JP2010530740A - Aβ(20−42)球状凝集体に対するヒト化抗体及びその使用 - Google Patents

Aβ(20−42)球状凝集体に対するヒト化抗体及びその使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、例えば、アルツハイマー病及び関連症状の診断、治療及び予防において使用され得る結合タンパク質、特に、ヒト化抗体に関する。

Description

共同研究契約に対する参照
本願の内容は、Protein Design Labs、Inc.とAbbott Laboratoriesとの間で2006年8月31日に締結された共同研究契約書に基づくものであり、ヒト化アミロイドβ抗体に関する。
発明の背景
発明の分野
本発明は、例えばアルツハイマー病及び関連症状の診断、治療及び予防において使用され得る抗体に関する。
アルツハイマー病(AD)は、進行性の認知能力喪失及び脳のいくつかの領域での、アミロイド沈着、神経原線維のもつれ及びニューロン欠損を含む特徴的な神経病理学的特性を特徴とする神経変性疾患である(Hardy及びSelkoe(Science 297、353(2002);Mattson(Nature 431、7004(2004)参照)。アミロイド沈着の主要な構成因子はアミロイドベータペプチド(Aβ)であり、42アミノ酸長型Aβ(1−42)が最も顕著である。
特に、アミロイドβ(1−42)タンパク質は、タンパク質分解性プロセシングによるアミロイド前駆体タンパク質(APP)由来の42アミノ酸を有するポリペプチドである。これにはまた、ヒト変異型に加え、ヒト以外の生物(特にその他の哺乳動物、とりわけラット)に存在するアミロイドβ(1−42)タンパク質のアイソフォームも含まれる。このタンパク質は、水性の環境で重合する傾向があり、非常に様々な分子形態で存在し得る。
例えばアルツハイマー病などの認知症の発症又は進行と不溶性タンパク質の沈着との単純な相互関係は疑わしいことが分かっている(Terryら、Ann.Neurol.30.572−580(1991);Dicksonら、Neurobiol.Aging 16、285−298(1995))。一方、シナプス欠損及び知的知覚は、Aβ(1−42)の可溶型とより相関すると思われる(Lueら、Am.J.Pathol.155、853−862(1999);McLeanら、Ann.Neurol.46、860−866(1999))。
過去にポリクローナル及びモノクローナル抗体がAβ(1−42)に対して作製されてきたが、動物及び/又はヒトにおいて重篤な副作用も起こさずに所望の治療効果をもたらすことが証明されているものはない。例えば、5ヵ月間、週に1回、N−末端特異的抗−Aβ(1−42)抗体の投与を受けた老齢APP23マウスでの前臨床研究からの受動免疫付与の結果から、治療に関連のある副作用が示される。特に、これらのマウスは、食塩水処置マウスと比較して、微小出血の数及び重症度が上昇した(Pfeiferら、Science 2002 298:1379)。同様の出血の増加は、最近、老齢(>24ヵ月)Tg2576及びPDAPPマウスに対しても報告された(Wilcockら、J Neuroscience 2003、23:3745−51;Rackeら、J Neuroscience 2005、25:629−636)。両系統において、抗−Aβ(1−42)の注射の結果、微小出血が顕著に増加した。このように、ヒトの身体において望ましくない潜在的な致死的影響を誘発することなく疾患の進行を予防又は遅らせる生物製剤の開発に対して非常に大きい治療ニーズがある。一般集団の寿命が長くなっており、この長寿化とともに、アルツハイマー病又は関連疾患と診断される年間患者数が上昇しているという観点において、このようなニーズは特に明白である。さらに、このような抗体により、アルツハイマー病の症状があった患者においてアルツハイマー病の適切な診断が可能となろう(この診断は現在、剖検でのみ確認することができる。)。さらに、このような抗体により、本タンパク質の生物学的特性及びこの衰弱性疾患に関与するその他の生物学的因子を解明することが可能となろう。
本明細書中で参照される全ての特許及び刊行物は、参照によりその全体において本明細書中に組み込まれる。
Hardy及びSelkoe、Science、297、2002年、pp.353 Mattson、Nature、431、2004年、pp.7004 Terry他、Ann.Neurol、30、1991年、pp.572−580 Dickson他、Neurobiol.Aging、16、1995年、pp.285−298 Lue他、Am.J.Pathol、155、1999年、pp.853−862 McLean他、Ann.Neurol、46、1999年、pp.860−866 Pfeifer他、Science、298、2002年、pp.1379 Wilcock他、J Neuroscience、23、2003年、pp.3745−51 Racke他、J Neuroscience、25、2005年、pp.629−636
本発明は、結合タンパク質、特に、可溶性オリゴマー、例えばアルツハイマー病の患者の脳内に存在するAβ(20−42)球状凝集体、に結合することができるヒト化抗体(例えば、本明細書において、野生型IgG1定常領域を有するヒト化7C6抗体に対する「ヒト化7C6」又は「7C6hum7wt」と互換的に表記されるもの及び変異されたIgG1定常領域を有するヒト化7C6抗体に対する「7C6hum7mut」と表記されるもの並びに本明細書において、野生型IgG1定常領域を有するヒト化7C6抗体に対する「ヒト化5F7」及び「5F7hum8」と互換的に表記されるもの及び「5F7hum8mut」)に関する。本発明の抗体は本明細書中に記載されているAβ球状凝集体以外のAβ形態とも反応し得る(すなわち、結合し得る)ことが注目される。これらの抗原は、オリゴマー若しくは球状凝集体であってもよく、又はオリゴマー若しくは球状凝集体でなくてもよい。従って、本発明の抗体が結合する抗原には、本発明の抗体が反応性を有する球状凝集体エピトープを含むあらゆるAβ形態が含まれる。このようなAβ形態には、Aβ(20−42)、Aβ(20−40)、Aβ(12−42)、Aβ(12−40)、Aβ(1−42)及びAβ(1−40)形態などの末端切断された及び末端切断されていないAβ(X−Y)形態(X及びYは、上に定義されている。)が含まれるが、但し、前記形態は、球状凝集体エピトープを含む。さらに、本発明はまた、これらの結合タンパク質又はそれらの一部を産生し使用する方法も提供する。
特に、本発明は、アミロイドβ(20−42)球状凝集体に結合する抗原結合ドメインを含む結合タンパク質を包含し、前記抗原結合ドメインは、以下からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む少なくとも1つのCDRを含む。
CDR−VH1。X−X−X−X−X−X−X(配列番号5)(式中、
は、T又はSであり;
は、F又はYであり;
は、Y又はAであり;
は、I又はMであり;及び
は、H又はSである。)
CDR−VH2。(X−X−X−X−X−X−X−X−X−X10−X11−X12−X13−X14−X15−X16−X17(配列番号6)(式中、
は、M又はSであり;
は、Iであり;
は、G又はHであり;
は、P又はNであり;
は、G又はRであり;
は、S又はGであり;
は、G又はTであり;
は、N又はIであり;
は、T又はFであり;
10は、Yであり;
11は、Y又はLであり;
12は、N又はDであり;
13は、E又はSであり;
14は、M又はVであり;
15は、F又はKであり;
16は、K又はGであり;及び
17はDであり、又は存在しない)。
CDR−VH3。(X−X−X−X−X−X−X−X−X−X10−X11−X12−X13(配列番号7)(式中、
は、A又はGであり;
は、K又はRであり;
は、Sであり;
は、A又はNであり;
は、R又はSであり;
は、A又はYであり;
は、Aであり;
は、W又はMであり;
は、F又はDであり;
10は、A又はYであり;及び
11はYであり、又は存在しない)。
CDR−VL1。(X−X−X−X−X−X−X−X−X−X10−X11−X12−X13−X14−X15−X16(配列番号8)(式中、
は、Rであり;
は、Sであり;
は、S又はTであり;
は、Qであり;
は、S又はTであり;
は、V又はLであり;
は、Vであり;
は、Q又はHであり;
は、S又はRであり;
10は、Nであり;
11は、Gであり;
12は、N又はDであり;
13は、Tであり;
14は、Yであり;
15は、N又はLであり、及び
16は、Eである。)
CDR−VL2。 X−X−X−X−X−X−X−X(配列番号9)(式中、
は、Kであり;
は、Vであり;
は、Sであり;
は、Nであり;
は、Rであり;
は、Fであり;及び
は、Sである。)
及び
CDR−VL3。 X−X−X−X−X−X−X−X−X (配列番号10)(式中、
は、Fであり;
は、Qであり;
は、Gであり;
は、Sであり;
は、Hであり;
は、Vであり;
は、Pであり;
は、P又はYであり;及び
は、Tである。)
この結合タンパク質は、アミロイドβ(1−42)球状凝集体、アミロイドβ(12−42)球状凝集体、β−アミロイド前駆体タンパク質、アミロイドβ(1−40)単量体、アミロイドβ(1−42)単量体及びアミロイドβ(1−42)原繊維からなる群から選択される少なくとも1つのアミロイドβペプチド又はタンパク質より、アミロイドβ(20−42)球状凝集体に対して、より大きな結合親和性を有する。
本発明の一態様は、Aβ(20−42)球状凝集体又は本発明の抗体との反応性を有する球状凝集体エピトープを含む他のあらゆるAβ形態に結合することができる抗原結合ドメインを含む結合タンパク質(例えば、抗体)に関する。一実施形態において、抗原結合ドメインは、配列番号1の残基30−35(すなわち、TFYIH(配列番号11);5F7 VH CDR1);配列番号1の残基50−66(すなわち、MIGPGSGNTYYNEMFKD(配列番号12);5F7 VH CDR2);配列番号1の残基98−108(すなわち、AKSARAAWFAY(配列番号13);5F7 VH CDR3)配列番号2の残基24−39(すなわち、RSSQSVVQSNGNTYLE(配列番号14);5F7 VL CDR1);配列番号2の残基55−61(すなわち、KVSNRFS(配列番号15);5F7 VL CDR2);配列番号2の残基94−102(すなわち、FQGSHVPPT(配列番号65);5F7 VL CDR3);配列番号3の残基31−35(すなわち、SYAMS(配列番号16);7C6 VH CDR1);配列番号3の残基50−65(すなわち、SIHNRGTIFYLDSVKG(配列番号17);7C6 VH CDR2);配列番号3の残基98−107(すなわち、GRSNSYAMDY(配列番号18);7C6 VH CDR3);配列番号4の残基24−39(すなわち、RSTQTLVHRNGDTYLE(配列番号19);7C6 VL CDR1);配列番号4の残基55−61(すなわち、KVSNRFS(配列番号20);7C6 VL CDR2);配列番号4の残基94−102(すなわち、FQGSHVPYT(配列番号21);7C6 VL CDR3)。好ましい実施形態において、結合タンパク質は、上記で開示される配列からなる群から選択される少なくとも3つのCDRを含む。より好ましくは、選択される3つのCDRは、以下からなる群から選択される可変ドメインCDRのセットからのものである:
Figure 2010530740
ある実施形態において、本発明の結合タンパク質は、少なくとも2つの可変ドメインCDRセットを含む。より好ましくは、2つの可変ドメインCDRセットは、VH 5F7 CDRセットとVL 5F7 CDRセット及びVH 7C6 CDRセットとVL 7C6 CDRセットからなる群から選択される。
別の実施形態において、上記で開示される結合タンパク質は、ヒトアクセプターフレームワークをさらに含む。好ましくは、ヒトアクセプターフレームワークは、以下からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFT(配列番号22);WRQAPGQGLEWMG(配列番号23);RVTMTRDTSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCAR(配列番号24);WGQGTLVTVSS(配列番号25);DIVMTQSPLSLPVTPGEPASISC配列番号26);WYLQKPGQSPQLLIY(配列番号27);GVPDRFSSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYC(配列番号28);FGGGTKVEIKR(配列番号29);EVQLVESGGGLVKPGGSLRLSCAASGFTFS(配列番号30);WVRQAPGKGLEWVS(配列番号31);RFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCAR(配列番号32);WGQGTLVTVSS(配列番号33);DIVMTQSPLSLPVTPGEPASISC(配列番号34);WYLQKPGQSPQLLIY(配列番号35);GVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYC(配列番号36)及びFGQGTKLEIKR配列番号37)。
好ましい実施形態において、結合タンパク質は、Aβ(20−42)球状凝集体又は本発明の抗体との反応性を有する球状凝集体エピトープを含むあらゆるAβ形態に結合することができるヒト化抗体又はその抗原結合部分である。好ましくは、ヒト化抗体又はその抗原結合部分は、上記で開示される1つ又はそれ以上のCDRを含む(下表5を参照)。より好ましくは、ヒト化抗体又はその抗原結合部分は、配列番号23、配列番号24、配列番号25及び配列番号26からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する少なくとも1つの可変ドメインを含む。最も好ましくは、ヒト化抗体又はその抗原結合部分は、上記で開示される群から選択される2つの可変ドメインを含む。好ましくは、ヒト化抗体又はその抗原結合部分は、ヒトアクセプターフレームワークを含む。より好ましくは、ヒトアクセプターフレームワークは、上記で開示されているヒトアクセプターフレームワークの何れか1つである。
好ましい実施形態において、結合タンパク質は、Aβ(20−42)球状凝集体及び/又は本発明の抗体との反応性を有する球状凝集体エピトープを含むあらゆるAβ形態に結合することができるヒト化抗体又はその抗原結合部分である。好ましくは、ヒト化抗体又はその抗原結合部分は、ヒトアクセプターフレームワークのヒト抗体可変ドメイン中に取り込まれた上に開示されている1つ又はそれ以上のCDRを含む。好ましくは、ヒト抗体可変ドメインは、コンセンサスヒト可変ドメインである。より好ましくは、ヒトアクセプターフレームワークは、キーとなる残基における少なくとも1つのフレームワーク領域アミノ酸置換を含む(このキーとなる残基は、CDRに隣接する残基;グリコシル化部位残基;希少残基;Aβ(20−42)球状凝集体と相互作用することができる残基;CDRと相互作用することができる残基;カノニカル(canonical)残基;重鎖可変領域及と軽鎖可変領域との間の接触残基;バーニアゾーン内の残基;及びコチア定義の可変重鎖CDR1とKabat定義の第一の重鎖フレームワークとの間で重複する領域における残基からなる群から選択される。好ましくは、ヒトアクセプターフレームワークヒトアクセプターフレームワークは、少なくとも1つのフレームワーク領域アミノ酸置換を含み、このフレームワークのアミノ酸配列は、前記ヒトアクセプターフレームワークの配列と少なくとも65%同一であり、前記ヒトアクセプターフレームワークと同一の少なくとも70個のアミノ酸残基を含む。
好ましい実施形態において、結合タンパク質は、Aβ(20−42)球状凝集体及び/又は本発明の抗体との反応性を有する球状凝集体エピトープを含むあらゆるAβ形態に結合することができるヒト化抗体又はその抗原結合部分である。
本発明の抗体は、本明細書中に記載されているAβ球状凝集体以外のAβ形態とも反応性を有し得る(すなわち、結合し得る)ことが再び注目される。これらの抗原は、オリゴマー若しくは球状凝集体であってもよく、又はオリゴマー若しくは球状凝集体でなくてもよい。従って、本発明の抗体が結合する抗原には、本発明の抗体が反応性を有する球状凝集体エピトープを含むあらゆるAβ形態が含まれる。このようなAβ形態には、Aβ(20−42)、Aβ(20−40)、Aβ(12−42)、Aβ(12−40)、Aβ(1−42)及びAβ(1−40)形態などの末端切断された及び末端切断されていないAβ(X−Y)形態(X及びYは、上に定義されている。)が含まれるが、但し、これらの形態は、球状凝集体エピトープを含む。
好ましくは、ヒト化抗体又はその抗原結合部分は、上記で開示される1つ又はそれ以上のCDRを含む。より好ましくは、ヒト化抗体又はその抗原結合部分は、上記で開示される3つ又はそれ以上のCDRを含む。最も好ましくは、ヒト化抗体又はその抗原結合部分は、上記で開示される6つのCDRを含む。
特許請求の範囲に記載されている本発明の別の実施形態において、ヒト化抗体又はその抗原結合部分は、配列番号1、配列番号2、配列番号3及び配列番号4からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する少なくとも1つの可変ドメインを含む。配列番号1(5F7 VL)に関して、Kabat付番に基づいて、アミノ酸位置1はE又はQであり得;5位はV又はKであり得;V又はKであり得;11位は、V又はLであり得;12位は、K又はVであり得;13位は、K又はRであり得;16位は、A又はTであり得;20位は、V又はMであり得;38位は、R又はKであり得;40位は、A又はRであり得;75位は、T又はSであり得;81位は、E又はQであり得;83位は、R又はTであり得;87位は、T又はSであり得;及び91位は、Y又はFであり得る。配列番号2(5F7 VH)に関して、Kabat付番に基づき、アミノ酸2位は、I又はVであり得;3位は、V又はLであり得;7位は、S又はTであり得;14位は、T又はSであり得;15位は、P又はLであり得;17位は、E又はDであり得;18位は、P又はQであり得;45位は、Q又はKであり得;及び83位は、V又はLであり得る。配列番号3(7C6 VH)に関して、アミノ酸19位は、R又はKであり得;40位は、A又はTであり得;42位は、G又はAであり得;44位は、G又はRであり得;82A位は、N又はSであり得;84位は、L又はSであり得;及び89位は、V又はIであり得る。配列番号4(7C6 VL)に関して、Kabat付番に基づき、アミノ酸14位は、T又はRであり得;15位は、P又はLであり得;17位は、E又はDであり得;18位は、P又はQであり得;45位は、Q又はKであり;及び83位は、V又はLであり得る。 より好ましくは、ヒト化抗体又はその抗原結合部分は、上に開示されている群から選択される2つの可変ドメインを含む。最も好ましくは、ヒト化抗体又はその抗原結合部分は2つの可変ドメインを含み、前記2つの可変ドメインは(配列番号1及び配列番号2)及び(配列番号3及び配列番号4)からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する。
好ましい実施形態において、上記で開示される結合タンパク質は、ヒトIgM定常ドメイン、ヒトIgG1定常ドメイン、ヒトIgG2定常ドメイン、ヒトIgG3定常ドメイン、ヒトIgG4定常ドメイン、ヒトIgE定常ドメイン及びヒトIgA定常ドメインからなる群から選択される重鎖免疫グロブリン定常ドメインを含む。より好ましくは、結合タンパク質は、配列番号38、配列番号39、配列番号40及び配列番号41を含む。
より好ましい実施形態において、上記で開示される結合タンパク質は、ヒトIgM定常ドメイン、ヒトIgG1定常ドメイン、ヒトIgG2定常ドメイン、ヒトIgG3定常ドメイン、ヒトIgG4定常ドメイン、ヒトIgE定常ドメイン及びヒトIgA定常ドメインからなる群から選択される変異された重鎖免疫グロブリン定常ドメインを含む。エフェクター機能又は抗体の半減期を調節する重鎖定常領域の変異は、本分野において十分に認知されている(Boris,追加参考文献)。
さらにより好ましい実施形態において、上記で開示される結合タンパク質は、ヒトIgM定常ドメイン、ヒトIgG1定常ドメイン、ヒトIgG2定常ドメイン、ヒトIgG3定常ドメイン、ヒトIgG4定常ドメイン、ヒトIgE定常ドメイン及びヒトIgA定常ドメイン及びλ又はκ軽鎖からなる群から選択される野生型又は変異された重鎖免疫グロブリン定常ドメインを含む。
さらにより好ましい実施形態において、上記で開示される結合タンパク質は、ヒトIgM定常ドメイン、ヒトIgG1定常ドメイン、ヒトIgG2定常ドメイン、ヒトIgG3定常ドメイン、ヒトIgG4定常ドメイン、ヒトIgE定常ドメイン及びヒトIgA定常ドメイン及びκ軽鎖からなる群から選択される野生型又は変異された重鎖免疫グロブリン定常ドメインを含む。本発明の結合タンパク質は、Aβ(20−42)球状凝集体を結合することができ、本発明の抗体と反応性を有する球状凝集体エピトープを含むあらゆるAβ形態も結合し得る。好ましくは、結合タンパク質は、Aβ(20−42)球状凝集体の生物学的機能を調節することができる。より好ましくは、結合タンパク質は、Aβ(20−42)球状凝集体を中和することができる。
別の実施形態において、本発明の結合タンパク質は、1x10−6Mから1x10−12の範囲の、Aβ(20−42)球状凝集体に対する解離定数(K)を有する。好ましくは、抗体は、高い親和性で、例えば、約1x10−7若しくはそれ以上のKで、約1x10−8若しくはそれ以上のKで、約1x10−9若しくはそれ以上のKで、約1x10−10若しくはそれ以上のKで、又は約1x10−11若しくはそれ以上のKで、Aβ(20−42)球状凝集体に結合する。
Aβ(20−42)球状凝集体への抗体の結合親和性は、Aβ(12−42)球状凝集体への又はAβ(1−42)球状凝集体への抗体の結合親和性より、少なくとも2倍(例えば、少なくとも3又は少なくとも5倍)、好ましくは、少なくとも10倍(例えば、少なくとも20倍、少なくとも30倍又は少なくとも50倍)、より好ましくは、少なくとも100倍(例えば、少なくとも200倍、少なくとも300倍又は少なくとも500倍)、さらにより好ましくは、少なくとも1000倍(例えば、少なくとも2000倍、少なくとも3000倍又は少なくとも5000倍)、さらにより好ましくは、少なくとも10,000倍(例えば、少なくとも20,000倍、少なくとも30,000倍又は少なくとも50,000倍)、最も好ましくは、少なくとも100,000倍大きいことが好ましい。さらに、Aβ(20−42)球状凝集体への抗体の親和性は、Aβ(1−40)単量体及びAβ(1−40)単量体の両方に対するその親和性を上回るべきである。
本発明のある実施形態は、上記で開示される結合タンパク質の何れか1つ及びリンカーポリペプチド又は免疫グロブリンを含む抗体コンストラクトを提供する。好ましい実施形態において、抗体コンストラクトは、免疫グロブリン分子、モノクローナル抗体、キメラ抗体、CDRグラフト抗体、ヒト化抗体、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、ジスルフィド結合Fv、scFv、単一ドメイン抗体、ダイアボディ、多重特異性抗体、二重特異性抗体(dual specific antibody)、二特異性抗体(bispecific antibody)又は二重可変ドメイン(DVD)結合分子からなる群から選択される。好ましい実施形態において、抗体コンストラクトは、ヒトIgM定常ドメイン、ヒトIgG1定常ドメイン、ヒトIgG2定常ドメイン、ヒトIgG3定常ドメイン、ヒトIgG4定常ドメイン、ヒトIgE定常ドメイン及びヒトIgA定常ドメインからなる群から選択される重鎖免疫グロブリン定常ドメインを含む。より好ましくは、抗体コンストラクトは、(配列番号38及び配列番号39)又は(配列番号40及び配列番号41)を含む。別の実施形態において、本発明は、上記で開示される抗体コンストラクト及び、免疫接着分子、造影剤、治療薬及び細胞毒性薬からなる群から選択される物質を含む抗体連結体を提供する。好ましい実施形態において、造影剤は、放射性標識、酵素、蛍光標識、発光標識、生物発光標識、磁性標識及びビオチンからなる群から選択される。より好ましくは、造影剤は、H、14C、35S、90Y、99Tc、111In、125I、131I、177Lu、166Ho及び153Smからなる群から選択される放射性標識である。好ましい実施形態において、治療薬又は細胞毒性薬は、代謝拮抗薬、アルキル化剤、抗生物質、成長因子、サイトカイン、血管新生阻害剤、抗有糸分裂剤、アントラサイクリン、毒素及びアポトーシス剤からなる群から選択される。
別の実施形態において、抗体コンストラクトはグリコシル化されている。好ましくは、グリコシル化はヒトグリコシル化パターンである。
別の実施形態において、上記で開示される結合タンパク質、抗体コンストラクト又は抗体連結体は結晶として存在する。好ましくは、結晶は担体不含医薬制御放出結晶である。好ましい実施形態において、結晶化結合タンパク質、結晶化抗体コンストラクト又は結晶化抗体連結体は、その可溶性形態よりもインビボで長い半減期を有する。別の好ましい実施形態において、結晶化結合タンパク質、結晶化抗体コンストラクト又は結晶化抗体連結体は、結晶化後、生物学的活性を保持する。
本発明のある態様は、上記で開示される、結合タンパク質、抗体コンストラクト又は抗体連結体をコードする単離核酸分子に関する。さらなる実施形態は、上記で開示される単離核酸を含むベクターを提供する(該ベクターは、pcDNA;pTT(Durocherら、Nucleic Acids Research 2002、Vol.30、No.2);pTT3(さらなる多重クローニング部位を有するpTT;pEFBOS(Mizushima、S.及びNagata、S.(1990)Nucleic Acids Research、Vol.18、No.17);pBV;pJV;及びpBJからなる群から選択される。)。
別の態様において、宿主細胞は、上に開示されているベクターで形質転換されている。好ましくは、宿主細胞は原核細胞である。より好ましくは、宿主細胞はイー・コリである。関連する実施形態において、宿主細胞は真核細胞である。好ましくは、真核細胞は、原生細胞、動物細胞、植物細胞及び真菌細胞からなる群から選択される。より好ましくは、宿主細胞は、以下に限定されないが、CHO及びCOSを含む哺乳動物細胞;又はサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)などの真菌細胞;又はSf9などの昆虫細胞である。
本発明の別の態様は、Aβ(20−42)球状凝集体及び/又は本発明の抗体との反応性を有する球状凝集体エピトープを含む他のあらゆるAβ形態を結合する結合タンパク質を作製するのに十分な条件下及び時間で、上に開示されている宿主細胞の何れか1つを培地中において培養することを含む、Aβ(20−42)球状凝集体及び/又は本発明の抗体との反応性を有する球状凝集体エピトープを含む他のあらゆるAβ形態を結合する結合タンパク質を作製する方法を提供する。別の実施形態は、上に開示されている方法に従って産生された結合タンパク質及び/又は本発明の抗体との反応性を有する球状凝集体エピトープを含む他のあらゆるAβ形態を提供する。
ある実施形態は、本明細書中で定義されるような結合タンパク質の放出のための組成物を提供する(この組成物は、順に上記で開示されるような結晶化結合タンパク質、結晶化抗体コンストラクト又は結晶化抗体連結体及び成分と;少なくとも1つのポリマー性担体と、を含む製剤を含む。好ましくは、ポリマー性担体は、ポリ(アクリル酸)、ポリ(シアノアクリレート)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(無水物)、ポリ(デプシペプチド)、ポリ(エステル)、ポリ(乳酸)、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)又はPLGA、ポリ(b−ヒドロキシブトリエート)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(ジオキサノン);ポリ(エチレングリコール)、ポリ((ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド、ポリ[(有機)ホスファゼン]、ポリ(オルトエステル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、無水マレイン酸−アルキルビニルエーテルコポリマー、プルロニックポリオール、アルブミン、アルギン酸塩、セルロース及びセルロース誘導体、コラーゲン、フィブリン、ゼラチン、ヒアルロン酸、オリゴ糖、グリカミノグリカン、硫酸化多糖類、これらの混合物及びコポリマーからなる群の1つ又はそれ以上から選択されるポリマーである。好ましくは、成分は、アルブミン、スクロース、トレハロース、ラクチトール、ゼラチン、ヒドロキシプロピル−シクロデキストリン、メトキシポリエチレングリコール及びポリエチレングリコールからなる群から選択される。別の実施形態は、上記で開示される組成物の有効量を哺乳動物に投与する段階を含む、哺乳動物を治療するための方法を提供する。
本発明はまた、上記で開示されるような、結合タンパク質、抗体コンストラクト又は抗体連結体と医薬的に許容可能な担体とを含む医薬組成物も提供する。さらなる実施形態において、医薬組成物は、活性が有害である疾患を治療するための少なくとも1つのさらなる治療薬を含む。好ましくは、さらなる治療薬は、モノクローナル抗体(例えば、例えば、Remicade及びHumira(R)などのTNFアンタゴニスト)、TNF受容体融合タンパク質(例えば、Enbrel)、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体の断片、コレステリナーゼ阻害剤、部分的NMDA受容体ブロッカー、グリコサミノグリカン模倣物、γセクレターゼの阻害剤又はアロステリック調節物質、黄体形成ホルモン遮断ゴナドトロピン放出ホルモンアゴニスト、セロトニン5−HT1A受容体アンタゴニスト、キレート剤、神経選択的L型カルシウムチャネルブロッカー、免疫調節物質、アミロイド原線維形成阻害剤又はアミロイドタンパク質沈着阻害剤、5−HT1a受容体アンタゴニスト、PDE4阻害剤、ヒスタミンアゴニスト、糖化最終産物に対する受容体タンパク質、PARP刺激物質、セロトニン6−受容体アンタゴニスト、5−HT4受容体アゴニスト、ヒトステロイド、神経代謝を促進するグルコース取り込み刺激剤、選択的CB1アンタゴニスト、ベンゾジアゼピン受容体における部分的アゴニスト、アミロイドβ産生アンタゴニスト又は阻害剤、アミロイドβ沈着阻害剤、NNRα−7部分アンタゴニスト、治療標的PDE4、RNA翻訳阻害剤、ムスカリン性アゴニスト、神経成長因子受容体アゴニスト、NGF受容体アゴニスト及び遺伝子治療調節物質からなる群から選択される。
別の態様において、本発明は、Aβ(20−42)球状凝集体活性(又は他のアミロイドβタンパク質形態)が阻害されるように、適宜、Aβ(20−42)球状凝集体(又は抗体との反応性を有する球状凝集体エピトープを含む他のAβ形態)を、上に開示されている結合タンパク質と接触させることを含む、Aβ(20−42)球状凝集体(又は本発明の抗体との反応性を有する球状凝集体エピトープを含む他のあらゆるAβ形態)の活性を阻害するための方法を提供する。関連する態様において、ヒト対象中のAβ(20−42)球状凝集体活性(又は抗体との反応性を有する球状凝集体エピトープを含む他のAβ形態の活性)が阻害され、及び治療が達成されるように、上に開示されている結合タンパク質をヒト対象に投与することを含む、Aβ(20−42)球状凝集体活性(又は本発明の抗体との反応性を有する球状凝集体エピトープを含む他のAβ形態の活性)が有害である疾患に罹患しているヒト患者中において、ヒトAβ(20−42)球状凝集体活性(又は本発明の抗体との反応性を有する球状凝集体エピトープを含む他のあらゆるAβ形態)を阻害する方法を提供する。好ましくは、疾患は、例えば、アルツハイマー病又はダウン症などのアミロイドーシスから選択される。
別の態様において、本発明は、上記のように、第二の薬剤の投与の前に、それと同時に、又はその後に、上記で開示される結合タンパク質の何れか1つを投与する段階を含む、Aβ(20−42)球状凝集体(又は抗体と反応する球状凝集体エピトープを含む他の有害なAβ形態)が有害である疾患に罹患している患者を治療する方法を提供する。好ましい実施形態において、第二の薬剤は、上に列記されているような小分子又は生物薬からなる群から選択される。
好ましい実施形態において、上記で開示される医薬組成物は、非経口、皮下、筋肉内、静脈内、関節内、気管支内、腹腔内(intraabdominal)、嚢内、軟骨内、腔内(intracavity)、腔内(intracelial)、小脳内、脳室内、結腸内、頸管内、胃内、肝臓内、心筋内、骨内、骨盤内、心臓周囲内、腹腔内、胸膜内、前立腺内、肺内、直腸内、腎臓内、網膜内、脊髄内、滑膜内、胸腔内、子宮内、膀胱内、ボーラス、膣、直腸、口内、舌下、鼻内及び経皮から選択される少なくとも1つの方式により、対象に投与される。
本発明の一態様は、本発明の少なくとも1つのAβ(20−42)球状凝集体結合タンパク質及び/又は本発明の抗体と反応性を有する球状凝集体エピトープを含むあらゆる他のAβに対する少なくとも1つのAβ(20−42)球状凝集体抗イディオタイプ抗体を提供する。抗イディオタイプ抗体は、以下に限定されないが、重鎖もしくは軽鎖の少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)又はそのリガンド結合部分、重鎖もしくは軽鎖可変領域、重鎖もしくは軽鎖定常領域、フレームワーク領域又は本発明の結合タンパク質に組み込まれ得るこれらの団のあらゆる1つのあらゆる一部などの、免疫グロブリン分子の少なくとも一部を含む分子を含有する何らかのタンパク質又はペプチドを含む。
