JP2011012898A - シースヒータ及びグロープラグ - Google Patents

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洋介 八谷
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Abstract

【課題】短絡や発熱性能の低下といった事態を招くことなく、チューブ内に十分な酸素を生成することができ、ひいては発熱コイルの耐久性を飛躍的に向上させることができるシースヒータ及びグロープラグを提供する。
【解決手段】シースヒータ3は、先端部が閉塞するとともに、Ni又はFeを主成分とする筒状のチューブ7と、チューブ7内に配設され、先端がチューブ7の先端に接合されるとともに、Alを含んでなる発熱コイル9と、チューブ7内に充填される絶縁粉末11とを備える。チューブ7の内周面には、1000℃における酸化物の平衡解離圧が10-10Pa以上の金属酸化物からなる酸化物被膜21が設けられる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、液体や気体の加熱装置としてのシースヒータや、シースヒータを備えたディーゼルエンジンの予熱などに使用するグロープラグに関する。
ディーゼルエンジンの予熱などに使用するグロープラグとしては、一般に、先端部の閉じた金属製のチューブ内に、鉄(Fe)やニッケル(Ni)を主成分として、アルミニウム(Al)等を含有する発熱コイルを絶縁粉末(例えば、酸化マグネシウム等)とともに封入したシースヒータを用いるものが知られている。
また、前記発熱コイルはAlを含有することで、その表面にチューブ内の酸素とアルミニウムとが反応してなる酸化アルミニウム(Al23)の被膜が形成される。このAl23被膜により発熱コイル内部における酸化や窒化、さらには発熱コイルの材料成分の蒸発を防止することができる。
ところで、発熱コイル表面に形成されたAl23被膜は、加熱・冷却の繰り返しよる熱衝撃で破損してしまう。ここで、チューブ内に酸素が十分に存在する場合には、Al23被膜が再度形成されることとなるが、Al23被膜の形成・破損が繰り返されてチューブ内の酸素が消費されてしまうと、チューブ内は密閉状態にあることからAl23被膜の再形成が行われなくなってしまうおそれがある。Al23被膜が形成されないと、発熱コイル内部の窒化や酸化、材料成分の蒸発により、発熱コイルの通電可能部位が減少してしまい、抵抗値の増大ひいては発熱コイルの断線という事態を招いてしまうおそれがある。
そこで、チューブ内の絶縁粉末中に金属酸化物を含有させる技術が提案されている(例えば、特許文献1等参照)。当該技術によれば、チューブ内の酸素が消費された際には、前記金属酸化物が還元することでチューブ内に酸素が生成され、ひいては、より長期間に亘ってAl23被膜の再形成が可能となるとされている。
特許第4076162号公報
ところで、長期間に亘ってAl23被膜の再形成を可能するためには、金属酸化物が還元された際の酸素の生成量が多いほど効果的である。そこで、金属酸化物としては、還元される際の酸素の生成量が比較的多いもの(例えば、NiやCoなどの酸化物)を用いることが考えられる。ところが、これらは還元することで、導電性を有する金属となってしまう。そのため、絶縁粉末中に導電性金属が混在することとなってしまい、絶縁粉末を介して発熱コイルとチューブとの間で短絡が生じてしまうおそれがある。
これに対して、金属へと完全に還元されてしまうことを防止すべく、例えば、ZrO2のように欠陥形成により酸素を放出する物質を金属酸化物として用いることも考えられる。ところが、この場合には、生成される酸素量が少ないため、長期間に亘ってAl23被膜の再形成を可能とするためには、絶縁粉末中に多量の金属酸化物を含有させる必要がある。しかし、絶縁粉末中に多量の金属酸化物を含有させれば、絶縁粉末が本来有する熱伝導性が損なわれてしまい、発熱性能の低下を招いてしまうおそれがある。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、短絡や発熱性能の低下といった事態を招くことなく、チューブ内に十分な酸素を生成することができ、ひいては発熱コイルの耐久性を飛躍的に向上させることができるシースヒータ及びグロープラグを提供することにある。
