JP2010529000A - ボツリヌス毒素の神経毒成分をベースにした温度に安定な筋弛緩薬の提供方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、筋弛緩薬を提供するための方法を提供し、前記筋弛緩薬は、ボツリヌス毒素の神経毒成分を含有し複合体形成性タンパク質を含有しない再構成された溶液であり、次の特性:a)20℃より高い貯蔵温度で安定である、b)保存剤および/または鎮痛薬の存在下で安定である、c)「凍結および解凍」のサイクルに耐える、d)各種材料の容器中に貯蔵しても安定である、の中の少なくとも1つ、より好ましくは特性a)〜d)のすべてを示す。
Description
本発明は、筋弛緩薬を提供するための方法を提供し、前記筋弛緩薬は、ボツリヌス毒素の神経毒成分を含有し複合体形成性タンパク質を含有しない再構成された溶液であり、次の特性の少なくとも1つ、特にa)〜d)のすべての特性を示す:
a)+20℃より高い貯蔵温度で安定である
b)保存剤および/または鎮痛薬の存在下で安定である
c)「凍結および解凍」のサイクルに耐える
d)各種材料の容器中に貯蔵しても安定である。
a)+20℃より高い貯蔵温度で安定である
b)保存剤および/または鎮痛薬の存在下で安定である
c)「凍結および解凍」のサイクルに耐える
d)各種材料の容器中に貯蔵しても安定である。
ボツリヌス毒素は、クロストリジウム属(Clostridium)細菌によって産生される。抗原的に異なる7種の血清型のボツリヌス毒素、すなわちボツリヌス毒素A、B、C、D、E、FおよびGが存在する。ボツリヌス毒素は、溶解したクロストリジウム培養物から、一般には複合体の形態で放出される。すなわちボツリヌス毒素の毒性の原因であるサブユニット(いわゆる「神経毒成分」)が、他の細菌タンパク質と会合し、一緒になって毒素複合体を形成している。この複合体の分子量は、約300,000〜約900,000Daで異なっていてもよい。複合体形成性タンパク質は、例えば、各種の赤血球凝集素である。この毒素複合体のタンパク質は、それ自体毒性はないが、神経毒成分に安定性を提供すると考えられ、ボツリヌス中毒における経口毒性の原因である。その単離された純粋な形態、すなわち複合体形成性のいかなるクロストリジウムタンパク質も全く含まない神経毒成分は、毒素複合体とは異なって、酸に不安定であり、胃腸管内の攻撃的環境に耐えない。
ボツリヌス毒素複合体の神経毒成分は、初めに単鎖ポリペプチドとして形成され、血清型Aの場合、ほぼ150kDaの分子量を有する。他の血清型で、神経毒成分は、細菌供給源に応じて約145〜約170kDaの間で異なることが観察されている。血清型Aの場合、例えば、ポリペプチドのタンパク分解処理は、ジスルフィド結合によって連結された重鎖および軽鎖からなる2本鎖ポリペプチド形態の活性化ポリペプチドをもたらす。ヒトにおいて、重鎖は、毒素のシナプス前コリン作動性神経終末への結合、および細胞内への移行を仲介する。軽鎖は、毒性効果の原因であり、亜鉛-エンドペプチダーゼとして作用し、膜融合の原因である特定タンパク質(SNARE複合体)を開裂させると考えられる(例えば、Montecucco C.,Shiavo G.,Rosetto O:The mechanism of action of tetanus and Botulinum neurotoxins.Arch Toxicol.1996;18(Suppl.):342〜354参照)。
細胞内での膜融合の過程を妨害することによって、ボツリヌス毒素は、シナプス間隙へのアセチルコリンの放出を妨げる。神経筋接合部でのボツリヌス毒素の総合的効果は、神経筋伝達を遮断することであり、実際、筋肉を麻痺させる。ボツリヌス毒素は、また、他の末梢コリン作動性シナプスで活性を有し、唾液分泌および発汗の低下を引き起こす。
用語「ボツリヌス毒素」または「ボツリヌス毒素群」は、本出願中で使用する場合、他の任意のクロストリジウムタンパク質を全く含まない神経毒成分のみならず、「ボツリヌス毒素複合体」も指す。本明細書中で、用語「ボツリヌス毒素」は、本明細書中で、毒素複合体と神経毒成分との区別が必要でないか、あるいは望ましくない場合に使用される。複合体は、本発明者らが「複合体形成性タンパク質」または「細菌タンパク質」と呼ぶ、付加的ないわゆる「非毒性」タンパク質を含有するのが通常である。
その毒性効果にもかかわらず、ボツリヌス毒素複合体は、多数の疾患において治療薬として使用されている。血清型Aのボツリヌス毒素は、米国において、1989年に斜視、眼瞼痙攣、およびその他の障害の治療に関してヒトでの使用が承認された。それは、ボツリヌス毒素Aタンパク質複合体として、例えば、BOTOX(Allergan社)またはDYSPORT(Ipsen社)の商品名で市販されている。治療を適用するには、複合体を、治療すべき筋肉に直接注射する。神経毒成分は、生理学的pHで該タンパク質複合体から放出され、所望の薬理学的効果が生じる。
A型ボツリヌス毒素の神経毒成分を単離された形態で含有する医薬組成物は、ドイツでMerz Pharmaceuticals GmbH社からXeomin(登録商標)の商品名で市販されている。AおよびB型ボツリヌス毒素の神経毒成分の製造は、例えば、国際特許出願公開第00/74703号および同2006/133818号中に記載されている。
ボツリヌス毒素をベースにした薬剤の組成および投与に関して、ならびにボツリヌス毒素の神経毒成分をベースにした薬剤の組成、投与、および投与頻度に関しては、PCT/EP2007/005754が参照される。
複合体形成性タンパク質は、前述の機能に加え、さらに、ボツリヌス毒素複合体の神経毒成分を過酷な環境条件から保護すること、ならびに神経毒成分それ自体は、一般には温暖から熱帯気候または夏季の、すなわち20℃より高い温度での貯蔵または輸送、あるいはその両方などの短期温度ストレスにさらされた場合に特に、分解または不活性化、あるいはその両方に対してきわめて敏感であることが推測されている。
Montecucco C.,Shiavo G.,Rosetto O:「The mechanism of action of tetanus and Botulinum neurotoxins」Arch Toxicol.,1996;18(Suppl.):342〜354
W.R.Pearson & D.J.Lipman PNAS(1988)85:2444〜2448
Simpson LL,Ann Rev Pharmacol Toxicol.2004;44:167〜93
前記理由のため、一般に、かつては、ボツリヌス毒素をベースにした薬剤、および特にボツリヌス毒素の神経毒成分をベースにした薬剤を+4℃より高い、例えば+20℃に近い温度に達することから防ぐために、最大限の注意が払われている。ほとんどの場合、ボツリヌス毒素を含有する固形の乾燥した凍結乾燥体またはその再構成された溶液を収納したバイアル瓶は、もっぱら約-20℃で凍結して(凍結乾燥体)、氷上で、または少なくとも冷蔵庫(約+4℃)で貯蔵された。必要とされる冷却は、薬剤を提供する費用にさらなる費用をもたらす。
さらに、本発明より以前には、ボツリヌス毒素の神経毒成分を含有する再構成された溶液は、種々の貯蔵または輸送条件に関してさらにより不安定であると考えられた。さらに、再構成された溶液の凍結および解凍は、タンパク質の急速な分解および不活性化につながると考えられた。したがって、医師は、タンパク質-凍結乾燥体を薬物投与の直前のみに再構成するように、かつ/またはそれを上で略述したような低温で厳密に貯蔵するように助言された。
上記状況を考慮して、本発明者らは、ボツリヌス毒素をベースとした筋弛緩薬の、再構成された溶液の形態での、種々の環境条件下:すなわち
