦60mm×横60mm角に切り出し、切り出したセパレータを中央部が40mmφの円状に穴の空いたテフロン(登録商標)膜とアルミ板にはさみ、周囲をクリップで固定した。
セパレータをアルミ板2枚に拘束した状態のサンプルを設定温度180℃、表示温度180℃である送風定温恒温器(ヤマト科学株式会社製、型式:DKN602)に入れ3分間保持した後、設定温度を100℃に変更し、10分以上の時間をかけて100℃まで徐冷を行った。表示温度が100℃になった時点でサンプルを取り出し、アルミ板2枚に拘束した状態のまま25℃の雰囲気下で5分間冷却して得られたセパレータについて、以下の測定条件で、中央部の40mmφの円状の部分について広角X線回折測定を行った。
・広角X線回折測定装置:マックサイエンス社製、型番:XMP18A
・X線源:CuKα線、出力:40kV、200mA
・走査方法:2θ/θスキャン、2θ範囲:5°〜25°、走査間隔:0.05°、走査速度:5°/min
得られた回折プロファイルについて、ポリプロピレン系樹脂のβ晶の(300)面に由来するピークより、β活性の有無を以下のように評価した。
○:ピークが2θ=16.0〜16.5°の範囲に検出された場合(β活性あり)
×:ピークが2θ=16.0〜16.5°の範囲に検出されなかった場合(β活性なし)
なお、セパレータ片が60mm×60mm角に切り出せない場合は、中央部に40mmφの円状の穴にセパレータが設置されるように調整し、サンプルを作成しても構わない。
(セパレータ1)
A層として、ポリプロピレン系樹脂(プライムポリマー社製、300SV、密度:0.90g/cm、MFR:3.0g/10分、Tm:167℃)と、β晶核剤として、N,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボン酸アミドを準備した。このポリプロピレン系樹脂100質量部に対して、β晶核剤を0.2質量部の割合で各原材料をブレンドし、東芝機械株式会社製の2軸押出機(口径:40mmφ、L/D:32)に投入し、設定温度300℃で溶融混合後、水槽にてストランドを冷却固化し、ペレタイザーにてストランドをカットし、ポリプロピレン系樹脂のペレットを作製した。ポリプロピレン系樹脂組成物のβ活性は80%であった。
次にB層を構成する混合樹脂組成物として、高密度ポリエチレン(日本ポリエチ社製、ノバテックHD HF560、密度:0.963g/cm、MFR:7.0g/10分)100質量部に、グリセリンモノエステルを0.04質量部、及びマイクロクリスタリンワックス(日本精蝋社製、Hi−Mic1080)10質量部を加え、同型の同方向二軸押出機を用いて220℃にて溶融混練してペレット状に加工した樹脂組成物を得た。
上記2種類の原料を用いて、外層がA層、中間層がB層となるように別々の押出機を用いて、2種3層のフィードブロックを通じて多層成型用の口金より押出し、123℃のキャスティングロールで冷却固化させて、積層膜状物を作製した。
前記積層膜状物を、縦延伸機を用いて縦方向に4.6倍延伸し、その後、横延伸機にて100℃で横方向に1.9倍延伸後、熱固定/弛緩処理を行い、セパレータ1を得た。得られたセパレータ1の物性は表1に示す。
(セパレータ2)
A層として、ポリプロピレン系樹脂(プライムポリマー社製、300SV、密度:0.90g/cm、MFR:3.0g/10分、Tm:167℃)と、β晶核剤として、N,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボン酸アミドを準備した。このポリプロピレン系樹脂100質量部に対して、β晶核剤を0.2質量部の割合で各原材料をブレンドし、東芝機械株式会社製の2軸押出機(口径:40mmφ、L/D:32)に投入し、設定温度300℃で溶融混合後、水槽にてストランドを冷却固化し、ペレタイザーにてストランドをカットし、ポリプロピレン系樹脂のペレットを作製した。ポリプロピレン系樹脂組成物のβ活性は80%であった。
次にB層を構成する混合樹脂組成物として、高密度ポリエチレン(日本ポリエチ社製、ノバテックHD HF560、密度:0.963g/cm、MFR:7.0g/10分)100質量部に、グリセリンモノエステルを0.04質量部、及びマイクロクリスタリンワックス(日本精蝋社製、Hi−Mic1080)10質量部を加え、同型の同方向二軸押出機を用いて220℃にて溶融混練してペレット状に加工した樹脂組成物を得た。
