JP2010524820A - リチウム遷移金属リン酸化物のナノ粒子粉末の製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、リチウム遷移金属リン酸化物(LiMPO)を粒子径が100nm以下のナノ粒子粉末に合成をすることにより、リチウムイオンの粒子内拡散距離が急減されて理論値に相当する容量まで使用可能であり、短い時間内に高い電気伝導度を示すナノ粒子が形成可能である他、固相状態の原料物質を低い電気伝導度を有するという弱点を克服しながら600℃以下の低い温度条件下で4時間以下の短時間で熱処理することにより効率的に量産可能なリチウム遷移金属リン酸化物のナノ粒子粉末の製造方法に関し、リチウム、遷移金属及びリンを含む塩を出発物質として、10at%以下のナトリウム(Na)、カリウム(K)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジミウム(Pr)、ネオジミウム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)及びエルビウム(Er)よりなる群から選ばれるいずれか1種の元素を添加することにより混合原料粉末を得るステップと、250℃〜400℃の温度条件下で2時間から10時間1次熱処理を施すステップと、400℃〜700℃の温度条件下で2時間から24時間2次熱処理を施すことにより結晶核を均一に形成してナノ結晶粒子として成長させるステップと、を含んでなる。
【選択図】図5

Description

本発明は、最近リチウムイオン二次電池の次世代正極材料として大きく注目されているオリビン結晶構造を有するリチウム遷移金属リン酸化物、即ち、LiMPO(M=Fe、Mn、Co、Ni、Ti、Cu又はこれらの混合物)の合成及び工程条件とその応用に係り、更に詳しくは、リチウム遷移金属リン酸化物(LiMPO)(ここで、M=Fe、Mn、Co、Ni、Ti、Cu又はこれらの混合物)を粒子径が100nm以下のナノ粒子粉末に合成をすることにより、リチウムイオンの粒子内拡散距離が急減されて理論値に相当する容量まで使用可能であり、短い時間内に高い電気伝導度を示すナノ粒子が形成可能である他、固相状態の原料物質を低い電気伝導度を有するという弱点を克服しながら600℃以下の低い温度条件下で4時間以下の短時間で熱処理することにより効率的に量産可能なリチウム遷移金属リン酸化物のナノ粒子粉末の製造方法に関する。
最近の携帯用・無線電子製品の開発の活発化には目を見張るものがあり、これに伴い、これら製品の小型化及び軽量化のために高いエネルギー密度を有する二次電池が切望されているのが現状である。
この種の二次電池として、鉛蓄電池、ニッケルカードミウム(ニッカド)電池、ニッケル水素電池などが多用され、最近にはリチウムイオン電池が多用されているのが現状である。特に、リチウムイオン電池は、1991年に最初に商用化されて以来、軽量であり、しかも、高いエネルギー密度を有するとして汎用されている。
上述したリチウムイオン電池の正極材料として、岩塩結晶構造をベースとする層状構造のリチウムコバルト酸化物(LiCoO)はこれまで最も汎用される材料であり、リチウムイオン電池を構成する素材のうち最も核心的な部分として認識されてきている(特許文献1参照。) 。
しかしながら、上述したリチウムコバルト酸化物(LiCoO)は、コバルト(Co)原料そのものが鉄(Fe)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)などの他の遷移金属物質に比べて相対的に高価であり、しかも環境的に有害であるという欠点がある。この理由から、コバルト(Co)をマンガン(Mn)やニッケル(Ni)に置き換えて合成した固溶体酸化物を開発するための研究が絶えずなされている。
また、前記リチウムコバルト酸化物(LiCoO)などの層状構造の酸化物材料は、リチウムイオンの充放電反応時に酸素が放出されて構造的安定性に劣っているという欠点がある。
更に、前記リチウムコバルト酸化物(LiCoO)は、粒子径がnmのスケールに小さくなると、急激な酸化、還元反応による爆発の危険性が極めて大きくて安全性に対する根本的な問題が絶えず提起されているため、高い出力特性を得るために広い比表面積を有するnm寸法の粒子を製造して使用するには限界があるという不都合がある。
このようにリチウムコバルト酸化物(LiCoO)を正極材料として使用するに当たって数多くの問題点が顕在化するに伴い、より高いエネルギー密度を有する特性に加えて、過充電や過熱による爆発を防止して安定性を確保するために、新たな合成方法や既存の酸化物素材とは全く異なる新規な正極材料の開発に関する研究が活気を帯びている。中でも、オリビン構造のリチウム遷移金属リン酸化物(LiMPO)(ここで、M=Fe、Mn、Co、Ni、Ti、Cu又はこれらの混合物)は、将来の次世代正極材料として多大な関心を引き寄せている(特許文献2参照。)。
米国テキサス大学のグッドイナフ教授グループが1997年に最初に前記リチウム遷移金属リン酸化物(LiMPO)の一種であるリチウム鉄リン酸化物(LiFePO)においてリチウムイオンの電気化学的な充放電反応が起こりうるということを実験的に証明して以来(特許文献3参照。) 、多くの研究グループにおいてリチウム遷移金属リン酸化物(LiMPO)の様々な合成方法を提示し、実際に正極物質として応用するための研究がなされている。
一般的に、リチウム遷移金属リン酸化物(LiMPO)は、M’M”(XO)(ここで、M’及びM”=遷移金属を含む金属陽イオン、X=P、S、As、Mo、Si又はB)の化学式で表わすことができ、結晶構造は、MgFe(SiO)のオリビン鉱物と同じ構造を有する化合物である。リチウム遷移金属リン酸化物(LiMPO)において、リチウム(Li)はM’位の酸素八面体に位置し、遷移金属(M)はM”位の酸素八面体に位置して規則的オリビン構造をなしているという特徴を示す。リチウム遷移金属リン酸化物(LiMPO)の中でも、リチウム鉄リン酸化物(LiFePO)及びLi(Fe、Mn)POの化合物は既にトリフィライトという名称の天然鉱物としてよく知られている物質である。
このようなリチウム遷移金属リン酸化物(LiMPO)をリチウムイオン電池の正極材料として使用するためには、熱的・化学的安定性が求められるが、リチウム遷移金属リン酸化物(LiMPO)の結晶構造を見ると、リン(P)と酸素(O)が強い共有結合を形成しながら四面体構造を形成しているため、リチウムイオンの充放電反応時に酸素が放出されて構造的安定性が低下するという欠点を持った既存の層状構造の酸化物材料とは異なり、熱的・化学的にかなり安定しているという大きなメリットがある。
これらに加えて、リチウム遷移金属リン酸化物(LiMPO)をリチウムイオン電池の正極材料として使用するために求められる技術的に他の重要な事項は、電気伝導度に関することである。一般的に、リチウムイオン電池において用いられる電極材料は、酸化、還元反応による分極効果を極力抑え、接続された外部抵抗に効果的に電子を供給するために電気伝導度に優れている必要があるということを基本要件とする。前記リチウム遷移金属リン酸化物(LiMPO)は、遷移金属(M)と酸素(O)の八面体が1次元鎖状に連結されており、直交座標系からみたときに別の酸素八面体内にリチウムイオンがy軸方向に規則的な1次元的配列をしているため、リチウムイオンのy軸方向移動度が極めて高いことが予測されている(特許文献4参照。)。
前記リチウム遷移金属リン酸化物(LiMPO)の一種であるリチウム鉄リン酸化物(LiFePO)においてリチウムイオンの電気化学的な充放電反応が起こりうるということが実験的に立証されて以来、前記リチウム鉄リン酸化物(LiFePO)に関する研究が持続的になされている。
しかしながら、前記リチウム鉄リン酸化物(LiFePO)は電気伝導度が10−9S/cm以下であって、常温下では実質的に絶縁体であると見られるため、リチウムイオン電池において用いられる電極材料に、酸化、還元反応による分極効果を極力抑えること、及び接続された外部抵抗に効果的に電子を供給するためには電気的に伝導度に優れていることが求められるということを考慮するとき、前記リチウム鉄リン酸化物(LiFePO)は、優れた結晶学的、熱的、化学的特性にも拘わらず、実際にリチウムイオン電池における正極材料として使用するには不向きであるという致命的な欠点を有していることが判明した。
このような欠点を克服するための種々の実験的接近方法が試みられているが、電気伝導度に優れた黒鉛を含む種々の炭素物質を既に合成されたリチウム鉄リン酸化物(LiFePO)粒子の表面にコーティングして粒子と粒子との間の抵抗を低減して電子が十分に伝導可能な経路を提供する方法を使用したり(特許文献5参照。)、又は、リチウム鉄リン酸化物(LiFePO)粒子の合成時に小さなの銀や銅金属粒子を一緒に添加して電気伝導度の向上を図ろうとする研究がなされている(特許文献6参照。)。
しかしながら、これらのほとんどの研究方法及び試みは、その製造工程にコーティング工程を更に必要とするか、或いは、電極材料とは無関係な不活物質が添加されるという別の欠点を有している。このため、リチウム遷移金属リン酸化物(LiMPO)に関する他の研究方法を探る必要がある。
G.-A. Nazri and G. Pistoia, "Lithium Batterries", Kluwer Academic Publusher, 2004 J.-M. Tarascon and M. Armand, Nature, Vol.414, p.359 (2001))。 A. K. Padhi, K. S. Nanjundaswamy, and J. B. Goodenough, J. Electrochem. Soc., Vol.144, p.1188 (1997) D. Morgan, A. Van der Ven, and G. Ceder, Electrochem. Solid-State Lett., Vol.7, p.A30 (2004) H. Huang, S. C. Yin, and L. F. Nazar, Electrochem. Solid-State Lett., Vol.4, p.A170 (2001); Y.-H. Huang, K.-S. Park, and J. B. Goodenough, J. Electrochem. Soc., Vol.153, p.A2282 (2006) F. Croce et al., Electrochem. Solid-State Lett., Vol.5, p.A47 (2002)
