JP2010527907A - ニコチン様中間体の多形体 - Google Patents

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Abstract

化合物(II)、(III)および(IV)の結晶形態、ならびにそれらの生成方法を提供する。
【化1】

Description

本発明は、バレニクリン遊離塩基を含めた、バレニクリン酒石酸塩を調製するための方法において使用される中間体の結晶形態に関する。
バレニクリン酒石酸塩(V)は、禁煙を容易にするのに使用するためのFDA承認薬物である。化合物I〜IVは、Vの合成における中間体である。
Figure 2010527907
バレニクリン酒石酸塩(V)は単離されており、米国特許第6890925号において特性決定されている。中間体(I、IIおよびIII)ならびにバレニクリン遊離塩基(IV)は、単離されており、米国特許第6410550号において一般的に特性決定されている。これらの特許の開示は、参照により本明細書中に組み込まれている。
中間化合物Iは公知であり、下記のように同定されている。
Figure 2010527907
中間化合物IIは公知であり、下記のように同定されている。
Figure 2010527907
中間化合物IIIは公知であり、下記のように同定されている。
Figure 2010527907
バレニクリンの遊離塩基である中間化合物IVは公知であり、下記のように同定されている。
Figure 2010527907
式IIおよびIIIの単離された化合物、ならびに式IVの遊離塩基バレニクリンは、結晶形態の状態で存在することが発見されたが、それらはこれまで合成、単離または特性決定さえもされていない。
一般に本発明は、化合物II、IIIおよびIVの今まで知られておらず特性決定されていない結晶形態を、個々におよび/または互いのもしくは以前に単離されているが特性決定されていない結晶形態との組合せで含む。化合物Iの出発物質は、決定されている限りでは、単一の結晶形態で特性決定されているのみであるが、化合物II、IIIおよびIVは各々、少なくとも2種の別個の結晶形態(化合物IIおよびIII)または少なくとも4種の別個の結晶形態(化合物IV)で存在することが発見されている。
本発明の目的は、中間化合物I〜IVの結晶形態を提供することにある。
本発明のさらなる目的は、これまでに合成、単離または特性決定されていない中間化合物II、IIIおよびIVの結晶形態を提供することにある。
本発明のさらなる目的は、本質的に純粋形態の、および/または従来技術の方法によって固有に生成されてはいるが単離された結晶形態として特性決定されていない結晶形態と混合した、このような結晶形態を提供することにある。
本発明のさらなる目的は、特定の特性決定同定を有するこのような結晶形態の生成方法を提供することにある。
本発明のさらなる目的は、バレニクリンの総重量に対して2重量%未満のN−ホルミルバレニクリン付加体と、バレニクリンの総重量に対して2重量%未満のN−カルボキシバレニクリン付加体とを含む、ヒト対象への投与に適切な実質的に純粋なバレニクリンの遊離塩基形態Cを含む組成物を提供することにある。
本発明のさらなる目的は、実質的に純粋なバレニクリンの遊離塩基形態Cが微粒子懸濁物である、経皮パッチ中のバレニクリンの組成物を提供することにある。
本発明のさらなる目的は、有機非塩素化溶媒を含む晶析溶媒または溶媒の組合せからバレニクリンを晶析させるステップを含む、a)2重量%未満のN−ホルミルバレニクリンと、b)2重量%未満のN−カルボキシバレニクリン付加体とを含む、ヒト対象への投与に適切な実質的に純粋なバレニクリンの遊離塩基形態Cの形成方法を提供することにある。
本発明のさらなる目的は、実質的に純粋なバレニクリンの遊離塩基形態Cを単離するために使用される晶析溶媒または溶媒の組合せが、有機非塩素化溶媒を含む方法を提供することにある。
本発明のさらなる目的は、前記非塩素化溶媒または溶媒の組合せが、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、n−ヘプタン、オクタン、ノナンおよびデカンからなる群から選択される方法を提供することにある。
本発明のさらなる目的は、実質的に純粋なバレニクリンの遊離塩基形態Cのより小さな大きさの粒子を調製するためのシード添加のステップをさらに含む方法を提供することにある。
本発明のこれらおよび他の目的、特徴ならびに利点は、下記の説明および図面から明らかになるであろう。