a)+20℃より高い温度での貯蔵
b)保存剤および/または鎮痛薬の添加
c)凍結および解凍のサイクル
d)各種材料で作製された容器中での貯蔵、における安定性に関する研究を実施した。
a)+20℃より高い温度での貯蔵
b)保存剤および/または鎮痛薬の添加
c)凍結および解凍のサイクル
d)各種材料で作製された容器中での貯蔵、における安定性に関する研究を実施した。
驚くべきことに、ボツリヌス毒素の神経毒成分を含有し複合体形成性タンパク質を含有しない、再構成された溶液は、これらの条件下で、当技術分野で予想されるよりも有意により安定であることが見出された。以下で説明する本発明は、この発見に基づく。
本発明は、筋弛緩薬を提供するための方法を提供し、前記筋弛緩薬は、ボツリヌス毒素の神経毒成分を含有し複合体形成性タンパク質を含有しない、再構成された溶液であり、次の特性の少なくとも1つ、より好ましくはa)〜d)のすべての特性を示す:
a)+20℃より高い貯蔵温度で安定である
b)保存剤および/または鎮痛薬の存在下で安定である
c)「凍結および解凍」のサイクルに耐える
d)各種材料の容器中で貯蔵しても安定である。
a)+20℃より高い貯蔵温度で安定である
b)保存剤および/または鎮痛薬の存在下で安定である
c)「凍結および解凍」のサイクルに耐える
d)各種材料の容器中で貯蔵しても安定である。
一実施形態において、本発明は、30℃より高い温度で筋弛緩薬を提供するための方法を提供し、前記筋弛緩薬は、ボツリヌス毒素の神経毒成分を含有し複合体形成性タンパク質を含有しない、再構成された溶液である。
別の実施形態において、前記提供は、貯蔵および/または輸送を包含するか、あるいは前記筋弛緩薬を調製する方法の範囲内の段階である。さらなる実施形態において、筋弛緩薬は、30℃より高く70℃までの環境温度で、いかなる冷却装置も用いないで輸送または貯蔵され、あるいはその両方がなされる。
別の実施形態において、筋弛緩薬は、「凍結および解凍」のサイクルにさらされる。さらなる実施形態において、「凍結および解凍」のサイクル数は1〜20である。
別の実施形態において、筋弛緩薬は、保存剤および/または鎮痛薬の存在下で安定である。
別の実施形態において、前記再構成された溶液は、プラスチック、ガラス、または金属、あるいはこれらの任意の組合せで作製された容器中に貯蔵される。
別の実施形態において、溶液は、蔗糖またはヒト血清アルブミン、あるいはその両方をさらに含有する。
別の実施形態において、溶液は、それぞれ蔗糖およびヒト血清アルブミンとは異なる、凍結保護剤、安定剤、pH緩衝剤、賦形剤、ならびにこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の成分をさらに含有する。さらなる実施形態において、神経毒成分は、A型ボツリヌス毒素の神経毒成分である。
本発明は、+4℃より高い、好ましくは+6℃より高い、より好ましくは+20℃より高い温度で筋弛緩薬を提供するための方法に関し、前記筋弛緩薬は、ボツリヌス毒素の神経毒成分を含有し複合体形成性薬剤を含有しない、再構成された溶液である。本発明の範囲内で、用語「提供する段階」には、本明細書中で定義される筋弛緩薬のいかなる種類の提供、特に、貯蔵、輸送、および/または前記筋弛緩薬の調製に含まれる段階が包含される。用語「提供する段階」には、また、筋弛緩薬を凍結状態(例えば、-20℃)から+4℃より高い、好ましくは+6℃より高い、より好ましくは+20℃より高い温度までの温度上昇にさらす段階が包含される。
本発明の範囲内で、ボツリヌス毒素の神経毒成分の全形態、特に、血清型A、B、C、D、E、FおよびGをはじめとする各種の血清型を使用できる。本発明の好ましい実施形態において、血清型Bのボツリヌス毒素の前記神経毒成分は、8℃より高い温度で提供される。別の実施形態において、血清型Bのボツリヌス毒素の前記神経毒成分は、30℃より高い温度で提供される。これらに加え、修飾され、かつそれぞれ変異、欠失などを含む組換えで産生されたボツリヌス毒素の神経毒成分も、本発明の範囲に包含される。適切な変異体に関しては、参照により本明細書に完全に組み込まれる国際公開第2006/027207A1号および同2006/114308A1号、ならびにEP07014785.5が参照される。さらに、本発明の範囲内で、各種血清型の混合物(神経毒成分の形態または組換え形態、あるいはそれらの両方の形態、例えば、AおよびB型ボツリヌス神経毒の混合物)を使用できる。しかし、本発明は、また、特に1つまたは複数の表面または溶媒に曝露されるアミノ酸(群)の、例えばペグ化、グリコシル化、硫酸化、リン酸化、またはその他任意の修飾によって、化学的に修飾されている神経毒に言及する。
一実施形態において、前記の化学麻痺性薬剤は、クロストリジウム神経毒である。さらなる実施形態において、このクロストリジウム神経毒は、ボツリヌス毒素である。よりさらなる実施形態において、ボツリヌス毒素は、抗原的に異なる血清型A、B、C、D、E、FまたはGのボツリヌス毒素である。血清型A、B、C、D、E、FまたはGのボツリヌス毒素について言及する場合、血清型A1、A2、A3、B1、B2、B3、C1、C2、C3、D1、D2、D3、E1、E2、E3、F1、F2、F3、またはG1、G2、G3のような血清型の周知の変異体も包含される。一実施形態において、ボツリヌス毒素は、ボツリヌス毒素Aである。
別の実施形態において、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または100%までの配列相同性を有する、ボツリヌス毒素のアイソフォーム、ホモログ、オルソログ、およびパラログも包含される。配列相同性は、信頼性のある結果を与えるのに適した任意のアルゴリズムによって、例えばFASTAアルゴリズム(W.R.Pearson & D.J.Lipman PNAS(1988)85:2444〜2248)を使用して計算できる。
ボツリヌス毒素は、溶解されたクリストリジウム培養物から放出されると、一般には、他の細菌タンパク質と会合し、一緒になって毒素複合体を形成する。さらなる実施形態において、前記ボツリヌス毒素は、いかなる複合体形成性タンパク質も含有せず、例えば、血清型Aの純粋な神経毒素である。これらに加えて、修飾され、かつそれぞれ変異、欠失などを含む組換えで産生されたボツリヌス毒素の神経毒成分も、本発明の範囲に包含される。適切な変異体に関しては、参照により本明細書に完全に組み込まれる国際公開第2006/027207A1号、同2006/114308A1号およびEP07014785.5(2007年7月27日出願のMerzによる特許出願)が参照される。さらに、本発明の範囲内で、各種血清型の混合物(神経毒成分の形態または組換え形態、あるいはその両方の形態、例えばAおよびB型ボツリヌス神経毒の混合物)を使用できる。しかし、本発明は、また、特に1つまたは複数の表面または溶媒に曝露されるアミノ酸(群)の、例えばペグ化、グリコシル化、硫酸化、リン酸化、またはその他任意の修飾によって、化学的に修飾されている神経毒に言及する。
ボツリヌス毒素複合体の神経毒サブユニットは、本明細書中で「神経毒成分」または「複合体形成性タンパク質を含有しない神経毒成分」と呼ばれる。用語「神経毒成分」には、他の血清型のボツリヌス菌(Clostridium botulinum)中に見出される機能性ホモログも包含される。本発明の一実施形態において、神経毒成分は、他のいかなるボツリヌス菌タンパク質を全く含有せず、一実施形態において、神経毒成分と潜在的に会合する可能性のあるRNAも全く含有しない。神経毒成分は、ほぼ150kDaの1本鎖前駆体タンパク質、または1つまたは複数のジスルフィド結合によって連結され得るほぼ50kDaの軽鎖(Lc)およびほぼ100kDaの重鎖(Hc)を含むタンパク分解処理を施された神経毒成分でよい(総説については、例えば、Simpson LL,Ann Rev Pharmacol Toxicol.2004;44:167〜93参照)。
