JP2010521996A - 治療処置システムおよび治療用処置具 - Google Patents
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Abstract
【選択図】 図4
Description
[第1の実施の形態]
第1の実施の形態について図1(A)ないし図6を用いて説明する。
ここでは、エネルギ処置具として、例えば腹壁を通して処置を行うための、リニアタイプのバイポーラ型高周波処置具12を例にして説明する。
高周波処置具12は、ハンドル22と、シャフト24と、開閉可能な狭持部26とを備えている。ハンドル22には、ケーブル28を介してエネルギ源14が接続されている。エネルギ源14には、図示しないが、フットスイッチやハンドスイッチが接続されている。このため、これらフットスイッチやハンドスイッチを術者が操作することにより、エネルギ源14から高周波処置具12へのエネルギの供給のON/OFFが切り換えられる。
一方、ハンドル22の他端側は、術者に把持される把持部である。ハンドル22は、その他端側に並設されるように、狭持部開閉ノブ32を備えている。この狭持部開閉ノブ32は、ハンドル22の略中央の部分でシャフト24の後述するシース44の基端に連結されている。この狭持部開閉ノブ32をハンドル22の他端に対して近接および離隔させると、シース44がその軸方向に沿って移動する。
図2(A)および図2(B)に示すように、シャフト24は、筒体42と、この筒体42の外側に摺動可能に配設されたシース44とを備えている。筒体42は、その基端部でハンドル22に固定されている。シース44は、筒体42の軸方向に沿ってスライド可能である。
図1(A)、図2(A)および図2(B)に示すように、狭持部26は、シャフト24の先端に配設されている。図2(A)および図2(B)に示すように、この狭持部26は、第1の狭持体52と、第2の狭持体54と、出力部材やエネルギ放出部としての第1の高周波電極板56と、出力部材やエネルギ放出部としての第2の高周波電極板58とを備えている。
第1の狭持体52および第2の狭持体54は、それぞれ全体的に絶縁性を有することが好適である。第1の狭持体52は、第1の高周波電極板56が配設される第1の狭持体本体(以下、主に本体という)62と、この本体62の基端部に設けられた基部64とを一体的に備えている。第2の狭持体54は、第2の高周波電極板58が配設される第2の狭持体本体66と、この本体66の基端部に設けられた基部68とを一体的に備えている。
これら第1の狭持体52および第2の狭持体54の本体62,66の外表面は、滑らかな曲面状に形成されている。同様に、これら第1の狭持体52および第2の狭持体54の基部64,68の外表面も、滑らかな曲面状に形成されている。第1の狭持体52に対して第2の狭持体54が閉じた状態では、それぞれの狭持体52,54の本体62,66の断面は、略円形または略楕円状に形成されている。第1の狭持体52に対して第2の狭持体54が閉じた状態では、第1および第2の狭持体52,54の本体62,66の狭持面62a,66aが互いに対して対向し、基部64,68は、円筒状に形成されている。この状態では、第1の狭持体52および第2の狭持体54の本体62,66の基端部の径の方が、基部64,68の径よりも大きく形成されている。そして、本体62,66と基部64,68との間には、それぞれ段差76a,76bが形成されている。
第1の電極群112は、本体62の長手方向(図4(A)中のY軸方向)の中心軸CYに沿った領域(第1の領域)に配設されている。第2の電極群114は、本体62の中心軸CYに対して所定の距離だけ離間した領域(第2の領域)に配設されている。同様に、第3の電極群116は、本体62の中心軸CYに対して、所定の距離だけ離間した領域(第2の領域または第3の領域)に配設されている。すなわち、第1の電極群112、第2の電極群114および第3の電極群116は、それぞれ図4(A)中のY軸方向に配設されている。
なお、第2の電極群114および第3の電極群116は、本体62の中心軸CYに対して略対称の位置に配設されている。すなわち、第2の電極群114および第3の電極群116は、第1の電極群112に対して略対称の位置に配設されている。言い換えると、第1の電極群112と第2の電極群114との間、および、第1の電極群112と第3の電極群116との間の距離は、互いに略等距離である。そして、第1の電極群112の1つの電極122と、第2の電極群114の1つの電極124と、第3の電極群116の1つの電極126とは、図4(A)中のX軸方向の同軸上に配設されている(図3(C)参照)。
ここで、第1ないし第3の電極群112,114,116の各電極122,124,126の単位面積あたりの出力は、比例するものとする。
また、第2の狭持体54にも、第1の狭持体52と対称的に、第2の高周波電極板58が配設されている。これについての詳細は説明を省略する。
