以下、図1〜6を参照しつつ、電子写真方式でタンデム型のカラーの複合機100(画像形成装置に相当)を例に挙げて、本発明の第1の実施形態を説明する。但し、本実施の形態に記載されている構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定するものではなく単なる説明例にすぎない。
(複合機100の構成の概要)
まず、図1に基づき複合機100の概要を説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る複合機100の模型的正面断面図である。
図1に示すように、又、複合機100の正面前方には、複合機100の動作設定用の操作パネル1が設けられる(詳細は後述)。又、上部には、原稿の画像を読み取る画像読取部2と原稿搬送装置3が設けられる。そして、複合機100の内部には、給紙部4a、搬送路4b、画像形成部5a(詳細は後述)、中間転写機構6、定着部5b等が配される。
まず、原稿搬送装置3は、画像読取部2で読み取る原稿を画像読取部2上面の送り読取用コンタクトガラス21に接するように自動かつ連続的に搬送する。又、原稿搬送装置3は紙面奥側設けられた支点(不図示)により、上方に持ち上げ可能であり、例えば書籍等の原稿を画像読取部2の上面の載置読取用コンタクトガラス22に載せることもできる。
次に、画像読取部2は、スキャナとしてユニット化され、原稿に光を照射し、その反射光に基づき原稿を読み取って画像データを生成する。例えば、画像読取部2は、原稿に光を照射するランプと原稿の反射光をレンズに導く複数のミラーが設けられた移動枠や、レンズ、イメージセンサ等を内蔵する。移動枠を水平方向で適宜移動させて、ランプは送り読取用コンタクトガラス21の上方を通過する原稿や、載置読取用コンタクトガラス22に載置された原稿に光を照射する。そして、イメージセンサはレンズで結像された反射光が入射されて反射光量に応じた光電変換を行い、原稿の画像データが生成される。そして、複合機100は、読み取られた画像データに基づき印刷可能である(コピー機能)。
給紙部4aは、記録媒体として普通紙、再生紙、ラベル用紙、OHPシート等の各種用紙(A4、B4等の各サイズの用紙に対応)を収納し、印刷に用いる用紙を供給する。給紙部4aは、カセット41(図1で上段のものを41a、下段のものを41bと符号を付す)を有する。又、各カセット41上方には、用紙の供給時、回転駆動される給紙ローラ42(図1で上段のものを42a、下段のものを42bと符号を付す)が設けられる。
搬送路4bは、給紙部4aから供給された用紙を搬送し、排出トレイ43まで搬送する通路である。そして、搬送路4bには、用紙の搬送を行う搬送ローラ対44のほか、レジストローラ対45(レジストローラに相当)、用紙検出センサS等が設けられる。
レジストローラ対45は、転写部7よりも用紙搬送方向上流側の搬送路4bに設けられる回転体である。尚、レジストローラ対45は、給紙ローラ42や搬送ローラ対44によって搬送されてきた用紙を一旦停止させる。そして、搬送ローラ対44が搬送を継続することで用紙を撓ませる。これにより、用紙の撓みによる弾性で、用紙の先端がレジストローラ対45のニップに沿うように突き立てられる。その後、レジストローラ対45は、用紙の転写開始位置から画像ずれなく転写されるように、中間転写ベルト61上に1次転写された画像(トナー像)の転写タイミングをあわせて転写部7に用紙を送り込む。
用紙検出センサS(用紙検出体に相当)は、レジストローラ対45よりも用紙搬送方向上流側に設けられ、レジストローラ対45への用紙到達と、レジストローラ対45からの用紙の通過を検出できる。用紙検出センサSは、例えば、透過型や反射型の光センサで構成される。尚、本実施形態の複合機100では、用紙検出センサS以外に、同様のセンサを搬送路4bに沿って更に複数個設けてもよい。
例えば、用紙検出センサSは、LED等の発光部に、フォトダイオード等の受光部を向かい合わせ、搬送される用紙に接し用紙の搬送方向と平行な方向で発光部と受光部の間で回動する遮光板で構成できる。この構成では、搬送されてきた用紙が遮光板を回動させ、それにより遮光状態が解除され、受光部の出力(電圧、電流)が変化する。例えば、受光部の出力が、遮光状態の出力から、受光状態の出力に変化すれば、用紙が到達したことが検出される。一方、受光状態から遮光状態に受光部の出力が変化すれば、用紙が用紙検出センサSを通過したことが検出される。尚、搬送される用紙を挟むように発光部と受光部を設け、用紙が搬送されると、受光部への光の入射が遮られる用紙検出センサSでもよい。又、用紙検出センサSは、用紙の存在を検出できれば良く、光センサに限らない。
中間転写機構6は、画像形成部5aの下方に設けられ、画像データに基づき、画像形成部5aの各感光体ドラム52の周面に形成された画像の1次転写を受け、用紙に画像の2次転写を行う部分である。そして、中間転写ベルト61は、下側の外周面と各感光体ドラム52が当接するように、駆動ローラ62、従動ローラ63、4本の1次転写ローラ64等に張架される。駆動ローラ62にはモータ、ギア等の駆動手段(不図示)が接続され回転する。中間転写ベルト61は、駆動ローラ62の回転により、図1において時計方向(矢印方向)に周回する。
ここで、各1次転写ローラ64は、各感光体ドラム52に対向して1本ずつ回転可能に配され、各1次転写ローラ64に所定の大きさの電圧が印加される。電圧印加により、各色の画像が、各感光体ドラム52から中間転写ベルト61に1次転写される。従って、中間転写ベルト61には画像(トナー像)が転写され中間転写ベルト61も像担持体といえる。この1次転写の際、各色の画像はずれなく重ね合わせられる。ベルト清掃装置65は、残トナー等を中間転写ベルト61から除去し、清掃する。
そして、中間転写ベルト61に当接し、駆動ローラ62に対向し、回転可能に支持される2次転写ローラ66が中間転写機構6に設けられる。この駆動ローラ62と中間転写ベルト61のニップ部分が用紙への画像の転写部7となる。即ち、画像形成部5aで形成された画像を用紙に転写する転写部7が設けられる。用紙と画像が転写部7に進入した際、所定の電圧が2次転写ローラ66に印加され、画像は用紙に2次転写される。定着部5bは、用紙に転写された画像を定着させる。用紙は定着部5bを通過する際に加圧・加熱され画像が用紙に定着する。その後、用紙は排出トレイ43に排出されて印刷が完了する。