本発明の範囲内で、ボツリヌス毒素のすべての形態、特に、各種血清型、ボツリヌス毒素の神経毒成分とその付随する複合体形成性タンパク質との各種複合体、ならびにこれらのボツリヌス毒素の神経毒成分を使用できる。これらに加えて、修飾され、かつ/またはそれぞれの変異、欠失などを含む組換えで産生されたボツリヌス毒素またはボツリヌス毒素の神経毒成分も、本発明の範囲に包含される。適切な変異体に関しては、参照により本明細書に完全に組み込まれる国際公開第2006/027207A1号が参照される。さらに、本発明の範囲内で、各種血清型の混合物(複合体の形態、神経毒成分および/または組換えの形態)、例えば、AおよびB型ボツリヌス毒素の混合物、またはAおよびB型ボツリヌス神経毒の混合物も使用できる。
本発明の教示によれば、薬剤が、神経毒成分以外のボツリヌス毒素複合体中に見出されるタンパク質を含有しないことが可能である。神経毒成分の前駆体を開裂させてもさせなくてもよいが、一実施形態では、該前駆体を、重鎖および軽鎖に開裂させている。本明細書の他の場所で指摘するように、ポリペプチドは、野生型の配列を有してもよいし、あるいは1つまたは複数の残基で修飾されていてもよい。修飾は、例えば、グリコシル化、アセチル化、アシル化、アミド化などによる化学的修飾を包含し、例えばポリペプチドの取り込みまたは安定性に対して有益である可能性がある。しかし、神経毒成分のポリペプチド鎖は、1つまたは複数のアミノ酸残基の付加、置換、または欠失によって、代替的または付加的に修飾することができる。
本明細書中で前に言及した神経毒成分は、組成物または医薬組成物の部分でよい。本明細書中で使用できる医薬組成物は、ボツリヌス毒素を、例えば、唯一の活性成分としての神経毒成分の形態で含有することができ、あるいは付加的な医薬として活性な成分、例えば、ヒアルロン酸および/またはポリビニルピロリドンおよび/またはポリエチレングリコールを含むことができ、このような組成物は、任意選択で、適切なpH緩衝剤によって、特に酢酸ナトリウム緩衝剤、および/または凍結保護剤である多価アルコールによってpH的に安定化される。
本明細書中で前に言及した神経毒成分は、組成物または医薬組成物の部分でよい。本明細書中で使用できる医薬組成物は、ボツリヌス毒素を、例えば、唯一の活性成分としての神経毒成分の形態で含有することができ、あるいは付加的な医薬として活性な成分、例えば、ヒアルロン酸および/またはポリビニルピロリドンおよび/またはポリエチレングリコールを含むことができ、このような組成物は、任意選択で、適切なpH緩衝剤によって、特に酢酸ナトリウム緩衝剤、および/または凍結保護剤である多価アルコールによってpH的に安定化される。
「医薬組成物」は、薬剤または診断薬として使用するための活性成分を含有するまたは含む製剤である。このような医薬組成物は、ヒト患者に対する診断上のまたは治療上の投与(すなわち、筋内または皮下注射)に適している可能性がある。
本発明の一実施形態において、組成物は、神経毒成分、およびヒアルロン酸またはポリビニルピロリドンまたはポリエチレングリコールを含有することができ、このような組成物は、任意選択で、適切なpH緩衝剤によって、特に酢酸ナトリウム緩衝剤、および/または凍結保護剤である多価アルコールによって、pH的に安定化される。
好ましくは、前記組成物は、A型ボツリヌス毒素の神経毒成分を含有する。前記組成物は、ボツリヌス毒素の神経毒成分の再構成された溶液である。好ましくは、該組成物は、蔗糖またはヒト血清アルブミン、あるいはその両方をさらに含有し、さらにより好ましくは、ヒト血清アルブミンの蔗糖に対する比率は約1:5である。一実施形態において、該組成物はXeomin(登録商標)である。より好ましくは、前記ヒト血清アルブミンは、組換えヒト血清アルブミンである。別法として、前記組成物は、ヒト血清アルブミンなどの哺乳動物由来のタンパク質を含有しない。任意のこのような溶液は、血清アルブミンを他の非タンパク系安定剤(後記)で置き換えることによって神経毒の十分な安定性を備えることができる。
好ましくは、前記組成物は、A型ボツリヌス毒素の神経毒成分を含有する。前記組成物は、ボツリヌス毒素の神経毒成分の再構成された溶液である。好ましくは、該組成物は、蔗糖またはヒト血清アルブミン、あるいはその両方をさらに含有し、さらにより好ましくは、ヒト血清アルブミンの蔗糖に対する比率は約1:5である。一実施形態において、該組成物はXeomin(登録商標)である。より好ましくは、前記ヒト血清アルブミンは、組換えヒト血清アルブミンである。別法として、前記組成物は、ヒト血清アルブミンなどの哺乳動物由来のタンパク質を含有しない。任意のこのような溶液は、血清アルブミンを他の非タンパク系安定剤(後記)で置き換えることによって神経毒の十分な安定性を備えることができる。
組成物は、pH緩衝剤、賦形剤、凍結保護剤、保存剤、鎮痛薬安定剤、またはこれら任意の組合せなどの付加的成分を含有することができる。
したがって、好ましい実施形態において、神経毒成分は、ヒアルロン酸安定剤またはポリビニルピロリドン安定剤またはポリエチレングリコール安定剤、あるいはこれら任意の組合せと一緒に製剤される。さらに、組成物は、酢酸ナトリウム緩衝剤系またはアルコール系凍結保護剤、あるいはその両方を含有できる。さらに好ましい実施形態において、製剤は、アルブミンを含有せず、安定剤としてヒアルロン酸、ポリビニルピロリドン(Kollidone(登録商標))および/またはヒドロキシエチルデンプンおよび/またはアルギン酸塩および/またはこれらの2種および/またはそれ以上の混合物を含有する。前記の好ましい組成物は、言及した安定剤に加えて、水および少なくとも1種の多価アルコール、好ましくはマンニトールまたはソルビトール、あるいはこれらの混合物を含有する。
一実施形態において、神経毒成分は、マウスのLD50アッセイで決定して、1ngの神経毒成分につき50〜250のLD50単位の生物学的活性を有する。他の実施形態において、神経毒成分は、約150のLD50単位の生物学的活性を有する。ここで、本明細書中の単位は、1ナノグラム当たりの単位を指す。一般に、本発明の医薬組成物は、神経毒成分を約6pg〜約30ngの量で含有する。
A型ボツリヌス毒素の神経毒成分を単離された形態で含有する医薬組成物は、ドイツにおいてMerz Pharmaceuticals GmbH社からXeomin(登録商標)の商品名で市販されている。AおよびB型ボツリヌス毒素の神経毒成分の製造は、例えば、国際特許出願公開第00/74703号および同2006/133818号中に記載されている。
A型ボツリヌス毒素の神経毒成分を単離された形態で含有する医薬組成物は、ドイツにおいてMerz Pharmaceuticals GmbH社からXeomin(登録商標)の商品名で市販されている。AおよびB型ボツリヌス毒素の神経毒成分の製造は、例えば、国際特許出願公開第00/74703号および同2006/133818号中に記載されている。
一実施形態において、前記組成物は、A型ボツリヌス毒素の神経毒成分を含有する。前記組成物は、ボツリヌス毒素の神経毒成分の再構成された溶液である。別の実施形態において、該組成物は、蔗糖またはヒト血清アルブミン、あるいはその両方をさらに含有し、さらに他の実施形態において、ヒト血清アルブミンの蔗糖に対する比率は約1:5である。一実施形態において、該組成物はXeomin(登録商標)である。別の実施形態において、前記ヒト血清アルブミンは、組換えヒト血清アルブミンである。別法として、前記組成物は、ヒト血清アルブミンなどの哺乳動物由来タンパク質を含有しない。任意のこのような溶液は、血清アルブミンを他の非タンパク系安定剤(後記)で置き換えることによって神経毒の十分な安定性を備えることができる。
