JP2011007640A - 連続式濃度測定装置および方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】安定して連続稼動できるだけの耐久性能を有し、現場で複雑な前処理なしに処理水中の微量元素を連続測定するこができ、かつメンテナンスの容易な連続式濃度測定装置及び方法の提供。
【解決手段】レーザ誘起ブレークダウン分光法により分析対象元素の濃度を分析する連続式濃度測定方法及び装置であって、レーザ発振装置から所定の間隔で発振される第1及び第2のパルスを所定の周期で試料セルに照射し、第2のパルスの照射時刻から遅延時間をおいて、予め選択された発光スペクトルを分光器で分離して受光素子で受光し、受光した発光スペクトルを積算して分析対象元素の濃度を所定の周期で分析するに際し、プラズマ光をレンズで集光し、一方の端部が放射状に配置された素線で構成され、他方の端部が分光器のスリット形状に合わせて行列状に配置された素線で構成されたバンドルファイバを介して分光器に導光する方法及び装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、火力発電プラントをはじめとする各種プラントの処理水に含まれる元素を非接触で長期にわたり連続測定するための濃度測定装置および方法に関し、更に詳しくは、例えば、火力発電所のボイラ給水中に含まれるNa濃度をダブルパルス方式のレーザ誘起ブレークダウン分光法(LIBS法)により測定する連続式濃度測定装置および方法に関する。
火力発電プラントや原子力発電プラントにおける復水循環系は、ボイラ等で発生した蒸気でタービンを駆動させて発電を行ない、タービンを出た蒸気を復水器で水に戻し、この復水中に含まれる各種不純物イオンや酸化鉄微粒子(クラッド)等を復水脱塩装置で除去し、処理後の水を再び蒸気発生器に循環させるというサイクルで運用されている。この復水脱塩装置は、発電プラントが一般に復水器の冷却水として海水を使用していることから、海水が復水系にリークしたことを検知するための手段を設ける必要がある。
出願人らも、海水成分を直接計測することによって、海水漏洩の検知精度を大幅に向上させることを可能にする技術を開発し、提案した(特許文献1および非特許文献1)。この技術は、水溶液にレーザ光を照射すると、水溶液中の成分物質が原子固有のスペクトルを有するプラズマ光を発光し、このプラズマ光の発光強度が水溶液における濃度に相関良く対応していることを利用したLIBS法を応用したものであり、復水にレーザ光を照射して、海水の特徴的成分の一つであるナトリウム(Na)のプラズマ光強度を精度よく検出することにより復水中のNaの存在を検出して、復水への海水の漏洩有無を検知するものである。
他方、特許文献1に記載される技術では、特にプラント起動直後は、海水の漏洩を精度よく判定することができない場合があったため、出願人らは、試料セル中の復水に、パルス状のレーザ光Lを照射してプラズマ光Pを発生させ、このプラズマ光Pのうち、Naの発光スペクトル線Pnの光強度Sn、Kの発光スペクトル線Pkの光強度Skおよびバックグランド光Bの光強度SBを、CCDによって同時に計測し、これらに基づいてパーソナルコンピュータにより、復水中におけるNaの濃度Rn、Kの濃度Rkおよびこれらの相対的な濃度比Rn:Rkを求め、時系列的に繰り返し求められた濃度比Rn:Rkの推移と、Naの濃度RnまたはKの濃度Rkとに基づいて、パーソナルコンピュータが海水漏洩有無を判定する海水漏洩監視方法(特許文献2)を提案した。
ところで、ボイラの腐食を防止するためにはボイラ水の水処理が不可欠である。従来のプラント、特に火力発電プラントの水処理としては、揮発性物質処理法(AVT:All Volatile Treatment)と複合酸素処理法(CWT:Combined Water Treatment)の二つの水処理が知られている。
AVTの水処理は、蒸気発生装置の入口側において復水・給水系統から給水された復水に含まれている水素イオンの指数および溶存酸素の濃度を測定し、前者のpHが9.0 〜9.6となるように、後者の濃度が7ppbとなるように低圧給水加熱器の入口側からアンモニア若しくはヒドラジンを注入することにより行われる(例えば特許文献3)。
一方、CWTの水処理は、蒸気発生装置の入口側において復水・給水系統から給水された復水に含まれている水素イオンの指数および溶存酸素の濃度を測定し、前者のpHが8.0〜9.0となるように、後者の濃度が20〜200ppb になるように低圧給水加熱器の入口側からアンモニアを注入すると共に、復水昇圧ポンプの入口側および給水ポンプの入口側から酸素を注入するとことにより行われる(例えば特許文献4)。
近年、AVTの水処理では、揮発性薬品として発ガン性物質であるヒドラジンが使用されているなどの理由から、火力プラントにおける貫流ボイラの水処理はCWTの水処理が主流となりつつある。
一方、CWTの水処理においては、復水脱塩装置から微量にリークするNa,Cl,SO4 等のイオンの蓄積により、ボイラ、タービンなどの各系統でスケール、腐食、キャリーオーバ等の障害が生じる可能性があることが指摘されている。すなわち、ボイラ水中のNa,Cl,SO4 等の不純物の蒸気に対する溶解度は蒸気の温度、圧力が高くなるほど大きくなるところ、過酷な条件下での運転が求められる発電設備では、復水中に含まれる微量な不純物がタービンブレードに析出ないし付着して損傷等の障害を招くという問題がある。
