JP2011001081A - チップ型電子部品収納台紙及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】チップ型電子部品実装時の実装ミスや紙粉発生に起因する異物付着等のトラブルを起こしにくいチップ型電子部品収納台紙を提供する。
【解決手段】表層、単層又は複数層からなる中層、及び裏層からなる多層紙基材にチップ型電子部品を収納する凹部又は穿孔部が設けられたチップ型電子部品収納台紙であって、
前記多層紙基材は、その表層以外の層が、該表層以外の層の全パルプの5〜70質量%の古紙パルプと、灰分として古紙由来の無機充填材を0.5〜15質量%含有し、かつ該表層以外の層をJIS P8220のパルプ離解方法により離解して、JAPAN TAPPI No.52で規定された光学的自動計測法でのパルプ繊維長試験法により測定された繊維長の数平均算出時の繊維長分布において、0.2mm以下の微細繊維の割合が20%以上の層であることを特徴とする、チップ型電子部品収納台紙。
【選択図】 なし

Description

本発明は、紙製チップ型電子部品収納台紙及びその製造方法に関するものである。より詳しく述べるならば、本発明は、チップ型電子部品が収納される孔をパンチ(貫通孔)又はエンボス(凹部)加工する際の形成精度が良好で、更に金型磨耗が少ない多層紙基材とその製造方法、及び作業性に優れたチップ型電子部品収納台紙に関するものである。
紙製チップ型電子部品収納台紙は、通常、台紙用紙基材を次のように加工処理して台紙とし、チップ型電子部品のキャリアとして使用される。
(1)台紙用紙基材を所定の幅にスリットする。
(2)所定大きさの角孔と丸孔を開ける(パンチ加工)。角孔はチップ型電子部品収納用で、丸孔(貫通孔)は電子部品の充填機内送り用である。
(3)台紙用紙基材の裏面(ボトム側)にカバーテープを接着して台紙とする。なお、角孔を開けないで、所定の大きさの角状エンボンス加工をすることもあり、この場合、カバーテープ接着工程は省かれる。台紙用紙基材とカバーテープを接着する方法は、台紙用紙基材とカバーテープを重ね、カバーテープ上から熱と圧力を加えて接着する、いわゆるヒートシール法で行われる。
(4)チップ型電子部品を台紙の角孔に充填する。
(5)台紙の表面(トップ側)にヒートシール法によってカバーテープを接着する。
(6)所定の大きさのカセットリールに巻き付け、チップ型電子部品を収納した状態で出荷する。
(7)最終ユーザー(実装メーカー)でトップ側カバーテープを剥がし、チップ型電子部品を取り出し、プリント基板に実装される。
以上のように使用されることから、収納台紙に求められる品質には、充填したチップ部品の品質へ悪影響を及ぼさないこと、さらに、カバーテープが良好に接着されるように表面平滑性を有すること、カセットリールへの巻き付け時の曲げ応力などによる層間剥離や、台紙割れなどを生じない強度を有すること、チップ部品を挿入する角孔(以下キャビティと記す)の形成精度が良好で、部品の充填、取り外し性が良好であること、キャビティ形成に使用する金型の摩耗が少ないこと等が挙げられる。
このうち、収納台紙の品質欠陥として問題となるものの1つに、パンチ機又はエンボス機でキャビティ形成時に、壁面がシャープ(正確な寸法)に形成されず、チップ型電子部品の挿入及び取り出し不良が発生することがある。このようにキャビティ形成性が悪化すると、チップメーカーでチップ充填又は実装メーカーで部品取出しする際にひっかかりトラブルとなるので、形成精度をあげるために、金型を研磨仕直すか、又は新調する必要があり、時間ロス、歩留まりロスなど操業性を著しく悪化させ、結局コスト増となるなど大きな問題となる。
これまで、金型の磨耗性を改善する技術としては、金型自体の改良も行われているが、チップ型電子部品を収納する台紙側での改良も求められている。台紙側の改良技術としては、特許文献1や特許文献2に記載されている、紙の密度でキャビティの形成性を向上させる技術や、特許文献3に記載されている、紙の縦方向及び横方向の破断伸びでキャビティ加工性を管理する技術や、灰分量を規定するもの(特許文献4)等があるが、収納される電子部品が微小化していることもあり、全てに対応可能な技術にはなっていないのが現状である。
また、充填したチップ部品への悪影響として、チップ型電子部品の錆が挙げられている。チップ型電子部品には導電性物質として銀を素材として含有している場合がある。紙製の収納台紙の場合には、パルプの原料や、製造過程で使用される薬品により、銀の腐食を発生する場合がある。
古紙の配合量が多い場合には還元性硫黄が硫化水素として遊離発生し、チップ型電子部品の金属部分を腐食してしまい、その結果ユーザー先では主にハンダ付け工程でのトラブルが発生し、チップ型電子部品を使用する製品における不良率が増加して、ユーザーに甚大な被害を与えるおそれがある。
また、品質保証を確保するために、原料及び製品の夫々について錆発生の有無を試験しなければならず、膨大な量のサンプルを前にその試験だけのための人員、及び時間を割かなければならず効率的でない。
実験によれば、チップ型収納台紙を細菌ポテンシャルの高い状態、即ち繁殖の最適状態である30〜50℃付近、或いはグラム陰性菌の発育最適pHである酸性領域の状態で保管すると、チップの錆発生率はさらに増加するという結果が出ている。これは抄紙時のpH、及び保管、運搬の温度条件(特に夏場の倉庫内及び輸出する場合の赤道通過時の船庫内)に合致することになり、必ずしもユーザー先での使用時まで品質保証できるとは限らないため、大きな問題になっている。
特開2000−43975号公報 特開2002−53195号公報 特開2003−95320号公報 特開2006−143227号公報
本発明の目的は、チップ型電子部品を収納する角孔(キャビティ)の形成精度が良好で、角孔をパンチ又はエンボス加工する際の金型磨耗が少なく、作業性に優れ、マウンターでのチップ型電子部品実装時の実装ミスや紙粉発生に起因する異物付着等のトラブルを起こしにくいチップ型電子部品収納台紙に加工できる紙基材と、さらに保存時に錆が生じにくい特性をも備えたチップ型電子部品収納台紙に加工できる多層紙基材と、該紙基材から形成されているチップ型電子部品収納台紙、及びそれらの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、チップ型電子部品収納台紙に使用する紙基材用の原材料、特に、古紙パルプ及び古紙パルプに含有される無機充填材とパンチ加工・エンボス加工時の作業性との関係を鋭意検討することにより、以下に示す発明を完成するに至った。
(1)表層、単層又は複数層からなる中層、及び裏層からなる多層紙基材にチップ型電子部品を収納する凹部又は穿孔部が設けられたチップ型電子部品収納台紙であって、
前記多層紙基材は、その表層以外の層が、該表層以外の層の全パルプの5〜70質量%の古紙パルプと、灰分として古紙由来の無機充填材を0.5〜15質量%含有し、かつ該表層以外の層をJIS P8220のパルプ離解方法により離解して、JAPAN TAPPI No.52で規定された光学的自動計測法でのパルプ繊維長試験法により測定された繊維長の数平均算出時の繊維長分布において、0.2mm以下の微細繊維の割合が20%以上の層であることを特徴とする、チップ型電子部品収納台紙。