図2(A)に示すように、第1の狭持体52に対して第2の狭持体54を閉じた状態で、例えば、腹壁を通して腹腔内に高周波処置具12の狭持部26およびシャフト24を挿入する。高周波処置具12の狭持部26を処置対象の生体組織に対して対峙させる。
そして、処置対象の生体組織を第1の狭持体52の第1の高周波電極板56と第2の狭持体54の第2の高周波電極板58との間に配置する。この状態で、ハンドル22の狭持部開閉ノブ32を操作する。このとき、筒体42に対してシース44をシャフト24の先端部側に移動させる。弾性部材74の付勢力に抗してシース44によって、基部64,68間を閉じて筒状にする。このため、基部64に一体的に形成された第1の狭持体本体62と、基部68に一体的に形成された第2の狭持体本体66とが閉じる。すなわち、第1の狭持体52に対して第2の狭持体54が閉じる。このようにして、処置対象の生体組織を第1の狭持体52と第2の狭持体54との間で狭持する。
この状態で、フットスイッチやハンドスイッチを操作する。エネルギ源14からケーブル28、第1および第2の通電ライン92a,92b、第1および第2の通電コネクタ88a,88bを介して第1の高周波電極板56および第2の高周波電極板58にそれぞれエネルギが供給される。
このとき、図3(A)および図4(A)に示すように、第1の電極群112の各電極122の方が、第2の電極群114や第3の電極群116の各電極124,126よりも生体組織に対する接触面積が小さい。このため、第2の電極群114および第3の電極群116の各電極124,126から生体組織に与えるエネルギは、第1の電極群112の各電極122から生体組織に与えるエネルギよりもそれぞれ大きい。
したがって、第1の狭持体52の本体62のX軸方向の表面(狭持面62a)の第1の高周波電極板56からエネルギを生体組織に与えたときの生体組織の温度分布(エネルギ分布やエネルギ密度)TXは、中心軸CY近傍から第1の狭持体52の本体62の中心軸CYに対して離隔した縁部に対応する位置まで、よりフラットな状態に近づけられる。すなわち、生体組織の狭持部26におけるX軸方向の温度勾配は極力小さくされている。
図4(A)に示すように、第1の狭持体52の本体62の中心軸CY上に第1の電極群112を配設した。そして、第1の電極群112の各電極122の生体組織に対する接触面積を第2の電極群114や第3の電極群116の各電極124,126に比べて小さくした。すなわち、第1の電極群112の各電極122により生体組織に与えるエネルギ量を、第2および第3の電極群114,116の各電極124,126により生体組織に与えるエネルギ量よりも小さくした。
次に、第2の実施の形態について図7(A)および図7(B)を用いて説明する。この実施の形態は第1の実施の形態の変形例であって、第1の実施の形態で説明した部材と同一の部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
図7(A)に示すように、この実施の形態では、第1の電極群112は、2つの電極142aと、6つの電極142bとを備えている。すなわち、第1の電極群112は、2種類の電極142a,142bを備えている。電極142aは、図7(A)中の上端および下端に配設されている。電極142bは、図7(A)中の上端および下端の間に配設されている。電極142aの面積は、他の電極142bの面積よりも大きく形成されている。
なお、図7(A)中では、第1の電極群112の端部にある2つの電極142aの面積は、第2の電極群114および第3の電極群116の電極144b,146bよりも小さく形成されているが、同じ面積か、それよりも大きく形成されていることも好適である。
処置対象の生体組織を第1の狭持体52と第2の狭持体54との間で狭持する。この状態で、フットスイッチやハンドスイッチを操作する。エネルギ源14から第1の高周波電極板56および第2の高周波電極板58にそれぞれエネルギが供給される。第1の狭持体52の本体62と第2の狭持体54の本体66との間に狭持された生体組織が加熱される。
このため、生体組織は狭持部26のY軸方向において、均一的に処置される。したがって、生体組織を接合する場合などに、生体組織に均一な焼灼がなされて、均一的な接合強度が得られる。
第1の実施の形態で説明したように、第1の狭持体52の本体62のX軸方向の電極142a,144a,146aや、電極142b,144b,146bや、電極142b,144c,146cの配置により、生体組織に対して、より均一的な処置を行うことができる。
次に、第3の実施の形態について図8を用いて説明する。この実施の形態は第1および第2の実施の形態の変形例であって、第1および第2の実施の形態で説明した部材と同一の部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
図8に示すように、第1の電極群112の各電極122の面積は互いに対して同一である。第2および第3の電極群114,116の各電極124,126の面積も互いに対して同一である。
