JP2011011541A - 樹脂成形体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 成形型に多官能(メタ)アクリルモノマーを注入し、前記多官能(メタ)アクリルモノマーに対して、重合転化率が1〜10%となるまで放射エネルギー線を照射して前記多官能(メタ)アクリルモノマーの一部を重合させる第1工程と、前記第1工程の後、重合させた前記多官能(メタ)アクリルモノマーを前記成形型内に保持した状態で、重合させた前記多官能(メタ)アクリルモノマーを加熱して重合転化率が60%以上になるまで前記多官能(メタ)アクリルモノマーの残部をさらに重合させる第2工程とを有することを特徴とする樹脂成形体の製造方法。
【選択図】 なし
Description
特許文献1では光学用材料としての樹脂成形体の製造方法が記載されている。具体的には、まず、多官能(メタ)アクリレート化合物から構成される樹脂組成物を紫外線照射により、温度を60℃以下に保ちながら重合度が40〜60%に達するまで紫外線により重合させる。そして、この重合させた多官能(メタ)アクリレート化合物を成形型から取り出して熱重合させる。この方法でクラックの発生を抑制でき、線膨張係数の小さい樹脂成形体を製造できるとされている。
そこで本発明の目的は、光学歪が発生しにくく、ヒケが発生しにくい、樹脂成形体の製造方法を提供することにある。
本実施形態に係る樹脂成形体の製造方法は以下の第1工程および第2工程を有する。
・第1工程
成形型に多官能(メタ)アクリルモノマーを注入し、この多官能(メタ)アクリルモノマーに対して、重合転化率が1〜10%となるまで放射エネルギー線を照射して、多官能(メタ)アクリルモノマーの一部を重合させる工程。
・第2工程
第1工程の後、重合させた前記多官能(メタ)アクリルモノマーを成形型内に保持した状態で、重合させた前記多官能(メタ)アクリルモノマーを加熱して重合転化率が60%以上になるまで前記多官能(メタ)アクリルモノマーの残部をさらに重合させる熱重合工程。
本実施形態に係る第1工程は、具体的には、まず、多官能(メタ)アクリルモノマーを、少なくとも1面が放射エネルギー線を透過させる成形型に注入する。次いで、成形型に注入された多官能(メタ)アクリルモノマーに対して、この多官能(メタ)アクリルモノマーの重合転化率が1〜10%となるまで放射エネルギー線を照射して重合させる。
多官能(メタ)アクリルモノマーの重合転化率が10%を超えるまで放射エネルギー線を照射して重合させると、放射エネルギー線による重合速度が大きいため、重合反応が急速に進み、重合反応が不均一となり光学歪が発生するおそれがある。さらに、重合転化率が10%を超えると、重合転化率の上昇に伴い、不均一な重合収縮が起こり、重合体の表面にヒケ(凹凸)が発生するとともに、クラックも発生するおそれがある。
前記重合転化率はフーリエ変換型赤外分光(FT−IR)の測定により二重結合の吸収ピークの減少量から求めることができる。
その中でも、低照度の紫外線を照射する方法が好ましい。この場合、波長365nmの紫外線の照度が100mW/cm2以下となるようにすることが好ましい。高照度の紫外線を照射した場合、重合反応が早く、所定の重合転化率に制御することが困難である。
紫外線源から発生する赤外線により重合性組成物が加熱されないようにする方法としては、赤外線を遮断するフィルターや赤外線を反射しない鏡などを用いる方法が挙げられる。
本実施形態に係る第2工程は、前記第1工程の後、重合させた前記多官能(メタ)アクリルモノマーを前記成形型内に前記を保持した状態で、この重合させた多官能(メタ)アクリルモノマーを加熱することでさらに重合させる熱重合工程である。具体的には、重合させた多官能(メタ)アクリルモノマーを加熱して、重合転化率が60%以上になるまで、重合させた多官能(メタ)アクリルモノマーの残部を重合させる。
本実施形態に係る樹脂成形体の製造方法は上記第1工程と第2工程以外の工程を有していてもよい。例えば、前記成形型内の前記多官能(メタ)アクリルモノマーに無機微粒子を加える工程や、前記、放射エネルギー線の照射や加熱処理により重合反応を開始せしめる成分(重合開始剤)を前記多官能(メタ)アクリルモノマーに加える工程を有していてもよい。
本明細書において、(メタ)アクリルモノマーとは、分子内に1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を意味する。また、本明細書において、単官能(メタ)アクリルモノマーとは、分子内に1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を意味し、多官能(メタ)アクリルモノマーとは、分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を意味する。また、本明細書において、(メタ)アクリロイル基を2個有する化合物を2官能(メタ)アクリルモノマー、3個有する化合物を3官能(メタ)アクリルモノマー、4個有する化合物を4官能(メタ)アクリルモノマーということがある。