ボツリヌス毒素をベースにした薬剤の組成および投与に関して、およびボツリヌス毒素の神経毒成分をベースにした薬剤の組成、投与、および投与頻度に関しては、PCT/EP2007/005754が参照される。
医薬組成物は、凍結乾燥すること、または真空乾燥すること、再構成することができ、あるいは溶液で普及することができる。再構成する場合、一実施形態において、再構成溶液は、無菌の生理学的食塩水(0.9%NaCl)を添加して調製される。
このような組成物は、付加的な賦形剤を含有することができる。用語「賦形剤」は、医薬組成物中に存在する活性医薬成分以外の、医薬組成物中に存在する物質を指す。賦形剤は、緩衝剤、担体、固結防止剤、結合剤、崩壊剤、充填剤、希釈剤、保存剤、ビヒクル、シクロデキストリン、および/またはアルブミン、ゼラチン、コラーゲン、塩化ナトリウムなどの増量剤(bulking agent)でよい。別の実施形態において、前記賦形剤は、また、鎮痛薬、凍結保護剤、および/または安定剤でよい。
用語「pH緩衝剤」は、組成物、溶液などのpH値を特定の値または特定のpH範囲に調整する能力を有する化学物質を指す。一実施形態において、このpH範囲は、pH5〜pH8、例えば、pH7〜pH8、または7.2〜7.6、あるいはpH7.4でよい。上に示したpH範囲は、単なる典型例であり、実際のpHとしては、上に示した数値間の任意の区間を挙げることができる。本発明の教示による適切な緩衝剤は、例えば、リン酸ナトリウム緩衝剤、酢酸ナトリウム緩衝剤、TRIS緩衝剤、または上記pH範囲内に緩衝化するのに適した任意の緩衝剤である。
一実施形態において、組成物は、また、1〜100mMの、別の実施形態では10mMの酢酸ナトリウム緩衝剤を含有する。
上で示したpH範囲は、単なる典型例であり、実際のpHとしては、上に示した数値間の任意の区間を挙げることができる。本発明の教示による適切な緩衝剤は、例えば、リン酸ナトリウム緩衝剤、酢酸ナトリウム緩衝剤、TRIS緩衝剤、または上記pH範囲内に緩衝化するのに適した任意の緩衝剤である。
「安定化する」、「安定化させる」または「安定化」は、再構成された溶液または水溶液である医薬組成物中の神経毒成分が、生物学的に活性な該神経毒成分が該医薬組成物中に組み込まれる前に有していた毒性の約20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%を超え、かつ約100%までの毒性を有することを意味する。一実施形態において、前記神経毒成分は、活性成分と呼ばれる。
このような安定剤の例が、ゼラチン、またはヒト起源の一実施形態においてはアルブミンであり、あるいは組換え供給源から得られる。非ヒトまたは非動物供給源由来のタンパク質も包含される。安定剤は、化学的手段によってまたは組換え遺伝学によって修飾され得る。本発明の一実施形態において、凍結乾燥中にタンパク質を安定化させるための凍結保護剤である賦形剤としてアルコール、例えば、イノシトール、マンニトールを使用することが考えられる。
本発明の別の実施形態において、安定剤は、ヒアルロン酸、またはポリビニルピロリドン、またはポリエチレングリコール、あるいはこれらの任意の組合せを含む非タンパク質系安定化剤でよい。別の実施形態において、安定剤は、Kollidon(登録商標)、ヒドロキシエチルデンプンおよび/またはアルギン酸塩である。このような組成物は、任意選択で、適切なpH緩衝剤、特に酢酸ナトリウム緩衝剤または凍結保護剤、あるいはその両方によってpH的に安定化される。前記組成物は、言及した安定剤に加えて、水、およびマンニトールまたはソルビトール、あるいはそれらの混合物などの少なくとも1種の多価アルコールを含有できる。それは、また、グルコース、蔗糖、または果糖などの、単糖、二糖、または高級多糖を含有できる。このような組成物は、注目すべき安定性を保持しているより安全な組成物であると考えられる。
当該医薬組成物中のヒアルロン酸は、一実施形態において、当該神経毒成分と、200U/mLのボツリヌス毒素溶液1mLにつき0.1〜10mg、特に1mgのヒアルロン酸量で組み合わされる。
ポリビニルピロリドンは、当該組成物中に存在するなら、当該神経毒成分と、ボツリヌス毒素の200U/mL神経毒成分溶液の1mLにつき10〜500mg、特に100mgのポリビニルピロリドンを含有する再構成された溶液を提供するような量で組み合わされる。別の実施形態において、再構成は、8mL溶液までに仕上げられる。このことは、25U/mLの神経毒成分溶液の1mLにつき12.5mgに低下したポリビニルピロリドン濃度をもたらす。別の実施形態において、生じる溶液は、また、1〜100mM、特に10mMの酢酸ナトリウム緩衝剤を含有する。成分のこの比率は、また、25U/mLに低下したより低い神経毒成分溶液の濃度の場合にも適用される。
当該医薬組成物中のポリエチレングリコールは、一実施形態において、当該神経毒成分と、200U/mLボツリヌス毒素溶液の1mLにつき10〜500mg、特に100mgのポリエチレングリコール量で組み合わせられる。別の実施形態において、対象溶液は、また、1〜100mM、さらに別の実施形態では10mMの酢酸ナトリウム緩衝剤を含有する。
本発明による医薬組成物は、一実施形態において、約+30℃〜約-20℃の温度で貯蔵した場合に、6カ月間、1年間、2年間、3年間、および/または4年間、その効力を実質上変えないで保持する。さらに、示した医薬組成物は、再構成すると約20%〜約100%の効力またはパーセント回収を有することができる。
「凍結保護剤」は、生物学的に活性な該神経毒成分が、凍結乾燥される前に該医薬組成物中で有していた毒性の約20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%を超え、かつ約100%までの毒性を有する、再構成された溶液または水溶液である医薬組成物中の神経毒成分をもたらす賦形剤を指す。
別の実施形態において、組成物は、凍結保護剤としてポリヒドロキシ化合物、例えば、多価アルコールを含有することができる。使用できる多価アルコールの例には、例えば、イノシトール、マンニトール、およびその他の非還元性アルコールが含まれる。組成物のいくつかの実施形態は、タンパク質系安定剤を含有しないか、あるいはトレハロース、マルトトリオース、乳糖、蔗糖または関連糖、あるいは凍結保護剤として時折使用される炭水化物化合物を含有しない。
用語「保存剤」および「保存剤群」は、前記組成物内で微生物、昆虫、細菌またはその他の汚染生物の増殖または生存を防止する、それぞれ物質または物質群を指す。保存剤は、また、前記組成物を望ましくない化学変化から保護する。本発明の範囲内で使用できる保存剤は、当業者にとって周知である最先端技術のすべての保存剤である。使用できる保存剤の例には、とりわけ、例えば、ベンジルアルコール、安息香酸、塩化ベンザルコニウム、プロピオン酸カルシウム、硝酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、亜硫酸塩(二酸化硫黄、重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素カリウムなど)、EDTA二ナトリウム、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、珪藻土、エタノール、メチルクロロイソチアゾリノン、ブチル化ヒドロキシアニソール、および/またはブチル化ヒドロキシトルエンが含まれる。