このため、CWT方式の水処理を採用している発電プラントでは、従来のAVT方式よりも厳しい水質管理が必要とされ、復水脱塩装置出口におけるNa濃度を1ppb以下で運用管理することが要求され、その濃度を監視するためには最低でも精度0.1ppbクラスのNa測定装置が不可欠とされている。そこで、従来は、ClとSO4の濃度については電導度計によって監視し、Na濃度については高価なイオンクロマトグラフ自動分析装置(例えば特許文献5)を導入して監視をしていた。
特開2002−5832号公報 特許第3585473号公報 特開昭60−100688号公報 特開平4−128395号公報 特開平5−79303号公報
四国電力、四国総合研究所 研究期報No.73(1999年12月)30-41頁
出願人らの提案した上記特許文献1に開示される技術は、微量のNaを測定することを可能とするものであるが、AVT方式の水処理を採用しているプラントでの利用を念頭に開発を行ったものであり、そこでのNa分析要求濃度下限は数ppbから数百ppbオーダーであった(特許文献1の段落0094参照)。そのため、CWT方式で要求される0.1ppbの測定下限を実現するためには、目標濃度を検知するためには数百回以上にわたる積算処理を行う必要があり、測定に時間がかかり、また励起ランプの寿命が短命になるという課題が生じた。
また、目標濃度0.1ppbレベルまで検出感度を高めるためには、高出力のレーザ(例えば70〜80mJ/台)を使用する必要があり、光学系も複雑な実験室仕様の大型装置になってしまうという課題もある(なお、非特許文献1の36頁で「レーザ照射エネルギーを50mJ以下にするとブレークダウン発光が不安定(発光しない場合がある)となる。」ことを指摘済みである。)。
他方、上記特許文献5に記載されるようなイオンクロマトグラフ自動分析装置は現場での連続稼動性能に課題があり、構造や処理も複雑で運用には多大の手間と費用がかかるという課題がある。また、サンプル水の前処理(分離・濃縮)を含むバッチ方式の間欠測定であるため、リアルタイムの濃度把握はできないという課題もある。
本発明は、安定して連続稼動できるだけの耐久性能を有し、現場で複雑な前処理なしに処理水中の微量元素を連続測定するこができ、かつメンテナンスの容易な連続式濃度測定装置および方法を提供することを目的とする。
本発明は、レーザ照射をダブルパルスとしたLIBS方式によって、プラント水中の微量物質を非接触で連続測定することを可能とするものである。
本発明では、出射および入射光学系の最適化を図ることによって、プラズマ発光の集光効率ならびに機器配置の自由度を高め、発光の安定取得・装置の小型化などの実用面での優位性を高めている。
また、スペクトル波形の正規化処理によって、波形全体のレベル変動など誤差要因の影響を最小限に抑え、プラズマ発光の強度変化を精度よく検知できることを可能ならしめている。
さらに、上述の相乗効果によって、プラズマ発光の積算回数すなわちレーザの発振回数を大幅に低減することでレーザ発振回数の制約(すなわち励起ランプ寿命)の改善、測定時間の短縮および長期間連続稼動を可能としている。
すなわち、本発明は、以下の技術手段から構成される連続式濃度測定装置に関する。
第1の発明は、プラントの処理水が供給される試料セルにパルスレーザ光を照射し、レーザ誘起ブレークダウン分光法により前記処理水中の分析対象元素の濃度を分析する連続式濃度測定装置であって、所定の間隔で発振される第1および第2のパルスレーザ光の組を所定の周期で照射するレーザ発振装置と、前記第2のパルスレーザ光の照射時刻から遅延時間をおいて、予め選択された分析対象元素の発光スペクトルを分光器で分離し、その分離された発光スペクトルを受光素子で受光する受光機構と、前記試料セルが配置され、前記パルスレーザ光を前記試料セルに集光し、発生したプラズマ光を前記分光器に導光するサンプリング装置と、前記受光素子が受光した発光スペクトルを積算して前記処理水中の分析対象元素の濃度を所定の周期で分析する測定制御装置と、を備え、前記サンプリング装置は、前記レーザ発振装置から照射されたレーザ光のビーム径を拡大し、再度レンズで集光して試料セル内に照射する手段と、試料セル側の端部が放射状に配置された素線で構成され、他方の端部が分光器のスリット形状に合わせて行列状に配置された素線で構成されたバンドルファイバと、前記プラズマ光をレンズでバンドルファイバに集光する手段と、を備えることを特徴とする連続式濃度測定装置である。
第2の発明は、第1の発明において、前記測定制御装置が、前記受光素子が受光した発光スペクトルを周波数領域に分解し、バンドパスフィルタ演算処理により特定範囲の波長成分だけを抽出した後、波形再生した信号に基づき前記処理水中の分析対象元素の濃度を分析する手段を有することを特徴とする。
第3の発明は、第1または2の発明において、レーザ光路長が、レーザ発振装置の共振器長の整数倍であることを特徴とする。
第4の発明は、第1ないし3のいずれかの発明において、前記処理水が火力発電プラントのCWTによる処理水であり、前記分析対象元素がナトリウムであることを特徴とする。