化合物Iの形態AのX線粉末回折パターンである。 各々、化合物IIの形態AおよびBのX線粉末回折パターンである。 各々、化合物IIの形態AおよびBのX線粉末回折パターンである。 各々、化合物IIIの形態Aおよび形態A+BのX線粉末回折パターンである。 各々、化合物IIIの形態Aおよび形態A+BのX線粉末回折パターンである。 化合物IV(バレニクリン遊離塩基)の形態AのX線粉末回折パターンである。 化合物IV(バレニクリン遊離塩基)の形態Cを生成するための方法スキームである。 化合物IV(バレニクリン遊離塩基)の形態CのX線粉末回折パターンである。 化合物IV(バレニクリン遊離塩基)の形態CのX線粉末回折パターンである。 化合物IV(バレニクリン遊離塩基)の形態CのX線粉末回折パターンである。 化合物IV(バレニクリン遊離塩基)の形態CのX線粉末回折パターンである。 化合物IV(バレニクリン遊離塩基)の形態Dの計算されたX線粉末回折パターンである。 化合物IV(バレニクリン遊離塩基)の形態EのX線粉末回折パターンである。 化合物IV(バレニクリン遊離塩基)の形態CのFT−IR ATRスペクトルである。 化合物IV(バレニクリン遊離塩基)の形態CのFT−ラマンスペクトルである。 化合物IV(バレニクリン遊離塩基)の形態Cの13C CPMASスペクトルである。 N−カルボキシバレニクリン付加体のX線粉末回折パターンである。 N−カルボキシバレニクリン付加体のFT−ラマンである。 N−ホルミルバレニクリンの計算されたX線粉末回折パターンである。
化合物Iの結晶形態
Figure 2010527907
化合物Iは、決定されている限りでは、単一の結晶形態である形態Aで特性決定されているのみである。化合物Iの形態AのX線粉末回折パターンを、図1に示す。
X線粉末回折パターンを、CuKα線を使用してSiemens D5000回折計で生成した。計器は、線焦点X線管を装備していた。管電圧およびアンペア数を、各々40kVおよび30mAに設定した。発散スリットおよび散乱スリットを1mmに設定し、受光スリットを0.6mmに設定した。回折CuKα1線(λ=1.54056Å)を、Sol−Xエネルギー分散型X線検出器を使用して検出した。3.0〜40°2θで2.4°2θ/分(1秒/0.04°2θステップ)で、θ−2θ連続スキャンを使用した。計器アライメントを調べるために、アルミナ標準物質(NIST標準参照物質1976)を分析した。データを収集し、BRUKER AXS DIFFRAC PLUSソフトウェアバージョン2.0を使用して分析した。試料を石英ホルダー内に置くことによって、分析のために試料を調製した。試料粉末をスライドガラスまたは同等物に押し付けて、ランダム面および適正な試料高さを確実にした。次いで、試料ホルダーをBruker計器内に置き、上記で規定した計器パラメーターを使用して粉末X線回折パターンを収集した。このようなX線粉末回折分析結果と関連する測定の差異は、(a)試料調製の誤差(例えば、試料高さ)、(b)計器の誤差、(c)較正誤差、(d)(ピーク位置を決定する場合に存在する誤差を含めた)操作者の誤差、および(e)材料の性質(例えば、選択方位の誤差)を含めた種々の要因に起因する。較正誤差および試料高さの誤差は、同一方向のピークの全てのシフトをもたらす場合がある。フラットホルダーを使用する場合、試料高さの小さな差異は、X線粉末回折ピーク位置の大きな変位をもたらすであろう。系統的な研究によって、試料高さの1mmの差異が1°2θものピークシフトをもたらす場合があることが示された(Chenら;J Pharmaceutical and Biomedical Analysis、2001;26、63)。これらのシフトは、X線ディフラクトグラムから同定することができ、シフトを相殺する(全てのピーク位置値に系統的補正率を適用する)ことによって、または計器を再較正することによって解消することができる。上記のように、系統的補正率を適用してピーク位置を一致させることにより、様々な計器による測定における差異を修正することが可能である。
化合物IIの結晶形態
Figure 2010527907
化合物IIは、少なくとも2種の結晶形態を有することが決定され、その2種を形態Aおよび形態Bと称した。
形態Aは、種々の温度条件下で、イソプロピルアルコール、メタノール、THF、水、水/アセトニトリルなどの溶媒系中で、化合物IIを蒸発またはスラリー化することによって得た。