(画像形成部5aの構成)
次に、図1及び図2に基づき、本発明の第1の実施形態に係る複合機100の画像形成部5aを説明する。図2は、本発明の第1の実施形態に係る画像形成部5aの一部拡大模型的断面図である。
画像形成部5aは、画像データに基づき像担持体としての感光体ドラム52に画像を形成する。そして、画像形成部5aは、図1に示すように、4つの画像形成ユニット50K(ブラックの画像を形成)、50Y(イエローの画像を形成)、50C(シアンの画像を形成)、50M(マゼンタの画像を形成)と、画像データに基づき、帯電後の感光体ドラム52の走査・露光を行って、静電潜像を形成する露光装置51等で構成される。
このように、本実施形態の複合機100は、複数色のトナーを用いてカラートナー像(カラー画像)を形成可能である。尚、各画像形成ユニット50は、使用するトナーの色が異なるが、基本的構成は同様であるから以下の説明では特に説明する場合を除き、K、Y、C、Mの記号は省略する。
そして、図2に示すように、各画像形成ユニット50は、同図中に示す矢印方向に回転可能に支持され、メインモータ5M(図3参照)等により、所定の方向に回転駆動される像担持体としての感光体ドラム52を備える。又、感光体ドラム52の周囲には、帯電装置53、現像装置54、清掃装置55が配される。
帯電装置53は、感光体ドラム52の表面を所定電位に均一に帯電させる。露光装置51は、帯電後の感光体ドラム52表面を画像データにあわせ走査・露光する。そして、現像装置54は、トナーを担持し、トナーを感光体ドラム52に飛翔させるため現像バイアスが印加される現像ローラ54aを備える。現像装置54は静電潜像に対しトナーを供給して画像を現像する(可視像化する)。清掃装置55は、感光体ドラム52の表面を清掃する。これらの構成により、画像が各感光体ドラム52の周面に形成され、画像は、中間転写機構6に1次転写される。
尚、本実施形態の複写機の露光装置51は、入力されるカラー色分解された画像信号に基づき、光信号であるレーザ光(破線で図示)を、各感光体ドラム52に出力するレーザユニットである。そして、露光装置51は、帯電後の各感光体ドラム52の走査露光を行い、静電潜像を形成する。例えば、露光装置51は、内部に、レーザ装置57(例えは゛半導体レーザ)、レーザ光を反射させるポリゴンミラー、ポリゴンミラーを回転させるポリゴンモータ56(図3参照)、ポリゴンミラーに反射されたレーザ光を各感光体ドラム52の軸線方向に等速で走査させるためのfθレンズ、レーザ光を感光体ドラム52に導くミラー(不図示)等が設けられる。この構成で、レーザ光が露光装置51から各感光体ドラム52に照射され画像データに併せた静電潜像が感光体ドラム52上に形成される。尚、露光装置51には、LED等の発光素子がアレイ状に配されたものを用いてもよい。
(複合機100のハードウェア構成)
次に、図3に基づき、本発明の第1の実施形態に係る複合機100のハードウェア構成について説明する。図3は、本発明の第1の実施形態に係る複合機100の構成の一例を示すブロック図である。
まず、複合機100内に、複合機100の各部の制御を行い、印刷等の制御を司る制御部8が設けられる。制御部8は、例えば、CPU81、記憶部82、計時部83等で構成される。CPU81は、中央演算処理装置であり、記憶部82に格納され、展開される制御プログラムに基づき複合機100の各部を制御する。記憶部82は、ROM、RAM、HDD等の不揮発性と揮発性の記憶装置を組み合わせて構成される。この記憶部82には、複合機100の制御用プログラム、制御用データ、設定データ、画像データ等の各種データを記憶できる。本発明に関し、画像形成速度や画像データ送信速度を変化させる際の複合機100の動作を制御するためのプログラムを記憶する。又、記憶部82は、ジョブのうち、画像形成速度と画像データ送信速度の遅延があったページと、そのページの画像データを記憶できる。又、計時部83は、レジストローラ対45からの給紙タイミングやジャム発生検出等、複合機100を制御する上で必要な時間を計時する。
そして、制御部8は、原稿搬送装置3、画像読取部2、給紙部4a、搬送路4b、画像形成部5a、中間転写機構6、定着部5b、操作パネル1、画像処理部9、コントローラ84、I/F部85(通信部に相当)等の各部と信号線等で接続される。制御部8は、上記の各部を制御して、装置(複合機100)の動作を制御して印刷を制御するとともに、用紙検出センサS(用紙検出体)の出力に基づき、用紙検出センサS(用紙検出体)に用紙が到達したことを認識する
まず、制御部8は、用紙検出センサSを用いて、給紙部4aから給紙された用紙が、レジストローラ対45の上流側に到達したかを検出する。用紙検出センサSは、用紙到達により、受光部からの出力が変化する。制御部8は、その変化をCPU81等で把握して、用紙検出センサSへの用紙到達を検出する。
次に、I/F部85(インターフェイス部)は、画像形成を行う画像データの受信を含め、PC200(パーソナルコンピュータ、)等の外部装置とデータの送受信を行うために設けられる。制御部8は、I/F部85を用いて、ネットワークやケーブルの直接的な接続等で、PC200と通信可能である。例えば、制御部8は、PC200から、画像データや印刷に関する設定データの送信を受け、これらのデータに基づき印刷を行う(プリンタ機能)。又、画像読取部2で読み取られた画像データをPC200に送信できる(スキャナ機能)。更に、I/F部85には、FAX装置300を接続可能であり、制御部8は画像データ等をFAX装置300と送受信できる(FAX機能。この場合、例えば、I/F部85にモデム等が搭載される)。尚、複数のPC200やFAX装置300が複合機100に通信可能に接続されるが、図3では、便宜上、1台ずつのみ図示する。
更に、PC200には記憶装置(例えば、HDD)が搭載され、複合機100を利用するためのドライバソフトウェアが、インストールされる。そして、I/F部85を介し、制御部8からデータを送信し、その受信データを元に、PC200のディスプレイに、エラー発生等の各種メッセージを表示させることもできる。