第2の電極群114の電極124の中心間は、4種類の距離DY1,DY2,DY3,DY4がある。距離DY1はY軸方向の最も端部側の電極124と、Y軸方向に沿って一つ内側の電極124との中心間距離である。次に、距離DY2はY軸方向の端部から一つ内側の電極124と、端部から二つ内側の電極124との中心間距離である。続いて、距離DY3は、Y軸方向の端部から二つ内側の電極124と、三つ内側の電極124との中心間距離である。そして、距離DY4は、X軸方向の中心軸CXに最も近接する電極124の中心間距離である。
これらの関係は、第2の電極群114だけでなく、第1の電極群112および第3の電極群116も同様である。
したがって、この実施の形態によれば、第1の狭持体52の本体62のX軸方向およびY軸方向の両方において、生体組織に与える温度分布TX,TYの両者をより均一的にすることができる。
次に、第4の実施の形態について図9を用いて説明する。この実施の形態は第1および第2の実施の形態の変形例であって、第1および第2の実施の形態で説明した部材と同一の部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
図9に示すように、第1ないし第3の電極群112,114,116の各電極122,124,126の面積は同一である。
このため、第2の実施の形態で説明したように、第1の狭持体52の本体62のY軸方向の電極の配置により、生体組織に対して、より均一的な接合や焼灼などの処置を行うことができる。
このため、第1の実施の形態で説明したように、第1の狭持体52の本体62のX軸方向の電極122,124,126の配置により、生体組織に対して、より均一的な接合や焼灼などの処置を行うことができる。
したがって、この実施の形態によれば、第1の狭持体52の本体62のX軸方向およびY軸方向の両方において、生体組織に与える温度分布TX,TYの両者をより均一的にすることができる。
次に、第5の実施の形態について図10を用いて説明する。この実施の形態は第1の実施の形態の変形例であって、第1の実施の形態で説明した部材と同一の部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
図10に示すように、この実施の形態では、第1の電極群112は、1列に5つの矩形状の電極162を備えている。各電極162の長手方向はY軸方向である。各電極162は、Y軸方向に等間隔に配設されている。
なお、第1の電極群112の各電極162と、第2および第3の電極群114,116の各電極164,166の面積は略同一である。
これは、第1の電極群112と第3の電極群116との間の関係も同様である。このため、第1の電極群112の密度は、第2および第3の電極群114,116よりも低い。
図10に示すように、第1の電極群112の各電極162は1列であるが、第2の電極群114や第3の電極群116の各電極164,166は2列であるから、第1の電極群112の各電極162の生体組織に対する接触面積は、第2の電極群114や第3の電極群116の各電極164,166の接触面積よりも小さい。このため、第2の電極群114および第3の電極群116の2列の電極164,166のエネルギは、第1の電極群112の1列の電極162のエネルギよりも大きい。
したがって、第1の狭持体52の本体62のX軸方向の第1の電極群112の1列の電極162と、第2および第3の電極群114,116のそれぞれ2列の電極164,166の配置とにより、生体組織に対して、より均一的な接合や焼灼などの処置を行うことができる。
次に、第6の実施の形態について図11を用いて説明する。この実施の形態は第1、第3および第5の実施の形態の変形例であって、第1、第3および第5の実施の形態で説明した部材と同一の部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
図11に示すように、この実施の形態に係る第1ないし第3の電極群112,114,116の各電極162,164,166は、第5の実施の形態で説明したように、矩形状である。
したがって、この実施の形態によれば、第1の狭持体52の本体62のX軸方向およびY軸方向の両方において、生体組織に与える温度分布TX,TYの両者をより均一的にすることができる。
次に、第7の実施の形態について図12ないし図14を用いて説明する。この実施の形態は、第1ないし第6の実施の形態の変形例であって、第1ないし第6の実施の形態で説明した部材と同一の部材もしくは同一の作用を有する部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
図12に示すように、この実施の形態に係る高周波処置具(治療用処置具)12bのハンドル22には、狭持部開閉ノブ32に並設された状態でさらにカッタ駆動ノブ34が配設されている。