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、リチウム遷移金属リン酸化物(LiMPO)(ここで、M=Fe、Mn、Co、Ni、Ti、Cu又はこれらの混合物)を粒子径が100nm以下のナノ粒子粉末に合成をすることによりリチウムイオンの粒子内拡散距離が急減されて理論値に相当する容量まで使用可能なリチウム遷移金属リン酸化物のナノ粒子粉末の製造方法を提供するところにある。
本発明の他の目的は、通常の固相状態合成は、400℃以下の1次熱処理を通じてカーボネート、オキサレート、アンモニウムフォスフェイトなどの原料物質に含有されていた炭素(C)、水素(H)、酸素(O)、アンモニウム(NH)などを分解するステップと、この1次熱処理された物質を500℃以上の温度条件下で2次熱処理して結晶化させるステップと、を含んでなるが、このような基本組成に、イオン半径が相対的に大きなカリウム(K)とナトリウム(Na)のアルカリ元素をはじめとして、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジミウム(Pr)、ネオジミウム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、エルビウム(Er)などのランタン系の元素を添加することにより、短い時間内に高い電気伝導度を示すナノ粒子を形成可能なリチウム遷移金属リン酸化物のナノ粒子粉末の製造方法を提供するところにある。
本発明の更に他の目的は、固相状態の原料物質を低い電気伝導度を有するという弱点を克服しながら600℃以下の低い温度条件下で4時間以下の短時間で熱処理することにより、数十nm寸法の微細なリチウム遷移金属リン酸化物(LiMPO)のナノ微粒子粉末を効率的に量産可能なリチウム遷移金属リン酸化物のナノ粒子粉末の製造方法を提供するところにある。
本発明の更に他の目的は、高いエネルギー密度と、数分以内の急速充電が行える高速な充放電性能、及びこれに基づく高い出力密度の放電性能特性を示すリチウム遷移金属リン酸化物のナノ粒子粉末の製造方法を提供するところにある。
一般的に、単一組成からなる1成分系金属ナノ粒子や2成分系金属間化合物又はその酸化物に対するナノ粒子の製造に関する種々の方法が提示されて容易に製造可能であるとはいえ、リチウム遷移金属リン酸化物(LiMPO)のように4個の複合元素から構成されているだけではなく、各元素が結晶構造内において規則的に配列されている必要がある物質に対するナノ微粒子の合成はかなり困難かつ煩雑である。このため、リチウム遷移金属リン酸化物(LiMPO)に対して、製造工程が単純であり、しかも、大量的に合成し易い製造方法を提示することは技術的に極めて重要な課題であり、本発明はこのような課題を解決するためのものである。
本発明の一側面によれば、上述した目的及び本発明の他の目的は、リチウム、遷移金属及びリンを含む塩を出発物質として、10at%以下のナトリウム(Na)、カリウム(K)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジミウム(Pr)、ネオジミウム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)及びエルビウム(Er)よりなる群から選ばれるいずれか1種の元素を添加することにより混合原料粉末を得るステップと、250℃〜400℃の温度条件下で2時間から10時間1次熱処理を施すステップと、400℃〜700℃の温度条件下で2時間から24時間2次熱処理を施すことにより結晶核を均一に形成してナノ結晶粒子として成長させるステップと、を含んでなることを特徴とするリチウム遷移金属リン酸化物のナノ粒子粉末の製造方法により達成可能である。
本発明の一実施態様によれば、好ましくは、前記出発物質は、カーボネート、オキサレート、アセテート、アンモニウムフォスフェイト及びこれらの混合物よりなる群から選ばれる。
好ましくは、前記カーボネートは、炭酸リチウム(LiCO)からなり、前記オキサレートは、MC(2HO)(ここで、M=Fe、Mn、Co、Ni、Ti、Cu又はこれらの混合物)からなり、前記アンモニウムフォスフェイトは、リン酸二水素アンモニウム(NHPO)を含んでなる。
好ましくは、前記ナトリウム(Na)のための添加物は、炭酸ナトリウム(NaCO)からなり、前記カリウム(K)のための添加物は、炭酸カリウム(KCO)からなり、前記ランタン系の元素のための添加物は、含炭素塩原料としてのA(C(nHO)(ここで、A=La、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、Er、1≦n≦9)を含んでなる。
好ましくは、前記ランタン系の元素のための添加物は、Ce(C(9HO)、Nd(C(5HO)、Gd(C(5HO)、Er(C(5HO)及びこれらの混合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種である。
好ましくは、前記添加により初期の化学量論組成が(Li1−x)(M1−y)PO又は(LiA)(MB)PO(ここで、A若しくはB=Na、K、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd又はEr、0<x≦0.1、0<y≦0.1)になる。
好ましくは、前記混合粉末は、アセトンを溶媒として湿式混合した後に乾燥して得られる。
好ましくは、前記1次熱処理及び前記2次熱処理は、アルゴン(Ar)、窒素(N)及び一酸化炭素/二酸化炭素(CO/CO)から選ばれるいずれか1種のガスが1分当たりに100cc〜500ccの流量にて流れる雰囲気下で行われる。
好ましくは、前記1次熱処理は、350℃の温度条件下で5時間以下で行われる。
好ましくは、前記ナノ結晶粒子は、100nm以下の粒径を有する。
好ましくは、前記ナノ結晶粒子は、オリビン構造を有する。
好ましくは、前記ナノ結晶粒子は、200kΩから800kΩの抵抗値を有する 。
後述するように、本発明によれば、単純な固相合成法に基づき、500℃以下の低温において10時間以内の短い時間内に100nm以下の均一なサイズを有するリチウム遷移金属リン酸化物のナノ粒子を手軽に製造することができる。特に、液状の原料や煩雑なコーティング工程などを全く伴うことなく、安価な固相の塩をもって合成する方法であるため、容易に量産可能であるというメリットがある。加えて、このような製造方法を用いて合成されたリチウム遷移金属リン酸化物のナノ粒子は優れた電気伝導度を有しており、結晶格子内のリチウムイオンと遷移金属イオンとの間の不規則混合欠陥もないため電気化学的に極めて優れた性能を示すという極めて大きなメリットを有している。このため、実際にリチウムイオン二次電池の正極活物質として応用される場合に優れた放電容量を基に高いエネルギー密度を示すことができ、更に重要には、短時間での充電及び放電性能を基に極めて高い出力密度特性を示す電池が製造可能であるという効果がある。
は、本発明における均一なサイズのナノ粒子製造のために必要とされる概念を比較して示す模式図である。 は、本発明による実施例1において製造された粉末試片のX線回折パターンの比較結果であり、350℃の温度条件下で1次仮焼熱処理を施した3個のリチウム鉄リン酸化物(LiFePO)試片を比較して示している。 は、本発明による実施例1において、4mol%のナトリウム(Na)添加リチウム鉄リン酸化物(LiFePO)粉末と、4mol%のカリウム(K)添加リチウム鉄リン酸化物(LiFePO)粉末をそれぞれ350℃の温度条件下で1次仮焼熱処理した後の透過電子顕微鏡組織写真図である。 は、本発明による実施例1において、4mol%のナトリウム(Na)添加リチウム鉄リン酸化物(LiFePO)及び4mol%のカリウム(K)添加リチウム鉄リン酸化物(LiFePO)を450℃の温度条件下で2次熱処理した後に得たナノ粒子試片のX線回折パターンである。 は、本発明による実施例1において、4mol%のナトリウム(Na)添加リチウム鉄リン酸化物(LiFePO)粉末と、4mol%のカリウム(K)添加リチウム鉄リン酸化物(LiFePO)粉末をそれぞれ450℃の温度条件下で2時間から3時間2次熱処理した後の透過電子顕微鏡組織写真図である。 は、本発明による実施例1において製造された4mol%のカリウム(K)添加リチウム鉄リン酸化物(LiFePO)ナノ粒子試片の格子イメージを示す高分解能透過電子顕微鏡(HRTEM)写真図である。 は、本発明による実施例1において、4mol%のカリウム(K)添加リチウム鉄リン酸化物(LiFePO)を850℃の温度条件下で2次焼結熱処理した後に得た多結晶体の微細組織を示す光学顕微鏡写真図である。 は、本発明による実施例2において、2mol%のエルビウム(Er)添加リチウム鉄リン酸化物(LiFePO)粉末と、2mol%のセリウム(Ce)添加リチウム鉄リン酸化物(LiFePO)粉末をそれぞれ500℃の温度条件下で2次熱処理した後の透過電子顕微鏡(TEM)組織写真を示している。 は、本発明による実施例2において、2mol%のエルビウム(Er)添加リチウム鉄リン酸化物(LiFePO)を500℃の温度条件下で2次熱処理した後に得たナノ粒子試片の透過電子顕微鏡組織及び凝集された部分において相異なる格子イメージを示す高分解能透過電子顕微鏡写真図である。 は、本発明による実施例3において、4mol%のカリウム(K)添加リチウム鉄リン酸化物(LiFePO)をリチウムの化学量論比を異ならせて350℃の温度条件下で1次仮焼熱処理した後に得た粉末試片のX線回折パターンである。 は、本発明による実施例3において、4mol%のカリウム(K)添加リチウム鉄リン酸化物(LiFePO)をリチウムの化学量論比を異ならせて450℃の温度条件下で2次仮焼熱処理した後に得た粉末試片のX線回折パターンである。 は、本発明による実施例4において、5mol%のナトリウム(Na)添加リチウム鉄リン酸化物(LiFePO)、リチウムマンガンリン酸化物、リチウムコバルトリン酸化物を450℃の温度条件下で2次熱処理した後に得たナノ粒子試片の透過電子顕微鏡組織写真図である。 は、本発明による実施例4において、4mol%のナトリウム(Na)添加リチウムコバルトリン酸化物を700℃の温度条件下で2次焼結熱処理した後に得た多結晶体の微細組織を示す光学顕微鏡写真図である。 は、本発明の分析例1において、透過電子顕微鏡を用いて観察したナノ粒子の形成過程を示す高分解能透過電子顕微鏡写真図である。 は、本発明の分析例2において、高角環状暗視野(HAADF:High-Angle Annular Dark Field)法を用いて観察したリチウム鉄リン酸化物(LiFePO)の結晶格子イメージである。 は、この試験例2において用いられた多結晶リチウム鉄リン酸化物(LiFePO)試片の代表的な微細組織写真図である。 は、本発明の試験例2において、マイクロプローブと白金(Pt)マイクロ電極を用いて粒子と粒子との間の電流−電圧関係を測定した結果である。 は、本発明の実施例1において製造された4mol%のナトリウム(Na)添加リチウム鉄リン酸化物(LiFePO)のナノ粒子を用いて実施した充電、放電特性を測定した試験例3における電池テスト結果である。 は、本発明の実施例1及び3において製造された4mol%のカリウム(K)添加リチウム鉄リン酸化物(LiFePO)のナノ粒子を用いて実施した充電、放電特性を測定した試験例3における電池テスト結果である。 は、本発明の実施例1において製造された4mol%のナトリウム(Na)添加リチウム鉄リン酸化物(LiFePO)のナノ粒子を用いて実施した電池テスト結果を種々の放電率による容量変化にて示すグラフである。
