JP2023100255A - 治療用抗体およびそれらの使用 - Google Patents
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Abstract
【課題】乳がん、卵巣がん、及び他の種類のがんの細胞に特異的に結合することができる分子及び/又は前記分子を含有するがん治療用医薬組成物を提供する。【解決手段】本発明は、B7-H4(遺伝子VTCN1によりコードされるB7 Homology 4)に特異的に結合する抗体ならびにB7-H4およびCD3(分化クラスター3)の両方に特異的に結合する二重特異性抗体、ならびにポリヌクレオチド、医薬組成物ならびにその方法および使用を提供する。【選択図】なし
Description
本発明は、B7-H4(B7 Homology 4)に特異的に結合する抗体、B7-H4抗体を含む組成物ならびにその方法および使用に関する。本発明はまた、B7-H4およびCD3(分化クラスター3)に特異的に結合する二重特異性抗体、二重特異性B7-H4抗体を含む組成物、ならびにB7-H4を発現する細胞と関連する状態(例えば、がんまたは自己免疫疾患)を処置するために二重特異性B7-H4抗体を使用する方法に関する。そのような二重特異性抗体を産生および精製する方法、ならびに診断および治療におけるそれらの使用もまた提供される。
B7-H4(遺伝子VTCN1によりコードされるB7 Homology 4)は、B7x、B7S1またはVTCN1としても公知であり、I型膜貫通タンパク質であり、B7ファミリータンパク質のメンバーである。B7-H4は、15年以上前に最初に同定された(Sica GLら、Immunity. 2003;18:849~861)。それ以来、B7-H4は、乳がんおよび卵巣がん(Salceda Sら、Exp Cell Res. 2005;306:128~141)ならびに多くの他のがん細胞において過剰発現されることが見出されている。腫瘍内のB7-H4タンパク質発現は、より短い平均余命および疾患重症度に関することも見出されている(Podojil,J.R.、Miller,S.D.、Immunological Reviews 2017;276:40~51)。B7-H4はB7ファミリー分子であるが、公知のB7ファミリー受容体、すなわちCTLA-4、ICOS、PD-1またはCD28のいずれにも結合しない。B7-H4特異的な受容体を同定するための努力は、そのような受容体は、活性化されたT細胞上に発現されることを明らかにしており、T細胞上のその推定上の受容体へのB7-H4融合タンパク質の結合は、T細胞増殖ならびにサイトカイン(IL-2、IFN-ガンマ、およびIL17)産生を有意に阻害することが見出された。(Podojil,J.R.、Miller,S.D.、Immunological Reviews 2017;276:40~51)。
乳がん、卵巣がん、および他の種類のがんの細胞を特異的に標的化してそれに特異的に結合することができる分子および/または組成物に対する必要性が依然として存在する。がんを患っていることが疑われる個体を処置する改善された方法に対する必要性が存在する。
B7-H4に特異的に結合する抗体、ならびにB7-H4およびCD3の両方に特異的に結合する二重特異性抗体(以下、「B7-H4xCD3二重特異性抗体」)が提供される。二重特異性抗体を含む、本明細書に開示される抗体の一部は、がんを予防および/または処置するためにin vivoで有効性を有することが実証される。
1つの態様では、本発明は、(a)配列番号23、配列番号155、配列番号156、配列番号157、配列番号159、配列番号161、配列番号163、配列番号165、配列番号169、配列番号171、配列番号172、配列番号173、配列番号174、配列番号175および配列番号176からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域(VH)のVH相補性決定領域(CDR)1(CDR1)、VH CDR2およびVH CDR3;ならびに(B)配列番号27、配列番号139、配列番号141、配列番号167、配列番号168、配列番号169および配列番号170からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域(VL)のVL相補性決定領域1(CDR1)、VL CDR2およびVL CDR3を含む、B7-H4に特異的に結合する単離された抗体を提供する。
一部の実施形態では、抗体は、(a)VHが配列番号161のアミノ酸配列を有し、VLが配列番号167のアミノ酸配列を有するか;(b)VHが配列番号172のアミノ酸配列を有し、VLが配列番号139のアミノ酸配列を有するか;(c)VHが配列番号155のアミノ酸配列を有し、VLが配列番号139のアミノ酸配列を有するか;(d)VHが配列番号156のアミノ酸配列を有し、VLが配列番号139のアミノ酸配列を有するか;(e)VHが配列番号157のアミノ酸配列を有し、VLが配列番号141のアミノ酸配列を有するか;(f)VHが配列番号155のアミノ酸配列を有し、VLが配列番号141のアミノ酸配列を有するか;(g)VHが配列番号156のアミノ酸配列を有し、VLが配列番号141のアミノ酸配列を有するか;(h)VHが配列番号159のアミノ酸配列を有し、VLが配列番号27のアミノ酸配列を有するか;(i)VHが配列番号161のアミノ酸配列を有し、VLが配列番号27のアミノ酸配列を有するか;(j)VHが配列番号163のアミノ酸配列を有し、VLが配列番号27のアミノ酸配列を有するか;(k)VHが配列番号165のアミノ酸配列を有し、VLが配列番号27のアミノ酸配列を有するか;(l)VHが配列番号23のアミノ酸配列を有し、VLが配列番号167のアミノ酸配列を有するか;(m)VHが配列番号171のアミノ酸配列を有し、VLが配列番号141のアミノ酸配列を有するか;(n)VHが配列番号172のアミノ酸配列を有し、VLが配列番号141のアミノ酸配列を有するか;(o)VHが配列番号171のアミノ酸配列を有し、VLが配列番号139のアミノ酸配列を有するか;(p)VHが配列番号173のアミノ酸配列を有し、VLが配列番号139のアミノ酸配列を有するか;(q)VHが配列番号174のアミノ酸配列を有し、VLが配列番号139のアミノ酸配列を有するか;(r)VHが配列番号175のアミノ酸配列を有し、VLが配列番号139のアミノ酸配列を有するか;(s)VHが配列番号161のアミノ酸配列を有し、VLが配列番号168のアミノ酸配列を有するか;(t)VHが配列番号161のアミノ酸配列を有し、VLが配列番号169のアミノ酸配列を有するか;(u)VHが配列番号161のアミノ酸配列を有し、VLが配列番号170のアミノ酸配列を有するか;または(v)VHが配列番号172のアミノ酸配列を有し、VLが配列番号139のアミノ酸配列を有するようなものである。
一部の実施形態では、抗体は、(a)配列番号20のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号21のアミノ酸配列を有するVH CDR2、配列番号160のアミノ酸配列を有するVH CDR3、配列番号166のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号25のアミノ酸配列を有するVL CDR2および配列番号153のアミノ酸配列を有するVL CDR3;(b)配列番号205のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号21のアミノ酸配列を有するVH CDR2、配列番号160のアミノ酸配列を有するVH CDR3、配列番号166のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号25のアミノ酸配列を有するVL CDR2および配列番号153のアミノ酸配列を有するVL CDR3;(c)配列番号206のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号207のアミノ酸配列を有するVH CDR2、配列番号160のアミノ酸配列を有するVH CDR3、配列番号166のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号25のアミノ酸配列を有するVL CDR2および配列番号153のアミノ酸配列を有するVL CDR3;(d)配列番号5のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号6のアミノ酸配列を有するVH CDR2、配列番号7のアミノ酸配列を有するVH CDR3、配列番号9のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号10のアミノ酸配列を有するVL CDR2および配列番号138のアミノ酸配列を有するVL CDR3;(e)配列番号199のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号6のアミノ酸配列を有するVH CDR2、配列番号7のアミノ酸配列を有するVH CDR3、配列番号9のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号10のアミノ酸配列を有するVL CDR2および配列番号138のアミノ酸配列を有するVL CDR3;(f)配列番号200のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号201のアミノ酸配列を有するVH CDR2、配列番号7のアミノ酸配列を有するVH CDR3、配列番号9のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号10のアミノ酸配列を有するVL CDR2および配列番号138のアミノ酸配列を有するVL CDR3;(g)配列番号20のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号21のアミノ酸配列を有するVH CDR2、配列番号160のアミノ酸配列を有するVH CDR3、配列番号152のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号41のアミノ酸配列を有するVL CDR2および配列番号153のアミノ酸配列を有するVL CDR3;(h)配列番号5のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号6のアミノ酸配列を有するVH CDR2、配列番号7のアミノ酸配列を有するVH CDR3、配列番号9のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号10のアミノ酸配列を有するVL CDR2および配列番号138のアミノ酸配列を有するVL CDR3;または(i)配列番号5のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号130のアミノ酸配列を有するVH CDR2、配列番号7のアミノ酸配列を有するVH CDR3、配列番号9のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号10のアミノ酸配列を有するVL CDR2および配列番号138のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む。
1つの態様では、本発明は、配列番号20のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号21のアミノ酸配列を有するVH CDR2、配列番号160のアミノ酸配列を有するVH CDR3、配列番号166のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号25のアミノ酸配列を有するVL CDR2および配列番号153のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む、B7-H4に特異的に結合する単離された抗体を提供する。
一部の実施形態では、抗体は、(a)配列番号161のアミノ酸配列を有するVH;および配列番号167のアミノ酸配列を有するVL;(b)配列番号172のアミノ酸配列を有するVH;および配列番号139のアミノ酸配列を有するVL;(c)配列番号155のアミノ酸配列を有するVH;および配列番号139のアミノ酸配列を有するVL;(d)配列番号156のアミノ酸配列を有するVH;および配列番号139のアミノ酸配列を有するVL;(e)配列番号157のアミノ酸配列を有するVH;および配列番号141のアミノ酸配列を有するVL;(f)配列番号155のアミノ酸配列を有するVH;配列番号141のアミノ酸配列を有するVL;(g)配列番号156のアミノ酸配列を有するVH;および配列番号141のアミノ酸配列を有するVL;(h)配列番号159のアミノ酸配列を有するVH;および配列番号27のアミノ酸配列を有するVL;(i)配列番号161のアミノ酸配列を有するVH;および配列番号27のアミノ酸配列を有するVL;(j)配列番号163のアミノ酸配列を有するVH;および配列番号27のアミノ酸配列を有するVL;(k)配列番号165のアミノ酸配列を有するVH;および配列番号27のアミノ酸配列を有するVL;(l)配列番号23のアミノ酸配列を有するVH;および配列番号167のアミノ酸配列を有するVL;(m)配列番号171のアミノ酸配列を有するVH;および配列番号141のアミノ酸配列を有するVL;(n)配列番号172のアミノ酸配列を有するVH;および配列番号141のアミノ酸配列を有するVL;(o)配列番号171のアミノ酸配列を有するVH;および配列番号139のアミノ酸配列を有するVL;(p)配列番号173のアミノ酸配列を有するVH;および配列番号139のアミノ酸配列を有するVL;(q)配列番号174のアミノ酸配列を有するVH;および配列番号139のアミノ酸配列を有するVL;(r)配列番号175のアミノ酸配列を有するVH;および配列番号139のアミノ酸配列を有するVL;(s)配列番号161のアミノ酸配列を有するVH;および配列番号168のアミノ酸配列を有するVL;(t)配列番号161のアミノ酸配列を有するVH;および配列番号169のアミノ酸配列を有するVL;(u)配列番号161のアミノ酸配列を有するVH;および配列番号170のアミノ酸配列を有するVL;または(v)配列番号172のアミノ酸配列を有するVH;および配列番号139のアミノ酸配列を有するVLを含む。
1つの態様では、本発明は、配列番号161のアミノ酸配列を有するVH;および配列番号167のアミノ酸配列を有するVLを含む、B7-H4に特異的に結合する単離された抗体を提供する。
1つの態様では、本発明は、配列番号172のアミノ酸配列を有するVH;および配列番号139のアミノ酸配列を有するVLを含む、B7-H4に特異的に結合する単離された抗体を提供する。
一部の実施形態では、抗体は定常領域をさらに含む。一部の実施形態では、定常領域はIgG1またはIgG2のアイソタイプである。一部の実施形態では、抗体は、A330S、P331S、D265A、C223E、P228E、L368E、C223R、E225R、P228R、およびK409Rからなる群から選択される1つまたは複数の置換を含むヒトIgG2であり、番号付けは、ヒトIgG2野生型およびEU番号付けスキームに従い、図1に示される通りである。一部の実施形態では、抗体は、置換C223E、P228EおよびL368Eを含む。
1つの態様では、本発明は、配列番号190のアミノ酸配列を有する重鎖、および配列番号191のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む、B7-H4に特異的に結合する単離された抗体を提供する。
1つの態様では、本発明は、配列番号186のアミノ酸配列を有する重鎖、および配列番号187のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む、B7-H4に特異的に結合する単離された抗体を提供する。
一部の実施形態では、本発明は、ATCC受入番号PTA-126779の下で寄託されたポリヌクレオチドのオープンリーディングフレーム(ORF)によりコードされる全長ポリペプチドのアミノ酸配列を含む重鎖、およびATCC受入番号PTA-126781と共に寄託されたポリヌクレオチドのオープンリーディングフレーム(ORF)によりコードされる全長ポリペプチドのアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、B7-H4に特異的に結合する単離された抗体を提供する。
一部の実施形態では、VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3の各々は、CDRのKabat定義、Chothia定義、AbM定義、または接触定義(contact definition)に従って定義される。
1つの態様では、本発明は、(a)配列番号8のアミノ酸配列を有するVH、および配列番号13のアミノ酸配列を有するVL;(b)配列番号8のアミノ酸配列を有するVH、および配列番号13のアミノ酸配列を有するVL;(c)配列番号39のアミノ酸配列を有するVH、および配列番号43のアミノ酸配列を有するVL;(d)配列番号46のアミノ酸配列を有するVH、および配列番号49のアミノ酸配列を有するVL;(e)配列番号52のアミノ酸配列を有するVH、および配列番号54のアミノ酸配列を有するVL;(f)配列番号57のアミノ酸配列を有するVH、および配列番号60のアミノ酸配列を有するVL;(g)配列番号16のアミノ酸配列を有するVH、および配列番号19のアミノ酸配列を有するVL;(h)配列番号64のアミノ酸配列を有するVH、および配列番号67のアミノ酸配列を有するVL;(i)配列番号69のアミノ酸配列を有するVH、および配列番号70のアミノ酸配列を有するVL;(j)配列番号74のアミノ酸配列を有するVH、および配列番号77のアミノ酸配列を有するVL;(k)配列番号80のアミノ酸配列を有するVH、および配列番号84のアミノ酸配列を有するVL;(l)配列番号87のアミノ酸配列を有するVH、および配列番号90のアミノ酸配列を有するVL;(m)配列番号23のアミノ酸配列を有するVH、および配列番号27のアミノ酸配列を有するVL;(n)配列番号94のアミノ酸配列を有するVH、および配列番号96のアミノ酸配列を有するVL;(o)配列番号100のアミノ酸配列を有するVH、および配列番号77のアミノ酸配列を有するVL;または(p)配列番号104のアミノ酸配列を有するVH、および配列番号67のアミノ酸配列を有するVLを含む第2の抗体とB7-H4との結合について競合する、B7-H4に特異的に結合する単離された第1の抗体であって、約1マイクロモル濃度~0.1ナノモル濃度のヒトB7-H4に対するKDを有する、第1の抗体を提供する。一部の実施形態では、第1の抗体および第2の抗体の各々は全長IgG1定常領域を含む。一部の実施形態では、第1の抗体および第2の抗体の両方はF(ab’)2断片抗体である。
別の態様では、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列を有するB7-H4細胞外ドメインのL44、K45、E46、G47、V48、L49、G50、L51、E64、D66、M68、T99およびK101からなる群から選択される少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個または少なくとも12個のアミノ酸残基を含むヒトB7-H4上のエピトープに結合する、B7-H4に特異的に結合する単離された抗体を提供する。一部の実施形態では、エピトープは、L44、K45、E46、G47、V48、L49、G50およびL51からなる群から選択される少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個または少なくとも7個のアミノ酸残基、ならびにE64、D66、M68、T99およびK101からなる群から選択される少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個または少なくとも4個のアミノ酸残基を含む。一部の実施形態では、エピトープは、L44、K45、E46、G47、V48、L49、G50、L51、E64、D66、M68、T99およびK101のアミノ酸残基を含むかまたはからなる。
別の態様では、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列を有するB7-H4細胞外ドメインのV129、Y131、N132、S134、S135、E136、L138、V189、I191、V212、E214、S215、E216およびI217からなる群から選択される少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、または少なくとも13個のアミノ酸残基を含むヒトB7-H4上のエピトープに結合する、B7-H4に特異的に結合する単離された抗体を提供する。一部の実施形態では、エピトープは、V129、Y131、N132、S134、S135、E136およびL138からなる群から選択される少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個または少なくとも6個のアミノ酸残基、ならびにV189、I191、V212、E214、S215、E216およびI217からなる群からの少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個または少なくとも7個のアミノ酸残基を含む。一部の実施形態では、エピトープは、アミノ酸残基V129、Y131、N132、S134、S135、E136、L138、V189、I191、V212、E214、S215、E216およびI217を含むかまたはからなる。
別の態様では、本発明は、治療有効量の本発明のB7-H4抗体またはその抗原結合断片および薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物を提供する。
別の態様では、本発明は、本発明のB7-H4抗体をコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。
別の態様では、本発明は、(i)本発明のB7-H4抗体の重鎖可変領域または(ii)本発明のB7-H4抗体のいずれかの軽鎖可変領域をコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。
別の態様では、本発明は、(i)本発明のB7-H4抗体の重鎖または(ii)本発明のB7-H4抗体のいずれかの軽鎖をコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。
別の態様では、本発明は、本発明のポリヌクレオチドのいずれかを含むベクターを提供する。
別の態様では、本発明は、本発明の抗体を組換えにより産生する単離された宿主細胞を提供する。
別の態様では、本発明は、本発明のB7-H4抗体を産生する方法であって、本発明の宿主細胞を、抗体の産生を結果としてもたらす条件下で培養すること、および宿主細胞または培養物から抗体を単離することを含む、方法を提供する。
別の態様では、本発明は、対象においてB7-H4を発現する細胞と関連する状態を処置する方法であって、それを必要とする対象に有効量の本発明の医薬組成物を投与することを含む、方法を提供する。一部の実施形態では、状態はがんである。一部の実施形態では、がんは、乳がん、卵巣がん、膀胱がん、子宮がんまたは胆管がんである。
別の態様では、本発明は、B7-H4を発現する悪性細胞を有する対象において腫瘍成長または進行を阻害する方法であって、それを必要とする対象に有効量の本発明の医薬組成物を投与することを含む、方法を提供する。
別の態様では、本発明は、対象においてB7-H4を発現する悪性細胞の転移を阻害する方法であって、それを必要とする対象に有効量の本発明の医薬組成物を投与することを含む、方法を提供する。
別の態様では、本発明は、B7-H4を発現する悪性細胞を有する対象において腫瘍退縮を誘導する方法であって、それを必要とする対象に有効量の本発明の医薬組成物を投与することを含む、方法を提供する。
別の態様では、本発明は、B7-H4およびCD3の両方に特異的に結合する二重特異性抗体であって、第1の重鎖および第1の軽鎖、ならびに第2の重鎖および第2の軽鎖を含み、第1の重鎖および第1の軽鎖が、B7-H4に結合する第1の抗原結合ドメインを含む第1のアームを形成し、第2の重鎖および第2の軽鎖が、CD3に結合する第2の抗原結合ドメインを含む第2のアームを形成し、(a)第1の重鎖が、配列番号20のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号21のアミノ酸配列を有するVH CDR2、配列番号160のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含み、第1の軽鎖が、配列番号166のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号25のアミノ酸配列を有するVL CDR2および配列番号153のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含むか;(b)第1の重鎖が、配列番号205のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号21のアミノ酸配列を有するVH CDR2、配列番号160のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含み、第1の軽鎖が、配列番号166のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号25のアミノ酸配列を有するVL CDR2および配列番号153のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含むか;(c)第1の重鎖が、配列番号206のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号207のアミノ酸配列を有するVH CDR2、配列番号160のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含み、第1の軽鎖が、配列番号166のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号25のアミノ酸配列を有するVL CDR2および配列番号153のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含むか;(d)第1の重鎖が、配列番号5のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号6のアミノ酸配列を有するVH CDR2、配列番号7のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含み、第1の軽鎖が、配列番号9のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号10のアミノ酸配列を有するVL CDR2および配列番号138のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含むか;(e)第1の重鎖が、配列番号200のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号201のアミノ酸配列を有するVH CDR2、配列番号7のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含み、第1の軽鎖が、配列番号9のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号10のアミノ酸配列を有するVL CDR2および配列番号138のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含むか;(f)第1の重鎖が、配列番号199のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号6のアミノ酸配列を有するVH CDR2、配列番号7のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含み、第1の軽鎖が、配列番号9のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号10のアミノ酸配列を有するVL CDR2および配列番号138のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含むか;(g)第1の重鎖が、配列番号20のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号21のアミノ酸配列を有するVH CDR2、配列番号160のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含み、第1の軽鎖が、配列番号152のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号41のアミノ酸配列を有するVL CDR2および配列番号153のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含むか;(h)第1の重鎖が、配列番号5のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号6のアミノ酸配列を有するVH CDR2、配列番号7のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含み、第1の軽鎖が、配列番号9のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号10のアミノ酸配列を有するVL CDR2および配列番号138のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含むか;または(i)第1の重鎖が、配列番号5のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号130のアミノ酸配列を有するVH CDR2、配列番号7のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含み、第1の軽鎖が、配列番号9のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号10のアミノ酸配列を有するVL CDR2および配列番号138のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む、二重特異性抗体を提供する。
二重特異性抗体の一部の実施形態では、(a)第1の重鎖は、配列番号161のアミノ酸配列を有するVHを含み、第1の軽鎖は、配列番号167のアミノ酸配列を有するVLを含むか;(b)第1の重鎖は、配列番号172のアミノ酸配列を有するVHを含み、第1の軽鎖は、配列番号139のアミノ酸配列を有するVLを含むか;(c)第1の重鎖は、配列番号155のアミノ酸配列を有するVHを含み、第1の軽鎖は、配列番号139のアミノ酸配列を有するVLを含むか;(d)第1の重鎖は、配列番号156のアミノ酸配列を有するVHを含み、第1の軽鎖は、配列番号139のアミノ酸配列を有するVLを含むか;(e)第1の重鎖は、配列番号157のアミノ酸配列を有するVHを含み、第1の軽鎖は、配列番号141のアミノ酸配列を有するVLを含むか;(f)第1の重鎖は、配列番号155のアミノ酸配列を有するVHを含み、第1の軽鎖は、配列番号141のアミノ酸配列を有するVLを含むか;(g)第1の重鎖は、配列番号156のアミノ酸配列を有するVHを含み、第1の軽鎖は、配列番号141のアミノ酸配列を有するVLを含むか;(h)第1の重鎖は、配列番号159のアミノ酸配列を有するVHを含み、第1の軽鎖は、配列番号27のアミノ酸配列を有するVLを含むか;(i)第1の重鎖は、配列番号161のアミノ酸配列を有するVHを含み、第1の軽鎖は、配列番号27のアミノ酸配列を有するVLを含むか;(j)第1の重鎖は、配列番号163のアミノ酸配列を有するVHを含み、第1の軽鎖は、配列番号27のアミノ酸配列を有するVLを含むか;(k)第1の重鎖は、配列番号165のアミノ酸配列を有するVHを含み、第1の軽鎖は、配列番号27のアミノ酸配列を有するVLを含むか;(l)第1の重鎖は、配列番号23のアミノ酸配列を有するVHを含み、第1の軽鎖は、配列番号167のアミノ酸配列を有するVLを含むか;(m)第1の重鎖は、配列番号171のアミノ酸配列を有するVHを含み、第1の軽鎖は、配列番号141のアミノ酸配列を有するVLを含むか;(n)第1の重鎖は、配列番号172のアミノ酸配列を有するVHを含み、第1の軽鎖は、配列番号141のアミノ酸配列を有するVLを含むか;(o)第1の重鎖は、配列番号171のアミノ酸配列を有するVHを含み、第1の軽鎖は、配列番号139のアミノ酸配列を有するVLを含むか;(p)第1の重鎖は、配列番号173のアミノ酸配列を有するVHを含み、第1の軽鎖は、配列番号139のアミノ酸配列を有するVLを含むか;(q)第1の重鎖は、配列番号174のアミノ酸配列を有するVHを含み、第1の軽鎖は、配列番号139のアミノ酸配列を有するVLを含むか;(r)第1の重鎖は、配列番号175のアミノ酸配列を有するVHを含み、第1の軽鎖は、配列番号139のアミノ酸配列を有するVLを含むか;(s)第1の重鎖は、配列番号161のアミノ酸配列を有するVHを含み、第1の軽鎖は、配列番号168のアミノ酸配列を有するVLを含むか;(t)第1の重鎖は、配列番号161のアミノ酸配列を有するVHを含み、第1の軽鎖は、配列番号169のアミノ酸配列を有するVLを含むか;(u)第1の重鎖は、配列番号161のアミノ酸配列を有するVHを含み、第1の軽鎖は、配列番号170のアミノ酸配列を有するVLを含むか;または(v)第1の重鎖は、配列番号172のアミノ酸配列を有するVHを含み、第1の軽鎖は、配列番号139のアミノ酸配列を有するVLを含む。
二重特異性抗体の一部の実施形態では、(a)第2の重鎖は、配列番号28のアミノ酸配列を有するVH CDR1、配列番号105のアミノ酸配列を有するVH CDR2、配列番号30のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含み、第2の軽鎖は、配列番号107のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号33のアミノ酸配列を有するVL CDR2および配列番号34のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含むか;(b)第2の重鎖は、配列番号202のアミノ酸配列を有するVH CDR1、配列番号105のアミノ酸配列を有するVH CDR2、配列番号30のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含み、第2の軽鎖は、配列番号107のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号33のアミノ酸配列を有するVL CDR2および配列番号34のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含むか;(c)第2の重鎖は、配列番号203のアミノ酸配列を有するVH CDR1、配列番号204のアミノ酸配列を有するVH CDR2、配列番号30のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含み、第2の軽鎖は、配列番号107のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号33のアミノ酸配列を有するVL CDR2および配列番号34のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含むか;(d)第2の重鎖は、配列番号28のアミノ酸配列を有するVH CDR1、配列番号105のアミノ酸配列を有するVH CDR2、配列番号30のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含み、第2の軽鎖は、配列番号107のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号33のアミノ酸配列を有するVL CDR2および配列番号116のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含むか;(e)第2の重鎖は、配列番号28のアミノ酸配列を有するVH CDR1、配列番号109のアミノ酸配列を有するVH CDR2、配列番号30のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含み、第2の軽鎖は、配列番号111のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号112のアミノ酸配列を有するVL CDR2および配列番号34のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含むか;または(f)第2の重鎖は、配列番号28のアミノ酸配列を有するVH CDR1、配列番号29のアミノ酸配列を有するVH CDR2、配列番号30のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含み、第2の軽鎖は、配列番号32のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号33のアミノ酸配列を有するVL CDR2および配列番号34のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む。
二重特異性抗体の一部の実施形態では、(a)第2の重鎖は、配列番号106のアミノ酸配列を有するVHを含み、第2の軽鎖は、配列番号108のアミノ酸配列を有するVLを含むか;(b)第2の重鎖は、配列番号115のアミノ酸配列を有するVHを含み、第2の軽鎖は、配列番号117のアミノ酸配列を有するVLを含むか;(c)第2の重鎖は、配列番号110のアミノ酸配列を有するVHを含み、第2の軽鎖は、配列番号113のアミノ酸配列を有するVLを含むか;または(d)第2の重鎖は、配列番号31のアミノ酸配列を有するVHを含み、第2の軽鎖は、配列番号35のアミノ酸配列を有するVLを含む。
二重特異性抗体の一部の実施形態では、(a)第1の重鎖は、配列番号20のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号21のアミノ酸配列を有するVH CDR2、配列番号160のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含み、第1の軽鎖は、配列番号166のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号25のアミノ酸配列を有するVL CDR2および配列番号153のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含み;(b)第2の重鎖は、配列番号28のアミノ酸配列を有するVH CDR1、配列番号105のアミノ酸配列を有するVH CDR2、配列番号30のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含み、第2の軽鎖は、配列番号107のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号33のアミノ酸配列を有するVL CDR2および配列番号34のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む。
二重特異性抗体の一部の実施形態では、(a)第1の重鎖は、配列番号5のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号6のアミノ酸配列を有するVH CDR2、配列番号7のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含み、第1の軽鎖は、配列番号9のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号10のアミノ酸配列を有するVL CDR2および配列番号138のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含み;(b)第2の重鎖は、配列番号28のアミノ酸配列を有するVH CDR1、配列番号105のアミノ酸配列を有するVH CDR2、配列番号30のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含み、第2の軽鎖は、配列番号107のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号33のアミノ酸配列を有するVL CDR2および配列番号34のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む。
二重特異性抗体の一部の実施形態では、(a)第1の重鎖は、配列番号161のアミノ酸配列を有するVHを含み、第1の軽鎖は、配列番号167のアミノ酸配列を有するVLを含み;(b)第2の重鎖は、配列番号106のアミノ酸配列を有するVHを含み、第2の軽鎖は、配列番号108のアミノ酸配列を有するVLを含む。
二重特異性抗体の一部の実施形態では、(a)第1の重鎖は、配列番号172のアミノ酸配列を有するVHを含み、第1の軽鎖は、配列番号139のアミノ酸配列を有するVLを含み;(b)第2の重鎖は、配列番号106のアミノ酸配列を有するVHを含み、第2の軽鎖は、配列番号108のアミノ酸配列を有するVLを含む。
一部の実施形態では、二重特異性抗体は定常領域をさらに含む。一部の実施形態では、定常領域はIgG1である。一部の実施形態では、定常領域は、A330S、P331S、D265A、C223E、P228E、L368E、C223R、E225R、P228R、およびK409Rからなる群から選択される1つまたは複数の置換を含むヒトIgG2であり、番号付けは、ヒトIgG2野生型およびEU番号付けスキームに従い、図1に示される通りである。
二重特異性抗体の一部の実施形態では、第1のアームは、置換D265A、C223E、P228E、およびL368Eを有するhIgG2ΔA定常領域をさらに含み、第2のアームは、置換D265A、C223R、E225R、P228R、およびK409Rを有するヒトIgG2ΔA定常領域をさらに含み、番号付けは、ヒト野生型IgG2およびEU番号付けスキームに従い、図1に示される通りである。
1つの態様では、本発明は、B7-H4およびCD3の両方に特異的に結合する二重特異性抗体であって、第1の重鎖および第1の軽鎖、ならびに第2の重鎖および第2の軽鎖を含み、第1の重鎖および第1の軽鎖が、B7-H4に結合する第1の抗原結合ドメインを含む第1の抗体アームを形成し、第2の重鎖および第2の軽鎖が、CD3に結合する第2の抗原結合ドメインを形成し、(a)第1の重鎖が配列番号190のアミノ酸配列を有し、第1の軽鎖が配列番号191のアミノ酸配列を有し;(b)第2の重鎖が配列番号188のアミノ酸配列を有し、第2の軽鎖が配列番号189のアミノ酸配列を有する、二重特異性抗体を提供する。
別の態様では、本発明は、B7-H4およびCD3の両方に特異的に結合する二重特異性抗体であって、第1の重鎖および第1の軽鎖、ならびに第2の重鎖および第2の軽鎖を含み、第1の重鎖および第1の軽鎖が、B7-H4に結合する第1の抗原結合ドメインを含む第1の抗体アームを形成し、第2の重鎖および第2の軽鎖が、CD3に結合する第2の抗原結合ドメインを形成し、(a)第1の重鎖が配列番号186のアミノ酸配列を有し、第1の軽鎖が配列番号187のアミノ酸配列を有し;(b)第2の重鎖が配列番号188のアミノ酸配列を有し、第2の軽鎖が配列番号189のアミノ酸配列を有する、二重特異性抗体を提供する。
別の態様では、本発明は、B7-H4およびCD3に特異的に結合する二重特異性抗体であって、第1の重鎖および第1の軽鎖、ならびに第2の重鎖および第2の軽鎖を含み、第1の重鎖および第1の軽鎖が、B7-H4に結合する第1の抗原結合ドメインを含む第1の抗体アームを形成し、第2の重鎖および第2の軽鎖が、CD3に結合する第2の抗原結合ドメインを形成し、(a)第1の重鎖が、ATCC受入番号PTA-126779の下で寄託されたオープンリーディングフレーム(ORF)によりコードされる全長ポリペプチドのアミノ酸配列を含み、第1の軽鎖が、ATCC受入番号PTA-126781の下で寄託されたオープンリーディングフレーム(ORF)によりコードされる全長ポリペプチドのアミノ酸配列を含み;(b)第2の重鎖が、ATCC受入番号PTA-126780の下で寄託されたオープンリーディングフレーム(ORF)によりコードされる全長ポリペプチドのアミノ酸配列を含み、第2の軽鎖が、ATCC受入番号PTA-126782の下で寄託されたオープンリーディングフレーム(ORF)によりコードされる全長ポリペプチドのアミノ酸配列を含む、二重特異性抗体を提供する。
別の態様では、本発明は、配列番号1のB7-H4アミノ酸配列のL44、K45、E46、G47、V48、L49、G50、L51、S63、E64、D66、M68、T99およびK101からなる群からの少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、または少なくとも13個のアミノ酸残基を含むヒトB7-H4上のエピトープに結合する、B7-H4およびCD3の両方に特異的に結合する二重特異性抗体を提供する。一部の実施形態では、エピトープは、L44、K45、E46、G47、V48、L49、G50およびL51からなる群からの少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個または少なくとも7個のアミノ酸残基、ならびにS63、E64、D66、M68、T99およびK101からなる群からの少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個または少なくとも5個のアミノ酸残基を含む。一部の実施形態では、エピトープは、L44、K45、E46、G47、V48、L49、G50、L51、S63、E64、D66、M68、T99およびK101のアミノ酸残基を含むかまたはからなる。
別の態様では、本発明は、配列番号1のB7-H4アミノ酸配列のV129、Y131、N132、S134、S135、E136、L138、V189、I191、V212、E214、S215、E216およびI217からなる群からの少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、または少なくとも13個のアミノ酸残基を含むヒトB7-H4上のエピトープに結合する、B7-H4およびCD3の両方に特異的に結合する二重特異性抗体を提供する。一部の実施形態では、エピトープは、V129、Y131、N132、S134、S135、E136およびL138からなる群からの少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、または少なくとも6個のアミノ酸残基、ならびにV189、I191、V212、E214、S215、E216およびI217からなる群からの少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個または少なくとも6個のアミノ酸残基を含む。一部の実施形態では、エピトープは、V129、Y131、N132、S134、S135、E136、L138、V189、I191、V212、E214、S215、E216およびI217のアミノ酸残基を含むかまたはからなる。
別の態様では、本発明は、本発明の二重特異性抗体をコードするポリヌクレオチドを提供する。
別の態様では、本発明は、(i)本発明の二重特異性抗体の重鎖または(ii)本発明の二重特異性抗体の軽鎖をコードするポリヌクレオチドを提供する。
別の態様では、本発明は、本発明のポリヌクレオチドを含むベクターを提供する。
別の態様では、本発明は、本明細書に開示されるポリヌクレオチドまたは本明細書に開示されるベクターを含む宿主細胞を提供する。
別の態様では、本発明は、医薬としての使用のための本明細書に開示される二重特異性抗体を提供する。一部の実施形態では、医薬は、がんの処置のためのものであり得る。
別の態様では、本発明は、必要とする対象においてがんを処置する方法であって、対象に本明細書に開示される二重特異性抗体を投与することを含む、方法を提供する。
別の態様では、本発明は、本明細書に開示される二重特異性抗体を含む医薬組成物を提供する。
別の態様では、本発明は、対象においてB7-H4を発現する悪性細胞と関連する状態を処置する方法であって、それを必要とする対象に治療有効量の本明細書に開示される医薬組成物を投与することを含む、方法を提供する。
別の態様では、本発明は、医薬としての使用のための、本明細書に開示されているB7-H4抗体、二重特異性抗体、医薬組成物、ポリヌクレオチド、ベクター、または宿主細胞を提供する。
別の態様では、本発明は、医薬の製造における、本明細書に開示されているB7-H4抗体、二重特異性抗体、医薬組成物、ポリヌクレオチド、ベクター、または宿主細胞の使用を提供する。
一部の実施形態では、状態はがんである。一部の実施形態では、がんは、乳がん、卵巣がん、子宮がん、膀胱がんまたは胆管がんである。一部の実施形態では、方法または使用は、有効量の第2の治療剤を投与することをさらに含むことができる。一部の実施形態では、第2の治療剤は、抗PD-1もしくは抗PD-L1抗体、またはパルボシクリブである。一部の実施形態では、抗PD-1抗体はRN888である。
別の態様では、本発明は、B7-H4を発現する悪性細胞を有する対象において腫瘍成長または進行を阻害する方法であって、それを必要とする対象に治療有効量の本明細書に開示される医薬組成物を投与することを含む、方法を提供する。
