JP5408416B2 - 電動工具 - Google Patents

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Description

本発明は、電動工具のブラシレス直流モータの制御方法の改良に関するもので、回転位置検出素子からの出力信号の異常によるモータの回転不安定や故障を防止することのできる電動工具に関する。
電動工具の駆動源として、ブラシレス直流モータ(ブラシレスDCモータ)が採用されている。ブラシレス直流モータは整流子モータに比べて高効率であり、充電電池を使用した電動工具においては1充電当りの作業時間を向上させることが可能である。また、モータの回転駆動のための制御回路を搭載するので、電子制御により高度なモータの回転制御が可能となる。
ブラシレス直流モータは、永久磁石を備えた回転子と、3相巻線等の複数相の電機子巻線(固定子巻線)を備えた固定子と、回転子の永久磁石の磁力を検出して回転子位置を検出する複数のホールICより構成された回転位置検出素子(磁気センサ)と、電池パック等から供給される直流電圧をFET(電界トランジスタ)やIGBT(絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ)等の半導体スイッチング素子を用いてスイッチングして各相の固定子巻線への通電を切換えて回転子を駆動するインバータ回路とから構成される。複数の回転位置検出素子は複数相の電機子巻線に対応しており、各回転位置検出素子による回転子の位置情報の検出結果に基づいて各相の電機子巻線の通電タイミングを設定する。
回転子位置の位置情報を基に固定子巻線への通電パターンを決定するために、誤った位置情報を検出すると、誤った固定子巻線へ通電することとなり、結果としてモータロックの発生や過大電流が発生し、工具の動作不安定や最悪の場合は工具の故障が発生する可能性が考えられる。そのため下記特許文献1、2に開示されているように、回転子の位置情報に何らかの異常が発生したと判断された場合はモータを直ちに停止させるなどのモータ保護動作を適切に行うことが重要である。
特開2006−238670号公報 特開2002−125387号公報
上記のモータ制御装置においては、回転子の位置情報に何らかの異常が発生したと判断される場合はモータを直ちに停止させてモータの保護動作を行う。しかしながら位置信号の異常検出時に単純に停止させるだけでは電動工具におけるモータ制御装置においては不具合が生じる可能性がある。インバータ回路は大電流をスイッチング制御するために非常に大きいノイズが頻繁に発生する。そのためインバータの近傍に回転位置検出素子を配置するとノイズの影響を大きくうけ、回転位置検出素子は誤動作を起こす可能性がある。そのため通常のモータ制御装置においてはインバータ回路と回転位置検出素子は離して配置されることが多い。
しかしながら、手持ち式の電動工具においては小型化が求められるために、基板の実装スペースが小さい。また、発熱体であるモータとインバータ回路は冷却風路上に配置するために、結果として回転位置検出素子とインバータ回路は近くに配置されることが多い。さらに、回転位置検出素子はノイズの影響を受けやすい環境下に置かれるため、回転位置検出素子および制御回路の個体差により誤動作の発生頻度に差が生じる可能性があり、個体差の影響を受けない制御仕様を確定することが重要である。
電動工具の作業中には、大きな振動が発生し、振動の影響により接続線の接触不良などの極めて微小な時間だけ位置情報に異常が発生する可能性がある。このような位置情報の異常を検出する度にモータを停止させていては電動工具の使い勝手が悪化する。さらに最悪の場合は、異常の発生を正しく検出できない場合である。つまりノイズにより位置情報が変化してしまった場合であって、検出された位置情報の誤変化が、偶発的に正しく起こりうる位置情報の変化と一致してしまうことにより、制御部が異常の発生を検出できない場合である。
本発明は、上述した背景に鑑みてなされたもので、その目的は、回転子の位置信号の異常によるブラシレス直流方式のモータの動作の不安定や故障から適切にモータを保護することができる電動工具を提供することにある。
本発明の他の目的は、回転子の位置を検出する回転子位置検出手段からの検出信号を精度よく検出して、安定して回転させることができるブラシレス直流モータを備えた電動工具を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、回転子位置検出手段からの検出信号に異常が発生した場合には適切にモータの保護動作を行うと共に、頻繁にモータが停止することを防止した電動工具を提供することにある。
本願において開示される発明のうち代表的なものの特徴を説明すれば次の通りである。
本発明の一つの特徴によれば、永久磁石を備えた回転子及び電機子巻線を備えた固定子を有するブラシレス直流方式のモータと、回転子の回転位置を検出する回転子位置検出手段と、回転子位置検出手段で検出された位置信号をもとに所定の電機子巻線へ駆動電流を供給するように制御する制御部を有する電動工具であって、制御部は、位置信号が変化したことを検出したら、所定の確定時間内に位置信号が再び変化するかを検出し、所定の確定時間内において位置信号の状態を検出し、確定時間内に、位置信号の状態が位置信号の変化を検出したときから維持されている場合には、位置信号を用いて電機子巻線への駆動電流の切り替えを行う。この確定時間をモータの回転数に応じて可変に設定すると好ましい。
