JP2011000639A - ヒータチップ及び接合装置 - Google Patents

ヒータチップ及び接合装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 熱電対の接点が外気の影響を受けて検出温度が低下することを防止できるヒータチップおよび接合装置を提供する。
【解決手段】 本発明のヒータチップ20は、被接合物に加圧接触または近接させることによって被接合物を接合するヒータチップであって、通電により発熱する突起状のコテ部20aと、コテ部20a付近の温度を検知する熱電対30を固定する突部20bと、突部20bに設けられ熱電対30の先端を取り付ける凹状の取付部20cと、取付部20cに挿入された熱電対30の先端を包み込むように形成された溶融部31とを有する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、ヒータチップ及び接合装置に関する。
従来より、ヒータチップの発熱部に熱電対を取付けて発熱部の温度制御を行うものが提案されている(たとえば特許文献1、特許文献2参照)。
図1に示すように、特許文献2に記載のヒータチップ10は、装着部1を有し、熱電対5の2本の導線5a、5bが溶融して合金化した状態の接合点6をヒータチップ10の抵抗発熱部2のコテ部3の近傍で溶接と同時に接合して取り付けた構造である。熱電対5の接点6がヒータチップ10のコテ部3またはその近傍上にアーク溶接等の方法によって溶接されているので、ヒータチップ10のコテ部3の温度制御をリアルタイム且つ高精度に実現できるようにしている。
特開昭60−227487号公報 特開2001−284781号公報
しかしながら、図1に示した従来のヒータチップ10では、熱電対5の接点6が外気にさらされているため、外気の影響を受けて検出温度が低下してしまうという問題があった。
そこで、本発明は、上記の問題に鑑みなされたものであって、熱電対の接点が外気の影響を受けて検出温度が低下することを防止できるヒータチップおよび接合装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のヒータチップは、被接合物に加圧接触または近接させることによって前記被接合物を接合するヒータチップであって、前記突部に設けられ前記熱電対の先端を取り付ける凹状の取付部と、前記取付部に挿入された前記熱電対の先端を包み込むように形成された溶融部とを有する。
本発明の接合装置は、本発明のヒータチップと、前記ヒータチップを支持し、被接合物を接合する際に前記コテ部を前記被接合物に加圧接触または近接させるヒータヘッドと、前記ヒータチップに抵抗発熱用の電流を供給するヒータ電源とを有する。
本発明のヒータチップによれば、測温点となる熱電対の接合部が凹状の取付部によって囲まれるため熱電対の接合部が外気の影響を受け難く、検出温度の低下を防止でき、温度を正確に検出できる。また熱電対の先端を凹状の取付部に取付けているので、接合する面が平面ではないため、溶融部の端部の浮きや、溶融部の中央部でのクラックの発生を防止することができ、熱電対が突部から剥がれるのを防止できる。
上記取付部は、前記溶融部の少なくとも一部を包み込むように形成されている。本発明によれば、測温点となる熱電対の接合部が外気にさらされないため外気の影響を受け難くできる。
上記発明において、前記熱電対の接点位置を前記ヒータチップの側面に一致させる。本発明によれば、熱電対の接点をヒータチップの側面から出ないようにすることで、熱電対の接合点が外気の影響を受けることを防止できる。
また、上記発明において、前記熱電対の接点位置を前記突部に設けられた前記取付部のヒータチップの厚み方向の中央付近に設定するのが好ましい。本発明によれば、熱電対の接点を凹状の取付部の中央付近にすることで熱電対の接点が外気の影響を受け難くすることができ、また熱電対を溶着する際の位置決めが容易になる。
また、上記発明において、前記取付部は、接合時に前記熱電対の線同士が接触することを防止するよう形成されている。本発明によれば、点ではなくある範囲の温度を検出することができるので、検出バラつきを防止できる。好ましい形態では、前記取付部は、接合時に前記熱電対の線同士が接触することを防止する隔離壁が形成されている。本発明によれば、隔離壁によって熱電対の線同士が接触することを防止できる。