別の態様では、本発明は、B7-H4を発現する悪性細胞を有する対象における腫瘍成長または進行の阻害における使用のための、本明細書に開示されているB7-H4抗体、二重特異性抗体、医薬組成物、ポリヌクレオチド、ベクター、または宿主細胞を提供する。
別の態様では、本発明は、B7-H4を発現する悪性細胞を有する対象において腫瘍成長または進行を阻害するための医薬の製造における、本明細書に開示されているB7-H4抗体、二重特異性抗体、医薬組成物、ポリヌクレオチド、ベクター、または宿主細胞の使用を提供する。
一部の実施形態では、方法または使用は、有効量の第2の治療剤を投与することをさらに含むことができる。一部の実施形態では、第2の治療剤は、抗PD-1もしくは抗PD-L1抗体、またはパルボシクリブである。一部の実施形態では、抗PD-1抗体はRN888である。
別の態様では、本発明は、B7-H4を発現する悪性細胞を有する対象において腫瘍退縮を誘導する方法であって、それを必要とする対象に有効量の本明細書に開示される医薬組成物を投与することを含む、方法を提供する。
別の態様では、本発明は、B7-H4を発現する悪性細胞を有する対象における腫瘍退縮の誘導における使用のための、本明細書に開示されているB7-H4抗体、二重特異性抗体、医薬組成物、ポリヌクレオチド、ベクター、または宿主細胞を提供する。
別の態様では、本発明は、B7-H4を発現する悪性細胞を有する対象において腫瘍退縮を誘導するための医薬の製造における、本明細書に開示されているB7-H4抗体、医薬組成物、ポリヌクレオチド、ベクター、または宿主細胞の使用を提供する。
一部の実施形態では、方法または使用は、有効量の第2の治療剤を投与することをさらに含むことができる。一部の実施形態では、第2の治療剤は、抗PD-1もしくは抗PD-L1抗体、またはパルボシクリブである。一部の実施形態では、抗PD-1抗体はRN888である。
一部の実施形態では、本発明の抗体または二重特異性抗体は、増加したB7-H4受容体密度レベルの存在下でのより低いEC50値を実証する。好ましくは、EC50値は、0.0001nM~100nM、0.0001nM~10nM、0.0001nM~1nm、0.0001nM~0.1nm、0.0001nM~0.0010nM、0.001nM~100nM、0.01nM~100nM、0.1nM~100nM、0.001nM~10nM、0.001nM~1nM、0.01nM~1nM、または0.001nM~0.1nMである。好ましくは、EC50値は、10nM未満、1nM未満、0.5nM未満、0.1nM未満、0.01nM未満または0.001nm未満である。
一部の実施形態では、本発明の抗体または二重特異性抗体は、細胞溶解性T細胞応答を活性化させる能力を有する。
本明細書に開示されるのは、B7-H4およびCD3に特異的に結合する二重特異性抗体(「B7-H4xCD3二重特異性抗体」)を含む、B7-H4に特異的に結合する抗体、そのような抗体を作製する方法、ならびに腫瘍進行を阻害するためならびにがんを処置および/または予防するためを含む、そのような抗体を使用する方法である。
一般技術
本発明の実施は、他に指し示されなければ、当技術分野の技術的範囲内である、分子生物学(組換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学および免疫学の従来技術を用いる。そのような技術は、文献、例えばMolecular Cloning:A Laboratory Manual,second edition(Sambrookら、1989) Cold Spring Harbor Press;Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait編、1984);Methods in Molecular Biology、Humana Press;Cell Biology:A Laboratory Notebook(J.E.Cellis編、1998) Academic Press;Animal Cell Culture(R.I.Freshney編、1987);Introduction to Cell and Tissue Culture(J.P.MatherおよびP.E.Roberts、1998) Plenum Press;Cell and Tissue Culture:Laboratory Procedures(A.Doyle、J.B.Griffiths、およびD.G.Newell編、1993~1998) J.Wiley and Sons;Methods in Enzymology(Academic Press,Inc.);Handbook of Experimental Immunology(D.M.WeirおよびC.C.Blackwell編);Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells(J.M.MillerおよびM.P.Calos編、1987);Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubelら編、1987);PCR:The Polymerase Chain Reaction(Mullisら編、1994);Current Protocols in Immunology(J.E.Coliganら編、1991);Short Protocols in Molecular Biology(Wiley and Sons、1999);Immunobiology(C.A.JanewayおよびP.Travers、1997);Antibodies(P.Finch、1997);Antibodies:a practical approach(D.Cattyら編、IRL Press、1988~1989);Monoclonal antibodies:a practical approach(P.ShepherdおよびC.Deanら編、Oxford University Press、2000);Using antibodies:a laboratory manual(E.HarlowおよびD.Lane(Cold Spring Harbor Laboratory Press、1999);The Antibodies(M.ZanettiおよびJ.D.Capra編、Harwood Academic Publishers、1995)において十分に説明されている。
本発明の実施は、他に指し示されなければ、当技術分野の技術的範囲内である、分子生物学(組換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学および免疫学の従来技術を用いる。そのような技術は、文献、例えばMolecular Cloning:A Laboratory Manual,second edition(Sambrookら、1989) Cold Spring Harbor Press;Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait編、1984);Methods in Molecular Biology、Humana Press;Cell Biology:A Laboratory Notebook(J.E.Cellis編、1998) Academic Press;Animal Cell Culture(R.I.Freshney編、1987);Introduction to Cell and Tissue Culture(J.P.MatherおよびP.E.Roberts、1998) Plenum Press;Cell and Tissue Culture:Laboratory Procedures(A.Doyle、J.B.Griffiths、およびD.G.Newell編、1993~1998) J.Wiley and Sons;Methods in Enzymology(Academic Press,Inc.);Handbook of Experimental Immunology(D.M.WeirおよびC.C.Blackwell編);Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells(J.M.MillerおよびM.P.Calos編、1987);Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubelら編、1987);PCR:The Polymerase Chain Reaction(Mullisら編、1994);Current Protocols in Immunology(J.E.Coliganら編、1991);Short Protocols in Molecular Biology(Wiley and Sons、1999);Immunobiology(C.A.JanewayおよびP.Travers、1997);Antibodies(P.Finch、1997);Antibodies:a practical approach(D.Cattyら編、IRL Press、1988~1989);Monoclonal antibodies:a practical approach(P.ShepherdおよびC.Deanら編、Oxford University Press、2000);Using antibodies:a laboratory manual(E.HarlowおよびD.Lane(Cold Spring Harbor Laboratory Press、1999);The Antibodies(M.ZanettiおよびJ.D.Capra編、Harwood Academic Publishers、1995)において十分に説明されている。
定義
「抗体」は、免疫グロブリン分子の可変領域に位置する少なくとも1つの抗原認識部位を通じて、標的、例えば炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、ポリペプチドなどに特異的に結合する能力を有する免疫グロブリン分子である。本明細書において使用される場合、該用語は、インタクトなポリクローナルまたはモノクローナル抗体を包含するだけでなく、その抗原結合断片、例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、単鎖(ScFv)ならびにドメイン抗体(例えば、サメおよびラクダ科動物抗体を含む)など、抗体を含む融合タンパク質(例えば限定なく、キメラ抗原受容体(CAR)、または抗体-サイトカイン融合タンパク質を含む)、ならびに抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子の任意の他の改変された構成も包含する。抗体は、任意のクラス、例えばIgG、IgA、もしくはIgM(またはそのサブクラス)の抗体を含み、抗体はいかなる特定のクラスのものである必要はない。その重鎖の定常領域の抗体アミノ酸配列に依存して、免疫グロブリンは異なるクラスに割り当てられ得る。免疫グロブリンの5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMがあり、これらのいくつかはサブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2にさらに分けることができる。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常領域は、それぞれアルファ、デルタ、イプシロン、ガンマ、およびミューと呼ばれる。免疫グロブリンの異なるクラスのサブユニット構造および3次元構成は周知である。
「抗体」は、免疫グロブリン分子の可変領域に位置する少なくとも1つの抗原認識部位を通じて、標的、例えば炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、ポリペプチドなどに特異的に結合する能力を有する免疫グロブリン分子である。本明細書において使用される場合、該用語は、インタクトなポリクローナルまたはモノクローナル抗体を包含するだけでなく、その抗原結合断片、例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、単鎖(ScFv)ならびにドメイン抗体(例えば、サメおよびラクダ科動物抗体を含む)など、抗体を含む融合タンパク質(例えば限定なく、キメラ抗原受容体(CAR)、または抗体-サイトカイン融合タンパク質を含む)、ならびに抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子の任意の他の改変された構成も包含する。抗体は、任意のクラス、例えばIgG、IgA、もしくはIgM(またはそのサブクラス)の抗体を含み、抗体はいかなる特定のクラスのものである必要はない。その重鎖の定常領域の抗体アミノ酸配列に依存して、免疫グロブリンは異なるクラスに割り当てられ得る。免疫グロブリンの5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMがあり、これらのいくつかはサブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2にさらに分けることができる。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常領域は、それぞれアルファ、デルタ、イプシロン、ガンマ、およびミューと呼ばれる。免疫グロブリンの異なるクラスのサブユニット構造および3次元構成は周知である。
「単離された抗体」は、他のタンパク質および細胞材料を実質的に含まない抗体を指す。
抗体の「抗原結合断片」または「抗原結合部分」という用語は、本明細書において使用される場合、所与の抗原(例えば、B7-H4またはCD3)に特異的に結合する能力を保持するインタクトな抗体の1つまたは複数の断片を指す。抗体の抗原結合機能は、インタクトな抗体の断片により行われ得る。抗体の「抗原結合断片」という用語に包含される結合断片の例は、限定なく、Fab;Fab’;F(ab’)2;VHおよびCH1ドメインからなるFd断片;抗体の単一のアームのVLおよびVHドメインからなるFv断片;単一ドメイン抗体(dAb)断片(Wardら、Nature 341:544~546、1989)、ならびに単離された相補性決定領域(CDR)を含む。
標的(例えば、B7-H4タンパク質またはCD3タンパク質)に「優先的に結合する」または「特異的に結合する」(本明細書において交換可能に使用される)抗体、抗体コンジュゲート、またはポリペプチドは、当技術分野においてよく理解されている用語であり、そのような特異的なまたは優先的な結合を決定する方法もまた当技術分野において周知である。分子は、代替的な細胞または物質とよりも特定の細胞または物質とより頻繁に、より迅速に、より長い持続期間でおよび/またはより高い親和性で反応または会合する場合に、「特異的結合」または「優先的結合」を呈するといわれる。抗体は、他の物質に結合するよりも高い親和性、結合力で、より容易に、および/またはより長い持続期間で結合する場合に、標的に「特異的に結合する」または「優先的に結合する」。例えば、B7-H4エピトープまたはCD3エピトープに特異的にまたは優先的に結合する抗体は、それが他のB7-H4エピトープ、非B7-H4エピトープ、CD3エピトープ、または非CD3エピトープに結合するよりも高い親和性、結合力で、より容易に、および/またはより長い持続期間でこのエピトープに結合する抗体である。例えば、第1の標的に特異的にまたは優先的に結合する抗体(または部分もしくはエピトープ)は、第2の標的に特異的にまたは優先的に結合してもよいし、またはそうでなくてもよいこともまた、この定義を読むことにより理解される。そのため、「特異的結合」または「優先的結合」は、排他的な結合を必ずしも要求しない(但し、それを含むことができる)。必ずしもそうではないが、一般に、結合への言及は優先的結合を意味する。
抗体の「可変領域」は、単独または組み合わせのいずれかでの、抗体軽鎖の可変領域または抗体重鎖の可変領域を指す。当技術分野において公知のように、重鎖および軽鎖の可変領域の各々は、超可変領域としても公知の3つの相補性決定領域(CDR)により接続された4つのフレームワーク領域(FR)からなる。各々の鎖中のCDRは、FRにより近接状態に保持されており、他の鎖からのCDRと共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する。CDRを決定するための少なくとも2つの技術がある:(1)種間配列可変性に基づくアプローチ(すなわち、Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、(5th ed.、1991、National Institutes of Health、Bethesda MD));および(2)抗原-抗体複合体の結晶学的研究に基づくアプローチ(Al-lazikaniら、1997、J.Molec.Biol. 273:927~948)。本明細書において使用される場合、CDRは、いずれかのアプローチまたは両方のアプローチの組み合わせにより定義されるCDRを指し得る。
可変ドメインの「CDR」は、Kabat、Chothia、KabatおよびChothiaの両方の集積、AbM、接触、ならびに/またはコンフォメーション定義(conformational definitios)または当技術分野において周知のCDR決定の任意の方法に従って同定される可変領域内のアミノ酸残基である。抗体CDRは、元々はKabatらにより定義された超可変領域として同定されてもよい。例えば、Kabatら、1992、Sequences of Proteins of Immunological Interest、5th ed.、Public Health Service、NIH、Washington D.C.を参照。CDRの位置はまた、元々はChothiaおよび他の者により記載された構造ループ構造として同定されてもよい。例えば、Chothiaら、Nature 342:877~883、1989を参照。CDR同定のための他のアプローチは、KabatとChothiaとの折衷であり、Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェア(現在はAccelrys(登録商標))を使用して導出される「AbM定義」、またはMacCallumら、J.Mol.Biol.、262:732~745、1996に記載されている、観察される抗原接触に基づくCDRの「接触定義」を含む。本明細書においてCDRの「コンフォメーション定義」と称される別のアプローチにおいて、CDRの位置は、抗原結合に対してエンタルピー的に寄与する残基として同定されてもよい。例えば、Makabeら、Journal of Biological Chemistry、283:1156~1166、2008を参照。さらに他のCDR境界定義は、上記のアプローチの1つに厳密には従わないことがあるが、それにもかかわらずKabat CDRの少なくとも部分とオーバーラップし、但し、それらは、特定の残基もしくは残基の群またはさらにはCDR全体は抗原結合に重大に影響しないという予測または実験的発見に照らして短縮または延長されてもよい。本明細書において使用される場合、CDRは、アプローチの組み合わせを含む、当技術分野において公知の任意のアプローチにより定義されるCDRを指し得る。本明細書において使用される方法は、これらのアプローチのいずれかに従って定義されるCDRを利用することができる。1つより多くのCDRを含有する任意の所与の実施形態のために、CDRは、Kabat、Chothia、拡張、AbM、接触、および/またはコンフォメーション定義のいずれかに従って定義されてもよい。
本明細書において使用される場合、「モノクローナル抗体」は、実質的に均質な抗体の集団から得られる抗体を指し、すなわち、集団を構成する個々の抗体は、微量で存在し得る可能な天然に存在する突然変異を除いて同一である。モノクローナル抗体は高度に特異的であり、単一の抗原部位に対して方向付けられている。さらには、異なる決定因子(エピトープ)に対して方向付けられた異なる抗体を典型的には含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各々のモノクローナル抗体は抗原上の単一の決定因子に対して方向付けられている。「モノクローナル」という修飾語は、抗体の実質的に均質な集団から得られるという抗体の特徴を指し示し、任意の特定の方法による抗体の産生を要求すると解釈されるべきではない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、KohlerおよびMilstein、Nature 256:495、1975により最初に記載されたハイブリドーマ法により作製されてもよく、または例えば米国特許第4,816,567号明細書に記載されている組換えDNA法により作製されてもよい。モノクローナル抗体はまた、例えば、McCaffertyら、Nature 348:552~554、1990に記載されている技術を使用して生成されたファージライブラリーから単離されてもよい。
本明細書において使用される場合、「ヒト化」抗体は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小の配列を含有するキメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖、またはその断片(例えばFv、Fab、Fab’、F(ab’)2もしくは抗体の他の抗原結合部分配列)である非ヒト(例えばマウス)抗体の形態を指す。好ましくは、ヒト化抗体は、レシピエントの相補性決定領域(CDR)からの残基が、所望される特異性、親和性、および能力を有する非ヒト種(ドナー抗体)、例えばマウス、ラット、またはウサギのCDRからの残基により置き換えられたヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。一部の事例では、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基により置き換えられている。さらには、ヒト化抗体は、レシピエント抗体中にも移入されるCDRまたはフレームワーク配列中にも見出されないが、抗体性能をさらに精密化および最適化するために含められる残基を含んでもよい。一般に、ヒト化抗体は、CDR領域のすべてまたは実質的にすべてが非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、FR領域のすべてまたは実質的にすべてがヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものである少なくとも1つの、典型的には2つの、可変ドメインの実質的にすべてを含む。ヒト化抗体は、最適にはまた、免疫グロブリン定常領域またはドメイン(Fc)の少なくとも部分、典型的にはヒト免疫グロブリンの少なくとも部分を含む。好ましいものは、国際公開第99/58572号パンフレットに記載されているように改変されたFc領域を有する抗体である。ヒト化抗体の他の形態は、元々の抗体からの1つまたは複数のCDRに「由来する」1つまたは複数のCDRとも称される、元々の抗体に関して変更された1つまたは複数のCDR(CDR L1、CDR L2、CDR L3、CDR H1、CDR H2、またはCDR H3)を有する。
本明細書において使用される場合、「ヒト抗体」は、ヒトにより産生される抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を有し、および/または当業者に公知のもしくは本明細書に開示されるヒト抗体を作製するための技術のいずれかを使用して作製された抗体を意味する。ヒト抗体のこの定義は、少なくとも1つのヒト重鎖ポリペプチドまたは少なくとも1つのヒト軽鎖ポリペプチドを含む抗体を含む。1つのそのような例は、マウス軽鎖およびヒト重鎖ポリペプチドを含む抗体である。ヒト抗体は、当技術分野において公知の様々な技術を使用して産生され得る。1つの実施形態では、ヒト抗体は、ヒト抗体を発現するファージライブラリーから選択される(Vaughanら、Nature Biotechnology、14:309~314、1996;Sheetsら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA) 95:6157~6162、1998;HoogenboomおよびWinter、J.Mol.Biol.、227:381、1991;Marksら、J.Mol.Biol.、222:581、1991)。ヒト抗体はまた、ヒト免疫グロブリン座位が内因性座位の代わりにトランスジェニックに導入されている動物、例えば、内因性免疫グロブリン遺伝子が部分的にまたは完全に不活性化されているマウスの免疫化により調製され得る。このアプローチは、米国特許第5,545,807号明細書;同第5,545,806号明細書;同第5,569,825号明細書;同第5,625,126号明細書;同第5,633,425号明細書;および同第5,661,016号明細書に記載されている。代替的に、ヒト抗体は、標的抗原に対して方向付けられた抗体を産生するヒトBリンパ球を不死化することにより調製されてもよい(そのようなBリンパ球は、個体からもしくはcDNAの単一細胞クローニングから回収されてもよく、またはin vitroで免疫化されていてもよい)。例えば、Coleら、Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy、Alan R.Liss、77頁、1985;Boernerら、J.Immunol.、147(1):86~95、1991;および米国特許第5,750,373号明細書を参照。
「キメラ抗体」という用語は、可変領域配列が1つの種に由来し、定常領域配列が別の種に由来する抗体、例えば可変領域配列がマウス抗体に由来し、定常領域配列がヒト抗体に由来する抗体を指す。
「B7-H4」という用語は、名詞としておよび単独で使用される場合、遺伝子VTCN1によりコードされる任意の形態のB7 Homology 4タンパク質、およびB7 Homology 4タンパク質の活性の少なくとも部分を保持するそのバリアントを指す。1つの例示的なヒトB7-H4配列は、UniProt識別子Q7Z7D3-1の下で提供される。Q7Z7D3-1において提示される配列は、成熟形態にさらにプロセシングされる。
「B7-H4抗体」という用語は、B7-H4に特異的に結合する抗体を指す。
「ポリペプチド」、「オリゴペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」という用語は本明細書において交換可能に使用され、任意の長さの、好ましくは、相対的に短い(例えば、10~100アミノ酸)、アミノ酸の鎖を指す。鎖は、直鎖状または分岐鎖状であってもよく、修飾されたアミノ酸を含んでもよく、および/または非アミノ酸を差し挟まれていてもよい。該用語はまた、天然にまたは介入により修飾されている;例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、または任意の他のマニピュレーションもしくは修飾、例えば標識化成分とのコンジュゲーションをされているアミノ酸鎖を包含する。定義に含まれるのはまた、例えば、アミノ酸の1つまたは複数のアナログ(例えば、非天然アミノ酸などを含む)の他に、当技術分野において公知の他の修飾を含有するポリペプチドである。ポリペプチドは単一の鎖または会合した鎖として存在できることが理解される。
「一価抗体」は、分子(例えば、IgGまたはFab)当たり1つの抗原結合部位を含む。一部の事例では、一価抗体は、1つより多くの抗原結合部位を有することができるが、結合部位は異なる抗原からのものである。
「単一特異性抗体」は、分子(例えばIgG)当たり2つの同一の抗原結合部位を含み、その結果、2つの結合部位が抗原上の同一のエピトープに結合するようなものである。そのため、それらは、1つの抗原分子への結合に関して互いと競合する。天然に見出されるほとんどの抗体は単一特異性である。一部の事例では、単一特異性抗体はまた一価抗体(例えばFab)であり得る。
「二価抗体」は、分子(例えば、IgG)当たり2つの抗原結合部位を含む。一部の事例では、2つの結合部位は同じ抗原特異性を有する。しかしながら、二価抗体は二特異性であってもよい。
「二特異性抗体」または「二重特異性抗体」という用語は、本明細書において使用される場合、異なる抗原に対して特異性を有する2つの抗原結合部位を生じさせる、2つの異なる結合特異性、例えば、2つの異なる重鎖/軽鎖ペアを有するハイブリッド抗体を指す。
「ヒンジ領域」、「ヒンジ配列」、およびこれらのバリエーションは、本明細書において使用される場合、例えば、Janewayら、ImmunoBiology:the immune system in health and disease、(Elsevier Science Ltd.、NY)(4th ed.、1999);Bloomら、Protein Science(1997)、6:407~415;Humphreysら、J.Immunol.Methods(1997)、209:193~202において説明されている、当技術分野において公知の意味を含む。
「免疫グロブリン様ヒンジ領域」、「免疫グロブリン様ヒンジ配列」、およびこれらのバリエーションは、本明細書において使用される場合、免疫グロブリン様または抗体様分子(例えば、イムノアドヘシン)のヒンジ領域およびヒンジ配列を指す。一部の実施形態では、免疫グロブリン様ヒンジ領域は、任意のIgG1、IgG2、IgG3、もしくはIgG4サブタイプ、またはIgA、IgE、IgDもしくはIgM、例えばこれらのキメラ形態、例えば、キメラIgG1/2ヒンジ領域からのものであるかまたはそれに由来することができる。
「免疫エフェクター細胞」または「エフェクター細胞」という用語は、本明細書において使用される場合、活性化されて標的細胞の生存に影響し得るヒト免疫系における細胞の天然のレパートリー内の細胞を指す。標的細胞の生存は、細胞生存、増殖、および/または他の細胞と相互作用する能力を含むことができる。
当技術分野において公知のように、「ポリヌクレオチド」、または本明細書において交換可能に使用される「核酸」は、任意の長さのヌクレオチドの鎖を指し、DNAおよびRNAを含む。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾されたヌクレオチドもしくは塩基、および/またはそれらのアナログ、またはDNAもしくはRNAポリメラーゼにより鎖に組み込まれ得る任意の基質であり得る。ポリヌクレオチドは、修飾されたヌクレオチド、例えばメチル化されたヌクレオチドおよびそれらのアナログを含んでもよい。存在する場合、ヌクレオチド構造に対する修飾は、鎖のアセンブリーの前または後に付与されてもよい。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド成分を差し挟まれていてもよい。ポリヌクレオチドは、重合後に、例えば標識化成分とのコンジュゲーションにより、さらに修飾されてもよい。他の種類の修飾は、例えば、「キャップ」、天然に存在するヌクレオチドの1つまたは複数の、アナログでの置換、ヌクレオチド間修飾、例えば、非荷電性連結(例えば、メチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホロアミデート(phosphoamidates)、カルバメートなど)を用いたものおよび荷電性連結(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなど)を用いたものなど、ペンダント部分、例えば、タンパク質(例えば、ヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ポリ-L-リジンなど)などを含有するもの、インターカレーター(例えば、アクリジン、ソラレンなど)を用いたもの、キレーター(例えば、金属、放射性金属、ホウ素、酸化性金属など)を含有するもの、アルキル化剤を含有するもの、修飾された連結(例えば、アルファアノマー核酸など)を用いたものの他に、非修飾形態のポリヌクレオチドを含む。さらに、糖中に通常存在する任意のヒドロキシル基は、例えば、ホスホン酸基、リン酸基により置き換えられてもよく、標準的な保護基により保護されてもよく、または活性化されて追加のヌクレオチドへの追加の連結を調製してもよく、または固体支持体にコンジュゲートされてもよい。5’および3’末端OHは、リン酸化され得るか、またはアミンもしくは1~20個の炭素原子の有機キャッピング基部分で置換され得る。他のヒドロキシルもまた、標準的な保護基に誘導体化されてもよい。ポリヌクレオチドはまた、当技術分野において一般に公知の類似の形態のリボースまたはデオキシリボース糖を含有し得、これは、例えば、2’-O-メチル-、2’-O-アリル、2’-フルオロ-または2’-アジド-リボース、炭素環式糖アナログ、アルファ-またはベータ-アノマー糖、エピマー糖、例えばアラビノース、キシロースまたはリキソース、ピラノース糖、フラノース糖、セドヘプツロース、非環式アナログおよび脱塩基ヌクレオシドアナログ、例えばメチルリボシドを含む。1つまたは複数のホスホジエステル連結は、代替的な連結基により置き換えられてもよい。これらの代替的な連結基は、ホスフェートが、P(O)S(「チオエート」)、P(S)S(「ジチオエート」)、(O)NR2(「アミデート」)、P(O)R、P(O)OR’、COまたはCH2(「ホルムアセタール」)により置き換えられている実施形態を含むが、これらに限定されず、ここで各々のRまたはR’は、独立して、H、または、エーテル(-O-)連結、アリール、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニルもしくはアラルキル(araldyl)を含有してもよい置換されているかもしくは置換されていないアルキル(1~20C)である。ポリヌクレオチド中のすべての連結が同一である必要はない。先行する記載は、RNAおよびDNAを含む、本明細書において参照されるすべてのポリヌクレオチドに適用される。
当技術分野において公知のように、抗体の「定常領域」は、単独または組み合わせのいずれかでの、抗体軽鎖の定常領域または抗体重鎖の定常領域を指す。
本明細書において使用される場合、「実質的に純粋な」は、少なくとも50%純粋な(すなわち、夾雑物を含まない)、より好ましくは、少なくとも90%純粋な、より好ましくは、少なくとも95%純粋な、さらにより好ましくは、少なくとも98%純粋な、最も好ましくは、少なくとも99%純粋な材料を指す。
「宿主細胞」は、ポリヌクレオチド挿入物の組み込み用のベクターのレシピエントであり得るかまたは該レシピエントであった個々の細胞または細胞培養物を含む。宿主細胞は単一の宿主細胞の子孫を含み、子孫は、天然の、偶発的な、または故意的な突然変異に起因して元々の親細胞と必ずしも完全に同一(形態またはゲノムDNA相補体において)でなくてもよい。宿主細胞は、in vivoで本発明のポリヌクレオチドをトランスフェクトされた細胞を含む。
当技術分野において公知のように、「Fc領域」という用語は、免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用される。「Fc領域」は、ネイティブ配列Fc領域またはバリアントFc領域であってもよい。免疫グロブリン重鎖のFc領域の境界は様々であり得るが、ヒトIgG重鎖Fc領域は、通常、位置Cys226、またはPro230のアミノ酸残基から、そのカルボキシル末端まで伸長するように定義される。Fc領域中の残基の番号付けは、KabatにおけるようなEUインデックスのものである。Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed. Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、Md.、1991。免疫グロブリンのFc領域は、2つの定常領域、CH2およびCH3を一般に含む。
当技術分野において使用されるように、「Fc受容体」および「FcR」は、抗体のFc領域に結合する受容体を記載する。好ましいFcRはネイティブ配列ヒトFcRである。さらに、好ましいFcRは、IgG抗体(ガンマ受容体)に結合するFcRであり、FcγRI、FcγRII、およびFcγRIIIサブクラスの受容体を含み、これは、これらの受容体のアレルバリアントおよび選択的にスプライシングされた形態を含む。FcγRII受容体は、FcγRIIA(「活性化受容体」)およびFcγRIIB(「阻害受容体」)を含み、これらは、主にその細胞質ドメインにおいて異なる類似したアミノ酸配列を有する。FcRは、RavetchおよびKinet、Ann.Rev.Immunol.、9:457~92、1991;Capelら、Immunomethods、4:25~34、1994;ならびにde Haasら、J.Lab.Clin.Med.、126:330~41、1995において総説されている。「FcR」はまた新生児受容体、FcRnを含み、これは、胎児への母親IgGの移動の原因となる(Guyerら、J.Immunol.、117:587、1976;およびKimら、J.Immunol.、24:249、1994)。
「競合する」という用語は、抗体に関して本明細書において使用される場合、第1の抗体、またはその抗原結合断片(もしくは部分)が、第2の抗体、またはその抗原結合部分の結合に十分に類似した方式でエピトープに結合し、その結果、そのコグネイトエピトープとの第1の抗体の結合の結果が、第2の抗体の非存在下での第1の抗体の結合と比較して第2の抗体の存在下で検出可能に減少していることを意味する。そのエピトープへの第2の抗体の結合もまた、第1の抗体の存在下で検出可能に減少している選択肢も該当することができるが、その必要はない。すなわち、第1の抗体は、そのエピトープへの第2の抗体の結合を、その第2の抗体がそのそれぞれのエピトープへの第1の抗体の結合を阻害することなく阻害することができる。しかしながら、同じ、より大きい、またはより小さい程度のいずれであれ、各々の抗体がそのコグネイトエピトープまたはリガンドとの他の抗体の結合を検出可能に阻害する場合、抗体は、それらのそれぞれのエピトープの結合について互いと「交差競合する」といわれる。競合性抗体および交差競合性抗体の両方は本発明により包含される。そのような競合または交差競合が起こる機序(例えば、立体障害、コンフォメーション変化、または共通のエピトープ、もしくはその部分への結合)にかかわらず、本明細書において提供される教示に基づいて、そのような競合性および/または交差競合性抗体が包含され、本明細書に開示される方法のために有用であり得ることを当業者は理解する。
「機能的なFc領域」は、ネイティブ配列Fc領域の少なくとも1つのエフェクター機能を有する。例示的な「エフェクター機能」は、C1q結合;補体依存性細胞傷害性;Fc受容体結合;抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性;ファゴサイトーシス;細胞表面受容体(例えばB細胞受容体)の下方調節などを含む。そのようなエフェクター機能は、結合ドメイン(例えば抗体可変ドメイン)と組み合わせられるFc領域を一般に要求し、そのような抗体エフェクター機能を評価するための当技術分野において公知の様々なアッセイを使用して評価され得る。
「ネイティブ配列Fc領域」は、天然において見出されるFc領域のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含む。「バリアントFc領域」は、少なくとも1つのアミノ酸改変を理由としてネイティブ配列Fc領域のアミノ酸配列とは異なるが、ネイティブ配列Fc領域の少なくとも1つのエフェクター機能を保持するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、バリアントFc領域は、ネイティブ配列Fc領域または親ポリペプチドのFc領域と比較して少なくとも1つのアミノ酸置換、例えばネイティブ配列Fc領域または親ポリペプチドのFc領域における約1~約10個のアミノ酸置換、好ましくは、約1~約5個のアミノ酸置換を有する。本明細書におけるバリアントFc領域は、ネイティブ配列Fc領域および/または親ポリペプチドのFc領域と好ましくは少なくとも約80%の配列同一性、最も好ましくは、それと少なくとも約90%の配列同一性、より好ましくは、それと少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%の配列同一性を有する。
「エフェクター機能」という用語は、抗体のFc領域に帰せられる生物学的活性を指す。抗体エフェクター機能の例は、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性(ADCC)、Fc受容体結合、補体依存性細胞傷害性(CDC)、ファゴサイトーシス、C1q結合、および細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体;BCR)の下方調節を含むが、これらに限定されない。例えば、米国特許第6,737,056号明細書を参照。そのようなエフェクター機能は、結合ドメイン(例えば、抗体可変ドメイン)と組み合わせられるFc領域を一般に要求し、そのような抗体エフェクター機能を評価するための当技術分野において公知の様々なアッセイを使用して評価され得る。エフェクター機能の例示的な測定は、Fcγ3および/またはC1q結合を通じてなされる。
本明細書において使用される場合、「抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性」または「ADCC」は、Fc受容体(FcR)を発現する非特異的な細胞傷害性細胞(例えばナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、およびマクロファージ)が、標的細胞上の結合した抗体を認識し、その後に標的細胞の溶解を引き起こす細胞媒介性反応を指す。目的の分子のADCC活性は、in vitro ADCCアッセイ、例えば米国特許第5,500,362号明細書または同第5,821,337号明細書に記載されるものを使用して評価され得る。そのようなアッセイのための有用なエフェクター細胞は末梢血単核細胞(PBMC)およびNK細胞を含む。代替的に、または追加的に、目的の分子のADCC活性は、in vivoで、例えば、動物モデル、例えばClynesら、1998、PNAS(USA)、95:652~656において開示されるものにおいて評価されてもよい。
「補体依存性細胞傷害性」または「CDC」は、補体の存在下での標的の溶解を指す。補体活性化経路は、コグネイト抗原と複合体化した分子(例えば抗体)への補体システムの第1成分(C1q)の結合により開始される。補体活性化を評価するために、例えばGazzano-Santoroら、J.Immunol.Methods、202:163(1996)に記載されているCDCアッセイが行われてもよい。
本明細書において使用される場合、「処置」は、有益なまたは所望される臨床結果を得るためのアプローチである。本発明の目的のために、有益なまたは所望される臨床結果は、以下:新生物性もしくはがん性細胞の増殖の低減(もしくは破壊)、新生物性細胞の転移の阻害、B7-H4関連疾患(例えば、がんもしくは自己免疫疾患)の軽快、B7-H4関連疾患(例えば、がんもしくは自己免疫疾患)の結果としてもたらされる症状の減少、B7-H4関連疾患(例えば、がんもしくは自己免疫疾患)を患っている者の生活の質の増加、B7-H4関連疾患(例えば、がんもしくは自己免疫疾患)を処置するために要求される他の医薬品の用量の減少、B7-H4関連疾患(例えば、がんもしくは自己免疫疾患)の進行の遅延、B7-H4関連疾患(例えば、がんもしくは自己免疫疾患)の治癒、および/またはB7-H4関連疾患(例えば、がんもしくは自己免疫疾患)を有する患者の生存の長期化の1つまたは複数を含むが、これらに限定されない。
「寛解」は、B7-H4抗体またはB7-H4抗体コンジュゲートを投与しない場合と比較した1つまたは複数の症状の減少または改善を意味する。「寛解」はまた、症状の持続期間における短縮または低減を含む。
本明細書において使用される場合、薬物、化合物、または医薬組成物の「有効投薬量」または「有効量」は、任意の1つまたは複数の有益なまたは所望される結果をもたらすために十分な量である。予防的使用のために、有益なまたは所望される結果は、疾患のリスクの排除もしくは低減、重症度の減少、または始まりの遅延を含み、該疾患は、疾患、その合併症および疾患の発生の間に現れる中間的な病的表現型の生化学的、組織学的および/または行動的な症状を含む。治療的使用のために、有益なまたは所望される結果は、臨床結果、例えば様々なB7-H4関連疾患もしくは状態(例えばがん)の1つもしくは複数の症状の発生率の低減もしくは寛解、疾患を処置するために要求される他の医薬品の用量の減少、別の医薬品の効果の増強、および/または患者のB7-H4関連疾患の進行の遅延を含む。有効投薬量は、1つまたは複数の投与において投与され得る。本発明の目的のために、薬物、化合物、または医薬組成物の有効投薬量は、直接的または間接的のいずれかで予防的または治療的処置を達成するために十分な量である。臨床的状況において理解されるように、薬物、化合物、または医薬組成物の有効投薬量は、別の薬物、化合物、または医薬組成物と組み合わせて達成されてもよいし、またはそうでなくてもよい。そのため、「有効投薬量」は、1つまたは複数の治療剤を投与する文脈において考慮することができ、単一の薬剤は、1つまたは複数の他の薬剤と組み合わせて、望ましい結果が達成され得るかまたは達成される場合に、有効量で与えられると考えることができる。
「個体」または「対象」は、哺乳動物、より好ましくは、ヒトである。哺乳動物はまた、農用動物、競技動物、愛玩動物、霊長動物、ウマ、イヌ、ネコ、マウスおよびラットを含むが、これらに限定されない。
本明細書において使用される場合、「ベクター」は、1つまたは複数の目的の遺伝子または配列を宿主細胞中に送達する、および好ましくは発現させる能力を有する構築物を意味する。ベクターの例は、ウイルスベクター、ネイキッドDNAまたはRNA発現ベクター、プラスミド、コスミドまたはファージベクター、陽イオン性縮合剤と会合したDNAまたはRNA発現ベクター、リポソーム中に被包されたDNAまたはRNA発現ベクター、およびある特定の真核細胞、例えばプロデューサー細胞を含むが、これらに限定されない。
本明細書において使用される場合、「発現制御配列」は、核酸の転写を指令する核酸配列を意味する。発現制御配列は、プロモーター、例えば構成的もしくは誘導性プロモーター、またはエンハンサーであり得る。発現制御配列は、転写される核酸配列に作動可能に連結している。
本明細書において使用される場合、「薬学的に許容できる担体」または「薬学的に許容できる賦形剤」は、活性成分と組み合わせた場合に該成分が生物学的活性を保持することを可能とし、対象の免疫系と非反応性である任意の材料を含む。例は、標準的な薬学的担体のいずれか、例えばリン酸緩衝溶液、水、エマルション、例えば油/水エマルション、および様々な種類の湿潤剤を含むが、これらに限定されない。エアロゾルまたは非経口投与用の好ましい希釈剤は、リン酸緩衝溶液(PBS)または生理(0.9%)食塩水である。そのような担体を含む組成物は、周知の従来の方法により製剤化される(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、18th edition、A.Gennaro編、Mack Publishing Co.、Easton、PA、1990;およびRemington、The Science and Practice of Pharmacy 21st Ed. Mack Publishing、2005を参照)。
「kon」または「ka」という用語は、本明細書において使用される場合、抗原への抗体の会合についての速度定数を指す。特に、速度定数(kon/kaおよびkoff/kd)ならびに平衡解離定数は、全体抗体(すなわち二価)および単量体B7-H4タンパク質を使用して測定される。
「koff」または「kd」という用語は、本明細書において使用される場合、抗体/抗原複合体からの抗体の解離についての速度定数を指す。
「KD」という用語は、本明細書において使用される場合、抗体-抗原相互作用の平衡解離定数を指す。
本明細書における「約」値またはパラメーターへの言及は、その値またはパラメーター自体へと方向付けられた実施形態を含む(および記載する)。例えば、「約X」に言及する記載は、「X」の記載を含む。数値範囲は、範囲を定義する数を含む。
実施形態が「含む」という表現と共に本明細書において記載される場合は常に、「からなる」および/または「から本質的になる」という観点で記載される、他には類似の実施形態もまた提供されることが理解される。
本発明の態様または実施形態がマーカッシュ群または選択肢の他のグループ化の観点において記載される場合、本発明は、列記される群全体を全体として包含するだけでなく、個々に群の各々のメンバーおよび主群のすべての可能な部分群、そしてまた主群において群メンバーの1つまたは複数が存在しないものもまた包含する。本発明はまた、クレームされた発明における群メンバーのいずれかの1つまたは複数の明示的な除外を想定する。
他に定義されなければ、本明細書において使用されるすべての科学技術用語は、本発明が属する技術分野の当業者により一般的に理解されるものと同じ意味を有する。矛盾がある場合、定義を含めて、本明細書が優先される。本明細書および請求項の全体を通じて、「含む」(comprise)という語またはバリエーション、例えば「含む」(comprises)もしくは「含む」(comprising)は、記載される整数または整数の群の包含を含意するが、任意の他の整数または整数の群の除外を含意しないことが理解される。文脈により他に要求されなければ、単数形の用語は複数を含み、複数形の用語は単数を含む。
例示的な方法および材料が本明細書に記載されるが、本明細書に記載されるものと類似または同等の方法および材料もまた本発明の実施または試験において使用され得る。材料、方法、および例は実例的なものに過ぎず、限定的であることは意図されない。
抗体の作製における一般的方法
標的抗原、例えば本発明においてB7-H4に特異的に結合するヒトおよびマウス抗体の産生のための一般技術は当技術分野において公知であり、および/または本明細書に記載されている。
