JP2011005588A - 電動工具 - Google Patents

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Abstract

【課題】
制動期間を適切に設定することにより、精度良くブレーキ動作を行うことができる電動工具を提供する。
【解決手段】
トリガスイッチ操作の解除がなされた場合にモータに制動力を加えるブレーキ動作を行う電動工具において、制御部はブレーキ動作中のモータの回転数を検出し、ブレーキ動作中のモータの回転数が所定の回転数(Nth)以上である場合はブレーキ動作を継続して行い、回転数(Nth)以下となった場合は、ブレーキ動作を終了させる経過時間Tcを算出し、時間経過Tc後にブレーキ動作を解除するように制御する。
【選択図】図9

Description

本発明は電動工具のブレーキの制御方法に関し、特にトリガスイッチを解除した際にモータの回転を短時間で効率よく制動させるようにした電動工具に関する。
インパクトドライバ等のネジ締め電動工具においては、ネジを相手材に対して垂直に締め付けるためにネジ締め作業の開始時に短時間の間にモータの低速回転・停止を繰り返して行い、徐々に相手材にネジを挿入していく。この作業の際に重要なのは、作業者のトリガ操作に対してモータの追従性を良くすることである。トリガ操作によりモータを回転させ、トリガ操作の解除によりブレーキ動作でモータを停止させる。モータのブレーキ動作中には、モータの起動は受けつけないために、短時間でトリガの操作および解除を繰り返すと、作業者のトリガ操作にモータの回転が追従できない場合が生じる。
ドリル、ドライバ等の回転先端工具を駆動する電動工具において、モータの回転追従性向上のために、モータのブレーキ動作制御に関する技術が、例えば特許文献1に開示されている。この技術においては、モータの電源スイッチの切断時に、モータに回生電流を流してモータに制動力を加える。また、ブレーキ動作時の制動期間を運転中のモータ回転数に基づいて算出し、モータ回転数が低速であるほど制動期間が短くなるように制御し、確実なブレーキ動作を行う。このように、モータ停止後に必要以上に制動を行わないことにより、トリガ操作に対するモータの起動・停止の追従性を向上させることができる。
特開2005−176454号公報
特許文献1に記載された技術においては、制動開始時のモータ回転数の値を基に制動期間を算出している。そのためには予めモータ回転数と制動期間の関係を求めておく必要が生じる。しかしながら、電動工具に適用されるモータは、使用による劣化、周囲環境等により減速特性に大きな個体差が生ずるため、制動開始時のモータ回転数から適切に制動期間を求めることは難しい。よって、電動工具によっては予め設定された制動期間内に停止できない場合や、制動時間前に停止している場合が生ずる。また、制動期間を必要以上に長く設けてしまい、結果として短時間で制動するという目的を達成ができない可能性が生じる。さらに、電動工具の場合は作業内容によっても必要な制動期間に差が生じることがあり、同じ回転数であっても電動工具の負荷の状態によって必要な制動期間に差が生じてしまう。
一方、ブレーキ動作時にモータの回転数を検出し、完全にモータが停止したことを検出するまでブレーキ動作を行うというモータの制御方法が知られている。しかしながら、このような制御方法であっても、電動工具に適用すると様々な問題が生ずることを発明者らは見いだした。
モータ回転数は、モータの一定の回転角度毎に出力される位置検出素子出力パルスの立ち上がり、下がりエッジの変化の時間間隔から検出するのが一般的である。モータがロック状態にある場合には、パルスの立ち上がり、下がりエッジに変化は生じない。そのため、低速回転であればエッジの変化の時間間隔が長くなり、モータが停止状態にあるか低速回転状態にあるか判断するのは難しくなる。停止状態にあるかどうか判断するためには、エッジの時間間隔を長く検出する必要があり、結果として制動期間が長くなり、モータの起動・停止の追従性を悪化させる。従って、位置検出素子の出力パルスを利用するだけでモータの制動期間の終了時点を決定するのは難しい。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、モータの追従性を改良し、確実にモータの停止を行うことができる電動工具を提供することにある。
本発明の別の目的は、制動期間を適切に設定することにより、精度良くブレーキ動作を行うことができる電動工具を提供することにある。
本発明のさらに別の目的は、使用による劣化、周囲環境等による影響を受けにくい、安定したブレーキ動作を行うことができる電動工具を提供することにある。
本願において開示される発明のうち、代表的なものの特徴を説明すれば、次の通りである。
本発明の一つの特徴によれば、モータと、作業者のトリガ操作によりモータのON及びOFFを指示するトリガスイッチと、モータの回転数を検出する回転数検出部と、トリガスイッチと回転数検出部の出力に基づいてモータの回転制御を行う制御部を有する電動工具において、制御部は、トリガスイッチ操作の解除がなされた場合にモータに制動力を加えるブレーキ動作を行い、回転数検出部においてブレーキ動作中のモータの回転数を検出し、ブレーキ動作中の回転数が所定の回転数以上である場合はブレーキ動作を継続して行い、ブレーキ動作により回転数が低下して所定の回転数以下となった場合は、ブレーキ動作を終了させる時間を算出し、時間経過後にブレーキ動作を解除するように構成した。また、制御部は、ブレーキ制動を開始してから所定の回転数に達するまでの回転数低下状況を監視し、回転数低下状況に応じてブレーキ動作を終了させる時間を求めるように構成した。モータは、回転子および固定子巻線を有するブラシレス直流モータであり、回転子を回転駆動させるために固定子巻線に駆動電流を供給するための複数の半導体スイッチング素子を含むインバータ回路を有する。