また、前記取付部は、U字状に形成されているのが好ましい。本発明によれば、取付部の形状をU字状にすることで熱電対を接合する面が平面ではなく曲面となるため、溶接部の端部の浮きや、溶接部の中央部でのクラックの発生を防止して、熱電対が剥がれることを防止できる。
また上記溶融部は、前記突部の角部を包み込むように形成されている。本発明によれば熱電対が突部から剥がれるのをさらに防止できる。前記溶融部が前記取付部のヒータチップの厚み方向の全面に渡って形成されているのが好ましい。本発明によれば、熱電対が突部から剥がれるのを防止することができる。
本発明のヒータチップは、ヒータ電源からの給電用導体との物理的かつ電気的な接続をとるために、前記コテ部の両端部から前記突部の周囲に延びる一対の接続端子部を有する。この場合、本発明のヒータチップは、前記接続端子部の前記熱電対を取付けるための突部に対向する位置に設けられ、前記熱電対の導線を保持するホルダーをさらに有する。本発明によれば、ホルダーによって熱電対の導線を保持することにより接合点にかかる力を小さくすることができ、熱電対が突部から剥がれるのを防ぐことができる。
上記ヒータチップにおいて、前記コテ部、前記突部および前記接続端子部がタングステン板をワイヤ放電加工により刳り貫いて一体に形成される。また、ヒータチップが例えばタングステンによって形成されている場合、このタングステンが層間剥離をおこすことを防止できる。
本発明の接合装置は、通電発熱するコテ部を用いて被接合部を加熱接合する任意のアプリケーションに適用可能であり、たとえばハンダ付け、異方性導電材料を介した接合、熱カシメ、熱圧着等に好適に適用可能である。
本発明によれば、熱電対の接点が外気の影響を受けて検出温度が低下することを防止できるヒータチップおよび接合装置を提供することができる。
従来のヒータチップを説明するための図である。 本発明の一実施形態におけるヒータチップの全体構成を示す図である。 本発明の一実施形態におけるヒータチップの斜視図であって、熱電対を取り付けた状態を示す図である。 本発明の一実施形態におけるヒータチップの熱電対の取り付け位置を説明するための図である。 本発明の一実施形態におけるヒータチップとそれを用いるハンダ付けの例を示す斜視図である。 本発明の一実施形態におけるヒータチップを通電させている状態を示す正面図である。 本発明の実施形態のヒータチップを通電発熱用の電流を供給するためのヒータ電源の一例を示す回路図である。 本発明の他の実施形態におけるヒータチップの全体構成を示す図である。 図8のヒータチップの突部を説明する図である。 本発明の他の実施形態におけるヒータチップの全体構成を示す図である。 図10のヒータチップに熱電対を取り付けた状態を示す図である。 本発明の他の実施形態におけるヒータチップの全体構成を示す図である。 図12に示したヒータチップの斜視図である。 図12に示したヒータチップを背面側から見た斜視図である。 本発明の他の実施形態におけるヒータチップの斜視図である。
以下、本発明に係る好適な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図2は、本発明の一実施形態におけるヒータチップの全体構成を示す図である。図3は、本発明の一実施形態におけるヒータチップの斜視図であって、熱電対を取り付けた状態を示す図である。このヒータチップ20は、たとえば1〜3mmの板厚に圧延されたタングステン板を用いて形成されている。この圧延されたタングステン板は、極めて薄い板を積層したような構造を有している(以下、単に積層構造ということがある)。このタングステン板をワイヤ放電加工により刳り貫いて一体加工することにより、本実施形態のヒータチップ20が形成される。
このヒータチップ20には、通電抵抗により発熱する突起状のコテ部20aと、突起状のコテ部20aの反対側に設けられコテ部20a付近の発熱温度を検出する熱電対30を固定する突部20bが一体的に形成されている。この突部20bには、接合部における保温効果を上げるために熱電対30の先端の溶融部31を包み込むように凹状の取付部20cが形成されている。取付部20cはたとえば放電加工機により溝形状に加工される。