形態Bは、有機溶媒スラリー、高速蒸発、および飽和溶液からの濾液の徐冷を包含する手順によって得た。晶析には、飽和溶液の急冷(クラッシュ冷却)および貧溶媒添加による急速沈殿(溶媒/貧溶媒晶析)が含まれた。
形態Bは、酢酸エチルおよびメチルエチルケトンの高速蒸発から、および溶媒:貧溶媒から主として得た。ジクロロメタン、酢酸エチル、メタノール、およびトルエンについて行った研究は、形態Aは、周囲温度および60℃で形態Bより安定的であることを示した。形態Aは約177℃の融点を有し、形態Bは約170℃の融点を有する。
形態Aは、P21/c空間群を伴う単斜晶系を有することが決定された。単位格子パラメーターは、a=9.6Å、b=7.7Å、c=18。7Å、α=γ=90°、β=96.9°、格子容量=1381.8Åである。
形態Bは、P−1空間群を伴う三斜晶系を有することが決定される。格子パラメーターは、a=8.2Å、b=9.5Å、c=9.8Å、α=81.4°、β=80.6°、γ=67.8°、格子容量=697.4Åである。
表1は、形態AおよびBのX線粉末回折パターンの表形式での比較である(約33度2θまで。上記のようなSiemens D5000回折計により生成。図2aおよび2bを参照されたい)。約2%超の相対強度を有する反射が含まれる。
Figure 2010527907
Figure 2010527907
化合物IIの上記の同定された2種の結晶形態が生成され、形態Aおよび形態Bと称した。形態Aは、約177℃で発生する溶解物を有する無水非吸湿性の結晶形態である。
形態Bは、加熱によって形態Aに変換される無水非吸湿性の結晶形態である。形態Aは、周囲温度および60℃で形態Bよりも安定的である。
別々にまたは混合してAおよびBの結晶形態を得るために、様々な溶媒および条件を使用した。表3および4は、溶媒および条件を、得られた生成物と共に要約する。
Figure 2010527907
Figure 2010527907
化合物IIIの結晶形態
Figure 2010527907
形態Aは、前記米国特許第6410550号に記載の従来技術の合成から得た。有機溶媒スラリー、高速蒸発、および飽和溶液からの濾液の徐冷を包含する手順の間に、1種のさらなる固体状態の形態を同定した。晶析には、飽和溶液の急冷(クラッシュ冷却)および貧溶媒添加による急速沈殿(溶媒/貧溶媒晶析)が含まれた。新規な固体が、メタノールおよびイソプロピルエーテル中の溶媒/貧溶媒蒸発から生成された。固体は、既知の材料(形態A、出発物質)および第2の結晶体(形態B)の混合物であると決定された。形態Bは形態Aとの混合物中で観察されたが、純粋な固相としては単離されなかった。形態Aは、熱力学的に安定的な固体状態の形態であるように思われる。
化合物IIIの形態Aは、結晶性の無水非吸湿性固体である。化合物IIIの形態A+Bは、結晶性の無水非吸湿性固体である。
結晶形態の調製および手順
分析
X線粉末回折(XRPD)
上記のようなSiemens D5000回折計を使用して、形態AのX線粉末回折(XRPD)分析を行った。
120°の2θ範囲を有するCPS(Curved Position Sensitive)検出器を備えたInel XRG−3000回折計を使用して、形態A+BのX線粉末回折(XRPD)分析を行った。CuKα線(波長1:1.54056)を使用して、約4°2θから開始して0.03°2θの分解能で、リアルタイムデータを収集した。管電圧およびアンペア数を各々、40kVおよび30mAに設定した。モノクロメータースリットを、160μmずつ5mmに設定した。パターンを2.5〜40°2θで示す。試料を薄肉のガラスキャピラリー中に充填することによって、分析のために調製した。各キャピラリーを、データ収集の間にキャピラリーの回転を可能とするように電動式としたゴニオメーターヘッド上に乗せた。試料を5分間分析した。ケイ素参照標準を使用して計器較正を行った。
試料の調製
形態A+B
メタノールの一定分量(700μl)を化合物III(40mg)に加えた。溶液を、イソプロピルエーテル(1000μl)を含有するバイアル中へと0.2μmフィルターを通して濾過した。沈殿は観察されなかった。バイアルの蓋を閉め、1日間フード中に置いた。固体は観察されなかった。次いで、試料を5日間冷蔵庫内に入れた。冷蔵庫内に5日間置いた後に、試料を冷凍庫に8日間移した。微細固体を有する黄色の溶液が観察された。試料を温めると固体は溶解した。次いで、バイアルをフード中に置き、周囲条件下で蒸発させた。このように得られた固体を、真空下で3日間乾燥させた。