標的抗原、例えば本発明においてB7-H4に特異的に結合するヒトおよびマウス抗体の産生のための一般技術は当技術分野において公知であり、および/または本明細書に記載されている。
ファージディスプレイ:
一部の実施形態では、抗体は、ファージディスプレイ技術により調製および選択されてもよい。例えば、米国特許第5,565,332号明細書;同第5,580,717号明細書;同第5,733,743号明細書;および同第6,265,150号明細書;ならびにWinterら、Annu.Rev.Immunol. 12:433~455、1994を参照。代替的に、ファージディスプレイ技術(McCaffertyら、Nature 348:552~553、1990)を使用して、非免疫化ドナーからの免疫グロブリン可変(V)ドメイン遺伝子レパートリーから、in vitroでヒト抗体および抗体断片を産生することができる。この技術によれば、抗体Vドメイン遺伝子はインフレームで糸状バクテリオファージ、例えばM13またはfdのメジャーまたはマイナーコートタンパク質遺伝子にクローニングされ、ファージ粒子の表面上に機能的な抗体断片として提示される。糸状粒子はファージゲノムの一本鎖DNAコピーを含有するので、抗体の機能的特性に基づく選択もまた、それらの特性を呈する抗体をコードする遺伝子の選択を結果としてもたらす。そのため、ファージはB細胞の特性の一部を模倣する。ファージディスプレイは、様々なフォーマットにおいて行われ得る;総説のために、例えば、Johnson,Kevin S.およびChiswell,David J.、Current Opinion in Structural Biology 3:564~571、1993を参照。V-遺伝子セグメントのいくつかの供給源がファージディスプレイのために使用され得る。Clacksonら、Nature 352:624~628、1991は、免疫化マウスの脾臓に由来するV遺伝子の小さいランダムなコンビナトリアルライブラリーから抗オキサゾロン抗体の多様なアレイを単離した。ヒトドナーからのV遺伝子のレパートリーが構築可能であり、抗原(自己抗原を含む)の多様なアレイに対する抗体が、Markら、J.Mol.Biol. 222:581~597、1991、またはGriffithら、EMBO J. 12:725~734、1993により記載された技術に本質的に従って単離され得る。天然の免疫応答において、抗体遺伝子は高い速度で突然変異を蓄積させる(体細胞超突然変異)。導入される変化の一部はより高い親和性を付与し、高親和性表面免疫グロブリンを提示するB細胞は、その後の抗原負荷の間に優先的に複製および分化を受ける。この天然のプロセスは、「鎖シャッフリング」として公知の技術を用いることにより模倣され得る。(Marksら、Bio/Technol、10:779~783、1992)。この方法において、ファージディスプレイにより得られる「一次」ヒト抗体の親和性は、重鎖および軽鎖V領域遺伝子を、非免疫化ドナーから得られるVドメイン遺伝子の天然に存在するバリアント(レパートリー)のレパートリーで逐次的に置き換えることにより改善され得る。この技術は、pM~nMの範囲内の親和性を有する抗体および抗体断片の産生を可能とする。非常に大きいファージ抗体レパートリー(「マザー・オブ・オール(mother-of-all)ライブラリー」としても公知)を作るための戦略は、Waterhouseら、Nucl.Acids Res. 21:2265~2266、1993により記載されている。遺伝子シャッフリングもまた、齧歯動物抗体からヒト抗体を誘導するために使用可能であり、ここでヒト抗体は出発齧歯動物抗体と類似した親和性および特異性を有する。「エピトープインプリンティング」とも称されるこの方法によれば、ファージディスプレイ技術により得られる齧歯動物抗体の重鎖または軽鎖Vドメイン遺伝子はヒトVドメイン遺伝子のレパートリーで置き換えられて、齧歯動物-ヒトキメラを作り出す。抗原における選択は、機能的な抗原結合部位を回復させる能力を有するヒト可変領域の単離を結果としてもたらし、すなわち、エピトープはパートナーの選択を支配(インプリント)する。残存する齧歯動物Vドメインを置き換えるためにプロセスが繰り返される場合、ヒト抗体が得られる(PCT国際公開第93/06213号パンフレットを参照)。CDRグラフト化による齧歯動物抗体の伝統的なヒト化とは異なり、この技術は、齧歯動物起源のフレームワーク残基もCDR残基も有しない完全ヒト抗体を提供する。
一部の実施形態では、抗体は、ファージディスプレイ技術により調製および選択されてもよい。例えば、米国特許第5,565,332号明細書;同第5,580,717号明細書;同第5,733,743号明細書;および同第6,265,150号明細書;ならびにWinterら、Annu.Rev.Immunol. 12:433~455、1994を参照。代替的に、ファージディスプレイ技術(McCaffertyら、Nature 348:552~553、1990)を使用して、非免疫化ドナーからの免疫グロブリン可変(V)ドメイン遺伝子レパートリーから、in vitroでヒト抗体および抗体断片を産生することができる。この技術によれば、抗体Vドメイン遺伝子はインフレームで糸状バクテリオファージ、例えばM13またはfdのメジャーまたはマイナーコートタンパク質遺伝子にクローニングされ、ファージ粒子の表面上に機能的な抗体断片として提示される。糸状粒子はファージゲノムの一本鎖DNAコピーを含有するので、抗体の機能的特性に基づく選択もまた、それらの特性を呈する抗体をコードする遺伝子の選択を結果としてもたらす。そのため、ファージはB細胞の特性の一部を模倣する。ファージディスプレイは、様々なフォーマットにおいて行われ得る;総説のために、例えば、Johnson,Kevin S.およびChiswell,David J.、Current Opinion in Structural Biology 3:564~571、1993を参照。V-遺伝子セグメントのいくつかの供給源がファージディスプレイのために使用され得る。Clacksonら、Nature 352:624~628、1991は、免疫化マウスの脾臓に由来するV遺伝子の小さいランダムなコンビナトリアルライブラリーから抗オキサゾロン抗体の多様なアレイを単離した。ヒトドナーからのV遺伝子のレパートリーが構築可能であり、抗原(自己抗原を含む)の多様なアレイに対する抗体が、Markら、J.Mol.Biol. 222:581~597、1991、またはGriffithら、EMBO J. 12:725~734、1993により記載された技術に本質的に従って単離され得る。天然の免疫応答において、抗体遺伝子は高い速度で突然変異を蓄積させる(体細胞超突然変異)。導入される変化の一部はより高い親和性を付与し、高親和性表面免疫グロブリンを提示するB細胞は、その後の抗原負荷の間に優先的に複製および分化を受ける。この天然のプロセスは、「鎖シャッフリング」として公知の技術を用いることにより模倣され得る。(Marksら、Bio/Technol、10:779~783、1992)。この方法において、ファージディスプレイにより得られる「一次」ヒト抗体の親和性は、重鎖および軽鎖V領域遺伝子を、非免疫化ドナーから得られるVドメイン遺伝子の天然に存在するバリアント(レパートリー)のレパートリーで逐次的に置き換えることにより改善され得る。この技術は、pM~nMの範囲内の親和性を有する抗体および抗体断片の産生を可能とする。非常に大きいファージ抗体レパートリー(「マザー・オブ・オール(mother-of-all)ライブラリー」としても公知)を作るための戦略は、Waterhouseら、Nucl.Acids Res. 21:2265~2266、1993により記載されている。遺伝子シャッフリングもまた、齧歯動物抗体からヒト抗体を誘導するために使用可能であり、ここでヒト抗体は出発齧歯動物抗体と類似した親和性および特異性を有する。「エピトープインプリンティング」とも称されるこの方法によれば、ファージディスプレイ技術により得られる齧歯動物抗体の重鎖または軽鎖Vドメイン遺伝子はヒトVドメイン遺伝子のレパートリーで置き換えられて、齧歯動物-ヒトキメラを作り出す。抗原における選択は、機能的な抗原結合部位を回復させる能力を有するヒト可変領域の単離を結果としてもたらし、すなわち、エピトープはパートナーの選択を支配(インプリント)する。残存する齧歯動物Vドメインを置き換えるためにプロセスが繰り返される場合、ヒト抗体が得られる(PCT国際公開第93/06213号パンフレットを参照)。CDRグラフト化による齧歯動物抗体の伝統的なヒト化とは異なり、この技術は、齧歯動物起源のフレームワーク残基もCDR残基も有しない完全ヒト抗体を提供する。
ハイブリドーマ技術:
一部の実施形態では、抗体は、ハイブリドーマ技術を使用して作製されてもよい。ヒトを含む任意の哺乳動物対象またはそれからの抗体産生細胞は、ヒトを含む哺乳動物のハイブリドーマ細胞株の産生のための基礎として役立つようにマニピュレートされ得ることが企図される。宿主動物の免疫化の経路およびスケジュールは、本明細書にさらに記載されるように、抗体刺激および産生のための確立されたおよび従来の技術に一般に従う。典型的には、宿主動物は、腹腔内に、筋肉内に、経口的に、皮下に、足底内に、および/または皮内に、本明細書に記載されているものを含む、ある量の免疫原を接種される。
一部の実施形態では、抗体は、ハイブリドーマ技術を使用して作製されてもよい。ヒトを含む任意の哺乳動物対象またはそれからの抗体産生細胞は、ヒトを含む哺乳動物のハイブリドーマ細胞株の産生のための基礎として役立つようにマニピュレートされ得ることが企図される。宿主動物の免疫化の経路およびスケジュールは、本明細書にさらに記載されるように、抗体刺激および産生のための確立されたおよび従来の技術に一般に従う。典型的には、宿主動物は、腹腔内に、筋肉内に、経口的に、皮下に、足底内に、および/または皮内に、本明細書に記載されているものを含む、ある量の免疫原を接種される。
ハイブリドーマは、リンパ球および不死化された骨髄腫細胞から、Kohler,B.およびMilstein,C.、1975、Nature 256:495~497の、またはBuck,D.W.ら、In Vitro、18:377~381、1982により改変された一般的な体細胞ハイブリダイゼーション技術を使用して調製され得る。X63-Ag8.653およびSalk Institute、Cell Distribution Center、San Diego、Calif.、USAからのものを含むがこれらに限定されない、利用可能な骨髄腫株がハイブリダイゼーションにおいて使用されてもよい。一般に、技術は、融合因子(fusogen)、例えばポリエチレングリコールを使用して、または当業者に周知の電気的手段により、骨髄腫細胞およびリンパ系細胞を融合することを伴う。融合後に、細胞は融合培地から分離され、選択増殖培地、例えばヒポキサンチン-アミノプテリン-チミジン(HAT)培地中で増殖され、非交雑の親細胞が排除される。血清の補充のありまたはなしの、本明細書に記載される任意の培地は、モノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマを培養するために使用され得る。細胞融合技術の別の代替として、EBV不死化B細胞を使用して本発明のB7-H4モノクローナル抗体を産生してもよい。ハイブリドーマまたは他の不死化されたB細胞は、拡大増殖され、所望される場合にサブクローニングされ、上清は、従来のイムノアッセイ手順(例えば、ラジオイムノアッセイ、酵素イムノアッセイ、または蛍光イムノアッセイ)により抗免疫原活性についてアッセイされる。
抗体の供給源として使用され得るハイブリドーマは、標的抗原、例えばB7-H4に特異的なモノクローナル抗体、またはその部分を産生する親ハイブリドーマのすべての誘導体、子孫細胞を包含する。
そのような抗体を産生するハイブリドーマは、公知の手順を使用してin vitroまたはin vivoで増殖されてもよい。モノクローナル抗体は、所望される場合、従来の免疫グロブリン精製手順、例えば硫酸アンモニウム沈殿、ゲル電気泳動、透析、クロマトグラフィー、および限外濾過により培養培地または体液から単離されてもよい。望ましくない活性が存在する場合、それは、例えば、固相に取り付けられた免疫原から作られた吸着剤の上に調製物を流し、所望される抗体を免疫原から溶出または放出させることにより除去され得る。抗原、例えばB7-H4ポリペプチド、または、二機能性もしくは誘導体化剤、例えば、マレイミドベンゾイルスルホスクシンイミドエステル(システイン残基を通じたコンジュゲーション)、N-ヒドロキシスクシンイミド(リジン残基を通じて)、グルタルアルデヒド、コハク酸無水物、SOCl2、もしくはR1N=C=NR(式中、RおよびR1は異なるアルキル基である)を使用して、免疫化される種において免疫原性のタンパク質、例えば、キーホールリンペットヘモシアニン、血清アルブミン、ウシサイログロブリン、もしくはダイズトリプシン阻害剤にコンジュゲートされた標的アミノ酸配列を含有する断片での宿主動物の免疫化は、抗体(例えば、モノクローナル抗体)の集団をもたらすことができる。
組換え抗体
所望される場合、目的の抗体(モノクローナルまたはポリクローナル)、例えば、ハイブリドーマ技術の下で生成される抗体は、シークエンシングされてもよく、ポリヌクレオチド配列は次に発現または増殖のためにベクターにクローニングされてもよい。目的の抗体をコードする配列は、宿主細胞中でベクター中に維持されてもよく、宿主細胞は次に拡大増殖され、および将来的な使用のために凍結され得る。細胞培養における組換えモノクローナル抗体の産生は、当技術分野において公知の手段によりB細胞から抗体遺伝子のクローニングを通じて実行され得る。例えばTillerら、2008、J.Immunol.Methods 329、112;米国特許第7,314,622号明細書を参照。
所望される場合、目的の抗体(モノクローナルまたはポリクローナル)、例えば、ハイブリドーマ技術の下で生成される抗体は、シークエンシングされてもよく、ポリヌクレオチド配列は次に発現または増殖のためにベクターにクローニングされてもよい。目的の抗体をコードする配列は、宿主細胞中でベクター中に維持されてもよく、宿主細胞は次に拡大増殖され、および将来的な使用のために凍結され得る。細胞培養における組換えモノクローナル抗体の産生は、当技術分野において公知の手段によりB細胞から抗体遺伝子のクローニングを通じて実行され得る。例えばTillerら、2008、J.Immunol.Methods 329、112;米国特許第7,314,622号明細書を参照。
一部の実施形態では、ポリヌクレオチド配列は、抗体を「ヒト化する」ためまたは抗体の親和性、もしくは他の特徴を改善するための遺伝子マニピュレーションのために使用されてもよい。抗体はまた、例えば、イヌ、ネコ、霊長動物、ウマ科動物およびウシ科動物における使用のためにカスタマイズされてもよい。
一部の実施形態では、完全ヒト抗体は、特有のヒト免疫グロブリンタンパク質を発現するように操作された商業的に入手可能なマウスを使用することにより得られてもよい。より望ましい(例えば、完全ヒト抗体)またはより堅牢な免疫応答を生成するように設計されたトランスジェニック動物もまた、ヒト化またはヒト抗体の生成のために使用されてもよい。そのような技術の例は、Abgenix,Inc.(Fremont、CA)からのXenomouse(商標)ならびにMedarex,Inc.(Princeton、NJ)からのHuMAb-Mouse(登録商標)およびTC Mouse(商標)である。
抗体は、最初に宿主動物から抗体および抗体産生細胞を単離し、遺伝子配列を得、ならびに遺伝子配列を使用して宿主細胞(例えば、CHO細胞)中で組換えにより抗体を発現させることにより組換えにより作製されてもよい。用いられてもよい別の方法は、植物(例えば、タバコ)またはトランスジェニックミルク中で抗体配列を発現させることである。植物またはミルク中で組換えにより抗体を発現させる方法が開示されている。例えば、Peetersら、Vaccine 19:2756、2001;Lonberg,N.およびD.Huszar、Int.Rev.Immunol 13:65、1995;ならびにPollockら、J Immunol Methods 231:147、1999を参照。抗体の誘導体、例えば、ドメイン、単鎖などを作製する方法は当技術分野において公知である。
イムノアッセイおよびフローサイトメトリー選別技術、例えば蛍光活性化細胞選別(FACS)もまた、標的抗原、例えばB7-H4に特異的な抗体を単離するために用いられ得る。
モノクローナル抗体をコードするDNAは、従来の手順(例えば、モノクローナル抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合する能力を有するオリゴヌクレオチドプローブを使用することによる)を使用して容易に単離およびシークエンシングされる。ハイブリドーマ細胞は、そのようなDNAの好ましい供給源として役立つ。DNAが単離されたら、DNAは、発現ベクター(例えばPCT国際公開第87/04462号パンフレットに開示される発現ベクター)に入れられてもよく、発現ベクターは次に、さもなければ免疫グロブリンタンパク質を産生しない宿主細胞、例えば大腸菌(E.coli)細胞、シミアンCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、または骨髄腫細胞にトランスフェクトされて、組換え宿主細胞中でモノクローナル抗体の合成が得られる。例えば、PCT国際公開第87/04462号パンフレットを参照。DNAはまた、例えば、相同的なマウス配列の代わりにヒト重鎖および軽鎖定常ドメインのためのコーディング配列を代用することにより(Morrisonら、Proc.Nat.Acad.Sci. 81:6851、1984)、または免疫グロブリンコーディング配列に非免疫グロブリンポリペプチドのためのコーディング配列の全体もしくは部分を共有結合的に接合することにより改変されてもよい。その方式において、標的抗原、例えばB7-H4に対する結合特異性を有する「キメラ」または「ハイブリッド」抗体が調製される。
抗体断片は、抗体のタンパク質分解または他の分解により、上記されている組換え法(すなわち、単一もしくは融合ポリペプチド)により、または化学合成により産生され得る。抗体のポリペプチド、特に約50個までのアミノ酸のより短いポリペプチドは、好都合には化学合成により作製される。化学合成の方法は当技術分野において公知であり、商業的に利用可能である。例えば、抗体は、固相方法を用いる自動化されたポリペプチド合成装置により産生され得る。米国特許第5,807,715号明細書;同第4,816,567号明細書;および同第6,331,415号明細書も参照。
組換え抗体 - 親和性成熟
抗体は、親和性成熟として一般に公知の方法により改変され得る。例えば、親和性成熟抗体は、当技術分野において公知の手順により産生され得る(Marksら、1992、Bio/Technology、10:779~783;Barbasら、1994、Proc Nat.Acad.Sci、USA 91:3809~3813;Schierら、1995、Gene、169:147~155;Yeltonら、1995、J.Immunol.、155:1994~2004;Jacksonら、1995、J.Immunol.、154(7):3310~9;Hawkinsら、1992、J.Mol.Biol.、226:889~896;およびPCT国際公開第2004/058184号パンフレット)。
抗体は、親和性成熟として一般に公知の方法により改変され得る。例えば、親和性成熟抗体は、当技術分野において公知の手順により産生され得る(Marksら、1992、Bio/Technology、10:779~783;Barbasら、1994、Proc Nat.Acad.Sci、USA 91:3809~3813;Schierら、1995、Gene、169:147~155;Yeltonら、1995、J.Immunol.、155:1994~2004;Jacksonら、1995、J.Immunol.、154(7):3310~9;Hawkinsら、1992、J.Mol.Biol.、226:889~896;およびPCT国際公開第2004/058184号パンフレット)。
以下の方法は、抗体の親和性を調整するためおよびCDRを特徴付けるために使用されてもよい。抗体のCDRを特徴付けるおよび/またはポリペプチド、例えば抗体の結合親和性を変更(例えば改善)する1つの仕方は、「ライブラリースキャニング突然変異誘発」と称される。一般に、ライブラリースキャニング突然変異誘発は以下のように機能する。CDR中の1つまたは複数のアミノ酸位置は、当技術分野において認められる方法を使用して2つまたはより多く(例えば3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20個)のアミノ酸で置き換えられる。これは、クローンの小さいライブラリー(一部の実施形態では、分析されるあらゆるアミノ酸位置について1つ)を生成し、各々は、2つまたはより多くのメンバーの複雑性を有する(2つまたはより多くのアミノ酸があらゆる位置において置換される場合)。一般に、ライブラリーはまた、ネイティブな(非置換の)アミノ酸を含むクローンを含む。各々のライブラリーからの少数のクローン、例えば、約20~80個のクローン(ライブラリーの複雑性に依存する)が標的ポリペプチド(または他の結合標的)に対する結合親和性についてスクリーニングされ、増加した、同じ、減少した、または無結合を伴う候補が同定される。結合親和性を決定する方法は当技術分野において周知である。結合親和性は、例えば、約2倍もしくはより大きい結合親和性における差異を検出するBiacore(商標)表面プラズモン共鳴分析、Kinexa(登録商標) Biosensor、シンチレーション近接アッセイ、ELISA、ORIGEN(登録商標)イムノアッセイ、蛍光クエンチ、蛍光移動、および/または酵母ディスプレイを使用して決定されてもよい。結合親和性はまた、好適なバイオアッセイを使用してスクリーニングされてもよい。Biacore(商標)は、出発抗体が相対的に高い親和性、例えば約10nMまたはより低いKDで既に結合する場合に特に有用である。
一部の実施形態では、CDR中のあらゆるアミノ酸位置は、当技術分野において認識される突然変異誘発方法(その一部は本明細書に記載されている)を使用して20個すべての天然アミノ酸で置き換えられる(一部の実施形態では、1回に1つ)。これは、クローンの小さいライブラリー(一部の実施形態では、分析されるあらゆるアミノ酸位置について1つ)を生成し、各々は、20個のメンバーの複雑性を有する(20個すべてのアミノ酸があらゆる位置において置換される場合)。
一部の実施形態では、スクリーニングされるライブラリーは、同じCDR中または2つもしくはより多くのCDR中にあってもよい2つまたはより多くの位置において置換を含む。そのため、ライブラリーは、1つのCDR中の2つまたはより多くの位置において置換を含んでもよい。ライブラリーは、2つまたはより多くのCDR中の2つまたはより多くの位置において置換を含んでもよい。ライブラリーは、3、4、5、またはより多くの位置において置換を含んでもよく、前記位置は、2、3、4、5または6個のCDR中に見出される。置換は、低冗長性コドンを使用して調製されてもよい。例えば、Balintら、1993、Gene 137(1):109~18のTable 2を参照。
CDRは、重鎖可変領域(VH)CDR3および/または軽鎖可変領域(VL)CDR3であってもよい。CDRは、VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、および/またはVL CDR3の1つまたは複数であってもよい。CDRは、Kabat CDR、Chothia CDR、拡張CDR、AbM CDR、接触CDR、またはコンフォメーションCDRであってもよい。
改善された結合を有する候補はシークエンシングされてもよく、それにより、改善された親和性を結果としてもたらすCDR置換突然変異体(「改善型」置換とも称される)が同定され得る。結合する候補もまたシークエンシングされてもよく、それにより、結合を保持するCDR置換が同定され得る。
複数ラウンドのスクリーニングが実行されてもよい。例えば、改善された結合を有する候補(各々は1つまたは複数のCDRの1つまたは複数の位置においてアミノ酸置換を含む)はまた、各々の改善されたCDR位置(すなわち、置換突然変異体が改善された結合を示したCDR中のアミノ酸位置)において少なくとも元々のおよび置換されたアミノ酸を含有する第2のライブラリーの設計のために有用である。このライブラリーの調製、およびスクリーニングまたは選択は、以下においてさらに議論される。
ライブラリースキャニング突然変異誘発はまたCDRを特徴付けるための手段を提供し、これは、改善された結合、同じ結合、減少した結合または無結合を有するクローンの頻度が、抗体-抗原複合体の安定性のための各々のアミノ酸位置の重要性に関する情報も提供する限りにおいて該当する。例えば、CDRの位置が、20個すべてのアミノ酸に変更された場合に結合を保持する場合に、その位置は、抗原結合のために要求される可能性が低い位置として同定される。反対に、CDRの位置が低いパーセンテージの置換においてのみ結合を保持する場合に、その位置は、CDR機能にとって重要な位置として同定される。そのため、ライブラリースキャニング突然変異誘発方法は、多くの異なるアミノ酸(20個すべてのアミノ酸を含む)に変更され得るCDR中の位置、および変更され得ないかまたは数個のアミノ酸にのみ変更され得るCDR中の位置に関する情報を生成する。
改善された親和性を有する候補は第2のライブラリーにおいて組み合わせられてもよく、第2のライブラリーは、改善されたアミノ酸、その位置における元々のアミノ酸を含み、所望されるか、または所望されるスクリーニングもしくは選択方法を使用して許容されるライブラリーの複雑性に依存して、その位置における追加の置換をさらに含んでもよい。追加的に、所望される場合、隣接するアミノ酸位置は、少なくとも2つまたはより多くのアミノ酸に無作為化され得る。隣接するアミノ酸の無作為化は、突然変異体CDRにおける追加のコンフォメーション柔軟性を許容することがあり、それは次いで、より多くの数の改善性突然変異の導入を許容または促進し得る。ライブラリーはまた、第1ラウンドのスクリーニングにおいて改善された親和性を示さなかった位置において置換を含んでもよい。
第2のライブラリーは、Kinexa(商標)バイオセンサー分析を使用するスクリーニング、ならびに、ファージディスプレイ、酵母ディスプレイ、およびリボソームディスプレイを含む、選択のための当技術分野において公知の任意の方法を使用する選択を含む、当技術分野において公知の任意の方法を使用して改善および/または変更された結合親和性を有するライブラリーメンバーについてスクリーニングまたは選択される。
本発明の抗体を発現させるために、VHおよびVL領域をコードするDNA断片が、上記される方法のいずれかを使用して最初に得られ得る。様々な改変、例えば突然変異、欠失、および/または付加もまた、当業者に公知の標準的な方法を使用してDNA配列に導入され得る。例えば、突然変異誘発は、標準的な方法、例えばPCR媒介突然変異誘発を使用して実行可能であり、その場合、突然変異型ヌクレオチドがPCRプライマーに組み込まれ、その結果、PCR生成物は、所望される突然変異または部位特異的突然変異誘発を含有する。
抗体のアミノ酸配列は、抗体の他に、増強または減少された活性および/または親和性を有するバリアントの特性に重大に影響しない機能的に同等の可変領域および/またはCDRを含むように改変され得る。そのような改変の例は、アミノ酸残基の保存的置換、抗体の機能的活性を重大に有害に変化させないか、またはその標的抗原に対する抗体の親和性を成熟させる(増強する)アミノ酸の1つまたは複数の欠失または付加を含む。
アミノ酸配列挿入は、1個の残基から100個またはより多くの残基を含有するポリペプチドまでの長さの範囲に及ぶアミノおよび/またはカルボキシル末端融合の他に、単一または複数のアミノ酸残基の配列内挿入を含む。末端挿入の例は、N末端メチオニル残基を有する抗体またはエピトープタグに融合した抗体を含む。抗体分子の他の挿入バリアントは、血液循環中での抗体の半減期を増加させる酵素またはポリペプチドの、抗体のNまたはC末端への融合を含む。
置換バリアントは、除去された抗体分子中の少なくとも1つのアミノ酸残基およびその場所に挿入された異なる残基を有する。置換突然変異誘発のための最大の関心対象となる部位は超可変領域を含むが、フレームワーク変更もまた企図される。保存的置換は、「保存的置換」の見出しの下で表1に示される。そのような置換が生物学的活性における変化を結果としてもたらす場合、表1において「例示的な置換」と命名されているか、またはアミノ酸クラスに関して以下にさらに記載されているより実質的な変化が導入され、生成物がスクリーニングされてもよい。
抗体の生物学的特性における実質的な改変は、(a)置換の区画におけるポリペプチド骨格の構造、例えば、β-シートもしくはらせん状コンフォメーション、(b)標的部位における分子の電荷もしくは疎水性、または(c)側鎖の嵩の維持に関する効果において重大に異なる置換を選択することにより達成される。天然に存在する残基は、共通の側鎖特性に基づいて群に分けられる:
(1)非極性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)電荷を有しない極性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
(3)酸性(負荷電性):Asp、Glu;
(4)塩基性(正荷電性):Lys、Arg;
(5)鎖配向に影響を及ぼす残基:Gly、Pro;および
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe、His。
(1)非極性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)電荷を有しない極性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
(3)酸性(負荷電性):Asp、Glu;
(4)塩基性(正荷電性):Lys、Arg;
(5)鎖配向に影響を及ぼす残基:Gly、Pro;および
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe、His。
非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーを別のクラスに交換することによりなされる。
例えば、なされ得る置換の1つの種類は、化学的に反応性であってもよい、抗体中の1つまたは複数のシステインを別の残基、例えば、限定なく、アラニンまたはセリンに変化させることである。例えば、非カノニカルなシステインの置換を行うことができる。置換は、可変ドメインのCDRもしくはフレームワーク領域中または抗体の定常領域中でなされ得る。一部の実施形態では、システインはカノニカルものである。抗体の適正なコンフォメーションの維持に関与しない任意のシステイン残基もまた、分子の酸化安定性を改善し、異常な架橋を予防するために、一般にセリンで置換されてもよい。反対に、特には抗体が抗体断片、例えばFv断片の場合に、その安定性を改善するために、システイン結合が抗体に付加されてもよい。
抗体はまた、例えば、抗体の結合特性を変更するために、例えば重鎖および/または軽鎖の可変ドメインにおいて改変されてもよい。可変領域中の変化は、結合親和性および/または特異性を変更することができる。一部の実施形態では、1~5個以下の保存的アミノ酸置換がCDRドメイン内でなされる。他の実施形態では、1~3個以下の保存的アミノ酸置換がCDRドメイン内でなされる。例えば、突然変異は、B7-H4に対する抗体のKDを増加もしくは減少させるため、koffを増加もしくは減少させるため、または抗体の結合特異性を変更するためにCDR領域の1つまたは複数においてなされてもよい。部位特異的突然変異誘発における技術は当技術分野において周知である。例えば、SambrookらおよびAusubelら、上掲を参照。
改変または突然変異はまた、B7-H4抗体の半減期を増加させるためにフレームワーク領域または定常領域中でなされてもよい。例えば、PCT国際公開第00/09560号パンフレットを参照。フレームワーク領域または定常領域中の突然変異はまた、抗体の免疫原性を変更するため、別の分子への共有結合もしくは非共有結合のための部位を提供するため、または補体固定、FcR結合および抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性のような特性を変更するためになされ得る。一部の実施形態では、1~5個以下の保存的アミノ酸置換がフレームワーク領域または定常領域内でなされる。他の実施形態では、1~3個以下の保存的アミノ酸置換がフレームワーク領域または定常領域内でなされる。本発明によれば、単一の抗体は、可変ドメインのCDRもしくはフレームワーク領域のいずれか1つもしくは複数においてまたは定常領域において突然変異を有してもよい。
組換え抗体 - グリコシル化修飾:
本明細書において提供される抗体の改変はまた、グリコシル化および非グリコシル化ポリペプチドの他に、他の翻訳後修飾、例えば、異なる糖でのグリコシル化、アセチル化、およびリン酸化などを有するポリペプチドを含む。抗体は、それらの定常領域中の保存された位置においてグリコシル化される(JefferisおよびLund、1997、Chem.Immunol. 65:111~128;WrightおよびMorrison、1997、TibTECH 15:26~32)。免疫グロブリンのオリゴ糖側鎖は、タンパク質の機能(Boydら、1996、Mol.Immunol. 32:1311~1318;WittweおよびHoward、1990、Biochem. 29:4175~4180)および糖タンパク質の部分の間の分子内相互作用に影響し、後者は、糖タンパク質のコンフォメーションおよび提示される3次元表面に影響し得る(JefferisおよびLund、上掲;WyssおよびWagner、1996、Current Opin.Biotech. 7:409~416)。オリゴ糖はまた、特有の認識構造に基づいて所与の糖タンパク質をある特定の分子に標的化するために役立ち得る。抗体のグリコシル化はまた、抗体依存性細胞傷害性(ADCC)に影響することが報告されている。特に、二分岐GlcNAcの形成を触媒するグリコシルトランスフェラーゼ、β(1,4)-N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnTIII)のテトラサイクリン調節性発現を有するCHO細胞により産生される抗体は、改善されたADCC活性を有することが報告された(Umanaら、1999、Nature Biotech. 17:176~180)。
本明細書において提供される抗体の改変はまた、グリコシル化および非グリコシル化ポリペプチドの他に、他の翻訳後修飾、例えば、異なる糖でのグリコシル化、アセチル化、およびリン酸化などを有するポリペプチドを含む。抗体は、それらの定常領域中の保存された位置においてグリコシル化される(JefferisおよびLund、1997、Chem.Immunol. 65:111~128;WrightおよびMorrison、1997、TibTECH 15:26~32)。免疫グロブリンのオリゴ糖側鎖は、タンパク質の機能(Boydら、1996、Mol.Immunol. 32:1311~1318;WittweおよびHoward、1990、Biochem. 29:4175~4180)および糖タンパク質の部分の間の分子内相互作用に影響し、後者は、糖タンパク質のコンフォメーションおよび提示される3次元表面に影響し得る(JefferisおよびLund、上掲;WyssおよびWagner、1996、Current Opin.Biotech. 7:409~416)。オリゴ糖はまた、特有の認識構造に基づいて所与の糖タンパク質をある特定の分子に標的化するために役立ち得る。抗体のグリコシル化はまた、抗体依存性細胞傷害性(ADCC)に影響することが報告されている。特に、二分岐GlcNAcの形成を触媒するグリコシルトランスフェラーゼ、β(1,4)-N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnTIII)のテトラサイクリン調節性発現を有するCHO細胞により産生される抗体は、改善されたADCC活性を有することが報告された(Umanaら、1999、Nature Biotech. 17:176~180)。
抗体のグリコシル化は、典型的には、N結合またはO結合のいずれかである。N結合は、アスパラギン残基の側鎖への炭水化物部分の取り付けを指す。トリペプチド配列アスパラギン-X-セリン、アスパラギン-X-スレオニン、およびアスパラギン-X-システイン(ここで、Xは、プロリンを除く任意のアミノ酸である)は、アスパラギン側鎖への炭水化物部分の酵素的取り付けのための認識配列である。そのため、ポリペプチド中のこれらのトリペプチド配列のいずれかの存在は、潜在的なグリコシル化部位を作り出す。O結合グリコシル化は、ヒドロキシアミノ酸、最も一般的にはセリンまたはスレオニンへの糖N-アセチルガラクトサミン、ガラクトース、またはキシロースの1つの取り付けを指すが、5-ヒドロキシプロリンまたは5-ヒドロキシリジンもまた使用され得る。
抗体へのグリコシル化部位の付加は、好都合には、アミノ酸配列を、それが上記されるトリペプチド配列の1つまたは複数を含有するように変更することにより達成される(N結合グリコシル化部位の場合)。変更はまた、元々の抗体の配列における1つまたは複数のセリンまたはスレオニン残基の付加、またはそれによる置換によりなされてもよい(O結合グリコシル化部位の場合)。
抗体のグリコシル化パターンはまた、基礎となるヌクレオチド配列を変更することなく変更されてもよい。グリコシル化は、概しては、抗体を発現させるために使用される宿主細胞に依存する。潜在的な治療剤としての組換え糖タンパク質、例えば抗体の発現のために使用される細胞タイプがネイティブな細胞であることはめったにないので、抗体のグリコシル化パターンにおけるバリエーションは予想され得る(例えばHseら、1997、J.Biol.Chem. 272:9062~9070を参照)。
宿主細胞の選択に加えて、抗体の組換え産生の間のグリコシル化に影響する要因は、増殖モード、培地処方、培養密度、酸素添加、pH、および精製スキームなどを含む。オリゴ糖生成に関与するある特定の酵素の導入または過剰発現を含む、特定の宿主生物において達成されるグリコシル化パターンを変更するための様々な方法が提案されている(米国特許第5,047,335号明細書;同第5,510,261号明細書および同第5,278,299号明細書)。グリコシル化、またはある特定の種類のグリコシル化は、例えば、エンドグリコシダーゼH(Endo H)、N-グリコシダーゼF、エンドグリコシダーゼF1、エンドグリコシダーゼF2、エンドグリコシダーゼF3を使用して、糖タンパク質から酵素的に除去され得る。追加的に、組換え宿主細胞は、ある特定の種類の多糖の処理において欠陥性であるように遺伝子操作され得る。これらのおよび類似した技術は当技術分野において周知である。
修飾の他の方法は、酵素的手段、酸化的置換およびキレート化を含むが、これらに限定されない、当技術分野において公知の連結技術を使用することを含む。修飾は、例えば、イムノアッセイ用の標識の取り付けのために使用され得る。修飾されたポリペプチドは、当技術分野において確立された手順を使用して作製され、その一部が以下および実施例において記載される、当技術分野において公知の標準的なアッセイを使用してスクリーニングされ得る。
組換え抗体 - 生殖系列化:
「生殖系列化」(germlining)として公知のプロセスにおいて、VHおよびVL配列中のある特定のアミノ酸は、生殖系列VHおよびVL配列中に天然に見出されるものにマッチするように突然変異され得る。特に、VHおよびVL配列中のフレームワーク領域のアミノ酸配列は、抗体が投与された場合の免疫原性のリスクを低減させるために生殖系列配列にマッチするように突然変異され得る。ヒトVHおよびVL遺伝子についての生殖系列DNA配列は当技術分野において公知である(例えば、「Vbase」ヒト生殖系列配列データベースを参照;Kabat,E.A.ら、1991、Sequences of Proteins of Immunological Interest、Fifth Edition、U.S.Department of Health and Human Services、NIH Publication No.91~3242;Tomlinsonら、1992、J.Mol.Biol. 227:776~798;およびCoxら、1994、Eur.J.Immunol. 24:827~836も参照)。
「生殖系列化」(germlining)として公知のプロセスにおいて、VHおよびVL配列中のある特定のアミノ酸は、生殖系列VHおよびVL配列中に天然に見出されるものにマッチするように突然変異され得る。特に、VHおよびVL配列中のフレームワーク領域のアミノ酸配列は、抗体が投与された場合の免疫原性のリスクを低減させるために生殖系列配列にマッチするように突然変異され得る。ヒトVHおよびVL遺伝子についての生殖系列DNA配列は当技術分野において公知である(例えば、「Vbase」ヒト生殖系列配列データベースを参照;Kabat,E.A.ら、1991、Sequences of Proteins of Immunological Interest、Fifth Edition、U.S.Department of Health and Human Services、NIH Publication No.91~3242;Tomlinsonら、1992、J.Mol.Biol. 227:776~798;およびCoxら、1994、Eur.J.Immunol. 24:827~836も参照)。
組換え抗体 - 易分解性部位の除去:
なされ得る別の種類のアミノ酸置換は、抗体中の潜在的なタンパク質分解部位を除去することである。そのような部位は、抗体の可変ドメインのCDRもしくはフレームワーク領域中または定常領域中に存在してもよい。システイン残基の置換およびタンパク質分解部位の除去は、抗体生成物における不均質性のリスクを減少させ、そのためその均質性を増加させ得る。別の種類のアミノ酸置換は、残基の1つまたは両方を変更することにより、潜在的な脱アミド部位を形成するアスパラギン-グリシンペアを排除することである。別の例において、本発明の抗体の重鎖のC末端リジンは切断され得る。本発明の様々な実施形態では、抗体の重鎖および軽鎖は、シグナル配列を含んでもよい。
なされ得る別の種類のアミノ酸置換は、抗体中の潜在的なタンパク質分解部位を除去することである。そのような部位は、抗体の可変ドメインのCDRもしくはフレームワーク領域中または定常領域中に存在してもよい。システイン残基の置換およびタンパク質分解部位の除去は、抗体生成物における不均質性のリスクを減少させ、そのためその均質性を増加させ得る。別の種類のアミノ酸置換は、残基の1つまたは両方を変更することにより、潜在的な脱アミド部位を形成するアスパラギン-グリシンペアを排除することである。別の例において、本発明の抗体の重鎖のC末端リジンは切断され得る。本発明の様々な実施形態では、抗体の重鎖および軽鎖は、シグナル配列を含んでもよい。
組換え抗体 - 様々な形態:
本発明のVHおよびVLセグメントをコードするDNA断片が得られたら、これらのDNA断片は、例えば可変領域遺伝子を全長抗体鎖遺伝子に、Fab断片遺伝子に、またはscFv遺伝子に変換するために、標準的な組換えDNA技術によりさらにマニピュレートされ得る。これらのマニピュレーションにおいて、VLまたはVHをコードするDNA断片は、別のタンパク質、例えば抗体定常領域または柔軟性リンカーをコードする別のDNA断片に作動可能に連結される。「作動可能に連結される」という用語は、この文脈において使用される場合、2つのDNA断片が、2つのDNA断片によりコードされるアミノ酸配列がインフレームのままであるように接合されることを意味することが意図される。
本発明のVHおよびVLセグメントをコードするDNA断片が得られたら、これらのDNA断片は、例えば可変領域遺伝子を全長抗体鎖遺伝子に、Fab断片遺伝子に、またはscFv遺伝子に変換するために、標準的な組換えDNA技術によりさらにマニピュレートされ得る。これらのマニピュレーションにおいて、VLまたはVHをコードするDNA断片は、別のタンパク質、例えば抗体定常領域または柔軟性リンカーをコードする別のDNA断片に作動可能に連結される。「作動可能に連結される」という用語は、この文脈において使用される場合、2つのDNA断片が、2つのDNA断片によりコードされるアミノ酸配列がインフレームのままであるように接合されることを意味することが意図される。
VH領域をコードする単離されたDNAは、VHをコードするDNAを、重鎖定常領域(CH1、CH2およびCH3)をコードする別のDNA分子に作動可能に連結することにより全長重鎖遺伝子に変換され得る。ヒト重鎖定常領域遺伝子の配列は当技術分野において公知であり(例えば、Kabat,E.A.ら、1991、Sequences of Proteins of Immunological Interest、Fifth Edition、U.S.Department of Health and Human Services、NIH Publication No.91~3242を参照)、これらの領域を包含するDNA断片は、標準的なPCR増幅により得られ得る。重鎖定常領域は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgE、IgMまたはIgD定常領域であり得るが、最も好ましくはIgG1またはIgG2定常領域である。IgG定常領域配列は、異なる個体の間で起こることが既知である様々なアレルまたはアロタイプ、例えばGm(1)、Gm(2)、Gm(3)、およびGm(17)のいずれかであり得る。これらのアロタイプは、IgG1定常領域中の天然に存在するアミノ酸置換を表す。Fab断片重鎖遺伝子について、VHをコードするDNAは、重鎖CH1定常領域のみをコードする別のDNA分子に作動可能に連結され得る。CH1重鎖定常領域は、重鎖遺伝子のいずれに由来してもよい。
VL領域をコードする単離されたDNAは、VLをコードするDNAを、軽鎖定常領域、CLをコードする別のDNA分子に作動可能に連結することにより全長軽鎖遺伝子(およびFab軽鎖遺伝子)に変換され得る。ヒト軽鎖定常領域遺伝子の配列は当技術分野において公知であり(例えば、Kabat,E.A.ら、1991、Sequences of Proteins of Immunological Interest、Fifth Edition、U.S.Department of Health and Human Services、NIH Publication No.91~3242を参照)、これらの領域を包含するDNA断片は、標準的なPCR増幅により得られ得る。軽鎖定常領域はカッパまたはラムダ定常領域であり得る。カッパ定常領域は、異なる個体の間で起こることが既知である様々なアレル、例えばInv(1)、Inv(2)、およびInv(3)のいずれかであってもよい。ラムダ定常領域は、3つのラムダ遺伝子のいずれに由来してもよい。
scFv遺伝子を作り出すために、VHおよびVLをコードするDNA断片は、柔軟性リンカーをコードする別の断片に作動可能に連結され、その結果、VHおよびVL配列は、VLおよびVH領域が柔軟性リンカーにより接合された、連続する一本鎖タンパク質として発現され得る(例えば、Birdら、1988、Science 242:423~426;Hustonら、1988、Proc.Natl.Acad.Sci. USA 85:5879~5883;McCaffertyら、1990、Nature 348:552~554を参照)。連結ペプチドの例は(GGGGS)3であり、これは、1つの可変領域のカルボキシ末端と他の可変領域のアミノ末端との間の約3.5nmをブリッジする。他の配列のリンカーが設計および使用されている(Birdら、1988、上掲)。リンカーは次いで、追加の機能、例えば薬物の取り付けまたは固体支持体への取り付けのために改変され得る。単鎖抗体は、単一のVHおよびVLのみが使用される場合に、一価、2つのVHおよびVLが使用される場合に、二価、または2つより多くのVHおよびVLが使用される場合に、多価であってもよい。標的抗原、例えばB7-H4、および別の分子に特異的に結合する二特異性または多価抗体が生成されてもよい。単鎖バリアントは、組換えまたは合成のいずれかにより産生され得る。scFvの合成的産生のために、自動合成装置が使用され得る。scFvの組換え産生のために、scFvをコードするポリヌクレオチドを含有する好適なプラスミドが、真核性、例えば酵母、植物、昆虫もしくは哺乳動物細胞、または原核性、例えば大腸菌(E.coli)のいずれかの、好適な宿主細胞に導入され得る。目的のscFvをコードするポリヌクレオチドは、常用のマニピュレーション、例えばポリヌクレオチドのライゲーションにより作製され得る。結果的なscFvは、当技術分野において公知の標準的なタンパク質精製技術を使用して単離され得る。
他の形態の単鎖抗体、例えばダイアボディもまた包含される。ダイアボディは、VHおよびVLが単一のポリペプチド鎖上に発現されるが、同じ鎖上の2つのドメインの間の対合を可能とするには短すぎるリンカーを使用することにより、該ドメインが別の鎖の相補的なドメインと対合し、2つの抗原結合部位を作り出すことを強制する、二価、二重特異性抗体である(例えば、Holliger,P.ら、1993、Proc.Natl.Acad Sci. USA 90:6444~6448;Poljak,R.J.ら、1994、Structure 2:1121~1123を参照)。
2つの共有結合的に接合された抗体を含むヘテロコンジュゲート抗体もまた本発明の範囲内である。そのような抗体は、免疫系細胞を望ましくない細胞に標的化するため(米国特許第4,676,980号明細書)、ならびにHIV感染症の処置(PCT国際公開第91/00360号パンフレットおよび国際公開第92/200373号パンフレット;欧州特許第03089号明細書)のために使用されている。ヘテロコンジュゲート抗体は、任意の好都合な架橋方法を使用して作製されてもよい。好適な架橋剤および技術は当技術分野において周知であり、米国特許第4,676,980号明細書に記載されている。
