JP2015009289A - 電動工具 - Google Patents

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高野 信宏
Nobuhiro Takano
信宏 高野
和隆 岩田
Kazutaka Iwata
和隆 岩田
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Abstract

【課題】締め付け前半の軽負荷領域において、できるだけモータの回転数を高くして高速で締め付け作業を完了させるようにした電動工具を提供する。【解決手段】PWM制御により駆動されるモータと、モータの回転をデューティ比によって制御する電動工具において、電動工具はモータの最高回転数が異なる複数の動作モード(1〜4)を有し、各動作モードにおいて回転開始後の区間に用いられる高いデューティ比区間と、回転停止前の区間に用いられる低いデューティ比区間を設けて異なるデューティ比を割り当てるようにした(311〜314)。各動作モードの高いデューティ比区間と低いデューティ比区間におけるディーティ比はそれぞれが異なるように設定すると良い。高いデューティ比での運転時に、モータにかかる負荷が増大したら低いデューティ比に切り換えられる。【選択図】 図7

Description

本発明は電動工具に関し、特に、駆動源として用いられるモータの制御方法を改良した電動工具に関する。
手持ち式の電動工具において、バッテリに蓄電された電気エネルギーにて駆動するコードレスタイプのインパクト工具が広く用いられている。ドリルやドライバ等の先端工具をモータによって回転駆動して所要の作業を行うインパクト工具においては、例えば特許文献1に開示されているように、バッテリを用いてブラシレスDCモータを駆動する。ブラシレスDCモータは、ブラシ(整流用刷子)の無いDC(直流)モータであり、コイル(巻線)をロータ側に、永久磁石をステータ側に用い、インバータで駆動された電力を所定のコイルへ順次通電することによりロータを回転させる。ブラシレスモータはブラシ付きモータに比べて高効率であり、充電可能な二次電池を使用しつつ高い出力を得ることが可能となる。また、モータの回転駆動のためのスイッチング素子を搭載した回路を有するので、電子制御により高度なモータの回転制御が容易となる。
ブラシレスDCモータは、永久磁石を備えたロータ(回転子)と、3相巻線等の複数相の電機子巻線(固定子巻線)を備えたステータ(固定子)を含み、ロータの永久磁石の磁力を検出してロータ位置を検出する複数のホールICより構成された位置検出素子と、電池パック等から供給される直流電圧をFET(電界効果トランジスタ)やIGBT(絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ)等の半導体スイッチング素子を用いてスイッチングして各相の固定子巻線への通電を切換えてロータを駆動するインバータ回路が用いられる。インバータ回路はマイクロコンピュータ(マイコン)により制御され、ホールIC等の位置検出素子によるロータの位置検出結果に基づいて各相の電機子巻線の通電タイミングを設定する。このインバータ回路の制御において、モータを複数段階の回転速度で制御するように、設定された回転モードに応じてPWMのデューティ比を変えるようにしている。
特開2008−278633号公報
ところで、近年電動工具の出力の増大化が図られており、ブラシレスDCモータの利用などに伴い工具サイズを小さくしつつ高い回転速度、高い締め付けトルクを得ることができるようになってきた。しかしながら、高い締め付けトルクを実現することは、他方でねじ締め作業等において必要以上に強い打撃を与えてしまうことになるため、要求される締め付けトルク値に合わせて適正な出力や特性のモータを選択することが重要である。特にインパクト工具においては、必要以上にモータの出力を高めるとねじの頭を痛めてしまう恐れが高くなり、寿命や連続稼働時の温度上昇制限の観点から、モータの出力が高くなりすぎないようにする場合もあった。そのためモータとして得られるポテンシャルを最大に生かす電動工具となっていないことがあった。
本発明は上記背景に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、モータの最高回転を変更する複数の動作モードを有する電動工具において、動作モード毎に最適なPWMのデューティ比制御を行うようにした電動工具を提供することにある。
本発明の別の目的は、締め付け前半の軽負荷領域において、できるだけモータの回転数を高くして高速で締め付け作業を完了させるようにした電動工具を提供することにある。
本発明のさらに別の目的は、トリガを引いた瞬間のモータの起動をなめらかにして、締め付けし易くて使い勝手の良い電動工具を提供することにある。
本願において開示される発明のうち代表的なものの特徴を説明すれば次の通りである。
本発明の一つの特徴によれば、半導体スイッチング素子をPWM制御することにより駆動されるモータと、モータによって先端工具を駆動するための動力伝達機構と、モータの回転をデューティ比によって制御する制御手段を有する電動工具であって、モータの最高回転数の異なる複数の動作モード、又は、締付トルク値の異なる複数の動作モードを有し、複数の動作モードのうちいずれか1つ以上に、回転開始後の区間に用いられる高いデューティ比と、回転停止前の区間に用いられる低いデューティ比の異なるデューティ比が割り当てられる。複数の動作モードのうちすべての動作モード、又は、いずれかの動作モードにおいて、モータの回転開始後から回転停止まで同一のデューティ比にてモータが制御され、残りの動作モードでは高いデューティ比から低いデューティ比に切り換えて制御するように構成した。この構成により高い出力のモータを連続駆動させることによる温度上昇や機械的なストレスから電動工具を効果的に保護することができ、信頼性が高くて寿命が長い電動工具を実現できる。