図13(A)および図13(B)に示すように、カッタ184は、先端に刃184aが形成され、基端に駆動ロッド182の先端が固定されている。このカッタ184の先端と基端との間には、長溝184bが形成されている。この長溝184bの一端、他端および一端と他端の間には、移動規制ピン186を係止する係止部184cが形成されている。この長溝184bには、シャフト24の軸方向に対して直交する方向に延びた移動規制ピン186がシャフト24の筒体42に固定されている。このため、カッタ184の長溝184bが移動規制ピン186に沿って移動する。そうすると、カッタ184は真っ直ぐに移動する。このとき、カッタ184は、第1の狭持体52および第2の狭持体54のカッタ案内溝192a,192b,194a,194bに配設される。
第1の実施の形態で説明したように、狭持部26で狭持された生体組織のうち、第1の狭持体52の本体62のX軸方向の表面(狭持面)のエネルギを生体組織に与えたときの生体組織の温度分布TX(図4(A)参照)は、第1の狭持体52の本体62の中心軸CYに対して離隔した縁部に対応する位置まで、よりフラットな状態に近づけられる。すなわち、生体組織の狭持部26におけるX軸方向の温度勾配は極力小さくされている。
このため、生体組織は狭持部26のX軸方向において、均一的に処置される。したがって、生体組織を接合する場合などに、生体組織に均一な焼灼がなされて、均一的な接合強度が得られる。
したがって、第1の実施の形態で説明したように、第1の狭持体52の本体62のX軸方向の電極122,124,126の配置により、生体組織に対して、より均一的な処置を行うことができる。
また、上述した第1ないし第6の実施の形態で説明したような形状の第1および第2の狭持体52,54の本体62,66も許容される。これらの場合、第1の電極群112の各電極を図14に示すように、例えば2列に配設すればよい。これらの第1の電極群112の各電極の面積は、第1ないし第6の実施の形態で説明した第1の電極群112の各電極122,142a,142b,162のそれぞれ半分程度の面積を有することが好適である。
次に、第8の実施の形態について図15ないし図18(B)を用いて説明する。
ここでは、エネルギ処置具として、例えば腹壁を通して、もしくは腹壁外で処置を行うための、サーキュラタイプのバイポーラ型高周波処置具(治療用処置具)12cを例にして説明する。
ハンドル202には、狭持部開閉ノブ212と、カッタ駆動レバー214が配設されている。狭持部開閉ノブ212は、ハンドル202に対して回転可能である。この狭持部開閉ノブ212をハンドル202に対して例えば右回りに回転させると、狭持部206の後述する離脱側狭持部224が本体側狭持部222に対して離隔(図16(A)参照)し、左回りに回転させると、離脱側狭持部224が本体側狭持部222に対して近接する(図16(B)参照)。
本体側狭持部222は、円筒体232と、フレーム234と、通電用パイプ236とを備えている。これら円筒体232およびフレーム234は、絶縁性を有する。円筒体232は、シャフト204の先端に連結されている。フレーム234は、円筒体232に対して固定された状態で配設されている。
フレーム234は、その中心軸が開口されている。このフレーム234の開口された中心軸には、通電用パイプ236がフレーム234の中心軸に沿って所定の範囲内で移動可能に配設されている。この通電用パイプ236は、狭持部開閉ノブ212を回転させると、図16(A)および図16(B)に示すように、例えばボールネジ(図示せず)の作用により所定の範囲内を移動可能である。この通電用パイプ236には、後述する通電用シャフト262のコネクト部262aが係脱可能なように、径方向内方に突出する突起236aが形成されている。
図16(A)および図16(B)に示すように、円筒体232とフレーム234との間には、空間246が形成されている。この空間246には、円筒状のカッタ242が配設されている。このカッタ242の基端部は、シャフト204の内側に配設されたカッタ用プッシャ244の先端部に接続されている。カッタ242は、カッタ用プッシャ244の外周面に固定されている。図示しないが、このカッタ用プッシャ244の基端部はハンドル202のカッタ駆動レバー214に接続されている。このため、ハンドル202のカッタ駆動レバー214を操作すると、カッタ用プッシャ244を介してカッタ242が移動する。
図16(A)および図16(C)に示すように、円筒体232の先端には、円環状の電極配設部252が形成されている。この電極配設部252には、出力部材やエネルギ放出部としての第1の高周波電極環254が配設されている。この第1の高周波電極環254には、第1の通電ライン254aの先端が固定されている。第1の通電ライン254aは、本体側狭持部222、シャフト204、ハンドル202を介してケーブル28に接続されている。