キメラまたはハイブリッド抗体はまた、架橋剤を伴うものを含む、合成タンパク質化学の公知の方法を使用してin vitroで調製されてもよい。例えば、免疫毒素は、ジスルフィド交換反応を使用してまたはチオエーテル結合を形成させることにより構築されてもよい。この目的のための好適な試薬の例は、イミノチオレートおよびメチル-4-メルカプトブチルイミデートを含む。
別のポリペプチドに連結されたモノクローナル抗体の全体または部分を含む融合抗体が作製されてもよい。一部の実施形態では、抗体の可変ドメインのみが他のポリペプチドに連結される。別の実施形態では、抗体のVHドメインは第1のポリペプチドに連結されると共に、抗体のVLドメインは第2のポリペプチドに連結され、VHおよびVLドメインが互いと相互作用して抗原結合部位を形成できるような方式において第2のポリペプチドは第1のポリペプチドと会合する。別の好ましい実施形態では、VHドメインは、リンカーによりVLドメインから分離されており、その結果、VHおよびVLドメインは互いと相互作用することができる。VH-リンカー-VL抗体は次に、目的の他のポリペプチドに連結される。追加的に、2つ(またはより多く)の単鎖抗体が互いに連結された融合抗体が作り出され得る。単一のポリペプチド鎖上に二価もしくは多価抗体を作り出すことを望む場合、または二重特異性抗体を作り出すことを望む場合に、これは有用である。
融合抗体は、当技術分野において公知の方法により、例えば、合成的にまたは組換えにより、作り出され得る。典型的には、融合抗体は、本明細書に記載される組換え法を使用してそれらをコードするポリヌクレオチドを調製し、発現させることにより作製されるが、それらはまた、例えば、化学合成を含む、当技術分野において公知の他の手段により調製されてもよい。
他の実施形態では、他の改変された抗体は、抗体をコードする核酸分子を使用して調製されてもよい。例えば、「カッパボディ」(Illら、1997、Protein Eng. 10:949~57)、「ミニボディ」(Martinら、1994、EMBO J. 13:5303~9)、「ダイアボディ」(Holligerら、上掲)、または「ジャヌシン」(Janusins)(Trauneckerら、1991、EMBO J. 10:3655-3659およびTrauneckerら、1992、Int.J.Cancer(Suppl.) 7:51~52)は、標準的な分子生物学技術を使用して本明細書の教示に従って調製されてもよい。
二重特異性抗体
二重特異性抗体を作製する方法は当技術分野において公知である(例えば、Sureshら、1986、Methods in Enzymology 121:210を参照)。例えば、二重特異性抗体または抗原結合断片は、ハイブリドーマの融合またはFab’断片の連結により産生され得る。例えば、Songsivilai & Lachmann、1990、Clin.Exp.Immunol. 79:315~321、Kostelnyら、1992、J.Immunol. 148:1547~1553を参照。伝統的に、二重特異性抗体の組換え産生は、2つの重鎖が異なる特異性を有する、2つの免疫グロブリン重鎖-軽鎖ペアの共発現に基づくものであった(MillsteinおよびCuello、1983、Nature 305、537~539)。追加的に、二重特異性抗体は、「ダイアボディ」または「ジャヌシン」として形成されてもよい。
二重特異性抗体を作製する方法は当技術分野において公知である(例えば、Sureshら、1986、Methods in Enzymology 121:210を参照)。例えば、二重特異性抗体または抗原結合断片は、ハイブリドーマの融合またはFab’断片の連結により産生され得る。例えば、Songsivilai & Lachmann、1990、Clin.Exp.Immunol. 79:315~321、Kostelnyら、1992、J.Immunol. 148:1547~1553を参照。伝統的に、二重特異性抗体の組換え産生は、2つの重鎖が異なる特異性を有する、2つの免疫グロブリン重鎖-軽鎖ペアの共発現に基づくものであった(MillsteinおよびCuello、1983、Nature 305、537~539)。追加的に、二重特異性抗体は、「ダイアボディ」または「ジャヌシン」として形成されてもよい。
二重特異性抗体を作製するための1つのアプローチによれば、所望される結合特異性を有する抗体可変ドメイン(抗体-抗原結合部位)は、免疫グロブリン定常領域配列に融合される。融合は、好ましくは、ヒンジ、CH2およびCH3領域の少なくとも部分を含む、免疫グロブリン重鎖定常領域とでなされる。軽鎖結合のために必要な部位を含有する、第1の重鎖定常領域(CH1)が融合物の少なくとも1つにおいて存在することが好ましい。免疫グロブリン重鎖融合物および、所望される場合、免疫グロブリン軽鎖をコードするDNAは、別々の発現ベクターに挿入され、好適な宿主生物に共トランスフェクトされる。これは、構築において使用される等しくない比の3つのポリペプチド鎖が最適な収率を提供する実施形態では3つのポリペプチド断片の相互の割合の調整における大きな柔軟性を提供する。しかしながら、等しい比の少なくとも2つのポリペプチド鎖の発現が高い収率を結果としてもたらす場合または比が特に重大性を持たない場合に2つまたは3つすべてのポリペプチド鎖のためのコーディング配列を1つの発現ベクターに挿入することが可能である。
1つのアプローチにおいて、二重特異性抗体は、1つのアーム中の第1の結合特異性を有するハイブリッド免疫グロブリン重鎖、および他のアーム中のハイブリッド免疫グロブリン重鎖-軽鎖ペア(第2の結合特異性を提供する)から構成される。二特異性分子の1つの半分においてのみ免疫グロブリン軽鎖を有する、この非対称構造は、望ましくない免疫グロブリン鎖の組み合わせからの所望される二特異性化合物の分離を促す。このアプローチは、PCT国際公開第94/04690号パンフレットに記載されている。
固体支持体に連結するための薬剤にコンジュゲートされた抗体
本発明はまた、固体支持体への連結を促す薬剤(例えばビオチンまたはアビジン)にコンジュゲート(例えば、連結)された抗体を含む組成物を提供する。簡便性のために、これらの方法は本明細書に記載される抗体の実施形態のいずれにも適用されるという理解と共に、参照は一般に抗体に対してなされる。コンジュゲーションは、本明細書に記載されているこれらの成分を連結することを一般に指す。連結(これらの成分を少なくとも投与のために近接した会合状態において一般に固定することである)は、多数の仕方で達成され得る。例えば、薬剤と抗体との間の直接的な反応は、各々が他方と反応する能力を有する置換基を有する場合に可能である。例えば、一方における求核基、例えばアミノまたはスルフヒドリル基は、他方におけるカルボニル含有基、例えば無水物もしくは酸ハロゲン化物、または良好な脱離基(例えば、ハロゲン化物)を含有するアルキル基と反応する能力を有し得る。
本発明はまた、固体支持体への連結を促す薬剤(例えばビオチンまたはアビジン)にコンジュゲート(例えば、連結)された抗体を含む組成物を提供する。簡便性のために、これらの方法は本明細書に記載される抗体の実施形態のいずれにも適用されるという理解と共に、参照は一般に抗体に対してなされる。コンジュゲーションは、本明細書に記載されているこれらの成分を連結することを一般に指す。連結(これらの成分を少なくとも投与のために近接した会合状態において一般に固定することである)は、多数の仕方で達成され得る。例えば、薬剤と抗体との間の直接的な反応は、各々が他方と反応する能力を有する置換基を有する場合に可能である。例えば、一方における求核基、例えばアミノまたはスルフヒドリル基は、他方におけるカルボニル含有基、例えば無水物もしくは酸ハロゲン化物、または良好な脱離基(例えば、ハロゲン化物)を含有するアルキル基と反応する能力を有し得る。
抗体は、多くの異なる担体に結合させることができる。担体は活性および/または不活性であり得る。周知の担体の例は、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレン、デキストラン、ナイロン、アミラーゼ、ガラス、天然および修飾セルロース、ポリアクリルアミド、アガロースならびにマグネタイトを含む。担体の性質は、本発明の目的のために可溶性または不溶性のいずれかであり得る。当業者は、抗体に結合するための他の好適な担体を知っているか、または、常用の実験を使用して、それを確認することができる。一部の実施形態では、担体は、肺、心臓、または心臓弁を標的化する部分を含む。
本発明の抗体またはポリペプチドは、標識化剤、例えば蛍光分子、放射性分子または当技術分野において公知の任意の他の標識に連結されてもよい。シグナルを一般に(直接的または間接的のいずれかで)提供する標識は当技術分野において公知である。
B7-H4抗体
本発明は、B7-H4に特異的に結合する抗体(「B7-H4抗体」)を提供する。本発明のB7-H4抗体は、以下の特徴:(a)ELISAアッセイにおいてプレートに結合したB7-H4に結合すること;(b)細胞ベースのアッセイにおいてB7-H4発現腫瘍細胞に結合すること;(c)腫瘍細胞がB7-H4を発現する場合にT細胞媒介性腫瘍細胞死滅における活性を呈すること;(d)B7-H4を発現する悪性腫瘍を有する対象において腫瘍成長または進行を阻害すること;(e)対象においてB7-H4を発現する悪性細胞と関連する状態の1つまたは複数の症状を処置し、予防し、寛解させることのいずれか1つを呈するべきである。
本発明は、B7-H4に特異的に結合する抗体(「B7-H4抗体」)を提供する。本発明のB7-H4抗体は、以下の特徴:(a)ELISAアッセイにおいてプレートに結合したB7-H4に結合すること;(b)細胞ベースのアッセイにおいてB7-H4発現腫瘍細胞に結合すること;(c)腫瘍細胞がB7-H4を発現する場合にT細胞媒介性腫瘍細胞死滅における活性を呈すること;(d)B7-H4を発現する悪性腫瘍を有する対象において腫瘍成長または進行を阻害すること;(e)対象においてB7-H4を発現する悪性細胞と関連する状態の1つまたは複数の症状を処置し、予防し、寛解させることのいずれか1つを呈するべきである。
B7-H4抗体は、当技術分野において公知の任意の方法により作製されてもよい。表2は、例示的な本発明のB7-H4抗体を記載する。表2に列記されるVH CDR1(重鎖可変領域CDR1)の各々はAbM CDR定義によるものである。表2に列記されるVH CDR2(重鎖可変領域CDR2)、VH CDR3(重鎖可変領域CDR3)、VLCDR1(軽鎖可変領域CDR1)、VL CDR2(軽鎖可変領域CDR2)、VLCDR3(軽鎖可変領域CDR3)配列の各々はKabat CDR定義によるものである。
よって、一部の実施形態では、本発明は、表2に記載されるB7-H4抗体のいずれか1つを提供する。
一部の実施形態では、本発明は、B7-H4抗体、またはB7-H4に結合するそのバリアント、またはB7-H4に結合するその抗原結合断片であって、B7-H4抗体が、表2に記載される抗体のVHおよびVLのアミノ酸配列と同じアミノ酸配列を有するVHおよびVLを含むものを提供する。
一部の実施形態では、本発明は、B7-H4抗体、またはB7-H4に結合するそのバリアント、またはB7-H4に結合するその抗原結合断片であって、B7-H4抗体が、
(i)VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3であって、6つのCDRの各々が、表2に記載される抗体のVHおよびVLの対応するCDRと同じアミノ酸配列を有するもの、
(ii)表2に記載される抗体のいずれかのVHの3つのCDR、または
(iii)表2に記載される抗体のいずれかのVLの3つのCDR
を含み、CDRが、Kabat定義、Chothia定義、AbM定義、またはKabatおよびChothia CDRの組み合わせ(「組み合わせCDR」または「拡張CDR」とも称される)に従って定義されるものを提供する。
(i)VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3であって、6つのCDRの各々が、表2に記載される抗体のVHおよびVLの対応するCDRと同じアミノ酸配列を有するもの、
(ii)表2に記載される抗体のいずれかのVHの3つのCDR、または
(iii)表2に記載される抗体のいずれかのVLの3つのCDR
を含み、CDRが、Kabat定義、Chothia定義、AbM定義、またはKabatおよびChothia CDRの組み合わせ(「組み合わせCDR」または「拡張CDR」とも称される)に従って定義されるものを提供する。
一部の実施形態では、本発明は、B7-H4抗体、またはB7-H4に結合するそのバリアント、またはB7-H4に結合するその抗原結合断片であって、B7-H4抗体が、VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3を含み、これらの各々が、表2に記載される抗体のいずれかの表2に列記される対応するCDRと同じアミノ酸配列を有するものを提供する。
一部の実施形態では、本発明は、表2に記載される抗体のいずれか1つとB7-H4への結合について競合するB7-H4抗体を提供する。
表3は、表2に列記されるB7-H4抗体、表4に列記されるCD3抗体および表5に列記されるB7-H4xCD3二重特異性抗体を含む、本発明の例示的な抗体の配列を、対応する配列識別子と共に、ならびに本発明の抗体を生成または試験するために使用されたB7-H4細胞外ドメインの配列を示す。いくつかのVHおよびVL配列、すなわち、配列番号106、108、139、161、167および172のKabat CDRは、下線を引いたアミノ酸配列として標識されており、Chothia CDRは太字のアミノ酸配列として標識されている。表2、表4および表5に記載される配列の他に、以下は、表3に含まれる一部の追加の配列の説明である。
配列番号1はヒトB7-H4タンパク質の細胞外ドメインのアミノ酸配列である。
配列番号2はカニクイザルB7-H4タンパク質の細胞外ドメインのアミノ酸配列である。
配列番号3はマウスB7-H4タンパク質の細胞外ドメインのアミノ酸配列である。
配列番号4はラットB7-H4タンパク質の細胞外ドメインのアミノ酸配列である。
抗体1156および抗体1167はB7-H4xCD3二重特異性抗体であり;両方は表5に記載されている。
配列番号186および187のそれぞれは、二重特異性抗体1156の第1のアーム(B7-H4アーム)の全長重鎖および全長軽鎖のアミノ酸配列である。
配列番号188および189のそれぞれは、二重特異性抗体1156、および二重特異性抗体1167の第2のアーム(CD3アーム)のそれぞれ全長重鎖および全長軽鎖のアミノ酸配列である。
配列番号190および191のそれぞれは、二重特異性抗体1167の第1のアーム(B7-H4アーム)のそれぞれ全長重鎖および全長軽鎖のアミノ酸配列である。
配列番号192は、二重特異性抗体1156の第1のアーム(B7-H4アーム)の全長重鎖をコードするヌクレオチド配列である。
配列番号193は、二重特異性抗体1156の第1のアーム(B7-H4アーム)の全長軽鎖をコードするヌクレオチド配列である。
配列番号194は、二重特異性抗体1156および1167の第2のアーム(CD3アーム)の全長重鎖をコードするヌクレオチド配列である。
配列番号195は、二重特異性抗体1156および1167の第2のアーム(CD3アーム)の全長軽鎖をコードするヌクレオチド配列である。
配列番号196は、二重特異性抗体1167の第1のアーム(B7-H4アーム)の全長重鎖をコードするヌクレオチド配列である。
配列番号197は、二重特異性抗体1167の第1のアーム(B7-H4アーム)の全長軽鎖をコードするヌクレオチド配列である。
配列番号198は、本明細書における抗体を作製する一般的方法において記載される(GGGGS)3ペプチドリンカーのアミノ酸配列である。
配列番号199は、二重特異性抗体1156の第1のアーム(B7-H4アーム)のKabat VH CDR1の配列である。
配列番号200は、二重特異性抗体1156の第1のアーム(B7-H4アーム)のChothia VH CDR1の配列である。
配列番号201は、二重特異性抗体1156の第1のアーム(B7-H4アーム)のChothia VH CDR2の配列である。
配列番号202は、二重特異性抗体1156および二重特異性抗体1167の第2のアーム(CD3アーム)のKabat VH CDR1の配列である。
配列番号203は、二重特異性抗体1156および二重特異性抗体1167の第2のアーム(CD3アーム)のChothia VH CDR1の配列である。
配列番号204は、二重特異性抗体1156および二重特異性抗体1167の第2のアーム(CD3アーム)のChothia VH CDR2の配列である。
配列番号205は、二重特異性抗体1167の第1のアーム(B7-H4アーム)のKabat VH CDR1の配列である。
配列番号206は、二重特異性抗体1167の第1のアーム(B7-H4アーム)のChothia VH CDR1の配列である。
配列番号207は、二重特異性抗体1167の第1のアーム(B7-H4アーム)のChothia VH CDR2の配列である。
配列番号208は、ヒトIgG2野生型IGHG2*01の定常領域1(CH1)、ヒンジ、CH2、およびCH3領域のアミノ酸配列である。
配列番号209は、ヒトIgG1野生型IGHG1*01のCH1、ヒンジ、CH2およびCH3領域のアミノ酸配列である。
配列番号210は、ヒトIgG4野生型IGHG4*01のCH1、ヒンジ、CH2およびCH3領域のアミノ酸配列である。
IGHG2*01、IGHG1*01およびIGHG4*01は、IMGT/Gene-DBのヒトIGHC群によるものである(Giudicelli,V.ら、Nucleic Acids Res.、33:D256~D261(2005))。
一部の実施形態では、本発明はまた、CDR接触領域に基づくB7-H4抗体のCDR部分を提供する。CDR接触領域は、抗原に対する抗体の特異性をもたらす抗体の領域である。一般に、CDR接触領域は、CDR中、および、抗体が特異的な抗原に結合するための適正なループ構造を維持するために制約されているベルニエゾーン(Vernier zones)中の残基位置を含む。例えば、Makabeら、J.Biol.Chem.、283:1156~1166、2007を参照。CDR接触領域の決定は十分に当技術分野の技術的範囲内である。
B7-H4、例えばhB7-H4の細胞外ドメインに対する本明細書に記載されているB7-H4抗体の結合親和性(KD)は約0.002nM~約6500nMであり得る。一部の実施形態では、結合親和性は、おおよそ、6500nm、6000nm、5986nm、5567nm、5500nm、4500nm、4000nm、3500nm、3000nm、2500nm、2134nm、2000nm、1500nm、1000nm、750nm、500nm、400nm、300nm、250nm、200nM、193nM、100nM、90nM、50nM、45nM、40nM、35nM、30nM、25nM、20nM、19nm、18nm、17nm、16nm、15nM、10nM、8nM、7.5nM、7nM、6.5nM、6nM、5.5nM、5nM、4nM、3nM、2nM、1nM、0.5nM、0.3nM、0.1nM、0.01nM、または0.002nMのいずれかである。一部の実施形態では、結合親和性は、おおよそ、約6500nm、6000nm、5500nm、5000nm、4000nm、3000nm、2000nm、1000nm、900nm、800nm、250nM、200nM、100nM、50nM、30nM、20nM、10nM、7.5nM、7nM、6.5nM、6nM、5nM、4.5nM、4nM、3.5nM、3nM、2.5nM、2nM、1.5nM、1nM、または0.5nMのいずれかより低い。
一部の実施形態では、本発明のB7-H4抗体は全長ヒト抗体である。
一部の実施形態では、本発明のB7-H4抗体は単鎖可変領域抗体(scFv)である。
一部の実施形態では、本発明のB7-H4抗体はダイアボディまたはミニボディである。
一部の実施形態では、本発明のB7-H4抗体は、B7-H4に結合する抗原結合部分を含む融合タンパク質であって、抗原結合部分が、VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3を含み、6つのCDRの各々が、表2に記載される抗体の対応するCDRと同じアミノ酸配列を有するものである。
一部の実施形態では、本発明は、B7-H4に特異的に結合する細胞外ドメイン、第1の膜貫通ドメイン、および細胞内シグナル伝達ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)を提供する。一部の実施形態では、細胞外ドメインは、VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3を含む単鎖Fv断片(ScFv)を含み、6つのCDRの各々は、表2に記載される抗体の対応するCDRと同じアミノ酸配列を有する。
本発明はまた、本明細書に開示される抗体のいずれかを作製する方法を提供する。本明細書において提供される抗体は、当技術分野において公知の手順により作製されてもよい。
B7-H4抗体コンジュゲート
本発明はまた、本明細書に記載されているB7-H4抗体、またはその抗原結合断片のコンジュゲート(またはイムノコンジュゲート)であって、抗体または抗原結合断片が、直接的にまたはリンカーを介して間接的に標的化された免疫療法のための薬剤(例えば、細胞傷害剤)にコンジュゲートされているもの(例えば、抗体-薬物コンジュゲート)を提供する。例えば、細胞傷害剤は、腫瘍(例えば、B7-H4発現腫瘍)への細胞傷害剤部分の標的化された局所送達のために本明細書に記載されているB7-H4抗体またはその抗原結合断片に連結またはコンジュゲートされ得る。
本発明はまた、本明細書に記載されているB7-H4抗体、またはその抗原結合断片のコンジュゲート(またはイムノコンジュゲート)であって、抗体または抗原結合断片が、直接的にまたはリンカーを介して間接的に標的化された免疫療法のための薬剤(例えば、細胞傷害剤)にコンジュゲートされているもの(例えば、抗体-薬物コンジュゲート)を提供する。例えば、細胞傷害剤は、腫瘍(例えば、B7-H4発現腫瘍)への細胞傷害剤部分の標的化された局所送達のために本明細書に記載されているB7-H4抗体またはその抗原結合断片に連結またはコンジュゲートされ得る。
抗体に細胞傷害剤または他の治療剤をコンジュゲートする方法は様々な刊行物に記載されている。例えば、化学修飾は、リジン側鎖アミンを通じて、またはコンジュゲーション反応が起こるように鎖間ジスルフィド結合を還元することにより活性化されたシステインスルフヒドリル基を通じて抗体においてなされ得る。例えば、Tanakaら、FEBS Letters 579:2092~2096、2005、およびGentleら、Bioconjugate Chem. 15:658~663、2004を参照。定義された化学量論での特有の薬物コンジュゲーションのために抗体の特有の部位において操作された反応性システイン残基もまた記載されている。例えば、Junutulaら、Nature Biotechnology、26:925~932、2008を参照。トランスグルタミナーゼおよびアミン(例えば、反応性アミンを含むかまたはそれに取り付けられた細胞傷害剤)の存在下でポリペプチド操作により反応性(すなわち、アシルドナーとして共有結合を形成する能力)とされたアシルドナーグルタミン含有タグまたは内因性グルタミンを使用するコンジュゲーションもまた国際公開第2012/059882号パンフレットおよび国際公開第2015015448号パンフレットに記載されている。
本発明のB7-H4抗体または抗原結合断片にコンジュゲートされ得る薬剤は、細胞傷害剤、免疫調節剤、イメージング剤、治療用タンパク質、バイオポリマー、またはオリゴヌクレオチドを含むが、これらに限定されない。
B7-H4抗体またはその抗原結合断片にコンジュゲートされ得る細胞傷害剤の例は、アントラサイクリン、アウリスタチン、ドラスタチン、コンブレタスタチン、デュオカルマイシン、ピロロベンゾジアゼピン二量体、インドリノ-ベンゾジアゼピン二量体、エンジイン、ゲルダナマイシン、メイタンシン、ピューロマイシン、タキサン、ビンカアルカロイド、カンプトテシン、チューブリシン、ヘミアスタリン、スプリセオスタチン、プラジエノライド、およびこれらの立体異性体、アイソスター、アナログ、または誘導体を含むが、これらに限定されない。
B7-H4抗体またはその抗原結合断片にコンジュゲートされ得る免疫調節剤の例は、ガンシクロビル、エタネルセプト、タクロリムス、シロリムス、ボクロスポリン、シクロスポリン、ラパマイシン、シクロホスファミド、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル、メソトレキセート、グルココルチコイドおよびそのアナログ、サイトカイン、幹細胞増殖因子、リンホトキシン、腫瘍壊死因子(TNF)、造血因子、インターロイキン(例えば、インターロイキン-1(IL-1)、IL-2、IL-3、IL-6、IL-10、IL-12、IL-18、およびIL-21)、コロニー刺激因子(例えば、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)および顆粒球マクロファージ-コロニー刺激因子(GM-CSF))、インターフェロン(例えば、インターフェロン-α、-βおよび-γ)、「S1因子」と呼称される幹細胞増殖因子、エリスロポエチンならびにトロンボポエチン、またはこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
B7-H4抗体またはその抗原結合断片にコンジュゲートされ得るイメージング剤(例えば、フルオロフォアまたはキレーター)の例は、例えば、フルオレセイン、ローダミン、ランタニドリン光体、およびそれらの誘導体、またはキレーターに結合した放射性同位体である。フルオロフォアの例は、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)(例えば、5-FITC)、フルオレセインアミダイト(FAM)(例えば、5-FAM)、エオシン、カルボキシフルオレセイン、エリスロシン、Alexa Fluor(登録商標)(例えば、Alexa 350、405、430、488、500、514、532、546、555、568、594、610、633、647、660、680、700、または750)、カルボキシテトラメチルローダミン(TAMRA)(例えば、5-TAMRA)、テトラメチルローダミン(TMR)、およびスルホローダミン(SR)(例えば、SR101)を含むが、これらに限定されない。キレーターの例は、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-N,N’,N’’,N’’’-四酢酸(DOTA)、1,4,7-トリアザシクロノナン-1,4,7-三酢酸(NOTA)、1,4,7-トリアザシクロノナン,1-グルタル酸-4,7-酢酸(デフェロキサミン)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、および1,2-ビス(o-アミノフェノキシ)エタン-N,N,N’,N’-四酢酸)(BAPTA)を含むが、これらに限定されない。
一部の実施形態では、薬剤は、毒素、ホルモン、酵素、および増殖因子を含むが、これらに限定されない、治療用タンパク質である。
毒素タンパク質(またはポリペプチド)の例は、ジフテリア(例えば、ジフテリアA鎖)、シュードモナス(Pseudomonas)エキソトキシンおよびエンドトキシン、リシン(例えば、リシンA鎖)、アブリン(例えば、アブリンA鎖)、モデシン(例えば、モデシンA鎖)、アルファ-サルシン、シナアブラギリ(Aleurites fordii)タンパク質、ジアンチンタンパク質、リボヌクレアーゼ(RNase)、DNase I、スタフィロコッカス(Staphylococcal)エンテロトキシン-A、ヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、ゲロニン、ジフテリア菌毒素、ヨウシュヤマゴボウ(Phytolacca americana)タンパク質(PAPI、PAPII、およびPAP-S)、ツルレイシ(momordica charantia)阻害剤、クルシン(curcin)、クロチン、サボンソウ(saponaria officinalis)阻害剤、ミトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン、フェノマイシン(phenomycin)、エノマイシン(enomycin)、トリコテセン、阻害剤シスチンノット(ICK)ペプチド(例えば、セラトトキシン)、ならびにコノトキシン(例えば、KIIIAまたはSmIIIa)を含むが、これらに限定されない。
一部の実施形態では、薬剤は生体適合性ポリマーである。本明細書に記載されているB7-H4抗体または抗原結合断片は、血清半減期および生物活性を増加させるため、ならびに/またはin vivo半減期を延長するために生体適合性ポリマーにコンジュゲートされ得る。生体適合性ポリマーの例は、水溶性ポリマー、例えばポリエチレングリコール(PEG)またはその誘導体および双性イオン含有生体適合性ポリマー(例えば、ホスホリルコリン含有ポリマー)を含む。
一部の実施形態では、薬剤は、オリゴヌクレオチド、例えばアンチセンスオリゴヌクレオチドである。
CD3抗体
本発明はさらに、CD3(例えば、ヒトCD3)に結合する抗体を提供する。
本発明はさらに、CD3(例えば、ヒトCD3)に結合する抗体を提供する。
一部の実施形態では、本発明は、CD3に特異的に結合する単離された抗体であって、
a)配列番号31のアミノ酸配列を有するVH、配列番号35のアミノ酸配列を有するVL、配列番号178のアミノ酸配列の重鎖定常領域(CH)および配列番号12のアミノ酸配列の軽鎖定常領域(CL);
b)配列番号110のアミノ酸配列を有するVH、配列番号113のアミノ酸配列を有するVL、配列番号180のアミノ酸配列のCHおよび配列番号12のアミノ酸配列のCL;
c)配列番号115のアミノ酸配列を有するVH、配列番号117のアミノ酸配列を有するVL、配列番号180のアミノ酸配列のCHおよび配列番号12のアミノ酸配列のCL;
d)配列番号106のアミノ酸配列を有するVH、配列番号108のアミノ酸配列を有するVL、配列番号182のアミノ酸配列のCHおよび配列番号12のアミノ酸配列のCL;
e)配列番号106のアミノ酸配列を有するVH、配列番号108のアミノ酸配列を有するVL、配列番号184のアミノ酸配列のCHおよび配列番号12のアミノ酸配列のCL;または
f)配列番号106のアミノ酸配列を有するVH、配列番号108のアミノ酸配列を有するVL、配列番号178のアミノ酸配列のCHおよび配列番号12のアミノ酸配列のCL
を含む、抗体を提供する。
a)配列番号31のアミノ酸配列を有するVH、配列番号35のアミノ酸配列を有するVL、配列番号178のアミノ酸配列の重鎖定常領域(CH)および配列番号12のアミノ酸配列の軽鎖定常領域(CL);
b)配列番号110のアミノ酸配列を有するVH、配列番号113のアミノ酸配列を有するVL、配列番号180のアミノ酸配列のCHおよび配列番号12のアミノ酸配列のCL;
c)配列番号115のアミノ酸配列を有するVH、配列番号117のアミノ酸配列を有するVL、配列番号180のアミノ酸配列のCHおよび配列番号12のアミノ酸配列のCL;
d)配列番号106のアミノ酸配列を有するVH、配列番号108のアミノ酸配列を有するVL、配列番号182のアミノ酸配列のCHおよび配列番号12のアミノ酸配列のCL;
e)配列番号106のアミノ酸配列を有するVH、配列番号108のアミノ酸配列を有するVL、配列番号184のアミノ酸配列のCHおよび配列番号12のアミノ酸配列のCL;または
f)配列番号106のアミノ酸配列を有するVH、配列番号108のアミノ酸配列を有するVL、配列番号178のアミノ酸配列のCHおよび配列番号12のアミノ酸配列のCL
を含む、抗体を提供する。
別の実施形態では、本発明は、CD3に特異的に結合する抗体であって、VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、およびVLCDR3を含み、各々が、表4に列記される抗体のいずれか1つの対応するCDRのアミノ酸配列と同じアミノ酸配列を有する、抗体を提供する。
別の実施形態では、本発明は、CD3に特異的に結合する抗体であって、表4に列記される抗体のいずれか1つのVHおよびVLのアミノ酸配列と同じアミノ酸配列を各々が有するVHおよびVHを含む、抗体を提供する。
表4は、本発明の例示的なCD3抗体を記載する。
B7-H4二重特異性抗体
本発明はまた、B7-H4および第2の抗原に特異的に結合する二重特異性抗体を提供する。
本発明はまた、B7-H4および第2の抗原に特異的に結合する二重特異性抗体を提供する。
第2の抗原
一部の実施形態では、第2の抗原は、ヒト免疫エフェクター細胞上に位置するエフェクター抗原である。ヒトエフェクター細胞上のエフェクター抗原の概念は当技術分野において周知である。例示的なエフェクター抗原は、CD3、CD16、NKG2D、NKp-46、CD2、CD28、CD25、CD64、およびCD89を含むが、これらに限定されない。
一部の実施形態では、第2の抗原は、ヒト免疫エフェクター細胞上に位置するエフェクター抗原である。ヒトエフェクター細胞上のエフェクター抗原の概念は当技術分野において周知である。例示的なエフェクター抗原は、CD3、CD16、NKG2D、NKp-46、CD2、CD28、CD25、CD64、およびCD89を含むが、これらに限定されない。
一部の実施形態では、第2の抗原はCD3である。
一部の実施形態では、第2の抗原は、標的細胞上の標的抗原(B7-H4以外)であり得、標的細胞は、ヒトにとってネイティブなまたは外来的な細胞であり得る。ネイティブな標的細胞において、細胞は、悪性細胞に形質転換されているか、または病的に改変されている(例えば、ウイルス、プラスモジウム、もしくは細菌に感染したネイティブな標的細胞)ものであってもよい。外来的な標的細胞において、細胞は、侵入病原体、例えば細菌、プラスモジウム、またはウイルスである。
標的抗原は、疾患状態(例えば、炎症性疾患、増殖性疾患(例えば、がん)、免疫学的障害、神経学的疾患、神経変性疾患、自己免疫疾患、感染性疾患(例えば、ウイルス感染症または寄生生物感染症)、アレルギー性反応、移植片対宿主病または宿主対移植片病)にある標的細胞上に発現される。標的抗原はエフェクター抗原ではない。標的抗原の例は、B7-H4、EpCAM(上皮細胞接着分子)、CCR5(ケモカイン受容体5型)、CD19、HER(ヒト上皮増殖因子受容体)-2/neu、HER-3、HER-4、EGFR(上皮増殖因子受容体)、PSMA、CEA、MUC-1(ムチン)、MUC2、MUC3、MUC4、MUC5AC、MUC5B、MUC7、CIhCG、Lewis-Y、CD20、CD33、CD30、ガングリオシドGD3、9-O-アセチル-GD3、GM2、Globo H、フコシルGM1、ポリSA、GD2、炭酸脱水酵素IX(MN/CA IX)、CD44v6、Shh(ソニックヘッジホッグ)、Wue-1、形質細胞抗原、(膜結合型)IgE、MCSP(黒色腫コンドロイチン硫酸プロテオグリカン)、CCR8、TNF-アルファ前駆体、STEAP、メソテリン、A33抗原、PSCA(前立腺幹細胞抗原)、Ly-6;デスモグレイン4、E-カドヘリンネオエピトープ、胎児アセチルコリン受容体、CD25、CA19-9マーカー、CA-125マーカーおよびMIS(ミュラー管阻害物質)受容体II型、sTn(シアル酸付加Tn抗原;TAG-72)、FAP(線維芽細胞活性化抗原)、エンドシアリン、EGFRvIII、LG、SASならびにCD63を含むが、これらに限定されない。
B7-H4xCD3二重特異性抗体
以下の表5は、B7-H4およびCD3の両方に特異的に結合する例示的な本発明の二重特異性抗体(「B7-H4xCD3二重特異性抗体」)の第1のアームおよび第2のアームの両方のCDR、定常領域および可変領域の配列番号を提供する。
以下の表5は、B7-H4およびCD3の両方に特異的に結合する例示的な本発明の二重特異性抗体(「B7-H4xCD3二重特異性抗体」)の第1のアームおよび第2のアームの両方のCDR、定常領域および可変領域の配列番号を提供する。
表5における二重特異性抗体の各々は、2つのアーム:B7-H4に結合する第1のアーム、およびCD3に結合する第2のアームを含む。第1のアームおよび第2のアームの両方の、重鎖CDR(VH CDR)、軽鎖CDR(VL CDR)、重鎖可変領域(VH)、軽鎖可変領域(VL)、重鎖定常領域(CH)および軽鎖定常領域(CL)の各々のアミノ酸配列の配列番号が表5に示されている。(表5に列記される配列番号の各々のアミノ酸配列は、本明細書における先行するセクションにおける表3に記載されている。)表5におけるVH CDR1配列の各々はAbM定義によるものであり、表5に列記されるVH CDR2、VH CDR3、VLCDR1、VL CDR2、VLCDR3配列の各々はKabat定義によるものである。
一部の実施形態では、本発明は、B7-H4およびCD3の両方に特異的に結合する二重特異性抗体であって、第1の軽鎖および第1の重鎖、ならびに第2の軽鎖および第2の重鎖を含み、第1の軽鎖および第1の重鎖が、B7-H4に結合する第1の抗原結合ドメインを含む第1のアームを形成し、第2の軽鎖および第2の重鎖が、CD3に結合する第2の抗原結合ドメインを含む第2のアームを形成する、二重特異性抗体を提供する。
一部の実施形態では、第1の重鎖はVHおよびCHを含み、第1の軽鎖はVLおよびCLを含み、第2の重鎖はVHおよびCHを含み、第2の軽鎖はVLおよびCLを含み、第1および第2の重鎖VHおよびCHならびに第1および第2の軽鎖VLおよびCLは、表5に列記される二重特異性抗体のいずれかのアミノ酸配列と同じアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、第1の軽鎖はVLを含み、第1の重鎖はVHを含み、第2の軽鎖はVLを含み、第2の重鎖はVHを含み、第1および第2の重鎖ならびに第1および第2の軽鎖のVHおよびVLの各々は、表5に列記される二重特異性抗体のいずれか1つのアミノ酸配列と同じアミノ酸配列を有する。
一部の実施形態では、第1の軽鎖は、VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3を含み、第1の重鎖は、VH CDR1、VH CDR2およびVH CDR3を含み、第2の軽鎖は、VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3を含み、第2の重鎖は、VH CDR1、VH CDR2およびVH CDR3を含み、本発明の二重特異性抗体の第1のアームおよび第2のアームのVL CDR1、VL CDR2、VL CDR3、VH CDR1、VH CDR2およびVH CDR3の各々は、表5に記載される二重特異性抗体のいずれか1つのそれぞれ第1のアームおよび第2のアームのVL CDR1、VL CDR2、VL CDR3、VH CDR1、VH CDR2およびVH CDR3のアミノ酸配列と同じアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、CDRは、Kabat定義、Chothia定義、AbM定義、またはKabatおよびChothia CDRの組み合わせ(「組み合わせCDR」もしくは「拡張CDR」とも称される)に従って定義される。
B7-H4抗体、CD3抗体およびB7-H4xCD3二重特異性抗体の定常領域
一部の実施形態では、本明細書において提供される抗体は1つまたは複数の定常領域を含む。一部の実施形態では、抗体は、例えば、全長ヒト抗体であり得る。一部の実施形態では、全長ヒト抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4アイソタイプを有する。一部の実施形態では、抗体は、免疫学的に不活性のFc領域を含むことができる。
一部の実施形態では、本明細書において提供される抗体は1つまたは複数の定常領域を含む。一部の実施形態では、抗体は、例えば、全長ヒト抗体であり得る。一部の実施形態では、全長ヒト抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4アイソタイプを有する。一部の実施形態では、抗体は、免疫学的に不活性のFc領域を含むことができる。
他に指定されなければ、ヒトIgG1、IgG2およびIgG4の定常領域の本明細書におけるすべての番号付けは、EU番号付けスキームによるものであり、それぞれ野生型ヒトIgG1、IgG2およびIgG4に関する。ヒトIgG1、IgG2およびIgG4のヒンジ-CH2領域の番号付けは、図1に記載および例示される通りである。IgG2、IgG1およびIgG4について図1において使用される配列は、IMGT/Gene-DB(IMGT/遺伝子-DB:Giudicelli,V.ら、Nucleic Acids Res.、33:D256~D261(2005). PMID:15608191)のヒトIGHC群からのIGHG2*01、IGHG1*01およびIGHG4*01のCH1、H、CH2およびCH3領域である。
一部の実施形態では、FcはヒトIgG4 Fcである。一部の実施形態では、本明細書において提供される抗体は、E233F234L235からP233V234A235への突然変異(Armourら、2003、Molecular Immunology 40 585~593)を含むIgG4(IgG4Δc)の定常領域を含むことができる。さらに別の実施形態では、Fcは、欠失G236を有するE233F234L235からP233V234A235へのヒトIgG4(IgG4Δb)であり得る。一部の実施形態では、Fcは、S228からP228へのヒンジ安定化突然変異を含有する任意のヒトIgG4 Fc(IgG4、IgG4ΔbまたはIgG4Δc)であり得る(Aalberseら、2002、Immunology 105、9~19)。
一部の実施形態では、FcはヒトIgG2 Fcである。一部の実施形態では、Fcは、A330P331からS330S331への突然変異を含有するヒトIgG2(IgG2Δa)であり、ここでおよび本段落の残りにおいて、アミノ酸残基は、野生型ヒトIgG2配列を参照しておよびEU番号付けスキームに従って番号付けされる。(Eur.J.Immunol.、1999、29:2613~2624)。一部の実施形態では、Fcは、D265Aの置換を有するヒトIgG2Δa Fcである。一部の実施形態では、抗体は、ヒトIgG2のヒンジ領域中の223、225、および228位(例えば、(C223EまたはC223R)、(E225R)、および(P228EまたはP228R))ならびにFc中、CH3領域中の409または368位(例えば、K409RまたはL368E)における突然変異をさらに含有する。図1は、EU番号付けスキームを組み込んだ、本明細書において使用されるヒトIgG2定常領域の特有の番号付けを示す。
一部の実施形態では、本発明の抗体は、ヒトFcガンマ受容体に対する増加もしくは減少した結合親和性を有するか、免疫学的に不活性もしくは部分的に不活性である、例えば、補体媒介性溶解をトリガーしないか、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性(ADCC)を刺激しないか、もしくはミクログリアを活性化させないか;または以下:補体媒介性溶解をトリガーすること、ADCCを刺激すること、もしくはミクログリアを活性化させることのいずれか1つもしくは複数において(非改変抗体と比較して)低減した活性を有する、改変された定常領域を含む。定常領域の異なる改変を使用して、エフェクター機能の最適なレベルおよび/または組み合わせを達成してもよい。例えば、Morganら、Immunology 86:319~324、1995;Lundら、J.Immunology 157:4963~4969、1996;Idusogieら、J.Immunology 164:4178~4184、2000;Taoら、J.Immunology 143:2595~2601、1989;およびJefferisら、Immunological Reviews 163:59~76、1998を参照。一部の実施形態では、定常領域は、Eur.J.Immunol.、1999、29:2613~2624;PCT国際公開第99/058572号パンフレットに記載されるように改変されている。
一部の実施形態では、本発明の抗体の定常領域は、Fcガンマ受容体および補体および免疫系との相互作用を回避するために改変され得る。そのような定常領域を有する抗体の調製のための技術は、国際公開第99/58572号パンフレットに記載されている。例えば、定常領域は、抗体がヒトにおける臨床試験および処置において使用される場合に免疫応答を回避するためにヒト定常領域により似るように操作されてもよい。例えば、米国特許第5,997,867号明細書および同第5,866,692号明細書を参照。
一部の実施形態では、定常領域は、N結合グリコシル化のために非グリコシル化される。一部の実施形態では、定常領域は、オリゴ糖取り付け残基および/または定常領域中のN-グリコシル化認識配列の部分である隣接残基を突然変異させることによりN結合グリコシル化のために非グリコシル化される。例えば、N-グリコシル化部位N297は、例えば、A、Q、K、またはHに突然変異されてもよい。Taoら、J.Immunology 143:2595~2601、1989;およびJefferisら、Immunological Reviews 163:59~76、1998を参照。一部の実施形態では、定常領域は、N結合グリコシル化のために非グリコシル化される。定常領域は、酵素的に(例えば酵素PNGaseによる炭水化物の除去)、またはグリコシル化欠損宿主細胞中での発現によりN結合グリコシル化のために非グリコシル化されてもよい。
一部の実施形態では、本発明の抗体は、PCT国際公開第99/58572号パンフレットに記載されている定常領域改変を含む。これらの抗体は、標的分子に方向付けられた結合ドメインに加えて、ヒト免疫グロブリン重鎖の定常領域の全体または部分に実質的に相同的なアミノ酸配列を有するエフェクタードメインを含む。これらの抗体は、標的の重大な補体依存性溶解、または細胞媒介性分解をトリガーすることなく標的分子に結合する能力を有する。一部の実施形態では、エフェクタードメインは、FcRnおよび/またはFcγRIIbに特異的に結合する能力を有する。これらは、典型的には、2つまたはより多くのヒト免疫グロブリン重鎖CH2ドメインに由来するキメラドメインに基づく。この方式において改変された抗体は、従来の抗体療法に対する炎症性のおよび他の有害な反応を回避するために、慢性抗体療法における使用のために特に好適である。
一部の実施形態では、本発明の抗体は、非改変の抗体と比較して増加したFcRnに対する結合親和性および/または増加した血清半減期を有する改変された定常領域を含む。
一部の実施形態では、本発明の抗体は、配列番号177、配列番号178、配列番号179、配列番号180、配列番号181、配列番号182、配列番号183、配列番号184、および配列番号185からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖定常領域を含む。
一部の実施形態では、本発明の抗体は、配列番号12または配列番号121のアミノ酸配列を含む軽鎖定常領域を含む。
一部の実施形態では、本発明のB7-H4xCD3二重特異性抗体は、第1の重鎖および第2の重鎖を含み、重鎖の各々はヒンジ領域を含有する。一部の実施形態では、重鎖のうちの1つのヒンジ領域はアミノ酸改変を含有し、置換するアミノ酸は、二重特異性抗体の他の重鎖のヒンジ領域中の対応するアミノ酸と反対の電荷を有する。このアプローチは、国際特許出願PCT/US2011/036419(国際公開第2011/143545号パンフレット)に記載されている。
一部の実施形態では、本発明のB7-H4xCD3二重特異性抗体は、第1および第2の免疫グロブリン様Fc領域を含み、二重特異性抗体は、第1および第2の免疫グロブリン様Fc領域の間のインターフェース(例えば、ヒンジ領域および/またはCH3領域)を変更または操作することにより増強される。このアプローチにおいて、二重特異性抗体はCH3領域から構成されていてもよく、CH3領域は、一緒になるように相互作用してCH3インターフェースを形成する第1のCH3ポリペプチドおよび第2のCH3ポリペプチドを含み、CH3インターフェース内の1つまたは複数のアミノ酸は、ホモ二量体形成を不安定化させ、ホモ二量体形成にとって静電気的に不都合ではない。このアプローチは、国際特許出願PCT/US2011/036419(国際公開第2011/143545号パンフレット)に記載されている。
一部の実施形態では、本発明のB7-H4xCD3二重特異性抗体は、B7-H4に対して方向付けられた抗体アームに対して操作されたグルタミン含有ペプチドタグおよび第2の抗原に対して方向付けられた抗体アームに対して操作された別のペプチドタグ(例えば、Lys含有ペプチドタグまたは反応性の内因性Lys)を含む。このアプローチは、国際特許出願PCT/IB2011/054899(国際公開第2012/059882号パンフレット)に記載されている。
一部の実施形態では、本発明の二重特異性抗体は、第1の軽鎖および第1の重鎖、ならびに第2の軽鎖および第2の重鎖を含む、全長ヒト抗体を含み、第1の軽鎖および第1の重鎖は、B7-H4に結合する第1の抗原結合ドメインを含む第1の抗体アームを形成し、第2の軽鎖および第2の重鎖は、CD3に結合する第2の抗原結合ドメインを形成する第2の抗体アームを形成する。一部の実施形態では、二重特異性抗体は全長ヒトIgG2である。一部の実施形態では、二重特異性抗体は、A330P331からS330S331への突然変異を含有する全長IgG2(IgG2Δa)である。一部の実施形態では、二重特異性抗体は、D265Aの突然変異をさらに含むヒトIgG2Δaである。一部の実施形態では、第1の重鎖は、223、228および/または368位におけるアミノ酸改変を含む。一部の実施形態では、第1の重鎖の223、228および368位におけるアミノ酸改変は、C223E、P228Eおよび/またはL368Eである。一部の実施形態では、第2の重鎖は、223、225、228および/または409位におけるアミノ酸改変を含む。一部の実施形態では、第2の重鎖の223、225、228および409位におけるアミノ酸改変は、C223R、E225R、P228Rおよび/またはK409Rである。