(2)前記多層紙基材は、銅化合物を含有していることを特徴とする、(1)項記載のチップ型電子部品収納台紙。
(3)前記多層紙基材は、銅の質量として10〜1000ppmの銅化合物を含有することを特徴とする、(1)項又は(2)項に記載のチップ型電子部品収納台紙。
(4)前記多層紙基材は、硫酸塩、塩酸塩、硝酸塩、酢酸塩からなる群から選ばれる水溶性の銅化合物を含有することを特徴とする、(1)項〜(3)項のいずれかに記載のチップ型電子部品収納台紙。
(5)前記古紙パルプは、古紙を離解処理後に分散処理して、JIS P8251に準じて測定した場合の灰分量が0.7〜25質量%の古紙パルプであることを特徴とする、(1)項〜(4)項のいずれかに記載のチップ型電子部品収納台紙。
(6)前記無機充填材は、質量平均粒子径が50μm未満で、かつ、50μm以上の質量比率が40%未満である、(1)項〜(5)項のいずれかに記載のチップ型電子部品収納台紙。
(7)前記表層以外の層の0.2mm以下の微細繊維の割合が、20〜70%、より好ましくは30〜70%であることを特徴とする、(1)項〜(6)項のいずれかに記載のチップ型電子部品収納台紙。
(8)前記表層以外の層が紙力増強剤を含有する層からなることを特徴とする、(1)項〜(7)項のいずれかに記載のチップ型電子部品収納台紙。
(9)前記(1)項〜(8)項に記載の表層、単層又は複数層からなる中層、及び裏層からなる多層紙基材にチップ型電子部品を収納する凹部又は穿孔部が設けられたチップ型電子部品収納台紙のいずれかを製造する方法であって、
灰分としての無機充填材を5質量%以上含有する原料古紙をパルパー又は離解処理機能を有する機械で離解し、除塵処理を施した後に分散処理を施して灰分量が0.7〜25質量%の古紙パルプを調製する工程、
該古紙パルプをパルプ原料の少なくとも一部として使用して前記単層又は複数層からなる中層、及び裏層形成用のパルプスラリーを調製する工程と、別に、該古紙パルプを含まない前記表層形成用パルプスラリーを調製する工程、とを有する多層抄き用パルプスラリーを調製する工程、
前記表層形成用パルプスラリーと、前記中層及び裏層形成用のパルプスラリーとから多層抄きにより、表層、単層又は複数層からなる中層、及び裏層からなる多層紙基材を形成する工程、
形成された多層紙基材を所定幅に切断して帯状の多層紙基材を形成する工程、
該帯状の多層紙基材にチップ型電子部品を収納する凹部又は穿孔部を形成する工程、
を有しており、
前記単層又は複数層からなる中層形成用及び裏層形成用のパルプスラリーを調製する工程は、該パルプスラリーから形成される中層と裏層を合わせて、全パルプの5〜70質量%が古紙パルプよりなり、灰分として古紙由来の無機充填材を0.5〜15質量%含有し、かつ形成される中層及び裏層を合わせてJIS P8220のパルプ離解方法により離解し、JAPAN TAPPI No.52で規定された光学的自動計測法でのパルプ繊維長試験法により測定した繊維長の数平均算出時の繊維長分布において、0.2mm以下の微細繊維の割合が20%以上の層を形成できる組成を有するパルプスラリーを調製する工程であることを特徴とする、チップ型電子部品収納台紙の製造方法。
(10)前記古紙パルプをパルプ原料の少なくとも一部として使用して単層又は複数層からなる中層、及び裏層形成用のパルプスラリーを調製する工程が、さらに、銅化合物が添加されているパルプスラリーを形成する工程であることを特徴とする、(9)項記載のチップ型電子部品収納台紙の製造方法。
(11)前記帯状の多層紙基材にチップ型電子部品を収納する穿孔部を形成する工程に引き続いて、多層紙基材のボトム側にヒートシール性カバーテープを熱圧着する工程を有する、(9)項又は(10)項に記載のチップ型電子部品収納台紙の製造方法。
(12)前記古紙パルプを調製する工程が、無機充填材の質量平均粒子径が50μm未満で、50μm以上の質量比率が40%未満であり、JIS P8251に準じて測定した場合の灰分量が0.7〜25質量%である古紙パルプを調製する工程であることを特徴とする、(8)項〜(11)項のいずれかに記載のチップ型電子部品収納台紙の製造方法。
(13)前記分散処理がディスパーザー又はホットディスパーザーを用いる分散処理であることを特徴とする、(9)項〜(12)項のいずれかに記載のチップ型電子部品収納台紙の製造方法。
本発明により、キャビティ加工での金型の磨耗が少なく、紙粉の発生のないキャビティの形成が可能である電子部品収納台紙用の多層紙基材と、電子部品の収納、取り出しをスムーズに行うことができ、チップ型電子部品実装時の実装ミスや紙粉発生に起因する異物付着等のトラブルを起こしにくいチップ型電子部品収納台紙が提供される。
また、本発明により、さらに保存時に錆が生じにくい特性をも備えたチップ型電子部品収納台紙に加工できる多層紙基材が提供される。
本発明のチップ型電子部品収納台紙は、台紙用の多層紙基材の表層以外の層にのみ、古紙パルプと古紙由来の無機充填材を含有する。
フレッシュなパルプ繊維は、繊維が比確的硬く、繊維長が長く、断面が真円に近いものが多い。それに対して、古紙パルプは、一度紙になり、それが再生される工程の中で、各種の器械による離解、叩解、乾燥、抄紙の各工程(履歴)を繰り返す間に、薬品及び器械によるダメージで繊維が短くなり、微細繊維と呼ばれる繊維長が0.2mm以下の繊維の割合が多くなる。これらの微細繊維はフレッシュパルプのような太い繊維のネットワークの繊維と繊維の交点を補強する役割を果たす。また、台紙用紙基材にパンチ加工用の雄型が降りてきた時に、太い繊維であるフレッシュパルプだけで構成された紙基材の場合には繊維と繊維が離れやすいのに対して、古紙パルプを含む紙基材は微細繊維が多く含まれていることにより、切り口の部分でも太い繊維が結合したままであるため、切り口がシャープになり精度が良くなるものと考えられる。
また、無機充填材は繊維同士の結合を阻害し、繊維間結合を小さくするため、パンチ加工、又はエンボス加工の際の金型へのストレスを軽減し、磨耗を抑制する働きがある。そのために、本発明の多層紙基材の場合、表層以外の層に、表層以外の層の全パルプ中5〜70質量%の割合で古紙パルプを含有するとともに、表層以外の層に灰分として0.5〜15質量%の範囲で古紙由来の無機充填材を含有する。
古紙パルプは、好ましくは、表層以外の層のパルプの10〜50質量%含有する。5質量%未満の含有量では所望の効果を得られにくいし、含有率が70質量%を超えると繊維間結合強度が弱くなり過ぎて、層間剥離が発生する可能性があるため好ましくない。
上記多層紙基材から形成される台紙は、チップ型電子部品を収納後にトップカバーテープを貼った状態で出荷され、最終ユーザーにおいてトップカバーテープが剥がされ、チップ型電子部品を取り出されるため、台紙の表層にはトップカバーテープとの接着性と適度な剥離性が求められる。そのため、平滑性や、表面処理剤の均一性が求められる表層には無機充填材を含有する古紙パルプを含有させることは好ましくない。
本発明で使用される古紙パルプは、例えば、上白、罫白など、一度使用されているが印刷部分の極めて少ないもの、また、カード・模造・色上・ケント・白アートなどの印刷物や色づけされ一度は使用された紙類、印刷用塗工紙、飲料用パック、オフィスベーパー等使用済みの上質系古紙、さらに、特上切・別上切・中質反古・ケントマニラ等の事業系中質古紙、新聞・雑誌等の一般中質古紙、切茶・無地茶・雑袋・段ボール等の茶系古紙、等から得られた古紙を原料とし、脱墨工程を経て、インク成分を取り除いた脱墨パルプが好ましい。さらに、本発明では古紙中の無機充填材を有効に利用するために、古紙原料中に無機充填材を5%以上含有する古紙を原料として使用するのが好ましい。