第5の発明は、第1ないし4のいずれかの発明において、前記レーザ発振装置が、前記第1および第2のパルスレーザ光の発振間隔を4〜8μsの範囲で設定でき、前記受講機構が、前記遅延時間を0.6〜1.6μsの範囲で設定できることを特徴とする。
また、本発明は、以下の技術手段から構成される連続式濃度測定方法に関する。
第6の発明は、プラントの処理水が供給される試料セルにパルスレーザ光を照射し、レーザ誘起ブレークダウン分光法により前記処理水中の分析対象元素の濃度を分析する連続式濃度測定方法であって、レーザ発振装置から所定の間隔で発振される第1および第2のパルスレーザ光の組を所定の周期で試料セルに照射し、前記第2のパルスレーザ光の照射時刻から遅延時間をおいて、予め選択された分析対象元素の発光スペクトルを分光器で分離し、その分離された発光スペクトルを受光素子で受光し、受光した発光スペクトルを積算して前記処理水中の分析対象元素の濃度を所定の周期で分析するに際し、前記レーザ発振装置から照射されたレーザ光のビーム径を拡大し、再度レンズで集光して試料セル内に照射すること、および、前記プラズマ光をレンズで集光し、試料セル側の端部が放射状に配置された素線で構成され、他方の端部が分光器のスリット形状に合わせて行列状に配置された素線で構成されたバンドルファイバを介して前記分光器に導光することを特徴とする連続式濃度測定方法である。
第7の発明は、第6の発明において、前記受光素子が受光した発光スペクトルを周波数領域に分解し、バンドパスフィルタ演算処理により特定範囲の波長成分だけを抽出した後、波形再生した信号に基づき前記処理水中の分析対象元素の濃度を分析することを特徴とする。
第8の発明は、第6または7の発明において、前記処理水が火力発電プラントのCWTによる処理水であり、前記分析対象元素がナトリウムであることを特徴とする。
第9の発明は、第8の発明において、前記第1および第2のパルスレーザ光の発振間隔が4〜8μsの範囲であり、前記遅延時間が0.6〜1.6μsの範囲であることを特徴とする。
本発明によれば、プラントの処理水中の分析対象元素の濃度分析において、積算回数を従来と比べて少なくすることができるので、測定時間の短縮および長期間連続稼動を実現することが可能となる。
また、プラズマ発光を安定的に取得することができ、しかも装置を構成する機器配置の自由度を高めることで装置の小型化を実現することが可能となる。
本発明の連続式濃度測定装置の概要構成図である。 ダブルパルスLIBS方式によるNa測定原理の説明図である。 (a)従来装置における光ファイバの接続形態と(b)実施例に係る光ファイバの接続形態である。 実施例1に係るNa連続式濃度測定装置の要部構成図である。 (a)LIBSセルの垂直断面図と(b)水平断面図である。 (a)0.5ppbの場合の正規化処理前および処理後のスペクトル波形と0.1ppbの場合の正規化処理前および処理後のスペクトル波形である。 実験室におけるNa測定性能を行った際の出力画面である。 (a)0〜10ppbレンジにおける注入量と測定値の相関を示したグラフと(b)0〜1ppbレンジにおける注入量と測定値の相関を示したグラフである。 フィールドにおけるNa測定性能を行った際の出力画面である。 長期連続可動性能検証時におけるNa濃度トレンドを示したグラフである。
本発明の連続式濃度測定装置の一形態を火力発電プラントから供給されるサンプル水中のNa濃度を分析する場合の例で説明する。
本発明の連続式濃度測定装置は、図1に示すごとく構成され、レーザ発振装置11、受光機構12、サンプリング装置13、測定制御装置14およびリセット装置15を主要な構成要素とする。
レーザ発振装置11は、2台の固体レーザ装置と、レーザ光を合成する合成光学系を備えている。レーザ発振装置11からは、サンプリング装置13に配置されたLIBSセル(試料セル)に第1および第2のパルスレーザ光が所定の周期で発振される。第1のパルスレーザ光は水を水蒸気化するためのものであり、第2のパルスレーザ光により発光したナトリウム(Na)の発光スペクトルに基づきNa濃度を測定する。ダブルパルス化の詳細については後述する。
受光機構12は、予め選択された分析対象元素の発光スペクトルを分光器で分離し、その分離された発光スペクトルを受光素子で受光する。受光機構12には開閉ゲートが設けられており、第2のパルスレーザ光の照射時刻から遅延時間をおいてNa発光がある時間帯のみ受光を行うように構成されている。受光機構12とサンプリング装置13は光ファイバにより接続されている。
サンプリング装置13には、LIBSセルが配置され、LIBSセル内にはサンプル水が連続的に供給される。LIBSセル内で生じたプラズマ発光は、光ファイバにより受光機構12に導光される。なお、所望の波長領域のみを透過させる光学フィルタを組み合わせることで外乱光の影響を排除することが好ましい。
Naの検出精度を高めるためにはサンプリング装置13の入射・出射光学系を最適化することが重要である。入射・出射光学系の詳細については後述する。