本発明の他の特徴によれば、確定時間内に、位置信号の状態が位置信号の変化を検出したときから維持されている場合において、制御部は、検出された位置信号の状態と、位置信号の変化を検出する前の位置信号の状態を比較し、検出された位置情報が正常であるか否かを判断し、位置情報が異常である判断した場合は、モータに対して保護動作を行う。位置情報の異常は、位置信号の出現パターンをもとに判定することができる。保護動作の一例は、モータを単純に停止させることである。また、程動作の別の例として、保護動作を開始してから所定の時間だけモータへの通電を停止してモータを空転させ、制御部は、モータの空転時の位置情報が異常状態から正常状態に復帰したかどうか判定し、正常状態に復帰した時はモータへの駆動電流の供給を再開し、正常状態に復帰しない場合は、モータを停止させるように構成しても良い。
本発明のさらに他の特徴によれば、制御部は、モータが停止した後に、トリガ操作部が継続して操作されているか否かを判定し、操作されている場合には、モータの再起動を行うためのリトライ動作を行う。制御部は、リトライ動作を行う回数を所定の回数に制限する。
請求項1の発明によれば、制御部は、位置信号が変化したことを検出したら、所定の確定時間内において位置信号の状態を検出し、確定時間内に、位置信号の状態が位置信号の変化を検出したときから維持されている場合には、位置信号を用いて電機子巻線への駆動電流切り替えるので、位置情報が短い時間だけ発生する異常パルスを無視することが可能となり、頻繁にモータが停止することを防ぐことが可能となる。また、制御部は、検出された位置信号の状態と、位置信号の変化を検出する前の位置信号の状態を比較するので、検出された位置情報が正常であるか否かを即時に判断することが可能となる。また、位置情報が異常であると判断した場合は、モータに対して保護動作を行うので、動作が不安定になったり、故障したりすることからモータを保護することが可能となる。
請求項2の発明によれば、確定時間をモータの回転数に応じて可変に設定するので、回転速度に応じて制御特性を向上させながら可能な限りノイズ耐性を向上させることが可能となる。
請求項の発明によれば、位置情報の異常は、位置信号の出現パターンをもとに判定されるので、制御部において簡単な処理を行うことにより容易に位置情報の異常を発見することができる。
請求項の発明によれば、保護動作としてモータを停止させるので、モータを破損から守ることができる。さらに、作業中にモータが停止することになるため、作業者は異常の発生を認識することが出来る。
請求項の発明によれば、保護動作を開始してから所定の時間だけモータへの通電を停止してモータを空転させ、空転時の位置信号が正常状態に復帰した場合は、モータへの駆動電流の供給を再開するので、作業を中断する必要がなく作業性の低下を防止できる。
請求項の発明によれば、制御部は、モータが停止した後に、トリガ操作部が継続して操作されているか否かを判定し、操作されている場合には、モータの再起動を行うためのリトライ動作を行うので、素早く作業を再開することができる。
請求項の発明によれば、制御部はリトライ動作を行う回数を所定の回数に制限するので、制限回数を超えてリトライ動作が行われず、故障発生時にモータに与えるダメージの増加を防止することができる。
本発明の上記及び他の目的ならびに新規な特徴は、以下の明細書の記載及び図面から明らかになるであろう。
本発明の実施例に係る電動工具の全体を示す図であり、一部にその断面を示す。 図1のA−A部の断面位置におけるモータ2の構造を模式的に示す図である。 本発明の実施例に係る電動工具の機能ブロック図である。 モータ2が正転時のホールIC10〜12の信号レベルと演算部19で検出する位置情報の対応表である。 位置情報とオンにされるスイッチング素子との対応表である。 位置信号に異常が発生した場合の、ホールIC10〜12の信号レベルの変化および位置情報の変化の対応表である。 ホールICの異常発生時における出力特性と位置情報の出現例を示す表である。 図7の区間71におけるホールIC10〜12の出力波形例を示す図である。 正常時のホールIC10〜12の出力信号の波形と、不感時間の動作タイミングを示す図である。 異常時のホールIC10〜12の出力信号の波形と、不感時間の動作タイミングを示す図である。 異常時のホールIC10〜12の出力信号の波形と、不感時間の動作タイミングを示す図である。 本発明の実施例に係るホールIC10〜12の出力信号の波形と、不感時間の動作タイミングを示す図である(その1)。 本発明の実施例に係るホールIC10〜12の出力信号の波形と、不感時間の動作タイミングを示す図である(その2)。 本発明の実施例に係るホールIC10〜12の出力信号の波形と、不感時間の動作タイミングを示す図である(その3)。 本発明の実施例による電動工具のモータ制御手順を示すフローチャートである。 モータ2の回転数に対し、設定される確定時間の関係を示す図である。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施例を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、本明細書の説明において上下及び前後の方向は、図1中に示した方向として説明する。
図1は本発明の実施例に係る電動工具の全体を示す図であり、一部にその断面を示す。本実施例においては、電動工具の一実施例としてドライバドリル1を用いて説明するが、本発明はこれに限られずにインパクトドライバ、ハンマドリルなどの他の電動工具でも良い。