又、制御部8は、操作パネル1と接続され、操作パネル1になされた各種設定等の入力内容を把握する。又、制御部8は、操作パネル1の液晶表示部11に表示させる表示内容を指示することもできる。
又、制御部8は、複合機100内の各種回転体を回転させるための各モータを制御するコントローラ84と接続される。コントローラ84は、制御部8の指示を受け、コントローラ84に接続されるモータの回転を制御する。即ち、制御部8は、コントローラ84を介し、各モータの回転のON/OFF等を制御できる。そして、コントローラ84に接続されるモータとしては、給紙ローラ42を回転させる給紙モータ42M、搬送ローラ対44やレジストローラ対45等、搬送路4bに設けられる搬送用回転体を回転させる搬送モータ45M、感光体ドラム52等、各画像形成ユニット50内の回転体を回転させるメインモータ5M、駆動ローラ62に接続され中間転写ベルト61を回転させるベルトモータ6M等が接続される。又、制御部8は、レジストローラ対45の回転軸に接続される電磁クラッチ86と接続される。電磁クラッチ86は、レジストローラ対45への駆動力の伝達の接続をON/OFFするためのものである。制御部8は、2次転写のタイミングに合わせ、クラッチをつなげてレジストローラ対45を回転させ始める。
そして、制御部8は、例えば、メインモータ5Mやベルトモータ6Mの回転速度を制御して、予め定められた基準速度で画像が形成されるように各モータの回転速度を制御できる。一方で、制御部8は画像形成速度(トナー像形成速度)を変化させることができる。例えば、制御部8は、画像形成中でもメインモータ5Mやベルトモータ6Mを停止(画像形成速度=0)できる。
次に、画像データの処理を説明する。複合機100に入力される画像データには、例えば、画像読取部2で原稿を読み取ることで取得されたデータやI/F部85を介しPC200等から受信した画像データがある。それらの画像データは、例えば、制御部8を経て画像処理部9に入力することができる。尚、画像読取部2やI/F部85から直接的に画像データが画像処理部9に入力されるようにしてもよい。
画像処理部9は、画像データに対し、各種画像処理を施し、画像形成に用いる画像データを画像形成部5aに送信する。例えば、画像処理部9は、画像処理向けに複数機能(例えば、拡大・縮小機能、濃度変更機能、複数ページの画像を1枚に集約する集約機能等)の回路を1つにまとめた集積回路であるASIC91や、画像処理前や画像処理後の画像データを一時的に記憶する作業領域としての画像メモリ92(記憶部に相当)等で構成できる。尚、画像処理部9の実行する画像処理は非常に多様であり、公知の画像処理を行えるものとして、各画像処理の詳細な説明は、特に説明するものを除き割愛する。又、画像メモリ92は、本発明の実施に関し、画像メモリ92にはジョブのうち、画像形成速度と画像データ送信速度の遅延があったページと、そのページの画像データを記憶させておくこともできる。
そして、例えば、コピー等の印刷の場合、画像処理部9で処理が施された画像データは、順次、露光装置51に送信される。そして、露光装置51は、受信した画像データに基づき、各色ごとに用意されたレーザ装置57の点消灯を行い、帯電後の感光体ドラム52の表面に静電潜像を形成する。
又、本発明に係る複合機100では画像形成速度の変化が可能である。もし、画像形成が途中で停止しても、露光装置51への画像データの送信速度が同じであれば、露光装置51での画像データのオーバーフローが生じ得る。そこで、画像処理部9は、画像形成速度の変化にあわせ、露光装置51への画像データの送信速度を変化させることができる。例えば、画像形成が停止されれば、画像処理部9は、画像データの露光装置51への送信を停止する。又、画像処理部9は、画像形成再開と同時に画像データの送信を再開する。
ここで、制御部8による画像形成部5aに対する制御を説明する。画像形成時(トナー像形成時)、制御部8は、帯電装置53の帯電動作や現像装置54の現像ローラ54aでの現像バイアス印加を行わせる。又、制御部8は、感光体ドラム52に対する走査、露光速度(感光体ドラム52の軸線方向でのレーザ光の照射位置の移動速度)に関するポリゴンモータ56の回転速度の指示やレーザ装置57の点消灯指示を露光装置51に行う。この指示に沿った速度で、露光装置51は、ポリゴンモータ56を回転させる。
そして、本発明に係る複合機100では、画像形成速度の変化が可能である。もし、画像形成が途中で停止した場合、露光装置51のレーザ装置57は消灯しなければ、誤った露光が行われる可能性がある。尚、画像形成が途中で停止した場合、ポリゴンモータ56は、停止させても回転させ続けても良い。そこで、制御部8は、画像形成速度の変化にあわせ露光装置51でのレーザ装置57の点消灯やポリゴンモータ56の回転のON/OFFを指示する。例えば、画像形成が停止されれば、制御部8はレーザ装置57の消灯を指示し、ポリゴンモータ56の回転を維持させる。又、制御部8は、画像形成再開での感光体ドラム52の回転再開等、他の構成の再開に同期させて走査、露光の再開を指示する。
(確認時点と画像形成の停止)
次に、図4に基づき、本発明の第1の実施形態に係る複合機100の画像形成の停止の一例を説明する。図4は、本発明の第1の実施形態に係る複合機100での確認時点の一例を示す説明図である。
レジストローラ対45まで用紙を搬送する構成として、給紙ローラ42や搬送ローラ対44が設けられる(図1参照)。給紙ローラ42や搬送ローラ対44の摩耗により、用紙の搬送の際にスリップが生ずることがある。又、静電気や水分による用紙間の摩擦、抵抗等、様々な要因で、給紙部4a内の最上位の用紙の送り出しが遅れてしまうことがある。又、連続印刷中、上段のカセット41aの用紙が切れたため、下段のカセット41bへの給紙元の変更が行われ、レジストローラ対45への搬送距離が伸びることもある。そうすると、レジストローラ対45及び転写部7への用紙到達に遅れが生ずることがある。
従来、画像を用紙の転写位置からずれなく転写できるように、レジストローラ対45への用紙到達が遅れると、レジストローラ対45での用紙の停止時間を短縮する。しかし、用紙停止時間をゼロとしても先に画像(トナー像)が転写部7に到達してしまえば、用紙の適切な位置に画像を転写できない。そこで、従来、用紙停止時間の短縮により稼げる時間の限界を超えるほど用紙到達が遅れた場合、中間転写ベルト61上に形成された(1次転写された)画像は破棄されている。