以下、上述した構成による本発明の製造過程を更に詳述する。
図1は、結晶化の核生成時期を調節して最終粒子径を小さく維持するだけではなく、その分布を狭くできる概念を模式的に示している。図1aに示すように、全体の合成工程を通じて、熱処理を施す間に不規則的に結晶核が生成されることを最大限に防止しなければならない。このために、図1bに示すように、初期熱処理時に均一に核が生成されるように調節してこそ最終的に成長した粒子径と分布が小さく均一になる。
このように初期熱処理時に均一に核が生成されるようにするために、アルカリ金属又はランタン系の金属を添加するが、先ず、リチウムと遷移金属及びリンを含むカーボネート、オキサレート、アセテート、アンモニウムフォスフェイトなどの塩を出発物質とし、10mol%以下のナトリウム(Na)、カリウム(K)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジミウム(Pr)、ネオジミウム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)及びエルビウム(Er)よりなる群から選ばれるいずれか1種の元素又はこれらの混合物を添加して、初期の化学量論組成を(Li1−x)(M1−y)PO又は(LiA)(MB)PO(ここで、A若しくはB=Na、K、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、Er、0<x≦0.1、0<y≦0.1)にする。
次に、これらの原料粉末を添加物粉末とともにアセトンを溶媒として湿式混合した後に乾燥して得られた混合原料粉末を250℃〜400℃の温度条件下で2時間から10時間1次仮焼する。このとき、酸素未含有のアルゴン(Ar)、窒素(N)、一酸化炭素/二酸化炭素(CO/CO)などのガスを1分当たりに100cc〜500ccの流量にて流しながら熱処理する。このような1次熱処理時には、原料粉末に含まれていた炭素(C)、水素(H)、酸素(O)、アンモニア(NH)などが分解されて非晶質のリチウム遷移金属リン酸化物(LiMPO)が形成される。もし、400℃以上の温度条件下で10時間以上熱処理すれば、非晶質の物質から徐々に結晶核が生成されて最終的に不均一的に粗大化された粒子が生成されるため、不均一な核の生成を極力抑えるためには、好ましくは、1次熱処理は350℃の温度条件下で5時間以下で行われる。
次に、このようにして得られた非晶質粉末を常温まで冷却した後、同じガス雰囲気下で、400℃〜700℃の温度条件下で2時間から24時間2次熱処理を更に行う。この2次熱処理を通じて非晶質相から結晶核が生成され、それを中心としてnm寸法の粒子に成長する。このため、2次熱処理の温度と時間を適切に調節することにより、所望の寸法のリチウム遷移金属リン酸化物(LiMPO)(ここで、M=Fe、Mn、Co、Ni、Ti、Cu又はこれらの混合物)のナノ微粒子を製造することができる。
一般的に、炭酸ナトリウム(NaCO)や炭酸カリウム(KCO)のようにアルカリ金属イオンを含んでいる塩の融点はほどんどの場合に極めて低い。このため、これらの添加物は、1次熱処理に際し、比較的に低温である250℃〜400℃の温度条件下でもリチウムと遷移金属及びリンを含む他の原料塩を互いに効果的に反応させて結晶質核生成が極力抑えられた非晶質の出発物質に合成するような役割を果たす。また、より高温下で行われる2次熱処理時には、均一に形成された結晶核の周りにナノ粒子が成長するため、熱処理温度と時間を適切に調節すれば、非晶質相から数十nmの寸法を有するリチウム遷移金属リン酸化物(LiMPO)のナノ結晶粒子を製造することができる。
加えて、多数回に亘っての実験を通じて、アルカリ金属であるナトリウム(Na)及びカリウム(K)だけではなく、ランタン系元素であるランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジミウム(Pr)、ネオジミウム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、エルビウム(Er)なども同じ効果を示すということを見出した。
本発明においては、1次熱処理時に不所望の巨大粒子が生成されないように非晶質相を維持するように調節することが何よりも重要である。上述したアルカリ金属イオンとランタン系の金属イオンの添加物は、低温での1次熱処理時には出発原料の融点を下げて容易に非晶質状態にし、かつ、結晶質に切り換わる相転移を最大限に抑える役割を果たし、また、相対的に高温での2次熱処理時には非晶質相から均一に結晶核が生成されるようにして、最終的にはそのサイズがいずれも同様であり、かつ、nmレベルの小さな超微細結晶粒子を形成する役割を果たす。
このため、本発明は、このようなアルカリ元素とランタン系元素を10mol%以内に添加して結晶粒子の核生成速度を均一にすることにより、最終的に微細でかつ均一なリチウム遷移金属リン酸化物(LiMPO)(ここで、M=Fe、Mn、Co、Ni、Ti、Cu又はこれらの混合物)ナノ粒子を製造することが可能になる。
既存の他の研究者らにより測定されたリチウム遷移金属リン酸化物(LiMPO)(ここで、M=Fe、Mn、Co)の電気伝導度は10−9〜10−12S/cm以下であって、電気的絶縁体であることが知られているが、本発明の製造方法により製造された粒子は少なくとも10−3S/cm以上の向上した電気伝導度特性を示す。アルカリ元素とランタン系元素の添加物は、イオン半径がリチウムイオン(Li)や遷移金属イオン(Fe2+、Mn2+、Co2+、Ni2+、Ti2+、Cu2+)よりも遥かに大きなため、リチウム遷移金属リン酸化物(LiMPO)の結晶格子の内部に溶け込むことなく、ほとんどの場合に最終的には二次相を形成することになる。参考までに、各元素のイオン半径(単位nm)を比較してみると、Liは0.076、Fe2+は0.078、Mn2+は0.083、Co2+は0.075、Ni2+は0.069、Ti2+は0.086、Cu2+は0.073であり、そして、Kは0.138、Naは0.102、La3+は0.103、Ce4+は0.087、Nd3+は0.098、Sm3+は0.096、Gd3+は0.094、Er3+は0.089である。このように添加されたイオンが400℃以上の温度において2次熱処理される場合に、生成された結晶核を中心として比較的に高速にて結晶成長及び巨大化を引き起こすのに重要な役割を果たすということを高分解能透過電子顕微鏡による高温リアルタイム観察を通じて確認した。このような熱力学的な準安定成長過程中に、結晶格子の内部にリチウムイオン(Li)の空孔が形成されたり、或いは、出発物質に存在していた炭素原子が格子の内部に入り込んでリン(P)イオンを置き換えることができる。この場合、リチウムイオン(Li)空孔と炭素原子はイオン化されて相対的に陰の有効電荷を帯びることになる。このため、結晶格子の内部においては全体的に電気的な中性条件を常に満足しなければならないため、生成されたリチウムイオン(Li)の空孔や、置換された炭素原子の陰の有効電荷を補償するために、一部の遷移金属イオンは2+の原子価の代わりに3+の原子価を有することになる。このため、M2+とM3+との間の正孔移動による伝導度の増加効果が得られる。特に、出発物質に最初から存在していた炭素が溶け込む場合には遥かに容易に陰の有効電荷を有することができるため、一部の遷移金属イオンが2+の原子価の代わりに3+の原子価を有する確率は高くなる。このため、更に好ましくは、原料出発物質として、炭素原子が含まれているカーボネート、オキサレート、アセテート、アンモニウムフォスフェイトなどの出発物質を用いて製造すれば、電気的に優れた伝導度を帯びるリチウム遷移金属リン酸化物(LiMPO)粒子を製造することができる。
また、一方では、本発明を通じて、リチウム(Li)及び遷移金属(M)の陽イオンが結晶格子内に規則的に配列された粒子を短時間内に製造することができる。上述したように、リチウム遷移金属リン酸化物(LiMPO)は、理論的に単位結晶格子内においてリチウム(Li)はM’位の酸素八面体に位置し、遷移金属(M)はM”位の酸素八面体に位置して規則的オリビン構造をなすことになる。しかしながら、(MgFe)SiOの鉱物において既に報告されているように、オリビン構造の物質においては、M’位及びM”位の陽イオンが互いに不規則的に位置する不規則混合欠陥が存在する可能性がある。特に、最近の研究結果として、リチウム鉄リン酸化物(LiFePO)における不規則混合欠陥形成エネルギーが他のイオン空孔欠陥形成エネルギーよりも低いことが発表され(M. S. Islam, D. J. Driscoll, C. A. J. Fisher, and P. R. Slater, Chem. Mater., Vol.17, p.5085 (2005))、高温熱処理時に容易に発生しうる欠陥であることが分かる。もし、リチウムイオンが存在するM’位に遷移金属イオンが位置すれば、充放電反応時にリチウムイオンの移動経路上に遷移金属イオンが存在して結晶格子においてリチウムイオンの移動を妨げる役割を果たすため放電容量を減少させるだけではなく、リチウムイオンの高速拡散を阻害するため出力特性にも悪影響を及ぼしてしまう。このため、結晶学的に規則的な陽イオン配列を持つリチウム遷移金属リン酸化物(LiMPO)物質を製造することは極めて重要である。