用語「鎮痛薬」は、各種様式で末梢および中枢神経系に作用する鎮痛薬物に関し、とりわけ、パラセタモール(アセトアミノフェン)、サリチル酸塩などの非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、モルフィンなどの麻薬、トラマドールなどの麻薬性を有する合成薬、および各種のその他薬剤を包含する。リドカイン、ベンジルアルコール、安息香酸、およびその他の薬剤などの局所性鎮痛効果を有する任意の化合物も包含される。
一実施形態において、鎮痛薬は、組成物の一部であり、別の実施形態において、鎮痛薬は化学麻痺性薬剤を用いる治療の前、最中または後に投与される。
本明細書中で、用語「凍結乾燥」は、ボツリヌス毒素の神経毒成分を含有する溶液の処理に関して使用され、この溶液は、組成物中の固体成分のみが残存するまで凍結され、乾燥される。この処理による凍結乾燥品は、それゆえ、本明細書中で「凍結乾燥体」と定義される。
本明細書中で、用語「再構成」は、神経毒成分の前記凍結乾燥組成物を可溶化する過程と定義される。再構成は、例えば、すべての必要な成分が凍結乾燥体中に既に含められているなら、適切な量の無菌水を添加することによって行うことができる。あるいは、この事例に該当しないなら、再構成は、例えば、無菌生理食塩水溶液を単独で添加することによって、あるいは適用可能なら、例えばpH緩衝剤、賦形剤、凍結保護剤、保存剤、鎮痛薬安定剤、またはこれらの任意の組合せを含む成分を添加して行うことができる。前に言及した「生理食塩水溶液」の生理食塩水は、食塩溶液であり、より好ましくは塩化ナトリウム(NaCl)溶液であり、さらにより好ましくは等張性塩化ナトリウム溶液(すなわち、0.9%塩化ナトリウム濃度)である。可溶化は、最終の「再構成」が、直接または間接的に、すなわち例えば希釈後に、患者に投与可能であるような方式で実施される。好ましくは、神経毒は、等張性媒体中で再構成される。より好ましくは、等張性生理食塩水中で再構成される。より好ましくは、前記生理食塩水は、無菌の生理食塩水である。
本明細書中で使用される術語「凍結および解凍のサイクル」は、再構成された溶液を凍結および解凍する過程を指す。ここで、「凍結」の過程は、再構成された溶液の0℃未満、例えば好ましくは-20℃未満(通常の冷凍庫温度)、より好ましくは-80℃(ドライアイス温度)またはそれ未満の温度での貯蔵と定義される。かつここで、「解凍」の過程は、0℃より高い、好ましくは+4℃より高い、より好ましくは+20℃より高い、最も好ましくはそれぞれ+25、+30、+40より高いが50℃より高くない温度範囲での貯蔵と定義される。凍結および解凍の間および後の典型的かつ例示的な貯蔵時間は、1分まで、10分まで、30分まで、1時間まで、2時間まで、3時間まで、4時間まで、5時間まで、6時間まで、7時間まで、8時間まで、1日間まで、2日間まで、3日間まで、4日間まで、5日間まで、6日間まで、7日間まで、8日間まで、9日間まで、10日間まで、2週間まで、3週間まで、1カ月まで、2カ月まで、3カ月(90日間)までである。術語「凍結および解凍のサイクル」は、続いて起こる連続方式での冷却および(再)加熱のサイクルも包含する。上述の時間は、単なる典型例であり、実際の時間は、より長くても、より短くてもよく、上に示した数値間の任意の間隔を包含する。1回の「凍結および解凍のサイクル」の定義は、上述の条件下での1回の凍結段階および1回の解凍段階である。複数の「凍結および解凍のサイクル」、すなわち「凍結および解凍サイクル群」は、本明細書中で言及する場合、上記の範囲で定義されるような両方とも異なるおよび同一の時間間隔および温度での、再構成された溶液での1回の「凍結および解凍のサイクル」の反復を指す。上述の反復は、少なくとも2回、より好ましくは少なくとも3回または少なくとも4回、さらにより好ましくは少なくとも5回、少なくとも6回、少なくとも7回、さらにより好ましくは少なくとも8回、少なくとも9回、または少なくとも10回でよいが、20回を超えない。
用語「容器」は、前記組成物を貯蔵または輸送できる、またはその両方をなし得る、バイアル瓶、注射器、フラスコ、またはその他任意の種類の貯蔵器などの入れ物を指す。この入れ物の壁は、前記組成物と直接に接触し、すべての種類のガラス、プラスチック、金属、セラミック、またはこれらの任意の組合せのような材料、あるいは再構成された溶液をしっかりと保持するのに適した任意の材料から構成される。
本明細書中で、用語「室温」は、+20℃〜+25℃の間のいずれかの温度、さらにより好ましくは+20℃、+21℃、+22℃、+23℃、+24℃、または+25℃の温度のいずれか、およびその間の任意の値を指す。
本明細書中で、用語「賦形剤」は、医薬組成物中に存在する活性医薬成分以外の、医薬組成物中に存在する物質を指す。賦形剤は、緩衝剤、担体、固結防止剤、結合剤、崩壊剤、充填剤、希釈剤、保存剤、ビヒクル、シクロデキストリン、ならびに/あるいはアルブミン、ゼラチン、コラーゲンおよび/または塩化ナトリウムなどの増量剤でよい。
「冷却装置」は、組成物の温度を環境温度未満に低下させる能力を有する任意の装置と定義される。好ましくは、前記「冷却装置」は、環境温度未満、典型的には6℃またはその近辺、場合によってはさらに低い安定な温度を達成する。
典型的には、前に言及した筋弛緩薬の提供は、貯蔵または輸送、あるいはその両方を包含するか、あるいはそれぞれ高められた温度での前記筋弛緩薬を調製する方法の範囲内の段階、より好ましくはボツリヌス毒素の神経毒成分を含むタンパク質を凍結乾燥し、再構成した後に実施される段階である。「高められた温度」とは、+6℃より高い、好ましくは+20℃より高い、より好ましくは+30℃より高い温度を意味する。用語「+6℃より高い」は、例えば、+7℃、+8℃、+9℃、+10℃、+11℃、+12℃、+13℃、+14℃、+15℃、+16℃、+17℃、+18℃、+19℃、およびそれ以上の温度であるが70℃より高くないことを意味する。用語「+20℃より高い」は、例えば、+21℃、+22℃、+23℃、+24℃、+25℃、+26℃、+27℃、+28℃、+29℃、または+30℃を意味する。用語「+30℃より高い」は、例えば、+31℃、+32℃、+33℃、+34℃、+35℃、+36℃、+37℃、+38℃、+39℃、または+40℃を意味する。好ましくは、筋弛緩薬は、+70℃より高い温度で貯蔵されない。いくつかの場合において、すなわちボツリヌス毒素の神経毒成分をベースにした筋弛緩薬を0℃未満で貯蔵する環境において、用語「高められた温度」は、0℃より高い、好ましくは+4℃より高い温度、最も好ましくは前に挙げたそれぞれ+6℃、+20℃および+30℃より高い温度範囲を指す。
好ましい実施形態において、筋弛緩薬は、+6℃より高く+40℃までの範囲にある温度に14日間を超えない時間さらされる。当業者に周知のように、筋弛緩薬がそれぞれの温度にさらされる時間は、数分〜14日間の間の任意の時間間隔でよい。典型的には、このような筋弛緩薬を提供する状況、特に貯蔵または輸送、あるいはその両方が関わる状況を考慮に入れると、該時間は10分より少なくはない。これらの短い期間は、熱帯気候中での輸送後および貯蔵前に、筋弛緩薬が、例えば空港または路上で直射日光にさらされる状況下で特に重要である。本発明の範囲内の典型的な時間は、それゆえ、10分間まで、30分間まで、1時間まで、3時間まで、4時間まで、5時間まで、6時間まで、7時間まで、8時間まで、1日間まで、2日間まで、3日間まで、4日間まで、5日間まで、6日間まで、7日間まで、8日間まで、9日間まで、10日間まで、2週間まで、3週間まで、1カ月まで、2カ月まで、3カ月(90日間)までである。言うまでもなく、上述の時間は、単なる典型例であり、実際の時間は、より長くても、より短くてもよく、上に示した数値の間の任意区間を包含する。