例えば、中間転写ベルト61上の画像の破棄は、2次転写ローラ66を中間転写ベルト61から離間させる機構を有しておき、破棄時、2次転写ローラ66を中間転写ベルト61から離間させる。又は、2次転写ローラ66にトナーの帯電極性と同極性で、トナーの帯電電位よりも絶対値の大きい電圧を2次転写ローラ66に印加する。そして、2次転写されない画像は、例えば、ベルト清掃装置65に回収される。尚、本実施形態の複合機100もいずれかの構成を取る。
しかし、本実施形態は、レジストローラ対45に用紙が到達する前に画像形成が開始され、画像形成開始から転写部7に画像が到達する前の時点で、レジストローラ対45に用紙が到達しているかを確認し、到達していなければ、画像形成を停止する。これにより、レジストローラ対45で用紙を停止させる時間の短縮可能な限界を超えて用紙到達が遅れても、用紙の所定の位置に画像を2次転写できる。
そこで、画像形成停止の一例を、図4を用いて説明する。図4では、上方のラインが、用紙搬送経路の一例を示し、下方が、画像の移動経路の一例を示す。又、図4では、K、Y、C、Mの文字が記された図形は、各色の感光体ドラム52を示す。
給紙部4aから供給された用紙は、搬送路4bで搬送され、図4に示すレジストローラ対45に到達する。そして、レジストローラ対45の用紙搬送方向上流側に用紙検出センサSが設けられ、下流側に転写部7が位置する。一方、各色の画像形成ユニット50の感光体ドラム52で形成された画像は、まず、マゼンタの感光体ドラム52Mから中間転写ベルト61に1次転写がなされる。次に、マゼンタの画像に対し位置ずれが起きないように、シアンの画像が中間転写ベルト61に1次転写される。その後、同様にイエロー、ブラックの画像が1次転写され、各色の画像が重畳される。そして、中間転写ベルト61上に重畳された画像は、中間転写ベルト61の回転により、転写部7に向かう。
ここで、本実施形態の複合機100では、画像形成が開始されてから中間転写ベルト61上に形成された画像の先頭が、転写部7に進入する前に、確認時点が設けられる。例えば、図4で、画像の先頭が●で示す確認地点Pに到った時を確認時点とする。具体的に、本実施形態の確認地点Pは、ブラックの画像形成ユニット50から2次転写ローラ66の間に設けられる(図1参照)。そして、画像の先頭が確認地点Pに到達した時(画像の先頭がブラックの画像形成ユニット50から2次転写ローラ66の間に存在する時)が確認時点となる。制御部8は、確認時点で、用紙検出センサSで用紙到達が検出されているかを確認し、用紙到達を確認できなければ、画像形成が停止される。
即ち、本実施形態の複合機100では、画像形成部5aは、用紙検出センサSでの用紙到達検出前に画像形成を開始し、制御部8は、画像形成開始から、転写部7に画像の先頭が到達するまでの間に設けられる確認時点に用紙検出センサSで用紙到達を検出できていなければ、画像形成部5aでの画像形成速度と、画像処理部9の画像データ送信速度を遅延させる。
例えば、確認時点は、用紙検出センサSから転写部7までの距離を搬送するために要する時間に、画像の移動速度を乗じた距離(余白を考えるならば余白分の距離を加える)だけ、転写部7から遡った地点に画像が到達する時点を確認時点とする。
又、例えば、画像の転写部7への移動速度と用紙搬送速度が同じ場合、転写部7と用紙検出センサSの距離(余白を考えるならば余白分の距離を加える)と同じ距離だけ、転写部7から遡った地点に画像が到達する時点を確認時点とすることができる。これにより、用紙検出センサSで用紙到達が検出されたと同時に画像形成を再開すれば、用紙の所定の位置に画像を転写することができる。
尚、制御部8は、画像の先頭が確認地点Pに到達した時(確認時点)を認識できる。例えば、中間転写ベルト61や感光体ドラム52の周速度を一定として画像形成を行うとすれば、画像形成を開始してから確認地点Pに画像が到達するまでの時間は一定となる。従って、例えば、画像形成を開始してから確認地点Pに画像が到達するまでの時間を予め把握しておき、画像形成を開始してから、予め把握した時間の経過のカウントダウンを行えば、画像の先頭が確認地点Pに到達した時(確認時点)を認識できる。尚、この計時は、計時部83やCPU81が行えばよい。
(画像形成停止に関する表示)
次に、図5に基づき、本発明の第1の実施形態に係る複合機100での画像形成停止に関する表示の一例を説明する。図5(a)は、本発明の第1の実施形態に係る操作パネル1の一例を示し、(b)は画像形成停止を認めるかの選択を行う表示の一例を示し、(c)は再印刷の要求を行うための表示の一例を示す。
尚、図5では、操作パネル1の液晶表示部11に表示を行い、設定入力を受け付ける場合の一例を説明する。しかし、複合機100からPC200へのデータ送信や、PC200にインストールされるドライバソフトウェアに図5(b)、(c)と同様の表示を行うためのプログラム、データを含ませておく等により、図5(b)、(c)と同様の表示がPC200のディスプレイになされるようにしてもよい。又、PC200の入力装置(例えば、マウスやキーボード)による入力内容が複合機100に向けて送信されても良い。
まず、図5(a)に基づき、操作パネル1の概要を説明する。操作パネル1は、複合機100の正面前方に設けられる(図1参照)、制御部8と接続され、印刷の設定を行うためのものである。そして、操作パネル1は、複合機100の動作開始を指示するためのスタートキー12や、タッチパネル式の液晶表示部11や、数字入力を行うためのテンキー部13等を有する。例えば、液晶表示部11は、タッチパネルによるメニュー選択等の各種設定指示を受け付ける。又、液晶表示部11は、使用者に対し複合機100の状態などのメッセージの表示を行う。
次に、図5(b)に基づき、画像形成停止を認めるかの選択を説明する。画像形成の停止が行われると、画像形成を停止させずに印刷する場合に比べ印刷物での画質が低下する場合がある。文字のみの印刷物であれば、多少の画質の乱れがあっても文字の判読は可能である場合が多い。一方、写真の印刷物等、連続的に階調が変化する印刷物であれば、画質の低下の影響が大きく現れる場合もある。又、画質を優先するかしないかは、使用者の意向による。そこで、図5(b)に示すように、予め、画像形成を停止させるか否か、使用者が選択可能とする。