以下、上記目的を解決するのに適した各構成につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する構成に特有の作用効果を付記する。
構成1.本構成のシースヒータは、先端部が閉塞する筒状のチューブと、
前記チューブ内に配設され、先端が前記チューブの先端に接合されるとともに、Alを含んでなる発熱コイルと、
前記チューブ内に充填される絶縁粉末とを備えたシースヒータであって、
前記チューブの内周面に、1000℃における酸化物の平衡解離圧が10-10Pa以上の金属酸化物からなる酸化物被膜を設けたことを特徴とする。
尚、酸化物被膜は、チューブの内周面の全域に設けられていてもよいし、チューブ内周面の一部にのみ設けられていてもよい。
上記構成1によれば、チューブの内周面に、1000℃における酸化物の平衡解離圧が10-10Pa以上の(換言すれば、シースヒータの使用される温度下で還元しやすく、酸素を放出しやすい)金属酸化物からなる酸化物被膜が設けられている。従って、シースヒータの使用時に、金属酸化物が酸素ドナーとしてチューブ内に十分な酸素を生成(供給)することができ、ひいては発熱コイル表面におけるAl23被膜の再形成が長期間に亘って可能となる。これにより、発熱コイルの表面を長期間に亘って緻密なAl23被膜で覆うことができ、発熱コイルの酸化や窒化、発熱コイルの材料成分の蒸発をより確実に防止することができる。その結果、発熱コイルの耐久性の飛躍的な向上を図ることができる。
また、酸化物被膜はチューブの内周面に設けられるため、金属酸化物が導電性を有する金属に還元したとしても、上記従来技術のような、チューブ及び発熱コイル間での短絡が生じることはない。さらに、酸化物被膜(金属酸化物)はチューブ内周面に設けられるため、絶縁粉末が本来有する熱伝導性が損なわれることもない。
加えて、使用に伴い、チューブ外表面が酸化等により消耗して、チューブが薄肉となってしまい、ひいてはチューブの耐久性が損なわれてしまうことが懸念されるが、上記構成1によれば、チューブ内周面の酸化物被膜が還元して金属被膜が形成されることにより、チューブ外表面が消耗したとしても、チューブは十分な厚さを維持することができる。その結果、発熱コイルの耐久性に加えて、チューブの耐久性をも向上させることができる。
すなわち、本構成1によれば、上記従来技術の問題点を全て解消できるとともに、発熱コイルの耐久性を飛躍的に向上させることができ、さらには、チューブの耐久性向上という新たな作用効果も併せて奏されるのである。
尚、金属酸化物における酸化物の平衡解離圧の上限については特に限定されるものではないが、強いて言えば、大気中において還元することなく金属酸化物として存在可能な値〔すなわち、大気圧(105Pa)〕以下であるといえる。
構成2.本構成のシースヒータは、上記構成1において、前記酸化物被膜の厚みを30μm以上150μm以下としたことを特徴とする。
上記構成2によれば、酸化物被膜の厚さが30μm以上と十分に大きなものとされるため、酸化物被膜は優れた酸素生成能力を有することとなる。従って、チューブ表面におけるAl23被膜の再形成がより一層長期間に亘って可能となり、発熱コイルの耐久性の更なる向上を図ることができる。
一方で、酸化物被膜が過度に厚いと、使用に伴う熱衝撃等によって、酸化物被膜に亀裂が入ってしまったり、酸化物被膜とチューブ内周面との間に間隙が生じてしまったりして、発熱コイルからチューブへと熱が伝わりにくくなってしまうおそれがある。この点、上記構成2によれば、酸化物被膜の厚さは150μm以下とされるため、酸化物被膜における亀裂や酸化物被膜及びチューブ間における間隙の発生を効果的に防止することができる。その結果、発熱コイル及びチューブ間において良好な伝熱性を維持することができ、ひいては所望の発熱性能を実現することができる。
構成3.本構成のシースヒータは、上記構成1又は2において、前記金属酸化物は、Fe23、NiO、及び、CoOのいずれかを含むことを特徴とする。