本発明の他の特徴によれば、制御部は、ブレーキ動作中のモータの回転数変化を時間経過毎に検出し、ブレーキ動作により回転数が低下してある第nの回転数以下となった場合は、第nの回転数以下になった直後からブレーキ動作を終了させる時間(TC(n))を算出し、時間(TC(n))が経過前に回転数が低下して第n+1の回転数以下となった場合は、再びブレーキ動作を終了させる時間(TC(n+1))を算出し、時間(TC(n+1))経過後にブレーキ動作を解除する。
本発明のさらに他の特徴によれば、インバータ回路のスイッチング素子は電源の正側に接続される複数の上アーム側スイッチング素子と電源の負側に接続される複数の下アーム側スイッチング素子から構成され、制御部は、上アーム側スイッチング素子もしくは下アーム側スイッチング素子のどちらか一方の素子を全てオンする短絡制動によってブレーキ制御を行う。また、制御部は、上アーム側スイッチング素子もしくは下アーム側スイッチング素子のどちらか一方の素子を全てオンする短絡制動と、固定子巻線に駆動電流を供給して逆方向のトルクを発生させる逆トルク制動を任意に切り替えてブレーキ動作を行うようにしても良い。
請求項1の発明によれば、ブレーキ動作により回転数が低下して所定の回転数以下となった場合は、ブレーキ動作を終了させる時間を算出し、時間経過後にブレーキ動作を解除するので、制動期間を可変に設定でき、ブレーキ動作により確実にモータを停止させることができる。また、必要時間以上のブレーキ動作を行うことを防止できるので、モータ起動・停止の追従性を向上させることができ、短時間でトリガの操作・解除を繰り返した場合の電動工具の操作性向上を大きく図ることができる。
請求項2の発明によれば、制御部は、ブレーキ制動を開始してから所定の回転数に達するまでの回転数低下状況を監視し、回転数低下状況に応じてブレーキ動作を終了させる時間を求めるので、負荷の状況やモータの状況に即した適切なブレーキ動作が可能となる。
請求項3の発明によれば、転数低下状況の監視は、回転数の低下(ΔN)/回転数低下に要した時間(Td)を算出し、予め制御手段に記憶させた対応表を元にブレーキ動作を終了させる時間を求めるので、ΔN/Tdの値からテーブルを参照して即座にブレーキ動作を終了させる時間を求めることができ、モータ停止の追従性を向上させることができる。
請求項4の発明によれば、ブレーキ動作を終了させる時間(TC(n))を複数回にわたって算出しながらブレーキ動作を行うので、精度良くブレーキ動作を実行することが可能となる。
請求項5の発明によれば、モータは、インバータ回路で駆動されるブラシレス直流モータであるので、インバータ回路の制御によりブレーキ動作を実行することができる。
請求項6の発明によれば、制御部は、上アーム側スイッチング素子もしくは下アーム側スイッチング素子のどちらか一方の素子を全てオンする短絡制動によってブレーキ制御を行うので、簡単な操作で強力なブレーキ動作を実行することができる。
請求項7の発明によれば、制御部は、短絡制動と逆トルク制動を任意に切り替えてブレーキ動作を行うので、状況に即して適切なブレーキ操作を選択することができる。
本発明の上記及び他の目的ならびに新規な特徴は、以下の明細書の記載及び図面から明らかになるであろう。
本発明の実施例に係る電動工具の全体を示す図であり、一部にその断面を示す。 図1のモータ2の断面構造を模式的に示す図である。 本発明の実施例に係る電動工具の機能ブロック図である。 モータ2の回転時におけるホールIC10〜12の出力波形を示す図である。 従来例の電動工具におけるブレーキ動作の制御を説明するための図であり、ブレーキ動作時のモータ2の回転数変化と制動期間の関係を示した図である(その1)。 従来例の電動工具におけるブレーキ動作の制御を説明するための図であり、ブレーキ動作時のモータ2の回転数変化と制動期間の関係を示した図である(その2)。 従来例の電動工具におけるブレーキ動作の制御を説明するための図であり、ブレーキ動作時のモータ2の回転数変化と制動期間の関係を示した図である(その3)。 ブレーキ時のホールIC10〜12の信号変化を示す図である。 本発明の実施例に係る電動工具におけるブレーキ制御の原理を説明するための図であり、ブレーキ動作時のモータ2の回転数変化と制動期間の関係を示した図である。 本発明の実施例に係る電動工具におけるブレーキ制御の手順を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施例に係る電動工具におけるブレーキ制御の原理を説明するための図である。 本発明の第2の実施例に係る電動工具におけるブレーキ制御の手順を示すフローチャートである。 本発明の第3の実施例に係る電動工具におけるブレーキ制御の原理を説明するための図である。 本発明の第3の実施例に係る電動工具におけるブレーキ制御の手順を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施例を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、本明細書の説明において上下及び前後の方向は、図1中に示した方向として説明する。
図1は本発明の実施例に係る電動工具の全体を示す図であり、一部にその断面を示す。本実施例においては、電動工具の一実施例としてドライバドリル1を用いて説明するが、本発明はこれに限られずにインパクトドライバ、ハンマドリルなどの他の電動工具でも良い。
