JP2011012542A - 開閉装置の施工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】開閉体を収納するための収納ケースを、開閉装置が設置される現場に簡単に取付施工できるようになり、作業性が向上する開閉装置の施工方法を提供すること。
【解決手段】
開閉体は、エレベータホールとエレベータ扉との間で上下に開閉移動する防災用シャッターカーテン20であり、先ず、エレベータホールとエレベータ扉との間に設けられていて、建物躯体となっている下がり壁7のエレベータホール側の面に取付部材162を配置し、この取付部材162にはフック部167が設けられており、次いで、このフック部167に、防災用シャッターカーテン20を収納するための収納ケースとなっているシャッターケース11を引っ掛ける。
【選択図】図16

Description

本発明は、開閉装置の開閉移動する開閉体を収納するための収納ケースを開閉装置が設置される現場に取付施工するための施工方法に係り、例えば、開閉体がシャッターカーテンとなっている防災用シャッター装置及び開口部用シャッター装置を含む各種のシャッター装置や、ロールブラインド装置、オーニング装置、防煙垂れ幕装置等に利用できるものである。
下記の特許文献1には、シャッター装置の開閉体であるシャッターカーテンが巻取軸に巻き取られてシャッターケースに収納され、巻取軸からの繰り出し、巻取軸による巻き取りによってシャッターカーテンが開閉移動するシャッター装置が示されており、開閉装置となっているこのシャッター装置のシャッターケースは、シャッターカーテンを収納するための収納ケースとなっている。このシャッターケースが複数のケース構成体で構成されている場合に、シャッターケースをシャッター装置が設置される現場に取付施工する作業は、従来、それぞれのケース構成体を配置すべきそれぞれの位置を定めるために、これらの位置を墨出し作業等によって位置出しし、これによって設定されたそれぞれの位置にケース構成体を配置することにより行われていた。
特開平11−207545号公報(段落番号0028、図1)
この従来技術によると、それぞれのケース構成体ごとに、これらのケース構成体を配置する位置を定める位置出し作業を墨出し作業等によって行い、そして、これらの位置にケース構成体を配置する作業を行わなければならないため、それぞれのケース構成体を所定どおりの正確な位置に配置するための作業に多くの手間と時間がかかっていた。
本発明の目的は、開閉体の収納ケースを構成するそれぞれのケース構成体を、開閉装置が設置される現場に簡単に取付施工できるようになり、作業性が向上する開閉装置の施工方法を提供するところにある。
本発明に係る開閉装置の施工方法は、開閉装置の開閉移動する開閉体を収納するための収納ケースが第1ケース構成体と第2ケース構成体とを含んで構成され、この収納ケースを前記開閉装置が設置される現場に取付施工するための開閉装置の施工方法において、前記現場に基準位置を設定する第1工程と、この第1工程で設定された前記基準位置にしたがってベース部材を配置する第2工程と、この第2工程で配置された前記ベース部材を基準として前記第1ケース構成体及び前記第2ケース構成体を配置する第3工程と、を含んでいることを特徴とするものである。
この開閉装置の施工方法によると、最初に、開閉装置が設置される現場に基準位置を設定する第1工程の作業が行われ、次に、この第1工程で設定された基準位置にしたがってベース部材を配置する第2工程の作業が行われ、そして、この第2工程で配置されたベース部材を基準として第1ケース構成体及び第2ケース構成体を配置する第3工程が行われるため、位置出し作業は上記基準位置についてだけ行えばよく、第1ケース構成体及び第2ケース構成体は、基準位置にしたがって配置されたベース部材を基準として配置することにより、それぞれの所定位置に配置されることになるため、開閉体の収納ケースを構成するそれぞれのケース構成体を、開閉装置が設置される現場に簡単に取付配置できるようになり、これによって作業性が向上し、また、これらのケース構成体を従来よりも正確に配置することが可能となり、これらのケース構成体で構成された前記収納ケースの外観を良好とすることができる。
本発明の上記第3工程において、ベース部材を基準として第1ケース構成体及び第2ケース構成体を配置する作業は、これらのケース構成体とベース部材との間にスペース部材等を介在させる又は介在させないなどして所定間隔を空けて行ってもよく、あるいは、第1ケース構成体と第2ケース構成体のうちの少なくとも一方をベース部材に接触させて行ってもよい。
後者によると、ベース部材に接触させたケース構成体をベース部材に対して一層正確に配置することができるため、このケース構成体の配置位置を一層正確なものにできる。
また、本発明の上記第3工程において、ベース部材に第1ケース部材と第2ケース部材の両方を直接取付配置してもよく、あるいは、この第3工程において、第1ケース構成体を取り付けるための取付部材をベース部材を基準として配置する作業と、この取付部材に第1ケース構成体を取り付ける作業とを行ってもよい。後者の場合には、第2ケース構成体は、ベース部材に接触させて配置してもよく、上記取付部材とは別の部材に取り付けて配置してもよく、開閉装置が設置される建物等の構築物の躯体に取り付けて配置してもよい。
また、第3工程において、第1ケース構成体を取り付けるための取付部材をベース部材を基準として配置し、この取付部材に第1ケース構成体を取り付ける場合には、ベース部材に対する第1ケース構成体と第2ケース構成体の正確な配置精度を確保するためには、取付部材と第2ケース部材の両方をベース部材に接触させて配置することが好ましい。
このように取付部材と第2ケース部材の両方をベース部材に接触させて配置するに際して、第2ケース構成体の全部又は一部がベース部材と取付部材との間に介入する構造となる場合には、第2ケース構成体に予め切除部を形成しておき、第2ケース構成体を前記ベース部材に接触させて配置するとともに、取付部材を、第2ケース構成体の上記切除部をとおしてベース部材に接触させて配置すればよい。この場合における上記切除部は、凹形状や段形状等に切り取られた切り取り部でもよく、孔等でもよく、任意な形態のものでよい。
また、第1ケース構成体を上記取付部材にボルト、ナット等の結合具で結合する構造となっている場合には、この取付部材をベース部材に接触させるなどしてベース部材を基準として配置した後に、この結合具で第1ケース構成体を取付部材に取り付ける作業を行うようにしてもよく、あるいは、取付部材に第1ケース構成体を引っ掛けるためのフック部を設けておき、このフック部に第1ケース構成体を引っ掛けた後、第1ケース構成体を取付部材に結合具で結合するようにしてもよい。
後者によると、フック部で第1ケース構成体の重量を支持させながら、第1ケース構成体を取付部材に結合具で結合する作業を行えるため、この結合作業を少ない人数で容易に行えることになる。
以上説明した開閉装置の施工方法は、内部に前述した開閉体が収納される前の収納ケースについても実施でき、内部に予め開閉体が収納された収納ケースについても実施できる。
そして、収納ケースの内部に、少なくとも、開閉体を巻き取り、繰り出すための巻取軸と、この巻取軸を支持する支持部材とが予め収納されている場合には、前述したフック部に第1ケース構成体を引っ掛けるときに、上記支持部材もフック部に引っ掛け、この後、この支持部材を取付部材に結合する作業を行うことが好ましい。
これによると、支持部材を取付部材に結合する作業を行うに際して、巻取軸の重量と、支持部材の重量とをフック部に支持させながらこの結合作業を行うことができ、予め開閉体を巻き取っている状態の巻取軸である場合には、これらの重量に開閉体の重量を加えた重量をフック部に支持させながらこの結合作業を行うことができ、この作業も少ない人数で容易に行えることになる。
また、このように巻取軸の重量等をフック部で支持させながら支持部材を取付部材に結合する作業を行う場合には、第1ケース構成体を取付部材に結合する前記結合具とは別の結合具によって支持部材を取付部材に結合してもよく、あるいは、第1ケース構成体を取付部材に結合する前記結合具によって支持部材を第1ケース構成体と共に取付部材に共締め結合してもよい。
後者によると、取付部材への第1ケース構成体の結合作業と、取付部材への支持部材の結合作業とを同時に行えることになり、それだけ作業効率を向上させることができるとともに、結合具の兼用化も図ることができるため、それだけ部品点数の削減を達成することができる。
なお、支持部材を第1ケース構成体と共に取付部材に共締め結合する結合具は、ボルトでもよく、ビスでもよく、リベットでもよく、ピン等でもよく、任意な構造、形式のものでよい。
以上の本発明は、開閉体を収納するための収納ケースを備えている任意な開閉装置に適用でき、その開閉装置は、開閉体がシャッターカーテンとなっているシャッター装置でもよく、ロールブラインド装置でもよく、オーニング装置でもよく、防煙垂れ幕装置等でもよい。