本発明の他の特徴によれば、モータに掛かる負荷トルク(先端工具からの反発トルク)を検出して、その負荷トルク値が所定の値以上になった時に高いデューティ比から低いデューティ比に切り換えるようにした。この切り換えタイミングは、電流値を検出する電流検出手段を設け、高いデューティ比での駆動時に電流検出手段によって検出された電流値Iがしきい値を超えた時、又は、電流値の増加率ΔI/Δtがしきい値を超えた時に行うように構成すれば良い。また、締め付けトルクを検出するトルク検出手段を設け、検出されたがしきい値を超えたときに切り換えるように構成しても良い。この構成により、負荷の軽い、いわばフリーラン区間を高速で締め付けることができ、作業時間の短縮化が可能となる。
本発明のさらに他の特徴によれば、制御装置は、モータの起動時にデューティ比を徐々に増大させるソフトスタートにて制御するようにした。ソフトスタート時のデューティ比の立ち上がりは、すべての動作モードにおいてデューティ比の増加率が異なるようにしても良いし、増加率がすべて同じになるようにしても良い。このようにソフトスタートにてモータを制御するようにしたので、作業者がトリガを引いたときに先端工具にいきなり高トルクが掛かることを防止でき、電気ショック、機械ショックを軽減させることができ、さらに、先端工具がネジ等からはずれる、いわゆるカムアウト現象を起こしにくくすることができる。
本発明のさらに他の特徴によれば、複数の動作モードによってそれぞれ異なる最高回転数を設定することにより締め付け作業を行う電動工具において、各動作モードにおける最高回転数は、締め付け初期の最高回転数と、締め付け後期の最高回転数の組によって設定され、上記動作モードのうち少なくとも1つ以上の動作モード又はすべての動作モードにおいて、締め付け初期の最高回転数は締め付け後期の最高回転数よりも大きくなるように設定した。この構成により高い出力のモータを連続駆動させることによる温度上昇や機械的なストレスから電動工具を効果的に保護することができ、信頼性が高くて寿命が長い電動工具を実現できる。
本発明によれば、高出力で確実にねじやボルトを締め付けることができ、しかも締め付け時間の短縮化を図ることができる。また操作性の大変良い電動工具を提供できる。
本発明の上記及び他の目的ならびに新規な特徴は、以下の明細書の記載及び図面から明らかになるであろう。
本発明の実施例に係るインパクト工具1の内部構造を示す断面図である。 本発明の実施例に係るインパクト工具1の外観を示す側面図である。 本発明の実施例に係るインパクト工具1の概略ブロック図である。 本発明の実施例のインパクト工具におけるモータ3の駆動制御系の回路構成を示すブロック図である。 本発明の実施例に係るインパクト工具1のデューティ比の制御方法を説明するための図であり、モータの回転数58とデューティ比の関係を示すである。 従来技術におけるインパクト工具の各動作モードでのデューティ比の設定方法を説明する図である。 本発明の実施例に係るインパクト工具1の各動作モードでのデューティ比の設定方法を説明する図である。 (1)本発明の実施例のインパクト工具における全速のボルト締め付けを行う際の出力軸回転数とモータ電流値、PWM駆動信号のデューティ比の関係を示すグラフであり、(2)はそのときの打撃トルクの大きさを示す図である。 本発明の実施例のインパクト工具1を用いて締め付け作業を行う際のデューティ比の設定手順を示すフローチャートである。 本発明の第1の変形例に係るインパクト工具1の各動作モードでのデューティ比の設定方法を説明する図である。 本発明の第2の変形例に係るインパクト工具1の各動作モードでのデューティ比の設定方法を説明する図である。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。尚、以下の説明において、上下、前後の方向は、図中に示した方向として説明する。図1は本発明に係る電動工具の内部構造を示す断面図である。本実施例においては、電動工具の例として、インパクト工具1を用いて説明する。
インパクト工具1は、充電可能なバッテリ11を電源とし、モータ3を駆動源として減速機構20によって所定の減速比で減速させてインパクト機構21を駆動し、出力軸であるアンビル30に回転力と打撃力を与え、取付穴30aに装着され装着機構31にて保持されるドライバビット等の図示しない先端工具に回転打撃力を間欠的に伝達してねじ締めやボルト締め等の作業を行う。
モータ3はブラシレスDCモータであり、内周側に2組のマグネット5aが配置されたロータ5を有し、外周側に6つのスロットに巻線4aが巻かれたステータ4が配置されるもので、いわゆる4極6スロットのモータである。尚、本発明は4極6スロットのモータだけに限られずに、他の極数、他のスロット数のモータであっても良い。モータ3は側面視で略T字状の形状を成すハウジング2の筒状の胴体部2a内に収容される。モータ3の回転軸6は、ハウジング2の胴体部2aの中央部付近に設けられるベアリング19aと後端側のベアリング19bによって回転可能に保持され、モータ3の前方には、回転軸6と同軸に取り付けられモータ3と同期して回転するロータファン13が設けられ、モータ3の後方には、モータ3を駆動するためのインバータ回路基板12が配設される。
ロータファン13によって起こされる空気流は、空気取入口17a及びインバータ回路基板12の周囲のハウジング部分に形成された後述するスリット(図2のスリット17b)から胴体部2aの内部に取り込まれ、主にロータ5とステータ4の間を通過するように流れ、ロータファン13の後方から吸引されてロータファン13の径方向外側に流れ、ロータファン13の周囲のハウジング部分に形成された後述するスリット(図2のスリット18)からハウジング2の外部に排出される。インバータ回路基板12はモータ3の外形とほぼ同形の略円形の両面基板であり、この基板上にはFET(Field effect transistor)等の複数のスイッチング素子14や、ホールIC等の位置検出素子33が搭載される。