図1において、ドライバドリル1は、胴体ハウジング部6a内にモータ2を収納し、モータ2の駆動力を伝達する動力伝達部25により、スピンドル(出力軸)8に装着されたチャック28に着脱自在に保持されるドライバまたはドリルの先端工具(図示せず)に回転力を与える。胴体ハウジング部6aの後方側には、モータ2を駆動するためのインバータ回路部(回路基板)3が収容され、胴体ハウジング部6aの中間部および前方側には、モータ2の回転出力軸2e方向に回転力を伝達し、モータ2の回転数を減速するための減速機構部26と、減速機構部26の出力軸に得られる回転トルクをスピンドル8に伝達するクラッチ機構部27が収容される。クラッチ機構部27は、減速機構部26の回転力をスピンドル(出力軸)11に伝達するように結合される。また、このクラッチ機構部27の代わりに、通常のインパクト機構を設けてもよい。
クラッチ機構部27は、モード切替およびトルク調整のためのダイヤル(クラッチダイヤル)5を有し、ダイヤル5によって作業者がドライバモードまたはドリルモードを設定できるように構成される。ダイヤル5がドライバモードを選択している場合、トルク調整ダイヤル5を複数段階の所定の回転角度に回転させることによって、クラッチ機構部27は、ダイヤル5の回転角度に従って減速機構部26の出力軸からスピンドル8に伝達される回転トルクを負荷に対応する所望の締付けトルクに調整することができる。このダイヤル5は、例えば10段階のトルク設定が可能である。設定した締付けトルク(滑り出しトルク)以上の負荷トルクがスピンドル8に加わると、トルク調整部5のクラッチ機構により減速機構部26の出力軸はスピンドル8との結合から遮断されて空転することになり、これによってモータ2のロックが防止される
ダイヤル5をドリルモードに設定する場合は、ダイヤル5を最大限の回転角度に回転させて減速機構部26で得られる回転力を、クラッチを動作させずにスピンドル8に伝達させるように切替える。このドリルモードにおいて負荷がスピンドルの締付けトルクより大きい場合、クラッチ機能が働かないので、スピンドルに保持された先端工具はロックされ、モータ2はロック状態となる。減速機構部26は、周知の技術によって構成され、モータ2の回転出力軸2eの前端に形成されたピニオンギアに噛合う、例えば、2段の遊星歯車減速機構(変速ギアケース)(図示せず)から構成される。
モータ2は、本実施例では3相ブラシレス直流モータを用いる。図2は、図1のモータ2の断面構造を模式的に示す図である。この断面は、モータ2の出力回転軸と垂直に切断した面である。図2に示すように、モータ2は回転子(マグネットロータ)2aと固定子巻線(電機子巻線)2dを含んで構成される。回転子2aは、回転出力軸2e方向に延びるN極およびS極の永久磁石(マグネット)2bを有し、固定子2cは円筒状の外形であってティース部2hに巻かれる固定子巻線2dを有する、いわば内部磁石配置形のモータである。
固定子巻線2dは、樹脂材料からなる絶縁層2f(図1参照)を介して固定子2cに巻回される。回転子2aの近傍には、回転子2aの回転位置を検出するために、回転方向に60°毎に配置され、回転子2aの位置を電磁結合的に検出する3つのホールIC(回転位置検出素子)10〜12が配置される。スター結線された固定子巻線2d(U、V、W)には、インバータ回路部3よりホールIC10〜12の位置検出信号に基づいて電気角120°の通電区間に制御された電流が供給される。尚、回転位置を検出するための別の方法として、固定子巻線2dの誘起起電圧(逆起電力)を、フィルタを通して論理信号として取出すことによって回転子位置を検出するセンサレス方式を採用することもできる。
再び図1を参照して、胴体ハウジング部6aとハンドルハウジング部6bは、一体に成型された合成樹脂材料からなる。胴体ハウジング部6aとハンドルハウジング部6bは、モータ2の回転出力軸2eを通る鉛直面で左右に2分割可能に構成される。組み立て時には、ハウジング部材(胴体ハウジング部6aとハンドルハウジング部6bの左又は右側部分)の一対を準備し、予め、図1の部分断面図で示すような一方のハウジング部材に、モータ2の固定子2c及び回転子2a等の組込みを行い、しかる後、他方のハウジング部材を重ねて、ネジ締め等で双方のハウジング部材を締結させる。固定子2cの外周面に対向するハウジング部分の内壁には、胴体ハウジング部6aと一体成型により形成された複数の固定子保持部(リブ部)(図示せず)が形成され、固定子保持部によってモータ2が把持または挟持される。
モータ2の先端側には冷却用ファン24が同軸上に設けられ、冷却用ファン24近傍の胴体ハウジング部6aには、図示されていないが、排気口(通風口)が形成される。胴体ハウジング部6aの後端部には吸気口(通風口)21が形成され、この吸気口21から冷却用ファン24の近傍に形成される排気口に至る通路23は、冷却用空気の流通路を形成し、インバータ回路部3の半導体スイッチング素子3aの温度上昇、およびモータ2の固定子巻線2dの温度上昇を抑制する。ドライバモードまたはドリルモードにおいて、モータ2の負荷状況によってはスイッチング素子Q1〜Q6に大電流が流れてスイッチング素子Q1〜Q6の発熱が大きくなるので、冷却用ファン24によってインバータ回路部3を強制的に空冷することが需要である。
インバータ回路部3は、円板状の回路基板を有し、モータ2の固定子2cの一端部側(後方側)を全面的に覆う。一方、固定子2cの他端部側(前方側)には、防塵カバー22が設けられ、インバータ回路部3と同様に、固定子2cの他端部側面を覆う。これらインバータ回路部3および防塵カバー22の両者は、固定子2cと共に、回転子2aを閉塞または密封する防塵構造(密閉構造)を形成する。これにより、モータ2への粉塵の侵入を防止できる。