図16(C)、図17および図18(A)に示すように、第1の高周波電極環254は、第1の円環電極282aと、第2の円環電極282bと、第3の円環電極282cとを備えている。このうち、第1の円環電極282aは、第1の高周波電極環254の内周と外周との間の中心線C付近(第1の領域としての中心軸近傍領域)に形成されている。第2の円環電極282bは、第1の円環電極282aの内側に形成されている。第3の円環電極282cは、第1の円環電極282aの外側(第2および/もしくは第3の領域としての中心軸離間領域)に形成されている。この第1の円環電極282aの径方向(R1方向)の幅は、第2および第3の円環電極282b,282cの幅よりも狭い。第2および第3の円環電極282b,282cの幅は、互いに略同一である。
なお、通電用パイプ236は、シャフト204およびハンドル202を介してケーブル28に接続されている。このため、通電用パイプ236の突起236aに離脱側狭持部224の通電用シャフト262のコネクト部262aが係合されると、第2の高周波電極環274と通電用パイプ236とが電気的に接続される。
図16(B)に示すように、本体側狭持部222を離脱側狭持部224に対して閉じた状態で例えば腹壁を通して腹腔内に高周波処置具12cの狭持部206およびシャフト204を挿入する。高周波処置具12cの本体側狭持部222および離脱側狭持部224間を処置したい生体組織に対して対峙させる。
このため、生体組織は狭持部206のR1軸方向において、均一的に処置される。したがって、生体組織を接合する場合などに、生体組織に均一な焼灼がなされて、均一的な接合強度が得られる。
図18(A)に示すように、本体側狭持部222の第1の高周波電極環254(図16(C)参照)の中心線C付近に第1の円環電極282aを配設した。そして、第1の円環電極282aの生体組織に対する接触面積を第2の円環電極282bや第3の円環電極282cに比べて小さくした。すなわち、第1の円環電極282aから生体組織に与えるエネルギ量を、第2の円環電極282bや第3の円環電極282cから生体組織に与えるエネルギ量よりも小さくした。
そうすると、図18(A)に示す本体側狭持部222により生体組織に与えるR1軸方向の温度分布TR1を、図18(B)に示す従来技術の温度分布TR1に比べて、本体側狭持部222の第1の高周波電極環254の中央部(中心線Cの近傍)から縁部に対応する位置まで、均一にすることができる。すなわち、図18(A)に示す本体側狭持部222により生体組織に与えるR1軸方向の温度分布TR1の温度勾配を、図18(B)に示す従来技術の温度分布TR1の温度勾配に対して、よりフラットにすることができる。そうすると、本体側狭持部222のR1軸方向の電極282a,282b,282cの配置により、生体組織に対して、より均一的な接合や焼灼などの処置を行うことができる。
次に、第9の実施の形態について図19を用いて説明する。この実施の形態は第8の実施の形態の変形例であって、第8の実施の形態で説明した部材と同一の部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
図19に示すように、第1の高周波電極環254(図16(C)参照)は、第1の円環電極302aと、第2の円環電極302bとを備えている。このうち、第1の円環電極(内側電極)302aは、中心線Cの内側に配設され、第2の円環電極(外側電極)302bは第1の円環電極302aの外側に配設されている。そして、第1の円環電極302aと第2の円環電極302bとの間には、円環状の絶縁部材304が配設されている。なお、第1の高周波電極環254の中心線Cは、絶縁部材304上にある。
このとき、図19に示すように、第1の円環電極302aのR1軸方向の幅は、第2の円環電極302bのR1軸方向の幅と略同一である。このため、第1の円環電極302aおよび第2の円環電極302bから生体組織に与えるR1軸方向のエネルギは、互いに略同一である。
したがって、狭持部206で狭持された生体組織のうち、第1の円環電極302aや第2の円環電極302bが生体組織に与えるエネルギを調整することによって、狭持部206のR1軸方向の表面の温度分布TR1は、よりフラットな状態に近づけられる。
次に、第10の実施の形態について図20を用いて説明する。この実施の形態は第8の実施の形態の変形例であって、第8の実施の形態で説明した部材と同一の部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
図20に示すように、第1の高周波電極環254(図16(C)参照)は、第1の円環電極群312aと、第2の円環電極群312bと、第3の円環電極群312cとを同心的に備えている。このうち、第1の円環電極群(第1の領域としての中心軸近傍領域)312aは、第1の高周波電極環254の内周と外周との間の中心線C付近よりも僅かに内側に配設されている。第2の円環電極群(第2の領域としての中心軸離間領域)312bは、第1の円環電極群312aの内側に配設されている。第3の円環電極群(第2および/もしくは第3の領域としての中心軸離間領域)312cは、第1の円環電極群312aの外側に配設されている。