図5(b)に示す選択画面11aは、例えば、使用者がタッチパネルの押下を繰り返すことで辿り着くことができる。そして、選択画面11aでは、YesキーK1とNoキーK2が配される。そして、YesキーK1が押下されれば、その旨が制御部8に伝達される。そして、確認時点で用紙到達が検出されていなければ、制御部8は画像形成を停止させる。一方、NoキーK2が押下されれば、従来のように、レジストローラ対45での用紙停止時間を減らす、或いは、画像破棄を行って用紙到達の遅れに対応する。即ち、操作パネル1は、印刷前に、画像形成速度と画像データ送信速度の遅延を認めるか否かを選択する入力を受け付け、画像形成速度と画像データ送信速度の遅延を認める設定が行われている場合のみ、制御部8は画像形成速度と画像データ送信速度を遅延させる制御を行う。
次に、図5(c)に、実際に、画像形成が停止され、その後、ジョブが終了した場合の表示の一例を示す。画像形成の停止があったコピー等の印刷のジョブ完了後、使用者は、印刷物を見直したところ、画質の点で再印刷を行いたい場合がある。このような場合を考慮して、画像形成の停止があった場合、図5(c)に示すような再印刷要求画面14をジョブ完了後に行う。尚、再印刷に対応できるように、画像処理部9の画像メモリ92や制御部8の記憶部82に、少なくとも画像形成の停止のあったページの画像データを記憶しておく。
例えば、再印刷要求画面14では、ページ表示欄15に、画像形成の停止があったページの表示が行われる(図5(c)では、1ページ目と5ページ目で画像形成の停止が合った場合の一例を図示)。これにより、使用者は、画像形成の停止があったページを容易に認識できる。そして、再印刷要求画面14には、例えば、ページ選択キーK3や全ページ再印刷キーK4や再印刷不要キーK5等が設けられる。
ページ選択キーK3が押下されると、例えば、別ウィンドウ(不図示)が展開され、再印刷を行うページを指定することができ、ページ指定後、制御部8は、画像形成部5a等を制御し指定されたページの再印刷を行わせる。一方、全ページ再印刷キーK4が押下されれば、制御部8は、画像形成部5a等を制御し、画像形成の停止があった全ページ(図5(c)の例では、1ページと5ページの両ページ)の再印刷を行わせる。又、再印刷不要キーK5が押下されれば再印刷は不要であるとして、制御部8は、画像メモリ92や記憶部82に記憶される画像形成の停止があったページの画像データを消去させる。
(画像形成制御)
次に、図6に基づき、本発明の第1の実施形態に係る画像形成制御の一例を説明する。図6は、本発明の第1の実施形態に係る画像形成制御の一例を示すフローチャートである。尚、本説明では、図5(b)の選択画面11aで画像形成停止を認める設定がなされている場合を説明する。
まず、図6のスタートは、コピー等のため、操作パネル1のスタートキー12が押された場合や、PC200から画像データ等の送信があった場合など、使用者から複合機100に印刷を行う旨の指示があった時点である。その後、給紙と用紙搬送が開始され(ステップ♯1)、各画像形成ユニット50でトナー像(画像)形成が開始される(ステップ♯2)。尚、用紙搬送速度や給紙位置からレジストローラ対45や転写部7までの距離や、画像の転写部7までの移動距離や画像の移動速度(中間転写ベルト61の周速度)によって、ステップ♯1とステップ♯2が入れ替わることがある。
次に、制御部8は、画像形成が開始されてから、確認時点に到ったかを確認する(ステップ♯3)。確認時点に到っていなければ(ステップ♯3のNo)、画像形成が続けられ(ステップ♯4)、ステップ♯3に戻る。もし確認時点に到っていれば、制御部8は、用紙検出センサSの出力を確認して、レジストローラ対45に用紙が到達していないかを確認する(ステップ♯5)。
用紙が到達していなければ(ステップ♯5のYes)、画像形成と画像データの送信を停止のあったページを示すデータと、そのページの画像データを記憶部82や画像メモリ92に記憶する(ステップ♯6)。更に、制御部8は、画像形成と画像データの送信を停止させる(ステップ♯7)。具体的に、制御部8は、メインモータ5Mやベルトモータ6Mを停止させ、画像の移動を停止させる。又、露光装置51での露光動作も停止させる。又、各画像形成ユニット50での電圧印加(帯電装置53や現像バイアス)も停止させる。更に、画像処理部9から露光装置51への画像データの送信も停止させる。
その後、制御部8は、用紙検出センサSの出力を確認し、用紙到達を用紙検出センサSが検出したかを確認する(ステップ♯8)。もし、用紙到達が検出されなければ(ステップ♯8のNo)、ステップ♯7に戻る。一方、用紙到達が検出されれば、制御部8は、画像形成と画像データの送信を再開させる(ステップ♯9)。即ち、制御部8は、確認時点に用紙到達を検出できていなければ、画像形成部5aでの画像形成と画像処理部9の画像データ送信を停止させ、用紙検出センサSでの用紙到達検出後に画像形成部5aに画像形成を再開させ、画像処理部9に画像データの送信を再開させる。尚、用紙の転写開始位置からずれなく画像の転写が行われるように、画像形成や画像データの送信再開や、レジストローラ対45の回転開始タイミングを計り、転写部7への用紙進入が行われる。
ステップ8の後、又は、レジストローラ対45への到達に遅れがなかった場合(ステップ♯5のNo)、用紙への2次転写と、画像の用紙への定着と、印刷済用紙の機外への排出が行われる(ステップ♯10)。そして、制御部8は、全ジョブが完了したかを確認する(ステップ♯11)。全ジョブが完了せず(ステップ♯11のNo)、まだ印刷を行う必要がある場合、例えば、ステップ♯1に戻る。一方、全ジョブが完了していれば(ステップ♯11のYes)、制御部8は、再印刷要求画面14の表示が必要かを確認する(ステップ♯12)。言い換えると、ジョブ実行中に画像形成や画像データの送信停止があったかを確認する。