コテ部20aの左右部には、一対の接続端子部20d、20dが接続されている。これらの接続端子部20d,20dのそれぞれの上端部に複数のボルト通し穴21,21が設けられている。接続端子部20dの下端部内側には、両方の接続端子部20d、20dによって形成される熱電対30の導線を保持するためのホルダー穴22が設けられている。このホルダー穴22は、突部20bに対向する位置に設けられている。ホルダー穴22に熱電対30の保護チューブを保持することにより熱電対の接合部に加わる力を軽減できる。
図3に示すように、突部20bの取付部20cに沿って熱電対30の銅線30a、30bを挿入し、たとえばアーク溶接機で先端を溶接して、その熱電対30の先端を包み込むように接合する。これにより熱電対の溶融部が突部20bによって囲まれるので外気の影響を受け難く、温度を正確に検出することができる。
図4は、本発明の一実施形態におけるヒータチップの熱電対の取り付け位置を説明するための図である。同図(a)は図2の参照符号Aの箇所を拡大して示す斜視図であり、(b)〜(c)はそれぞれ(a)の矢印A方向から見た状態を示している。なお、(b)は熱電対の接点位置がヒータチップの側面から外部に出た場合の概略図、(c)は熱電対の接点位置をヒータチップの側面に一致させた場合の概略図、(d)は熱電対の接点位置を突部の取付部のヒータチップの厚み方向の中央付近に設定した場合の概略図である。
熱電対とは、異なる材料の2本の金属線を接続して1つの回路をつくり、ふたつの接点に温度差を与えると、回路に電圧が発生するものをいう。ヒータチップの取付部20cには、熱電対の一方の接点が接合される。この接点部分が熱電対の測温点となり、この測温点となる部分を接合部という。熱電対はこの接合部にて起電力が発生する。従って、図4(b)に示すように、測温点である接合部31が取付部20cの外側に露出すると熱電対の検出温度が低下してしまう。例えば、接合部31がヒータチップの側面から外部に50μm出た場合、検出温度が−50℃以上になってしまう。このため、同図(c)及び(d)に示すように、ヒータチップの熱電対30の突部20bに凹状の取付部20cを設け、その溝形状の取付部20cに熱電対30の先端を挿入し、溝形状の取付部20cによって熱電対30の先端を包み込むように接合する。これによって、熱電対の先端の接合部31が溝形状の取付20cに囲まれるので外気の影響を受け難くすることができ、温度を正確に検出できる。
また、ヒータチップ20を熱圧着等に用いる場合、ヒータチップの発熱温度が700℃以上の高温になる。この場合、ヒータチップの材料であるタングステンが層間剥離をおこすおそれがある。そこで、図4(c)に示すように、熱電対の接点位置をヒータチップの側面に一致させるようにする。ここでは±0mmで熱電対の接点位置をヒータチップの側面に一致させるのが好ましい。
また、ヒータチップ20をリフロー半田付け等に用いる場合、ヒータチップの発熱温度は250℃程度で比較的低温である。この場合、タングステンの層間剥離のおそれはないが、外気の影響を受け易くなる。そこで、図4(d)に示すように、熱電対の接点位置を突部の取付部20cのヒータチップの厚み方向の中央付近に設定する。このように構成することで、外気の影響をより受け難くすることができる。また、熱電対を溶着する際の位置決めが容易になる。
尚、同図(a)に示す取付部20cのピッチdが狭くなると、熱電対の導線30a、30b同士が接触して検出バラツキの原因となる。そこで、取付部20cのピッチdを広げて間隔を空けるのが好ましい。例えば、熱電対の導線30a、30bがφ0.2mmの線径でピッチdが200μmの場合、接点において熱電対の導線30a、30bが接触してしまう。そこで、上記熱電対の導線の線径に対して取付部20cのピッチdを400μmにすることで、接点において熱電対の導線30a、30b同士の間隔を空けることができる。これによって、熱電対30は点ではなくある範囲の温度を検出することができるので、検出バラツキを防止できる。