図1において、ドライバドリル1は、胴体ハウジング部6a内にモータ2を収納し、モータ2の駆動力を伝達する動力伝達部25により、スピンドル(出力軸)8に装着されたチャック28に着脱自在に保持されるドライバまたはドリルの先端工具(図示せず)に回転力を与える。胴体ハウジング部6aの後方側には、モータ2を駆動するためのインバータ回路部(回路基板)3が収容され、胴体ハウジング部6aの中間部および前方側には、モータ2の回転出力軸2e方向に回転力を伝達し、モータ2の回転数を減速するための減速機構部26と、減速機構部26の出力軸に得られる回転トルクをスピンドル8に伝達するクラッチ機構部27が収容される。クラッチ機構部27は、減速機構部26の回転力をスピンドル(出力軸)11に伝達するように結合される。また、このクラッチ機構部27の代わりに、通常のインパクト機構を設けてもよい。
クラッチ機構部27は、モード切替およびトルク調整のためのダイヤル(クラッチダイヤル)5を有し、ダイヤル5によって作業者がドライバモードまたはドリルモードを設定できるように構成される。ダイヤル5がドライバモードを選択した場合、トルク調整ダイヤル5を複数段階の所定の回転角度に回転させることによって、クラッチ機構部27は、ダイヤル5の回転角度に従って減速機構部26の出力軸からスピンドル8に伝達される回転トルクを負荷に対応する所望の締付けトルクに調整することができる。このダイヤル5は、例えば10段階のトルク設定が可能である。設定した締付けトルク(滑り出しトルク)以上の負荷トルクがスピンドル8に加わると、トルク調整部5のクラッチ機構により減速機構部26の出力軸はスピンドル8との結合から遮断されて空転することになり、これによってモータ2のロックが防止される
ダイヤル5をドリルモードに設定する場合は、ダイヤル5を最大限の回転角度に回転させて減速機構部26で得られる回転力を、クラッチを動作させずにスピンドル8に伝達させる。このドリルモードにおいて負荷がスピンドルの締付けトルクより大きい場合、クラッチ機能が働かないので、スピンドルに保持された先端工具はロックされ、モータ2はロック状態となる。減速機構部26は、周知の技術によって構成され、モータ2の回転出力軸2eの前端に形成されたピニオンギアに噛合う、例えば、2段の遊星歯車減速機構(変速ギアケース)(図示せず)から構成される。
モータ2は、本実施例では3相ブラシレス直流モータを用いる。図2は、図1のモータ2の断面構造を模式的に示す図である。この断面は、モータ2の出力回転軸と垂直に切断した面である。図2に示すように、モータ2は回転子(マグネットロータ)2aと固定子巻線(電機子巻線)2dを含んで構成される。回転子2aは、回転出力軸2e方向に延びるN極およびS極の永久磁石(マグネット)2bを有し、固定子2cは円筒状の外形であってティース部2hに巻かれる固定子巻線(電機子巻線)2dを有する、いわば内部磁石配置形のモータである。
固定子巻線2dは、樹脂材料からなる絶縁層2f(図1参照)を介して固定子2cに巻回される。回転子2aの近傍には、回転子2aの回転位置を検出するために、回転方向に60°毎に配置され、回転子2aの位置を電磁結合的に検出する3つの回転位置検出素子たるホールIC10〜12が配置される。スター結線された固定子巻線2d(U、V、W)には、インバータ回路部3よりホールIC10〜12の位置検出信号に基づいて電気角120°の通電区間に制御された電流が供給される。尚、回転位置を検出するための別の方法として、固定子巻線2dの誘起起電圧(逆起電力)を、フィルタを通して論理信号として取出すことによって回転子位置を検出するセンサレス方式を採用することもできる。
再び図1を参照して、胴体ハウジング部6aとハンドルハウジング部6bは、一体に成型された合成樹脂材料からなる。胴体ハウジング部6aとハンドルハウジング部6bは、モータ2の回転出力軸2eを通る鉛直面で左右に2分割可能に構成される。組み立て時には、ハウジング部材(胴体ハウジング部6aとハンドルハウジング部6bの左又は右側部分)の一対を準備し、予め、図1の部分断面図で示すような一方のハウジング部材に、モータ2の固定子2c及び回転子2a等の組込みを行い、しかる後、他方のハウジング部材を重ねて、ネジ締め等で双方のハウジング部材を締結させる。固定子2cの外周面に対向するハウジング部分の内壁には、胴体ハウジング部6aと一体成型により形成された複数の固定子保持部(リブ部)(図示せず)が形成され、固定子保持部によってモータ2が把持または挟持される。
モータ2の先端側には冷却用ファン24が同軸上に設けられ、冷却用ファン24近傍の胴体ハウジング部6aには、図示されていないが、排気口(通風口)が形成される。胴体ハウジング部6aの後端部には吸気口(通風口)21が形成され、この吸気口21から冷却用ファン24の近傍に形成される排気口に至る通路23は、冷却用空気の流通路を形成し、インバータ回路部3の半導体スイッチング素子3aの温度上昇、およびモータ2の固定子巻線2dの温度上昇を抑制する。ドライバモードまたはドリルモードにおいて、モータ2の負荷状況によっては半導体スイッチング素子3aに大電流が流れて半導体スイッチング素子3aの発熱が大きくなるので、冷却用ファン24によってインバータ回路部3を強制的に空冷することが需要である。