なお、本明細書において(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基とメタクリロイル基の総称であり、アクリロイル基とは、CH2=CHCO−で表される基を、メタクリロイル基とは、CH2=C(CH3)CO−で表される基を意味する。
なお、本明細書において(メタ)アクリレートとは、アクリレートとメタクリレートの総称である。
多官能(メタ)アクリルモノマーとして以下の化合物を例示できる。
2官能(メタ)アクリルモノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサメチレンジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
4官能以上の(メタ)アクリルモノマーとしては、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
放射エネルギー線による重合開始剤を具体的に示せば、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2−エチルアントラキノン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロ−ル−1−イル)−フェニル)チタニウムなどが好適に用いられるものとして挙げられる。2種以上の、放射エネルギー線による重合開始剤を組み合わせて使用することもできる。なお、放射エネルギー線による重合開始剤に加えて、放射エネルギー線による重合促進剤としてアミノ化合物を添加してもよい。放射エネルギー線による重合促進剤に用いられるアミノ化合物としては、2−エチルヘキシル−4−ジメチルアミノベンゾエートなどが挙げられる。
前記熱重合開始剤としては、アゾ系開始剤および過酸化物開始剤が挙げられる。熱重合に用いられるこれら公知の物質を特に限定することなく使用できる。
(アゾ系開始剤)
前記アゾ系開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネイト)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]フォルムアミド、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)などが挙げられる。
前記過酸化物開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5,−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシドなどが挙げられる。
前記無機微粒子としては、特に限定されないが、金属酸化物微粒子、たとえば酸化ストロンチウム(SrO)、酸化チタン(TiO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化ニオブ(Nb2O5)、酸化タンタル(Ta2O5)、酸化モリブデン(MoO3)、酸化タングステン(WO3、W2O5)、酸化鉄(Fe2O3、FeO、Fe3O4)、酸化ルテニウム(RuO2)、酸化銅(CuO、Cu2O)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化インジウム(In2O3、In2O)、酸化ゲルマニウム(GeO2、GeO)、酸化スズ(SnO2)、酸化鉛(PbO、PbO2)、酸化アンチモン(Sb2O3、Sb2O5)、酸化ビスマス(Bi2O3)、酸化ランタン(La2O3)、酸化セリウム(CeO2、Ce2O3)などの酸化物微粒子、または、これらの酸化物に他の金属を複合化した複合酸化物微粒子、または、ダイヤモンド、シリカなどが挙げられる。
(1)全光線透過率の測定:
樹脂の透明性を評価するためプラスチック透明材料の全光線透過率の試験方法(JIS−K7361、ISO13468)に示される測定法に準拠して全光線透過率を測定した。
(2)ヘイズの測定:
樹脂の光学歪及び表面のヒケが発生した場合、光が散乱され、ヘイズが上昇する。樹脂の光学歪及びヒケの評価を行うため、プラスチック透明材料のヘイズの求め方(JIS−K7136、ISO14782)に示される測定法に準拠して、ヘイズ(拡散光線透過率/全光線透過率×100)を測定した。
目視にて、ヒケ(重合収縮による凹凸)及びクラック(重合収縮によるひび割れ)の発生の有無を確認した。ヒケ及びクラックについて、目視にて確認できない場合は○(良好)、目視にて確認できた場合は×(不良)と示した。
(実施例1)