(A)は、ヒト化抗体5F7の可変重鎖(すなわち、5F7 VH(hum8)のヌクレオチド配列(配列番号42)を示し、(B)は、ヒト化抗体5F7の可変重鎖のアミノ酸配列(配列番号1)を示す。(C)は、ヒト化抗体5F7の可変軽鎖(すなわち、5F7 VL(hum8)のヌクレオチド配列(配列番号43)を示し、(D)は、このヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列(配列番号2)を示す。(図中、全てのCDR領域に下線が付されている。) (A)は、ヒト化抗体7C6の可変重鎖(すなわち、7C6 VH(hum7)のヌクレオチド配列(配列番号44)を示し、(B)は、ヒト化抗体7C6の可変重鎖のアミノ酸配列(配列番号3)を示す。(C)は、ヒト化抗体7C6の可変軽鎖(すなわち、7C6 VL(hum7)のヌクレオチド配列(配列番号45)を示し、(D)は、このヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列(配列番号4)を示す。(図中、全てのCDR領域に下線が付されている。) 末端切断された20−42球状凝集体へのビオチン化マウス5F7の結合を示す。特に、非標識マウス5F7(「HYB」)又はヒト化抗体5F7(「HUM8」)の量を増加させることにより、ビオチン化マウス5F7抗体の結合が阻害される。 末端切断された20−42球状凝集体へのビオチン化マウス7C6の結合を示す。非標識マウス抗体7C6(「HYB」)及びヒト化抗体7C6hum7(「HUM7」)の量を増加させることによって、ビオチン化マウス7C6抗体の結合が阻害される。 (A)は、標準タンパク質のSDSPAGE(分子マーカータンパク質、レーン1);Aβ(1−42)原線維調製物;対照(レーン2);Aβ(1−42)原線維調製物+mAb 5F7hum8、20時間、37℃、上清(レーン3);Aβ(1−42)原線維調製物+mAb 5F7hum8、20時間、37℃、ペレット(レーン4);Aβ(1−42)原線維調製物+mAb 7C6hum7mut、20時間、37℃、上清(レーン5);Aβ(1−42)原線維調製物+mAb 7C6hum7mut、20時間、37℃、ペレット(レーン6);Aβ(1−42)原線維調製物+mAb 7C6hum7wt、20時間、37℃、上清(レーン7);Aβ(1−42)原線維調製物+mAb 7C6hum7wt、20時間、37℃、ペレット(レーン8);Aβ(1−42)原線維調製物+mAb 6E10、20時間、37℃、上清(レーン9);Aβ(1−42)原線維調製物+mAb 6E10、20時間、37℃、ペレット(レーン10);Aβ(1−42)原線維調製物+mAb IgG2a、20時間、37℃、上清(レーン11);Aβ(1−42)原線維調製物+mAb IgG2a、20時間、37℃、ペレット(レーン12)を示し、(B)は、総抗体の%でのAβ−原線維に結合するmAbの定量分析の結果を示す。 (A)は、異なる抗Aβ抗体(6E10、5F7hum8、7C6hum7wt、7C6hum7mut)の特異性のドットブロット分析を示している。ここで検査されているモノクローナル抗体は、Aβ(20−42)球状凝集体でのマウスの能動免疫化に続く、融合されたハイブリドーマ細胞の選択とその後のヒト化によって得られた(市販のマウスモノクローナル抗体6E10、SignetNo9320を除く。)。各Aβ形態を系列希釈で適用し、免疫反応のために、各モノクローナル抗体とともに温置した。 1.Aβ(1−42)単量体、0.1%NHOH 2.Aβ(1−40)単量体、0.1%NHOH 3.Aβ(1−42)単量体、0.1%NaOH 4.Aβ(1−40)単量体、0.1%NaOH 5.Aβ(1−42)球状凝集体 6.Aβ(12−42)球状凝集体 7.Aβ(20−42)球状凝集体 8.Aβ(1−42)原繊維調製物 9.sAPPα(Sigma)(第一のドット:1pmol) (B)は、強度の濃度測定分析を使用して、定量的評価が実施されたときに得られた結果を示している。各Aβ形態に関し、最低の抗原濃度に相当するドットのみを評価し、ただし、前記濃度は、Aβ(20−42)球状凝集体の光学的に明確に同定された最後のドットの相対密度(閾値)の20%を超える相対密度を有した。全てのドットブロットに対して独立して、この閾値を決定した。前記値は、Aβ(20−42)球状凝集体の認識と付与された抗体に関する個々のAβ形態との間の関係を示す。 5F7VH領域アミノ酸配列のアラインメントを示す。5F7VH(配列番号68)、Hu5F7VH(配列番号69)及びヒトMUC1−1’CL(配列番号70)及びJH4セグメントのアミノ酸配列を一文字表記で示す。マウス5F7VH配列において、Kabat、E.A.ら(1991)の定義に基づくCDR配列に下線を付す。アクセプターヒトVHセグメントにおけるCDR配列は図面では省略する。Hu5F7VH配列中の一重線を付したアミノ酸は、CDR配列と接触することが予想され、従って、これは、対応するマウス残基で置換されている。Hu5F7VH配列中の二重線を付したアミノ酸は、免疫原性の可能性を排除するために、同じヒトVHサブグループのコンセンサスアミノ酸に変更されている。 5F7VL領域アミノ酸配列のアラインメントを示す。5F7VL(配列番号71)、Hu5F7VL(配列番号72)及びヒトTR1.37’CL(配列番号73)及びJK4セグメントのアミノ酸配列を一文字表記で示す。マウス5F7VL配列において、Kabat、E.A.ら(1991)の定義に基づくCDR配列に下線を付す。アクセプターヒトVLセグメントにおけるCDR配列は図面では省略する。Hu5F7VL配列で一重線を付したアミノ酸は、CDR配列に接触することが予想され、従って、対応するマウス残基で置換されている。Hu5F7VL配列で二重線を付したアミノ酸は、免疫原性の可能性を排除するために、同じヒトVLサブグループのコンセンサスアミノ酸に変更されている。 2人のアルツハイマー病患者並びに19月齢のAPPトランスジェニックTg2576マウス及び17月齢のAPP/Loマウスの剖検新皮質の横断切片への異なる抗体の結合を示す。0.7μg/mLの濃度でのAβの実質沈着(アミロイドプラーク;黒い矢印)及び血管アミロイド沈着(脳アミロイド血管症、CAA;白い矢印)の染色は、6E10及び4G8を用いた場合にのみ起こり、h7C6wt及びh7C6mutを用いた場合には起こらない。 組織学的画像分析による、0.7μg/mLの濃度での、アルツハイマー病患者RZ16の新皮質中の抗体によるAβプラーク染色の分析の定量。光学密度の値(0%=周囲のバックグラウンド染色)は、灰色スケール値から計算し、抗体間の差を統計学的に評価した(ANOVA、F(3,59)=207.7;P<0.0001;その後、後知恵Bonferroniのt検定):6E10及び4G8は他の全ての抗体と異なっていたのに対して(P<0.001)、h7C6wt及びh7C6mutは全く染色を示さなかった。 組織学的画像分析による、0.7μg/mLの濃度での、アルツハイマー病患者RZ55の新皮質中の抗体によるAβプラーク染色の分析の定量。光学密度の値(0%=周囲のバックグラウンド染色)は、灰色スケール値から計算し、抗体間の差を統計学的に評価した(ANOVA、F(3.59)=182.6;P<0.0001;その後、後知恵Bonferroniのt検定):6E10及び4G8は他の全ての抗体と異なっていたのに対して(P<0.001)、h7C6wt及びh7C6mutは全く染色を示さなかった。 組織学的画像分析による、数個の濃度での、ヒトAPPスウェーデントランスジェニックマウス系統(Tg2576)の新皮質中の抗体によるAβプラーク染色の分析の定量。光学密度の値(0%=周囲のバックグラウンド染色)は、灰色スケール値から計算し、0.7μg/mLでの抗体間の差を統計学的に評価した(ANOVA、F(3,59)=290.9;P<0.0001;その後、後知恵Bonferroniのt検定):6E10及び4G8はh7C6抗体と異なっていたのに対して(P<0.001)、h7C6wt及びh7C6mutは全く染色を示さなかった。 組織学的画像分析による、数個の濃度での、ヒトAPPロンドントランスジェニックマウス系統(APP/Lo)の新皮質中の抗体によるAβプラーク染色の分析の定量。光学密度の値(0%=周囲のバックグラウンド染色)は、灰色スケール値から計算し、0.7μg/mLでの抗体間の差を統計学的に評価した(ANOVA、F(3,50)=145.6;P<0.0001;その後、後知恵Bonferroniのt検定):6E10及び4G8はh7C6抗体と異なっていたのに対して(P<0.001)、h7C6wt及びh7C6mutは全く染色を示さなかった。
本明細書中で別段の定義がない限り、本発明に関して使用される科学用語及び技術用語は、当業者により一般に理解される意味を有する。これらの用語の意味及び範囲は明確であるが、しかし、何らかの潜在的な曖昧性がある場合には、本明細書中で提供される定義が、あらゆる辞書又は付帯的な定義よりも優先される。さらに、内容により必要とされない限り、単数形である語は、複数性を含み、複数形の語は単数性を含む。本願において、「又は」の使用は、別段の断りがない限り、「及び/又は」を意味する。さらに、「含む(including)」という用語ならびに「含む(includes)」及び「含まれる(included)」などのその他の形態の使用は限定ではない。また、別段の断りがない限り、「要素」又は「成分」などの用語は、1単位を含む要素及び成分及び複数のサブユニットを含む要素及び成分の両方を包含する。
一般に、本明細書中に記載の、細胞及び組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学及びタンパク質及び核酸化学及びハイブリッド形成と関連して使用される命名法及びそれらの技術は当技術分野で周知であり一般に使用されるものである。本発明の方法及び技術は、一般に、別段の指示がない限り、当技術分野で周知の従来法に従い、本願を通じて引用され考察される様々な一般的及びより具体的な参考文献に記載のように、行われる。酵素反応及び精製技術は、当技術分野で一般に完遂されるように又は本明細書中に記載のように、製造者の仕様書に従い行われる。本明細書中に記載の、分析化学、合成有機化学及び医学及び製薬化学と関連して使用される命名法及びそれらの検査法及び技術は、当技術分野で周知であり、一般に使用される。化学合成、化学分析、医薬調製、処方及び送達ならびに患者の治療に対して標準的技術が使用される。
特に、本発明は、Aβ球状凝集体の末端切断された形態に対して高い親和性を有する球状凝集体特異的抗体を提供する。これらの抗体は、Aβペプチドの他の形態、特に単量体及び原繊維のみならず、Aβ球状凝集体の末端切断されていない形態も識別することができる。従って、本発明は、Aβ(1−42)球状凝集体に対する本抗体の結合親和性より大きい、Aβ(20−42)球状凝集体に対する結合親和性を有する抗体に関する。
さらに、本発明は、Aβ(12−42)球状凝集体に対する本抗体の結合親和性より大きい、Aβ(20−42)球状凝集体に対する結合親和性を有する抗体に関する。
特定の実施形態によれば、従って、本発明は、Aβ(1−42)球状凝集体及びAβ(12−42)球状凝集体の両方に対する抗体の結合親和性より大きい、Aβ(20−42)球状凝集体に対する結合親和性を有する抗体に関する。
本明細書において「Aβ(X−Y)」という用語は、X及びYの両方を含むヒトアミロイドβタンパク質のアミノ酸位置Xからアミノ酸位置Yまでのアミノ酸配列、特にはアミノ酸配列DAEFRHDSGY EVHHQKLVFF AEDVGSNKGA IIGLMVGGVV IAT(配列番号64)(アミノ酸1から43に相当)又はその天然に存在するバリアントの何れかのアミノ酸位置Xからアミノ酸位置Yまでのアミノ酸配列、特には位置X及び位置Yの両方又はいずれも球状凝集体形成を妨害し得ない3個以下の別のアミノ酸置換を有し、好ましくはアミノ酸12又はX(いずれか数値の高い方)からアミノ酸42ま又はY(いずれか数値の低い方)の部分中にさらなるアミノ酸置換がなく、より好ましくはアミノ酸20又はX(いずれか数値の高い方)からアミノ酸42又はY(いずれか数値の低い方)の部分に追加のアミノ酸置換がなく、最も好ましくはアミノ酸20又はX(いずれか数値の高い方)からアミノ酸40又はY(いずれか数値の低い方)の部分に追加のアミノ酸置換がない配列(ここで、「追加の」アミノ酸置換とは、自然には認められない、標準的な配列からのあらゆる逸脱である)を含むA2T、H6R、D7N、A21G(「フランドル」)、E22G(「北極」)、E22Q(「オランダ」)、E22K(「イタリア」)、D23N(「アイオア」)、A42T及びA42V(数値は、Aβペプチドの開始に関係するものである)からなる群から選択される少なくとも1個の突然変異を有するものを指す。
より具体的には、本明細書における「Aβ(1−42)」という用語は、1及び42の両方を含むヒトアミロイドβタンパク質のアミノ酸位置1からアミノ酸位置42のアミノ酸配列、特にはアミノ酸配列DAEFRHDSGY EVHHQKLVFF AEDVGSNKGA IIGLMVGGVV IA(配列番号46)又はその天然バリアントの何れか、特にはA2T、H6R、D7N、A21G(「フランドル」)、E22G(「北極」)、E22Q(「オランダ」)、E22K(「イタリア」)、D23N(「アイオア」)、A42T及びA42V(数字は1及び42の両方を含むAβペプチドの開始に関するものである)からなる群から選択される少なくとも1個の突然変異を有するもの又はいずれも球状凝集体形成を妨害しない3個以下の追加のアミノ酸置換を有し、好ましくはアミノ酸20からアミノ酸42の部分に追加のアミノ酸置換を持たない配列を指す。同様に、本明細書における「Aβ(1−40)」という用語は、1及び40の両方を含むヒトアミロイドβタンパク質のアミノ酸位置1からアミノ酸位置40のアミノ酸配列、特にはアミノ酸配列DAEFRHDSGY EVHHQKLVFF AEDVGSNKGA IIGLMVGGVV(配列番号47)又はその天然バリアントの何れか、特にはA2T、H6R、D7N、A21G(「フランドル」)、E22G(「北極」)、E22Q(「オランダ」)、E22K(「イタリア」)及びD23N(「アイオア」)(数字は1及び40の両方を含むAβペプチドの開始に関するものである)からなる群から選択される少なくとも1個の突然変異を有するもの又はいずれも球状凝集体形成を妨害しない3個以下の追加のアミノ酸置換を有し、好ましくはアミノ酸20からアミノ酸40の部分に別のアミノ酸置換を持たない配列を指す。
より具体的には、本明細書における「Aβ(12−42)」という用語は、12及び42の両方を含むヒトアミロイドβタンパク質のアミノ酸位置12からアミノ酸位置42のアミノ酸配列、特にはアミノ酸配列VHHQKLVFF AEDVGSNKGA IIGLMVGGVV IA(配列番号66)又はその天然バリアント、特には、A21G(「フランドル」)、E22G(「北極」)、E22Q(「オランダ」)、E22K(「イタリア」)、D23N(「アイオア」)、A42T及びA42V(数字は12及び42の両方を含むAβペプチドの開始に関するものである)からなる群から選択される少なくとも1個の突然変異を有するもの又はいずれも球状凝集体形成を妨害しない3個以下の追加のアミノ酸置換を有し、好ましくはアミノ酸20からアミノ酸42の部分に追加のアミノ酸置換を持たない配列を指す。
より具体的には、本明細書における「Aβ(20−42)」という用語は、20及び42の両方を含むヒトアミロイドβタンパク質のアミノ酸位置20からアミノ酸位置42のアミノ酸配列、特にはアミノ酸配列F AEDVGSNKGA IIGLMVGGVV IA(配列番号67)又はそのバリアントの何れか、特には、A21G(「フランドル」)、E22G(「北極」)、E22Q(「オランダ」)、E22K(「イタリア」)、D23N(「アイオア」)、A42T及びA42V(数字は20及び42の両方を含むAβペプチドの開始に関するものである)からなる群から選択される少なくとも1個の突然変異を有するもの又はいずれも球状凝集体形成を妨害しない3個以下の追加のアミノ酸置換を有し、好ましくはさらなるアミノ酸置換を一切持たない配列を指す。
「Aβ(X−Y)球状凝集体」(「Aβ(X−Y)球状オリゴマー」)という用語は、本明細書中で、上記で定義されるように、均一性及び別個の物理的特性を有する、Aβ(X−Y)ペプチドの可溶性の球状の非共有会合体を指す。一態様によれば、Aβ(X−Y)球状凝集体は、陰イオン性界面活性剤とともに温置することにより得られるAβ(X−Y)ペプチドの安定な非原線維性のオリゴマー集合体である。単量体及び原線維とは異なり、これらの球状凝集体は、サブユニットの定められた集合体数を特徴とする(例えば、国際出願公開WO04/067561に記載のように、初期集合形態、n=4−6、「オリゴマーA」及び後期集合形態、n=12−14、「オリゴマーB」。)。球状凝集体は、3次元球状型構造を有する(「モルテングロビュール」、Barghornら、2005、J Neurochem、95、834−847参照)。これらはさらに、次の特性の1つ又はそれ以上をさらに特徴とし得る。
−球状凝集体の末端切断された形態を生じさせる広域プロテアーゼ(サーモリシン又はエンドプロテイナーゼGluCなど)でのN−末端アミノ酸X−23の切断可能性;
−広域プロテアーゼ及び抗体とのC末端アミノ酸24−Yの非近接性;
−これらの球状凝集体の末端切断された形態は、その球状凝集体配座におけるコアエピトープAβ(20−Y)の近接性がより良好である球状凝集体の3次元コア構造を維持する。
本発明によると、及び、特に、本発明の抗体の結合親和性を評価する目的のために、「Aβ(X−Y)球状凝集体」という用語は、本明細書中で、国際特許公開WO2004/067561(本明細書中に参照により組み込まれる。)に記載のようなプロセスにより得られる生成物を特に指す。このプロセスは、天然、組み換えもしくは合成Aβ(X−Y)ペプチド又はその誘導体を変性(アンフォールディング)させること;変性(アンフォールディング)させたAβ(X−Y)ペプチド又はその誘導体を界面活性剤に少なくとも部分的に曝露し、その界面活性剤作用を低下させ、温置を続けることを含む。

ペプチドの変性(アンフォールディング)のために、例えばヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)などの水素結合破壊剤をタンパク質に対して作用させ得る。作用温度が約20から50℃、特に約35から40℃である場合、数分、例えば10から60分の作用時間で十分である。蒸発乾固した残渣を、好ましくは濃縮形態で、例えばジメチルスルホキシド(DMSO)などの水性緩衝剤と混ざり合う適切な有機溶媒中で続いて溶解することにより、結果として、その後に使用され得る、少なくとも部分的に変性(アンフォールディング)したペプチド又はその誘導体の懸濁液が得られる。必要に応じて、保存用懸濁液を低温、例えば約−20℃でしばらくの間保存し得る。
あるいは、弱酸性の、好ましくは水性の、溶液、例えば約10mM HCl水溶液中で、ペプチド又はその誘導体を溶解させ得る。通常数分間温置した後、不溶性成分を遠心により除去する。10,000gで数分が好都合である。好ましくはこれらの方法の段階を室温、即ち20から30℃の範囲の温度で行う。遠心後に得られる上清は、Aβ(X−Y)ペプチド又はその誘導体を含有し、低温、例えば約−20℃でしばらくの間保存し得る。
界面活性剤への続く曝露は、ペプチド又はその誘導体のオリゴマー化に関連し、オリゴマーの中間型(WO2004/067561、オリゴマーAと呼ばれる。)が得られる。このために、十分な中間体オリゴマーが生じるまで、場合によっては少なくとも部分的に変性(アンフォールディング)したペプチド又はその誘導体に対して界面活性剤を作用させる。イオン性界面活性剤、特に陰イオン性界面活性剤を用いることが好ましい。

特定の実施形態によると、式(I):
R−X
の界面活性剤が使用される(式中、基Rは、6から20、好ましくは10から14個の炭素原子を有する非分枝もしくは分枝アルキル又は6から20、好ましくは10から14個の炭素原子を有する非分枝もしくは分枝アルケニルであり、基Xは酸性基又はその塩であり、Xは好ましくは−COO、−SO の中から選択され、特に−OSO であり、Mは、水素陽イオン又は無機もしくは有機陽イオンであり、好ましくは、アルカリ金属陽イオン、アルカリ土類金属陽イオン及びアンモニウム陽イオンから選択される。)。最も有利であるのは、特に、Rが非分枝アルキルである(そのアルキル(alk−l−yl)基に言及しなければならない。)、式(I)の界面活性剤である。特に好ましいのは、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)である。ラウリン酸及びオレイン酸も有利に使用できる。界面活性剤ラウロイルサルコシンのナトリウム塩(サルコシルNL−30又はGardol(R)としても知られている。)もまた特に有利である。界面活性剤作用時間は、特に、変性(アンフォールディング)しているならば、オリゴマー化に供されるペプチド又はその誘導体がどの程度まで変性(アンフォールディング)しているかに依存する。変性(アンフォールディング)段階に従い、ペプチド又はその誘導体が水素結合破壊剤で、即ち、特にヘキサフルオロイソプロパノールで、既に処理されているならば、作用温度が約20から50℃、特に約35から40℃である場合、数時間の範囲の作用時間、有利には約1から20、特に約2から10時間で十分である。変性(アンフォールディング)の程度が小さいか又は基本的に変性(アンフォールディング)されていないペプチド又はその誘導体が出発点である場合、相応して、作用時間が長い方が好都合である。例えばHFIP処理に代わる手段として上記手順に従いペプチドもしくはその誘導体が前処理されているか、又は該ペプチドもしくはその誘導体がオリゴマー化に直接供されるならば、作用温度が約20から50℃、特に約35から40℃である場合、約5から30時間、特に約10から20時間の作用時間で十分である。温置後、有利に不溶性成分を遠心により除去する。10,000gで数分間が好都合である。
選択すべき界面活性剤濃度は使用される界面活性剤に依存する。SDSを使用する場合、0.01から1重量%、好ましくは、0.05から0.5重量%の範囲、例えば、約0.2重量%の濃度が好都合と分かる。ラウリン酸又はオレイン酸が使用される場合、例えば、0.05から2重量%、好ましくは0.1から0.5重量%の範囲、例えば約0.5重量%の、幾分高い濃度が好都合である。
界面活性剤作用は、生理的範囲前後の塩濃度となるはずである。従って、特に50から500mM、好ましくは100から200mMの範囲、より具体的には約140mMのNaCl濃度が好都合である。続く界面活性剤作用の低下及び温置の継続は、さらなるオリゴマー化に関連し、本発明のAβ(X−Y)球状凝集体(国際出願公開WO04/067561において、オリゴマーBと呼ばれる。)が得られる。前段階から得られる組成物は通常、界面活性剤及び生理的範囲の塩濃度を含有するので、界面活性剤作用を低下させ、好ましくは塩濃度も低下させることが好都合である。例えば、水又は低塩濃度の緩衝液(例えばTris−HCl、pH7.3)で好都合に希釈することにより界面活性剤及び塩の濃度を低下させることによって、これを行い得る。約2から10の範囲、有利には、約3から8の範囲、特に約4の、希釈係数が適切であることが分かっている。前記界面活性剤作用を中和することができる物質を添加することによっても、界面活性剤作用の低下を達成し得る。界面活性剤作用の低減は、前記界面活性剤作用を中和し得る物質を加えることによっても達成できる。これらの例には、一連の精製及び抽出方法において細胞を安定化させることができる物質のような界面活性剤を錯化させることができる物質(例えば、特定のEO/POブロックコポリマー、特に、Pluronic(R)F68の商標名のブロックコポリマー)が含まれる。特定の臨界ミセル濃度前後又はそれ以上の濃度範囲の、アルコキシル化及び、特に、エトキシル化アルキルフェノール(Triton(R)Xシリーズのエトキシル化t−オクチルフェノール、特にTriton(R)X100、3−(3−コラミドプロピルジメチルアンモニオ)−1−プロパンスルホネート(CHAPS(R))など)又はアルコキシル化及び特にエトキシル化ソルビタン脂肪エステル(Tween(R)シリーズのものなど、特にTween(R)20)も同様に使用され得る。続いて、本発明の十分なAβ(X−Y)球状凝集体が生成されるまでこの溶液を温置する。作用温度が約20から50℃、特に約35から40℃である場合、数時間の範囲、好ましくは約10から30時間、特に約15から25時間の範囲の作用時間で十分である。次にこの溶液を濃縮し得、得られる残渣を遠心により除去し得る。繰り返すが、10,000gで数分間が好都合であることが分かっている。遠心後に得られる上清は、本発明のAβ(X−Y)球状凝集体を含有する。
例えば超遠心、透析、沈殿又は遠心により、それ自体公知の様式で、本発明のAβ(X−Y)球状凝集体を最終的に回収することができる。変性条件下でのAβ(X−Y)球状凝集体の電気泳動による(例えばSDS−PAGEによる)分離によって2重のバンドが得られれば(例えば、Aβ(1−42)に対して38/48kDaの見かけの分子量を有する。)、特に好ましくは、分離前に球状凝集体のグルタルアルデヒド処理においてこれらの2本のバンドが1本にまとまればさらに好ましい。球状凝集体のサイズ排除クロマトグラフィーによって単一ピーク(例えば、それぞれ、Aβ(1−42)球状凝集体の場合には約100kDa又はグルタルアルデヒドによって架橋されたAβ(1−42)球状凝集体の場合には約60kDaの分子量に相当)となることも好ましい。Aβ(1−42)ペプチド、Aβ(12−42)ペプチド及びAβ(20−42)ペプチドから出発すると、前記プロセスは、Aβ(1−42)球状凝集体、Aβ(12−42)球状凝集体及びAβ(20−42)球状凝集体を得る上で特に好適である。
本発明の特定の実施形態において、Aβ(X−Y)球状凝集体(Xは、数字2..24からなる群から選択され、及びYは上記定義のとおりである。)は、Aβ(1−Y)球状凝集体(Xは、数字2..24からなる群から選択され、Xは、好ましくは20又は12であり、及びYは上記定義のとおりである。)をより短い形態へ末端切断することによって取得されるものであり、これは、適切なプロテアーゼでの処理によって達成することが可能である。例えば、Aβ(20−42)球状凝集体は、Aβ(1−42)球状凝集体をサーモリシンタンパク質分解へ供することによって取得することが可能であり、Aβ(12−42)球状凝集体は、Aβ(1−42)球状凝集体をエンドプロテイナーゼGluCタンパク質分解へ供することによって取得することが可能である。タンパク質分解の所望される程度に達した時点で、プロテアーゼは、一般的に知られている様式で不活化される。次いで、本明細書に既に記載されている操作に従って、得られた球状凝集体を単離し、必要であれば、さらなる作業及び精製工程によって、さらに加工し得る。前記プロセスの詳しい記述は、参照により、本明細書に組み込まれる国際特許公開WO2004/067561に開示されている。
本発明において、Aβ(1−42)球状凝集体は、特に、以下の実施例1bに記載されているAβ(1−42)球状凝集体であり、Aβ(20−42)球状凝集体は、特に、本明細書の実施例1aに記載されているAβ(20−42)球状凝集体であり、及びAβ(12−42)球状凝集体は、特に、本明細書の実施例1cに記載されているAβ(12−42)球状凝集体である。好ましくは、球状凝集体は、神経細胞に対して親和性を示す。好ましくは、球状凝集体は、神経調節効果も示す。本発明の別の態様によれば、球状凝集体は、11から16、最も好ましくは、12から14のAβ(X−Y)ペプチドからなる。
本発明の別の態様によれば、本明細書において「Aβ(X−Y)球状凝集体」という用語は、Aβ(X−Y)サブユニットから実質的になる球状凝集体を表し、12のサブユニットのうち、平均、少なくとも11のサブユニットが、Aβ(X−Y)型であれば好ましく、球状凝集体の10%未満が何れかの非Aβ(X−Y)ペプチドを含めば、より好ましく、最も好ましくは、非Aβ(X−Y)ペプチドの含量が検出閾値を下回っている。より具体的には、本明細書において「Aβ(1−42)球状凝集体」という用語は、上記定義のAβ(1−42)単位から実質的になる球状凝集体を表し、本明細書において「Aβ(12−42)球状凝集体」という用語は、上記定義のAβ(12−42)単位から実質的になる球状凝集体を表し、本明細書において「Aβ(20−42)球状凝集体」という用語は、上記定義のAβ(20−42)単位から実質的になる球状凝集体を表す。
本明細書において、「架橋されたAβ(X−Y)球状凝集体」という用語は、球状凝集体の構成単位の架橋によって、好ましくは化学的な架橋によって、より好ましくはアルデヒド架橋によって、最も好ましくは、グルタルジアルデヒド架橋によって、上述のようなAβ(X−Y)球状凝集体から取得可能な分子を表す。本発明の別の態様において、架橋された球状凝集体は、実質的に、前記単位が非共有的相互作用のみによって互いに固定されるのではなく、少なくとも部分的に共有結合によって連結されている球状凝集体である。本発明において、架橋されたAβ(1−42)球状凝集体は、特に、本明細書の実施例1dに記載されている架橋されたAβ(1−42)オリゴマーである。
本明細書において、「Aβ(X−Y)球状凝集体誘導体」という用語は、特に、検出を容易にする基に共有結合されることによって標識されている球状凝集体、好ましくは、蛍光色素分子、例えば、フルオレセイン・イソチオシアナート、フィコエリトリン、エコーレア・ビクトリア(Aequorea victoria)蛍光タンパク質、ディクチオソーマ(Dictyosoma)蛍光タンパク質又はこれらのあらゆる組み合わせ又は蛍光活性誘導体;発色団;化学発色団、例えば、ルシフェラーゼ、好ましくは、フォティヌス・ピラリス(Photinus pyralis)ルシフェラーゼ、ビブリオ・フィシェリ(Vibrio fischeri)ルシフェラーゼ又はこれらのあらゆる組み合わせ若しくは化学発光活性誘導体;酵素的に活性な基、例えば、ペルオキシダーゼ、例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ又は酵素的に活性なこれらの何れかの誘導体;電子密度が高い基、例えば、重金属含有基、例えば、金含有基;ハプテン、例えば、フェノールに由来するハプテン;強く抗原性の構造、例えば、抗原性であると予測されるペプチド配列、例えば、Kolaskar及びTongaonkarのアルゴリズムによって、抗原性であると予測されるペプチド配列;別の分子に対するアプタマー;キレート基、例えば、ヘキサヒスチジニル;更なる特定のタンパク質−タンパク質相互作用を媒介する天然の又は天然由来のタンパク質構造、例えば、fos/jun対の要素;磁性基、例えば、強磁性基;又は放射性基、例えば、H、14C、32P、35S若しくは125I若しくはこれらのあらゆる組み合わせを含む基;又は共有結合によって、若しくは非共有高親和性相互作用によってフラッグ標識されている球状凝集体、好ましくは、不活化、隔離、分解及び/又は沈殿を促進する基に共有結合されている球状凝集体、好ましくは、インビボ分解を促進する基、より好ましくはユビキチンでフラッグ標識されている球状凝集体(この場合、このフラッグ標識されたオリゴマーがインビボで組み立てられるのであれば、特に好ましい。)、又は上記のあらゆる組み合わせによって修飾された球状凝集体を表す。このような標識及びフラッグ標識基並びにタンパク質にこれらを付着させるための方法は、本分野において公知である。標識及び/又はフラッグ標識は、球状凝集体化の前、間又は後に実施し得る。本発明の別の態様において、球状凝集体誘導体は、標識及び/又はフラッグ標識反応によって、球状凝集体から取得可能な分子である。
対応して、本明細書において、「Aβ(X−Y)単量体誘導体」という用語は、特に、球状凝集体に対して記載されているように標識又はフラッグ標識されているAβ単量体を表す。
都合よく、本発明の抗体は、1×10−6Mから1×10−12Mの範囲のKで、Aβ(20−42)球状凝集体に結合する。好ましくは、抗体は、高い親和性で、例えば、1×10−7MのK若しくはそれ以上の親和性で、例えば、3×10−8MのK若しくはそれ以上の親和性で、1×10−8MのK若しくはそれ以上の親和性で、例えば、3×10−9MのK若しくはそれ以上の親和性で、1×10−9MのK若しくはそれ以上の親和性で、例えば、3×10−10MのK若しくはそれ以上の親和性で、1×10−10MのK若しくはそれ以上の親和性で、例えば、3×10−11MのK若しくはそれ以上の親和性で、又は1×10−11MのK若しくはそれ以上の親和性で、Aβ(20−42)球状凝集体に結合する。
本明細書において「より大きい親和性」という用語は、一方で結合していない抗体及び結合していない球状凝集体と他方で抗体−球状凝集体複合体との間の平衡が、さらに、抗体−球状凝集体複合体の方に傾く相互作用の程度を表す。同様に、本明細書において「より小さい親和性」という用語は、一方で結合していない抗体及び結合していない球状凝集体と他方で抗体−球状凝集体複合体との間の平衡が、さらに、結合していない抗体及び結合していない球状凝集体の方に傾く相互作用の程度を表す。「より大きい親和性」という用語は、「より高い親和性」という用語と同義であり、「より小さい親和性」という用語は「より低い親和性」という用語と同義である。
特定の実施形態によれば、本発明は、1×10−6Mから1×10−12Mの範囲のKでAβ(20−42)球状凝集体に、10−12M又はそれより小さい親和性のKでAβ(1−42)球状凝集体に結合し、Aβ(20−42)球状凝集体に対する結合親和性がAβ(1−42)球状凝集体に対する結合親和性より大きい抗体に関する。
Aβ(20−42)球状凝集体への本発明の抗体の結合親和性は、Aβ(1−42)球状凝集体への抗体の結合親和性より少なくとも2倍、例えば、少なくとも3倍又は少なくとも5倍、好ましくは少なくとも10倍、例えば、少なくとも20倍、少なくとも30倍又は少なくとも50倍、より好ましくは少なくとも100倍、例えば、少なくとも200倍、少なくとも300倍又は少なくとも500倍、より好ましくは少なくとも1000倍、例えば、少なくとも2000倍、少なくとも3000倍又は少なくとも5000倍、より好ましくは少なくとも10000倍、例えば、少なくとも20000倍、少なくとも30000倍又は少なくとも50000倍、最も好ましくは少なくとも100000倍大きいことが好ましい。
特定の実施形態によれば、本発明は、10−12M又はそれより小さい親和性のKでAβ(12−42)球状凝集体に結合し、Aβ(20−42)球状凝集体への結合親和性がAβ(12−42)球状凝集体への結合親和性より大きい抗体に関する。
Aβ(20−42)球状凝集体への本発明の抗体の結合親和性は、Aβ(12−42)球状凝集体への抗体の結合親和性より少なくとも2倍、例えば、少なくとも3倍又は少なくとも5倍、好ましくは少なくとも10倍、例えば、少なくとも20倍、少なくとも30倍又は少なくとも50倍、より好ましくは少なくとも100倍、例えば、少なくとも200倍、少なくとも300倍又は少なくとも500倍、より好ましくは少なくとも1000倍、例えば、少なくとも2000倍、少なくとも3000倍又は少なくとも5000倍、より好ましくは少なくとも10000倍、例えば、少なくとも20000倍、少なくとも30000倍又は少なくとも50000倍、最も好ましくは少なくとも100000倍大きいことも好ましい。
好ましくは、本発明の抗体は、上記定義のように、少なくとも1つのAβ球状凝集体に結合し、Aβの少なくとも1つの非球状凝集体形態に対して比較的より小さい親和性を有する。
少なくとも1つのAβ球状凝集体に対するよりAβの少なくとも1つの非球状凝集体形態に対して比較的より小さい親和性を有する本発明の抗体には、Aβ(1−42)単量体に対する結合親和性より大きいAβ(20−42)球状凝集体への結合親和性を有する抗体が含まれる。さらに、これに代えて又はこれに加えて、Aβ(20−42)球状凝集体に対する抗体の結合親和性が、Aβ(1−40)単量体に対する抗体の結合親和性より大きいことが好ましい。
本発明の好ましい実施形態において、Aβ(20−42)球状凝集体に対する抗体の親和性は、Aβ(1−40)及びAβ(1−42)単量体の両方に対する抗体の親和性より大きい。
本明細書において「Aβ(X−Y)単量体」という用語は、Aβ(X−Y)ペプチドの単離型、好ましくは本質的に非共有結合的相互作用で他のAβペプチドと係合していないAβ(X−Y)ペプチドの一形態を指す。特に、Aβ(X−Y)単量体は通常、水溶液の形態で提供される。本発明の特に好ましい実施形態において、水系単量体溶液は、0.05%から0.2%、より好ましくは約0.1%のNHOHを含有する。本発明の別の特に好ましい実施形態において、水系単量体溶液は、0.05%から0.2%、より好ましくは約0.1%のNaOHを含有する。使用される場合(例えば、本発明の抗体の結合親和性を測定するため)、前記溶液を適切な様式で希釈することが都合良い可能性がある。さらに通常は、前記溶液は、その調製後の2時間以内、特には1時間以内、特別には30分以内に使用することが良い。
より具体的には、本明細書において「Aβ(1−40)単量体」という用語は、本明細書に記載されているAβ(1−40)単量体調製物を表し、本明細書において「Aβ(1−42)単量体」という用語は、本明細書に記載されているAβ(1−42)単量体調製物を表す。
都合よく、本発明の抗体は、低い親和性で、最も好ましくは1×10−8MのK若しくはそれより小さい親和性で、例えば、3×10−8MのK若しくはそれより小さい親和性で、1×10−7MのK若しくはそれより小さい親和性で、例えば、3×10−7MのK若しくはそれより小さい親和性で、又は1×10−6MのK若しくはそれより小さい親和性で、例えば、3×10−5MのK若しくはそれより小さい親和性で、又は1×10−5MのK若しくはそれより小さい親和性で、一方の、又はより好ましくは両方の単量体に結合する。