ハンドルハウジング部6bの下端部には、モータ2の駆動電源となる電池パック30が着脱可能に装着される。電池パック30の上部には、モータ2のインバータ回路部3を制御するための制御回路部4が、前後左右方向に延在するように設けられる。
ハンドルハウジング部6bの上端付近にはスイッチトリガ7が配設され、スイッチトリガ7のトリガ操作部7aがバネ力によって付勢された状態でハンドルハウジング部6bから突出する。作業者がトリガ操作部7aを後方に押し込むことにより、トリガ押込量(操作量)を調整し、モータ2の回転数を制御することができる。本実施例によれば、スイッチトリガ7によるトリガ押込量は、インバータ回路部3の半導体スイッチング素子3aを駆動するPWM駆動信号のPWMデューティーに反映される。
電池パック30は、スイッチトリガ7および制御回路部4へ駆動電源を供給し、さらにインバータ回路部3へ駆動電力を供給するように電気的に接続される。電池パック30を構成する二次電池は、リチウムイオン電池が使用されるが、ニッケルカドミウム電池やニッケル水素電池を用いても良い。リチウムイオン電池は、ニッケルカドミウム電池やニッケル水素電池に比較して約3倍のエネルギー密度を持ち、小形軽量であるという利点をもっている。この電池パック30の出力電圧は、例えば、14.4Vである。
次に図3を用いて、本発明の実施例に係る電動工具の機能ブロック図を説明する。インバータ回路部33はインバータ回路部3に搭載され、3相ブリッジ形式に接続された6個のスイッチング素子Q1〜Q6により主に構成される。スイッチング素子Q1〜Q6として、本実施例では絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ(IGBT)を用いるが、電界効果トランジスタ(MOSFET)、バイポーラトランジスタでも良い。ブリッジ接続された6個のスイッチング素子Q1〜Q6の各ゲートは、制御回路部4の制御信号出力回路13に接続される。スイッチング素子Q1〜Q6のコレクタまたはエミッタは、スター結線された固定子巻線2d(巻線:U、V、W)に接続される。これによって、6個のスイッチング素子Q1〜Q6は、制御信号出力回路13から入力されたスイッチング素子のPWM駆動信号H1〜H6によってスイッチング動作を行い、インバータ回路33に印加される電池パック30の直流電圧を、3相(U相、V相、W相)の駆動電圧Vu、Vv、Vwに変換して、固定子巻線2d(3相巻線U、V、W)へ3相交流電力を供給する。
図3において、制御部44は、制御回路部4に搭載される各種回路により構成される。演算部19は、モータ2の回転制御を含むドライバドリル1の全体の制御を行う。演算部19は、図示していないが、処理プログラムとデータに基づいて駆動信号を出力するためのCPU、後述するような制御フローを実行する処理プログラムや制御データを記憶するためのROM、データを一時記憶するためのRAM、時間をカウントするためのタイマ等を含むマイコンによって構成され、処理プログラムとデータに基づいて各種処理を実行する。回転子位置検出回路16は、ホールIC10〜12の出力信号に基づいて回転子2aの回転位置を検出し、演算部19へ通常の回転子2aの位置情報を出力する。回転数検出回路17は、ホールIC10〜12から一定間隔で出力される信号の時間間隔からモータ2の回転数を検出する。
電流検出回路18は、モータ2の駆動電流を常に検出して、その情報を演算部19に出力する。スイッチ操作検出回路20は、スイッチトリガ7のトリガ操作部7aによるトリガ操作の有無を判別して起動停止を判断する。印加電圧設定回路14は、スイッチトリガ7のトリガ操作部7aによるトリガ押込量に応答してスイッチトリガ7において発生する出力制御信号に対応するPWM信号のPWMデューティーを設定する。回転方向設定回路15は、モータ2の正逆切替レバー9(図1参照)による正方向回転または逆方向回転の操作を検出してモータ2(回転子2a)の回転方向を設定する。
演算部19は、電流検出回路18、スイッチ操作検出回路20、および印加電圧設定回路14の各出力情報に基づいて、制御信号出力回路13への出力駆動信号を作成し、スイッチング素子Q1〜Q6のPWM駆動信号のPWMデューティー比を制御することによって、モータ部2への印加電圧Vu、Vv、Vwを制御する。また、回転方向設定回路15と回転子位置検出回路16の情報を基に、所定のスイッチング素子Q1〜Q6を所定の順序にスイッチングすることによって固定子巻線U、V、Wに印加電圧Vu、Vv、Vwを所定の順序に供給するように制御し、これによって、設定した回転方向にモータ2を回転させるように制御する。
制御部44は、6個のスイッチング素子Q1〜Q6の各ゲートを駆動するスイッチング駆動信号(3相信号)のうち、3個の負電源側のスイッチング素子Q4、Q5、Q6をPWM駆動信号H4、H5、H6として供給し、スイッチトリガ7(図1参照)のトリガ操作部7aのトリガ押込量に応答する印加電圧設定回路14の出力信号に基づいて、PWM駆動信号のパルス幅のデューティー比(以下、「PWMデューティー」と称する)を変化させることによりモータ2への電力を調整し、モータ2の起動および回転速度を制御する。なお、PWM駆動信号は、3個の負電源側のスイッチング素子Q4、Q5、Q6に供給する代わりに、正電源側のスイッチング素子Q1、Q2、Q3の駆動信号H1〜H3をPWM駆動信号として形成しても、結果的に、電池パック30の直流電圧から各固定子巻線U、V、Wへ供給する印加電圧を制御することができる。
また、制御部44は、スイッチング素子Q1〜Q6のうち、3個の負電源側のスイッチング素子Q4、Q5、Q6をオンし、3個の正電源側のスイッチング素子Q1、Q2、Q3をオフし、固定子巻線を短絡することによりブレーキ時の電流が流れる経路を形成し、モータ回転時の運動エネルギーを電気エネルギーに変換して、短絡制動によるブレーキ動作を行う。
