定義
他に言及されない限り、以下の用語および語句は、以下の意味を有することが意図される。商品名は、本明細書で使用される場合、文脈により他が意味されない限り、その商品名の製品の製剤、後発医薬品、およびその商品名の製品の活性な医薬成分を独立して含むことが意図される。
「結合因子」という用語は、本明細書で使用される場合、標的抗原に特異的に結合するタンパク質またはペプチドを意味する。結合因子は、例えば、抗体、このような抗体の誘導体、または標的抗原に特異的に結合する他の因子であり得る。結合因子はまた、Fv領域またはその一部(例えば、標的抗原に特異的に結合する抗体のVHまたはVLまたはCDR)を含むタンパク質であり得る。
「CD33結合因子」という用語は、本明細書で使用される場合、CD33に特異的に結合する結合因子、典型的には、ヒトCD33の細胞外ドメインの一部をいう。
「抗体」という用語は、本明細書で使用される場合、(a)免疫グロブリンポリペプチドおよび免疫グロブリンポリペプチドの免疫学的に活性な部分(すなわち、特異的標的抗原に免疫特異的に結合する抗原結合部位を含む、免疫グロブリンファミリーのポリペプチドまたはそのフラグメント)、または(b)標的抗原に免疫特異的に結合するこのような免疫グロブリンポリペプチドもしくはフラグメントの保存性弛緩誘導体をいう。抗体は、一般的には、HarlowおよびLane、Antibodies:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1988)に記載されている。「抗体」という用語は、インタクトなモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、単一特異的抗体、多特異的抗体(例えば、二特異的抗体)、所望の生物学的活性(例えば、抗原結合)を示す抗体フラグメントをいう。抗体は、任意の型のクラス(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、およびIgA)またはサブクラス(例えば、IgG1、lgG2、IgG3、IgG4、IgA1,およびIgA2)であり得る。
「インタクトな」抗体は、抗体クラスについて適切に、軽鎖定常ドメイン(CL)および重鎖定常ドメイン、CH1、CH2、CH3、およびCH4と同様に、抗原結合領域を含むものである。定常領域は、ネイティブ配列の定常ドメイン(例えば、ヒトネイティブ配列定常ドメイン)またはそのアミノ酸配列改変体であってもよい。
「抗体フラグメント」は、抗原結合領域または可変領域またはその一部を含む、抗体の部分である。抗体フラグメントの例には、Fab、Fab’、F(ab’)2、およびFvのフラグメント、VHおよびVL抗原結合フラグメント、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、単鎖抗体、scFv、scFv−Fc、SMIP、および抗体フラグメントから形成された多価抗体が含まれる。
抗体は、1つ以上の「エフェクタ機能」を有してもよく、これは、抗体のFc領域(ネイティブ配列Fc領域またはアミノ酸配列改変体Fc領域)に起因する生物学的活性である。抗体エフェクタ機能の例には、C1q結合;補体依存性細胞傷害性(CDC);Fc受容体結合;抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性(ADCC);食作用;細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体;BCR)のダウンレギュレーションなどが含まれる。
「単鎖Fv」または「scFv」抗体フラグメントは、単一のポリペプチド鎖に存在する抗体のVHおよびVLドメインを含む。Fvポリペプチドは、典型的には、scFvが抗原結合のための所望の構造を形成することを可能にする、VHとVLとの間のポリペプチドリンカーをさらに含む。scFvの概説としては、Pluckthun、The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113所収、RosenburgおよびMoore編、Springer−Verlag,New York,269−315頁(1994)を参照のこと。
「ダイアボディ」という用語は、2つの抗原結合部位を有し、同じポリペプチド鎖の中に可変軽鎖ドメイン(VL)に結合された可変重鎖ドメイン(VH)を含む小さな抗体フラグメントをいう。同じ鎖の2つのドメイン(VHおよびVL)間の対合を可能にするためには短すぎるリンカーを使用することによって、これらのドメインは、別の鎖の相補性ドメインと対合するよう強制され、それによって、2つの抗原結合部位を作製する。ダイアボディは、例えば、EP0404097;WO93/11161;およびHollingerら、1993,Proc.Natl.Acad.Sci USA 90:6444−6448においてより十分に記載されている。2つの抗原結合部位は、同じまたは異なっていてよい。
「単離された」結合因子は、その天然環境の構成成分から分離および/または回収されているものである。天然環境の夾雑成分は、結合因子のための診断的または治療的使用と干渉する物質であり、これには、酵素、ホルモン、および他のタンパク質性または非タンパク質性溶質を含み得る。いくつかの実施形態において、結合因子は、(1)Lowry法によって決定されるような結合因子の95重量%を超えるまで、または99重量%を超えるまで、(2)スピニングカップシーケネータの使用によるN末端もしくは内部アミノ酸配列の少なくとも15残基を得るために十分な程度まで、または(3)クマシーブルーもしくは銀染色を使用して、還元もしくは非還元条件下でのSDS−PAGEによって均一にまで精製される。単離された結合因子は、組換え細胞中にインサイチュで結合因子を含む。なぜなら、結合因子の天然の環境の少なくとも1つの成分が存在していないからである。しかし、通常は、単離された結合因子は、少なくとも1の精製工程によって調製される。
目的の抗原(すなわち、標的抗原)を「指向し」、「結合し」または「特異的に結合する」抗体などの結合因子は、その結合因子が、抗原を発現する細胞を標的とする際に有用であるように、十分な親和性でその抗原を結合可能であるものである。典型的には、この結合因子は、少なくとも約1×107M−1の親和性で、所定の抗原または密接に関連する抗原以外の非特異的抗原(例えば、BSA、カゼイン)への結合についてのその親和性よりも少なくとも2倍大きい親和性で所定の抗原に結合する。
「抗体誘導体」は、本明細書で使用される場合、異種分子の共有結合、例えば、異種ポリペプチドの結合、またはグリコシル化、脱グリコシル化、アセチル化、もしくはリン酸化、もしくは抗体に通常付随する他の修飾によって修飾される、上記に定義されるような抗体をいう。いくつかの実施形態において、異種分子は治療剤ではない。いくつかの実施形態において、異種分子は、それ自体では、細胞増殖抑制性または細胞傷害性効果を示さない。
「有効レジメン」という用語は、哺乳動物、好ましくは、ヒトに提供される治療の過程をいい、哺乳動物における疾患または障害を治療または予防するために有効な治療有効量の薬物または薬物組成物を投与する工程を包含する。
「治療有効量」という用語は、哺乳動物、好ましくは、ヒトにおける疾患または障害を治療または予防するために有効な薬物または薬物組成物(例えば、単独で、または1種以上の治療剤と組み合わせた、抗体または抗体薬物結合体)の量をいう。癌の進行または癌関連悪液質の場合において、治療有効量の薬物または薬物組成物は、癌細胞の数を減らし;腫瘍サイズを低減し;末梢器官への癌細胞の浸潤を阻害し(すなわち、ある程度まで遅延し、好ましくは停止し);腫瘍の転移を阻害し(すなわち、ある程度まで遅延し、好ましくは停止し);腫瘍の増殖をある程度まで阻害し;および/または癌に関連する1つ以上の症状、すなわち、癌に関連する悪液質(例えば、組織消耗、体重減少、発熱、寝汗、または悪液質の他の症状)をある程度まで緩和し得る。存在する癌細胞の増殖を妨害し、および/またはこれを殺傷し得る程度まで、薬物または薬物組成物は細胞増殖抑制性および/または細胞傷害性であり得る。癌の進行の治療のために、例えば、効力は、無増悪期間(TTP)を評価すること、および/または奏功率(RR)を決定することによって測定することができる。癌関連悪液質治療のために、効力は、例えば、体重減少および/または組織消耗を評価することによって測定することができる。血液学的悪性疾患(例えば、白血病)からの寛解にある患者の治療の場合において、治療有効量の薬物は、再発(すなわち、根底にある血液学的悪性疾患の再発)を阻害し(すなわち、ある程度まで遅延し、好ましくは停止し);根底にある血液学的悪性疾患からの白血病細胞の数を減少する。存在する癌細胞の増殖を妨害し、および/またはこれを殺傷し得る程度まで、薬物または薬物組成物は細胞増殖抑制性および/または細胞傷害性であり得る。寛解にある白血病患者の治療のために、効力は、例えば、寛解時間の長さによって測定することができる。
自己免疫疾患または炎症性疾患の治療のために、治療有効量は、疾患に関連する1つ以上の症状を緩和し得、これには、痛み、腫脹、不快、および/または組織損傷の減少または安定化が含まれる。関節リウマチについては、効力および応答は、the American College of Rheumatology ACR20またはACR50スコアを達成することを表し得る。クローン病においては、治療有効用量は、疾患活性指数(CDAI)を低下させ得る。この効果は、炎症誘発性サイトカインおよびケモカインの循環レベルを減少させることによって、ならびに/または単球およびマクロファージなどの炎症性浸潤細胞の数を減少させることによって達成されてもよい。エフェクタ細胞(単球、マクロファージなど)の機能または活性に影響を与え得る程度まで、薬物または薬物組成物は、これらの細胞の活性を遮断しもしくはこれに干渉し(例えば、サイトカイン産生を低減し)得るか、またはそれらのアポトーシスを誘導することによって、存在している細胞を殺傷し得る。
「治療剤」という用語は、本明細書で使用される場合、化学療法剤、放射線治療剤、治療抗体、小分子(すなわち、化学)薬剤、またはその必要がある哺乳動物、好ましくは、ヒトに投与されるペプチド薬物をいう。治療剤は、CD33結合因子とは別々に、またはCD33結合因子とともに投与することができる。
「化学療法剤」という用語は、癌の治療において有用である化学化合物をいう。化学療法剤の例には以下が含まれる:チオテパおよびサイトキサン(CYTOXAN(登録商標)シクロホスファミド);アルキルスルホネート、例えば、ブスルファン、インプロスルファン、およびピポスルファン;アジリジン、例えば、ベンゾドーパ(benzodopa)、カルボコン、メツレドーパ(meturedopa)、およびウレドーパ(uredopa);アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド(trietylenephosphoramide)、トリエチレンチオホスホラミド(triethiylenethiophosphoramide)およびトリメチロールメラミン(trimethylolomelamine)を含むエチレンイミンおよびメチラメラミン;TLK286(テルサイタ(TELCYTA(登録商標)));アセトゲニン(とりわけ、ブラタシンおよびブラタシノン);δ−9−テトラヒドロカンナビノール(ドロナビノール、マリノール(MARINOL(登録商標)));β−ラパコン;ラパコール;コルヒチン;ベツリン酸;カンプトテシン(合成アナログポテカン(ハイカムチン(HYCAMTIN(登録商標)))を含む);CPT−11(イリノテカン、カンプトサル(CAMPTOSAR(登録商標)))、アセチルカンプトテシン、スコポレクチン、および9−アミノカンプトテシン);ブリオスタチン;カリスタチン;CC−1065(そのアドゼレシン、カルゼレシン、およびビゼレシン合成アナログを含む);ポドフィロトキシン;ポドフィリン酸;テニポシド;クリプトフィシン類(特に、クリプトフィシン1およびクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成アナログ、KW−2189およびCB1−TM1を含む);エリュテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチイン;スポンジスタチン;ナイトロジェンマスタード、例えば、クロランブシル、クロロナファジン、コロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファリンおよびそのプロドラッグ、ノベンビチン(novembichin)、フェネステリン、プレドニムスチン、トロフォスファミド、およびウラシルマスタード;ニトロソウレア(nitrosureas)、例えば、カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、およびラニムスチン;ビスホスホネート、例えば、クロドロネート;エンジイン抗生物質(例えば、カリケアマイシン、とりわけ、カリケアマイシンγ1IおよびカリケアマイシンωI1(例えばAgnew Chem Intl.Ed.Engl.33:183−186(1994)参照のこと)ならびにアントラサイクリン、例えば、アンナマイシン、AD32、アルカルビシン、ダウノルビシン、デクスラゾキサン、DX−52−1、エピルビシン、GPX−100、イダルビシン、KRN5500、メノガリル、ダイネマイシンAを含むダイネマイシン、エスペラマイシン、ネオカルジノスタチン発色団および関連する色素タンパク質エネジイン抗生物質発色団、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オースラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン(carabicin)、カルミノマイシン、カルジノフィリン(carzinophilin)、クロモマイシン、ダクチノマイシン、デトルビシン(detorbicin)、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、アドリアマイシン(ADRIAMYCIN)(登録商標)ドキソルビシン(モルホリノ−ドキソルビシン、シアノモルホリノ−ドキソルビシン、2−ピロリノ−ドキソルビシン、リポソームドキソルビシン、およびデオキシドキソルビシンを含む)、エソルビシン、マーセロマイシン(marcellomycin)、マイトマイシン、例えば、マイトマイシンC、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、ケラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、およびゾルビシン;葉酸アナログ、例えば、デノプテリン、プテロプテリン、トリメトレキサート;プリンアナログ、例えば、フルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジンアナログ、例えば、アンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン(シトシン(cytosoine)アラビノシドまたはAra−Cとも呼ばれる)、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン;アンドロゲン、例えば、カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;抗副腎剤、例えば、アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸補充物、例えば、フォリン酸(ロイコボリン);アセグラトン;抗葉酸抗新生物剤、例えば、アリムタ(ALIMTA(登録商標))、LY231514ペメトレキセド、ジヒドロ葉酸還元酵素阻害剤、例えば、メトトレキサート;代謝拮抗物質、例えば、5−フルオロウラシル(5−FU)およびそのプロドラッグ、例えば、UFT、S−1、およびカペシタビン;チミジル酸シンターゼ阻害剤およびグリシンアミドリボヌクレオチドホルミルトランスフェラーゼ阻害剤、例えば、ラルチトレキセド(トムデックス(TOMUDEX(商標)、TDX)));ジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼの阻害剤、例えば、エニルウラシル;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキサート(edatraxate);デフォファミン;デメコルシン;ジアジコン;エルフォルニチン;酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダミン;マイタンシノイド、例えば、メイタンシンおよびアンサミトシン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダンモール;ニトラエリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;2−エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)ポリサッカリド複合体(JHS Natural Products,Eugene,OR);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テニュアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2”−トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(とりわけ、T−2毒素、ベラクリンA、ロリジンAおよびアングイジン);ウレタン;ビンデシン(エルジシン(ELDISINE(登録商標))、フィルデシン(FILDESIN(登録商標)));ダカーバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;シクロホスファミド;チオテパ;タキソイドおよびタキサン、例えば、タキソール(TAXOL(登録商標))パクリタキセル(Bristol−Myers Squibb Oncology,Princeton,N.J.)、アブラキサン(ABRAXANE)(商標)パクリタキセルのCremophor無添加アルブミン操作ナノ粒子製剤(American Pharmaceutical Partners,Schaumberg,Illinois)、およびタキソテレ(TAXOTERE(登録商標))ドキセタキセル(Rhone−Poulenc Rorer,Antony,France);ゲムシタビン(ジェムザール(GEMZAR(登録商標)));6−チオグアニン;メルカプトプリン;白金;白金アナログまたは白金ベースアナログ、例えば、シスプラチン、オキサリプラチン、およびカルボプラチン;ビンブラスチン(ベルバン(VELBAN(登録商標)));エトポシド(VP−16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン(オンコビン(ONCOVIN(登録商標)));ビンカアルカロイド;ビノレルビン(ナベルビン(NAVELBINE(登録商標));ノバントロン;エダトレキセート;ダウノマイシン;アミノプテリン;キセローダ;イバンドロナート;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイド、例えば、レチノイン酸;ならびに上記のいずれかの薬学的に受容可能な塩、酸、または誘導体、および上記の2つ以上の組み合わせ、例えば、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、およびプレドニゾロンの組み合わせ療法の略号であるCHOP、ならびに5−FUおよびロイコボリンと組み合わせたオキサリプラチン(エロキサチン(ELOXATIN(登録商標)))を用いる治療レジメンの略号であるFOLFFOX。
腫瘍上でのホルモン作用を調節または阻害するように作用する抗ホルモン剤もまた、「化学療法剤」のこの定義に含められ、これには、例えば、以下が含まれる:抗エストロゲンおよび選択的エストロゲン受容体調節因子(SERM)、例えば、タモキシフェン(ノルバデックス(NOLVADEX(登録商標))タモキシフェンを含む)、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、4−ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、およびファレストン(FARESTON(登録商標))トレミフェン;および副腎におけるエストロゲン産生を調節する酵素アロマターゼを抑制するアロマターゼ阻害剤、例えば、4(5)−イミダゾール、アミノグルテチミド、メガーセ(MEGASE(登録商標))酢酸メゲストロール、アロマシン(AROMASIN(登録商標))エキセメスタン、フォルメスタン(formestanie)、ファドロゾール、リビソール(RIVISOR(登録商標))ボロゾール、フェマラ(FEMARA(登録商標))レトロゾール、およびアリミデックス(ARIMIDEX(登録商標))アナストロゾールなど;ならびに抗アンドロゲン、例えばフルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、およびゴセレリン;ならびにトロキサシタビン(1,3−ジオキソランヌクレオシドシトシンアナログ);アンチセンスオリゴヌクレオチド、特に、異常な(abherant)細胞増殖に関与するシグナル伝達経路における遺伝子の発現を阻害するもの、例えば、PKC−α、Raf、H−Ras、および上皮成長因子受容体(EGF−R);遺伝子治療ワクチンなどのワクチン、例えば、アロベクチン(ALLOVECTIN(登録商標))ワクチン、ロイベクチン(LEUVECTIN(登録商標))ワクチン、およびバキシド(VAXID(登録商標))ワクチン;プロロイキン(PROLEUKIN(登録商標))rIL−2;ルートテカン(LURTOTECAN(登録商標))トポイソメラーゼ1阻害剤;アバレリックス(ABARELIX(登録商標))rmRH;および上記の任意の薬学的に受容される塩、酸、または誘導体が含まれる。
「放射線治療剤」という用語は、放射性同位元素(例えば、211At、131I、125I、90Y、186Re、188Re、153Sm、212Bi、32P、60C、およびLuの放射性同位元素)を含む、癌の治療において有用である化学化合物をいう。放射線治療剤は、CD33結合因子とは別々に投与することができ、またはCD33結合因子に結合する(結合体化する)ことができる。
「治療抗体」という用語は、癌、血液学的疾患、および/または自己免疫疾患もしくは炎症性疾患の治療において有用である、単独であるかまたは細胞毒素に結合されている(結合体化されている)かのいずれかである抗体をいう。抗体は、標的抗原に結合し、そして例えば、自己免疫疾患または炎症性疾患の状況において、抗体が特異的に結合する抗原を発現する癌または腫瘍組織の機能を阻害もしくは妨害し、および/またはその破壊を引き起こし、痛み、炎症もしくは組織の破壊を減少するために、患者に利点を提供する。
「小分子薬物」という用語は、本明細書で使用される場合、典型的には1000ダルトンより小さい、癌または自己免疫疾患または炎症性疾患の治療において有用である化学化合物をいう。
「ペプチド薬物」という用語は、ペプチド結合によって連結されたアミノ酸から主として構成される、癌または自己免疫疾患または炎症性疾患の治療において有用である化学化合物をいう。ペプチド薬物は、酵素活性を有するポリペプチドまたは有さないポリペプチドを含むことが意図される。アミノ酸は天然アミノ酸または非天然アミノ酸であり得る。
「細胞傷害性因子」または「細胞毒素」は、細胞の機能を阻害もしくは予防し、および/または細胞の破壊を引き起こす物質をいう。この用語は、直接的な毒性または破壊的な効果を生きている細胞に対して有するペプチドまたは化学物質(すなわち、非ペプチドベース)を含むことが意図され、通常は、特定の器官または細胞型である。この用語は、生きている細胞の増殖および増幅を抑制する物質をいう「細胞増殖抑制剤」を含むこともまた意図される。この用語は、合成アナログおよびその誘導体を含む、化学療法剤および細菌、真菌、植物、または動物起源の小分子毒素または酵素的に活性な(すなわち、ペプチドベースの)毒素などの毒素を含むことが意図される。いくつかの実施形態において、「細胞傷害性因子」または「細胞毒素」という用語は、放射線治療剤を除外する。