2種の結晶形態が生成され、そのうち一種は新規であった。この物質を、形態Bと称した。形態Bは、メタノールおよびイソプロピルエーテル中の溶媒/貧溶媒蒸発から得られた。形態Bは、既知の形態Aとの混合物としてのみ得られた。図2aおよび2bは、化合物IIIの形態Aおよび形態A+BのX線粉末回折パターンである。
特性決定
形態A
出発物質と一致するXRPDパターンを示した生成された結晶性固体を、形態Aと称した。
形態A+B
メタノール/IPE貧溶媒晶析から生成された結晶性固体は、形態Aと類似のXRPDパターンを示したが、いくつかのさらなるピークを図2bに示す。この固体材料は、形態Aと新規の結晶体「形態B」との混合物であった。混合物を形態A+Bと称し、出発物質を最初蒸発させた場合に溶媒/貧溶媒(MeOHおよびIPE)晶析によって形成された。事前の蒸発がない場合には、形態Aが得られた。
表5、6および7は、形態A、A+Bについて得た約2%を超える相対強度のXRPDピーク、およびBによるピークを各々含有する。表8は、化合物IIIの結晶形態の各々についての独特な同定ピークを示す。
Figure 2010527907
Figure 2010527907
Figure 2010527907
Figure 2010527907
化合物IVの結晶形態
Figure 2010527907
バレニクリンの遊離塩基の新規な結晶形態である化合物IVを発見した。各々の結晶形態を、本明細書において形態A、形態C、形態D、および形態Eと称する。
下記の方法を使用して、バレニクリン遊離塩基の結晶形態の各々を調製した。
形態A
約1mgの化合物IV(バレニクリン遊離塩基)を加熱すると、溶解物が形成された。溶解物は120〜155℃で晶析し、プレート状およびラス状形態を有する結晶が形成した。これらの結晶を、酢酸エチル中の結晶化合物IVのスラリーに加えた。スラリーを周囲条件で1時間撹拌した。固体を濾過によって単離した。
形態C
A シード非添加法
バレニクリン酒石酸塩(15g)を水(75mL)に溶解し、次いでトルエン(255mL)を加えた。混合物を約38℃に加熱し、次いで50%NaOH(7.29g)を加えた。1.5時間後に、混合物をトルエン(5mL)中の活性炭のスラリー(0.75g)で処理し、次いで珪藻土のケーキで濾過した。濾過ケーキをトルエン(22.5mL)で洗浄した。
濾液層を分離し、次いで水層をトルエン(75mL)で一度抽出した。層を分離し、次いで2つのトルエン層を合わせ、0.2umフィルターで濾過した。0.2umフィルターで濾過したトルエンで予めすすいだ反応槽に濾液を移した。混合物を、約75mLのポット容量が得られるまで約300Torr下で蒸留させ、次いで60℃にした。
この工程を60℃に保つ間、n−ヘプタンを加えた(144mL)。この工程を60℃で40分間保った。次いで、バッチを20分間に亘り45℃に冷却した。バッチ温度が45℃に達すると、結晶の自己集合が起こった。バッチを45℃に1時間保ち、次いで30分間に亘り15℃に冷却し、この温度で一晩顆粒化させた(全16時間)。
スラリーを濾過し、濾過ケーキをn−ヘプタン(20mL)で洗浄し、40℃、20’’Hgで3日間乾燥させ、窒素ブリードをせず、82%のバレニクリン遊離塩基を単離した。
B シード添加法
バレニクリン酒石酸塩(4.92g)を水(25mL)に溶解し、次いでトルエン(85mL)を加えた。混合物を約38℃に加熱し、次いで50%NaOH(w/w)(2.43g)を加えた。1.5時間後にトルエン(1.75mL)中の活性炭のスラリー(0.25g)を充填した。混合物を1.5時間撹拌し、次いで珪藻土の濾過ケーキで濾過した。濾過ケーキをトルエン(7.5mL)で洗浄した。
濾液層を分離し、次いで水層をトルエン(25mL)で一度抽出した。層を分離し、次いで2つのトルエン層を合わせ、0.2umフィルターで濾過した。0.2umフィルターで濾過したトルエンで予めすすいだ反応槽にこの濾液を移した。約25mLのポット容量が得られるまで混合物を真空下で蒸留した。混合物を大気圧に戻し、60℃とした。
この工程を60℃に保つ間、10分間に亘ってn−ヘプタンを加えた(48mL)。この工程を60℃で20分間保った。バレニクリンの遊離塩基形態Cをシード(30mg、0.6wt%)として加え、この工程を10分間保った。バッチを50℃に冷却し、50℃に1時間保ち、次いで70分間に亘り15℃に冷却した。混合物を15時間顆粒化し、次いで濾過した。濾過ケーキをn−ヘプタン(10mL)で洗浄し、60〜65℃にて17’’Hg下で窒素ブリードをしながら22時間乾燥させた。80%収率の生成物を単離した。