ロータ5とベアリング19aの間には、スリーブ36とロータファン13が回転軸6と同軸上に取り付けられる。ロータ5は、マグネット5aによって形成される磁路を形成するものである。スリーブ36は、例えばプラスチック又は金属によって構成できるが、金属製にする場合は、ロータ5の磁路に影響しないように非磁性体であることが好ましい。
ロータファン13は、例えばプラスチックのモールドにより一体成型されるものであり、後方の内周側から空気を吸引し、前方側の半径方向外側に排出する、いわば遠心ファンである。ロータ5とベアリング19bの間には、プラスチック製のスペーサ35が設けられる。スペーサ35の形状は略円筒形で、ベアリング19bとロータ5との間の間隔を設定する。この間隔はインバータ回路基板12を同軸上に配置するためと、スイッチング素子14を冷却する空気流の流路として必要とされる空間を形成するために重要である。
ハウジング2の胴体部2aから略直角に一体に延びるハンドル部2b内の上部にはトリガ8が配設され、トリガ8の下方にはスイッチ回路基板7が設けられる。ハンドル部2b内の下部には、トリガ8の引き動作によってモータ3の速度を制御する機能を備えた制御回路基板9が収容され、この制御回路基板9は、バッテリ11とスイッチ回路基板7に電気的に接続される。制御回路基板9は、信号線を介してインバータ回路基板12と接続される。ハンドル部2bの下方には、ニカド電池、リチウムイオン電池等のバッテリ11が着脱可能に装着される。
インパクト機構21は遊星歯車による減速機構20の出力側に設けられるもので、スピンドル27とハンマ24を備え、後端がベアリング22、前端がメタル29により回転可能に保持される。減速機構20とインパクト機構21が、モータ3によって先端工具を駆動するための動力伝達機構を構成する。トリガ8が引かれてモータ3が起動されると、正逆切替レバー10で設定された方向にモータ3が回転を始め、その回転力は減速機構20によって減速されてスピンドル27に伝達され、スピンドル27が所定の速度で回転駆動される。ここで、スピンドル27とハンマ24とはカム機構によって連結され、このカム機構は、スピンドル27の外周面に形成されたV字状のスピンドルカム溝25と、ハンマ24の内周面に形成されたハンマカム溝28と、これらのスピンドルカム溝25、28に係合するボール26によって構成される。ハンマ24は、スプリング23によって常に前方に付勢されており、静止時にはボール26とスピンドルカム溝25、28との係合によってアンビル30の端面とは隙間を隔てた位置にある。そして、ハンマ24とアンビル30の対向する回転平面上の2箇所には図示しない凸部がそれぞれ対称的に形成されている。
スピンドル27が回転駆動されると、その回転はカム機構を介してハンマ24に伝達され、ハンマ24が半回転しないうちにハンマ24の凸部がアンビル30の凸部に係合してアンビル30を回転させるが、そのときの係合反力によってスピンドル27とハンマ24との間に相対回転が生ずると、ハンマ24はカム機構のスピンドルカム溝25に沿ってスプリング23を圧縮しながらモータ3側へと後退を始める。そして、ハンマ24の後退動によってハンマ24の凸部がアンビル30の凸部を乗り越えて両者の係合が解除されると、ハンマ24は、スピンドル27の回転力に加え、スプリング23に蓄積されていた弾性エネルギーとカム機構の作用によって回転方向及び前方に急速に加速されつつ、スプリング23の付勢力によって前方へ移動し、その凸部がアンビル30の凸部に再び係合して一体に回転し始める。このとき、強力な回転打撃力がアンビル30に加えられるため、アンビル30の取付穴30aに装着される図示しない先端工具を介してねじに回転打撃力が伝達される。以後、同様の動作が繰り返されて先端工具からねじに回転打撃力が間欠的に繰り返し伝達され、例えば、ねじが木材等の図示しない被締め付け部材にねじ込まれる。
図2は、本発明の実施例に係るインパクト工具1の外観を示す側面図である。図2において、ハウジング2の胴体部2aのインバータ回路基板12の外周側には、吸気用のスリット17bが形成され、ロータファン13の外周部には、スリット18が形成される。ハウジング2の前方側には金属製であってカップ状に形成されたハンマケース15が設けられる。ハンマケース15は、内部に減速機構20とインパクト機構21を収容するものであって、カップの底部にあたる前方部分にはアンビル30を貫通させるための穴が形成される。ハンマケース15の外側に装着機構31が設けられる。
図3は本発明の実施例に係るインパクト工具1の概略ブロック図である。本実施例では電源として二次電池で構成されたバッテリ11を用い、駆動源たるモータ3としてブラシレスDCモータを用いた。ブラシレスDCモータを制御するために制御手段39を用いて複数の半導体スイッチング素子により構成されるインバータ回路38を駆動する。制御手段39はバッテリ11の電力を用いて電源回路37にて生成された低電圧により駆動される。インバータ回路38からモータ3へは3本の電力線が接続され、インバータ回路38にて所定の相へ駆動電流を供給することによりモータ3を回転させる。モータ3の出力は減速機構20に伝達され、減速機構20によって減速された回転力によってインパクト機構21を駆動する。制御手段39によってモータ3を駆動するために、モータ3の近傍にはロータ5の位置検出用の信号を生成するための位置検出素子(ホールIC)33が設けられ、位置検出素子33の出力が制御手段39に入力される。制御手段39には、正逆切替レバー10の信号と、トリガ8の信号が入力される。また、モータ3を駆動するモータとして第1の設定手段54と第2の設定手段53が設けられる。第1の設定手段54では、インパクトモードとしてモータの回転数を設定して締め付けトルクを4段階に分けた4つの動作モードを設定できる。また、テックスねじを締め付けるための1つのテックスモードを設定できる。第2の設定手段53では、通常モードとねじ込みモードを設定できる。第1の設定手段54と第2の設定手段53は、例えば操作パネル55(図1参照)に設けることができる。