Fe23、NiO、及び、CoOは、1000℃における酸化物の平衡解離圧が比較的高く、酸素の生成能力に優れる。従って、上記構成3のように、金属酸化物として、Fe23、NiO、及び、CoOのいずれかを用いることとすれば、チューブ内に酸素をより多量に生成することができる。その結果、発熱コイルの耐久性をより一層向上させることができる。
構成4.本構成のシースヒータは、上記構成1乃至3のいずれかにおいて、前記金属酸化物及び当該金属酸化物を構成する金属元素の融点が1200℃以上であることを特徴とする。
上記構成4によれば、シースヒータの使用時において、酸化物被膜の溶損をより確実に防止することができる。
構成5.上記構成1乃至4のいずれかに記載のシースヒータを具備することを特徴とするグロープラグ。
上記構成5によれば、筒状の主体金具を具備するグロープラグに上記思想が適用される。すなわち、グロープラグとしてディーゼルエンジン等に使用された場合に、上記各構成の作用効果が奏されることとなる。
(a)は、グロープラグの構成を示す一部破断正面図であり、(b)は、シースヒータ等の構成を示す部分拡大断面図である。 チューブ内の酸化物被膜等を示す部分拡大断面図である。 (a)は、使用前における発熱コイル等を示す部分拡大断面図であり、(b)は、使用後における発熱コイル等を示す部分拡大断面図である。 試験における酸化物被膜の厚さの測定位置を説明するための部分拡大断面図である。 酸化物被膜の厚さの測定方法を説明するための拡大断面模式図である。
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1(a)は、本発明にかかるシースヒータを具備してなるグロープラグの一例を示す一部破断正面図であり、図1(b)はシースヒータ等の部分拡大断面図である。
図1(a),(b)に示すように、グロープラグ1は、筒状の主体金具2と、主体金具2に装着されたシースヒータ3とを備えている。
主体金具2は、軸線CL1方向に貫通する軸孔4を有するとともに、その外周面には、ディーゼルエンジンへの取付用のねじ部5と、トルクレンチ等の工具を係合させるための断面六角形状の工具係合部6とが形成されている。
シースヒータ3は、チューブ7と中軸8とが軸線CL1方向に一体化されて構成されている。
チューブ7は、鉄(Fe)又はニッケル(Ni)を主成分とする金属(例えば、インコネルやステンレス合金等)から形成され、先端部が閉じた筒状チューブである。また、当該チューブ7の内側には、チューブ7先端に接合される螺旋状の発熱コイル9と、当該発熱コイル9の後端に直列接続された制御コイル10とが酸化マグネシウム粉末等の絶縁粉末11とともに封入されている。
また、前記チューブ7の後端は、中軸8との間で環状ゴム16により封止されている。加えて、前述のように、発熱コイル9は、その先端においてチューブ7と導通しているが、発熱コイル9及び制御コイル10の外周面とチューブ7の内周面とは、絶縁粉末11の介在により絶縁された状態となっている。
発熱コイル9は、Fe−アルミニウム(Al)系合金の抵抗発熱線により構成されている。また、制御コイル10は発熱コイル9の材質よりも電気比抵抗の温度係数が大きい材質、例えばコバルト(Co)−Ni−Fe系合金等に代表されるCo又はNiを主成分とする抵抗発熱線により構成されている。これにより、制御コイル10は、自身の発熱及び発熱コイル9からの発熱を受けることにより電気抵抗値を増大させ、発熱コイル9に対する電力供給量を制御する。従って、通電初期においては発熱コイル9には比較的大きな電力供給がなされ、発熱コイル9の温度は急速に上昇する。すると、その発熱により制御コイル10が加熱されて電気抵抗値が増大し、発熱コイル9への電力供給が減少する。これにより、シースヒータ3の昇温特性は、通電初期に急速昇温した後、以降は制御コイル10の働きにより電力供給が抑制されて温度が飽和する形となる。つまり、制御コイル10の存在により、急速昇温性を高めつつ発熱コイル9の温度の過昇(オーバーシュート)も生じにくくすることができるようになっている。