本発明により製造されたリチウム遷移金属リン酸化物(LiMPO)物質をHAADF−STEM像(高角度円環暗視野走査型透過電子顕微鏡像)により観察した結果、極めて規則的な陽イオン配列を有していることが確認された。特に、合成に際し、初期組成において、リチウムイオンと遷移金属イオンとの間の化学量論比が正確に1:1ではなく、1−x:1又は1:1−x(0<x≦0.1)となるように製造しても、いずれも超微細ナノ結晶粒子に合成されるということが確認された。即ち、リチウム(Li)と遷移金属(M)のイオンとの間の割合が1:1ではない状態から出発して合成しても、最終的な粒子径の調節や電気伝導度及び電気化学的特性には影響を及ぼさないということが見出された。このため、製造に際して陽イオンの割合を正確に調節しなくても済むため、遥かに広い領域の非化学量論比を有することになり、その結果、製造上の利便性を確保することができるという大きなメリットを有する。
本発明においては、10mol%以下のナトリウム(Na)、カリウム(K)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジミウム(Pr)、ネオジミウム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)及びエルビウム(Er)の元素を添加して初期の化学量論組成が(Li1−x)(M1−y)PO又は(LiA)(MB)PO(ここで、A若しくはB=Na、K、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、Er、0<x≦0.1、0<y≦0.1、M=Fe、Mn、Co、Ni、Ti、Cu又はこれらの混合物)となるように調節することにより、既存よりも更に低い温度条件下で短時間で合成してサイズが100nm以下の超微細ナノ結晶粒子を製造することができるということを示す。
そして、このようにして製造されたリチウム遷移金属リン酸化物(LiMPO)結晶粒子は、既存の合成法により製造された粒子よりも遥かに優れた電気伝導度を示し、かつ、リチウム(Li)イオンと遷移金属(M)イオンが結晶格子内のM’位とM”位に互いに規則的に配列されているという特徴を有している。
このように様々なメリットを有しているため、リチウムイオン二次電池などの電気化学電池において正極材料として用いられる場合、理論容量に相当する160mAh/gに近い充放電容量値を有することができる。また、格子内におけるリチウムイオンの高速移動が伴われるため、数分内に充放電可能な、即ち、高い出力密度を有する更に別の優れた電気化学的特性を示すことができる。
以下、本発明を、本発明が属する技術分野において通常の知識を持った者が本発明を容易に実施できる程度に詳細に説明するために、本発明の最も好適な実施例、分析例及び試験例を添付図面に基づいて詳細に説明する。本発明の目的、作用、効果を含んで、その他の目的、特徴点、及び動作上の利点が好適な実施例の説明により更に明らかになるであろう。
参考までに、ここに開示される実施例は種々の実施可能な例のうち当業者の理解に一助となるために最も好適な実施例を選定して提示したものに過ぎず、本発明の技術的思想が必ずこれらの実施例によってのみ限定されたり制限されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内において種々の変化と付加及び変更が可能であるということはもちろん、均等な他の実施例が可能であることを明らかにしておく。
なお、以下に使用する「C rate」という用語は、電池テストを行う場合に充電又は放電を1時間行えるように測定条件を調節することを意味する。また、更に一般的に、「C/n rate」という用語は、充電又は放電をn時間行えるように調節することを意味する。
<実施例1>
この実施例1においては、先ず、アルカリ元素であるカリウム(K)又はナトリウム(Na)添加(Li1−x)FePO又はLi(Fe1−x)PO(ここで、A=Na又はK、0<x≦0.1、0<y≦0.1)の出発組成を有するリチウム鉄リン酸化物(LiFePO)ナノ結晶粒子を製造する方法を説明しようとする。
これらを製造するために用いられた出発原料粉末は、炭酸リチウム(LiCO)、シュウ酸第一鉄(FeC(2HO))、リン酸二水素アンモニウム(NHPO)である。また、添加物として用いられた粉末は、炭酸ナトリウム(NaCO)と炭酸カリウム(KCO)である。3種類の出発原料粉末及び添加物として用いられた粉末はいずれも純度が99.5%以上である。
先ず、添加物が入っていない純粋なリチウム鉄リン酸化物(LiFePO)粉末を合成するために、0.5:1:1のモル比にて炭酸リチウム(LiCO)、シュウ酸第一鉄(FeC(2HO))、リン酸二水素アンモニウム(NHPO)の粉末を準備する。次に、これらをジルコニアセラミックボールと一緒にジルコニアミルジャーに入れ、アセトン(99.9%純度)を溶媒として24時間湿式ミルして粉砕及び混合する。その後に乾燥してアセトン以上溶媒を完全に除去した後、空気との接触による酸化現象を防ぐためにアルゴン(Ar)ガス入りグローブボックス内に直ちに入れて保管する。
また、4mol%のナトリウム(Na)及びカリウム(K)添加リチウム鉄リン酸化物(LiFePO)の粉末を合成するために同じ方法により混合粉末を準備する。特に、リチウム(Li)と鉄(Fe)の化学量論比を異ならせて混合粉末を準備した後、互いに比較してみる。
最初に、4mol%のカリウム(K)添加リチウム鉄リン酸化物(LiFePO)粉末を合成するために、0.5:1:1のモル比にて混合された炭酸リチウム(LiCO)、シュウ酸第一鉄(FeC(2HO))、リン酸二水素アンモニウム(NHPO)の混合粉末を準備する。第二に、4mol%のカリウム(K)添加LiFe0.98PO粉末を合成するために、0.5:0.98:1のモル比にて混合された炭酸リチウム(LiCO)、シュウ酸第一鉄(FeC(2HO))、リン酸二水素アンモニウム(NHPO)の混合粉末を準備する。第三に、4mol%のナトリウム(Na)添加LiFe0.98PO粉末を合成するために、0.5:0.98:1のモル比にて混合された炭酸リチウム(LiCO)、シュウ酸第一鉄(FeC(2HO))、リン酸二水素アンモニウム(NHPO)の混合粉末を準備する。第四に、5mol%のナトリウム(Na)添加Li0.95FePO粉末を合成するために、0.475:1:1のモル比にて混合された炭酸リチウム(LiCO)、シュウ酸第一鉄(FeC(2HO))、リン酸二水素アンモニウム(NHPO)の混合粉末を準備する。
このようにして準備された4種類の粉末混合物に上述したように4〜5mol%のナトリウム(Na)若しくはカリウム(K)を添加するために炭酸ナトリウム(NaCO)と炭酸カリウム(KCO)を使用する。純粋なリチウム鉄リン酸化物(LiFePO)粉末を準備するときと同じ方法により混合、ミル、乾燥した後、アルゴン(Ar)が充填されたグローブボックスに粉末混合物を保管する。そして、このようにして準備された4種類の混合物の凝集粉末をそれぞれグローブボックスにおいて乳鉢と乳棒を用いて更に粉砕する。このようにして粉砕した後にそれぞれの混合粉末をアルミナ坩堝に入れて350℃の温度条件下で2時間から5時間1次仮焼熱処理する。このとき、酸素の流入による鉄(Fe)イオンの酸化を防ぐために、400cc/minの流量にて99.999%純度のアルゴン(Ar)ガスを流しながら熱処理して1次的に合成された粉末を得る。
図2は、合成された粉末のX線分析結果を比較して示すものである。図2から明らかなように、ナトリウム(Na)未添加やカリウム(K)未添加の純粋なリチウム鉄リン酸化物(LiFePO)粉末の場合(図2a)には、X線の回折ピークが相対的に極めて強く現れるのに対し、ナトリウム(Na)添加粉末の場合(図2b)やカリウム(K)添加粉末の場合(図2c)には強度が極めて弱いだけではなく、半値全幅(FWHM:Full Width at a Half Maximum)がかなり広い回折ピークを観察することができる。即ち、純粋なリチウム鉄リン酸化物(LiFePO)粉末の場合(図2a)には既に結晶化及び粒子の粗大化がかなりなされていることが分かるが、これとは異なり、ナトリウム(Na)やカリウム(K)添加粉末の場合(図2b、図2c)には添加物の影響によりほとんど非晶質状態で残っており、これらの一部だけが小さなナノ結晶核として存在していると予測することができる。
このような事実は、透過電子顕微鏡(TEM)を用いた直接的観察を通じて再確認される。図3は、4mol%のナトリウム(Na)添加リチウム鉄リン酸化物(LiFePO)粉末と、4mol%のカリウム(K)添加リチウム鉄リン酸化物(LiFePO)粉末をそれぞれ350℃の温度条件下で1次仮焼熱処理した後の透過電子顕微鏡(TEM)組織写真を示している。図3から明らかなように、一部からナノクラスターが観察されるとはいえ、ほとんどが非晶質相からなり、図2に示すX線結果とも一致することが分かる。
このように350℃の温度条件下で1次熱処理した後、凝集された状態を粉砕し、より均一な添加剤の分布のために乳鉢と乳棒を用いて数分間更によく粉砕する。
次いで、このようにして準備された粉末を1次仮焼熱処理時と同様400cc/minの流量にてアルゴン(Ar)ガスを流しながら、450℃から500℃の温度条件下で2時間から10時間2次熱処理する。2次熱処理に際しては、非晶質相から結晶相に相転移するための結晶核が徐々に生成された後、これを中心としてナノ寸法の結晶に成長する過程を経ることになる。このため、最終的に非晶質相の残存量を極力抑えるとともに、粒子の粗大化を抑えるためには、500℃以下の温度条件下で10時間以内の時間で熱処理すことが好ましい。
図4は、4mol%のナトリウム(Na)添加LiFe0.98PO粉末の場合(図4a)と、4mol%のカリウム(K)添加LiFe0.98PO粉末の場合(図4b)を450℃の温度条件下で2時間から3時間2次熱処理した試片のX線回折分析結果を示している。両方とも二次相の形成なしに単一相のオリビン構造を有するリチウム鉄リン酸化物(LiFePO)に合成されていることを確認することができる。