Aβ(20−42)球状凝集体への本発明の抗体の結合親和性は、一方、又は、より好ましくは両方の単量体への抗体の結合親和性より少なくとも2倍、例えば、少なくとも3倍又は少なくとも5倍、好ましくは少なくも10倍、例えば、少なくとも20倍、少なくとも30倍又は少なくとも50倍、より好ましくは少なくとも100倍、例えば、少なくとも200倍、少なくとも300倍又は少なくとも500倍、より好ましくは少なくとも1000倍、例えば、少なくとも2000倍、少なくとも3000倍又は少なくとも5000倍、より好ましくは少なくとも10000倍、例えば、少なくとも20000倍、少なくとも30000倍又は少なくとも50000倍、最も好ましくは少なくとも100000倍大きいことが特に好ましい。
少なくとも1つのAβ球状凝集体に対するよりAβの少なくとも1つの非球状凝集体形態に対して比較的より小さい親和性を有する本発明の抗体には、Aβ(1−42)原繊維に対する結合親和性より大きいAβ(20−42)球状凝集体への結合親和性を有する抗体がさらに含まれる。さらに、これに代えて又はこれに加えて、Aβ(20−42)球状凝集体に対する抗体の結合親和性が、Aβ(1−40)原繊維に対する抗体の結合親和性より大きいことが好ましい。本明細書において、「原繊維」という用語は、電子顕微鏡中で繊維性構造を示し、コンゴーレッドを結合し、次いで、偏光下で複屈折を示し、そのX線回折パターンがクロス−β構造である非共有的に会合された各Aβ(X−Y)ペプチドの集合物を含む分子構造を表す。
本発明の別の態様において、原繊維は、界面活性剤の不存在下で、例えば、0.1MHCl中で、適切なAβペプチドの自己誘導された重合体凝集物を含む方法によって取得可能な分子構造であり、24超、好ましくは100単位超の凝集物の形成が得られる。この方法は、本分野において周知である。都合よく、Aβ(X−Y)原繊維は、水溶液の形態で使用される。本発明の特に好ましい実施形態において、水性原繊維溶液は、0.1%NHOH中にAβペプチドを溶解し、20mMNaHPO、140mMNaCl、pH7.4で1:4にこれを希釈した後に、pHを7.4に再調整し、37℃で20時間溶液を温置した後、10000gでの10分間の遠心及び20mMNaHPO、140mMNaCl、pH7.4中に再懸濁することによって作製される。
「Aβ(X−Y)原繊維」という用語は、本明細書において、Aβ(X−Y)サブユニットを含む原繊維も表し、サブユニットの少なくとも90%が、平均、Aβ(X−Y)型であれば好ましく、サブユニットの少なくとも98%が、Aβ(X−Y)型であればより好ましく、非Aβ(X−Y)ペプチドの含量が検出閾値を下回っていれば、最も好ましい。より具体的には、「Aβ(1−42)原繊維」という用語は、本明細書において、実施例IV.2.8に記載されているようにAβ(1−42)原繊維調製物を表す。
都合よく、本発明の抗体は、低い親和性で、最も好ましくは1×10−8MのK若しくはそれより小さい親和性で、例えば、3×10−8MのK若しくはそれより小さい親和性で、1×10−7MのK若しくはそれより小さい親和性で、例えば、3×10−7MのK若しくはそれより小さい親和性で、又は1×10−6MのK若しくはそれより小さい親和性で、例えば、3×10−5MのK若しくはそれより小さい親和性で、又は1×10−5MのK若しくはそれより小さい親和性で、一方の、又はより好ましくは両方の原繊維に結合する。
Aβ(20−42)球状凝集体への本発明の抗体の結合親和性は、一方、又は、より好ましくは両方の原繊維への抗体の結合親和性より少なくとも2倍、例えば、少なくとも3倍又は少なくとも5倍、好ましくは少なくも10倍、例えば、少なくとも20倍、少なくとも30倍又は少なくとも50倍、より好ましくは少なくとも100倍、例えば、少なくとも200倍、少なくとも300倍又は少なくとも500倍、より好ましくは少なくとも1000倍、例えば、少なくとも2000倍、少なくとも3000倍又は少なくとも5000倍、より好ましくは少なくとも10000倍、例えば、少なくとも20000倍、少なくとも30000倍又は少なくとも50000倍、最も好ましくは少なくとも100000倍大きいことが特に好ましい。
1つの特定の実施形態によれば、本発明は、Aβ(1−40)及びAβ(1−42)原繊維の両方に対するその結合親和性より大きい、Aβ(20−42)球状凝集体に対する結合親和性を有する抗体に関する。
特定の好ましい実施形態によれば、本発明は、少なくとも1つのAβ球状凝集体、特にAβ(20−42)球状凝集体に対する親和性より、Aβの単量体及び繊維性形態の両方に対して比較的より小さな親和性を有する抗体に関する。これらの抗体は、以下、球状凝集体特異的な抗体と称される。
本発明の抗体は本明細書中に記載されているAβ球状凝集体以外のAβ形態とも反応し得る、すなわち、結合し得ることが注目される。これらの抗原は、オリゴマー若しくは球状凝集体であってもよく、又はオリゴマー若しくは球状凝集体でなくてもよい。従って、本発明の抗体が結合する抗原には、本発明の抗体が反応性を有する球状凝集体エピトープを含むあらゆるAβ形態が含まれる。このようなAβ形態には、Aβ(20−42)、Aβ(20−40)、Aβ(12−42)、Aβ(12−40)、Aβ(1−42)及びAβ(1−40)形態などの末端切断された及び末端切断されていないAβ(X−Y)形態(X及びYは、上に定義されている。)が含まれるが、但し、前記形態は、球状凝集体エピトープを含む。
ヒト化抗体7C6及び5F7に戻ると、例えば、m266及び3D6などの競合抗体とは異なり、これらのAβ(20−42)球状凝集体特異的抗体は、主にAβ(20−42)球状凝集体形態を認識し、Aβ(1−40)単量体、Aβ(1−42)単量体、Aβ原繊維又はsAPP(すなわち、Aβ前駆体)の標準的調製物を認識しない。例えば8F5などの球状凝集体選択的抗体によってAβの球状凝集体型を特異的に標的とすることにより、1)不溶性アミロイド沈着を標的とすることが回避され(これに結合することは、不溶性Aβで免疫付与する際に観察される炎症性の副作用の原因となり得る。);2)予知的な生理的機能を有することが報告されているAβ単量体及びAPPを使用せず(Planら、J.of Neuroscience 23:5531−5535(2003);及び3)不溶性沈着への大量の結合により隠蔽されたり又は接近不可能とならないため、抗体のバイオアベイラビリティーが向上するので、球状凝集体に対するこのような特異性は重要である。
本発明はまた、ヒト化抗体7C6又はヒト化5F7の可変軽鎖及び重鎖をコードする単離ヌクレオチド配列(又はその断片)ならびに、これらのコードヌクレオチド配列と少なくとも約70%(例えば、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%又は79%)、好ましくは少なくとも約80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%又は89%)及びより好ましくは少なくとも約90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%)同一であるものを、含むか、これらに対応するか、これらと同一であるか、これらとハイブリッド形成するか、又はこれらと相補的である、配列を有するヌクレオチド配列(又はその断片)も含む。(70%と100%との間及びこれらを含む全ての整数(及びその一部)は、%同一性に関して本発明の範囲内であるとみなされる。)。このような配列は、あらゆる源由来であり得る(例えば、天然源から単離されるか、半合成経路を介して産生されるか、又はデノボ合成される。)。特に、実施例に記載のもの以外の源からこのような配列を単離し得るか、又は、このような配列は実施例に記載のもの以外の源由来であり得る(例えば、細菌、真菌、藻類、マウス又はヒト)。
上述のヌクレオチド配列に加えて、本発明はまた、ヒト化抗体7C6及びヒト化抗体5F7の可変軽鎖及び重鎖のアミノ酸配列(又はこれらのアミノ酸配列の断片)も含む。さらに、本発明はまた、本発明のタンパク質のアミノ酸配列と少なくとも約70%(例えば、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%又は79%)、好ましくは少なくとも約80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%又は89%)及びより好ましくは少なくとも約90%同一(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%)であるものを含むか、これらに相当するか、これらと、同一であるか又は相補的である、アミノ酸配列(又はその断片)も含む。(繰り返すが、70%と100%との間及びこれらを含む全ての整数(及びその一部)も(上記のヌクレオチド配列同一性に関連して引用される場合)、%同一性に関して本発明の範囲内であるとみなされる。)。
本発明の目的に対して、ヌクレオチド配列の「断片」は、特定のヌクレオチド配列の領域に相当する、およそ少なくとも6、好ましくは少なくとも約8、より好ましくは少なくとも約10ヌクレオチド、さらにより好ましくは少なくとも約15ヌクレオチドの連続する配列として定義される。
「同一性」という用語は、特定の比較枠又はセグメントにわたる、ヌクレオチドごとの2つの配列の関連性を指す。従って、同一性は、2つのDNAセグメント(又は2つのアミノ酸配列)の同じ鎖(センス又はアンチセンスの何れか)間の、同一である程度、対応性の程度又は同等性の程度として定義される。「配列同一性の%」は、特定の領域にわたり2つの最適に並べられた(アラインされた)配列を比較し、一致する位置の数を得るために両配列において同一の塩基又はアミノ酸がある位置の数を調べ、このような位置の数を比較セグメント中の位置の総数で割り、その結果に100を掛けることにより計算される。Smith & Waterman、Appl.Math.2:482(1981)のアルゴリズムにより、Needleman & Wunsch、J.Mol.Biol.48:443(1970)のアルゴリズムにより、Pearson & Lipman、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)85:2444(1988)の方法により、及び、関連するアルゴリズムを実行するコンピュータプログラムにより(例えば、Clustal Macaw Pileup(http://cmgm.stanford.edu/biochem218/11Multiple.pdf;Higginsら、CABIOS.5L151−153(1989))、FASTDB(Intelligenetics)、BLAST(National Center for Biomedical Information;Altschulら、Nucleic Acids Research 25:3389−3402(1997))、PILEUP(Genetics Computer Group、Madison、WI)又はGAP、BESTFIT、FASTA及びTFASTA(Wisconsin Genetics Software Package Release 7.0、Genetics Computer Group、Madison、WI)、配列の最適アラインメントを行い得る。(米国特許第5,912,120号参照)。
本発明の目的に対して、「相補性」は、2つのDNAセグメント間の関連性の程度として定義される。これは、二重らせんを形成させるために、適切な条件下で、一方のDNAセグメントのセンス鎖が他方のDNAセグメントのアンチセンス鎖とハイブリッド形成する能力を測定することにより決定される。「相補的」とは、規範的(カノニカル)な塩基対形成規則に基づきある一定の配列に対して対形成する配列として定義される。例えば、あるヌクレオチド鎖中の配列A−G−Tは、他方の鎖のT−C−Aに対して「相補的」である。
二重らせんにおいて、アデニンが一方の鎖に現れ、チミンが他方の鎖に現れる。同様に、グアニンが一方の鎖で見られる場合は常に、他方でシトシンが見られる。2つのDNAセグメントのヌクレオチド配列間の関連性が大きいほど、2つのDNAセグメントの鎖間でのハイブリッド二本鎖形成能が大きくなる。
2つのアミノ酸配列間の「類似性」は、一連の同一ならびに保存的アミノ酸残基が両配列において存在することとして定義される。2つのアミノ酸配列間の類似性の程度が高いほど、2つの配列の、対応性、同一性又は同等性が高くなる。(2つのアミノ酸配列の間の「同一性(identity)」は、一連の正確に等しい又は不変のアミノ酸残基が両配列において存在することとして定義される。)。「相補性」、「同一性」及び「類似性」の定義は、当業者にとって周知である。
「によりコードされる」とは、ポリペプチド配列をコードする核酸配列を指し、このポリペプチド配列又はその一部は、その核酸配列によりコードされるポリペプチド由来の、少なくとも3アミノ酸、より好ましくは少なくとも8アミノ酸及びさらにより好ましくは少なくとも15アミノ酸のアミノ酸配列を含有する。
本明細書中で使用される場合、「生物活性」とは、球状凝集体のAβ(2−42)領域の全ての固有の生物学的特性を指す。このような特性には、例えば、本明細書中に記載のヒト化7C6又はヒト化5F7抗体に結合する能力が含まれる。
「ポリペプチド」という用語は、本明細書中で使用される場合、何らかのアミノ酸のポリマー鎖を指す。「ペプチド」及び「タンパク質」という用語はポリペプチドという用語と互換的に使用され、また、アミノ酸のポリマー鎖も指す。「ポリペプチド」という用語は、ネイティブ又は人工タンパク質、タンパク質断片及びタンパク質配列のポリペプチド類似体を包含する。ポリペプチドは単量体性又はポリマー性であり得る。
「単離タンパク質」又は「単離ポリペプチド」という用語は、派生物のその起源又は源に基づいて、そのネイティブの状態においてそれに付随する天然に結合される成分と会合していないタンパク質又はポリペプチドであり;同じ種由来のその他のタンパク質を実質的に含まず;異なる種由来の細胞により発現され;又は天然では生じないものである。このようにして、化学的に合成される、又はそれが天然に由来する細胞とは異なる細胞系で合成されるポリペプチドは、天然で会合するその成分から「単離」されている。タンパク質はまた、当技術分野で周知のタンパク質精製技術を用いて、単離によって、天然で会合する成分を実質的に含まないようにされているものであり得る。
「回収する」という用語は、本明細書中で使用される場合、例えば当技術分野で周知のタンパク質精製技術を用いて、単離によって、ポリペプチドなどの化学種が、天然に会合する成分を実質的に含まないようにされるプロセスを指す。
「特異的結合」又は「特異的に結合する」という用語は、本明細書中で使用される場合、第二の化学種との、抗体、タンパク質又はペプチドの相互作用に関連して、相互作用が、化学種における特定の構造(例えば、抗原決定基又はエピトープ)の存在に依存することを意味し;例えば、抗体は、全般的にタンパク質へというよりも、特異的タンパク質構造を認識し、これに結合する。抗体がエピトープ「A」に対して特異的である場合、標識された「A」及び抗体を含有する反応中にエピトープA(又は遊離の、非標識A)を含有する分子が存在すると、抗体に結合する標識されたAの量が減少する。
「抗体」という用語は、本明細書中で使用される場合、広く、4本のペプチド鎖、2本の重(H)鎖及び2本の軽(L)鎖からなる何らかの免疫グロブリン(Ig)分子又は、それらの何らかの機能的断片、突然変異体、変異体又は誘導体を指し、これは、Ig分子の基本的なエピトープ結合特性を保持する。このような突然変異体、変異体又は誘導体抗体型は、当技術分野で公知である。この非限定実施形態は下記で考察する。
全長抗体において、各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書中で略してHCVR又はVHと呼ぶ。)及び重鎖定常領域からなる。重鎖定常領域は、3つのドメイン、CH1、CH2及びCH3からなる。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書中で略してLCVR又はVLと呼ぶ。)及び軽鎖定常領域からなる。軽鎖定常領域は、1つのドメイン、CLからなる。VH及びVL領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれるより保存されている領域に散在する相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変性の領域にさらに区分することができる。各VH及びVLは、アミノ末端からカルボキシ末端で次の順序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4で構築される、3つのCDR及び4つのFRから構成される。免疫グロブリン分子は、何らかのタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA及びIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2)又はサブクラスのものであり得る。
本明細書で使用される場合、抗体の「抗原結合部分」(又は単に「抗体部分」)という用語は、抗原(例えばAβ(20−42)球状凝集体)に特異的に結合する能力を保持する抗体の1つ又はそれ以上の断片を指す。抗体の抗原結合機能は、全長抗体の1つ又はそれ以上の断片によって発揮され得ることが示されている。このような抗体実施形態はまた、2以上の様々な抗原に特異的に結合する、二特異性、二重特異性又は多特異性形態でもあり得る。抗体の「抗原結合部分」という用語の範囲内に包含される結合断片の例には、(i)Fab断片、VL、VH、CL及びCH1ドメインからなる1価の断片;(ii)F(ab’)断片、ヒンジ領域においてジスルフィド架橋によって連結された2つのFab断片を含む2価の断片;(iii)VH及びCH1ドメインからなるFd断片;(iv)抗体の1本のアームのVL及びVHドメインからなるFv断片;(v)dAb断片(参照により本明細書中に組み込まれる、Wardら(1989)Nature 341:544−546、Winterら、国際出願公開WO90/05144A1)(これは1つの可変ドメインを含有する。);及び(vi)単離された相補性決定領域(CDR)が含まれる。
さらに、Fv断片の2つのドメインVL及びVHは、別個の遺伝子によりコードされるが、これらは、組み換え法を使用して、それらをVL及びVH領域が対になって1価の分子を形成する単一のタンパク質鎖にすることができる合成リンカーにより連結することができる(単一鎖Fv(scFv)として知られている;例えば、Birdら(1988)Science 242:423−426;及びHustonら(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879−5883参照。)。このような1本鎖抗体も、抗体の「抗原結合部分」という用語の範囲内に包含される。1本鎖抗体の他の形態、例えばダイアボディなどもこの範囲内に包含される。ダイアボディは、2価で、二特異性の抗体であり、VH及びVLのドメインが単一のポリペプチド鎖上で発現されるが、使用されるリンカーが短すぎるため、同じ鎖上の2つのドメイン間で対形成できず、それによりドメインは別の鎖の相補的ドメインと対形成せざるを得ず、2つの抗原結合性部位が生じる(例えば、Holliger、P.ら(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444−6448;Poljak、R.J.ら(1994)Structure 2:1121−1123参照)。このような抗体結合部分は当技術分野で公知である(Kontermann及びDubel編、Antibody Engineering(2001)Springer−Verlag.New York.790pp.(ISBN3−540−41354−5)。
「抗体コンストラクト」という用語は、本明細書中で使用される場合、リンカーポリペプチド又は免疫グロブリン定常ドメインに連結される本発明の1つ又はそれ以上の抗原結合部分を含むポリペプチドを指す。リンカーポリペプチドは、ペプチド結合により連結される2以上のアミノ酸残基を含み、1つ又はそれ以上の抗原結合部分を連結するために使用される。このようなリンカーポリペプチドは当技術分野で周知である(例えば、Holliger、P.ら(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444−6448;Poljak、R.J.ら(1994)Structure 2:1121−1123参照)。免疫グロブリン定常ドメインは、重鎖又は軽鎖定常ドメインを指す。ヒトIgG重鎖及び軽鎖定常ドメインアミノ酸配列は当技術分野で公知であり、表2で示される。
Figure 2010530740
Figure 2010530740
またさらに、抗体又はその抗原結合部分は、1つ又はそれ以上のその他のタンパク質又はペプチドと抗体又は抗体部分の共有又は非共有結合により形成されているより大きな免疫接着分子の一部であり得る。このような免疫接着分子の例には、四量体scFv分子を作製するためのストレプトアビジンコア領域の使用(Kipriyanov、S.M.ら(1995)Human Antibodies and Hybridomas 6:93−101)及び二価及びビオチン化scFv分子を作製するための、システイン残基、マーカーペプチド及びC末端ポリヒスチジンタグの使用(Kipriyanov、S.M.ら(1994)Mol.Immunol.31:1047−1058)が含まれる。全抗体の、それぞれパパイン又はペプシン消化などの従来技術を用いて、全抗体から、Fab及びF(ab’)断片などの抗体の一部を調製することができる。さらに本明細書中に記載のように、標準的組み換えDNA技術を用いて、抗体、抗体部分及び免疫接着分子を得ることができる。
さらに、本明細書中に記載のように、標準的組み換えDNA技術を用いて、抗体、抗体部分及び免疫接着分子を得ることができる。
「単離抗体」は、本明細書中で使用される場合、異なる抗原特性を有するその他の抗体を実質的に含まない抗体を指すものとする(例えば、Aβ(20−42)球状凝集体及び/又は本発明の抗体が反応性を有する球状凝集体エピトープを含む他のあらゆるAβ形態を結合し、Aβ(20−42)球状凝集体及び/又は本発明の抗体が反応性を有する球状凝集体エピトープを含む他のあらゆるAβ形態以外の抗原を特異的に結合する抗体を実質的に含まない。)。しかしながら、Aβ(20−42)球状凝集体に特異的に結合する単離抗体は、その他の種からのAβ(20−42)球状凝集体分子などのその他の抗原に対して交差反応性を有する。さらに、単離抗体は、その他の細胞性物質及び/又は化学物質及び/又は本発明の抗体が反応性を有する球状凝集体エピトープを含む他のあらゆるAβ形態を実質的に含まないものであり得る。
「ヒト抗体」という用語は、本明細書中で使用される場合、ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列由来の可変及び定常領域を有する抗体を含むものとする。本発明のヒト抗体は、例えばCDR、特にCDR3において、ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列によりコードされないアミノ酸残基を含み得る(例えば、インビトロでの無作為又は部位特異的突然変異誘発により、又はインビボでの体細胞突然変異により導入される突然変異)。しかし、「ヒト抗体」という用語は、本明細書中で使用される場合、別の哺乳動物種(例えばマウスなど)の生殖細胞系列由来であるCDR配列がヒトフレームワーク配列上に移植されている抗体を含まないものとする。
本明細書中で使用される場合、「組み換えヒト抗体」という用語は、組み換え手段によって調製、発現、作製又は単離される全てのヒト抗体、例えば、宿主細胞中に遺伝子移入される組み換え発現ベクターを使用して発現される抗体(下記)、組み換え体から単離される抗体、コンビナトリアルヒト抗体ライブラリ(Hoogenboom H.R.、(1997)TIB Tech.15:62−70;Azzazy H.及びHighsmith W.E.、(2002)Clin.Biochem.35:425−445;Gavilondo J.V.及びLarrick J.W.(2002)BioTechniques 29:128−145;Hoogenboom H.及びChames P.(2000)Immunology Today 21:371−378)、ヒト免疫グロブリン遺伝子についてトランスジェニックである動物(例えば、マウス)から単離される抗体(例えば、Taylor、L.D.ら(1992)Nucl.Acids Res.20、6287−6295;Kellermann S−A.及びGreen L.L.(2002)Current Opinion in Biotechnology 13:593−597;Little M.ら(2000)Immunology Today 21:364−370参照)又はヒト免疫グロブリン遺伝子配列の他のDNA配列へのスプライシングを含む何らかのその他の手段によって調製、発現、作製又は単離される抗体を含むものとする。このような組み換えヒト抗体は、ヒト生殖細胞系列の免疫グロブリン配列由来の可変及び定常領域を有する。しかし、ある実施形態において、このような組み換えヒト抗体はインビトロ突然変異誘発(又は、ヒトIg配列に対してトランスジェニックである動物を使用する場合は、インビボ体細胞突然変異誘発)が起こりやすく、従って組み換え抗体のVH及びVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖細胞系列のVH及びVL配列由来であり、これらと関連している一方で、天然ではインビボのヒト抗体生殖細胞系列レパートリー内に存在し得ない配列である。
「キメラ抗体」という用語は、ある種からの重鎖及び軽鎖可変領域配列及び別の種からの定常領域配列を含む抗体、例えば、ヒト定常領域に連結されたマウス重鎖及び軽鎖可変領域を有する抗体など、を指す。
「CDRグラフト抗体」という用語は、ある種からの重鎖及び軽鎖可変領域配列を含むが、この中でVH及び/又はVLのCDR領域の1つ又はそれ以上の配列が、別の種のCDR配列で置換された抗体、例えば、マウスCDRの1つ又はそれ以上(例えばCDR3)がヒトCDR配列で置換されているマウス重鎖及び軽鎖可変領域を有する抗体など、を指す。
「ヒト化抗体」という用語は、非ヒト種(例えばマウス)由来の重及び軽鎖可変領域配列を含むが、VH及び/又はVL配列の少なくとも一部がより「ヒト様」となるように改変されている、即ちヒト生殖細胞系列可変配列により類似している抗体を指す。ヒト化抗体のあるタイプはCDRグラフト抗体であり、この場合、対応する非ヒトCDR配列を置換するために、ヒトCDR配列が非ヒトVH及びVL配列に導入されている。
「Kabat付番」、「Kabat定義」及び「Kabatラベリング」という用語は本明細書中で交換可能に使用される。これらの用語は、当技術分野で認識されており、抗体又はその抗原結合部分の重鎖及び軽鎖可変領域における他のアミノ酸残基よりもより可変性がある(即ち超可変性)アミノ酸残基を付番する系を指す(Kabatら(1971)Ann.NY Acad、Sci.190:382−391及びKabat、E.A.ら(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、U.S.Department of Health and Human Services、NIH Publication Number 91−3242)。重鎖可変領域の場合、超可変領域は、CDR1に対してアミノ酸位置31から35の範囲であり、CDR2に対してアミノ酸位置50から65であり、CDR3に対してアミノ酸位置95から102の範囲である。軽鎖可変領域の場合、超可変領域は、CDR1に対してアミノ酸位置24から34であり、CDR2に対してアミノ酸位置50から56であり、CDR3に対してアミノ酸位置89から97である。
本明細書中で使用される場合、「アクセプター」及び「アクセプター抗体」という用語は、フレームワーク領域の1つ又はそれ以上のアミノ酸配列の少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%又は100%をもたらすか又はコードする抗体又は核酸配列を指す。ある実施形態において、「アクセプター」という用語は、定常領域をもたらすか又はコードする抗体アミノ酸又は核酸配列を指す。さらに別の実施形態において、「アクセプター」という用語は、フレームワーク領域及び定常領域の1つ又はそれ以上をもたらすか又はコードする抗体アミノ酸又は核酸配列を指す。具体的な実施形態において、「アクセプター」という用語は、フレームワーク領域の1つ又はそれ以上のアミノ酸配列の少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%又は100%をもたらすか又はコードするヒト抗体アミノ酸又は核酸配列を指す。この実施形態によると、アクセプターは、ヒト抗体の1つ又はそれ以上の特異的位置で生じない、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5又は少なくとも10個のアミノ酸残基を含有し得る。アクセプターフレームワーク領域及び/又はアクセプター定常領域は、例えば、生殖細胞系列抗体遺伝子、成熟抗体遺伝子、機能的抗体(例えば、当技術分野で周知の抗体、開発中の抗体又は市販の抗体)由来であり得るか又はそれらから得ることができる。
本明細書中で使用される場合、「CDR」という用語は、抗体可変配列内の相補性決定領域を指す。重鎖及び軽鎖の可変領域のそれぞれに3個のCDRがあり、これらは、可変領域のそれぞれに対して、CDR1、CDR2及びCDR3と呼ばれる。「CDRセット」という用語は、本明細書中で使用される場合、抗原に結合することができる1つの可変領域で生じる3つのCDRの群を指す。これらのCDRの正しい境界は、システムが異なると異なって定義される。Kabat(Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest(National Institutes of Health、Bethesda、MD(1987)及び(1991))により記載されるシステムは、抗体のあらゆる可変領域に適用可能である明確な残基付番システムを提供するだけでなく、3個のCDRを定義する明確な残基境界も提供する。これらのCDRは、Kabat CDRと呼ばれる得る。Chothia及び共同研究者ら(Chothia及びLesk、J.Mol.Biol.196:901−917(1987)及びChothiaら、Nature 342:877−883(1989))は、アミノ酸配列のレベルで非常に多様であるにもかかわらず、Kabat CDR内のある一定のサブポーション(subportion)がほぼ同一のペプチド骨格構造をとることを見出した。これらのサブポーションは、L1、L2及びL3又はH1、H2及びH3と名付けられた(ここで、「L」及び「H」は、それぞれ軽鎖及び重鎖領域とする。)。これらの領域は、Chothia CDRと呼ばれ得、これらは、Kabat CDRと重複する境界を有する。KabatCDRと重複するCDRを定義するその他の境界は、Padlan(FASEB J.9:133−139(1995))及びMacCallum(J Mol.Biol.262(5):732−45(1996))により記載されている。さらに他のCDR境界の定義は、上記のシステムの1つに正確には従わない可能性があるが、特定の残基又は残基群又はCDR全体でさえも抗原結合に重大な影響を与えないという予想又は実験的知見を考慮すると、それらが短くされ得るか又は長くされ得るかにかかわらず、それでもなお、Kabat CDRと重複する。本明細書中で使用される方法は、これらのシステムの何れかに従い定義されるCDRを使用し得るが、好ましい実施形態は、Kabat又はChothiaで定義されるCDRを使用する。
本明細書中で使用される場合、「カノニカル(canonical)」残基という用語は、Chothiaら(J.Mol.Biol.196:901−907(1987);Chothiaら、J.Mol.Biol.227:799(1992)、両者とも参照により本明細書中に組み込まれる。)により定義されるような、特定の標準的なCDR構造を定義する、CDR又はフレームワークにおける残基を指す。Chothiaらによると、多くの抗体のCDRの重要な部分は、アミノ酸配列のレベルでは非常に多様であるにもかかわらず、ほぼ同一のペプチド骨格構造を有する。規範的(カノニカル)な各構造は、主に、ループを形成するアミノ酸残基の隣接セグメントに対するペプチド骨格ねじれ角のセットを指す。
本明細書中で使用される場合、「ドナー」及び「ドナー抗体」という用語は、1つ又はそれ以上のCDRを提供する抗体を指す。好ましい実施形態において、ドナー抗体は、フレームワーク領域が得られるか又はそれが由来する抗体とは異なる種由来の抗体である。ヒト化抗体に関して、「ドナー抗体」という用語は、1つ又はそれ以上のCDRを提供する非ヒト抗体を指す。
本明細書中で使用される場合、「フレームワーク」又は「フレームワーク配列」という用語は、CDRを差し引いた可変領域の残存配列を指す。CDR配列の正確な定義は異なるシステムにより決定され得るので、フレームワーク配列の意味は、相応して異なる解釈に従う。6個のCDR(軽鎖のCDR−L1、−L2及び−L3及び重鎖のCDR−H1、−H2及び−H3)もまた、軽鎖及び重鎖においてフレームワーク領域を各鎖で4つのサブ領域(FR1、FR2、FR3及びFR4)に分け、ここで、CDR1は、FR1とFR2との間に位置し、CDR2はFR2とFR3との間に位置し、CDR3はFR3とFR4との間に位置する。FR1、FR2、FR3又はFR4として特定のサブ領域を指定することなく、フレームワーク領域は、その他により指定される場合、1本の天然の免疫グロブリン鎖の可変領域内の組み合わせられたFR’を表す。本明細書中で使用される場合、FR(単数形)は4つのサブ領域の1つを表し、FR(複数形)は、フレームワーク領域を構成する4つのサブ領域の2つ又はそれ以上を表す。
ヒト重鎖及び軽鎖アクセプター配列は当技術分野で公知である。本発明のある実施形態において、ヒト重鎖及び軽鎖アクセプター配列は、下記に記載の配列から選択される。
Figure 2010530740
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本明細書中で使用される場合、「生殖細胞系列抗体遺伝子」又は「遺伝子断片」という用語は、特定の免疫グロブリンの発現に対して遺伝子再配列及び突然変異をもたらす成熟プロセスが行われていない非リンパ系細胞によりコードされる免疫グロブリン配列を指す(例えば、Shapiroら、Crit.Rev.Immunol.22(3):183−200(2002);Marchalonisら、Adv Exp Med Biol.484:13−30(2001)参照)。本発明の様々な実施形態により提供される長所の1つは、生殖細胞系列抗体遺伝子が、成熟抗体遺伝子よりも、種における個体の必須のアミノ酸配列構造の特徴を保存する可能性が高いが、その種において治療用に使用される場合、外来源由来のものとして認識される可能性が低いという認識によるものである。本明細書中で使用される場合、「キーとなる」残基という用語は、抗体の、特にヒト化抗体の、結合特異性及び/又は親和性においてより影響がある可変領域内のある一定の残基を指す。キーとなる残基には、以下に限定されないが、次のものの1つ又はそれ以上が含まれる:CDRに隣接する残基、潜在的グリコシル化部位(N−又はO−グリコシル化部位の何れかであり得る。)、希少残基、抗原と相互作用することができる残基、CDRと相互作用することができる残基、カノニカル残基、重鎖可変領域及と軽鎖可変領域との間の接触残基、バーニアゾーン内の残基及び可変重鎖CDR1のコチア定義と第一の重鎖フレームワークのKabat定義との間で重複する領域における残基。
本明細書中で使用される場合、「ヒト化抗体」という用語は、関心のある抗原に免疫特異的に結合し、ヒト抗体のアミノ酸配列を実質的に有するフレームワーク(FR)領域及び非ヒト抗体のアミノ酸配列を実質的に有する相補性決定領域(CDR)を含む、抗体又は、それらの変異体、誘導体、類似体もしくは断片である。