「ペプチド細胞毒素」という用語は、ペプチド結合によって連結された天然アミノ酸から主として構成される細胞傷害性因子をいう。例示的なペプチド細胞毒素には、サポリン、リシン、クロロトキシン、シュードモナス外毒素、シュードモナス内毒素、またはジフテリア毒素が含まれる。ペプチド細胞毒素は、CD33結合因子とは別々に投与することができ、またはCD33結合因子に結合させる(すなわち、結合体化させる)ことができる。
「化学細胞毒素」という用語は、典型的には、1000ダルトンよりも小さな化学化合物をいう。例示的な化学細胞毒素には、カリケアマイシン、ドキソルビシン、カンプトテシン、マイタシノイド、ダウノルビシン、または他のDNA結合因子が含まれる。化学細胞毒素は、CD33結合因子とは別々に投与することができ、またはCD33結合因子に結合させる(すなわち、結合体化させる)ことができる。
「結合体」という用語は、細胞傷害性因子または細胞毒素に結合される(すなわち、結合体化される)結合因子をいう、細胞毒素は、細胞によって内部移行されるまで、生きている細胞に対して毒性ではない(または実質的に毒性の減少を示す)分子であり得る。細胞毒素は、下記に記載されるように、CD33結合因子に化学的に結合させる(すなわち、結合体化させる)ことができる。
「標的ポリペプチド」、「標的タンパク質」、および「標的抗原」という用語は、標的細胞、例えば、非悪性エフェクタ細胞またはアクセサリー細胞または白血病細胞の表面上の、またはそれらの細胞に付随するタンパク質、ポリペプチド、および加えて、「標的抗原」の場合には、別の分子をいう。
「患者」または「被験体」の例には、ヒトまたは他の哺乳動物(例えば、ラット、マウス、モルモット、サル、ブタ、ヤギ、ウシ、ウマ、イヌ、またはネコ)が含まれるがこれらに限定されない。例示的な実施形態において、患者または被験体はヒトである。
「治療する」、「治療すること」、および「治療」という用語は、文脈により他のことが示されない限りは、目的が、望ましくない生理学的変化または障害、例えば、癌の発生または伝播を予防または遅延させる(すなわち、減少させる)ことである、治療的処置と予防的もしくは防御的手段の両方をいう。有益なまたは所望の臨床的結果には以下が含まれるがこれらに限定されない:症状の緩和、疾患の程度の減少、疾患の安定化(すなわち、悪化ではないこと)、疾患の進行の遅延もしくは緩徐化、疾患状態の寛解および軽減、疾患の再発(relapse and recurrence)の回復(部分的または全体的に関わらず、検出可能または検出不可能に関わらず)および予防。「治療」は、治療を受けていない場合に予測される生存と比較して、延長される生存もまた意味し得る。治療の必要がある対象は、疾患、状態、または障害を有する対象、ならびに疾患、状態、または障害が予防される、疾患、状態、または障害を有する傾向がある対象である。
癌の状況において、「治療すること」という用語には、腫瘍細胞、癌細胞、または腫瘍の増殖を予防すること;腫瘍細胞または癌細胞の複製を予防すること;全体の全身腫瘍組織量の減少または癌性細胞の数の減少、癌の再発を予防すること、および疾患に関連する1つ以上の症状を改善することのいずれかまたはすべてが含まれる。癌関連悪液質の状況において、「治療すること」という用語には、少なくとも1つの関連する症状、例えば、組織消耗、発熱、寝汗、および/または体重減少のいずれかまたはすべてを予防または改善することが含まれる。自己免疫疾患または炎症性疾患の状況において、この用語は、痛み、不快、腫脹、炎症、炎症誘発性サイトカインもしくはケモカインのレベル、および/または組織の破壊を含む、疾患に関連する症状を緩和または減少することを意味する。
「再発」という用語は、過去において人が罹患した癌などの医学的状態または疾患の、その人における再発をいう。
「寛解」とは、以前に癌などの医学的状態または疾患を有したことが知られている患者における検出可能な医学的状態または疾患の不在の状態をいう。
「骨髄移植」とは、血液もしくは骨髄の疾患または特定の型の癌を有する患者への造血幹細胞(HSC)の移植をいう。静脈内に注入されたHSCまたは骨髄細胞は、骨髄を再定着し、新たな血液細胞を産生する。骨髄移植には2つの主要な型が存在する:自系および同種異系である。
「自系」という用語は、骨髄移植に言及する場合、典型的には、患者の大きな骨からのHSCの単離、HSCの保存、身体中に残っているHSCを破壊するために患者を処置すること、および患者自身のHSCを彼らの身体に戻すことをいう。
「同種異系」という用語は、骨髄移植に言及する場合には、典型的には、人(ドナー)の大きな骨からのHSCの単離、および彼ら自身のHSCが破壊された後でこれらのHSCを患者(レシピエント)に移すことをいう。同種異系HSCドナーは、少なくとも部分的にレシピエントと一致する組織型を有する必要がある。
「サイトカイン」という用語は、細胞内メディエータとして他の細胞に作用し、細胞活性に影響を与え、かつ炎症を制御する、いずれかのリンパ細胞によって放出されるタンパク質についての一般的用語である。サイトカインは当該分野において周知である。このようなサイトカインの例は、リンホカイン、モノカイン、および常套的なポリペプチドホルモンである。サイトカインの中には以下が含まれる:成長ホルモン、例えば、ヒト成長ホルモン、N−メチオニルヒト成長ホルモン、およびウシ成長ホルモン;副甲状腺ホルモン;チロキシン;インスリン;プロインスリン;リラキシン;プロリラキシン;糖タンパク質ホルモン、例えば、卵胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、および黄体形成ホルモン(LH);肝臓成長因子;線維芽細胞成長因子;プロラクチン;胎盤性ラクトゲン;腫瘍壊死因子−αおよびβ;ミュラー管抑制物質;マウスゴナドトロピン関連パプチド;インヒビン;アクチビン;血管内皮成長因子(VEGF);インテグリン;トロンボポエチン(TPO);神経成長因子、例えば、NGF−β;血小板成長因子;トランスフォーミング成長因子(TGF)、例えば、TGF−αおよびTGF−β;インスリン様成長因子−Iおよび−II;エリスロポエチン(EPO);骨誘導因子;インターフェロン、例えば、インターフェロン−α、−β、および−γ;コロニー刺激因子(CSF)、例えば、マクロファージ−CSF(M−CSF);顆粒球−マクロファージ−CSF(GM−CSF);および顆粒球−CSF(G−CSF);インターロイキン(IL)、例えば、IL−I、IL−1α、IL−1β、IL−2、IL−3、1L−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12など;腫瘍壊死因子、例えば、TNF−αまたはTNF−β;ならびに、白血病抑制因子(LIF)およびkitリガンド(KL)を含む他のポリペプチド因子。本明細書で使用される場合、患者に言及するときに、「サイトカイン」という用語は、患者によって産生されるこれらの1種以上をいう。
「ケモカイン」という用語は、白血球細胞に作用し、ならびにそれらが移動し、および/またはそれらの免疫系機能を実行するように活性化されるようになる、任意のタンパク質の一般的用語である。ケモカインは当該分野において周知である。例示的なケモカインには、例えば、非限定的に、以下が含まれる:TECK、ELC、BLC−1、CTACK、RANTES、フラクタルキン、エオタキシン(exotaxin)、エオタキシン−2、単球化学誘導タンパク質−1(MCP−I)、MCP−2、MCP−3、MCP−4、MDC、ロイコタクチン(leukotactin)、SDF−1β、リンホタクチン、TARC、ITAC、ENA−70、ENA−78、IP−10、NAP−2、インターロイキン−8(IL−8)、HCC−1、MIP−1α、MIP−1β、MlP−1δ、I−309、GRO−α、GRO−β、GRO−γ、MPIF−1、I−LINK、およびGCP−2。本明細書で使用される場合、患者に言及するときに、「ケモカイン」という用語は、患者によって産生されるこれらのいずれかをいう。
「成長因子」という用語は、成長、分化、増殖、および/または増幅するために、それらを刺激する細胞または他の細胞によって産生される物質、典型的には、タンパク質についての一般的用語である。過度の量で産生されるか、または不適切な環境において発現される場合、このような成長因子は、癌において見られるような、異常な細胞の成長または増殖と関連する可能性がある。癌と関連する成長因子は当該分野において周知である。癌と関連する多くの成長因子は、上記のサイトカインとしてもまた記載することができる。癌と関連する例示的な成長因子には、例えば、非限定的に、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)および血管内皮成長因子(VEGF)が含まれる。本明細書で使用される場合、患者に言及するときに、「成長因子」という用語は、患者によって産生されるこれらの1種以上をいう。
「エフェクタ細胞またはアクセサリー細胞」とは、本明細書で使用される場合、単球、マクロファージ、樹状細胞、および好中球が含まれる。エフェクタ細胞またはアクセサリー細胞マクロファージの1つの型は、腫瘍関連マクロファージ(TAM)である。エフェクタ細胞またはアクセサリー細胞は、腫瘍もしくは癌細胞、または自己免疫疾患もしくは炎症性疾患に罹患している患者の患部の細胞の増殖および分化を調節し得る、広範な種々のサイトカイン、ケモカイン、および成長因子を産生および放出する。
「関与する非悪性エフェクタ細胞」とは、規定通りに、癌または自己免疫疾患または炎症性疾患の病理と関連するか、またはその一部であるエフェクタ細胞またはアクセサリー細胞をいう。TAMは、関与する非悪性エフェクタ細胞の例である。
「単球」は、造血幹細胞前駆体からの骨髄において産生され、血中を循環し、そして組織に移動する白血球(感染性疾患および外来物に対して、骨髄中で産生され、そして身体がこれ自体を防御するよう補助する白血球細胞)であり、成熟して身体中の様々な箇所で種々の型のマクロファージになる。単球は、身体中での外来物質の食作用(すなわち、摂取)の原因である。単球は、抗体依存性細胞の細胞傷害性(ADCC)を介して感染細胞を殺傷することも可能である。
マクロファージは、単球から分化される白血球である。単球が血管の内皮を通して組織に入る場合、それらは分化を受け、マクロファージになる。身体における損傷部位に誘引されるマクロファージは、細胞細片および病原体を飲み込み、それらを消化する食細胞である。
「樹状細胞」は、外部環境と接触している組織(例えば、皮膚、鼻の裏層、肺、胃、腸)中に少数で存在する免疫細胞である。活性化に際して、樹状細胞はリンパ組織に移動し、そこで、樹状細胞はB細胞およびT細胞と相互作用して、外来性抗原に対する免疫応答を開始および調節する。いくつかの樹状細胞は単球に由来している。
「好中球」または「好中球顆粒球」は、白血球の最も豊富な型であり、血流中でのみ見出される。好中球は、微生物または粒子を消化可能な食細胞である。他のエフェクタ細胞またはアクセサリー細胞とは異なり、好中球は、1つの食作用事象を実行できるのみであり、「呼吸バースト」におけるそれらのグルコースのすべての蓄積を消費する。
「マクロファージ」は、ヒトの原発性腫瘍および二次腫瘍の両方において見られる炎症性浸潤物中に存在する。これらのマクロファージは区別可能な表現型を示し、腫瘍関連マクロファージ(TAM)と呼ばれる(例えば、LewisおよびPollard,2006,Cancer Res.66:605−612を参照のこと)。TAMは、腫瘍増殖、血管形成、侵襲、および転移を調節する、広範な種々のサイトカイン、ケモカイン、成長因子、酵素、および他の炎症性メディエータを放出することによって、腫瘍の環境における刺激に対して応答する。動物モデルにおいては、抗腫瘍活性は、TAM補充、生存、活性化、極性形成、エフェクタシグナル伝達、および細胞外マトリックス相互作用を標的とすることによって達成されてきた。
「単離された」核酸分子は、核酸の天然の供給源において通常は会合している少なくとも1種の夾雑する核酸分子から同定および分離されている核酸分子である。単離された核酸分子は、天然に見出される型または設定以外のものである。それゆえに、単離された核酸分子は、それが天然の細胞中に存在するような核酸分子から区別される。しかし、単離された核酸分子には、タンパク質を通常発現する細胞中に含まれる核酸分子が含まれ、ここで、例えば、核酸分子は、天然の細胞のものとは異なる染色体の位置にある。
「制御配列」という発現は、特定の宿主生物中での作動可能に連結されるコード配列の発現のために必要である核酸配列をいう。原核生物のために適切である制御配列には、例えば、プロモータ、任意選択的にオペレータ配列、およびリボソーム結合部位が含まれる。真核生物は、プロモータ、ポリアデニル化シグナル、およびエンハンサを利用することが知られている。
核酸は、別の核酸配列との機能的な関係に置かれる場合に「作動可能に連結される」。例えば、プレ配列もしくは分泌リーダー配列のDNAは、ポリペプチドの分泌に関与するプレタンパク質として発現される場合に、ポリペプチドのDNAに作動可能に連結され;プロモータもしくはエンハンサは、配列の転写に影響を与える場合にコード配列に作動可能に連結され;またはリボソーム結合部位は、翻訳を容易にするように配置されるように、コード配列に作動可能に連結される。一般的に、「作動可能に連結される」とは、連結される核酸配列が連続しており、分泌リーダーの場合には、連続しておりかつ読み相(reading phase)にあることを意味する。しかし、エンハンサは、連続している必要はない。連結は、便利な制限部位におけるライゲーションによって達成することができる。このような部位が存在しない場合には、合成オリゴヌクレオチドアダプタまたはリンカーを、従来の実務に従って使用することができる。
本明細書で使用される場合、「細胞」、「細胞株」、および「細胞培養」という表現は互換的に使用され、すべてのこのような表示は子孫を含む。「形質転換体」および「形質転換細胞」という語句には、対象の初代細胞および移入の数に関わらず、そこから誘導された培養が含まれる。すべての子孫は、意図的なまたは不注意な変異に起因して、DNA含量が正確に同一でなくてもよいこともまた理解される。もともとの形質転換細胞においてスクリーニングされたものと同じ機能または生物学的活性を有する変異型の子孫が含まれる。区別できる表示が意図される場合、これは状況から明確である。
詳細な説明
本発明は、癌または自己免疫疾患または炎症性疾患を有する患者を治療する方法に関する。これらの方法は、CD33結合因子(例えば、抗体)の投与を提供し、癌の進行を遅延させるため、全身腫瘍組織量を減少させるため、癌関連悪液質を減少させるため、または患者における他の効果のために有用である。本発明はまた、患者における白血病および他の癌の再発を予防または遅延させる方法に関する。本発明はさらに、例えば、自己免疫疾患または炎症性疾患に付随する炎症および/または組織損傷を減少させるためにCD33結合因子を投与することによって、自己免疫疾患または炎症性疾患を治療することに関する。本発明はまた、癌または自己免疫疾患または炎症性疾患を有する患者を治療するために、このようなCD33結合因子を含む薬学的組成物を提供する。
本発明は、AMLを治療するために医院によって以前に使用されたものよりもより高い用量および強度(すなわち、より高い用量、より長い持続時間、より多い治療)で投与される、CD33に対して指向される抗体を用いる治療の過程の後で、急性骨髄性白血病(AML)または骨髄異形成症候群(MDS)を有する患者が症状的に良好に感じ、ある場合においては、腫瘍の減少を示すという発見に部分的に関連している(例えば、実施例6を参照のこと)。以前には過飽和と考えられていた、このようなより高い用量および強度は、患者に治療的な利点を提供する。本発明者らはまた、ヒト非悪性エフェクタ細胞またはアクセサリー細胞(例えば、単球、マクロファージ、樹状細胞、および好中球)によって、およびインビトロで腫瘍細胞(例えば、AML細胞)によって、特定のサイトカイン、ケモカイン、および成長因子の産生を減少することができるという発見に部分的に関連している。本発明はまた、CD33に対する抗体がマクロファージの移動を減少することができるという発見に部分的に関連している。本明細書において教示されるように、本発明を使用して、完全な応答が、治療されたAML患者の一部において観察された。部分的な応答は、治療されたAML患者の一部においてもまた観察された。
任意の特定の理論によって束縛されることを意図することはないが、癌患者における腫瘍部位、または自己免疫疾患もしくは炎症性疾患を有する患者における炎症組織に誘引される単球およびマクロファージの移動を遮断または妨げることは、大きな臨床的な利点がある。癌患者におけるこれらの細胞の補充を遮断することによって、炎症性浸潤細胞の数の減少、ならびに腫瘍の成長を増強および促進する炎症誘発性サイトカインおよびケモカインの産生の減少が存在し、これが、全身腫瘍組織量の減少および腫瘍関連悪液質症候群の減少に導き得る。自己免疫疾患または炎症性疾患を有する患者において、単球およびマクロファージの補充を遮断することは、患部における炎症性浸潤細胞の数の減少、ならびに組織の破壊を増強かつ促進する炎症誘発性サイトカインおよびケモカインの産生の減少をもたらす。結果は、自己免疫疾患または炎症性疾患と関連する腫脹、痛み、および症候の減少である。
開示の明確さのため、および限定の手段としてではなく、詳細な説明は、以下に続くサブセクションに分けられる。
治療の方法
種々の態様において、癌または自己免疫疾患または炎症性疾患を有する患者を治療する方法が提供される。これらの方法は、CD33に特異的に結合する因子(例えば、抗体)を投与する工程を包含し、例えば、癌の進行を遅延させるため、全身腫瘍組織量を減少させるため、癌関連悪液質を減少させるため、患者における白血病もしくは他の癌の再発を予防もしくは遅延させるため、または自己免疫疾患もしくは炎症性疾患と関連する炎症および/もしくは組織損傷を減少するために有用である。
癌の治療
1つの態様において、CD33結合因子は、例えば、哺乳動物、好ましくはヒト患者において、癌の進行を遅延させ、および/もしくは癌関連悪液質を減少させるか、または血液学的悪性疾患(例えば、白血病)の再発を予防もしくは遅延することによって癌を治療するために有用である。CD33結合因子は、単独で、または別の治療剤と同時投与することができる。いくつかの実施形態において、CD33結合因子は、標準治療の化学療法剤と共に同時投与される。CD33結合因子は、非結合体型(すなわち、細胞毒素に結合体化されていない)としてまたは結合体として、投与することができる。治療できる非血液学的悪性疾患または血液学的悪性疾患の例示的な非包括的なリストは、以下の表1に提供される。
このサブセクションにおいて、「患者」は、癌の治療を受けているか、または癌を有すると診断された、ヒトまたは他の哺乳動物である。いくつかの実施形態において、悪性疾患細胞(癌または腫瘍細胞とも呼ばれる)はCD33陰性細胞である(すなわち、CD33陰性悪性疾患)。本明細書で使用される場合、「CD33陰性」細胞とは、それらの細胞表面にCD33を発現せず、またはCD33抗体を用いる療法に受容可能であると見なされているより下のレベルでCD33を発現する細胞をいう。
いくつかの実施形態において、CD33結合因子は、有効用量のCD33結合因子を、その必要がある患者に投与することによって、患者における癌の進行を遅延させ、および/または癌関連悪液質を減少させるために有用である。特定のメカニズムに束縛されることはないが、CD33結合因子は、骨髄または単球系統のエフェクタ細胞またはアクセサリー細胞(例えば、単球、マクロファージ、樹状細胞、および好中球)に結合し、それによって、エフェクタ細胞もしくはアクセサリー細胞および/または腫瘍細胞からの種々のサイトカイン、ケモケイン、および成長因子の産生を阻害または減少する。腫瘍細胞の成長および増殖を促進し、および/または癌の悪液質に寄与し得る、これらのサイトカイン、ケモカイン、および成長因子には、インターロイキン−1β(IL−1β)、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)、インターロイキン−6(IL−6)、インターロイキン−8(IL−8)、インターフェロン−γ(IFN−γ)、血管内皮増殖因子(VEGF)、白血病抑制因子(LIF)、単球化学誘導タンパク質−1(MCP−1)、RANTES、インターロイキン−10(IL−10)、インターロイキン−12(IL−12)、マトリックスメタロプロテイナーゼ2(MMP2)、IP−10、および/またはマクロファージ炎症タンパク質1α(MIP1α)が含まれる。CD33結合因子はまた、腫瘍細胞の部位へのマクロファージの移動を減少できる。CD33結合因子はまた、マクロファージの移動を減少できる。
いくつかの実施形態において、患者への有効用量のCD33結合因子の投与は、サイトカイン、ケモカイン、または成長因子の少なくとも1つのレベルを低下させ、そのサイトカイン、ケモカイン、または成長因子は、腫瘍細胞の成長および増殖を促進し、腫瘍部位の近傍への腫瘍関連マクロファージ(TAMS)などの非悪性エフェクタ細胞の移動を促進し、および/または癌悪液質に寄与することができる。特定の実施形態において、サイトカイン、ケモカイン、または成長因子は、例えば、インターロイキン−1β(IL−1β)、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)、インターロイキン−6(IL−6)、インターロイキン−8(IL−8)、インターフェロン−γ(IFN−γ)、血管内皮増殖因子(VEGF)、白血病抑制因子(LIF)、単球化学誘導タンパク質−1(MCP−1)、RANTES、インターロイキン−10(IL−10)、インターロイキン−12(IL−12)、マトリックスメタロプロテイナーゼ2(MMP2)、IP−10、および/またはマクロファージ炎症タンパク質1α(MIP1α)である。
いくつかの実施形態において、CD33結合因子は、非血液学的悪性疾患(例えば、CD33陰性悪性疾患)を治療するために使用することができる。適切な非血液学的悪性疾患は、悪性疾患が、TAMなどの非悪性エフェクタ細胞によって浸潤されているものであり、および/または悪性疾患の成長は、単球、マクロファージ、または他のCD33陽性細胞によって産生されるサイトカイン、ケモカイン、または成長因子に依存する。
別の実施形態において、CD33に特異的に結合し得る有効レジメンのCD33結合因子を患者に投与することによって、癌の進行を遅延させるための方法が提供される。CD33結合因子の投与の結果として、例えば、腫瘍細胞の成長または増殖を減少させること、転移を減少させ、サイトカイン、ケモカイン、または成長因子の少なくとも1つのレベルを減少させること、腫瘍細胞の近位にある非悪性エフェクタ細胞を減少させることなどによって、癌の進行が遅延される。
別の実施形態において、CD33に特異的に結合し得る有効レジメンのCD33結合因子を患者に投与することによって、患者における全身腫瘍組織量を減少させるための方法が提供される。CD33結合因子の投与の結果として、例えば、腫瘍のサイズまたは質量を減少させること、サイトカイン、ケモカイン、または成長因子の少なくとも1つのレベルを減少させること、腫瘍細胞の近位にある非悪性エフェクタ細胞を減少させること、腫瘍中の非悪性エフェクタ細胞(例えば、TAMSまたはマクロファージ)の数を減少させることなどによって、患者における全身腫瘍組織量が停止または減少される。
別の実施形態において、CD33に特異的に結合し得る有効レジメンのCD33結合因子を患者に投与することによって、患者における癌関連悪液質を減少させるための方法が提供される。CD33結合因子の投与の結果として、例えば、体重減少および/または組織消耗を減少または停止させることなどによって、患者における癌関連悪液質の少なくとも1つの症状が減少される。