回転数検出回路17は3個のホールIC10〜12の立ち上がり、下がりエッジの時間間隔すなわち変化の時間間隔を検出する。ここで図4を用いて、ホールIC10〜12の立ち上がり、下がりエッジの時間間隔からモータ2の回転数を求める原理を説明する。図4は、モータ2の回転時におけるホールIC10の出力波形を示す図である。本実施例においては、ホールIC10〜12は60°毎に配置されており、回転子2aの永久磁石は90°毎にN極、S極交互に配置される。よって、ホールIC10〜12の立ち上がりエッジ又は立ち下がりエッジは、時間間隔にして30°回転毎に出現する。これら立ち上がりエッジ又は立ち下がりエッジをすべて検出し、検出されたエッジ間の時間間隔をTa(msec)とする。時間Ta(msec)は、モータ2が30°回転数するのに要する時間に等しいため、時間Taからモータ回転数が逆算できる。即ち、下記の式で回転数N(rpm)を求めることができる。
N(rpm)=(1000/(Ta(msec)×12))×60
以上の構成により、制御部44は、回転方向設定回路15によって設定された正回転方向または逆回転方向の回転設定信号、回転子位置検出回路16の位置検出信号、回転数検出回路17の回転数検出信号、電流検出回路18のモータ電流検出信号、スイッチ操作検出回路20の起動停止信号、および印加電圧設定回路14のPWMデューティー設定信号に基づいて、制御信号出力回路13からインバータ回路33へPWM駆動信号H1〜H6を出力し、スイッチング素子Q1〜Q6のスイッチングを交互に制御することにより、3相交流電圧がモータ2の固定子巻線U、V、Wへ出力されるように制御する。また、PWM駆動信号H1〜H6のPWMデューティーを調整することによりモータ2のモータ電流およびモータ回転数(回転速度)を制御する。さらに、制御回路部4により、モータの起動またはブレーキ動作による停止を行う。
次に、モータ2のブレーキ動作について説明する。本実施例の方法を説明する前に、従来例によるブレーキ動作の制御方法について図5および図8を用いて説明する。図5は従来例によるブレーキ動作時のモータ2の回転数変化と制動期間の関係を示した図であり、縦軸はモータ2の回転数で、横軸は時間である。従来例のブレーキ制御方法においてはブレーキ動作直前のモータ2の回転数Nから制動期間Tbを決定し、制動期間Tbの間だけブレーキ動作を行う。図5は理想的な状態を示しており、制動期間Tbとモータが停止するタイミングが完全に一致している。しかし、電動工具の状態によっては適切な制動期間が設定できない場合が生じる。例えば、図6においては、51の時点でモータ2の回転子2aは完全に停止しているが、停止後もブレーキ動作を継続して行っている。つまり、この状態は制動期間を必要以上に設けており、結果として区間52ではモータは停止させたままとなるため、モータの起動・停止の追従性が悪くなっている。
また、例えば図7においては、制動期間Tbの間だけブレーキ制御を行うが、モータ2が完全に停止する前にブレーキ動作を中止してしまい、その後は工具本体の自然減速によりモータ2が停止する場合である。この例では、制動期間Tbを短く設定してしまったために、ブレーキ動作が不十分となる問題が生じる。
図8に、ブレーキ動作時のホールIC10〜12の信号変化を示す。ブレーキ動作によりモータ2の回転数が低下していくと、ホールIC10〜12に現れる信号出力の立ち上がり、立ち下がりのエッジの時間間隔が増えて、TaからTa1まで増えることが確認できる。完全に停止するとホールIC10〜12の信号に変化はなく、信号に変化がなくなることから、Taは無限に長くなることになる。これらの情報を基に、演算部19はモータ2が完全に停止したことを判別できる。ここで問題となるのはどの程度の時間だけホールIC10〜12の信号に時間変化が無いときにモータが完全に停止したと判断するかである。停止と判断するのに要する時間は、少なくとも停止直前のTa1以上の時間だけ設定する必要がある。しかしながら、判断するための時間を大きく設定すると、確実にモータ2を停止させることができるが、その判断前にモータの制御ができないため、モータの起動・停止の追従性が悪くなる。反対に時間設定を小さく設定すると、モータの起動・停止の追従性が向上するが、確実にモータを停止できない可能性が生じる。
次に、上記従来の問題を解決するための、本発明の実施例に係るブレーキ動作について、図9および図10を用いて説明する。図9は、本実施例に係るブレーキ制御の原理を説明するための図であり、ブレーキ動作時のモータ2の回転数変化と制動期間の関係を示した図である。図9において、回転数Nsで動作中のモータ2を停止させる場合、時間tにてブレーキ動作を開始する。ブレーキ動作は、例えば上アーム側のスイッチング素子もしくは下アーム側のスイッチング素子のどちらか一方の素子群を全てオンする短絡制動により行う。ブレーキ動作によりモータ2の回転数が徐々に低下するが、時間tにおいてモータ2の回転数が閾値として設定された回転数Nthに達したら、演算部19は、t以降にブレーキ動作を実行する時間Tcを決定し、決定された時間Tcだけブレーキ動作を行い、時間tから時間Tcが経過したら(=t)ブレーキ動作を解除する。
閾値として設定する回転数Nthは、例えば、モータ2の最高回転数が10,000〜30,000回転の場合は、回転数Nthは1,000回転程度と設定できる。この回転数Nthの設定は任意であるが、モータ2の最高回転数の3〜10%程度に設定すると好ましい。