また、開閉装置がシャッター装置である場合には、そのシャッター装置は、シャッターカーテンで窓や出入口等の開口部を開閉する開口部用シャッター装置でもよく、車庫用シャッター装置でもよく、運搬車両の荷台に設置されるシャッター装置でもよく、シャッターカーテンを全閉することによって建物や地下街、船舶等の構築物内に防災区画を形成するための防災用シャッター装置等でもよく、この防災シャッター装置には、エレベータ用シャッター装置も含まれる。
また、開閉装置がシャッター装置である場合には、シャッターカーテンは、全体又は略全体がスラットで形成されたものでもよく、パネルで形成されたものでもよく、シートで形成されたものでもよく、リンクで連結されたパイプで形成されたものでもよく、ネットで形成されたものでもよく、さらには、種類が異なる複数の部材の複合、例えば、スラットとシートのように、複数種類のカーテン構成材の複合で形成されたもの等でもよい。
さらに、シャッターカーテンを含む開閉体を収納するための前記収納ケースは、例えば、骨組み材のみ又は骨組み材と補助材によって形成された内部が見えるスケルトンタイプのものでもよく、内部が見えない又は殆ど見えない遮閉タイプ等のものでもよい。
また、収納ケースを構成する前述した第1ケース構成体や第2ケース構成体は、複数の部材からなるものでもよく、1個の部材からなるなるものでもよい。
また、第1ケース構成体及び第2ケース構成体はシャッターカーテンを収納する収納ケースの任意な部分を構成するものでよく、その一例は、開閉装置がシャッター装置である場合に、第2ケース構成体を、このシャッター装置のシャッターカーテンが開閉移動時に挿通移動するスリットを形成するためのまぐさ部材とすることである。
また、本発明は、建築中の建物等の構築物に開閉装置を設置する場合に適用できるとともに、既に完成している構築物に後付け作業として開閉装置を設置する場合にも適用できる。
本発明によると、開閉体の収納ケースを構成するそれぞれのケース構成体を、開閉装置が設置される現場に簡単に取付配置できるようになり、作業性が向上するという効果を得られる。
図1は、本発明の実施形態に係る開閉装置の施工方法が適用されているエレベータ用の防災シャッター装置の全体を示す正面図である。 図2は、図1のS2−S2線断面図である。 図3は、図1で示されたエレベータ用の防災シャッター装置を示す縦断面図である。 図4は、巻取軸及びこの巻取軸に連結された減速機の内部構造を示すシャッターケースの平断面図である。 図5は、巻取軸の減速機側とは反対側の端部の中心軸についての回転止め構造を示す分解斜視図である。 図6は、巻取軸の減速機側の中心軸と減速機の入力軸とを連結する遊動許容カップリング手段を示す分解斜視図である。 図7は、巻取軸の減速機側の中心軸と減速機の入力軸とが遊動許容カップリング手段で連結されているときを示す平面図である。 図8は、戻しばねの巻き締め作業を行えるようにするための巻取軸の減速機側の中心軸についての回転止め構造を示す分解斜視図である。 図9は、工場からエレベータ用の防災シャッター装置の施工現場へ搬送される荷造り品を示す斜視図である。 図10は、エレベータ用の防災シャッター装置の施工現場に基準位置を示す水平ラインを表示し、この基準位置にしたがってベース部材を配置したときを示す正面図である。 図11は、図10のベース部材に第2ケース構成体であるまぐさ部材を接触配置したときを示す正面図である。 図12は、ベース部材の上に取付部材を配置したときを示す正面図である。 図13は、図12の一部拡大図である。 図14は、図13のS14−S14線断面図である。 図15は、図13のS15−S15線断面図である。 図16は、シャッターケースの第1ケース構成体を構成するケース本体と巻取軸を支持する支持部材とを施工現場に取付部材で取り付けた状態を示す側断面図である。 図17は、図16で示す作業を行ってガイドレールを建物躯体に取り付けた後、シャッターカーテンを下降させたときを示すシャッター装置の正面図である。 図18は、天井部材によって区画された天井裏空間にシャッターケースが配置される場合の実施形態を示す図16と同様の図である。
以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。本発明の実施形態に係る開閉装置は、開閉体がシャッターカーテンとなっているシャッター装置であり、図1は、本発明の実施形態に係る施工方法が適用されているシャッター装置の全体を示す正面図である。図2は、図1のS2−S2線断面図であり、図3は、シャッター装置の縦断面図である。初めに、このシャッター装置の全体構造及び動作について説明する。
このシャッター装置はエレベータ用の防災シャッター装置であり、このエレベータ用の防災シャッター装置は、図2及び図3で示されているとおり、単なる通路を含むエレベータホール1から見て、エレベータ扉2の手前側において、開閉体である防災用シャッターカーテン20が上下に開閉移動するものとなっており、このシャッターカーテン20がエレベータホール1とエレベータ扉2との間で全閉となることにより、エレベータホール1とエレベータ扉2との間で遮断された防災区画が建物内に形成される。
図2及び図3で示されている建物内の縦穴3で昇降するエレベータの昇降箱4は、エレベータ用の防災シャッター装置が設置されている建物の各階で停止し、図3で示されているとおり、エレベータホール1から見てエレベータ扉2の手前上部には、昇降箱4の現在位置等を表示するインジケータ5が、各階の間の床スラブ6から垂下した建物躯体である下がり壁7の内部に組み込み配置されている。左右2個のエレベータ扉2は、図3で示された上下のガイド部材8,9で案内されて左右に開閉移動自在となっているため、昇降箱4が停止した階のエレベータ扉2は、図示しない駆動装置の駆動力で開閉移動する。
図2で示すように、エレベータ扉2よりエレベータホール1側の左右両側の建物躯体となっている側壁10には、シャッターカーテン20の左右方向である幅方向の両端部がスライド自在に挿入されたガイドレール21が取り付けられ、ガイド部材となって上下に延びているこれらのガイドレール21でシャッターカーテン20の開閉移動が案内される。ガイドレール21の内部において、シャッターカーテン20には抜け止め部材22が取り付けられ、これらの抜け止め部材22で抜け止めされながらシャッターカーテン20は開閉移動する。
図3で示されているように、前記下がり壁7にはシャッターケース11が取り付けられ、図1で示されているように、左右方向に長いこのシャッターケース11の内部には、正逆回転することによってシャッターカーテン20を巻き取り、繰り出す巻取軸24が水平に収納配置され、シャッターカーテン20の上端が結合されているこの巻取軸24は、シャッターケース11の内部に配置されていて下がり壁7に取り付けられている左右の第1及び第2支持部材25,26によって正逆回転自在に支持されている。図3で示されているように、シャッターケース11の下端部は、シャッターカーテン20が上下に挿通された左右に長いスリット12が形成されたまぐさ13となっており、このまぐさ13のスリット12を通ってシャッターカーテン20は、巻取軸24の繰り出しによる下降である閉じ移動及び巻取軸24の巻き取りによる上昇である開き移動を行う。
なお、図2で示されているそれぞれのガイドレール21におけるシャッターカーテン20の幅方向の端部が挿入された開口部に、シャッターカーテン20と接触する遮煙部材を設け、この遮煙部材により、火災の発生で生じた煙が全閉位置に達しているシャッターカーテンと上記開口部との間の隙間及びガイドレール21の内部を通過してシャッターカーテンの反対側に達するのを防止するようにしてもよい。
また、まぐさ13のスリット12にも上述した遮煙部材と同様な遮煙部材を設け、この遮煙部材により、火災の発生で生じた煙がシャッターケース11の内部を通過してシャッターカーテンの反対側に達することを防止するようにしてもよい。
図1及び図3で示されているように、シャッターケース11の内部には、シャッターカーテン20が全開位置に達しているときに、シャッターカーテン20の下端部又はこの下端部近くに取り付けられた逆L字状の被係止部材28を係止するための係止装置29が配置されている。この係止装置29は、上片部30Aと下片部30Bとを有する二股状となっている係止部材30を有し、この係止部材30は上下に回動自在である。通常時の係止部材30は、係止装置29に組み込まれているストップ手段のストップ機能により、上片部30Aと下片部30Bが水平姿勢となった状態で下向き回動が阻止されており、このときには、下片部30Bの上面に、全開位置に達しているシャッターカーテン20に設けられている逆L字状の被係止部材28の上端の水平突起部28Aが係止されているため、全開位置のシャッターカーテン20は、係止装置29の係止作用によってこの全開位置に維持される。
エレベータ用の防災シャッター装置がそれぞれの階に設置されている建物において火災が発生すると、この火災を検知したセンサからの信号が入力した制御装置により、又は火災の発生を知った人が図示しない操作部材を操作することにより、それぞれの階のエレベータ用の防災シャッター装置における係止装置29の上記ストップ手段のストップ機能が解除されるため、シャッターカーテン20の自重と、上記ストップ機構を作動させるばね等の弾性部材の弾性力とにより、係止部材30が下向きに回動し、この下向き回動で被係止部材28の上端の水平突起28Aが係止部材30の下片部30Bから離脱するため、シャッターカーテン20は自重で下方へ閉じ移動し、この閉じ移動は、シャッターカーテン20の自重による巻取軸24の正回転によってなされ、シャッターカーテン20は巻取軸24から繰り出されて全閉位置に達する。