この節に記載される種々の実施形態において、CD33結合因子は、CD33陰性またはCD33陽性の癌(それらの細胞表面上でCD33を過剰発現し、またはCD33抗体を用いる治療のために受け入れ可能であると見なされているレベルでCD33を発現する癌細胞から構成される癌)を治療するために使用することができる。CD33結合因子はまた、同じ型の正常組織と比較して、非悪性エフェクタ細胞上でCD33を過剰発現しない癌を治療するために使用することもできる。癌は、例えば、非血液学的悪性疾患または血液学的悪性疾患であり得る。特定の例において、血液学的悪性疾患は、CD33陽性またはCD33陰性であり得、そして例えば、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄単球性白血病、赤血球性白血病、急性巨核芽球性白血病、多発性骨髄腫、組織球性リンパ腫、骨髄性肉腫、肥満細胞増殖障害、または骨髄異形成症候群(MDS)であり得る。いくつかの実施形態において、血液学的悪性疾患はCD33陽性悪性疾患、例えば、急性リンパ性白血病または骨髄異形成症候群(MDS)である。
この節に記載されている種々の実施形態において、CD33結合因子は、非結合体化抗CD33抗体であり得る。例えば、抗体は、キメラまたはヒト化M195抗体などのヒト化またはキメラ抗体であり得る。この抗体はまた、別の抗体、例えば、CD33への特異的結合についてM195抗体と競合する抗体であり得る。この抗体は、M195抗体と同じエピトープに結合することができる。
他の実施形態において、CD33結合因子は、細胞毒素に結合(すなわち、結合体化)することができる。細胞毒素は、例えば、ペプチド毒素、例えば、サポリン、リシン、クロロトキシン、シュードモナス内毒素、シュードモナス外毒素、またはジフテリア毒素であり得る。細胞毒素はまた、化学(すなわち、非ペプチドベースの)毒素、例えば、カリケアマイシン、ドキソルビシン、カンプトテシン、ダウノルビシン、または他のDNA結合因子であり得る。細胞毒素はまた、オーリスタチン、マイタンシノイド、ドラスタチン、または他の微小管ブロッキング剤であり得る。
いくつかの実施形態において、CD33結合因子は、CD33に特異的に結合し、かつインビトロでのAML細胞(例えば、HL−60細胞)上でのCD33への結合に際してCD33のリン酸化およびSHP−1の補充を誘導するタンパク質であり得る。いくつかのさらなる実施形態において、CD33結合因子は、インビトロでのAML細胞(例えば、HL−60細胞)上でのCD33への結合に際してSHP−2またはSykの補充を引き起こさない。
抗CD33抗体であるCD33結合因子は、1.5mg/kg〜約12mg/kg、1.5mg/kg〜約15mg/kg、2.5mg/kg〜約12mg/kg、または2.5mg/kg〜約12mg/kgの用量で患者に静脈内投与することができる。抗CD33抗体フラグメントまたは他のCD33結合タンパク質であるCD33結合因子は、インタクトな抗体の1.5mg/kg〜約12mg/kg、1.5mg/kg〜約15mg/kg、2.5mg/kg〜約12mg/kg、または2.5mg/kg〜約12mg/kgの用量に等価な投薬量で投与することができる。CD33結合因子は、例えば、毎日、毎週、2週間に1回、3週間に1回(すなわち、3週間毎に)、または毎月、またはこれらの組み合わせであるスケジュールで、患者に静脈内投与することができる。CD33結合因子は、必要に応じて、少なくとも1ヶ月の期間、少なくとも2ヶ月の期間、少なくとも3ヶ月の期間、少なくとも4ヶ月の期間、少なくとも5ヶ月の期間、少なくとも6ヶ月の期間、またはそれ以上の期間、投与することができる。いくつかの実施形態において、CD33結合因子の治療段階(上記)に、維持段階が続き、ここでは、CD33結合因子の用量が、治療段階の間よりも、頻度が少なく投与される。例えば、維持用量は、毎週、2週間に1回、3週間に1回(すなわち、3週間毎に)、または毎月、1〜6ヶ月の期間の間、投与することができる。維持段階の投薬量は、治療段階の投薬量と同じであり得る。
いくつかの実施形態において、これらの方法は、患者において、CD33を提示する非悪性エフェクタ細胞またはアクセサリー細胞の数、および/または炎症性サイトカイン、ケモカイン、もしくは成長因子の1つ以上のレベルをモニタリングする工程をさらに包含する。このようなモニタリング工程は、癌細胞に近接する非悪性エフェクタ細胞またはアクセサリー細胞(例えば、単球、マクロファージ、樹状細胞、および/または好中球)をモニタリングすることを含み得る。これはまた、腫瘍関連マクロファージをモニタリングする工程もまた含み得る。モニタリングすることができる炎症誘発性サイトカイン、ケモカイン、または成長因子の1つ以上には、インターロイキン−1β(IL−1β)、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)、インターロイキン−6(IL−6)、インターロイキン−8(IL−8)、インターフェロン−γ(IFN−γ)、血管内皮増殖因子(VEGF)、白血病抑制因子(LIF)、単球化学誘導タンパク質−1(MCP−1)、RANTES、インターロイキン−10(IL−10)、インターロイキン−12(IL−12)、マトリックスメタロプロテイナーゼ2(MMP2)、IP−10、および/またはマクロファージ炎症タンパク質1α(MIP1α)が含まれるがこれらに限定されない。患者に投与されるCD33結合因子の投薬量は、このモニタリングする工程に基づいて調整することができる。
他の実施形態において、これらの方法は、CD33結合因子の投与に応答性である癌関連悪液質の程度について患者をモニタリングする工程をさらに含む。モニタリング工程は、体重、カロリー摂取、食欲の程度、悪心の程度、患者の幸福感、全身腫瘍組織量の測定、血中のサイトカインレベルの測定、ならびに筋肉量および体脂肪量の評価を含み得る。患者に投与されるCD33結合因子の投薬量は、モニタリング工程に基づいて調整することができる。
癌の治療のための同時療法
別の態様において、CD33結合因子は、癌に対して有効である治療剤と組み合わせて、患者に同時投与される。いくつかの実施形態において、癌はCD33陽性である。他の実施形態において、癌はCD33陰性である。治療剤は、例えば、化学療法剤、放射線治療剤、治療抗体、小分子薬剤、またはペプチド薬剤であり得る。特定の実施形態において、治療剤は化学療法剤である。
いくつかの実施形態において、これらの方法は、癌を治療または予防するために有効量のCD33結合因子および治療剤を、その必要がある患者に投与する工程を包含する。1つの実施形態において、治療剤は、癌の治療が不応性であることが見出されていないものである。別の実施形態において、治療剤は、癌の治療が不応性であることが見出されているものである。CD33結合因子は、癌の治療としての外科手術もまた受けている患者に投与することができる。1つの実施形態において、患者は放射線治療を受けているか、または受ける予定である。
特定の実施形態において、CD33結合因子は、治療剤または放射線治療と同時に投与される。別の特定の実施形態において、治療剤または放射線治療は、CD33結合因子の投与の前に投与される。なお別の実施形態において、治療剤または放射線治療は、CD33結合因子の投与に続いて投与される。いくつかの実施形態において、治療剤または放射線治療は、CD33結合因子の投与の前またはその後、少なくとも1時間、5時間、12時間、1日、1週間、1ヶ月、または数ヶ月(例えば、3ヶ月まで)投与される。治療剤はまた、一連のセッションにわたって投与することができる。
先で議論したように、治療剤は、例えば、化学療法剤、放射線治療剤、治療抗体、小分子薬剤、またはペプチド薬剤であり得る。1つの実施形態において、1つ以上の治療剤は化学療法剤である。例えば、化学療法剤は、ベルケード(登録商標)(ボルテゾミブ)またはレブリミド(登録商標)(レナリドマイド)、シトシンアラビノシド(シタラビン、Ara−C)、ビダザ(登録商標)(アザシチジン)、ダウノルビシン、イダルビシン、6−チオグアニン、またはミトラマイシンであり得る。
抗CD33抗体であるCD33結合因子は、1.5mg/kg〜約12mg/kg、1.5mg/kg〜約15mg/kg、2.5mg/kg〜約12mg/kg、または2.5mg/kg〜約12mg/kgの用量で患者に静脈内投与することができる。抗CD33抗体フラグメントまたは他のCD33結合タンパク質であるCD33結合因子は、インタクトな抗体の1.5mg/kg〜約12mg/kg、1.5mg/kg〜約15mg/kg、2.5mg/kg〜約12mg/kg、または2.5mg/kg〜約12mg/kgに等価な投薬量で投与することができる。
特定の実施形態において、CD33結合因子は、AMLなどのCD33陽性血液学的悪性疾患を有する患者に、低用量のシトシンアラビノシドと同時投与される。投薬レジメンは以下の通りであり得る:シタラビンレジメンは、1日目〜10日目に毎日皮下注射により、1日2回、10〜30マイクログラム(典型的には、約20マイクログラム)のシタラビンのサイクルを含む。投与レジメンサイクルは、28日目〜42日目毎に、典型的には、4週間毎に反復される。典型的には、少なくとも2、3、4、またはそれ以上のサイクルのシタラビンが投与される。さらなるサイクルが、必要に応じて投与することができる。
CD33結合因子投与レジメンは、毎日、隔日、毎週、2週間毎、3週間毎、または毎月の薬剤の投与のサイクルを含む。用量は、インタクトな抗体の1.5mg/kg〜約12mg/kg、1.5mg/kg〜約15mg/kg、2.5mg/kg〜約12mg/kg、または2.5mg/kg〜約12mg/kgに等価な投薬量で投与することができる。CD33結合因子のサイクルは、必要に応じて、典型的には、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月、少なくとも6ヶ月、またはそれ以上の期間、投与される。いくつかの実施形態において、CD33結合因子の治療段階(上記)に、維持段階が続き、ここで、CD33結合因子の用量が、治療段階の間よりも頻度が少なく投与される。例えば、維持用量は、毎週、2週間に1回、3週間に1回(すなわち、3週間毎に)、または毎月、1〜6ヶ月の期間の間、投与することができる。維持段階の投薬量は、治療段階の投薬量と同じであり得る。
いくつかの実施形態において、患者は、少なくとも50歳の年齢、または少なくとも60歳の年齢、または少なくとも65歳の年齢、または少なくとも70歳の年齢の高齢者である。他の実施形態において、患者は65歳未満の年齢である。
いくつかの実施形態において、患者が高齢者である場合(例えば、少なくとも50歳の年齢、または少なくとも60歳の年齢、または少なくとも65歳の年齢、または少なくとも70歳の年齢)、CD33結合因子/低用量シタラビン投薬レジメンは、患者の寿命を延長するために患者に長期的に投与される。このような実施形態において、CD33結合因子/低用量シタラビン投薬レジメンで治療される患者は、シタラビン単独で治療された患者と比較した場合に、寿命の予想がより長い。例えば、患者の平均寿命の予想は、低用量シタラビンレジメン単独で治療された患者の平均寿命の予想と比較して、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、または少なくとも4ヶ月延長することができる。
特定の実施形態において、シタラビンレジメンは、1日目〜10日目での毎日の皮下注射による、毎日2回の20マイクログラムのシタラビンのサイクルを含む。投与レジメンサイクルは、4週間反復される。CD33結合因子は、最初のサイクルの間に毎週、および引き続くサイクルにおいて(例えば、11回のさらなるサイクルまで)2ヶ月に2回、投与される。さらなるサイクルは、必要に応じて、投与することができる。
これらの方法に従って治療される患者は、例えば、CD33陽性急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄単球性白血病、赤血球性白血病、急性巨核芽球性白血病、多発性骨髄腫、組織球性リンパ腫、骨髄性肉腫、肥満細胞増殖性障害、または骨髄異形成症候群を有し得る。特定の実施形態において、患者はAMLを有する。例えば、患者は、未治療または新たに診断されたAMLを有し得る。または、患者は以前に治療されたAMLを有し得る。
いくつかの実施形態において、CD33結合因子は、非結合体化CD33抗体である。該抗体は、例えば、ヒト化またはキメラM195抗体であり得る。または、該抗体は、CD33への特異的結合についてM195抗体と競合し得る。該抗体はまた、M195抗体と同じエピトープに結合し得る。
他の実施形態において、CD33結合因子は、細胞毒素に結合(すなわち、結合体化)することができる。細胞毒素は、ペプチド毒素、例えば、サポリン、リシン、クロロトキシン、シュードモナス内毒素、シュードモナス外毒素、およびジフテリア毒素であり得る。細胞毒素はまた、カリケアマイシン、ドキソルビシン、カンプトテシン、ダウノルビシン、および他のDNA結合因子からなる群より選択される化学(すなわち、非ペプチドベースの)毒素であり得る。細胞毒素はまた、オーリスタチン、マイタンシノイド、ドラスタチン、または他の微小管ブロッキング剤であり得る。
CD33結合因子はまた、CD33に特異的に結合し、かつAML細胞(例えば、HL−60細胞)上でのCD33への結合に際して、CD33のリン酸化およびSHP−1の補充を誘導するタンパク質であり得る。いくつかのさらなる実施形態において、CD33結合因子は、インビトロでのAML細胞(例えば、HL−60細胞)上でのCD33への結合に際して、SHP−2またはSykの補充を引き起こさない。
寛解にある血液学的悪性疾患の治療
別の態様において、有効投薬量のCD33結合因子を、血液学的悪性疾患からの寛解にある患者に投与することによって、患者における血液学的悪性疾患(例えば、白血病)の再発を予防または遅延し、根底にある血液学的悪性疾患の再発の予防または遅延をもたらす方法が提供される。CD33結合因子は、血液学的悪性疾患(すなわち、白血病細胞)および/または非悪性エフェクタ細胞の表面上のCD33に特異的に結合する。
本開示において、「患者」は、血液学的悪性疾患のための治療を受けているか、または血液学的悪性疾患を有すると診断されている人である。いくつかの実施形態において、血液学的悪性疾患はCD33陽性血液学的悪性疾患である。血液学的悪性疾患には、白血病(例えば、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄単球性白血病、毛様細胞白血病)、リンパ腫(例えば、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫)、および多発性骨髄腫が含まれるがこれらに限定されない。関連する血液障害には、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄線維症、骨髄増殖性疾患(例えば、真性赤血球増加症(PV、PCV、またはPRV)、本態性血小板血症(ET))、および軽鎖疾患に起因するアミロイドが含まれるがこれらに限定されない。
「CD33陽性血液学的悪性疾患」という用語は、悪性疾患細胞の表面上でのCD33の発現によって特徴付けられる血液学的悪性疾患をいう。CD33陽性血液学的悪性疾患には、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄単球性白血病、血小板白血病、骨髄異形成症候群、骨髄増殖性症障害、不応性貧血、前白血病症候群、リンパ性白血病、または未分化白血病が含まれるがこれらに限定されない。
「CD33陰性血液学的悪性疾患」という用語は、悪性疾患細胞の表面上でのCD33の発現を欠如によって特徴付けられる血液学的悪性疾患をいう。CD33陰性血液学的悪性疾患には、CD33陰性急性リンパ性白血病(ALL)、CD33陰性慢性リンパ性白血病(CLL)、赤血球白血病、および巨核芽球性白血病が含まれるがこれらに限定されない。
いくつかの実施形態において、これらの方法には、CD33陽性血液学的悪性疾患からの寛解にある患者に、有効レジメンのCD33結合因子を投与し、それによって、血液学的悪性疾患の再発が予防または遅延される工程が含まれる。いくつかの実施形態において、患者は、血液学的悪性疾患の検出可能な細胞を欠いている。本明細書で使用される場合、「検出可能な細胞の欠如」は、標準的な診断的または予後診断的方法によって決定される。AMLからの寛解にある患者は、典型的には、異常な臨床的特徴の解決を示し、正常な血球数および骨髄における正常な造血である5%超の芽細胞、1,000〜1,500超の好中球計数、100,000超の血小板計数、および白血病性クローンの消失を示す。例えば、The Merck Manual Sec.11,Ch.138(第17版、1997):Estey,2001,Cancer 92(5):1059−1073を参照のこと。
CD33結合因子は、例えば、CD33に特異的に結合する抗体であり得、血液学的悪性疾患は、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄単球性白血病、白血病(thymoid leukemia)、骨髄異形成症候群、骨髄増殖性症障害、不応性貧血、前白血病症候群、リンパ性白血病、または未分化白血病であり得る。
CD33結合因子は、非結合体化抗体であり得る。例えば、この抗体は、ヒト化またはキメラM195抗体であり得る。または、この抗体は、CD33への特異的結合についてM195抗体と競合し得る。CD33結合因子はまた、細胞毒素に結合することができる。細胞毒素は、例えば、ペプチド毒素、例えば、サポリン、リシン、クロロトキシン、シュードモナス内毒素、シュードモナス外毒素、またはジフテリア毒素であり得る。細胞毒素はまた、化学(すなわち、非ペプチドベースの)毒素、例えば、カリケアマイシン、ドキソルビシン、カンプトテシン、ダウノルビシン、または他のDNA結合因子であり得る。細胞毒素はまた、オーリスタチン、マイタンシノイド、ドラスタチン、または他の微小管ブロッキング剤であり得る。
CD33結合因子はまた、CD33に特異的に結合し、かつAML細胞(例えば、HL−60細胞)上でのCD33への結合に際してCD33のリン酸化およびSHP−1の補充を誘導するタンパク質であり得る。いくつかのさらなる実施形態において、CD33結合因子は、インビトロでのAML細胞(例えば、HL−60細胞)上でのCD33への結合に際してSHP−2またはSykの補充を引き起こさない。
抗CD33抗体であるCD33結合因子は、1.5mg/kg〜約12mg/kg、1.5mg/kg〜約15mg/kg、2.5mg/kg〜約12mg/kg、または2.5mg/kg〜約12mg/kgの用量で患者に静脈内投与することができる。抗CD33抗体フラグメントまたは他のCD33結合タンパク質であるCD33結合因子は、インタクトな抗体の1.5mg/kg〜約12mg/kg、1.5mg/kg〜約15mg/kg、2.5mg/kg〜約12mg/kg、または2.5mg/kg〜約12mg/kgの用量に等価な投薬量で投与することができる。CD33結合因子は、例えば、毎日、毎週、2週間に1回、3週間に1回、または毎月、またはこれらの組み合わせであるスケジュールで、患者に静脈内投与することができる。典型的な実施形態において、CD33結合因子は、患者が寛解にある少なくとも2ヶ月の間、少なくとも3ヶ月の間、少なくとも4ヶ月の間、少なくとも6ヶ月の間、少なくとも8ヶ月の間、または少なくとも10ヶ月の間、投与される。いくつかの実施形態において、CD33結合因子は、少なくとも6ヶ月の間、1ヶ月あたり1〜4回投与される。いくつかの実施形態において、CD33結合因子は、寛解にある患者を維持するために、1ヶ月あたり1〜4回、長期的に投与される。
いくつかの実施形態において、血液学的悪性疾患からの寛解にある患者は骨髄移植を受けていない。他の実施形態において、血液学的悪性疾患からの寛解にある患者は骨髄移植を受けている。骨髄移植は、自系骨髄移植または同種異系骨髄移植のいずれかであり得る。
自己免疫疾患および炎症性疾患の治療
CD33結合因子は、哺乳動物、好ましくは、ヒトにおける自己免疫疾患または炎症性疾患を治療するために有用である。本明細書で使用される場合、「自己免疫疾患または炎症性疾患」は、「自己免疫障害または炎症性障害」または「自己免疫状態または炎症性状態」と互換可能である。この態様において、自己免疫疾患または炎症性疾患は、CD33陽性である単球およびマクロファージを含む浸潤物に付随するものである。上記に議論するように、および特定の機構に束縛されることなく、CD33結合因子は、骨髄性または単球性の系統のエフェクタ細胞またはアクセサリー細胞(例えば、単球、マクロファージ、樹状細胞、および好中球)に結合すると考えられており、それによって、エフェクタ細胞またはアクセサリー細胞からの種々のサイトカイン、ケモカイン、または成長因子の産生を阻害または減少する。炎症を促進し得るサイトカイン、ケモカイン、または成長因子には、インターロイキン−1β(IL−1β)、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)、インターロイキン−6(IL−6)、インターロイキン−8(IL−8)、インターフェロン−γ(IFN−γ)、血管内皮増殖因子(VEGF)、白血病抑制因子(LIF)、単球化学誘導タンパク質−1(MCP−1)、RANTES、インターロイキン−10(IL−10)、インターロイキン−12(IL−12)、マトリックスメタロプロテイナーゼ2(MMP2)、IP−10、および/またはマクロファージ炎症タンパク質1α(MIP1α)が含まれるがこれらに限定されない。
いくつかの実施形態において、有効投薬量のCD33結合因子の患者への投与は、血液中のサイトカイン、ケモカイン、もしくは成長因子の少なくとも1つのレベルを低下させ、および/または自己免疫疾患もしくは炎症性疾患を有する患者の患部における炎症性浸潤細胞のレベルを減少する。特定の実施形態において、サイトカイン、ケモカイン、または成長因子は、例えば、インターロイキン−1β(IL−1β)、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)、インターロイキン−6(IL−6)、インターロイキン−8(IL−8)、インターフェロン−γ(IFN−γ)、血管内皮増殖因子(VEGF)、白血病抑制因子(LIF)、単球化学誘導タンパク質−1(MCP−1)、RANTES、インターロイキン−10(IL−10)、インターロイキン−12(IL−12)、マトリックスメタロプロテイナーゼ2(MMP2)、IP−10、および/またはマクロファージ炎症タンパク質1α(MIP1α)である。他の実施形態において、CD33結合因子の投与は、患者の患部へのマクロファージの移動を減少させる。他の実施形態において、CD33結合因子の投与は、患者の患部におけるマクロファージを減少させる。
CD33結合因子は、例えば、非結合体化抗CD33抗体または結合体化抗体であり得る。いくつかの実施形態において、抗CD33抗体は、キメラまたはヒト化M195抗体であり得る。いくつかの実施形態において、抗CD33抗体は、CD33への特異的結合についてM195抗体と競合する抗体であり得る。
CD33結合因子はまた、CD33に特異的に結合し、かつインビトロでのAML細胞(例えば、HL−60細胞)上でのCD33への結合に際してCD33のリン酸化およびSHP−1の補充を誘導するタンパク質であり得る。いくつかのさらなる実施形態において、CD33結合因子は、インビトロでのAML細胞(例えば、HL−60細胞)上でのCD33への結合に際してSHP−2またはSykの補充を引き起こさない。
抗CD33抗体であるCD33結合因子は、1.5mg/kg〜約12mg/kg、1.5mg/kg〜約15mg/kg、2.5mg/kg〜約12mg/kg、または2.5mg/kg〜約12mg/kgの用量で患者に静脈内投与することができる。抗CD33抗体フラグメントまたは他のCD33結合タンパク質であるCD33結合因子は、インタクトな抗体の1.5mg/kg〜約12mg/kg、1.5mg/kg〜約15mg/kg、2.5mg/kg〜約12mg/kg、または2.5mg/kg〜約12mg/kgに等価な投薬量で投与することができる。CD33結合因子は、例えば、毎日、毎週、2週間に1回、3週間に1回、または毎月であるスケジュールで、患者に静脈内投与することができる。CD33結合因子は、必要に応じて、少なくとも1ヶ月の期間、少なくとも2ヶ月の期間、少なくとも3ヶ月の期間、少なくとも4ヶ月の期間、少なくとも5ヶ月の期間、少なくとも6ヶ月の期間、またはそれ以上の期間、投与することができる。いくつかの実施形態において、CD33結合因子の治療段階(上記)に、維持段階が続き、ここでは、CD33結合因子の用量が、治療段階の間よりも頻度が少なく投与される。例えば、維持用量は、毎週、2週間に1回、3週間に1回(すなわち、3週間毎に)、または毎月、1〜6ヶ月の期間の間、投与することができる。維持段階の投薬量は、治療段階の投薬量と同じであり得る。