図10は、図9の制御手順を示すフローチャートである。図10において、ドライバドリル1に電源投入、即ち電池パック30の接続により、制御部44に電源が投入されて、演算部19において処理が開始する(ステップ80)。次に、演算部19はスイッチトリガ7の操作の有無を検出し、スイッチトリガ7の操作が検出された場合にはステップ82に進み、スイッチトリガ7の操作が検出されない場合は、検出されるまで待機する(ステップ81)。
次に、モータ2を起動させてドライバドリル1を起動させる(ステップ82)。ドライバドリル1による穿孔等の作業が終了した場合、或いは、何らかの理由でドライバドリル1の運転を中止したい場合には、作業者はスイッチトリガ7の操作を解除(押し込んでいたトリガ操作部7aを開放)する。演算部19は、スイッチトリガ7の操作状況を監視しており、スイッチトリガ7の操作が継続されている場合には、継続してモータ2の駆動制御を行うためステップ82に戻り、スイッチトリガ7の操作が解除されたと判別された場合にはステップ84に進む(ステップ83)。
ステップ84ではブレーキ動作を開始するが、このときのブレーキ動作は先に述べたとおり、スイッチング素子Q1〜Q3をオフにし、スイッチング素子Q4〜Q6をオンにする短絡制動を行う。この間、演算部19はブレーキ動作中のモータ2の回転数Nを検出する(ステップ85)。演算部19は、ステップ86において求められたモータ回転数Nと予め定められた回転数の閾値Nthの比較を行う(ステップ86)。ここで、モータ回転数Nが閾値Nthより大きい場合は、ステップ85に戻り、演算部19は再び回転数の検出を行う。ステップ85においてモータ回転数Nが閾値Nthより小さいと判断された場合は、ブレーキ動作によりモータ速度が確実に低下して低速回転になったと判断できる。
次に演算部19は、制動期間Tcを設定する(ステップ87)。制動期間Tcは、電動工具たるドライバドリルの特性に合わせてあらかじめ設定し、演算部19に含まれるマイクロコンピュータや記憶手段に格納しておくと良い。次に、演算部19は制動期間Tcが経過したか否かを判定する(ステップ88)。経過していない場合は経過するまで待機する。この待機の期間中はブレーキ動作が継続して行われる。本実施例ではブレーキ動作の終了判定は、時間で制御されるので、低速状態のモータ2の回転数検出を省略することが可能となり、確実にモータ2を停止することができる。また、モータ2の制動時間を短縮することが可能となる。
制動期間Tcが経過したら、ステップ89に進みブレーキ動作を終了、つまり、すべてのスイッチング素子Q1〜Q6をオフにする。ステップ89の後は再びステップ81に戻り、再びトリガスイッチ7がオンになるまで待機状態となる。
以上説明したように、本実施例においては、ブレーキ動作により回転数が低下して所定の回転数Nth以下となった場合は、ブレーキ動作を終了させる時間Tcを算出し、時間Tcの経過後にブレーキ動作を解除するので、ブレーキ動作を開始した時間tから終了までの時間tが、電動工具毎に実質的に可変になり、確実にモータを停止させることができる。
次に、本発明の第2の実施例について図11及び図12を用いて説明する。第1の実施例においては、制動期間Tcは予め演算部19に格納しておいて、一律に設定していた。しかしながら、実施例2においては通常回転数Nから閾値Nthに至るまでの回転数低下の状態を検出し、この状態に応じて制動期間Tcを設定するようにしたものである。
図11はこの動作原理を説明するための図である。モータ2が回転数Nで回転している際に、時間tにおいて作業者がスイッチトリガ7の操作を解除して、トリガ操作部7aを開放する。演算部19は、ブレーキ動作を開始すると共に、モータ2の回転数の低下を監視する。時間tにおいてモータ2の回転数が閾値Nthに到達したら、回転数の変化分(ΔN)に要した時間Td(sec)を算出し、この際の回転数の低下状況ΔN/Tdに応じて制動期間Tcを設定する。この制動期間Tcは、ΔN/Tdの値に応じた制動期間Tcの値を予め複数個設定しておき、演算部19にテーブル形式で格納しておくと良い。決定された時間Tcだけブレーキ動作を行い、時間tから時間Tcが経過したら(=t)ブレーキ動作を解除する。
図12は、図11の制御手順を示すフローチャートである。図12において、ドライバドリル1に電源投入、即ち電池パック30の接続により、制御部44に電源が投入されて、演算部19において処理が開始する(ステップ100)。次に、演算部19はスイッチトリガ7の操作の有無を検出し、スイッチトリガ7の操作が検出された場合にはステップ102に進み、スイッチトリガ7の操作が検出されない場合は、検出されるまで待機する(ステップ101)。
次に、モータ2を起動させてドライバドリル1を起動させる(ステップ102)。ドライバドリル1による穿孔等の作業が終了した場合、或いは、何らかの理由でドライバドリル1の運転を中止したい場合には、作業者はスイッチトリガ7の操作を解除(押し込んでいたトリガ操作部7aを開放)する。演算部19は、スイッチトリガ7の操作状況を監視しており、スイッチトリガ7の操作が継続されている場合には、継続してモータ2の駆動制御を行うためステップ102に戻り、スイッチトリガ7の操作が解除されたと判別された場合にはステップ104に進む(ステップ103)。
ステップ104ではブレーキ動作を開始するが、この際のブレーキ動作の制御方法は先に述べた実施例1と同じであるので説明を省略する。次に、演算部19はブレーキ開始直後の回転数(Ns)を記憶するとともに、ブレーキ動作の経過時間Tdのカウントを開始する(ステップ105)。次に、演算部19はモータ2の回転数Nを検出し(ステップ106)、モータ2の回転数Nが所定の回転数たる閾値Nthに到達したか否かを判定する(ステップ107)。モータ2の回転数Nが閾値Nthより大きい場合は、ステップ106に戻り、閾値Nthより小さい場合は次のステップに移る。