メチルメタクリレート50重量部と、多官能(メタ)アクリルモノマーとしてのペンタエリスリトールテトラアクリレート50重量部とを混合した。この混合物100重量部に対して、開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン0.1重量部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を混合して、吸引瓶に仕込み、真空脱気を行い、液状重合性組成物を得た。
得られた樹脂成形体は、重合硬化中及び脱型中にクラックが発生せず、ヒケのない良好な外観を有していた。また、ヘイズを測定したところ0.6%であり、良好な透明性を示した。本実施例の重合性組成物の主要な原料組成及び評価結果を表1に示す。
紫外線照射時間が15秒である以外は、実施例1と同様に行った。
得られた樹脂成形体は、紫外線照射後の重合転化率は3.6%であり、重合硬化中及び脱型中にクラックが発生せず、ヒケのない良好な外観を有していた。また、ヘイズを測定したところ0.6%であり、良好な透明性を示した。本実施例の重合性組成物の主要な原料組成及び評価結果を表1に示す。
紫外線照射時間が20秒である以外は、実施例1と同様に行った。
得られた樹脂成形体は、紫外線照射後の重合転化率は6.9%であり、重合硬化中及び脱型中にクラックが発生せず、ヒケのない良好な外観を有していた。また、ヘイズを測定したところ0.8%であり、良好な透明性を示した。本実施例の重合性組成物の主要な原料組成及び評価結果を表1に示す。
紫外線照射時間が25秒である以外は、実施例1と同様に行った。
得られた樹脂成形体は、紫外線照射後の重合転化率は9.1%であり、重合硬化中及び脱型中にクラックが発生せず、ヒケのない良好な外観を有していた。また、ヘイズを測定したところ0.8%であり、良好な透明性を示した。本実施例の重合性組成物の主要な原料組成及び評価結果を表1に示す。
紫外線照射時間を10秒とし、得られた樹脂成形体の厚みが1.5mmである以外は、実施例1と同様に行った。
得られた樹脂成形体は、紫外線照射後の重合転化率は8.8%であり、重合硬化中及び脱型中にクラックが発生せず、ヒケのない良好な外観を有していた。また、ヘイズを測定したところ0.7%であり、良好な透明性を示した。本実施例の重合性組成物の主要な原料組成及び評価結果を表1に示す。
紫外線照射時間を15秒とし、得られた樹脂成形体の厚みが3.5mmである以外は、実施例1と同様に行った。
得られた樹脂成形体は、紫外線照射後の重合転化率は6.8%であり、重合硬化中及び脱型中にクラックが発生せず、ヒケのない良好な外観を有していた。また、ヘイズを測定したところ0.8%であり、良好な透明性を示した。本実施例の重合性組成物の主要な原料組成及び評価結果を表1に示す。
メチルメタクリレート50重量部と、多官能(メタ)アクリルモノマーとしてのペンタエリスリトールテトラアクリレート50重量部との混合物100重量部に対して、開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を混合して、吸引瓶に仕込み、真空脱気を行い、液状重合性組成物を得た。
得られた樹脂成形体は、重合硬化中及び脱型中にクラックは発生しなかったが、重合収縮によりヒケが発生し、良好な外観が得られなかった。また、ヘイズを測定したところ2.8%であった。本比較例の重合性組成物の主要な原料組成及び評価結果を表1に示す。
紫外線照射時間が5秒である以外は、実施例1と同様に行った。
得られた樹脂成形体は、紫外線照射後の重合転化率は0.0%(0.5%未満)であり、クラックの発生は確認できなかった。しかし、ヒケが顕著に発生したため、ヘイズの測定が行えなかった。本比較例の重合性組成物の主要な原料組成及び評価結果を表1に示す。
紫外線照射時間が30秒である以外は、実施例1と同様に行った。
得られた樹脂成形体は、紫外線照射後の重合転化率は18%であり、クラックの発生は確認できなかったが、ヒケが発生した。また、ヘイズを測定したところ1.7%であった。本比較例の重合性組成物の主要な原料組成及び評価結果を表1に示す。
(メタ)アクリルモノマーとして、メチルメタクリレート50重量部と、多官能(メタ)アクリルモノマーとしてのペンタエリスリトールテトラアクリレート50重量部との混合物100重量部に対して、開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン0.1重量部、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド0.1重量部、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)1.0重量部を混合して、吸引瓶に仕込み、真空脱気を行い、液状重合性組成物を得た。