本明細書で使用される場合、「実質的に」という用語は、CDRに関して、非ヒト抗体CDRのアミノ酸配列と、少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%及び最も好ましくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有するCDRを指す。ヒト化抗体は、少なくとも1つ、通常は2つの可変ドメイン(Fab、Fab’、F(ab’)、FabC、Fv)の実質的に全てを含み、ここでCDR領域の全て又は実質的に全ては、非ヒト免疫グロブリン(即ちドナー抗体)のものに相当し、フレームワーク領域の全て又は実質的に全ては、ヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものである。好ましくは、ヒト化抗体はまた、免疫グロブリン(通常はヒト免疫グロブリンの)定常領域(Fc)の少なくとも一部も含む。ある実施形態において、ヒト化抗体は、軽鎖ならびに、少なくとも重鎖の可変ドメインの両方を含有する。本抗体はまた、重鎖の、CH1、ヒンジ、CH2、CH3及びCH4領域も含み得る。幾つかの実施形態において、ヒト化抗体はヒト化軽鎖のみを含有する。ある実施形態において、ヒト化抗体はヒト化重鎖のみを含有する。特定の実施形態において、ヒト化抗体は、軽鎖のヒト化可変ドメイン及び/又はヒト化重鎖のみを含有する。
ヒト化抗体は、IgM、IgG、IgD、IgA及びIgE及び何らかのアイソタイプ(以下に限定されないが、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4を含む。)を含む、免疫グロブリンの何らかのクラスから選択することができる。ヒト化抗体は、複数のクラス又はアイソタイプからの配列を含み得、当技術分野で周知である技術を用いて、所望のエフェクター機能を最適化するために特定の定常ドメインを選択し得る。
ヒト化抗体の、フレームワーク及びCDR領域は、親配列に正確に対応する必要はなく、例えば、その部位でCDR又はフレームワーク残基がドナー抗体又はコンセンサスフレームワークの何れかに相当しないように、少なくとも1つのアミノ酸残基の、置換、挿入及び/又は欠失により、ドナー抗体CDR又はコンセンサスフレームワークに対して突然変異誘発を行い得る。しかし、好ましい実施形態において、このような突然変異は大規模ではない。通常、ヒト化抗体残基の、少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%が親FR及びCDR配列のものに相当する。本明細書中で使用される場合、「コンセンサスフレームワーク」という用語は、コンセンサス免疫グロブリン配列のフレームワーク領域を指す。本明細書中で使用される場合、「コンセンサス免疫グロブリン配列」という用語は、関連免疫グロブリン配列のファミリーにおいて最も高頻度に現れるアミノ酸(又はヌクレオチド)から形成される配列を指す(例えば、Winnaker、From Gene to Clones(Verlagsgesellschaft、Weinheim、Germany 1987参照)。免疫グロブリンのファミリーにおいて、コンセンサス配列の各位置には、そのファミリーのその位置で最も高頻度に現れるアミノ酸がある。2種類のアミノ酸が同等の頻度で現れる場合、何れかをコンセンサス配列に含めることができる。
本明細書中で使用される場合、「ベルニア」ゾーンは、Foote及びWinter(1992、J.Mol.Biol.224:487−499、参照により本明細書中に組み込まれる。)により記載されるように、CDR構造を調整し得、抗原への合致を細かく調整し得るフレームワーク残基のサブセットを指す。バーニアゾーン残基は、CDRの基礎をなす層を形成し、CDRの構造及び抗体の親和性に影響を及ぼし得る。
本明細書中で使用される場合、「中和する」という用語は、結合タンパク質が球状凝集体に特異的に結合する場合、球状凝集体の生物学的活性の中和を指す。好ましくは、結合タンパク質を中和することは、球状凝集体のAβ(20−42)アミノ酸領域及び/又は本発明の抗体が反応性を有する球状凝集体エピトープを含む他のあらゆるAβ形態への結合の結果、球状凝集体の生物学的活性の阻害が起こる抗体を中和することである。好ましくは、中和結合タンパク質は、球状凝集体のAβ(1−42)領域及び/又は本発明の抗体が反応性を有する球状凝集体エピトープを含む他のあらゆるAβ形態に結合し、少なくとも約20%、40%、60%、80%、85%以上、球状凝集体の活性を生物学的に低下させる。中和結合タンパク質による球状凝集体の生物学的活性の阻害は、当技術分野で周知の球状凝集体の生物学的活性の1つ又はそれ以上の指標を測定することにより評価され得る。
「活性」という用語は、Aβ(20−42)球状凝集体(及び/若しくは本発明の抗体が反応性を有する球状凝集体エピトープを含む他のあらゆるAβ形態)に結合する抗体(例えば、抗Aβ(20−42)抗体又は本発明の抗体が反応性を有する球状凝集体エピトープを含む他のあらゆるAβ形態に対する抗体)の抗原に対する結合特異性/親和性並びに/又は抗体(例えば、Aβ(20−42)へのその結合が球状凝集体及び/若しくは本発明の抗体が反応性を有する球状凝集体エピトープを含む他のあらゆるAβ形態の生物学的活性を阻害する抗Aβ(20−42)抗体)の中和能などの活性を含む。
「エピトープ」という用語は、免疫グロブリン又はT細胞受容体と特異的に結合することができる何らかのポリペプチド決定基を含む。ある実施形態においては、エピトープ決定基は、アミノ酸、糖側鎖、ホスホリル又はスルホニルなどの分子の化学的に活性な表面配置を含み、ある実施形態においては、特定の3次元構造的特徴及び/又は特定の電荷的特徴を有し得る。エピトープは、抗体が結合する抗原の領域である。ある実施形態において、抗体は、タンパク質及び/又は巨大分子の複雑な混合物中でその標的抗原を選択的に認識した際に抗原に特異的に結合すると言われる。
本明細書中で使用される場合、「表面プラズモン共鳴」という用語は、(例えば、BIAcoreシステム(Pharmacia Biosensor AB、Uppsala、Sweden及びPiscataway、NJ)を使用した、バイオセンサーマトリクス内のタンパク質濃度の変化の検出による、リアルタイムの生体特異性相互作用の分析を可能にする光学現象を指す。さらなる説明については、Jonsson、U.ら(1993)Ann.Biol Clin.51:19−26;Jonsson、U.ら(1991)Biotechniques 11:620−627;Johnsson、B.ら(1995)J.Mol.Recognit.8:125−131;及びJohnnson、B.ら(1991)Anal.Biochem.198、268−277を参照のこと。
本明細書中で使用される場合、「Kon」という用語は、当技術分野で公知のように、抗体/抗原複合体を形成するための抗原への抗体の会合に対する会合速度定数を指すものとする。
本明細書中で使用される場合、「Koff」という用語は、当技術分野で公知のように、抗体/抗原複合体からの抗体の解離に対する解離速度定数を指すものとする。
本明細書中で使用される場合、「K」という用語は、当技術分野で公知のように、特定の抗体−抗原相互作用の「解離定数」を指すものとする。
「標識結合タンパク質」という用語は、本明細書中で使用される場合、結合タンパク質の同定を可能にする標識が組み込まれたタンパク質を指す。好ましくは、この標識は、例えば、放射性標識アミノ酸の組み込み又は標識化アビジンにより検出することができるビオチニル部分のポリペプチドへの結合など、検出可能マーカーである(例えば、光学的方法又は比色法により検出することができる蛍光マーカー又は酵素活性を含有するストレプトアビジン)。ポリペプチドに対する標識の例には、以下に限定されないが、次のものが含まれる:放射性同位元素又は放射性核種(例えば、H、14C、35S、90Y、99Tc、111In、125I、131I、177Lu、166Ho又は153Sm);蛍光標識(例えば、FITC、ローダミン、ランタニド蛍光体)、酵素標識(例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、ルシフェラーゼ又はアルカリホスファターゼ);化学発光マーカー;ビオチニル基;第二のレポーターにより認識される予め定められたポリペプチドエピトープ(例えば、ロイシンジッパー対配列、二次抗体に対する結合部位、金属結合ドメイン、エピトープタグ);及びガドリニウムキレートなどの磁性物質。
「抗体連結体」という用語は、治療薬又は細胞毒性薬などの第二の化学部分に化学的に連結された抗体などの、結合タンパク質を指す。「薬剤(agent)」という用語は、本明細書中で、化学的化合物、化学的化合物の混合物、生物学的巨大分子又は生体物質から調製された抽出物を指すために使用される。好ましくは、治療薬又は細胞毒性薬には、以下に限定されないが、百日咳毒素、タキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1−デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール及びプロマイシン、ならびにそれらの類似物又はホモローグが含まれる。
「結晶」及び「結晶化」という用語は、本明細書中で使用される場合、結晶の形態で存在する、抗体又はその抗原結合部分を指す。結晶は物質の固体状態の一形態であり、非晶質固体状態又は液晶状態などのその他の形態とは異なる。結晶は、原子、イオン、分子(例えば抗体などのタンパク質)又は分子集合体(例えば抗原/抗体連結体)の、規則的な繰り返しの3次元配列から構成される。これらの3次元配列は、その分野でよく理解されている具体的な数学的関係に従い配置される。結晶において繰り返される基本単位又は構成要素は、非対称ユニットと呼ばれる。ある一定の明確な結晶学的対称性に従う配置における非対称ユニットの繰り返しによって、結晶の「単位格子」がもたらされる。全ての3つの次元での規則正しい並進による単位格子の繰り返しによって結晶がもたらされる。Giege、R.及び及びDucrulx、A.Barrett、Crystallization of Nucleic Acids and Proteins、a Practical Approach、第2版、pp.201−16、Oxford University Press、New York、New York(1999)」を参照のこと。
「ポリヌクレオチド」という用語は、本明細書中で述べられる場合、2以上のヌクレオチド(リボヌクレオチド又はデオキシヌクレオチドの何れか)又は何れかのタイプのヌクレオチドの修飾型のポリマー形態を意味する。この用語には、DNAの1本鎖及び2本鎖形態が含まれるが、好ましくは、2本鎖DNAである。
「単離ポリヌクレオチド」という用語は、本明細書中で使用される場合、その起源ゆえに、「単離ポリヌクレオチド」が天然で一緒に見出されるポリヌクレオチドの全て又は一部と会合していないか;天然ではそれが連結されないポリヌクレオチドに操作可能に連結されているか;又はより大きな配列の一部として天然では生じない、ポリヌクレオチド(例えば、ゲノムの、cDNAの、又は合成起源の又はそれらのある組み合わせの)を意味する。
「ベクター」という用語は、本明細書中で使用される場合、それが連結されている別の核酸を輸送することができる核酸分子を指すものとする。ベクターのあるタイプは「プラスミド」であり、これは、さらなるDNAセグメントが連結され得る環状の2本鎖DNAループを指す。ベクターの別のタイプはウイルスベクターであり、この場合、さらなるDNAセグメントがウイルスゲノムに連結され得る。ある種のベクターは、それらが導入される宿主細胞において自己複製することができる(例えば、細菌の複製起点を有する細菌ベクター及びエピソーム哺乳動物ベクター)。その他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞への導入時に宿主細胞のゲノムに組み入れられ得、それにより、宿主ゲノムとともに複製される。さらに、ある種のベクターは、それらが操作可能に連結される遺伝子の発現を支配することができる。このようなベクターは、本明細書中で「組み換え発現ベクター」(又は単純に「発現ベクター」)と呼ばれる。一般に、組み換えDNA技術で有用である発現ベクターは、プラスミドの形態であることが多い。本願において、「プラスミド」及び「ベクター」は、プラスミドがベクターの最も一般的に使用される形態であるので、交換可能に使用され得る。しかし、本発明は、同等の機能を果たすウイルスベクター(例えば、複製欠損レトロウイルス、アデノウイルス及びアデノ関連ウイルス)などの発現ベクターのこのようなその他の形態を含むものとする。
「操作可能に連結される」という用語は、記載の成分が、それらの所望の様式でそれらを機能させる関係にある並置状態を指す。コード配列に「操作可能に連結される」制御配列は、制御配列と適合する条件下でコード配列の発現が達成されるように連結される。「操作可能に連結される」配列には、関心のある遺伝子と隣接する発現制御配列と、関心のある遺伝子を制御するためにトランスで又は離れた位置で作用する発現制御配列と、の両方が含まれる。「発現制御配列」という用語は、本明細書中で使用される場合、それらが連結されるコード配列の発現及びプロセシングをもたらすのに必要なポリヌクレオチド配列を指す。発現制御配列には、適切な転写開始、終結、プロモーター及びエンハンサー配列;有効なRNAプロセシングシグナル(スプライシング及びポリアデニル化シグナルなど);細胞質mRNAを安定化する配列;翻訳効率を促進する配列(即ちコザックコンセンサス配列);タンパク質の安定性を促進する配列;及び必要に応じて、タンパク質分泌を促進する配列が含まれる。このような制御配列の性質は、宿主生物によって異なり;原核生物では、このような制御配列は一般に、プロモーター、リボソーム結合部位及び転写終結配列を含み;真核生物では、一般に、このような制御配列は、プロモーター及び転写終結配列を含む。「制御配列」という用語は、その存在が発現及びプロセシングに必須である成分を含むものとし、これにはまた、例えばリーダー配列及び融合パートナー配列などの、存在すると有利であるさらなる成分も含まれ得る。
本明細書中で定義される場合、「形質転換」は、外来DNAが宿主細胞に入る何らかのプロセスを指す。形質転換は、当技術分野で周知の様々な方法を用いて、天然又は人工的条件下で起こり得る。形質転換は、原核又は真核宿主細胞への外来核酸配列の挿入のための何らかの公知の方法に依存し得る。その方法は、形質転換される宿主細胞に基づいて選択され、この方法には、以下に限定されないが、ウイルス感染、エレクトロポレーション、リポフェクション及び微粒子銃が含まれる。このような「形質転換された」細胞には、挿入DNAが自己複製プラスミドとして又は宿主染色体の一部としての何れかで複製可能である安定的に形質転換された細胞が含まれる。これらにはまた、限られた時間、挿入DNA又はRNAを一時的に発現する細胞も含まれる。
「組み換え宿主細胞」(又は単純に「宿主細胞」)という用語は、本明細書中で使用される場合、外来DNAが導入されている細胞を指すものとする。このような用語が、特定の対象細胞だけでなく、このような細胞の子孫も指すものであることを理解されたい。突然変異又は環境的影響の何れかにより後世においてある種の修飾が起こり得るので、このような子孫は、実際に、その親細胞と非同一であり得るが、本明細書中で使用される場合の「宿主細胞」という用語の範囲内に含まれる。好ましくは、宿主細胞には、生物界の何れかから選択される原核及び真核細胞が含まれる。好ましい真核細胞には、原生細胞、真菌細胞、植物細胞及び動物細胞が含まれる。最も好ましくは、宿主細胞には、以下に限定されないが、原核細胞株E.コリ(大腸菌);哺乳動物細胞株CHO、HEK293及びCOS;昆虫細胞株Sf9;及び真菌細胞Saccharomyces cerevisiae(サッカロミセス・セレビシエ)が含まれる。
組み換えDNA、オリゴヌクレオチド合成及び組織培養及び形質転換に対して標準的技術を使用し得る(例えば、エレクトロポレーション、リポフェクション)。製造者の説明書に従い、又は当技術分野で一般に遂行されるように、又は本明細書中に記載のように、酵素反応及び精製技術を行い得る。当技術分野で周知の従来法に従い、及び本願を通じて引用され考察される様々な一般的及びより具体的な参考文献に記載のように、先述の技術及び手段を一般的に行い得る。例えば、あらゆる目的に対して参照により本明細書中に組み込まれる、Sambrookら、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.(1989))を参照のこと。
当技術分野で公知のように、及び本明細書中で使用される場合、「トランスジェニック生物」は、トランス遺伝子を含有する細胞を有する生物を指し、この場合、生物(又はその生物の祖先)に導入されるトランス遺伝子は、その生物において天然では発現されないポリペプチドを発現する。「トランス遺伝子」は、DNAコンストラクトであり、トランスジェニック生物が発生する細胞のゲノムに安定的に操作可能に組み入れられ、1つ又はそれ以上の細胞タイプ又はトランスジェニック生物の組織においてコードされる遺伝子産物の発現を支配する。
「制御する(regulate)」及び「調節する(modulate)」という用語は交換可能に使用され、本明細書中で使用される場合、関心のある分子の活性における変化又は変更を指す(例えば、Aβ(20−42)球状凝集体の生物学的活性)。調節は、関心のある分子のある種の活性又は機能の大きさの向上又は低下であり得る。分子の代表的な活性及び機能には、以下に限定されないが、結合特性、酵素活性、細胞受容体活性化及びシグナル伝達が含まれる。
相応して、「調節物質」という用語は、本明細書中で使用される場合、関心のある分子の活性又は機能を変化又は変更させることができる化合物である(例えば、Aβ(20−42)球状凝集体の生物学的活性)。例えば、調節物質は、その調節物質の非存在下で観察される活性又は機能の大きさと比較して、分子のある種の活性又は機能の大きさを向上又は低下をさせ得る。ある種の実施形態において、調節物質は阻害剤であり、これは、分子の少なくとも1つの活性又は機能の大きさを低下させる。代表的な阻害剤には、以下に限定されないが、タンパク質、ペプチド、抗体、ペプチボディ、炭水化物又は小さな有機分子が含まれる。ペプチボディは例えば国際出願公開WO01/83525に記載されている。
「アゴニスト」という用語は、本明細書中で使用される場合、関心のある分子と接触した場合に、アゴニストの非存在下で観察される活性又は機能の大きさと比較して、分子のある種の活性又は機能の大きさを向上させる調節物質を指す。関心のある特定のアゴニストには、以下に限定されないが、Aβ(20−42)球状凝集体ポリペプチド又は、Aβ(20−42)球状凝集体に結合する、ポリペプチド、核酸、炭化水素又は何らかのその他の分子が含まれ得る。
「アンタゴニスト」又は「阻害剤」という用語は、本明細書中で使用される場合、関心のある分子と接触した場合に、アンタゴニストの非存在下で観察される活性又は機能の大きさと比較して、分子のある種の活性又は機能の大きさを低下させる調節物質を指す。関心のある特定のアンタゴニストには、Aβ(20−42)球状凝集体及び/又は本発明の抗体が反応性を有する球状凝集体エピトープを含む他のあらゆるAβ形態の生物学的活性を阻止又は調節するものが含まれる。Aβ(20−42)球状凝集体のアンタゴニスト及び阻害剤には、以下に限定されないが、Aβ(20−42)球状凝集体及び/又は本発明の抗体が反応性を有する球状凝集体エピトープを含む他のあらゆるAβ形態に結合する、タンパク質、核酸、炭化水素又は何らかのその他の分子が含まれ得る。
本明細書中で使用される場合、「有効量」という用語は、疾患又はその1つ又はそれ以上の症候の、重症度及び/又は持続時間を低下させるか又は改善する、疾患の進行を予防するか、疾患の軽減を引き起こすか、疾患に付随する1つ又はそれ以上の症候の再発、発現、発症もしくは進行を予防するか、疾患を検出するか、又は別の治療薬(例えば、予防薬又は治療薬)の予防的もしくは治療的効果を促進もしくは向上させるのに十分である治療薬の量を指す。
「試料」という用語は、本明細書中で使用される場合、その最も広い意味で使用される。「生体試料」とは、本明細書中で使用される場合、以下に限定されないが、生物由来の又は死亡した生物由来の物質の何らかの量が含まれる。このような生物には、以下に限定されないが、ヒト、マウス、ラット、サル、イヌ、ウサギ及びその他の哺乳動物又は非哺乳動物が含まれる。このような物質には、以下に限定されないが、血液、血清、尿、滑液、細胞、臓器、組織(例えば脳)、骨髄、リンパ節、脳脊髄液及び脾臓が含まれる。
I.Aβ(20−42)球状凝集体に結合する抗体
本発明のある態様は、高い親和性で、遅い解離速度で、高い中和能を有してAβ(20−42)球状凝集体及び/又は本発明の抗体との反応性を有する球状凝集体エピトープを含む他のあらゆるAβ形態と結合する、単離マウスモノクローナル抗体又はその抗原結合部分を提供する。
本発明の第二の態様は、Aβ(20−42)球状凝集体及び/又は本発明の抗体との反応性を有する球状凝集体エピトープを含む他のあらゆるAβ形態に結合するキメラ抗体を提供する。本発明の第三の態様は、Aβ(20−42)球状凝集体及び/又は本発明の抗体との反応性を有する球状凝集体エピトープを含む他のあらゆるAβ形態に結合するCDRグラフト抗体又はその抗原結合部分を提供する。本発明の第四の態様は、Aβ(20−42)球状凝集体及び/又は本発明の抗体との反応性を有する球状凝集体エピトープを含む他のあらゆるAβ形態に結合するヒト化抗体又はその抗原結合部分を提供する。好ましくは、この抗体又はその一部は単離抗体である。好ましくは、本発明の抗体は、Aβ(20−42)球状凝集体及び/又は本発明の抗体との反応性を有する球状凝集体エピトープを含む他のあらゆるAβ形態を中和する。
抗Aβ(20−42)球状凝集体抗体を作製する方法
本発明の抗体は、当技術分野で公知の多くの技術の何れかにより調製され得る。
1.ハイブリドーマ技術を用いた抗Aβ(20−42)球状凝集体モノクローナル抗体
ハイブリドーマ、組み換え及びファージディスプレイ技術又はそれらの組み合わせの使用を含む当技術分野で公知の多岐にわたる技術を用いて、モノクローナル抗体を調製することができる。例えば、当技術分野で公知であり、例えば、Harlowら、Antibodies:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press、第2版、1988);Hammerlingら、Monoclonal Antibodies and T−Cell Hybridomas 563−681(Elsevier、N.Y.1981)(これらの参考文献は、それらの全体において参照により組み込まれる。)で教示されるものを含むハイブリドーマ技術を用いて、モノクローナル抗体を作製することができる。「モノクローナル抗体」という用語は、本明細書中で使用される場合、ハイブリドーマ技術を通じて作製される抗体に限定されない。「モノクローナル抗体」という用語は、何らかの真核、原核又はファージクローンを含む単一クローン由来の抗体を指し、それが作製される方法ではない。
ハイブリドーマ技術を用いて特異的抗体を作製し、これについてスクリーニングするための方法は通常のものであり当技術分野で周知である。ある実施形態において、本発明は、モノクローナル抗体を作製する方法ならびに、本発明の抗体を分泌するハイブリドーマ細胞を培養することを含む方法により産生される抗体を提供するが、この場合、好ましくはハイブリドーマは、本発明の抗原を免疫付与されたマウスから単離される脾臓細胞を骨髄腫細胞と融合させ、次いで本発明のポリペプチドに結合することができる抗体を分泌するハイブリドーマクローンに対する融合の結果得られるハイブリドーマをスクリーニングすることにより作製される。簡潔に述べると、Aβ(20−42)球状凝集体抗原によりマウスに免疫付与することができる。好ましい実施形態において、免疫反応を刺激するためにアジュバントとともに抗原が投与される。このようなアジュバントには、フロインドの完全又は不完全アジュバント、RIBI(ムラミルジペプチド)又はISCOM(免疫刺激性複合体)が含まれる。このようなアジュバントは、局所沈着においてそれを封鎖することにより急速にポリペプチドが分散しないようにし得るか又はこれらは、マクロファージ及び免疫系のその他の成分に対して化学走性がある因子を分泌するように宿主を刺激する物質を含有し得る。好ましくは、ポリペプチドが投与されている場合、免疫付与スケジュールには、数週間にわたる2回以上のポリペプチドの投与が含まれる。
Aβ(20−42)球状凝集体抗原での動物の免疫付与後、抗体及び/又は抗体産生細胞をその動物から得ることができる。動物から採血するか又は屠殺することにより、動物から抗Aβ(20−42)球状凝集体抗体含有血清を得る。この血清を動物から得られるままに使用し得るか、免疫グロブリン画分を血清から得ることができるか又は抗Aβ(20−42)球状凝集体抗体を血清から精製し得る。このようにして得られる血清又は免疫グロブリンはポリクローナルであり、従って、異なる一連の特性を有する。
免疫反応が検出されたら、例えば、マウス血清中で抗原Aβ(20−42)球状凝集体に対して特異的な抗体を検出し、マウス脾臓を摘出し、脾臓細胞を単離する。次に、脾臓細胞を周知の技術により何らかの適切な骨髄腫細胞(例えば、American Type Culture Collection(Manassas、VA)から入手可能な細胞株SP20由来の細胞)に融合させる。ハイブリドーマを選択し、限界希釈によりクローニングする。次に、Aβ(20−42)球状凝集体に結合することができる抗体を分泌する細胞について、当技術分野で公知の方法によりハイブリドーマクローンをアッセイする。陽性ハイブリドーマクローンを用いてマウスに免疫付与することによって、通常高レベルの抗体を含有する腹水を産生させることができる。
別の実施形態において、免疫付与動物から、抗体産生不死化ハイブリドーマを調製し得る。免疫付与後、動物を屠殺し、当技術分野で周知であるように脾臓B細胞を不死化骨髄腫細胞に融合させる。例えば、Harlow及びLane、上出参照。好ましい実施形態において、骨髄腫細胞は免疫グロブリンポリペプチドを分泌しない(非分泌細胞株)。融合及び抗生物質選択後、Aβ(20−42)球状凝集体もしくはその一部又はAβ(20−42)球状凝集体を発現する細胞を用いてハイブリドーマをスクリーニングする。好ましい実施形態において、最初のスクリーニングは、酵素連結免疫アッセイ(ELISA)又は放射性免疫アッセイ(RIA)を用いて行う(好ましくはELISA)。ELISAスクリーニングの例は、国際出願公開WO00/37504で提供される(これは参照により本明細書中に組み込まれる。)。
下記でさらに考察するように、抗Aβ(20−42)球状凝集体抗体産生ハイブリドーマを選択し、クローニングし、さらに、ロバストなハイブリドーマ増殖、高抗体産生及び所望の抗体特性を含む所望の特性についてスクリーニングする。ハイブリドーマを培養し、インビボで同系動物において、免疫系を欠損している動物(例えばヌードマウス)において、又はインビトロで細胞培養において、増殖させ得る。ハイブリドーマを選択し、クローニングし、増殖させる方法は当業者にとって周知である。
好ましい実施形態において、上述のように、ハイブリドーマはマウスハイブリドーマである。別の好ましい実施形態において、ハイブリドーマは、ラット、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウシ又はウマなどの、非ヒト、非マウス種で産生される。別の実施形態において、ハイブリドーマは、ヒト非分泌骨髄腫が抗Aβ(20−42)球状凝集体抗体を発現するヒト細胞と融合させられているヒトハイブリドーマである。
特異的エピトープを認識する抗体断片を公知の技術により作製することができる。例えば、(Fab断片を作製するための)パパイン又は(F(ab’)2断片を作製するための)ペプシンなどの酵素を用いて、免疫グロブリン分子のタンパク質分解的切断によって、本発明のFab及びF(ab’)2断片を作製することができる。F(ab’)2断片は、可変領域、軽鎖定常領域及び重鎖のCHIドメインを含有する。
2.SLAMを用いた抗Aβ(20−42)球状凝集体モノクローナル抗体
本発明の別の態様において、米国特許第5,627,052号、国際出願公開WO92/02551及びBabcock、J.S.ら(1996)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:7843−7848に記載のような、当技術分野で選択的リンパ球抗体法(Selected lymphocyte antibody method、(SLAM))と呼ばれる手順を用いて、単一の単離リンパ球から組み換え抗体を作製する。この方法において、抗原特異的溶血プラークアッセイを用いて、関心のある抗体を分泌する単一細胞(例えば、セクション1に記載の免疫付与動物の何れか1つ由来のリンパ球)をスクリーニンするが、ここで、抗原Aβ(20−42)球状凝集体、Aβ(20−42)球状凝集体のサブユニット又はその断片は、ビオチンなどのリンカーを用いてヒツジ赤血球細胞にカップリングされており、Aβ(20−42)球状凝集体に対する特異性を有する抗体を分泌する単一の細胞を同定するために使用される。関心のある抗体分泌細胞の同定後、逆転写酵素−PCRにより重鎖及び軽鎖可変領域cDNAを細胞からレスキューし、次いで、COS又はCHO細胞などの哺乳動物宿主細胞において、適切な免疫グロブリン定常領域(例えばヒト定常領域)の下で、これらの可変領域を発現させることができる。次に、例えばAβ(20−42)球状凝集体に対する抗体を発現する細胞を単離するために遺伝子移入された細胞を掬いだすことにより、インビボ選択リンパ球由来の増幅免疫グロブリン配列を遺伝子移入された宿主細胞をインビトロでさらに分析及び選択することができる。国際出願公開WO97/29131及び国際出願公開WO00/56772に記載のものなどのインビトロ親和性成熟法などによって、増幅免疫グロブリン配列をインビトロでさらに操作することができる。
3.トランスジェニック動物を用いた抗Aβ(20−42)球状凝集体モノクローナル抗体
本発明の別の実施形態において、Aβ(20−42)球状凝集体抗原でヒト免疫グロブリン遺伝子座のいくつか又は全てを含む非ヒト動物に免疫付与することによって抗体を作製する。好ましい実施形態において、非ヒト動物は、XENOMOUSEトランスジェニックマウス、ヒト免疫グロブリン遺伝子座の大きな断片を含み、マウス抗体産生欠損である、改変マウス系列である。例えば、Greeneら、Nature Genetics 7:13−21(1994)及び米国特許第5,916,771号、同第5,939,598号、同第5,985,615号、同第5,998,209号、同第6,075,181号、同第6,091,001号、同第6,114,598号及び同第6,130,364号を参照のこと。また、国際特許公開WO91/10741(1991年7月25日公開)、WO94/02602(1994年2月3日公開)、WO96/34096及びWO96/33735(両方とも1996年10月31日公開)、WO98/16654(1998年4月23日公開)、WO98/24893(1998年6月11日公開)、WO98/50433(1998年11月12日公開)、WO99/45031(1999年9月10日公開)、WO99/53049(1999年10月21日公開)、WO00/09560(2000年2月24日公開)及びWO00/037504(2000年6月29日公開)も参照のこと。XENOMOUSEトランスジェニックマウスは、完全ヒト抗体の成人様ヒトレパートリーを産生し、抗原−特異的ヒトMabを産生する。XENOMOUSEトランスジェニックマウスは、ヒト重鎖遺伝子座及びx軽鎖遺伝子座の、メガベースの大きさの生殖細胞系列構造YAC断片の導入を通じて、ヒト抗体レパートリーのおよそ80%を含有する。Mendezら、Nature Genetics 15:146−156(1997)、Greene及びJakobovits J.Exp.Med.188:483−495(1998)を参照のこと(これらの開示は、参照により本明細書中に組み込まれる。)。
4.組み換え抗体ライブラリを用いた抗Aβ(20−42)球状凝集体モノクローナル抗体
本発明の抗体を作製するために、インビトロ法を使用することもでき、この場合、所望の結合特異性を有する抗体を同定するために、抗体ライブラリをスクリーニングする。組み換え抗体ライブラリのこのようなスクリーニングのための方法は、当技術分野で周知であり、これには、例えば、Ladnerら、米国特許第5,223,409号;Kangら、国際出願公開WO92/18619;Dowerら、国際出願公開WO91/17271;Winterら、国際出願公開WO92/20791;Marklandら、国際出願公開WO92/15679;Breitlingら、国際出願公開WO93/01288;McCaffertyら、PCT公開WO92/01047;Garrardら、国際出願公開WO92/09690;Fuchsら(1991)、Bio/Technology 9:1370−1372;Hayら(1992)Hum Antibod Hybridomas 3:81−85;Huseら(1989)、Science 246:1275−1281;McCaffertyら、Nature(1990)348:552−554;Griffithsら(1993)EMBO J 12:725−734;Hawkinsら(1992)J Mol Biol 226:889−896;Clacksonら(1991)Nature 352:624−628;Gramら(1992)PNAS 89:3576−3580;Garradら(1991)Bio/Technology 9:1373−1377;Hoogenboomら(1991)、Nuc Acid Res 19:4133−4137;及びBarbasら(1991)、PNAS 88:7978−7982、米国出願公開第20030186374及び国際出願公開WO97/29131(これらのそれぞれの内容は参照により本明細書中に組み込まれる。)に記載の方法が含まれる。
組み換え抗体ライブラリは、Aβ(20−42)球状凝集体又はAβ(20−42)球状凝集体の一部で免疫付与された対象由来であり得る。あるいは、組み換え抗体ライブラリは、ナイーブの対象、即ちAβ(20−42)球状凝集体で免疫付与されていない対象由来であり得、例えば、ヒトAβ(20−42)球状凝集体で免疫付与されていないヒト対象からのヒト抗体ライブラリなどである。ヒトAβ(20−42)球状凝集体を含むペプチドを用いて組み換え抗体ライブラリをスクリーニングし、それによりAβ(20−42)球状凝集体を認識し、Aβ(1−42)球状凝集体、Aβ(1−40)及びAβ(1−42)単量体、Aβ原繊維及びsAPPαを識別する抗体を選択することにより、本発明の抗体を選択する。このようなスクリーニング及び選択を行うための方法は、先行する段落における参考文献に記載のものなど、当技術分野で周知である。特定のkOff速度定数でヒトAβ(20−42)球状凝集体から解離するものなど、Aβ(20−42)球状凝集体に対する特定の結合親和性を有し、Aβ(1−42)球状凝集体、Aβ(1−40)及びAβ(1−42)単量体、Aβ原繊維及びsAPPαを識別する本発明の抗体を選択するために、当技術分野で公知のドットブロットの方法を使用して、所望のkOff速度定数を有する抗体を選択することができる。特定のIC50を有するものなど、Aβ(20−42)球状凝集体に対する特定の中和活性を有し、Aβ(1−42)球状凝集体、Aβ(1−40)及びAβ(20−42)単量体、Aβ原繊維及びsAPPαを識別する本発明の抗体を選択するために、ヒトAβ(20−42)球状凝集体活性の阻害を評価するための当技術分野で公知の標準的方法を使用し得る。