もし、再印刷要求画面14の表示が必要であれば(ステップ♯12のYes)、制御部8は、操作パネル1に再印刷要求画面14を表示させる(ステップ♯13)。この時、画像形成と画像データの送信停止があったページの表示を行う。そして、制御部8は、操作パネル1と通信を行い、ページ選択キーK3や全ページ再印刷キーK4が押下されることにより、再印刷が必要かを確認する(ステップ♯14)。もし、再印刷が必要ならば(ステップ♯14のYes)、制御部8は、画像形成と画像データの送信停止があったページであって、再印刷の指示のあったページについて、給紙と用紙搬送を行い、記憶部82や画像メモリ92から画像データを読み出しつつトナー像の形成を画像形成部5aに行わせる等により、再印刷を行わせる(ステップ♯15)。
一方、再印刷要求画面14の表示が必要ない場合(ステップ♯12のNo)や、再印刷不要キーK5が押下され、再印刷の必要がない場合(ステップ♯14のNo)、処理を終了する(エンド)。この時、制御部8は、記憶部82や画像メモリ92から画像形成や画像データ送信の停止があったページの画像データを消去しても良い(ステップ♯16)。即ち、制御部8は、ジョブの完了後、画像形成速度と画像データ送信速度の遅延があったページの再印刷を行わせる。しかし、操作パネル1は、画像形成速度と画像データ送信速度の遅延があったページの再印刷を行う要求の入力を受け付け、制御部8は、再印刷を行う要求の入力が操作パネル1にあった場合にのみ、画像形成速度と画像データ送信速度の遅延があったページの再印刷を行わせる。
尚、上記のフローチャートの説明では、操作パネル1に再印刷要求画面14の表示を行う例を説明したが、PC200から画像データの送信を受け、複合機100がプリンタとして印刷する場合、I/F部85からPC200にデータを送信しPC200のディスプレイに再印刷要求画面14と同様の表示が行われても良い(ステップ♯13)。又、複合機100は、PC200のディスプレイに表示された再印刷要求画面14と同様の画面への入力でページ選択キーK3や全ページ再印刷キーK4が選択されたことを示すデータをPC200から受信したか否かにより、再印刷を行う必要があるか確認してもよい(ステップ♯14)。即ち、制御部8はジョブのうち、画像形成速度と画像データ送信速度の遅延があったページを示すデータをI/F部85から外部装置(PC200)に向けて送信させ、外部装置から画像形成速度と画像データ送信速度の遅延があったページに対する再印刷の要求をI/F部85が受信した場合、画像形成速度と画像データ送信速度の遅延があったページの再印刷を行わせる。
このようにして、本実施形態の画像形成装置(例えば、複合機100)の構成によれば、確認時点で用紙到達が検出できていなければ、画像形成速度と画像データ送信速度が遅くなる。従って、画像形成が通常の速度で行われる場合よりも、画像が転写部7に到達する時間が遅れる。即ち、用紙到達の遅れにあわせ、画像の転写部7への到達が遅れる。従って、用紙の転写開始位置からずれなく画像を転写しやすくなる。又、用紙到達の遅れによる一旦形成された画像の破棄をせずに済み、画像を形成する資材(例えば、トナー)の無駄な消費が無くなる。又、画像形成のやり直しする場合に比べて、総合的に見て印刷に要する時間が短くなる。
又、確認時点で用紙到達が検出できていなければ、画像形成が停止される。これにより、用紙到達がどれほど遅れても、用紙の転写部7への到達前に、画像が転写部7に先に到達することを防ぐことができる。又、画像形成速度や画像データ送信速度の変化で、画像の画質が低下する場合がある。そして、画質を重視する使用者もいれば、画質を重視しない使用者もいるところ、この構成によれば、使用者は、画像形成速度や画像データ送信速度を遅らせるか否かを選択できる。これにより、使用者が選択した場合にのみ、画像形成速度や画像データ送信速度を遅らせる制御が行われる。従って、使用者の意向を画像形成制御に反映させることができる。又、画像形成速度や画像データ送信速度の変化があったページが再印刷される。これにより、使用者は、容易にページの差し替えを行うことができる。又、使用者は、画像形成速度や画像データ送信速度の変化のあったページの再印刷の指示を入力できる。これにより、使用者が希望する場合にのみ、画像形成速度等の変化のあったページの再印刷がなされる。従って、使用者は、印刷物を確認し、満足できる画質か否かを確認したうえで、再印刷の指示を行うことができ、使用者にとって無駄な再印刷が行われることもない。
又、外部装置(例えば、PC200)から画像データの送信を受け画像形成を行う場合、画像形成速度や画像データ送信速度の変化があったことと、そのページがPC200に通知される。これにより、使用者は、チェックすべきページを把握できる。又、使用者は、自己のPC200から画像形成速度等の変化のあったページの再印刷の指示を行うことができる。使用者が希望する場合にのみ、画像形成速度や画像データ送信速度の変化のあったページの再印刷がなされる。又、使用者は、PC200から再印刷の指示を行うことができる。
(第2の実施形態)
次に、図3、図7〜図9を利用し、本発明の第2の実施形態に係る複合機100を説明する。ここで、第2の実施形態に示す複合機100は、用紙のレジストローラ対45への到達が遅れた場合、画像形成と露光装置51への画像データ送信を停止させるのではなく、画像形成速度と画像データ送信速度を下げる点で第1の実施形態と異なる。尚、図1〜図3を用いて説明した複合機100の基本的な構成は、第1の実施形態と同様でよい。従って、共通する部分については、第1の実施形態の記載を援用するものとして、以下では、第1の実施形態と異なる点につき述べ、図示する。
(複合機100のハードウェア構成)
まず、図3を用いて、第2の実施形態の複合機100のハードウェア構成を説明する。まず、複合機100内に、各部の制御を行い印刷の制御を司る制御部8が設けられる点は同様である。又、用紙検出センサSを用いて、レジストローラ対45に用紙が到達したかを検出する点も同様である。
そして、制御部8は、例えば、メインモータ5Mやベルトモータ6Mの回転速度を制御して、予め定められた基準速度で画像が形成されるように各モータの回転速度を制御できる点や、制御部8は、画像形成速度(トナー像形成速度)を変化させることができる点も同様である。しかし、本実施形態では、停止ではなく、例えば、基準速度からメインモータ5Mやベルトモータ6Mの回転速度を下げて、画像形成速度を下げることができる。又、画像形成速度が基準速度よりも下がっている状態で、基準速度からメインモータ5Mやベルトモータ6Mの回転速度を上げ、基準速度まで画像形成速度を上げることができる。