一部の実施形態では、二重特異性抗体は、全長ヒトIgG2Δa D265Aであり、第1の重鎖は、C223E、P228EおよびL368Eのアミノ酸改変をさらに含み、第2の重鎖は、C223R、E225R、P228RおよびK409Rのアミノ酸改変をさらに含む。本明細書におけるすべてのアミノ酸番号付けは、ヒトIgG2野生型およびEU番号付けスキーム(Eur.J.Immunol.、1999、29:2613~2624)によるものであり、図1に示される通りである。図1は、第1の重鎖定常領域(B7-H4結合アーム、上)、第2の重鎖定常領域(CD3結合アーム、中央)(両方はこの段落に記載されている)、およびヒトIgG2野生型定常領域(下)のアミノ酸配列のアライメントを描写する。
一部の実施形態では、二重特異性抗体の第1の重鎖は、配列番号181または配列番号177のアミノ酸配列を含む定常領域を含み、二重特異性抗体の第2の重鎖は、配列番号178のアミノ酸配列を含む定常領域を含む。
一部の実施形態では、二重特異性抗体の第1の重鎖および第2の重鎖は、ヒトIgG1のヒンジ領域中の221および228位(例えば、(D221RまたはD221E)および(P228RまたはP228E))ならびにCH3領域中の409または368位(例えば、K409RまたはL368E(EU番号付けスキーム))におけるアミノ酸改変を含む。
一部の実施形態では、二重特異性抗体の第1の重鎖および第2の重鎖は、ヒトIgG4のヒンジ領域中の228位(例えば、(P228EまたはP228R))およびCH3領域中の409または368位(例えば、R409またはL368E(EU番号付けスキーム))におけるアミノ酸改変を含む。
B7-H4抗体、B7-H4xCD3二重特異性抗体、およびB7-H4xCD3二重特異性抗体を含む、本発明の抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、抗体断片(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、Fcなど)、キメラ抗体、単鎖可変領域断片(ScFv)、これらの突然変異体、抗体部分(例えば、ドメイン抗体)を含む融合タンパク質、ヒト化抗体、ならびに、抗体のグリコシル化バリアント、抗体のアミノ酸配列バリアント、および共有結合的に修飾された抗体を含む、要求される特異性の抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子の任意の他の改変された構成を包含する。抗体は、マウス、ラット、ヒト、または任意の他の起源(キメラまたはヒト化抗体を含む)であってもよい。
ポリヌクレオチド、ベクターおよび宿主細胞
ポリヌクレオチド
本発明は、B7-H4xCD3二重特異性抗体を含むB7-H4抗体および本発明のCD3抗体をコードするポリヌクレオチド、ならびに前記ポリヌクレオチドを含むベクターおよび宿主細胞もまた提供する。
ポリヌクレオチド
本発明は、B7-H4xCD3二重特異性抗体を含むB7-H4抗体および本発明のCD3抗体をコードするポリヌクレオチド、ならびに前記ポリヌクレオチドを含むベクターおよび宿主細胞もまた提供する。
本発明は、本発明のポリヌクレオチドのいずれかを含む医薬組成物などの組成物もまた提供する。一部の実施形態では、組成物は、本明細書に記載される抗体のいずれかをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターを含む。一部の実施形態では、組成物は、配列番号196および配列番号197に示されるポリヌクレオチドの一方または両方を含む発現ベクターを含む。一部の実施形態では、組成物は、配列番号192および配列番号193に示されるポリヌクレオチドの一方または両方を含む。さらに一部の実施形態では、組成物は、配列番号194および配列番号195に示されるポリヌクレオチドの一方または両方を含む。
任意のこのような配列に相補的なポリヌクレオチドもまた、本発明によって包含される。ポリヌクレオチドは、一本鎖(コードもしくはアンチセンス)または二本鎖であってもよく、DNA(ゲノム、cDNAもしくは合成)またはRNA分子であってもよい。RNA分子には、イントロンを含有し、DNA分子と一対一対応するHnRNA分子、およびイントロンを含有しないmRNA分子が含まれる。さらなるコードまたは非コード配列は、本発明のポリヌクレオチド内に存在し得るが、その必要はなく、ポリヌクレオチドは、他の分子および/または支持物質と連結している場合があるが、その必要はない。
ポリヌクレオチドは、ネイティブな配列(すなわち、抗体もしくはその部分をコードする内因性配列)を含む場合があり、また、このような配列のバリアントを含む場合がある。ポリヌクレオチドバリアントは、コードされるポリペプチドの免疫反応性がネイティブな免疫反応性分子と比べて減少しないように、1つまたは複数の置換、付加、欠失および/または挿入を含有する。コードされるポリペプチドの免疫反応性に対する効果は、一般に、本明細書に記載されるように評価され得る。バリアントは、ネイティブな抗体またはその部分をコードするポリヌクレオチド配列と、好ましくは少なくとも約70%の同一性、より好ましくは少なくとも約80%の同一性、なおより好ましくは少なくとも約90%の同一性、最も好ましくは少なくとも約95%の同一性を示す。
2つのポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列は、2つの配列中のヌクレオチドまたはアミノ酸の配列が、以下に記載されるように最大の対応のためにアラインされる場合に同じである場合、「同一」であると言われる。2つの配列間の比較は、典型的には、配列類似性の局所的領域を同定および比較するために、比較ウインドウにわたり配列を比較することによって実施される。「比較ウインドウ」は、本明細書に使用する場合、少なくとも約20個の、通常は30~約75または40~約50個の連続する位置のセグメントを指し、ここで、配列は、2つの配列が最適にアラインされた後に、同じ数の連続する位置の参照配列と比較され得る。
比較のための配列の最適なアラインメントは、デフォルトのパラメーターを使用して、バイオインフォマティクスソフトウェアLasergeneスイート(DNASTAR,Inc.、Madison、WI)中のMegalignプログラムを使用して実施され得る。このプログラムは、以下の参考文献中に記載されるいくつかのアラインメントスキームを具体化している:Dayhoff,M.O.、1978、A model of evolutionary change in proteins-Matrices for detecting distant relationships.、Dayhoff,M.O.(編)Atlas of Protein Sequence and Structure、National Biomedical Research Foundation、Washington DC 5巻、補遺3、345~358頁;Hein J.、1990、Unified Approach to Alignment and Phylogenes 626~645頁 Methods in Enzymology 183巻、Academic Press,Inc.、San Diego、CA;Higgins,D.G.およびSharp,P.M.、1989、CABIOS 5:151~153;Myers,E.W.およびMuller W.、1988、CABIOS 4:11~17;Robinson,E.D.、1971、Comb.Theor.11:105;Santou,N.、Nes,M.、1987、Mol.Biol.Evol.4:406~425;Sneath,P.H.A.およびSokal,R.R.、1973、Numerical Taxonomy the Principles and Practice of Numerical Taxonomy、Freeman Press、San Francisco、CA;Wilbur,W.J.およびLipman,D.J.、1983、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80:726~730。
好ましくは、「配列同一性の百分率」は、少なくとも20個の位置の比較ウインドウにわたって、2つの最適にアラインされた配列を比較することによって決定され、ここで、比較ウインドウ中のポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列の部分は、2つの配列の最適なアラインメントのために、参照配列(これは、付加も欠失も含まない)と比較して、20パーセント以下、通常は5~15パーセント、または10~12パーセントの付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含み得る。百分率は、同一の核酸塩基またはアミノ酸残基が両方の配列中に存在する位置の数を決定してマッチした位置の数を得、マッチした位置の数を、参照配列中の位置の総数(すなわち、ウインドウサイズ)によって除算し、結果に100を乗算して配列同一性の百分率を得ることによって、計算される。
バリアントは、同様にまたは代替的に、ネイティブ遺伝子、またはその一部分もしくは相補体に対して実質的に相同であり得る。このようなポリヌクレオチドバリアントは、ネイティブ抗体をコードする天然に存在するDNA配列(または相補的な配列)に、中程度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることが可能である。
適切な「中程度にストリンジェントな条件」は、5×SSC、0.5% SDS、1.0mM EDTA(pH8.0)の溶液中で予洗すること;50℃~65℃、5×SSCで一晩のハイブリダイズすること;続いて、0.1%SDSを含有する2×、0.5×および0.2×のSSCの各々により65℃で20分間、2回洗浄することを含む。
本明細書に使用する場合、「高度にストリンジェントな条件」または「高いストリンジェンシーの条件」は、(1)洗浄のために、低いイオン強度および高い温度、例えば、50℃で、0.015M塩化ナトリウム/0.0015Mクエン酸ナトリウム/0.1%ドデシル硫酸ナトリウムを採用するもの;(2)ハイブリダイゼーションの間に、変性剤、例えば、ホルムアミド、例えば、50%(v/v)ホルムアミドを42℃で、750mM塩化ナトリウム、75mMクエン酸ナトリウムを有する0.1%ウシ血清アルブミン/0.1%Ficoll/0.1%ポリビニルピロリドン/50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.5)と共に採用するもの;または(3)42℃で、50%ホルムアミド、5×SSC(0.75M NaCl、0.075Mクエン酸ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH6.8)、0.1%ピロリン酸ナトリウム、5×デンハルト溶液、超音波処理したサケ精子DNA(50μg/ml)、0.1% SDSおよび10%デキストラン硫酸を採用し、0.2×SSC(塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム)中42℃および50%ホルムアミド中55℃で洗浄し、続いて、55℃でEDTA含有0.1×SSCからなる高いストリンジェンシーの洗浄を行うもの、である。当業者は、プローブ長さなどの要因に合わせるために必要に応じて、温度、イオン強度などを調整する方法を認識している。
遺伝コードの縮重の結果として、本明細書に記載されるポリペプチドをコードする多くのヌクレオチド配列があることが、当業者によって理解される。これらのポリヌクレオチドの一部は、任意のネイティブ遺伝子のヌクレオチド配列に対して最小の相同性を有する。それにもかかわらず、コドン使用頻度における差異に起因して変動するポリヌクレオチドが、本発明によって具体的に企図される。さらに、本明細書に提供されるポリヌクレオチド配列を含む遺伝子の対立遺伝子は、本発明の範囲内である。対立遺伝子は、ヌクレオチドの1つまたは複数の突然変異、例えば、欠失、付加および/または置換の結果として変更された内因性遺伝子である。得られたmRNAおよびタンパク質は、変更された構造または機能を有し得るが、その必要はない。対立遺伝子は、標準的な技術(例えば、ハイブリダイゼーション、増幅および/またはデータベース配列比較)を使用して同定され得る。
本発明のポリヌクレオチドを、化学的合成、組換え方法、またはPCRを用いて得ることができる。化学的ポリヌクレオチド合成の方法は、当該分野で周知であり、本明細書に詳細に記載する必要はない。当業者は、所望のDNA配列を産生するために、本明細書に提供される配列および市販のDNA合成機を使用することができる。
組換え方法を用いてポリヌクレオチドを調製するために、本明細書にさらに述べるように、所望の配列を含むポリヌクレオチドを、適切なベクター中に挿入することができ、このベクターを次いで、複製および増幅のために適切な宿主細胞中に導入することができる。ポリヌクレオチドは、当該分野で公知の任意の手段によって、宿主細胞中に挿入され得る。細胞は、直接的取込み、エンドサイトーシス、トランスフェクション、F因子接合(F-mating)またはエレクトロポレーションによって外因性ポリヌクレオチドを導入することによって形質転換される。導入された後、外因性ポリヌクレオチドを、非組込みベクター(例えば、プラスミド)として細胞内に維持することができ、または宿主細胞ゲノム中に組込むことができる。そうして増幅されたポリヌクレオチドを、当該分野で周知の方法によって、宿主細胞から単離することができる。例えば、Sambrookら、1989を参照のこと。
あるいは、PCRが、DNA配列の再生産を可能にする。PCR技術は、当該分野で周知であり、米国特許第4,683,195号、同第4,800,159号、同第4,754,065号および同第4,683,202号、ならびにPCR:The Polymerase Chain Reaction、Mullisら編、Birkauswer Press、Boston、1994に記載されている。
RNAは、適切なベクター中の単離されたDNAを使用し、それを適切な宿主細胞中に挿入することによって得ることができる。細胞が複製し、DNAがRNAに転写されると、このRNAを、次いで例えば、Sambrookら、1989、上記に示されるように、当業者に周知の方法を使用して単離することができる。
ベクター
適切なクローニングベクターは、標準的な技術により構築される場合、または当該分野で入手可能な多数のクローニングベクターから選択される場合がある。選択されるクローニングベクターは、使用が意図される宿主細胞により変動し得、有用なクローニングベクターは、一般に、自己複製する能力を有し、特定の制限エンドヌクレアーゼに対する単一の標的を有し得、および/またはベクターを含有するクローンを選択する際に使用することができるマーカーの遺伝子を有し得る。適切な例には、プラスミドおよび細菌ウイルス、例えば、pUC18、pUC19、Bluescript(例えば、pBSSK+)およびその誘導体、mp18、mp19、pBR322、pMB9、ColE1、pCR1、RP4、ファージDNA、ならびにシャトルベクター、例えば、pSA3およびpAT28が含まれる。これらおよび多くの他のクローニングベクターは、BioRad、StrategeneおよびInvitrogenなどの業者から入手可能である。
適切なクローニングベクターは、標準的な技術により構築される場合、または当該分野で入手可能な多数のクローニングベクターから選択される場合がある。選択されるクローニングベクターは、使用が意図される宿主細胞により変動し得、有用なクローニングベクターは、一般に、自己複製する能力を有し、特定の制限エンドヌクレアーゼに対する単一の標的を有し得、および/またはベクターを含有するクローンを選択する際に使用することができるマーカーの遺伝子を有し得る。適切な例には、プラスミドおよび細菌ウイルス、例えば、pUC18、pUC19、Bluescript(例えば、pBSSK+)およびその誘導体、mp18、mp19、pBR322、pMB9、ColE1、pCR1、RP4、ファージDNA、ならびにシャトルベクター、例えば、pSA3およびpAT28が含まれる。これらおよび多くの他のクローニングベクターは、BioRad、StrategeneおよびInvitrogenなどの業者から入手可能である。
発現ベクターは、一般に、本発明によるポリヌクレオチドを含有する複製可能なポリヌクレオチド構築物である。発現ベクターは、エピソームとして、または染色体DNAの統合された一部として、宿主細胞中で複製可能でなければならないことが含意される。適切な発現ベクターには、プラスミド、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルスを含むウイルスベクター、コスミド、およびPCT出願公開番号WO87/04462に開示される発現ベクターが含まれるが、これらに限定されない。ベクター構成成分には、一般に、以下のうち1つまたは複数が含まれ得るが、これらに限定されない:シグナル配列;複製起点;1つまたは複数のマーカー遺伝子;適切な転写制御エレメント(例えば、プロモーター、エンハンサーおよびターミネーター)。発現(すなわち、翻訳)のために、1つまたは複数の翻訳制御エレメント、例えば、リボソーム結合部位、翻訳開始部位および終止コドンもまた、通常必要とされる。
目的のポリヌクレオチドを有するベクターを、エレクトロポレーション、塩化カルシウム、塩化ルビジウム、リン酸カルシウム、DEAE-デキストランまたは他の物質を採用するトランスフェクション;微粒子銃;リポフェクション;および感染(例えば、ベクターが、ワクシニアウイルスなどの感染性因子である場合)を含むいくつかの適切な手段のいずれかによって、宿主細胞中に導入することができる。導入するベクターまたはポリヌクレオチドの選択は、宿主細胞の特徴に依存する場合が多い。
宿主細胞
本発明は、本明細書に記載されるポリヌクレオチドのいずれかを含む宿主細胞もまた提供する。異種DNAを過剰発現することが可能な任意の宿主細胞を、目的の抗体、ポリペプチドまたはタンパク質をコードする遺伝子を単離する目的で使用することができる。哺乳動物宿主細胞の非限定的な例には、COS、HeLaおよびCHO細胞が含まれるが、これらに限定されない。PCT出願公開番号WO87/04462もまた参照のこと。適切な非哺乳動物宿主細胞には、原核生物(例えば、大腸菌(E.coli)または枯草菌(B.subtilis))および酵母(例えば、出芽酵母(S.cerevisiae)、分裂酵母(S.pombe);またはK.ラクティス(K.lactis))が含まれる。好ましくは、宿主細胞は、存在する場合、宿主細胞中の目的の対応する内因性抗体またはタンパク質のcDNAよりも、約5倍高い、より好ましくは10倍高い、さらにより好ましくは20倍高いレベルでcDNAを発現する。B7-H4またはB7-H4ドメイン(例えばドメイン1~4)への特異的結合についての宿主細胞のスクリーニングは、イムノアッセイまたはFACSによってもたらされる。目的の抗体またはタンパク質を過剰発現する細胞を同定することができる。
本発明は、本明細書に記載されるポリヌクレオチドのいずれかを含む宿主細胞もまた提供する。異種DNAを過剰発現することが可能な任意の宿主細胞を、目的の抗体、ポリペプチドまたはタンパク質をコードする遺伝子を単離する目的で使用することができる。哺乳動物宿主細胞の非限定的な例には、COS、HeLaおよびCHO細胞が含まれるが、これらに限定されない。PCT出願公開番号WO87/04462もまた参照のこと。適切な非哺乳動物宿主細胞には、原核生物(例えば、大腸菌(E.coli)または枯草菌(B.subtilis))および酵母(例えば、出芽酵母(S.cerevisiae)、分裂酵母(S.pombe);またはK.ラクティス(K.lactis))が含まれる。好ましくは、宿主細胞は、存在する場合、宿主細胞中の目的の対応する内因性抗体またはタンパク質のcDNAよりも、約5倍高い、より好ましくは10倍高い、さらにより好ましくは20倍高いレベルでcDNAを発現する。B7-H4またはB7-H4ドメイン(例えばドメイン1~4)への特異的結合についての宿主細胞のスクリーニングは、イムノアッセイまたはFACSによってもたらされる。目的の抗体またはタンパク質を過剰発現する細胞を同定することができる。
タンパク質の発現および/または送達
発現ベクターを、B7-H4、CD3、または他の腫瘍抗原抗体の発現を指示するために使用することができる。当業者は、外因性タンパク質のin vivo発現を得るための発現ベクターの投与に精通している。例えば、米国特許第6,436,908号;同第6,413,942号;および同第6,376,471号を参照のこと。発現ベクターの投与には、注射、経口投与、パーティクルガンまたはカテーテル投与、および外用投与を含む局所または全身投与が含まれる。別の実施形態では、発現ベクターは、交感神経幹もしくは神経節に直接、または冠動脈、心房、心室、もしくは心膜内に投与される。
発現ベクターを、B7-H4、CD3、または他の腫瘍抗原抗体の発現を指示するために使用することができる。当業者は、外因性タンパク質のin vivo発現を得るための発現ベクターの投与に精通している。例えば、米国特許第6,436,908号;同第6,413,942号;および同第6,376,471号を参照のこと。発現ベクターの投与には、注射、経口投与、パーティクルガンまたはカテーテル投与、および外用投与を含む局所または全身投与が含まれる。別の実施形態では、発現ベクターは、交感神経幹もしくは神経節に直接、または冠動脈、心房、心室、もしくは心膜内に投与される。
発現ベクター、またはサブゲノムポリヌクレオチドを含有する治療用組成物の標的化送達もまた使用することができる。受容体媒介DNA送達技術は、例えば、Findeis ら、Trends Biotechnol.、1993、11:202;Chiouら、Gene Therapeutics:Methods And Applications Of Direct Gene Transfer、J.A.Wolff編、1994;Wuら、J.Biol.Chem.、263:621、1988;Wuら、J. Biol.Chem.、269:542、1994;Zenkeら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、87:3655、1990;およびWuら、J.Biol.Chem.、266:338、1991に記載されている。ポリヌクレオチドを含有する治療用組成物は、遺伝子療法プロトコルにおいて局所投与用DNAが約100ng~約200mgの範囲で投与される。DNAの濃度範囲約500ng~約50mg、約1μg~約2mg、約5μg~約500μg、および約20μg~約100μgもまた、遺伝子療法プロトコルの間に使用することができる。治療用ポリヌクレオチドおよびポリペプチドを、遺伝子送達ビヒクルを使用して送達することができる。遺伝子送達ビヒクルは、ウイルスまたは非ウイルス起原であり得る(一般に、Jolly、Cancer Gene Therapy、1:51、1994;Kimura、Human Gene Therapy、5:845、1994;Connelly、Human Gene Therapy、1995、1:185;およびKaplitt、Nature Genetics、6:148、1994を参照のこと)。このようなコード配列の発現を、内因性哺乳動物または異種プロモーターを使用して誘導することができる。コード配列の発現は、構成性または調節性のいずれかであり得る。
所望のポリヌクレオチドの送達および所望の細胞内での発現のためのウイルスベースのベクターは、当技術分野において周知である。例示的なウイルスベースのビヒクルには、組換えレトロウイルス(例えば、PCT出願公開番号WO90/07936;WO94/03622;WO93/25698;WO93/25234;WO93/11230;WO93/10218;WO91/02805;米国特許第5,219,740号および同第4,777,127号;GB特許第2,200,651号;ならびにEP特許第0345242号を参照のこと)、アルファウイルスベースのベクター(例えば、シンドビスウイルスベクター、セムリキ森林ウイルス(ATCC VR-67;ATCC VR-1247)、ロスリバーウイルス(ATCC VR-373;ATCC VR-1246)およびベネズエラウマ脳炎ウイルス(ATCC VR-923;ATCC VR-1250;ATCC VR 1249;ATCC VR-532))、およびアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター(例えば、PCT出願公開番号WO94/12649、WO93/03769;WO93/19191;WO94/28938;WO95/11984およびWO95/00655を参照のこと)が含まれるが、これらに限定されない。Curiel、Hum.Gene Ther.、1992、3:147に記載されているように、死滅アデノウイルスに連結されたDNAの投与も採用することができる。
死滅アデノウイルス単独に連結されたまたは連結されていないポリカチオン性凝縮DNA(例えば、Curiel、Hum.Gene Ther.、3:147、1992を参照のこと);リガンド連結DNA(例えば、Wu、J.Biol.Chem.、264:16985、1989を参照のこと);真核細胞送達ビヒクル細胞(例えば、米国特許第5,814,482号;PCT出願公開番号WO95/07994;WO96/17072;WO95/30763;およびWO97/42338を参照のこと)および核電荷中和または細胞膜との融合を含むが、これらに限定されない非ウイルス送達ビヒクルおよび方法も採用することができる。ネイキッドDNAもまた採用することができる。例示的なネイキッドDNA導入方法は、PCT出願公開番号WO90/11092および米国特許第5,580,859号に記載されている。遺伝子送達ビヒクルとして作用することができるリポソームは、米国特許第5,422,120号;PCT出願公開番号WO95/13796;WO94/23697;WO91/14445;およびEP0524968に記載されている。さらなるアプローチは、Philip、Mol.Cell Biol.、14:2411、1994およびWoffendin、Proc.Natl.Acad.Sci.、91:1581、1994に記載されている。
ATCC寄託
本発明の代表的な材料は、2020年6月19日にアメリカンタイプカルチャーコレクション(American Type Culture Collection)(ATCC)に寄託された。ATCC受入番号PTA-126779を有するベクターは、二重特異性抗体1167の完全長第1重鎖(B7-H4アーム)をコードするポリヌクレオチドを含有する。ATCC受入番号PTA-126781を有するベクターは、二重特異性抗体1167の完全長第1軽鎖(B7-H4アーム)をコードするポリヌクレオチドを含有する。ATCC受入番号PTA-126780を有するベクターは、二重特異性抗体1167の完全長第2重鎖(CD3アーム)をコードするポリヌクレオチドを含有する。ATCC受入番号PTA-126782を有するベクターは、二重特異性抗体1167の完全長第2軽鎖(CD3アーム)をコードするポリヌクレオチドを含有する。
本発明の代表的な材料は、2020年6月19日にアメリカンタイプカルチャーコレクション(American Type Culture Collection)(ATCC)に寄託された。ATCC受入番号PTA-126779を有するベクターは、二重特異性抗体1167の完全長第1重鎖(B7-H4アーム)をコードするポリヌクレオチドを含有する。ATCC受入番号PTA-126781を有するベクターは、二重特異性抗体1167の完全長第1軽鎖(B7-H4アーム)をコードするポリヌクレオチドを含有する。ATCC受入番号PTA-126780を有するベクターは、二重特異性抗体1167の完全長第2重鎖(CD3アーム)をコードするポリヌクレオチドを含有する。ATCC受入番号PTA-126782を有するベクターは、二重特異性抗体1167の完全長第2軽鎖(CD3アーム)をコードするポリヌクレオチドを含有する。
寄託は、特許手続き上の微生物の寄託の国際承認に関するブダペスト条約の条項およびその規則(ブダペスト条約)の規定の下で行われた。これは、寄託の日から30年間にわたって寄託物の生存可能な培養物の維持を保証する。寄託物は、Pfizer,Inc.とATCCとの間での同意を条件として、ブダペスト条約の条項の下でATCCによって入手可能にされ、これは、関連する米国特許の発行の際、または任意の米国もしくは外国の特許出願の公衆への公開の際のいずれか早い方の時点における、公衆への寄託物の培養物の子孫の恒久的かつ無制限の入手可能性を保証し、米国特許商標庁長官が米国特許法122条およびそれに従う長官規則(特に886 OG 638と関連した米国特許規則1.14を含む)に従って資格ありと決定した者への子孫の入手可能性を保証する。
本出願の譲受人は、寄託にかかる材料の培養物が、適切な条件下で培養した場合に万一死んだり失われたり破壊されたりしたときには、通知があり次第それらの材料が同一物の別のもので速やかに置き換えられることに同意している。寄託された材料の入手可能性は、その特許法に従って任意の政府の権限の下で与えられた権利に違反して本発明を実施することの許諾として解釈すべきではない。
本発明の抗体を作製する方法
本発明の抗体は、当技術分野において公知の、および本明細書に記載される、任意の方法によって作製され得る。
本発明の抗体は、当技術分野において公知の、および本明細書に記載される、任意の方法によって作製され得る。
例えば、本明細書に記載されるB7-H4抗体は、B7-H4への結合が検出および/または測定される、当技術分野において公知の方法を使用して同定または特徴付けすることができる。一部の実施形態では、B7-H4抗体は、B7-H4を用いて候補薬剤の結合アッセイを行うことによって同定される。結合アッセイは、精製B7-H4ポリペプチドを用いて、またはB7-H4ポリペプチドを自然に発現するもしくは発現するようにトランスフェクトされた細胞を用いて実行され得る。一実施形態では、結合アッセイは、候補抗体がB7-H4の結合を公知のB7-H4抗体と競合する能力が評価される競合結合アッセイである。アッセイは、ELISAフォーマットを含む様々なフォーマットで実行され得る。
最初の同定の後、標的付けられた生物学的活性を試験することが知られているバイオアッセイによって候補B7-H4抗体の活性をさらに確認し、精密化することができる。あるいは、バイオアッセイを使用して、候補を直接スクリーニングすることができる。抗体を同定および特徴付けするための方法の一部は、実施例に詳細に記載されている。
B7-H4抗体を、当技術分野において周知の方法を使用して特徴付けることができる。例えば、一方法は、それが結合するエピトープを同定すること、または「エピトープマッピング」である。例えば、HarlowおよびLane、Using Antibodies、a Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、New York、1999の第11章に記載されているように、抗体-抗原複合体の結晶構造を解析すること、競合アッセイ、遺伝子断片発現アッセイ、および合成ペプチドベースアッセイを含む、タンパク質上のエピトープの位置をマッピングおよび特徴付けするための当技術分野において公知の多くの方法がある。さらなる例では、エピトープマッピングを使用して、抗体が結合する配列を決定することができる。エピトープマッピングは、様々な供給業者、例えば、Pepscan Systems(Edelhertweg 15、8219 PH Lelystad、The Netherlands)から市販されている。エピトープは、線状エピトープ、すなわち、アミノ酸の単一ストレッチ内に含有されるもの、または単一ストレッチ内に必ずしも含有されない場合があるアミノ酸の三次元相互作用によって形成されるコンフォメーションエピトープであり得る。様々な長さ(例えば、少なくとも4~6アミノ酸長)のペプチドを単離または合成(例えば、組換え的に)し、B7-H4、CD3、または他の腫瘍抗原抗体による結合アッセイのために使用することができる。別の例では、B7-H4、CD3、または他の腫瘍抗原配列に由来する重複ペプチドを使用し、B7-H4、CD3、または他の腫瘍抗原抗体を用いた結合を決定することによる系統的スクリーニングで、B7-H4、CD3、または他の腫瘍抗原抗体が結合するエピトープを決定することができる。遺伝子断片発現アッセイによると、B7-H4、CD3、または他の腫瘍抗原をコードするオープンリーディングフレームが、ランダムに、または特異的な遺伝的構造によって断片化され、発現された、B7-H4、CD3、または他の腫瘍抗原の断片の被験抗体との反応性が決定される。遺伝子断片は、例えばPCRによって産生され、次いで転写され、放射性アミノ酸の存在下でタンパク質にin vitro翻訳され得る。抗体の放射性標識B7-H4、CD3、または他の腫瘍抗原断片への結合は、次いで、免疫沈降およびゲル電気泳動によって決定される。ある特定のエピトープをまた、ファージ粒子表面にディスプレイされたランダムペプチド配列の大規模ライブラリー(ファージライブラリー)を使用することによって同定することができる。あるいは、重複ペプチド断片の規定ライブラリーを、試験抗体との結合について単純な結合アッセイで試験することができる。さらなる例では、抗原結合ドメインの突然変異誘発、ドメインスワッピング実験およびアラニンスキャニング突然変異誘発を行って、エピトープ結合に要求される、十分な、および/または必要な残基を同定することができる。例えば、ドメインスワッピング実験を、B7-H4、CD3、または他の腫瘍抗原タンパク質の様々な断片が、別の種(例えばマウス)からのB7-H4または近縁であるが抗原的に別個のタンパク質(例えばB7-H3)からの配列と置換(スワップ)されている突然変異型B7-H4、CD3、または他の腫瘍抗原を使用して行うことができる。抗体の突然変異型B7-H4、CD3、または他の腫瘍抗原への結合を評価することによって、特定のB7-H4、CD3、または他の腫瘍抗原断片の抗体結合への重要性を評価することができる。
B7-H4、CD3、または他の腫瘍抗原抗体を特徴付けるために使用することができるなお別の方法は、同じ抗原、すなわちB7-H4、CD3、または他の腫瘍抗原の様々な断片に結合することが公知である他の抗体を用いた競合アッセイを使用して、B7-H4、CD3、または他の腫瘍抗原抗体が他の抗体と同じエピトープに結合するかを決定することである。競合アッセイは、当業者に周知である。
医薬組成物および製剤
本発明は、本発明の有効量のB7-H4抗体またはB7-H4xCD3二重特異性抗体を含む医薬組成物を提供する。医薬組成物は、様々な製剤の状態であり得る。
本発明は、本発明の有効量のB7-H4抗体またはB7-H4xCD3二重特異性抗体を含む医薬組成物を提供する。医薬組成物は、様々な製剤の状態であり得る。
本発明のB7-H4xCD3二重特異性抗体を含むB7-H4抗体の様々な製剤は、投与のために使用され得る。一部の実施形態では、抗体は、ニートで投与され得る。一部の実施形態では、抗体および薬学的に許容できる賦形剤は、様々な製剤の状態であり得る。薬学的に許容できる賦形剤は、当技術分野において公知である。適切な賦形剤には、安定化剤、湿潤および乳化剤、モル浸透圧濃度を変えるための塩類、封入剤、緩衝剤、および皮膚透過促進剤が含まれるが、これらに限定されない。賦形剤ならびに非経口および経口(nonparenteral)薬物送達のための製剤は、Remington、The Science and Practice of Pharmacy、第21版、Mack Publishing、2005に示されている。一部の実施形態では、これらの薬剤(賦形剤)は、注射(例えば、腹腔内、静脈内、皮下、筋肉内など)による投与のために製剤化される。従って、これらの薬剤を、薬学的に許容できるビヒクル、例えば、食塩水、リンゲル溶液、デキストロース溶液などと組み合わせることができる。特定の投薬レジメン、すなわち、用量、タイミングおよび反復は、特定の個体およびその個体の医療歴に依存する。
本発明の方法により使用される、本発明の、B7-H4xCD3二重特異性抗体を含むB7-H4抗体の治療用製剤は、所望の純度を有する抗体を随意の薬学的に許容できる担体、賦形剤または安定化剤(Remington、The Science and Practice of Pharmacy、第21版、Mack Publishing、2005)と混合することによって凍結乾燥製剤または水溶液の形態で保存のために調製される。許容できる担体、賦形剤、または安定化剤は、採用された投薬量および濃度でレシピエントに無毒であり、リン酸塩、クエン酸塩、および他の有機酸などの緩衝剤;塩化ナトリウムなどの塩;アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤;保存剤(例えば、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム塩化物;ヘキサメトニウム塩化物;ベンザルコニウム塩化物、ベンゼトニウム塩化物;フェノール、ブチルアルコールもしくはベンジルアルコール;アルキルパラベン、例えば、メチルパラベンもしくはプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;およびm-クレゾール);低分子量(約10残基未満の)ポリペプチド;タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えばポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えばグリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリジン;グルコース、マンノース、もしくはデキストリンを含む単糖、二糖、および他の炭水化物;キレート剤、例えばEDTA;糖、例えばスクロース、マンニトール、トレハロースもしくはソルビトール;塩形成対イオン、例えばナトリウム;金属錯体(例えばZn-タンパク質錯体);ならびに/または非イオン性界面活性剤、例えばTWEEN(商標)、PLURONICS(商標)もしくはポリエチレングリコール(PEG)を含み得る。
本発明の、B7-H4xCD3二重特異性抗体を含むB7-H4抗体を含有するリポソームは、当技術分野において公知の方法、例えば、Epsteinら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:3688、1985;Hwangら、Proc.Natl Acad.Sci.USA 77:4030、1980;ならびに米国特許第4,485,045号および同第4,544,545号に記載される方法によって調製される。増大した循環時間を有するリポソームは、米国特許第5,013,556号に開示されている。特に有用なリポソームを、ホスファチジルコリン、コレステロールおよびPEG誘導体化ホスファチジルエタノールアミン(PEG-PE)を含む脂質組成物を用いた逆相蒸発方法によって生成することができる。所望の直径のリポソームを得るために、リポソームは、規定の孔径のフィルターを通して押し出される。
活性成分はまた、例えば、コアセルベーション技術もしくは界面重合によって調製されたマイクロカプセル、例えば、それぞれヒドロキシメチルセルロースもしくはゼラチンマイクロカプセルおよびポリメタクリル酸メチルマイクロカプセル中に、コロイド薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロエマルション、ナノ粒子およびナノカプセル)中に、またはマクロエマルション中に内封される場合がある。このような技術は、Remington、The Science and Practice of Pharmacy、第21版、Mack Publishing、2005に開示されている。
徐放性製剤が調製される場合がある。徐放性製剤の適切な例には、抗体を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスであって、造形品、例えばフィルム、またはマイクロカプセルの形態の半透性マトリックスが含まれる。徐放性マトリックスの例には、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)、またはポリ(ビニルアルコール))、ポリ乳酸(米国特許第3,773,919号)、L-グルタミン酸と7エチル-L-グルタメートとのコポリマー、非分解性エチレン-酢酸ビニル、分解性乳酸-グリコール酸コポリマー、例えばLUPRON DEPOT(商標)(乳酸-グリコール酸コポリマーおよびロイプロリド酢酸塩から構成される注射用マクロスフェア)、スクロースアセテートイソブチレート、およびポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸が含まれる。
in vivo投与のために使用すべき製剤は、無菌でなければならない。これは例えば、無菌濾過メンブランを通した濾過によって容易に達成される。治療用抗体、例えば本発明の組成物のB7-H4xCD3二重特異性抗体を含むB7-H4抗体は、一般に、無菌アクセスポートを有する容器、例えば、静脈内溶液バッグまたは皮下注射針によって刺通可能なストッパーを有するバイアル中に入れられる。
本発明による組成物は、経口、非経口もしくは直腸投与、または吸入もしくは吹入による投与のためのユニット投薬剤形、例えば、錠剤、丸剤、カプセル剤、粉末、顆粒、溶液もしくは懸濁液、または坐剤の状態であり得る。
錠剤などの固体組成物を調製するために、活性主成分が薬学的担体、例えば従来の錠剤化成分、例えばコーンスターチ、ラクトース、スクロース、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウムまたはガム、および他の医薬希釈剤、例えば水と混合されて、本発明の化合物、またはその無毒の薬学的に許容できる塩の均一混合物を含有する固体事前製剤組成物を形成する。これらの事前製剤組成物を均一と称する場合、活性成分が組成物全体に均等に分散しており、その結果、組成物が、錠剤、丸剤およびカプセル剤などの等しく有効なユニット投薬剤形に容易に細分され得ることが意味される。次いで、この固体事前製剤組成物は、本発明の活性成分を0.1~約500mg含有する上記の種類のユニット投薬剤形に細分される。新規な組成物の錠剤または丸剤をコーティングして、または他の方法で配合して、長期作用の利点を与える投薬剤形を提供することができる。例えば、錠剤または丸剤は、内側投薬および外側投薬構成成分を含み、後者は、前者の外被の形態であってもよい。これら2つの構成成分は、胃内での崩壊に耐え、内側構成成分が十二指腸へとインタクトで通過するまたは放出を遅らせるように機能する腸溶層によって隔てられていてもよい。多様な材料をそのような腸溶層またはコーティングのために使用でき、そのような材料には、いくつかのポリマー酸およびポリマー酸とシェラック、セチルアルコールおよび酢酸セルロースなどの材料との混合物が含まれる。
適切な界面活性剤には、特に、非イオン性薬剤、例えばポリオキシエチレンソルビタン(例えば、Tween(商標)20、40、60、80または85)および他のソルビタン(例えば、Span(商標)20、40、60、80または85)が含まれる。界面活性剤を有する組成物は、0.05と5%との間の界面活性剤を好都合に含み、0.1と2.5%との間であり得る。必要ならば、他の成分、例えばマンニトールまたは他の薬学的に許容できるビヒクルが添加され得ることが認識されよう。
適切なエマルションは、市販の脂肪エマルション、例えば、Intralipid(商標)、Liposyn(商標)、Infonutrol(商標)、Lipofundin(商標)およびLipiphysan(商標)を使用して調製され得る。活性成分は、予混されたエマルション組成物中に溶解される場合があり、またはその代わりに油(例えば、ダイズ油、ベニバナ油、綿実油、ゴマ油、トウモロコシ油または扁桃油)ならびにリン脂質(例えば、卵リン脂質、ダイズリン脂質またはダイズレシチン)および水と混合したときに形成されるエマルション中に溶解される場合がある。エマルションの張性を調整するために他の成分、例えばグリセロールまたはグルコースが添加され得ることが認識される。適切なエマルションは、典型的には油を最大20%、例えば、5と20%との間で含有する。脂肪エマルションは、0.1と1.0μmとの間、特に0.1と0.5μmとの間の脂肪滴を含み、5.5~8.0の範囲のpHを有し得る。
エマルション組成物は、本発明のB7-H4xCD3二重特異性抗体を含むB7-H4抗体をIntralipid(商標)またはその構成成分(ダイズ油、卵リン脂質、グリセロールおよび水)と混合することによって調製されたものであり得る。
吸入または吹入のための組成物には、薬学的に許容できる水性もしくは有機溶媒、またはそれらの混合物中の溶液および懸濁液、ならびに粉末が含まれる。液体または固体組成物は、上記のような適切な薬学的に許容できる賦形剤を含有し得る。一部の実施形態では、組成物は、局所または全身効果のために経口または経鼻呼吸経路によって投与される。好ましくは無菌の薬学的に許容できる溶媒中の組成物は、気体の使用によって噴霧され得る。噴霧された溶液は、噴霧装置から直接呼吸される場合があり、または、噴霧装置は、フェースマスク、テントもしくは間欠的陽圧呼吸器に装着される場合がある。溶液、懸濁液または粉末組成物は、製剤を適切な方法で送達する装置から、好ましくは経口または経鼻滴に投与され得る。
本発明の抗体を使用する方法
本発明の抗体は、治療的処置方法および診断的処置方法を含むが、これらに限定されない様々な適用に有用である。
本発明の抗体は、治療的処置方法および診断的処置方法を含むが、これらに限定されない様々な適用に有用である。
治療的処置:
一態様では、本発明は、対象においてB7-H4発現と関連する状態を処置するための方法を提供する。別の態様では、本発明は、対象においてB7-H4発現と関連する状態を処置するための、B7-H4xCD3二重特異性抗体を含むB7-H4抗体、または本発明の、B7-H4xCD3二重特異性抗体を含むB7-H4抗体を含む医薬組成物を提供する。一部の実施形態では、対象においてB7-H4発現と関連する状態を処置する方法は、それを必要とする対象に、本発明のB7-H4xCD3二重特異性抗体を含むB7-H4抗体を含む有効量の医薬組成物を投与することを含む。一部の実施形態では、状態はがんである。本明細書に使用される場合、がんには、膀胱がん、乳がん、子宮頸がん、絨毛がん、結腸がん、食道がん、胃がん、神経膠芽腫、神経膠腫、脳腫瘍、頭頸部がん、腎がん、肺がん、口腔がん、卵巣がん、膵がん、前立腺がん、肝がん、子宮がん、骨がん、白血病、リンパ腫、肉腫、血液がん、甲状腺がん、胸腺がん、眼がん、および皮膚がんが含まれるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、がんは、乳がん、膀胱がん、子宮がんまたは卵巣がんである。
一態様では、本発明は、対象においてB7-H4発現と関連する状態を処置するための方法を提供する。別の態様では、本発明は、対象においてB7-H4発現と関連する状態を処置するための、B7-H4xCD3二重特異性抗体を含むB7-H4抗体、または本発明の、B7-H4xCD3二重特異性抗体を含むB7-H4抗体を含む医薬組成物を提供する。一部の実施形態では、対象においてB7-H4発現と関連する状態を処置する方法は、それを必要とする対象に、本発明のB7-H4xCD3二重特異性抗体を含むB7-H4抗体を含む有効量の医薬組成物を投与することを含む。一部の実施形態では、状態はがんである。本明細書に使用される場合、がんには、膀胱がん、乳がん、子宮頸がん、絨毛がん、結腸がん、食道がん、胃がん、神経膠芽腫、神経膠腫、脳腫瘍、頭頸部がん、腎がん、肺がん、口腔がん、卵巣がん、膵がん、前立腺がん、肝がん、子宮がん、骨がん、白血病、リンパ腫、肉腫、血液がん、甲状腺がん、胸腺がん、眼がん、および皮膚がんが含まれるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、がんは、乳がん、膀胱がん、子宮がんまたは卵巣がんである。
一部の実施形態では、それを必要とする対象に、本明細書に記載されるB7-H4xCD3二重特異性抗体を含むB7-H4抗体を含む有効量の医薬組成物を投与することを含む、(1)B7-H4を発現する悪性細胞を有する対象において腫瘍の成長もしくは進行を阻害する、(2)対象においてB7-H4を発現する転移細胞を阻害する、または(3)対象において悪性細胞での腫瘍退縮を誘導する、方法、およびそのためのB7-H4xCD3二重特異性抗体を含むB7-H4抗体、または医薬組成物が提供される。
一部の実施形態では、それを必要とする対象に、本明細書に記載される、B7-H4xCD3二重特異性抗体を含むB7-H4抗体を含む有効量の医薬組成物を投与することを含む、対象において自己免疫障害を処置する方法、およびそのためのB7-H4xCD3二重特異性抗体を含むB7-H4抗体または医薬組成物が提供される。本明細書に用いられる場合、自己免疫障害には、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、糖尿病(I型)、多発性硬化症、アジソン病、セリアック病、皮膚筋炎、グレーヴス病、橋本甲状腺炎、橋本脳症、重症筋無力症、悪性貧血、反応性関節炎、シェーグレン症候群、急性散在性脳脊髄炎、無ガンマグロブリン血症、筋萎縮性側索硬化症、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群、抗シンテターゼ症候群、アトピー性アレルギー、アトピー性皮膚炎、自己免疫性腸症、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性内耳疾患、自己免疫性リンパ増殖症候群、自己免疫性末梢神経障害、自己免疫性膵炎、自己免疫性多内分泌腺症候群、自己免疫性プロゲステロン皮膚炎、自己免疫性血小板減少性紫斑病、自己免疫性蕁麻疹、自己免疫性ブドウ膜炎、ベーチェット病、キャッスルマン病、寒冷凝集素症、クローン病、皮膚筋炎、好酸球性筋膜炎、胃腸類天疱瘡、グッドパスチャー症候群、ギラン・バレー症候群、化膿性汗腺炎、特発性血小板減少性紫斑病、ナルコレプシー、尋常性天疱瘡、悪性貧血、多発性筋炎、原発性胆汁性肝硬変、再発性多発軟骨炎、リウマチ熱、側頭動脈炎、横断性脊髄炎、潰瘍性大腸炎、未分化結合組織病、血管炎およびウェゲナー肉芽腫症が含まれるが、これらに限定されない。