シャッターカーテン20は、図1及び図3で示されているとおり、閉じ側先端部材となっている座板31と、この座板31が下端部に取り付けられ、シャッターカーテン20の大部分の面積を形成しているカーテン本体32とを有し、カーテン本体32は、耐火性及び遮煙性を有するシートに耐火性塗料を塗布及び/又は含浸させて形成されている。上記被係止部材28は座板31に取り付けられている。
図1で示されているように、シャッターカーテン20のエレベータ扉2側の面には、シャッターカーテン20を上方へ開き移動させる際に、手を掛けてシャッターカーテン20を持ち上げるための手掛け部材34が設けられている。この手掛け部材34は、火災発生時にエレベータの昇降箱4の中にいた避難者(車椅子等を使用している者やストレッチャーで運ばれる者を含む)が、エレベータ用の防災シャッター装置が設置されている階に停止した昇降箱4から出てきたなどのときに、その防災シャッター装置の全閉位置に達しているシャッターカーテン20を持ち上げてその下を通過できるようにするのものである。手掛け部材34は、カーテン本体32に水平に配置されていて、シャッターカーテン20の補強部材となっている棒状部材35の一部によって形成されている。
この棒状部材35を具体的に説明すると、カーテン本体32は、上下の重なり部分を有して上下に配置された複数のシート32Aで形成され、これらのシート32Aのうち、最下段のシート32Aには、前記エレベータ扉2と対面する側において、上下寸法が小さくて左右寸法が大きい細幅の袋部用シート37が取り付けられ、シート32Aとこの袋部用シート37との間は袋部となっており、この袋部の内部に、両端が左右のガイドレール21の内部に挿入された棒状部材35が挿入されている。また、袋部用シート37には複数の切れ目36が形成され、これらの切れ目36から露出した棒状部材35の一部が、上記手掛け部材34となっている。このような手掛け部材34は、本実施形態では、カーテン本体32に上下複数段、同じ高さ位置に左右複数個設けられ、図示例では、上下2段、左右2個設けられている。
なお、カーテン本体32におけるエレベータ扉2と対面する側の面に手掛け部材34を設けるための構造は、以上の構造に限定されず、例えば、カーテン本体32を形成する上下のシート32Aの重なり部分を袋部とし、この袋部に棒状部材35を挿入し、この袋部に複数形成した切れ目から露出させた棒状部材35の一部を手掛け部材34としてもよい。そして、このような構造による手掛け部材34と、図1で示した構造による手掛け部材34とをカーテン本体32に併設してもよい。
昇降箱4から出てきた前記避難者が、全閉位置に達しているシャッターカーテン20を持ち上げてその下を通過するときには、先ず、上下2段設けられている手掛け部材34のうちの上段の手掛け部材34に手を掛けてシャッターカーテン20を持ち上げ、次に下段の手掛け部材34に手を掛けてシャッターカーテン20をさらに持ち上げる。
巻取軸24の内部には、後述するように、シャッターカーテン20が閉じ移動する巻取軸24の正回転時に戻しばね力が蓄圧される戻しばねが配置されており、シャッターカーテン20は、この戻しばね力を蓄圧しながら全閉位置に達する。
前述したように、自重で閉じ移動する自重閉鎖式となっているシャッターカーテン20が全閉位置に達した後、このシャッターカーテン20を手掛け部材34で持ち上げると、巻取軸24は、戻しばねの蓄圧された戻しばね力で逆回転してシャッターカーテン20を巻き取ることになる。このため、手掛け部材34によるシャッターカーテン20の持ち上げは戻しばねの戻しばね力で補助されることになり、このため、上記避難者は、小さい力によってシャッターカーテン20を軽く持ち上げてその下を通過することができる。
なお、避難訓練等のためにシャッターカーテン20を全閉とした後、シャッターカーテン20を全開位置に戻すときには、シャッターカーテン20を大きな力で持ち上げて全開位置まで上昇させる。これにより、前述したように係止装置29の下向き回動していた係止部材30の上片部30Aの下面に前記被係止部材28の上端の水平突起28Aが当接し、この当接によって係止部材30は上向きに回動して水平姿勢に戻るとともに、下片部30Bの上面に被係止部材28の上端水平突起28Aが係止される。このときには、係止装置29の前記ストップ手段のストップ機能は回復しているため、水平姿勢に戻った係止部材30によってシャッターカーテン20は全開位置で停止し、これにより、全部がシャッターカーテン20の閉じ移動開始前の状態に戻る。
また、本実施形態では、前記手掛け部材34はシャッターカーテン20のエレベータ扉2側の面に設けられていたが、このような手掛け部材又はこれとは形状、構造が異なる手掛け部材を、シャッターカーテン20のエレベータホール1側の面に設けてもよく、また、シャッターカーテン20のエレベータ扉2側の面とエレベータホール1側の面との両方に設けてもよい。
図4は、巻取軸24及びこの巻取軸24に連結されている減速機70の内部構造を示す平断面図である。巻取軸24は、図1で示された左右の第1及び第2支持部材25と26のうち、第1支持部材25側の第1中心軸41と、第2支持部材26側の第2中心軸42と、第1中心軸41が中心に挿通され、この第1中心軸41に対して軸受け43,44で回転自在となっている円板状の第1及び第2ホイール部材45,46と、第2中心軸42が中心に挿通され、この第2中心軸42に溶接等で結合されている円板状の第3及び第4ホイール部材47,48と、第1支持部材25側から第2支持部材26側へ軸方向に離れて配置されているこれらの第1〜第4ホイール部材45〜48のうち、第1及び第4ホイール部材45,48の外周に溶接等で嵌合固定され、第2及び第3ホイール部材46,47は単に内部に嵌入されているパイプ状の巻取軸本体49とを含んで形成されている。なお、第2及び第3ホイール部材46,47も巻取軸本体49に溶接等で固定してもよい。第1中心軸41は軸受け50で第1支持部材25に支持され、第2中心軸42は軸受け51で第2支持部材26に支持されており、巻取軸24によるシャッターカーテン20の巻き取り、繰り出しは、巻取軸本体49の外面において行われる。
また、第1中心軸41には、第1ホイール部材45と第2ホイール部材46との間において、それぞれのホイール部材45〜48と同様に円板状に形成されたばね連結部材52が配置され、このばね連結部材52は第1中心軸41に溶接等で結合されているとともに、巻取軸本体49の内部に、この巻取軸本体49の内周面との間に隙間を明けて挿入できるように、それぞれのホイール部材45〜48よりも小径に形成されている。
第1ホイール部材45とばね連結部材52との間には、第1中心軸41の外周に嵌合されたねじりコイルばねによる戻しばね53が配置され、巻取軸24と同軸的に配置されているこの戻しばね53における第2支持部材26側の一方のフック状端部53Aは、ばね連結部材52に形成された切欠部52Aの周辺部に連結係止され、第1支持部材25側の他方のフック状端部53Bは、第1ホイール部材45に形成された切欠部45Aの周辺部に連結係止されている。
また、軸受け50を介して第1支持部材25で支持されている第1中心軸41は、第1支持部材25に対する回転が回転止め部材60によって止められている。図5には、この回転止め部材60による回転止め構造の分解斜視図が示されている。第1支持部材25から突出している第1中心軸41の端部には、互いに反対側の2箇所41A,41Bの面取り加工により、第1中心軸41の直径よりも厚さが小さくなったフラット状部41Cが形成され、このフラット状部41Cが内部に挿入係合される溝61が回転止め部材60に形成されている。板金の折り曲げ加工品であるこの回転止め部材60は、両端のフランジ部60A,60Bと、これらのフランジ部60A,60Bの間で隆起した隆起部60Cとを有し、この隆起部60Cに溝61が設けられている。
それぞれのフランジ部60A,60Bには、第1支持部材25側へ直角に突出した突片60Dが設けられており、溝61の内部に第1中心軸41のフラット状部41Cを挿入係合しながら、これらの突片60Dを第1支持部材25に形成された細長開口部62に挿入し、上下2本のボルト63を回転止め部材60のフランジ部60A,60Bの孔64に挿入するとともに、第1支持部材25の孔65にも挿入し、これらのボルト63を第1支持部材25に溶接等で固定されたナット66に螺入して締め付けることにより、回転止め部材60は第1支持部材25に取り付けられる。そして、この回転止め部材60の溝61にフラット状部41Cが挿入係合された第1中心軸41は、第1支持部材25及び軸受け50に対する回転が止められることになる。