次に、本実施形態での画像データの処理について説明する。本実施形態の画像処理部9の構成や画像処理部9に入力される画像データ、処理後の画像データが露光装置51に送信され、画像形成に用いられる等の点は基本的に第1の実施形態と同様である。
本発明に係る複合機100の画像処理部9は、画像形成速度の変化にあわせ、露光装置51への画像データの送信速度を変化させることができる。本実施形態の画像処理部9は、画像形成速度の低下に合わせ、画像データの露光装置51への送信速度を低下させる。又、画像処理部9は、画像形成速度が上がれば、画像データ送信速度を上げる。例えば、メインモータ5Mやベルトモータ6Mの回転にあわせて画像形成速度が変わるので、画像形成装置の機種ごとに、メインモータ5Mやベルトモータ6Mの回転速度に応じた画像データ送信速度を定めておけば、画像データを露光装置51に異常なく送信できる。
例えば、メインモータ5Mやベルトモータ6Mの回転速度を1/2とすれば、画像(トナー像)の形成速度(画像の転写部7への移動速度)も1/2となるので、画像データの送信速度も1/2とすればよい。
又、画像形成速度が下がった場合、露光装置51のレーザ装置57での1画素当たりの点灯時間は変化する。又、画像形成速度が下がった場合、ポリゴンモータ56の回転速度を下げなければ、感光体ドラム52の周面を走査する速度が速すぎて、適切な露光を行えない。そこで、制御部8は、画像形成速度の変化にあわせ、露光装置51でのレーザ装置57の1画素あたりの点消灯時間やポリゴンモータ56の回転速度を指示する。
例えば、画像形成速度が下がれば、制御部8は、レーザ装置57の1画素当たりの点消灯時間を長くさせ、ポリゴンモータ56の回転を下げさせる。又、画像形成速度を基準速度に戻す場合、レーザ装置57の1画素当たりの点消灯時間を短くし、ポリゴンモータ56の回転を上げさせる。例えば、基準速度に対し、画像形成速度を1/2とするならば、基準速度で画像形成をしているときよりも、レーザ装置57の1画素当たりの点消灯時間を2倍にし、ポリゴンモータ56の回転速度を1/2とする。
(画像形成速度の変化)
次に、図7に基づき、本発明の第2の実施形態に係る複合機100の画像形成速度の変化の一例を説明する。図7は、本発明の第2の実施形態に係る複合機100での確認時点の一例を示す説明図である。
本実施形態でも、画像形成開始から転写部7に画像が到達する前の時点で、用紙検出センサSを用いてレジストローラ対45に用紙が到達しているかを確認する。そして、到達していなければ、画像形成速度を下げる。これにより、レジストローラ対45で用紙を停止させる時間の短縮可能な限界を超えて用紙到達が遅れても、用紙の所定の位置に画像を2次転写できる。
そこで、画像形成速度を下げる際の一例を、図7を用いて説明する。図7では、図4と同様に上方のラインが用紙搬送経路の一例を示し、下方が画像の移動経路の一例を示す。又、図4では、K、Y、C、Mの文字が記された図形は各色の感光体ドラム52を示す。
ここで、本実施形態の複合機100では、画像形成が開始されてから中間転写ベルト61上に形成された画像の先頭が、転写部7に進入する前に、複数の確認時点が設けられる。例えば図7で、●で示す地点が確認時点に対応する確認地点Pである。具体的に、本実施形態では確認地点Pは4つ設けられる。具体的には、各確認地点Pは、マゼンタの画像形成ユニット50Mとシアンの画像形成ユニット50の間(第1確認地点P1。第1確認時点に対応)、シアンの感光体ドラム52とイエローの感光体ドラム52の間(第2確認地点P2。第2確認時点に対応)、イエローの感光体ドラム52とブラックの感光体ドラム52の間(第3確認地点P3。第3確認時点に対応)、ブラックの感光体ドラム52から2次転写ローラ66の間(第4確認地点P4。第4確認時点に対応)に設けられる(図1参照)。そして、画像の先頭が各確認地点Pに到達した時が、確認時点となる(第1〜第4確認時点)。制御部8は、各確認時点で、用紙検出センサSでレジストローラ対45に用紙が到達しているかを確認し、用紙到達を確認できなければ、画像形成速度や画像データ送信速度を下げる。
例えば、第4確認時点は、用紙検出センサSから転写部7までの距離を搬送するために要する時間に、画像の移動速度を乗じた距離(余白を考えるならば余白分の距離を加える)だけ、転写部7から遡った地点に画像が到達する時点を第4確認時点とする。又、例えば、基準速度で画像形成を行っている状態の画像の転写部7への移動速度と用紙搬送速度が同じ場合、転写部7と用紙検出センサSの距離(余白を考えるならば余白分の距離を加える)と同じ距離だけ、転写部7から遡った地点を第4確認地点P4とすることができる。
尚、制御部8は、画像の先頭が各確認地点Pに到達した時(確認時点)を認識できる。例えば、基準速度での中間転写ベルト61や感光体ドラム52の周速度は同一で一定で、又、各確認地点Pで用紙到達が検出されていない場合の速度の下げ方を一定とすれば、画像形成を開始してから各確認地点Pに画像が到達するまでの時間は一定となる。そこで、画像形成を開始してから各確認地点Pに画像が到達するまでの時間を予め把握し、記憶部82等に記憶させておく。そして、例えば、画像形成を開始してから、各確認地点Pに画像が到達するまで、予め把握した時間をカウントダウンすれば、画像の先頭が確認地点Pに到達した時(確認時点)を認識できる。尚、この計時は、計時部83やCPU81が行えばよい。
(画像形成停止に関する表示)
次に、図8に基づき、本発明の第1の実施形態に係る複合機100での画像形成停止に関する表示の一例を説明する。図8(a)は、本発明の第2の実施形態に係る操作パネル1の一例を示し、(b)は画像形成停止を認めるかの選択を行う表示の一例を示し、(c)は再印刷の要求を行うための表示の一例を示す。
まず、図5(a)に示すように、第1の実施形態と、基本的な操作パネル1の構成は同様である。次に、図5(b)に基づき、画像形成速度の変化を認めるかの選択を説明する。本実施形態の複合機100は、各確認時点で用紙のレジストローラ対45への到達を検出できていない場合、画像形成速度や画像データ送信速度を下げる。しかし、画像形成速度等の速度変化が行われると、画像形成速度等を変化させずに印刷する場合に比べ印刷物での画質が低下する場合がある。