次に、図4を用いてモータ3の駆動制御系の構成と作用を説明する。図3はモータの駆動制御系の構成を示すブロック図であり、本実施例では、モータ3は3相のブラシレスDCモータで構成される。モータ3は、いわゆるインナーロータ型で、一対のN極およびS極を含むマグネット5a(永久磁石)を埋め込んで構成されたロータ5と、ロータ5の回転位置を検出するために60°毎に配置された3つの位置検出素子33と、位置検出素子33からの位置検出信号に基づいて電気角120°の電流の通電区間に制御されるスター結線された3相巻線U、V、Wからなるステータ4を含んで構成される。
インバータ回路基板12に搭載されるインバータ回路38は、3相ブリッジ形式に接続された6個のFET(以下、単に「トランジスタ」という。)Q1〜Q6と、フライホイールダイオード(図示なし)から構成され、インバータ回路基板12に搭載される。温度検出用素子(サーミスタ)34は、インバータ回路基板12上のトランジスタに近接する位置に固定される。ブリッジ接続された6個のトランジスタQ1〜Q6の各ゲートは制御信号出力回路48に接続され、また、6個のトランジスタQ1〜Q6のソースまたはドレインはスター結線された電機子巻線U、VおよびWに接続される。これによって、6個のトランジスタQ1〜Q6は、制御信号出力回路48から出力されたスイッチング素子駆動信号によってスイッチング動作を行い、インバータ回路に印加されるバッテリ11の直流電圧を、3相(U相、V相、W相)交流電圧Vu、Vv、Vwとして、電機子巻線U、V、Wへ電力を供給する。
制御回路基板9には、演算部40、電流検出回路41、スイッチ操作検出回路42、印加電圧設定回路43、回転方向設定回路44、回転子位置検出回路45、回転数検出回路46、温度検出回路47、制御信号出力回路48、及び打撃衝撃検出回路49が搭載される。演算部40は、図示されていないが、処理プログラムとデータに基づいて駆動信号を出力するためのCPUと、後述するフローチャートに相当するプログラムや制御データを記憶するためのROMと、データを一時記憶するためのRAMと、タイマ等を内蔵するマイコンを含んで構成される。電流検出回路41はシャント抵抗32の両端電圧を測定することによりモータ3に流れる電流を検出する電圧検出手段であって、検出電流は演算部40に入力される。本実施例ではシャント抵抗32をバッテリ11とインバータ回路38の間に設けて半導体スイッチング素子に流れる電流値を検出する方式であるが、シャント抵抗をインバータ回路38とモータ3の間に設けてモータ3に流れる電流値を検出するようにしても良い。
スイッチ操作検出回路42はトリガ8が引かれているかどうかを検出するもので、少しでも引かれていればオン信号を演算部40に出力する。印加電圧設定回路43は、トリガ8の移動ストロークに応答してモータ3の印加電圧、すなわちPWM信号のデューティ比を設定するための回路である。回転方向設定回路44は、モータの正逆切替レバー10による正方向回転または逆方向回転の操作を検出してモータ3の回転方向を設定するための回路である。回転子位置検出回路45は、3つの位置検出素子33の出力信号に基づいてロータ5とステータ4の電機子巻線U、V、Wとの関係位置を検出するための回路である。回転数検出回路46は、単位時間内にカウントされる回転子位置検出回路45からの検出信号の数に基づいてモータの回転数を検出する回路である。制御信号出力回路48は、演算部40からの出力に基づいてトランジスタQ1〜Q6にPWM信号を供給する。PWM信号のパルス幅の制御によって各電機子巻線U、V、Wへ供給する電力を調整して設定した回転方向へのモータ3の回転数を制御することができる。打撃衝撃検出回路49は、打撃衝撃検出センサ50からの検出信号を元にインパクト機構21によって打撃が行われた時点やそのトルクの大きさを検出する。尚、打撃衝撃検出センサ50の代わりに、又は打撃衝撃検出センサ50に加えてジャイロセンサ(図示せず)やその他の任意のセンサを設けても良い。
演算部40には動作モードを切り換えるためのダイヤルスイッチ53の出力信号と、トルク値(又はモータの回転数)を設定するためのトルク切替スイッチ54の出力信号が入力される。演算部40はさらに、先端工具付近を照らすためのLED等の照明手段51の点灯を制御する。この点灯は図示しない点灯スイッチが押されたかどうかを演算部40により判定して点灯を制御するようにしても良いし、トリガ8の引かれた動作に連動させて点灯させるようにしても良い。表示手段52は、設定トルク値の強さや電池残量、その他の情報を表示するためのもので、光学的な手段により情報を表示する。本実施例では複数のLEDや、7又はそれ以上のセグメントにより数字とアルファベットが表示可能なLED表示器、あるいは液晶表示器などを用いることができる。
次に図5を用いて本実施例に係るインパクト工具1のデューティ比の制御方法を説明する。従来のブラシレスDCモータを用いるインパクトドライバのモータ回転数158は、時刻t=0において作業者がトリガ8をONにして(引いて)モータ3の回転が開始されてからは、全区間においてデューティ比の上限値(トリガをいっぱいに引いたときのデューティ比の設定値)を100%として制御し、モータ回転数158は2点鎖線に示すように一定であった(実際には負荷の変動によって変動があり得るが、ここでは考慮しないものとする)。そして時刻tにおいて作業者がトリガをOFFとする(離す)とモータ3の回転が停止する。これに対して本実施例での回転数58は、時刻t=0において作業者がトリガ8を引いてモータ3の回転が開始されるまでデューティ比の上限値を100%としてモータ3を全速で駆動する。そして、先端工具から受ける負荷が上昇して所定の大きさになったとき、例えば、インパクト動作が1〜複数回行われて締め付け対象たるねじやボルトが着座したと判断された時刻tにおいてデューティ比を大幅に下げて低デューティ比により制御する。このような制御によりモータ3の回転初期部分の回転数はNmaxとなり、矢印58aから58bの区間までほぼ一定に制御される。その後、矢印58cのようにモータの回転数58をNまで大幅に低下させて、矢印58cのように制御し、作業者によりトリガ8が離されるまでモータ3を低速にて回転させる。モータ3の回転数は矢印58cから58dのように負荷の増加に伴って徐々に低下する。