また、チューブ7には、スウェージング加工等によって、その先端部に発熱コイル9等を収容する小径部7aが形成されるとともに、その後端側において小径部7aよりも径の大きい大径部7bが形成されている。そして、この大径部7bが、主体金具2の軸孔4に形成された小径部4aに対し圧入接合されることにより、チューブ7が主体金具2の先端より突出した状態で保持される。尚、スウェージング加工を経ることによって、発熱コイル9の最先端部分を除いた大部分(チューブ7の最先端付近はスウェージング加工によっては押圧されないため)が断面楕円形状に変形させられる(図2等参照;但し、図示はあくまでも模式図である)。また、スウェージング加工前において、チューブ7は300μm程度の肉厚を有しているが、スウェージング加工によって、チューブ7(小径部7a)の厚さは500μm程度とされる。
中軸8は、自身の先端がチューブ7内に挿入され、前記制御コイル10の後端と電気的に接続されるとともに、主体金具2の軸孔4に挿通されている。中軸8の後端は主体金具2の後端から突出しており、この主体金具2の後端部においては、ゴム製等のOリング12、樹脂製等の絶縁ブッシュ13、絶縁ブッシュ13の脱落を防止するための押さえリング14、及び、通電用のケーブル接続用のナット15がこの順序で中軸8に嵌め込まれた構造となっている。
さらに、本実施形態においては、図2に示すように、チューブ7の内周面のうち先端部を除くほぼ全域に、酸化物被膜21が形成されている。当該酸化物被膜21は、1000℃における酸化物の平衡解離圧が10-10Pa以上の金属酸化物(例えば、NiOやCoO、Fe23等)から構成されている。さらに、酸化物被膜21の厚さは、30μm以上150μm以下とされている。
尚、酸化物被膜21の厚さは、次のようにして計測することができる。すなわち、軸線CL1を含む断面においてチューブ7を切断した上で、SEM(走査型電子顕微鏡)により、酸化物被膜21の断面を観察することで、酸化物被膜21の厚さを測定することができる。また、酸化物被膜21の厚さにばらつきがある場合には、酸化物被膜21の断面を観察視野が重ならないように無作為に数箇所(例えば、5箇所)観察するとともに、各観察視野における酸化物被膜21の最大値をそれぞれ測定し、各最大値の平均値を酸化物被膜21の厚さとすることができる。
併せて、前記金属酸化物としては、その融点や当該金属酸化物を構成する金属元素の融点がそれぞれ1200℃以上となるものが用いられている。
尚、前記シースヒータ3の使用前においては、図3(a)に示すように、発熱コイル9の表面には特段の被膜は形成されていないが、シースヒータ3を使用することで(つまり、シースヒータ3を高温下におくことで)、図3(b)に示すように、発熱コイル9中のAlとチューブ7内の酸素とが反応して、発熱コイル9の表面に酸化アルミニウム(Al23)からなるAl23被膜22が形成される。また、使用に伴い、酸化物被膜21が還元し、チューブ7の内周面には、導電性金属等からなる金属被膜23が形成されることとなる。
次に上記のように構成されてなるグロープラグ1の製造方法について説明する。尚、特に明記しない部位については、従来公知の方法が採用される。
まず、Fe−Al系合金の抵抗発熱線をコイル形状に加工し、発熱コイル9を得る。尚、前記抵抗発熱線は、断面真円状をなしているとともに、比較的細径化されたもの(例えば、線径が500μm以下のもの)である。
次いで、アーク溶接等によって、前記発熱コイル9の後端部分と、Co−Ni−Fe系合金等の抵抗発熱線をコイル形状に加工した制御コイル10の先端部分とを接合する。
次に、最終寸法より加工代分だけ大径に形成され、かつ、先端の閉じていない筒状のチューブ7の内周面に、PVD処理を施すことで、金属酸化物からなる酸化物被膜21を形成する。尚、PVD処理にあたっては、チューブ7の外表面をマスキングし、チューブ7外表面に金属酸化物が付着しないようにされている。
酸化物被膜21の形成後、前記チューブ7内に、中軸8の先端と、当該中軸8と一体となった発熱コイル9及び制御コイル10とが配置される。そして、アーク溶接によって、チューブ7の先端部分を閉塞させるとともに、当該チューブ7の先端部分と発熱コイル9の先端部分とを接合する。
その後、チューブ7内に絶縁粉末11を充填し、チューブ7の後端を封止した後、当該チューブ7にスウェージング加工を施す。これにより、小径部7a及び大径部7bを有するチューブ7が形成されるとともに、当該チューブ7が中軸8と一体となってシースヒータ3が完成する。尚、スウェージング加工により、酸化物被膜21の厚さは30μm以上150μm以下とされる。