1つの実施形態において、CD33結合因子は、炎症性腸疾患(IBD)、乾癬、アトピー性皮膚炎、乾癬性関節炎、または関節リウマチなどの自己免疫疾患または炎症性疾患を有する患者を治療するために使用される。
自己免疫疾患または炎症性疾患のより包括的なリストには以下が含まれるがこれらに限定されない:関節炎(関節リウマチ、若年性関節リウマチ、骨関節炎、乾癬性関節炎、および強直性脊椎炎)、乾癬、アトピー性皮膚炎を含む皮膚炎;慢性自己免疫じんましんを含む慢性特発性じんましん、多発性筋炎/皮膚筋炎、中毒性表皮剥離症、全身性強皮症および硬化症、炎症性腸疾患(IBD)に付随する反応(クローン病、潰瘍性大腸炎)、および壊疽性膿皮症の同時分離を伴うIBD、結節性紅斑、原発性硬化性胆管炎、および/または上強膜炎、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)を含む呼吸窮迫症候群、髄膜炎、IgE−媒介性疾患、例えば、アナフィラキシーおよびアレルギー性鼻炎、脳炎、例えば、ラスムッセン脳炎、ブドウ膜炎、大腸炎、例えば、顕微鏡的大腸炎およびコラーゲン蓄積大腸炎、糸球体腎炎(GN)、例えば、膜性GN、特発性膜性GN、I型およびII型を含む膜性増殖性GN(MPGN)、ならびに急速進行性GN、アレルギー状態、湿疹、喘息、T細胞の浸潤および慢性炎症性反応を含む状態、アテローム性動脈硬化症、自己免疫性心筋炎、白血球接着不全、全身性エリテマトーデス(SLE)、例えば、皮膚SLE、狼瘡(腎炎、脳炎、小児科、非腎臓、円板状、脱毛症を含む)、若年発症糖尿病、多発性硬化症(MS)、例えば、脊柱−視覚MS、アレルギー性脳脊髄炎、サイトカインおよびTリンパ球によって媒介される急性および遅延性過敏症に付随する免疫応答、結核、サルコイドーシス、ヴェーゲナー肉芽腫症を含む肉芽腫症、顆粒球減少症、血管炎(大血管血管炎(リウマチ性多発性筋痛および巨細胞性(高安)動脈炎)を含む)、中血管血管炎(川崎病および結節性多発性動脈炎を含む)、CNS血管炎、およびANCA関連血管炎、例えば、チャーグ−ストラウス血管炎または症候群(CSS))、再生不良性貧血、クームス陽性貧血、ダイアモンド‐ブラックファン貧血、自己免疫溶血性貧血(AIHA)を含む免疫性溶血性貧血、悪性貧血、赤芽球ろう(PRCA)、VIII因子欠損、A型血友病、自己免疫性好中球減少症、汎血球減少症、白血球減少症、白血球漏出を含む疾患、CNS炎症性障害、多発性器官損傷症候群、重症筋無力症、抗原−抗体複合体媒介性疾患、抗糸球体基底膜疾患、抗リン脂質抗体症候群、アレルギー性神経炎、べーチェット病、キャッスルマン症候群、グッドパスチャー症候群、ランバート−イートン筋無力症候群、レーノー症候群、シェーグレン症候群、スティーブンス−ジョンソン症候群、固体器官移植拒絶(高パネル反応性抗体力価のための前処理、組織におけるIgA沈着、および腎移植、肝移植、腸移植、心臓移植などから生じる拒絶を含む)、移植片対宿主病(GVHD)、水疱性類天疱瘡、天疱瘡(尋常性、落葉状、および天疱瘡粘膜類天疱瘡)、自己免疫多腺性内分泌障害、ライター病、スティフ−マン症候群、免疫複合体腎炎、IgM多発性神経障害またはIgM媒介性神経障害、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、自己免疫血小板減少症を含む血小板減少症(例えば、心筋梗塞患者によって発症されるようなもの)、自己免疫精巣炎および卵巣炎を含む精巣および卵巣の自己免疫疾患、原発性甲状腺機能低下症;自己免疫甲状腺炎、慢性甲状腺炎(橋本甲状腺炎)、亜急性甲状腺炎、特発性甲状腺機能低下症を含む自己免疫内分泌疾患、アジソン病、グレーブス病、自己免疫多腺症候群(または多腺内分泌障害症候群)、小児科IDDMを含むインスリン依存性糖尿病とも呼ばれるI型糖尿病(IDDM)、およびシーハン症候群;自己免疫肝炎、リンパ球様間質性肺炎(HIV)、閉塞性細気管支炎(非移植)対NSIP、ギラン−バレー症候群、ベルガー病(IgA腎症)、原発性胆汁性肝硬変、セリアック病(グルテン性腸症)、不応性スプルー、同時分離疱疹状皮膚炎、クリオグロブリン血症、筋委縮性(amylotrophic)側索硬化症(ALS;ルー・ゲーリッグ病)、冠動脈疾患、自己免疫内耳疾患(AIED)、自己免疫聴力損失、眼球クローヌスミオクローヌス症候群(OMS)、多発性軟骨炎、例えば、不応性多発性軟骨炎、肺胞タンパク症、アミロイドーシス、巨細胞性肝炎、強膜炎、不確実/未知の重要性の単クローン性免疫グロブリン異常症(MGUS)、末梢神経障害、腫瘍随伴症候群、チャネロパシー、例えば、てんかん、片頭痛、不整脈、筋障害、難聴、失明、周期性四肢麻痺、およびCNSのチャネロパシー;自閉症、炎症性筋疾患、ならびに巣状分節状糸球体硬化症(FSGS)。
患者は、以下を含むがこれらに限定されない、疾患に付随する症状についてモニタリングすることができる:痛み、腫脹、不快、下痢、貧血、体重減少、関節変形、サイトカインの血液レベル、および/または患部における炎症性浸潤細胞の血液レベルを含むがこれらに限定されない。患者に投与されるCD33結合因子の投薬量は、モニタリングする工程に基づいて調整することができる。
特定の実施形態において、CD33結合因子は、自己免疫疾患または炎症性疾患を有する患者の血液中のサイトカインおよびケモカインならびに/または患部における炎症性浸潤細胞のレベルを減少する。炎症誘発性サイトカインまたはケモカインは、例えば、インターロイキン−1β(IL−1β)、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)、インターロイキン−6(IL−6)、インターロイキン−8(IL−8)、インターフェロン−γ(IFN−γ)、血管内皮増殖因子(VEGF)、白血病抑制因子(LIF)、単球化学誘導タンパク質−1(MCP−1)、RANTES、インターロイキン−10(IL−10)、インターロイキン−12(IL−12)、マトリックスメタロプロテイナーゼ2(MMP2)、IP−10、および/またはマクロファージ炎症タンパク質1α(MIP1α)であり得る。
いくつかの実施形態において、CD33結合因子は単独で投与される。いくつかの実施形態において、CD33結合因子は治療剤と共に同時投与される。いくつかの実施形態において、CD33結合因子は標準治療の化学療法剤と共に同時投与される。例えば、CD33結合因子は、自己免疫疾患または炎症性疾患の治療のために有効である1種以上の治療剤と組み合わせて患者に投与することができる。1種以上の治療剤は、例えば、以下であり得る:鎮痛剤、例えば、アスピリンまたはタイレノール(登録商標)(アセトアミノフェン);非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)、例えば、イブプロフェン;副腎皮質ステロイド、例えば、コルチゾンまたはプレドニゾン;治療抗体、例えば、エタネルセプト(エンブレル(登録商標))、インフリキシマブ(レミケード(登録商標))またはアナキンラ(キネレット(登録商標));免疫抑制剤、例えば、メトトレキサート、シクロホスファミド、またはシクロスポリン;抗生物質、例えば、フラジール(登録商標)(メトロニダゾール)またはシプロ(CYPRO(登録商標))(シプロフロキサシン)、または小分子化合物、例えば、スルファサラジン(アズルフィジン(AZULFIZINE))もしくはヒドロキシクロロキン(プラキニル)。
エフェクタ細胞またはアクセサリー細胞、ならびに炎症性サイトカイン、ケモカイン、または成長因子をモニタリングする工程
患者からの体液または組織サンプル中の非悪性エフェクタ細胞またはアクセサリー細胞の数を測定する方法は、当該分野において周知である。実施例9は、患者の血液または骨髄からCD33陽性細胞を同定および定量する方法を記載し、実施例4は、患者からの組織サンプル中でエフェクタ細胞またはアクセサリー細胞を同定する方法を記載している。実施例3および9は、エフェクタ細胞またはアクセサリー細胞を同定する方法を記載している。
患者からの体液または組織サンプル中の炎症性サイトカイン、ケモカイン、または成長因子のレベルを測定する方法は、当該分野において周知である。実施例8は、患者からの体液中の広範な種々の炎症性サイトカイン、ケモカイン、または成長因子のレベルを定量するための方法を記載している。実施例3は、サンプル中の炎症性サイトカイン、ケモカイン、または成長因子の例示的なセットのレベルを定量する方法を記載している。
血球計数、例えば、好中球計数および血小板計数は、標準的な方法によって決定することができる。余病の尺度として、AFL融合タンパク質レベルを、例えば、RT−PCRによって測定することができる(例えば、Jurcicら、2000,Clin.Cancer Res.6:372−380を参照のこと)。
CD33結合因子
CD33結合因子は、所定の標的細胞集団に付随する受容体、CD33に特異的に結合する。CD33は、骨髄系前駆体、単球、マクロファージ、樹状細胞、肥満細胞、T細胞、およびNK細胞を含む造血系の細胞上で発現されるシアロアドヘシンファミリーのメンバーである。CD33はまた、急性骨髄性白血病を含む骨髄増殖性または肥満細胞増殖疾患と関連する腫瘍細胞上で、および白血病幹細胞上でもまた発現される。CD33を標的とする抗体およびそれらの使用は、一般的に記載されている(例えば、Pierelliら、1993,Br.J.Haematol.84:24−30;Matutesら、1985,Hemaiol.Oncol.3:179−186;Taussigら、2005,Blood 106:4086−4092;Florianら、2006,Leuk.& Lymph.47:207−222を参照のこと)。
いくつかの実施形態において、CD33結合因子は抗体(例えば、モノクローナル抗体)である。有用なモノクローナル抗体は、CD33に対する抗体の均質な集団であり得る(例えば、ヒトCD33の細胞外ドメイン)。モノクローナル抗体(mAb)は、当該分野において公知である任意の技術を使用することによって調製することができる。これらには、KoehlerおよびMilstein(1975,Nature 256:495−497)によってもともと記載されたハイブリドーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozborら、1983,Immunology Today 4:72)、およびEBV−ハイブリドーマ技術(Coleら、1985,Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Liss,Inc.,77−96頁)が含まれるがこれらに限定されない。このような抗体は、IgG、IgM、IgE、IgA、およびIgD、およびその任意のサブクラスを含む、任意の免疫グロブリンクラスの抗体であり得る。モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、インビトロまたはインビボで培養されてもよい。
有用なモノクローナル抗体には、ヒトモノクローナル抗体、ヒト化モノクローナル抗体、キメラモノクローナル抗体、およびこれらのいずれかの機能的に活性な抗体が含まれるがこれらに限定されない。
有用なモノクローナル抗体には、当該分野において公知である種々のメカニズム、例えば、抗体依存性細胞媒介性細胞毒性(ADCC)、抗依存性細胞食作用(ADCP)および/または補体依存性細胞傷害性(CDC)によって治療効果を達成することができる抗体が含まれる。例えば、抗体は、単球、マクロファージ、樹状細胞、肥満細胞、T細胞、およびNK細胞などの種々の免疫細胞と相互作用することによって、ADCCを媒介することができる。
組換え抗体、例えば、キメラおよびヒト化モノクローナル抗体は、ヒト部分および非ヒト部分の両方を含み、標準的な組換えDNA技術を使用して作製することができる(例えば、Cabillyら、米国特許第4,816,567号;およびBossら、米国特許第4,816,397号を参照のこと;これらの両方は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)。ヒト化抗体は、非ヒト種からの1つ以上の相補性決定領域(CDR)およびヒト免疫グロブリン分子からのフレームワーク領域を有する、非ヒト種からの抗体分子である(例えば、Queen、米国特許第5.585,089号、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。このようなキメラおよびヒト化モノクローナル抗体は、例えば、以下に記載される方法を使用して、当該分野において公知である組換えDNA技術によって産生することができる:国際公開番号第WO87/02671号;欧州特許公開第0184187号;欧州特許公開第0171496号;欧州特許公開第0173494号;国際公開第WO86/01533号;米国特許第4,816,567号;欧州特許公開第012023号;Berterら、1988,Science 240:1041−1043;Liaら、1987,Proc.Natl.Acad Sci.USA 84:3439−3443;Liuら、1987,J.Immunol.139:3521−3526;Sunら、1987,Proc.Natl.Acad Sci USA 84:214−218;Nishimuraら、1987,Cancer.Res.47:999−1005;Woodら、1985,Nature 314:446−449;Shawら、1988,J.Natl.Cancer Inst.80:1553−1559;Morrison,1985,Science 229:1202−1207;Oiら、1986,BioTechniques 4:214;米国特許第5,225,539号;Jonesら、1986,Nature 321:552−525;Verhoeyanら、1988,Science 239:1534;およびBeidlerら、1988,J.Immunol.141:4053−4060;これらの各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
ヒトモノクローナル抗体は当該分野において公知である任意の技術のいずれかによって作製されてもよい(例えば、Tengら、1983,Proc.Nail.Acad.Sci.USA.80:7308−7312;Kozborら、1983,Immunology Today 4:72−79;Olssonら、1982,Meth.Enzymol.92:3−16;および米国特許第5,939,598号および同第5,770,429号を参照のこと)。
完全なヒト抗体は、内因性の免疫グロブリンの重鎖および軽鎖の遺伝子を発現することが不可能であるが、ヒトの重鎖および軽鎖の遺伝子を発現できるトランスジェニックマウスを使用して産生することができる。トランスジェニックマウスは、選択した抗原、例えば、CD33ポリペプチドの全体または一部を用いて通常の様式で免役される。抗原に対して指向されるモノクローナル抗体は、従来的なハイブリドーマ技術を使用して得ることができる。トランスジェニックマウスによって保有されるヒト免疫グロブリン導入遺伝子は、B細胞分化の間に再編成され、続いて、クラスのスイッチングおよび体細胞変異を受ける。従って、このような技術を使用して、治療的に有用なIgG、IgA、IgM、およびIgE抗体を産生することが可能である。ヒト抗体を産生するためのこの技術の概観のために、例えば、LonbergおよびHuszar(1995,Int.Rev.Immunol.13:65−93)を参照のこと。ヒト抗体およびヒトモノクローナル抗体を産生するためのこの技術、ならびにこのような抗体を産生するためのプロトコールの詳細な議論は、例えば、米国特許第5,625,126号;同第5,633,425号;同第5,569,825号;同第5,661,016号;および同第5,545,806号を参照のこと;これらの各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。他のヒト抗体は、例えば、Medarex(Princeton,NJ)商業的に入手できる。
選択したエピトープを認識する完全なヒト抗体はまた、「誘導選択(guided selection)」と呼ばれる技術を使用して生成することができる。このアプローチにおいて、選択した非ヒトモノクローナル抗体、例えば、マウス抗体は、同じエピトープを認識する完全なヒト抗体の選択を誘導するために使用される(例えば、Jespersら、1994,Biotechnology 12:899−903)。ヒト抗体はまた、ファージディスプレイライブラリーを含む、当該分野において公知である種々の技術を使用して生成することもできる(例えば、HoogenboomおよびWinter,1991,J.Mol.Biol 227:381;Marksら、1991,J.Mol Biol 222:581;QuanおよびCarter,2002,The rise of monoclonal anlihodies as therapeutics,Anti−IgE and Allergic Disease所収、JardieuおよびFick Jr.編、Marcel Dekker,New York,NY,第20章,427−469頁を参照のこと)。
いくつかの実施形態において、抗体は単一特異的である。抗体は、多特異的、例えば、二特異的抗体であり得る。二特異的抗体を作成するための方法は、当該分野において公知である。全長二特異的抗体の常套的な産生は、2つの免疫グロブリン重鎖−軽鎖対の同時発現に基づき、ここで、この2つの鎖は異なる特異性を有する(例えば、Milsteinら、1983,Nature 305:537−539を参照のこと)。免疫グロブリン重鎖および軽鎖のランダムな組み合わせのために、これらのハイブリドーマ(クアドローマ)は、10個の異なる抗体分子の潜在的な混合物を産生し、そのうちの1つのみが二特異的構造を有する。類似の手順は、国際公開番号第WO93/08829号、およびTrauneckerら、1991,EMBOJ.10:3655−3659に開示されている。
異なるアプローチに従って、所望の結合特性を有する抗体可変ドメイン(抗体−抗原組み合わせ部位)が、免疫グロブリン定常ドメイン配列に融合される。この融合物は、典型的には、ヒンジドメイン、CH2ドメイン、およびCH3ドメインの少なくとも一部を含む免疫グロブリン重鎖定常領域を有する。少なくとも1つの融合物に存在する、軽鎖結合のために必要な部位を含む、第1の重鎖定常領域(CH1)を有することが好ましい。免疫グロブリン重鎖融合物、および、所望される場合、免疫グロブリン軽鎖をコードする配列を有する核酸が、別々の発現ベクターに挿入され、適切な宿主生物中に同時トランスフェクトされる。これは、構築物中で使用される等しくない比率の3つのポリペプチド鎖が最適な収量を提供する場合に、3つのポリペプチドフラグメントの相互比率を調整する際の柔軟性を提供する。しかし、等しい比率の少なくとも2つのポリペプチド鎖が高い収量を生じる場合、または比率が特定の意義を有さない場合には、1つの発現ベクター中での2つまたは3つすべてのポリペプチド鎖のコード配列を挿入することが可能である。
例えば、二特異的抗体は、一方のアームに第1の結合特異性を有するハイブリッド免疫グロブリン重鎖を、他方のアームにハイブリッド免疫グロブリン重鎖−軽鎖対(第2の結合特異性を提供する)を有し得る。この非対称的構造は、二特異的分子の半分のみにおける免疫グロブリン軽鎖の存在が、容易な分離の方法を提供するので、望ましくない免疫グロブリン鎖の組み合わせからの、所望の二特異的化合物の分離を容易にする(国際公開番号WO94/04690;これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
二特異的抗体を生成するためのさらなる詳細については、例えば、Sureshら、1996,Methods in Enzymology 121:210;Rodriguesら、1993,J.Immunology 151:6954−6961;Carterら、1992,Bio/Technology 10:163−167;Carterら、1995,J.Hematotherapy 4:463−470;Merchantら、1998,Nature Biotechnology 16:677−681を参照のこと。このような技術を使用して、二特異的抗体は、本明細書に定義されるような疾患の治療または予防における使用のために調製することができる。
二特異的抗体はまた、欧州特許公開第0105360号にも記載されている。この参考文献に開示されているように、ハイブリッドまたは二官能性抗体は、例えば、細胞融合技術によって生物学的に、または、とりわけ、架橋剤もしくはジスルフィド架橋形成試薬を用いて化学的に、誘導することができ、そしてこれは、全体の抗体またはフラグメントを含み得る。このようなハイブリッド抗体を得るための方法は、例えば、国際特許公開第WO83/03679号および欧州特許公開第0217577号において開示されており、これらの両方は、参照により本明細書に組み込まれる。
抗体はまた、CD3に特異的に結合する機能的に活性なフラグメントまたは誘導体であり得る。この点において、「機能的に活性」とは、フラグメント、改変体、または誘導体が、そのフラグメント、改変体、または誘導体が由来する抗体のそれと同じ抗原に特異的に結合する抗−抗−イディオタイプ抗体を誘発可能であることを意味する。例示的な実施形態において、免疫グロブリン分子のイディオタイプの抗原性は、抗原を特異的に認識するCDR配列に対してC末端であるフレームワークおよびCDR配列の欠失によって増強することができる。どのCDR配列が抗原を結合するかを決定するために、CDR配列を含む合成ペプチドが、当該分野において公知である任意の結合アッセイ法(例えば、BIAcoreアッセイ)による、抗原との結合アッセイにおいて使用することができる(例えば、Kabatら、1991,Sequences of Proteins of Immunological Interest,第5版,National Institute of Health,Bethesda,MD;Kabatら、1980,J.Immunology 125(3):961−969を参照のこと)。
有用な抗体フラグメントには、F(ab’)2フラグメント、Fab’フラグメント、Fabフラグメント、Fvs、単鎖抗体(SCA)(例えば、米国特許第4,946,778号;Bird、1988,Science 242:423−42;Hustonら、1988,Proc Natl.Acad.Sci.USA 85:5879−5883;およびWardら、1989,Nature 334:544−54におけるようなもの)、scFv、scFv−Fc、FvdsFv、ミニボディ、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、SMIP(例えば、公開米国特許出願2005−0238646;この開示は参照により本明細書に組み込まれる)および1つ以上のCDRを含み、かつ抗体と同じ特異性を有する任意の他の分子が含まれるがこれらに限定されない。
他の実施形態において、抗体は抗体の融合タンパク質、または別のタンパク質に結合された機能的に活性なそのフラグメントである。例えば、抗体または抗体フラグメントは、抗体または抗体フラグメントではない別のタンパク質(またはその一部、典型的には、タンパク質の少なくとも10、20、または50アミノ酸部分)のアミノ酸配列に対して、N末端またはC末端のいずれかにおいて、共有結合(例えば、ペプチド結合)を介して融合することができる。いくつかの実施形態において、抗体またはそのフラグメントは、可変ドメインまたは定常ドメインのC末端において、他のタンパク質に共有結合することができる。
抗体は、例えば、このような共有結合がその抗原−結合免疫特異性を保持することを許容する限りは、任意の型の分子の共有結合によって修飾することができる。例えば、抗体の誘導体は、例えば、グリコシル化、脱グリコシル化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、アミド化、公知の保護基/ブロッキング基による誘導体化、タンパク質分解性切断、別のタンパク質への連結などによって、さらに修飾されているものであり得る。多数の化学修飾のいずれかが、特異的化学切断、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの存在下での代謝的合成などを含むがこれらに限定されない、公知の技術によって実行することができる。加えて、誘導体は、1つ以上の非天然アミノ酸を含み得る。