古紙パルプとして脱墨古紙パルプが好ましい理由は、キャリアテープとして電子部品を入れるための孔(キャビティ)の中にインク由来の色のついた汚れ状のものがあると、部品収納時又は部品取り出し時に、検査工程の画像処理によって部品と間違って判別される可能性があるためである。
一般に、古紙パルプは、離解パルプと脱墨パルプに分けられる。離解パルプの製造工程は、パルパーにて水あるいは水酸化ナトリウムのようなアルカリ成分を含んだ水とで混合・離解し、その後、除塵工程(クリーナーやスクリーン)でパルプ繊維以外の異物を取り除く工程を経て製造される。このパルプは、もともと印刷されていない古紙を利用したり、コートボールの中層に使用されるパルプのように、少々黒ずんでいても多層抄きのため品質上問題のない部分に使用されるパルプである。一方、脱墨パルプは、主に印刷された紙をパルプとして再利用する際の工程であり、離解パルプと同様に、最初にパルパーにて離解後、希釈されて脱墨工程を経る。脱墨工程としては、フローテーターと呼ばれるインキ分離工程、及び/又は、ニーダーやディスパーザーと呼ばれる分散機によりインキを人間の目には認識できなくなるまで細かく分散させる、インキ分散工程を持っているのが一般的である。
本発明では、台紙の表層以外の層の灰分含有量が0.5質量%以上15質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは1.0質量%以上10質量%以下である。古紙を使用すると0.5質量%未満の達成は経験(事実)上難しく、また、15質量%を越えると、原紙の内部強度、例えばZ軸強度が低下し、電子部品収納台紙がテープ加工・部品の充填・実装時の曲げなどの応力で剥離を起こしやすくなり、好ましくない。
本発明の台紙で、表層以外の層の灰分として0.5質量%〜15質量%含有されるものは古紙パルプ由来の無機充填材である。
填料として1〜10μmのものを使用すると好ましいと記載されている先行文献もあるが、新たに添加するのは不経済であり、微細なため歩留まり性も悪い。また、パルプとの結合性が弱いため、紙粉の発生を起こす可能性がある。古紙パルプ由来のものはパルプ繊維との結合性が強いため好ましい。
本発明の台紙では、台紙の表層以外の層をJIS P8220のパルプの離解法により離解して、JAPAN TAPPl No.52で規定した光学的自動計測法でのパルプ繊維長試験方法により測定された繊維長の数平均算出時の繊維長分布において、0.20mm以下の微細繊維が20%以上である層とすることが打ち抜き適性を向上させるため好ましい。
微細繊維は20%〜70%の範囲が好ましく、より好ましくは30%〜70%である。微細繊維が20%未満では、所望の打ち抜き適性が得られないし、70%を越えると原料の濾水性が悪くなり、抄造に支障をきたすおそれがあるためである。
古紙パルプを配合して微細繊維の量を増やすことにより、打ち抜き適性を良化することができるのは以下のように説明できる。フレッシュなパルプ繊維のみであると、繊維が比較的硬く、繊維長が長く断面が真円に近いものが多い。それに対して、古紙パルプの場合は、一度紙になり、それがまた再生される工程の中で、パルプ化及び製紙に必要な各種機械による叩解、乾燥、抄紙、離解の各工程(履歴)を繰り返す間に薬品及び機械によるダメージで繊維が短くなり、微細繊維と呼ばれる繊維長が0.20mm以下の繊維の割合が多くなる。これら微細繊維を多く含むことにより、微細繊維がフレッシュパルプのような大きい繊維のネットワークの繊維と繊維の交点を補強する役割を果たす。また、パンチ加工時の雄型が降りてきた場合に、フレッシュパルプだけで構成されているものは、太い繊維と繊維が離れやすいのに対し、微細繊維が多く含まれるものは、微細繊維により切り口の部分でも太い繊維同士が結合したままであるため、切り口がシャープになり、精度が良くなっているものと考えられる。
さらに、本発明では、チップ挿入後の収納台紙保存時の錆を防止するため、錆を発生させる要因となる硫化水素を吸着固定することができる金属塩類を台紙中に含有させることが好ましい。金属塩類としては、特に銅化合物が好ましい。
銅の含有量は質量として、台紙中に10〜1000ppm含有することが好ましく、更に好ましい範囲としては、10ppm〜300ppmである。10ppm未満では硫酸塩還元細菌の増殖にともなう硫化水素の発生分が吸収されず、錆の発生を抑えることができないため好ましくない。また1000ppmを超えると、効果が頭打ちになり、さらに多量に入れると、特に銅化合物では、水溶液が青色に着色していることが多いからパルプ自体の色目が変化してしまい好ましくない。
前記銅化合物を台紙中に含有させるには、銅化合物を水溶液にして添加する方法が簡便であり、またパルプスラリーに添加・攪拌することで均一に金属イオンを分散させることができるため好ましい。チップ型電子部品収納台紙はチップ型電子部品を収納するキャビティが形成されてその中にチップ型電子部品が収納されるため、収納台紙全体で硫化水素を固定する必要があり、塗布や含浸では不十分となるため好ましくない。収納台紙の坪量は収納されるチップ型電子部品により様々であるが、一般に200〜1000g/m程度であり、坪量の大きなものは地合いの取りやすい多層抄き、通常3〜10層で抄造されるため、均一な防錆効果を達成するためにもパルプスラリーへの添加が好ましい。
前記銅化合物としては、水溶液として添加できる、硫酸、塩酸、硝酸、酢酸との塩が好ましい。硫酸銅、硝酸銅、塩化第一銅、塩化第二銅等の銅化合物が挙げられる。中でも薬品の安定性、作業環境、安全性の面から硫酸銅がもっとも好ましい。硫酸銅は食品添加物として使用されており、安全性には問題がない。廃棄物として燃焼させたときにも問題が無い。また、灰からの溶出基準もなく、環境に影響を与えるものではないため、好ましい。
銅化合物は、チップ型電子部品収納台紙中に有効量が存在すれば、実用的な範囲での防錆効果を発揮するが、最も効率的な方法としては、銅化合物を表裏層以外に含有することが好ましい。表裏層以外の層(中層)は収納されたチップと接する可能性も大きく、表裏層はカバーテープとの接着性、剥離性への影響について考慮する必要と色目の問題などがある。中層に銅化合物を含有させることで、台紙全ての層に銅化合物を含有させた場合と同等の効果が得られ、発生する硫化水素を固定することができ、錆の発生を抑えることができる。
銅化合物は、中層用スラリーのみに添加して多層抄することにより、中層に含有させることが可能である。中層に添加するだけで全ての層に添加する場合と同等の効果が得られる理由は定かではないが、多層抄紙時の脱水時に銅化合物が他の層に脱水される水とともに移動することが考えられる。
銅化合物を台紙表裏層用パルプスラリーに主に添加し、台紙中層用パルプスラリーには添加しない場合、添加量によっては、台紙中に均一に銅化合物が存在しなくなり、中層部分から硫化水素が発生してしまうおそれがある。