このように第1中心軸41の回転が止められると、第1中心軸41に溶接等で結合されている図4のばね連結部材52の回転も止められることになる。これに対して第1中心軸41上に図4で示した軸受け43,44で配置されている第1及び第2ホイール部材45,46は回転自在となり、第1ホイール部材45に溶接等で結合されている巻取軸本体49も回転自在となり、さらに、巻取軸本体49に溶接等で結合されている第4ホイール部材48及びこの第4ホイール部材48に溶接等で結合されている第2中心軸42も回転自在となる。この第2中心軸42の回転は、軸受け部材51を介して第2支持部材26によって支持される。
前述したとおりにシャッターカーテン20が自重によって閉じ移動することは、巻取軸本体49が正回転してシャッターカーテン20を繰り出すことにより行われ、巻取軸本体49が正回転すると、巻取軸本体49に結合されている第1ホイール部材45も正回転するが、ばね連結部材52は第1中心軸41と共に回転しないため、これらの第1ホイール部材45とばね連結部材52とに両端のフック状端部53A,53Bが連結されている前記戻しばね53には、シャッターカーテン20の繰り出しに伴い、巻取軸本体49の正回転による巻き締めによって戻しばね力が蓄圧される。
そして、全閉となったシャッターカーテン20を前記手掛け部材34で持ち上げると、巻取軸本体49は、戻しばね53の蓄圧された戻しばね力で逆回転し、この逆回転により、シャッターカーテン20は持ち上げられた分だけ巻取軸本体49に巻き取られることになり、戻しばね53の戻しばね力によって巻取軸本体49の逆回転が付勢されるため、手掛け部材34によるシャッターカーテン20の持ち上げを軽く行える。
図4で示されているとおり、第2支持部材26には、前記減速機70が取り付けられている。本実施形態では、この取り付けは、ブラケット71に減速機70を取り付け、このブラケット71の前面折曲部71Aと第2支持部材26の前面折曲部26Aとをボルト・ナットによる結合具72で結合することによって行われている。
減速機70は、巻取軸本体49と一体に回転する第2中心軸42の回転が遊動許容カップリング手段100を介して伝達される入力軸80と、この入力軸80の回転が歯車81,82で伝達されるアイドル軸83と、アイドル軸83の回転が歯車84,85で伝達される被動軸86と、被動軸86と一体に回転するロータリーベース部材87とを有し、このロータリーベース部材87には、2個のピン88を間に挟んで互いに向かい合っているとともに、これらのピン88で案内されて内外径方向に移動自在となった一対のブレーキシュー90が配置され、通常時のこれらのブレーキシュー90は、ばね89で内径方向の移動限位置に達している。巻取軸24の第2中心軸42からの回転力によってロータリーベース部材87が回転すると、一対のブレーキシュー90は遠心力によりばね89に抗して外径方向へ移動し、これらのブレーキシュー90がブレーキドラム91に圧接することにより、巻取軸24の第2中心軸42の回転、言い換えると、巻取軸24の巻取軸本体49等によって形成されている前記回転部Aの回転が減速される。
このため、本実施形態に係る減速機70は、ブレーキシュー90が遠心力でブレーキドラム91に圧接することによって減速力を生じさせる遠心力式減速機となっている。なお、減速機はこの形式のものに限定されず、摩擦板式等の任意な形式のものでよい。
また、この減速機70は、ロータリーベース部材87とブレーキシュー90とブレーキドラム91の部分によって形成されている減速手段70Aと、シャッターカーテン20が巻取軸24から繰り出されるときの第2中心軸42の正回転を減速手段70Aに伝達し、シャッターカーテン20を巻取軸24が巻き取るときの第2中心軸42の逆回転を減速手段70Aに伝達しないクラッチ手段70Bとを有するものとなっている。逆回転時の第2中心軸42と減速手段70Aとの間を切断するこのクラッチ手段70Bは、入力軸80と、この入力軸80の外周に嵌合された歯車81との間において、円周方向に複数配置されたニードル92を含んで形成されており、入力軸80が挿入されている歯車81の中心孔には、それぞれのニードル92が個別に収納された複数の収納空間が円周方向に形成されており、これらの収納空間は、第2中心軸42の正回転方向へ入力軸80との間隔が次第に小さくなった傾斜空間となっている。
このため、第2中心軸42の正回転が遊動許容カップリング手段100を介して入力軸80に伝達されると、この回転は、正回転方向と同じ方向へ移動するニードル92を介して歯車81に伝達されることになり、言い換えると、このときにはクラッチ手段70Bの接続が行われ、これにより、第2中心軸42の正回転は減速手段70Aに伝達されてこの減速手段70Aで減速される。一方、第2中心軸42が逆回転し、この回転が遊動許容カップリング手段100を介して入力軸80に伝達された場合には、ニードル92は正回転方向とは反対方向へ移動するため、第2中心軸42の逆回転は減速手段70Aに伝達されない。言い換えると、このときにはクラッチ手段70Bの切断が行われ、第2中心軸42は、前述した戻しばね53の蓄圧された戻しばね力で自由に逆回転する。
このように、本実施形態に係るクラッチ手段70Bは、ニードル式のクラッチ手段となっている。なお、クラッチ手段はこの形式のものに限定されず、摩擦板式等の任意な形式のものでよい。
そして、本実施形態に係る減速機70は、前記減速手段70Aとクラッチ手段70Bとが同じハウジング93の内部に組み込まれた一体型となっており、第2中心軸42に遊動許容カップリング手段100を介して入力軸80を連結すると、減速手段70Aがクラッチ手段70Bを介して第2中心軸42に接続されるようになっている。このため、本実施形態では、入力軸80は、第2中心軸42の回転をクラッチ手段70Bに入力させるための軸にもなっている。
また、第2中心軸42の正回転時には、言い換えると、シャッターカーテン20を繰り出す巻取軸本体49の正回転時には、クラッチ手段70Bが接続されて減速手段70Aが作動するため、巻取軸本体49の正回転は減速されることになり、そして、このシャッターカーテン20の繰り出し時には、戻しばね53が蓄圧されるため、この戻しばね53の蓄圧分だけシャッターカーテン20の繰り出し速度は一層低下し、前述したように、火災発生時に全開位置から全閉位置へ達するシャッターカーテン20はこのように制動された速度で下降するため、シャッターカーテン20の下を避難者が安全に通過することができる。そして、シャッターカーテン20が全閉となった後に、エレベータの昇降箱4から出てきた避難者は、前述したように、前記手掛け部材34によってシャッターカーテン20を持ち上げることができ、この持ち上げ時には、巻取軸本体49は戻しばね53の蓄圧された戻しばね力によって逆回転し、この逆回転はクラッチ手段70Bによって減速手段70Aに伝達されないため、シャッターカーテン20の持ち上げは、シャッターカーテン20が巻取軸本体49に巻き取られることにより、小さい手操作力によって迅速に行うことができる。
図6は、巻取軸24の第2中心軸42と、この第2中心軸42に対して同軸的に配置されている減速機70の入力軸80とを連結している遊動許容カップリング手段100の分解斜視図を示し、図7は、これらの第2中心軸42と入力軸80とが遊動許容カップリング手段100で連結されているときを示す平面図である。
巻取軸24の減速機70側の端部には、言い換えると、第2中心軸42の入力軸80側の端部には、遊動許容カップリング手段100を構成する部材であるカップリング部材101が結合されている。このカップリング部材101には、入力軸80側の端面101Aで開口した穴102が形成されているとともに、この穴102と直交して穴102を貫通する切り込み部103が端面101Aから軸方向への切り込み深さをもって形成され、この切り込み部103は、第2中心軸42の直径方向に貫通した溝形状となっている。また、入力軸80の第2中心軸42側の端部近くには、入力軸80の軸方向と直交する方向へ突出する突起104が設けられ、この突起104は、入力軸80を直径方向へ貫通したピンによって形成されているため、突起104は入力軸80の円周方向の互いに反対側の位置に2個設けられている。
カップリング部材101の穴102には入力軸80の端部が挿入され、カップリング部材101の切り込み部103には入力軸80の突起104が挿入される。穴102の直径D1は入力軸80の直径D2よりも大きく、また、切り込み部103の幅寸法W1は突起104の幅寸法(直径)W2よりも大きい。このため、穴102への入力軸80の端部の挿入及び切り込み部103への突起104の挿入は、遊合状態で行われる。
本実施形態では、穴102と切り込み部103とにより、巻取軸24の第2中心軸42における凹部105が形成され、穴102に挿入される入力軸80の端部と突起104とにより、減速機70の入力軸80における凸部106が形成されている。凹部105に凸部106が上述のように遊合状態で挿入され、第2中心軸42が回転すると、凹部105と凸部106との回転方向の当接により、具体的には、切り込み部103と突起104との回転方向の当接により、第2中心軸42の回転が入力軸80に伝達される。