特定の実施形態において、結合親和性および/または抗体の他の生物学的特性を改善することが所望され得る(例えば、米国特許公開第2006−0003412号および同第2006−0008882号;これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる;ならびに上記の議論を参照のこと)。抗体のアミノ酸配列改変体は、抗体核酸に適切なヌクレオチドの変化を導入することによって、またはペプチド合成によって調製される。このような修飾には、例えば、抗体のアミノ酸配列中の残基からの欠失、および/またはその中への挿入、および/またはその置換が含まれる。最終的な構築物が所望の特徴を有するならば、欠失、挿入、および/または置換の任意の組み合わせが、最終的な構築物に到達するために作製される。アミノ酸の変化はまた、例えば、グリコシル化部位の数および位置を変化させて、抗体の翻訳後プロセスを変化させてもよい。
変異誘発のための好ましい位置である抗体の特定の残基または領域の同定のための有用な方法は、CunninghamおよびWells(1989,Science 244:1081−1085)によって記載されるように、「アラニンスキャニング変異誘発」と呼ばれる。ここでは、標的残基または標的残基の群が同定され(例えば、荷電残基、例えば、arg、asp、his、lys、およびglu)、そして抗原とのアミノ酸の相互作用に影響を与えるために、中性または負の荷電アミノ酸(典型的には、アラニンまたはポリアラニン)によって置き換える。次いで、置換に対して機能的な感受性を示すアミノ酸の位置は、さらにまたは他の改変体を、置換の位置において、または置換の位置の代わりに導入することによって洗練される。従って、アミノ酸配列のバリエーションを導入するための部位はあらかじめ決定されているのに対して、それ自体の性質は、あらかじめ決定する必要はない。例えば、所定の部位における変異の性能を分析するために、アラニンスキャニングまたはランダム変異誘発が、標的のコドンまたは領域において実施され、そして発現された抗体改変体が、所望の活性についてスクリーニングされる。
アミノ酸配列の挿入は、単一のまたは複数のアミノ酸残基の配列内の挿入と同様に、1残基から100個以上の残基を含むポリペプチドまでの長さの範囲のアミノ末端および/またはカルボキシ末端の融合物を含み得る。末端挿入の例には、N末端メチオニル残基を有する抗体、または細胞傷害性ポリペプチドに融合された抗体が含まれる。
別の型の抗体は、抗体のアミノ酸置換改変体である。このような改変体は、異なる残基によって置き換えられた抗体分子において少なくとも1つのアミノ酸残基を有する。置換変異のために最も関心が持たれる部位には超可変領域が含まれるが、フレームワーク領域の変化もまた意図される。
抗体の生物学的特性の実質的な修飾は、(a)置換の領域におけるポリペプチド骨格の構造、例えば、シートもしくはヘリックスコンホメーションとしての構造、(b)標的部位における分子の変化もしくは疎水性、または(c)側鎖の嵩高さを維持する際のそれらの効果が有意に異なる置換を選択することによって達成することができる。天然に存在する残基は、共通する側鎖の特性に基づいて、以下の群に分けられる:
(1)疎水性:ノルロイシン、met、ala、val、leu、ile;
(2)中性親水性:cys、ser、thr;
(3)酸性:asp、glu;
(4)塩基性:asn、gln、his、lys、arg;
(5)側鎖の配向に影響を与える残基:gly、pro;および
(6)芳香族:trp、tyr、phe。
非保存性置換は、これらのクラスの1つのメンバーを別のクラスに交換することを伴う。
特定の型の置換改変体は、親の抗体(例えば、ヒト化またはヒト抗体)の1つ以上の超可変領域残基を置換することを含む。一般的には、さらなる開発のために選択される得られる改変体は、それらが生じる親の抗体と比較して、改善された生物学的特性を有する。このような置換改変体を生じるための便利な方法には、ファージディスプレイを使用する親和性の成熟が含まれる。手短に述べると、いくつかの超可変領域部位(例えば、6〜7箇所の部位)が、各部位においてすべての可能なアミノ酸置換を生成するように変異される。このように生成された抗体改変体は、各粒子中でパッケージングされたM13の遺伝子III産物への融合物として、糸状ファージ粒子から一価様式でディスプレイされる。次いで、ファージディスプレイされた改変体は、それらの生物学的活性(例えば、結合親和性)についてスクリーニングされる。修飾のための候補超可変領域部位を同定するために、アラニンスキャニング変異誘発を、抗原結合に有意に寄与する超可変領域残基を同定するために実施することができる。代替的に、または加えて、抗体と抗原との間の接触点を同定するために、抗原−抗体複合体の結晶構造を分析することが有益であり得る。このような接触残基および隣接する残基は、本明細書で詳述される技術に従う置換のための候補である。一旦、このような改変体が生成されると、改変体のパネルはスクリーニングに供され、1つ以上の関連するアッセイにおいて優れた特性を有する抗体は、さらなる開発のために選択されてもよい。
例えば、抗体の抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性(ADCC)、抗依存性細胞食作用(ADCP)および/または補体依存性細胞傷害性(CDC)を増強するために、エフェクタ機能に関して抗体を修飾することが所望され得る。このことは、抗体のFc領域に1つ以上のアミノ酸置換を導入することによって達成され得る(例えば、公開米国特許出願第2006−0160996号を参照のこと)。代替的に、または加えて、システイン残基がFc領域中で導入されてもよく、それによって、この領域中での鎖間ジスルフィド結合形成を可能にする。このように生成されたホモ二量体抗体は、内面化能力の改善ならびに/またはCDCおよびADCCの増加を有し得る(例えば、Caronら、1992,J Exp.Med 176:1191−1195;およびShopes,1992,J.Immunol.148:2918−2922)。ホモ二量体抗体はまた、Wolffら、1993,Cancer Research 53:2560−2565において記載されているように、ヘテロ二官能性架橋剤を使用して調製されてもよい。代替的には、抗体は、二重Fc領域を有する抗体が操作され得、それによって、増強された補体溶解およびADCC能力を有し得る(例えば、Stevensonら、1989,Anti−Cancer Drug Design 3:219−230を参照のこと)。
抗体の血清半減期を増加させるために、例えば、米国特許第5,739.277号に記載されるように、抗体(とりわけ、抗体フラグメント)にサルベージ受容体結合エピトープを取り込み得る。本明細書で使用される場合、「サルベージ受容体結合エピトープ」という用語は、IgG分子のインビボ血清半減期を増加させることの原因であるIgG分子(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4)のFc領域のエピトープをいう。
抗体は、それらの定常領域の保存性位置においてグリコシル化されてもよい(例えば、JefferisおよびLund,1997,Chem.Immunol.65:111−128;WrightおよびMorrison,1997,TibTECH 15:26−32を参照のこと)。免疫グロブリンのオリゴサッカリド側鎖は、タンパク質の機能影響を与え得(例えば、Boydら、1996,Mol.Immunol.32:1311−1318;WittweおよびHoward,1990,Biochem.29:4175−4180を参照のこと)、ならびに糖タンパク質の部分間の分子内相互作用は、糖タンパク質のコンホメーションおよび提示される三次元表面に影響を与え得る(例えば、JefferisおよびLund、前出;WyssおよびWagner,1996,Current Opin.Biotech.7:409−416を参照のこと)。オリゴサッカリドはまた、特定の認識構造に基づいて特定の分子に所定の糖タンパク質を標的化するように働き得る。例えば、乳汁分泌されたIgGにおいて、CH2間隙間から「反転」し、末端のN−アセチルグルコサミン残基が、マンノース結合タンパク質を結合するために利用可能になることが報告されてきた(例えば、Malhotraら、1995,Nature Med.1:237−243を参照のこと)。チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞において産生されたCAMPATH−IH(ヒトリンパ球のCDw52抗原を認識する組換えヒト化マウスモノクローナルIgG1抗体)からのオリゴサッカリドのグリコペプチダーゼによる除去は、補体媒介溶解の完全な減少を生じ(CMCLまたはCDC)(Boydら、1996,Mol.Immunol.32:1311−1318)、一方、ノイラミダーゼを使用するシアル酸残基の選択的除去は、CMCLの損失を生じなかった。抗体のグリコシル化はまた、ADCCに影響を与えることが報告されてきた。特に、分岐GlcNAcの形成を触媒するグリコシルトランスフェラーゼである、β(1,4)−N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnTIII)のテトラサイクリンで調節される発現を有するCHO細胞は、ADCC活性が改善されていると報告された(例えば、Umanaら、1999,Nature Biotech.17:176−180を参照のこと)。
抗体のグリコシル化は、典型的には、N連結型またはO連結型のいずれかである。N連結型とは、アスパラギン残基の側鎖への炭水化物部分の結合をいう。Xがプロリン以外の任意のアミノ酸である、トリペプチド配列アスパラギン−X−セリンおよびアスパラギン−X−スレオニンは、アスパラギン側鎖への炭水化物部分の酵素的結合のための認識配列である。従って、ポリペプチド中でのこれらのトリペプチド配列のいずれかの存在は、潜在的なグリコシル化部位を作製する。O連結型グリコシル化とは、ヒドロキシアミノ酸への、糖類であるN−アセチルガラクトサミン、ガラクトース、またはキシロースのうちの1つの結合をいい、最も一般的には、セリンまたはスレオニンであるが、ヒドロキシプロリンまたは5−ヒドロキシリジンもまた使用され得る。
抗体のグリコシル化改変体は、抗体のグリコシル化パターンが変化している改変体である。変化させるとは、抗体中に見出される1つ以上の炭水化物部分を欠失させること、抗体に1つ以上の炭水化物部分を加えること、グリコシル化の組成(すなわち、グリコシル化パターン)を変化させること、グリコシル化の程度などを意味する。
抗体へのグリコシル化部位の付加は、アミノ酸配列が上記のトリペプチド配列の1つ以上を含むように、アミノ酸配列を変化させることによって首尾よく達成される(N連結型グリコシル化部位用)。変化はまた、もともとの抗体の配列に対する1つ以上のセリンまたはスレオニン残基の付加および置換によって作製され得る(O連結型グリコシル化部位用)。同様に、グリコシル化部位の除去は、抗体のネイティブなグリコシル化部位内のアミノ酸の変化によって達成することができる。
アミノ酸配列は、通常、根底にある核酸配列を変化させることによって変化させる。これらの方法には、天然の供給源からの単離(天然に存在するアミノ酸配列改変体の場合)、またはより早期に調製された改変体もしくは抗体の非改変体バージョンのオリゴヌクレオチド媒介(もしくは部位特異的)変異誘発、PCR変異誘発、もしくはカセット変異誘発による調製が含まれるがこれらに限定されない。
抗体のグリコシル化(グリコシル化パターンを含む)はまた、アミノ酸配列または根底にあるヌクレオチド配列を変化させることなく、変化され得る。グリコシル化は、大部分は、抗体を発現するために使用される宿主細胞に依存する。潜在的な治療剤として、組換え糖タンパク質、例えば、抗体の発現のために使用される細胞型はまれにしかネイティブ細胞ではないので、抗体のグリコシル化パターンの有意なバリエーションが予想され得る(例えば、Hseら、1997,J.Biol.Chem.272:9062−9070を参照のこと)。宿主細胞の選択に加えて、抗体の組換え産生の間にグリコシル化に影響を与える要因には、成長様式、培地処方、培養密度、酸素添加、pH、精製スキームなどが含まれる。種々の方法が、特定の宿主生物において達成されるグリコシル化パターンを変化させるために提案されてきており、これには、オリゴサッカリド産生に関与する特定の酵素の導入または過剰発現が含まれる(例えば、米国特許第5,047,335号;同第5,510,261号;および同第5,278,299号を参照のこと)。グリコシル化またはグリコシル化の特定の型は、例えば、エンドグリコシダーゼH(Endo H)を使用して、糖タンパク質から酵素的に除去することができる。加えて、組換え宿主細胞は、遺伝子操作され、例えば、特定の型のポリサッカリドを処理する際に欠損性にされ得る。これらおよび同様の技術が当該分野において周知である。
抗体のグリコシル化構造は、レクチンクロマトグラフィ、NMR、質量スペクトル分析、HPLC、GPC、モノサッカリド組成分析、連続的酵素消化、および電荷に基づいてオリゴサッカリドを分離するために高pHアニオン交換クロマトグラフィを使用するHPAEC−PADを含む、炭水化物分析の従来的な分析によって容易に分析することができる。分析目的のためにオリゴサッカリドを遊離させるための方法もまた公知であり、これには、非限定的に以下が含まれる:酵素処理(一般的には、ペプチド−N−グリコシダーゼF/エンド−β−ガラクトシダーゼを使用して実施される)、主としてO連結型構造を遊離するために厳しいアルカリ環境を使用する除去、およびN連結型およびO連結型の両方のオリゴサッカリドを遊離するために無水ヒドラジンを使用する化学的方法。
抗体はまた、Fc受容体と相互作用するアミノ酸残基における修飾(例えば、置換、欠失、または付加)を有し得る。特に、抗体は、抗FcドメインとFcRn受容体との間の相互作用に関与すると同定されているアミノ酸残基における修飾を有し得る(例えば、国際公開第WO97/34631号を参照のこと、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
CD33に免疫特異的である抗体は、例えば、営利会社から商業的に入手することができ、または、例えば、化学合成または組換え発現技術などの当業者に公知である任意の方法によって、産生することができる。
いくつかの実施形態において、CD33に特異的に結合する抗体は、ヒト化M195抗体であり得る(HuM195、リンツズマブ、およびSmart M195(Protein Design Labs,Inc.,CA)とも呼ばれる)(米国特許第6,007,814号および同第5,730,982号および同第5,693,761号もまた参照のこと;これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる)(M195抗体を産生するハイブリドーマは、アメリカンタイプカルチャーコレクション(the American Type Culture Collection)(Manassas.VA)に寄託番号HB−10306で寄託された)。
別の実施形態において、CD33結合因子は、抗体M195との結合について競合する。なお別の実施形態において、CD33結合因子は、M195と同じエピトープに結合する。いくつかの実施形態において、CD33結合因子は、M195のCDRを含むタンパク質であるか、またはヒト化M195の可変領域である。
いくつかの実施形態において、CD33結合因子は、CD33に特異的に結合するタンパク質であり、インビトロでのAML細胞(例えば、HL−60細胞)上のCD33への結合の際にCD33のリン酸化およびSHP−1の補充を誘導する。いくつかのさらなる実施形態において、CD33結合因子は、インビトロでのAML細胞(例えば、HL−60細胞)上のCD33への結合の際にSHP−2またはSykの補充を引き起こさない。
他の実施形態において、CD33結合因子は、CD33に指向される抗体、例えば、L4F3、My9、H153、L1B1、P67−5、P67−6、D3HL−60*251、WM53、およびWM54である(Leukocyte Typing IV.White Cell Differentiation Antigens,Knappら編、Oxford University Press,New York,1989を参照のこと)。
抗体の産生
抗体は、抗体の合成のために有用である任意の方法を使用して、特に、例えば、組換え発現または化学合成によって、産生することができる。
抗体、またはそのフラグメントまたは誘導体の組換え発現は、典型的には、抗体をコードする核酸の構築を含む。抗体のヌクレオチド配列が知られている場合、抗体またはそのポリペプチドをコードする核酸は、化学合成されたオリゴヌクレオチドから組み立てられてもよく(例えば、Kutmeierら、1994,BioTechniques 17:242)、これは、抗体をコードする配列の部分を含む重複するオリゴヌクレオチドの合成、アニーリング、およびこれらのオリゴヌクレオチドのライゲーション、次いで、例えば、PCRによる、ライゲーションしたオリゴヌクレオチドの増幅を含む。
または、抗体またはそのポリペプチドをコードする核酸分子は、適切な供給源から生成することができる。特定の抗体をコードする核酸を含むクローンが利用可能でないが、その抗体の配列が知られている場合、その抗体をコードする核酸は、適切な供給源(例えば、抗体cDNAライブラリー、または免疫グロブリンを発現する任意の組織もしくは細胞から生成したcDNAライブラリー)から、例えば、その配列の3’末端もしくは5’末端にハイブリダイズ可能である合成プライマーを使用するPCR増幅によって、または特定の遺伝子配列に特異的なオリゴヌクレオチドプローブを使用するクローニングによって、入手することができる。
特定の抗原を特異的に認識する抗体が商業的に利用可能ではない場合(またはこのような免疫グロブリンをコードする核酸をクローニングするためのcDNAライブラリーのための供給源が利用可能ではない場合)、特定の抗原に特異的な抗体は、当該分野において公知である任意の方法によって、例えば、患者、またはポリクローナル抗体を生成するための適切な動物モデル、例えば、ウサギもしくはマウスを免疫することによって、より好ましくは、例えば、KohlerおよびMilstein(1975,Nature 256:495−497によって記載されるような、またはKozboreら(1983,Immunology Today 4:72)またはColeら(1985,Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy所収,Alan R.Liss,Inc.,77−96頁)によって記載されるような、モノクローナル抗体を生成することによって、生成することができる。または、抗体の少なくともFab部分をコードするクローンは、特定の抗原を結合するFabフラグメントのクローンについてのFab発現ライブラリー(例えば、Huseら、1989,Science 246−1275−1281に記載されるようなもの)をスクリーニングすることによって、または抗体ライブラリー(例えば、Clacksonら、1991,Nature 352:624;Haneら、1997,Proc.Natl.Acad.Sci USA 94:4937を参照のこと)をスクリーニングすることによって得ることができる。
抗体の少なくとも可変ドメインをコードする核酸配列が得られると、これは、抗体の定常領域をコードするヌクレオチド配列を含むベクターに導入することができる(例えば、国際公開第WO86/05807号;同第WO89/01036号;および米国特許第5,122,464号を参照のこと)。完全な抗体分子の発現を可能にする完全な軽鎖および重鎖を含むベクターが利用可能である。次いで、抗体をコードする核酸が、スルフヒドリル基を含まないアミノ酸残基との鎖間ジスルフィド結合に関与する1つ以上の可変領域システイン残基を置換(または欠失)させるために必要なヌクレオチドの置換または欠失を導入するために使用され得る。このような修飾は、例えば、化学変異誘発およびインビトロ部位特異的変異誘発であるがこれらに限定されない、ヌクレオチド配列の特異的変異または欠失の導入のための当該分野において公知である任意の方法によって実行することができる(例えば、Hutchinsonら、1978,J.Biol.Chem.253:6551を参照のこと)。
加えて、「キメラ抗体」の産生のための技術が開発された(例えば、Morrisonら、1984,Proc.Natl.Acad.Sci USA 81:851−855;Neubergerら、1984,Nature 312:604−608;Takedaら、1985,Nature 314:452−454を参照のこと)。キメラ抗体は、異なる部分が異なる動物種から誘導される分子、例えば、マウスモノクローナル抗体から誘導された可変領域および免疫グロブリン定常領域、例えば、ヒト化抗体を有する分子である。
または、単鎖抗体の産生のために記載された技術(例えば、米国特許第4,694,778号;Bird、1988,Science 242:423−42;Hustonら、1988,Proc.Natl.Acad.Sci USA 85:5879−5883;およびWardら、1989,Nature 334:544−54を参照のこと)を、単鎖抗体を産生するために適合することができる。単鎖抗体は、アミノ酸架橋を介してFv領域の重鎖フラグメントおよび軽鎖フラグメントを連結し、単鎖ポリペプチドを生じることにより形成される。大腸菌における機能的Fvフラグメントの組み立てのための技術もまた使用され得る(例えば、Skerraら、1988.Science 242:1038−1041を参照のこと)。
特異的エピトープを認識する抗体フラグメントは、公知の技術によって生成することができる。例えば、これらのフラグメントには、抗体分子のペプシン消化によって産生され得るF(ab’)2フラグメント、およびF(ab’)2フラグメントのジスルフィド架橋を還元することによって生成され得るFabフラグメントが含まれるがこれらに限定されない。
抗体をコードする核酸配列が得られると、その抗体の産生のためのベクターが、当該分野において公知である技術を使用して、組換えDNA技術によって産生され得る。当業者に公知である方法は、抗体コード配列ならびに適切な転写および翻訳の制御シグナルを含む発現ベクターを構築するために使用することができる。これらの方法には、例えば、インビトロ組換えDNA技術、合成技術、およびインビボ遺伝子組換えが含まれる。例えば、Sambrookら、(1990,Molecular Cloning,A Laboratory Manual.第2版、Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY;およびSambrookら、2001;Molecular Cloning,A Laboratory Manual,第3版、Cold Spring Harbor Publish.,Cold Spring Harbor,N.Y.)ならびにAusubelら(編、1993−2006,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,NY)に記載される技術を参照のこと。
抗体のヌクレオチド配列を含む発現ベクターまたは抗体のヌクレオチド配列は、従来の技術(例えば、エレクトロポレーション、リポソームトランスフェクション、リン酸カルシウム沈殿、または形質導入)によって宿主細胞に移入することができ、次いで、得られる細胞は、従来の技術によって培養され、抗体を産生する。特定の実施形態において、抗体の発現は、構成的、誘導性、または組織特異的なプロモータによって調節される。