粒子径を直接的に調べるために、透過電子顕微鏡(TEM)により観察した粒子の形状とサイズに対する組織写真を図5に示す。図5は、4mol%のナトリウム(Na)添加リチウム鉄リン酸化物(LiFePO)粉末と、4mol%のカリウム(K)添加リチウム鉄リン酸化物(LiFePO)粉末をそれぞれ450℃の温度条件下で2時間から3時間2次熱処理した後の透過電子顕微鏡(TEM)組織写真を示している。図5から明らかなように、両方ともほとんど同じサイズ分布を有しており、50nm以下のサイズを有する超微細ナノ結晶粒子であるということを把握することができる。
特に、このようにして製造されたナノ粒子は、高分解能透過電子顕微鏡(HRTEM)により観察すれば、結晶度が極めて卓越した規則的オリビン構造の結晶格子をなしているという特徴を原子単位レベルで確認することができる。このような特徴を示すために、4mol%のカリウム(K)添加リチウム鉄リン酸化物(LiFePO)ナノ結晶粉末試片の高分解能電子顕微鏡格子イメージを図6に示す。
更に重要なのは、この実施例1に示すように、ナトリウム(Na)やカリウム(K)元素を添加して出発物質を混合・製造するとき、リチウム(Li)と鉄(Fe)との割合を必ず1:1に正確に調節せずとも100nm以下のナノ微粒子を製造することができる。このため、実際の製造工程上の化学組成において、非化学量論的余裕が相当大きく存在して遥かに容易でかつ手軽にナノ粒子を製造することができるという大きなメリットがある。
4mol%のカリウム(K)添加LiFe0.98POの1次仮焼された粉末を金型に注入し、6MPaの圧力を加えて直径9mm、厚さ1mmの円盤状に成形した。このようにして準備された粉末成形体を2次熱処理のために、上述したアルゴン(Ar)雰囲気下の850℃の温度条件下で5時間熱処理して均一な組織の多結晶体を製造した。図7は、このようにして得られた多結晶微細組織の光学顕微鏡写真図である。図7に示すように、850℃の温度条件下で5時間の短い時間内におよそ50ミクロン以上まで結晶成長が起きたことを確認することができる。このため、上述したように、ナトリウム(Na)やカリウム(K)添加元素は400℃以上の高温において2次熱処理する場合にかなり高速な結晶粒成長を促す役割を果たす。要するに、最終的に得られる結晶粒子径を調節するためには2次熱処理の温度と時間の決定が極めて重要である。
この実施例1において製造された種々のナノ粒子粉末に対する熱処理条件と結晶粒径を把握するために、周知のシェレルの式、即ち、d=0.9λ/Bcosθ(ここで、d:ナノ粒子径、λ:X線の波長、B:X線回折ピークの半値全幅、θ:ブラッグ回折角)を用い、X線回折パターンにおいて20°〜40°の主な回折ピークにより計算した結晶粒子径を下記表1にまとめて示す。
<実施例2>
この実施例2においては、ランタン系元素であるランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジミウム(Pr)、ネオジミウム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)及びエルビウム(Er)添加(Li1−x)FePO又はLi(Fe1−x)PO(ここで、A=La、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd又はEr、0<x≦0.1、0<y≦0.1)の出発組成を有するリチウム鉄リン酸化物(LiFePO)ナノ結晶粒子を製造する方法を説明しようとする。
これらを製造するために用いられた出発原料粉末は、上記の実施例1と同様に、炭酸リチウム(LiCO)、シュウ酸第一鉄(FeC(2HO))、リン酸二水素アンモニウム(NHPO)である。また、添加物として用いられた粉末は、Ce(C(9HO)、Nd(C(5HO)、Gd(C(5HO)、Er(C(5HO)のオキサレートである。3種類の出発原料粉末及び添加物として用いられた粉末はいずれも純度が99.5%以上である。
このようなオキサレートを用いて2mol%のセリウム(Ce)、ネオジミウム(Nd)、ガドリニウム(Gd)、エルビウム(Er)の添加元素をそれぞれ入れた4種類のリチウム鉄リン酸化物(LiFePO)粉末を合成するために、0.5:1:1のモル比にて炭酸リチウム(LiCO)、シュウ酸第一鉄(FeC(2HO))、リン酸二水素アンモニウム(NHPO)の粉末を準備する。次に、これらをジルコニアセラミックボールと一緒にジルコニアミルジャーにそれぞれ入れ、アセトン(99.9%純度)を溶媒として24時間湿式ミルして粉砕及び混合する。その後に乾燥してアセトン以上溶媒を完全に除去した後、空気との接触による酸化現象を防ぐためにアルゴン(Ar)ガス入りグローブボックス内に直ちに入れて保管する。
このようにして準備された4種類の混合物の凝集粉末を実施例1と同様にそれぞれグローブボックスにおいて乳鉢と乳棒を用いて更に粉砕する。このようにして粉砕した後にそれぞれの混合粉末をアルミナ坩堝に入れ、350℃の温度条件下で8時間1次仮焼熱処理する。このとき、酸素の流入による鉄(Fe)イオンの酸化を防ぐために、400cc/minの流量にて99.999%純度のアルゴン(Ar)ガスを流しながら熱処理して1次的に合成された粉末を得る。
上述したように、350℃の温度条件下で1次熱処理後、凝集された状態を粉砕し、更に均一な添加剤の分布のために乳鉢と乳棒を用いて数分間更によく粉砕する。
次いで、このようにして準備された粉末を1次仮焼熱処理時と同様に400cc/minの流量にてアルゴン(Ar)ガスを流しながら、500℃の温度条件下で10時間2次熱処理する。アルカリ元素を添加した実施例1と同様に、2次熱処理に際しては、非晶質相から結晶相に相転移するための結晶核が徐々に生成された後、これを中心としてナノ寸法の結晶に成長する過程を経る。
このようにして2次熱処理した試片のX線回折分析を行った結果、いずれも二次相の形成なしに単相のオリビン構造を有するリチウム鉄リン酸化物(LiFePO)であることを確認することができるが、粒子径を直接的に調べるために透過電子顕微鏡(TEM)により観察した粒子の形状とサイズに対する組織写真を図8に示す。
図8は、2mol%のエルビウム(Er)添加リチウム鉄リン酸化物(LiFePO)粉末と、2mol%のセリウム(Ce)添加リチウム鉄リン酸化物(LiFePO)粉末をそれぞれ500℃の温度条件下で2次熱処理した後の透過電子顕微鏡(TEM)組織写真図を示している。図8から明らかなように、両方ともほとんど同じサイズ分布を有しており、50nm以下のサイズを有する超微細ナノ結晶粒子であることを把握することができる。
特に、このようにして製造されたナノ粒子は、粒子が互いに凝集された部分において10nmから20nmの単位で高分解能格子イメージ観察をしてみると、図9に示すように、各部分において相異なる結晶格子方位を有していることを確認することができ、これにより、実際に極めて小さな結晶粒から構成されているということを把握することができる。
この実施例2において製造された種々のナノ粒子粉末に対する熱処理条件と結晶粒径を把握するために、実施例1において用いたシェレルの式を用いて、X線回折パターンにより20°から40°の主な回折ピークにおいて計算した結晶粒子径を下記表2にまとめて示す。
<実施例3>
この実施例3においては、アルカリ元素を添加物として添加した(Li1−x)FePO(A=K、Na、0<x≦0.5、0<y≦0.1)の出発組成を有するリチウム鉄リン酸化物(LiFePO)ナノ結晶粒子を製造する方法を説明しようとする。即ち、リチウム(Li)の非化学量論を最大50%まで調節してリチウム(Li)イオン非化学量論による全体的な相形成とナノ粒子形成の変化様相の調節方法について詳細に説明する。
これらを製造するために用いられた出発原料粉末は、上記の実施例1及び実施例2と同様に、炭酸リチウム(LiCO)、シュウ酸第一鉄(FeC(2HO))、リン酸二水素アンモニウム(NHPO)である。また、添加物として用いられた粉末は、炭酸カリウム(KCO)である。なお、出発原料粉末及び添加物として用いられた粉末は、いずれも純度が99.5%以上である。
この実施例3においては、共通的に4mol%のカリウム(K)を添加した4種類の相異なるリチウム(Li)量を有するリチウム鉄リン酸化物(LiFePO)の粉末を合成しようとする。このために、上記の実施例1及び実施例2と同じ方法により混合粉末を準備する。最初には、4mol%のカリウム(K)添加リチウム鉄リン酸化物(LiFePO)粉末を合成するために、0.5:1:1のモル比にて混合された炭酸リチウム(LiCO)、シュウ酸第一鉄(FeC(2HO))、リン酸二水素アンモニウム(NHPO)の混合粉末を準備する。第二に、4mol%のカリウム(K)添加Li0.85FePO粉末を合成するために、0.425:1:1のモル比にて混合された炭酸リチウム(LiCO)、シュウ酸第一鉄(FeC(2HO))、リン酸二水素アンモニウム(NHPO)の混合粉末を準備する。第三に、4mol%のカリウム(K)添加Li0.70FePO粉末を合成するために、0.35:1:1のモル比にて混合された炭酸リチウム(LiCO)、シュウ酸第一鉄(FeC(2HO))、リン酸二水素アンモニウム(NHPO)の混合粉末を準備する。第四に、4mol%のカリウム(K)添加Li0.50FePO粉末を合成するために、0.25:1:1のモル比にて混合された炭酸リチウム(LiCO)、シュウ酸第一鉄(FeC(2HO))、リン酸二水素アンモニウム(NHPO)の混合粉末を準備する。
このようにして準備された4種類の粉末混合物をジルコニアセラミックボールと一緒にジルコニアミルジャーにそれぞれ入れ、アセトン(99.9%純度)を溶媒として24時間湿式ミルして粉砕及び混合する。その後に乾燥してアセトン溶媒を完全に除去した後、空気との接触による酸化現象を防ぐためにアルゴン(Ar)ガス入りグローブボックス内に直ちに入れて保管する。
これらの4種類の混合物の凝集粉末を実施例1及び実施例2と同様にそれぞれグローブボックスにおいて乳鉢と乳棒を用いて更に粉砕する。このようにして粉砕した後にそれぞれの混合粉末をアルミナ坩堝に入れ、350℃の温度条件下で5時間1次仮焼熱処理する。このとき、酸素の流入による鉄イオンの酸化を防ぐために、400cc/minの流量にて99.999%純度のアルゴン(Ar)ガスを流しながら熱処理して1次的に合成された粉末を得る。