また、第2中心軸42が、この第2中心軸42に対して同軸的に配置されている入力軸80に対して、上記直径D1とD2との差や上記幅寸法W1とW2の差よりも小さい量だけ直径方向等へ遊動しても、第2中心軸42の回転は入力軸80に伝達される。すなわち、前記遊動許容カップリング手段100は、第2中心軸42が入力軸80に対して直径方向等へ遊動するのを許容し、第2中心軸42の回転を入力軸80に伝達できるものとなっている。
巻取軸本体49がシャッターカーテン20を巻き取り、繰り出すための正逆回転を行うとき、水平となっている巻取軸24には、シャッターカーテン20の重量や巻取軸24自体の重量が作用しているため、また、巻取軸24の回転時に振れ等が生ずることがあるため、巻取軸24は撓み変形しながら回転する。このため、巻取軸24の減速機70側の端部部材となっている第2中心軸42は、巻取軸24がシャッターカーテン20を巻き取り、繰り出すための回転を行うときに、直径方向等への振れ運動を行いながら回転することになる。
本実施形態では、この第2中心軸42に減速機70の入力軸80が直結されておらず、遊動許容カップリング手段100を介して第2中心軸42と入力軸80とが連結されているため、巻取軸24がシャッターカーテン20を巻き取り、繰り出すための回転を行うときに、第2中心軸42が直径方向等への振れ運動を行いながら回転しても、この回転は遊動許容カップリング手段100を介して入力軸80に伝達されることになり、これにより、減速機70における減速手段70A及びクラッチ手段70Bを所定どおり作動させることができる。
また、減速機70は、巻取軸24を支持している前述した第1及び第2支持部材25,26のうちの第2支持部材26にブラケット71を介して取り付けられているため、この第2支持部材26を、巻取軸24と減速機70の両方のための支持部材として利用でき、それだけシャッター装置全体の構造を簡単化できるとともに、第2支持部材26に減速機70を不動状態で取り付けても、上述のように、巻取軸24がシャッターカーテン20の重量のために撓み変形しながら回転して、第2中心軸42が直径方向等へ振れ運動した場合に、この回転を遊動許容カップリング手段100によって減速機70の入力軸80に所定どおり入力させることができる。
また、第1支持部材25と第2支持部材26との間や、第2支持部材26とブラケット71との間等に、これらの部材25,26,71の取付位置の誤差等に基づく芯ずれ等があっても、第2中心軸42の回転を遊動許容カップリング手段100によって減速機70の入力軸80に所定どおり入力させることができる。
さらに、図4で示されているとおり、第2支持部材26に減速機70を取り付けるためのブラケット71には孔71Bが形成されており、遊動許容カップリング手段100はこの孔71Bに挿入配置されているため、それだけ遊動許容カップリング手段100を含む減速機70の配置位置を巻取軸24の側へ近づけることができ、これにより、これらの巻取軸24や減速機70等からなる前記シャッターケース11の内部に収納される機器類の左右方向長さを短縮できる。
ところで、シャッターカーテン20が全開位置に達しているときにおける図4で示した戻しばね53の初期戻しばね力の大きさは、エレベータ用の防災シャッター装置が設置されるその施工現場に応じた適正値となっていることが求められる。このような適正値となった初期戻しばね力を得ることは、巻取軸24の回転側の部材となっている第2中心軸42や巻取軸本体49の回転を止め、巻取軸24の非回転側の部材となっている第1中心軸41を回転させ、これによって戻しばね53に対する巻き締め作業を行うことにより実現できる。
このような戻しばね53に対する巻き締め作業を行えるようにするため、巻き締め作業時に第2中心軸42が回転するのを止めるための図8の回転止め部材110が用意されており、また、この回転止め部材110を係合させるための係合部120がカップリング部材101に設けられている。これを具体的に説明すると、図6で示されているように、カップリング部材101には、面取り加工によって円周方向に4つの面101Bが形成されており、互いに反対側となっている2つの面101B同士の間隔はLであり、これら2つの面101Bによって上記係合部120が形成され、この係合部120は、カップリング部材101に2個設けられている。
図8で示した回転止め部材110には、係合部120が挿入係合される溝111が設けられており、板金の折り曲げ加工品であるこの回転止め部材110は、両端のフランジ部110A,110Bと、これらのフランジ部110A,110Bの間で隆起した隆起部110Cとを有し、この隆起部110Cに溝111が設け、この溝111の開口幅Hは係合部120の上記Lと対応する寸法となっている。それぞれのフランジ部110A,110Bには、第2支持部材26側へ直角に突出した突片110Dが設け、溝111の内部にカップリング部材101の係合部120を挿入係合しながら、これらの突片110Dを第2支持部材26に形成された細長開口部112に挿入し、上下2本のボルト113を回転止め部材110のフランジ部110A,110Bの孔114に挿入するとともに、第2支持部材26の孔115にも挿入し、これらのボルト113を第2支持部材26に溶接等で固定されたナット116に螺入して締め付けることにより、回転止め部材110は第2支持部材26に取り付けられる。そして、この回転止め部材110の溝111に係合部120が挿入係合されたカップリング部材101は、第2支持部材26に対する回転が止められることになる。
そして、図5で示した第1支持部材25側の回転止め部材60を第1支持部材25から取り外し、巻取軸24の前述した第1中心軸41のフラット状部41Cに図4で示した回転作業用工具130を係合し、この工具130で第1中心軸41を回転させることにより、巻取軸24の回転側の部材となっていた第2中心軸42や巻取軸本体49、第1ホイール部材45の回転が回転止め部材110で止められていて、巻取軸24の非回転側の部材となっていた第1中心軸41やばね連結部材52が回転するため、第1ホイール部材45とばね連結部材52との間に架設されている戻しばね53を、戻しばね力が適正値となるまでの巻き締めることができる。
なお、この戻しばね53の巻き締め作業を行うときには、シャッターカーテン20を全開位置に停止させておくために、図3で示した被係止部材28を係止装置29の係止部材30に係止させておいてもよく、また、係止させておかなくてもよい。そして、戻しばね53を巻き締める作業は、シャッターカーテン20が全閉位置に達しているときにも行える。
また、戻しばね53の巻き締め作業を行うときには、前記シャッターケース11は、図3及び図4で示されているように、ケース本体11Aと、このケース本体11Aの前面開口部を塞ぐ前面部材11Bと、シャッターケース11の左右両端を塞ぐエンドキャップ11C,11D等からなり、これらの部材11A〜11Dはボルト・ナットやビス等の止着具で分解可能に組み立てられているため、ケース本体11Aからの前面部材11B、エンドキャップ11C,11Dの取り外しを行う。この後、図4で示した結合具72を取り外して第2支持部材26から減速機70を分離することにより、上述した戻しばね53の巻き締め作業を、第2支持部材26への回転止め部材110の取り付け作業と、第1支持部材25からの回転止め部材60の取り外し作業と、第1中心軸41のフラット状部41Cへの回転作業用工具130の係合作業とを行うことにより、行うことができる。
なお、図6で示したカップリング部材101の面取り加工で形成される面101Bを4つとせず、互いに反対側となった2つだけとし、これにより、これら2つの面101Bによって上記係合部120の個数を1個としてもよい。
以上において、シャッターケース11の下端部には、図3で説明したように、シャッターカーテン20が開閉移動したときにこのシャッターカーテン20を挿通移動させるスリット12を形成している前記まぐさ13が設けられており、本実施形態では、このまぐさ13のエレベータホール1側の部分は、シャッターケース11の前面部材11Bの下部部分で形成され、まぐさ13のエレベータ扉2側の部分は、まぐさ部材160で形成されている。シャッターケース11のケース本体11Aや前面部材11Bと同じ長さになっていてシャッターカーテン20の幅方向長さを有するこのまぐさ部材160は、前述の下がり壁7に取り付けられたベース部材161に接触配置され、下がり壁7は、本実施形態に係るエレベータ用防災シャッター装置が設置されている建物の躯体となっている。
このように本実施形態のシャッターケース11は、ケース本体11Aと、前面部材11Bと、前述した左右両端のエンドキャップ11C,11Dと、まぐさ部材160とで構成され、これらのうち、ケース本体11Aと前面部材11Bとエンドキャップ11C,11Dは、シャッターケース11の第1ケース構成体201を構成する部材となっており、まぐさ部材160は、第2ケース構成体202を構成するものとなっている。
また、図3で示したとおり、ベース部材161の上には取付部材162が配置され、図4で示されているように、結合具163で下がり壁7に結合されているこの取付部材162は、シャッターカーテン20の幅方向に2個設けられている。これらの取付部材162に、シャッターケース11の第1ケース構成体201、より具体的には、前記ケース本体11Aと、巻取軸24の両端を支持している第1及び第2支持部材25,26とが結合具164で結合され、取付部材162は、これらのケース本体11Aと第1及び第2支持部材25,26を下がり壁7に取り付けるための部材となっている。