本実施例では、同じ電圧、同じ容量のバッテリ11を使うものの、モータ3の出力を従来使用するタイプよりも高出力のものを使用する。例えば、従来用いていたモータと外寸やステータ4のコア部分、ロータ5部分は同一形状としつつ、巻線4aの巻き数をへらして、その代わり巻線4aの線径を太くすることにより、巻線4aに大電流を流せるように構成し、モータ3の回転数をあげて出力を増大させた。一方、このように出力を増大させたままで従来のモータ制御(デューティ比を100%のままトリガオフまで連続駆動)すると、温度上昇が過大となって熱的に厳しく、着座後の作業者によるトリガオフのタイミングが遅れてしまうとモータ3やインパクト機構21等のメカ部分への負荷が大きくなってしまう。しかしながら、本願発明においては、そのようなハイパワーのモータ3を敢えて採用して、複数回の打撃が行われて着座がおこなわれたと判断される時点(時刻t)までは全速(高速)にてモータ3を駆動することにより、従来方法に対して矢印59aのように負荷が軽い領域での回転数を上昇させ、一方、時刻t以降において打撃を繰り返す領域での回転数を矢印59bのように大きく低下させることにより、モータ3やメカ部分への負荷を低減させるようにした。このように制御することにより、高出力のモータを用いて、短時間で締め付けを完了させることができ、しかもモータやメカ部分の耐久性を向上させることができる。
図6は、従来の電動工具のインパクトモードでのデューティ比の設定方法を説明する図である。縦軸はモータ3のデューティ比の上限値又はモータ回転数であり、横軸は時間である。本実施例で前提となるインパクト工具1は、インパクト動作としてモード1〜モード4までの4つのモードが設定される。これらは操作パネル55に設けられたトルク切替スイッチ54を押す毎に切り替わるもので、モードを切り換えることによりモータの上限回転数が切り替わる。例えば、締め付けトルクが一番小さいモード1(弱1)の時にはトリガ8をいっぱいに引いた状態でモータ3が900回転/分、モード2(弱2)の時の回転数が1500回転/分、モード3(中)の時の回転数が2200回転/分、そして締め付けトルクが一番大きいモード4(強)の時の回転数が2900回転/分である。このようにモータ3の回転数を設定するため、矢印301〜304のように制御手段はデューティ比をD〜Dに設定する。ここでデューティ比Dは100%である。D〜Dのデューティ比(最大値)は一定で有り、例えばモード3においてはトリガ8の引き量に応じて矢印305のようにデューティ比が0からDの範囲内で設定されるため、着座が行われる付近を越えた後も同じデューティ比において一定の制御がされる。このような制御を行うために、従来のインパクト工具においてはモード4のデューティ比100%にてモータ3を連続駆動させても、熱的にも機械的な強度的にも問題が無いような定格のモータ3を選定していた。
本実施例では図7のように、少なくとも着座に到達するまでの回転開始後の区間、ここでは時刻tまではモード1〜4のいずれにおいてもデューティ比D11〜D41を高めに設定して、所定の負荷が発生した後の回転停止前の区間(時刻t〜t)は矢印311〜314で示すようにそれぞれデューティ比を低減させて回転数を落とすように構成した。ここではD42を90%程度として、D12〜D32を30%、50%、70%になるように設定した。尚、D12〜D42をどの程度まで下げるように設定するのかは任意である。図7では、モード3の重い負荷が発生する前においてはトリガ8の引き量に応じて矢印307のように回転数が0からD31の範囲内で調整される。本実施例においてはインパクトモードで駆動する場合は、モード1〜4のいずれのモードにおいても、負荷が増大するまでは高めのデューティ比で高回転数にて制御し、切り替えの行われた時刻t以降はモード毎に異なる最大デューティ値に変更するように構成して低めの回転数で回転させるように構成した。このように最大回転数を下げた低回転モードでモータを駆動している状態であっても負荷が大きくなると最大回転数をさらに下げるように制御するので、従来よりもはるかに高出力高回転のモータを用いて迅速に締め付け作業を完了させることができる。
尚、本実施例ではモータ3の回転開始後の高回転区間において、高いデューティ比を80%〜100%の範囲でわずかに異なるように設定したが、これは主にトリガを引いて作業を始めた際に作業者が動作モードの違いをモータ3の起動音や回転音にて感じ取れるようにするためである。さらに、それぞれの動作モードにおいて回転開始後の前方区間に用いられる高いデューティ比と、回転停止前の後方区間に用いられる回転数が異なるように、高デューティ比と低デューティの組み合わせを割り当ててモータ3の回転制御を行うので、負荷が大きくなった後に、予め選択した動作モードに応じてモータに適切な供給電圧を供給することができ、適切なトルクによる適切な締め付け作業が可能となり、過締め付けを防止することができる。