測定制御装置14は、レーザ発振装置11、受光機構12、サンプリング装置13およびリセット装置15を制御する。より詳細には、測定制御装置14は、レーザ発振装置11から発振される第1パルスレーザと第2パルスレーザの間隔は例えば数μsの範囲で制御される。また、受光機構12の具備する受光素子がLIBSセル内の発光を捉えるためゲート遅延(例えば1.2μs)も測定制御装置14により設定される。ゲート遅延が必要な理由については図2の説明と合わせて後述する。
また、測定制御装置14は、演算部、記憶部および表示部を備えており、記憶部には専用のソフトウェアが導入されている。これにより、観測したNaの発光スペクトルを表示部にほぼリアルタイムで表示することが可能である。さらに、濃度分析時間の短縮のため、当該ソフトウェアには測定したスペクトル波形を正規化処理する機能を持たせ、積算回数を減少させることが好ましい。
リセット装置15は、24時間の連続稼動環境下で使用する際に生じた不測の故障に対応するためのものである。レーザ発振装置11や受光機構12での異常が連続して発生した場合には、装置電源を再起動するように構成される。
ところで、上記特許文献1に記載される濃度分析方法においては、例えば0.1ppbのNa濃度を測定するために700回(Na発光500回+バックグラウンド200回)の積算が必要であり、分析に数分の時間を要していた(同文献段落0084参照)。また、1回の分析に700回のレーザショットを行い、測定周期を3分とした場合でもランプ寿命は約2ヶ月である。
因みに、特許文献1に記載の装置は、レーザの発振開始から20秒待ってスペクトル測定を実行しないと安定した測定結果が得られないため、その分も時間的なロスとなり、またランプ消耗の要因となっていた。
対して、本発明では、例えば0.1ppbのNa濃度を測定するために必要な積算回数は数十回程度であり、測定時間も数秒程度に短縮することが可能である。また、積算回数が大幅に削減されたことから、測定周期を1分としてもランプ寿命を1年以上にすることが可能となる。このような、本発明の効果は、下記の改良を行うことにより実現された。
(1)LIBS方式のダブルパルス化
(2)出射光学系の改良
(3)入射光学系の改良
(4)発光スペクトルの正規化
以下では、上記(1)〜(4)の技術手段について詳細な説明を行う。
(1)LIBS方式のダブルパルス化
レーザ光をサンプル水中に集光照射すると、その焦点位置付近にプラズマが発生し、まず水自体の強い発光が現れる。ここでサンプル水中にNaが含まれていれば、水の発光に続いて588.995nmおよび589.592nmの波長域にNa原子固有の発光が観測される。この現象を利用した分光分析手法すなわちLIBS方式によって、Na濃度をリアルタイムに測定することができる。Na原子は基底状態と励起状態のエネルギー差が大きく、状態遷移に伴う発光が比較的強いため、LIBS方式で検知しやすい元素である。しかし、水自体の発光すなわち背景のプラズマ発光があまりにも強いため、Na発光は背景に埋もれてしまいやすい。シングルパルスLIBS方式では、この影響が非常に顕著であり、これが検出感度向上の制約となっていた。 このように、レーザ照射によって生じる水の発光は広い波長域にわたって非常に強いが、その一方で、水蒸気の発光は比較的弱く、しかも紫外域の断続的な輝線スペクトルであることが知られている。この現象に着目し、サンプル水にレーザの第1パルスを照射して水を水蒸気に変え、その水蒸気中に第2パルスを照射して、Naの発光を検知する方法がダブルパルスLIBS方式である。この方式では、図2に示すように背景光(水の発光)の影響を大幅に緩和することができる。 同図中のパルス間隔T1および光検出装置のゲート遅延T2を最適値に設定すれば、水の発光が十分減衰した時間帯においてNaの発光を観測できるため、シングルパルスの場合よりもS/N比が向上して発光ピークを検出しやすく微量のNa測定が可能となる(シングルパルス方式と比べS/N比が約5.3倍に向上した)。
(2)出射光学系の改良
長時間稼働が前提とされる測定装置では、温度や発振器内の共振器のアライメントのずれなど、ビーム径が経時変化する要因が多数存在し、ビームスポットにずれが生じるため、この対策をしなければならない。
本発明では、レーザ光をビームエクスパンダで一旦拡大してから再度レンズで集光し、焦点位置における集光度を高めている。すなわち、LIBSセルに照射するレーザビーム径を一定にすることが望ましいところ、ビームエクスパンダでレーザ光のビーム径を拡大した平行光線とし、ビームの広がり角を抑制して対象箇所に照射することで、精度の高い計測を行うことを可能としている。
また、レーザ光路長、すなわちレーザヘッドの先端から焦点位置(LIBSセル中心)までの距離をレーザヘッド内の共振器長の整数倍に合わせ、焦点位置における集光度を高めている。
以上の構成を採用することにより、低出力レーザの組み合わせでもプラズマを効率的に発生させることを可能としている。
(3)入射光学系の改良
本発明では、LIBSセルでのLIBS光(Na発光)を結像レンズで光ファイバ端面に結像し、光ファイバで分光器スリットへ導く構成を採用している。かかる構成により、機器配置や光学設計の自由度を高め、装置を小型化することを可能としている。