筋弛緩薬がさらされる温度に関して、典型的には、当業者は、20℃より高い下限温度を想定する。本明細書中で指定される温度および温度範囲に関して、当業者は、筋弛緩薬/組成物がさらされる高い方の温度は、好ましくは70℃より高くはないことを理解している。すなわち、筋弛緩薬がさらされる温度は、好ましくは、20℃より高くかつ70℃までの範囲にある。したがって、本発明の範囲内で、筋弛緩薬は、それぞれ、20℃より高く、または25℃より高く、または30℃より高く、または35℃より高く、または40℃より高く、または45℃より高く、または50℃より高く、または60℃より高く、または65℃より高く、かつ70℃までの温度にさらされる。重ねて言えば、筋弛緩薬が提供され、好ましくは輸送または貯蔵され、あるいはその両方がなされる環境の結末でよい、20℃より高くかつ70℃までの所定値間の任意の特定温度、およびそれぞれの温度区間は、本発明の範囲内にある。
次の温度および時間間隔は、本発明の好ましい実施形態を代表する。第1実施形態によれば、筋弛緩薬は、+30℃より高くかつ+70℃までの温度に90日間を超えない時間、より好ましくは+30℃より高くかつ+70℃までの温度に10分間〜14日間の範囲の時間、より好ましくは+40℃〜+60℃の温度に10分間〜90日間の範囲の時間さらされる。
さらなる好ましい実施形態において、時間は、10分間〜30日間の範囲であり、一方、温度は、30℃より高くかつ70℃まで、好ましくは40℃から60℃まで、より好ましくは50℃から60℃までの範囲である。
極端な条件を代表するさらなる好ましい実施形態において、温度は、65℃〜70℃の範囲にあり、筋弛緩薬が前記温度にさらされる時間は、10分間〜90日間、好ましくは10分間〜3日間の範囲にある。
実験結果は、溶液が曝露される表面が、再構成された本発明の神経毒の安定性に影響を及ぼさないことを立証している。したがって、再構成された本発明の組成物は、各種の入れ物または容器中に保存することができる。かくして、このような入れ物または容器の表面は、任意の種類のプラスチック、金属、ガラスなどから作製できる。
本発明の基礎をなす発見により、今や、人為的な冷却装置を使用しないで、前に略述したような筋弛緩薬を提供することができる。この発見は、このような筋弛緩薬の輸送または貯蔵、あるいはその両方にとって特に重要である。さらに、本発明は、高められた温度環境、ことによると同時に高められた湿度を伴う環境において特に有意義である。
これより、以下に挙げる非制限的実施例を通して、本発明をさらに例示する。
(実施例)
実施例は、市販品Xeomin(登録商標)を用いて実施した。Xeomin(登録商標)は、活性成分としてA型ボツリヌス神経毒(150kDa)を含有する凍結乾燥粉末である。該毒素は、切れ目を入れた二重鎖形態で存在する。すなわち、それは重鎖および軽鎖を含んでいる。該毒素は、ボツリヌス菌の培養物(菌株ATCC3205)から得られる。それは、複合体形成性タンパク質を全く含まないような程度まで精製されている。Xeomin(登録商標)は、ヒト血清アルブミンおよび蔗糖をさらに含有する。
実施例は、市販品Xeomin(登録商標)を用いて実施した。Xeomin(登録商標)は、活性成分としてA型ボツリヌス神経毒(150kDa)を含有する凍結乾燥粉末である。該毒素は、切れ目を入れた二重鎖形態で存在する。すなわち、それは重鎖および軽鎖を含んでいる。該毒素は、ボツリヌス菌の培養物(菌株ATCC3205)から得られる。それは、複合体形成性タンパク質を全く含まないような程度まで精製されている。Xeomin(登録商標)は、ヒト血清アルブミンおよび蔗糖をさらに含有する。
Xeomin(登録商標)の安定性を評価するには、マウス片側横隔膜アッセイ(HDA)を使用して生物学的活性を決定した。このアッセイでは、マウス横隔神経からなる神経筋組織標本および横隔膜筋の対応部分を、張力測定装置中に固定する。無傷の横隔神経を、該神経およびその結果として横隔膜を刺激するために使用される2つの電極の間に縫着する。この組立物を、HDA緩衝溶液を含む毒素中に浸漬し、神経を、電気衝撃によって周期的に刺激する(周波数1Hz、刺激持続時間0.1ms、刺激電流振幅5〜50mA)。
この間接的に刺激された筋肉の収縮応答を、等尺性トランスデューサーを使用して検出する。シグナルを増幅し、市販のソフトウェアVitroDatWin3.4を使用してパソコン上に記録する。筋肉収縮応答の時間推移を測定すると、ボツリヌス毒素の存在下での収縮力の指数関数的減少が観察される。この減少特性が、いわゆる麻痺時間である。麻痺時間は、2つの時点「毒素サンプルの添加」および「最大収縮力の半分」の間の時間と定義され、オルガンバスの毒素濃度に比例する。
上述の方法を、ボツリヌス毒素の活性試験に関して欧州薬局方中で規定された要件に準拠して実施した。
(実施例1)
「室温での貯蔵」
Xeomin(登録商標)の再構成された生理食塩水溶液を、プラスチック注射器中に室温(+23℃)で9日間まで貯蔵した。サンプルの活性を、活性決定の直前(2時間未満)に再構成された基準と比較した。サンプル群と基準との間で、タンパク質活性の有意な低下は検出できなかった。
「室温での貯蔵」
Xeomin(登録商標)の再構成された生理食塩水溶液を、プラスチック注射器中に室温(+23℃)で9日間まで貯蔵した。サンプルの活性を、活性決定の直前(2時間未満)に再構成された基準と比較した。サンプル群と基準との間で、タンパク質活性の有意な低下は検出できなかった。
(実施例2)
「プラスチック容器中での貯蔵」
ボツリヌス神経毒NT201の再構成された生理食塩水溶液を、各種のプラスチック容器中に吸い取り、それらから適用した(下記のTable 1(表1)参照)。さらに、再構成された毒素を、活性測定に先立って、それぞれプラスチック容器および注射器中に最長14日間までの様々な期間で貯蔵した。どの場合も、タンパク質活性の有意な低下は検出できなかった。
「プラスチック容器中での貯蔵」
ボツリヌス神経毒NT201の再構成された生理食塩水溶液を、各種のプラスチック容器中に吸い取り、それらから適用した(下記のTable 1(表1)参照)。さらに、再構成された毒素を、活性測定に先立って、それぞれプラスチック容器および注射器中に最長14日間までの様々な期間で貯蔵した。どの場合も、タンパク質活性の有意な低下は検出できなかった。
100MLD(「メディアン致死量」またはLD50単位)の毒素を含有する凍結乾燥NT201粉末を、適用に先立って生理食塩水中で再構成した。
ボツリヌス神経毒の活性に対するプラスチック器具の影響を試験するために、その再構成された生理食塩水溶液を、上表に挙げた注射針およびアダプターおよびストッパーを使用して各種注射器中に吸い取り、それらから、筋内注射の医療処置を模擬する意図で通常の注射方法を使用して、オルガンバス(その中で、マウス片側横隔膜アッセイによって活性決定が実施される入れ物)に適用した。
さらに、再構成された毒素を、活性測定に先立って、注射器のプラスチック容器中にそれぞれ14日間までの様々な期間貯蔵した。
最大数の様々な変数について研究するため、および信頼性のある結果を得るために、3つの独立したシリーズで実験を実施した。詳細を以下に記載する。
生理食塩水のアリコートを、直接にピペットを用いて(シリーズ1)、あるいは典型的な医療実務に従って、3mL注射器と20G注射針で(BD#300910およびBD#301300;シリーズ2)、または5mL注射器と20G注射針で(B.Braun#4617053Vおよび#4665503;シリーズ3)を用いて(シリーズ2および3)採取した。