図8(1)は本発明の実施例のインパクト工具における先端回転数とモータ電流値、PWM駆動信号のデューティ比の関係を示すグラフであり、全速のボルト締め付け動作時の状態を示す図である。図8(2)はそのときの打撃トルクの大きさを示す図である。本実施例においては、着座してから所定の打撃がすむまでは高いデューティ比にてモータ3を回転させて高速で先端工具を回転させ、所定の打撃トルクに到達した時点たる時刻tの時点でデューティ比を高い状態から低い状態に低減させるように制御する。このように制御するときの出力軸の回転数71(=先端工具の回転数)は矢印71aのフリーランにおけるほぼ一定の回転数から、矢印71bのように着座前後においては急激な回転低下まで変化する。このように出力軸の回転数71が低下するのはインパクト機構21においてハンマ24が後退して打撃動作が開始されるからである。電流検出回路41(図4参照)によって検出される電流値72は、矢印72a付近のフリーラン区間においてはほぼ一定で有り徐々に上昇する程度であるが、ボルトやねじの着座付近においては先端工具から受ける反力(負荷)の急上昇により矢印72bのように急激に上昇する。そして矢印72cの時点で、電流値72が閾値Iを越えたらデューティ比を100%(又は高いデューティ比)から動作モードに対応させた所定の値(低いデューティ比)に低減させる。時刻t以降の回転数71は負荷の増大から矢印71cから矢印71dにまで低下し、作業者が時刻tにおいてトリガ8を離すことによりモータ3が停止する。一方、モータ3に流れる電流値は矢印72dのように徐々に上昇するが、デューティ比を大幅に下げていることから第1の閾値Iを越えることはない。このように負荷が大きくなった後に、予め選択したモードに応じてモータに供給する電圧を低下させるので、過大な電流が流れることによるインバータ回路やモータ3の発熱を防止することができる。
図8(2)は(1)の状態の際の打撃トルク73の大きさを示した図である。横軸の時間軸を(1)と(2)で合わせて図示している。また、打撃の行われるタイミングのうちいくつかを三角マークにて図示している。三角マークは代表的なものしか図示していないが、最初の三角マーク(矢印73a)から最後の三角マーク73fまで複数回の打撃が続けて行われるものである。この図から理解できるように、矢印73a付近でインパクト機構21による打撃動作が開始される。本実施例のインパクト工具1においては毎秒10〜30打撃程度が行われる。打撃が開始した矢印73a時点では設定されたデューティ比は100%であり、複数回の打撃を行ううちに電流値72の上昇率が大きくなり、電流がI以上になると着座が完了したと判断してデューティを下げるように制御する。ここでは時刻tにおいて行われる矢印73bの打撃が、設定された動作モードにおける締め付けトルク値Tになるように、閾値Iの値が設定される。閾値Iは動作モード毎に設定され、製品開発時に実験等によって最適値を設定してあらかじめマイコン等に記憶させておくと良い。時刻t以降はデューティ比が低い状態とされるが、それでも矢印73d、73eのように十分な大きさの打撃トルクが発生するので、ねじやボルト等を確実に締め付けることが可能となる。作業者がトリガ8を離す時刻tにおける矢印73fで示す打撃トルク値は、矢印73bの締め付けトルク値を越えることがないように低減させたデューティ比の値を設定すれば良い。尚、各モードにおける低減するデューティ比の値も、製品開発時に実験等によって最適値を設定してあらかじめマイコン等に記憶させておくと良い。
次に図9のフローチャートを用いて、本発明の実施例に係るインパクト工具1のモータ制御用のデューティ比の設定手順について説明する。図9で示す制御手順は、例えば、マイクロプロセッサを有する演算部40においてコンピュータプログラムを実行することによりソフトウェア的に実現できる。まず、演算部40は作業者によってトリガ(TR)8が引かれてONになったか否かを検出し、引かれたらステップ902に進む(ステップ901)。次に、演算部40は、トルク切替スイッチ54の設定に基づいて、インパクトモード4(モード4)であるかどうかを判定する(ステップ902)。インパクトモード4の場合は、トリガ8の引き量が最大、つまり全速域である場合に演算部40はデューティ比を100%にしてモータ3を駆動する(ステップ908)。次に演算部40は負荷Tが所定のしきい値T以上である場合、ここでは電流検出回路41(図4参照)により検出された電流値が閾値I14以上であるかを判定する(ステップ909)。ここで電流値が閾値I14以上である場合はデューティ値を100%から低い値に変更して、トリガ8の引き量に応じた低デューティ比90%としての制御を行う(ステップ910)。次にステップ911にてトリガ8がオンのままで有るかを検出し、トリガ8が戻されたらステップ901に戻り、戻されていなかったらステップ910に戻る。
ステップ903において、トルク切替スイッチ54の設定がインパクトモード3(動作モード3)である場合は、トリガ8の引き量が最大、つまり全速域である場合に演算部40はデューティ比を93%にしてモータ3を駆動する(ステップ912)。次に演算部40は負荷Tが所定のしきい値T以上である場合、ここでは電流検出回路41(図4参照)により検出された電流値が閾値I13以上であるかを判定する(ステップ913)。ここで電流値が閾値I13以上である場合はデューティ値の上限を80%に変更して、トリガ8の引き量に応じた制御を行う(ステップ914)。次にステップ915にてトリガ8がオンのままで有るかを検出し、トリガ8が戻されたらステップ901に戻り、戻されていなかったらステップ914に戻る。
ステップ904において、トルク切替スイッチ54の設定がインパクトモード2(動作モード2)である場合は、トリガ8の引き量が最大、つまり全速域である場合に演算部40はデューティ比を86%にしてモータ3を駆動する(ステップ916)。次に演算部40は負荷Tが所定のしきい値T以上である場合、ここでは電流検出回路41(図4参照)により検出された電流値が閾値I12以上であるかを判定する(ステップ917)。ここで電流値が閾値I12以上である場合はデューティ値の上限を60%に変更して、トリガ8の引き量に応じた制御を行う(ステップ918)。次にステップ919にてトリガ8がオンのままで有るかを検出し、トリガ8が戻されたらステップ901に戻り、戻されていなかったらステップ918に戻る。