また、光ファイバには、紫外・可視光用の石英バンドルファイバを採用し、LIBSセル側のファイバ端部は放射状に発光するプラズマの形態に併せて数十本の素線ファイバを放射状(丸型)に配置し、分光器スリット側のファイバ端部はスリット形状に合せて素線ファイバを行列状(縦長一列)に配置している(図3(b)参照)。かかる構成により、レーザ光の焦点位置がずれた場合でもNa発光を効果的に捉えることを可能としている。
(4)発光スペクトルの正規化
受光素子で得られる生のスペクトル波形に対してバンドパスフィルタ処理を実行し、波形の基準レベルを統一(正規化)することによって、波形全体のレベル変動や局所的な突変ノイズなど誤差要因の影響を低減し、Na波形のピークを精度よく安定取得することを可能としている。
なお、上記特許文献1比べると、背景発光に関連する処理が一切不要となっており、ピーク検出処理ならびに各種設定調整作業が簡素化されている。
以下では本発明の詳細を実施例により説明するが、本発明は何ら実施例により限定されるものではない。
本実施例の連続式濃度測定装置は、Na濃度の長期連続測定を行うためのものである。本実施例の装置は、レーザ発振装置11、受光機構12、サンプリング装置13、測定制御装置14およびリセット装置15を主要な構成要素とし、これらの各要素は筐体1に収納されている。装置サイズ(収納ラック寸法)はW900×H1000×D750mmである。
[レーザ発振装置11]
発振波長1064nm、最大出力45mJ/pulseのYAGレーザを2台使用し、レーザヘッドの前面に合成器33を装着してビームを合成している。本実施例では第1ショット用のレーザの出力を100%とし、第2ショット用のレーザの出力を80%とした。励起用フラッシュランプの寿命は2000万ショットである。
なお、本出願時点ではダブルパルスレーザとしてはランプ励起方式のものしか製品化されておらず、しかも市販品の主流は532nmである(PIV(粒子の挙動可視化)用のもの)。しかし、この発振波長のレーザ光は検出すべきNaの発光波長589nmに近く、測定上の大きな外乱要因となる可能性があるため、本実施例では影響の少ない発振波長1064nmのレーザを採用してダブルパルス化を図った。1064nmのレーザ光を使用することにより、処理水中の微量有機物の蛍光を回避することにも効果があると思われる。
[受光機構12]
受光機構12を構成する分光器38は、波長分解能とサイズを勘案して、焦点距離300mmのものを選定した。分光器38の回折格子定数は2400g/mm、波長分解能は0.05nm、同時観測波長は7.9nm、回転角は47.08°である。回折格子は標準よりも大きい64×84mmサイズを採用し、回転角の増加に伴う光学的な歪の影響を緩和している。逆線分散は0.6472nm/mmである。
受光素子39にはNaの発光波長589nmに対して最も感度の高い機種のICCD(Image Intensifier Charge Coupled Device)を採用した。このICCDの感度波長は300〜700nm、素子数は512×512、増幅率は2000倍、最速ゲート動作時間は2nsであり、波長589nmにおける量子効率は47%である。
[サンプリング装置13]
サンプリング装置13には、サンプル水が循環するLIBSセル20、ビーム径を拡大して平行ビームにするビームエクスパンダ34、平行ビームをLIBSセルに集光するレーザ集光レンズ35、プラズマ発光を集光するLIBS集光レンズ36、および赤外線カットフィルタ37(図示せず)が内蔵されている。レーザ光路長(レーザヘッド先端〜LIBSセル中心)は、レーザヘッド内の共振器長と同一長である300mmとした。これにより、セル中心点におけるレーザ光の集光度が高まり、安定したプラズマ状態が得られる。
LIBSセル20は、テトロン(登録商標)により形成され、図5(a)の垂直断面図に示すように、下部側に注水配管が接続されて復水10が試料セル20内に注水され、上部側に復水10を外部に排水する排水配管が接続されている。
また、LIBSセル20は、図5(b)の水平断面図に示すように、一側面にレーザ光Lを入射させる入射孔が形成され、この入射孔を水密に塞ぐように、レーザ光照射系を構成する集光レンズ44が配設されている。
さらに、上記一側面と隣接する他の一側面に、レーザ光Lの照射によって励起されて発光するプラズマ光Pを外部に出射させる出射孔が形成され、この出射孔を水密に塞ぐように、石英ガラスからなる平板ガラス窓21が設けられている。平板ガラス窓21から出射したプラズマ光Pを、光ファイバに入射させるLIBS集光レンズ45が設けられている。
サンプリング装置13と分光器38の接続には、紫外・可視光用の石英バンドルファイバを採用した。バンドル径1.5mm、ファイバコア径200μm、バンドル数30本である。ファイバ両端のバンドル形状は、サンプリング装置側を放射状ないし丸型配置とし、分光器側をスリット形状に合せて縦長一列配置とした。この光ファイバ接続方式では、サンプリング装置(LIBSセル)内に生じるプラズマの形態や分光器38のスリット形状に合せてバンドルを形成することにより、 LIBS光(Na発光)の安定取得が可能である。すなわち、復水10に含有される成分の種類や濃度に応じて復水10の屈折率は変化するところ、この屈曲率の変化に応じてレーザ光の焦点位置がずれた場合でも放射状に配置された素線ファイバにより一定範囲のNa発光を的確に捉えることが可能である。