ある態様において、本発明は、ヒトAβ(20−42)球状凝集体に結合し、Aβ(1−42)球状凝集体、Aβ(1−40)及びAβ(1−42)単量体、Aβ原繊維及びsAPPαを識別する単離抗体又はその抗原結合部分に関する。好ましくは、本抗体は中和抗体である。様々な実施形態において、本抗体は組み換え抗体又はモノクローナル抗体である。
例えば、本発明の抗体はまた、当技術分野で公知の様々なファージディスプレイ法を用いて作製することもできる。ファージディスプレイ法において、機能的抗体ドメインをコードするポリヌクレオチド配列を担うファージ粒子の表面上で機能的抗体ドメインを提示する。特に、このようなファージは、レパートリー又はコンビナトリアル抗体ライブラリ(例えばヒト又はマウス)から発現される抗原結合ドメインを提示するために使用することができる。抗原により、例えば標識抗原又は固体表面もしくはビーズに結合もしくは捕捉される抗原を用いて、関心のある抗原に結合する抗原結合ドメインを発現するファージを選択するか又は同定することができる。これらの方法において使用されるファージは、通常、ファージ遺伝子III又は遺伝子VIIIタンパク質の何れかに組み換え融合される、Fab、Fv又はジスルフィド安定化Fv抗体ドメインとともにファージから発現されるfd及びM13結合ドメインを含む線状ファージである。本発明の抗体を作製するために使用することができるファージディスプレイ法の例には、Brinkmanら、J.Immunol.Methods 182:41−50(1995);Amesら、J.Immunol.Methods 184:177−186(1995);Kettleboroughら、Eur.J.Immunol.24:952−958(1994);Persicら、Gene 187 9−18(1997);Burtonら、Advances in Immunology 57:191−280(1994);国際出願PCT/GB91/01134;国際出願公開WO90/02809;WO91/10737;WO92/01047;WO92/18619;WO93/11236;WO95/15982;WO95/20401;及び米国特許第5,698,426号;同第5,223,409号;同第5,403,484号;同第5,580,717号;同第5,427,908号;同第5,750,753号;同第5,821,047号;同第5,571,698号;同第5,427,908;同第5,516,637号;同第5,780,225号;同第5,658,727号;同第5,733,743及び同第5,969,108号(これらはそれぞれ、その全体において参照により本明細書中に組み込まれる。)で開示されるのものが含まれる。
上記参考文献に記載のように、例えば下記で詳述するように、ヒト抗体又は何らかのその他の所望の抗原結合断片を含み、何らかの所望の宿主(哺乳動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、酵母及び細菌を含む。)において発現される全抗体を生成させるために、ファージ選択後、ファージからの抗体コード領域を単離し、使用することができる。例えば、国際出願公開WO92/22324;Mullinaxら、BioTechniques 12(6):864−869(1992);及びSawaiら、AJRI 34:26−34(1995);及びBetterら、Science 240:1041−1043(1988)(これらの参考文献は、それらの全体において参照により組み込まれる。)で開示されているものなどの当技術分野で公知の方法を用いて、Fab、Fab’及びF(ab’)2断片を組み換え作製するための技術を使用することもできる。1本鎖Fv及び抗体を作製するために使用することができる技術の例には、米国特許第4,946,778号及び同第5,258,498号;Hustonら、Methodds in Enzymology 203:46−88(1991);Shuら、PNAS 90:7995−7999(1993);及びSkerraら、Science 240:1038−1040(1988)に記載のものが含まれる。
ファージディスプレイによる組み換え抗体ライブラリのスクリーニングの代わりに、大型のコンビナトリアルライブラリをスクリーニングするための当技術分野で公知のその他の方法を、本発明の2重特異性抗体の同定に適用することができる。あるタイプの代替的な発現系は、Szostak及びRobertsによる国際出願公開WO98/31700及びRoberts、R.W.及びSzostak、J.W.(1997)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94:12297−12302に記載のような、組み換え抗体ライブラリがRNA−タンパク質融合物として発現されているものである。この系において、その3’末端にプロマイシン、ペプチジルアクセプター抗生物質を有する合成mRNAのインビトロ翻訳により、mRNAとそれがコードするペプチド又はタンパク質との間で、共有結合融合が生じる。このようにして、コードされるペプチド又はタンパク質、例えば抗体又はその一部の特性(二重特異性抗原への、抗体又はその一部の結合など)に基づき、mRNAの複合体混合物(例えばコンビナトリアルライブラリ)から、特異的mRNAを濃縮することができる。上記のような組み換え手順によって、このようなライブラリのスクリーニングから回収される抗体又はその一部をコードする核酸配列を発現させることができ(例えば哺乳動物宿主細胞において)、さらに、上述のような、元来選択された配列へと突然変異が導入されているmRNA−ペプチド融合物のスクリーニングのさらなるラウンドによるか又は組み換え抗体のインビトロでの親和性成熟のためのその他の方法によるかの何れかで、さらなる親和性成熟に供することができる。
別のアプローチにおいて、本発明の抗体はまた、当技術分野で公知の酵母ディスプレイ法を用いて作製することもできる。酵母ディスプレイ法において、酵母細胞壁に抗体ドメインをつなぎとめ、酵母の表面上にそれらを提示するために遺伝学的方法を使用する。特に、レパートリー又はコンビナトリアル抗体ライブラリ(例えばヒト又はマウス)から発現される抗原結合ドメインを提示するために、このような酵母を使用することができる。本発明の抗体を作製するために使用することができる酵母ディスプレイ法の例には、参照により本明細書中に組み込まれる、Wittrupら、米国特許第6,699,658号で開示されるものが含まれる。
B.組み換えAβ(20−42)球状凝集体抗体の作製
上記のように、本発明の抗体は、当技術分野で公知の技術の多くの何れかにより作製され得る。例えば、宿主細胞からの発現(重及び軽鎖をコードする発現ベクターは標準的技術により宿主細胞に遺伝子移入される。)。「遺伝子移入(トランスフェクション)」という用語の様々な形態は、原核又は真核宿主細胞への外来DNAの導入のために一般に使用される多岐にわたる技術を包含するものとする(例えば、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿、DEAE−デキストラン遺伝子移入など)。原核又は真核宿主細胞の何れかにおいて本発明の抗体を発現することが可能であるが、真核細胞(及び特に哺乳動物細胞)は、原核細胞よりも、正しく折り畳まれた免疫学的活性のある抗体を構築して分泌する可能性が高いので、真核細胞での抗体の発現が好ましく、哺乳動物宿主細胞中での発現が最も好ましい。
本発明の組み換え抗体を発現させるための好ましい哺乳動物宿主細胞には、チャイニーズハムスター卵巣(CHO細胞)(例えばR.J.Kaufman及びP.A.Sharp(1982)Mol.Biol.159:601−621に記載のような、DHFR選択可能マーカーとともに使用されるUrlaub及びChasin(1980)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 11:4216−4220に記載のdhfr−CHO細胞を含む。)、NS0骨髄腫細胞、COS細胞及びSP2細胞が含まれる。抗体遺伝子をコードする組み換え発現ベクターが哺乳動物宿主細胞に導入される場合、宿主細胞での抗体の発現を可能にするか又はより好ましくは、宿主細胞が増殖させられる培地への抗体の分泌を可能にするのに十分な時間にわたり宿主細胞を培養することによって、抗体が産生される。標準的タンパク質精製法を用いて培地から抗体を回収することができる。
Fab断片又はscFv分子などの機能的抗体断片を生成させるために宿主細胞を使用することもできる。上記手順における変化が本発明の範囲内であることを理解されたい。例えば、本発明の抗体の軽鎖及び/又は重鎖の何れかの機能的断片をコードするDNAを宿主細胞に遺伝子移入することが望ましいものであり得る。関心のある抗原への結合に必要ではない軽鎖及び重鎖の何れか又は両方をコードするDNAのいくつか又は全てを除去するために、組み換えDNA技術を使用することもできる。このような短縮DNA分子から発現される分子もまた本発明の抗体により包含される。さらに、標準的化学架橋法により第二の抗体へ本発明の抗体を架橋することによって、1つの重鎖及び1つの軽鎖が本発明の抗体であり、その他の重鎖及び軽鎖が、関心のある抗原以外の抗原に特異的である2機能性抗体を作製し得る。
本発明の抗体又はその抗原結合部分の組み換え発現のための好ましい系において、リン酸カルシウムが介在する遺伝子移入によって、抗体重鎖及び抗体軽鎖の両方をコードする組み換え発現ベクターをdhfr−CHO細胞に導入する。組み換え発現ベクター内で、抗体重及び軽鎖遺伝子は、遺伝子の高レベル転写を推進するために、それぞれCMVエンハンサー/AdMLPプロモーター調節エレメントに操作可能に連結される。組み換え発現ベクターはまた、DHFR遺伝子も有し、これにより、メトトレキセート選択/増幅を用いてベクターが遺伝子移入されているCHO細胞の選択が可能になる。抗体重鎖及び軽鎖の発現を可能にするために、選択された形質転換宿主細胞を培養し、インタクトな抗体を培地から回収する。組み換え発現ベクターを調製し、宿主細胞に遺伝子移入し、形質転換体について選択し、宿主細胞を培養し、培地から抗体を回収するために、標準的分子生物学技術を使用する。またさらに、本発明は、本発明の組み換え抗体が合成されるまで、適切な培地中で本発明の宿主細胞を培養することにより、本発明の組み換え抗体を合成する方法を提供する。この方法はさらに、培地から組み換え抗体を単離することを含む。
1.抗Aβ(20−42)球状凝集体抗体
下表5は、本発明の好ましい抗Aβ(20−42)球状凝集体ヒト化抗体のVH及びVL領域のアミノ酸配列のリストを含む。本明細書中に記載の単離抗Aβ(20−42)球状凝集体抗体CDR配列は、本発明に従い単離され、本明細書中に列挙されているCDR配列を含むポリペプチドを含む、Aβ(20−42)球状凝集体(及び/又は本発明の抗体との反応性を有する球状凝集体エピトープを含む他のあらゆるAβ形態)結合タンパク質の新規ファミリーを確立する。
好ましいAβ(20−42)球状凝集体結合を有し及び/又はAβ(20−42)球状凝集体及び/又は本発明の抗体との反応性を有する球状凝集体エピトープを含む他のあらゆるAβ形態に関する活性を中和する本発明のCDRを作製し、選択するために、以下に限定されないが、本明細書中に具体的に記載されるものを含む、本発明の結合タンパク質を作製し、Aβ(20−42)球状凝集体(及び/又は本発明の抗体との反応性を有する球状凝集体エピトープを含む他のあらゆるAβ形態)結合を評価し、及び/又はこれらの結合タンパク質の特性を中和するための、当技術分野で公知の標準的方法を使用することができる。
2.抗Aβ(20−42)球状凝集体キメラ抗体
キメラ抗体は、マウスモノクローナル抗体由来の可変領域及びヒト免疫グロブリン定常領域を有する抗体など、抗体の異なる部分が異なる動物種由来である分子である。キメラ抗体を作製するための方法は、当技術分野で公知であり、本明細書中で詳細に考察される。例えば、Morrison、Science 229:1202(1985);Oiら、BioTechniques 4:214(1986);Gilliesら、(1989)J.Immunol.Methods 125:191−202;米国特許第5,807,715号;同第4,816,567号;及び4,816,397号(これらはそれらの全体において参照により本明細書中に組み込まれる。)を参照のこと。さらに、適切な生物学的活性のヒト抗体分子からの遺伝子とともに適切な抗原特異性のマウス抗体分子から遺伝子をスプライシングすることによる「キメラ抗体」の産生のために開発された技術(Morrisonら、1984、Proc.Natl.Acad.Sci.81:851−855;Neubergerら、1984、Nature 312:604−608;Takedaら、1985、Nature 314:452−454(これらはそれらの全体において参照により本明細書中に組み込まれる。)を使用することができる。
ある実施形態において、本発明のキメラ抗体は、2006年11月30日に出願された国際特許出願PCT/US2006/046148号に記載されているマウスモノクローナル抗ヒトAβ(20−42)球状凝集体抗体5F7及び7C6の重鎖定常領域をヒトIgG1定常領域で置換することにより、作製される。具体的な実施形態において、本発明のキメラ抗体は、配列番号11、12及び13のアミノ酸配列を含む5F7重鎖可変領域(V)並びに配列番号14、15及び15Aのアミノ酸配列を含む5F7軽鎖可変領域(V)を含む。あるいは、本発明の別の実施形態において、キメラ抗体は、配列番号16、17及び18のアミノ酸配列を含む7C6重鎖可変領域(V)並びに配列番号19、20及び21のアミノ酸配列を含む7C6軽鎖可変領域(V)を含む。
3.抗Aβ(20−42)球状凝集体CDRグラフト抗体
本発明のCDRグラフト抗体は、V及び/又はVのCDR領域の1つ又はそれ以上が本発明のマウス抗体のCDR配列で置換されるヒト抗体からの重鎖及び軽鎖可変領域配列を含む。何らかのヒト抗体からのフレームワーク配列は、CDRグラフトのための鋳型となり得る。しかし、このようなフレームワーク上への直鎖置換により、抗原に対する結合親和性がある程度喪失されることが多い。オリジナルのマウス抗体に対してヒト抗体が相同であるほど、マウスCDRをヒトフレームワークと組み合わせることにより、親和性を低下させ得るCDRでゆがみが導入される可能性は低くなる。従って、CDR抜きのマウス可変フレームワークを置換するために選択されるヒト可変フレームワークは、マウス抗体可変領域フレームワークと少なくとも65%配列同一性があることが好ましい。より好ましくは、CDR抜きのヒト及びマウス可変領域は少なくとも70%の配列同一性を有する。さらにより好ましくは、CDR抜きのヒト及びマウス可変領域は少なくとも75%の配列同一性を有する。最も好ましくは、CDR抜きのヒト及びマウス可変領域は少なくとも80%の配列同一性を有する。キメラ抗体を作製するための方法は、当技術分野で公知であり、本明細書中で詳細に考察される(EP239,400;国際出願公開WO91/09967;米国特許第5,225,539号;同第5,530,101号;及び同第5,585,089号)、ベニアリング(veneering)又はリサーフェシング(resurfacing)(EP592,106;EP519,596;Padlan、Molecular Immunology 28(4/5):489−498(1991);Studnickaら、Protein Engineering 7(6):805−814(1994);Roguskaら、PNAS 91:969−973(1994))及び鎖シャフリング(米国特許第5,565,352号)。
4.抗Aβ(20−42)球状凝集体ヒト化抗体
ヒト化抗体は、ヒト以外の種由来の1つ又はそれ以上の相補性決定領域(CDR)及びヒト免疫グロブリン分子由来のフレームワーク領域を有する所望の抗原を結合するヒト以外の種由来の抗体分子である。
下表5は、本発明の好ましいヒト化配列及びその中に含有されるCDRを示している。
Figure 2010530740
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それぞれ全体的に参照により本明細書中に組み込まれる。免疫原性を低下させるか又は、当技術分野で公知のような、結合、親和性、会合速度、解離速度、結合力、特異性、半減期又は何らかのその他の適切な特性を低下、促進又は変化させるために、このようなインポート(取り込まれる)配列を使用することができる。
ヒトフレームワーク領域におけるフレームワーク残基は、抗原結合を変化させる、好ましくは向上させるために、CDRドナー抗体からの対応する残基で置換され得る。これらのフレームワーク置換は、当技術分野で周知の方法により、例えば、抗原結合に重要なフレームワーク残基を同定するためのCDR及びフレームワーク残基の相互作用のモデリング及び抗原結合及び特定の位置での通常はないフレームワーク残基を同定するための配列比較によって、同定される。(例えば、Queenら、米国特許第5,585,089号;Riechmannら、Nature 332:323(1988)(これらは、それらの全体において参照により本明細書中に組み込まれる。)参照)。三次元免疫グロブリンモデルは一般に利用可能であり、当業者によく知られている。選択された候補免疫グロブリン配列の推定三次元立体配座構造を示し、提示するコンピュータプログラムが利用可能である。これらの提示の検討により、候補免疫グロブリン配列の機能における残基の可能性のある役割の分析、即ち、候補免疫グロブリンのその抗原への結合能力に影響を与える残基の分析が可能となる。このようにして、標的抗原に対する親和性向上などの所望の抗体特性が達成されるように、FR残基を選択し、コンセンサス及びインポート配列から組み合わせることができる。一般に、CDR残基は、直接的に、及び最も実質的に、抗原結合に影響を与えることに関与する。抗体は、以下に限定されないが、Jonesら、Nature 321:522(1986);Verhoeyenら、Science 239:1534(1988))、Simsら、J.Immunol.151:2296(1993);Chothia及びLesk、J.Mol.Biol.196:901(1987)、Carterら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.89:4285(1992);Prestaら、J.Immunol.151:2623(1993)、Padlan、Molecular Immunology 8(4/5):489−498(1991);Studnickaら、Protein Engineering 7(6):805−814(1994);Roguskaら、PNAS 91:969−973(1994);国際出願公開WO91/09967、PCT/:US98/16280、US96/18978、US91/09630、US91/05939、US94/01234、GB89/01334、GB91/01134、GB92/01755;WO90/14443、WO90/14424、WO90/14430、EP229246、EP592,106;EP519,596、EP239,400、米国特許第5,565,332号、同第5,723,323号、同第5,976,862号、同第5,824,514号、同第5,817,483号、同第5,814,476号、同第5,763,192号、同第5,723,323号、同第5,766,886号、同第5,714,352号、同第6,204,023号、同第6,180,370号、同第5,693,762号、同第5,530,101号、同第5,585,089号、同第5,225,539号;同第4,816,567号、(それぞれ、全体的に、そこで引用される参考文献を含め、参照により本明細書中に組み込まれる。)に記載のものなど、当技術分野で公知の様々な技術を用いて、ヒト化され得る。
C.抗体の作製及び抗体産生細胞株
上記のように、好ましくは、本発明の抗Aβ(20−42)球状凝集体抗体又は本発明の抗体との反応性を有する球状凝集体エピトープを含む他のあらゆるAβ形態に対する抗体、例えば、当技術分野で公知のいくつかのインビトロ及びインビボアッセイの何れか1つにより評価したとき、Aβ(20−42)球状凝集体(及び/又は本発明の抗体との反応性を有する球状凝集体エピトープを含む他のあらゆるAβ形態)活性を低下させるか又は中和する高い能力を示す(例えば、下記の実施例参照)。
ある種の実施形態において、本抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgE、IgM又はIgD定常領域などの重鎖定常領域を含む。好ましくは、重鎖定常領域は、IgG1重鎖定常領域又はIgG4重鎖定常領域である。さらに、本抗体は、軽鎖定常領域、κ軽鎖定常領域又はλ軽鎖定常領域の何れか、を含み得る。好ましくは、本抗体はκ軽鎖定常領域を含む。あるいは、抗体部分は、例えば、Fab断片又は1本鎖Fv断片であり得る。
抗体エフェクター機能を変化させるためのFc部分におけるアミノ酸残基の置換は当技術分野で公知である(Winterら、米国特許第5,648,260号及び同第5,624,821号)。抗体のFc部分は、例えば、抗体及び抗原−抗体連結体の、サイトカイン誘導、ADCC、食作用、補体依存性細胞傷害(CDC)及び半減期/クリアランス速度などのいくつかの重要なエフェクター機能を媒介する。いくつかの場合において、これらのエフェクター機能は、治療用抗体に対して好ましいが、その他の場合においては、治療目的によっては、不要であり得るか又は有害であり得る。ある種のヒトIgGアイソタイプ、特にIgG1及びIgG3は、それぞれFcγR及び補体C1qへの結合を介してADCC及びCDCを媒介する。新生児Fc受容体(FcRn)は、抗体の循環半減期を決定する重要な成分である。さらに別の実施形態において、抗体のエフェクター機能が変更されるように、抗体の定常領域、例えば抗体のFc領域において、少なくとも1つのアミノ酸残基が置換される。
ある実施形態は、本発明の抗体又は抗体部分が誘導体化されるか又は別の機能分子(例えば別のペプチド又はタンパク質)に連結される、標識された結合タンパク質を提供する。例えば、本発明の抗体又は抗体部分を機能的に連結することにより(化学カップリング、遺伝子融合、非共有結合又はその他により)、1つ又はそれ以上のその他の分子部分へ、例えば、別の分子(ストレプトアビジンコア領域又はポリヒスチジンタグなど)との抗体又は抗体部分の会合を媒介することができる、別の抗体(例えば、二特異的抗体又はダイアボディ)、検出可能な試薬、細胞毒性薬、医薬品及び/又はタンパク質又はペプチドへ、本発明の標識された結合タンパク質を誘導体化することができる。
本発明の抗体又は抗体部分が誘導体化され得る有用な検出可能な試薬には、蛍光化合物が含まれる。代表的な蛍光性の検出可能試薬には、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、5−ジメチルアミン−1−ナフタレンスルホニルクロリド、フィコエリスリンなどが含まれる。抗体はまた、アルカリホスファターゼ、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼなどの検出可能な酵素で誘導体化され得る。抗体が検出可能な酵素で誘導体化される場合、検出可能な反応産物を生成させるために酵素が使用するさらなる試薬を添加することによりこれが検出される。例えば、検出可能な試薬ホースラディッシュペルオキシダーゼが存在する場合、過酸化水素及びジアミノベンジジンの添加により、検出可能である有色の反応産物がもたらされる。ビオチンで抗体を誘導体化し、アビジン又はストレプトアビジン結合の間接的測定を通じて検出し得る。
本発明の別の実施形態は、結晶化結合タンパク質を提供する。好ましくは、本発明は、本明細書中で開示されるような抗Aβ(20−42)球状凝集体全抗体及びその断片の結晶及び、このような結晶を含む製剤及び組成物に関する。ある実施形態において、結晶化結合タンパク質は、結合タンパク質の可溶性形態よりもインビボでの半減期が長い。別の実施形態において、本結合タンパク質は、結晶化後、生物学的活性を保持する。
本発明の結晶化結合タンパク質は、当技術分野で公知の方法に従い、及び参照により本明細書中に組み込まれる国際出願公開WO02/072636で開示されるように、調製され得る。
本発明の別の実施形態は、抗体又はその抗原結合部分が1つ又はそれ以上の炭水化物残基を含むグリコシル化結合タンパク質を提供する。新生インビボタンパク質産生は、翻訳後修飾として知られるさらなるプロセシングを受け得る。特に、糖(グリコシル)残基を酵素により添加し得るが、これは、グリコシル化として知られるプロセスである。結果として得られる、共有結合されるオリゴ糖側鎖を有するタンパク質は、グリコシル化タンパク質又は糖タンパク質として知られる。抗体は、Fcドメインならびに可変ドメインにおいて1つ又はそれ以上の炭水化物残基を有する糖タンパク質である。Fcドメインにおける炭水化物残基は、抗体の抗原結合又は半減期における影響が最小限であるFcドメインのエフェクター機能に重要な影響を及ぼす(R.Jefferis、Biotechnol.Prog.21(2005)、pp.11−16)。一方、可変ドメインのグリコシル化は、抗体の抗原結合活性に影響を及ぼし得る。可変ドメインにおけるグリコシル化は、おそらく立体障害のために、抗体結合親和性に負の影響を及ぼし得るか(Co、M.S.ら、Mol.Immunol.(1993)30:1361−1367)、又は結果として、抗原に対する親和性を向上させ得る(Wallick、S.C.ら、Exp.Med.(1988)168:1099−1109;Wright、A.ら、EMBO J.(1991)10:2717−2723)。
本発明のある態様は、結合タンパク質のO−又はN−結合グリコシル化部位が突然変異させられているグリコシル化部位突然変異体を生じさせることに関する。当業者は、標準的な周知の技術を用いて、このような突然変異体を生じさせることができる。生物学的活性を保持するが結合活性が向上しているか又は低下しているグリコシル化部位突然変異体の作製は、本発明の別の目的である。
さらに別の実施形態において、本発明の抗体又は抗原結合部分のグリコシル化が修飾される。例えば、非グリコシル化抗体を作製することができる(即ちこの抗体はグリコシル化を欠く。)。例えば抗原に対する抗体の親和性を向上させるために、グリコシル化を変化させることができる。例えば抗体配列内のグリコシル化の1つ又はそれ以上の部位を変化させることにより、このような糖修飾を行うことができる。例えば、結果として1つ又はそれ以上の可変領域グリコシル化部位が除去され、それによりその部位のグリコシル化が除去される、1つ又はそれ以上のアミノ酸置換を行うことができる。このような非グリコシル化により、抗原に対する抗体の親和性を向上させ得る。このようなアプローチは、国際出願公開WO03/016466A2及び米国特許第5,714,350号及び同第6,350,861号(これらのそれぞれが、その全体において参照により本明細書中に組み込まれる。)でさらに詳しく記載されている。
これに加えて又はこれに代えて、フコシル残基の量が少なくなった低フコシル化抗体又は分岐GlcNAc構造が増加した抗体など、グリコシル化のタイプが変化した本発明の修飾抗体を作製することができる。このような改変グリコシル化パターンにより、抗体のADCC能が向上することが明らかになっている。例えば、グリコシル化機構が変化した宿主細胞において抗体を発現させることにより、このような糖修飾を行うことができる。グリコシル化機構が変化した細胞は、当技術分野で記載されており、本発明の組み換え抗体を発現させ、それによりグリコシル化が改変された抗体を産生させるために、宿主細胞として使用することができる。例えば、Shields、R.L.ら(2002)J.Biol.Chem.277:26733−26740;Umanaら(1999)Nat.Biotech.17:176−1ならびに欧州特許第EP1,176,195号;国際出願公開WO03/035835号及びWO99/5434280号(これらのそれぞれは、その全体において参照により本明細書中に組み込まれる。)を参照のこと。
タンパク質グリコシル化は、関心のあるタンパク質のアミノ酸配列ならびにそのタンパク質が発現される宿主細胞に依存する。生物によってグリコシル化酵素が異なり得(例えば、グリコシルトランスフェラーゼ及びグリコシダーゼ)、利用可能な基質が異なり得る(ヌクレオチド糖)。このような因子のために、タンパク質グリコシル化パターン及びグリコシル残基の組成は、特定のタンパク質が発現される宿主系に依存して異なり得る。本発明において有用なグリコシル残基には、以下に限定されないが、グルコース、ガラクトース、マンノース、フコース、n−アセチルグルコサミン及びシアル酸が含まれ得る。好ましくはグリコシル化結合タンパク質は、グリコシル化パターンがヒトであるようにグリコシル残基を含む。
様々なタンパク質グリコシル化の結果、タンパク質の特徴が異なり得ることは当業者にとって公知である。例えば、酵母などの微生物宿主で産生され、酵母内在性経路を使用してグリコシル化される治療用タンパク質の効率は、CHO細胞株などの哺乳動物細胞中で発現される同じタンパク質の効率と比較して低下している可能性がある。このような糖タンパク質はまた、ヒトにおいて免疫原性があり得、投与後のインビボでの半減期が短い可能性がある。ヒト及びその他の動物における特異的受容体は、特異的グリコシル残基を認識し、血流からのタンパク質の急速なクリアランスを促進し得る。その他の有害事象には、タンパク質折り畳み、溶解性、プロテアーゼに対する感受性、トラフィッキング、輸送、区画化、分泌、その他のタンパク質もしくは因子による認識、抗原性又はアレルギー誘発性の変化が含まれ得る。従って、実施者は、特異的組成及びグリコシル化パターン、例えば、ヒト細胞又は意図される対象動物の種特異的細胞において産生されるものと同一であるか又は少なくとも類似のグリコシル化組成及びパターンを有する治療用タンパク質を好み得る。宿主細胞のものとは異なるグリコシル化タンパク質の発現は、異種グリコシル化酵素を発現させるために宿主細胞を遺伝子操作することにより達成され得る。当技術分野で公知の技術を用いて、実施者は、ヒトタンパク質グリコシル化を示す抗体又はその抗原結合部分を生成させ得る。例えば、酵母株は、これらの酵母株において産生されるグリコシル化タンパク質(糖タンパク質)が動物細胞、特にヒト細胞のものと同一のタンパク質グリコシル化を示すように非天然のグリコシル化酵素を発現させるために遺伝子操作されている(米国特許出願公開20040018590及び20020137134及び国際出願公開WO05/100584A2)。
「多価結合タンパク質」という用語は、2つ又はそれ以上の抗原結合部位を含む結合タンパク質を示すために本願で使用される。多価結合タンパク質は、好ましくは3つ又はそれ以上の抗原結合部位を有するように改変され、通常は天然抗体ではない。「多特異的結合タンパク質」という用語は、2つ又はそれ以上の関連又は非関連標的に結合することができる結合タンパク質を指す。二重可変ドメイン(DVD)結合タンパク質は、本明細書中で使用される場合、2以上の抗原結合部位を含む結合タンパク質であり、3価又は多価結合タンパク質である。このようなDVDは単一特異的、即ち1つの抗原に結合することができるか、又は多特異的、即ち2以上の抗原に結合することができる。2つの重鎖DVDポリペプチド及び2つの軽鎖DVDポリペプチドを含むDVD結合タンパク質は、DVDIgを指す。DVDIgの各半分は、重鎖DVDポリペプチド及び軽鎖DVDポリペプチド及び2つの抗原結合部位を含む。各結合部位は、抗原結合部位ごとに抗原結合に関与する全部で6つのCDRを有する重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含む。DVD結合タンパク質及びDVD結合タンパク質を作製する方法は、米国特許出願11/507,050で開示されており、参照により本明細書中に組み込まれる。
本発明のある態様は、Aβ(20−42)球状凝集体に結合することができる結合タンパク質を含むDVD結合タンパク質に関する。好ましくは、DVD結合タンパク質は、Aβ(20−42)球状凝集体及び/又は本発明の抗体との反応性を有する球状凝集体エピトープを含む他のあらゆるAβ形態並びに第二の標識に結合することができる。
結合タンパク質に加えて、本発明はまた、本発明のこのような結合タンパク質に対して特異的な抗イディオタイプ(抗−Id)抗体にも関する。
抗Id抗体は、通常は別の抗体の抗原結合領域と会合するユニークな決定基を認識する抗体である。抗Idは、結合タンパク質又はそのCDR含有領域で動物に免疫付与することにより調製することができる。免疫付与された動物は、免疫付与抗体のイディオタイプ決定基を認識し、それに対して反応し、抗Id抗体を産生する。抗Id抗体はまた、また別の動物において免疫反応を誘導するために、「免疫原」としても使用され得、いわゆる抗−抗Id抗体を産生する。
さらに、当業者にとって当然のことながら、ライブラリのメンバー宿主細胞が変異グリコシル化パターンを有する関心のあるタンパク質を産生するように、様々なグリコシル化酵素を発現するよう遺伝子操作された宿主細胞のライブラリを用いて関心のあるタンパク質を発現させ得る。次いで、実施者は、特定の新規グリコシル化パターンを有する関心のあるタンパク質を選択し、単離し得る。好ましくは、特に選択された新規グリコシル化パターンを有するタンパク質は、生物学的特性が向上するか又は変化する。
D.抗Aβ(1−42)抗体の使用
Aβ(20−42)球状凝集体に結合するそれらの能力を考えると、酵素免疫測定吸着法アッセイ(ELISA)、放射性免疫アッセイ(RIA)又は組織免疫組織化学などの従来の免疫アッセイを用いて、Aβ(20−42)球状凝集体及び/又は本発明の抗体との反応性を有する球状凝集体エピトープを含む他のあらゆるAβ形態を(例えば、血清、全血、CSF、脳組織又は血漿などの生体試料中で)検出するために、本発明の抗Aβ(20−42)球状凝集体抗体若しくは本発明の抗体との反応性を有する球状凝集体エピトープを含むあらゆるAβ形態に対する抗体又はこれらの一部を使用することができる。従って、本発明は、本発明の抗体又は抗体部分と生体試料を接触させ、Aβ(20−42)球状凝集体(及び/又は本発明の抗体との反応性を有する球状凝集体エピトープを含む他のあらゆるAβ形態)に結合する抗体(又は抗体部分)又は非結合抗体(又は抗体部分)の何れかを検出し、それにより生体試料中のAβ(20−42)球状凝集体及び/又は本発明の抗体との反応性を有する球状凝集体エピトープを含む他のあらゆるAβ形態を検出することを含む、生体試料中のAβ(20−42)球状凝集体及び/又は本発明の抗体との反応性を有する球状凝集体エピトープを含む他のあらゆるAβ形態を検出するための方法を提供する。本抗体は、結合又は非結合抗体の検出を促進するための検出可能な物質で直接又は間接的に標識される。適切な検出可能物質には、様々な酵素、補欠分子族、蛍光物質、発光物質及び放射性物質が含まれる。適切な酵素の例にはホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ又はアセチルコリンエステラーゼが含まれ;適切な補欠分子族複合体の例には、ストレプトアビジン/ビオチン及びアビジン/ビオチンが含まれ;適切な蛍光物質の例には、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、塩化ダンシル又はフィコエリスリンが含まれ;発光物質の例にはルミノールが含まれ;適切な放射性物質の例には、H、14C、35S、90Y、99Tc、111In、125I、131I、177Lu、166Ho又は153Smが含まれる。
抗体を標識する代わりに、検出可能な物質で標識された組み換えAβ(20−42)球状凝集体標準物質及び非標識抗Aβ(20−42)球状凝集体抗体を用いる競合免疫アッセイにより、体液中のAβ(20−42)球状凝集体及び/又は本発明の抗体との反応性を有する球状凝集体エピトープを含む他のあらゆるAβ形態をアッセイすることができる。このアッセイにおいて、生体試料、標識した組み換えAβ(20−42)球状凝集体標準物質及び抗Aβ(2−42)球状凝集体抗体を組み合わせ、非標識抗体に結合した標識組み換えAβ(20−42)球状凝集体標準物質の量を調べる。生体試料中のAβ(20−42)球状凝集体及び/又は本発明の抗体との反応性を有する球状凝集体エピトープを含む他のあらゆるAβ形態の量は、抗Aβ(20−42)球状凝集体抗体に結合したrAβ(20−42)球状凝集体標準物質の量と反比例する。