診断的処置:
別の態様では、B7-H4発現と関連する状態を検出、診断、および/またはモニタリングする方法が提供される。例えば、本明細書に記載される、B7-H4xCD3二重特異性抗体を含むB7-H4抗体を、イメージング剤および酵素-基質標識などの検出可能部分で標識することができる。本明細書に記載される抗体はまた、in vivoイメージング(例えば、PETもしくはSPECT)、または染色試薬のようにin vivo診断アッセイのために使用することができる。あるいは、この方法は、in vitroまたはex vivo診断アッセイのために使用され得る。
別の態様では、B7-H4発現と関連する状態を検出、診断、および/またはモニタリングする方法が提供される。例えば、本明細書に記載される、B7-H4xCD3二重特異性抗体を含むB7-H4抗体を、イメージング剤および酵素-基質標識などの検出可能部分で標識することができる。本明細書に記載される抗体はまた、in vivoイメージング(例えば、PETもしくはSPECT)、または染色試薬のようにin vivo診断アッセイのために使用することができる。あるいは、この方法は、in vitroまたはex vivo診断アッセイのために使用され得る。
一態様では、診断に使用するための、好ましくはB7-H4発現と関連する状態の診断に使用するための、本明細書に記載される、B7-H4xCD3二重特異性抗体を含むB7-H4抗体が提供される。
送達経路:
本発明のB7-H4xCD3二重特異性抗体を含むB7-H4抗体を、任意の適切な経路を介して個体に投与することができる。したがって、一部の実施形態では、抗体は、静脈内投与、例えば、ボーラスとしての、もしくはある期間にわたる持続注入による静脈内投与、筋肉内、腹腔内、脳脊髄内、頭蓋内、経皮、皮下、関節内、舌下、滑液嚢内経路により、吹入、くも膜下腔内、経口、吸入または外用経路を介してなどの公知の方法により個体に投与される。投与は、全身、例えば、静脈内投与、または局所であり得る。ジェットネブライザーおよび超音波ネブライザーを含む、液体製剤のための市販の噴霧器は、投与に有用である。液体製剤を直接噴霧することができ、凍結乾燥粉末を再構成後に噴霧することができる。あるいは、抗体は、フルオロカーボン製剤および定量噴霧式吸入器を使用してエアロゾル化することができ、または、凍結乾燥され、粉砕された粉末として吸入することができる。
本発明のB7-H4xCD3二重特異性抗体を含むB7-H4抗体を、任意の適切な経路を介して個体に投与することができる。したがって、一部の実施形態では、抗体は、静脈内投与、例えば、ボーラスとしての、もしくはある期間にわたる持続注入による静脈内投与、筋肉内、腹腔内、脳脊髄内、頭蓋内、経皮、皮下、関節内、舌下、滑液嚢内経路により、吹入、くも膜下腔内、経口、吸入または外用経路を介してなどの公知の方法により個体に投与される。投与は、全身、例えば、静脈内投与、または局所であり得る。ジェットネブライザーおよび超音波ネブライザーを含む、液体製剤のための市販の噴霧器は、投与に有用である。液体製剤を直接噴霧することができ、凍結乾燥粉末を再構成後に噴霧することができる。あるいは、抗体は、フルオロカーボン製剤および定量噴霧式吸入器を使用してエアロゾル化することができ、または、凍結乾燥され、粉砕された粉末として吸入することができる。
一実施形態では、抗体は、部位特異的または標的局所送達技術を介して投与される。部位特異的または標的局所送達技術の例には、抗体の様々な埋め込み可能デポー源または局所送達カテーテル、例えば注入カテーテル、留置カテーテル、もしくは針カテーテル、人工血管、外膜ラップ、シャントおよびステント、または他の埋込み可能装置、部位特異的担体、直接注射、または直接適用が含まれる。例えば、PCT出願公開番号WO00/53211および米国特許第5,981,568号を参照のこと。
投薬量:
本発明のB7-H4xCD3二重特異性抗体を含むB7-H4抗体は、注射(例えば、腹腔内、静脈内、皮下、筋肉内など)を含む任意の適切な方法を使用して投与することができる。抗体はまた、本明細書に記載されるように吸入を介して投与することができる。一般に、抗体の投与のために、最初の候補投薬量は約2mg/kgであり得る。本発明のために、典型的な1日投薬量は、上述の要因に応じて、およそ、3μg/kgから30μg/kg、300μg/kg、3mg/kg、30mg/kg、100mg/kg、またはそれ以上のいずれかまでの範囲であり得る。例えば、約1mg/kg、約2.5mg/kg、約5mg/kg、約10mg/kg、および約25mg/kgの投薬量が使用され得る。数日以上にわたる繰り返し投与について、状態に応じて、処置は、症状の所望の抑制が起きるまで、または例えば、腫瘍成長/進行もしくはがん細胞の転移を阻害もしくは遅延させるために、十分な治療レベルが達成されるまで持続される。例示的な投与レジメンは、抗体の初回用量約2mg/kgを投与し、毎週の維持用量約1mg/kgが続く、または隔週の維持用量約1mg/kgが続くことを含む。他の例示的な投与レジメンは、漸増用量を投与することを含む(例えば、初回用量は1mg/kgであり、毎週またはより長い期間毎に1つまたは複数のより高い用量へと徐々に増加させる)。開業医が達成を望む薬物動態学的崩壊パターンに応じて、他の投薬レジメンもまた有用であり得る。例えば、一部の実施形態では、週に1~4回の投与が企図される。他の実施形態では、月1回または隔月1回または3か月毎の投与が企図される。この治療法の進歩は、従来の技術およびアッセイによって容易にモニタリングされる。抗体の投与レジメンは、時間と共に変動し得る。
本発明のB7-H4xCD3二重特異性抗体を含むB7-H4抗体は、注射(例えば、腹腔内、静脈内、皮下、筋肉内など)を含む任意の適切な方法を使用して投与することができる。抗体はまた、本明細書に記載されるように吸入を介して投与することができる。一般に、抗体の投与のために、最初の候補投薬量は約2mg/kgであり得る。本発明のために、典型的な1日投薬量は、上述の要因に応じて、およそ、3μg/kgから30μg/kg、300μg/kg、3mg/kg、30mg/kg、100mg/kg、またはそれ以上のいずれかまでの範囲であり得る。例えば、約1mg/kg、約2.5mg/kg、約5mg/kg、約10mg/kg、および約25mg/kgの投薬量が使用され得る。数日以上にわたる繰り返し投与について、状態に応じて、処置は、症状の所望の抑制が起きるまで、または例えば、腫瘍成長/進行もしくはがん細胞の転移を阻害もしくは遅延させるために、十分な治療レベルが達成されるまで持続される。例示的な投与レジメンは、抗体の初回用量約2mg/kgを投与し、毎週の維持用量約1mg/kgが続く、または隔週の維持用量約1mg/kgが続くことを含む。他の例示的な投与レジメンは、漸増用量を投与することを含む(例えば、初回用量は1mg/kgであり、毎週またはより長い期間毎に1つまたは複数のより高い用量へと徐々に増加させる)。開業医が達成を望む薬物動態学的崩壊パターンに応じて、他の投薬レジメンもまた有用であり得る。例えば、一部の実施形態では、週に1~4回の投与が企図される。他の実施形態では、月1回または隔月1回または3か月毎の投与が企図される。この治療法の進歩は、従来の技術およびアッセイによって容易にモニタリングされる。抗体の投与レジメンは、時間と共に変動し得る。
本発明のために、本発明のB7-H4xCD3二重特異性抗体を含むB7-H4抗体の適切な投薬量は、処置すべき症状の種類および重症度、薬剤が治療目的で投与されるか、以前の治療法、患者の臨床歴および薬剤に対する応答、投与された薬剤に対する患者のクリアランス速度、ならびに担当医の判断に依存する。典型的に、臨床医は、所望の結果を達成する投薬量に達するまで抗体を投与する。用量および/または頻度は、処置の経過にわたり変動し得る。経験的考慮事項、例えば半減期は、一般に、投薬量の決定に貢献する。例えば、ヒト免疫系と適合性の抗体、例えばヒト化抗体または完全ヒト抗体が、抗体の半減期を延長するため、および抗体が宿主免疫系によって攻撃されることを防止するために使用され得る。投与頻度は、治療の経過にわたり決定され、調整される場合があり、一般に、症状の処置および/または抑制および/または改善および/または遅延、例えば、腫瘍成長阻害または遅延などに基づくが、その必要はない。あるいは、抗体の連続徐放製剤が適切であり得る。徐放を達成するための様々な製剤および装置が、当技術分野において公知である。
一実施形態では、本発明のB7-H4xCD3二重特異性抗体を含むB7-H4抗体についての投薬量は、抗体の1つまたは複数の投与を与えられている個体において経験的に決定され得る。個体に、抗体の漸増的な投薬量を与えることができる。有効性を評価するために、疾患の指標を追跡することができる。
本発明の方法による本発明のB7-H4xCD3二重特異性抗体を含むB7-H4抗体の投与は、例えば、レシピエントの生理学的状態、投与の目的が治療であるかそれとも予防であるか、および当業者に公知の他の要因に依存して、連続的または間欠的であり得る。抗体の投与は、事前選択された期間にわたり本質的に連続的である場合があり、または一連の間隔の空いた用量の場合がある。
一部の実施形態では、本発明のB7-H4xCD3二重特異性抗体を含む1種よりも多いB7-H4抗体が存在し得る。少なくとも1種、少なくとも2種、少なくとも3種、少なくとも4種、少なくとも5種、またはそれよりも多い、B7-H4xCD3二重特異性抗体を含む異なるB7-H4抗体が、存在し得る。一般に、それらの抗体は、相互に不利に影響しない相補活性を有し得る。例えば、以下の抗体のうち1種または複数種が使用され得る:B7-H4またはCD3上の1つのエピトープに対する第1のB7-H4またはCD3抗体およびB7-H4またはCD3上の別のエピトープに対する第2のB7-H4またはCD3抗体。
組合せ
一部の実施形態では、本発明の、B7-H4xCD3二重特異性抗体を含むB7-H4抗体は、1種または複数種のさらなる治療剤の投与と組み合わせて投与され得る。さらなる治療剤には、非限定的に、ワクチン、CAR-T細胞ベース療法、放射線療法、サイトカイン療法、CD3二重特異性抗体、他の免疫抑制経路の阻害薬、血管新生阻害薬、T細胞活性化物質、代謝経路阻害薬、mTOR阻害薬、アデノシン経路阻害薬、インライタ、ALK阻害薬およびスニチニブを含むが、これらに限定されないチロシンキナーゼ阻害薬、BRAF阻害薬、エピジェネティック修飾物質、IDO1阻害薬、JAK阻害薬、STAT阻害薬、サイクリン依存性キナーゼ阻害薬、生物学的治療剤(VEGF、VEGFR、EGFR、Her2/neu、他の成長因子受容体、CD40、CD-40L、CTLA-4、OX-40、4-1BB、TIGIT、およびICOSに対する抗体を含むが、これらの限定されない)、免疫原(例えば、弱毒化がん細胞、腫瘍抗原、抗原提示細胞、例えば腫瘍由来抗原または核酸でパルスされた樹状細胞、免疫刺激サイトカイン(例えば、IL-2、IFNα2、GM-CSF)、および非限定的にGM-CSFなどの免疫刺激サイトカインをコードする遺伝子をトランスフェクトされた細胞などの、生物製剤および/または化学療法剤が含まれるが、これらに限定されない。
一部の実施形態では、本発明の、B7-H4xCD3二重特異性抗体を含むB7-H4抗体は、1種または複数種のさらなる治療剤の投与と組み合わせて投与され得る。さらなる治療剤には、非限定的に、ワクチン、CAR-T細胞ベース療法、放射線療法、サイトカイン療法、CD3二重特異性抗体、他の免疫抑制経路の阻害薬、血管新生阻害薬、T細胞活性化物質、代謝経路阻害薬、mTOR阻害薬、アデノシン経路阻害薬、インライタ、ALK阻害薬およびスニチニブを含むが、これらに限定されないチロシンキナーゼ阻害薬、BRAF阻害薬、エピジェネティック修飾物質、IDO1阻害薬、JAK阻害薬、STAT阻害薬、サイクリン依存性キナーゼ阻害薬、生物学的治療剤(VEGF、VEGFR、EGFR、Her2/neu、他の成長因子受容体、CD40、CD-40L、CTLA-4、OX-40、4-1BB、TIGIT、およびICOSに対する抗体を含むが、これらの限定されない)、免疫原(例えば、弱毒化がん細胞、腫瘍抗原、抗原提示細胞、例えば腫瘍由来抗原または核酸でパルスされた樹状細胞、免疫刺激サイトカイン(例えば、IL-2、IFNα2、GM-CSF)、および非限定的にGM-CSFなどの免疫刺激サイトカインをコードする遺伝子をトランスフェクトされた細胞などの、生物製剤および/または化学療法剤が含まれるが、これらに限定されない。
生物学的治療剤の例には、治療用抗体、免疫調節剤、および治療用免疫細胞が含まれる。
治療用抗体は、多様な異なる抗原に対して特異性を有し得る。例えば、治療用抗体は、腫瘍関連抗原に対する場合があり、それにより、抗体の抗原への結合は、抗原を発現する細胞の死滅を促進する。他の例では、治療用抗体は、免疫細胞上の抗原(例えばPD-1)に対する場合があり、それにより、抗体の結合は、抗原を発現する細胞の活性のダウンレギュレーションを防止する(それにより、抗原を発現する細胞の活性を促進する)。いくつかの状況では、治療用抗体は、複数の異なるメカニズムにより機能し得る(例えば、それは、i)抗原を発現する細胞の死滅を促進する、およびii)抗原が、抗原を発現する細胞と接触している免疫細胞の活性のダウンレギュレーションを引き起こすことを防止する、両方の場合がある)。
治療用抗体は、例えば、以下に記載される抗原に対する場合がある。一部の抗原について、抗原に対する例示的な抗体も下に含まれる(抗原の後の角カッコ/丸カッコ内)。以下のような抗原はまた、本明細書において「標的抗原」などと称され得る。本明細書における治療用抗体についての標的抗原には、例えば、4-1BB(例えばウトミルマブ);5T4;A33;アルファ-葉酸受容体1(例えばミルベツキシマブ ソラブタンシン);Alk-1;B7-H4[例えばPF-06863135(US9969809参照)];BTN1A1(例えばWO2018222689参照);CA-125(例えばアバゴボマブ);炭酸脱水酵素IX;CCR2;CCR4(例えばモガムリズマブ);CCR5(例えばレロンリマブ);CCR8;CD3[例えばブリナツモマブ(CD3/CD19二特異性)、PF-06671008(CD3/P-カドヘリン二特異性)、PF-06863135(CD3/B7-H4二特異性)、CD19(例えばブリナツモマブ、MOR208);CD20(例えばイブリツモマブチウキセタン、オビヌツズマブ、オファツムマブ、リツキシマブ、ウブリツキシマブ);CD22(イノツズマブオゾガマイシン、モキセツモマブ パスドトクス);CD25;CD28;CD30(例えばブレンツキシマブベドチン);CD33(例えばゲムツズマブオゾガマイシン);CD38(例えば、ダラツムマブ、イサツキシマブ)、CD40;CD-40L;CD44v6;CD47;CD52(例えばアレムツズマブ);CD63;CD79(例えばポラツズマブ ベドチン);CD80;CD123;CD276/B7-H3(例えばオンブルタマブ);CDH17;CEA;ClhCG;CTLA-4(例えば、イピリムマブ、トレメリムマブ)、CXCR4;デスモグレイン4;DLL3(例えばロバルピツズマブ テシリン);DLL4;E-カドヘリン;EDA;EDB;EFNA4;EGFR(例えばセツキシマブ、デパツキシズマブ マホドチン、ネシツムマブ、パニツムマブ);EGFRvIII;エンドシアリン;EpCAM(例えばオポルツズマブ モナトックス);FAP;胎児アセチルコリン受容体;FLT3(例えばWO2018/220584参照);GD2(例えばジヌツキシマブ、3F8);GD3;GITR;グロボH;GM1;GM2;GUCY2C(例えばPF-07062119);HER2/neu[例えばマルゲツキシマブ、ペルツズマブ、トラスツズマブ;アドトラスツズマブ エムタンシン、トラスツズマブ デュオカルマジン、PF-06804103(US8828401参照)];HER3;HER4;ICOS;IL-10;ITG-AvB6;LAG-3(例えばレラトリマブ);Lewis-Y;LG;Ly-6;M-CSF[例えばPD-0360324(US7326414参照)];MCSP;メソセリン;MUC1;MUC2;MUC3;MUC4;MUC5AC;MUC5B;MUC7;MUC16;Notch1;Notch3;ネクチン-4(例えばエンホルツマブ ベドチン);OX40[例えばPF-04518600(US7960515参照)];P-カドヘリン[例えばPF-06671008(WO2016/001810参照)];PCDHB2;PD-1[例えばBCD-100、カムレリズマブ、セミプリマブ、ゲノリムズマブ(CBT-501)、MEDI0680、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ササンリマブ(WO2016/092419参照)、シンチリマブ、スパルタリズマブ、STI-A1110、チスレリズマブ、TSR-042];PD-L1(例えばアテゾリズマブ、デュルバルマブ、BMS-936559(MDX-1105)、またはLY3300054);PDGFRA(例えばオララツマブ);形質細胞抗原;ポリSA;PSCA;PSMA;PTK7[例えばPF-06647020(US9409995参照)];Ror1;SAS;SCRx6;SLAMF7(例えばエロツズマブ);SHH;SIRPa(例えばED9、Effi-DEM);STEAP;TGF-ベータ;TIGIT;TIM-3;TMPRSS3;TNF-アルファ前駆物質;TROP-2(例えばサシツズマブ ゴビテカン);TSPAN8;VEGF(例えばベバシズマブ、ブロルシズマブ);VEGFR1(例えばラニビズマブ);VEGFR2(例えばラムシルマブ、ラニビズマブ);Wue-1が含まれる。
免疫調節剤には、対象において免疫応答を刺激し得る多様な異なる分子型、例えばパターン認識受容体(PRR)アゴニスト、免疫刺激サイトカイン、およびがんワクチンが含まれる。
パターン認識受容体(PRR)は、免疫系の細胞によって発現される受容体であって、病原体および/または細胞損傷もしくは死滅と関連する多様な分子を認識する受容体である。PRRは、自然免疫応答および適応免疫応答の両方に関与する。PRRアゴニストは、対象において免疫応答を刺激するために使用され得る。toll様受容体(TLR)、RIG-I様受容体(RLR)、ヌクレオチド結合オリゴマー化ドメイン(NOD)様受容体(NLR)、C型レクチン受容体(CLR)、およびインターフェロン遺伝子刺激因子(STING)タンパク質を含む、複数のクラスのPRR分子がある。
「TLR」および「toll様受容体」という用語は、任意のtoll様受容体を指す。toll様受容体は、活性化免疫応答に関与する受容体である。TLRは、例えば、微生物に発現された病原体関連分子パターン(PAMP)のみならず、死んだまたは瀕死の細胞から放出される内因性損傷関連分子パターン(DAMP)を認識する。
TLRを活性化(し、それにより免疫応答を活性化)する分子は、本明細書において「TLRアゴニスト」と称される。TLRアゴニストには、例えば、低分子(例えば、約1000ダルトン未満の分子量を有する有機分子)のみならず、高分子(例えば、オリゴヌクレオチドおよびタンパク質)が含まれ得る。一部のTLRアゴニストは、単一種類のTLR(例えば、TLR3またはTLR9)に特異的であるのに対し、また一部のTLRアゴニストは、2種類以上のTLR(例えば、TLR7およびTLR8の両方)を活性化する。
本明細書に提供される例示的なTLRアゴニストには、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、およびTLR9のアゴニストが含まれる。
例示的な低分子TLRアゴニストには、例えば、米国特許第4,689,338号;同第4,929,624号;同第5,266,575号;同第5,268,376号;同第5,346,905号;同第5,352,784号;同第5,389,640号;同第5,446,153号;同第5,482,936号;同第5,756,747号;同第6,110,929号;同第6,194,425号;同第6,331,539号;同第6,376,669号;同第6,451,810号;同第6,525,064号;同第6,541,485号;同第6,545,016号;同第6,545,017号;同第6,573,273号;同第6,656,938号;同第6,660,735号;同第6,660,747号;同第6,664,260号;同第6,664,264号;同第6,664,265号;同第6,667,312号;同第6,670,372号;同第6,677,347号;同第6,677,348号;同第6,677,349号;同第6,683,088号;同第6,756,382号;同第6,797,718号;同第6,818,650号;および同第7,7091,214号;米国特許出願公開第2004/0091491号、同第2004/0176367号、および同第2006/0100229号;ならびに国際公開番号WO2005/18551、WO2005/18556、WO2005/20999、WO2005/032484、WO2005/048933、WO2005/048945、WO2005/051317、WO2005/051324、WO2005/066169、WO2005/066170、WO2005/066172、WO2005/076783、WO2005/079195、WO2005/094531、WO2005/123079、WO2005/123080、WO2006/009826、WO2006/009832、WO2006/026760、WO2006/028451、WO2006/028545、WO2006/028962、WO2006/029115、WO2006/038923、WO2006/065280、WO2006/074003、WO2006/083440、WO2006/086449、WO2006/091394、WO2006/086633、WO2006/086634、WO2006/091567、WO2006/091568、WO2006/091647、WO2006/093514、およびWO2006/098852に開示されたものが含まれる。
低分子TLRアゴニストのさらなる例には、ある特定のプリン誘導体(例えば、米国特許第6,376,501号および同第6,028,076号に記載されているもの)、ある特定のイミダゾキノリンアミド誘導体(例えば、米国特許第6,069,149号に記載されているもの)、ある特定のイミダゾピリジン誘導体(例えば、米国特許第6,518,265号に記載されているもの)、ある特定のベンゾイミダゾール誘導体(例えば、米国特許第6,387,938号に記載されているもの)、五員環窒素含有複素環と縮合されたある特定の4-アミノピリミジン誘導体(例えば、米国特許第6,376,501号;同第6,028,076号、および同第6,329,381号;ならびにWO02/08905に記載されたアデニン誘導体)、およびある特定の3-ベータ-D-リボフラノシルチアゾロ[4,5-d]ピリミジン誘導体(例えば、米国特許出願公開第2003/0199461号に記載されているもの)、ならびにある特定の低分子免疫賦活化合物、例えば米国特許出願公開第2005/0136065号に記載されているものが含まれる。
例示的な高分子TLRアゴニストには、オリゴヌクレオチド配列が含まれる。一部のTLRアゴニストオリゴヌクレオチド配列は、シトシン-グアニンジヌクレオチド(CpG)を含有し、例えば、米国特許第6,194,388号;同第6,207,646号;同第6,239,116号;同第6,339,068号;および同第6,406,705号に記載されている。一部のCpG含有オリゴヌクレオチドは、例えば、米国特許第6,426,334号および同第6,476,000号に記載されているものなどの合成免疫調節構造モチーフを含み得る。他のTLRアゴニストヌクレオチド配列は、CpG配列を欠如し、例えば、国際公開番号WO00/75304に記載されている。なお他のTLRアゴニストヌクレオチド配列には、例えば、Heilら、Science、303巻、1526~1529頁、2004年3月5日に記載されたものなどの、グアノシンおよびウリジンに富む一本鎖RNA(ssRNA)が含まれる。
他のTLRアゴニストには、アミノアルキルグルコサミニドリン酸塩(AGP)などの生体分子が含まれ、それらは、例えば、米国特許第6,113,918号;同第6,303,347号;同第6,525,028号;および同第6,649,172号に記載されている。
TLRアゴニストにはまた、複数の異なる種類のTLR受容体を活性化し得る不活性化病原体またはその部分が含まれる。例示的な病原体由来TLRアゴニストには、BCG、ミコバクテリウムオブエンス(mycobacterium obuense)抽出物、タリモジーンラハーパレプベック(T-Vec)(HSV-1由来)、およびPexa-Vec(ワクシニアウイルス由来)が含まれる。
一部の実施形態では、TLRアゴニストは、TLRに特異的に結合するアゴニスト抗体であり得る。
RLRには、例えばdsRNAを検出する様々なサイトゾルPRRが含まれる。RLRの例には、例えば、レチノイン酸誘導遺伝子I(RIG-I)、メラノーマ分化関連遺伝子5(MDA-5)、および遺伝学生理学研究室2(LGP2)が含まれる。
「RLRアゴニスト」は、本明細書に用いられる場合、RLRに結合すると、(1)RLRを刺激もしくは活性化する、(2)RLRの活性、機能、もしくは存在を強化、増加、促進、誘導、もしくは延長する、または(3)RLRの発現を強化、増加、促進、もしくは誘導する、任意の分子を意味する。本発明の処置方法、医薬および使用のいずれかに有用なRLRアゴニストには、例えば、RLRに結合する核酸およびその誘導体ならびにRLRに特異的に結合するアゴニストモノクローナル抗体(mAb)が含まれる。
本発明の処置方法、医薬、および使用に有用なRLRアゴニストの例には、例えば、無キャップ5’三リン酸を有する低分子二本鎖RNA(RIG-Iアゴニスト);ポリI:C(MDA-5アゴニスト)、およびBO-112(MDA-Aアゴニスト)が含まれる。
NLRには、例えば、損傷関連分子パターン(DAMP)分子を検出する様々なPRRが含まれる。NLRには、サブファミリーNLRA-A、NLRB-B、NLRC-C、およびNLRP-Pが含まれる。NLRの例には、例えば、NOD1、NOD2、NAIP、NLRC4、およびNLRP3が含まれる。
「NLRアゴニスト」は、本明細書に用いられる場合、NLRに結合すると、(1)NLRを刺激もしくは活性化する、(2)NLRの活性、機能、もしくは存在を強化、増加、促進、誘導、もしくは延長する、または(3)NLRの発現を強化、増加、促進、もしくは誘導する、任意の分子を意味する。本発明の処置方法、医薬および使用のいずれかに有用なNLRアゴニストには、例えば、NLRに結合するDAMPおよびその誘導体ならびにNLRに特異的に結合するアゴニストモノクローナル抗体(mAb)が含まれる。
本発明の処置方法、医薬、および使用に有用なNLRアゴニストの例には、例えば、リポソーム型ムラミルトリペプチド/ミファムルチド(NOD2アゴニスト)が含まれる。
CLRには、例えば、炭水化物および糖タンパク質を検出する様々なPRRが含まれる。CLRには、膜貫通CLRおよび分泌CLRの両方が含まれる。CLRの例には、例えば、DEC-205/CD205、マクロファージマンノース受容体(MMR)、デクチン-1、デクチン-2、ミンクル、DC-SIGN、DNGR-1、およびマンノース結合性レクチン(MBL)が含まれる。
「CLRアゴニスト」は、本明細書に用いられる場合、CLRに結合すると、(1)CLRを刺激もしくは活性化する、(2)CLRの活性、機能、もしくは存在を強化、増加、促進、誘導、もしくは延長する、または(3)CLRの発現を強化、増加、促進、もしくは誘導する、任意の分子を意味する。本発明の処置方法、医薬および使用のいずれかに有用なCLRアゴニストには、例えば、CLRに結合する炭水化物およびその誘導体ならびにCLRに特異的に結合するアゴニストモノクローナル抗体(mAb)が含まれる。
本発明の処置方法、医薬、および使用に有用なCLRアゴニストの例には、例えば、MD-画分(マイタケ(Grifola frondosa)から抽出された精製可溶性ベータグルカン)およびimprime PGG(酵母由来ベータ1,3/1,6-グルカンPAMP)が含まれる。
STINGタンパク質は、1型インターフェロンシグナル伝達においてサイトゾルDNAセンサーおよびアダプタータンパク質の両方として機能する。用語「STING」および「インターフェロン遺伝子刺激因子」は、任意の形態のSTINGタンパク質のみならず、STINGの活性の少なくとも一部を保持するバリアント、アイソフォーム、および種相同体を指す。別に、例えばヒトSTINGへの具体的参照により、示さない限り、STINGには、すべての哺乳類種、例えばヒト、サル、およびマウスのネイティブ配列STINGが含まれる。例示的な1つのヒトTLR9は、UniProtエントリ番号Q86WV6に提供される。STINGはまた、TMEM173として知られている。
「STINGアゴニスト」は、本明細書に用いられる場合、TLR9に結合すると、(1)STINGを刺激もしくは活性化する、(2)STINGの活性、機能、もしくは存在を強化、増加、促進、誘導、もしくは延長する、または(3)STINGの発現を強化、増加、促進、もしくは誘導する、任意の分子を意味する。本発明の処置方法、医薬および使用のいずれかに有用なSTINGアゴニストには、例えば、STINGに結合する核酸リガンドが含まれる。
本発明の処置方法、医薬、および使用に有用なSTINGアゴニストの例には、様々な免疫刺激核酸、例えば合成二本鎖DNA、サイクリックジ-GMP、サイクリック-GMP-AMP(cGAMP)、合成サイクリックジヌクレオチド(CDN)、例えばMK-1454およびADU-S100(MIW815)、ならびに低分子、例えばP0-424が含まれる。
他のPRRには、例えば、DNA依存性IFN調節因子活性化因子(DAI)およびメラノーマ非存在2(AIM2)が含まれる。
免疫刺激サイトカインには、免疫応答を刺激する様々なシグナル伝達タンパク質、例えば、インターフェロン、インターロイキン、および造血成長因子が含まれる。
例示的な免疫刺激サイトカインには、GM-CSF、G-CSF、IFN-アルファ、IFN-ガンマ;IL-2(例えばデニロイキン ジフチトクス)、IL-6、IL-7、IL-11、IL-12、IL-15、IL-18、IL-21、およびTNF-アルファが含まれる。
免疫刺激サイトカインは、任意の適切なフォーマットを有し得る。一部の実施形態では、免疫刺激サイトカインは、組換え版の野生型サイトカインであり得る。一部の実施形態では、免疫刺激サイトカインは、対応する野生型サイトカインと比較して1つまたは複数のアミノ酸変化を有するムテインであり得る。一部の実施形態では、免疫刺激サイトカインは、サイトカインおよび少なくとも1つの他の機能性タンパク質(例えば抗体)を含有するキメラタンパク質に組み入れられ得る。一部の実施形態では、免疫刺激サイトカインは、薬物/薬剤(例えば、可能性のあるADC構成成分として本明細書における他の箇所に記載される任意の薬物/薬剤)と共有結合的に連結され得る。
がんワクチンには、腫瘍関連抗原を含有する(または、対象において腫瘍関連抗原を生成するために使用することができる)様々な組成物が含まれ、したがって、がんワクチンを、腫瘍関連抗原を含有する腫瘍細胞に対する免疫応答を対象において誘発するために使用することができる。
がんワクチン中に含まれ得る材料の例には、弱毒化がん性細胞、腫瘍抗原、抗原提示細胞、例えば、腫瘍由来抗原または腫瘍関連抗原をコードする核酸をパルスされた樹状細胞が含まれる。一部の実施形態では、がんワクチンは、患者自身のがん細胞を用いて調製され得る。一部の実施形態では、がんワクチンは、患者自身のがん細胞由来ではない生体材料を用いて調製され得る。
がんワクチンには、例えば、シプロイセル-Tおよびタリモジーンラハーパレプベック(T-VEC)が含まれる。
免疫細胞療法は、がん細胞を標的付けることが可能な免疫細胞で患者を処置することを伴う。免疫細胞療法には、例えば、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)およびキメラ抗原受容体T細胞(CAR-T細胞)が含まれる。
化学療法剤の例には、アルキル化剤、例えばチオテパおよびシクロホスファミド;アルキルスルホネート、例えば、ブスルファン、インプロスルファンおよびピポスルファン;アジリジン、例えば、ベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパ、およびウレドーパ;エチレンイミンおよびメチラメラミン、(アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミドおよびトリメチロールメラミンを含む);アセトゲニン(特にブラタシンおよびブラタシノン);カンプトテシン(合成アナログであるトポテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC-1065(そのアドゼレシン、カルゼレシンおよびビゼレシン合成アナログを含む);クリプトフィシン(特にクリプトフィシン1およびクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成アナログKW-2189およびCB1-TMIを含む);エリュテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチイン;スポンギスタチン;ナイトロジェンマスタード、例えば、クロラムブシル、クロルナファジン、コロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミン酸化物塩酸塩、メルファラン、ノブエンビキン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード;ニトロソウレア、例えば、カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、およびラニムスチン;抗生物質、例えば、エンジイン抗生物質(例えば、カリケアマイシン、特にカリケアマイシンガンマ1IおよびカリケアマイシンファイI1、例えば、Agnew、Chem.Intl.Ed.Engl.、33:183~186(1994)参照;ダイネマイシン(ダイネマイシンAを含む);ビスホスホネート、例えばクロドロネート;エスペラマイシン;ならびにネオカルジノスタチン発色団および関連する色素タンパク質エンジイン抗生物質発色団)、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アウスラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン(モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシンおよびデオキシドキソルビシンを含む)、PEG化リポソームドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、ミトマイシン、例えばミトマイシンC、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポルフィロマイシン、ピューロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;代謝拮抗薬、例えば、メトトレキサートおよび5-フルオロウラシル(5-FU);葉酸アナログ、例えば、デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキセート;プリンアナログ、例えば、フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジンアナログ、例えば、アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン;アンドロゲン、例えば、カルステロン、ドロモスタノロンプロピオネート、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;抗副腎薬、例えば、アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸補充薬、例えばフォリン酸;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトレキセート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジコン;エルホルミチン;エリプチニウム酢酸塩;エポチロン;エトグルシド;ガリウム硝酸塩;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダミン;メイタンシノイド、例えば、メイタンシンおよびアンサミトシン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;ラゾキサン;リゾキシン;シゾフラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン;2,2’,2”-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(特に、T-2毒素、ベラクリンA(verracurin A)、ロリジンAおよびアングイジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えば、パクリタキセルおよびドセタキセル;クロラムブシル;ゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;白金アナログ、例えば、シスプラチンおよびカルボプラチン;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ノバントロン;テニポシド;エダトレキセート;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;CPT-11;トポイソメラーゼ阻害薬RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイド、例えばレチノイン酸;カペシタビン;および上記のいずれかの薬学的に許容できる塩、酸または誘導体が含まれる。抗エストロゲンおよび選択的エストロゲン受容体調節薬(SERM)などの腫瘍に対するホルモンの作用を調節または阻害するように作用する抗ホルモン剤、例えば、タモキシフェン、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、およびトレミフェン(フェアストン);副腎におけるエストロゲン産生を調節する酵素アロマターゼを阻害するアロマターゼ阻害薬、例えば、4(5)-イミダゾール、アミノグルテチミド、酢酸メゲストロール、エキセメスタン、ホルメスタン、ファドロゾール、ボロゾール、レトロゾール、およびアナストラゾール;ならびに抗アンドロゲン、例えば、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、およびゴセレリン;KRAS阻害薬;MCT4阻害剤;MAT2a阻害薬;チロシンキナーゼ阻害薬、例えば、スニチニブ、アキシチニブ;alk/c-Met/ROS阻害薬、例えば、クリゾチニブ、ロルラチニブ;mTOR阻害薬、例えば、テムシロリムス、ゲダトリシブ;src/abl阻害薬、例えばボスチニブ;サイクリン依存性キナーゼ(CDK)阻害薬、例えば、パルボシクリブ、PF-06873600;efb阻害薬、例えばダコミチニブ;PARP阻害薬、例えばタラゾパリブ;SMO阻害薬、例えば、グラスデギブ、PF-5274857;EGFR
T790M阻害薬、例えばPF-06747775;EZH2阻害薬、例えばPF-06821497;PRMT5阻害薬、例えばPF-06939999;TGFRβr1阻害薬、例えばPF-06952229;ならびに上記のうちのいずれかの薬学的に許容できる塩、酸、または誘導体もまた含まれる。具体的な実施形態では、このようなさらなる治療剤は、ベバシズマブ、セツキシマブ、シロリムス、パニツムマブ、5-フルオロウラシル(5-FU)、カペシタビン、チボザニブ、イリノテカン、オキサリプラチン、シスプラチン、トリフルリジン、チピラシル、ロイコボリン、ゲムシタビン、レゴラフェニブまたはエルロチニブ塩酸塩である。
T790M阻害薬、例えばPF-06747775;EZH2阻害薬、例えばPF-06821497;PRMT5阻害薬、例えばPF-06939999;TGFRβr1阻害薬、例えばPF-06952229;ならびに上記のうちのいずれかの薬学的に許容できる塩、酸、または誘導体もまた含まれる。具体的な実施形態では、このようなさらなる治療剤は、ベバシズマブ、セツキシマブ、シロリムス、パニツムマブ、5-フルオロウラシル(5-FU)、カペシタビン、チボザニブ、イリノテカン、オキサリプラチン、シスプラチン、トリフルリジン、チピラシル、ロイコボリン、ゲムシタビン、レゴラフェニブまたはエルロチニブ塩酸塩である。
一部の実施形態では、本発明のB7-H4xCD3二重特異性抗体を含むB7-H4抗体は、例えば、非限定的に、CTLA-4、LAG-3、B7-H3、B7-H4、B7-DC(PD-L2)、B7-H5、B7-H6、B7-H8、B7-H2、B7-1、B7-2、ICOS、ICOS-L、TIGIT、CD2、CD47、CD80、CD86、CD48、CD58、CD226、CD155、CD112、LAIR1、2B4、BTLA、CD160、TIM1、TIM-3、TIM4、VISTA(PD-H1)、OX40、OX40L、GITR、GITRL、CD70、CD27、4-1BB、4-BBL、DR3、TL1A、CD40、CD40L、CD30、CD30L、LIGHT、HVEM、SLAM(SLAMF1、CD150)、SLAMF2(CD48)、SLAMF3(CD229)、SLAMF4(2B4、CD244)、SLAMF5(CD84)、SLAMF6(NTB-A)、SLAMCF7(CS1)、SLAMF8(BLAME)、SLAMF9(CD2F)、CD28、CEACAM1(CD66a)、CEACAM3、CEACAM4、CEACAM5、CEACAM6、CEACAM7、CEACAM8、CEACAM1-3AS、CEACAM3C2、CEACAM1-15、PSG1-11、CEACAM1-4C1、CEACAM1-4S、CEACAM1-4L、IDO、TDO、CCR2、CD39-CD73-アデノシン経路(A2AR)、BTK、TIK、CXCR2、CXCR4、CCR4、CCR8、CCR5、CSF-1、または自然免疫応答調節物質を標的付ける薬剤などの、免疫チェックポイント調節物質または共刺激剤を標的付ける1つまたは複数の他の治療剤と共に使用される。
一部の実施形態では、本発明の、B7-H4xCD3二重特異性抗体を含むB7-H4抗体は、例えば、抗CTLA-4アンタゴニスト抗体、例えばイピリムマブ;抗LAG-3アンタゴニスト抗体、例えばBMS-986016およびIMP701;抗TIM-3アンタゴニスト抗体;抗B7-H3アンタゴニスト抗体、例えばMGA271;抗VISTAアンタゴニスト抗体;抗TIGITアンタゴニスト抗体;抗CD80抗体;抗CD86抗体;抗B7-H4アンタゴニスト抗体;抗ICOSアゴニスト抗体;抗CD28アゴニスト抗体;自然免疫応答調節物質(例えば、TLR、KIR、NKG2A)、およびIDO阻害薬と共に使用される。
一部の実施形態では、本発明の、B7-H4xCD3二重特異性抗体を含むB7-H4抗体は、OX40アゴニスト、例えば、抗OX-40アゴニスト抗体と共に使用される。一部の実施形態では、本発明の、B7-H4xCD3二重特異性抗体を含むB7-H4抗体は、GITRアゴニスト、例えば、抗GITRアゴニスト抗体、例えば非限定的にTRX518と共に使用される。一部の実施形態では、本発明の、B7-H4xCD3二重特異性抗体を含むB7-H4抗体は、IDO阻害薬と共に使用される。一部の実施形態では、GUCY2c抗体またはCD3-GUCY2c二重特異性抗体は、サイトカイン療法、例えば非限定的にIL-15、CSF-1、MCSF-1などと共に使用される。
一部の実施形態では、本発明の、B7-H4xCD3二重特異性抗体を含むB7-H4抗体は、1つまたは複数の他の治療用抗体、例えば非限定的に、CD19、CD22、CD40、CD52、またはCCR4を標的付ける抗体と共に使用される。
ある特定の実施形態では、本発明のB7-H4xCD3二重特異性抗体を含むB7-H4抗体の組成物は、少なくとも1つのさらなる薬剤、例えば、ベバシズマブ、セツキシマブ、シロリムス、パニツムマブ、5-フルオロウラシル(5-FU)、カペシタビン、チボザニブ、イリノテカン、オキサリプラチン、シスプラチン、トリフルリジン、チピラシル、ロイコボリン、ゲムシタビンおよびエルロチニブ塩酸塩を含む。
一部の実施形態では、本発明のB7-H4xCD3二重特異性抗体を含むB7-H4抗体は、他の薬剤処置と同時に投与される場合、またはその前もしくは後に数分~数週間の範囲の間隔で順次投与される場合がある。他の薬剤および/またはタンパク質もしくはポリヌクレオチドが別々に投与される実施形態では、一般に、この薬剤および本発明の組成物が対象に有利な併用効果を依然として発揮できるように、各送達の合間に重大な期限が切れないことが保証される。そのような場合、両方の様式を互いに約12~24時間以内に、より好ましくは互いに約6~12時間以内に投与し得ることが企図される。しかし一部の状況では、投与期間を顕著に延長することが望ましい場合があり、その場合、それぞれの投与の合間に数(2、3、4、5、6または7)日~数(1、2、3、4、5、6、7または8)週間が経過する。
一部の実施形態では、本発明の、B7-H4xCD3二重特異性抗体を含むB7-H4抗体の処置レジメンは、手術、放射線療法、化学療法、標的療法、免疫療法、ホルモン療法、血管新生阻害および緩和ケアからなる群から選択される従来療法をさらに含む処置レジメンと組み合わされる。
キット
本発明はまた、本方法に使用するためのキットを提供する。本発明のキットは、本発明の、B7-H4xCD3二重特異性抗体を含むB7-H4抗体を含む1つまたは複数の容器、および本明細書に記載される本発明の方法のいずれかにより使用するための説明書を含む。一般に、これらの説明書は、上記治療的処置のための本発明の、B7-H4xCD3二重特異性抗体を含むB7-H4抗体の投与の説明を含む。
本発明はまた、本方法に使用するためのキットを提供する。本発明のキットは、本発明の、B7-H4xCD3二重特異性抗体を含むB7-H4抗体を含む1つまたは複数の容器、および本明細書に記載される本発明の方法のいずれかにより使用するための説明書を含む。一般に、これらの説明書は、上記治療的処置のための本発明の、B7-H4xCD3二重特異性抗体を含むB7-H4抗体の投与の説明を含む。
本発明の、B7-H4xCD3二重特異性抗体を含むB7-H4抗体の使用に関する説明書は、本明細書に記載される場合、一般に、意図される処置のための投薬量、投与計画、および投与経路に関する情報を含む。容器は、単位用量、バルクパッケージ(例えば、マルチドーズパッケージ)または下位単位用量であり得る。本発明のキット中に供給される説明書は、典型的には、ラベルまたは添付文書(例えば、キット内に含まれる紙シート)上の書面の説明書であるが、機械可読の説明書(例えば、磁気または光記憶ディスクで運ばれる説明書)もまた許容できる。
本発明のキットは、適切なパッケージング中にある。適切なパッケージングには、バイアル、ボトル、ジャー、柔軟なパッケージング(例えば、封着されたマイラーまたはプラスチックバッグ)、その他が含まれるが、これらに限定されない。特定の装置、例えばインヘラー、鼻腔投与装置(例えばアトマイザー)または輸液装置、例えばミニポンプと組み合わせて使用するためのパッケージも企図される。キットは、無菌アクセスポートを有する場合がある(例えば、容器は、皮下注射針により刺通可能なストッパーを有する静脈内溶液バッグまたはバイアルであり得る)。容器はまた、無菌アクセスポートを有する場合がある(例えば、容器は、皮下注射針により刺通可能なストッパーを有する静脈内溶液バッグまたはバイアルであり得る)。組成物中の少なくとも1つの活性薬剤は、本発明のB7-H4xCD3二重特異性抗体を含むB7-H4抗体である。容器はさらに、第2の薬学的活性薬剤を含み得る。
キットは、緩衝液および説明に役立つ情報などのさらなる構成要素を場合により提供し得る。通常、キットは、容器と、容器上または容器に付随するラベルまたは添付文書とを含む。
以下の例は、単に例示的目的で述べられており、本発明の範囲を限定することを全く意図しない。実際に、本明細書に示され、記載されたものに加えて、本発明の様々な改変は、前述の説明から当業者に明らかになり、添付の特許請求の範囲内に含まれる。
(実施例1)
B7-H4抗体およびB7-H4xCD3二重特異性抗体の高スループット発現および精製
ExpiFectamine(商標)293トランスフェクションキット(Life Technologies)を使用して、B7-H4ホモ二量体抗体の相補的構築物対(重鎖および軽鎖各12.5μg)を、HEK293細胞を100万個/ml含有する対数期培養物25mLに共トランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後に、ExpiFectamineトランスフェクションエンハンサーを添加し、細胞をさらに4~5日成長させ、その後回収した。次いで、培養済み培養物を収集し、遠心分離して、細胞片を除去し、次いで20μmフィルターに通過させた。
B7-H4抗体およびB7-H4xCD3二重特異性抗体の高スループット発現および精製
ExpiFectamine(商標)293トランスフェクションキット(Life Technologies)を使用して、B7-H4ホモ二量体抗体の相補的構築物対(重鎖および軽鎖各12.5μg)を、HEK293細胞を100万個/ml含有する対数期培養物25mLに共トランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後に、ExpiFectamineトランスフェクションエンハンサーを添加し、細胞をさらに4~5日成長させ、その後回収した。次いで、培養済み培養物を収集し、遠心分離して、細胞片を除去し、次いで20μmフィルターに通過させた。