インバータ回路部3は、円板状の回路基板を有し、モータ2の固定子2cの一端部側(後方側)を全面的に覆う。一方、固定子2cの他端部側(前方側)には、防塵カバー22が設けられ、インバータ回路部3と同様に、固定子2cの他端部側面を覆う。これらインバータ回路部3および防塵カバー22の両者は、固定子2cと共に、回転子2aを閉塞または密封する防塵構造(密閉構造)を形成する。これにより、モータ2への粉塵の侵入を防止できる。
ハンドルハウジング部6bの下端部には、モータ2の駆動電源となる電池パック30が着脱可能に装着される。電池パック30の上部には、モータ2のインバータ回路部3を制御するための制御回路部4が、前後左右方向に延在するように設けられる。
ハンドルハウジング部6bの上端付近にはスイッチトリガ7が配設され、スイッチトリガ7のトリガ操作部7aがバネ力によって付勢された状態でハンドルハウジング部6bから突出する。作業者がトリガ操作部7aを後方に押し込むことにより、トリガ押込量(操作量)を調整し、モータ2の回転数を制御することができる。本実施例によれば、スイッチトリガ7によるトリガ押込量は、インバータ回路部3の半導体スイッチング素子3aを駆動するPWM駆動信号のPWMデューティーに反映される。
電池パック30は、スイッチトリガ7および制御回路部4へ駆動電力を供給し、さらにインバータ回路部3へ駆動電力を供給するように電気的に接続される。電池パック30を構成する二次電池は、リチウムイオン電池が使用されるが、ニッケルカドミウム電池やニッケル水素電池を用いても良い。リチウムイオン電池は、ニッケルカドミウム電池やニッケル水素電池に比較して約3倍のエネルギー密度を持ち、小形軽量であるという利点をもっている。この電池パック30の出力電圧は、例えば、14.4Vである。
次に図3を用いて、本発明の実施例に係る電動工具の機能ブロック図を説明する。インバータ回路33はインバータ回路部3に搭載され、3相ブリッジ形式に接続された6個のスイッチング素子Q1〜Q6により主に構成される。スイッチング素子Q1〜Q6として、本実施例では絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ(IGBT)を用いるが、電界効果トランジスタ(MOSFET)、バイポーラトランジスタでも良い。ブリッジ接続された6個のスイッチング素子Q1〜Q6の各ゲートは、制御部44の制御信号出力回路13に接続される。スイッチング素子Q1〜Q6のコレクタまたはエミッタは、スター結線された固定子巻線2d(巻線:U、V、W)に接続される。これによって、6個のスイッチング素子Q1〜Q6は、制御信号出力回路13から入力されたスイッチング素子のPWM駆動信号H1〜H6によってスイッチング動作を行い、インバータ回路33に印加される電池パック30の直流電圧を、3相(U相、V相、W相)の駆動電圧Vu、Vv、Vwに変換して、固定子巻線2d(3相巻線U、V、W)へ3相交流電力を供給する。
図3において、制御部44は、制御回路部4に搭載される各種回路により構成される。演算部19は、モータ2の回転制御を含むドライバドリル1の全体の制御を行う。演算部19は、図示していないが、処理プログラムとデータに基づいて駆動信号を出力するためのCPU、後述するような制御フローを実行する処理プログラムや制御データを記憶するためのROM、データを一時記憶するためのRAM、時間をカウントするためのタイマ等を含むマイコンによって構成され、処理プログラムとデータに基づいて各種処理を実行する。回転子位置検出回路16は、ホールIC10〜12の「High」又は「Low」の出力信号の組み合わせによる回転子2aの位置情報(位置“1”〜位置“6”)を検出し、この位置情報を演算部19に出力する。回転数検出回路17は、ホールIC10〜12から一定間隔で出力される信号の時間間隔からモータ2の回転数を検出する。
電流検出回路18は、モータ2の駆動電流を常に検出して、その情報を演算部19に出力する。スイッチ操作検出回路20は、スイッチトリガ7のトリガ操作部7aによるトリガ操作の有無を判別して起動停止を判断する。印加電圧設定回路14は、スイッチトリガ7のトリガ操作部7aによるトリガ押込量に応答してスイッチトリガ7において発生する出力制御信号に対応するPWM信号のPWMデューティーを設定する。回転方向設定回路15は、モータ2の正逆切替レバー9(図1参照)による正方向回転または逆方向回転の操作を検出してモータ2(回転子2a)の回転方向を設定する。
演算部19は、電流検出回路18、スイッチ操作検出回路20、および印加電圧設定回路14の各出力情報に基づいて、制御信号出力回路13への出力駆動信号を作成し、スイッチング素子Q1〜Q6のPWM駆動信号のPWMデューティー比を制御することによって、モータ部2への印加電圧Vu、Vv、Vwを制御する。また、回転方向設定回路15と回転子位置検出回路16の情報を基に、所定のスイッチング素子Q1〜Q6を所定の順序にスイッチングすることによって固定子巻線U、V、Wに印加電圧Vu、Vv、Vwを所定の順序に供給するように制御し、これによって、設定した回転方向にモータ2を回転させるように制御する。
制御部44は、6個のスイッチング素子Q1〜Q6の各ゲートを駆動するスイッチング駆動信号(3相信号)のうち、3個の負電源側のスイッチング素子Q4、Q5、Q6をPWM駆動信号H4、H5、H6として供給し、スイッチトリガ7(図1参照)のトリガ操作部7aのトリガ押込量に応答する印加電圧設定回路14の出力信号に基づいて、PWM駆動信号のパルス幅のデューティー比(以下、「PWMデューティー」と称する)を変化させることによりモータ2への電力を調整し、モータ2の起動および回転速度を制御する。なお、PWM駆動信号は、3個の負電源側のスイッチング素子Q4、Q5、Q6に供給する代わりに、正電源側のスイッチング素子Q1、Q2、Q3の駆動信号H1〜H3をPWM駆動信号として形成しても、結果的に、電池パック30の直流電圧から各固定子巻線U、V、Wへ供給する印加電圧を制御することができる。