図8(b)に示す選択画面11aは、第1の実施形態と同様に、使用者がタッチパネルの押下を繰り返すことで辿り着くことができる。そして、選択画面11aでは、第1の実施形態と同様にYesキーK1とNoキーK2が配される。そして、YesキーK1が押下されれば、その旨が制御部8に伝達される。そして、各確認時点で用紙到達が検出されていなければ、制御部8は画像形成速度や画像データ送信速度を下げる。一方、NoキーK2が押下されれば、従来のようにレジストローラ対45での用紙の停止時間を減らし、或いは、画像を破棄を行って用紙到達の遅れに対応する。
次に、図8(c)に、実際に、画像形成が停止され、ジョブが終了した場合の表示の一例を示す。画像形成速度や画像データ送信速度の変化があったコピー等の印刷のジョブ完了後、図8(c)に示すような再印刷要求画面14をジョブ完了後に行う。その趣旨や作用、効果は、第1の実施形態と同様である。
(画像形成制御)
次に、図9に基づき、本発明の第2の実施形態に係る画像形成制御の一例を説明する。図9は、本発明の第2の実施形態に係る画像形成制御の一例を示すフローチャートである。尚、本説明では、図8(b)の選択画面11aで画像形成速度を下げることを認める設定がなされている場合を説明する。
まず、尚、図9のスタートからステップ♯22は、図6(第1の実施形態)のスタート〜ステップ♯2と同様であるため、説明を省略する。次に、制御部8は画像形成が開始されてから、第1確認時点に到ったかを確認する(ステップ♯23)。確認時点に到っていなければ(ステップ♯23のNo)、画像形成が続けられ(ステップ♯24)、ステップ♯23に戻る。もし第1確認時点に到っていれば、制御部8は、用紙検出センサSの出力を確認し、用紙検出センサSに用紙が到達していないかを確認する(ステップ♯25)。用紙が到達していれば(ステップ♯25のNo)、画像形成速度等を変化させる必要はないので、ステップ♯35に移行する。
用紙が到達していなければ(ステップ♯25のYes)、現在、画像を形成中のページを示すデータと、そのページの画像データを記憶部82や画像メモリ92に記憶する(ステップ♯26)。更に、制御部8は、画像形成速度と画像データ送信速度を下げる(ステップ♯27)。具体的には、制御部8は、コントローラ84に指示してメインモータ5Mやベルトモータ6Mの回転速度を下げさせ、画像の移動を遅くする。又、露光装置51でのポリゴンモータ56の回転数を下げさせ、露光速度も下げさせる。又、各画像形成ユニット50での電圧印加(帯電装置53や現像バイアス)タイミングや周波数等のパラメータも変化させてもよい。更に、画像処理部9から露光装置51への画像データの送信速度も下げる。
その後、制御部8は、次の確認時点に到ったかを確認する(ステップ♯28)。確認時点に到っていなければ(ステップ♯28のNo)、画像形成が続けられ(ステップ♯29)、ステップ♯28に戻る。もし、次の確認時点に到っていれば(ステップ♯28のYes)、制御部8は、用紙検出センサSの出力を確認し、用紙検出センサSに用紙が到達していないかを確認する(ステップ♯30)
用紙が到達していなければ(ステップ♯30のYes)、制御部8は、画像形成速度と画像データ送信速度を更に下げさせる(ステップ♯31)。そして、制御部8は、全ての確認時点(本実施形態では4つ)を経過したかを確認し(ステップ♯32)、全ての確認時点が経過していなければ(ステップ♯32のNo)ステップ♯28に戻る。一方、全ての確認時点が経過していれば(ステップ♯32のYes)用紙到達が間に合わないと認められるので、転写部7で転写を行わず、ベルト清掃装置65に画像を回収させる画像破棄を行わせる(ステップ♯33)。ステップ♯33の後、例えば、ステップ♯22に戻る。
一方、用紙が到達していれば(ステップ♯30のNo)、画像形成速度と画像データ送信速度を基準速度に(元に)戻す(ステップ♯34)。具体的には、制御部8は、コントローラ84に指示してメインモータ5Mやベルトモータ6Mの回転速度を上げさせ、画像の移動を早くする。又、露光装置51でのポリゴンモータ56の回転数を上げさせ、露光速度も上げさせる。又、各画像形成ユニット50での電圧印加(帯電装置53や現像バイアス)タイミングや周波数等のパラメータを変化させていれば、元に戻しても良い。更に、画像処理部9から露光装置51への画像データの送信速度も上げる。
即ち、制御部8は、確認時点に用紙到達を検出できていなければ、画像形成速度と画像データ送信速度を下げ、用紙到達検出後、画像形成速度と画像データ送信速度を元に戻す。又、確認時点は、画像形成部5aで画像の形成が開始されてから転写部7に画像が到達するまでに複数設けられ、制御部8は、各確認時点で用紙到達を検出できないごとに画像形成速度と画像データ送信速度を遅くしてゆく。その後、用紙の所定の位置に画像が転写される位置となるように、レジストローラ対45は、用紙を転写部7に送り出し、用紙への2次転写と、画像の用紙への定着と、印刷済用紙の機外への排出が行われる(ステップ♯35)。
ステップ35の後、制御部8は、全ジョブが完了したかを確認する(ステップ♯36)。尚、本実施形態の図9のステップ♯36〜ステップ♯41は、第1の実施形態のステップ♯11〜ステップ♯16と同様であるので説明を省略する。
このようにして、第2の実施形態に示す画像形成装置によれば、第1の実施形態の効果、作用に加え、確認時点で用紙到達が検出できていなければ、画像形成速度や画像データ送信速度が遅くなる。これにより、レジストローラへの用紙到達の遅れが生じても、画像が転写部7に先に到達し難くなる。従って、用紙到達の遅れがあっても、画像を用紙にずれなく転写することができる。
又、複数の確認時点が設けられ、各確認時点で用紙到達が認められないごとに、画像形成速度や画像データ送信速度が遅くなる。これにより、用紙の搬送状況(搬送の遅れの程度)にあわせ、画像の転写部7への到達を遅らせることができる。又、用紙到達が検出された時点で、画像形成速度や画像データ送信速度が元に戻るので、画像の転写部7への到達を遅れる時間を少なく留めることができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変化を加えて実施することができる。