本発明の抗体及び抗体部分は、好ましくは、インビトロ及びインビボの両方で、Aβ(20−42)球状凝集体活性及び/又は本発明の抗体との反応性を有する球状凝集体エピトープを含む他のあらゆるAβ形態の活性を中和することができる。従って、本発明のこのような抗体及び抗体部分は、例えば、Aβ(20−42)球状凝集体及び/又は本発明の抗体との反応性を有する球状凝集体エピトープを含む他のあらゆるAβ形態を含有する細胞培養において、ヒト対象において、又は本発明の抗体が交差反応するAβ(20−42)球状凝集体及び/又は本発明の抗体との反応性を有する球状凝集体エピトープを含む他のあらゆるAβ形態を有するその他の哺乳動物対象において、Aβ(1−42)球状凝集体活性及び/又は本発明の抗体との反応性を有する球状凝集体エピトープを含む他のあらゆるAβ形態の活性を阻害するために使用することができる。ある実施形態において、本発明は、Aβ(20−42)球状凝集体活性及び/又は本発明の抗体との反応性を有する球状凝集体エピトープを含む他のあらゆるAβ形態の活性が阻害されるように、Aβ(20−42)球状凝集体及び/又は本発明の抗体との反応性を有する球状凝集体エピトープを含む他のあらゆるAβ形態を本発明の抗体又は抗体部分と接触させることを含む、Aβ(1−42)球状凝集体活性及び/又は本発明の抗体との反応性を有する球状凝集体エピトープを含む他のあらゆるAβ形態の活性を阻害するための方法を提供する。例えば、Aβ(20−42)球状凝集体及び/又は本発明の抗体との反応性を有する球状凝集体エピトープを含む他のあらゆるAβ形態を含有し又は含有する疑いのある細胞培養において、培養中でAβ(20−42)球状凝集体活性及び/又は本発明の抗体との反応性を有する球状凝集体エピトープを含む他のあらゆるAβ形態の活性を阻害するために、本発明の抗体又は抗体部分を培地に添加することができる。
別の実施形態において、本発明は、対象において、有利に、Aβ(20−42)球状凝集体活性が有害である及び/又は本発明の抗体との反応性を有する球状凝集体エピトープを含む他のあらゆるAβ形態の活性が有害である疾病又は疾患(例えばアルツハイマー病などのアミロイドーシス)に罹患している患者から、Aβ(20−42)球状凝集体活性を低下させるための及び/又は本発明の抗体との反応性を有する球状凝集体エピトープを含む他のあらゆるAβ形態の活性を低下させる方法を提供する。従って、本発明は、このような疾病又は疾患に罹患している対象においてAβ(20−42)球状凝集体活性及び/又は本発明の抗体との反応性を有する球状凝集体エピトープを含む他のあらゆるAβ形態の活性を低下させるための方法を提供し、この方法は、対象におけるAβ(20−42)球状凝集体活性及び/又は本発明の抗体との反応性を有する球状凝集体エピトープを含む他のあらゆるAβ形態の活性が低下させられるように、本発明の抗体又は抗体部分を対象に投与することを含む。好ましくは、Aβ(20−42)球状凝集体はヒトAβ(20−42)球状凝集体及び/又は本発明の抗体との反応性を有する球状凝集体エピトープを含む他のあらゆるヒトAβ形態であり、対象はヒト対象である。あるいは、対象は、本発明の抗体が結合することができるAPPpr(Aβ(20−42)球状凝集体及び/又は本発明の抗体との反応性を有する球状凝集体エピトープを含む他のあらゆるAβ形態の生成をもたらすあらゆるAβ形態)を発現する哺乳動物であり得る。またさらに、対象は、(例えば、Aβ(20−42)球状凝集体の投与によって、又はAPP若しくはAβ(20−42)球状凝集体及び/若しくは本発明の抗体との反応性を有する球状凝集体エピトープを含む他のあらゆるAβ形態の生成をもたらす他のあらゆるAβ形態の発現によって)、Aβ(20−42)球状凝集体(及び/又は本発明の抗体との反応性を有する球状凝集体エピトープを含む他のあらゆるAβ形態)がその中に導入されている哺乳動物であり得る。本発明の抗体は治療目的のためにヒト対象に投与され得る。さらに、本発明の抗体は、獣医学の目的のために、又はヒト疾患の動物モデルとして、Aβ(20−42)球状凝集体(及び/又は本発明の抗体との反応性を有する球状凝集体エピトープを含む他のあらゆるAβ形態)の生成をもたらし、及び/又は抗体が結合することができるAPP又はあらゆるAβ形態が発現されている非ヒト哺乳動物に投与され得る。後者に関して、このような動物モデルは、本発明の抗体の治療有効性を評価するために有用であり得る(例えば、投与量及び投与の時間的経過の試験)。
本明細書中で使用される場合、「Aβ(20−42)球状凝集体活性及び/又は本発明の抗体との反応性を有する球状凝集体エピトープを含む他のあらゆるAβ形態が有害である疾患」という用語は、その疾患に罹患している対象におけるAβ(20−42)球状凝集体及び/又は本発明の抗体との反応性を有する球状凝集体エピトープを含む他のあらゆるAβ形態の存在が、その疾患の病態生理学又はその疾患の悪化に関与する因子の何れかに関与することが示されているか又はその疑いがある、疾病及びその他の疾患を含むものとする。従って、Aβ(20−42)球状凝集体活性及び/又は本発明の抗体との反応性を有する球状凝集体エピトープを含むあらゆるAβ形態の活性が有害である疾患は、Aβ(20−42)球状凝集体活性及び/又は本発明の抗体との反応性を有する球状凝集体エピトープを含むあらゆるAβ形態の活性の低下により、その疾患の症候及び/又は進行の一部又は全てが緩和されることが予想される疾患である。このような疾患は例えばその疾患に罹患している対象の体液中のAβ(20−42)球状凝集体及び/又は本発明の抗体との反応性を有する球状凝集体エピトープを含むあらゆるAβ形態の濃度の上昇(例えば、対象の、血清、脳組織、血漿、脳脊髄液中などのAβ(20−42)球状凝集体及び/又は本発明の抗体との反応性を有する球状凝集体エピトープを含むあらゆるAβ形態)の濃度の上昇)によって明らかとなり得、これらは、例えば、上述のような抗Aβ(20−42)球状凝集体抗体及び/又は本発明の抗体との反応性を有する球状凝集体エピトープを含む他のあらゆるAβ形態に対する抗体又は本発明の抗体が反応性を有する球状凝集体エピトープを含むあらゆるAβ形態に対するあらゆる抗体を使用して検出することができる。本発明の抗体で治療することができる疾患の非限定例には、本発明の抗体の医薬組成物に関連する下記セクションで考察される疾患が含まれる。
D.医薬組成物
本発明はまた、本発明の抗体又はその抗原結合部分及び医薬的に許容可能な担体を含む医薬組成物も提供する。本発明の抗体を含む医薬組成物は、以下に限定されないが、疾患の診断、検出又は監視における、疾患又はその1つ又はそれ以上の症候の予防、治療、管理又は改善における、及び/又は研究における、使用のためのものである。具体的な実施形態において、組成物は1つ又はそれ以上の本発明の抗体を含む。別の実施形態において、本医薬組成物は、Aβ(20−42)球状凝集体活性が有害である又は本発明の抗体との反応性を有する球状凝集体エピトープを含むあらゆるAβ形態の活性が有害である疾患を治療するための本発明の抗体以外の1つ又はそれ以上の本発明の抗体及び1つ又は以上の予防薬又は治療薬を含む。好ましくは、疾患又はその1つ又はそれ以上の症候の予防、治療、管理又は改善に有用であることが知られているか又はそれにおいて使用されてきたか又は現在使用されている予防薬又は治療薬である。これらの実施形態によると、組成物は、担体、希釈剤又は賦形剤をさらに含み得る。
本発明の抗体及び抗体部分は、対象への投与に適切な医薬組成物に組み込まれ得る。通常、医薬組成物は、本発明の抗体又は抗体部分及び医薬的に許容可能な担体を含む。本明細書中で使用される場合、「医薬的に許容可能な担体」には、生理学的に適合性である、あらゆる及び全ての、溶媒、分散媒体、コーティング剤、抗菌及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤などが含まれる。医薬的に許容可能な担体の例には、水、生理食塩水、リン酸緩衝食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールなど、ならびにこれらの組合せの1つ又はそれ以上が含まれる。多くの場合、等張剤、例えば、糖、ポリアルコール、例えばマンニトール、ソルビトールなど又は塩化ナトリウムを組成物中に含むことが好ましい。医薬的に許容可能な担体には、抗体又は抗体部分の貯蔵期間又は有効性を高める、湿潤剤又は乳化剤、保存料又は緩衝剤などの、湿潤化物質又は少量の補助物質などもさらに含まれ得る。
1つ又はそれ以上の本発明の抗体又は1つ又はそれ以上の本発明の抗体の組み合わせ及び、疾患又はその1つ又はそれ以上の症候の予防、管理、治療又は改善に有用な予防薬又は治療薬を投与するために、様々な送達系が知られており、使用することができる(例えば、リポソーム中での封入、微粒子、マイクロカプセル、抗体又は抗体断片を発現させることができる組み換え細胞、受容体介在エンドサイトーシス(例えば、Wu及びWu、J.Biol.Chem.262:4429−4432(1987)参照)、レトロウイルス又はその他のベクターなどの一部としての核酸の構築物。)。本発明の予防薬又は治療薬を投与する方法には、以下に限定されないが、非経口投与(例えば、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内及び皮下)、硬膜外投与、腫瘍内投与及び粘膜投与(例えば、鼻内及び口腔経路)が含まれる。さらに、例えば、吸入器又はネブライザーの使用及びエアロゾル化剤を用いた処方により、肺内投与を使用し得る。例えば、米国特許第6,019,968号、同第5,985,320号、同第5,985,309号、同第5,934,272号、同第5,874,064号、同第5,855,913号、同第5,290,540号及び同第4,880,078号;及び国際出願公開WO92/19244、WO97/32572、WO97/44013、WO98/31346及びWO99/66903(これらのそれぞれは、それらの全体において、参照により本明細書中に組み込まれる。)を参照のこと。ある実施形態において、Alkermes AIR(R)肺内薬物送達技術(Alkermes、Inc.、Cambridge、MA)を用いて、本発明の抗体、併用療法又は本発明の組成物を投与する。具体的な実施形態において、筋肉内、静脈内、腫瘍内、経口、鼻内、肺内又は皮下により本発明の予防薬又は治療薬を投与する。何らかの従来経路により、例えば、点滴又はボーラス注射により、上皮又は皮膚粘膜内層を通じた吸収(例えば、経口粘膜、直腸及び小腸粘膜など)により、予防薬又は治療薬を投与し得、その他の生物学的活性のある薬物とともに投与し得る。投与は全身性又は局所性であり得る。
具体的な実施形態において、治療の必要がある領域に局所的に本発明の予防薬又は治療薬を投与することは望ましいものであり得;これは、例えば、限定するものではないが、局所点滴により、注射により、又は移植手段により(該移植片は、膜及びマトリクスを含む多孔性又無孔性材料、例えば、サイラスティック膜、ポリマー、繊維状マトリクス(例えばTissuel(R))又はコラーゲンマトリクスなど、である。)、達成され得る。ある実施形態において、本発明の1つ又はそれ以上の抗体の有効量アンタゴニストは、疾患又はその症候を予防、治療、管理及び/又は改善するために、対象の病変部に局所的に投与される。別の実施形態において、1つ又はそれ以上の本発明の抗体の有効量は、疾患又は1つ又はそれ以上のその症候を予防、治療、管理及び/又は改善するために、本発明の抗体以外の1つ又はそれ以上の治療薬(例えば1つ又はそれ以上の予防薬又は治療薬)の有効量と組み合わせて、病変部に局所的に投与される。
別の実施形態において、制御放出又は持続放出系で予防薬又は治療薬を送達させることができる。ある実施形態において、制御放出又は持続放出を行うためにポンプを使用し得る(Langer、前出;Sefton、1987、CRC Crit.Ref.Biomed.Eng.14:20;Buchwaldら、1980、Surgery 88:507;Saudekら、1989、N.Engl.J.Med.321:574)。別の実施形態において、本発明の治療薬の制御放出又は持続放出を行うためにポリマー性材料を使用することができる(例えば、Medical Applications of Controlled Release、Langer及びWise(編)、CRC Pres.、Boca Raton、FL(1974);Controlled Drug Bioavailability、Drug Product Design and Performance、Smolen及びBall(編)、Wiley、New York(1984);Ranger及びPeppas、1983、J.Macromol.Sci.Rev.Macromol.Chem.23:61参照;また、Levyら、1985、Science 228:190;Duringら、1989、Ann.Neurol.25:351;Howardら、1989、J.Neurosurg.71:105);米国特許第5,679,377号;米国特許第5,916,597号;米国特許第5,912,015号;米国特許第5,989,463号;米国特許第5,128,326号;国際出願公開WO99/15154;及び国際出願公開WO99/20253も参照)。持続放出製剤で使用されるポリマーの例には、以下に限定されないが、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(エチレン−コ−ビニルアセテート)、ポリ(メタクリル酸)、ポリグリコリド(PLG)、ポリ無水物、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリアクリルアミド、ポリ(エチレングリコール)、ポリラクチド(PLA)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)(PLGA)及びポリオルトエステルが含まれる。好ましい実施形態において、持続放出製剤で使用されるポリマーは、不活性で、滲出不純物不含であり、保管時に安定であり、滅菌されており、生体分解性である。さらに別の実施形態において、制御又は持続放出系は、予防又は治療標的の隣接して置かれ得、従って、必要とされるのは全身的用量のうちわずかである(例えば、Goodson、Medical Applications of Controlled Release、前出、vol.2、pp.115−138(1984)参照)。
制御放出系は、Langer(1990、Science 249:1527−1533)により概説で考察されている。本発明の1つ又はそれ以上の治療薬を含む持続放出製剤を調製するために、当業者にとって公知の何らかの技術を使用することができる。例えば、米国特許第4,526,938号、国際出願公開WO91/05548、国際出願公開WO96/20698、Ningら、1996、「Intratumoral Radioimmunotheraphy of a Human Colon Cancer Xenograft Using a Sustained−Release Gel」、Radiotherapy & Oncology 39:179−189、Songら、1995、「Antibody Mediated Lung Targeting of Long−Circulating Emulsions」、PDA Journal of Pharmaceutical Science & Technology 50:372−397、Cleekら、1997、「Biodegradable polymeric Carriers for a bFGF Antibody for Cardiovascular Application」、Pro.Int’l.Symp.Control.Rel.Bioact.Mater.24:853−854及びLamら、1997、「Microencapsulation of Recombinant Humanized Monoclonal Antibody for Local Delivery」、Pro.Int’l.Symp.Control.Rel.Bioact.Mater.24:759−760(これらのそれぞれは、それらの全体において参照により本明細書中に組み込まれる。)参照。
具体的な実施形態において、本発明の組成物が、予防薬又は治療薬をコードする核酸である場合、適切な核酸発現ベクターの一部としてそれを構築し、細胞内に入るようにそれを投与することによって、例えばレトロウイルスベクターの使用によって(米国特許第4,980,286号参照)又は直接注入によって又は微粒子銃の使用によって(例えば、遺伝子銃;Biolistic、Dupont)、又は脂質もしくは細胞表面受容体もしくは遺伝子移入剤でのコーティングによって又は核に入ることが知られているホメオボックス様ペプチドに連結してそれを投与することによって(例えば、Joliotら、1991、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:1864−1868参照)、そのコードされる予防薬又は治療薬の発現を促進するためにインビボで核酸を投与することができる。あるいは、核酸を細胞内にを導入し、相同組み換えによる発現のために宿主細胞DNA内に組み込むことができる。
本発明の医薬組成物は、その意図する投与経路に適合するように処方される。投与経路の例には、以下に限定されないが、非経口、例えば静脈内、皮内、皮下、経口、鼻内(例えば吸入)、経皮(例えば局所)、経粘膜及び直腸投与が含まれる。具体的な実施形態において、本組成物は、ヒトへの静脈内、皮下、筋肉内、経口、鼻内又は局所投与に適している医薬組成物としての通常の手順に従い処方される。通常、静脈内投与のための組成物は、滅菌等張水性緩衝液中の溶液である。必要に応じて、組成物は、可溶化剤及び局所麻酔薬(例えば、注射部位の疼痛を緩和するためのリドカインなど)も含み得る。
本発明の組成物が局所投与されるべき場合、軟膏、クリーム、経皮パッチ、ローション、ゲル、シャンプー、スプレー、エアロゾル、溶液、エマルジョン又はその他の当業者にとって周知の形態で本組成物を処方することができる。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences and Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms、第19版、Mack Pub.Co.、Easton、PA(1995)参照。噴霧用ではない局所投与形態の場合、局所塗布に適合し、好ましくは水よりも動的粘性が高い担体又は1つ又はそれ以上の賦形剤を含む粘着性から半固体状又は固体形態が通常は使用される。適切な製剤には、以下に限定されないが、溶液、懸濁液、エマルジョン、クリーム、軟膏、粉末、塗布薬、軟膏(salve)などが含まれ、必要に応じて、それらは滅菌されているか又は例えば浸透圧などの様々な特性に影響を与えるための助剤(例えば、保存料、安定化剤、湿潤剤、緩衝剤又は塩)と混合される。その他の適切な局所投与形態には、好ましくは、固体又は液体不活性担体と組み合わせられた活性成分が加圧揮発剤(pressurized volatile)(例えばフレオンなどのガス噴射剤)との混合物中又は搾り出しボトル中に封入される、噴霧用エアロゾル製剤が含まれる。モイスチャライザー又は保湿剤も必要に応じて医薬組成物及び投与形態に添加され得る。このようなさらなる成分の例は当技術分野で周知である。
本発明の方法が、組成物の鼻内投与を含む場合、エアロゾル形態、スプレー、ミスト又はドロップの形態で組成物を処方することができる。特に、本発明に従う使用のための予防薬又は治療薬は、都合よく、適切な推進薬(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素又はその他の適切な気体)の使用とともに、加圧パック又はネブライザーからのエアロゾルスプレーの形態で送達させることができる。加圧エアロゾルの場合、投与単位は、定量を送達するための値を与えることにより決定され得る。吸入器(inhaler又はinsufflator)での使用のためのカプセル及びカートリッジ(例えばゼラチンからなる。)は、本化合物と、ラクトース又はデンプンなどの適切な粉末ベースとの粉末混合物を含有して処方され得る。
本発明の方法が経口投与を含む場合、錠剤、カプセル、カプセル(cachets)、ジェルキャップ、溶液、懸濁液などの形態で組成物を経口用に処方することができる。結合剤(例えば、α化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドン又はヒドロキシプロピルメチルセルロース);充填剤(例えば、ラクトース、微結晶セルロース又はリン酸水素カルシウム);潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク又はシリカ);崩壊剤(例えば、ジャガイモデンプン又はデンプングリコール酸ナトリウム);又は湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)などの医薬的に許容可能な賦形剤とともに従来の手法により錠剤又はカプセルを調製することができる。当技術分野で周知の方法により錠剤を被覆し得る。経口投与用の液体製剤は、以下に限定されないが、溶液、シロップ又は懸濁液の形態をとり得るか、又はそれらは、使用前に水又はその他の適切なビヒクルで構成するための乾燥製品として与えられ得る。懸濁剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体又は水素化された食用脂);乳化剤(例えば、レシチン又はアカシア);非水性ビヒクル(例えば、アーモンド油、油性エステル、エチルアルコール又は分別された植物油);及び保存料(例えば、メチル又はプロピル−p−ヒドロキシベンゾエート又はソルビン酸)などの医薬的に許容可能な添加物とともに、従来の手順により、このような液体製剤を調製し得る。本製剤はまた、必要に応じて、緩衝塩、香味料、色素及び甘味料も含有し得る。経口投与のための製剤は、予防薬又は治療薬の、徐放、制御放出又は持続放出のために適切に処方され得る。
本発明の方法は、例えば、エアロゾル化剤とともに処方される組成物の吸入器又はネブライザーの使用による、複数の投与を含み得る。例えば、米国特許第6,019,968号、同第5,985,320号、同第5,985,309号、同第5,934,272号、同第5,874,064号、同第5,855,913号、同第5,290,540号及び同第4,880,078号;及び国際出願公開WO92/19244、WO97/32572、WO97/44013、WO98/31346及びWO99/66903(これらのそれぞれは、それらの全体において参照により本明細書中に組み込まれる。)参照。具体的な実施形態において、本発明の抗体、併用療法及び/又は本発明の組成物は、Alkermes AIR(R)肺内薬物送達技術(Alkermes、Inc.、Cambridge、MA)を用いて投与される。
本発明の方法は、注射による(例えば、ボーラス注射又は連続的点滴による)非経口投与のために処方される組成物の投与を含み得る。注射用の製剤は、保存料を添加された単位投与形態(例えば、アンプル又は複数回使用容器中)で与えられ得る。本組成物は、懸濁液、溶液又は油中エマルジョン又は水性ビヒクルなどの形態をとり得、懸濁剤、安定化剤及び/又は分散剤などの調剤に必要な薬剤(formulatory agent)も含有し得る。あるいは、活性成分は、使用前に適切なビヒクル(例えば滅菌発熱物質不含水)での構成のための粉末形態であり得る。本発明の方法は、さらに、デポー製剤として処方される組成物の投与を含み得る。このような長時間作用製剤は、移植(例えば、皮下又は筋肉内)により又は筋肉内注射により投与され得る。従って、例えば、本組成物は、適切なポリマー性又は疎水性材料(例えば、許容可能な油中のエマルジョンとして)又はイオン交換樹脂とともに、又は難溶性誘導体として(例えば難溶性の塩として)、処方され得る。
本発明の方法は、中性又は塩形態として処方される組成物の投与を包含する。医薬的に許容可能な塩には、塩酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸由来のものなどの陰イオンとともに形成されるものなど、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、水酸化鉄、イソプロピルアミン、トリエチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなど由来のものなどの陽イオンとともに形成されるものが含まれる。
一般に、組成物の成分は、個別に又は単位投与形態で一緒に混合されて、例えば、活性物質の量を表示するアンプル又はサシェなどの密封容器中の凍結乾燥粉末又は水不含濃縮物として、供給される。投与方式が点滴である場合、滅菌された医薬グレードの水又は塩水を含有する点滴瓶とともに組成物を調剤することができる。投与方式が注射によるものである場合、注射のための滅菌水又は塩水のアンプルは、投与前に成分が混合され得るように提供され得る。
特に、本発明はまた、予防薬又は治療薬又は本発明の医薬組成物の1つ又はそれ以上が、薬物の量を表示するアンプル又はサシェなどの密封容器中に封入されることも提供する。ある実施形態において、予防薬又は治療薬の1つ又はそれ以上又は本発明の医薬組成物は、密封容器中で乾燥滅菌凍結乾燥粉末又は水不含の濃縮物として供給され、対象への投与のために、(例えば水又は塩水で)適切な濃度に再構成され得る。好ましくは、予防薬又は治療薬又は本発明の医薬組成物の1つ又はそれ以上は、少なくとも5mg、より好ましくは少なくとも10mg、少なくとも15mg、少なくとも25mg、少なくとも35mg、少なくとも45mg、少なくとも50mg、少なくとも75mg又は少なくとも100mgの単位投与量で、密封容器中で乾燥した滅菌凍結乾燥粉末として供給される。凍結乾燥された予防薬又は治療薬又は本発明の医薬組成物は、その元の容器中で2℃から8℃の間で保管すべきであり、予防薬又は治療薬又は本発明の医薬組成物は、再構成後、1週間以内、好ましくは5日間以内、72時間以内、48時間以内、24時間以内、12時間以内、6時間以内、5時間以内、3時間以内又は1時間以内に投与すべきである。代替的な実施形態において、予防薬又は治療薬又は本発明の医薬組成物の1つ又はそれ以上は、薬物の量及び濃度を表示する密封容器中で液体形態で供給される。好ましくは、投与される組成物の液体形態は、少なくとも0.25mg/mL、より好ましくは少なくとも0.5mg/mL、少なくとも1mg/mL、少なくとも2.5mg/mL、少なくとも5mg/mL、少なくとも8mg/mL、少なくとも10mg/mL、少なくとも15mg/kg、少なくとも25mg/mL、少なくとも50mg/mL、少なくとも75mg/mL又は少なくとも100mg/mLで密封容器中で供給される。液体形態はその元の容器中で2℃から8℃の間で保管すべきである。
本発明の抗体及び抗体部分は、非経口投与に適切な医薬組成物に組み込まれ得る。好ましくは、この抗体又は抗体部分は、0.1−250mg/mLの抗体を含有する注射用の溶液として調製される。注射用の溶液は、フリントガラス又はアンバーバイアル、アンプル又はプレフィルドシリンジ中で、液体又は凍結乾燥製剤の形態の何れかから構成され得る。緩衝液は、pH5.0から7.0(最適にはpH6.0)のL−ヒスチジン(1−50mM、最適には5−10mM)であり得る。その他の適切な緩衝液には、以下に限定されないが、コハク酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム又はリン酸カリウムが含まれる。0−300mMの濃度(液体投与形態の場合、最適には150mM)で溶液の毒性を変化させるために、塩化ナトリウムを使用することができる。凍結乾燥製剤の場合、凍結保護剤、基本的には0−10%スクロース(最適には0.5−1.0%)を含み得る。その他の適切な凍結保護剤には、トレハロース及びラクトースが含まれる。凍結乾燥投与形態の場合、充填剤、基本的には1−10%マンニトール(最適には2−4%)を含み得る。安定化剤は、基本的には1−50mM L−メチオニン(最適には5−10mM)を液体及び凍結乾燥投与形態の両方で使用することができる。その他の適切な充填剤には、グリシン及びアルギニンが含まれ、0−0.05%ポリソルベート−80(最適には0.005−0.01%)として含まれ得る。さらなる界面活性剤には、以下に限定されないが、ポリソルベート20及びBRIJ界面活性剤が含まれる。非経口投与のための注射用の溶液として調製される本発明の抗体及び抗体部分を含む医薬組成物は、治療用タンパク質(例えば抗体)の吸収又は分散を促進するために使用されるものなどのアジュバントとして有用な物質をさらに含み得る。特に有用なアジュバントは、Hylenex(R)(組み換えヒトヒアルロニダーゼ)などのヒアルロニダーゼである。注射用溶液におけるヒアルロニダーゼの添加により、非経口投与、特に皮下投与後のヒトのバイオアベイラビリティーが向上する。これによりまた、疼痛及び不快感を軽減し、注入部位の反応の発生を最小限にしながら、注射部位の体積を大きくする(即ち1mL超)ことも可能になる(国際出願公開WO04/078140及び米国特許出願公開US2006104968(参照により本明細書中に組み込まれる。)参照。)。
本発明の組成物は様々な形態であり得る。これらには、例えば、液体、半固体及び固体投与形態、例えば溶液(例えば、注射用及び点滴用溶液)、分散液又は懸濁液、錠剤、丸剤、粉末、リポソーム及び坐薬などが含まれる。好ましい形態は、意図する投与方法及び治療用途に依存する。通常の好ましい組成物は、注射用又は点滴用溶液の形態、例えば他の抗体によるヒトの受動免疫法のために使用されるものと類似の組成物など、である。好ましい投与方法は、非経口(例えば、静脈内、皮下、腹腔内、筋肉内)である。好ましい実施形態において、本抗体は静脈内点滴又は注射によって投与される。別の好ましい実施形態において、本抗体は、筋肉内又は皮下注射によって投与される。
治療用組成物は、通常、製造及び保管の条件下で無菌かつ安定でなければならない。本組成物は、溶液、マイクロエマルジョン、分散液、リポソーム又はその他の高い薬物濃度に適した秩序構造として処方され得る。滅菌注射用溶液は、活性合物(即ち抗体又は抗体部分)を、必要な量で、適切な溶媒中に、必要に応じて上記で列挙した成分の1つ又はそれ以上の組合せと共に配合し、続いてろ過滅菌することにより調製することができる。一般に、分散液は、基本的な分散媒及び上記で列挙したものからの必要なその他の成分を含有する滅菌ビヒクル中に活性化合物を配合することにより調製される。滅菌注射用溶液を調製するための滅菌凍結乾燥粉末の場合、好ましい調製方法は、活性成分に何らかのさらなる所望の成分を加えた粉末を、予めろ過滅菌したこれらの溶液から得る、真空乾燥及び噴霧乾燥である。溶液の適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングを使用することにより、分散液の場合は必要な粒子サイズを維持することにより、及び、界面活性剤を使用することにより、維持し得る。組成物中に吸収を遅延させる物質、例えば、モノステアリン酸塩及びゼラチンを組成物中に含むことにより、注射用組成物を持続的に吸収させるようにすることができる。
本発明の抗体及び抗体部分は、当技術分野で公知の様々な方法により投与することができるが、多くの治療用途に対して、好ましい投与の経路/方法は、皮下注射、静脈内注射又は点滴である。当業者にとって当然のことながら、投与の経路及び/又は方法は、所望の結果に依存して変化する。ある実施形態において、インプラント、経皮パッチ及びマイクロカプセル型送達系を含む制御放出製剤など、化合物を急速な放出から保護する担体を用いて活性化合物を調製し得る。エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、ポリ乳酸などの生体分解性、生体適合性ポリマーを使用することができる。このような製剤の調製のための多くの方法が特許取得されているか、又は当業者にとって一般に公知である。例えば、Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems、J.R.Robinson編、Marcel Dekker、Inc.、New York、1978参照。
ある実施形態において、例えば不活性希釈剤又は同化可能な可食担体と共に、本発明の抗体又は抗体部分を経口投与し得る。この化合物(及び必要に応じてその他の成分)を、硬殻又は軟殻のゼラチンカプセルに封入するか、錠剤に圧縮するか又は対象の食餌に直接混合することもできる。治療剤の経口投与の場合、賦形剤とともにこの化合物を配合し、経口摂取錠剤、口腔錠、トローチ、カプセル、エリキシル、懸濁液、シロップ、ウエハースなどの形態で使用し得る。本発明の化合物を非経口投与以外によって投与するために、この化合物をその不活性化を阻止する物質で被覆するか、又はこの化合物をこれらと一緒に投与することが必要であり得る。
補助的な活性物質を組成物中に配合することもできる。ある実施形態において、Aβ(20−42)活性が有害である疾患を治療するのに有用な1つ又はそれ以上のさらなる治療薬と一緒に、本発明の抗体又は抗体部分を処方、及び/又は一緒に投与する。例えば、本発明の抗Aβ(20−42)抗体の1つ又はその抗体部分を、その他の標的に結合する1つ又はそれ以上のさらなる抗体とともに共処方(coformulated)及び/又は同時投与し得る(例えばその他のサイトカインに結合するか又は細胞表面分子に結合する抗体)。さらに、1つ又はそれ以上の本発明の抗体は、先行する治療薬の2以上と組み合わせて使用され得る。このような併用療法は、有利に、投与される治療薬のより低い投与量を使用し得、従って、様々な単剤療法に付随する毒性又は合併症の可能性を回避する。
ある実施形態において、Aβ(20−42)に対する抗体又はその断片(又は本発明の抗体との反応性を有する球状凝集体エピトープを含む他のあらゆるAβ形態に対する抗体)は、当技術分野で公知の半減期延長ビヒクルに連結される。このようなビヒクルには、以下に限定されないが、Fcドメイン、ポリエチレングリコール及びデキストランが含まれる。このようなビヒクルは、例えば、米国特許出願第09/428,082号及び公開国際特許出願WO99/25044(これらは、あらゆる目的に対して参照により本明細書により組み込まれる。)に記載されている。
具体的な実施形態において、遺伝子治療により、疾患又はその1つ又はそれ以上の症候を治療、予防、管理又は改善するために、本発明の抗体又は本発明の別の予防薬又は治療薬をコードするヌクレオチド配列を含む核酸配列が投与される。遺伝子治療は、発現されるか又は発現可能な核酸の対象への投与により行われる治療を指す。本発明のこの実施形態において、この核酸は、それらのコードされる抗体又は予防もしくは治療効果を媒介する本発明の予防薬もしくは治療薬を生成させる。
本発明に従い、当技術分野で利用可能な遺伝子治療のための何らかの方法を使用することができる。遺伝子治療の方法の一般的な概説に関しては、Goldspielら、1993、Clinical Pharmacy 12:488−505;Wu及びWu、1991、Biotherapy 3:87−95;Tolstoshev、1993、Ann.Rev.Pharmacol.Toxicol.32:573−596;Mulligan、Science 260:926−932(1993);及びMorgan及びAnderson、1993、Ann.Rev.Biochem.62:191−217;1993年5月、TIBTECH 11(5):155−215を参照のこと。使用することができる組み換えDNA技術の技術分野で一般に公知の方法は、Ausubelら(編)、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons、NY(1993);及びKriegler、Gene Transfer and Expression、A Laboratory Manual、Stockton Press、NY(1990)に記載されている。遺伝子治療の様々な方法の詳細な記述は、米国特許出願公開US20050042664 A1(参照により本明細書中に組み込まれる。)で開示されている。