また、制御部44は、スイッチング素子Q1〜Q6のうち、3個の負電源側のスイッチング素子Q4、Q5、Q6をオンし、3個の正電源側のスイッチング素子Q1、Q2、Q3をオフし、固定子巻線を短絡することによりブレーキ時の電流が流れる経路を形成し、モータ回転時の運動エネルギーを電気エネルギーに変換して、短絡制動によるブレーキ動作を行う。
図4にモータ2が正転時のホールIC10〜12の信号レベルと演算部19で検出する位置情報の対応表を示す。ホールIC10〜12の信号レベルは「High」のと「Low」の2種類である。この「High」のと「Low」の組み合わせにより、モータ2の回転位置が60度毎の6箇所(位置“1”〜位置“6”)において識別される。まず、ホールIC10〜12の信号レベルに対応して演算部19で位置情報が検出される。このとき正常なホールIC1信号であれば位置情報の変化が 「1→2→3→4→5→6→1…」 のように回転子の回転に伴い順に変化していることが確認できる。さらに、回転子2aと永久磁石2bとの関係から、図4の41に示すような位置情報が全て「High」もしくは全て「Low」になることはないので、そのような場合が発生したとすると、演算部19は、それをホールIC10〜12に異常が発生したか、ノイズ等の影響で誤動作した場合と即座に判断できる。
図5に位置情報とオンにされるスイッチング素子との対応表を示す。位置情報と制御するスイッチング素子Q1〜Q6をオン又はオフさせる関係は一対一に対応しており、例えば位置情報が1の時は、6つあるスイッチング素子のうちQ1とQ2のゲート信号がONになる。このようにスイッチング素子Q1〜Q6の駆動は、ホールIC10〜12を用いて検出された位置情報に基づいて規則正しく行われるので、ホールIC10〜12からの信号が誤りなく正確に出力されることが重要である。
電動工具は作業者が手持ちするために小型化であることが求められており、実装スペースが非常に限定されることが多い。さらに電動工具用のモータ2においては大電流を通電するため、ブラシレス直流方式のモータ2とインバータ回路3がかなり発熱する。そのためモータ2とインバータ回路3は冷却風の通路上に配置することが重要であり、実装スペースが限られてくる。また、冷却風の通路上にモータ2とインバータ回路3を配置すると、必然的にインバータ回路3の基板上にホールIC10〜12を配置することになる。図1に示す電動工具上においても上記内容はあてはまる。このとき問題となるのはホールIC10〜12がインバータ回路3からスイッチングノイズの影響を大きく受ける点である。そのためホールIC10〜12が誤動作を起こし得ることも考慮して制御することが重要である。
図6には位置信号に異常が発生した場合の、ホールIC10〜12の信号レベルの変化および位置情報の変化の対応表を示す。ホールICに異常が発生すると、それに連動して演算部19においても位置情報が変化したことを検出する。先に述べたとおり位置情報に対応して制御するスイッチング素子Q1〜Q6は一体一で対応するために、位置情報の異常に連動して誤ったスイッチング素子を通電することとなる。その結果、誤った通電によるモータロックや過電流が生じてしまいモータ2とインバータ回路3の動作不安定・故障が発生する可能性がある。
そのため位置情報に異常が発生したことを検出し、異常検出時にモータ2に対して保護動作を行う。位置情報に異常が発生したことを検出するためには、演算部19は回転子位置検出回路16からの出力信号を判別し、検出された位置情報の現在のデータと過去のデータを比較することにより、位置情報に整合性があるかどうか判断可能となる。例えば図6においてはホールIC10およびホールIC11に異常が発生した場合である。異常が発生した箇所とその前後の位置情報の変化は「4→2(異常)→4」であり、位置信号に異常が発生して“4”から“2”に変化し、再び位置信号が正常値である“4”に復帰した。このような場合は、位置情報の変化が想定とは異なるために、過去と現在の位置情報を比較することにより位置情報の異常を検出することが可能となる。
しかしながら位置情報の過去データと現在データを単純に比較するだけでは位置情報の異常を検出できない場合がある。ホールICに異常が生じたが位置情報において単純に検出できない場合の例を図7に示す。図7においてはホールIC10に異常が生じることにより、信号レベルに変化が生じ、区間71において、ホール素子10の信号レベルが、High→Low→Highと変化したとする。この際、ホールIC11、12は正常であり、そのため信号レベルの変化に連動して位置情報が変わる。その位置情報の変化は「3→4(異常)→3(正常復帰)」となり、この状態はモータ2が一旦逆転(反転)して、直ぐに正転状態に戻ることを示す。このような状態は、実際あり得る正常な位置情報の変化パターンと同一の変化を示すために、モータ2の逆転が生じていない運転中においては、ホールIC10〜12の出力の異常状態であるのにも係わらず演算部19は位置情報が正常であると誤って認識してしまう。