次に、シャッターケース11を含むエレベータ用防災シャッター装置を、このシャッター装置を設置すべき建物の現場に取付施工するための本実施形態に係る作業について説明する。この取付施工は既に完成している建物に対して行う後付け作業となっているが、建築中の建物について施工することも可能である。
図9は、工場から施工現場へ搬送される取付施工のために必要な荷造り品A,B,Cを示す。荷造り品Aは、シャッターケース11の第1ケース構成体201と、第2ケース構成体202であるまぐさ部材160と、ベース部材161とを梱包シート170で梱包することによって形成されるものである。荷造り品Bは、梱包箱171に取付部材162や結合具163,164等の小物部品を入れることによって形成されるものである。荷造り品Cは、前述したガイドレール21を梱包シート172で梱包することによって形成されるものである。本実施形態では、図2で示されているガイドレール21を取り付けるべき前記側壁10と、シャッターケース10を取り付けるべき下がり壁7との間には、側壁10の厚さ方向のギャップがあり、このギャップを解消するためのスペース部材173が用いられるため、梱包シート172で梱包される荷造り品Cのなかには、スペース部材173も含まれている。
また、荷造り品Aとしてシャッターケース11が工場から施工現場へ搬送されるときには、シャッターケース11の第1ケース構成体201の内部には、第1及び第2支持部材25,26と、これらの支持部材25,26で支持されている巻取軸24と、この巻取軸24で巻き取られているシャッターカーテン20とが収納されている。そして、このシャッターカーテン20の前述した座板31は、第1ケース構成体201の内部に配置されている部材に固定されている。
これを、第1ケース構成体201のケース本体11Aを下がり壁7に取り付けた作業後を示している図16で説明すると、座板31は、シャッターカーテン20の厚さ方向に並設されている3個の板部材174,175,176を含んで形成されており、図示しないボルト・ナット等の結合具で結合されているこれらの板部材174,175,176のうち、シートで形成されているカーテン本体32の下端部の袋部32Bに挿入されている中央の板部材175は、他の板部材174,176よりもシャッターカーテン20の幅方向に長くなっており、ガイドレール21の内部に挿入されるべきこの板部材175の両端部は、第1ケース構成体201の内部に配置されている部材177に、スペース部材178が介在されて、ボルト179Aとナット179Bによる固定具179で固定されている。本実施形態における部材177は、図3で示した前記係止装置29をシャッターケース11の内部に取付設置するための取付台座を形成するものとなっている。
なお、このようにしてシャッターカーテン20を巻取軸24に巻き取って工場から施工現場へ搬送するときには、図3で説明した前記被係止部材28は座板31に取り付けられておらず、この被係止部材28は荷造り品Bの梱包箱171に入れられて工場から施工現場へ搬送される。
また、荷造り品Aを工場から施工現場へ搬送する際には、図4で示した減速機70は、結合具72でブラケット71を第2支持部材26に結合することにより、巻取軸24と共に第1ケース構成体201の内部に収納しておいてもよく、結合具72及びブラケット71と共に荷造り品Bの梱包箱171に入れて工場から施工現場へ搬送してもよい。また、前記戻しばね53に前述した初期戻しばね力を付与する作業は、工場で予め行っておいてもよく、これらから説明する施工現場でのシャッター装置の設置作業が終了した後に行ってもよい。
荷造り品A,B,Cを工場から施工現場へ搬送した後、これらの荷造り品A,B,Cを施工現場で開梱することにより、シャッターケース11の取付施工を含むシャッター装置の設置作業を開始する。そのためには、先ず、図10で示すように、前記ベース部材161を取り付けるべき位置を示す水平ライン180を、下がり壁7に墨出し作業を行うことにより表示する。この水平ライン180は、エレベータホール1の床1Aからの高さの基準位置hを示すものであり、基準位置hは、予め作成されている設計図面等に基づき定められたガイドレール21の長さや、ベース部材161の高さ寸法、取付部材162の上下寸法等に対応して決められる位置であり、基準位置hの設定により、前述したシャッターケース11の第1ケース構成体201を、ベース部材161の上に配置される取付部材162を介して下がり壁7に取り付けたとき、この第1ケース構成体201をエレベータホール1の床1Aから所定の高さ位置に正確に配置施工できるようにする。
このように下がり壁7に水平ライン180を表示して基準位置hを設定した後、基準位置hにしたがってベース部材161を下がり壁7に配置する作業を行う。シャッターカーテン20の幅方向の長さを有するこのベース部材161を図14で説明すると、ベース部材161は、上下のフランジ部161A,161Bと、ウェブ部161Cとからなるチャンネル材で形成されている。本実施形態では、ベース部材161は、下がり壁7に埋設されるナット165Bと、下がり壁7に当てがわれるウェブ部161Cに形成された孔に挿入され、ナット165Bに螺入されるボルト165Aとからなる結合具165によって下がり壁7に結合されるとともに、本実施形態では、水平ライン180の位置と下フランジ部161Bの下面とを一致させてベース部材161は下がり壁7に配置されるため、ベース部材161のウェブ部161Cを下がり壁7に当てがう前に、水平ライン180から、下フランジ部161の下面とこの下フランジ部161Cの上記孔との間の距離に相当する所定の高さ位置において、ナット165Bを下がり壁7に埋設する作業を行い、次いで、ナット165Bに、下フランジ部161Cの孔に挿入した上記ボルト165Aを螺入することにより、ベース部材161を下がり壁7の所定高さ位置に結合具165で結合する。この作業が行われた後の状態が図10で示されている。
次に、図11で示されているとおり、ベース部材161に、シャッターカーテン20の幅方向の長さを有するまぐさ部材160を接触配置する作業を行う。このまぐさ部材160は、図14で示されているとおり、上下のフランジ部160A、160Bと、ウェブ部160Cと、下フランジ部160Bに設けられたリップ部160Dとからなり、このリップ部160Dを下がり壁7に当接させながら、上フランジ部160Aをベース部材161の上フランジ部161Aの上に載せることにより、まぐさ部材160を下がり壁7に接触配置する。
このようにして下がり壁7に配置されるまぐさ部材160は、ベース部材161を基準として、具体的には、まぐさ部材160はベース部材161に接触しているためにベース部材161が直接の基準部材となって、下がり壁7に配置されることになる。この状態が図11で示され、そして、この図11で示されているように、まぐさ部材160の上面には、上フランジ部160Aの一部を切り取った切り取り部166が形成され、本実施形態における切除部となっているこの切り取り部166は、前記取付部材162の配置位置と対応して、まぐさ部材160の長さ方向両側に設けられている。
なお、まぐさ部材160は、ベース部材161に溶接等で結合してもよく、ボルト・ナット等による結合具で下がり壁7に結合してもよく、また、ベース部材161に上述のように接触配置してこのベース部材161から単に吊下げるだけとしてもよい。
次に、図12に示されているように、ベース部材161の上に前記2個の取付部材162を配置する作業を行う。この作業は、縦長の寸法を有する取付部材162を、まぐさ部材160の切り取り部166の位置に配置することにより、図12の一部拡大図である図13で示されているとおり、取付部材162の下面を、切り取り部166をとおしてベース部材161の上フランジ部161Aの上面に接触させることによって行う。このため、取付部材162はベース部材161に対して接触配置されることになり、このベース部材161に対する配置位置が正確となる。図13は、前述した結合具163で取付部材162を下がり壁7に結合した後を示しており、図14は、図13のS14−S14線断面図であり、図15は、図13のS15−S15線断面図である。
板金の折り曲げ加工品であるそれぞれの取付部材162は、図4で分かるように、下がり壁7に当てがわれ、結合具163で下がり壁7に結合されるベース部162Aと、このベース部162Aと連続し、ベース部162Aに対してシャッターカーテン20の幅方向に形成された張出部162Bとからなり、この張出部162Bは、シャッターケース11のケース本体11A側に張り出している。結合具163は、下がり壁7に埋設されたナット163Bと、ベース部162Aに形成された孔に挿入され、ナット163Bに螺入されるボルト163Aとからなるため、上述のように取付部材162の下面を、切り取り部166をとおしてベース部材161の上フランジ部161Aの上面に接触させる前に、ベース部材161の上フランジ部161Aから、ベース部162Aの下端とこのベース部材161Aの上記孔との間の距離に相当する所定の高さ位置において、ナット163Bを下がり壁7に埋設する作業を行い、次いで、ナット163Bに、ベース部162Aの孔に挿入した上記ボルト163Aを螺入することにより、取付部材162を下がり壁7の所定高さ位置に結合具163で結合する。