上記2種類の原料を用いて、外層がA層、中間層がB層となるように別々の押出機を用いて、2種3層のフィードブロックを通じて多層成型用の口金より押出し、124℃のキャスティングロールで冷却固化させて、積層膜状物を作製した。
前記積層膜状物を、縦延伸機を用いて縦方向に4.6倍延伸し、その後、横延伸機にて98℃で横方向に1.9倍延伸後、熱固定および弛緩処理を行い、セパレータ2を得た。得られたセパレータ2の物性は表1に示す。
(セパレータ3)
A層として、ポリプロピレン系樹脂(プライムポリマー社製、300SV、密度:0.90g/cm、MFR:3.0g/10分、Tm:167℃)を、B層として、ポリエチレン系樹脂(プライムポリマー社製、2208J、密度:0.964g/cm、MFR:5.2g/10分、Tm:135℃)を準備した。次に、多層成型用の口金を用いて外層をA層、中間層をB層となるように2種3層の層構成でドラフト率が200となるように共押出して得た積層膜状物を、115℃のオーブンでアニーリングを行った。
アニーリング後に、延伸前の長さの1.5倍になるように25℃で延伸を行った。次に25℃で延伸後の長さが3.2倍になるように120℃で延伸を行ったのち、10%の弛緩を掛けるように熱処理を実施した。得られたセパレータ4の物性は表1に示す。
Figure 2011014526
<非水系電解質の調製>
乾燥アルゴン雰囲気下、精製したエチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)及びエチルメチルカーボネート(EMC)を体積比3:3:4で混合し、混合溶媒を作製した。前記溶媒に対し、十分に乾燥したLiPFを1mol/dmの割合となるように溶解して非水系電解質とした。
<正極の作製>
正極活物質としてLiMn0.33Ni0.33Co0.332を用い、正極活物質90質量部にカーボンブラック5質量部及びポリフッ化ビニリデン(呉羽化学社製、商品名「KF−1000」)5質量部を加えて混合し、N−メチル−2−ピロリドンで分散し、スラリー状とした。これを、正極集電体である厚さ15μmのアルミニウム箔に均一に塗布し、乾燥後、プレス機により正極活物質層の密度が2.6g/cmになるようにプレスして正極とした。
<負極の作製>
負極活物質として天然黒鉛粉末を用い、天然黒鉛粉末94質量部にポリフッ化ビニリデン6質量部を混合し、N−メチル−2−ピロリドンで分散させてスラリー状とした。これを、負極集電体である厚さ10μmの銅箔に均一に塗布し、乾燥後、プレス機により負極活物質層の密度が1.4g/cmになるようにプレスして負極とした。
[実施例1]
前記のように作製した正極板と負極板を、『正極板、セパレータ2、セパレータ1、負極板』の順番に重ね、正極1枚と負極1枚は活物質面が対向するように配置し、電極の間にセパレータが挟まれるようにした。この際、正極活物質面が負極活物質面から外れないよう対面させた。この正極と負極それぞれについての未塗工部に集電タブを溶接し、電極体としたものをポリプロピレンフィルム、厚さ0.04mmのアルミニウム箔、及びナイロンフィルムをこの順に積層したラミネートシート(合計厚さ0.1mm)を用い、内面側にポリプロピレンフィルムがくるようにしてラミネートシートではさみ、電解液を注入するための一片を除いて、電極のない領域をヒートシールした。その後、活物質層に非水電解液を200μL注入して、電極に充分浸透させ、密閉して、ラミネートセルを作製し、実施例1の非水系リチウム二次電池とした。この電池の定格容量は、20mAhである。
[実施例2]
前記のように作製した正極板と負極板を、『正極板、セパレータ3、セパレータ1、負極板』の順番に重ね作製した以外は、実施例1と同様に行った。
[実施例3]
前記のように作製した正極板と負極板を、『正極板、セパレータ1、セパレータ2、負極板』の順番に重ね作製した以外は、実施例1と同様に行った。
[実施例4]
前記のように作製した正極板と負極板を、『正極板、セパレータ1、セパレータ3、負極板』の順番に重ね作製した以外は、実施例1と同様に行った。
<電池の評価>
(1)容量測定
充放電サイクルを経ていない電池に対して、25℃において、0.2C(1時間率の放電容量による定格容量を1時間で放電する電流値を1Cとする、以下同様)に相当する定電流で充電終止電圧4.1V、放電終止電圧3Vで充放電を5サイクル初期充放電を行った。この時の5サイクル目0.2C放電容量を初期容量とした。このようにして作製された電池の初期放電容量は、約20mAhである。
(2)室温出力測定