この状態を示すホールIC10〜12の出力波形を示すのが図8である。図8に示すように、何らかの理由でホールIC10の出力波形に異常が発生し、地点81でホールIC10の出力がゼロに低下し(異常発生)、地点82で正常状態に復帰したものとする。その後、回転子2aの回転により地点83でホールIC10の出力がHighからLowに変化する。地点81から82におけるLow信号の出現が、非常に短時間の異常であれば異常検出後に直ちに正常状態に復帰させることができる。特にインバータ回路のようなスイッチング回路においては高周波のノイズを発生しやすく、異常状態である時間も非常に短時間である。そこで位置信号の変化後に、位置信号の不感時間を設定し、短時間の位置信号変化であればノイズとして無視することにより誤動作を防止することが考えられる。
しかしながら、不感時間が長ければノイズに対する耐性は大きくなるが、位置信号の検出タイミングに時間ずれが生じてしまい、制御特性の効率悪化等の不具合が生じる可能性がある。位置信号が変化したら不感時間の経過を待ち、不感時間の経過後に演算部19は駆動電圧の切り替えを行うため、不感時間の間に生ずる位置信号の変化が見落とされるからである。この状態について、図9を用いて説明する。図9は、ホールIC10〜12の出力信号の波形と、不感時間の動作タイミングを示す図であり、本図はホールIC10〜12の出力信号が正常である場合を示す。
回転位置検出回路16は、ホールIC10〜12のいずれかの信号がLowからHighに切り替わったエッジを検出し、検出した位置情報を演算部19に出力する。演算部19は、出力された位置情報に変化が生じると、タイマ動作を開始し、このエッジを始点に不感時間91を設定する。不感時間91はタイマによりカウントダウンされるため、不感時間動作を示す波形は、所定のタイマ値(電流値)からスタートし、時間経過ともにタイマ値が減少して最後にゼロになることにより、タイマによるカウントが終了する。不感時間91の計測は、演算部19に含まれる内蔵タイマを使用することが可能であるが、プログラムによるソフト的な制御動作も可能である。図9中の両方向の矢印で示す不感時間91の間、演算部19は回転位置検出回路16の出力を利用しない。このようにホールIC10〜12の出力波形のエッジを始点に不感時間を設定することにより、出力波形のエッジの直後に発生するノイズの影響を除去することができる。
しかしながらこの不感時間を設定することが悪影響を及ぼしてしまうこともある。図10は、ホールIC10〜12の出力信号の波形と、不感時間の動作タイミングを示す図であり、不感時間を長く設定してしまったために、正しい出力信号の立ち上がりエッジを検出できなかった例を示す。図10において、不感時間92が設定されるため、この間は演算部19は回転位置検出回路16の出力を利用しない。何らかの理由で、モータ2の回転が急激に上昇し、矢印93で示すホールIC12のエッジの出現時期が早まったりすると、そのエッジは不感時間92aの間に出現するために演算部19で認識されないことになる。この結果、誤った固定子巻線へ通電することとなり、結果としてモータロックの発生や過大電流が流れる恐れがある。
一方、別の不具合の発生もあり得る。図11は、ホールIC10〜12の出力信号の波形と、不感時間の動作タイミングを示す図であり、出力信号を誤認識してしまった例を示す。図11において、不感時間94、94aが設定されるため、この間は演算部19は回転位置検出回路16の出力を利用しない。何らかの理由で、ホールIC11の正規のエッジ95の直前にパルス状のノイズ信号96が出現した場合、演算部19は、ノイズ信号96の立ち上がりの時点から不感時間94aのカウントを開始してしまう。その結果、正規のエッジ95は不感時間94aの期間中に出現するために認識されないことになる。この結果、誤った固定子巻線へ通電することとなり、結果としてモータロックの発生や過大電流が流れる恐れがある。
以上、図10及び図11で示した不具合を防ぐために考えたのが本実施例による検出方法である。本実施例においては、「不感時間」としてその時間中のホールIC10〜12の出力信号を無視するのではなく、その時間中も位置信号を用い、その時間中に反転した信号の状態がそのまま維持されているのを確認したら、ホールICの信号反転として駆動相の切り替えを行うものである。本明細書においては、その期間を「確定時間」と定義する。
図12は、本実施例に係る確定時間の設定を示す図であり、ホールIC10〜12の出力信号の波形と、確定時間の動作タイミングを示す。演算部19は回転位置検出回路16の出力信号の変化から、ホールIC10〜12のいずれかの信号がLowからHighに切り替わったエッジを検出し、このエッジを始点にタイマを起動して確定時間を設定する。両矢印で示す確定時間101の間は、演算部19は回転位置検出回路16の出力を監視する。演算部19は、この監視中にホールIC10〜12の出力波形のエッジが存在しない状態であることを確認できれば、検出されたエッジが正規の出力信号のエッジであると確定させる。
図13は、本実施例による、ホールIC10〜12の出力信号の波形と、確定時間の動作タイミングを示す図である。何らかの理由で、モータ2の回転が急激に上昇し、矢印103で示すホールIC12のエッジの出現時期が早まったりしても、そのエッジは確定時間102aには含まれないため正しく検出される。これは、図10の不感時間92aの状況と異なり、確定時間102aが十分短いことから正しく検出されるものである。しかしながら、確定時間102aが長い場合であっても、不感時間と違って確定時間中に演算部19は回転位置検出回路16の出力の監視を継続しているため問題が生じない。