図5は、本発明の一実施形態におけるヒータチップとそれを用いるハンダ付けの例を示す斜視図である。図6は、本発明の一実施形態におけるヒータチップを通電させている状態を示す正面図である。尚、図5及び図6においては突部20bの取付部20cの形状が分かるように熱電対を取付けていない状態で示しているが実際には取付部20cには熱電対30が取付けられ、コテ部20aの温度制御が行われる。
図5に示すように、ヒータチップ20は左右両側の接続端子部20d,20dをヒータヘッド106に取り付けている。ヒータヘッド106は、ヒータ電源(図示せず)の出力端子に通じる一対の給電用導体108、110の側面にボルト112、112でヒータチップ20の左右接続端子20d、20dを物理的かつ電気的にそれぞれ接続しており、給電用導体108、110を介してヒータチップ20を上下に移動させる昇降機構や被接合物に向けて押圧する加圧機構(図示せず)を有している。給電用導体108、110の間には両者を電気的に分離するための絶縁体114が挟まれている。
図5において、プリント配線板102は、図示しないXYテーブルなどの作業台上に水平に載置されており、半導体パッケージ100は図示しないチップマウンタによりプリント配線板102上の所定位置に載置される。ハンダ付けのために、半導体パッケージ100のリード100aがヒータチップ20の真下に位置決めされる。
ヒータヘッド106がヒータチップ20を下ろすと、図6に示すように、ヒータチップ20のコテ部20aの下面が被接合部つまりリード100aおよびプリント配線板102のランド102aに適度な加圧力で接触する。各ランド102aの表面には図示しないクリームハンダが塗られている。このようにヒータチップ20のコテ部20aを被接合部100a、102aに押し当てた状態の下で、ヒータ電源がオンしてヒータチップ20に電流Iを供給すると、ヒータチップ20のコテ部20aが抵抗発熱し、被接合部100a、102a間のハンダを加熱して溶融させる。加熱中は上述した溝部20cによって包み込まれた熱電対30(図5及び図6では不図示)によってコテ部20a付近の温度が正確に検出されてコテ部20aの温度が適切に制御される。そして、通電開始から一定時間経過後にヒータ電源が通電を止め、通電終了から一定時間経過後にヒータヘッド106がヒータチップ20を上昇させて被接合部100a、102aから離す。そうすると、ハンダが凝固して、被接合部100a、102aがリフローのハンダ付けによって結合する。
図7は、本発明の実施形態のヒータチップを通電発熱用の電流を供給するためのヒータ電源の一例を示す回路図である。このヒータ電源38は交流波形インバータ式の電源回路を用いている。
この電源回路におけるインバータ40は、GTR(ジャイアント・トランジスタ)またはIGBT(絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ)等からなる4つのトランジスタ・スイッチング素子42,44,46,48を有している。
これら4つのスイッチング素子42〜48のうち、第1組(正極側)のスイッチング素子42,46はドライブ回路50を介して制御部52からの同相の駆動パルスG1,G3により所定のインバータ周波数(たとえば4kHz)で同時にスイッチング(オン・オフ)制御され、第2組(負極側)のスイッチング素子44,48はドライブ回路50を介して制御部52からの同相の駆動パルスG2,G4により上記インバータ周波数で同時にスイッチング制御されるようになっている。
インバータ40の入力端子[L0,L1]は三相整流回路54の出力端子に接続されている。三相整流回路54は、たとえば6個のダイオードを三相ブリッジ結線してなり、三相交流電源端子(R,S,T)より入力する商用周波数の三相交流電圧を全波整流して直流電圧に変換する。三相整流回路54より出力された直流電圧は、コンデンサ56で平滑されてからインバータ40の入力端子[L0,L1]に与えられる。
インバータ40の出力端子[M0,M1]は、溶接トランス58の一次側コイルの両端にそれぞれ接続されている。溶接トランス58の二次側コイルの両端は、整流回路を介さずに二次側導体108,110を介してヒータチップ20の接続端子部20d,20dにそれぞれ接続されている。