次に、第11の実施の形態について図21を用いて説明する。この実施の形態は第8ないし第10の実施の形態の変形例であって、第8ないし第10の実施の形態で説明した部材と同一の部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
図21に示すように、第1の高周波電極環254(図16(C)参照)は、第1の円環電極群322aと、第2の円環電極群322bとを備えている。このうち、第1の円環電極群(内側電極群)322aは、内側に配設され、第2の円環電極群(外側電極群)322bは第1の円環電極群322aの外側に配設されている。第1の円環電極群322aは、それぞれ円形の複数の電極324aを円周状に備えている。第2の円環電極群322bは、それぞれ円形の複数の電極324bを円周状に備えている。
次に、第12の実施の形態について図22を用いて説明する。この実施の形態は第10の実施の形態の変形例であって、第10の実施の形態で説明した部材と同一の部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
図22に示す第2の円環電極群および第3の円環電極群は、図20に示す第2の円環電極群312bおよび第3の円環電極群312cと同様に形成されているが、ここでは便宜的に第2の円環電極群に符号332bを付し、第3の円環電極群に符号332cを付して説明する。さらに、第1の円環電極群については符号332aを付して説明する。
第1の円環電極群332aは、それぞれ円形の複数の電極334aを円周状に備えている。この実施の形態における電極334aは、図20に示す第1の円環電極群312aの電極334aに対して数が半分に減らされているが、その分の減少を相殺するため、図20に示す電極334aよりも直径が大きく形成されている。
Claims (32)
- 生体組織にエネルギを放出する治療処置システムであって、
前記生体組織を狭持するための狭持面をそれぞれ有する第1および第2の狭持体と、
前記第1および第2の狭持体の少なくとも一方の、他方に対する相対的な移動を操作する操作部と、
前記第1および第2の狭持体の少なくとも一方にエネルギを供給するためのエネルギ源と、
前記エネルギ源から供給されたエネルギを放出するための複数のエネルギ放出部と
を具備し、
前記複数のエネルギ放出部は、前記第1および第2の狭持体の少なくとも一方の前記狭持面に設けられ、前記第1および第2の狭持体で狭持された生体組織に放出するエネルギ分布を均一に制御するようにしたことを特徴とする治療処置システム。 - 前記第1および第2の狭持体は、それぞれ基端部と、先端部と、長手方向の中心軸とを備え、
前記複数のエネルギ放出部は、前記第1および第2の狭持体の前記狭持面の前記中心軸の近傍に配設された第1の領域と、前記中心軸に対して離間した位置に配設された第2の領域とを備え、
前記第1の領域における前記エネルギ放出部のエネルギ密度は、前記第2の領域における前記エネルギ放出部のエネルギ密度に対して小さいことを特徴とする請求項1に記載の治療処置システム。 - 前記第1の領域および第2の領域には、前記エネルギ放出部がそれぞれスポット状に複数配設され、
前記第1の領域に配設された前記エネルギ放出部の数は、前記第2の領域に配設された前記エネルギ放出部の数よりも少ないことを特徴とする請求項2に記載の治療処置システム。 - 前記第1の領域および第2の領域には、前記エネルギ放出部がそれぞれスポット状に複数配設され、
前記第1の領域に配設された前記エネルギ放出部同士の間隔は、前記第2の領域に配設された前記エネルギ放出部の間隔よりも広いことを特徴とする請求項2もしくは請求項3に記載の治療処置システム。 - 前記第1の領域および第2の領域には、前記エネルギ放出部がそれぞれスポット状に複数配設され、
前記第1の領域の面積は、前記第2の領域の面積よりも小さいことを特徴とする請求項2ないし請求項4のいずれか1に記載の治療処置システム。 - 前記第1および第2の狭持体は、それぞれ基端部と、先端部と、長手方向に対して直交する方向の中心軸とを備え、
前記複数のエネルギ放出部は、前記第1および第2の狭持体の前記狭持面の前記中心軸の近傍に配設された中心軸近傍領域と、前記中心軸に対して離間した位置に配設された中心軸離間領域とを備え、
前記中心軸近傍領域における前記エネルギ放出部のエネルギ密度は、前記中心軸離間領域における前記エネルギ放出部のエネルギ密度に対して小さいことを特徴とする請求項1に記載の治療処置システム。 - 前記中心軸近傍領域および中心軸離間領域には、前記エネルギ放出部がそれぞれスポット状に複数配設され、