このようにして350℃の温度条件下で1次熱処理した後、凝集された状態を粉砕して更に均一な添加剤の分布のために乳鉢と乳棒を用いて数分間更によく粉砕する。このようにして準備された粉末を1次仮焼熱処理時と同様に400cc/minの流量にてアルゴン(Ar)ガスを流しながら、450℃の温度条件下で3時間2次熱処理する。
上述したように、350℃の温度条件下で5時間1次熱処理して得た4種類の粉末試片に対するX線回折パターンを図10に示す。図10に示すように、リチウム(Li)と鉄(Fe)が1:1の正確な化学量論比を有する試片に比べて、リチウム(Li)の量が減るにつれて回折ピークの強度が減少しており、半値全幅(FWHM)も次第に広くなっている。即ち、結晶の成長のための核として働くナノクラスターがリチウム(Li)の添加量が減るにつれて更に小さくなるだけではなく、その個数も減少して、50%のリチウム(Li)が不足した4番目のLi0.50FePO粉末の場合にはほとんど非晶質相から構成されていることが分かる。このため、1次熱処理時に不均一的に発生しうる核生成を最大限に抑えて最終的に不均一的に粗大化された結晶粒子の不所望の生成を防ぐためには、好ましくは、リチウム(Li)の添加量が鉄(Fe)の量よりも小さくなるように適切に調節する。
次に、これらの試片を450℃の温度条件下で3時間2次熱処理した後に分析したX線回折結果を図11に示す。図11に示すように、15%のリチウム(Li)が不足したLi0.85FePO粉末の場合には、他の二次相の形成なしに単相の回折結果を示す。これに対し、30%のリチウム(Li)が不足したLi0.70FePO粉末の場合には、矢印にて示すように、Feに相当する二次相が発生していることが分かる。即ち、約15%のリチウム(Li)が不足したLi0.85FePOの場合にも他の二次相が発生しないことから、これを伴う電荷不均衡差を鉄(Fe)イオンの一部が2+から3+の原子価に切り換わって補うということが分かる。このため、上述した正孔による優れた電気伝導度を帯びるということと密接な関係を示している。
この実施例3において製造された種々のナノ粒子粉末に対する熱処理条件と結晶粒径を把握するために、実施例1において用いたシェレルの式を用いて、X線回折パターンにより20°〜40°の主な回折ピークにおいて計算した結晶粒子径を下記表3にまとめて示す。特に、リチウム(Li)の添加量が減るにつれて結晶粒径は小さくなるという特徴が観察されるため、最終的に更に小さなサイズの粒子を製造するためにはリチウム(Li)の量を適切に調節することが好ましい。
<実施例4>
この実施例4においては、実施例1、実施例2、実施例3における例示に加えて、鉄以外のマンガン、コバルトなどの他の遷移金属を含んでなるリチウム金属リン酸化物のナノ結晶粒子を製造する方法を説明しようとする。即ち、同様に、カリウム(K)若しくはナトリウム(Na)のアルカリ元素又はランタン系の元素を添加物として添加した(Li1−x)MPO(ここで、A=K、Na若しくはランタン系元素、M=Fe、Mn、Co、0<x≦0.1、0<y≦0.1)の出発組成を有するリチウム遷移金属リン酸化物のナノ粒子の製造について説明しようとする。
これらを製造するために用いられた出発原料粉末は、上記の実施例1及び実施例2と同様に炭酸リチウム(LiCO)、シュウ酸第一鉄(FeC(2HO))、リン酸二水素アンモニウム(NHPO)であり、マンガン(Mn)及びコバルト(Co)の原料のためには、MnC(2HO)とCoC(2HO)を使用する。また、添加物として用いられた粉末は、炭酸カリウム(KCO)である。出発原料粉末及び添加物として用いられた粉末は、いずれも純度が99.5%以上である。
この実施例4においては、共通的に5mol%のカリウム(K)を添加したLi0.95FePO、Li0.95MnPO、Li0.95CoPOの相異なる遷移金属を含んでなるリチウム金属リン酸化物のナノ結晶粒子を合成しようとする。このために、上記の実施例1及び実施例2と同じ方法により混合粉末を準備する。最初には、5mol%のカリウム(K)添加Li0.95FePO粉末を合成するために、0.475:1:1のモル比にて混合された炭酸リチウム(LiCO)、シュウ酸第一鉄(FeC(2HO))、リン酸二水素アンモニウム(NHPO)の混合粉末を準備する。第二に、5mol%のカリウム(K)添加Li0.95MnPO粉末を合成するために、0.475:1:1のモル比にて混合された炭酸リチウム(LiCO)、MnC(2HO)、リン酸二水素アンモニウム(NHPO)の混合粉末を準備する。第三に、5mol%のカリウム(K)添加Li0.95CoPOの粉末を合成するために、0.475:1:1のモル比にて混合された炭酸リチウム(LiCO)、CoC(2HO)、リン酸二水素アンモニウム(NHPO)の混合粉末を準備する。上記の実施例3に示すように、リチウム(Li)の添加量が減るにつれて結晶粒径は小さくなるという特徴があるため、リチウム(Li)の非化学量論比を0.95に適切に調節して熱処理工程中に均一な粒子核生成と成長が行われるようにする。
このようにして準備された3種類の粉末混合物をジルコニアセラミックボールと一緒にジルコニアミルジャーにそれぞれ入れ、アセトン(99.9%純度)を溶媒として24時間湿式ミルして粉砕及び混合する。その後に乾燥してアセトン溶媒を完全に除去した後に、空気との接触による酸化現象を防ぐためにアルゴン(Ar)ガス入りグローブボックス内に直ちに入れて保管する。
これら3種類の混合物の凝集粉末を実施例1及び実施例2と同様にそれぞれグローブボックスにおいて乳鉢と乳棒を用いて更に粉砕する。このようにして粉砕した後にそれぞれの混合粉末をアルミナ坩堝に入れ、350℃の温度条件下で5時間1次仮焼熱処理する。このとき、酸素の流入による鉄(Fe)、マンガン(Mn)若しくはコバルト(Co)イオンの酸化を防ぐために、400cc/minの流量にて99.999%純度のアルゴン(Ar)ガスを流しながら熱処理して1次的に合成された粉末を得る。
このようにして350℃の温度条件下で1次熱処理した後、凝集された状態を粉砕して更に均一な添加剤の分布のために乳鉢と乳棒を用いて数分間更によく粉砕する。このようにして準備された粉末を1次仮焼熱処理時と同様に400cc/minの流量にてアルゴン(Ar)ガスを流しながら、450℃の温度条件下で1時間から2時間2次熱処理する。
この実施例4において製造された5mol%のカリウム(K)添加Li0.95FePO、5mol%のカリウム(K)添加Li0.95MnPO、5mol%のカリウム(K)添加Li0.95CoPOのリチウム金属リン酸化物のナノ結晶粒子に対する透過電子顕微鏡(TEM)組織写真を図12に示す。図12に示すように、いずれも平均100nm以下の超微細ナノ粒子が製造されたことが分かる。このため、ナトリウム(Na)及びカリウム(K)のアルカリ元素とランタン系の元素を添加することにより、既存の製造方法とは異なり、低温条件下で極めて短時間の熱処理工程を行うことにより100nm以下のサイズの微細なリチウム遷移金属リン酸化物(LiMPO)のナノ粒子を手軽に製造することができる。
また、実施例1に示すように、一貫的に、ナトリウム(Na)及びカリウム(K)のアルカリ元素とランタン系元素の添加物は、2次熱処理の温度が上がるにつれて粒子の成長を促進させる役割を果たす。図13は、同じ方法により製造されたリチウムコバルトリン酸化物の多結晶体光学顕微鏡組織写真を示している。即ち、4mol%のナトリウム(Na)添加LiCo0.98POを700℃の温度条件下で20時間2次熱処理して均一な組織の多結晶体を製造した。図13から明らかなように、このようにして製造された均一な組織の多結晶体は数十μmの粒子径を有しており、実施例1の図7に例示する組織写真と一致する特徴を示している。
この実施例4において製造された種々のナノ粒子粉末に対する熱処理条件と結晶粒径を把握するために、実施例1において用いたシェレルの式を用いて、X線回折パターンにより20°から40°の主な回折ピークにおいて計算した結晶粒子径を下記表4にまとめて示す。
<分析例1>
この分析例1においては、本発明において提示するアルカリ元素とランタン系元素が添加されたリチウム遷移金属リン酸化物(LiMPO)(ここで、M=Fe、Mn、Co、Ni、Ti、Cu又はこれらの混合物)のナノ粒子を容易に製造することができるということを直接的に観察により示そうとする。このために、実際に400℃以上の熱処理温度においてリチウム鉄リン酸化物(LiFePO)のナノ粒子が形成されることを透過電子顕微鏡(TEM)を用いてインシチュ(in situ)にて直接的に観察した結果を例示する。
この分析例1において用いられた粉末試片として、実施例1において準備された粉末の一つを選択した。選択された粉末試片は4mol%のカリウム(K)添加リチウム鉄リン酸化物(LiFePO)であり、350℃の温度条件下で5時間1次熱処理して得た粉末試片を用い、これを透過電子顕微鏡(TEM)内において高温に直接的に昇温しながらナノ結晶粒子の形成と成長を観察した。このような分析のために、1、250keVの加速電圧を有する電子顕微鏡内において、試片を高温に加熱する装置を含む専用スペクトルホルダーを用いて、450℃の温度条件下で高分解能映像をインシチュにて連続的に得た。
図14は、350℃の温度条件下で5時間1次熱処理した4mol%のカリウム(K)添加非晶質リチウム鉄リン酸化物(LiFePO)粉末試片を用い、透過電子顕微鏡内において、450℃の温度条件下でインシチュにてナノ粒子の形成過程を観察した高分解能イメージを連続的に示している。熱膨張による高温における試片のドリフトを安定化させるために20分間維持した後、図14aのイメージを得た。その後、図14b、図14c及び図14dは同じ領域をそれぞれ15分、20分、35分後に撮影した高分解能イメージである。図14aから明らかなように、熱処理の初期に全体の非晶質相の内部において数nmの結晶核が分化、生成されることが分かる。また、図14b、図14c及び図14dに示すように、これらの核は経時的に徐々にかつ均一に成長した結果、数十nmの寸法を有する結晶粒子として製造可能であるということを直接的に証明している。
<分析例2>