そして、上記のように形成されたシースヒータ3が主体金具2の軸孔4に圧入固定されるとともに、主体金具2の後端部分において、前記Oリング12や絶縁ブッシュ13等が中軸8に嵌め込まれることで、グロープラグ1が完成する。
以上詳述したように、本実施形態によれば、チューブ7の内周面に、1000℃における酸化物の平衡解離圧が10-10Pa以上の(換言すれば、シースヒータ3の使用される温度下で還元しやすく、酸素を放出しやすい)金属酸化物からなる酸化物被膜21が設けられている。従って、シースヒータ3の使用時に、金属酸化物が酸素ドナーとしてチューブ7内に十分な酸素を生成することができ、ひいては発熱コイル9表面におけるAl23被膜22の再形成が長期間に亘って可能となる。これにより、発熱コイル9の表面を長期間に亘って緻密なAl23被膜22で覆うことができ、発熱コイル9の酸化や窒化、発熱コイル9の材料成分の蒸発をより確実に防止することができる。その結果、発熱コイル9の耐久性の飛躍的な向上を図ることができる。
また、酸化物被膜21はチューブ7の内周面に設けられるため、金属酸化物が導電性を有する金属(金属被膜23)に還元したとしても、チューブ7及び発熱コイル9間での短絡が生じることはない。さらに、酸化物被膜21(金属酸化物)はチューブ7内周面に設けられるため、絶縁粉末が本来有する熱伝導性が損なわれることもない。
加えて、チューブ7外表面が酸化等により消耗しても、チューブ7内周面の酸化物被膜21が還元することで形成された金属被膜23により、チューブ7は十分な厚さを維持することができる。その結果、発熱コイル9の耐久性に加えて、チューブ7の耐久性をも向上させることができる。
さらに、酸化物被膜21の厚さが30μm以上と十分に大きなものとされるため、酸化物被膜21は優れた酸素生成能力を有することとなり、ひいては発熱コイル9の耐久性の更なる向上を図ることができる。
一方で、酸化物被膜21の厚さが150μm以下とされるため、酸化物被膜21における亀裂や酸化物被膜21及びチューブ7間における間隙の発生を効果的に防止することができる。その結果、発熱コイル9及びチューブ7間において良好な伝熱性を維持することができ、ひいてはシースヒータ3において所望の発熱性能を実現することができる。
併せて、金属酸化物及び当該金属酸化物を構成する金属元素の融点が1200℃以上であるため、シースヒータ3の使用時における酸化物被膜21の溶損をより確実に防止することができる。
次いで、上記実施形態によって奏される作用効果を確認すべく、酸化物被膜を設けない、或いは、1000℃における酸化物の平衡解離圧が10-10Paよりも小さい金属酸化物から酸化物被膜を形成したグロープラグのサンプル(比較例に相当する)と、1000℃における酸化物の平衡解離圧が10-10Pa以上の金属酸化物から酸化物被膜を形成したグロープラグのサンプル(実施例に相当する)とを作製し、各サンプルについて耐久性評価試験を行った。尚、耐久性評価試験の概要は次の通りである。すなわち、チューブのうち先端から2mmの部位(測定部位)の表面が1100℃となるように300秒間通電し、その後、120秒間冷却することを1サイクルとして、各サンプルについて断線までのサイクル数(断線サイクル)を測定した。表1に、酸化物被膜を形成する金属酸化物、各金属酸化物の1000℃における酸化物の平衡解離圧、及び、断線サイクルを示す。尚、温度測定は、前記測定部位に取付けた熱電対により行った。また、酸化物被膜を設けたサンプルについては、酸化物被膜の厚さをそれぞれ約100μmとした。尚、表1の金属酸化物の欄において「なし」とあるのは、酸化物被膜を設けなかったサンプルであることを意味する。
Figure 2011012898
表1に示すように、酸化物被膜を設けなかったサンプルや、1000℃における酸化物の平衡解離圧が10-10Paよりも小さい金属酸化物により酸化物被膜を形成したサンプルは、断線サイクルが6000サイクル未満となってしまい、耐久性が不十分であることが明らかとなった。