ステップ905において、トルク切替スイッチ54の設定がインパクトモード1(動作モード1)である場合は、トリガ8の引き量が最大、つまり全速域である場合に演算部40はデューティ比を80%にしてモータ3を駆動する(ステップ920)。次に演算部40は負荷Tが所定のしきい値T以上である場合、ここでは電流検出回路41(図4参照)により検出された電流値が閾値I11以上であるかを判定する(ステップ921)。ここで電流値が閾値I11以上である場合はデューティ値の上限を40%に変更して、トリガ8の引き量に応じた制御を行う(ステップ922)。次にステップ923にてトリガ8がオンのままで有るかを検出し、トリガ8が戻されたらステップ901に戻り、戻されていなかったらステップ922に戻る。ステップ905において、トルク切替スイッチ54の設定がインパクトモード1(動作モード1)でない場合は、テックスネジを締め付けるためのモードであるため、モータ3の制御としてテックスモードを設定し(ステップ906)、トリガ8が戻されるまでテックスモードによる回転制御を行う(ステップ907)。テックスモードによる制御は、公知の方法を用いれば良いのでここでの説明は省略する。ステップ907にてトリガ8が離された場合(OFFの場合)は、ステップ901に戻る。
以上説明したように本実施例の制御によれば、モータの起動直後で締め付けの負荷が軽い間は高速にてモータを回転(高デューティ比)させ、負荷が高くなったら高いデューティ比から低いデューティ比に下げるように制御するので、過剰締め付けを防止しながら素早い締め付けを行うことができる。尚、本実施例においては、高デューティ比から低デューティ比への切り換えタイミングとなる負荷トルクTの増大を、電流値72の大きさによって検知するようにしたが、これだけに限られずに、電流値72の単位時間当たりの上昇率ΔI/Δtを求めて、その増加率が所定の値以上となったときにデューティ比を切り換えるように構成しても良い。このように構成すれば、トルクの高い状態でねじが継続して締め付けられていることが確認できる。この電流値72の上昇率を監視方法は、短い時間間隔毎に検出された電流値の微分値を演算により求める等、公知の電流上昇率監視方法によって実現すれば良い。
また、電動工具に締め付けトルク値の大きさを検出するトルクセンサを用いるようにして、締め付け具が着座した状態を正確に検出して、着座をしたことを確認した後にデューティ比を下げるように構成しても良い。このように、着座するまでは高いデューティで締め続けているのでフリーランの状態から着座した瞬間に高いトルクまで締め付けることができる。そしてその後にデューティ比を下げて締め付けを継続することで、締付トルクが一定の値に近づくことになりねじ毎の締付トルクのばらつきを抑えることができる。
次に図10を用いて、本発明の第1の変形例について説明する。図7に示した各動作モードでのデューティ比の設定においては、すべての動作モードにおいて締め付け初期のデューティ比と、締め付け後期のデューティ比の組が異なるように設定された。第1の変形例では、動作モード4のデューティ比324だけは締め付け初期のデューティ比D43と、締め付け後期のデューティ比3D44が100%のままで不変とし、動作モード1〜3におけるデューティ比321〜323は締め付け初期のデューティ比D13〜D33が、締め付け後期のデューティ比D14〜D34よりも低くなるように割り当てた。この変形例による制御は、モータ3をデューティ比100%で連続稼働させても問題が無い場合において有効な制御方法で有り、動作モード4を用いればモータ3の性能をフルに利用した高速高トルクによる締め付け作業が実現できる。尚、締め付け初期の区間(時刻0〜負荷発生まで)においては、動作モード毎のデューティ比にわずかながら差を設けて、トリガを引いた瞬間にどの動作モードが設定されているかモータの回転状況、回転音などで識別できるように構成したが、締め付け初期の区間(0〜時刻t)において動作モードに関わらずにデューティ比を一定、例えば100%に設定しても良い。
次に図11を用いて、本発明の第2の変形例について説明する。第2の変形例では図7に示した各動作モードでのデューティ比の設定と基本的に同じであり、これにモータの起動時にいわゆるソフトスタート方式を併用するように制御するものである。トリガ8を引いてモータ3を起動させる場合に、モータ3をいきなり高デューティ比で制御すると、始動電流が大きくなってしまい、モータ3などの急激な動作により動力伝達機構に機械的なストレスを与えてしまう場合がある。そこで本変形例においては、トリガ8を引いた直後においては、トリガ8の引き量と連動させずに、又は、連動させながら所定の上昇率でデューティ比を徐々に上昇させるソフトスタート方式を採用した。このようにソフトスタートによりモータ3を起動させるので、締め付け開始時に先端工具がねじ頭から外れる等の減少を大幅に防止できる。デューティ比の急上昇を抑えて所定のデューティ比まで徐々に上昇させるソフトスタート区間は、モータ3の種類や動力伝達機構に機械的な特性等を考慮して、予め適切な時間範囲を設定しておくと好ましい。尚、図11ではソフトスタート時のデューティ比の立ち上がり、即ちデューティ比の増加率が動作モード毎に異なるようにして、ソフトスタート区間の終了時には設定されたデューティ比に到達しているように構成した。但し、ソフトスタート時の制御方法はこれだけに限られずに、デューティ比の増加率が動作モードにかかわらずにすべて同じになるようにして、動作モード毎にソフトスタート区間の長さが異なるように設定しても良い。
以上、本発明を実施例に基づいて説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。例えば、上述の実施例ではバッテリで駆動されるインパクト工具の例を用いて説明したが、本発明はコードレスタイプの工具に限られず、商用電源を用いた電動工具であっても同様に適用できる。また、トリガを引き始めてから引き終えるまでの間に、トリガの引き量と設定デューティ比の関係を変更するようにする制御は、半導体スイッチング素子を用いてモータへの駆動電力を制御してモータの回転を制御する電動工具、インバータ回路のPWM制御によってブラシレスDCモータを駆動する電動工具等に広く用いることができ、例えばドライバドリル、いわゆる電子パルス方式のインパクトドライバ等にも同様に適用できる。
1 インパクト工具 2 ハウジング