上述したように、リチウム遷移金属リン酸化物(LiMPO)(ここで、M=Fe、Mn、Co、Ni、Ti、Cu又はこれらの混合物)の結晶は、単位格子内において、リチウム(Li)イオンはM’位の酸素八面体空隙に位置し、遷移金属(M)イオンはM”位の酸素八面体空隙に位置して規則的オリビン構造をなすことになる。このため、もし、リチウム(Li)イオンが存在するM’位に遷移金属(M)イオンが位置すれば、b軸方向へのリチウム(Li)イオンの移動に妨げられてリチウム(Li)イオンの拡散を阻害するため、リチウムイオン二次電池としての活用時に放電容量と出力特性の減少を招いてしまう。このため、結晶学的に規則的な陽イオン配列を持つリチウム遷移金属リン酸化物(LiMPO)物質を製造することは極めて重要である。
この分析例2においては、本発明において提示する方法により製造されたアルカリ元素とランタン系元素が添加されたリチウム遷移金属リン酸化物(LiMPO)(ここで、M=Fe、Mn、Co、Ni、Ti、Cu又はこれらの混合物)の粒子において、結晶格子内部の陽イオン間の規則的配列関係を最新の電子顕微鏡技法である高角環状暗視野(HAADF)法を用いて原子レベルで直接的に観察した結果を提示しようとする。このような分析例を通じて、本発明において製造されたリチウム遷移金属リン酸化物(LiMPO)の結晶粒子は極めて優れたイオン規則性を有していることを示そうとする。
電子顕微鏡観察のための試片としては、実施例1において製造された粉末試片の一つを使用した。即ち、350℃の温度条件下で5時間1次仮焼熱処理した4mol%のカリウム(K)添加リチウム鉄リン酸化物(LiFePO)の粉末を金型に注入し、6MPaの圧力を加えて直径9mm、厚さ1mmの円盤状に成形し、このようにして準備された成形体を2次熱処理のために同じアルゴン(Ar)雰囲気下の700℃の温度条件下で5時間熱処理して均一な組織の多結晶体を製造した。典型的な多結晶体透過電子顕微鏡試片の製作法に従い焼結された多結晶体試片を100μmの厚さまで研磨した後、3mmの直径を有する円盤ディスクにより超音波切断した。これらのディスク試片に窪みを付けた後、最終的にイオンミルを通じて透過電子顕微鏡(TEM)上において観察可能に薄く製造した。
一般的な透過電子顕微鏡(TEM)により観察可能な高分解能格子イメージは、試片の厚さと顕微鏡観察時における対物レンズのデフォーカス長によって、同じ試片であっても異なる格子パターンを示す(D. B. Williams and C. B. Carter, "Transmission Electron Microscopy, A Textbook for Materials Science (Part 3. Imaging)", Plenum Press, 1996)。このため、正確に原子の位置を把握するためには、最新の分析方法である高角環状暗視野(HAADF)法に基づくZ-contrast Scanning Transmission Electron Microscopy(Z−STEM)を用いて原子レベルの観察を行わなければならない(M. Varela et al., Annu. Rev. Mater. Res., Vol.35, p.539 (2005))。この方法は、文字通り、原子番号(Z)による映像のコントラストを示すものであり、重い原子、即ち、元素番号が大きな原子であるほど明るいコントラストを帯びて原子単位で結晶格子を区分することができる。
図15は、本発明の分析例2において、高角環状暗視野(HAADF)法を用いて観察したリチウム鉄リン酸化物(LiFePO)の結晶格子イメージであり、図15における左側にあるイメージはリチウム鉄リン酸化物(LiFePO)の結晶格子形状を示す模式図である。図15に示すように、リチウム(Li)と鉄(Fe)イオンはそれぞれM’とM”位に規則的に配列されている構造を有していなければならない。また、図15における右側にあるイメージはこの分析例2において実際に高角環状暗視野(HAADF)モードを用いて得たZ−STEM格子イメージを示している。イメージの内部に表示されている白抜き長方形は単位格子を示し、1辺が0.47nmであることを示している。[010]方向、即ち、b軸が地面に垂直な方向となるように結晶粒子方位を調整してリチウム(Li)と鉄(Fe)イオンの規則配列をより上手に観察しようとした。リチウム(Li)は原子番号が酸素よりも低い3番であるため、イメージ上において全くコントラストを有することができず、黒く現れる。これに対し、鉄(Fe)は26番の極めて大きな原子番号を有していて明るく回折されてイメージをなすことになる。図15のイメージから観察されるように、リチウム(Li)位は全く明るいコントラストを帯びていないことから、リチウム(Li)位に鉄(Fe)イオンが不規則的に混在されておらず、左側の模式図に示すように、極めて規則的オリビン結晶構造をなしていることを直接的に確認することができる。このため、本発明を通じて極めて優れたイオン規則性を有しているリチウム遷移金属リン酸化物(LiMPO)の結晶粒子を製造することができるということが分かる。
<試験例1>
前記実施例により製造された種々の組成の(Li1−x)(M1−y)PO又は(LiA)(MB)PO(ここで、A若しくはB=Na、K、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、Er、0<x≦0.1、0<y≦0.1)の粉末をもって焼結した試片の電気抵抗を測定した。この試験例1においては、本発明を通じて製造されたリチウム遷移金属リン酸化物(LiMPO)が既存の方法により製造されたものよりも優れた電気伝導度特性を示すということを示す。
電気抵抗の測定のための試片は、図7及び図13に示す微細組織を有するように同じ方法により製造した。即ち、350℃の温度条件下で2時間から5時間1次仮焼熱処理した粉末を金型に注入し、6MPaの圧力を加えて直径9mm、厚さ1mmの円盤状に成形し、このようにして準備された成形体を2次熱処理のために同じアルゴン(Ar)雰囲気下の700℃〜850℃の温度条件下で5時間から10時間熱処理して均一な組織の多結晶体を製造した。
このようにして製造された多結晶焼結体の表面を#1200のSiC研磨紙を用いて研削した後、マルチメーターを用いて1cmの間隔をあけて電極を位置させて表面の電気抵抗を常温下で測定した。いかなる添加物を加えなかった純粋なリチウム鉄リン酸化物(LiFePO)、リチウムコバルトリン酸化物(LiCoPO)、リチウムマンガンリン酸化物(LiMnPO)は、上述したように、極めて高い電気抵抗により測定できなかったものの、本発明により製造された他のリチウム遷移金属リン酸化物は数十kΩから数百kΩの低い抵抗値を示すということが確認された。この測定に当たって、測定不可の場合には抵抗が少なくとも100MΩ以上であることを意味する。この試験例1において測定された試片の組成及び2次熱処理した焼結条件と表面の電気抵抗値を下記表5にまとめて示す。
<試験例2>
この試験例2においては、試験例1において測定された試片の低い電気抵抗値が粒子と粒子との間の粒界における二次相の存在による付随的結果ではなく、結晶格子そのものの電気抵抗が減少したことを示そうとする。このために、多結晶焼結体を微細研磨して粒子1本の表面にマイクロ白金電極を張った後、電流−電圧特性を測定した。
この試験例2において用いられた多結晶焼結試片は、上記の試験例1において製造された4mol%のカリウム(K)添加リチウム鉄リン酸化物(LiFePO)試片であり、850℃の温度条件下で10時間焼結したものを使用した。先ず、微細組織の観察のために、ホマイカ樹脂(不飽和ポリエステル樹脂)によりマウントして研磨した後、6μm、3μm、1μmのサイズ順にダイアモンド研磨剤により微細研磨した。このようにして準備された試片を3vol%の塩酸(HCl)が溶解された蒸留水において5秒間化学エッチングした。
図16は、この試験例2において用いられた多結晶リチウム鉄リン酸化物(LiFePO)試片の代表的な微細組織写真図である。図16に示すように、40μmから50μmの粒径を有する粒子の内部に1辺の長さが20μmの正方形の白金(Pt)マイクロ電極を蒸着した。これらのマイクロ白金電極は粒子よりもそのサイズが小さなため、粒界とは無関係に純粋に粒子内部に対する電流−電圧特性を把握する上で極めて有用な構造を有していることが分かる。また、図16に示すように、1μmの直径を有するマイクロプローブをこれら電極の上にそれぞれ位置させた後、電圧を6Vまで徐々に印加しながら電流の変化を測定した。
図17は、本発明の試験例2において、マイクロプローブと白金(Pt)マイクロ電極を用いて粒子と粒子との間の電流−電圧関係を測定した結果である。通常のリチウム鉄リン酸化物(LiFePO)の場合には、このようなマイクロ電流−電圧特性において数十pA(10A〜14A)レベルの電流を示すのに対し(S.-Y. Chung and Y.-M. Chiang, Electrochem. Solid-State Lett., Vol.6, p.A278 (2003))、本発明において製造された4mol%のカリウム(K)添加リチウム鉄リン酸化物(LiFePO)試片の場合には、図17に示すように、数μA(10A〜6A)レベルの高い電流が流れるということを確認することができる。
このため、この試験例1及び試験例2を通じて、電気抵抗が低く、かつ、電気伝導度に優れたリチウム遷移金属リン酸化物を容易に製造することができるということが分かる。
<試験例3>
本発明において製造されたリチウム遷移金属リン酸化物のナノ結晶粒子を用いて電気化学的性能を測定した。更に具体的には、リチウムイオン二次電池における正極物質への応用のために電池としての充電及び放電特性を試験し、この試験例3を通じて、本発明において製造されたリチウム遷移金属リン酸化物ナノ粒子は高いエネルギー密度を有するだけではなく、極めて優れた出力密度性能を示すという特徴を有していることを示す。
この試験例3においては、電気化学的な充放電特性を測定するために、実施例において製造された粉末試片から、4mol%のナトリウム(Na)添加リチウム鉄リン酸化物(LiFePO)ナノ粉末と、4mol%のカリウム(K)添加リチウム鉄リン酸化物(LiFePO)ナノ粉末を選択した。