また、古紙パルプを配合した場合、フレッシュな晒化学パルプ(BKP)と比較すると、板紙としての各種強度が低下してしまう。その理由は、既に説明したとおり、紙が再生される際に各種機械的処理を受けていることにあるが、それ以外にも、古紙の中には、非塗工紙(原紙の上にピグメント塗工されていない紙)の他、塗工紙(原紙の上にピグメント塗工された紙)も多く含まれるため、塗料の成分である顔料成分、原紙の中に内添されていた填料成分、等の無機充填材が含まれており、本来、紙の強度を出すパルプ繊維間の水素結合が阻害され、紙として抄かれた場合、強度が出にくくなってしまうことが挙げられる。そのため、本発明では、古紙パルプは表層以外の層に配し、表層以外の層のパルプの5〜70質量%の範囲にし、更に、無機充填材は、表層以外の層に、灰分として0.5〜15質量%となるようにする。
表層以外の層の灰分を0.5質量%〜15質量%にするには、古紙と、各種フレッシュパルプ、例えば、化学パルプ、機械パルプ、非木材パルプと各種古紙パルプとの配合により達成できる。具体的には、古紙パルプの原料の古紙を選択すること、古紙パルプの処理工程において、フローテーターに代表される脱墨工程、フォールウォッシャー、バルブレスフィルター等に代表される洗浄工程による調整、又は古紙パルプの配合比等により原料パルプ中の灰分を調整することができる。
古紙パルプの多配合、原料古紙中の灰分の再利用は、原料のリサイクルの面からも好ましい。
古紙パルプ中の無機充填材は、元々古紙の内部に抄き込まれた填料や、古紙の表面に塗布された塗工層の顔料等が主な成分であるが、大きな無機充填材は塗工層由来であることが多い。塗工層は、紙に印刷適性等を付与するために塗られたものであり、その厚さは様々であるが、塗工紙と呼ばれる部類の紙には5μm〜30μm程度塗布されているのが一般的である。これらは、古紙分散処理の間に、粉々にされ分散されて古紙パルプ成分の一部となるが、分散しきれずに大きな無機充填材として残ってしまうのが問題となる。
本発明では、無機充填材は填料や顔料由来のものであり、好ましい大きさとしては質量平均粒子径で50μm未満のものである。粒子が50μmを下回っていれば、金型がパンチされた際に粒子が逃げることができ、直接金型を磨耗させることはない。50μmを超えるものが多いと、収納するチップ型電子部品が微小なものの場合にはキャビティ形成時に金型に当たる頻度が増えるため、無いことが一番であるが、質量比で40%未満であれば、金型磨耗に与える影響が少ないため、40%未満になるように制御する。更に好ましくは30%未満に制御する。
本発明では、粒子径を質量平均粒子径で規定する。その理由は、数では圧倒的に粒子径が小さいものが多い場合であっても、100μmを越えるような大きな粒子が少数でもあれば金型によるパンチ時に大きな粒子を切断する確率が急激にアップするためである。
無機充填材は、古紙の処理工程の中で繊維と分離して次第に細かくなるが、元々は薄い平面状となっている。大きな塊はさらなる古紙処理の間に粉々になり、1つの大きな塊が数十〜数百の小さい粒子に分散されることがある。そのため、無機充填材は数で計算されるものではなく、質量比率で計算される。本発明では質量比率を、チップ型電子部品収納台紙の断面を観察したときの、個々の無機充填材の最大長さを測定することにより算出する。元々の粒子が平面状のため、厚さ方向(Z方向)よりも2次元的(X−Y方向)に切断されるため、粒径の2乗値を用いることにより簡易的に計算される。本発明では、粒径50μm以上の質量比率が40%未満となるようにする。
本発明では、古紙処理工程において、離解工程と分散工程が重要である。古紙の中には、特に雑誌古紙のように顔料を含むコート層を持つ、所謂塗工紙が多量に含まれており、古紙離解段階で十分に分散しなかった場合、特に厚いコート層の場合は、比較的大きな塊となって残ってしまう。このような古紙パルプが配合された台紙にパンチ加工あるいはエンボス加工を行うと、金型の磨耗を早めるおそれがある。コート層はごく薄い層であるため、除塵設備を通過し、最終原料に残る可能性があるので、特に分散工程により、前記の無機充填材の大きさまでに分散する必要がある。
分散処理に使用できる機械としては、ファイナー、コニファイナー、トップファイナー、コニディスク、デフレーカー、コニカルフレーカー、パワーファイナー等の離解機、リファイナー、ダブルディスクリファイナー、ビーター等の叩解機、ニーダー、ディスパーザー、ディスパージャー、ホットディスパージョン設備、ニュータイゼン等の混練・分散機が使用できる。
印刷済みの古紙を処理する揚合についても、フローテーター等による脱墨処理を施した後、残インク分とともに灰分も分散できるという点で、固形分濃度5〜35質量%程度まで濃縮し、上記混練・分散機による処理を施すのが望ましい。
これらのうち、特に、ディスパーザー、ホットディスパーザーは、固形分濃度25%以上の高濃度で、フリーネスを極端に下げることなく、効率良く無機充填材を細かくすることができるので、好ましく使用される。中でも、ディスパーザー、ホットディスパーザーの処理時に蒸気・加熱器により80〜120℃程度の温度をかけることにより処理を効率化することが可能であるためさらに好ましい。
古紙パルプの分散工程に続き、さらに、パルプ洗浄工程を経ることで、古紙中の灰分量をさらにコントロールすることが可能となる。パルプ洗浄工程に使用できる機械としては、DNTウォッシャー、コンパクトウォッシャー、フォールウォッシャー、バリオスプリット、SPフィルター、DPコスモ、ギャップウォッシャー、等の洗浄装置が挙げられるが、これらに限定されるわけではなく、灰分を下げることができればどのような構造のものでも良い。
一般に、洗浄機に入る前のパルプを希釈し、固形分濃度を下げれば下げるほど、灰分の除去効率は向上する。パルプ分散機と併せてこれらの洗浄装置を使用することにより、灰分量が25質量%を超える古紙を多量に使用する場合でも、原料として古紙パルプの灰分量を0.7%〜25質量%に調整でき、この古紙パルプを台紙の表層以外の部分の原料として配合することにより、該部分の灰分量を0.5%〜15質量%の範囲にコントロールすることが可能である。
基材の表層以外の部分の灰分を0.5〜15質量%にするには、上記パルプと各種フレッシュパルプ、例えば、化学パルプ・機械パルプ・非木材繊維パルプ等を組み合わせて使用することにより適正配合の達成が可能である。
本発明で使用されるパルプは、公知の方法により叩解して使用することができるが、叩解しなくても問題はない。叩解機には特に限定はなく、ビーター、ジョルダン、デラックス・ファイナー(DF)、ダブル・ディスク・レファイナー(DDR)等、種々の叩解機が使用される。叩解する場合は、カナダスタンダードフリーネスで250ml〜560ml程度の処理が好ましく、更には300ml〜470mlが好ましい。560mlよりも高いと強度、特に層間強度が弱くなり好ましくない。一方、250mlよりも叩解を進めると、パルプ歩留の低下、原紙の高密度化による量目損の問題が生じるので、あまり好ましくない。
また、必要に応じて、種々の内添薬品を使用できる。例えば、ロジン系サイズ剤、スチレン・マレイン酸系樹脂、スチレン・アクリル系樹脂、スチレン・オレフィン酸系樹脂、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸など、天然及び合成の製紙用の内添サイズ剤、各種紙力増強剤、濾水歩留り向上剤、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン等の耐水化剤、消泡剤等が挙げられる。