図14は、本実施例による、ホールIC10〜12の出力信号の波形と、確定時間の動作タイミングを示す図であり、パルス状のノイズが混入した場合を示す。何らかの理由で、ホールIC11の正規のエッジ106の直前にパルス状のノイズ信号105が出現した場合、回転位置検出回路16は、ノイズ信号105の立ち上がりを検出して確定時間104aの設定を行う。しかしながら、確定時間104aの期間中も演算部19は回転位置検出回路16の出力を監視する。図10の例では、確定時間104aの期間中にホールIC11の信号の立ち下がりエッジが出現したことから、演算部19はそのエッジ(ノイズ信号105によるエッジ)はノイズによるものであると識別することができる。これによって、ノイズ信号105によるエッジの出現を無視し、ホールIC10〜12の次の出力信号の変化(エッジ106)で再度確定時間104bを設定することにより正しい出力信号の変化を検出することができる。
図15は、本実施例による制御手順を示すフローチャートである。図15において、ドライバドリル1に電源投入、即ち電池パック30が接続されることにより、制御部44に電源が投入されて、演算部19において処理が開始する(ステップ151)。次に演算部19は、ホールIC10〜12を用いて回転子2aの位置情報を検出する(ステップ152)。演算部19は、検出された回転子2aの位置情報を基に所定のスイッチング素子をオンさせ(ステップ153)、固定子巻線2dに通電させることによりモータ2を起動する(ステップ154)。
モータ2が起動すると、回転子2aの回転に連動してホール素子10〜12の出力信号(位置信号)も変化する。次に、演算部19は位置信号に変化があったどうか検出する(ステップ155)。演算部19は、位置信号に変化があったことを検出すると、短時間ノイズを無視するための位置信号の確定時間設定用のタイマをリセットし、カウントを起動させる(ステップ156)。尚、設定される確定時間は、電動工具たるドライバドリルの特性に合わせてあらかじめ設定しておき、演算部19に含まれるマイクロコンピュータや記憶手段に格納しておくと良い。
次に、信号検出のための確定時間のカウントを開始する(ステップ157)。確定時間経過前に位置信号に変化があった場合は位置信号確定時間をリセットする(ステップ157、158、159)。位置変化に変化無く確定時間が経過したら(ステップ157)、演算部19は、位置信号は正しく変化したと認識してその位置信号を確定させる(ステップ160)。次に、検出された位置信号を基に、回転子2aの位置情報を検出し、演算部19は「現在データ」として記憶する(ステップ161)。次に、演算部19は、記憶した「現在データ」と、その前に取得して記憶済みの「過去データ」を比較する(ステップ162)。
次に、演算部19は比較結果から位置情報が正常か異常か、位置情報の整合性を確認する(ステップ163)。ここで、整合性が確認されて位置情報が正常であると確定すると、検出された位置情報を基に所定のスイッチング素子をオンし、ステップ155に戻る(ステップ163、164)。ステップ163において位置情報が異常であると判断すると、ステップ165に進みモータ2の保護動作を行う。
モータ2の保護動作は、まずスイッチング素子をオフにして、インバータ回路の通電を中止する(ステップ165)。通電を中止することにより、モータ2は慣性力により回転し続ける空転状態となる。次に、空転状態となったモータ2の位置情報の検出を継続することにより位置情報が正常状態に復帰したかどうか確認する(ステップ166)。正常状態に復帰したかどうかは、図4で示した正常状態の出現パターンの通り(位置情報1→2→3→4→5→6→1→・・・)に位置信号が出現したか否かで判断できる。空転中に位置情報が正常状態に復帰した場合は、モータ2を停止させることなく回転位置に対応したスイッチング素子を再びオンにしてモータ2の駆動制御を再開させ(ステップ166、167)、ステップ157に進む。
ステップ166において、位置情報が正常状態に復帰しない場合は、モータを空転させてからの時間計測を開始する(ステップ168)。この後、所定時間が経過していなければステップ166に戻り、位置情報が正常状態に復帰することなく所定の時間が経過した場合は(ステップ168)、モータを停止させ(ステップ169)、処理を終了する(ステップ170)。尚、胴体ハウジング部6bの下端部のうちトリガ操作部7aの下方位置に、LEDで構成される異常表示ランプを設けておき、ステップ169でモータを停止させたときにこの異常表示ランプを点灯あるいは点滅させるようにしても良い。
図15には記載していないが、ステップ169によりモータ2が停止した後に、モータ2の停止にも拘わらず作業者がトリガ操作部7aを押し込んだままにしているか否かを判定し、操作されている場合(押し込んだままの場合)には、演算部19はモータ2の再起動を行うためのリトライ動作を行うようにしても良い。このリトライ動作は、通常のモータ2の始動と同じ制御であるが、リトライ動作を行う回数を例えば1〜2回に制限して、制限回数を超えてリトライ動作を行わないようにすると好ましい。制限回数のリトライ動作を行ってもモータ2が正常に始動しない場合は、モータ2又は電動工具内に何らかの異常が発生した場合であると推測できるので、モータのリトライ動作を停止する。