前記(1)初期充放電を行った電池を25℃環境下で、0.2Cの定電流により150分間充電を行い、その後、各々0.25C、0.5C、1.0C、2.0C、3.0Cで10秒間放電させ、その10秒目の電圧を測定した。電流―電圧直線と下限電圧(3V)とで囲まれる3角形の面積を室温出力(W)とした。
(3)低温出力測定
前記(1)初期充放電を行った電池を25℃環境下で、0.2Cの定電流により150分間充電を行い、その後―30℃の恒温層に3時間以上保管した後に、各々0.25C、0.50C、0.75C、1.00C、1.25C、1.50C、1.75C、2.00Cで2秒間放電させ、その2秒目の電圧を測定した。電流―電圧直線と下限電圧(3V)とで囲まれる3角形の面積を低温出力(W)とした。
それぞれのセパレータを用いて、電池評価を行った結果を表2に示す。
Figure 2011014526
(4)サイクル試験
サイクル試験Aは、上記(1)初期充放電を行った電池に対して、充電上限電圧4.1Vまで2Cの定電流法で充電した後、放電終止電圧3Vまで2Cの定電流で放電する充放電サイクルを1サイクルとし、このサイクルを500サイクル繰り返した。サイクル試験は60℃において行った。このサイクル試験の後、上記(1)初期充放電と同様の充放電を行い、このときの最後の放電容量の初期容量に対する割合をサイクル維持率(%)として表3に示した。
サイクル試験Bは、実施例4−1で用いた正極及び負極を使用して初期充放電を行った電池に対して、充電上限電圧4.2Vまで0.5Cの定電流定電圧法で充電した後、放電終止電圧3Vまで0.5Cの定電流で放電する充放電サイクルを1サイクルとし、このサイクルを1000サイクル繰り返した。サイクル試験は25℃において行った。このサイクル試験の後、初期充放電と同様の充放電を行い、このときの最後の放電容量の初期容量に対する割合をサイクル維持率(%)として表3に示した。
Figure 2011014526
表2より、本発明で規定する範囲内で構成された実施例の非水リチウム二次電池は、室温出力、低温出力をはじめとした電池特性が優れていることが分かる。中でも、実施例1は実施例3よりも室温出力が1.432Wから1.457Wと、1.7%上昇しており、低温出力も0.074Wから0.076Wと、2.7%上昇したことから、算術平均粗さRa、最大高さRy、十点平均粗さRzにおいて、負極側の値が正極側の値より大きくすることによって、室温出力、低温出力が共に優れた二次電池が得られたことが分かる。実施例2も実施例4よりも室温出力、低温出力が共に向上したことから、同様のことが言える。
また、実施例2は実施例1より室温出力が1.457Wから1.525Wと、4.7%も上昇したことから、ΔRa、ΔRy、ΔRzの値を大きくすることによって、より出力特性の優れた二次電池を得られたことが分かる。
次に、サイクル維持率において、実施例1は実施例3よりも、実施例2は実施例4よりもサイクル試験A及びサイクル試験Bの維持率が共に向上したことから、算術平均粗さRa、最大高さRy、十点平均粗さRzにおいて、負極側の値が正極側の値より大きくすることによって、サイクル維持率が優れた二次電池が得られたことが分かる。
本発明の二次電池は、室温出力、低温出力をはじめとした電池特性に優れた非水系リチウム二次電池として用いることができる。

Claims (5)

  1. リチウムを吸蔵・放出することが可能な負極及び正極がセパレータを介して対向させてなり、非水系溶媒及びリチウム塩を含有する非水系電解質を備えた二次電池であって、
    前記セパレータの負極側表面と正極側表面の算術平均粗さRa、最大高さRy、十点平均粗さRzのうちのいずれかを両側表面間で異ならせていることを特徴とする非水系リチウム二次電池。
  2. 前記セパレータの算術平均粗さRa、最大高さRy、十点平均粗さRzのうちのいずれかの負極側表面の値が正極側表面の値より大きい請求項1に記載の非水系リチウム二次電池。
  3. 前記セパレータの負極側表面の算術平均粗さRaと正極側表面の算術平均粗さRaとの差ΔRaが0.15μm以上である請求項1または2に記載の非水系リチウム二次電池。
  4. 前記セパレータの負極側表面の最大高さRyと正極側表面の最大高さRyとの差ΔRyが1.8μm以上である請求項1または請求項2に記載の非水系リチウム二次電池。
  5. 前記セパレータの負極側表面の十点平均粗さRzと正極側表面の十点平均粗さRzとの差ΔRzが3.0μm以上である請求項1または請求項2に記載の非水系リチウム二次電池。
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