また、従来の直結方式と比較して、機器配置や光学設計の自由度が高くなるため、収納ラック内の省スペースという観点からもメリットは大きい。
なお、LIBSセルから漏水が生じた場合には機器類に致命的な影響を与えることから、サンプリング装置13はラックの最下段に配置することが好ましい。
[測定制御装置14]
現場での連続稼動を考慮してパネルPCを採用した。装置全体をパネルPCで総括制御することで、画面タッチ方式の簡単操作でユーザの負担を軽減するためである。
パネルPCのOSはウィンドウズXP(登録商標)である。各構成機器と接続し全体を制御するため、複数のRS232Cポート・USBポート・LANポートのほか、PCIスロットも備えた機種を選定した。同スロットには、Na濃度および警報信号の出力用カードを装着した。また、通信ケーブルを介して遠隔制御を行うことが可能である。
この測定制御装置は、時間分解能5psで4チャンネル独立に遅延出力が可能なデジタルパルス発生機能を備えている。この測定制御御装置は、同装置の内部同期信号を基準にして全体のタイミング制御を実行する構成となっている。
ダブルパルスレーザ(一組の第1パルスと第2パルス)は10Hzで照射され、第1パルスと第2パルスの間隔は4〜8μsの範囲で適宜調整されるが、本実施例では6μsに設定した。
第2パルスの照射後、受光素子で発光を捉えるまでのタイムラグをICCDゲート遅延として設定する。ICCDゲート遅延は0.6〜1.6μsの範囲で適宜調整されるが、本実施例では1.2μsに設定した。
自動測定の周期は1分であるが、35回積算をした場合の実質的な測定時間は約5秒である。
パネルPCには、ダブルパルスレーザの発振とICCDの発光測定(ゲート制御)のタイミングを調整しながら、Na濃度をリアルタイムに測定するためのソフトウェアがインストールされている。このソフトウェアは次の機能を備えている。
(ア)測定制御機能
パネルPCからレーザ発振装置11、分光器38、受光素子39(ICCD)等にコマンドを送り、1分周期でNa測定を実行する。発光ピークの測定波長範囲は589.995±0.15nm、積算回数は35回、ICCD冷却温度は−15℃に設定している。
(イ)スペクトル表示機能
図7に示すように、濃度トレンドグラフ上の2本のカーソル位置に応じて、画面上に2つスペクトル波形が表示される。ICCDで増幅検知したNaの発光スペクトルは、背景光のレベル変動に影響されないよう、バンドパスフィルタ演算処理によって正規化している。
より具体的には、取得したスペクトル波形を1素子あたり1msの時間波形と見なし、FIR手法を用いて波形処理を行った。FIR処理におけるバンドパスフィルタの周波数範囲を変更して、Na濃度とスペクトル強度(波長588.995±0.15nmにおけるピーク値)の相関を求めたとところ20〜90Hzのフィルタが最も良い相関が得られた。この測定における分光器のスリット幅は200μmである。
なお、スペクトル波形(生波形)を時間波形とみなしてFFT(高速フーリエ変換)を用いて周波数領域に分解し、バンドパスフィルタ演算処理により20〜90Hzの成分だけを抽出した後、逆FFTにより波形再生することで正規化を行ってもよい。
このような処理で、波形の平滑化を行うことによりピークレベルの安定検知が可能となり、また宇宙線等による一時的・局所的な突変ノイズの影響も防止することができる。図6(a)に0.5ppbの場合の正規化処理前(上)および処理後(下)のスペクトル波形と、0.1ppbの場合の正規化処理前(上)および処理後(下)のスペクトル波形を示す。なお、正規化処理後ではベースがゼロになっている。
また、Naスペクトル波形に局所的な乱れがあっても、全体的な波形パターンを安定的に抽出できるので、図8に示すようにスペクトルピーク値と濃度との間に高い相関が得られる。このように、現場での連続稼動における精度確保という観点からも、実用性の高い手法であるといえる。
(ウ)濃度表示機能
上述の正規化されたスペクトルのピーク値からNa濃度を算出し、リアルタイムトレンドおよび履歴トレンドを表示する。また画面右側には、カーソル位置に対応する濃度を数値で表示する。
(エ)外部出力機能
測定したNa濃度を4〜20mAで出力する。測定濃度が一定値を超えた場合には濃度高警報を、また光学機器等の異常が発生した場合には装置異常警報を、それぞれ画面に表示し、それと同時に接点信号を出力する。
(オ)診断機能
励起ランプの発光レベルを監視し、発光レベルが一定値以下になった場合にはランプ劣化を知らせる警報を出力する。
[リセット装置15]
本実施例の連続式濃度測定装置は、24時間の連続稼動環境下で使用されるため、不測の故障時にも自動復旧できることが要求される。管理者が在籍する業務時間帯は、遠隔制御機能により復旧を図ってもよいが、深夜や休日に故障が生じた場合を考慮すると自動復旧のための手段を設けることが望ましい。本実施例では、不測の故障時に備え、レーザ、分光器38および受光素子39での異常が連続して発生した場合には、装置電源を再起動するリセット装置15を設ける構成とした。
以上に説明した本実施例の連続式濃度測定装置の仕様の概要をまとめると次の表1のとおりとなる。