本発明では、灰分により繊維間結合を阻害しているため、それだけでは層間強度を低下させる可能性がある。よって、分子量が200万以上の両性ポリアクリルアミド紙力増強剤を添加するのが好ましい。両性ポリアクリルアミドはアニオン部でパルプ繊維にアルミニウムを介して吸着、カチオン部では自己吸着でき、古紙及び/又は填料などに起因する系内pH変化の影響を受け難く、安定して繊維間結合を補強できる。その添加量としては、対パルプで0.5〜5.0質量%添加することが好ましい。また、カチオン化デンプン、カチオン化ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン、カチオン変性グアーガム、カチオン変性ポリビニルアルコール、その他のカチオン性高分子などを添加することも可能である。
本発明では、古紙パルプの配合は、表層にも施すことは可能であるが、好ましくは表層以外である。その理由は、電子部品収納台紙の表面は、カバーテープを通常ヒートシールにて接着して使用される品質管理上重要な部分であるため、種々の薬品を塗ることにより、カバーテープを剥がす時のピール強度を調整したり、剥がす時にケバが出ないように表面強度を強くしている。そのため、表層に古紙パルプを使用した場合、古紙パルプが薬品の浸透性に影響を及ぼしてこれらの重要品質が変動する可能性があるためである。
本発明のチップ型電子部品収納台紙の坪量は、中に収納するチップ型電子部品の大きさにより決ってくるが、一般に200〜1000g/m程度である。このような坪量範囲であるため、台紙基材の抄造方法としては、地合いの取り易い3〜10層の多層抄が好ましい。多層抄により得られた台紙は、層毎に剥がすことが可能なため、本発明では台紙のカバーテープに接する面である表層を剥がして、残された部分について特定するものである。多層抄のための抄紙機としては、円網多層抄、円網短網コンビネーション、短網多層抄、長網多層抄、等様々なタイプのものを用いることが可能であり、特に限定するものではない。
本発明では、カバーテープ、ボトムテープとの接着性及びケバ防止効果を向上させるために収納台紙の表面、裏面に、ポリビニルアルコール、デンプン、ポリアクリルアミド、アクリル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、スチレン−イソプレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系樹脂、酢酸ビニル−ビニルアルコール系樹脂、ウレタン系樹脂など必要な薬品を適宜塗布することが可能である。
また、表面処理剤には、カバーテープとの接着性を向上させ、さらに台紙表面の強度を高めるためにスチレン・マレイン酸樹脂、オレフィン・マレイン酸樹脂を含有させることができる。スチレン・マレイン酸樹脂、オレフィン・マレイン酸樹脂は疎水基と親水基を有しており、台紙表面に塗工することにより、表面のカバーリングのほか、紙層中に浸透し、親水基であるカルボン酸がパルプ繊維と水素結合を形成し、繊維間を架橋した状態にし、繊維間結合を大幅に向上させる。繊維間結合の向上により、カバーテープを剥がす際の抵抗力が向上し、剥離強度を強くするほか、チップ型部品の実装に悪影響するケバとなる繊維の抜けを防止出来る。
本発明において、上記のように台紙表面に表面処理剤を塗布・含浸する手段としては、例えば、バーコーター、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロッドコーター、ゲートロールコーターやサイズプレスやキャレンダーコーター等のロールコーター、ビルブレードコーター等の塗布装置が使用できる。中でも、サイズプレスやキャレンダーコーターがニップ圧により表面処理剤を深く浸透させやすいためが好ましい。
水溶性高分子の塗布量は、0.1g/m以上1.1g/m以下であることが好ましく、更に好ましくは0.6g/m以上1.1g/m以下である。1.1g/mを超えて塗布すると、カバーテープとの接着力が著しく弱くなり好ましくない。また、0.1g/mよりも少ないとケバや紙粉を抑える効果が弱い。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
各例中、配合、濃度等を示す数値は、固形分又は有効成分の質量基準の数値である。また、特に記載のない場合については、抄造した紙はJIS P 8111に準じて前処理を行った後、測定やテストに供した。
なお、電子部品収納台紙からの表層の取り除き方、表層以外の微細繊維比率の測定法、灰分の測定法、質量平均粒子径の計算方法、Z軸強度測定方法、金型打ち抜き適性評価方法、金型磨耗試験、台紙中に含まれる銅の含有量の測定方法、銀発錆試験方法の詳細は下記の通りである。
<電子部品収納台紙から表層の取り除き方法>
8mm幅のテープ状にスリットしたチップ型電子部品収納台紙を市販のα−アミラーゼ(ファンガミル、ノボザイムズ社製)を水で10倍に希釈したものの中に一昼夜浸漬し、十分に紙が湿潤して台紙が層状に分かれやすくなる状態になった後、表層1層分を剥がして分離し、残された表層以外の部分を測定に供した。
<表層以外の微細繊維比率の測定法>
台紙から表層を取り除いた電子部品収納台紙を使用して、ラボディスインテグレーターを用いたJIS P 8220のパルプの離解方法を用いて離解を行い、Kajaani社製の繊維長分布測定機「Fiber Lab」を用いて測定を行った(JAPAN TAPPI No.52)。測定繊維本数は10000本以上とし、数基準で求めた繊維長分布において0.2mm以下の微細繊維の割合(%)を求めた。
<灰分の測定>
JIS P 8251に準じて、525℃にて焼成して測定した。
<質量平均粒子径の計算方法>
電子部品収納台紙の断面写真を電子顕微鏡にて写真撮影し、まず、無機充填材のうち5μm以上の粒子の粒子径(最大箇所の大きさで)を100以上測定する。
そのデータを表1に示すとおり、(A)の区間毎に個数分類したものを数比率に変換した値(C)を求める。区間がkまであった時の質量比率、質量平均粒子径、50μm以上の粒子の質量比率は以下の式にて計算される。表1に実際の計算例を2例示す。
Figure 2011001081
Figure 2011001081
Figure 2011001081
Figure 2011001081
<Z軸強度>
TAPPI実用試験法UM584に準じて測定した。
<金型打ち抜き適性評価>
電子部品収納台紙を8mm幅のテープ状にスリットして、JIS C 806−3に準拠し、日本オートマチックマシン社製ACP505S型穿孔機を用いて2mm間隔で、幅方向1.12mm、流れ方向0.62mmの金型(1005電子部品用)を用いて角孔をあける。20個分の角孔部分を表面から実体顕微鏡で撮影し、拡大写真により角孔寸法を測定する。評価のグレードは次の通りである。
評価◎:角孔の流れ方向の最狭部の平均値(n=20)が0.58mm以上。
評価○:角孔の流れ方向の最狭部の平均値(n=20)が0.56mm以上。
評価△:角孔の流れ方向の最狭部の平均値(n−20)が0.54mm以上。
評価×:角孔の流れ方向の最狭部の平均値(n=20)が0.54mm未満。
<金型摩耗評価>