Figure 2010527907
この方法のために適切であり得る他の適切な溶媒は、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、n−ヘプタン、オクタン、ノナンおよびデカンからなる群から選択される非塩素化溶媒または溶媒の組合せである。
バレニクリンの遊離塩基形態Cのより小さい範囲の粒径を生成するために、シード添加法が好ましい。好ましい粒径範囲は、100〜250ミクロンである。さらに好ましいのは、50〜150ミクロンであり、最も好ましいのは、25〜100ミクロンである。
上記の方法によって、ヒト対象への投与に適切な実質的に純粋なバレニクリンの遊離塩基形態Cが生成される。「実質的に純粋な」とは、生成されたバレニクリンの遊離塩基形態Cが、好ましくはバレニクリンの総重量に対して5重量%未満のN−ホルミルバレニクリン、およびバレニクリンの総重量に対して5重量%未満のN−カルボキシバレニクリン付加体を含有することを意味する。さらに好ましくは、バレニクリンの総重量に対して2重量%未満のN−ホルミルバレニクリン、およびバレニクリンの総重量に対して2重量%未満のN−カルボキシバレニクリン付加体が形成される。最も好ましくは、上記の方法によって、バレニクリンの総重量に対して1重量%未満のN−ホルミルバレニクリン、およびバレニクリンの総重量に対して1重量%未満のN−カルボキシバレニクリン付加体が形成される。
方法B
化合物IV(バレニクリン遊離塩基)200Mgを、塩化メチレン、イソプロピルアルコール、メタノール、および水から選択される溶媒に溶解した。完全な溶解が視覚的に確認されたら、乾燥するまで減圧下で溶液を蒸発させた。このように得られた結晶性固体を、減圧下で45〜50℃にて3日間乾燥させた。
形態Cは、P2(1)/n空間群を伴う単斜晶系を有することが決定される。室温での格子パラメーターは、a=10.086Å、b=10.258Å、c=10.423Å、α=90.00°、β=99.68°、γ=90.00°、格子容量=1063.03Åである。
形態D
化合物IVの形態Eの結晶を、単結晶分析のために載置し、約−150℃に冷却した。(15g)を水(75mL)に溶解し、次いでトルエン(255mL)を加えた。混合物を約38℃に加熱し、次いで50%NaOH(w/w)(7.29g)を加えた。1.5時間後に、混合物をトルエン(5mL)中の活性炭のスラリー(0.75g)で処理し、次いで濾過した。濾過ケーキをトルエン(22.5mL)で洗浄した。
形態E
化合物IV(50mg)および水(3.5mL)で飽和しているメチルtert−ブチルエーテルを、ポリプロピレン反応槽に加えた。混合物を約1℃/分で約40℃に加熱し、40℃で10分間保ち、次いで約3℃/分で−25℃に冷却した。系を−25℃に一晩保った。系を約3℃/分で5℃に加熱し、次いで濾過した。濾過ケーキを単離し、密封したガラス製バイアル中に5℃で保管した。
化合物IVの固体(バレニクリンの遊離塩基形態A、形態C、および形態E)を、上記のようなSiemens D5000回折計上で粉末X線回折によって特性決定した。化合物IVの固体(バレニクリン遊離塩基、形態D)を、単結晶X線回折によって特性決定し、粉末X線回折パターンを単結晶データから計算した。
表9は、化合物IVの形態Aについて試料において3〜40°2θで約>5%の相対強度を有する全てのピークの2θおよび相対強度を一覧表示する。
Figure 2010527907
表10は、化合物IVの形態Cについて試料において3〜40°2θで約>3%の相対強度を有する全てのピークの2θおよび相対強度を一覧表示する。
Figure 2010527907
表11は、化合物IVの形態D(バレニクリン遊離塩基)について試料において3〜40°2θで約>2%の相対強度を有する全てのピークの2θおよび相対強度を一覧表示する。
Figure 2010527907
Figure 2010527907
表12は、化合物IVの形態E(バレニクリン遊離塩基)について試料において3〜40°2θで約>0.5%の相対強度を有する全てのピークの2θおよび相対強度を一覧表示する。
Figure 2010527907
Figure 2010527907
本発明の化合物IVは、無水形態、ならびに水和および溶媒和形態で存在する場合があり、これらは本発明の範囲内に包含されることを意図している。表13は、化合物IVの結晶形態の各々についての独特の同定ピークセット(±0.2°2θ)を示す。
Figure 2010527907