次に、演算部19は、NsからNthをひくことにより回転数の変化ΔNを算出し(ステップ108)、回転数低下の傾きΔN/Tdを算出する(ステップ109)。制動期間Tcは、ΔN/Tdの値に対応する制動期間Tcを演算部19の図示しない記憶手段から読み出して、次の区間のブレーキ制動時間として設定する(ステップ110)。
この期間のブレーキ動作は、時間で制御されるので、制動期間Tcが経過したら、ステップ112に進みブレーキ動作を終了させる(ステップ111、112)。このときのブレーキ動作は実施例1の場合と同じである。ステップ112の後は再びステップ101に戻り、再びトリガスイッチ7がオンになるまで待機状態となる。
第2の実施例によれば、ブレーキを掛ける時間を回転数低下の傾きによって可変にするので、ドライバドリル1等の電動工具の個体差や経年変化に起因するばらつきの影響を良好に除外でき、より適切なブレーキ動作を可能にできる。
次に、本発明の第3の実施例について図13及び図14を用いて説明する。第1、2の実施例においては、閾値Nthを1つだけ設定し、設定された制動期間Tcの間は、モータ2の回転数をブレーキ動作に考慮していなかった。しかしながら、第3の実施例においては、設定された制動期間Tcの間においてもモータの回転数変化を時間経過毎に検出し、回転数の時間変化を基に制動期間Tcを複数回設定し直す方式である。
図13は、第3の実施例のブレーキ動作原理を説明する図である。モータ2が回転数Nsで回転している際に、作業者がスイッチトリガ7の操作を解除して、トリガ操作部7aを開放する(時間t)。演算部19は、ブレーキ動作を開始すると共に、モータ2の回転数の低下を監視する。モータ2の回転数が時間tにおいて第1の閾値Nth1に到達したら、その閾値の回転数(Nth1)を基に制動期間Tc1を設定してブレーキ動作を継続する。第1の実施例においては、この制動時間Tc1が経過したらブレーキ動作を終了させるが、第3の実施例においては、第2、第3の閾値Nth2とNth3を設定する。つまり、モータ2の回転数が第1の閾値Nth1から第2の閾値Nth2に低下したら(時間t)、再び制動時間を設定し直し(Tc2)、さらに回転数が第2の閾値Nth2から第3の閾値Nth3に低下したら(時間t)、再び制動時間を設定し直す(Tc3)ように構成した。尚、本明細書において、“Tc2”との記載は、“TC(n)”のn=2の場合と同義として使用している。即ち、TC(2)の括弧を省略して、単にTc2と表記したものである。nの値が他の数字の際の表記も同様であり、さらにNth(n)の表記も同様に扱う。
図13は、設定し直した制動時間Tc2の経過した時刻が、制動時間Tc1の経過した時刻よりも前になった状態を示している。モータ2の回転数が第2の閾値Nth2から第3の閾値Nth3に低下したら(時間t)、再び制動時間Tc3を設定し直す。図では設定し直した制動時間Tc3の経過した時刻が、制動時間Tc2の経過した時刻よりも前になった状態を示している。このように、モータ2の回転数の低下に応じて、制動時間Tcを複数回設定し直しながらブレーキ動作を行うため、ドライバドリル1等の電動工具の個体差や経年変化に起因するばらつきの影響を良好に除外でき、より適切なブレーキ動作を可能にできる。
図14は、図13の制御手順を示すフローチャートである。図14において、処理をスタートし(ステップ120)、時間tにおいてブレーキ動作を開始するが、ステップ121からステップ125までの処理は図9のステップ81〜85と同じであるので、繰り返しの説明は省略する。次に、ステップ126で第1の閾値Nth1に到達したか否かを判定し、第1の閾値Nth1に到達したら、演算部19は制動時間Tc1を設定する(ステップ127)。この制動時間Tc1の設定方法は、第1の実施例と同様であり、電動工具たるドライバドリルの特性に合わせて、あらかじめ設定して演算部19に格納しておく。
次に、演算部19は制動期間Tc1が経過したか否かを判定する(ステップ128)。経過していない場合はステップ130に移る。経過した場合は、ブレーキ動作を終了させ(ステップ129)、再びステップ121に戻り、再びトリガスイッチ7がオンになるまで待機状態となる。
ステップ130では、演算部19はブレーキ動作中のモータ2の回転数Nを検出する。次に、演算部19は、第2の閾値Nth2に到達したか否かを検出し、到達していなかったらステップ128に戻り、到達していたら(時間t)ステップ132に進む。
ステップ132において、演算部19は制動時間Tc2を設定する。この制動時間Tc2の設定方法は、制動時間Tc2の設定方法と同様である。次に、演算部19は、制動時間Tc2を設定した後に、制動期間Tc2が経過したか否かを判定する(ステップ133)。経過していない場合はステップ135に移る。経過した場合は、ブレーキ動作を終了させ(ステップ134)、ステップ121に戻る。
ステップ135では、演算部19はブレーキ動作中のモータ2の回転数Nを検出する。次に、演算部19は、第3の閾値Nth3に到達したか否かを検出し、到達していなかったらステップ133に戻り、到達していたらステップ137に進む(ステップ136)。
ステップ137において、演算部19は制動時間Tc3を設定する。この制動時間Tc3の設定方法は、制動時間Tc1、Tc2の設定方法と同様である。次に、演算部19は、制動時間Tc3を設定した後に、制動期間Tc3が経過したか否かを判定する(ステップ138)。経過した場合は、ブレーキ動作を終了させ(ステップ139)、ステップ121に戻る。ステップ138で経過していない場合は、経過するまで待機する。この待機の期間中は、ブレーキ動作が継続して行われる。この期間のブレーキ動作の終了判定は、時間で制御されるので、低速状態のモータ2の回転数検出を省略することが可能となり、確実にモータ2を停止させることができる。