組換え抗体を発現するために使用される宿主細胞は、とりわけ、組換え免疫グロブリン分子の発現のための、大腸菌などの細菌細胞、または好ましくは、真核細胞のいずれかであり得る。特に、ヒトサイトメガロウイルスからの主要な初期遺伝子プロモータエレメントを含むベクターと併用する、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)などの哺乳動物細胞は、免疫グロブリンのための有効な発現系である(例えば、Foeckingら、1986,Gene 45:101;Cockettら、1990.BioTechnology 8:2を参照のこと)。CHO細胞株は、例えば、DG44またはCHO−Sであり得る。別の例において、抗体は、CHEF系を使用して発現することができる(例えば、米国特許第5,888,809号を参照のこと;この開示は、参照により本明細書に組み込まれる)。
種々の他の宿主−発現ベクター系が、抗体を発現するために利用できる。このような宿主−発現系は、抗体のコード配列をそれによって産生でき、続いて精製できるビヒクルを表すが、適切なヌクレオチドコード配列で形質転換またはトランスフェクトしたときに、インサイチュで抗体免疫グロブリン分子を発現できる細胞もまた表す。これらには以下が含まれるがこれらに限定されない:免疫グロブリンコード配列を含む、組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNA、またはコスミドDNA発現ベクターで形質転換した細菌(例えば、大腸菌および枯草菌)などの微生物;抗体コード配列を含む組換え酵母発現ベクターで形質転換した酵母(例えば、サッカロマイセス・ピキア(Saccharomyces pichia));免疫グロブリンコード配列を含む組換えウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)で感染させた昆虫細胞系;組換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)およびタバコモザイクウイルス(TMV))で感染させ、もしくは抗体コード配列を含む組換えプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)で形質転換した植物細胞系;または哺乳動物細胞のゲノムから誘導されたプロモータ(例えば、メタロチオネインプロモータ)もしくは哺乳動物ウイルスから誘導されたプロモータ(例えば、アデノウイルス後期プロモータ;ワクシニアウイルス7.5Kプロモータ)を含む組換え発現構築物を有する哺乳動物細胞系(例えば、COS、CHO、CHO−S、BH、293、293T、または3T3細胞)。
細菌系においては、多数の発現ベクターが、発現される抗体のために意図される使用に依存して有利に選択され得る。例えば、大量のこのようなタンパク質が産生される場合、容易に精製される高レベルの融合タンパク質産物の発現を指向するベクターが所望され得る。このようなベクターには以下が含まれるがこれらに限定されない:大腸菌発現ベクターpUR278(Rutherら、1983,EMBOJ.2:1791−94)、ここで、抗体コード配列は、融合タンパク質が産生されるように、lacZコード領域とインフレームであるベクターに個別にライゲーションされ得る;pINベクター(InouyeおよびInouye,1985,Nucleic Acids Res.13:3101−3109;Van HeekeおよびSchuster,1989,J.Biol.Chem.24:5503−5509)など。pGEXベクターもまた、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として外来性ポリペプチドを発現するために使用することができる。一般的には、このような融合タンパク質は可溶性であり、マトリックスグルタチオン−アガロースビーズへの吸着および結合、その後の遊離のグルタチオンの存在下での溶出によって、溶解した細胞から容易に精製することができる。pGEXベクターは、クローニングした標的遺伝子産物がGST部分から放出され得るように、トロンビンまたは因子Xaプロテアーゼ切断部位を含むように設計される。
昆虫系においては、オートグラファ・カリフォルニカ(Autographa californica)核多角体病ウイルス(AcNPV)またはキイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)からの類似のウイルスが、外来性ウイルスを発現するためのベクターとして使用できる。このウイルスは、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperta)細胞において増殖する。抗体コード配列は、ウイルスの非必須領域(例えば、ポリヘドリン遺伝子)に個別にクローニングし、AcNPVプロモータ(例えば、ポリヘドリンプロモータ)の制御下に置くことができる。
哺乳動物宿主細胞において、多数のウイルスベースの発現系が利用できる。アデノウイルスが発現ベクターとして使用される場合において、目的の抗体コード配列は、アデノウイルス転写/翻訳制御複合体、例えば、後期プロモータおよび三成分リーダー配列にライゲーションすることができる。次いで、このキメラ遺伝子は、インビトロまたはインビボの組換えによってアデノウイルスゲノムに挿入することができる。ウイルスゲノムの非必須領域(例えば、E1またはえ3領域)における挿入は、生存可能であり、かつ感染した宿主における免疫グロブリンを発現可能である組換えウイルスを生じる(例えば、LoganおよびShenk,1984,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:355−359を参照のこと)。特定の開始シグナルはまた、挿入された抗体コード配列の効率的な翻訳のために必要であり得る。これらのシグナルには、ATG開始コドンおよび隣接する配列が含まれる。さらに、開始コドンは、全体の挿入物の翻訳を確実にするために、所望のコード配列の読み枠に作動可能に関連付けられる。これらの外因性翻訳制御シグナルおよび開始コドンは、天然および合成の両方である、種々の起源のものであり得る。発現の効率は、適切な転写エンハンサ、転写ターミネータなどを含めることによって増強することができる(例えば、Bittneretら、1987,Methods in Enzymol.153:51−544を参照のこと)。
加えて、宿主細胞株は、挿入した配列の発現を調節するために、または特定の所望の様式で遺伝子産物を修飾および処理するために、選択することができる。タンパク質産物のこのような修飾(例えば、グリコシル化)およびプロセシング(例えば、切断)は、タンパク質の機能のために重要であり得る。異なる宿主細胞は、タンパク質および遺伝子産物の翻訳後プロセシングおよび修飾のための特徴的および特異的なメカニズムを有する。適切な細胞株または宿主系は、発現される外来性タンパク質の正確な修飾およびプロセシングを確実にするように選択することができる。この目的のために、一次転写物の正確なプロセシング、グリコシル化、および遺伝子産物のリン酸化のための細胞機構を有する真核生物宿主細胞を使用することができる。このような哺乳動物宿主細胞には以下が含まれるがこれらに限定されない:CHO(例えば、DG44またはCHO−S)、VERY、BH、Hela、COS、MDCK、293、293T、3T3、WI38、BT483、Hs578T、HTB2、BT20、およびT47D、CRL7030、およびHs578Bst。
組換えタンパク質の長期的な高収量産生のために、安定な発現が好ましい。例えば、抗体を安定に発現する細胞株を操作することができる。ウイルスの複製起点を含む発現ベクターを使用することよりはむしろ、宿主細胞は、適切な発現制御エレメント(例えば、プロモータ、エンハンサ、配列、転写ターミネータ、ポリアデニル化部位など)、および選択マーカーによって制御されるDNAで形質転換することができる。外来性DNAの導入後、操作した細胞は、富化培地中で1〜2日間増殖でき、次いで、選択培地に移される。組換えプラスミド中の選択マーカーは、選択に対する耐性を付与し、細胞がプラスミドをそれらの染色体に安定に組込むことを可能にし、増殖して増殖巣を形成し、次にクローニングおよび細胞株への拡大ができる。この方法は、抗体を発現する細胞株を操作するために有利に使用できる。このような操作した細胞は、抗体と直接的または間接的に相互作用する腫瘍抗原のスクリーニングおよび評価において特に有用であり得る。
多数の選択系が使用できる。例えば、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ遺伝子(例えば、Wiglerら、1977,Cell 11:223を参照のこと)、ヒポキサンチン−グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子(例えば、SzybalskaおよびSzybalski,1992,Proc.Natl Acad.Sci USA 48:202を参照のこと)、およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子(例えば、Lowyら、1980,Cell 22:817)が、それぞれ、tk−、hgprt−、またはaprt−細胞において利用され得る。また、代謝拮抗物質耐性は、以下の遺伝子についての選択に基づくように使用することができる:メトトレキサートに対する耐性を付与するDHFR(例えば、Wiglerら、1980,Proc.Natl.Acad Sci.USA 77:3567−70;O’Hareら、1981,Proc.Natl.Acad.Sci USA 78:1527−31を参照のこと);ミコフェノール酸に対する耐性を付与するgpt(例えば、MulliganおよびBerg,1981,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:2072−76を参照のこと);アミノグリコシドG−418に対する耐性を付与するneo(例えば、Clinical Pharmacy 12:488−505;WuおよびWu、1991,Hiotherapy 3:87−95;Tolstoshev、1993,Ann.Rev.Pharmacol.Toxicol.32:573−596;Mulligan、1993,Science 260:926−932;MorganおよびAnderson,1993,Ann.Rev.Biochem.62:191−217;ならびにMay,1993,TJB TECH 11(5):155−215を参照のこと);およびハイグロマイシンに対する耐性を付与するhygro(例えば、Santerreら、1984,Gene 30:147−50を参照のこと)。組換えDNA技術の技術分野において使用され得る最も一般的に知られている方法は、Ausubelら(編、1993−2006,Current Protocols in Molecular Biology.John Wiley & Sons,NY;Kriegler,1990,Gene Transfer and Expression.A laboratory Manual,Stockton Press,NY;ならびに第12章および第13章、Dracopoliら(編、1994,Current Protocols in Human Genetics, John Wiley & Sons,NY;ならびにColberre−Garapinら、1981,J.Mol.Biol.150:1−14)において記載されている。
抗体の発現レベルは、ベクター増幅によって増加することができる(概説としては、BebbingtonおよびHentschel、The use of vectors based on gene amplification for the expression of cloned genes in mammalian cells in DNA cloning,Vol.3.(Academic Press, New York,1987)を参照のこと)。抗体を発現するベクター系におけるマーカーが増幅可能である場合、宿主細胞の培養中に存在する阻害剤のレベルの増加は、マーカー遺伝子のコピー数を増加する。増幅領域は抗体のヌクレオチド配列と関連付けられるので、抗体の産生もまた増加する(例えば、Crouseら、1983,Mol.Cell.Biol.3:257−66を参照のこと)。
宿主細胞は、2つの発現ベクターを用いて同時トランスフェクトすることができ、第1のベクターは重鎖由来のポリペプチドをコードし、第2のベクターは軽鎖由来のポリペプチドをコードする。2つのベクターは、重鎖ポリペプチドおよび軽鎖ポリペプチドの等しい発現を可能にする、同じまたは異なる選択マーカーを含み得る。または、単一のベクターが、重鎖ポリペプチドおよび軽鎖ポリペプチドの両方をコードするように使用できる。このような状況において、軽鎖は、典型的には、過度の毒性の遊離の重鎖を回避するために、重鎖の前に配置される(例えば、Proudfoot、1986,Nature 322:562−65;Kohler、1980,Proc.Natl.Acad.Sci USA 77:2197−9を参照のこと)。重鎖および軽鎖のコード配列は、cDNAまたはゲノムDNAを含むことができる。
抗体が組換え発現されると、これは、抗体の精製のための任意の適切な方法を使用して、例えば、クロマトグラフィ(例えば、イオン交換クロマトグラフィ、アフィニティクロマトグラフィ、特に、プロテインAの後での特定の抗原についての親和性によるもの、およびサイズカラムクロマトグラフィ)、遠心分離、溶解度の違い、またはタンパク質の精製のための任意の他の標準的な技術によって精製することができる。
結合因子−結合体
いくつかの実施形態において、CD33結合因子は、非結合体化抗体として投与することができる。他の実施形態において、CD33結合因子(例えば、抗体)は、細胞毒素に結合される(すなわち、結合体化される)。細胞毒素は、任意の細胞傷害性(または細胞増殖抑制性)因子または薬物であり得る。
細胞傷害性因子または細胞毒素への抗体の結合体化の方法は、当該分野において周知である。1つの実施形態において、細胞傷害性因子または細胞毒素は、当該分野において公知である標準的な手段によって、抗CD33抗体または他のCD33結合因子に化学的に結合体化される(例えば、TrailおよびBianchi、1999,Curr.Opin.Immunol.11:584−588;Hermanson、1996,Bioconjugate Techniques所収,Academic Press,New York;Zaraら、1995,Bioconjug.Chem.6:367−372;Delprinoら、1993,J.Pharm.Sci.82:506−512を参照のこと)。いくつかの実施形態において、細胞傷害性因子およびCD33結合因子は、例えば、2つの部分を結合体化するために切断可能なリンカーを使用することによって、内部移行後に互いに解離するように結合される。切断可能なリンカーの一般的なクラスは周知であり、以下が含まれる:ヒドラゾンリンカー(pH感受性)、ジスルフィドリンカー(グルタチオン/還元感受性)、およびペプチドリンカー(プロテアーゼ感受性)。例えば、DubowchikおよびWalker、1999.Pharmacol.Therap.83:67−123を参照のこと。
別の実施形態において、細胞傷害性因子または細胞毒素は、CD33結合因子とともに間接的に(すなわち、非共有結合を介して)結合される(例えば、Dosiら、1994,J.Pharm.Sci.83:206−211を参照のこと)。
なお別の実施形態において、細胞傷害性因子およびCD33結合因子は、融合タンパク質として結合体化される(例えば、ペプチド結合を介して抗体に融合されたペプチド細胞毒素)。
有用なクラスの細胞傷害性因子または薬物は上記に記載され、また、これには、例えば、かつ非限定的に、以下が含まれる:抗チューブリン剤、オーリスタチン、DNAの小さな溝への結合因子、DNA複製阻害剤、アルキル化剤(例えば、白金複合体、例えば、シスプラチン、モノ(白金)、ビス(白金)、およびトリ核白金複合体およびカルボプラチン)、アントラサイクリン、抗生物質、抗葉酸剤、代謝拮抗物質、化学療法増感剤、デュオカルマイシン、エトポシド、フッ化ピリミジン、イオノフォア、レキシトロプシン、ニトロソウレア、プラチノール、予備形成化合物、プリン代謝拮抗物質、ピューロマイシン、放射線増感剤、ステロイド、タキサン、トポイソメラーゼ阻害剤、ビンカアルカロイドなど。
個々の細胞傷害性因子または薬物には、例えば、かつ非限定的に、以下が含まれる:アントラサイクリン(AMC)、アスパラギナーゼ、5−アザシチジン、アザチオプリン、ブレオマイシン、ブスルファン、ブチオニンスルホキシミン、カリケアマイシン、カンプトテシン、カルボプラチン、カルムスチン、(BSNU)、CC−1065、クロラムブシル、シスプラチン、コルヒチン、シクロホスファミド、サイトカラシンB、ダカルバジン、ダクチノマイシン(以前のアクチノマイシン)、ダウノルビシン、デカルバジン、ドセタキセル、ドキソルビシン、エトポシド、エストロゲン、5−フルオルデオキシウリジン、ゲムシタビン、グラミシジンD、ヒドロキシウレア、イダルビシン、イホスファミド、イリノテカン、ロムスチン(CCNU)、メイタンシン、メクロレタミン、メルファラン、6−メルカプトプリン、メトトレキサート、ミトラマイシン、マイトマイシンC、ミトキサントロン、ニトロイミダゾール、パクリタキセル、パリトキシン、プリカマイシン、プロカルバジン、リゾキシン、ストレプトゾトシン、テノポシド、6−チオグアニン、チオTEPA、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、VP−16、およびVM−26。
いくつかの典型的な実施形態において、適切な細胞傷害性因子または薬物には、例えば、かつ非限定的に、以下が含まれる:DNAの小さな溝への結合因子(例えば、エンジインおよびCBI化合物であるレキシトロプシン;米国特許第6,130,237号も参照のこと)、デュオカルマイシン、タキサン(例えば、パクリタキセルおよびドセタキセル)、ピューロマイシン、ビンカアルカロイド、CC−1065、SN−38、トポテカン、モルホリノ−ドキソルビシン、リゾキシン、シアノモルホリノ−ドキソルビシン、エキノマイシン、コムブレタスタチン、ネトロプシン、エポチロンAおよびB、エストラムスチン、クリプトフィシン、セマドチン、マイタンシノイド、ディスコデルモリド、エレウセロビン、およびミトキサントロン。
いくつかの実施形態において、細胞傷害性因子または薬物は抗チューブリン剤である。抗チューブリン剤または薬物の例には以下が含まれるがこれらに限定されない:タキサン(例えば、タキソール(登録商標)(パクリタキセル)、タキソテレ(登録商標)(ドセタキセル))、T67(以前のチュラリック(Tularik))およびビンカアルカロイド(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、およびビノレルビン)。他の抗チューブリン剤または薬物には、例えば、以下が含まれる:ベカチン誘導体、タキサンアナログ(例えば、エポチロンAおよびB)、ノコダゾール、コルヒチン、およびコルシミド、エストラムスチン、クリプトフィシン、セマドチン、マイタンシノイド、コムブレタスタチン、ディスコデルモリド、およびエレウセロビン。
特定の実施形態において、細胞傷害性因子または薬物は、抗チューブリン剤または薬剤の別のグループであるマイタンシノイドである。例えば、特定の実施形態において、マイタンシノイドは、メイタシン、DM−1、またはDM−4である(ImmunoGen,Inc.;Chariら、1992,Cancer Res.52:127−131もまた参照のこと)。
いくつかの実施形態において、細胞傷害性因子または薬物は、オーリスタチン、例えば、オーリスタチンEまたはその誘導体である。例えば、オーリスタチンE誘導体は、オーリスタチンEとケト酸との間で形成されるエステルであり得る。例えば、オーリスタチンEは、パラアセチル安息香酸またはベンゾイル吉草酸と反応させて、それぞれ、AEBおよびAEVBを生じることができる。他の典型的なオーリスタチン誘導体には、AFP(オーリスタチンFのC末端フェニルアラニンとp−フェニレンジアミンとのモノアミド)、MMAF(N−メチルバリン−バリン−ドライソロイシン−ドラプロイン−フェニルアラニン)、およびMMAE(モノ−メチルオーリスタチンE)が含まれる。オーリスタチンおよびドラスタチンの誘導体の合成および構造は、米国特許公開第2003/0083263号、同第2005/0238649号、および米国特許第6,884,869号;国際特許公開第WO04/010957号、国際特許公開第WO02/088172号、および以下の米国特許:第6,323,315号;第6,239,104号;第6,034,065号;第5,780,588号;第5,665.860号;第5,663,149号;第5,635,483号;第5,599,902号;第5,554,725号;第5,530,097号;第5,521,284号;第5,504,191号;第5,410,024号;第5,138,036号;第5,076,973号;第4,986,988号;第4,978,744号;第4,879,278号;第4,816,444号;および第4,486,414号に記載されている。
いくつかの実施形態において、細胞傷害性因子または薬物は放射性同位元素である。いくつかの実施形態において、細胞傷害性因子または薬物は放射性である。
いくつかの実施形態において、細胞傷害性因子または薬物は代謝拮抗物質である。代謝拮抗物質は、例えば、非限定的に、以下であり得る:プリンアンタゴニスト(例えば、アゾチオプリンまたはミコフェノール酸モフェチル)、ジヒドロ葉酸還元酵素阻害剤(例えば、メトトレキサート)、アシクロビル、ガンシクロビル(gangcyclovir)、ジドブジン、ビダラビン、リババリン、アジドチミジン、シチジンアラビノシド、アマンタジン、ジデオキシウリジン、ヨードデオキシウリジン、ポスかメット、またはトリフルリジン。
他の実施形態において、細胞傷害性因子または薬物はタクロリムス、シクロスポリン、またはラパマイシンである。さらなる実施形態において、細胞傷害性因子または薬物は以下である:アルデスロイキン、アレムツズマブ、アリトレチノイン、アロプリノール、アルトレタミン、アミフォスチン、アナストロゾール、三酸化ヒ素、ベキサロテン、ベキサロテン、カルステロン、カペシタビン、セレコキシブ、クラドリビン、デニロイキンジフチトクス、デクスラゾキサン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピルビシン、エストラムスチン、エキセメスタン、フィルグラスチム、フロクスウリジン、フルダラビン、フルベストラント、ゲムシダビン、ゲムツズマブ、オゾガミシン、ゴセレリン、イダルビシン、イホスファミド、メシル酸イマチニブ、インターフェロンα−2a、イリノテカン、レトロゾール、ロイコボリン、レバミゾール、メクロレタミンまたはナイトロジェンマスタード、メゲストロール、メスナ、メトトレキサート、メトキサレン、マイトマイシンC、ミトタン、フェニルプロピオン酸ナンドロロン、オプレルベキン、オキサリプラチン、パミドロネート、ペガデマーゼ、ペガスパルガーゼ、ペグフィルグラスチム、ペントスタチン、ピドブロマン、プリカマイシン、ポルフィマーナトリウム、プロカルバジン、キナクリン、ラスブリカーゼ、リツキシマブ、サルガラモスチム、ストレプトゾシン、タモキシフェン、テモゾロミド、テニポシド、テストラクトン、チオグアニン、トレミフェン、トシツモマブ、トラツズマブ、トレチノイン、ウラシルマスタード、バルルビシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、またはゾレドロネート。
いくつかの実施形態において、細胞毒素はカリケアマイシンまたはその誘導体ではない。いくつかの実施形態において、細胞毒素は放射性同位元素ではない。
組成物および投与の方法
CD33結合因子は、組成物が患者に投与されることを可能にする任意の型であり得る。例えば、該組成物は、液体または固体の型であり得る。代表的な投与の経路には、非限定的に、非経口および腫瘍内が含まれる。非経口投与には、皮下注射、または静脈内、筋肉内、胸骨内の注射もしくは注入の技術が含まれる。1つの態様において、該組成物は非経口的に投与される。なお別の態様において、化合物は静脈内投与される。