試料を8mm幅のテープ状にスリットして、JIS C 0806−3に準拠し、日本オートマチックマシン社製ACP505S型穿孔機を用いて、2mm間隔で幅方向1.12mm、流れ方向0.62mmの金型を用いて角穴を300万ショット開ける。300万ショット目の角穴断面部分をルーペで観察し、ケバ発生の良否で金型摩耗レベルを評価する。目視評価のグレードは次の通りであり、グレード2までが実用上使用できるレベルである。
グレード1:ケバが全く見られない。
(金型摩耗がほとんどない。)
グレード2:ケバが1.12mm辺の幅に1〜3本見られる。
(金型摩耗がわずかにある。)
グレード3:ケバが1.12mm辺の幅に4〜10本見られる。
(金型摩耗がややある。)
グレード4:ケバが1.12mm辺の幅に11〜20本見られる。
(金型摩耗がかなりある。)
グレード5:ケバが1.12mm辺の幅に20本以上見られる。
(金型摩耗がひどく、研磨又は取替段階である。)
<チップ型電子部品収納台紙中の銅含有量の測定方法>
以下の通り、前処理として台紙を密閉式湿式分解した後、高周波誘導プラズマ発光法(ICP)により、台紙中に含有される銅を定量した。
1)前処理(台紙の密閉式湿式分解)
まず、台紙サンプルをセラミック製はさみを用いて、2〜5mm角のサイズに裁断した。裁断した試料から0.2g正確に測り採り、これを密閉式弗素樹脂加工容器に移し、硫酸を2ml、硝酸を5ml添加し、この試料を湿式分解装置(アステック社製、型式:MARS5)にて分解させた。その後、弗素樹脂加工容器内の分解溶液を遠沈管に洗い移し、これを0.45μのメンブランフィルターでろ過したのち、全量を蒸留水で洗いながらフラスコで50mlに定容とした。
2)高周波誘導プラズマ発光法(ICP)による測定
上記の前処理した試料中の銅濃度を、ICP−OES(リガク製、型式:CIROS−120)を用いて測定した。尚、定量に際しては予め、含有量既知の金属塩標準液を用いて検量線を作製しておき、含有量(ppm)を算出した。また、検出限界は0.01ppmであった。
<チップ型電子部品収納台紙−銀発錆試験>
イ)金型磨耗評価にて使用された8mm幅にスリットされ、穿孔機によりパンチされた長さ250mmのサンプル(8mm×250mm)、枚数(8枚)を用意し、サンプル瓶に入れる。
ロ)電極部分に銀が使用されているチップコンデンサー2種類(1.25mm×2.05mm 厚さ大1.27mm 小0.59mm)を各々10ヶずつ試料(チップ)の入った瓶に入れ、堅くキャップをしめる。
ハ)この瓶を150℃に加熱してある乾燥機に1時間入れておく。
ニ)1時間処理した瓶からチップコンデンサーを乾いた濾紙の上に出し、速やかにポリ袋に入れ拡大鏡で表裏の錆の発生状況を観察する。
判定基準(B判定以上が実用可能範囲とされている。)
A:試験前と同様変化の無いこと。
B:若干茶色に変色したチップ3ヶ以内。
C:若干茶色に変色したチップ4〜6ヶ、又は茶色に変色したチップ1ヶと若干変色したチップ3ヶ以内。
D:茶色に変色したチップ4〜6ヶ、又は黒色に変色したチップ1ヶと茶色に変色したチップ3ヶ以内。
E:黒色に変色したチップ2ヶ以上。
<古紙パルプAの製造方法>
パルパーにて雑誌古紙(灰分20.3%)を離解し、除塵装置(クリーナー及びスクリーン)を通過させた後、固形分濃度1%まで水で希釈し、脱墨剤を加えて、フローテーターにて脱墨処理を施し、傾斜エキストラクター及びスクリュープレス脱水機で固形分濃度30%程度まで濃縮し、ホットディスパージョン設備(KRIMA製)を用いて、ギャップ0.2mm、温度110℃にて分散処理を行い、さらに水で希釈しながらパルプ洗浄機(DNTウォッシャー:相川鉄工製)に通すことにより、古紙パルプAを得た。このパルプの灰分を測定したところ7.3%であった。
<古紙パルプBの製造方法>
パルパーにてケント古紙(灰分33.2%)を離解し、除塵装置(クリーナー及びスクリーン)を通過させた後、傾斜エキストラクター及びスクリユープレス脱水機で固形分濃度30%程度まで濃縮し、ホットディスパージョン設備(KRIMA製)を用いて、ギャップ0.2mm、温度110℃にて分散処理を行い、さらに水で希釈しながらパルプ洗浄機(DNTウォッシャー:相川鉄工製)に通すことにより、古紙パルプBを得た。このパルプの灰分を測定したところ23.5%であった。
<古紙パルプCの製造方法>
パルパーにて雑誌古紙(灰分20.3%)を離解し、除塵装置(クリーナー及びスクリーン)を通過させた後、固形分濃度1%まで水で希釈し脱墨剤を加えて、フローテーターにて脱墨処理を施し、傾斜エキストラクターで固形分濃度5%程度まで濃縮し、ダブルディスクレファイナーを2段処理し、フリーネス358ml→187m1まで落すことにより、古紙パルプCを得た。このパルプの灰分を測定したところ16.8%であった。
<古紙パルプDの製造方法>
パルパーにてケント古紙(灰分33.2%)を離解し、除塵装置(クリーナー及びスクリーン)を通過させた後、ダブルディスクリファイナーに1回に通してフリーネスを358ml→330mlにすることにより、古紙パルプDを得た。このパルプの灰分を測定したところ29.1%であった。
<古紙パルプEの製造方法>
パルパーにて雑誌古紙(灰分20.3%)を離解し、除塵装置(クリーナー及びスクリーン)を通過させた後、固形分濃度1%まで水で希釈し脱墨剤を加えて、フローテーターにて脱墨処理を施し、傾斜エキストラクター及びスクリュープレス脱水機で固形分濃度15%程度まで濃縮し、ホットディスパージョン設備(KRIMA製)を用いて、ギャップ1.0mm、温度70℃にて分散処理を行い、さらに水で希釈しながらパルプ洗浄機(DNTウォッシャー:相川鉄工製)に通すことにより、古紙パルプEを得た。このパルプの灰分を測定したところ7.5%であった。
<古紙パルプFの製造>
パルパーにて雑誌古紙(灰分20.3%)を離解し、除塵装置(クリーナー及びスクリーン)を通過させた後、固形分濃度1%まで水で希釈し脱墨剤を加えて、フローテーターにて脱墨処理を施し、傾斜エキストラクター及びスクリュープレス脱水機で固形分濃度30%程度まで濃縮し、ディスパーザー(相川鉄工製、TLI型)を用いて、蒸気を加えながら90℃の温度にて分散処理を行い、さらに水で希釈しながらパルプ洗浄機(DNTウォッシャー:相川鉄工製)に通すことにより、古紙パルプFを得た。このパルプの灰分を測定したところ7.3%であった。
<古紙パルプGの製造>
パルパーにて新聞古紙(灰分12.7%)を離解し、除塵装置(クリーナー及びスクリーン)を通過させた後、固形分濃度1%まで水で希釈し脱墨剤を加えて、フローテーターにて脱墨処理を施し、傾斜エキストラクター及びスクリュープレス脱水機で固形分濃度30%程度まで濃縮し、ディスパーザー(相川鉄工製、TLI型)を用いて、蒸気を加えながら90℃の温度にて分散処理を行い、古紙パルプGを得た。このパルプの灰分を測定したところ5.2%であった。
<古紙パルプHの製造>
パルパーにて色上古紙(灰分31.3%)を離解し、除塵装置(クリーナー及びスクリーン)を通過させた後、固形分濃度1%まで水で希釈し脱墨剤を加えて、フローテーターにて脱墨処理を施し、傾斜エキストラクター及びスクリュープレス脱水機で固形分濃度30%程度まで濃縮し、ディスパーザー(相川鉄工製、TLI)を用い、蒸気を加えながら90℃の温度にて分散処理を行い、さらに水で希釈しながらパルプ洗浄機(DNTウォッシャー:相川鉄工製)に通すことにより、古紙パルプHを得た。このパルプの灰分を測定したところ18.8%であった。