これに対して、1000℃における酸化物の平衡解離圧が10-10Pa以上の金属酸化物より酸化物被膜を形成したサンプルは、断線サイクルが7000サイクル以上となり、優れた耐久性を有することがわかった。これは、金属酸化物が酸素ドナーとしてチューブ内に十分な酸素を生成したため、発熱コイル表面におけるAl23被膜の再形成がより長期間に亘って可能となったことに起因すると考えられる。
特に、金属酸化物として、1000℃における酸化物の平衡解離圧が比較的低い、NiO、CoO,又は、Fe23を用いたサンプルについては、断線サイクルが8000サイクルを超えて、非常に優れた耐久性を有することが明らかとなった。
次に、金属酸化物としてNiO、CoO,又は、Fe23を用いるとともに、酸化物被膜の厚さを種々変更したグロープラグのサンプルを作製し、各サンプルについて上述の耐久性評価試験と、昇温確認試験とを行った。尚、サンプルの作製にあたっては、試験実施用のものと被膜の厚さの測定用のものとして、同一の形成条件にて酸化物被膜を形成することで、同一の厚さの被膜を持つように複数個のサンプルを作製した。
尚、昇温確認試験の概要は次の通りである。まず、チューブのうち先端から2mmの部位(測定部位)の表面が1100℃となるように300秒間通電し、その後、120秒間冷却することを1サイクルとして、2000サイクルに亘って各サンプルを加熱・冷却した。そして、2000サイクル終了後のサンプルの前記測定部位に熱電対を取付けた上で、サンプルに対して60秒間通電したときの測定部位の温度(表面温度)を測定した。尚、60秒間の通電において投入される電力量は、酸化物被膜を有さない一般的なグロープラグの前記測定部位の温度が、60秒後に1100℃となるような電力量とした。表2に、金属酸化物としてNiOを用いたサンプルの試験結果を示し、表3に、金属酸化物としてCoOを用いたサンプルの試験結果を示し、表4に、金属酸化物としてFe23を用いたサンプルの試験結果を示す。尚、各表において、酸化物被膜の厚さが「0μm」とあるのは、酸化物被膜を設けなかったことを意味する。
また、酸化物被膜の厚さは次のようにして測定した。すなわち、図4に示すように、軸線CL1を含む断面においてチューブ7を切断し、チューブ7先端より軸線に沿って4mmから8mmの間に位置する酸化物被膜21の断面を観察範囲とした。そして、図5に示すように、前記観察範囲のうちの重複しない5箇所を500μm×300μmの視野を有するSEMにより観察し、各観察視野S1,S2,S3,S4,S5における酸化物被膜21の最大厚さT1,T2,T3,T4,T5をそれぞれ測定した。そして、測定した最大厚さT1,T2,T3,T4,T5の平均値を、その測定を行ったサンプルの酸化物被膜21の厚さとした。更に同様の測定を同一の被膜形成条件にて被膜を形成したサンプルごとに10本ずつ行い、測定した厚さの平均値を表2〜4に「酸化物被膜の厚さ」として表記している。
Figure 2011012898
Figure 2011012898
Figure 2011012898
表2〜4に示すように、酸化物被膜を設けなかったサンプルと比較して、酸化物被膜を設けたサンプルは、それぞれ耐久性が向上していたが、特に酸化物被膜の厚さを30μm以上としたサンプルは、断線サイクルが8000サイクル以上となり、極めて優れた耐久性を有することがわかった。これは、酸化物被膜が比較的厚く、優れた酸素生成能力を有していたため、チューブ表面におけるAl23被膜の再形成がより一層長期間に亘って行われたことに起因すると考えられる。
一方で、酸化物被膜の厚さを150μmよりも大きくしたサンプルは、耐久性に優れていたものの、表面温度が目標温度(1100℃)よりも大きく(50℃以上)低下してしまい、発熱性能の面でやや劣ることが明らかとなった。これは、使用に伴う熱衝撃等によって、酸化物被膜に亀裂が入ってしまったり、酸化物被膜とチューブ内周面との間に間隙が生じてしまったりして、発熱コイルからチューブへと熱が伝わりにくくなってしまったためであると考えられる。
以上、各試験の結果を総合的に勘案して、発熱コイルの耐久性を向上させるためには、チューブ内周面に1000℃における酸化物の平衡解離圧が10-10Pa以上の金属酸化物からなる酸化物被膜を設けることが有意であるといえる。また、耐久性の一層の向上を図るという観点からは、金属酸化物としてNiO、CoO,又は、Fe23を用いたり、酸化物被膜の厚さを30μm以上としたりすることが好ましいといえる。さらに、優れた耐久性を実現しつつ、発熱性能の低下を防止するという点から、酸化物被膜の厚さを150μm以下とすることが好ましいといえる。