《機能試験》
(1)実験室での試験
実験室においてNa測定性能を確認した。この試験では、実施例の装置とサンプルタンクを接続してポンプで超純水を循環させ、その状態でタンク内にNa試薬を注入し、段階的に0→0.1→0.5→1→5→10ppbとNa濃度を上昇させた。
試験結果を図7に示す。なお、図7ではパネルPCの画面コピーに説明上必要な事項を加筆している。
Na試薬の注入直後は、撹拌が不十分でサンプル水中の濃度が不均一なため、同図中に示すように測定値は一時的なオーバーシュートしている。しかし、その後は時間の経過とともに若干変動しながらも、測定値は概ね注入量と同レベルで推移している。
Naの注入量と測定値の相関グラフを図8に示す。図8(a)は0〜10ppbレンジ、図8(b)は0〜1ppbレンジで、ともに相関係数は0.99を越えており、かつ測定誤差はフルスケールの±10%以内に収まっている。ICCDの積算回数や冷却温度の設定を変更すれば測定精度の向上は可能であるが、連続稼動期間を勘案すれば、実施例の設定が最適であると考えられる。別の言い方をすれば、シングルパルスに対するダブルパルスの優位性は一般的に認知されているところ、本実施例では要求精度である0.1ppbまでしか検証していないが、更なる測定下限を実現することも原理上当然に可能である。例えば、図9のトレンドグラフ上において、0.07ppbと0.1ppbと0.5ppbに該当する3つの測定点を選び、それぞれに対応する3つのスペクトル波形(S/N)を比較すれば、0.1ppb未満についても定量的な議論をすることが可能であると思われる。
なお、図7中のトレンドグラフは、全体的な傾向が分かりやすいよう、1分ごとの濃度測定データ5個の移動平均表示としている。
(2)フィールド試験
実施例の装置をCWT方式の発電所に設置し、長期間のフィールド試験を実施した。サンプル水は、復水脱塩装置の出口ラインからサンプルタンク(10L)を経由して装置に通水し、流量計を通して系外にブローした。
(2−1)低濃度Na測定性能試験
Na試薬注入による性能試験を適宜実施し、試作装置の測定値と手分析値(ICP発光分析値)との比較照合を行った結果、両者は高い相関を示し、現場においても低濃度域のNa測定が可能であることを実証できた。試験結果の一例を図9に示す。なお、図9もパネルPCの画面コピーに必要な事項を加筆したものである。
濃度トレンドグラフ中のプロット(赤丸)は手分析値を示している。スペクトル波形については、点線カーソル時点(手分析値2.8ppb・測定値2.8ppb)の波形が画面左下側に、実線カーソル時点(測定値0.07ppb・手分析値0.0ppb)の波形が画面右下側にそれぞれ表示されている。 この試験では、サンプルタンクの水量とNa試薬の注入量を段階的に調整しながら、Na濃度を2→1→0.5→0.2→0.1ppbと順次下げていき、測定値と手分析値とがほぼ一致する良好な結果が得られた。
なお、図9中のトレンドグラフも、図7と同様に濃度データ5個の移動平均表示としている。
(2−2)長期連続稼動性能試験
試作装置のフィールド試験は、トータルで4ヶ月間にわたって実施した。試験を開始して約1ヶ月後にICCD通信エラーによる測定停止が1回発生したため、自動復旧機能を付加するなど改良を行い、フィールド試験を再開した。それ以降は図10に示すとおり、3ヶ月にわたって順調に連続稼動することができ、フィールド試験を無事終了した。
また、レーザ励起ランプの寿命が2000万ショットであるとすると、理論上は1年間の連続稼動が可能である。すなわち、測定時の発振回数は35ショット/分、測定周期を1分とすると、35ショット/分×60分×24時間×365日=約1840万ショットであり、1年間の連続稼動が可能である。
《本実施例の効果》
以上に説明した本実施例の連続式濃度測定装置は、下記の効果を奏する。
(一)現場に設置してプラント水中のNa濃度を約1年(定検間隔)に亘って精度よく連続測定することが可能となる。
(二)レーザ光を用いた非接触測定方式であり、原理上、前処理やウォーミング等が全く不要で点検保守も容易である。このため、従来のイオンクロマトグラフ自動分析装置と比べて装置価格・メンテナンス費用とも大幅に低減可能である。
(三)小型で低出力のレーザとシンプルで効率的な光学系に基づく実用性の高いダブルパルスLIBS方式を採用しており、プラント水中の微量Naを高速かつ高精度に連続測定することができる。
(四)素線を放射状に配置した光ファイバでプラズマ発光を集光することによりNa発光の集光効率を高めると共に機器配置の自由度を高め、これにより発光の安定取得や装置の小型化を実現している。
(五)発光スペクトル波形について正規化処理を施すによって波形全体のレベル変動など誤差要因の影響を低減し、Na発光のピーク値を精度よく算出することを可能としている。
(六)上記(三)ないし(五)の相乗効果によって、最終的にNa発光の積算回数すなわちレーザの発振回数を大幅に低減できたことから、レーザ励起ランプの寿命(2000万ショット)にも係らず、約1年間の長期連続稼動が可能な装置に仕上がっている。
本発明で測定することができるナトリウム(Na)以外の物質としては、例えば、カリウム(K)、鉄(Fe)、リン(P)、銅(Cu)、カルシウム(Ca)、シリコン(Si)、マグネシウム(Mg)、ニッケル(Ni)、リチウム(Li)が挙げられる。