次いで、プロテインAアフィニティクロマトグラフィーを使用してB7-H4ホモ二量体を含有する清澄化馴化培地を精製した。MabSelect SuRe(商標)プロテインA樹脂(GE Healthcare)を予め充填した0.45mLマイクロカラム(Repligen)に、液体取扱い機(Tecan)を使用して試料をロードした。結合したタンパク質をPBS(pH7.2)で洗浄し、次いで、これを20mMクエン酸、150mM塩化ナトリウム(pH3.5)で溶出し、2Mトリス(pH8.0)で中和した。分析用サイズ排除クロマトグラフィーを用いて、Aglient1200 HPLCに取り付けたMab HTPカラム(Tosoh Bioscience)により製造業者のプロトコルに従ってタンパク質の純度を分析した。微量分光光度計(Trinean)を使用してOD280nmを測定することによって濃度を決定した。
上記と同様にCD3ホモ二量体抗体を調製し、実施例2に記載されたように培養物2Lからこの抗体を精製した。簡潔には、製造業者のプロトコルに従って、expi293細胞(Invitrogen)2Lに0.5μg/mlの重鎖および軽鎖を各々トランスフェクトした。5日目に馴化培地を回収し、MAB Select SuRe LX樹脂(GE healthcare)によって捕獲した。
等モル量のB7-H4ホモ二量体とCD3ホモ二量体とを混合し、それらを1mM GSHと37℃で24時間インキュベートすることによって二重特異性抗体を形成した。次いで、G25 Sephadexドリップカラム(GE Healthcare)を製造業者の方法に従って使用して、試料をPBS(pH7.2)中になるように脱塩した。WCXカラム(GE Healthcare)を使用して、緩い塩勾配(20mM MES(pH5.4)、0~1M NaCl)をかけて、制御されたFabアーム交換(ヘテロ二量体の形成)の効率を分析した。
本発明の方法により表2のB7-H4抗体および表5のB7-H4xCD3二重特異性抗体を作製した。
(実施例2)
B7-H4xCD3二重特異性抗体1167および1156の産生
B7-H4xCD3二重特異性抗体1167の抗B7-H4アーム重鎖(配列番号196)、抗B7-H4軽鎖(配列番号197)、B7-H4xCD3二重特異性抗体1156の抗B7-H4アーム重鎖(配列番号192)、抗B7-H4軽鎖(配列番号193)、抗CD3アーム重鎖(配列番号194)および抗CD3軽鎖(配列番号195)をコードするcDNAを哺乳動物発現ベクターにクローニングした。C223E、P228EおよびL368Eの3つのさらなる置換(まとめて「EEE」)を有する抗B7-H4 IgG2 dA D265A重鎖および4つのさらなる置換C223R、E225R、P228R、K409R(まとめて「RRR」)を有する抗CD3 IgG2 dA D265Aを対応する軽鎖と一緒にトランスフェクトし、製造業者のプロトコルによりexpi293細胞(Invitrogen)2Lを使用して「EEE」および「RRR」アーム全体を別々に発現させた。トランスフェクションのための重鎖と軽鎖とのDNA重量比は、1:1(1μg/ml培養物、総DNA)であった。両方のホモ二量体(RRRおよびEEE)についての馴化培地を5日目に回収し、MAB Select SuRe LX樹脂(GE healthcare)によって別々に捕獲した。mAb Select SuRe LX樹脂からの溶出液を使用して二特異性分子のヘテロ二量体化をin vitroで実施した。簡潔には、それぞれ二重特異性抗体1156および1167について、20倍および10倍モル過剰のシステインの存在下でRRRおよびEEEホモ二量体を1:1のモル比で混合した。混合溶液を室温、pH8.0で18時間インキュベートした。二重特異性抗体1156および1167についてPost-RedOxを50mM MES緩衝液(pH5.6)でそれぞれ1:4および1:9希釈し、次いで、室温でMono-Sカラム(CEX purification、GE Healthcare Life Sciences)に流した。勾配をかけた陽イオン交換溶出緩衝液(50mM MES、1000mM NaCl、pH5.6)でタンパク質をカラムから溶出させた。AKTA Pure and Avant(GE Healthcare Life Sciences)を用いて精製を行った。Sephadex G-25 Fine(GE Healthcare Life Sciences)を使用してPBS-CMF(リン酸緩衝溶液;カルシウムおよびマグネシウム不含)への最終的な緩衝液交換を行った。アミノ酸配列から計算されたモル吸光係数を使用して280nmでの吸光度を測定することによってタンパク質の定量化を達成した。
B7-H4xCD3二重特異性抗体1167および1156の産生
B7-H4xCD3二重特異性抗体1167の抗B7-H4アーム重鎖(配列番号196)、抗B7-H4軽鎖(配列番号197)、B7-H4xCD3二重特異性抗体1156の抗B7-H4アーム重鎖(配列番号192)、抗B7-H4軽鎖(配列番号193)、抗CD3アーム重鎖(配列番号194)および抗CD3軽鎖(配列番号195)をコードするcDNAを哺乳動物発現ベクターにクローニングした。C223E、P228EおよびL368Eの3つのさらなる置換(まとめて「EEE」)を有する抗B7-H4 IgG2 dA D265A重鎖および4つのさらなる置換C223R、E225R、P228R、K409R(まとめて「RRR」)を有する抗CD3 IgG2 dA D265Aを対応する軽鎖と一緒にトランスフェクトし、製造業者のプロトコルによりexpi293細胞(Invitrogen)2Lを使用して「EEE」および「RRR」アーム全体を別々に発現させた。トランスフェクションのための重鎖と軽鎖とのDNA重量比は、1:1(1μg/ml培養物、総DNA)であった。両方のホモ二量体(RRRおよびEEE)についての馴化培地を5日目に回収し、MAB Select SuRe LX樹脂(GE healthcare)によって別々に捕獲した。mAb Select SuRe LX樹脂からの溶出液を使用して二特異性分子のヘテロ二量体化をin vitroで実施した。簡潔には、それぞれ二重特異性抗体1156および1167について、20倍および10倍モル過剰のシステインの存在下でRRRおよびEEEホモ二量体を1:1のモル比で混合した。混合溶液を室温、pH8.0で18時間インキュベートした。二重特異性抗体1156および1167についてPost-RedOxを50mM MES緩衝液(pH5.6)でそれぞれ1:4および1:9希釈し、次いで、室温でMono-Sカラム(CEX purification、GE Healthcare Life Sciences)に流した。勾配をかけた陽イオン交換溶出緩衝液(50mM MES、1000mM NaCl、pH5.6)でタンパク質をカラムから溶出させた。AKTA Pure and Avant(GE Healthcare Life Sciences)を用いて精製を行った。Sephadex G-25 Fine(GE Healthcare Life Sciences)を使用してPBS-CMF(リン酸緩衝溶液;カルシウムおよびマグネシウム不含)への最終的な緩衝液交換を行った。アミノ酸配列から計算されたモル吸光係数を使用して280nmでの吸光度を測定することによってタンパク質の定量化を達成した。
(実施例3)
プレート結合huB7-H4に対するIC50を試験するための競合ELISA
下の表7に記載された生殖系列および最適化バリアントの結合強度を、ELISAで、親B7-H4抗体0052または0058との競合により評価した。優しく揺らしながらELISAプレート(Thermo Fisher;384ウェル)にPBS緩衝液中1μg/mL(25μg/ウェル)のB7-H4細胞外ドメイン(「ECD」)(6xhis F29-A258)を4℃で一晩コーティングした。コーティング溶液を捨て、プレートを50μL/ウェルのPBS-1% BSAにより室温で1時間ブロッキングした。ブロッキング溶液を捨て、プレートをTBSTで4回洗浄した。分析されたmAbの2倍希釈系列を調製し、ビオチン化B7-H4抗体0052(28D10の最適化系列について)またはB7-H4抗体0058(37D4の最適化系列について)のEC80に対応する濃度と混合した。希釈された被験mAbとビオチン化親mAbとの1:1混合物25ulを2つの繰り返しでプレートに添加した。プレートをゆっくりと揺らすことによって室温で2時間インキュベートした。プレートを100μL/ウェルの洗浄緩衝液(TBST)で4回洗浄し、PBS/BSA緩衝液中に1:4000希釈したストレプトアビジン-HRPコンジュゲート20μLと共に1時間インキュベートした。以前のようにプレートを7回洗浄し、TNB基質20μLと共に10分間インキュベートした。0.18M硫酸を添加することによって反応を終了させた。次いで、EnVision(登録商標)プレートリーダー(EnVision(登録商標)Multilabel Plate Reader、Perkin Elmer)を製造業者のプロトコルに従って使用して450nmでの吸光度を測定した。上記のように調製されたヒトB7-H4 ECDをコーティングされたプレートと共に、室温でビオチン化0052および0058をインキュベートすることによって、親抗体0052および0058のEC80を決定した。抗体の2倍希釈系列を調製し、ウェルに25μlを添加した。2時間インキュベートした後、プレートを洗浄し、PBS/BSA緩衝液中に1:4000希釈されたストレプトアビジン-HRPコンジュゲートと共にインキュベートし、続いて、上記のように洗浄し、TNB基質を添加した。0.18M硫酸で反応を終了させ、次いで、EnVision(登録商標)プレートリーダー(EnVision(登録商標)Multilabel Plate Reader、Perkin Elmer)を使用して450nmの吸光度を測定した。Graphpad PRISMで4パラメーター非線形回帰分析を使用してEC80値を計算した。
プレート結合huB7-H4に対するIC50を試験するための競合ELISA
下の表7に記載された生殖系列および最適化バリアントの結合強度を、ELISAで、親B7-H4抗体0052または0058との競合により評価した。優しく揺らしながらELISAプレート(Thermo Fisher;384ウェル)にPBS緩衝液中1μg/mL(25μg/ウェル)のB7-H4細胞外ドメイン(「ECD」)(6xhis F29-A258)を4℃で一晩コーティングした。コーティング溶液を捨て、プレートを50μL/ウェルのPBS-1% BSAにより室温で1時間ブロッキングした。ブロッキング溶液を捨て、プレートをTBSTで4回洗浄した。分析されたmAbの2倍希釈系列を調製し、ビオチン化B7-H4抗体0052(28D10の最適化系列について)またはB7-H4抗体0058(37D4の最適化系列について)のEC80に対応する濃度と混合した。希釈された被験mAbとビオチン化親mAbとの1:1混合物25ulを2つの繰り返しでプレートに添加した。プレートをゆっくりと揺らすことによって室温で2時間インキュベートした。プレートを100μL/ウェルの洗浄緩衝液(TBST)で4回洗浄し、PBS/BSA緩衝液中に1:4000希釈したストレプトアビジン-HRPコンジュゲート20μLと共に1時間インキュベートした。以前のようにプレートを7回洗浄し、TNB基質20μLと共に10分間インキュベートした。0.18M硫酸を添加することによって反応を終了させた。次いで、EnVision(登録商標)プレートリーダー(EnVision(登録商標)Multilabel Plate Reader、Perkin Elmer)を製造業者のプロトコルに従って使用して450nmでの吸光度を測定した。上記のように調製されたヒトB7-H4 ECDをコーティングされたプレートと共に、室温でビオチン化0052および0058をインキュベートすることによって、親抗体0052および0058のEC80を決定した。抗体の2倍希釈系列を調製し、ウェルに25μlを添加した。2時間インキュベートした後、プレートを洗浄し、PBS/BSA緩衝液中に1:4000希釈されたストレプトアビジン-HRPコンジュゲートと共にインキュベートし、続いて、上記のように洗浄し、TNB基質を添加した。0.18M硫酸で反応を終了させ、次いで、EnVision(登録商標)プレートリーダー(EnVision(登録商標)Multilabel Plate Reader、Perkin Elmer)を使用して450nmの吸光度を測定した。Graphpad PRISMで4パラメーター非線形回帰分析を使用してEC80値を計算した。
表2および表5で選択された抗体を本方法により試験し、得られたデータを表7に示す。
(実施例4)
親和性捕獲自己相互作用ナノ粒子分光法(AC-SINS)
抗体および抗体様タンパク質は、特に高い濃度では、それら自体で相互作用する潜在性を有する。この自己相互作用は、創薬の間に製剤化と関連する粘度の難題のみならず、クリアランスの高いリスクにつながる可能性がある。(Averyら、MAbs.2018;10(2):244~255)。AC-SINSアッセイは自己相互作用を測定し、高い粘度および劣った薬物動態特性の潜在性を予想することを助けるために使用される。
親和性捕獲自己相互作用ナノ粒子分光法(AC-SINS)
抗体および抗体様タンパク質は、特に高い濃度では、それら自体で相互作用する潜在性を有する。この自己相互作用は、創薬の間に製剤化と関連する粘度の難題のみならず、クリアランスの高いリスクにつながる可能性がある。(Averyら、MAbs.2018;10(2):244~255)。AC-SINSアッセイは自己相互作用を測定し、高い粘度および劣った薬物動態特性の潜在性を予想することを助けるために使用される。
AC-SINSアッセイを、Perkin-Elmer Janus液体取扱いロボットを用いた384ウェルフォーマットで標準化した。20nm金ナノ粒子(Ted Pella,Inc.、#15705)に、80%ヤギ抗ヒトFc(Jackson ImmunoResearch Laboratories,Inc.#109-005-098)と20%非特異的ヤギポリクローナル抗体(Jackson ImmunoResearch Laboratories,Inc.#005-000-003)との混合物をコーティングし、金ナノ粒子を20mM酢酸ナトリウム(pH4.3)中になるよう緩衝液交換し、0.4mg/mlになるよう希釈した。室温で1時間インキュベーション後、金ナノ粒子上の占有されていない部位を、チオール化ポリエチレングリコール(2kD)でブロッキングした。次いで、コーティングされたナノ粒子を、シリンジフィルターを使用して10倍濃縮し、10μlを、PBS(pH7.2)中0.05mg/mlのmAb 100μlに添加した。コーティングされたナノ粒子を96ウェルポリプロピレンプレート中で目的の抗体と共に2時間インキュベートし、次いで、384ウェルポリスチレンプレートに移し、Tecan M1000分光光度計で読み取った。450から650nmへと2nm刻みで吸光度を読み取り、Microsoft Excelマクロを使用して最大吸光度を同定し、データをスムージングし、二次多項式を使用してデータをフィッティングした。平均ブランク(PBS緩衝液単独)のスムージングされた最大吸光度を、抗体試料のスムージングされた最大吸光度から差し引いて、抗体AC-SINSスコアを決定した。
表2および表5で選択された抗体を本方法により試験し、得られたデータを表7に示す。
(実施例5)
DNAおよびインスリン多特異性ELISA
384ウェルELISAプレート(Nunc Maxisorp)にPBS(pH7.5)中のDNA(10μg/ml)およびインスリン(5μg/ml)を4℃で一晩コーティングした。PerkinElmer Janus液体取扱いロボットで、Tillerら、J.Immunol.Methods 329、112、2008;米国特許第7,314,622号に記載されたアッセイから適応されたELISAを実行した。ウェルを水で洗浄し、Polyreactivity ELISA緩衝液(PEB;0.5% Tween-20、1mM EDTAを含有するPBS)50μlにより室温で1時間ブロッキングし、水で3回すすいだ。系列希釈したmAb 25μlをウェルに4つ組で添加し、室温で1時間インキュベートした。プレートを水で3回洗浄し、西洋ワサビペルオーケーシダーゼとコンジュゲートした10ng/mlヤギ抗ヒトIgG(Fcγ断片特異的)(Jackson ImmunoResearch)25μlを各ウェルに添加した。プレートを室温で1時間インキュベートし、水80μlで3回洗浄し、TMB基質(Sigma Aldrich)25μlを各ウェルに添加した。6分50秒後に0.18Mオルトリン酸25μlを各ウェルに添加することによって反応を停止させ、吸光度を450nmで読み取った。DNAおよびインスリン結合スコアを、緩衝液含有ウェルのELISAシグナルに対する10μg/ml抗体のシグナルの比として計算した。表2および表5中の選択された抗体を試験して、本明細書に記載されるDNAおよびインスリン結合ELISA手順によりそこに示される多特異性スコアを得た。データを表7に示す。
DNAおよびインスリン多特異性ELISA
384ウェルELISAプレート(Nunc Maxisorp)にPBS(pH7.5)中のDNA(10μg/ml)およびインスリン(5μg/ml)を4℃で一晩コーティングした。PerkinElmer Janus液体取扱いロボットで、Tillerら、J.Immunol.Methods 329、112、2008;米国特許第7,314,622号に記載されたアッセイから適応されたELISAを実行した。ウェルを水で洗浄し、Polyreactivity ELISA緩衝液(PEB;0.5% Tween-20、1mM EDTAを含有するPBS)50μlにより室温で1時間ブロッキングし、水で3回すすいだ。系列希釈したmAb 25μlをウェルに4つ組で添加し、室温で1時間インキュベートした。プレートを水で3回洗浄し、西洋ワサビペルオーケーシダーゼとコンジュゲートした10ng/mlヤギ抗ヒトIgG(Fcγ断片特異的)(Jackson ImmunoResearch)25μlを各ウェルに添加した。プレートを室温で1時間インキュベートし、水80μlで3回洗浄し、TMB基質(Sigma Aldrich)25μlを各ウェルに添加した。6分50秒後に0.18Mオルトリン酸25μlを各ウェルに添加することによって反応を停止させ、吸光度を450nmで読み取った。DNAおよびインスリン結合スコアを、緩衝液含有ウェルのELISAシグナルに対する10μg/ml抗体のシグナルの比として計算した。表2および表5中の選択された抗体を試験して、本明細書に記載されるDNAおよびインスリン結合ELISA手順によりそこに示される多特異性スコアを得た。データを表7に示す。
(実施例6)
示差走査熱量測定(DSC)分析
体積400μl中0.6mg/mlとなるように抗体をリン酸緩衝溶液(PBS)中に希釈した。PBSを参照細胞における緩衝液ブランクとして使用した。PBSは、137mM NaCl、2.7mM KCl、8.1mM Na2HPO4、および1.47mM KH2PO4(pH7.2)を含有していた。オートサンプラーを備えるMicroCal VP-キャピラリーDSC(Malvern Instruments Ltd、Malvern、UK)の試料トレイ内に試料を分注させた。試料を10℃で5分間平衡化し、次いで100℃/時間の速度で110℃まで走査した。フィルタリング時間16秒を選択した。生データをベースライン補正し、タンパク質濃度を規準化した。Origin Software 7.0(OriginLab Corporation、Northampton、MA)を使用して、データを適切な数の転移を有するMN2-Stateモデルにフィッティングした。IgG1フォーマットの最適化抗B7-H4結合ドメインの示差走査熱量測定の結果を表8に示す。
示差走査熱量測定(DSC)分析
体積400μl中0.6mg/mlとなるように抗体をリン酸緩衝溶液(PBS)中に希釈した。PBSを参照細胞における緩衝液ブランクとして使用した。PBSは、137mM NaCl、2.7mM KCl、8.1mM Na2HPO4、および1.47mM KH2PO4(pH7.2)を含有していた。オートサンプラーを備えるMicroCal VP-キャピラリーDSC(Malvern Instruments Ltd、Malvern、UK)の試料トレイ内に試料を分注させた。試料を10℃で5分間平衡化し、次いで100℃/時間の速度で110℃まで走査した。フィルタリング時間16秒を選択した。生データをベースライン補正し、タンパク質濃度を規準化した。Origin Software 7.0(OriginLab Corporation、Northampton、MA)を使用して、データを適切な数の転移を有するMN2-Stateモデルにフィッティングした。IgG1フォーマットの最適化抗B7-H4結合ドメインの示差走査熱量測定の結果を表8に示す。
(実施例7)
B7-H4 IgG1 mAbの表面プラズモン共鳴(SPR)分析
ハイブリドーマから得られたIgG1 mAbフォーマットの抗B7-H4クローンを、BIACORE(商標)8K機器(GE Healthcare)を使用する表面プラズモン共鳴によって25℃でヒトB7-H4 ECD(細胞外ドメイン)との結合について評価した。製造業者のプロトコルに従って抗ヒトFc(GE BR-1008-39)をCM5センサーチップ上に最初にコーティングした。チップ上に0.75μg/mLヒト抗B7-H4 IgG1 mAbをハンクス緩衝溶液(HBS)-EP+(pH=7.4)中50μL/分で20秒間流した。次に、900nM(クローン:7H7、33G4、11F12、33A4、13F4、37D4、19D3、27C12、42E2、28D10、46E10および32F3の場合)から開始して、および100nM(クローン:29G6および47A1の場合)から開始して、3倍希釈していった5つの異なる濃度のヒトB7-H4 ECDを、50μL/分で60秒間チップ上に流すことによって会合させ、次いで300秒間解離させた。BIACORE(商標)T200評価ソフトウェアバージョン3.0(GE Healthcare)を用いて、得られたセンサーグラムのデータを1:1ラングミュアモデルにフィッティングすることによって結合親和性および速度定数を決定した。各運転の合間に3×3M MgCl2を用いてチップを再生した。結果を表9-Aに示す。
B7-H4 IgG1 mAbの表面プラズモン共鳴(SPR)分析
ハイブリドーマから得られたIgG1 mAbフォーマットの抗B7-H4クローンを、BIACORE(商標)8K機器(GE Healthcare)を使用する表面プラズモン共鳴によって25℃でヒトB7-H4 ECD(細胞外ドメイン)との結合について評価した。製造業者のプロトコルに従って抗ヒトFc(GE BR-1008-39)をCM5センサーチップ上に最初にコーティングした。チップ上に0.75μg/mLヒト抗B7-H4 IgG1 mAbをハンクス緩衝溶液(HBS)-EP+(pH=7.4)中50μL/分で20秒間流した。次に、900nM(クローン:7H7、33G4、11F12、33A4、13F4、37D4、19D3、27C12、42E2、28D10、46E10および32F3の場合)から開始して、および100nM(クローン:29G6および47A1の場合)から開始して、3倍希釈していった5つの異なる濃度のヒトB7-H4 ECDを、50μL/分で60秒間チップ上に流すことによって会合させ、次いで300秒間解離させた。BIACORE(商標)T200評価ソフトウェアバージョン3.0(GE Healthcare)を用いて、得られたセンサーグラムのデータを1:1ラングミュアモデルにフィッティングすることによって結合親和性および速度定数を決定した。各運転の合間に3×3M MgCl2を用いてチップを再生した。結果を表9-Aに示す。
IgG1 mAbフォーマットの最適化された抗B7-H4抗体および対応する親抗体を、BIACORE(商標)8K機器(GE Healthcare)を使用する表面プラズモン共鳴によって37℃でヒトB7-H4 ECDとの結合について試験した。抗ヒトFc(GE BR-1008-39)を製造業者のプロトコルによりCM5センサーチップに最初にコーティングした。ハンクス緩衝溶液(HBS)-EP+(pH=7.4)中0.75μg/mLのヒト抗B7-H4 IgG1 mAbを50μL/分で30秒間チップ上に流した。次に、300nMから開始して3倍希釈していった5つの異なる濃度のヒトB7-H4 ECDを50μL/分で65秒間チップ上に流すことによって会合させ、次いで600秒間解離させた。BIACORE(商標)T200評価ソフトウェアバージョン3.0(GE Healthcare)を用いて、得られたセンサーグラムのデータを1:1ラングミュアモデルにフィッティングすることによって結合親和性および速度定数を決定した。各運転の合間に3×3M MgCl2を用いて50μL/分で30秒間チップを再生した。結果を表9-Bに示す。
IgG1 mAbフォーマットの最適化された抗B7-H4抗体および対応する親抗体を、BIACORE(商標)8K機器(GE Healthcare)を使用する表面プラズモン共鳴によって37℃でイヌおよびマウスB7-H4 ECDとの交差反応性について試験した。抗ヒトFc(GE BR-1008-39)を製造業者のプロトコルによりCM5センサーチップに最初にコーティングした。ハンクス緩衝溶液(HBS)-EP+(pH=7.4)中0.75μg/mLのヒト抗B7-H4 IgG1 mAbを50μL/分で30秒間チップ上に流した。次に、900nMから開始して3倍希釈していった5つの異なる濃度のイヌおよびマウスB7-H4 ECDを50μL/分で65秒間チップ上に流すことによって会合させ、次いで600秒間解離させた。BIACORE(商標)T200評価ソフトウェアバージョン3.0(GE Healthcare)を用いて、得られたセンサーグラムのデータを1:1ラングミュアモデルにフィッティングすることによって結合親和性および速度定数を決定した。各運転の間に3×3M MgCl2を用いて50μL/分で30秒間チップを再生した。結果を表9-Cに示す。
(実施例8)
B7-H4xCD3二重特異性抗体の表面プラズモン共鳴(SPR)分析
親ハイブリドーマクローンのB7-H4xCD3二重特異性抗体のヒト、イヌおよびマウスB7-H4 ECDに対する結合親和性をBIACORE(商標)T200機器(GE Healthcare)を使用して25℃または37℃で収集速度10Hzを用いて決定した。抗ヒトFc(GE BR-1008-39)を製造業者のプロトコルによりCM5センサーチップに最初にコーティングした。ハンクス緩衝溶液(HBS)-EP+(pH=7.4)中0.5μg/mLのB7-H4-CD3 IgG2 EEE/RRR二重特異性抗体を50μL/分で20~25秒間チップ上に流した。ヒト、イヌおよびマウスB7-H4 ECDを50μL/分で65秒間チップ上に流すことによって会合させ、次いで300秒間解離させた。イヌ抗原の場合400nMから開始して、ならびにヒトおよびマウス抗原の場合900nMから開始して、3倍希釈していった5つの異なる濃度の抗原を使用した。解離を600秒間モニタリングし、3M MgCl2を用いて表面を50μL/分で30秒間3回再生した。BIACORE(商標)T200評価ソフトウェアバージョン3.0(GE Healthcare)を用いて、得られたセンサーグラムのデータを1:1ラングミュアモデルにフィッティングすることによって結合親和性および速度定数を決定した。結果を表10-Aに示す。
B7-H4xCD3二重特異性抗体の表面プラズモン共鳴(SPR)分析
親ハイブリドーマクローンのB7-H4xCD3二重特異性抗体のヒト、イヌおよびマウスB7-H4 ECDに対する結合親和性をBIACORE(商標)T200機器(GE Healthcare)を使用して25℃または37℃で収集速度10Hzを用いて決定した。抗ヒトFc(GE BR-1008-39)を製造業者のプロトコルによりCM5センサーチップに最初にコーティングした。ハンクス緩衝溶液(HBS)-EP+(pH=7.4)中0.5μg/mLのB7-H4-CD3 IgG2 EEE/RRR二重特異性抗体を50μL/分で20~25秒間チップ上に流した。ヒト、イヌおよびマウスB7-H4 ECDを50μL/分で65秒間チップ上に流すことによって会合させ、次いで300秒間解離させた。イヌ抗原の場合400nMから開始して、ならびにヒトおよびマウス抗原の場合900nMから開始して、3倍希釈していった5つの異なる濃度の抗原を使用した。解離を600秒間モニタリングし、3M MgCl2を用いて表面を50μL/分で30秒間3回再生した。BIACORE(商標)T200評価ソフトウェアバージョン3.0(GE Healthcare)を用いて、得られたセンサーグラムのデータを1:1ラングミュアモデルにフィッティングすることによって結合親和性および速度定数を決定した。結果を表10-Aに示す。
親ハイブリドーマクローンのB7-H4xCD3二重特異性抗体のヒトおよびイヌCD3に対する結合親和性をBIACORE(商標)T200機器(GE Healthcare)を使用して25℃で収集速度10Hzを用いて決定した。抗His(GE 10260125)を製造業者のプロトコルによりCM5センサーチップに最初にコーティングした。ハンクス緩衝溶液(HBS)-EP+(pH=7.4)中0.50μg/mLのヒトCD3(デルタ/イプシロンヘテロ二量体)を10μL/分で30秒間チップ上に流した。150nM~5,6nMの範囲の濃度を有するB7-H4xCD3二特異性タンパク質の3倍希釈系列を流速50μl/分で72秒間センサー表面に注入した。解離を300秒間モニタリングし、10mMグリシン(pH1.5)を用いて表面を50μL/分で20秒間再生した。BIACORE(商標)T200評価ソフトウェアバージョン3.0(GE Healthcare)を用いて、得られたセンサーグラムのデータを1:1ラングミュアモデルにフィッティングすることによって結合親和性および速度定数を決定した。結果を表10-Bに示す。
B7-H4xCD3二重特異性抗体のヒト、イヌおよびマウスB7-H4 ECDに対する結合親和性をBIACORE(商標)T200機器(GE Healthcare)を使用して37℃で収集速度10Hzを用いて決定した。抗ヒトFc(GE BR-1008-39)を製造業者のプロトコルによりCM5センサーチップに最初にコーティングした。ハンクス緩衝溶液(HBS)-EP+(pH=7.4)中0.75μg/mLのB7-H4xCD3 IgG2 EEE/RRR二重特異性抗体を50μL/分で30秒間チップ上に流した。ヒト、イヌ、マウスおよびラットB7-H4 ECDを50μL/分で60秒間チップ上に流すことによって会合させ、次いで300秒間解離させた。ヒトおよびイヌ抗原の場合270nMから開始し、ラットおよびマウス抗原の場合2100nMから開始して、3倍希釈していった5つの異なる濃度の抗原を使用した。解離を600秒間モニタリングし、3M MgCl2を用いて表面を50μL/分で30秒間3回再生した。BIACORE(商標)T200評価ソフトウェアバージョン3.0(GE Healthcare)を用いて、得られたセンサーグラムのデータを1:1ラングミュアモデルにフィッティングすることによって結合親和性および速度定数を決定した。結果を表10-Cに示す。
B7-H4-CD3二重特異性抗体のヒトおよびイヌCD3に対する結合親和性をBIACORE(商標)T200機器(GE Healthcare)を使用して37℃で収集速度10Hzを用いて決定した。抗His(GE 10260125)を製造業者のプロトコルによりCM5センサーチップに最初にコーティングした。ハンクス緩衝溶液(HBS)-EP+(pH=7.4)中0.50μg/mLのヒトおよびイヌCD3(デルタ/イプシロンヘテロ二量体)を10μL/分で36秒間チップ上に流した。300nM~3.7nMの範囲の濃度を有する3倍希釈系列のB7-H4-CD3二特異性タンパク質を流速50μl/分でセンサー表面に72秒間注入した。解離を200秒間モニタリングし、10mMグリシン(pH1.5)を用いて表面を50μL/分で20秒間再生した。BIACORE(商標)T200評価ソフトウェアバージョン3.0(GE Healthcare)を用いて、得られたセンサーグラムのデータを1:1ラングミュアモデルにフィッティングすることによって結合親和性および速度定数を決定した。結果を表10-Dに示す。
BIACORE(商標)T200機器(GE Healthcare)を使用して37℃で収集速度10Hzを用いて、二重特異性抗体を一過性expi293または安定CHO細胞から産生した場合のCD3-B7-H4xCD3二重特異性抗体のヒトB7-H4およびCD3に対する結合親和性の比較を行った。B7-H4の結合を試験するために、類似実験を上記のように行ったが、0.5μg/mL B7-H4-CD3 IgG2 EEE/RRR二重特異性抗体を50μL/分で36秒間チップ上に流し、ヒトB7-H4 ECDを50μL/分で72秒間チップ上に流すことによって会合させ、次いで、200秒間解離させた。同じセットの濃度を使用した。CD3の結合を試験するために、同じパラメーターを用いて類似の実験を上記のように行った。結果を表10-Eに示す。
BIACORE(商標)T200機器(GE Healthcare)を使用して37℃で収集速度10Hzを用いて、様々なCD3バリアントを含有する二特異性薬について、CD3-B7-H4xCD3二重特異性抗体のヒトB7-H4およびCD3に対する結合親和性の比較を行った。CD3の結合を試験するために、以下の変更を行って上記と類似の実験を行った。900nM~3.7nMの範囲の濃度を有する3倍希釈系列のB7-H4-CD3二特異性タンパク質を流速50μl/分でセンサー表面に60秒間注入した。BIACORE(商標)T200評価ソフトウェアバージョン3.0(GE Healthcare)を用いて、得られたセンサーグラムのデータを1:1ラングミュアモデルにフィッティングすることによって結合親和性および速度定数を決定した。結果を表10-Fに示す。
BIACORE(商標)T200機器(GE Healthcare)を使用して37℃で収集速度10Hzを用いて、IgG2またはIgG1 EEE/RRR足場に基づく二特異性薬についてCD3-B7-H4xCD3二重特異性抗体のヒトB7-H4およびCD3に対する結合親和性の比較を行った。B7-H4の結合を試験するために上記と類似の実験を行ったが、0.75μg/mL B7-H4-CD3 IgG2 EEE/RRR二重特異性抗体を10μL/分で40秒間チップ上に流し、ヒトB7-H4 ECDを50μL/分で65秒間チップ上に流すことによって会合させ、次いで、600秒間解離させた。濃度範囲300nM~11nMを使用した。CD3の結合を試験するために、以下の変更を行って上記と類似の実験を行った。900nM~3.7nMの範囲の濃度を有する3倍希釈系列のB7-H4-CD3二特異性タンパク質を流速50μl/分でセンサー表面に60秒間注入した。BIACORE(商標)T200評価ソフトウェアバージョン3.0(GE Healthcare)を用いて、得られたセンサーグラムのデータを1:1ラングミュアモデルにフィッティングすることによって結合親和性および速度定数を決定した。結果を表10-Gに示す。
(実施例9)
抗体のB7-H4およびCD3への細胞ベースの結合
B7-H4xCD3二特異性分子について細胞ベースの結合を行った。濃度700nMのB7-H4xCD3二特異性分子から開始する12段階の系列希釈を、MX1、HCC1954-Luc、T47D、およびHEK293-huB7-H4を含む複数のヒトB7-H4発現細胞株、カニクイザルB7-H4発現細胞株CHO-cyB7-H4、ならびにマウスB7-H4発現細胞株HEK293-msB7-H4と共にインキュベートした。
抗体のB7-H4およびCD3への細胞ベースの結合
B7-H4xCD3二特異性分子について細胞ベースの結合を行った。濃度700nMのB7-H4xCD3二特異性分子から開始する12段階の系列希釈を、MX1、HCC1954-Luc、T47D、およびHEK293-huB7-H4を含む複数のヒトB7-H4発現細胞株、カニクイザルB7-H4発現細胞株CHO-cyB7-H4、ならびにマウスB7-H4発現細胞株HEK293-msB7-H4と共にインキュベートした。
さらに、健康ドナーPBMCから単離されたCD3発現初代ヒトT細胞、およびカニクイザルPBMCから単離されたCD3発現細胞のみならず、ラット脾臓ならびにC57およびBalbCマウス脾臓からのCD3発現細胞を用いて結合を行った。ヒト汎T細胞を、T細胞濃縮キット(StemCell Technologies)を使用する負の選択によってPBMCから単離した。ラットおよびマウスの脾臓を、機械的均質化、赤血球溶解(Roche)および濾過段階により処理した。
DPBS(Gibco)中、1% BSA(Fisher Scientific)および0.01%アジ化ナトリウム(Ricca Chemical Company)を含有するフロー緩衝液によりすべての細胞を2回洗浄し、フロー緩衝液中に細胞10万個/ウェルの密度で播種した。すべての遠心分離段階を300gで5分間実行した。
抗体インターナリゼーションを阻害するように機能するアジ化ナトリウムと共にインキュベーションを37℃で2時間行った。未結合のB7-H4xCD3二特異性分子を2ラウンドの37℃のフロー緩衝液洗浄/遠心分離段階で洗浄除去した。結合したB7-H4xCD3二特異性分子を、PE標識ヤギ抗ヒトFcγ二次抗体(Jackson Immuno Research)を用いて検出した。二次抗体のインキュベーションを、1:200希釈して、37℃で30分間実行した。未結合の二次抗体を、2ラウンドの37℃のフロー緩衝液洗浄/遠心分離段階で洗浄除去した。フロー緩衝液を含有する7-AAD Viability Staining溶液(Bio Legend)中に細胞を再懸濁し、データをフローサイトメータで獲得した。結合飽和の測定されたEC50を下の表11-Aおよび表11-Bに記載する。細胞上で、二重特異性抗体1167は、ヒトB7-H4にヒトCD3よりも高い親和性で結合し、これは、ヒトB7-H4に類似した親和性でカニクイザルB7-H4に結合し、マウスまたはラットB7-H4とは結合しない。
HCC1806-Luc、HEK293、およびCHO細胞を含む、B7-H4(またはCD3)を発現しない陰性細胞株は結合を示さなかった。
(実施例10)
最適化CD3-B7-H4xCD3二重特異性抗体のT細胞媒介性細胞死滅活性
Ficoll Paque(GE Healthcare)を使用して健康なドナー血液からヒトPBMCを単離した。Stem Cell TechnologiesからのT細胞濃縮キットを使用して汎T細胞をPBMCから単離した(T細胞の負の選択)。ルシフェラーゼ発現構築物、HCC1954-Luc、OVCAR3-LucまたはHCT116-LucをトランスフェクトされたB7-H4発現ヒト腫瘍細胞を、R10培地(RPMI、10% FBS、1% Penn/Strep、45%グルコース3ml)中に再懸濁した。T細胞をR10培地中にも再懸濁し、これを5:1または2.5:1のいずれかのエフェクター:標的比(E:T比)で腫瘍細胞に添加した。段階希釈したB7-H4xCD3二重特異性抗体または陰性対照CD3二特異性薬で細胞を処理し、250×gで4分間遠心沈殿して、接触を開始し、37℃で48時間インキュベートした。
最適化CD3-B7-H4xCD3二重特異性抗体のT細胞媒介性細胞死滅活性
Ficoll Paque(GE Healthcare)を使用して健康なドナー血液からヒトPBMCを単離した。Stem Cell TechnologiesからのT細胞濃縮キットを使用して汎T細胞をPBMCから単離した(T細胞の負の選択)。ルシフェラーゼ発現構築物、HCC1954-Luc、OVCAR3-LucまたはHCT116-LucをトランスフェクトされたB7-H4発現ヒト腫瘍細胞を、R10培地(RPMI、10% FBS、1% Penn/Strep、45%グルコース3ml)中に再懸濁した。T細胞をR10培地中にも再懸濁し、これを5:1または2.5:1のいずれかのエフェクター:標的比(E:T比)で腫瘍細胞に添加した。段階希釈したB7-H4xCD3二重特異性抗体または陰性対照CD3二特異性薬で細胞を処理し、250×gで4分間遠心沈殿して、接触を開始し、37℃で48時間インキュベートした。
ルシフェラーゼアッセイについて、Victor(Perkin Elmer)を使用するneolite試薬(Perkin Elmer)を使用してルシフェラーゼシグナルを測定した。Graphpad PRISMで4パラメーター非線形回帰分析を使用してEC50値を計算した。
乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)アッセイについて、Cytotox 96 Non-Radioactive Cytotoxicityアッセイキット(Promega、G1780)およびVictorマイクロプレートリーダー(Perkin Elmer)を使用して、傷ついた標的細胞から放出されたLDH。Graphpad PRISMで4パラメーター非線形回帰分析を使用してEC50値を計算した。
結果を表12に示す。これらの結果は、B7-H4xCD3二重特異性抗体が、ヒトB7-H4をin vitro発現する様々な細胞株の細胞傷害性T細胞死滅作用を再方向付けしたことを実証している。これらの細胞株には、卵巣がん細胞株に加えて、HR+HER2-、HER2+、およびTNBCサブタイプの乳がん細胞株が含まれる。さらに、抗体1156および1167は、カニクイザルにも交差反応性であることが示されている。
(実施例11)
B7-H4xCD3二重特異性抗体媒介活性のin vivo評価 - 養子移入またはPBMCモデル
無血清PBMC解凍溶液(CTL #AA-005)を補充した、5%ヒト血清アルブミン(Gemini #100-318)、1% Penn/Strep、0.01mM 2-メルカプトエタノール含有培地X-VIVO 15(Lonza)中で細胞約1000万個/mlのヒトPBMCを解凍した。細胞を室温で5分間インキュベーション後に細胞を遠心沈殿し、細胞5000万個/mlの濃度でRobosep緩衝液(Stem Cell Technologies)中に再懸濁した。EasySepヒトT細胞濃縮キット(Stem cell technologies)を使用してT細胞を単離した。T細胞を活性化させ、ヒトT細胞活性化/増殖キット(Miltenyi)を使用して増殖させた。2日目に増殖のためにT細胞をG-Rex細胞培養装置に移し、IL-2(Stem Cell Technologies)を培地に添加し、3日後に補充した。活性化/増殖の1週間後にT細胞を回収した。回収時に、ビーズを磁石で除去し、in vivo接種のために細胞をDPBS中に1x107または1.5x107個/mLで再懸濁した。
B7-H4xCD3二重特異性抗体媒介活性のin vivo評価 - 養子移入またはPBMCモデル
無血清PBMC解凍溶液(CTL #AA-005)を補充した、5%ヒト血清アルブミン(Gemini #100-318)、1% Penn/Strep、0.01mM 2-メルカプトエタノール含有培地X-VIVO 15(Lonza)中で細胞約1000万個/mlのヒトPBMCを解凍した。細胞を室温で5分間インキュベーション後に細胞を遠心沈殿し、細胞5000万個/mlの濃度でRobosep緩衝液(Stem Cell Technologies)中に再懸濁した。EasySepヒトT細胞濃縮キット(Stem cell technologies)を使用してT細胞を単離した。T細胞を活性化させ、ヒトT細胞活性化/増殖キット(Miltenyi)を使用して増殖させた。2日目に増殖のためにT細胞をG-Rex細胞培養装置に移し、IL-2(Stem Cell Technologies)を培地に添加し、3日後に補充した。活性化/増殖の1週間後にT細胞を回収した。回収時に、ビーズを磁石で除去し、in vivo接種のために細胞をDPBS中に1x107または1.5x107個/mLで再懸濁した。
異種移植研究のために、NSGマウスに、乳がん細胞株(MDA-MB468、HCC1954、MX1-Luc、ZR75-1、およびT47D)または患者由来異種移植片(PDX-BRX-11380、PDX-BRX-12351、PDX-BRX-24301、PDX-BRX-24305、PDX-BRX-26302、PDX-BRX-26305、PDX-BRX-26360、PDX-OVX-24409)断片のいずれかを側腹部に皮下接種した。デジタルVernierノギスを使用して腫瘍測定値を収集し、修正楕円式1/2×長さ×幅2の使用によって体積を計算した。腫瘍サイズ200~400mm3でマウスを無作為化し、ステージ分けした。
ヒトPBMC生着実験(「PMBCモデル」)について、500万個のヒトPBMCを初回投与の6日前に静脈内注射した。
ヒトT細胞養子移入実験について、初回投与の1日後に250万個の培養ヒトT細胞を接種した。マウスに、B7-H4xCD3二特異性分子または対照を1週間に最大3回の0.2mLボーラス注射として投薬した。
移植片対宿主応答の徴候についての連続モニタリングと共に、腫瘍の測定値を週2回収集した。すべてのB7-H4xCD3二特異性分子は、細胞株異種移植および患者由来異種移植モデルの両方で用量依存的T細胞媒介抗腫瘍活性を示した。下の表は、本明細書において実施された様々な実験の用量、腫瘍体積、SEM(標準誤差)および腫瘍成長阻害率(TGI)を示す。
結果を下の表13A~Nに記載する。これらの結果は、B7-H4xCD3二重特異性抗体が乳がんのin vivoヒト細胞株異種移植および患者由来異種移植モデルにおいて静脈内および皮下投薬の両方で用量依存的に殺腫瘍活性を誘導したことを実証している。これらのモデルは、HR+HER2-、HER2+、およびTNBC分子サブタイプの乳がんを含む。
(実施例12)
B7-H4についての受容体密度アッセイ
ヒト腫瘍細胞を発現するB7-H4を回収し、抗体-PEの1:1コンジュゲート抗B7-H4抗体および陰性対照抗体の連続希釈物により染色した。BD Quantibrite(商標)フィコエリトリン(PE)定量キット(BD Biosciences、カタログ番号340495)と共にBD LSRFortessa X-20を使用して染色細胞を獲得した。Quantibrite PEキットからの標準曲線を使用して抗体の飽和濃度での細胞あたりのB7-H4の平均受容体密度を計算した。
B7-H4についての受容体密度アッセイ
ヒト腫瘍細胞を発現するB7-H4を回収し、抗体-PEの1:1コンジュゲート抗B7-H4抗体および陰性対照抗体の連続希釈物により染色した。BD Quantibrite(商標)フィコエリトリン(PE)定量キット(BD Biosciences、カタログ番号340495)と共にBD LSRFortessa X-20を使用して染色細胞を獲得した。Quantibrite PEキットからの標準曲線を使用して抗体の飽和濃度での細胞あたりのB7-H4の平均受容体密度を計算した。
結果を表14に示す。結果は、腫瘍細胞上のB7-H4密度と、腫瘍細胞のin vitro T細胞死滅作用の再方向付けの誘導における抗体1167のin vitro効力との間に強い相関があること、およびB7-H4密度が高いほど、小さなEC50値から示されるように効力が高いことを実証している。
(実施例13)
B7-H4抗体のエピトープビニング
OctetRED 384(ForteBio)を用いるタンデムビニングアッセイを使用して、モノクローナルIgG1形態のB7-H4抗体を、ヒトB7-H4に対する競合および非競合結合について評価した。Octetアッセイを室温で行った。第一に、アミン反応性第二世代センサー(AR2G)をEDC(1-エチル-3-[3-ジメチルアミノプロピル]カルボジイミド塩酸塩)およびs-NHS(N-ヒドロキシスルホスクシンイミド)で300秒間活性化した。次いで、予備活性化センサーに、酢酸ナトリウム(pH5.0)中に希釈した抗B7-H4抗体の第1セット(mAb 1)を300秒間コーティングし、次いでエタノールアミンによりさらに300秒間クエンチした。動態緩衝液中でセンサーを60秒間平衡化した後、捕獲されたmAb 1にヒトB7-H4を300秒間結合させた。次いで、センサーを動態緩衝液中に60秒間浸し、続いて第2抗体(mAb 2)と共に300秒間インキュベートした。この対組合せで各抗体を試験した。ヒトB7-H4 ECD上の同じ結合領域を競合するmAbを単一のビンにグループ分けした。抗B7-H4抗体の8つ組(Octet)によるエピトープビニングは、B7-H4抗体によって認識される2つの独特なエピトープ群を実証している(表15)。
B7-H4抗体のエピトープビニング
OctetRED 384(ForteBio)を用いるタンデムビニングアッセイを使用して、モノクローナルIgG1形態のB7-H4抗体を、ヒトB7-H4に対する競合および非競合結合について評価した。Octetアッセイを室温で行った。第一に、アミン反応性第二世代センサー(AR2G)をEDC(1-エチル-3-[3-ジメチルアミノプロピル]カルボジイミド塩酸塩)およびs-NHS(N-ヒドロキシスルホスクシンイミド)で300秒間活性化した。次いで、予備活性化センサーに、酢酸ナトリウム(pH5.0)中に希釈した抗B7-H4抗体の第1セット(mAb 1)を300秒間コーティングし、次いでエタノールアミンによりさらに300秒間クエンチした。動態緩衝液中でセンサーを60秒間平衡化した後、捕獲されたmAb 1にヒトB7-H4を300秒間結合させた。次いで、センサーを動態緩衝液中に60秒間浸し、続いて第2抗体(mAb 2)と共に300秒間インキュベートした。この対組合せで各抗体を試験した。ヒトB7-H4 ECD上の同じ結合領域を競合するmAbを単一のビンにグループ分けした。抗B7-H4抗体の8つ組(Octet)によるエピトープビニングは、B7-H4抗体によって認識される2つの独特なエピトープ群を実証している(表15)。
(実施例14)
B7-H4細胞外ドメイン(ECD)と複合体化した抗B7-H4抗体0052 scFv、抗B7-H4抗体0058 Fabおよび抗体1114 Fabの結晶化および構造決定