所要量が0.5mL未満である場合には、小さなサンプル容量の精度を保証するために、生理食塩水溶液を、中間貯蔵のための遠心チューブ中に注入した。これらの場合では、後でピペットを使用して所望の容積を移送した。
シリーズ1および3:
細い注射針を使用して10個のバイアル瓶に注意深く通気し、続いて開放した。ピペットで生理食塩水(1.0mL)を最初のバイアル瓶に移す。注意深く混合してペレットを完全に溶解した後、溶液を2番目のバイアル瓶に移した。この方式で、流体を、あるバイアル瓶から次のバイアル瓶に、最後すなわち10番目のバイアル瓶まで移送した。次いで、最初のバイアル瓶中にさらに生理食塩水溶液1.0mLを添加することによって、いくらかの残留サンプルを捕集し、上記の手順により次々にバイアル瓶を洗浄し、最後に両方の毒素溶液を合わせた。
細い注射針を使用して10個のバイアル瓶に注意深く通気し、続いて開放した。ピペットで生理食塩水(1.0mL)を最初のバイアル瓶に移す。注意深く混合してペレットを完全に溶解した後、溶液を2番目のバイアル瓶に移した。この方式で、流体を、あるバイアル瓶から次のバイアル瓶に、最後すなわち10番目のバイアル瓶まで移送した。次いで、最初のバイアル瓶中にさらに生理食塩水溶液1.0mLを添加することによって、いくらかの残留サンプルを捕集し、上記の手順により次々にバイアル瓶を洗浄し、最後に両方の毒素溶液を合わせた。
これらの合わせた溶液(2.0ml)は、溶液0.2mlにつき約100MLDを含むボツリヌス神経毒プールになる。続いて注射器で処理する場合には、正確な容積を保証するために、ピペットで該プールの0.2mLアリコートをマイクロチューブ中に移す。
シリーズ2:
20G注射針を付した3mL注射器(BD#300910およびBD#301300)中に、生理食塩水溶液2.5mlを正確に吸い取り、該溶液を、ボツリヌス神経毒を入れた5個のバイアル瓶中にそれぞれ0.5mLずつ注入した。ペレット全体が溶解するまで、バイアル瓶を注意深く混合した。細い注射針を挿入してバイアル瓶に通気した後、再構成された毒素を、21G注射針を付した10mL注射器(BD#300912およびBD#301155)中に吸い取った。次いで、該注射器中に空気を10mLの全容積まで吸い取り、注射器をストッパー(#394075)で密封した。次いで、毒素溶液と注射器の内側全表面との接触が可能になるように、注射器を注意深く回転した。
20G注射針を付した3mL注射器(BD#300910およびBD#301300)中に、生理食塩水溶液2.5mlを正確に吸い取り、該溶液を、ボツリヌス神経毒を入れた5個のバイアル瓶中にそれぞれ0.5mLずつ注入した。ペレット全体が溶解するまで、バイアル瓶を注意深く混合した。細い注射針を挿入してバイアル瓶に通気した後、再構成された毒素を、21G注射針を付した10mL注射器(BD#300912およびBD#301155)中に吸い取った。次いで、該注射器中に空気を10mLの全容積まで吸い取り、注射器をストッパー(#394075)で密封した。次いで、毒素溶液と注射器の内側全表面との接触が可能になるように、注射器を注意深く回転した。
5個のバイアル瓶につきそれぞれ0.2mLの代わりに0.5mLの生理食塩水溶液を使用することを除けば、上記と同様にして対照サンプルプールを創出した。
実験は、3つの異なるボツリヌス毒素プールを用いる3つのブロックで実施した。しかし、それぞれの場合に、100MLDのボツリヌス毒素に相当するサンプルにつき0.2mL(シリーズ1および3)または0.5mL(シリーズ2)のどちらかのボツリヌス神経毒プールを使用した。この容積を、マイクロチューブ中に充填し、次いで注射器中に吸い取るか、あるいは凍結バイアル瓶中に直接貯蔵した。
シリーズ1:
最初の実験では、ボツリヌス神経毒プールのアリコートを凍結バイアル瓶中または26G注射針を付した1mL注射器(BD#309602、US方式およびB.Braun#4657683)中のいずれかで、冷凍庫中にそれぞれ7および14日間貯蔵した。
最初の実験では、ボツリヌス神経毒プールのアリコートを凍結バイアル瓶中または26G注射針を付した1mL注射器(BD#309602、US方式およびB.Braun#4657683)中のいずれかで、冷凍庫中にそれぞれ7および14日間貯蔵した。
毒素活性の測定は、毒素のアリコート(0.2mL=100MLD)を、3.6mLのHDA緩衝液(イーグル平衡塩溶液+0.1%ヒト血清アルブミン)を含めて調製された片側横隔膜のオルガンバス中に注入することによっておよびピペットで移送することによって開始された。さらに0.2mLの新たな生理食塩水溶液を注射器中に吸い取ることによって注射器から残留毒素溶液を洗い流し、オルガンバス中に注入した。マイクロチューブも、ピペットを使用して0.2mLの新たな生理食塩水溶液で洗い流した。
シリーズ2:
第2シリーズは、ベクトンディッキンソン(Becton Dickinson)社からのいくつかの異なる注入器具を使用して実施した。
第2シリーズは、ベクトンディッキンソン(Becton Dickinson)社からのいくつかの異なる注入器具を使用して実施した。
対照プールは、直ちに使用するか、あるいは活性決定に先立って氷上のマイクロチューブ中に最長で1時間貯蔵した。
上述のボツリヌス神経毒プールを、密閉された10mLの注射器内に4℃〜8℃でそれぞれ1時間、3日間、および5日間貯蔵した。10mLの貯蔵用注射器に雌/雌のアダプター(BD#300013およびB.Braun#5206634)を介して1mLの注射器を連結することによって、0.5mLのサンプルを採取した。サンプルを採取した後、貯蔵用注射器を再密閉し、可能な場合、冷凍庫に戻した。
毒素活性の測定は、毒素のアリコート(0.5mL=100MLD)を、3.5mLのHDA緩衝液(イーグル平衡塩溶液+0.1%ヒト血清アルブミン)を含めて調製された片側横隔膜のオルガンバス中に注入することによって、またはピペットで移送することによって開始した。30Gの注射針(BD#304000)を前述の1mL注射器と一緒に使用した。0.5mLの片側横隔膜オルガンバス溶液を注射器中に吸い取ることによって注射器から残留毒素を洗い流し、オルガンバス中に注入して戻した。
シリーズ3:
最後のシリーズは、B.ブラウン(B.Braun)社からの注入器具を用いて実施した。
最後のシリーズは、B.ブラウン(B.Braun)社からの注入器具を用いて実施した。
対照プールは、直ちに使用するか、あるいは毒素活性決定に先立って氷上のマイクロチューブ中に最長で1時間貯蔵した。
上述のボツリヌス神経毒プールのアリコート0.2mLを、20Gの注射針を付した1mLの注射器(B.Braun#9161406Vおよび#4665503))中に吸い取った。次いで、該注射器中に全容積1mLまで空気を吸い取り、注射器をストッパー(B.Braun#4495101)で密閉した。次いで、毒素溶液と注射器の内側全表面との接触が可能になるように、注射器を注意深く回転した。その後、サンプルを、4℃〜8℃でそれぞれ1時間、3日間、および9日間貯蔵した。
毒素活性の測定は、毒素のアリコート(0.2mL=100MLD)を、3.6mLのHDA緩衝液(イーグル平衡塩溶液+0.1%ヒト血清アルブミン)を含めて調製された片側横隔膜のオルガンバス中に注入することによって、またはピペットで移送することによって開始した。30Gの注射針(B.Braun#4656300)を前述の1mL注射器と一緒に使用した。さらに0.2mLの新たな生理食塩水溶液を注射器中に吸い取ることによって注射器から残留毒素を洗い流し、オルガンバス中に注入して戻した。
活性決定の結果を次表に列挙する。
この研究で使用されるプラスチック器具は、再構成された神経毒製剤の活性に対して有意な効果を示さない。