本発明の抗体又はその抗原結合部分は、アルツハイマー病、ダウン症候群、認知症、パーキンソン病又は脳内へのアミロイドβタンパク質の蓄積を伴う他のあらゆる疾病若しくは症状などの疾患を治療するために、本発明の抗体又はその抗原結合部分を単独で又は組み合わせて使用することができる。本発明の抗体は、「立体構造疾患(conformational disease)」を治療するために使用され得る。このような疾病は、構成成分タンパク質内の二次ないし三次構造の変化、これに続く、変化を受けたタンパク質の凝集に起因する(Hayden et al.,JOP.J Pancreas 2005;6(4):287−302)。特に、本発明の抗体又は結合タンパク質は、以下の立体構造疾患の1つ又はそれ以上を治療するために使用され得る。 α1−アンチトリプシン欠損症、C1−阻害剤欠損血管性浮腫、アンチトロンビン欠乏血栓塞栓症、クールー、クロイツフェルトヤコブ病/スクレイピー、牛海綿状脳症、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー症候群、致死性家族性不眠症、ハンチントン病、脊髄小脳失調、マカド−ジョセフ変性症、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症、前頭側頭型痴呆、鎌型血球病、不安定ヘモグロビン封入体溶血、薬物誘発性封入体溶血、パーキンソン病、全身性ALアミロイドーシス、結節性ALアミロイドーシス、全身性AAアミロイドーシス、前立腺アミロイド、血液透析アミロイドーシス、遺伝性(アイスランド型)脳血管症、ハンチントン病、家族性臓器アミロイド、家族性臓器多発性神経炎、家族性臓器アミロイドーシス、老人性全身性アミロイドーシス、家族性アミロイドニューロパシー、家族性心臓アミロイド、アルツハイマー病、ダウン症、甲状腺髄様癌及び2型糖尿病(T2DM)などの疾患を治療するために、本発明の抗体又はその抗原結合部分を単独で又は組み合わせて使用することができる。好ましくは、アミロイドーシス、例えばアルツハイマー病及びダウン症。
本発明の抗体又はその抗原結合部分を単独で又は1つ又はそれ以上のさらなる薬剤、例えば、治療薬(例えば低分子分子又は生物学的)と組み合わせて使用することができ、このさらなる薬剤は、その意図される目的のために当業者により選択されることを理解されたい。例えば、さらなる薬剤は、コレステリナーゼ阻害剤(例えばタクトリン、ドネペジル、リバスチグミン又はガランタミン)、部分的NMDA受容体ブロッカー(例えばメマンチン)、グリコサミノグリカン模倣物(例えばアルツェメド(alzhemed))、γセクレターゼの阻害剤又はアロステリック調節物質(例えばR−フルルビプロフェン)、黄体形成ホルモン遮断ゴナドトロピン放出ホルモンアゴニスト(例えばリュープロレリン)、セロトニン5−HT1A受容体アンタゴニスト、キレート剤、神経選択的L型カルシウムチャネルブロッカー、免疫調節物質、アミロイド原線維形成阻害剤又はアミロイドタンパク質沈着阻害剤(例えばM266)、別の抗体(例えばバピニューズマブ)、5−HT1a受容体アンタゴニスト、PDE4阻害剤、ヒスタミンアゴニスト、糖化最終産物に対する受容体タンパク質、PARP刺激物質、セロトニン6受容体アンタゴニスト、5−HT4受容体アゴニスト、ヒトステロイド、神経代謝を促進するグルコース取り込み刺激剤、選択的CB1アンタゴニスト、ベンゾジアゼピン受容体における部分的アゴニスト、アミロイドβ産生アンタゴニスト又は阻害剤、アミロイドβ沈着阻害剤、NMRα−7部分アンタゴニスト、治療標的PDE4、RNA翻訳阻害剤、ムスカリン性アゴニスト、神経成長因子受容体アゴニスト、NGF受容体アゴニスト及び遺伝子治療調節物質(即ち、本発明の抗体により治療されている疾病又は状態を治療するのに有用であるものと現在認識されているか又は将来認識される薬剤)などの治療薬であり得る。さらなる薬剤はまた、治療組成物に有利な属性を与える薬剤、例えば、組成物の粘性をもたらす薬剤、でもあり得る。
本発明内に含まれるべき組み合わせは、それらの用途に有用な組み合わせであることをさらに理解されたい。下記で述べられる物質は、説明のためのものであり、限定を意図するものではない。本発明の一部である組み合わせは、本発明の抗体及び下記リストから選択される少なくとも1つのさらなる薬剤であり得る。この組み合わせには、また、この組み合わせが、形成される組成物がその所望の機能を果たし得るようなものである場合、複数のさらなる薬剤、例えば2又は3のさらなる薬剤も含まれ得る。
本発明の医薬組成物は、本発明の抗体又は抗体部分の「治療的有効量」又は「予防的有効量」を含み得る。「治療的有効量」とは、必要な投与量で、必要な期間、所望の治療結果を達成するのに有効な量を指す。抗体又は抗体部分の治療的有効量は、当業者により決定され得、個体の、疾病のステ―ジ、年齢、性別及び体重、その個体において所望の反応を誘発するための抗体又は抗体部分の能力などの因子に従い変化し得る。治療的有効量はまた、治療上の有益な効果が抗体又は抗体部分の何らかの毒性又は有害な影響を上回るものでもある。「予防的有効量」とは、必要な投与量で、必要な期間、所望の予防結果を達成するのに有効な量を指す。通常、予防的用量は、対象において、疾患の前又は初期段階に使用されるので、予防的有効量は治療的有効量より少量となろう。
最適の所望の反応(例えば、治療又は予防的反応)をもたらすために投薬計画を調整し得る。例えば、単回ボーラスを投与し得、何回かの分割用量をある時間にわたり投与し得るか、又は、治療状況の要件により指示されるように、用量を均等に減少させ得るか又は増加させ得る。投与を容易にするために及び投与を均一にするために、投与単位形態で非経口組成物を処方することは特に有利である。投与単位形態は、本明細書中で使用される場合、治療されるべき哺乳動物対象に対する単一の投与量として適切な物理的に分離された単位を指し;各単位は、必要とされる医薬担体を伴って所望の治療効果を発揮するために計算される活性化合物の所定の量を含有する。本発明の投与単位形態は、(a)活性化合物のユニークな特徴及び達成されるべき特定の治療又は予防効果及び(b)個体における感受性の治療に対するこのような活性化合物を化合する技術分野に固有の制限により決定され、これらに直接依存する。
本発明の抗体又は抗体部分の治療的又は予防的有効量の代表的な非限定範囲は、0.1−20mg/kg、より好ましくは1−10mg/kgである。投与量の値は、緩和すべき状態のタイプ及び重症度により変化し得ることに注意されたい。あらゆる特定の対象に対して、個々のニーズ及び本組成物の投与を行うか又は投与を監督する者の専門的判断に従い、時間経過によって具体的投薬計画を調整すべきであり、本明細書中で述べられる投与範囲は単なる例示であり、主張される組成物の範囲又は実施を限定するものではないことをさらに理解されたい。
当業者にとって当然のことながら、本明細書中に記載される本発明の方法のその他の適切な変更及び適合は明らかであり、本発明の範囲及び本明細書中で開示される実施形態から逸脱することなく、適切な同等物を用いて為し得る。
本発明を詳細に説明してきたが、次の実施例(単なる説明のために含まれるものであり、本発明を限定するものではない。)を参照することにより本発明がより明確に理解されよう。
球状凝集体の調製
a)Aβ(1−42)球状凝集体:
Aβ(1−42)合成ペプチド(H−1368、Bachem、Bubendorf、Switzerland)を6mg/mLで100%の1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(HFIP)中に懸濁し、完全な可溶化のために、37℃で1.5時間、振盪下で温置した。HFIPは、水素結合破壊剤として作用し、Aβペプチド中にあらかじめ存在する構造的な不均質性を排除するために使用する。SpeedVac中での蒸発によりHFIPを除去し、ジメチルスルホキシド中に5mM濃度でAβ(1−42)を再懸濁し、20秒間音波処理した。HFIPで前処理されたAβ(1−42)をリン酸緩衝塩類溶液(PBS)(20mMNaHPO、140mMNaCl、pH7.4)中で400μMに希釈し、(HO中の)1/10容積の2%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を添加した(0.2%SDSの終濃度)。37℃で6時間温置すると、16/20kDaのAβ(1−42)球状凝集体(球状オリゴマーのための短い形態)の中間体が得られた。HOの3容積でさらに希釈し、37℃で18時間温置することによって、38/48kDaのAβ(1−42)球状凝集体を生じた。3000gで20分間遠心分離した後、試料を限外濾過(30kDaカットオフ)により濃縮し、5mMNaHPO、35mMNaCl、pH7.4に対して透析し、10000gで10分間遠心分離し、38/48kDaのAβ(1−42)球状凝集体を含む上清を回収した。透析に対する代替例として、氷冷メタノール/酢酸溶液(33%メタノール、4%酢酸)の9倍過剰量(v/v)によって、38/48kDaのAβ(1−42)球状凝集体を4℃で1時間沈殿させることも可能である。次に、38/48kDaのAβ(1−42)球状凝集体をペレットにし(16200gで10分間)、5mMNaHPO、35mMNaCl、pH7.4中で再懸濁し、pHを7.4に調整した。
b)Aβ(20−42)球状凝集体
実施例1aに従って調製されたAβ(1−42)球状凝集体調製物1.59mLを、緩衝液(50mMMES/NaCl、pH7.4)38mL及び水中の1mg/mLサーモリシン溶液(Roche)200μLと混合した。反応混合物を室温で20時間撹拌した。次に、水中の100mMEDTA溶液(pH7.4)80μLを添加し、1%強度のSDS溶液400μLで0.1%のSDS含有量へと混合物をさらに調整した。15mLの30kDa遠心沈殿チューブを介して、反応混合物を約1mLに濃縮した。濃縮物を緩衝液(50mMMES/NaOH、0.02%SDS、pH7.4)9mLと混合し、1mLに再度濃縮した。透析チューブ中で緩衝液(5mMリン酸ナトリウム、35mMNaCl)1Lに対して、濃縮物を6℃で16時間透析した。水中の2%強度のSDS溶液で、透析物を0.1%のSDS含有量に調整した。試料を10000gで10分間遠心分離し、Aβ(20−42)球状凝集体上清を回収した。
d)Aβ(12−42)球状凝集体:
実施例1aに従って調製されたAβ(1−42)球状凝集体調製物2mLを、38mLの緩衝液(5mMリン酸ナトリウム、35mM塩化ナトリウム、pH7.4)及び水中の1mg/mLGluCエンドプロテアーゼ(Roche)150μLと混合した。反応混合物を室温で6時間撹拌し、その後、水中の1mg/mL GluCエンドプロテアーゼ(Roche)150μLをさらに添加した。反応混合物を室温でさらに16時間撹拌した後、5MDIFP溶液8μLを添加した。15mLの30kDa遠心沈殿チューブを介して、反応混合物を約1mLに濃縮した。濃縮物を緩衝液(5mMリン酸ナトリウム、35mM塩化ナトリウム、pH7.4)9mLと混合し、1mLに再度濃縮した。透析チューブ中で緩衝液(5mMリン酸ナトリウム、35mMNaCl)1Lに対して、濃縮物を6℃で16時間透析した。水中の1%強度のSDS溶液で、透析物を0.1%のSDS含有量に調整した。試料を10000gで10分間遠心分離し、Aβ(12−42)球状凝集体上清を回収した。
d)架橋されたAβ(1−42)球状凝集体:
Aβ(1−42)合成ペプチド(H−1368、Bachem、Bubendorf、Switzerland)を6mg/mLで100%の1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(HFIP)中に懸濁し、完全な可溶化のために、37℃で1.5時間、振盪下で温置した。HFIPは、水素結合破壊剤として作用し、Aβペプチド中にあらかじめ存在する構造的な不均質性を排除するために使用した。SpeedVacによる蒸発によりHFIPを除去し、ジメチルスルホキシド中に、5mM濃度で、Aβ(12−42)球状凝集体Aβ(1−42)を再懸濁し、20秒間超音波処理した。HFIPで前処理されたAβ(1−42)をPBS(20mMNaHPO、140mMNaCl、pH7.4)中で400μMに希釈し、(水中の)1/10容積の2%SDSを添加した(0.2%SDSの終濃度)。37℃で6時間温置すると、16/20kDaのAβ(1−42)球状凝集体(球状オリゴマーのための短い形態)の中間体が得られた。水の3容積でさらに希釈し、37℃で18時間温置することによって、38/48kDaのAβ(1−42)球状凝集体を生じた。1mMグルタルアルデヒドとともに21℃の室温で2時間温置した後、室温で30分間エタノールアミン(5mM)処理することによって、38/48kDaのAβ(1−42)球状凝集体の架橋をここで実施した。
ヒト化された抗Aβ(20−42)の作製及び単離
球状凝集体モノクローナル抗体
ヒト化抗体の調製
5F7可変領域をヒト化するために、本発明中に記載されている一般的なアプローチに従った。まず、コンピュータプログラムABMOD及びENCAD(Levitt、M.、J.Mol.Biol.168:595−620(1983))の補助を得て、5F7可変領域の分子モデルを構築した。次に、ヒトV及びJセグメント配列に対する相同性検索に基づいて、VHセグメントMUC1−1’CL(Griffiths,A.D.,et al.,EMBO J.12:725−734(1993))及びJセグメントJH4(Ravetch,J.V.,et al.,Cell 27:583−591(1981))を選択して、Hu5F7重鎖可変領域に対するフレームワークを得た。Hu5F7軽鎖可変領域に対して、VLセグメントTR1.37’CL(Portolano, S., et al., J. Immunol.151:2839−2851(1993))及びJセグメントJK4(Hieter, P. A., et al., J.Biol.Chem.257:1516−1522(1982))を使用した。5F7VHとアクセプターヒトMUC1−1’CLとJH4セグメントとの間でのフレームワークアミノ酸の同一性は78%であったのに対して、5F7VLとアクセプターヒトTR1.37’CLとJK4セグメントとの間の同一性は86%であった。
コンピュータモデルからCDRとの顕著な接触が示唆されるフレームワーク位置において、元のヒトフレームワークアミノ酸に対してマウスV領域からのアミノ酸で置換した。重鎖に対して残基48、67、68、70及び72においてこれを行い(図7)、軽鎖に対して位置7においてこれを行った(図8)。対応するヒトV領域サブグループのそれらの個々の位置で稀にしか現れなかったフレームワーク残基をそれらの位置においてヒトコンセンサスアミノ酸で置換した。重鎖の残基76(図7)で、及び軽鎖の残基1及び2で(図8)、これを行った。
7C6に対するヒト化設計戦略は、重鎖に対して配列番号3の配列及び軽鎖に対して配列番号4をもたらす同様のアプローチに従った。
ヒト化抗体VH及びVL断片の構築
配列全体に及ぶ重複するオリゴヌクレオチドを徐冷することによって、5F7及び7C6ヒト化設計のためのVH及びVL遺伝子断片を構築した(5F7hum8に対して配列番号1及び2並びに7C6hum7に対して配列番号3及び4)。簡潔に述べると、VH又はVL断片のコード鎖全体を一連の60個のヌクレオチドオリゴに分割し、2つの対応するボトム鎖オリゴと30個のヌクレオチド重複があるようにそれぞれを設計した。ボトム鎖オリゴの合計はまた配列全体に及んだ。統合すると、このオリゴヌクレオチドは完全な2本鎖DNAセグメントを満たした。
手順の第一段階において、37℃で30分間、100μLの反応液中、各3nM濃度で7本のトップ鎖と7本のボトム鎖オリゴとを一緒に組み合わせることによって、オリゴヌクレオチドをキナーゼ処理(New England Biolabs カタログ番号201S)した。次に、キナーゼ処理したオリゴをフェノール/クロロホルム抽出し、沈殿させ、NEBリガーゼ緩衝液100μL中で再懸濁した。
手順の第二段階において、95℃に加熱し、次いでPCR機器の制御冷却ランプにより90分間にわたりゆっくりと20℃に冷却することによって、オリゴヌクレオチドを徐冷処理した。
手順の第三段階において、徐冷処理したオリゴを一緒に連結させてVH及びVLセグメントの鎖を形成させるために、徐冷処理されたオリゴにリガーゼ(NEBカタログ番号202S)1μLを添加した。10分間、65℃に加熱することによってリガーゼを不活性化した。
第四段階において、構築された断片の末端をKlenow酵素(NEBカタログ番号212S)で埋め、DNAをゲルで精製した後、配列番号38(「wt」コンストラクトに対して)及び配列番号39(「mut」コンストラクトに対して)に係るペプチド配列をコードする重鎖定常領域配列又は、それぞれ、配列番号40又は配列番号41に係るペプチド配列をコードする軽鎖定常領域配列を既に含有するヒト重及び軽鎖カセットベクター中にクローニングした。
作製された抗体の性質決定
競合ELISA
競合ELISAアッセイを行うために、次のプロトコールを使用した。
最初に、リン酸緩衝食塩水(PBS)中の5μg/mLの濃度のAβ抗原(1−42)でプレート(1実験あたり1プレート)を一晩被覆した。翌日、上清を捨て、Super Block緩衝液(Pierce、Rockford、IL)340mLで45分間、プレートをブロッキング処理した。次に、プレートを空にして、ビオチン化7C6又は5F7マウス抗体を1μg/mL(体積=100μL)の濃度で添加した。27μg/mLから0.11μg/mLの範囲の濃度で、その他の抗体(マウス若しくはヒト化5F7又はマウス若しくはヒト化7C6)を添加した。(体積=50μL)。次に、プレートを2時間温置し、リン酸緩衝食塩水(PBS)で5回洗浄した。2次試薬としてニュートラアビジンHRPを添加した(希釈1:20,000;体積=100μL)。次に、プレートを30分間温置し、5回洗浄した。次に、TMB基質(Invitrogen、Carlsbad、CA)を添加した(体積=100μL)。続いて、プレートを4分間温置した。次に、2N硫酸(体積=100μL)で反応を停止させた。分光光度法で450nmの波長でプレートの読み取りを行った。結果を図3及び4で示す。
特に、図3は、ビオチン化マウス抗体とのヒト化抗体5F7の競合能(及びビオチン化マウス抗体の結合シグナルの阻害能)に関して、ヒト化抗体5F7がマウス親抗体と同等であることを示す。従って、ヒト化抗体は、その結合能を保持していた。
図4は、ビオチン化マウス抗体とのヒト化抗体7C6の競合能(及びビオチン化マウス抗体の結合シグナルの阻害能)に関して、ヒト化抗体7C6がマウス親抗体と同等であることを示す。この場合にも、ヒト化抗体は、その結合能を保持していた。
抗体のAβ(20−42)球状凝集体選択性
実施例4.1:Aβ(1−42)原繊維に対するAβ(20−42)球状凝集体選択的抗体の識別のSDS−PAGEによって可視化された半定量的分析
A)Aβ(1−42)原繊維調製物:
Aβ(1−42)(Bachem、カタログ番号H−1368)1mgをHO中の0.1%NHOH500μL中に溶解し、大気温で1分間撹拌した。試料を10000gで5分間遠心分離した。上清を回収した。上清中のAβ(1−42)濃度を、Bradford法(BIO−RAD)に従って決定した。
0.1%NHOH中のAβ(1−42)100μLを20mMNaHPO、140mMNaCl、pH7.4の300μLと混合し、2%HClでpH7.4に調整した。次に、試料を37℃で20時間温置した。その後、試料を10000gで10分間遠心分離した。上清を廃棄し、残渣を20mMNaHPO、140mMNaCl、pH7.4の400μLと混合し、1分間激しく撹拌する(「渦巻き撹拌する」)ことによって再懸濁し、10000gで10分間遠心分離した。上清を廃棄し、残渣を20mMNaHPO、140mMNaCl、pH7.4の400μLと混合し、1分間激しく撹拌する(「渦巻き撹拌する」)ことによって再懸濁し、10000gで10分間さらにもう1回遠心分離した。上清を廃棄した。残渣を20mMNaHPO、140mMNaCl、pH7.4の380μL中で再懸濁し、激しい撹拌(「渦巻き撹拌」)によって促進した。
B)Aβ(1−42)原繊維への抗Aβ抗体の結合:
Aβ(1−42)原繊維調製物80μLを20mMNaHPO、140mMNaCl、0.05%トゥイーン20、pH7.4の320μLで希釈し、周囲温度で5分撹拌した後、音波処理(20秒)し、次いで、試料を10000gで10分間遠心分離した。上清を廃棄し、残渣を20mMNaHPO、140mMNaCl、0.05%トゥイーン20、pH7.4の190μL中に再懸濁した。再懸濁は、激しい撹拌(「渦巻き撹拌」)によって促進された。
原繊維調製物10μLの一定分量を
a)10μLの20mMNaHPO、140mMNaCl、pH7.4
b)20mMNaHPO、140mMNaCl、pH7.4中の5F7hum8の0.5μg/μLの10μL
c)20mMNaHPO、140mMNaCl、pH7.4中の7C6hum7mutの0.5μg/μLの10μL
d)20mMNaHPO、140mMNaCl、pH7.4中の7C6hum7wtの0.5μg/μLの10μL
e)20mMNaHPO、140mMNaCl、pH7.4中の6E10(Signet番号:9320)の0.5μg/μLの10μL
f)20mMNaHPO、140mMNaCl、pH7.4中のIgG2a(すなわち、抗原としてのKLH(キーホール・リンペット・ヘモシアニン)に対して作製された抗体イソタイプ対照)の0.5μg/μLの10μL
と各々混合した。
試料を37℃で20時間温置した後、10000gで10分間遠心分離した。上清を回収し、SDS−PAGE試料緩衝液20μLと混合した。残渣を20mMNaHPO、140mMNaCl、0.025%トゥイーン20、pH7.4の50μLと混合し、「渦巻き撹拌」によって再懸濁した後、試料を10000gで10分間遠心分離した。上清を廃棄し、残渣を20mMNaHPO、140mMNaCl、0.025%トゥイーン20、pH7.4の20μLと混合した後、SDS−PAGE試料緩衝液20μLと混合した。試料を98℃で5分間加熱し、電気泳動用の18%トリス/グリシンゲルへ試料を適用した。
SDS−PAGEのためのパラメータ:
SDS試料緩衝液:0.3g SDS
0.77g DTT
1Mトリス/HCl(pH6.8)4mL
グリセリン8mL
エタノール中の1%ブロモフェノールブルー1mL
Oで充填及び
18%トリス/グリシンゲル:(Invitrogenカタログ番号EC6505BOX)50mL
電気泳動緩衝液:7.5gトリス
36gグリシン
2.5g SDS
Oで2.5Lに充填
20mAの定常電流でゲルを泳動する。
ゲルの染色:クーマシーブルーR250
結果を図5(A)に示す。
C)異なる抗Aβ抗体の半定量的分析及びAβ(1−42)原繊維の識別
Aβ(1−42)原繊維及びAβ(1−42)単量体の抗体の位置をゲルの縁に標識する。それらの大きさにより、Aβ(1−42)原繊維は、SDS−PAGEゲルへ進入することが不可能であり、ゲルのスロット中に観察されることが可能である。
1.マーカー
2.Aβ(1−42)原繊維調製物;対照
3.Aβ(1−42)原繊維調製物;+mAb5F7hum8;20時間、37℃;上清
4.Aβ(1−42)原繊維調製物;+mAb5F7hum8;20時間、37℃;ペレット
5.Aβ(1−42)原繊維調製物;+mAb7C6hum7mut;20時間、37℃;上清
6.Aβ(1−42)原繊維調製物;+mAb7C6hum7mut;20時間、37℃;ペレット
7.Aβ(1−42)原繊維調製物;+mAb7C6hum7wt;20時間、37℃;上清
8.Aβ(1−42)原繊維調製物;+mAb7C6hum7wt;20時間、37℃;ペレット
9.Aβ(1−42)原繊維調製物;+mAb6E10;20時間、37℃;上清
10.Aβ(1−42)原繊維調製物;+mAb6E10;20時間、37℃;ペレット
11.Aβ(1−42)原繊維調製物;+mAbIgG2a;20時間、37℃;上清
12.Aβ(1−42)原繊維調製物;+mAbIgG2a;20時間、37℃;ペレット
遠心分離後の原繊維に結合した画分(ペレット画分)及び上清画分中の抗体の重鎖から光学密度(OD)値を測定することによって、Aβ型原繊維に対する相対的な結合をSDS−PAGE分析から評価した。Aβ原繊維へ結合した抗体は、Aβ原繊維とともにペレットになり、従って、ペレット画分中に見出されるべきであるのに対し、Aβ原繊維へ結合していない(遊離の)抗体は、上清中に見出される。Aβ原繊維へ結合した抗体の割合を次式に従って算出した。
Aβ原繊維に結合した抗体の%=OD原繊維画分×100%/(OD原繊維画分+OD上清画分
mAb6E10(Signet、カタログ番号9320)、5F7hum8、7C6hum7mut及び7C6hum7wt及びIgG2aに関して、この手法を実施した。
アルツハイマー病患者の脳において、Aβ原繊維は、Aβペプチドプール全体の主要成分である。抗Aβ抗体によってこれらの原繊維を攻撃することによって、負の副作用の危険性は、Aβの多量の遊離により上昇し、これがその後、微小出血の危険性を増大し得る。微小出血に関する危険性の増大は、Aβペプチドの繊維状凝集体による能動免疫のアプローチにおいて観察された(Bennett and Holtzman,2005,Neurology,64, 10−12;Orgogozo J,Neurology,2003, 61, 46−54;Schenk et al.,2004,Curr Opin immunol,16, 599−606)。
AA1−17間で線形Aβエピトープを認識する市販の抗体6E10(Signet 9320)とは対照的に、(他のAβ形態に比べて、Aβ(20−42)球状凝集体に対して最小限の選択性を実際に有する)Aβ(20−42)球状凝集体選択的抗体5F7hum8は、同時ペレット化実験においてAβ(1−42)原繊維に結合しない(図5(b)参照)。これは、Aβ(1−42)原繊維との温置後の5F7hum8抗体が、ペレット化工程後に上清中に残留し、Aβ(1−42)原繊維に結合しているために同時ペレット化しないという事実によって示される。同じ結果が、7C6hum7wt及び7C6hum7mutに対して見出された。非特異的結合及びこの方法の内在的バックグラウンドに対する基準として、非特異的抗体IgG2aを内部対照として使用した(IgG2aは、抗原としてのKLH(キーホール・リンペット・ヘモシアニン)に対して作製された。)。何れの形態のAβペプチドに対しても誘導されないIgG2a抗体は、Aβ原繊維に対するある種の非特異的結合を示す。
(実施例4−2)
抗Aβ(20−42)球状凝集体ヒト化抗体の選択性のドットブロット特性
ヒト化モノクローナル抗Aβ(20−42)球状凝集体抗体の選択性を特徴付けるために、異なるAβ形態で認識するためのプローブを前記抗体につけた。この目的のため、0.2mg/mLBSAを補充されたPBS中の100pmol/μLから0.01pmol/μLまでの範囲の個々のAβ(1−42)形態の連続希釈を作製した。各試料1μLをニトロセルロースメンブレン上へ吸収転移させた。検出のため、対応する抗体を使用した(0.2μg/mL)。ペルオキシダーゼ連結型抗マウスIgG又は抗ヒトIgG及び染色試薬BM Blue POD基質(Roche)を使用して、免疫染色を実施した。
ドットブロットのためのAβ標準物質:
1.Aβ(1−42)単量体、0.1%NHOH
1mgのAβ(1−42)(Bachem Inc.、カタログ番号H−1368)を(新鮮に調製された)HO中の0.1%NHOH(=2mg/mL)0.5mL中に溶解し、室温で即時30秒間振盪し、透明な溶液を得た。さらなる使用のため、試料を−20℃で保存した。
2.Aβ(1−40)単量体、0.1%NHOH
1mgのAβ(1−40)(Bachem Inc.、カタログ番号H−1368)を(新鮮に調製された)HO中の0.1%NHOH(=2mg/mL)0.5mL中に溶解し、室温で即時30秒間振盪し、透明な溶液を得た。さらなる使用のため、試料を−20℃で保存した。
3.Aβ(1−42)単量体、0.1%NaOH
2.5mgのAβ(1−42)(Bachem Inc.、カタログ番号H−1368)を(新鮮に調製された)HO中の0.1%NaOH(=5mg/mL)0.5mL中に溶解し、室温で30秒間直ちに振盪し、透明な溶液を得た。さらなる使用のため、試料を−20℃で保存した。
4.Aβ(1−40)単量体、0.1%NaOH
2.5mgのAβ(1−40)(Bachem Inc.、カタログ番号H−1368)を(新鮮に調製された)HO中の0.1%NaOH(=5mg/mL)0.5mL中に溶解し、室温で即時30秒間振盪し、透明な溶液を得た。さらなる使用のため、試料を−20℃で保存した。
5.Aβ(1−42)球状凝集体
Aβ(1−42)球状凝集体の調製を実施例1aに記載している。
6.Aβ(12−42)球状凝集体
Aβ(12−42)球状凝集体の調製を実施例1cに記載している。
7.Aβ(20−42)球状凝集体
Aβ(20−42)球状凝集体の調製を実施例1bに記載している。
8.Aβ(1−42)原繊維
1mgのAβ(1−42)(Bachem Inc.カタログ番号H−1368)を500μLの0.1%NHOH水溶液(エッペンドルフチューブ)中に溶解し、試料を室温で1分間撹拌した。この新鮮に調製されたAβ(1−42)溶液100μLを300μLの20mMNaHPO;140mMNaCl、pH7.4で中和した。pHを1%HClでpH7.4に調整した。試料を37℃で24時間温置し、(10000gで10分間)遠心分離した。上清を廃棄し、原繊維のペレットを20mMNaHPO;140mMNaCl、pH7.4の400μLで、1分間の渦巻き撹拌により再懸濁した。
9.sAPPα
Sigmaによって供給された(カタログ番号S9564;20mMNaHPO;140mMNaCl;pH7.4中の25μg)。20mMNaHPO;140mMNaCl;pH7.4、0.2mg/mL BSAでsAPPαを0.1mg/mL(=1pmol/μL)に希釈した。
ドットブロットのための材料:
Aβ標準物質:
20mMNaHPO、140mMNaCl、pH7.4+0.2mg/mL BSA中のAβ抗原の連続希釈物
1)100pmol/μL
2)10pmol/μL
3)1pmol/μL
4)0.1pmol/μL
5)0.01pmol/μL
6)0.001pmol/μL
ニトロセルロース:
Trans−Blot Transfer媒体、Pure Nitrocellulose Membrane(0.45μm);BIO−RAD
抗マウスPOD:
カタログ番号715−035−150(Jackson Immuno Research)
抗ヒトPOD:
カタログ番号109−035−003(Jackson Immuno Research)
検出試薬:
BM Blue POD基質、沈殿物(Roche)
ウシ血清アルブミン(BSA):
カタログ番号A−7888(SIGMA)
ブロッキング試薬:
TBS中の5%低脂肪乳
緩衝溶液:
TBS
25mMトリス/HCl緩衝液pH7.5
+150mMNaCl
TTBS
25mMトリス/HCl緩衝液pH7.5
+150mMNaCl
+0.05%トゥイーン20
PBS+0.2mg/mL BSA
20mMNaHPO緩衝液pH7.4
+140mMNaCl
+0.2mg/mL BSA
抗体溶液I:
TBS中の1%低脂肪乳20mL中に希釈された0.2μg/mL抗体
抗体溶液II:
1:5000希釈
マウス抗体(すなわち、6E10)については、TBS中の1%低脂肪乳中の抗マウスPOD、又はヒト化抗Aβ(20−42)球状凝集体抗体(すなわち、5F7hum8、7C6hum7wt及び7C6hum7mut)については、TBS中の1R低脂肪乳中の抗ヒトPOD
ドットブロット手法:
1)(6個の連続希釈物中の)異なるAβ標準物質各1μLを、互いに約1cmの距離で、ニトロセルロースメンブレン上へ滴下した。
2)Aβ標準物質のドットをニトロセルロースメンブレン上で、室温(RT)で少なくとも10分間空気乾燥させた(=ドットブロット)。
3)ブロッキング:
ドットブロットをTBS中の5%低脂肪乳30mLとともに、室温で1.5時間温置した。
4)洗浄:
ブロッキング溶液を廃棄し、20mLのTTBSとともにドットブロットを室温で10分間振盪しながら温置した。
5)抗体溶液I:
洗浄緩衝液を廃棄し、抗体溶液Iとともにドットブロットを室温で2時間温置した。
6)洗浄:
抗体溶液Iを廃棄し、20mLのTTBSとともにドットブロットを室温で10分間振盪しながら温置した。洗浄溶液を廃棄し、20mLのTTBSとともにドットブロットを室温で10分間振盪しながら温置した。洗浄溶液を廃棄し、20mLのTBSとともにドットブロットを室温で10分間振盪しながら温置した。
7)抗体溶液II:
洗浄緩衝液を廃棄し、ドットブロットを抗体溶液IIとともに室温で一晩温置した。
8)洗浄:
抗体溶液IIを廃棄し、20mLのTTBSとともにドットブロットを室温で10分間振盪しながら温置した。洗浄溶液を廃棄し、20mLのTTBSとともにドットブロットを室温で10分間振盪しながら温置した。洗浄溶液を廃棄し、20mLのTBSとともにドットブロットを室温で10分間振盪しながら温置した。
9)発色:
洗浄溶液を廃棄した。ドットプロットをBM Blue POD基質5mLで10分間発色させた。HOによるドットブロットの集中洗浄によって発色を停止させた。ドットの強度に関する濃度計分析(GS800濃度計(BioRad)及びソフトウェアパッケージであるQuantity one、第4.5.0版(BioRad))を使用して、定量的評価を実施した。Aβ(20−42)球状凝集体の最後の光学的に明確に同定されたドットの相対密度の20%を超える相対密度を有するドットのみを評価した。全てのドットブロット対してに独立して、この閾値を決定した。算出された値は、Aβ(20−42)球状凝集体の認識と付与された抗体に関する個々のAβ形態との間の関係を示す。
結果を図6(A)に示す。
Aβの異なる形態に対する異なる抗Aβ抗体(マウスモノクローナル6E10、5F7hum8、7C6hum7wt、7C6hum7mut)の特異性に関するドットブロット分析。Aβ(20−42)球状凝集体によるマウスの能動免疫後の融合されたハイブリドーマ細胞の選択、及びその後のヒト化によって、検査されたヒト化モノクローナル抗体を得た(市販のマウスモノクローナル抗体6E10を除く。)。個々のAβ形態を連続希釈物中に適用し、免疫反応のため、個々の抗体とともに温置した。
1.Aβ(1−42)単量体、0.1%NHOH
2.Aβ(1−40)単量体、0.1%NHOH
3.Aβ(1−42)単量体、0.1%NaOH
4.Aβ(1−40)単量体、0.1%NaOH
5.Aβ(1−42)球状凝集体
6.Aβ(12−42)球状凝集体
7.Aβ(20−42)球状凝集体
8.Aβ(1−42)原繊維調製物
9.sAPPα(Sigma);(第一ドット:1pmol)
Aβ(1−42)球状凝集体及びAβ(12−42)球状凝集体の識別に関して、抗Aβ(20−42)球状凝集体選択的抗体を、3つのクラスに分割することが可能である。抗体及びそのヒト化された代表である5F7hum8を含む第一のクラスは、Aβ(20−42)球状凝集体を優先的に認識し、ある程度Aβ(1−42)球状凝集体を(及びAβ(12−42)球状凝集体も)認識する。第二のクラス(現在のところ、ヒト化抗体は存在せず、マウスモノクローナル抗体のみが入手可能)は、Aβ(20−42)球状凝集体を優先的に認識し、Aβ(12−42)球状凝集体も認識するが、その程度はより低く、Aβ(1−42)球状凝集体を有意には認識しない抗体を含む。抗体及びそのヒト化された代表である7C6hum7wt及び7C6hum7mutを含むを含む第三のクラスは、Aβ(20−42)球状凝集体を認識するが、その他の有意な認識を示さない。3つのクラスは全て、単量体Aβ(1−42)、単量体Aβ(1−40)、Aβ(1−42)原繊維又はsAPPαを有意には認識しない。