制御部52は、マイクロコンピュータを含んでおり、ヒータ電源38内の一切の制御たとえば通電制御(特にインバータ制御)や各種ヒート条件の設定ないし表示処理等を行うほか、ヒータヘッド106に対しても所要の制御を行う。
このヒータ電源38では、チップ温度フィードバック制御を行うために、ヒータチップ20の突部20bの取付部20cにより包みこまれた熱電対30より出力される正確なコテ温度測定信号がケーブル30a,30bを介して制御部52に与えられる。また、電流フィードバック制御を行う場合は、一次側回路の導体にたとえばカレント・トランスからなる電流センサ60が取り付けられる。この電流センサ60の出力信号から電流測定回路62において一次電流または二次電流の測定値(たとえば実効値、平均値またはピーク値)が求められ、その電流測定信号が制御部52に与えられる。図4に示したように、熱電対30の接合部は取付部20cによって包み込まれているため保温され、外気の影響を受けるが無く、コテ部20a付近の温度を正確に検出することができる。これによって制御部52はコテ部20aの適切な温度制御が可能となる。
図7に示すような交流波形インバータ式の電源回路を用いるヒータ電源部38の構成は一例であり、本実施形態のヒータチップ20を接合用途で抵抗発熱させるために単相交流型その他の任意の型式のヒータ電源部を使用することができる。
次に、本発明の他の実施形態について説明する。図8は本発明の他の実施形態におけるヒータチップの全体構成を示す図である。図9(a)は図8の参照符号Bの拡大図、同図(b)(c)は従来の問題点を説明する図であって、(b)は溶接部の端部で発生する浮きを説明する図、(c)は溶接部の中央部で発生したクラックを説明する図である。
図8及び図9に示すように、ヒータチップ70には、図2に示した例と同様に、通電により発熱する突起状のコテ部70aと、突起状のコテ部70aの反対側に設けられ熱電対30を固定するための突部70bが一体的に形成されている。この突部70bには熱電対30の先端の接合部を包み込むために断面形状がU字状の取付部70cが形成されている。
また、突部70bのコテ部70aに接続する基端部70eは、平面的に見て、コテ部70aの幅に比べて狭い幅に形成されている。この構成によって突部70bによってコテ部70aの発熱特性が影響を受けるのを回避することができる。
コテ部70aの左右部には、一対の接続端子部70d、70dが接続されている。これらの接続端子部70d,70dのそれぞれの上端部に複数のボルト通し穴21,21が設けられている。接続端子部70dの下端部内側には、両方の接続端子部70d、70dによって形成される熱電対30の導線を保持するためのホルダー穴22が設けられている。このホルダー穴22は、突部70bに対向する位置に設けられている。
図4(a)に示したように、取付部20cの断面形状がコ字形状の場合、熱電対30を溶接する際に完全に溶融せずに溶接不良が発生する可能性がある。そこで、図9(a)に示したヒータチップ70のように、突部70bの取付部70cを広めのU字形状に形成する。この構成により熱電対30を接続する面が平面ではなく曲面になるので、同図(b)に示すように、接合部31の端部の浮き71aを防止でき、また同図(c)に示すように、接合部31の中央部でのクラック71bの発生を防止して、熱電対の接合部31がヒータチップの突部70bから剥がれることを防止できる。
次に、本発明の他の実施形態について説明する。図10は本発明の他の実施形態におけるヒータチップの全体構成を示す図である。図11は図10のヒータチップに熱電対を取り付けた状態を示す図である。ヒータチップ80には、図2に示した例と同様に、通電により発熱する突起状のコテ部80aと、突起状のコテ部80aの反対側に設けられ熱電対30を固定するための突部80bが一体的に形成されている。