尚、本発明の技術思想に基づき、チューブの内周面に代えて、中軸のうち絶縁粉末中に埋設された部位(すなわち、チューブ内に位置する部位)の表面に、上述の酸化物被膜を形成することが考えられる。しかしながら、一般的に中軸のうちチューブ内に位置する部位は、チューブの後端側〔すなわち、発熱コイルの熱や外部(例えば、燃焼室)からの熱を受けにくい位置〕に配置されるため、高温になりにくい。従って、中軸のうちチューブ内に位置する部位の表面に酸化物被膜を設けたとしても、当該酸化物被膜は高温となることなく比較的安定し、ひいては酸化物被膜から十分な酸素が放出されないおそれがある。
これに対して、本発明は、発熱コイルの熱や外部からの熱によって高温となるチューブの内周面に酸化物被膜が設けられることから、酸化物被膜がより高温となりやすく、酸化物被膜から放出される酸素の増大を図ることができる。すなわち、チューブ内周面に酸化物被膜を設けることは、酸化物被膜からの酸素の生成を促進するという面で非常に効果的なのである。
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
(a)上記実施形態では、チューブ7内周面のほぼ全域に酸化物被膜21が設けられているが、酸化物被膜21をチューブ7の内周面に部分的に設けることとしてもよい。尚、発熱コイル9の表面においてAl23被膜をより確実に形成するという観点から、酸化物被膜21は、チューブ7の内周面のうち発熱コイル9の配設位置に対応する部位に設けることが好ましい。
(b)上記実施形態では、酸化物被膜21の厚さが30μm以上150μm以下とされているが、酸化物被膜21の厚さはこれに限定されるものではない。
(c)上記実施形態では特に記載していないが、酸化物被膜21の表面粗さを比較的大きく(例えば、10μm以上と)してもよい。この場合には、酸化物被膜21の表面積が増大するため、酸素の生成能力を一層向上させることができる。
(d)グロープラグ1の形状等は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、チューブ7について、大径部7bを省略し、その外径が略一定のストレート形状をなすように構成することとしてもよい。また、主体金具2の軸孔4の小径部4aを省略し、軸線方向にストレート形態となった軸孔4にチューブ7が圧入される構成としてもよい。
(e)上記実施形態において、グロープラグ1は、制御コイル10を有しているが、制御コイル10を省略し、発熱コイル9の後端を中軸8に対して直接接合することとしてもよい。
1…グロープラグ、3…シースヒータ、7…チューブ、9…発熱コイル、11…絶縁粉末、21…酸化物被膜。

Claims (5)

  1. 先端部が閉塞する筒状のチューブと、
    前記チューブ内に配設され、先端が前記チューブの先端に接合されるとともに、Alを含んでなる発熱コイルと、
    前記チューブ内に充填される絶縁粉末とを備えたシースヒータであって、
    前記チューブの内周面に、1000℃における酸化物の平衡解離圧が10-10Pa以上の金属酸化物からなる酸化物被膜を設けたことを特徴とするシースヒータ。
  2. 前記酸化物被膜の厚みを30μm以上150μm以下としたことを特徴とする請求項1に記載のシースヒータ。
  3. 前記金属酸化物は、Fe23、NiO、及び、CoOのいずれかを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のシースヒータ。
  4. 前記金属酸化物及び当該金属酸化物を構成する金属元素の融点が1200℃以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシースヒータ。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシースヒータを具備することを特徴とするグロープラグ。
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