薬学的組成物は、患者への組成物の投与の際に化合物を生物学的に利用可能にするように製剤化することができる。組成物は、1つ以上の投薬単位の型を取ることができ、ここで、例えば、エアロゾル型の化合物の容器が、複数の投薬単位を保持することができる。
薬学的組成物を調製する際に使用される材料は、使用される量で非毒性であり得る。薬学的組成物中の活性成分の最適投薬量は、種々の要因に依存することは当業者には明白である。関連する要因には、非限定的に以下が含まれる:患者の型(例えば、ヒト)、化合物の特定の型、投与の様式、および利用される化合物。
薬学的に受容可能な担体またはビヒクルは、組成物が、例えば、粉末型であるように、粒子であり得る。担体は液体であり得、組成物は、例えば、注射用の液体である。
組成物は、例えば、非経口注射のために、液体の型であり得る。注射による投与のための組成物中に、1種以上の界面活性剤、保存剤、湿潤剤、分散剤、懸濁剤、緩衝剤、安定剤、および等張剤を含めることもできる。
液体組成物は、それらが溶液、懸濁液、または他の同様な型であるかに関わらず、以下の1種以上を含むこともできる:滅菌希釈液、例えば、注射用の水、塩類溶液、好ましくは、生理食塩水溶液、リンガー液、塩化ナトリウム等張液、固定油、例えば、溶媒または懸濁媒体として働き得る合成モノ−またはジグリセリド、ポリプロピレングリコール、グリセリン、シクロデキストリン、プロピレングリコール、または他の溶媒;安定剤、例えば、アミノ酸;界面活性剤、例えば、ポリソルベート;抗菌剤、例えば、ベンジルアルコールまたはメチルパラベン;抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウム;キレート剤、例えば、エチレンジアミン四酢酸;緩衝剤、例えば、酢酸塩、クエン酸塩、またはリン酸塩;および等張性の調整のための剤、例えば、塩化ナトリウムまたはデキストロース。非経口組成物は、ガラス製、プラスチック製、または他の材料製のアンプル、使い捨てシリンジ、または複数用量バイアル中に封入することができる。生理食塩水は例示的なアジュバントである。注射用組成物は好ましくは滅菌されている。
特定の障害または状態の治療のために有効である組成物の量は、その障害または状態の性質に依存し、標準的な臨床的技術によって決定することができる。加えて、インビトロまたはインビボアッセイが、最適な用量範囲の同定を補助するために任意に利用できる。組成物中で利用できる正確な用量は、投与の経路、および疾患または障害の重篤度にも依存し、医師の判断および各患者の状況に従って決定されるべきである。
組成物は、適切な投薬量が得られるように、薬物または剤の有効量を含む。典型的には、この量は、組成物の重量の少なくとも約0.01%の薬物または剤である。経口投与が意図される場合、この量は、組成物の重量の約0.1%〜約80%の範囲で変化させることができる。1つの態様において、経口組成物は、組成物の重量の約4%〜約50%の範囲を含むことができる。なお別の態様において、本発明の組成物は、非経口投薬量が化合物の重量の約0.01%〜約2%を含むように調製される。
静脈内投与のために、組成物は、動物の体重のkgあたり約1〜約50mgの薬物または剤を含むことができる。1つの態様において、この組成物は、動物の体重のkgあたり約1、1.5、または2.5〜約50mgの薬物または剤を含むことができる。別の態様において、投与される量は、約1、1.5、または2.5〜約25mg/kg体重の薬物または剤の範囲である。
いくつかの実施形態において、患者に投与される投薬量は、患者の体重の1.5mg/kg〜約12mg/kg、1.5mg/kg〜約15mg/kg、2.5mg/kg〜約12mg/kg、または2.5mg/kg〜約12mg/kgである。いくつかの実施形態において、患者に投与される投薬量は、患者の体重の1.5mg/kg〜約25mg/kgの間である。いくつかの実施形態において、患者に投与される投薬量は、患者の体重の1mg/kg、1.5mg/kgまたは2.5mg/kg、および約20mg/kgの間である。いくつかの実施形態において、投与される投薬量は、患者の体重の1mg/kg、1.5mg/kgまたは2.5mg/kg〜約20mg/kgの間である。いくつかの実施形態において、投与される投薬量は、患者の体重の1mg/kg、1.5mg/kgまたは2.5mg/kg〜約15mg/kgの間である。いくつかの実施形態において、投与される投薬量は、患者の体重の1mg/kg、1.5mg/kgまたは2.5mg/kg〜約10mg/kgの間である(mg/mm2への変換については、1.8m2のBSAおよび80kgの体重が使用され得る)。
本明細書で議論されるように、CD33結合因子は、例えば、毎日、毎週、2週間に1回、3週間に1回、または毎月、患者に静脈内投与することができる。例えば、CD33結合因子は、毎週、2〜10週間の期間の間、典型的には、3〜6週間、投与することができる。いくつかの実施形態において、CD33結合因子の投薬レジメンは、投薬サイクルの間に、少なくとも5μg/mlまたは少なくとも10μg/mlの血清抗体濃度を維持する。CD33結合因子は、例えば、1〜8サイクル、またはそれ以上、投与することができる。いくつかの実施形態において、CD33結合因子は、被験体に長期的に投与される。
例として、本発明は、約1.5mg/kg〜約12mg/kg、例えば、約1.5〜8または2.5〜8mg/kgの抗CD33抗体、例えば、SGN−33を毎週投与することによって、骨髄性白血病などの癌を治療する方法を含む。この治療は、通常、約1〜3ヶ月、典型的には、約2ヶ月の間、継続することができる。1つの実施形態において、投薬スケジュールは、芽細胞の減少が記録されるまで維持される。例えば、投薬は、約6ヶ月間継続することができる。この治療に続いて、より頻度が少ない投薬スケジュールで行うことができ、これには例えば、2週間に1回(または1ヶ月あたり2回)の用量が含まれる。この投薬スケジュールは、芽細胞の減少および/または寛解を維持するために、1、2、3、4、5、6ヶ月間維持することができる。
いくつかの実施形態において、予防剤が、注入反応を最小にするためにCD33結合因子と共に投与することができる。適切な予防剤には、例えば、メチルプレドニゾロン、ジフェニルドラミン、アセトアミノフェン、または他の適切な薬剤が含まれる。予防剤は、CD33結合因子の前に、またはほぼ同時に投与することができる。
薬物または剤または組成物は、任意の好都合な経路によって、例えば、注入またはボーラス注射によって、上皮または粘膜皮膚裏層(例えば、口腔粘膜、直腸および腸の粘膜など)を通しての吸収によって投与することができる。投与は全身性または局所的であり得る。種々の送達系、例えば、リポソーム、微粒子、マイクロカプセル、カプセルなどの中へのカプセル化が公知であり、化合物を投与するために使用することができる。特定の実施形態において、1種以上の薬物または剤または組成物が患者に投与される。
薬物または剤について必要に応じて、1種以上の薬物または剤または組成物を、治療の必要がある領域まで局所的に投与することが望ましくあり得る。このことは、例えば、非限定的に、外科手術の間の局所的注入により;例えば、外科手術後の創傷包帯と併用した局所的適用により;注射により;カテーテルによって;坐剤によって;または移植物によって達成することができ、移植物は、多孔質、非多孔質、またはゼラチン状材料であり、膜を含み、例えば、シラスチック(sialastic)膜または繊維である。1つの実施形態において、癌、腫瘍または新生物もしくは前新生物組織の部位(または先の部位)に直接注射することによって投与することができる。
薬物または剤または組成物は、制御放出系、例えば、ポンプまたは種々のポリマー材料で送達できる。なお別の実施形態において、制御放出系は、薬物または剤または組成物の標的の近位に配置することができ、従って、全身用量の一部のみを必要とする(例えば、Goodson、Medical Applications of Controlled Release所収、vol.2,115−138頁(1984)を参照のこと)。Langer(1990,Science 249:1527−1533)による概説において議論されている他の制御放出系が使用できる。
薬物および剤は、その薬物および剤について必要に応じて、動物、特に、ヒトへの静脈内投与のために適合された薬学的組成物として、日常的な手順に従って製剤化される。典型的には、静脈内投与のための担体またはビヒクルは、滅菌等張性緩衝水溶液である。必要な場合、組成物はまた、可溶化剤を含み得る。静脈内投与のための組成物は、注射の部位の痛みを軽減するために、リグノカインなどの局所麻酔薬を任意に含み得る。一般的に、成分は、別々に、または、例えば、密封された容器、例えば、活性成分の量を表示しているアンプルまたはサシェ剤などの密封容器中の凍結乾燥粉末または水不含濃縮物として、単位剤形で一緒に混合されるかのいずれかで、供給される。薬物または剤が注入によって投与される場合、これは、例えば、医薬品グレードの水または生理食塩水を含む注入ボトルを用いて分注することができる。薬物または剤が注射によって投与される場合、成分が投与の前に混合できるように、注射のための滅菌水または生理食塩水のアンプルが提供され得る。
治療剤の組成物はまた、例えば、錠剤、トローチ剤、水性もしくは油性懸濁液、顆粒、散剤、エマルジョン、カプセル、シロップ、またはエリキシルの型の受容される剤形に従って投与することもできる。経口投与される組成物は、1種以上の選択的な剤、例えば、甘味料、例えば、フルクトース、アスパルテーム、またはサッカリン;香料、例えば、ペパーミント、ウィンターグリーンのオイル、またはチェリー;着色料;および保存料を含むことができ、薬学的に口当たりのよい調製物を提供する。さらに、錠剤または丸薬型の場合、組成物をコートして、胃腸管での分解および吸収を遅延させることができ、それによって、長期間にわたって持続性作用を提供する。浸透活性な駆動化合物を取り囲む選択透過性膜もまた、経口投与される薬物または剤に適切である。後者のプラットフォームにおいては、カプセルを取り囲む環境からの液体が駆動化合物によって吸収され、これは、開口部を通して薬剤または薬剤組成物を移動させて膨潤する。これらの送達プラットフォームは、即時放出製剤の急上昇プロフィールとは反対に、本質的に0次送達プロフィールを提供し得る。グリセロールモノステアリン酸またはグリセロールステアリン酸などの時間遅延材料もまた使用できる。
本発明の組成物は、固体または液体の投薬単位の物理的形態を修飾する種々の材料を含み得る。例えば、組成物は、活性成分の周りにコーティングシェルを形成する材料を含み得る。コーティングシェルを形成する材料は、典型的には不活性であり、例えば、糖、シェラック、および他の腸溶コーティングから選択することができる。または、活性成分は、ゼラチンカプセル中に入れることができる。
本発明の組成物は、担当医によって決定される期間にわたって、一定の頻度で、その必要がある患者に投与することができる。これらの組成物は、1日間、2日間、3日間、5日間、7日間、10日間、14日間、21日間、28日間、1ヶ月間、2ヶ月間、またはそれ以上の長さの期間にわたって投与することができる。これらの組成物は、1日間〜2ヶ月間以上の間の長さの期間にわたって投与することができる。
本発明は、以下の実施例においてさらに説明される。
(実施例1)
CD33陽性AML系統において抗CD33抗体によって誘導されるシグナル伝達
本研究の目的は、ヒト化M195抗体である抗CD33抗体(リンツズマブまたはSGN−33とも呼ばれる)が、細胞増殖を遮断することによって直接的に、またはエフェクタ細胞との相互作用を通して間接的に、その生物学的活性を発揮するか否かを決定することであった。特定の抗CD33抗体の細胞増殖阻害活性は、CD33チロシンリン酸化、Sykキナーゼリン酸化、およびSHPホスファターゼの補充を含むシグナル伝達カスケードと関連付けられてきた。
CD33陽性細胞株は、抗CD33抗体(リンツズマブおよび特定の市販の抗体)で処理した。細胞抽出物を調製し、抗CD33抗体(MY9クローン;Beckman Coulter,CA)を使用してCD33を免疫沈降した。ウェスタンブロッティングは、抗ホスホチロシン抗体(4G10;Upstate Biotechnologies,Inc.,Lake Placid,NY)を用いて実施した。図1に示されるように、可溶性および架橋型の両方のSGN−33へのCD33陽性AML細胞系統HL−60の曝露は、チロシンリン酸化を刺激した。2つの型のCD33を検出した(CD33 mRNAのスプライシングまたはCD33の翻訳後修飾のいずれかに起因する)。
図2に示されるように、ヒト化M195抗体は、2つのCD33陽性骨髄性細胞株、HL−60細胞およびU937細胞におけるCD33チロシンリン酸化を刺激した。可溶性ヒト化抗体は、CD33ヒト化チロシンリン酸化において架橋型抗体よりもより有効であった。別の抗CD33抗体、HIM3−4(Abeam,Inc.,Cambridge,MA)は、可溶性または架橋型のいずれかで、HL−60細胞およびU937細胞におけるCD33チロシンリン酸化を刺激する際に等しく有効であった。第3の抗CD33抗体、WM53(Abeam,Inc.,Cambridge,MA)は、HL−60細胞およびU937細胞におけるCD33チロシンリン酸化を刺激する際に、わずかに有効であった(陰性対照ヒトIgG1抗体と比較のこと)。
ヒト化M195抗体がSHPホスファターゼも補充するか否かを決定するために、HL−60細胞を可溶性または架橋型抗CD33抗体で処理した。細胞抽出物を調製し、CD33を、抗CD33抗体(MY9クローン)を用いて免疫沈降した。ウェスタンブロッティングは、抗SHP−1抗体(sc−287;Santa Cruz Biotechnology,Inc.,Santa Cruz,CA)を用いて実施した。図3に示されるように、2つの抗CD33抗体、HuM195およびHIM3−4は、可溶性または架橋型のいずれかで、CD33に対してSHP−1を補充した。SHP−1の補充は、CD33チロシンリン酸化のレベルと相関した(図2および3を比較のこと)。対照的に、Hum195抗体は、SHP−1またはSrkを補充しなかった(データ示さず)。
(実施例2)
CD33陽性AML系統に対する抗CD33抗体媒介CDCの効果
本研究の目的は、AML細胞上の抗CD33抗体(HuM195)の細胞傷害性効果が、化学療法剤薬物を用いる組み合わせ治療によって増強され得るか否かを決定することであった。MDR+、CD33陽性AML細胞系統(HEL92.1.7)は、抗CD33Abへの曝露前の2時間の間、未処理であるか、または示された濃度のサリドマイドもしくは5−アザシチジンとプレインキュベートしたかのいずれかであった。細胞傷害性アッセイは、補体依存性細胞傷害性(CDC)活性を使用して測定した。図4に示されるように、HuM195抗体は、用量依存様式で、AML細胞株の溶解を増加した。サリドマイドまたは5−アザシチジンとのプレインキュベーションは、各々が、HuM195媒介性CDC活性に対するMDR+、CD33陽性AML細胞系統の感度を増強した。
(実施例3)
初代マクロファージに対する抗CD33抗体の効果
本研究は、抗CD33抗体が、それ自体、インビボで腫瘍の増殖および進行に寄与し得るサイトカイン、ケモカイン、および成長因子の産生を調節する際に、CD33陽性マクロファージに対して直接的な効果を有するか否かを決定するために実施した。
初代ヒトマクロファージは、新鮮に単離したヒト末梢血単球細胞(PBMC;AllCells,Emeryville,CAまたはLifeBlood,Memphis,TN)の長時間培養から生成した。PBMCは、組織培養フラスコ中、グルタミンを含むRPMI1640培地(Invitrogen,Grand Island,NY)、10%熱不活化FBS、および抗生物質中で3〜4時間培養した。非接着細胞を、PBSを用いる洗浄によって除去し、接着細胞を、1%熱不活化FBSを含むOptiMem−1培地(Invitrogen)中で1〜2時間培養した。細胞をPBSで洗浄し、500U/ml GM−CSF(Peprotech,Rocky Hill,NJ)を含むX−VIVO−15培地(Cambrex Bio Science,Walkersville,MD)中で10〜14時間培養した。
マクロファージを、収集し、計数し、そしてウェルあたり35,000細胞で培養した。G−CSF−動員CD14+単球(Cambrex)は、ウェルあたり100,000細胞で、96ウェルプレート(接着細胞)、滅菌プリポロピレンディッシュ(非接着細胞)において培養した。1時間後、マクロファージまたは単球は、抗CD33Ab(HuM195Ab(SGN−33とも呼ばれる)、10または25μg/ml)に曝露した。3〜4時間後、インターフェロン−γ(IFN−γ)(300U/ml;R&D Systems,Minneapolis,MN)または20%馴化腫瘍細胞培地を含む培地は、ヒト腫瘍細胞株、例えば、RPMI−8226またはKarpas−620多発性ミエローマ細胞の培養物から収集した。24〜48時間後、培養上清を収集し、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)、インターロイキン−6(IL−6)、インターロイキン−8(IL−8)、および単球化学誘導タンパク質−1(MCP−1)を含む種々のサイトカイン、ケモカイン、および成長因子のレベルについて、Flow CytoMixシステム(Bender MedSystems,Burlingame,CA)を使用して、およびRANTESのレベルについて、ELISA(Pierce−Endogen,Rockford,IL)によって、分析した。並行して、培養物は、24〜72時間、SGN−33で処理し、細胞生存度を、CelltiterGlo(Promega,Madison,WI)を使用して試験した。
マクロファージおよびCD14+単球は、市販の抗体(BD Pharmingen,San Diego,CA)を使用して、表現型細胞表面マーカーCD14、CD11b、CD16、CD33、CD40、およびCD86の発現について、フローサイトメトリー(BD FacSCAN)によって分析した。図5に示されるように、培養したヒトマクロファージは、予想された表現型マーカー(CD11b、CD14、およびCD16)およびCD33を発現する。
ヒトマクロファージは、処理の不在下で、またはIFN−γを用いる24時間の処理(図6)、もしくは2つのヒト腫瘍細胞株、RPMI−8226細胞およびKarpus−620細胞の培養物からの馴化培地を用いる処理(図7)に応答して、多数のサイトカイン、ケモカイン、および成長因子を産生および分泌する(X軸の対数スケールに注意のこと;減少パーセントを図に示す)。
抗CD33抗体、SGN−33とのヒトマクロファージのプレインキュベーションの効果を調べた。予想に反して、SGN−33との3時間のプレインキュベーションは、IFN−γ(図6を参照のこと)またはRPMI−8226細胞およびKarpus−620細胞のからの馴化培地(図7を参照のこと)に応答して、IL−6、TNF−α、RANTES、およびMCP−1の産生を低減した。図8に示されるように、ヒトマクロファージからのIL−6、TNF−α、RANTES、およびMCP−1の分泌の減少は、細胞生存度に対する抗CD33抗体の有害な効果に起因するものではなかった。従って、抗CD33抗体は、細胞生存度に干渉することなく、ヒトマクロファージにおけるサイトカイン、ケモカイン、および成長因子の産生に影響を与えることができる。
接着性および非接着性ヒトCD14+単球におけるサイトカイン、ケモカイン、および成長因子の産生に対する抗CD33抗体の効果も調べた。図9に示されるように、培養ヒトG−CSFはヒトCD14+単球を動員し、これは、予想された表現型マーカー(CD11b、CD40、およびCD86)およびCD33を発現する。
接着性ヒトCD14+単球の培養において、抗CD33抗体は、基底レベルおよびIFN−γ刺激レベルのIL−6、MCP−1、TNF−α、およびIL−8、ならびにIFN−γ刺激レベルのRANTESを低下させた(図10を参照のこと)。抗CD33抗体SGN−33もまた、基底レベルおよびRPMI−8226馴化培地刺激レベルのIL−6、MCP−1、およびIL−8、ならびにRPMI−8226馴化培地刺激レベルのRANTESを低減させた(図11を参照のこと)。SGN−3は、TNF−αの基底レベルを低下させたが、しかしRPMI−8226馴化培地刺激レベルは低下しなかった(図11を参照のこと)。
IFN−γ、RPMI−8226馴化培地、およびSGN−33の効果における顕著な違いが、非接触CD14+単球の培養において観察された(図12を参照のこと)。IFN−γは、サイトカイン、ケモカイン、および成長因子の産生に対する最小限の刺激効果を発揮し、この産生は、RANTESの基底レベル以外は、SGN−33によって阻害されなかった。実際、IL−6、IL−8、TNF−α、およびMCP−1のレベルの小さな増加が、SGN−33に対する非接着CD14+単球の曝露の際に観察された。RPMI−8226馴化培地によって刺激されたIL−6、MCP−1、IL−8、およびRANTESのレベルは、SGN−33によって低下した(図12を参照のこと)。図13に示されるように、初代ヒト単球におけるサイトカイン、ケモカイン、および成長因子の産生に対する抗CD33抗体SGN−33の効果は、細胞生存度に対する、抗体、SGN−33の有害な効果に起因するものではなかった。
まとめると、上記の結果は、CD33に対する抗体が、IFN−γのような炎症誘発性サイトカイン、または腫瘍細胞からの馴化培地中に存在する誘導剤の存在下においてさえ、広いスペクトルのサイトカイン、ケモカイン、および成長因子の産生を阻害することが可能であることを実証する。抗CD33抗体は、細胞生存度に影響を与えることなく、ヒト単球およびマクロファージにおける種々のサイトカイン、ケモカイン、および成長因子の産生を減少することが可能であるらしい。
(実施例4)
アトピー性皮膚炎病変におけるマクロファージ上でのCD33の発現
本研究の目的は、アトピー性皮膚炎患者の病変における細胞上でCD33が発現されるか否かを決定することであった。
アトピー性皮膚炎患者からのOCT包埋皮膚病変を、免疫蛍光を使用して染色した。皮膚病変の凍結切片をアセトン固定し、次いで、一次抗体、抗ヒトCD33マウスモノクローナル抗体またはマウスIgGアイソタイプ抗体のいずれかと共にインキュベートした。二次抗体標識は、Alexa fluor−568ヤギ抗マウスIgGを使用して実施した。
抗CD33抗体を使用して、アトピー性皮膚炎病変におけるマクロファージがCD33を発現することを見出した。
(実施例5)
抗CD33抗体は、化学誘引物質に応答したヒトマクロファージの移動を遮断する
本研究における、抗CD33抗体SGN−33が馴化腫瘍細胞培地、TGF−β、VEGF、TNF−α、およびIFN−γなどの移動促進化学誘引物質に応答して、ヒトマクロファージの移動に影響を与える能力。SGN−33は、これらの因子に応答したマクロファージの移動に有意に反対する。これらの結果は、SGN−33が活性化単球およびマクロファージからのサイトカインおよびケモカインの産生を遮断したという以前の知見を補完する。従って、SGN−33は、活性化単球およびマクロファージの活性および機能を調節する。
初代ヒトマクロファージは、新鮮に単離したヒトPBMC(AllCells,Emeryville,CAまたはLifeBlood,Memphis,TN)の長時間培養から、GM−CSF(Peprotech,Rocky Hill,NJ)を含むX−VIVO−15培地(Cambrex Walkersville,MD)中での長時間培養に際して生成した。
10%ヒト血清、20%馴化腫瘍細胞培地、または50ng/ml TGF−β、VEGF、TNF−α、またはIFN−γを含む培地をプレーティングする攻撃に応答したマクロファージの移動は、CytoSelect Cell Migration Assay(Cell Biolabs,San Diego,CA)を使用して評価した。マクロファージは、1%ヒト血清を含むRPMI培地中で、プレーティング前、30〜45分間の間、SGN−33またはSGN−33のF(ab’)2で処理した。いくつかの研究において、マクロファージは、SGN−33とのインキュベーション前の1時間、ノイラミニダーゼ(Sigma,St.Louis,MO)で前処理した。この研究は18時間後に停止し、移動は、膜からの細胞の解離後に評価し、その後、Cyquant GR色素を用いて検出を行った。