この突部80bの先端には、凹状の取付部として2つの溝部80c1,80c2が形成されている。突部80bにこの2つの溝部80c1、80c2を設けるために隔離壁80b1が一体的に形成されている。この隔離壁80b1によって接合時に熱電対の線同士が接触することを防止できる。熱電対30の導線30a,30bを2つの溝部80c1,80c2のそれぞれによって包み込むよう溶接する。コテ部80aの左右部には、一対の接続端子部80d、80dが接続されている。これらの接続端子部80d,80dのそれぞれの上端部に複数のボルト通し穴21,21が設けられている。接続端子部80dの下端部内側には、両方の接続端子部80d、80dによって形成される熱電対30の導線を保持するためのホルダー穴22が設けられている。このホルダー穴22は突部80bに対向する位置に設けられている。本実施形態によれば、接点において熱電対の導線30a、30b同士の間隔を空けることができるため、熱電対30は点ではなくある範囲の温度を検出することができるので、検出バラツキを防止できる。
次に、本発明の他の実施形態について説明する。図12は、本発明の他の実施形態におけるヒータチップの全体構成を示す図である。図13は、図12に示したヒータチップの斜視図である。図14は、図12に示したヒータチップを背面側から見た斜視図である。
図12〜図14に示すように、ヒータチップ200は、通電により発熱する突起状のコテ部200aと、突起状のコテ部200aの反対側に設けられ熱電対30を固定する突部200bが一体的に形成されている。また、突部200bのコテ部200aに接続する基端部200eは、平面的に見て、コテ部200aの幅に比べて狭い幅に形成されている。コテ部200aの左右部には、一対の接続端子部200d、200dが接続されている。これらの接続端子部200d,200dのそれぞれの上端部に複数のボルト通し穴201,201が設けられている。接続端子部200dの下端部内側には、両方の接続端子部200d、200dによって形成される熱電対30の導線を保持するためのホルダー穴202が設けられている。このホルダー穴202は、突部200bに対向する位置に設けられている。
突部200bには、熱電対30の先端を取り付けるための凹状の取付部200cが形成されている。溶融部231は、凹状の取付部200cに挿入された熱電対の先端と突部200bの角部を包み込むように形成されている。この溶融部231は、図4で説明した測温点となる接合部が含まれている。図12〜図14に示す構成によれば、測温点となる接合部が凹状の取付部200cによって囲まれているため熱電対の接合点が外気の影響を受け難く、検出温度の低下を防止することができる。また、溶融部231が突部200bの角部を包み込むように形成されているため熱電対30の先端が突部200bから剥がれるのを防止することができる。また、溶融部231が突部200bのある範囲を覆っているため突部200bが層間剥離を起こすことを防止できる。
次に、本発明の他の実施形態について説明する。図15は、本発明の他の実施形態におけるヒータチップの斜視図である。図15に示すように、ヒータチップ300は、通電により発熱する突起状のコテ部300aと、コテ部300aの左右部300a1の一方に設けられ熱電対30を固定するための突部300bが一体的に形成されている。コテ部300aの左右部には、一対の接続端子部300d、300dが接続されている。これらの接続端子部300d,300dのそれぞれの上端部に複数のボルト通し穴301,301が設けられている。接続端子部300dの下端部内側には、両方の接続端子部300d、300dによって形成される熱電対30の導線を保持するためのホルダー穴302が設けられている。このホルダー穴302は、突部300bに対向する位置に設けられている。
突部300bには、熱電対30の先端を取り付けるための凹状の取付部300cが形成されている。溶融部331は、取付部300cのヒータチップの厚み方向の全面に渡って形成されている。さらに、溶融部331は、突部300bの取付部300cが設けられている側から裏面に渡って突部300bの角部を包み込むように形成されている。溶融部331は図4で説明した測温点となる接合部が含まれている。
図15に示す構成によれば、溶融部331は、凹状の取付部300cに溶接されているため、熱電対を接合する面が平面ではなく曲面となるため、溶接部の端部の浮きや、溶接部の中央部で発生するクラックを防止して、熱電対30が取付部33cから剥がれることを防止できる。また、溶融部331が取付部330cのヒータチップの厚み方向の全面に渡って形成されているため、突部300bが層間剥離をおこすことを防止できる。また、溶融部331は、突部300bの角部を包み込むように形成されているため、熱電対30の先端が突部300bから剥がれるのを防止することができる。