以上のように、第3の実施例によれば、閾値として設定された回転数Nth(n)(但しn=1,2,3)を複数設定し、ブレーキ動作を終了させる時間TC(n)(但しn=1,2,3)を複数回にわたって算出しながらブレーキ動作を行うので、精度良くブレーキ動作を実行することが可能となる。尚、第3の実施例ではブレーキ動作を終了させる時間TC(n)のnを1,2,3に設定したが、それ以上の値、即ちn=1〜m(mは正の自然数)としても良い。また、最初の時間TC(1)を設定させる回転数は、例えばモータ2の最高回転数の3〜10%程度で良い。
以上、本発明を示す実施例に基づき説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。例えば、本実施例では電動工具の例としてドライバドリルを用いて説明したが、本発明の電動工具はこれに限られず、他の電動工具にも同様に適用できる。例えば、電動のインパクトドライバ、丸鋸、ハンマドリル、ジグソー、スクリュードライバ、グラインダ、釘打機などに適用することができる。
1 ドライバドリル 2 ブラシレス直流モータ
2a 回転子(マグネットロータ) 2b 永久磁石
2c 固定子(ステータヨーク) 2d 固定子巻線
2e 出力回転軸 2f 絶縁層
2h ティース部 3 インバータ回路部
3a 半導体スイッチング素子 4 制御回路部
5 トルク設定ダイヤル 6 ハウジング
6a 胴体ハウジング部 6b ハンドルハウジング部
7 スイッチトリガ 7a トリガ操作部
8 スピンドル 9 正逆切替レバー
10、11、12 回転位置検出素子(ホールIC)
13 制御信号出力回路 14 印加電圧設定回路
15 回転方向設定回路 16 回転子位置検出回路
17 回転数検出回路 18 電流検出回路 19 演算部
20 スイッチ操作検出回路 21 吸気口 22 防塵カバー
23 空気流通路 24 冷却用ファン 25 動力伝達部
26 減速機構部 27 クラッチ機構部
28 チャック(先端工具取付部) 30 電池パック(リチウムイオン二次電池)
33 インバータ回路 44 制御部
H1〜H6 PWM駆動信号
Q1〜Q6 スイッチング素子
U、V、W 3相固定子巻線

Claims (7)

  1. モータと、作業者のトリガ操作により前記モータのON及びOFFを指示するトリガスイッチと、前記モータの回転数を検出する回転数検出部と、前記トリガスイッチと前記回転数検出部の出力に基づいて前記モータの回転制御を行う制御部を有する電動工具において、
    前記制御部は、
    前記トリガスイッチ操作の解除がなされた場合に前記モータに制動力を加えるブレーキ動作を行い、
    前記回転数検出部においてブレーキ動作中の前記モータの回転数を検出し、ブレーキ動作中の回転数が所定の回転数以上である場合はブレーキ動作を継続して行い、
    ブレーキ動作により回転数が低下して所定の回転数以下となった場合は、ブレーキ動作を終了させる時間を算出し、該時間経過後に前記ブレーキ動作を解除することを特徴とする電動工具。
  2. 前記制御部は、ブレーキ制動を開始してから前記所定の回転数に達するまでの回転数低下状況を監視し、
    前記回転数低下状況に応じて前記ブレーキ動作を終了させる時間を求めることを特徴とする請求項1に記載の電動工具。
  3. 前記回転数低下状況の監視は、回転数の低下(ΔN)/回転数低下に要した時間(Td)を算出し、予め制御手段に記憶させた対応表を元に前記ブレーキ動作を終了させる時間を求めることを特徴とする請求項2に記載の電動工具。
  4. 前記制御部は、ブレーキ動作中の前記モータの回転数変化を時間経過毎に検出し、
    ブレーキ動作中の回転数が所定の回転数以上である場合はブレーキ動作を継続して行い、
    ブレーキ動作により回転数が低下して第nの回転数以下となった場合は、第nの回転数以下になった直後からブレーキ動作を終了させる時間(TC(n))を算出し、
    該時間(TC(n))が経過前に回転数が低下して第n+1の回転数以下となった場合は、再びブレーキ動作を終了させる時間(TC(n+1))を算出し、
    前記時間(TC(n+1))経過後に前記ブレーキ動作を解除することを特徴とする請求項1に記載の電動工具。
  5. 前記モータは、回転子および固定子巻線を有するブラシレス直流モータであり、
    前記回転子を回転駆動させるために前記固定子巻線に駆動電流を供給するための複数の半導体スイッチング素子を含むインバータ回路を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の電動工具。
  6. 前記インバータ回路のスイッチング素子は電源の正側に接続される複数の上アーム側スイッチング素子と電源の負側に接続される複数の下アーム側スイッチング素子から構成され、
    前記制御部は、前記上アーム側スイッチング素子もしくは前記下アーム側スイッチング素子のどちらか一方の素子を全てオンする短絡制動によってブレーキ制御を行うことを特徴とする請求項3に記載の電動工具。
  7. 前記制御部は、前記上アーム側スイッチング素子もしくは前記下アーム側スイッチング素子のどちらか一方の素子を全てオンする短絡制動と、前記固定子巻線に駆動電流を供給して逆方向のトルクを発生させる逆トルク制動を任意に切り替えてブレーキ動作を行うことを特徴とする請求項6に記載の電動工具。
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