老齢TG2576マウスにおけるAβプラークの形態の繊維状Aβペプチド及び髄膜血管中のAβアミロイドに対する抗体H7C6WT及びH7C6MUTの特異的反応に関する生体内原位置での分析
これらの実験のために、19ヶ月齢のTg2576マウス(Hsiao et al.,1996,Science;274(5284),99−102)若しくは17ヶ月齢のAPP/Lo1マウス(Moechars)の脳材料又は2名のアルツハイマー病患者の剖検材料(RZ16及びRZ55;BrainNet,Munichから入手)を使用した。マウスは、Tg2576の場合には、いわゆるスウェーデン変異(K670N/M671L)を有するヒトAPPを、又はAPP/Loの場合には、いわゆるロンドン変異(V717I)を有するヒトAPPを過剰発現し、形成されるβアミロイドは、約11ヶ月齢で脳実質中に沈着し、βアミロイドは、約15から18ヶ月齢でより大きな脳血管中に沈着する(Tg2576)。動物を深麻酔し、0.1Mリン酸緩衝塩類溶液(PBS)で経心的に灌流して血液を流した。次に、脳を頭蓋から摘出し、長軸方向に分割した。脳の一半球をショック凍結させ、もう半分を4%パラホルムアルデヒド中への浸漬により固定した。浸漬により固定された半球を、PBS中の30%ショ糖中に浸漬することによって凍結保護し、凍結しているミクロトーム上に載せた。前脳全体を40μm切片に切り、PBS中に回収して、その後の染色手法のために使用した。ヒト脳材料は、新皮質の深さ約1cmの凍結ブロックであった。ブロックのわずかな部分を4%パラホルムアルデヒド中に浸漬固定し、マウス脳材料と同様さらに処理した。
次のプロトコールに従って、各抗体の0.07から7.0μg/mLを含有する溶液とともに切片を温置することによって、染色を行った。
材料:
−TBST洗浄溶液(トゥイーン20含有トリス緩衝塩類溶液;10倍濃縮物;DakoCytomation;S3306 Aqua bidest中の1:10)
−メタノール中の0.3%H
−ロバ血清(6E10、4G8の場合)又はヤギ血清(h7C6の場合;Serotec)
−TBST中に希釈されたモノクローナルヒト7C6wt及びmut抗体/1%ヤギ血清
−モノクローナルマウス抗体6E10(Signet Covance;SIG−39300)及び4G8(Abcam;Ab1910)
−二次抗体:
−6E10及び4G8に関して、ビオチン化ロバ抗マウス抗体(Jackson Immuno;715−065−150;TBST/1%ロバ血清中に1:500で希釈)
−h7C6に関して、ビオチン化ヤギ抗ヒト抗体(Abcam;Ab7152、TBST/1%ヤギ血清中に1:8000で希釈)
−StreptABComplex(DakoCytomation;K0377)
−ペルオキシダーゼ基質キットジアミノベンジジン(=DAB;Vector Laboratories;SK−4100)
−SuperFrost Plus顕微鏡スライド及びカバーガラス
−キシロール非含有包埋媒体(Medite;X−tra Kitt)
手法:
−氷冷0.3%H中へ浮遊切片を転移させ、30分間温置した。
−次いで、TBST緩衝液中で5分間洗浄した。
−続いて、ロバ血清/TBSTとともに20分間温置した。
−次いで、一次抗体とともに室温で24時間温置した。
−続いて、TBST緩衝液中で5分間洗浄した。
−Vectastain Elite ABCペルオキシダーゼキットからのブロッキング血清とともに20分間温置した。
−続いて、TBST緩衝液中で5分間洗浄した。
−次いで、二次抗体とともに大気温で60分間温置した。
−上記工程後、TBST緩衝液中で切片を5分間洗浄した。
−次いで、StreptABComplexとともに大気温で60分間温置した。
−続いて、TBST緩衝液中で5分間洗浄した。
−次いで、Vectastain Elite ABCペルオキシダーゼキットからのDABとともに、試料を10分間温置した。
−次いで、スライド上に切片を載せ、空気乾燥させ、アルコールで脱水し、包埋した。
脳実質及び血管中のアミロイド沈着染色を写真撮影した。次いで、ImagePro5.0画像分析システムを使用して組織学的画像から約10個の無作為に選択されたプラークを切り取り、それらの平均グレースケール値を測定することによって、アミロイドプラーク染色をさらに定量化した。周囲のバックグランドから光学密度値を差し引くことによって、グレースケール値から光学密度値を算出し(0%−材料なし、対照=染色されていない切片)を計算し、アミロイド沈着の特異的染色を得た。ANOVA後の後知恵Bonferroniのt検定を用いて、統計的な有意差に関して抗体間の差異を検査した。
染色の結果を図9に示す。特に、パネルa)は、AD患者又は19月齢のトランスジェニックマウスの新皮質の横断切片中における、0.7μg/mLの濃度の異なる抗体の結合を示している。実質Aβ沈着(黒い矢印)は、6E10及び4G8のみで染色され、h7C6抗体では染色されなかった。血管のAβ沈着(白い矢印)は、6E10及び4G8のみで染色され、h7C6抗体では染色されなかった。パネルb)−e)は、AD患者又は老齢のトランスジェニックマウスの新皮質の横断切片中における、0.07から7.0μg/mLの濃度の異なる抗体の結合を示している。特に、結合は、6E10及び4G8の漸増濃度を用いた場合にのみ見出され、h7C6抗体では見いだされなかった。
茶色のDAB沈着の評価は、Aβ−非選択的抗体6E10及び4G8はプラーク及び髄膜血管を染色したのに対して、球状凝集体選択的抗体h7C6wt及びh7C6mutは染色しなかったことを示した。この知見は、Aβ原繊維又はアミロイド構造中に存在する他のAβ種へのこれらの抗体がインビボで存在せず、又は著しく低下した結合が存在することを示している。この低下した結合は、プラークの迅速すぎる溶解及びその後の可溶性Aβの増加又はプラークに結合した抗体の小神経膠細胞との相互作用に起因する神経炎症によって誘発される副作用の危険を低減させるはずである。
参考文献:
Dieder Moechars, Ilse Dewachter, Kristin Lorent, Delphine Reverse, Veerle Baekelandt, Asha Naidu, Ina Tesseur, Kurt Spittaels, Chris Van Den Haute, Frederic Checler, Emile Godaux, Barbara Cordel, and Fred Van Leuven (1999), “Early phenotypic changes in transgenic mice that overexpress different mutants of amyloid precursor protein in brain”, J Biol Chem 274:6483−6492。

Claims (98)

  1. アミロイド−β(20−42)球状凝集体に結合する抗原結合ドメインを含む結合タンパク質(該抗原結合ドメインは、次のものからなる群から選択されるアミノ酸配列を含む少なくとも1つのCDRを含み、
    CDR−VH1。X−X−X−X−X−X−X(配列番号5)(式中、
    は、T又はSであり;
    は、F又はYであり;
    は、Y又はAであり;
    は、I又はMであり;及び
    は、H又はSである。)
    CDR−VH2。X−X−X−X−X−X−X−X−X−X10−X11−X12−X13−X14−X15−X16−X17(配列番号6)(式中、
    は、M又はSであり;
    は、Iであり;
    は、G又はHであり;
    は、P又はNであり;
    は、G又はRであり;
    は、S又はGであり;
    は、G又はTであり;
    は、N又はIであり;
    は、T又はFであり;
    10は、Yであり;
    11は、Y又はLであり;
    12は、N又はDであり;
    13は、E又はSであり;
    14は、M又はVであり;
    15は、F又はKであり;
    16は、K又はGであり;及び
    17はDであり、又は存在しない)。
    CDR−VH3。X−X−X−X−X−X−X−X−X−X10−X11−X12−X13(配列番号7)(式中、
    は、A又はGであり;
    は、K又はRであり;
    は、Sであり;
    は、A又はNであり;
    は、R又はSであり;
    は、A又はYであり;
    は、Aであり;
    は、W又はMであり;
    は、F又はDであり;
    10は、A又はYであり;及び
    11はYであり、又は存在しない)。
    CDR−VL1。X−X−X−X−X−X−X−X−X−X10−X11−X12−X13−X14−X15−X16(配列番号8)(式中、
    は、Rであり;
    は、Sであり;
    は、S又はTであり;
    は、Qであり;
    は、S又はTであり;
    は、V又はLであり;
    は、Vであり;
    は、Q又はHであり;
    は、S又はRであり;
    10は、Nであり;
    11は、Gであり;
    12は、N又はDであり;
    13は、Tであり;
    14は、Yであり;
    15は、N又はLであり、及び
    16は、Eである。)
    CDR−VL2。X−X−X−X−X−X−X−X(配列番号9)(式中、
    は、Kであり;
    は、Vであり;
    は、Sであり;
    は、Nであり;
    は、Rであり;
    は、Fであり;及び
    は、Sである。)
    及び
    CDR−VL3。X−X−X−X−X−X−X−X−X(配列番号10)(式中、
    は、Fであり;
    は、Qであり;
    は、Gであり;
    は、Sであり;
    は、Hであり;
    は、Vであり;
    は、Pであり;
    は、P又はYであり;及び
    は、Tである。)
    前記結合タンパク質は、アミロイドβ(1−42)球状凝集体、アミロイドβ(12−42)球状凝集体、s−アミロイド前駆体タンパク質、アミロイドβ(1−40)単量体、アミロイドβ(1−42)単量体及びアミロイドβ(1−42)原繊維からなる群から選択される少なくとも1つのアミロイドβペプチド又はタンパク質より、アミロイドβ(20−42)球状凝集体に対して、より大きな結合親和性を有する。)
  2. 前記少なくとも1つのCDRが、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号65、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20及び配列番号21からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の結合タンパク質。
  3. 少なくとも3つのCDRを含む、請求項1に記載の結合タンパク質。
  4. 少なくとも3つのCDRが、次のものからなる可変ドメインCDRセットから選択される、請求項3に記載の結合タンパク質。
    Figure 2010530740
  5. 少なくとも2つの可変ドメインCDRセットを含む、請求項4に記載の結合タンパク質。
  6. 前記少なくとも2つの可変ドメインCDRセットが
    VH 7C6 CDRセットとVL 7C6 CDRセット及び
    VH 5F7 CDRセット及びVL 5F7 CDRセット
    からなる群から選択される、請求項5に記載の結合タンパク質。
  7. ヒトアクセプターフレームワークをさらに含む、請求項3に記載の結合タンパク質。
  8. ヒトアクセプターフレームワークをさらに含む、請求項4に記載の結合タンパク質。
  9. ヒトアクセプターフレームワークをさらに含む、請求項5に記載の結合タンパク質。
  10. ヒトアクセプターフレームワークをさらに含む、請求項6に記載の結合タンパク質。
  11. 前記ヒトアクセプターフレームワークが、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62及び配列番号63からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項7に記載の結合タンパク質。
  12. 前記ヒトアクセプターフレームワークが、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62及び配列番号63からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項8に記載の結合タンパク質。
  13. 前記ヒトアクセプターフレームワークが、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62及び配列番号63からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項9に記載の結合タンパク質。
  14. 前記ヒトアクセプターフレームワークが、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62及び配列番号63からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項10に記載の結合タンパク質。
  15. 前記結合タンパク質が、配列番号1、配列番号2、配列番号3及び配列番号4からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する少なくとも1つの可変ドメインを含む、請求項1に記載の結合タンパク質。
  16. 前記結合タンパク質が、2つの可変ドメインを含み、該2つの可変ドメインが、
    配列番号1及び配列番号2並びに
    配列番号3及び配列番号4
    からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する、請求項15に記載の結合タンパク質。
  17. 前記ヒトアクセプターフレームワークが、キーとなる残基において少なくとも1つのフレームワーク領域アミノ酸置換を含み、該キーとなる残基が、
    CDRに隣接する残基;
    グリコシル化部位残基;
    希少残基;
    Aβ(20−42)球状凝集体と相互作用することができる残基;
    CDRと相互作用することができる残基;
    カノニカル(Canonical)残基;
    重鎖可変領域及と軽鎖可変領域との間の接触残基;
    バーニアゾーン内の残基;及び
    コチア定義の可変重鎖CDR1とKabat定義の第一の重鎖フレームワークとの間で重複する領域における残基
    からなる群から選択される、請求項に7記載の結合タンパク質。
  18. 前記ヒトアクセプターフレームワークが、キーとなる残基において少なくとも1つのフレームワーク領域アミノ酸置換を含み、該キーとなる残基が、
    CDRに隣接する残基;
    グリコシル化部位残基;
    希少残基;
    Aβ(20−42)球状凝集体と相互作用することができる残基;
    CDRと相互作用することができる残基;
    カノニカル(Canonical)残基;
    重鎖可変領域及と軽鎖可変領域との間の接触残基;
    バーニアゾーン内の残基;及び
    コチア定義の可変重鎖CDR1とKabat定義の第一の重鎖フレームワークとの間で重複する領域における残基
    からなる群から選択される、請求項10に記載の結合タンパク質。
  19. 前記ヒトアクセプターフレームワークが、キーとなる残基において少なくとも1つのフレームワーク領域アミノ酸置換を含み、該キーとなる残基が、
    CDRに隣接する残基;
    グリコシル化部位残基;
    希少残基;
    Aβ(20−42)球状凝集体と相互作用することができる残基;
    CDRと相互作用することができる残基;
    カノニカル(Canonical)残基;
    重鎖可変領域及と軽鎖可変領域との間の接触残基;
    バーニアゾーン内の残基;及び
    コチア定義の可変重鎖CDR1とKabat定義の第一の重鎖フレームワークとの間で重複する領域における残基
    からなる群から選択される、請求項16に記載の結合タンパク質。
  20. 結合タンパク質がコンセンサスヒト可変ドメインである、請求項17に記載の結合タンパク質。
  21. 結合タンパク質がコンセンサスヒト可変ドメインである、請求項18に記載の結合タンパク質。
  22. 結合タンパク質がコンセンサスヒト可変ドメインである、請求項19に記載の結合タンパク質。
  23. 前記ヒトアクセプターフレームワークが、少なくとも1つのフレームワーク領域アミノ酸置換を含み、フレームワークのアミノ酸配列が、該ヒトアクセプターフレームワークの配列と少なくとも65%同一であり、及び該ヒトアクセプターフレームワークと同一の少なくとも70個のアミノ酸残基を含む、請求項7に記載の結合タンパク質。
  24. 前記ヒトアクセプターフレームワークが、少なくとも1つのフレームワーク領域アミノ酸置換を含み、フレームワークのアミノ酸配列が、該ヒトアクセプターフレームワークの配列と少なくとも65%同一であり、及び該ヒトアクセプターフレームワークと同一の少なくとも70個のアミノ酸残基を含む、請求項10に記載の結合タンパク質。
  25. 前記ヒトアクセプターフレームワークが、少なくとも1つのフレームワーク領域アミノ酸置換を含み、フレームワークのアミノ酸配列が該ヒトアクセプターフレームワークの配列と少なくとも65%同一であり、及び該ヒトアクセプターフレームワークと同一の少なくとも70個のアミノ酸残基を含む、請求項16に記載の結合タンパク質。
  26. 前記結合タンパク質が、配列番号1、配列番号2、配列番号3及び配列番号4からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する少なくとも1つの可変ドメインを含む、請求項1に記載の結合タンパク質。
  27. 2つの可変ドメイン(該2つの可変ドメインは、(配列番号1及び配列番号2)及び(配列番号3及び配列番号4)からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する。)を含む、請求項26に記載の結合タンパク質。
  28. 結合タンパク質がAβ(20−42)球状凝集体を結合する、請求項1に記載の結合タンパク質。
  29. 結合タンパク質がAβ(20−42)球状凝集体を結合する、請求項4に記載の結合タンパク質。
  30. 結合タンパク質がAβ(20−42)球状凝集体を結合する、請求項6に記載の結合タンパク質。
  31. 結合タンパク質がAβ(20−42)球状凝集体を結合する、請求項7に記載の結合タンパク質。
  32. 結合タンパク質がAβ(20−42)球状凝集体を結合する、請求項11に記載の結合タンパク質。
  33. 結合タンパク質がAβ(20−42)球状凝集体を結合する、請求項15に記載の結合タンパク質。
  34. 結合タンパク質がAβ(20−42)球状凝集体を結合する、請求項17に記載の結合タンパク質。
  35. 結合タンパク質がAβ(20−42)球状凝集体を結合する、請求項23に記載の結合タンパク質。
  36. 結合タンパク質がAβ(20−42)球状凝集体を結合する、請求項26に記載の結合タンパク質。
  37. Aβ(20−42)球状凝集体の生物学的機能を調節する、請求項28に記載の結合タンパク質。
  38. Aβ(20−42)球状凝集体の生物学的機能を調節する、請求項33に記載の結合タンパク質。
  39. Aβ(20−42)球状凝集体の生物学的機能を調節する、請求項36に記載の結合タンパク質。
  40. Aβ(20−42)球状凝集体を中和する、請求項28に記載の結合タンパク質。
  41. Aβ(20−42)球状凝集体を中和する、請求項33に記載の結合タンパク質。
  42. Aβ(20−42)球状凝集体を中和する、請求項36に記載の結合タンパク質。
  43. 最大で約10−6M、最大で約10−7M、最大で約10−8M、最大で約10−9M、最大で約10−10M、最大で約10−11M及び最大で約10−12Mからなる群から選択される前記標的への解離定数(K)を有する、請求項28に記載の結合タンパク質。
  44. 最大で約10−6M、最大で約10−7M、最大で約10−8M、最大で約10−9M、最大で約10−10M、最大で約10−11M及び最大で約10−12Mからなる群から選択される前記標的への解離定数(K)を有する、請求項33に記載の結合タンパク質。
  45. 最大で約10−6M、最大で約10−7M、最大で約10−8M、最大で約10−9M、最大で約10−10M、最大で約10−11M及び最大で約10−12Mからなる群から選択される前記標的への解離定数(K)を有する、請求項35に記載の結合タンパク質。
  46. 最大で約10−6M、最大で約10−7M、最大で約10−8M、最大で約10−9M、最大で約10−10M、最大で約10−11M及び最大で約10−12Mからなる群から選択される前記標的への解離定数(K)を有する、請求項36に記載の結合タンパク質。
  47. 請求項1に記載の1つの前記結合タンパク質を含む、抗体コンストラクト(該抗体コンストラクトは、リンカーポリペプチド又は免疫グロブリン定常ドメインをさらに含む。)。
  48. 前記結合タンパク質が、
    免疫グロブリン分子、
    モノクローナル抗体、
    キメラ抗体、
    CDRグラフト抗体、
    ヒト化抗体、
    Fab、
    Fab’、
    F(ab’)2、
    Fv、
    ジスルフィド結合Fv、
    scFv、
    単一ドメイン抗体、
    ダイアボディ、
    多特異性抗体、
    二重特異性抗体、及び
    二特異的抗体
    からなる群から選択される、請求項47に記載の抗体コンストラクト。
  49. 前記結合タンパク質が、
    ヒトIgM定常ドメイン、
    ヒトIgG1定常ドメイン、
    ヒトIgG2定常ドメイン、
    ヒトIgG3定常ドメイン、
    ヒトIgG4定常ドメイン、
    ヒトIgE定常ドメイン及び
    ヒトIgA定常ドメイン
    からなる群から選択される重鎖免疫グロブリン定常ドメインを含む、請求項47に記載の抗体コンストラクト。
  50. 配列番号38、配列番号39、配列番号40及び配列番号41からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する免疫グロブリン定常ドメインを含む、請求項47に記載の抗体コンストラクト。
  51. 免疫接着分子、造影剤、治療薬及び細胞毒性薬からなる群から選択される物質をさらに含む、請求項47から請求項50の何れか1項に記載の抗体コンストラクトを含む抗体連結体。
  52. 前記物質が、放射性標識、酵素、蛍光標識、発光標識、生物発光標識、磁性標識及びビオチンからなる群から選択される造影剤である、請求項51に記載の抗体連結体。
  53. 前記放射性標識が、H、14C、35S、90Y、99Tc、111In、125I、131I、177Lu、166Ho及び153Smからなる群から選択される、請求項52に記載の抗体連結体。
  54. 前記物質が、代謝拮抗薬、アルキル化剤、抗生物質、成長因子、サイトカイン、血管新生阻害剤、抗有糸分裂剤、アントラサイクリン、毒素及びアポトーシス剤からなる群から選択される治療薬又は細胞毒性薬である、請求項51に記載の抗体連結体。
  55. 前記結合タンパク質がヒトグリコシル化パターンを有する、請求項49に記載の抗体コンストラクト。
  56. 前記結合タンパク質がヒトグリコシル化パターンを有する、請求項51に記載の抗体連結体。
  57. 結晶として存在する、請求項3に記載の結合タンパク質。
  58. 結晶として存在する、請求項47に記載の抗体コンストラクト。
  59. 前記抗体コンストラクトが結晶として存在する、請求項51に記載の抗体連結体。
  60. 前記結晶が担体不含医薬制御放出結晶である、請求項57に記載の結合タンパク質。
  61. 前記結晶が担体不含医薬制御放出結晶である、請求項58に記載の抗体コンストラクト。
  62. 前記結晶が担体不含医薬制御放出結晶である、請求項59に記載の抗体連結体。
  63. その結合タンパク質の可溶性対応物よりもインビボで長い半減期を有する、請求項57に記載の結合タンパク質。
  64. その抗体コンストラクトの可溶性対応物よりもインビボでより長い半減期を有する、請求項58に記載の抗体コンストラクト。
  65. その抗体連結体の可溶性対応物よりもインビボでより長い半減期を有する、請求項59に記載の抗体連結体。
  66. 生物学的活性を保持する、請求項57に記載の結合タンパク質。
  67. 生物学的活性を保持する、請求項58に記載の抗体コンストラクト。
  68. 生物学的活性を保持する、請求項59に記載の抗体連結体。
  69. 結合タンパク質(該結合タンパク質の前記可変重鎖のアミノ酸配列は、配列番号1と少なくとも70%の同一性を有する。)をコードする単離核酸分子。
  70. 前記結合タンパク質の前記軽鎖のアミノ酸配列が、配列番号2と少なくとも70%の同一性を有する、請求項69に記載の単離核酸分子。
  71. 結合タンパク質(該結合タンパク質の可変重鎖のアミノ酸配列は、配列番号3と少なくとも70%の同一性を有する。)をコードする単離核酸分子。
  72. 前記結合タンパク質の軽鎖のアミノ酸配列が、配列番号4と少なくとも70%の同一性を有する、請求項71に記載の単離核酸分子。
  73. 請求項69から請求項72の何れか1項に記載の前記単離核酸分子を含むベクター。
  74. 請求項73に記載の前記ベクターを含む単離宿主細胞。
  75. Aβ(20−42)球状凝集体に結合することができる結合タンパク質を生成させるのに十分な時間及び条件下で、請求項74に記載の宿主細胞を培養することを含む、Aβ(20−42)球状凝集体に結合することができるタンパク質を生成させる方法。
  76. 請求項75に記載の方法に従い産生される単離タンパク質。
  77. (a)製剤(該製剤は、請求項57から請求項59のいずれか1項に記載の結晶及び成分を含む。)と、及び
    (b)少なくとも1つのポリマー性担体と、
    を含む、結合タンパク質の放出のための組成物。
  78. 前記ポリマー性担体が、ポリ(アクリル酸)、ポリ(シアノアクリレート)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(無水物)、ポリ(デプシペプチド)、ポリ(エステル)、ポリ(乳酸)、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)又はPLGA、ポリ(b−ヒドロキシブトリエート)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(ジオキサノン);ポリ(エチレングリコール)、ポリ((ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド、ポリ[(有機)ホスファゼン]、ポリ(オルトエステル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、無水マレイン酸−アルキルビニルエーテルコポリマー、プルロニックポリオール、アルブミン、アルギン酸塩、セルロース及びセルロース誘導体、コラーゲン、フィブリン、ゼラチン、ヒアルロン酸、オリゴ糖、グリカミノグリカン、硫酸化多糖類、これらの混合物及びコポリマーからなる群から選択される少なくとも1つのポリマーである、請求項77に記載の組成物。
  79. 前記成分が、アルブミン、スクロース、トレハロース、ラクチトール、ゼラチン、ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン、メトキシポリエチレングリコール及びポリエチレングリコールからなる群から選択される、請求項77に記載の組成物。
  80. 治療を実施するために十分な量で請求項77に記載の前記組成物を哺乳動物に投与することを含む、アミロイドーシスを有する疑いのある哺乳動物を治療するための方法。
  81. 請求項1に記載の結合タンパク質と及び医薬的に許容可能な担体と、を含む、医薬組成物。
  82. 前記医薬的に許容可能な担体が、前記結合タンパク質の吸収又は分散を向上させるのに有用なアジュバントとして機能する、請求項81に記載の医薬組成物。
  83. 前記アジュバントがヒアルロニダーゼである、請求項82に記載の医薬組成物。
  84. Aβ(20−42)球状凝集体の存在が有害である疾患を治療するための少なくとも1つのさらなる治療薬をさらに含む、請求項81に記載の医薬組成物。
  85. 前記治療薬が、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体の断片、コレステリナーゼ阻害剤、部分的NMDA受容体ブロッカー、グリコサミノグリカン模倣物、γセクレターゼの阻害剤又はアロステリック調節物質、黄体形成ホルモン遮断ゴナドトロピン放出ホルモンアゴニスト、セロトニン5−HT1A受容体アンタゴニスト、キレート剤、神経選択的L型カルシウムチャネルブロッカー、免疫調節物質、アミロイド原線維形成阻害剤又はアミロイドタンパク質沈着阻害剤、5−HT1a受容体アンタゴニスト、PDE4阻害剤、ヒスタミンアゴニスト、糖化最終産物に対する受容体タンパク質、PARP刺激物質、セロトニン6−受容体アンタゴニスト、5−HT4受容体アゴニスト、ヒトステロイド、神経代謝を促進するグルコース取り込み刺激剤、選択的CB1アンタゴニスト、ベンゾジアゼピン受容体における部分的アゴニスト、アミロイドβ産生アンタゴニスト又は阻害剤、アミロイドβ沈着阻害剤、NNRα−7部分アンタゴニスト、治療標的PDE4、RNA翻訳阻害剤、ムスカリン性アゴニスト、神経成長因子受容体アゴニスト、NGF受容体アゴニスト及び遺伝子治療調節物質からなる群から選択される、請求項84に記載の方法。
  86. Aβ(20−42)球状凝集体活性が低下するように請求項1に記載の結合タンパク質とAβ(20−42)球状凝集体を接触させることを含む、Aβ(20−42)球状凝集体活性を低下させるための方法。
  87. ヒト対象におけるヒトAβ(20−42)球状凝集体活性が低下するように請求項1に記載の結合タンパク質をヒト対象に投与することを含む、Aβ(20−42)球状凝集体が有害である疾患に罹患しているヒト対象においてヒトAβ(20−42)球状凝集体活性を低下させるための方法。
  88. 治療を実施するのに十分な量で請求項1に記載の結合タンパク質を対象に投与することによって、Aβ(20−42)球状凝集体活性が有害である疾病又は疾患に対して対象を治療するための方法。
  89. 前記疾患が、α1−アンチトリプシン欠損症、C1−阻害剤欠損血管性浮腫、アンチトロンビン欠乏血栓塞栓症、クールー、クロイツフェルトヤコブ病/スクレイピー、牛海綿状脳症、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー症候群、致死性家族性不眠症、ハンチントン病、脊髄小脳失調、マカド−ジョセフ変性症、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症、前頭側頭型痴呆、鎌型血球病、不安定ヘモグロビン封入体溶血、薬物誘発性封入体溶血、パーキンソン病、全身性ALアミロイドーシス、結節性ALアミロイドーシス、全身性AAアミロイドーシス、前立腺アミロイド、血液透析アミロイドーシス、遺伝性(アイスランド型)脳血管症、ハンチントン病、家族性臓器アミロイド、家族性臓器多発性神経炎、家族性臓器アミロイドーシス、老人性全身性アミロイドーシス、家族性アミロイドニューロパシー、家族性心臓アミロイド、アルツハイマー病、ダウン症、甲状腺髄様癌及び2型糖尿病(T2DM)からなる群から選択される、請求項88に記載の方法。
  90. 少なくとも1つの第二の物質の投与の前に、それと同時に、又はその後に請求項1に記載の結合タンパク質を投与する段階を含む、Aβ(20−42)球状凝集体が有害である疾患に罹患している患者を治療する方法(該少なくとも1つの第二の物質は、モノクローナル抗体、モノクローナル抗体の断片、ポリクローナル抗体、コレステリナーゼ阻害剤及び部分的NMDA受容体ブロッカーからなる群から選択される。)。
  91. 前記コレステリナーゼ阻害剤が、タクリン、ドネペジル、リバスチグミン及びガランタミンからなる群から選択される、請求項90に記載の方法。
  92. 前記部分NMDA受容体ブロッカーがメマンチンである、請求項90に記載の方法。
  93. 対象への前記投与が、非経口、皮下、筋肉内、静脈内、関節内、気管支内、腹腔内(intraabdominal)、嚢内、軟骨内、腔内(intracavitary)、腔内(intracelial)、小脳内、脳室内、結腸内、頸管内、胃内、肝臓内、心筋内、骨内、骨盤内、心臓周囲内、腹腔内、胸膜内、前立腺内、肺内、直腸内、腎臓内、網膜内、脊髄内、滑膜内、胸腔内、子宮内、膀胱内、ボーラス、膣、直腸、口内、舌下、鼻内及び経皮からなる群選択される少なくとも1つの様式による、請求項90に記載の方法。
  94. a)患者から生体試料を単離する工程;
    b)球状凝集体/結合タンパク質複合体の形成に十分な時間及び条件下で請求項1に記載の前記結合タンパク質と該生体試料を接触させる工程;及び
    該試料中の該球状凝集体/結合タンパク質複合体の存在を検出する工程(該複合体の存在は、該患者におけるアルツハイマー病の診断を示す。)、
    を含む、アルツハイマー病を有する疑いがある患者においてアルツハイマー病を診断する方法。
  95. a)患者から生体試料を単離する工程;
    b)球状凝集体/結合タンパク質複合体の形成に十分な時間及び条件下で請求項1に記載の前記結合タンパク質と該生体試料を接触させる工程;
    c)結合した結合タンパク質に連結体が結合するのを可能にするために十分な時間及び条件下で、得られた球状凝集体/結合タンパク質複合体に連結体を添加する工程(該連結体は、検出可能なシグナルを生成させることができるシグナル生成化合物に連結される抗体を含む。)、並びに
    d)該シグナル生成化合物により生成されるシグナルを検出することにより該生体試料において存在し得る該結合タンパク質の存在を検出する工程(該シグナルは、該患者におけるアルツハイマー病の診断を示す。)、
    段階を含む、アルツハイマー病を有する疑いがある患者においてアルツハイマー病を診断する方法。
  96. a)患者から生体試料を単離する工程;
    b)抗結合タンパク質/結合タンパク質複合体の形成を可能とするのに十分な時間及び条件下で前記試料中の結合タンパク質に対して特異的な抗結合タンパク質と前記生体試料を接触させる工程;
    c)結合した結合タンパク質に連結体が結合するのを可能にするのに十分な時間及び条件下で、得られた抗結合タンパク質/結合タンパク質複合体に連結体を添加する工程(該連結体は、検出可能なシグナルを生成させることができるシグナル生成化合物に連結された球状凝集体を含む。)、並びに
    d)該シグナル生成化合物により生成されるシグナルを検出する工程(該シグナルは、前記患者におけるアルツハイマー病の診断を示す。)、
    含む、アルツハイマー病を有する疑いがある患者においてアルツハイマー病を診断する方法。
  97. 請求項1に記載の前記結合タンパク質と及び医薬的に許容可能な佐剤とを含むワクチン。
  98. a)患者から生体試料を単離する工程;
    b)変異体抗原/結合タンパク質複合体の形成に十分な時間及び条件下で前記生体試料中を請求項1に記載の前記結合タンパク質と接触させる工程;
    c)前記変異体抗原/結合タンパク質複合体の存在を検出する工程(前記複合体は、前記患者が変異体アミロイドβペプチド配列を有し、従って、アルツハイマー病を有することを示す。)
    を含む、アルツハイマー病を有する疑いがある患者において、変異体アミロイドβペプチド配列を検出する方法。
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