単球およびマクロファージは、サイトカインまたはケモカインなどの化学誘引物質に応答して分極および移動する。本研究において、SGN−33の効果は、市販のキットを使用して評価した。結果は図14A〜14Cに示す。ヒトマクロファージは、1%血清、10%血清、RPMI−8226多発性骨髄腫細胞の培養からの20%馴化腫瘍細胞培地、または50ng/mlのTGF−β、TNF−β、VEGF、またはIFN−βを含む培地をプレーティングすることで攻撃した。図14Aに見ることができるように、より多くのマクロファージが、1%血清のみに曝露した細胞と比較して、10%血清またはサイトカインなどの化学誘引物質の方向に移動した。マクロファージのこの移動は、25μg/mlのSGN−33またはSGN−33のF(ab’)2フラグメントとプレインキュベートした細胞で有意に低下した(図14B)。
CD33分子は、シアル酸を有するグリカンを認識する(Freemanら、1995,Blood 85:2005−2012;Crocker、2005,Curr.Opin.Pharm.5:431−437)。マクロファージの移動に対するSGN−33の阻害効果におけるシアル酸の重要性を試験した。マクロファージは、ノイラミニダーゼと共にインキュベートし、これらの細胞の表面上に結合したシアル酸を除去した。次いで、細胞をSGN−33で処理し、次いで、血清または腫瘍細胞馴化培地で攻撃した。図14Cに見ることができるように、ノイラミニダーゼを用いる細胞の処理は、マクロファージの移動を低下した。しかし、より大きな効果は、SGN−33が、ノイラミニダーゼ処理したマクロファージに加えられたときに観察された。これらの結果は、マクロファージの移動に対するSGN−33の効果がシアル酸の不在下でより大きいことを示す。
これらの結果は、単球およびマクロファージの機能に影響を及ぼす際のSGN−33の重要性を確認する。活性化単球およびマクロファージからのサイトカインおよびケモカインの移動および産生を遮断することによって、SGN−33は、これらの細胞の活性を調節し得、従って、関連する炎症および組織破壊を大幅に減少する。このように、SGN−33は、浸潤する炎症性細胞を含む、炎症性疾患、悪液質、および腫瘍(例えば、乳癌、前立腺癌、膀胱癌、腎臓癌、卵巣癌、子宮内膜癌、頭頸部の癌、および肺癌を含む)の治療において有益である。
(実施例6)
抗CD33抗体は、AML細胞株によるサイトカイン産生を減少する
KG−1 AML細胞株を、1ng/mlのTNF−αの添加前に、2.5μg/mlのSGN−33または対照抗体で前処理した。培地をサイトカイン分析の18時間前に収集した。SGN−33は、このAML細胞株による、IL−8、IP−10、MIIb、RANTES、およびMCP−Iの産生を低減させた。
この臨床試験における患者の平均年齢は76歳であり(52〜86歳の範囲;N=6)すべてが以前に未治療であった。SGN−33は、1.5mg/kg/wkで十分に耐容性であり、最大耐量に達したといういかなる証拠もなかった。さらに、抗腫瘍活性は、以前に未治療であるAMLを有する高齢の患者において観察された。
(実施例7)
抗CD33抗体HuM195の活性の研究
HuM195は、フェーズIシングルアーム用量増加試験において試験した。以前の臨床試験において、この抗CD33抗体(SGN−33またはリンツズマブとも呼ばれる)は、頻繁でない投与で、低用量において、再発しかつ不応性の急性骨髄性白血病(AML)を有する患者において、芽細胞の有意な減少を誘導した。
本研究は、以前に試験されたよりも高い用量強度でSGN−33を試験するために開始した。項目入力の判断基準には、十分な標的抗原が存在したことを確実にするための骨髄芽球の>50%に対するCD33発現が含まれた。進行した骨髄性悪性疾患を有する3〜6例の患者の同齢集団は、外来患者として、静脈内SGN−33を、1.5〜8mg/kgの毎週の用量で5週間の間受容した。臨床応答は、骨髄形態および血液学的改善によって評価した(炎症性サイトカインおよび骨髄単球は、相関研究として、実施例8および9においてそれぞれ記載されるように試験することができる)。臨床的な利点を実証する患者は、さらなる隔週の外来患者注入のために適任である。75歳のメジアン年齢(範囲:52〜89歳)を有する全体で31例の患者(AML(18)、MDS(10)、およびCMML(3))を、増大用量のSGN−33で処理した。AML患者の中で、6例が先例の血液学的障害を有した。投薬同齢集団は、1.5(6)、2.5(4)、4(4)、および8mg/kg(17)を含んだ。用量制限毒性は観察されておらず;最も一般的な薬物関連の有害事象は、最初の注入に伴う悪寒であった(11/31患者)。注入反応は、次の投薬の間では一般的ではない。抗体と関連すると見なされている有害な事象の中で、グレード4は1例もなく、2例がグレード3であった;腫瘍溶解症候群が記録され、4mg/kgにおいて、これは水和を伴って迅速に分解し、発熱性好中球減少症が、8mg/kgの用量レベルにおいて観察された。抗SGN−33免疫応答は、試験された最初の15名の中では検出されなかった。SGN−33への曝露(AUC)は、用量と比較して増加し、蓄積は反復用量と共に記録された。研究のメジアン時間は33日間であり(1〜407の範囲)、9例の患者は、56日間よりも多くの間、治療を受けた。
AMLを有する18例の患者の中で、4例がCRを達成し、1例は不完全な血小板回収を有した。安定な疾患は、6例のMDS患者において観察された。要約すると、SGN−33は、8mg/kg/wkまでの用量で十分に耐容性であって、血清SGN−33曝露を、以前の研究よりも約20倍高く達成した。完全な寛解は,AMLを有する高齢の患者において観察され、彼らは徹底的な治療のための候補ではなかった。
(実施例8)
ヒト血清サンプルにおけるサイトカイン測定
本研究の目的は、実施例7に記載されたような抗CD33抗体を用いる治療の前後で、ヒト血清サンプル中のサイトカインのレベルを決定することである。
試験は、R & D Systems(商標)Fluorokine(登録商標)Multi Analyte Profiling Multiplex Arrayを用い、Luminex(登録商標)プラットフォーム(R & D Systems,Inc.,Minneapolis,Minnesota)を使用して実施した。血清サンプルは、フェーズI臨床試験において患者から収集する。アッセイを血清のアリコートで実施して、TNF−α、IFN−γ、IL−6、IL−1β、およびIL−10について、pg/mLの量を測定する。
(実施例9)
抗CD33抗体の投与後のCD33陽性細胞の測定
本研究の目的は、CD33陽性末梢血または骨髄細胞を列挙すること、および実施例7に記載されたような抗CD33抗体を用いる治療の前後で、それらの発現のレベルを評価することである。加えて、骨髄芽球上でのCD33の飽和パーセントが治療後に決定される。
末梢血および/または骨髄は患者から収集する。細胞は、末梢血については血液分析器を使用して、骨髄についてはフローサイトメータを使用して計数する。5,000〜10,000細胞/μLの間の細胞計数のために、50μLのサンプルを使用する。<5,000細胞/μLの細胞計数については、100μLのサンプルを使用する。>10,000細胞/μLの細胞計数については、5,000〜10,000細胞/μLの間にあるように、PBS中で希釈し、そして50μLを使用する。
各チューブについて:
1.空の13×75mmポリスチレンチューブに、50または100μLの特定の抗体カクテルを加える。
2.50または100μLの末梢血または骨髄試料を加え、穏やかに混合し、そして暗所にてRTで15分間インキュベートする。
3.1.5mLの0.25%NH4Cl/パラホルムアルデヒドを加えて、暗所にてRTで15分間、溶解および固定を行う。
4.RTで1700rpm(550×g)にて5分間、チューブを遠心分離し、次いで、上清をデカントする。
5.3mLのPBS/BSA/アジドを各チューブに加え、RTで1700rpm(550×g)にて5分間、チューブを遠心分離し、次いで、上清をデカントする。
6.100μLのPBS/BSA/アジド中に再懸濁する。
7.LSR IIフローサイトメータを使用するフローサイトメトリーによって細胞を分析する。総計150,000個の白血球細胞事象を分析する。
対照チューブは、以下のモノクローナル抗体を含む抗体カクテルを含む:HLA−DR Pacific Blue;CD 15 FlTC;Ig PE;CD117 PE−Cy5;CD14 PE−Cy7;CD38 Alexa 594;CD34 APC;およびCD45 APC−Cy7。CD33チューブは、以下のモノクローナル抗体を含む抗体カクテルを含む:HLA−DR Pacific Blue;CD15 FITC;CD33 PE;CD117 PE−Cy5;CD14 PE−Cy7;CD38 Alexa 594;CD34 APC;およびCD45 APC−Cy7。すべてのモノクローナル抗体は、Becton Dickinson製である。
芽細胞は、適切に、CD34、CD117、HLA−DR、およびCD38と組み合わせた、CD45および側方散乱ゲートの組み合わせを使用して同定する。異常な前骨髄球および前単球の集団は、他の試薬と組み合わせたCD15およびCDI4を使用して同定する。
PE検出器のための平均蛍光強度(MFI)は、対照チューブおよびCD33チューブの芽細胞集団について得られる。前方対側方の散乱ゲートによって評価される生存度;80%以上の生存度が、サンプルのスコア付けのために必要である。
芽細胞の列挙は、白血球細胞(CD45陽性細胞)のパーセンテージとして、以下のように提供される:
芽細胞%=(芽細胞数/白血球細胞数)*100
治療後の各時点でのCD33飽和%は以下のようにして計算される:
CD33飽和%=[1−(MFI CD33試験−MFI IgG PE試験)/(MFI CD33診断−MFI IgG PE診断)]*100 。
(実施例10)
マクロファージおよび単球に対する抗CD33の効果
本研究において、抗CD33抗体が単球およびマクロファージの機能に影響を与えるというさらなる証拠を提示する。
初代ヒトマクロファージは、新鮮に単離したヒトPBMC(AllCells,Emeryville,CAまたはLifeBlood,Memphis,TN)から、GM−CSF(Peprotech,Rocky Hill,NJ)を含むX−VIVO−15培地(Cambrex Walkersville,MD)中での長時間培養に際して生成した。初代ヒトCD14+単球はCambrexから購入した。HL−60前骨髄球性白血病細胞は、ATCC(Manassas,VA)から購入し、10%熱不活化FCSを含むRPMI培地中で増殖させた。
シグナル伝達研究のために、HL−60細胞、単球、またはマクロファージを、抗CD33抗体SGN−33または脱グリコシル化SGN−33と共に、30分間、プレインキュベートした。脱グリコシル化SGN−33を調製するために、抗体をPN−グリコシダーゼF(New England BioLabs,Ipswich,MA)で処理した。脱グリコシル化はCE−SDSによって確認した。脱グリコシル化SGN−33のCD33への結合は、ELISAによって確認した(データ示さず)。インタクトな抗体とは異なり、脱グリコシル化抗体は、ADCCまたはCDC活性を含むエフェクタ機能を媒介しなかった(データ示さず)。細胞溶解物を調製し、SDS PAGEゲル電気泳動の前に、抗CD33ウサギポリクローナル抗体(Santa Cruz Biotechnology,Santa Cruz,CA)を使用して、CD33を免疫沈降する。これらのサンプルのウェスタンブロット分析は、4G10ホスホチロシン抗体(Upstate Biotechnology,Temucula,CA)、抗CD33抗体(NovoCastra,Norwell,MA)、および抗SHP−1抗体(Calbiochem,San Diego,CA)を使用して実施した。SHP−1の対照溶解物は、B細胞リンパ腫細胞株から調製した。
サイトカインまたはケモカイン産生に対するSGN−33の効果は以下のように評価した:単球またはマクロファージは、TGF−β(PeproTech)、リポポリサッカリド(LPS,Sigma,St.Louis,MO)、またはIFN−γ(PeproTech)を用いる攻撃の前に、10%不活化ヒトAB血清(Gemini Bioproducts,West Sacramento,CA)を含むRPMI培地中で、1〜2時間、SGN−33と共に前処理した。組織培養培地は、ELISAまたはSearchlight(Pierce Endogen,Rockville,IL)によるサイトカイン分析のために18時間後に収集した。
10%ヒト血清または20%馴化腫瘍細胞培地を含むプレーティング培地を用いる攻撃に応答したマクロファージの移動を、CytoSelect Cell Migration Assay(Cell Biolabs,San Diego,CA)を使用して評価した。マクロファージは、1%ヒト血清を含むRPMI培地中でのプレーティングの前に、SGN−33または脱グリコシル化SGN−33で45分間処理した。いくつかの研究において、マクロファージを、SGN−33とのインキュベーションの前に1時間、ノイラミニダーゼ(Sigma)で前処理した。これらの研究を18時間後に停止し、移動を膜からの細胞の解離後に評価し、その後、Cyquant GR色素を用いて検出を行った。
図15を参照すると、AML細胞株(HL−60)および初代ヒト単球またはマクロファージにおけるSGN−33によるCD33のライゲーションは、CD33のリン酸化およびSHP−1ホスファターゼの補充を含む、初期のシグナル伝達事象の同様のカスケードを生じた。本研究において、HL−60 AML細胞および初代ヒト単球またはマクロファージを、可溶性SGN−33と共に、30分間、インキュベートした。CD33を、調製された細胞溶解物から免疫沈降し、ゲル電気泳動に供した。ウェスタンブロットは、pTyr、SHP−I、またはCD33に対する抗体を用いてプローブした。CD33に対するSGN−33の結合は、CD33のリン酸化およびSHP−1の補充を生じた。リン酸化応答の強度は(ウェスタンブロット上のシグナルの強度によって確認)、HL−60または初代マクロファージと比較した場合に、初代単球においてより強いようであったのに対し、SHP−1シグナルについては反対が真実であった。
図16を参照すると、HL−60 AML細胞を、可溶性または脱グリコシル化SGN−33と共に30分間インキュベートした。CD33を、調製した細胞溶解物から免疫沈降し、ゲル電気泳動に供した。ウェスタンブロットは、抗SHP−1抗体または抗CD33抗体を用いてプローブした。HL−60および単球へのSGN−33または脱グリコシル化SGN−33(Fc受容体と相互作用しない)の結合は、CD33複合体へのSHP−1の補充を生じる。脱グリコシル化抗体を用いて観察されるシグナル伝達のパターンは、インタクトな抗体を用いて得られるものと同様であり、このことは、結合およびシグナル伝達が、標的細胞の表面上で発現されたCD33を通して起こるのに対して、Fc受容体結合に対する変化は、これらの反応を変化させなかったらしいことを示す。
図17を参照すると、HL−60 AML細胞を、種々の時間の間、3μg/mlの可溶性SGN−33とともにインキュベートした。CD33を、調製した細胞溶解物から免疫沈降し、そしてゲル電気泳動に供した。ウェスタンブロットは、抗SHP−1抗体または抗CD33抗体を用いてプローブした。CD33のリン酸化およびSHP−1の補充を生じるHL−60へのSGN−33の結合は、5分以内に起こった。このシグナルは60分間安定であり、その後時間と共に減少した。
図18を参照すると、活性化された初代ヒトマクロファージおよび単球によるサイトカインおよびケモカインの産生を減少させることに対するSGN−33の効果も調べた。初代ヒトマクロファージは、IFN−γ、LPS、またはTGF−βの添加の前に1時間、10%ヒト血清を含むRPMI培地中のSGN−33で処理した。培養上清を18時間後に収集し、サイトカインについて分析した。初代ヒトマクロファージが、IFN−γ、TGF−β、またはLPSで攻撃された場合、細胞は、有意なレベルのIL−6、TNF−α、MCP−1、およびRANTESを産生した。SGN−33は、IL−6、TNF−α、MCP−1、およびRANTESのレベルを有意に低下させた(NT=試験していない)。これらの因子の産生は、25〜90%減少した(p<0.05)。
以前の研究において、SGN−33は、IFN−γを用いて活性化されたCD14+初代ヒト単球によって、IL−6、TNF−α、MCP−1、IL−8、およびRANTESのレベルを有意に低下させた(実施例3を参照のこと)。図19を参照すると、同様の条件下で、SGN−33は、IL−1β、IL−10、IL−12、およびMIP−1αを含む他のサイトカインのIFN−γ刺激性産生を有意に低下させた(p<0.001)。本研究のために、初代ヒト単球は、IFN−γの添加前、1時間の間、10%ヒト血清を含むRPMI培地中のSGN−33で処理した。培養上清を18時間後に収集し、サイトカインについて分析した。
サイトカイン産生に対するSGN−33の遮断効果は用量依存性であり、増加濃度の抗体がサイトカイン産生を低減させた。図20を参照すると、初代ヒト単球またはマクロファージは、IFN−γの添加前、1時間の間、10%ヒト血清を含むRPMI培地中の種々の用量のSGN−33で処理した。培養上清を18時間後に収集し、TNF−αについて分析した。SGN−33は、用量依存様式で、TNF−αのレベルを有意に低下させた(p<0.05)。図20は代表的なデータを示す。
SGN−33およびSGN−33のF(ab’)2フラグメントは、ヒト血清などの化学誘引物質に応答して、初代ヒトマクロファージの移動を有意に低下させることもまた示された(実施例5)。本研究において、ヒトマクロファージを、ヒト血清またはRPMI8226多発性骨髄腫細胞からの馴化培地への曝露の前に、SGN−33または脱グリコシル化SGN−33と共にプレインキュベートした。図21は、SGN−33および脱グリコシル化SGN−33の両方が、これらのマクロファージの移動を有意に低下させた(p<0.05)ことを示し、このことは、遮断効果が、CD33への結合を通して媒介されたことを示す。本研究のために、初代ヒトマクロファージを、トランスウェルの設定の前に、1時間の間、1%ヒト血清を含むRPMI培地中で可溶性または脱グリコシル化SGN−33で処理した。次いで、マクロファージを、10%ヒト血清または20%馴化腫瘍細胞培地を含むRPMI培地に曝露した。マクロファージの移動は、Cyquant GR色素を使用して定量した。SGN−33、脱グリコシル化SGN−33、またはノイラミニダーゼ(陽性対照)は、マクロファージの移動を有意に低下させた。
これらの結果は、単球およびマクロファージの機能に影響を与える際のSGN−33の重要性を確認した。LPS、IFN−γ、およびTGF−βによる単球およびマクロファージの活性化は、記載されたシグナル伝達経路を通して媒介される(Maら、2003,Cell Mol.Life Sci.60:2334;Andreakosら、2004,Immunol Rev.202:250)。現在のデータは、SGN−33が、TGF−β(TGF−β受容体/SMAD)、IFN−γ(IFN−γ受容体/JAK/STAT)、およびLPS(Toll様受容体2および4/Myd88/TRAF6)によって調節されるシグナル伝達経路に対する細胞の応答を調節することを示唆する。経路中で考慮すべき量のクロストークが存在しているので(Fiocchi,2001,J.Clin.Invest.108:523.Andreakosら、2004,Immunol.Rev.202:250)、SGN−33のような分子は、複数の因子に対する単球およびマクロファージの応答に影響を与え得ることが意図される。この調節は、受容体のレベルまたは下流のシグナル伝達成分における干渉によって起こり得る。
活性化単球およびマクロファージからのサイトカインおよびケモカインの移動および産生を遮断することによって、SGN−33は、これらの細胞の活性を調節することができ、それゆえに、進行した癌および炎症性疾患において見出されるものなどの免疫機能の関連する変化を大幅に低減する。
(実施例11)
抗CD33抗体および低用量シタラビンを用いる高齢のAML患者の治療
ランダム化、二重盲検、プラセボ制御、並行した群の試験を実施して、AMLを有する高齢の患者における全体の生存を評価する。患者は、骨髄中に少なくとも20%の芽細胞を示す形態学的に確認されたAMLを有し、少なくとも60歳の年齢であり、そして0〜2のECOG性能状態を有する。インフォームドコンセントの後、患者は、強化化学療法を減らした。非血液学的に慢性の悪性疾患(例えば、胸部、前立腺、または結腸の癌)を含む慢性の医学的な併存疾患の存在が一般的には認められている。
患者を、低用量シタラビンおよびSGN−33を用いる組み合わせ治療による生存の利益について評価する。患者を、1:1の比率で、2つの治療群にランダムに分ける。1つの治療群は、SGN−33と組み合わせた低用量シタラビンを受容し、他の治療群は、プラセボと組み合わせた低用量シタラビンを受容する。患者は、4週間毎に10連続日、1日2回のシタラビン20mgを皮下(SC)で受容し、4週間毎に1週間、リンツズマブ(1.5〜8mg/kg/用量)またはプラセボをIVで受容し、次いで、死亡または治療の中断による研究の終了まで、隔週で1回のリンツズマブ1.5〜8mg/kg/用量またはプラセボを受容する。各シタラビン治療サイクルは、4週間間隔で行うように標的化し、サイクルは、抗白血病治療、患者の優先度、許容されない毒性、または任意の原因からの死亡の開始の決定がなされるまで投与される。
このような評価は、全体的な生存、入院、感染、輸血のサポート、QOLの評価、副作用、臨床検査値、バイタルサイン、および身体所見を含む。
(実施例12)
シタラビンと組み合わせた抗CD33抗体はAMLモデルにおける生存を改善する
マウスは、以下のように、AML細胞株、HL−60を移植した:500万個のHL−60細胞を静脈内注射した。マウスを、リンツズマブ(10mg/kg、q4dx4、ip)、シタラビン(1mg/kg、5mg/kgもしくは25mg/kg、qldx10、ip;または50mg/kgもしくは100mg/kg、q2dx5、ip)またはシタラビンおよびリンツズマブ(以前に記載された用量)で処理した。治療は1日目に開始した。図22を参照すると、対照マウスまたはプラセボ(0.9%生理食塩水)で治療したマウスは、腫瘍の進行に起因して、80日目に研究から除外した。低用量シタラビン単独で治療したマウスは、未処理対照と比較して、生存率パーセントが増加した。リンツズマブを治療レジメンに加えると、マウスは、80%生存(1mg/kgシタラビン)またはそれ以上(5mg/kgまたはそれ以上のより高用量のシタラビン)を示した。
(実施例13)
抗CD33媒介ADCCはレナリドマイドによって増強される
SGN−33のADCC活性を、標準的な51Cr放出アッセイを使用して測定した。生存可能なNK細胞を、標的細胞への添加の前に、2〜3時間、レナリドマイドまたはサリドマイドと共に前処理した(図23に示されるように)。図23を参照すると、データは、レナリドマイドまたはサリドマイドがSGN−33媒介ADCCを増強することを示す。
このインビトロ研究のデータを確認するために、マウスに、以下のように、AML細胞株、HL−60を移植した:500万個のHL−60細胞を静脈内注射した。マウスを、SGN−33(3、10、または30mg/kg、q4dx5、ip)、レナリドマイド(25mg/kg、qdx3、ip)、またはSGN−33およびレナリドマイドの組み合わせ(記載されるように)で処理した。治療は1日目に開始した。図24を参照すると、対照マウスは、腫瘍の進行に起因して、約60日目に研究から除外した。レナリドマイドで処理したマウスは、同様の理由のため、約90日目までに研究から除外した。対照的に、SGN−33(3または10mg/kg)で処理したマウスは、約50%の生存率を示したのに対して、30mg/kgは〜85%の生存率を生じた。SGN−33およびレナリドマイドの組み合わせを用いて処理したマウスは、本研究において、ほぼ100%の生存を示すようであった。
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