先ず、電極の製造のために、4mol%のナトリウム(Na)添加リチウム鉄リン酸化物(LiFePO)ナノ粉末とケッチェンブラックカーボン、及びPVDF(ポリビニリデンジフルオライド)(KynarFlex 2801)をそれぞれ重量比で80:10:10の割合になるように混合した。このとき、溶媒としては、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)を使用し、均一な混合のために内部に1分当たりに3000回(3000RPM)回転するホモジナイザー付きミキサーを用いて混合した。このようにして準備されたスラリーをアルミニウム箔の上に塗布した後、真空オーブンにおいて乾燥して正極コーティングを製造した。
電池テストのためのセルの製造は、基本的に知られている一般的な方法により行った。即ち、リチウム金属を相対負極として使用し、CELGARD(登録商標)2400のセパレータを正極と負極との間に挟み込んで使用した。電解質溶液としては、1MのLiPFが溶解されているエチレンカーボネート(EC:ethylene carbornate)及びジエチルカーボネート(DEC:diethyl carbonate)、又はジメチルカーボネート(DMC:dimethyl carbonate)の混合溶液を用いてテストを行った。
このようにして製造された電極をテストした結果を図18に示す。図18は、160mAh/gを理論容量と想定し、32mA/gの電流、即ち、0.2C/rateの電流速度にてガルバノスタッティク測定を実施したときの充電及び放電曲線を示している。2.5〜4.3Vの範囲内で測定した結果、容量は約150mAh/gを示した。このため、本発明において製造されたリチウム鉄リン酸化物(LiFePO)ナノ粉末は理論容量に近い極めて優れた容量を示すということが分かる。
また、4mol%のカリウム(K)添加リチウム鉄リン酸化物(LiFePO)ナノ粉末を用い、上記の方法と同様に、ケッチェンブラックカーボンとPVDF(ポリビニリデンジフルオライド)(KynarFlex 2801)をそれぞれ80:10:10の重量比にて混合し、上記の方法と同様にして電極コーティングを製造した後、テスト用セルを組み立てた。今回の試験において用いられた充電条件としては、電流が0.5C、即ち、80mA/gと一定であり、電圧も4.3Vに一定に維持しながら充電を行う定電圧定電流(CCCV:constant current constant voltage)充電法により行った。また、放電のためには、一般的なガルバノスタッティクな定電流(CC:constant current)方法を用いて様々な放電電流を適用して高速な放電時に得られる出力特性を把握した。
図19は、このような方式により4mol%のカリウム(K)添加リチウム鉄リン酸化物(LiFePO)ナノ粉末を用いて種々の条件下で電池テストを行った後に得られた充電及び放電結果を示している。図19に示すように、0.2Cの十分に低速な低電流放電条件下では、上述した試験と同様に、約150mAh/gの容量を示すため、優れたエネルギー密度特性が得られるということが分かる。のみならず、更に重要なのは、10C以上高電流の高速放電時にも約110mAh/g以上の極めて高い容量を維持可能な特徴を示していることを確認することができる。これは、短い時間内に多量の電流を放電することができるので、高い出力性能を示すリチウム電池における正極材料に応用可能であることを直接的に示唆している。
図20は、4mol%のナトリウム(Na)添加LiFe0.98POナノ粉末を上記の方法と同様にして電池テストした結果のうち、様々な放電率による放電容量を示す図表である。図20に示すように、0.2Cの低い放電率においてはほとんど理論容量値に相当する約155mAh/gの高い容量を示しており、特に、20Cなどの高速放電率においても80mAh/g以上の優れた放電容量を維持している。20Cにおける結果からリチウム金属負極を基準としたときの出力密度を計算してみると、約9、900W/kg以上の極めて優れた出力特性を示すということを確認することができる。従って、この試験例3においては、本発明において製造されたリチウム遷移金属リン酸化物のナノ粒子は極めて優れたエネルギー密度と出力密度を有するリチウム電池の正極材料として使用可能であることを示している。
以上述べたように、本発明によれば、単純な固相合成法を基に500℃以下の低温において10時間以内の短い時間内に100nm以下の均一なサイズを有するリチウム遷移金属リン酸化物のナノ粒子を手軽に製造することができるということが分かる。特に、液状の原料や煩雑なコーティング工程などを全く伴うことなく安価な固相の塩をもって合成する方法であるため、容易に量産可能であるというメリットがある。これらに加えて、このような製造方法を用いて合成されたリチウム遷移金属リン酸化物のナノ粒子は優れた電気伝導度を有しており、結晶格子内のリチウムイオンと遷移金属イオンとの間の不規則混合欠陥もないため、電気化学的に極めて優れた性能を示すという極めて大きなメリットを有している。このため、実際にリチウムイオン二次電池の正極活物質に応用される場合に優れた放電容量を基に高いエネルギー密度を示すことができ、更に重要なのは、短い時間での充電及び放電性能を基に極めて高い出力密度特性を示す電池が製造可能であるということを把握することができる。

Claims (18)

  1. リチウム、遷移金属及びリンを含む塩を出発物質として、10at%以下のナトリウム(Na)、カリウム(K)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジミウム(Pr)、ネオジミウム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)及びエルビウム(Er)よりなる群から選ばれるいずれか1種の元素を添加することにより混合原料粉末を得るステップと、
    250℃〜400℃の温度条件下で2時間から10時間1次熱処理を施すステップと、
    400℃〜700℃の温度条件下で2時間から24時間2次熱処理を施すことにより結晶核を均一に形成してナノ結晶粒子として成長させるステップと、
    を含んでなることを特徴とするリチウム遷移金属リン酸化物のナノ粒子粉末の製造方法。
  2. 前記出発物質は、カーボネート、オキサレート、アセテート、アンモニウムフォスフェイト及びこれらの混合物よりなる群から選ばれることを特徴とする請求項1記載のリチウム遷移金属リン酸化物のナノ粒子粉末の製造方法。
  3. 前記カーボネートは、炭酸リチウム(LiCO)を含んでなることを特徴とする請求項2記載のリチウム遷移金属リン酸化物のナノ粒子粉末の製造方法。
  4. 前記オキサレートは、MC(2HO)(ここで、M=Fe、Mn、Co、Ni、Ti、Cu又はこれらの混合物)を含んでなることを特徴とする請求項2記載のリチウム遷移金属リン酸化物のナノ粒子粉末の製造方法。
  5. 前記アンモニウムフォスフェイトは、リン酸二水素アンモニウム(NHPO)を含んでなることを特徴とする請求項2記載のリチウム遷移金属リン酸化物のナノ粒子粉末の製造方法。
  6. 前記ナトリウム(Na)のための添加物は、炭酸ナトリウム(NaCO)を含んでなることを特徴とする請求項1記載のリチウム遷移金属リン酸化物のナノ粒子粉末の製造方法。
  7. 前記カリウム(K)のための添加物は、炭酸カリウム(KCO)を含んでなることを特徴とする請求項1記載のリチウム遷移金属リン酸化物のナノ粒子粉末の製造方法。
  8. 前記ランタン系の元素のための添加物は、含炭素塩原料としてのA(C(nHO)(ここで、A=La、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、Er、1≦n≦9)を含んでなることを特徴とする請求項1記載のリチウム遷移金属リン酸化物のナノ粒子粉末の製造方法。
  9. 前記ランタン系の元素のための添加物は、Ce(C(9HO)、Nd(C(5HO)、Gd(C(5HO)、Er(C(5HO)及びこれらの混合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項8記載のリチウム遷移金属リン酸化物のナノ粒子粉末の製造方法。
  10. 前記添加により初期の化学量論組成が(Li1−x)(M1−y)PO(ここで、A若しくはB=Na、K、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd又はEr、0<x≦0.1、0<y≦0.1)になることを特徴とする請求項1記載のリチウム遷移金属リン酸化物のナノ粒子粉末の製造方法。
  11. 前記添加により初期の化学量論組成が(LiA)(MB)PO(ここで、A若しくはB=Na、K、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、Er、0<x≦0.1、0<y≦0.1)になることを特徴とする請求項1記載のリチウム遷移金属リン酸化物のナノ粒子粉末の製造方法。
  12. 前記混合粉末は、アセトンを溶媒として湿式混合した後に乾燥して得られることを特徴とする請求項1記載のリチウム遷移金属リン酸化物のナノ粒子粉末の製造方法。
  13. 前記1次熱処理は、アルゴン(Ar)、窒素(N)及び一酸化炭素/二酸化炭素(CO/CO)から選ばれるいずれか1種のガスが1分当たりに100cc〜500ccの流量にて流れる雰囲気下で行われることを特徴とする請求項1記載のリチウム遷移金属リン酸化物のナノ粒子粉末の製造方法。
  14. 前記1次熱処理は、350℃の温度条件下で5時間以下で行われることを特徴とする請求項1記載のリチウム遷移金属リン酸化物のナノ粒子粉末の製造方法。
  15. 前記2次熱処理は、アルゴン(Ar)、窒素(N)及び一酸化炭素/二酸化炭素(CO/CO)から選ばれるいずれか1種のガスが1分当たりに100cc〜500ccの流量にて流れる雰囲気下で行われることを特徴とする請求項1記載のリチウム遷移金属リン酸化物のナノ粒子粉末の製造方法。
  16. 前記ナノ結晶粒子は、100nm以下の粒径を有することを特徴とする請求項1記載のリチウム遷移金属リン酸化物のナノ粒子粉末の製造方法。
  17. 前記ナノ結晶粒子は、オリビン構造を有することを特徴とする請求項1記載のリチウム遷移金属リン酸化物のナノ粒子粉末の製造方法。
  18. 前記ナノ結晶粒子は、20kΩから800kΩの抵抗値を有することを特徴とする請求項1記載のリチウム遷移金属リン酸化物のナノ粒子粉末の製造方法。
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