<古紙パルプIの製造>
パルパーにて印刷されていない模造古紙(灰分1.3%)を離解し、除塵処理を施した後、古紙パルプIを得た。このパルプの灰分を測定したところ1.2%であった。
<古紙パルプJの製造>
パルパーにて色上古紙(31.3%)を離解し、除塵装置(クリーナー及びスクリーン)を通過させた後、固形分濃度1%まで水で希釈し脱墨剤を加えて、フローテーターにて脱墨処理を施し、傾斜エキストラクター及びスクリュープレス脱水機で固形分濃度30%程度まで濃縮し、ディスパーザー(相川鉄工製、TLI)を用いて、蒸気を加えながら90℃の温度にて分散処理を行い、さらに水で希釈しながらパルプ洗浄機(DNTウォッシャー:相川鉄工製)に通すことにより、古紙パルプJを得た。このパルプの灰分を測定したところ22.1%であった。
実施例1
表層、中層、裏層でパルプを使い分け、表層用にはNBKP;30質量%、LBKP;70質量%をダブル・ディスク・リファイナーで混合叩解し、CSF(カナダスタンダードフリーネス)460mlに調製し、中層用にはNBKP;10質量%、LBKP;60質量%、古紙パルプA;30質量%をダブル・ディスク・リファイナーで混合叩解し、CSF(カナダスタンダードフリーネス)410mlに調製し、裏層用にはLBKPを単独でダブル・ディスク・リファイナーでCSF(カナダスタンダードフリーネス)470mlまで叩解した。また、中層用に使用するパルプスラリーに硫酸銅(5水和物)を対パルプ(全層合計)で0.1%になるように添加した。その後、表、中、裏用それぞれのパルプスラリーに硫酸バンドを対パルプ2.0質量%添加し、サイズ剤としてサイズパインN−111(荒川化学工業社製、ロジンエマルジョンサイズ剤)0.50質量%添加し、紙力剤として、ポリストロン1250(荒川化学工業社製、ポリアクリルアミド系紙力剤)を2.0質量%添加した。以上の条件のパルプスラリーを円網5層抄合わせ抄造機で、それぞれ表層(1層)100g/m、中層(3層)600g/m、裏層(1層)100g/mで抄合わせ、さらにサイズプレス機でケン化度88モル%、重合度1000のポリビニルアルコールを乾燥塗布量として1.0g/m塗布し、抄紙機に設置された平滑化処理機(マシンカレンダー)で平滑化処理し、坪量800g/m、厚さ0.95mmのチップ型電子部品収納台紙を製造した。
実施例2
中層用パルプとして、NBKP;10質量%、LBKP;60質量%、古紙パルプA;30質量%とする代わりに、NBKP;10質量%、LBKP;20質量%、古紙パルプB;70質量%とすること以外は、実施例1と同様にして、坪量800g/m、厚さ0.95mmのチップ型電子部品収納台紙を製造した。
実施例3
中層用パルブとして、NBKP;10質量%、LBKP;60質量%、古紙パルプA;30質量%とする代わりに、NBKP;10質量%、LBKP;40質量%、古紙パルプC;50質量%とすること、及び、中層用に使用するパルプスラリーに硫酸銅(5水和物)を対パルプ(全層合計)で0.1%になるように添加する代わりに、硝酸銅(3水和物)を対パルプ(全層合計)で0.05%になるように添加すること、以外は、実施例1と同様にして、坪量800g/m、厚さ0.95mmのチップ型電子部品収納台紙を製造した。
実施例4
中層用パルプとして、NBKP;10質量%、LBKP;60質量:%、古紙パルプC;30質量%とする代わりに、NBKP;10質量%、LBKP;40質量%、古紙パルプE;50質量%とすること、及び、中層用に使用するパルプスラリーに硫酸銅(5水和物)を対パルプ(全層合計)で0.1%になるように添加する代わりに、硝酸銅(3水和物)を対パルプ(全層合計)で0.05%になるように添加すること、以外は、実施例1と同様にして、坪量800g/m、厚さ0.95mmのチップ型電子部品収納台紙を製造した。
実施例5
表層、中・裏層でパルプを使い分け、表層用にはNBKP;30質量%、LBKP;70質量%をダブル・ディスク・リファイナーで混合叩解し、CSF(カナダスタンダードフリーネス)480mlに調製した。また、中・裏層用にはNBKP;10質量%、LBKP;40質量%、古紙パルプF;50質量%をダブル・ディスク・リファイナーで混合叩解し、CSF(カナダスタンダードフリーネス)450mlに叩解した。また、中層用に使用するパルプスラリーに硫酸銅(5水和物)を対パルプ(全層合計)で0.02%になるように添加した。その後、表中裏用それぞれのパルプスラリーに硫酸バンドを対パルプ2.0質量%添加し、サイズ剤としてサイズパインN−111(荒川化学工業社製、ロジンエマルジョンサイズ剤)0.50質量%添加し、紙力剤として、ポリストロン1250(荒川化学工業社製、ポリアクリルアミド系紙力剤)を2.0質量%添加した。以上の条件のパルプスラリーを円網8層抄合わせ抄造機で、それぞれ表層(1層)80g/m、中層(6層)620g/m、裏層(1層)100g/mで抄合わせ、さらにサイズプレス機でケン化度88モル%、重合度1000のポリビニルアルコールを乾燥塗布量として1.0g/m塗布し、抄紙機に設置された平滑化処理機(マシンカレンダー)で平滑化処理し、坪量800g/m、厚さ0.95mmのチップ型電子部品収納台紙を製造した。
実施例6
中裏層用のパルプ調製を、配合割合として、NBKP;10質量%、LBKP;80質量%、古紙パルプG;10質量%をダブル・ディスク・リファイナーで混合叩解し、CSF(カナダスタンダードフリーネス)450m1に調製すること、及び、中層用に使用するパルプスラリーに硫酸銅(5水和物)を添加しないこと、以外は、実施例5と同様にしてチップ型電子部品収納台紙を製造した。
実施例7
中裏層用のパルプ調製を、配合割合として、NBKP;10質量%、LBKP;20質量%、古紙パルプH;70質量%をダブル・ディスク・リファイナーで混合叩解し、CSF(カナダスタンダードフリーネス)450mlに調製すること、及び、中層用に使用するパルプスラリーに硫酸銅(5水和物)を対パルプ(全層合計)で0.10%になるように添加すること、以外は、実施例5と同様にしてチップ型電子部品収納台紙を製造した。
実施例8
中裏層用のパルプ調製を、配合割合として、NBKP;10質量%、LBKP;75質量%、古紙パルプI;15質量%をダブル・ディスク・リファイナーで混合叩解し、CSF(カナダスタンダードフリーネス)450mlに調製すること、及び、中層用に使用するパルプスラリーに硫酸銅(5水和物)を対パルプ(全層合計)で0.50%になるように添加すること、以外は、実施例5と同様にしてチップ型電子部品収納台紙を製造した。
比較例1
中層用パルプとして、NBKP;10質量%、LBKP;60質量%、古紙パルプA;30質量%とする代わりに、NBKP;10質量%、LBKP;90質量%とすること、及び、中層用に使用するパルプスラリーに硫酸銅(5水和物)を添加しないこと、以外は、実施例1と同様にして、坪量800g/m、厚さ0.95mmのチップ型電子部品収納台紙を製造した。
比較例2
中層用パルプとして、NBKP;10質量%、LBKP;60質量%、古紙パルプA;30質量%とする代わりに、古紙パルプA;100質量%とすること、及び、中層用に使用するパルプスラリーに硫酸銅(5水和物)を添加しないこと、以外は、実施例1と同様にして、坪量800g/m、厚さ0.95mmのチップ型電子部品収納台紙を製造した。