2a (ハウジングの)胴体部 2b (ハウジングの)ハンドル部
2c (ハウジングの)バッテリ取付部 3 モータ
4 ステータ 4a 巻線
5 ロータ 5a マグネット
6 回転軸 7 スイッチ回路基板
8 トリガ 9 制御回路基板
10 正逆切替レバー 11 バッテリ
12 インバータ回路基板 13 ロータファン
14 スイッチング素子 15 ハンマケース
17a 空気取入口 17b スリット
18 スリット 19a、19b ベアリング
20 減速機構 21 インパクト機構
22 ベアリング 23 スプリング
24 ハンマ 25 スピンドルカム溝
26 ボール 27 スピンドル
28 ハンマカム溝 29 メタル
30 アンビル 30a 取付穴
31 装着機構 32 シャント抵抗
33 位置検出素子(ホールIC) 34 温度検出用素子(サーミスタ)
35 スペーサ 36 スリーブ
37 電源回路 38 インバータ回路
39 制御手段 40 演算部
41 電流検出回路 42 スイッチ操作検出回路
43 印加電圧設定回路 44 回転方向設定回路
45 回転子位置検出回路 46 回転数検出回路
47 温度検出回路 48 制御信号出力回路
49 打撃衝撃検出回路 50 打撃衝撃検出センサ
51 照明手段 52 表示手段
53 ダイヤルスイッチ(第2の設定手段)
54 トルク切替スイッチ(第1の設定手段)
55 操作パネル 58 回転数
71 回転数 72 電流値
73 打撃トルク 100 デューティ比
101〜103 回転数 158 モータ回転数
301〜304、311〜314 デューティ比
321〜324、331〜334 デューティ比

Claims (10)

  1. 半導体スイッチング素子をPWM制御することにより駆動されるモータと、前記モータによって先端工具を駆動するための動力伝達機構と、前記モータの回転をデューティ比によって制御する制御手段を有する電動工具であって、
    前記モータの最高回転数の異なる複数の動作モード、又は、締付トルク値の異なる複数の動作モードを有し、
    複数の前記動作モードのうちいずれか1つ以上に、回転開始後の区間に用いられる高いデューティ比と、回転停止前の区間に用いられる低いデューティ比の異なるデューティ比が割り当てられることを特徴とする電動工具。
  2. 複数の前記動作モードのうちいずれかの動作モードにおいて、前記モータの回転開始後から回転停止まで同一のデューティ比にて前記モータが制御され、残りの動作モードでは前記高いデューティ比から前記低いデューティ比に切り換えて制御されることを特徴とする請求項1に記載の電動工具。
  3. 複数の前記動作モードのうちすべての動作モードにおいて、高いデューティ比と低いデューティ比が割り当てられ、
    前記各動作モードの高いデューティ比はそれぞれが異なり、前記各動作モードの低いデューティ比はそれぞれが異なるように設定されることを特徴とする請求項1に記載の電動工具。
  4. 前記モータまたは前記半導体スイッチング素子に流れる電流値を検出する電流検出手段を設け、
    前記制御手段は、前記高いデューティ比での駆動時に前記電流検出手段によって検出された電流値Iがしきい値を超えた時に前記高いデューティ比から低いデューティ比に切り換えることを特徴とする請求項2又は3に記載の電動工具。
  5. 前記モータまたは前記半導体スイッチング素子に流れる電流値を検出する電流検出手段を設け、
    前記制御手段は、前記高いデューティ比での駆動時に前記電流検出手段によって検出された電流値の増加率ΔI/Δtがしきい値を超えた時に前記高いデューティ比から低いデューティ比に切り換えることを特徴とする請求項2又は3に記載の電動工具。
  6. 前記先端工具の締め付けトルクを検出するトルク検出手段を設け、
    前記制御手段は、前記トルク検出手段によって検出されたトルク値がしきい値を超えたときに前記高いデューティ比から低いデューティ比に切り換えることを特徴とする請求項2又は3に記載の電動工具。
  7. 制御装置は、前記モータの起動時にデューティ比を徐々に増大させるソフトスタートにて制御し、
    複数の前記動作モードのうち、すべての動作モードにおいて前記ソフトスタートにおけるデューティ比の増加率が異なるようにしたことを特徴とする請求項4から6のいずれか一項に記載の電動工具。
  8. 制御装置は、前記モータの起動時にデューティ比を徐々に増大させるソフトスタートにて制御し、
    複数の前記動作モードのうち、すべての動作モードにおいて前記ソフトスタートにおけるデューティ比の増加率が同じになるようにしたことを特徴とする請求項4から6のいずれか一項に記載の電動工具。
  9. 複数の動作モードによってそれぞれ異なる最高回転数を設定することにより、複数の締め付けトルクにて締め付け作業を行う電動工具において、
    各動作モードにおける最高回転数は、締め付け初期の最高回転数と、締め付け後期の最高回転数の組によって設定され、
    上記動作モードのうち少なくとも1つ以上の動作モードにおいて、前記締め付け初期の最高回転数は前記締め付け後期の最高回転数よりも大きくなるように設定したことを特徴とする電動工具。
  10. すべての動作モードにおいて、前記締め付け初期の最高回転数が前記締め付け後期の最高回転数よりも大きくなるように設定したことを特徴とする請求項9に記載の電動工具。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019072823A (ja) * 2017-10-18 2019-05-16 株式会社マキタ 電動作業機
CN111756307A (zh) * 2019-03-28 2020-10-09 南京德朔实业有限公司 电动工具
WO2020255584A1 (ja) * 2019-06-18 2020-12-24 パナソニックIpマネジメント株式会社 電動工具

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