それぞれの取付部材162の張出部162Bには、図13〜図15で示されているように、張出部162Bの一部切り起こし加工によってフック部167が予め形成され、また、図13で示されているように、フック部167の上下において孔168も予め形成されているとともに、張出部162Bの裏面には、それぞれの孔168と一致する位置において、図4で示した前記結合具164のナット164Bが予め溶接で固定されている。
また、図16で示されているとおり、シャッターケース11のケース本体11Aにおける下がり壁7と対面する鉛直部11Eには開口部181が形成され、さらに、図5及び図8で示されているように、前記第1及び第2支持部材25,26における上記鉛直部11Eと対面することになるベース部25B,26Bにも開口部182が形成され、これらの開口部181,182は縦長である。また、図5及び図8で示すとおり、第1及び第2支持部材25,26のベース部25B,26Bには、開口部182の上下において孔183が形成され、これらの孔183対応する位置において、ケース本体11Aの鉛直部11Eにも、開口部181の上下にも孔が形成されている。
上述のようにベース部材161の上において2個の取付部材162を下がり壁7に結合具163で結合した後、取付部材162にシャッターケース11の第1ケース構成体201と、巻取軸24の両端を支持している第1及び第2支持部材25,26とを取り付ける作業を行う。この作業は、シャッターケース11のケース本体11Aから前面部材11Bやエンドキャップ11C,11Dを取り外し、また、第2支持部材26に図4のブラケット71と結合具72を介して減速機70を連結している場合には、これらのブラケット71と結合具72の取り外しにより、第2支持部材26から減速機70を分離してから行う。
そして、取付部材162に第1ケース構成体201のケース本体11Aと第1及び第2支持部材25,26とを取り付けるためには、先ず、ケース本体11A及び巻取軸24や第1及び第2支持部材25,26を図示しない揚重機等によってシャッターケース11の配置高さ位置まで持ち上げ、次いで、ケース本体11Aの鉛直部11Eに形成されている開口部181に取付部材162のフック部167を挿入することにより、このフック部167にケース本体11Aを引っ掛け、また、第1及び第2支持部材25,26のベース部25B,26Bに形成されている開口部182にもフック部167を挿入することにより、フック部167に第1及び第2支持部材25,26も引っ掛ける。
以上により、シャッターケース11の第1ケース構成体201の主要な部材となっているケース本体11Aの重量と、第1及び第2支持部材25,26の重量と、これらの支持部材25,26で支持されている巻取軸24の重量と、この巻取軸24に巻き取られているシャッターカーテン20の重量は、フック部167を介して取付部材162に支持されることになる。
この後、図4や図16で示している結合具164のボルト164Aを第1及び第2支持部材25,26のベース部25B,26Bに形成されている孔183と、これらの孔183と対応してケース本体11Aの鉛直部11Eに形成されている上記孔とに挿入し、さららに、ボルト164Aを、図13で示されている取付部材162の張出部162Bに形成されている孔168に挿入してから、この張出部162Bの裏面に固定されている前記ナット164Bに螺入して締め付ける。この状態が図16で示されている。これにより、ケース本体11Aや第1及び第2支持部材25,26は、結合具164で取付部材162に結合されることになる。そして、ボルト164Aを上記孔183等に挿入し、ナット164Bに螺入して締め付けるまで、ケース本体11Aと第1及び第2支持部材25,26と巻取軸14とシャッターカーテン20の合計重量を、取付部材162のフック部167で支持しておくことができるため、結合具164によってケース本体11Aや第1及び第2支持部材25,26を取付部材162に結合するための作業を、例えば、一人の作業者によって短時間で行うことができる。
また、取付部材162は、前述のように基準部材となっているベース部材161に接触配置されているため、取付部材162のフック部167の高さ位置と、このフック部167が引っ掛かるケース本体11Aの開口部181の上端位置と、同じくフック部167が引っ掛かる第1及び第2支持部材の開口部182の上端位置とを正確に設定しておくことにより、ケース本体11Aと第1及び第2支持部材25,26を下がり壁7の正確な位置に配置施工することができる。
さらに、ケース本体11Aと同じくシャッターケース11の一部を構成している前記まぐさ部材160もベース部材161に接触配置されているため、これらのケース本体11Aとまぐさ部材160により所定形状どおりとなったシャッターケース11を形成することもできることになる。
次に、図2で示されている左右のガイドレール21を前記スペース部材173を介して建物躯体である側壁10に取り付ける作業を行う。この作業は、図3で示されているように、それぞれのガイドレール21の上部をシャッターケース11の内部に挿入しながら、図16で説明した座板31を形成している中央の板部材175の両端部をガイドレール21の開口部に挿入し、ガイドレール21及びスペース部材173をボルト・ナット等による結合具や溶接等で側壁10に結合することにより行う。
この後、図17で示すように、シャッターケース11の下側にシャッターカーテン20を受けるための脚立等のよる受け台190を配置し、次いで、図16で示した前記固定具179及びスペース部材178を取り外して座板31を前記部材177から分離する。これにより、シャッターカーテン20を自重で下降させて巻取軸24から繰り出させ、座板31を図17の受け台190に当接させることにより、シャッターカーテン20を停止させる。次いで、座板31に図3等で説明した前記被係止部材28を取り付ける作業を行うとともに、前記係止装置29の係止部材30を手作業で下向きに回動させておき、この後、シャッターカーテン20を大きな持ち上げ力で持ち上げて前記戻しばね53の戻しばね力で回転する巻取軸24に巻き取られ、シャッターカーテン20を全開位置まで上昇させる。これにより、図3で説明したように、係止部材30の上片部30Aの下面に前記被係止部材28の上端の水平突起28Aが当接し、この当接によって係止部材30は上向きに回動して水平姿勢に戻るとともに、下片部30Bの上面に被係止部材28の上端水平突起28Aが係止され、シャッターカーテン20は、火災が発生していない通常状態の全開位置に維持されることになる。
この後、図4で示した前記結合具72とブラケット71を介して減速機70を第2支持部材26に取り付ける作業や、ケース本体11Aに前面部材11Bやエンドキャップ11C,11Dを取り付ける作業等の残りの作業を行うことにより、シャッターケース11を下がり壁7に配置する作業を含む施工現場でのシャッター装置の設置作業は終了する。
なお、結合具72とブラケット71を介して減速機70を第2支持部材26に取り付ける作業や、ケース本体11Aに前面部材11Bやエンドキャップ11C,11Dを取り付ける作業等の残りの作業は、自重で下降したシャッターカーテン20を受け台190で停止させた後であって、このシャッターカーテン20を全開位置まで上昇させる前において行ってもよく、図17は、このような作業順序とした場合を示している。
また、上述した作業手順では、ガイドレール21を建物躯体である側壁10に取り付けた後に、図16で示した前記固定具179及びスペース部材178を取り外して座板31を前記部材177から分離したが、ガイドレール21のうち、シャッターケース11の内部に挿入される上端部の位置がスペース部材178と干渉する位置となっている場合には、以下の作業手順としてもよい。
すなわち、工場から施工現場へ出荷されるシャッターケース11の第1ケース構成体201の内部に収納する第2支持部材26には減速機70を取り付けておかず、この第1ケース構成体201の内部に収納する巻取軸24の第2中心軸42は、図8の回転止め部材110を第2支持部材26に取り付けることにより、この第2支持部材26に対して回転しないようにしておく。これにより、施工現場において、第1支持部材25及び第2支持部材26が前述したように結合具164で取付部材162に結合されたときには、巻取軸24全体が、第1支持部材25に取り付けられた図5の回転止め部材60による回転止め作用と併せ、回転しないようにしておく。
次いで、前記固定具179及びスペース部材178を取り外して座板31を前記部材177から分離する。これにより、座板31は部材177から自由となるが、座板31を含むシャッターカーテン20は、巻取軸24が回転不能となっているため、そのまま全閉位置に向かって大きく下降することはない。