化合物IVの固体(バレニクリンの遊離塩基形態C)を、10ボルトセラミックIR源、臭化カリウム(KBr)ビームスプリッター、および水銀−カドミウム−テルル化物(MCT)検出器を備えたIlluminatIR(商標)フーリエ変換赤外(FT−IR)マイクロ分光計(SensIR Technologies)を使用して、赤外分光法によって特性決定した。ダイヤモンド減衰全反射法(ATR)対物レンズ(ContactIR、SensIR Technologies)を、データ収集のために使用した。各スペクトルは、Happ−Genzelアポダイゼイションを使用して、4cm−1のスペクトル分解能で収集した100μmマスキングアパーチャを使用した100の共添加スキャンを表す。試料の調製は、周囲条件下で試料を標準のガラス製顕微鏡用スライド上に置くことからなった。ダイヤモンド減衰全反射法(ATR)対物レンズを使用して、バックグラウンドスペクトルを最初に得た。スペクトルを各試料の3つの異なる領域で得て、適切な標本抽出を確実にした。示したスペクトルは、3つの個別のスペクトルの算術平均から得る。650〜1900cm−1の領域については85の感度設定および90.0の強度閾値、ならびに2400〜3400cm−1の領域については85の感度設定および82.8の強度閾値を使用して、ThermoNicolet Omnicバージョン7.3ソフトウェアピークピッキングアルゴリズムを使用してピークを同定した。典型的には、この計器による方法に関する誤差は、±4cm−1である。2400〜1900cm−1の領域におけるダイヤモンドスペクトルの特徴は、全てのFT−ATRスペクトル中に存在する(Ferrer,N.;Nogues−Carulla,J.M.Diamond and Related Materials 1996、5、598〜602.Thongnopkun,P.;Ekgasit,S.Diamond and Related Materials 2005、14、1592〜1599)。化合物IVの形態CのFT−IRスペクトルを図9に示す。
Figure 2010527907
Figure 2010527907
化合物IVの固体(バレニクリン遊離塩基)の形態Cを、1064nmのNdYAGレーザーおよびInGaAs検出器を備えたThermoNicolet 960FT−ラマン分光計を使用して、ラマン分光法によって特性決定した。データ収集の前に、計器動作および較正確認を、ポリスチレンを使用して行った。試料をガラス製NMR管内で分析した。0.5Wのレーザー出力および100の共添加スキャンを使用してスペクトルを収集した。2cm−1の分解能およびHapp−Genzelアポダイゼイションを使用して全てのスペクトルを記録した。各試料について4つのスペクトルを記録し、スペクトル収集の間に45°の試料回転を伴った。各試料のスペクトルを共に平均化し、次いでピークピッキングの前に強度規格化を行った。ThermoNicolet Omnic7.3ソフトウェアピークピッキングアルゴリズムを使用してピークを同定した。化合物IVの形態Cについてのピークピッキングを、0.008の強度閾値および75の感度を使用して、2800〜3400cm−1領域について最初に行った。引き続き、0.017の強度閾値および88の感度を使用して、100〜1700cm−1領域についてピークピッキングを行った。この方法によって、これらのピークの位置の正確性は、+/−2cm−1である。化合物IVの形態CのFT−ラマンスペクトルを図10に示す。
Figure 2010527907
Figure 2010527907
化合物IVの固体(バレニクリン遊離塩基)の形態Cを、大口径のBruker−Biospin Avance DSX500MHz NMR分光計内に配置したBruker−Biospin4mm BL CPMASプローブ上で、周囲温度および周囲圧力での固体状態核共鳴分光法によって特性決定した。試料約80mgを4mmのZrOスピナー中にしっかりと充填し、試料をマジック角に配置し、15.0kHzで回転させた。高速回転速度は、回転サイドバンドの強度を最小化させた。スキャン数を調節して、適切なS/Nを得た。
プロトンデカップリング交差分極マジック角回転実験を使用して、13C固体状態のスペクトルを収集した(CPMAS;表16)。交差分極接触時間を2.0msに設定した。約90kHzのプロトンデカップリングフィールドを適用した。480スキャンを収集した。リサイクル遅延を380秒に調節した。スペクトルは、結晶性アダマンタンの外部標準を使用し、その高磁場共鳴を29.5ppmに設定して参照した。典型的には、この計器による方法と関連する誤差は、±0.2ppmである。化合物IVの形態Cの13C CPMASスペクトルを図11に示す。回転サイドバンドはアスタリスクを付けて記載する。