また、本発明は、復水器における微量海水漏洩の早期検知用として有効活用を期待できる。例えば、ナトリウムの濃度およびカリウムの濃度を時系列的に監視し、それらの濃度比の変化に基づき海水漏洩が発生していることを判定することもできる。
また、復水脱塩装置におけるイオン交換樹脂の性能評価用としても有効活用を期待できる。
1 筐体(収納ラック)
10 復水
11 レーザ発振装置
12 受光機構
13 サンプリング装置
14 測定制御装置
15 リセット装置
20 LIBSセル(試料セル)
21 平板ガラス窓
31,32 レーザヘッド
33 合成器
34 ビームエクスパンダ
35 集光レンズ
36 LIBS集光レンズ
37 赤外線カットフィルタ
38 分光器
39 受光素子(ICCD)
44 集光レンズ
45 LIBS集光レンズ

Claims (9)

  1. プラントの処理水が供給される試料セルにパルスレーザ光を照射し、レーザ誘起ブレークダウン分光法により前記処理水中の分析対象元素の濃度を分析する連続式濃度測定装置であって、
    所定の間隔で発振される第1および第2のパルスレーザ光の組を所定の周期で照射するレーザ発振装置と、
    前記第2のパルスレーザ光の照射時刻から遅延時間をおいて、予め選択された分析対象元素の発光スペクトルを分光器で分離し、その分離された発光スペクトルを受光素子で受光する受光機構と、
    前記試料セルが配置され、前記パルスレーザ光を前記試料セルに集光し、発生したプラズマ光を前記分光器に導光するサンプリング装置と、
    前記受光素子が受光した発光スペクトルを積算して前記処理水中の分析対象元素の濃度を所定の周期で分析する測定制御装置と、を備え、
    前記サンプリング装置は、前記レーザ発振装置から照射されたレーザ光のビーム径を拡大し、再度レンズで集光して試料セル内に照射する手段と、試料セル側の端部が放射状に配置された素線で構成され、他方の端部が分光器のスリット形状に合わせて行列状に配置された素線で構成されたバンドルファイバと、前記プラズマ光をレンズでバンドルファイバに集光する手段と、を備えることを特徴とする連続式濃度測定装置。
  2. 前記測定制御装置が、前記受光素子が受光した発光スペクトルを周波数領域に分解し、バンドパスフィルタ演算処理により特定範囲の波長成分だけを抽出した後、波形再生した信号に基づき前記処理水中の分析対象元素の濃度を分析する手段を有することを特徴とする請求項1に記載の連続式濃度測定装置。
  3. レーザ光路長が、レーザ発振装置の共振器長の整数倍であることを特徴とする請求項1または2に記載の連続式濃度測定装置。
  4. 前記処理水が火力発電プラントのCWTによる処理水であり、前記分析対象元素がナトリウムであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の連続式濃度測定装置。
  5. 前記レーザ発振装置が、前記第1および第2のパルスレーザ光の発振間隔を4〜8μsの範囲で設定でき、
    前記受講機構が、前記遅延時間を0.6〜1.6μsの範囲で設定できることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の連続式濃度測定装置。
  6. プラントの処理水が供給される試料セルにパルスレーザ光を照射し、レーザ誘起ブレークダウン分光法により前記処理水中の分析対象元素の濃度を分析する連続式濃度測定方法であって、
    レーザ発振装置から所定の間隔で発振される第1および第2のパルスレーザ光の組を所定の周期で試料セルに照射し、前記第2のパルスレーザ光の照射時刻から遅延時間をおいて、予め選択された分析対象元素の発光スペクトルを分光器で分離し、その分離された発光スペクトルを受光素子で受光し、受光した発光スペクトルを積算して前記処理水中の分析対象元素の濃度を所定の周期で分析するに際し、
    前記レーザ発振装置から照射されたレーザ光のビーム径を拡大し、再度レンズで集光して試料セル内に照射すること、および、
    前記プラズマ光をレンズで集光し、試料セル側の端部が放射状に配置された素線で構成され、他方の端部が分光器のスリット形状に合わせて行列状に配置された素線で構成されたバンドルファイバを介して前記分光器に導光することを特徴とする連続式濃度測定方法。
  7. 前記受光素子が受光した発光スペクトルを周波数領域に分解し、バンドパスフィルタ演算処理により特定範囲の波長成分だけを抽出した後、波形再生した信号に基づき前記処理水中の分析対象元素の濃度を分析することを特徴とする請求項6に記載の連続式濃度測定方法。
  8. 前記処理水が火力発電プラントのCWTによる処理水であり、前記分析対象元素がナトリウムであることを特徴とする請求項6または7に記載の連続式濃度測定方法。
  9. 前記第1および第2のパルスレーザ光の発振間隔が4〜8μsの範囲であり、前記遅延時間が0.6〜1.6μsの範囲であることを特徴とする請求項8に記載の連続式濃度測定方法。
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