前記中心軸近傍領域に配設された前記エネルギ放出部の数は、前記中心軸離間領域に配設された前記エネルギ放出部の数よりも少ないことを特徴とする請求項6に記載の治療処置システム。 - 前記中心軸近傍領域および中心軸離間領域には、前記エネルギ放出部がそれぞれスポット状に複数配設され、
前記中心軸近傍領域に配設された前記エネルギ放出部の間隔は、前記中心軸離間領域に配設された前記エネルギ放出部の間隔よりも広いことを特徴とする請求項6もしくは請求項7に記載の治療処置システム。 - 前記中心軸近傍領域および中心軸離間領域には、前記エネルギ放出部がそれぞれスポット状に複数配設され、
前記中心軸近傍領域の面積は、前記中心軸離間領域の面積よりも小さいことを特徴とする請求項6ないし請求項8のいずれか1に記載の治療処置システム。 - 前記第1および第2の狭持体は、内周と外周とこれら内周と外周との間の中心線とを有する環状であり、
前記複数のエネルギ放出部は、前記中心線の近傍に配設された第1の領域と、前記中心線に対して内側に離間した第2の領域と、前記中心線に対して外側に離間した第3の領域とを備え、
前記第1の領域における前記エネルギ放出部のエネルギ密度は、前記第2および第3の領域における前記エネルギ放出部のエネルギ密度に対して小さいことを特徴とする請求項1に記載の治療処置システム。 - 前記第1の領域のエネルギ放出部の径方向の幅は、前記第2の領域および第3の領域のエネルギ放出部の径方向の幅よりも狭いことを特徴とする請求項10に記載の治療処置システム。
- 前記第1の領域から第3の領域に配設された前記エネルギ放出部は、それぞれ同心的に複数配設され、
前記第1の領域に配設された前記エネルギ放出部の面積は、前記第2の領域および第3の領域にそれぞれ配設された前記エネルギ放出部の面積よりも小さいことを特徴とする請求項10もしくは請求項11に記載の治療処置システム。 - 前記第1ないし第3の領域に配設された前記エネルギ放出部は、それぞれ同心的に複数配設され、
前記第1の領域における隣接する同じ周上の前記複数のエネルギ放出部同士の間隔は、前記第2の領域における隣接する同じ周上の前記複数のエネルギ放出部同士の間隔よりも広く、
前記第1の領域における隣接する同じ周上の前記複数のエネルギ放出部同士の間隔は、前記第3の領域における隣接する同じ周上の前記複数のエネルギ放出部同士の間隔よりも狭く、
前記第1の領域に配設された前記エネルギ放出部の面積は、前記第2および第3の領域に配設された前記エネルギ放出部の面積よりも小さいことを特徴とする請求項10ないし請求項12のいずれか1に記載の治療処置システム。 - 前記第1の領域から第3の領域には、前記エネルギ放出部がそれぞれスポット状に複数配設され、
前記第1の領域に配設された前記エネルギ放出部の数は、前記第2および第3の領域に配設された前記エネルギ放出部の数よりも少ないことを特徴とする請求項10に記載の治療処置システム。 - 前記第1の領域から第3の領域には、前記エネルギ放出部がそれぞれスポット状に複数配設され、
前記第1の領域に配設された前記エネルギ放出部の間隔は、前記第2および第3の領域に配設された前記エネルギ放出部の間隔よりも広いことを特徴とする請求項10もしくは請求項14に記載の治療処置システム。 - 前記第1の領域から第3の領域には、前記エネルギ放出部がそれぞれスポット状に複数配設され、
前記第1の領域に配設されたエネルギ放出部の面積は、前記第2および第3の領域に配設されたエネルギ放出部の面積よりも小さいことを特徴とする請求項10、請求項14および請求項15のいずれか1に記載の治療処置システム。 - 生体組織にエネルギを作用させる治療用処置具であって、
前記生体組織を狭持する狭持部を具備し
前記狭持部は、
互いに対して相対的に移動可能な第1および第2の狭持体と、
前記第1および第2の狭持体の少なくとも一方に設けられ、エネルギ源に接続される複数のエネルギ放出部と
を備え、
前記エネルギ放出部は、前記第1および第2の狭持体の少なくとも一方に設けられ、前記第1および第2の狭持体で狭持された生体組織にエネルギを放出したときに、生体組織に加えられたエネルギ分布を均一化するようにしたことを特徴とする治療用処置具。 - 前記第1および第2の狭持体は、それぞれ基端部と、先端部と、長手方向の中心軸と、互いの狭持体に対して近接した位置に配設された狭持面とを備え、
前記複数のエネルギ放出部は、前記第1および第2の狭持体の前記狭持面の前記中心軸の近傍に配設された第1の領域と、前記中心軸に対して離間した位置に配設された第2および第3の領域とを備え、
前記第1の領域における前記エネルギ放出部のエネルギ密度は、前記第2および第3の領域における前記エネルギ放出部のエネルギ密度に対して小さいことを特徴とする請求項17に記載の治療用処置具。 - 前記第1の領域から第3の領域には、前記エネルギ放出部がそれぞれスポット状に複数配設され、
前記第1の領域に配設された前記エネルギ放出部の数は、前記第2および第3の領域に配設された前記エネルギ放出部の数よりも少ないことを特徴とする請求項18に記載の治療用処置具。 - 前記第1の領域から第3の領域には、前記エネルギ放出部がそれぞれスポット状に複数配設され、