Figure 2010527907
本明細書に記載する方法を使用して生成した化合物IVの形態Cは、化合物IVのN−カルボキシバレニクリン付加体およびN−ホルミル付加体を含有している場合がある。化合物IVのN−カルボキシ付加体は、
Figure 2010527907
の構造であり、形態Cが高湿度で保管される場合に観察される。N−カルボキシバレニクリン付加体の公知の結晶形態は、図12に示されるX線粉末回折パターンを示し、ラマンスペクトルを図13において示す。このX線粉末回折およびラマンデータを生成するために使用されるロットは、残留化合物IVの形態Cを含有する場合がある。
N−ホルミルバレニクリン付加体は、
Figure 2010527907
の構造であり、本明細書に記載する晶析工程の母液中に観察される。それは下記の条件を使用したHPLCによって検出することができる。
水性緩衝液(0.1%H3PO4、水中の5mMのOSA):メタノール(66:34、v/v)
Agilent Zorbax SB−C18カラム、150mm長×4.6mm I.D.
カラム温度−50摂氏温度;UV検出(210nm
5マイクロリットルの注入量を用いて1.5mL/分の流量
N−ホルミルバレニクリン付加体は公知の化合物であり、米国特許出願公開第2004/0235850号に開示されている。N−ホルミル付加体の公知の結晶形態は、図14に示す計算されたパターンと一致するX線粉末回折パターンを示す。
N−カルボキシバレニクリン付加体の固体を、上記のようなSiemens D5000回折計上での粉末X線回折によって特性決定した。これらの固体は、残留化合物IVの形態Cを含有する場合がある。N−ホルミルバレニクリン付加体の固体を、単結晶X線回折によって特性決定し、粉末X線回折パターンを単結晶データから計算した。
表17は、N−カルボキシバレニクリン付加体の試料において3〜40°2θで約>0.5%の相対強度を有する全てのピークの2θおよび相対強度を一覧表示する。この試料は、残留化合物IVの形態Cを含有する場合がある。
Figure 2010527907
表18は、化合物IVのN−ホルミルバレニクリン付加体について試料において3〜40°2θで約>0.5%の相対強度を有する全てのピークの2θおよび相対強度を一覧表示する。
Figure 2010527907
表19は、N−カルボキシバレニクリン付加体およびN−ホルミルバレニクリンについてX線粉末回折反射を同定する独特のセットを示す。
Figure 2010527907
N−カルボキシバレニクリン付加体の固体は、上記のような1064nmのNdYAGレーザーおよびInGaAs検出器を備えたThermoNicolet960FT−ラマン分光計によるラマン分光法によって特性決定した(表20)。これらの固体は、残留化合物IVの形態Cを含有する場合がある。N−カルボキシバレニクリン付加体についてのピークピッキングを、0.045の強度閾値および70の感度を使用して、2800〜3400cm−1領域について最初に行った。引き続いて、0.051の強度閾値および81の感度を使用して、100〜1700cm−1領域についてピークピッキングを行った。この方法では、これらのピークの位置の正確性は+/−2cm−1である。
Figure 2010527907
Figure 2010527907
表21は、N−カルボキシバレニクリン付加体を化合物IVの形態Cから識別するために使用することができるN−カルボキシバレニクリン付加体についての独特なFT−ラマンバンドを示す。
Figure 2010527907
上記の結晶形態およびこれらの混合物の全ては、全ての様々な置換および組合せで上記の方法スキームにおいて効果的に利用することができる。様々な結晶形態は、特定の用途に適用できる中間体または最終生成物の両方として利用することができる。このような最終形態において、化合物IVは、広範囲の基準の医薬の導入の手段として経皮パッチにおける使用に有用である。
(実施例1)
マトリックス型経皮パッチ