抗体0052 scFvおよびB7-H4 ECDの共結晶構造:結晶化試行のために、B7-H4抗体0052 scFvとB7-H4 ECDとの間に1:1.2のモル比で複合体を形成させ、これをTBS(pH7.5)を含有するタンパク質溶液中で15.2mg/mlまで濃縮した。100mM HEPES(pH7.5)、200mM硫酸リチウム、25% PEG3350を含有する条件から懸滴蒸気拡散法によって結晶を得た。結晶は、格子パラメーターa=59.33Å;b=169.60Å;c=213.98Åで結晶学的非対称ユニット中にB7-H4抗体0052 scFvとB7-H4 ECDとの複合体の2つのコピーを有する斜方晶系空間群=P212121に一致する対称性を有した。結晶を液体窒素中で急速冷凍した。Argonne National Laboratory(APS)のIMCAビームライン17-IDで2.6Å分解能のデータセットを単一凍結結晶から収集した。データを処理し、autoPROCを使用してスケーリングし、最終データセットは60.3%完了であった。
B7-H4細胞外ドメイン(ECD)と複合体化した抗B7-H4抗体0052 scFv、抗B7-H4抗体0058 Fabおよび抗体1114 Fabの結晶化および構造決定
抗体0052 scFvおよびB7-H4 ECDの共結晶構造:結晶化試行のために、B7-H4抗体0052 scFvとB7-H4 ECDとの間に1:1.2のモル比で複合体を形成させ、これをTBS(pH7.5)を含有するタンパク質溶液中で15.2mg/mlまで濃縮した。100mM HEPES(pH7.5)、200mM硫酸リチウム、25% PEG3350を含有する条件から懸滴蒸気拡散法によって結晶を得た。結晶は、格子パラメーターa=59.33Å;b=169.60Å;c=213.98Åで結晶学的非対称ユニット中にB7-H4抗体0052 scFvとB7-H4 ECDとの複合体の2つのコピーを有する斜方晶系空間群=P212121に一致する対称性を有した。結晶を液体窒素中で急速冷凍した。Argonne National Laboratory(APS)のIMCAビームライン17-IDで2.6Å分解能のデータセットを単一凍結結晶から収集した。データを処理し、autoPROCを使用してスケーリングし、最終データセットは60.3%完了であった。
PHASERを用いて分子置換により構造を解析した。手作業の調整とCOOTを使用するモデル再構築とのいくつかの反復ラウンドおよびautoBUSTERを使用する結晶学的精密化により、結晶学的Rwork22.2%およびRfree25.0%を有する抗体0052 scFv+B7-H4 ECDの最終モデルがもたらされた。ここで、Rwork=||Fobs|-|Fcalc||/|Fobs|であり、RfreeはRworkと同等であるが、精密化工程から省略された、ランダムに選択された5%の反射について計算された。
B7-H4 ECDと複合体化したB7-H4抗体0052 scFVの結晶構造を図2Aに示す。図2Aに示されるように、B7-H4抗体0052は、B7-H4 V1ドメインの前方ベータシートから離れてB7-H4 ECDのV2ドメインに結合する。
B7-H4 ECD上のエピトープアミノ酸残基は、3.8オングストローム以下の抗体0052のアミノ酸残基と接触しているアミノ酸残基として同定される。表16-Aは、抗体0052によって認識されるエピトープに含まれるB7-H4 ECDのアミノ酸残基を記載する。これらのうち、(1)対応する抗体アミノ酸残基と水素結合を形成する、または(2)標的-抗体相互作用を受けて埋もれた、B7-H4 ECDエピトープアミノ酸残基が、さらに表に注記される。
抗体0058 FabとB7-H4 ECDとの共結晶構造:同様に、B7-H4抗体0058 FabとB7-H4 ECDとの間の複合体を1:1.2のモル比で形成させ、TBS(pH7.5)を含有するタンパク質溶液中に9.1mg/mlとなるように濃縮した。100mM HEPES(pH7.5)、100mM塩化カリウム、15% PEG6000を含有する条件から懸滴蒸気拡散法によって結晶を得た。結晶は、格子パラメーターa=81.07Å;b=96.99Å;c=116.08Å、α=90.00°;β=103.19°;γ=90.00°で結晶学的非対称ユニット中にB7H4抗体0058 Fab-B7-H4複合体の2つのコピーを有する単斜晶系空間群=P21に一致する対称性を有した。20%エチレングリコールを含有するリザーバ溶液を使用して結晶を凍結保護し、液体窒素中で急速冷凍した。Argonne National Laboratory(APS)のIMCAビームライン17-IDで2.2Å分解能へのデータセットを単一凍結結晶から収集した。データを処理し、autoPROCを使用してスケーリングし、最終データセットは52.9%完了であった。
PHASERを用いて分子置換により構造を解析した。手作業の調整とCOOTを使用するモデル再構築とのいくつかの反復ラウンドおよびautoBUSTERを使用する結晶学的精密化により、結晶学的Rwork21.6%およびRfree23.7%を有するB7H4抗体0058 Fab + B7-H4 ECDの最終モデルがもたらされた。ここで、Rwork=||Fobs|-|Fcalc||/|Fobs|であり、RfreeはRworkと同等であるが、精密化工程から省略された、ランダムに選択された5%の反射について計算された。
B7-H4 ECDと複合体化したB7-H4抗体0058 Fabの結晶構造を図2Bに示す。図2Bに示されるように、B7-H4抗体0058は、B7-H4 ECDのV1ドメインの前方ベータシートおよびその周辺でB7-H4 ECDに結合する。
B7-H4 ECD上のエピトープアミノ酸残基は、3.8オングストローム以下の抗体0058のアミノ酸残基と接触しているアミノ酸残基として同定される。表16-Bは、抗体0058によって認識されるエピトープに含まれるB7-H4 ECDのアミノ酸残基を記載する。これらのうち、(1)対応する抗体アミノ酸残基と水素結合を形成する、または(2)標的-抗体相互作用を受けて埋もれた、B7-H4 ECDエピトープアミノ酸残基が、さらに表に注記される。
抗体1114 FabとB7-H4 ECDとの共結晶構造:B7H4抗体1114 FabとB7-H4 ECDとの複合体を1:1のモル比で形成させ、TBS(pH7.5)を含有するタンパク質溶液中に9.27mg/mlまで濃縮した。100mM HEPES(pH7.5)、100mM塩化カリウム、15% PEG 6000を含有する条件から懸滴蒸気拡散法によって結晶を得た。結晶は、格子パラメーターa=96.43Å;b=78.19Å;c=116.21、α=90.00;β=90.13.19;γ=90.00Åで結晶学的非対称ユニット中にB7-H4抗体1114 FabとB7-H4 EDCとの複合体の2つのコピーを有する単斜晶系空間群=P21に一致する対称性を有した。20%グリセロールを含有するリザーバ溶液を使用して結晶を凍結保護し、液体窒素中で急速冷凍した。Argonne National Laboratory(APS)のIMCAビームライン17-IDで2.32Å分解能のデータセットを単一凍結結晶から収集した。データを処理し、autoPROCを使用してスケーリングし、最終データセットは47.6%完了であった。
PHASERを用いて分子置換により構造を解析した。手作業の調整とCOOTを使用するモデル再構築とのいくつかの反復ラウンドおよびPhenixを使用する結晶学的精密化により、結晶学的Rwork22.4%およびRfree27.6%を有するB7-H4抗体1114 Fab+B7-H4 ECDの最終モデルがもたらされた。ここで、Rwork=||Fobs|-|Fcalc||/|Fobs|であり、RfreeはRworkと同等であるが、精密化工程から省略された、ランダムに選択された5%の反射について計算された。
B7-H4 ECDと複合体化したB7-H4抗体1114 Fabの結晶構造を図2Cに示す。図2Cに示すように、B7-H4抗体1114は、B7-H4 ECDのV1ドメインの前方ベータシートおよびその周辺でB7-H4 ECDに結合する。
B7-H4 ECD上のエピトープアミノ酸残基を、3.8オングストローム以下の抗体1114のアミノ酸残基と接触しているアミノ酸残基として同定する。表16-Bは、抗体1114によって認識されるエピトープに含まれるB7-H4 ECDのアミノ酸残基を記載する。これらのうち、(1)対応する抗体アミノ酸残基と水素結合を形成する、または(2)標的-抗体相互作用を受けて埋もれた、B7-H4 ECDエピトープアミノ酸残基が、さらに表に注記される。
Claims (43)
- B7-H4に特異的に結合する単離された抗体またはその抗原結合断片と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物であって、該抗体が、
(a)配列番号23、配列番号155、配列番号156、配列番号157、配列番号159、配列番号161、配列番号163、配列番号165、配列番号169、配列番号171、配列番号172、配列番号173、配列番号174、配列番号175および配列番号176からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域(VH)のVH相補性決定領域(CDR)1(CDR1)、VH CDR2およびVH CDR3;ならびに
(b)配列番号27、配列番号139、配列番号141、配列番号167、配列番号168、配列番号169および配列番号170からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域(VL)のVL相補性決定領域1(CDR1)、VL CDR2およびVL CDR3
を含む、医薬組成物。 - 前記抗体が、
(a)配列番号161のアミノ酸配列を有する前記VH;および配列番号167のアミノ酸配列を有する前記VL;
(b)配列番号172のアミノ酸配列を有する前記VH;および配列番号139のアミノ酸配列を有する前記VL;
(c)配列番号155のアミノ酸配列を有する前記VH;および配列番号139のアミノ酸配列を有する前記VL;
(d)配列番号156のアミノ酸配列を有する前記VH;および配列番号139のアミノ酸配列を有する前記VL;
(e)配列番号157のアミノ酸配列を有する前記VH;および配列番号141のアミノ酸配列を有する前記VL;
(f)配列番号155のアミノ酸配列を有する前記VH;および配列番号141のアミノ酸配列を有する前記VL;
(g)配列番号156のアミノ酸配列を有する前記VH;および配列番号141のアミノ酸配列を有する前記VL;
(h)配列番号159のアミノ酸配列を有する前記VH;および配列番号27のアミノ酸配列を有する前記VL;
(i)配列番号161のアミノ酸配列を有する前記VH;および配列番号27のアミノ酸配列を有する前記VL;
(j)配列番号163のアミノ酸配列を有する前記VH;および配列番号27のアミノ酸配列を有する前記VL;
(k)配列番号165のアミノ酸配列を有する前記VH;および配列番号27のアミノ酸配列を有する前記VL;
(l)配列番号23のアミノ酸配列を有する前記VH;および配列番号167のアミノ酸配列を有する前記VL;
(m)配列番号171のアミノ酸配列を有する前記VH;および配列番号141のアミノ酸配列を有する前記VL;
(n)配列番号172のアミノ酸配列を有する前記VH;および配列番号141のアミノ酸配列を有する前記VL;
(o)配列番号171のアミノ酸配列を有する前記VH;および配列番号139のアミノ酸配列を有する前記VL;
(p)配列番号173のアミノ酸配列を有する前記VH;および配列番号139のアミノ酸配列を有する前記VL;
(q)配列番号174のアミノ酸配列を有する前記VH;および配列番号139のアミノ酸配列を有する前記VL;
(r)配列番号175のアミノ酸配列を有する前記VH;および配列番号139のアミノ酸配列を有する前記VL;
(s)配列番号161のアミノ酸配列を有する前記VH;および配列番号168のアミノ酸配列を有する前記VL;
(t)配列番号161のアミノ酸配列を有する前記VH;および配列番号169のアミノ酸配列を有する前記VL;
(u)配列番号161のアミノ酸配列を有する前記VH;および配列番号170のアミノ酸配列を有する前記VL;または
(v)配列番号172のアミノ酸配列を有する前記VH;および配列番号139のアミノ酸配列を有する前記VL
を含む抗体からのVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3を含む、請求項1に記載の医薬組成物。 - 前記抗体が、
(a)配列番号20のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号21のアミノ酸配列を有するVH CDR2、配列番号160のアミノ酸配列を有するVH CDR3、配列番号166のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号25のアミノ酸配列を有するVL CDR2および配列番号153のアミノ酸配列を有するVL CDR3;
(b)配列番号205のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号21のアミノ酸配列を有するVH CDR2、配列番号160のアミノ酸配列を有するVH CDR3、配列番号166のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号25のアミノ酸配列を有するVL CDR2および配列番号153のアミノ酸配列を有するVL CDR3;
(c)配列番号206のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号207のアミノ酸配列を有するVH CDR2、配列番号160のアミノ酸配列を有するVH CDR3、配列番号166のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号25のアミノ酸配列を有するVL CDR2および配列番号153のアミノ酸配列を有するVL CDR3;
(d)配列番号5のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号6のアミノ酸配列を有するVH CDR2、配列番号7のアミノ酸配列を有するVH CDR3、配列番号9のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号10のアミノ酸配列を有するVL CDR2および配列番号138のアミノ酸配列を有するVL CDR3;
(e)配列番号199のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号6のアミノ酸配列を有するVH CDR2、配列番号7のアミノ酸配列を有するVH CDR3、配列番号9のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号10のアミノ酸配列を有するVL CDR2および配列番号138のアミノ酸配列を有するVL CDR3;
(f)配列番号200のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号201のアミノ酸配列を有するVH CDR2、配列番号7のアミノ酸配列を有するVH CDR3、配列番号9のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号10のアミノ酸配列を有するVL CDR2および配列番号138のアミノ酸配列を有するVL CDR3;
(g)配列番号20のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号21のアミノ酸配列を有するVH CDR2、配列番号160のアミノ酸配列を有するVH CDR3、配列番号152のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号41のアミノ酸配列を有するVL CDR2および配列番号153のアミノ酸配列を有するVL CDR3;
(h)配列番号5のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号6のアミノ酸配列を有するVH CDR2、配列番号7のアミノ酸配列を有するVH CDR3、配列番号9のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号10のアミノ酸配列を有するVL CDR2および配列番号138のアミノ酸配列を有するVL CDR3;または
(i)配列番号5のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号130のアミノ酸配列を有するVH CDR2、配列番号7のアミノ酸配列を有するVH CDR3、配列番号9のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号10のアミノ酸配列を有するVL CDR2および配列番号138のアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含む、請求項1に記載の医薬組成物。 - B7-H4に特異的に結合する単離された抗体またはその抗原結合断片と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物であって、該抗体が、
配列番号20のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号21のアミノ酸配列を有するVH CDR2、配列番号160のアミノ酸配列を有するVH CDR3、配列番号166のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号25のアミノ酸配列を有するVL CDR2および配列番号153のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む、医薬組成物。 - 前記抗体が、
(a)配列番号161のアミノ酸配列を有するVH;および配列番号167のアミノ酸配列を有するVL;
(b)配列番号172のアミノ酸配列を有するVH;および配列番号139のアミノ酸配列を有するVL;
(c)配列番号155のアミノ酸配列を有するVH;および配列番号139のアミノ酸配列を有するVL;
(d)配列番号156のアミノ酸配列を有するVH;および配列番号139のアミノ酸配列を有するVL;
(e)配列番号157のアミノ酸配列を有するVH;および配列番号141のアミノ酸配列を有するVL;
(f)配列番号155のアミノ酸配列を有するVH;配列番号141のアミノ酸配列を有するVL;
(g)配列番号156のアミノ酸配列を有するVH;および配列番号141のアミノ酸配列を有するVL;
(h)配列番号159のアミノ酸配列を有するVH;および配列番号27のアミノ酸配列を有するVL;
(i)配列番号161のアミノ酸配列を有するVH;および配列番号27のアミノ酸配列を有するVL;
(j)配列番号163のアミノ酸配列を有するVH;および配列番号27のアミノ酸配列を有するVL;
(k)配列番号165のアミノ酸配列を有するVH;および配列番号27のアミノ酸配列を有するVL;
(l)配列番号23のアミノ酸配列を有するVH;および配列番号167のアミノ酸配列を有するVL;
(m)配列番号171のアミノ酸配列を有するVH;および配列番号141のアミノ酸配列を有するVL;
(n)配列番号172のアミノ酸配列を有するVH;および配列番号141のアミノ酸配列を有するVL;
(o)配列番号171のアミノ酸配列を有するVH;および配列番号139のアミノ酸配列を有するVL;
(p)配列番号173のアミノ酸配列を有するVH;および配列番号139のアミノ酸配列を有するVL;
(q)配列番号174のアミノ酸配列を有するVH;および配列番号139のアミノ酸配列を有するVL;
(r)配列番号175のアミノ酸配列を有するVH;および配列番号139のアミノ酸配列を有するVL;
(s)配列番号161のアミノ酸配列を有するVH;および配列番号168のアミノ酸配列を有するVL;
(t)配列番号161のアミノ酸配列を有するVH;および配列番号169のアミノ酸配列を有するVL;
(u)配列番号161のアミノ酸配列を有するVH;および配列番号170のアミノ酸配列を有するVL;または
(v)配列番号172のアミノ酸配列を有するVH;および配列番号139のアミノ酸配列を有するVL
を含む、請求項1に記載の医薬組成物。 - B7-H4に特異的に結合する単離された抗体またはその抗原結合断片と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物であって、該抗体が、配列番号161のアミノ酸配列を有するVH;および配列番号167のアミノ酸配列を有するVLを含む、医薬組成物。
- B7-H4に特異的に結合する単離された抗体またはその抗原結合断片と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物であって、該抗体が、配列番号172のアミノ酸配列を有するVH;および配列番号139のアミノ酸配列を有するVLを含む、医薬組成物。
- 前記抗体が定常領域をさらに含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
- 前記定常領域がIgG1またはIgG2のアイソタイプである、請求項8に記載の医薬組成物。
- 前記抗体が、A330S、P331S、D265A、C223E、P228E、L368E、C223R、E225R、P228R、およびK409Rからなる群から選択される1つまたは複数の置換を含むヒトIgG2であり、番号付けが、ヒトIgG2野生型およびEU番号付けスキームに従い、図1に示される通りである、請求項1から9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
- 前記抗体が、置換C223E、P228EおよびL368Eを含む、請求項10に記載の医薬組成物。
- 前記抗体が、置換A330S、P331SおよびD265Aを含む、請求項10または請求項11に記載の医薬組成物。
- B7-H4に特異的に結合する単離された抗体またはその抗原結合断片と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物であって、該抗体が、配列番号190のアミノ酸配列を有する重鎖、および配列番号191のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む、医薬組成物。
- B7-H4に特異的に結合する単離された抗体またはその抗原結合断片と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物であって、該抗体が、配列番号186のアミノ酸配列を有する重鎖、および配列番号187のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む、医薬組成物。
- B7-H4に特異的に結合する単離された抗体またはその抗原結合断片と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物であって、該抗体が、ATCC受入番号PTA-126779の下で寄託されたポリヌクレオチドのオープンリーディングフレーム(ORF)によりコードされる全長ポリペプチドのアミノ酸配列を含む重鎖、およびATCC受入番号PTA-126781と共に寄託されたポリヌクレオチドのオープンリーディングフレーム(ORF)によりコードされる全長ポリペプチドのアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、医薬組成物。
- 前記抗体の前記VH CDR1、前記VH CDR2、前記VH CDR3、前記VL CDR1、前記VL CDR2および前記VL CDR3の各々が、CDRのKabat定義、Chothia定義、AbM定義、または接触定義に従って定義される、請求項1または請求項2に記載の医薬組成物。
- B7-H4に特異的に結合する単離された第1の抗体またはその抗原結合断片と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物であって、該第1の抗体が、第2の抗体とB7-H4との結合について競合し、該第2の抗体が、
(a)配列番号8のアミノ酸配列を有するVH、および配列番号13のアミノ酸配列を有するVL;
(b)配列番号8のアミノ酸配列を有するVH、および配列番号13のアミノ酸配列を有するVL;
(c)配列番号39のアミノ酸配列を有するVH、および配列番号43のアミノ酸配列を有するVL;
(d)配列番号46のアミノ酸配列を有するVH、および配列番号49のアミノ酸配列を有するVL;
(e)配列番号52のアミノ酸配列を有するVH、および配列番号54のアミノ酸配列を有するVL;
(f)配列番号57のアミノ酸配列を有するVH、および配列番号60のアミノ酸配列を有するVL;
(g)配列番号16のアミノ酸配列を有するVH、および配列番号19のアミノ酸配列を有するVL;
(h)配列番号64のアミノ酸配列を有するVH、および配列番号67のアミノ酸配列を有するVL;
(i)配列番号69のアミノ酸配列を有するVH、および配列番号70のアミノ酸配列を有するVL;
(j)配列番号74のアミノ酸配列を有するVH、および配列番号77のアミノ酸配列を有するVL;
(k)配列番号80のアミノ酸配列を有するVH、および配列番号84のアミノ酸配列を有するVL;
(l)配列番号87のアミノ酸配列を有するVH、および配列番号90のアミノ酸配列を有するVL;
(m)配列番号23のアミノ酸配列を有するVH、および配列番号27のアミノ酸配列を有するVL;
(n)配列番号94のアミノ酸配列を有するVH、および配列番号96のアミノ酸配列を有するVL;
(o)配列番号100のアミノ酸配列を有するVH、および配列番号77のアミノ酸配列を有するVL;または
(p)配列番号104のアミノ酸配列を有するVH、および配列番号67のアミノ酸配列を有するVL
を含む抗体であって、
該第1の抗体が、約1マイクロモル濃度~0.1ナノモル濃度のヒトB7-H4に対するKDを有する、医薬組成物。 - B7-H4に特異的に結合する単離された抗体またはその抗原結合断片と,、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物であって、該抗体が、配列番号1のアミノ酸配列を有するB7-H4細胞外ドメインのL44、K45、E46、G47、V48、L49、G50、L51、E64、D66、M68、T99およびK101からなる群から選択される少なくとも2つのアミノ酸残基を含むヒトB7-H4上のエピトープに結合する、医薬組成物。
- 対象における、B7-H4を発現する細胞と関連する状態を処置するための、請求項1から18のいずれか一項に記載の医薬組成物。
- 前記状態ががんである、請求項19に記載の医薬組成物。
- 前記がんが、乳がん、卵巣がん、膀胱がん、子宮がんまたは胆管がんである、請求項21に記載の医薬組成物。
- B7-H4およびCD3の両方に特異的に結合する二重特異性抗体を含む医薬組成物であって、該二重特異性抗体が第1の重鎖および第1の軽鎖、ならびに第2の重鎖および第2の軽鎖を含み、前記第1の重鎖および前記第1の軽鎖が、B7-H4に結合する第1の抗原結合ドメインを含む第1のアームを形成し、前記第2の重鎖および前記第2の軽鎖が、CD3に結合する第2の抗原結合ドメインを含む第2のアームを形成し、
(a)前記第1の重鎖が、配列番号20のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号21のアミノ酸配列を有するVH CDR2、配列番号160のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含み、前記第1の軽鎖が、配列番号166のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号25のアミノ酸配列を有するVL CDR2および配列番号153のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含むか;
(b)前記第1の重鎖が、配列番号205のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号21のアミノ酸配列を有するVH CDR2、配列番号160のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含み、前記第1の軽鎖が、配列番号166のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号25のアミノ酸配列を有するVL CDR2および配列番号153のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含むか;
(c)前記第1の重鎖が、配列番号206のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号207のアミノ酸配列を有するVH CDR2、配列番号160のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含み、前記第1の軽鎖が、配列番号166のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号25のアミノ酸配列を有するVL CDR2および配列番号153のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含むか;
(d)前記第1の重鎖が、配列番号5のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号6のアミノ酸配列を有するVH CDR2、配列番号7のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含み、前記第1の軽鎖が、配列番号9のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号10のアミノ酸配列を有するVL CDR2および配列番号138のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含むか;
(e)前記第1の重鎖が、配列番号200のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号201のアミノ酸配列を有するVH CDR2、配列番号7のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含み、前記第1の軽鎖が、配列番号9のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号10のアミノ酸配列を有するVL CDR2および配列番号138のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含むか;
(f)前記第1の重鎖が、配列番号199のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号6のアミノ酸配列を有するVH CDR2、配列番号7のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含み、前記第1の軽鎖が、配列番号9のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号10のアミノ酸配列を有するVL CDR2および配列番号138のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含むか;
(g)前記第1の重鎖が、配列番号20のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号21のアミノ酸配列を有するVH CDR2、配列番号160のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含み、前記第1の軽鎖が、配列番号152のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号41のアミノ酸配列を有するVL CDR2および配列番号153のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含むか;
(h)前記第1の重鎖が、配列番号5のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号6のアミノ酸配列を有するVH CDR2、配列番号7のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含み、前記第1の軽鎖が、配列番号9のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号10のアミノ酸配列を有するVL CDR2および配列番号138のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含むか;または
(i)前記第1の重鎖が、配列番号5のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号130のアミノ酸配列を有するVH CDR2、配列番号7のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含み、前記第1の軽鎖が、配列番号9のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号10のアミノ酸配列を有するVL CDR2および配列番号138のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む、医薬組成物。 - 前記二重特異性抗体において、
(a)前記第1の重鎖が、配列番号161のアミノ酸配列を有するVHを含み、前記第1の軽鎖が、配列番号167のアミノ酸配列を有するVLを含むか;
(b)前記第1の重鎖が、配列番号172のアミノ酸配列を有するVHを含み、前記第1の軽鎖が、配列番号139のアミノ酸配列を有するVLを含むか;
(c)前記第1の重鎖が、配列番号155のアミノ酸配列を有するVHを含み、前記第1の軽鎖が、配列番号139のアミノ酸配列を有するVLを含むか;
(d)前記第1の重鎖が、配列番号156のアミノ酸配列を有するVHを含み、前記第1の軽鎖が、配列番号139のアミノ酸配列を有するVLを含むか;
(e)前記第1の重鎖が、配列番号157のアミノ酸配列を有するVHを含み、前記第1の軽鎖が、配列番号141のアミノ酸配列を有するVLを含むか;
(f)前記第1の重鎖が、配列番号155のアミノ酸配列を有するVHを含み、前記第1の軽鎖が、配列番号141のアミノ酸配列を有するVLを含むか;
(g)前記第1の重鎖が、配列番号156のアミノ酸配列を有するVHを含み、前記第1の軽鎖が、配列番号141のアミノ酸配列を有するVLを含むか;
(h)前記第1の重鎖が、配列番号159のアミノ酸配列を有するVHを含み、前記第1の軽鎖が、配列番号27のアミノ酸配列を有するVLを含むか;
(i)前記第1の重鎖が、配列番号161のアミノ酸配列を有するVHを含み、前記第1の軽鎖が、配列番号27のアミノ酸配列を有するVLを含むか;
(j)前記第1の重鎖が、配列番号163のアミノ酸配列を有するVHを含み、前記第1の軽鎖が、配列番号27のアミノ酸配列を有するVLを含むか;
(k)前記第1の重鎖が、配列番号165のアミノ酸配列を有するVHを含み、前記第1の軽鎖が、配列番号27のアミノ酸配列を有するVLを含むか;
(l)前記第1の重鎖が、配列番号23のアミノ酸配列を有するVHを含み、前記第1の軽鎖が、配列番号167のアミノ酸配列を有するVLを含むか;
(m)前記第1の重鎖が、配列番号171のアミノ酸配列を有するVHを含み、前記第1の軽鎖が、配列番号141のアミノ酸配列を有するVLを含むか;
(n)前記第1の重鎖が、配列番号172のアミノ酸配列を有するVHを含み、前記第1の軽鎖が、配列番号141のアミノ酸配列を有するVLを含むか;
(o)前記第1の重鎖が、配列番号171のアミノ酸配列を有するVHを含み、前記第1の軽鎖が、配列番号139のアミノ酸配列を有するVLを含むか;
(p)前記第1の重鎖が、配列番号173のアミノ酸配列を有するVHを含み、前記第1の軽鎖が、配列番号139のアミノ酸配列を有するVLを含むか;
(q)前記第1の重鎖が、配列番号174のアミノ酸配列を有するVHを含み、前記第1の軽鎖が、配列番号139のアミノ酸配列を有するVLを含むか;
(r)前記第1の重鎖が、配列番号175のアミノ酸配列を有するVHを含み、前記第1の軽鎖が、配列番号139のアミノ酸配列を有するVLを含むか;
(s)前記第1の重鎖が、配列番号161のアミノ酸配列を有するVHを含み、前記第1の軽鎖が、配列番号168のアミノ酸配列を有するVLを含むか;
(t)前記第1の重鎖が、配列番号161のアミノ酸配列を有するVHを含み、前記第1の軽鎖が、配列番号169のアミノ酸配列を有するVLを含むか;
(u)前記第1の重鎖が、配列番号161のアミノ酸配列を有するVHを含み、前記第1の軽鎖が、配列番号170のアミノ酸配列を有するVLを含むか;または
(v)前記第1の重鎖が、配列番号172のアミノ酸配列を有するVHを含み、前記第1の軽鎖が、配列番号139のアミノ酸配列を有するVLを含む、
請求項22に記載の医薬組成物。 - 前記二重特異性抗体において、
(a)前記第2の重鎖が、配列番号28のアミノ酸配列を有するVH CDR1、配列番号105のアミノ酸配列を有するVH CDR2、配列番号30のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含み、前記第2の軽鎖が、配列番号107のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号33のアミノ酸配列を有するVL CDR2および配列番号34のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含むか;
(b)前記第2の重鎖が、配列番号202のアミノ酸配列を有するVH CDR1、配列番号105のアミノ酸配列を有するVH CDR2、配列番号30のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含み、前記第2の軽鎖が、配列番号107のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号33のアミノ酸配列を有するVL CDR2および配列番号34のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含むか;
(c)前記第2の重鎖が、配列番号203のアミノ酸配列を有するVH CDR1、配列番号204のアミノ酸配列を有するVH CDR2、配列番号30のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含み、前記第2の軽鎖が、配列番号107のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号33のアミノ酸配列を有するVL CDR2および配列番号34のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含むか;
(d)前記第2の重鎖が、配列番号28のアミノ酸配列を有するVH CDR1、配列番号105のアミノ酸配列を有するVH CDR2、配列番号30のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含み、前記第2の軽鎖が、配列番号107のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号33のアミノ酸配列を有するVL CDR2および配列番号116のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含むか;
(e)前記第2の重鎖が、配列番号28のアミノ酸配列を有するVH CDR1、配列番号109のアミノ酸配列を有するVH CDR2、配列番号30のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含み、前記第2の軽鎖が、配列番号111のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号112のアミノ酸配列を有するVL CDR2および配列番号34のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含むか;または
(f)前記第2の重鎖が、配列番号28のアミノ酸配列を有するVH CDR1、配列番号29のアミノ酸配列を有するVH CDR2、配列番号30のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含み、前記第2の軽鎖が、配列番号32のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号33のアミノ酸配列を有するVL CDR2および配列番号34のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む、
請求項22または請求項23に記載の医薬組成物。 - 前記二重特異性抗体において、
(a)前記第2の重鎖が、配列番号106のアミノ酸配列を有するVHを含み、前記第2の軽鎖が、配列番号108のアミノ酸配列を有するVLを含むか;
(b)前記第2の重鎖が、配列番号115のアミノ酸配列を有するVHを含み、前記第2の軽鎖が、配列番号117のアミノ酸配列を有するVLを含むか;
(c)前記第2の重鎖が、配列番号110のアミノ酸配列を有するVHを含み、前記第2の軽鎖が、配列番号113のアミノ酸配列を有するVLを含むか;または
(d)前記第2の重鎖が、配列番号31のアミノ酸配列を有するVHを含み、前記第2の軽鎖が、配列番号35のアミノ酸配列を有するVLを含む、
請求項22または23に記載の医薬組成物。 - 前記二重特異性抗体において、
(a)前記第1の重鎖が、配列番号20のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号21のアミノ酸配列を有するVH CDR2、配列番号160のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含み、前記第1の軽鎖が、配列番号166のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号25のアミノ酸配列を有するVL CDR2および配列番号153のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含み;
(b)前記第2の重鎖が、配列番号28のアミノ酸配列を有するVH CDR1、配列番号105のアミノ酸配列を有するVH CDR2、配列番号30のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含み、前記第2の軽鎖が、配列番号107のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号33のアミノ酸配列を有するVL CDR2および配列番号34のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む、
請求項22に記載の医薬組成物。 - 前記二重特異性抗体において、
(a)前記第1の重鎖が、配列番号5のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号6のアミノ酸配列を有するVH CDR2、配列番号7のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含み、前記第1の軽鎖が、配列番号9のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号10のアミノ酸配列を有するVL CDR2および配列番号138のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含み;
(b)前記第2の重鎖が、配列番号28のアミノ酸配列を有するVH CDR1、配列番号105のアミノ酸配列を有するVH CDR2、配列番号30のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含み、前記第2の軽鎖が、配列番号107のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号33のアミノ酸配列を有するVL CDR2および配列番号34のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む、
請求項22に記載の医薬組成物。 - 前記二重特異性抗体において、
(a)前記第1の重鎖が、配列番号161のアミノ酸配列を有するVHを含み、前記第1の軽鎖が、配列番号167のアミノ酸配列を有するVLを含み;
(b)前記第2の重鎖が、配列番号106のアミノ酸配列を有するVHを含み、前記第2の軽鎖が、配列番号108のアミノ酸配列を有するVLを含む、
請求項22に記載の医薬組成物。 - 前記二重特異性抗体において、
(c)前記第1の重鎖が、配列番号172のアミノ酸配列を有するVHを含み、前記第1の軽鎖が、配列番号139のアミノ酸配列を有するVLを含み;
(d)前記第2の重鎖が、配列番号106のアミノ酸配列を有するVHを含み、前記第2の軽鎖が、配列番号108のアミノ酸配列を有するVLを含む、
請求項22に記載の医薬組成物。 - 前記二重特異性抗体が定常領域をさらに含む、請求項22から29のいずれか一項に記載の医薬組成物。
- 前記二重特異性抗体の前記定常領域がIgG1である、請求項30に記載の医薬組成物。
- 前記二重特異性抗体の前記定常領域が、A330S、P331S、D265A、C223E、P228E、L368E、C223R、E225R、P228R、およびK409Rからなる群から選択される1つまたは複数の置換を含むヒトIgG2であり、番号付けが、ヒトIgG2野生型およびEU番号付けスキームに従い、図1に示される通りである、請求項30に記載の医薬組成物。
- 前記二重特異性抗体の前記第1のアームが、置換D265A、C223E、P228E、およびL368Eを有するヒトIgG2ΔA定常領域をさらに含み、前記第2のアームが、置換D265A、C223R、E225R、P228R、およびK409Rを有するヒトIgG2ΔA定常領域をさらに含み、番号付けが、ヒト野生型IgG2およびEU番号付けスキームに従い、図1に示される通りである、請求項22から30および32のいずれか一項に記載の医薬組成物。
- B7-H4およびCD3の両方に特異的に結合する二重特異性抗体を含む医薬組成物であって、該二重特異性抗体が、第1の重鎖および第1の軽鎖、ならびに第2の重鎖および第2の軽鎖を含み、前記第1の重鎖および前記第1の軽鎖が、B7-H4に結合する第1の抗原結合ドメインを含む第1の抗体アームを形成し、前記第2の重鎖および前記第2の軽鎖が、CD3に結合する第2の抗原結合ドメインを形成し、
(a)前記第1の重鎖が配列番号190のアミノ酸配列を有し、前記第1の軽鎖が配列番号191のアミノ酸配列を有し;
(b)前記第2の重鎖が配列番号188のアミノ酸配列を有し、前記第2の軽鎖が配列番号189のアミノ酸配列を有する、医薬組成物。 - B7-H4およびCD3の両方に特異的に結合する二重特異性抗体を含む医薬組成物であって、該二重特異性抗体が、第1の重鎖および第1の軽鎖、ならびに第2の重鎖および第2の軽鎖を含み、前記第1の重鎖および前記第1の軽鎖が、B7-H4に結合する第1の抗原結合ドメインを含む第1の抗体アームを形成し、前記第2の重鎖および前記第2の軽鎖が、CD3に結合する第2の抗原結合ドメインを形成し、
(a)前記第1の重鎖が配列番号186のアミノ酸配列を有し、前記第1の軽鎖が配列番号187のアミノ酸配列を有し;
(b)前記第2の重鎖が配列番号188のアミノ酸配列を有し、前記第2の軽鎖が配列番号189のアミノ酸配列を有する、医薬組成物。 - B7-H4およびCD3の両方に特異的に結合する二重特異性抗体を含む医薬組成物であって、該二重特異性抗体が、第1の重鎖および第1の軽鎖、ならびに第2の重鎖および第2の軽鎖を含み、前記第1の重鎖および前記第1の軽鎖が、B7-H4に結合する第1の抗原結合ドメインを含む第1の抗体アームを形成し、前記第2の重鎖および前記第2の軽鎖が、CD3に結合する第2の抗原結合ドメインを形成し、
(a)前記第1の重鎖が、ATCC受入番号PTA-126779の下で寄託されたオープンリーディングフレーム(ORF)によりコードされる全長ポリペプチドのアミノ酸配列を含み、前記第1の軽鎖が、ATCC受入番号PTA-126781の下で寄託されたオープンリーディングフレーム(ORF)によりコードされる全長ポリペプチドのアミノ酸配列を含み;
(b)前記第2の重鎖が、ATCC受入番号PTA-126780の下で寄託されたオープンリーディングフレーム(ORF)によりコードされる全長ポリペプチドのアミノ酸配列を含み、前記第2の軽鎖が、ATCC受入番号PTA-126782の下で寄託されたオープンリーディングフレーム(ORF)によりコードされる全長ポリペプチドのアミノ酸配列を含む、医薬組成物。 - B7-H4およびCD3の両方に特異的に結合する二重特異性抗体を含む医薬組成物であって、該二重特異性抗体が、配列番号1のB7-H4アミノ酸配列のL44、K45、E46、G47、V48、L49、G50、L51、S63、E64、D66、M68、T99およびK101からなる群からの少なくとも2つのアミノ酸残基を含むヒトB7-H4上のエピトープに結合する、医薬組成物。
- 必要とする対象においてがんを処置するための、請求項22から37のいずれか一項に記載の医薬組成物。
- 対象における、B7-H4を発現する悪性細胞と関連する状態を処置するための請求項22から37のいずれか一項に記載の医薬組成物。
- 前記状態ががんである、請求項39に記載の医薬組成物。
- 前記がんが、乳がん、卵巣がん、子宮がん、膀胱がんまたは胆管がんである、請求項40に記載の医薬組成物。
- B7-H4を発現する悪性細胞を有する対象において腫瘍成長または進行を阻害するための請求項22から37のいずれか一項に記載の医薬組成物。
- B7-H4を発現する悪性細胞を有する対象において腫瘍退縮を誘導するための請求項22から37のいずれか一項に記載の医薬組成物。
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