前記第1の領域に配設された前記エネルギ放出部同士の間隔は、前記第2および第3の領域に配設された前記エネルギ放出部の間隔よりも広いことを特徴とする請求項18もしくは請求項19に記載の治療用処置具。 - 前記第1の領域から第3の領域には、前記エネルギ放出部がそれぞれスポット状に複数配設され、
前記第1の領域の面積は、前記第2および第3の領域の面積よりも小さいことを特徴とする請求項18ないし請求項20のいずれか1に記載の治療用処置具。 - 前記第1および第2の狭持体は、それぞれ基端部と、先端部と、長手方向に対して直交する方向の中心軸とを備え、
前記複数のエネルギ放出部は、前記第1および第2の狭持体の前記狭持面の前記中心軸の近傍に配設された中心軸近傍領域と、前記中心軸に対して離間した位置に配設された中心軸離間領域とを備え、
前記中心軸近傍領域における前記エネルギ放出部のエネルギ密度は、前記中心軸離間領域における前記エネルギ放出部のエネルギ密度に対して小さいことを特徴とする請求項17に記載の治療用処置具。 - 前記中心軸近傍領域および中心軸離間領域には、前記エネルギ放出部がそれぞれスポット状に複数配設され、
前記中心軸近傍領域に配設された前記エネルギ放出部の数は、前記中心軸離間領域に配設された前記エネルギ放出部の数よりも少ないことを特徴とする請求項22に記載の治療用処置具。 - 前記中心軸近傍領域および中心軸離間領域には、前記エネルギ放出部がそれぞれスポット状に複数配設され、
前記中心軸近傍領域に配設された前記エネルギ放出部の間隔は、前記中心軸離間領域に配設された前記エネルギ放出部の間隔よりも広いことを特徴とする請求項22もしくは請求項23に記載の治療用処置具。 - 前記中心軸近傍領域および中心軸離間領域には、前記エネルギ放出部がそれぞれスポット状に複数配設され、
前記中心軸近傍領域の面積は、前記中心軸離間領域の面積よりも小さいことを特徴とする請求項22ないし請求項24のいずれか1に記載の治療用処置具。 - 前記第1および第2の狭持体は、内周と外周とこれら内周と外周との間の中心線とを有する環状であり、
前記複数のエネルギ放出部は、前記中心線の近傍に配設された第1の領域と、前記中心線に対して内側に離間した第2の領域と、前記中心線に対して外側に離間した第3の領域とを備え、
前記第1の領域における前記エネルギ放出部のエネルギ密度は、前記第2および第3の領域における前記エネルギ放出部のエネルギ密度に対して小さいことを特徴とする請求項17に記載の治療用処置具。 - 前記第1の領域のエネルギ放出部の径方向の幅は、前記第2の領域および第3の領域のエネルギ放出部の径方向の幅よりも狭いことを特徴とする請求項26に記載の治療用処置具。
- 前記第1の領域から第3の領域に配設された前記エネルギ放出部は、それぞれ同心的に複数配設され、
前記第1の領域に配設された前記エネルギ放出部の面積は、前記第2の領域および第3の領域にそれぞれ配設された前記エネルギ放出部の面積よりも小さいことを特徴とする請求項26もしくは請求項27に記載の治療用処置具。 - 前記第1ないし第3の領域に配設された前記エネルギ放出部は、それぞれ同心的に複数配設され、
前記第1の領域における隣接する同じ周上の前記複数のエネルギ放出部同士の間隔は、前記第2の領域における隣接する同じ周上の前記複数のエネルギ放出部同士の間隔よりも広く、
前記第1の領域における隣接する同じ周上の前記複数のエネルギ放出部同士の間隔は、前記第3の領域における隣接する同じ周上の前記複数のエネルギ放出部同士の間隔よりも狭く、
前記第1の領域に配設された前記エネルギ放出部の面積は、前記第2および第3の領域に配設された前記エネルギ放出部の面積よりも小さいことを特徴とする請求項26ないし請求項28のいずれか1に記載の治療用処置具。 - 前記第1の領域から第3の領域には、前記エネルギ放出部がそれぞれスポット状に複数配設され、
前記第1の領域に配設された前記エネルギ放出部の数は、前記第2および第3の領域に配設された前記エネルギ放出部の数よりも少ないことを特徴とする請求項26に記載の治療用処置具。 - 前記第1の領域から第3の領域には、前記エネルギ放出部がそれぞれスポット状に複数配設され、
前記第1の領域に配設された前記エネルギ放出部の間隔は、前記第2および第3の領域に配設された前記エネルギ放出部の間隔よりも広いことを特徴とする請求項26もしくは請求項30に記載の治療用処置具。 - 前記第1の領域から第3の領域には、前記エネルギ放出部がそれぞれスポット状に複数配設され、
前記第1の領域に配設されたエネルギ放出部の面積は、前記第2および第3の領域に配設されたエネルギ放出部の面積よりも小さいことを特徴とする請求項26、請求項30および請求項31のいずれか1に記載の治療用処置具。
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