バレニクリンの遊離塩基形態Cを、NACOR72−9965(National Starchの疎水性アクリルコポリマー)の水性分散液と混合して、フィルムキャスティング後に乾燥フィルム中の2%(w/w)濃度の活性成分を実現する。粘着性混合物を剥離性ポリマー膜(Rexam Release Technologies;W.Chicago、IL)上に注ぎ、対流オーブン内で60℃にて乾燥させ、切断して2mgA容量の活性成分を実現する。乾燥フィルムを、ポリエステルフィルムラミネート(SCOTCHPACK #1012、3M Pharmaceuticals;St.Paul、MN)に積層させる。
(実施例2)
マトリックス型経皮パッチ系
(1)バレニクリンの遊離塩基形態Cを、Duro−Tak(登録商標)387−2052 接着剤などのポリアクリレート溶液に溶解または分散させる。適切な溶媒、賦活剤および/または充填剤を粘着性分散液中に加え、よく混合する。このように得られた混合物から空気を除去し、Medirelease(登録商標)2228などの剥離ライナー上に積層させ、0.5〜2mmのコーティング厚さを形成する。接着剤層を室温で5〜10分間、次いで40〜80℃で15〜30分間乾燥させ、全ての揮発性溶媒を除去する。Mediflex(登録商標)1200などの裏打ちシートを、粘着側にコーティングする。所望の大きさのこのように得られたパッチを密封パッケージ中に保管する。
(2)バレニクリンの遊離塩基形態Cを、Duro−Tak(登録商標)87−6173などのポリイソブチレン(PIB)をベースとする接着剤に溶解または分散させる。下記の手順は、上記の項において説明したものと同様である。
(3)バレニクリンの遊離塩基形態Cを、Bio−PSA(登録商標)7−4302などのシリコーンをベースとする接着剤に溶解または分散させる。下記の手順は、上記の項において説明したものと同様である。

Claims (9)

  1. a)バレニクリンの総重量に対して2重量%未満の第1の不純物N−ホルミルバレニクリンと、
    b)バレニクリンの総重量に対して2重量%未満の第2の不純物N−カルボキシバレニクリン付加体と
    を含み、2θ(度)11.3、17.3、19.8、20.6および22.0+/−0.2のピークを含む、CuKα線を使用して得た粉末X線回折パターンを特徴とする、ヒト対象への投与に適切な実質的に純粋なバレニクリンの遊離塩基形態C。
  2. a)バレニクリンの総重量に対して2重量%未満の第1の不純物N−ホルミルバレニクリンと、
    b)バレニクリンの総重量に対して2重量%未満の第2の不純物N−カルボキシバレニクリン付加体と
    を含み、29.5ppmでの固相アダマンタンの外部試料を参照して、149.8、144.6、143.9、122.9、50.8および42.5+/−0.2ppmのピークを含む13Cプロトンデカップリング交差分極マジック角回転(CPMAS)固相NMRスペクトルを特徴とする、ヒト対象への投与に適切な実質的に純粋なバレニクリンの遊離塩基形態C。
  3. a)バレニクリンの総重量に対して1重量%未満の第1の不純物N−ホルミルバレニクリンと、
    b)バレニクリンの総重量に対して1重量%未満の第2の不純物N−カルボキシバレニクリン付加体と
    を含む、請求項1または2に記載の実質的に純粋なバレニクリンの遊離塩基形態C。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載の実質的に純粋なバレニクリンの遊離塩基形態Cを含む組成物。
  5. 経皮パッチを含み、前記実質的に純粋なバレニクリンの遊離塩基形態Cが分散した微粒子懸濁物である、請求項4に記載の組成物。
  6. 有機非塩素化溶媒を含む晶析溶媒または溶媒の組合せからバレニクリンを晶析させるステップを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の実質的に純粋なバレニクリンの遊離塩基形態Cの形成方法。
  7. 前記非塩素化溶媒または溶媒の組合せが、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、n−ヘプタン、オクタン、ノナンおよびデカンからなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
  8. 前記溶媒または溶媒の組合せが、トルエンおよびn−ヘプタンである、請求項7に記載の方法。
  9. 実質的に純粋なバレニクリンの遊離塩基形態Cのより小さな大きさの粒子を調製するためにシード添加を使用するステップをさらに含む、請求項6に記載の方法。
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