リトライ動作は、例えば、ステップ168で所定時間内に位置情報が正常に復帰しなかったため(ステップ168でYes)、モータを停止させた(ステップ169)後に、作業者によってトリガ操作7aが押し込まれている状態が続いているときには、再度図15のフローチャートを実行する。このリトライ動作においても再びステップ168において再びYESの判定がなされたときには、モータ2又は電動工具内に何らかの異常が発生した場合であると推測(確定)して、トリガ操作部7aの状態に拘わらずモータを停止する。このように、モータの停止後(ステップ169)に、再度図15のフローチャートを実行するリトライ動作を所定回数行うようにしてもよい。
次に、本実施例の変形例について図16を用いて説明する。図15のフローチャートによる制御においては、確定時間を一定に固定していたが、この確定時間はモータ回転数に応じて可変に設定することもできる。図16は、モータ2の回転数に対し、設定される確定時間の関係を示す図である。図16に示すように、低速回転領域においては、回転数が大きくなるほど確定時間が小さくなるように設定し、回転数がある所定の回転数以上の場合に、確定時間を一定にするようにした。これにより制御特性を向上させながら可能な限りノイズ耐性を向上させることが可能となる。
以上、本実施例によれば、位置信号が変化してから所定の時間経過後も位置信号が再び変化しなかった場合に、その位置情報を確定させている。所定の時間(確定時間)を適切に設定することにより位置情報の短い時間の異常を無視することが可能となり、頻繁にモータが停止することを防ぐことが可能となる。さらに位置情報の過去のデータと現在のデータを比較することにより、検出された位置情報に整合性があるかどうかが判断可能となり、位置情報の異常発生を効果的に判断できる。さらに位置信号の異常時には、適切にモータに対する保護動作をおこなうことにより、電動工具の動作不安定や故障を防止できる。
以上、本発明を示す実施例に基づき説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。
1 ドライバドリル 2 ブラシレス直流モータ
2a 回転子(マグネットロータ) 2b 永久磁石(マグネット)
2c 固定子(ステータヨーク) 2d 固定子巻線(ステータコイル)
2e 出力回転軸 2f 絶縁層
2h ティース部 3 インバータ回路部
3a 半導体スイッチング素子 4 制御回路部
5 ダイヤル 6 ハウジング
6a 胴体ハウジング部 6b ハンドルハウジング部
7 スイッチトリガ 7a トリガ操作部
8 スピンドル 9 正逆切替レバー
10、11、12 回転位置検出素子(ホールIC)
13 制御信号出力回路 14 印加電圧設定回路
15 回転方向設定回路 16 回転子位置検出回路
17 回転数検出回路 18 電流検出回路 19 演算部
20 スイッチ操作検出回路 21 吸気口 22 防塵カバー
23 空気流通路 24 冷却用ファン 25 動力伝達部
26 減速機構部 27 クラッチ機構部
28 チャック(先端工具取付部) 30 電池パック(リチウムイオン二次電池)
33 インバータ回路 44 制御部
91、92、94 不感時間
101、102、104 確定時間
H1〜H6 PWM駆動信号
Q1〜Q6 スイッチング素子
U、V、W 3相ステータ巻線

Claims (7)

  1. 永久磁石を備えた回転子及び電機子巻線を備えた固定子を有するブラシレス直流方式のモータと、
    前記回転子の回転位置を検出する回転子位置検出手段と、
    前記回転子位置検出手段で検出された位置信号をもとに所定の電機子巻線へ駆動電流を供給するように制御する制御部を有する電動工具であって、
    前記制御部は、前記位置信号が変化したことを検出したら、所定の確定時間内において前記位置信号の状態を検出し、
    前記確定時間内に、前記位置信号の状態が前記位置信号の変化を検出したときから維持されている場合に、前記制御部は、検出された位置信号の状態と、前記位置信号の変化を検出する前の位置信号の状態を比較し、検出された位置情報が正常であるか否かを判断し、
    位置情報が異常であると判断した場合は、前記モータに対して保護動作を行い、
    位置情報が正常であると判断した場合は、前記位置信号を用いて前記電機子巻線への駆動電流の切り替えを行うことを特徴とする電動工具。
  2. 前記確定時間を前記モータの回転数に応じて可変に設定することを特徴とする請求項1に記載の電動工具。
  3. 前記位置情報の異常は、前記位置信号の出現パターンをもとに判定されることを特徴とする請求項に記載の電動工具。
  4. 前記保護動作として、前記モータを停止させることを特徴とする請求項に記載の電動工具。
  5. 前記保護動作として、前記保護動作を開始してから所定の時間だけ前記モータへの通電を停止して前記モータを空転させ、
    前記制御部は、前記モータの空転時の位置情報が異常状態から正常状態に復帰したかどうか判定し、
    正常状態に復帰した時は前記モータへの駆動電流の供給を再開し、
    正常状態に復帰しない場合は、前記モータを停止させることを特徴とする請求項に記載の電動工具。
  6. 前記制御部は、前記モータが停止した後に、トリガ操作部が継続して操作されているか否かを判定し、
    操作されている場合には、前記モータの再起動を行うためのリトライ動作を行うことを特徴とする請求項又はに記載の電動工具。
  7. 前記制御部は、前記リトライ動作を行う回数を所定の回数に制限することを特徴とする請求項に記載の電動工具。
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