個々の麻痺時間値は、対照サンプルに関して68分〜82分(平均:72.6分±5.0分)、プラスチック器具で処理されたサンプルに関して60分〜77分(平均:68.6分±4.8分)の範囲である。
(実施例3)
「保存剤の存在下での安定性」
Xeomin(登録商標)を、保存剤(ベンジルアルコール)を含むまたは含まない無菌の生理食塩水溶液中での再構成に付し、異なる時間範囲で貯蔵した。プールを、ポリエチレン入れ物中に4℃で14日間まで貯蔵した。ベンジルアルコールの存在下で、タンパク質活性の有意な低下は検出できなかった。
「保存剤の存在下での安定性」
Xeomin(登録商標)を、保存剤(ベンジルアルコール)を含むまたは含まない無菌の生理食塩水溶液中での再構成に付し、異なる時間範囲で貯蔵した。プールを、ポリエチレン入れ物中に4℃で14日間まで貯蔵した。ベンジルアルコールの存在下で、タンパク質活性の有意な低下は検出できなかった。
薬品の各バイアル瓶を、1.0mLの生理食塩水(保存剤を含む(0.9%v/v)または含まない)で100MLD/mLの最終濃度に再構成し、ポリエチレン入れ物中で適切な貯蔵時間貯蔵した。次いで、すべてのサンプルを試験群によりプールした。
試験系中の片側横隔膜組織標本に対するベンジルアルコールの麻酔作用のため、このバイオアッセイに先立って、この薬剤を除去するための透析段階を必要とした。したがって、この保存剤の存在または不在に無関係に、すべての試験サンプルを、4℃でそれぞれ2時間を超えて250倍過剰のEarlの緩衝化塩溶液(EBSS)に対して2回透析した。
透析段階に続いて、サンプルをEBSSで25MLD/mLの最終濃度に希釈し、これらのサンプルの残留活性を、測定ごとに100MLDの名目投与での片側横隔膜アッセイで決定した。
この実施例の結果を図1に示す。
図1は、ポリエチレン入れ物中に4℃で貯蔵することの、保存剤を含むまたは含まない生理食塩水溶液中で再構成されたボツリヌス毒素薬品Xeomin(登録商標)の活性に対する効果を示す。
図2は、ゴム製ストッパーを付したポリエチレン注射器中に4℃で貯蔵することの、保存剤を含むまたは含まない生理食塩水溶液中で再構成されたボツリヌス薬品Xeomin(登録商標)の活性に対する効果を示す。
図1に示す結果は、保存剤ベンジルアルコールを含むまたは含まない生理食塩水溶液中でのXeomin(登録商標)の再構成が、ボツリヌス神経毒薬品の活性に対して有意な効果を有さないことを示す。
該薬品は、生理食塩水溶液中で再構成し、かつ4℃で貯蔵すると、14日間まで安定である。保存剤ベンジルアルコールの存在または不在は、この安定性に対して効果を有さない。
(実施例4)
「凍結および解凍のサイクル」
この実施例では、Xeomin(登録商標)を、保存剤を含まない無菌の生理食塩水溶液中で再構成し、5回まで反復して凍結および解凍した。ボツリヌス神経毒薬品の麻痺活性に対する有意な効果は、検出できなかった。
「凍結および解凍のサイクル」
この実施例では、Xeomin(登録商標)を、保存剤を含まない無菌の生理食塩水溶液中で再構成し、5回まで反復して凍結および解凍した。ボツリヌス神経毒薬品の麻痺活性に対する有意な効果は、検出できなかった。
無菌の生理食塩水溶液は、注射用水中、0.9%(重量/容積)の塩化ナトリウムからなる。薬品Xeomin(登録商標)を採用してサンプルプールを創出した。
1群7個のバイアル瓶からなる2群の全部で14本のXeomin(登録商標)のバイアル瓶に、注射針を使用して注意深く通気し、続いて開放した。凍結乾燥された製品は、バイアル瓶の底部で完全にそのままであるよう配慮した。
7個のXeomin(登録商標)バイエル瓶群の最初のバイアル瓶を、1.4mLの生理食塩水溶液で再構成し、凍結乾燥品を完全に溶解した。この溶液を、次のバイアル瓶に定量的に移送し、そこで再び凍結乾燥体を完全に溶解した。この手順を、その群の7本全部のバイアル瓶中の薬品を1.4mLの無菌生理食塩水に溶解するまで繰り返した。次いで、両群のこれら1.4mLをプールして2.8mLのXeomin(登録商標)プールを創出した。
このXeomin(登録商標)プールのアリコート(0.2mL)を、12本のラベルを貼ったポリプロピレンチューブに:すなわち2本の基準および1〜5(凍結-解凍サイクルの数を示す)の番号を付けた10本の凍結-解凍用複製サンプル中にピペットで移送した。2本の基準チューブは、片側横隔膜アッセイで測定するまで4℃で貯蔵し、一方、残りのチューブは、-20℃で少なく120分間凍結した。2〜5と標記されたチューブを、室温で完全に解凍し(ほぼ30分間)、続いて-20℃で120分間凍結した。この手順を、3と標記されたチューブでは3回、4と標記されたチューブでは4回、5と標記されたチューブでは5回凍結するまで継続した。
片側横隔膜アッセイに先立って、すべてのサンプルを室温で30分間解凍し、37℃で10分間インキュベートした。それらを混合し、10秒間遠心した。各サンプルを3.6mLのEarl緩衝化塩溶液/0.1%HSAに移し、0.2mLのさらなるEarl緩衝化塩溶液/0.1%HSAを使用して移送を完結した。続いて、得られた4.0mLのXeomin(登録商標)の麻痺活性を、片側横隔膜アッセイで測定した。
これらの実施例の結果を図3に示す。
図3に示す結果は、再構成されたXeomin(登録商標)の反復的凍結および解凍は、ボツリヌス神経毒薬品の麻痺活性に対して有意な効果を有さないことを示している。Xeomin(登録商標)は、生理食塩水溶液中で再構成すると、少なくとも5回の凍結および解凍のサイクルまで安定である。
Claims (10)
- 6℃より高い、好ましくは25℃より高い温度で筋弛緩薬を提供するための方法であって、前記筋弛緩薬が、ボツリヌス毒素の神経毒成分を含有し複合体形成性タンパク質を含有しない再構成された溶液である、方法。
- 前記提供が、貯蔵および/または輸送を包含するか、あるいは前記筋弛緩薬を調製する方法の範囲内の段階である、請求項1に記載の方法。
- 前記筋弛緩薬が、6℃より高い、好ましくは25℃より高く70℃までの環境温度で、いかなる冷却装置も使用しないで輸送また貯蔵される、あるいはその両方がなされる、請求項1または2に記載の方法。
- 前記筋弛緩薬が、「凍結および解凍」のサイクルに付される、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
- 前記「凍結および解凍」のサイクル数が1〜20である、請求項4に記載の方法。
- 前記筋弛緩薬が、保存剤および/または鎮痛薬の存在下で安定である、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
- 前記再構成された溶液が、プラスチック、ガラス、または金属、あるいはこれらの任意の組合せから作製される容器中に貯蔵される、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
- 前記溶液が、蔗糖またはヒト血清アルブミン、あるいはこれらの両方をさらに含有する、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
- 前記溶液が、それぞれ蔗糖およびヒト血清アルブミンとは異なる、凍結保護剤、安定剤、pH緩衝剤、賦形剤、ならびにこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の成分をさらに含有する、請求項1から8のいずれかに記載の方法。
- 前記神経毒成分が、A型ボツリヌス毒素の神経毒成分である、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
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