以上、本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明に係る実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。尚、上記実施形態ではタングステン系合金を用いた場合について説明したが本発明はこれに限定されること無く、例えばモリブデンやタングステンとモリブデンの合金を用いても良い。又、上記実施形態では熱電対を取付けるための突部がコテ部の反対側に形成されている場合の例について説明したが本発明はこれに限定されるものではなく、突部がコテ部の反対側以外の位置に設けられている場合にも適用できる。さらに本実施形態ではコテ部の温度を検出する熱電対を一つ接合する場合の例について説明したが二つ以上の熱電対を取付ける場合にも本発明を適用することができる。
20,70,80,200,300 ヒータチップ
20a,70a,80a,200a,300a コテ部
20b,70b,80b,200b,300b 突部
20c,70c,80c、200c,300c 取付部
20d,70d,80d,200d,300d 接続端子部
22 ホルダー穴
30 熱電対



Claims (13)

  1. 被接合物に加圧接触または近接させることによって前記被接合物を接合するヒータチップであって、
    通電により発熱する突起状のコテ部と、
    前記コテ部付近の温度を検知する熱電対を固定する突部と、
    前記突部に設けられ前記熱電対の先端を取り付ける凹状の取付部と、
    前記取付部に挿入された前記熱電対の先端を包み込むように形成された溶融部と、を有するヒータチップ。
  2. 前記取付部は、前記溶融部の少なくとも一部を包み込むように形成されている請求項1に記載のヒータチップ。
  3. 前記熱電対の接点位置を前記ヒータチップの側面に一致させる請求項1または請求項2に記載のヒータチップ。
  4. 前記熱電対の接点位置を前記突部に設けられた前記取付部のヒータチップの厚み方向の中央付近に設定する請求項1または請求項2に記載のヒータチップ。
  5. 前記取付部は、接合時に前記熱電対の線同士が接触することを防止するよう形成されている請求項1〜請求項4のいずれかに記載のヒータチップ。
  6. 前記取付部は、接合時に前記熱電対の線同士が接触することを防止する隔離壁が形成されている請求項5に記載のヒータチップ。
  7. 前記取付部は、U字状に形成されている請求項1〜請求項6のいずれかに記載のヒータチップ。
  8. 前記溶融部は、前記突部の角部を包み込むように形成されている請求項1または請求項2に記載のヒータチップ。
  9. 前記溶融部が前記取付部のヒータチップの厚み方向の全面に渡って形成されている請求項1〜請求項3又は請求項5〜請求項8のいずれかに記載のヒータチップ。
  10. ヒータ電源からの給電用導体との物理的かつ電気的な接続をとるために、前記コテ部の両端部から前記突部の周囲に延びる一対の接続端子部を有する請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載のヒータチップ。
  11. 前記接続端子部の前記突部に対向する位置に設けられ、前記熱電対の導線を保持するホルダーをさらに有する請求項10に記載のヒータチップ。
  12. 前記コテ部、前記突部および前記接続端子部がタングステン板をワイヤ放電加工により刳り貫いて一体に形成される請求項10または請求項11に記載のヒータチップ。
  13. 請求項1〜請求項12のいずれか一項に記載のヒータチップと、
    前記ヒータチップを支持し、被接合物を接合する際に前記コテ部を前記被接合物に加圧接触または近接させるヒータヘッドと、
    前記ヒータチップに抵抗発熱用の電流を供給するヒータ電源と、
    を有する接合装置。
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