比較例3
中層用パルプとして、NBKP;10質量%、LBKP;60質量%、古紙パルプA;30質量%とする代わりに、古紙パルプD;100質量%とすること、及び、中層用に使用するパルプスラリーに硫酸銅(5水和物)を添加しないこと、以外は、実施例1と同様にして、坪量800g/m、厚さ0.95mmのチップ型電子部品収納台紙を製造した。
比較例4
中裏層用のパルプ調製を、配合割合として、NBKP;10質量%、LBKP;10質量%、古紙パルプJ;80質量%をダブル・ディスク・リファイナーで混合叩解し、CSF(カナダスタンダードフリーネス)450mlに調製すること、及び、中層用に使用するパルプスラリーに硫酸銅(5水和物)を対パルプ(全層合計)で0.10%になるように添加すること、以外は、実施例5と同様にしてチップ型電子部品収納台紙を製造した。
比較例5
中裏層用のパルプ調製を、配合割合として、NBKP;10質量%、LBKP;90質量%をダブル・ディスク・リファイナーで混合叩解し、CSF(カナダスタンダードフリーネス)350mlに調製すること、及び、中層用に使用するパルプスラリーに硫酸銅(5水和物)を対パルプ(全層合計)で0.02%になるように添加すること、以外は、実施例5と同様にしてチップ型電子部品収納台紙を製造した。
比較例6
中裏層用のパルプ調製を、配合割合として、NBKP;10質量%、LBKP;90質量%をダブル・ディスク・リファイナーで混合叩解し、CSF(カナダスタンダードフリーネス)550mlに調製すること、及び、中層用に使用するパルプスラリーに硫酸銅(5水和物)を対パルプ(全層合計)で0.50%になるように添加すること、以外は、実施例5と同様にしてチップ型電子部品収納台紙を製造した。
比較例7
中裏層用のパルプ調製を、配合割合として、NBKP;10質量%、LBKP;86質量%、古紙パルプG;4質量%をダブル・ディスク・リファイナーで混合叩解し、CSF(カナダスタンダードフリーネス)450mlに調製すること、及び、中層用に使用するパルプスラリーに硫酸銅(5水和物)を対パルプ(全層合計)で2.00%になるように添加すること、以外は、実施例5と同様にしてチップ型電子部品収納台紙を製造した。台紙は青みがついており、外観不良気味であった。
実施例1〜8、比較例1〜7で製造されたチップ型電子部品収納台紙について、使用した古紙パルプの種類、古紙パルプの分散処理法、中層、裏層の古紙パルプの配合割合、金属塩の種類と添加割合、表層以外の層における微細繊維含有割合、表層以外の層における灰分含有割合、表層以外の層の古紙配合率、台紙全体における無機充填材の平均粒子径、灰分中の50μm以上の粒子の質量比、台紙のZ軸強度、打ち抜き適性評価、金型磨耗評価、台紙の銅含有量、発錆試験評価を表2に示す。
Figure 2011001081
本発明の電子部品収納台紙は、キャビティ加工用金型の磨耗が少ない層構成の多層紙基材に形成されている高精度のキャビティを有しており、チップ型電子部品実装時の実装ミスや紙粉発生に起因する異物付着等のトラブルを起こすことなく電子部品の収納、取り出しをスムーズに行うことができるので、サイズの微小化が進む電子部品に対しても充分に対応可能であり、また、古紙パルプの特性と、古紙由来の無機充填材の特性を有効に活用することによって金型磨耗が少ない層構成の多層紙基材を調製し、台紙用紙基材として利用しているので、古紙の有効利用に途を拓く技術としても価値の高いものである。

Claims (6)

  1. 表層、単層又は複数層からなる中層、及び裏層からなる多層紙基材にチップ型電子部品を収納する凹部又は穿孔部が設けられたチップ型電子部品収納台紙であって、
    前記多層紙基材は、その表層以外の層が、該表層以外の層の全パルプの5〜70質量%の古紙パルプと、灰分として古紙由来の無機充填材を0.5〜15質量%含有し、かつ該表層以外の層をJIS P8220のパルプ離解方法により離解して、JAPAN TAPPI No.52で規定された光学的自動計測法でのパルプ繊維長試験法により測定された繊維長の数平均算出時の繊維長分布において、0.2mm以下の微細繊維の割合が20%以上の層であることを特徴とする、チップ型電子部品収納台紙。
  2. 前記多層紙基材は、銅化合物を含有していることを特徴とする、請求項1記載のチップ型電子部品収納台紙。
  3. 前記多層紙基材は、硫酸塩、塩酸塩、硝酸塩、酢酸塩からなる群から選ばれる水溶性の銅化合物を含有することを特徴とする、請求項1又は2に記載のチップ型電子部品収納台紙。
  4. 前記古紙パルプは、古紙を離解処理後に分散処理して、JIS P8251に準じて測定した場合の灰分量が0.7〜25質量%の古紙パルプであり、前記無機充填材は、質量平均粒子径が50μm未満で、かつ、50μm以上の質量比率が40%未満であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のチップ型電子部品収納台紙。
  5. 前記請求項1〜4に記載の表層、単層又は複数層からなる中層、及び裏層からなる多層紙基材にチップ型電子部品を収納する凹部又は穿孔部が設けられたチップ型電子部品収納台紙のいずれかを製造する方法であって、
    灰分としての無機充填材を5質量%以上含有する原料古紙をパルパー又は離解処理機能を有する機械で離解し、除塵処理を施した後に分散処理を施して、無機充填材の質量平均粒子径が50μm未満で、50μm以上の質量比率が40%未満であり、JIS P8251に準じて測定した場合の灰分量が0.7〜25質量%である古紙パルプを調製する工程、
    該古紙パルプをパルプ原料の少なくとも一部として使用して前記単層又は複数層からなる中層、及び裏層形成用のパルプスラリーを調製する工程と、別に、該古紙パルプを含まない前記表層形成用パルプスラリーを調製する工程、とを有する多層抄き用パルプスラリーを調製する工程、
    前記表層形成用パルプスラリーと、前記中層及び裏層形成用のパルプスラリーとから多層抄きにより、表層、単層又は複数層からなる中層、及び裏層からなる多層紙基材を形成する工程、
    を有しており、
    前記単層又は複数層からなる中層形成用及び裏層形成用のパルプスラリーを調製する工程は、該パルプスラリーから形成される中層と裏層を合わせて、全パルプの5〜70質量%が古紙パルプよりなり、灰分として古紙由来の無機充填材を0.5〜15質量%含有し、かつ形成される中層及び裏層を合わせてJIS P8220のパルプ離解方法により離解し、JAPAN TAPPI No.52で規定された光学的自動計測法でのパルプ繊維長試験法により測定した繊維長の数平均算出時の繊維長分布において、0.2mm以下の微細繊維の割合が20%以上の層を形成できる組成を有するパルプスラリーを調製する工程であることを特徴とする、チップ型電子部品収納台紙の製造方法。
  6. 前記古紙パルプをパルプ原料の少なくとも一部として使用して単層又は複数層からなる中層、及び裏層形成用のパルプスラリーを調製する工程が、さらに、銅化合物が添加されているパルプスラリーを形成する工程であることを特徴とする、請求項5記載のチップ型電子部品収納台紙の製造方法。

















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