この後、座板31のうち、固定具179のボルト179Aが挿入されていた図16の板部材175の端部の孔に、ガイドレール21の内部に挿入されるシャッターカーテン20の幅方向の端部がガイドレール21の内部から抜け出すのを防止するためのボルト、ナット等による抜け止め部材を挿入して固定する。次いで、ガイドレール21を建物躯体である側壁10に取り付ける作業を行い、この作業は、ガイドレール21の上端部をシャッターケース11の内部に挿入しながら、板部材175の端部及び上記抜け止め部材をガイドレール21の内部に挿入することにより行う。
この後、第2支持部材26から回転止め部材110を取り外し、これによって巻取軸24の第2中心軸42等を回転可能とすることにより、シャッターカーテン20をガイドレール21に案内させて自重で下降させ、図17の状態とする。次いで、第2支持部材26に減速機70を取り付ける作業や、前述した作業手順で説明した作業等を行うことにより、全部の施工作業を終了する。
以上説明した本実施形態によると、シャッター装置が設置される現場に水平ライン180を表示することにより基準位置を設定する第1工程の作業が行われ、次に、この第1工程で設定された基準位置にしたがってベース部材161を配置する第2工程の作業が行われ、そして、この第2工程で配置されたベース部材161を基準として、シャッターケース11の第1ケース構成体201を構成しているケース本体11Aと、第2ケース構成体202を構成しているまぐさ部材160とを配置する第3工程が行われるため、位置出し作業はベース部材161のための上記基準位置についてだけ行えばよく、ケース本体11Aとまぐさ部材160ごとに位置出し作業を行う必要がなく、これらのケース本体11Aとまぐさ部材160は、基準位置にしたがって配置されたベース部材161を基準として配置することにより、それぞれの所定位置に配置されることになるため、シャッターケース11を構成する部材を、シャッター装置が設置される現場に簡単に取付配置できるようになる。
また、まぐさ部材160はベース部材161に接触して配置され、ケース本体11Aは、まぐさ部材160に接触して配置される取付部材162に取り付けられるため、これらのまぐさ部材160とケース本体11Aが互いに結合されないシャッターケース11の構成部材となっていても、これらの構成部材を互いの位置関係を正確して配置できることになり、シャッターケース11を所定形状どおりに仕上げることができる。
また、まぐさ部材160は上フランジ部160Aを有し、この上フランジ部160Aがベース部材161の上フランジ部161Aの上に載せられるため、ベース部材161と、このベース部材161上に配置される取付部材162との間にまぐさ部材160の上フランジ部160Aが本来介入する構造になっていても、この上フランジ部160Aには、取付部材162の配置位置と対応する位置において、切除部である切り取り部166が設けられているため、これらの切り取り部166をとおして取付部材162をベース部材161に接触させることができ、これにより、取付部材162に取り付けられるケース本体11Aをベース部材161に対して正確な位置に配置することができる。
また、ケース本体11Aを取付部材162に結合具164で結合するときには、ケース本体11Aは取付部材162のフック部167で支持されているため、取付部材162へのケース本体11Aの結合具164による結合作業を少ない人数で簡単に行える。
また、シャッターカーテン20を巻き取った巻取軸24を支持する第1及び第2支持部材25,26を結合具164で取付部材162に結合するときも、これらの支持部材25,26は取付部材162のフック部167で支持されているため、取付部材162への第1及び第2支持部材25,26の結合具164による結合作業も少ない人数で簡単に行えることになる。
そして、取付部材162にケース本体11Aを結合する結合具と、取付部材162に第1及び第2支持部材25,26を結合する結合具は同じ結合具164であって、これらのケース本体11Aと第1及び第2支持部材25,26は結合具164で共締め結合されるため、結合具の兼用化によって部品点数を削減できるとともに、ケース本体11Aを取付部材162に結合するときに、第1及び第2支持部材25,26も同時に取付部材162に結合でき、これにより、作業の効率化を図ることができる。
図18は、天井部材210,211によってエレベータホール1と区画された天井裏空間212にシャッターケース311が配置される場合の実施形態を示す図16と同様の図である。このシャッターケース311は、ケース本体311Aと、前面部材311Bと、シャッターケース311の左右両端のエンドキャップと、シャッターケース311の下面の一部を形成する下面部材311Fと、第1及び第2まぐさ部材360,361とで構成され、下面部材311Fは、係止装置29をシャッターケース311の内部に取付設置するための取付台座を兼ねている。また、この実施形態では、ケース本体311Aと前面部材311Bとエンドキャップと下面部材311Fと第2まぐさ部材361は、シャッターケース311の第1ケース構成体201を構成する部材となっており、第1まぐさ部材360は、シャッターケース311の第2ケース構成体202を構成する部材となっている。
このため、第1まぐさ部材360は前記実施形態におけるまぐさ部材160に相当するものであり、天井裏空間212に存在する下がり壁217に前記実施形態と同様にして取り付けられたベース部材161に前記実施形態と同様にして接触配置される。また、ケース本体311Aは、ベース部材161に接触配置された取付部材162に前記実施形態と同様にして結合され、この取付部材162には、巻取軸24を支持する第1及び第2支持部材25,26も結合されるとともに、これらの結合作業は、ケース本体311Aと第1及び第2支持部材25,26が取付部材162のフック部167で支持されながら行われる。
第2まぐさ部材361は下面部材311Fにビス等の結合具362で結合され、この結合作業は、工場で行ってもよく、シャッター装置を設置する施工現場で行ってもよい。
施工現場でのシャッター装置の設置作業が終了した後、第1及び第2まぐさ部材360、361に天井部材210,211が載せられ、これにより天井工事が施工される。このため、この実施形態では、シャッターカーテン20が上下に挿通するスリット12をシャッターケース311の下面に形成する第1及び第2まぐさ部材360,361は、天井部材210、211を支持するための部材を兼ねている。
なお、この実施形態では、第2まぐさ部材361は、図9で示した梱包シート170で梱包されることにより、シャッターケース11等と共に工場から施工現場へ運ばれる。
本発明は、シャッターカーテン等の開閉移動する開閉体を収納する収納ケースを有する開閉装置を施工現場で配置施工する際に利用することができる。
11,311 収納ケースであるシャッターケース
12 スリット
13 まぐさ
20 開閉体であるシャッターカーテン
24 巻取軸
160,360 まぐさ部材
161 ベース部材
162 取付部材
164 結合具
166 切除部である切り取り部
167 フック部
180 基準位置を示す水平ライン
201 第1ケース構成体
202 第ケース構成体

Claims (5)

  1. 開閉装置の開閉移動する開閉体を収納するための収納ケースを前記開閉装置が設置される現場に取付施工するための開閉装置の施工方法において、
    前記開閉体は、エレベータホールとエレベータ扉との間で上下に開閉移動する防災用シャッターカーテンであり、
    前記収納ケースが取り付けられる建物躯体に取付部材を配置する工程と、この取付部材に設けられているフック部に前記収納ケースを引っ掛ける工程とを含んでいることを特徴とする開閉装置の施工方法。
  2. 請求項1に記載の開閉装置の施工方法において、前記取付部材に設けられている前記フック部に前記収納ケースを引っ掛ける前記工程の次に、前記収納ケースを前記取付部材に結合具で結合する工程が行われることを特徴とする開閉装置の施工方法.
  3. 請求項1又は2に記載の開閉装置の施工方法において、前記取付部材は、前記防災用シャッターカーテンの幅方向に2個設けられることを特徴とする開閉装置の施工方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の開閉装置の施工方法において、前記収納ケースの内部には、前記防災用シャッターカーテンを巻き取り、繰り出す巻取軸が収納され、この巻取軸は、前記防災用シャッターカーテンの幅方向に2個設けられている支持部材により回転自在に支持され、
    これらの支持部材は、前記取付部材に設けられている前記フック部に前記収納ケースを引っ掛けるときに、前記取付部材に引っ掛けられることを特徴とする開閉装置の施工方法。
  5. 請求項4に記載の開閉装置の施工方法において、前記支持部材を前記取付部材に引っ掛けることは、前記取付部材に設けられている前記フック部に前記支持部材を引っ掛けることにより行われることを特徴とする開閉装置の施工方法。
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