次いで、オーブン中で200℃で4時間加熱処理を行い、厚み2.5mmの樹脂成形体を得た。
得られた樹脂成形体は、重合硬化中及び脱型中にクラック及びヒケが発生した。なお、ヘイズについては、測定できず、良好な成形体を得ることができなかった。本比較例の重合性組成物の主要な原料組成及び評価結果を表1に示す。
メチルメタクリレート35重量部と、多官能(メタ)アクリルモノマーとしてのペンタエリスリトールテトラアクリレート35重量部と、ジルコニアナノ粒子(住友大阪セメント、平均粒径7nm)30重量部との混合物100重量部に対して、開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン0.1重量部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を混合して、吸引瓶に仕込み、真空脱気を行い、液状重合性組成物を得た。
次いで、オーブン中で加熱処理し(60℃で12時間、80℃で5時間、100℃で4時間、120℃で2時間)重合を行い、厚み2.5mmの樹脂成形体を得た。
得られた樹脂成形体は、重合硬化中及び脱型中にクラックも発生せず、ヒケのない良好な外観を有していた。また、ヘイズを測定したところ2.5%であり、良好な透明性を示した。本実施例の重合性組成物の主要な原料組成及び評価結果を表2に示す。
紫外線照射時間が2秒である以外は、実施例7と同様に行った。
得られた樹脂成形体は、紫外線照射後の重合転化率は1.7%であり、重合硬化中及び脱型中にクラックが発生せず、ヒケのない良好な外観を有していた。また、ヘイズを測定したところ3.1%であり、良好な透明性を示した。本実施例の重合性組成物の主要な原料組成及び評価結果を表2に示す。
メチルメタクリレート35重量部と、多官能(メタ)アクリルモノマーとしてのペンタエリスリトールテトラアクリレート35重量部と、ジルコニアナノ粒子(住友大阪セメント、平均粒径7nm)30重量部との混合物100重量部に対して、開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を混合して、吸引瓶に仕込み、真空脱気を行い、液状重合性組成物を得た。
得られた樹脂成形体は、重合硬化中及び脱型中にクラックは発生しなかったが、重合収縮によりヒケが発生し良好な外観が得られなかった。また、ヘイズを測定したところ5.4%であった。本比較例の重合性組成物の主要な原料組成及び評価結果を表2に示す。
紫外線照射時間が15秒である以外は、実施例7と同様に行った。
得られた樹脂成形体は、紫外線照射後の重合転化率は39%であり、クラック及びヒケが顕著に発生し、ヘイズの測定はできなかった。本比較例の重合性組成物の主要な原料組成及び評価結果を表2に示す。
メチルメタクリレート35重量部と、多官能(メタ)アクリルモノマーとしてのペンタエリスリトールテトラアクリレート35重量部と、ジルコニアナノ粒子(住友大阪セメント、平均粒径7nm)30重量部との混合物100重量部に対して、開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン0.1重量部、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド0.1重量部、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)1.0重量部を混合して、吸引瓶に仕込み、真空脱気を行い、液状重合性組成物を得た。
次いで、オーブン中で200℃で4時間加熱処理を行い、厚み2.5mmの樹脂成形体を得た。
多官能(メタ)アクリルモノマーとしてのトリメチロールプロパントリメタクリレート100重量部に対して、開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン0.1重量部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を混合した。そして、混合物を吸引瓶に仕込み、真空脱気を行い、液状重合性組成物を得た。
なお、紫外線の照度は、ウシオ電機製の紫外線積算光量計(UIT−250)及びセパレート型受光機(UVD−S365)を用いて、365nmの紫外線の照度を測定した。
得られた樹脂成形体は、重合硬化中及び脱型中にクラックも発生せず、ヒケのない良好な外観を有していた。また、ヘイズを測定したところ0.3%であり、良好な透明性を示した。本実施例の重合性組成物の主要な原料組成及び評価結果を表3に示す。
多官能(メタ)アクリルモノマーとしてのトリメチロールプロパントリメタクリレート100重量部に対して、開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を混合して、吸引瓶に仕込み、真空脱気を行い、液状重合性組成物を得た。
この液状重合性組成物を一対の青板ガラスにガスケットを挟み構成された成形型に注入し、オーブン中で加熱処理し(60℃で12時間、80℃で5時間、100℃で4時間、120℃で2時間)重合を行い、厚み2.5mmの樹脂成形体を得た。
得られた樹脂成形体は、重合硬化中及び脱型中にヒケは発生しなかったが、クラックが発生し、良好な外観が得られなかった。また、ヘイズを測定したところ0.4%であった。本比較例の重合性組成物の主要な原料組成及び評価結果を表3に示す。
紫外線照射時間が30秒である以外は、実施例9と同様に行った。
得られた樹脂成形体は、紫外線照射後の重合転化率は12%であり、ヒケは確認されなかったが、クラックが発生し、良好な外観が得られなかった。また、ヘイズを測定したところ3.2%であった。本比較例の重合性組成物の主要な原料組成及び評価結果を表3に示す。
多官能(メタ)アクリルモノマーとしてのジメチロールトリシクロデカンジアクリレート100重量部に対して、開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン0.1重量部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を混合した。そして、混合物を吸引瓶に仕込み、真空脱気を行い、液状重合性組成物を得た。
この液状重合性組成物を一対の青板ガラスにガスケットを挟み構成された成形型に注入した。そして、250W超高圧水銀ランプ(HOYA CANDEO OPTRONICS株式会社製、商品名:EX250)を用いて、照射光量35mW/cm2で10秒間紫外線を照射した。紫外線照射後の重合転化率を測定したところ、重合転化率は0.7%であった。
次いで、オーブン中で加熱処理し(60℃で12時間、80℃で5時間、100℃で4時間、120℃で2時間)重合を行い、厚み2.5mmの樹脂成形体を得た。
得られた樹脂成形体は、重合硬化中及び脱型中にクラックも発生せず、ヒケのない良好な外観を有していた。また、ヘイズを測定したところ1.0%であり、良好な透明性を示した。本実施例の重合性組成物の主要な原料組成及び評価結果を表4に示す。
多官能(メタ)アクリルモノマーとしてのジメチロールトリシクロデカンジアクリレート100重量部に対して、開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を混合して、吸引瓶に仕込み、真空脱気を行い、液状重合性組成物を得た。
この液状重合性組成物を一対の青板ガラスにガスケットを挟み構成された成形型に注入し、オーブン中で加熱処理し(60℃で12時間、80℃で5時間、100℃で4時間、120℃で2時間)重合を行い、厚み2.5mmの樹脂成形体を得た。
得られた樹脂成形体は、重合硬化中及び脱型中にクラックは発生しなかったが、著しいヒケが発生し、良好な外観が得られなかった。また、ヘイズを測定したところ77.3%であった。本比較例の重合性組成物の主要な原料組成及び評価結果を表4に示す。
紫外線照射時間が20秒である以外は、実施例10と同様に行った。
得られた樹脂成形体は、紫外線照射後の重合転化率は38%であり、クラックは発生しなかったが、著しいヒケが発生し、良好な外観が得られなかった。また、ヘイズを測定したところ35.6%であった。本比較例の重合性組成物の主要な原料組成及び評価結果を表4に示す。
Claims (3)
- 成形型に多官能(メタ)アクリルモノマーを注入し、前記多官能(メタ)アクリルモノマーに対して、重合転化率が1〜10%となるまで放射エネルギー線を照射して前記多官能(メタ)アクリルモノマーの一部を重合させる第1工程と、
前記第1工程の後、重合させた前記多官能(メタ)アクリルモノマーを前記成形型内に保持した状態で、重合させた前記多官能(メタ)アクリルモノマーを加熱して重合転化率が60%以上になるまで前記多官能(メタ)アクリルモノマーの残部をさらに重合させる第2工程とを有することを特徴とする樹脂成形体の製造方法。 - 前記多官能(メタ)アクリルモノマーがペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートを含有することを特徴とする請求項1に記載の樹脂成形体の製造方法。
- 前記第1工程が、前記成形型内の前記多官能(メタ)アクリルモノマーに無機微粒子を加える工程を有することを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂成形体の製造方法。
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JP2010119883A JP2011011541A (ja) | 2009-06-04 | 2010-05-25 | 樹脂成形体の製造方法 |
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